(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971916
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】プロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するための改良されたシステム
(51)【国際特許分類】
D03J 5/06 20060101AFI20211111BHJP
D03D 47/24 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
D03J5/06
D03D47/24
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-110870(P2018-110870)
(22)【出願日】2018年6月11日
(65)【公開番号】特開2019-11541(P2019-11541A)
(43)【公開日】2019年1月24日
【審査請求日】2021年2月25日
(31)【優先権主張番号】102017000066823
(32)【優先日】2017年6月15日
(33)【優先権主張国】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517257777
【氏名又は名称】イテマ エッセ.ピー.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミネリ ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】カルツァフェッリ ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】アルリゴーニ マッシモ
【審査官】
住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03213892(US,A)
【文献】
特開昭64−068543(JP,A)
【文献】
特表2014−500407(JP,A)
【文献】
仏国追加特許公開第02392150(FR,A2)
【文献】
西独国特許出願公開第02521431(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03J 5/06
D03D 47/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタイル(P)が、プロジェクタイル(P)に取り付けられた緯糸の挿入を実行するために、杼口の上流および下流へと延びた案内トラックに沿って織機の開いた杼口へと順次に発射される形式のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステムであって、
前記プロジェクタイル(P)の各々は、該プロジェクタイル(P)の本体へと枢支された把持レバー(1)を内部に収容して備えており、
前記把持レバー(1)は、
a.緯糸提示装置によって前記プロジェクタイル(P)の近くに移動させられた緯糸を把持するために、該把持レバー(1)の一方の自由端(1pe)が前記プロジェクタイル(P)の輪郭から突出する緯糸把持位置と、
b.前記プロジェクタイル(P)の前記杼口への挿入時に緯糸を確実に保持するために、該把持レバー(1)の前記自由端(1pe)が完全に前記プロジェクタイル(P)の輪郭の内側に位置して、前記プロジェクタイル(P)の前記本体と一体の当接面(5)に当接する緯糸クランプ位置と
の間を移動可能であり、
前記把持レバー(1)は、押し手段(M)によって前記緯糸把持位置に押し込まれた状態に保たれており、
前記押し手段(M)の作用に逆らって前記緯糸把持位置へと向かう前記把持レバー(1)の開放運動が、前記プロジェクタイル(P)の片側から突出する前記把持レバー(1)の制御部(1ps)と、前記杼口の入口よりも前の前記プロジェクタイル(P)の前記案内トラックの一部分に沿って配置された第1の固定スライド(S1)の上り斜面との間の接触によって引き起こされ、前記把持レバーの前記制御部(1ps)は、前記プロジェクタイル(P)の前記把持レバー(1)の前記自由端(1pe)が突出する側とは異なる側から突出する、ことを特徴とするプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項2】
前記プロジェクタイル(P)の各々は、該プロジェクタイル(P)の本体へと枢支された解放レバー(3)を内部に収容してさらに備えており、
前記解放レバー(3)は、
a.該解放レバー(3)の操作アーム(3a)が前記把持レバー(1)の一部分に隣接するホーム位置と、
b.前記把持レバー(1)の前記自由端(1pe)を前記当接面(5)から離れるように移動させることによって緯糸の解放を可能にするために、該解放レバー(3)の前記操作アーム(3a)の自由端が前記把持レバー(1)を前記押し手段(M)の作用に逆らって回転させる緯糸解放位置と
の間を移動可能であり、
前記緯糸解放位置へと向かう前記解放レバー(3)の回転運動は、前記解放レバー(3)の一部分(8)と、前記杼口の出口よりも後の前記プロジェクタイル(P)の前記案内トラックの一部分に沿って配置された第2の固定スライド(S2)の上り斜面との間の接触によって引き起こされる、請求項1に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項3】
前記押し手段は、前記把持レバー(1)の両側においてプロジェクタイル(P)の本体に形成された適切な円筒形のハウジング内に配置された1対のコイルばね(M)で構成される、請求項1または2に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項4】
前記把持レバー(1)は、2アーム式レバーであり、前記コイルばね(M)は、前記把持レバー(1)の復帰アーム(1r)の自由端に対して圧縮力によって作用し、前記復帰アーム(1r)は、前記把持レバー(1)の前記自由端(1pe)を保持する前記把持レバー(1)の把持アーム(1p)に対して前記把持レバー(1)の枢支点(2)の反対側に位置する、請求項3に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項5】
前記緯糸解放位置において、前記把持レバー(1)の前記自由端(1pe)の外形は、完全に前記プロジェクタイル(P)の輪郭の内側にある、請求項2に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項6】
前記解放レバー(3)は、プロジェクタイル(P)の本体に形成されたハウジング内に配置された永久磁石(7)で構成される復帰手段によって前記ホーム位置に保たれる、請求項2に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項7】
前記解放レバー(3)は、2アーム式レバーであり、前記永久磁石(7)は、前記解放レバー(3)の被制御アーム(3c)に作用し、前記被制御アーム(3c)は、前記把持レバー(1)に接触する前記解放レバーの前記操作アーム(3a)に対して前記解放レバー(3)の枢支点(4)の反対側に位置する、請求項6に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項8】
前記プロジェクタイル(P)は、該プロジェクタイルの全長にわたって該プロジェクタイルの下半分から突出して棚状部(9)を形成している2つの横方向拡張部を備え、前記解放レバー(3)の前記被制御アーム(3c)は、該アームの自由端において2つの互いに間隔を空けて位置するアーチ型の突起(8)へと分かれており、該突起(8)は、前記解放レバー(3)が前記ホーム位置にあるとき、前記棚状部(9)に設けられた適切な切り欠きから突出し、前記突起(8)は、前記解放レバー(3)の前記第2の固定スライド(S2)との接触面を構成する、請求項7に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項9】
前記プロジェクタイル(P)の制動面が、該プロジェクタイルの上面および前記棚状部(9)の表面で構成される、請求項8に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項10】
前記プロジェクタイル(P)の上部は、前記棚状部(9)に少なくとも部分的に重なる横方向の張り出し部(11)によって広げられている、請求項9に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項11】
前記プロジェクタイル(P)は、前記案内トラックのフック(G)と協働する側部接触面を備え、該側部接触面は、前記プロジェクタイルの上部に向かうにつれて収束するように傾けられており、上部接触面は設けられていない、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項12】
前記プロジェクタイル(P)は、前記案内トラックのフック(G)と協働する垂直な側部接触面および水平な上部接触面を備える、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項13】
前記把持レバー(1)の把持アーム(1p)及び復帰アーム(1r)は、互いに垂直である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項14】
前記解放レバー(3)の被制御アーム(3c)及び操作アーム(3a)は、互いに整列している、請求項2、5〜10のいずれか一項に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【請求項15】
前記第1の固定スライド(S1)と協働する前記把持レバー(1)の下部(1ps)および前記第2の固定スライド(S2)と協働する前記解放レバー(3)の自由端の突起(8)が、前記プロジェクタイル(P)の後部および前部のそれぞれの近傍に配置されるよう、前記把持レバー(1)は前記プロジェクタイル(P)の後端の付近に枢支され、前記解放レバー(3)は前記プロジェクタイル(P)の中央の位置に枢支される、請求項2、5〜10、14のいずれか一項に記載のプロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するための改良されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、プロジェクタイル織機は、プロジェクタイル、すなわち適切な質量および形状の先細りの金属体を案内トラックに沿って発射することによって緯糸が杼口(shed)へと挿入される点で、他の種類の織機とは異なる。プロジェクタイルは、杼口の外に位置する案内トラックの出発ステーションに装てんされ、任意の公知の装置による発射操作の開始に先立ち、プロジェクタイルが依然として出発ステーションに位置している間に、緯糸の自由端がプロジェクタイルに取り付けられる。プロジェクタイルが発射された後、プロジェクタイルは緯糸を引っ張りながら杼口を通過し、したがって所望の緯糸の挿入が得られる。
【0003】
(通常は織工の標準的な作業位置に関して織機の右側において)杼口から出るとき、プロジェクタイルは、杼口の外に位置する案内トラックの到着ステーションに設けられたブレーキ装置によって減速および停止させられる。プロジェクタイルの停止が完了すると、緯糸は解放される。プロジェクタイルは、緯糸から解放され、次いで適切な連続搬送システムによって織機の発射側(通常は織機の左側)へと戻される。発射側においては、個々の到着するプロジェクタイルが装てん装置に貯留され、装てん装置は、プロジェクタイルを出発ステーションの前方に漸進的にもたらし、出発ステーションにおいて、それぞれの所望の緯糸が、プロジェクタイルが杼口へと再び発射される前に各々のプロジェクタイルに取り付けられる。当然ながら、特定の数のプロジェクタイルが特定の織機において同時に作動するが、その数は、実質的に、織機の高さおよび到着ステーションから出発ステーションへとプロジェクタイルを戻す連続搬送システムの速度によって決まる。
【0004】
緯糸の把持および解放の動作は、プロジェクタイルが静止しているときにのみ行うことができるため、プロジェクタイル織機における緯糸の挿入サイクルは、レピア織機と比べて所要時間がはるかに長く、したがってこの種の織機の最大動作周波数は、中程度または低く、すなわち1分当たりの緯糸の挿入回数が例えば300〜400回である。したがって、通常の製織用途において、プロジェクタイル織機は、今やレピア織機、エアー織機、およびウォーター織機によって完全に置き換えられているが、プロジェクタイル織機は、高さの大きい(3.50m超)織物または特殊な糸で作られる技術的な織物の製織においては、今日でも依然として競争力を有し、他の種類の織機よりも高い性能を提供する。
【0005】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、プロジェクタイル織機がもたらす関連の利点を損なうことなく、緯糸挿入サイクルの所要時間をレピア織機と同等の値にまで短縮するために、プロジェクタイル織機における現状の緯糸把持および解放システムの動作の態様を改良することである。すでに述べたように、これらの利点は、基本的には、プロジェクタイル織機は杼口に沿ってプロジェクタイルと一緒に移動する機械的な部材を含まないため、大きな高さの製織が可能であること、ならびに糸の固有の特徴ゆえに剥離、所望の配向の喪失、杼口の中央における交換の失敗または不整、あるいは短い緯糸などの深刻な問題を引き起こすことなくレピア織機の緯糸交換動作あるいはエアーまたはウォーター織機の加圧された流体の流れによる挿入動作において正しく取り扱うことが不可能である特殊な糸を、製織できることにある。
【0006】
米国特許第3,213,892号明細書が、プロジェクタイル織機を開示しており、プロジェクタイルが、プロジェクタイルの本体に枢支されたクランプレバーを備え、このレバーが、緯糸を一時的に保持するためにプロジェクタイルの本体に形成された対応するクランプ面と協働するクランプ面を有するクランプノーズを備えている。ばねが、クランプノーズをクランプ位置へとしっかりと押し付けた状態に保つ。クランプレバーは、吸引管によって空気の力でプロジェクタイルの経路に対して垂直な上下方向に引き張られた緯糸へとプロジェクタイルが側方に通過するときにクランプノーズが開位置にあるよう、プロジェクタイルの出発位置の直ぐ下流に設けられた固定カムと協働するようにクランプノーズと同じ側においてプロジェクタイルの本体から突出するカム面を有する制御部を備えている。
【0007】
米国特許第3,213,892号明細書は、静止しているプロジェクタイルではなく、移動しているプロジェクタイルにおいて緯糸把持システムを使用するという考え方を、遠い昔に提案したが、依然としてすべての既存のプロジェクタイル織機において緯糸把持システムは静止しているプロジェクタイルにおいて使用されている。実際のところ、この開示のシステムは、理論的には織機の挿入側において緯糸をクランプするための無駄時間を好都合に短縮できると思われるが、このシステムは、このシステムが呈する重大な技術的問題ゆえに、市場において現実的に実現されたことがない。第1の欠点は、クランプ領域における緯糸が、プロジェクタイルのクランプノーズの軌道に対して垂直に上下方向に引き張られているという事実に起因する。しかしながら、移動しているプロジェクタイルへと緯糸を正しくクランプすることは、緯糸を明らかに傷めてしまいかねない大きな衝撃応力、ならびに緯糸がクランプ領域にとどまるであろう時間が、クランプレバーの閉鎖動作の実行に必要な時間と比べて短かすぎるという事実の両方が理由で、これらの条件においては現実的に不可能である。第2の欠点は、クランプレバーの制御部分に対する固定カムの作用が、充分には緩やかでなく、したがってプロジェクタイルの使用寿命が過度に短くなりかねないという事実に起因する。他方で、単に固定カムの四角い形状を変更し、すなわち固定カムに入口斜面を設けることによって、この作用をより緩やかにすることも、この場合において固定カムとクランプノーズとの間の機械的な干渉がクランプレバーの初期の回転において容易に生じかねないため、不可能である。
【発明の概要】
【0008】
したがって、上記の先行技術の状態から出発して、本発明の目的は、プロジェクタイル織機において緯糸を把持/解放するためシステムであって、上述した先行技術の解決策の欠点を招くことなく、把持および解放の動作を移動中のプロジェクタイルにおいて効果的に実行することができ、したがって緯糸挿入サイクルの時間全体から静止ししているプロジェクタイルにおける緯糸の把持/解放工程に関連する時間長を取り除くことができる改良されたシステムを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、先行技術の織機においてプロジェクタイルの停止の工程の後にプロジェクタイルおよびプロジェクタイルに取り付けられた緯糸を正しい製織位置へと戻すために一般的に行われるプロジェクタイル再配置の工程も不要にすることにある。
【0010】
これらの目的は、請求項1に記載の特徴を有するプロジェクタイル織機における緯糸挿入把持/解放システムによって達成される。この装置のさらなる好ましい特徴が、従属請求項に規定される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明による緯糸を把持/解放するための改良されたシステムのさらなる特徴および利点は、いずれにせよ、あくまでも本発明を限定するものではない例として提示され、添付の図面に示される本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、さらに明らかになるであろう。
【
図1】プロジェクタイルの個別の支持および案内要素によって形成された案内トラックに沿って移動しているときの本発明の緯糸を把持/解放するためのシステムのプロジェクタイルの斜視図である。
【
図2A】把持手段が閉位置にある状態の
図1の装置の側面図である。
【
図2B】把持手段が閉位置にある状態の
図1の装置の斜視図である。
【
図3A】把持手段が開位置にある状態の
図1のプロジェクタイルの側面図である。
【
図3B】把持手段が開位置にある状態の
図1のプロジェクタイルの斜視図である。
【
図4】緯糸の把持および解放の動作を行う
図1のプロジェクタイルの内部要素の斜視図である。
【
図5】緯糸の把持工程における本発明によるプロジェクタイルおよび協働する第1の固定スライドの縦断面図である。
【
図6】
図5に示した位置にある広がった上部を有するプロジェクタイルおよび第1の固定スライドの正面図である。
【
図7】緯糸の解放工程における本発明によるプロジェクタイルおよび協働する第2の固定スライドの縦断面図である。
【
図8】
図7に示した位置にある広がった上部を有するプロジェクタイルおよび第2の固定スライドの正面図である。
【
図9】案内トラックのフックに対応する広がった上部を有するプロジェクタイルの断面図である。
【
図10】プロジェクタイルの第2の実施形態の
図9と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、上記の問題を解決するために、プロジェクタイルPは、プロジェクタイルが案内トラックに沿って移動している間に緯糸の把持および解放の動作を実行する可動要素を収容する。可動要素は、案内トラックに沿った適切な位置に配置された固定スライドによって動かされる。
【0013】
好ましくは、案内トラックは、当技術分野において多くの場合に単にフックGとして示されるプロジェクタイルPの複数の個別の支持および案内要素によって形成される。フックGは、それ自体は公知のやり方で、プロジェクタイルPの所望の軌道に沿って一列に並べて配置され、それぞれの基部において織機の本体に固定される。したがって、プロジェクタイルPは、プロジェクタイルPのスライド方向に垂直な2つの方向において両側の拘束をもたらすようなやり方で配置されたフックGの対応する内面と協働する適切なスライド面を備える。したがって、これらの面について、緯糸の把持および解放の動作を「移動中」のプロジェクタイルにおいて実行することができる後述のプロジェクタイルPの他の機能に矛盾しないことだけを唯一の制約として、種々の構成を提案することができる。
【0014】
現在使用されているすべてのプロジェクタイル織機において、プロジェクタイルへの緯糸の取り付けは、プロジェクタイルの後端に配置されたクランプによって行われる。このクランプは、クランプの2つのアームを引き離す可動ピンを、これらのクランプアームを閉位置へと押しているばね手段に逆らって挿入することにより、プロジェクタイルの外部から開くことが可能である。したがって、このような構成では、緯糸の把持および解放の動作を、プロジェクタイルが静止しており、上述の可動ピンに対して正確に配置されている場合に限り、行うことができることが明らかである。実際の問題として、上述した先行技術文献で提案されている種々の解決策は、重大な固有の欠点ゆえに決して実現されていない。先行技術のこの様相に対して、本発明によるプロジェクタイルPは、同じプロジェクタイルPが移動しているうちに緯糸の把持および確実なクランプならびにその後の緯糸の素早い解放を実行するために適した可動要素を備える。
【0015】
これにより、プロジェクタイルの発射のまさに直後のプロジェクタイルが移動しているとき、および杼口への緯糸の挿入が完了したがプロジェクタイルが停止装置において依然として移動しているときのそれぞれにおいて、時間および位置の適切な調整にて緯糸提示装置によってプロジェクタイルへと提示された緯糸を把持すること、およびこの緯糸を解放することが、可能になる。したがって、本発明による緯糸を把持/解放するための改良されたシステムは、先行技術のプロジェクタイル織機において生じるようなプロジェクタイルの発射工程の開始前および停止工程の終了後の静止したプロジェクタイルにおける静的な緯糸の把持/解放の動作を完全に排除でき、代わりにプロジェクタイルPの発射工程の終わりおよび停止工程の始めにおいて動的な緯糸の把持/解放の動作を実行することができる。
【0016】
緯糸の把持/解放のためのこの革新的な解決策のおかげで、プロジェクタイルが静止している間の静的な緯糸の把持/解放の工程に関する時間だけ劇的に減少する。したがって、本発明の緯糸を把持/解放するための改良されたシステムは、伝統的なプロジェクタイル織機よりもはるかに高い作業速度を有するプロジェクタイル織機の製造を可能にする。
【0017】
上記に加えて、本発明のシステムは、レピア織機での使用においてすでに広く知られて充分に検証された技術などの緯糸管理技術の使用にすぐに適しており、そのような技術から選択、提示、および切断装置、緯糸管理装置、ならびに最終的にはこれらの装置の織機における配置も、借用することができる。
【0018】
次に、本発明の緯糸を把持/解放するためのシステムの好ましい実施形態の機械的構造をより詳細に検討すると、このシステムが、プロジェクタイルPの内部に収容された2つの揺動レバーと、プロジェクタイルが杼口へと進入するときに緯糸の把持を達成し、プロジェクタイルPが杼口から出てくるときに緯糸の解放を達成するようにレバーを作動させるために適した案内トラックに沿って配置された2つのそれぞれの固定スライドとで構成されることに、注目すべきである。2つの主要な革新的特徴が、本発明によるプロジェクタイルを米国特許第3,213,892号明細書によって開示されたプロジェクタイルから明確に区別し、本発明の装置が上述の先行特許に開示された装置とは対照的に実際に効果的に実施されることを可能にする。
【0019】
第1の重要な特徴は、緯糸把持レバーが、プロジェクタイルにおいて、緯糸把持工程においてこの同じ把持レバーの端部が飛び出す側とは異なる側に把持レバーの制御カム部分を突出させるようなやり方で配置されているという事実に関する。この革新的な構成は、クランプレバーを駆動する固定制御カムを、レバーを開閉する作用がプロジェクタイルの使用寿命を損なわないように充分に緩やかになるように設計することを可能にする。
【0020】
本発明のプロジェクタイルの第2の重要な特徴は、提示されて待機する緯糸を把持するやり方が、実際には上述の文献に開示されているような緯糸をプロジェクタイルから突出する把持レバーの端部によって直接引っかけた後に同じ端部によってクランプ面に対して引きずる「アクティブモード」ではないことに関係する。実際、本発明の発明者は、そのようなやり方での緯糸の把持が、緯糸の構造を修復不可能に損ない、高品質の製織を得ることを不可能にする局所的な応力を緯糸に引き起こす可能性があることを、充分に認識していた。したがって、本発明のプロジェクタイルにおける緯糸の把持動作は、「ネガティブモード」に従って設計されており、すなわち緯糸がプロジェクタイルの上面に沿って滑った後に好都合な収容キャビティへと落下し、収容キャビティにおいて後の把持レバーの端部によるクランプ作用に向けて適切に位置するという態様に従って設計されている。したがって、把持レバーの端部が開位置にあるとき、把持レバーの端部は、前記収容キャビティへの緯糸の進入を容易にするための案内要素としてのみ機能する。緯糸が収容キャビティ内に正しく配置された後に、把持レバーが閉位置に移動し、緯糸を固定の当接面に対してクランプする。したがって、緯糸への把持作用がきわめて穏やかであり、緯糸の損傷の可能性を伴わない。
【0021】
上述の2つの揺動レバーを動作位置に示している
図4(より分かり易くするために、これらのレバーを収容するプロジェクタイルPの本体は図示されていない)、および
図5(断面図)に明瞭に示されるとおり、第1の把持レバー1が、プロジェクタイルPの本体の後端の付近の2に枢支される一方で、第2の解放レバー3は、プロジェクタイルPのほぼ中央の位置の4に枢支される。好ましくは、両方のレバーは、それらのそれぞれの長手方向中央面がプロジェクタイルPの長手方向中央面と一致するように配置される。以下でさらに詳しく見て取ることができるとおり、把持レバー1が、緯糸を把持する動作を実行する一方で、解放レバー3は、この緯糸をプロジェクタイルPから解放する動作を実行する。両方のレバーは、好ましくはプロジェクタイルPの移動方向に対して垂直かつプロジェクタイルPのスライド面に平行な軸を中心にして揺動する。
【0022】
把持レバー1は、より長い前部把持アーム1pとより短い後部復帰アーム1rとを備える2アーム式レバーであり、これらのアームは互いにほぼ垂直である。レバー1は、レバー1の両側においてプロジェクタイルPの本体に形成された適切な円筒形ハウジング内に配置された1対のコイルばねMによって、緯糸に対するクランプ作用を実行する閉位置に保たれる。ばねMは、圧縮力にて動作し、復帰アーム1rの自由端に対して作用して、把持アーム1pの自由端1peを耐摩耗性の高い材料で作られた当接プレート5に押し付け、この当接プレート5は、プロジェクタイルP内に設けられた適切な座に挿入され、あるいはプロジェクタイルPと一体である。
図2に明瞭に示されているように、把持レバー1がクランプ位置にあるとき、すなわち把持アーム1pの端部1peが当接プレート5に当接しているとき、この把持アーム1pの外形は、完全にプロジェクタイルPの輪郭の内側にある。プロジェクタイルPの本体およびレバー1の把持アーム1pの端部1peは、とりわけ杼口が閉じられようとするときのプロジェクタイルの移動の最終段階において、プロジェクタイルの外面に接触する経糸のからまり、引っ張り、および/または制動を引き起こすことなくプロジェクタイルPが杼口内を自由にスライドできるように、引っかかりの可能性がある場所を持たない形状を備える。
【0023】
解放レバー3も、より長い前部被制御アーム3cと、より短い後部操作アーム3aとを互いにほぼ整列させて備えている2アーム式レバー(
図4および
図5)である。
図5に示されるように、把持レバー1が緯糸の把持位置において開いているとき、解放レバー3は、プロジェクタイルPの本体に形成されたそれぞれのハウジングの内部に配置された永久磁石7によって非作動位置に保持される一方で、把持レバー1が緯糸のクランプ位置において閉じられるとき、そのような把持レバー1は、部位1p(
図7)において操作アーム3aの自由端に隣接するが、操作アーム3aの自由端と干渉することはない。被制御アーム3cの自由端は、弓形の形状を有する2つの互いに間隔を空けて位置する突起8へと分かれており、突起8は、解放レバー3が非作動位置にあるとき、プロジェクタイルPのそれぞれの棚状部9に形成された適切な切り欠きから突出している(
図2Bおよび
図3B)。棚状部9は、プロジェクタイルPの全長にわたってプロジェクタイルPの下半分から突出した2つの横方向拡張部10の上面を形成している。
【0024】
把持レバー1の開動作は、把持アーム1pの下部1psと、上りおよび下り斜面を備えた第1の固定スライドS1(
図5)との間の接触によって生じる。第1のスライドS1は、杼口の入口の前の適切な位置において、プロジェクタイルPの案内トラックの一部分の中央に配置され、プロジェクタイルPが通過する際にプロジェクタイルPの下部に形成された好都合な中央区画6に進入する(
図6および
図9)ようなやり方で位置する。区画6の内部には、レバー1の把持アーム1pの下部1psも突き出しており、したがって、この部分1psが、プロジェクタイルPが第1のスライドS1上を通過するときに、この第1のスライドS1と接触する。上述した先行技術とは異なり、第1のスライドS1と協働する把持レバー1の下部1psが、プロジェクタイルPの下側から突出するように設計され、すなわち同じ把持レバー1の自由端1peが突出するこのプロジェクタイルPの上側とは異なる側から突出するように設計されていることに、注目すべきである。この構成により、実際に、このスライドS1と把持レバーの自由端1peとの間にいかなる機械的干渉も引き起こすことなく、所望のとおりに滑らかに把持レバー1に回転運動を与えるように、第1のスライドS1を自由に設計することができる。
図5の矢印Fによって図面に概略的に示されている把持アーム1pの丸みを帯びた下部1psと第1のスライドS1の上り斜面との間の接触は、
図3Aおよび
図3Bに示されるようにレバー1の把持アーム1pの自由端1peがプロジェクタイルPの本体から突出するまで、ばねMの作用に逆らう軸2を中心とするレバー1の緩やかな開放の回転運動を引き起こす。このようにして、把持アーム1pの自由端1peは、他方においてレピア織機の分野においてそれ自身は公知のやり方でプロジェクタイルPの上面と同じ高さに位置する提示位置へと提示装置によって下降させられた緯糸について、この緯糸の把持要素を形成する。
【0025】
実際には、
図2および
図3に明瞭に示されているように、好都合な形状の緯糸収容キャビティが、プロジェクタイルPの本体内で、当接面5と開位置の把持レバー1の自由端1peとの間に形成される。この緯糸収容キャビティは、プロジェクタイルPの上面へとスライドする緯糸を、プロジェクタイルPの中へと、後の把持レバー1の自由端1peによるクランプ動作のための最良の位置に落下させるようなやり方で設計されている。したがって、把持レバー1は、開位置にあるとき、収容キャビティへの緯糸の滑らかな進入を容易にするための案内要素として機能する。緯糸収容キャビティの形状は、本発明の目的にとくに限定されず、主として、提示されて待機する緯糸のプロジェクタイルの軌道に対する傾き、ならびに緯糸の種類および番手によって決定される。
【0026】
プロジェクタイルPが前方へと移動する間、把持レバー1は、把持レバー1の下部1psが当接面5に対するレバー1の緩やかかつ素早い閉鎖を可能にする第1のスライドS1の下り斜面に到達するまで、下部1psによる第1のスライドS1との接触を維持する。レバー1のアーム1rに対するばねMによる一定の圧縮作用により、緯糸は、レバー1の自由端1peと当接面5との間で所定の位置にしっかりとクランプされる。次いで、緯糸は、レピア織機において既に知られている技術および装置を使用して切断される一方で、プロジェクタイルPによって経糸の杼口へと引き込まれ、所望の緯糸挿入を果たす。
【0027】
プロジェクタイルPが杼口の反対側の端部に到達したときに緯糸の解放を可能にするために、レバー1は、解放レバー3の被制御アーム3
cの前部自由端に設けられた1対の突起8と杼口の外部の適切な位置に配置された第2の固定ダブルスライドS2との間の接触によって、再びわずかに開かれる(
図7)。このダブルスライドS2は、プロジェクタイルPの棚状部9に対応して、とくにはプロジェクタイルPの上方に、このプロジェクタイルPの両側に対称に配置される。この第2ダブルスライドS2も、突起8の上部の弓形の部分に徐々に接触して解放レバー3の両方の回転方向の緩やかな回転運動を引き起こす上りおよび下りの斜面を備える。
【0028】
第1の「開放」運動において、解放レバーの操作アーム3aの自由端が、レバー1のアーム1pの下部に接触し、したがってこのアーム1pの端部1peをレバー1のアーム1rへのばねMの圧縮作用に逆らって当接プレート5から離れるように移動させ、緯糸の解放を可能にする(
図7)。解放レバー3によってレバー1のアーム1pにもたらされる回転は、緯糸を当接プレート5に対するクランプ作用から解放するのにちょうど充分であるが、アーム1pの自由端1peをプロジェクタイルPの輪郭から突出させるほどには大きくなく、したがって生じ得る杼口の早期の閉鎖の際にそのような自由端1peが経糸と干渉する可能性が回避される。第2のダブルスライドS2の下り斜面と解放レバー3の突起8との間の接触が終わると、このレバーは、磁石7の引力によって元の位置へと戻される。
【0029】
プロジェクタイルPの全体的な断面形状、したがってフックGの内面の形状は、プロジェクタイルPの安定した案内を達成するための要件を満たし、かつプロジェクタイルPが案内トラックに沿って移動する際の摩擦損失を最小にするようなやり方で検討される。例えば、
図1〜
図3および
図9に示されるように、プロジェクタイルの上部に向かって収束する側方の斜めの接触面を有し、上部接触面は存在しないプロジェクタイルPを提供することが可能である。あるいは、
図10に例として示されているように、側方の垂直な接触面と上方の水平な接触面とを有するプロジェクタイルPを使用することが可能である。プロジェクタイルのこれらの異なる形状は、異なる性能を提供し、そのプロジェクタイルを使用する織機の必要性に応じて選択可能である。
【0030】
棚状部9は、プロジェクタイルPの上部中央面とともに、プロジェクタイルPが杼口から出るときのプロジェクタイルPの制動面、すなわち杼口への緯糸の挿入の終了時にプロジェクタイルを停止させるべくブレーキ装置のパッドが作用する面をさらに形成する。必要であれば、制動摩擦に起因するブレーキパッドおよび同じプロジェクタイルPの摩耗および過熱を許容される限界内に抑えるために、
図1〜
図3に示したプロジェクタイルPに関してプロジェクタイルPの上部の幅を広げ、
図6、
図8、
図9、および
図10に示したプロジェクタイルPの実施形態のように棚状部9に少なくとも部分的に重なる横方向の張り出し部11を設けることによって、制動面を広げることが可能である。
【0031】
このプロジェクタイルPの把持レバー1および解放レバー3の特別な配置は、第1のスライドS1と協働する把持レバー1の下部1psをプロジェクタイルPの後部の付近に配置し、第2のスライドS2と協働する解放レバー3の自由端の突起8をプロジェクタイルPの前部の付近に配置することを可能にする。この構成により、緯糸の把持を、杼口の入口の直前において実行することができ、緯糸の解放も、プロジェクタイルPが杼口の出口に位置する最後の経糸および/または偽セルビッジを横切る段階に早めることができるため、杼口の入口側および出口側の両方において杼口から出る無駄な緯糸端部を最小限にすることが可能である。さらに、プロジェクタイルPに対する杼口の漸進的な閉鎖ゆえに、経糸および/または偽セルビッジ糸が、プロジェクタイルから解放されるときの緯糸の端部を充分に保持し、したがって欠陥のない織物の形成を助けることも、得ることができる。
【0032】
しかしながら、本発明を、本発明の典型的な実施形態を示しているにすぎない上記例示の特定の構成に限定されると考えるべきではなく、もっぱら以下の特許請求の範囲によって定められる本発明の技術的範囲から外れることなく、いずれも当業者の想到の範囲内であるさまざまな変種が可能であることを、理解すべきである。