(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の導電線からなり、導電線間に漏液が接触すると電流が流れる漏液検知帯と、前記漏液検知帯に接続されて印加電圧が所定の電圧値に達すると導通する定電圧素子を有するノードと、を含む漏液検知ユニットを1つ又は複数直列に接続した漏液検知部と、
前記漏液検知部の始端に接続される電源と、
前記漏液検知部の前記始端の入力電流値を検出する電流検出部と、
前記電流検出部で検出した前記入力電流値から漏液の発生を判定する判定部と、を備え、
前記漏液検知部は、各前記漏液検知ユニットが入力電圧値に応じて導通する特性を有し、
前記電源は、前記判定部から入力される電圧指令値に応じた電圧を出力し、
前記判定部は、前記電源に出力する前記電圧指令値を待機電圧値の前後で変動させて前記漏液検知部の前記入力電圧値を前記待機電圧値の前後で変動させ、
前記電圧指令値または前記入力電圧値と前記電流検出部で検出した前記入力電流値とから計算されるコンダクタンスまたは抵抗値と、所定の閾値とを比較することで、少なくとも1つの前記漏液検知ユニットで漏液が発生したことを判定すること、
を特徴とする漏液検出装置。
一対の導電線からなり、導電線間に漏液が接触すると電流が流れる漏液検知帯と、前記漏液検知帯に接続されて印加電圧が所定の電圧値に達すると導通する定電圧素子を有するノードと、を含む漏液検知ユニットを1つ又は複数直列に接続し、末端の前記導電線の間に抵抗器を接続した漏液検知部と、
前記漏液検知部の始端に接続される電源と、
前記漏液検知部の前記始端の入力電圧値を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部で検出した前記入力電圧値から漏液の発生を判定する判定部と、を備え、
前記漏液検知部は、各前記漏液検知ユニットが前記入力電圧値に応じて導通する特性を有し、
前記電源は、前記判定部から入力される電流指令値に応じた電流を出力し、
前記判定部は、前記電源に出力する前記電流指令値を待機電流値の前後で変動させて前記漏液検知部の入力電流値を前記待機電流値の前後で変動させ、
前記電流指令値または前記入力電流値と前記電圧検出部で検出した前記入力電圧値とから計算されるコンダクタンスまたは抵抗値と、所定の閾値とを比較することで、少なくとも1つの前記漏液検知ユニットで漏液が発生したことを判定すること、
を特徴とする漏液検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0045】
<第1実施形態の漏液検出装置100の構成>
以下、図面を参照しながら実施形態の漏液検出装置100について説明する。
図1に示すように、漏液検出装置100は、漏液検知部70と、漏液検知部70の始端71に接続された電源81と、漏液検知部70の入力電流値を検出する電流検出部である電流センサ82と、電流センサ82によって検出した入力電流値に基づいて漏液の判定を行う判定部90とで構成される。
【0046】
図1に示すように、漏液検知部70は、複数の漏液検知ユニットU
1〜U
5を直列に接続したものである。
図2を参照しながら、漏液検知ユニットU
1〜U
5の漏液検知部70の始端71からの接続順を示す漏液検知ユニット番号Nがm(N=m)、つまり、始端71からm番目の漏液検知ユニットU
mの構成について説明する。なお、漏液検知部70を構成する漏液検知ユニットUの数は5つに限定されず、いくつでもよく、1つでもよいし、6つ以上で構成されていてもよい。
【0047】
図2に示すように、漏液検知ユニットU
mは、定電圧素子D
mを含むノードND
mと、一対の導電線61,62からなる漏液検知帯60とを有している。ノードND
mは、一対の始端側端子13,15と、一対の末端側端子14,16と、始端側端子13,15と末端側端子14,16とを並列に接続する一対の接続線12を含んでいる。
図2に示すように、一方の始端側端子13と末端側端子14とを接続する接続線12の中間には、定電圧素子D
mが介在して配置されるように接続されている。また、他方の始端側端子15と末端側端子16とは接続線12で接続されており、定電圧素子D
mは接続されていない。一対の末端側端子14,16には漏液検知帯60の一対の導電線61,62がそれぞれ接続されており、一対の導電線61,62の各末端側の端部61e,62eは漏液検知ユニットU
mの末端側の端部となる。また、一対の始端側端子13,15は、漏液検知ユニットU
mの始端側の端部となる。このように、漏液検知部70は、導電線61の側の接続線12の間に定電圧素子D
mを配置したノードND
mを含む漏液検知ユニットU
mを始端71から末端72に向かって直列に接続したものである。
【0048】
定電圧素子D
mは、
図3に示す様に、印加電圧の絶対値が所定の立ち上がり電圧値Vfに達すると導通し、印加電圧の絶対値が立ち上がり電圧値Vfに達しない場合には、非導通となる素子である。本実施形態の漏液検出装置100では、定電圧素子D
mは、立ち上がり電圧値Vfのツェナーダイオード11a,11bを逆直列に接続して
図3に示すような特性の定電圧素子D
mを構成している。また、本実施形態の漏液検出装置100では、各定電圧素子D
1〜D
5の立ち上がり電圧値は全てVfで同一であるとして説明する。ただし、定電圧素子D
mの構成はこれに限定されない。この点については、後で説明する。
【0049】
導電線61,62は、漏液がない場合には非導通で、漏液が発生した際に漏液によって相互に導通するものである。導電線61,62は、例えば、吸湿性の絶縁皮膜等で覆った銅線を撚り合わせたもので構成してもよい。
【0050】
図1、
図2に示すように、漏液検知部70は、漏液検知ユニットU
mの末端側の端部である導電線61,62の末端側の端部61e,62eを漏液検知ユニットU
m+1の始端側の端部である始端側端子13,15に順次接続することにより構成されている。そして、漏液検知部70の始端71から1番目の漏液検知ユニットU
1の始端側端子13,15は、漏液検知部70の始端71を構成し、漏液検知部70の始端71から5番目の漏液検知ユニットU
5の導電線61,62の末端側の端部61e,62eは漏液検知部70の末端72を構成する。漏液検知部70の始端71を構成する漏液検知ユニットU
1の始端側端子13,15は、絶縁被覆線63を介して電源81に接続されている。電源81と漏液検知ユニットU
1の一方の始端側端子13との間には、電流センサ82が接続されている。また、漏液検知部70の末端72は開放されている。
【0051】
電源81は交流電源である。電源81は、例えば、交流100Hz、出力電圧10V程度のものでもよい。電流センサ82は、交流の電流値を検出する交流の電流検出器である。判定部90は、内部にCPU91とメモリ92と、電源81と電流センサ82とが接続される入力インターフェース93と、CPU91の演算結果を出力する出力インターフェース94とを備えるコンピュータである。CPU91と、メモリ92と、入力インターフェース93と、出力インターフェース94とはデータバス95で接続されている。電源81は判定部90の判定部90から入力される電圧指令値に応じた電圧を出力する。なお、判定部90の構成はこれに限定されず、例えば、アナログ回路で構成してもよい。
【0052】
<漏液検出装置100の漏液判定動作>
以下、
図4から
図10を参照しながら、漏液検出装置100の漏液判定動作について説明するが、最初に
図5、
図6を参照しながら、入力電圧値と各漏液検知ユニットUの印加電圧と導通範囲Aについて説明する。
【0053】
<入力電圧値と導通範囲>
入力電圧値がゼロの場合には、各定電圧素子Dは全てオフで非導通となっている。
図5に示すように、始端71の入力電圧値をゼロから立ち上がり電圧値Vfまで上昇させると始端71から1番目の漏液検知ユニットU
1の定電圧素子D
1にVfの電圧が印加される。すると、定電圧素子D
1がオンになる。定電圧素子D
1の電圧降下はVfなので、始端電圧がVfを超えると漏液検知ユニットU
1の導電線61,62間に電圧が掛かり始める。これにより、漏液検知ユニットU
1での漏液検知が可能となる。その後、入力電圧を上昇させていくと、導電線61,62間に電圧は、ゼロから次第に大きくなってくる。この際の導通範囲A
1は、漏液検知ユニットU
1のみである。
【0054】
図5に示すように、入力電圧値を立ち上がり電圧値Vfの2倍=2×Vfまで上昇させると、漏液検知ユニットU
1の導電線61,62間の電圧がVfに達し、始端71から2番目の漏液検知ユニットU
2の定電圧素子D
2に立ち上がり電圧値Vfが印加される。これにより、定電圧素子D
2がオンになり、漏液検知ユニットU
2の導電線61,62間に電圧が掛かり始め、漏液検知ユニットU
2の漏液検知が可能となる。この際の導通範囲A
2は、漏液検知ユニットU
1、U
2である。
【0055】
同様に、入力電圧値をV
m=m×Vfまで上昇させると、漏液検知ユニットU
mの定電圧素子D
mがオンになり、漏液検知ユニットU
1から漏液検知ユニットU
mまでの各漏液検知ユニットUが導通する。この際の導通範囲はA
mである。このように、入力電圧値を上昇させていくと、各漏液検知ユニットUは、入力電圧値がVfだけ上昇する毎に始端71に接続された順に順次導通していく。
【0056】
そして、
図6に示すように、入力電圧値をV
Nend=Nend×Vf(ここで、Nendは末端72の漏液検知ユニットUの番号である。)まで上昇させると、漏液検知ユニットU
1から漏液検知ユニットU
Nendまでのすべての漏液検知ユニットUが導通し、全ての漏液検知ユニットUで漏液の検知が可能となる。従って、入力電圧値をV
Nendよりも高い待機電圧値V
0とすることにより、全ての漏液検知ユニットUで漏液の検知を行うことができる。
【0057】
以下、入力電圧値をV
Nendよりも高い待機電圧値V
0として漏液の検知を行う場合の動作について説明する。この場合、
図7の線aに示すように、入力電圧値を待機電圧値V
0一定にする方法(第1判定動作)と、
図7の線bに示すように、入力電圧値を待機電圧値V
0の前後で変動させる方法(第2判定動作)と、
図7の線cに示すように入力電圧値をゼロと待機電圧値V
0との間で掃引する方法(第3判定動作)とがある。以下、最初に第1判定動作について説明し、次に第2、第3判定動作について説明する。
【0058】
<第1判定動作>
判定部90は、電源81に出力電圧を待機電圧値V
0一定とする電圧指令値を出力する。これにより、電源81は、始端71に待機電圧値V
0一定の電圧を印加する。
【0059】
図8に示すように、漏液が発生していない場合には、各漏液検知ユニットUの導電線61,62間には電流が流れないので、電流センサ82で検出した入力電流値はゼロとなっている。
【0060】
一方、
図4に示すように、m番目の漏液検知ユニットU
mで漏液が発生すると、漏液検知ユニットU
mの導電線61,62の間には、I
m=G
m(V
0−V
m)の電流が流れる。ここで、G
mは、漏液検知ユニットU
mの導電線61,62の間のコンダクタンスである。
【0061】
そこで、判定部90は、電流センサ82で検出した入力電流値と所定の閾値とを比較して、入力電流値が所定の閾値よりも大きくなった場合に、漏液が発生したものと判定する。判定部90は、漏液が発生したと判定した場合には、出力インターフェース94を介して外部装置に漏液発生の警報を発報する。
【0062】
ここで、所定の閾値は自由に設定可能であるが、液体の種類等に応じて試験等によって決めてもよい。
【0063】
<第2判定動作>
先に説明したように、入力電圧値をV
m=m×Vfまで上昇させると、漏液検知ユニットU
mの定電圧素子D
mがオンになり、漏液検知ユニットU
1から漏液検知ユニットU
mまでの各漏液検知ユニットUが導通する。この場合、m番目の漏液検知ユニットU
mで漏液が発生していると、漏液検知ユニットU
mの導電線61,62の間に電流が流れ始める。この際、漏液部分65のコンダクタンスはG
mである。その後、入力電圧値を上昇させると、漏液検知ユニットU
mの導電線61,62の間の電圧が大きくなり、入力電流値は次第に大きくなっていく。従って、漏液検知ユニットU
mで漏液が発生すると、入力電圧値の変化に対する入力電流値の変化特性(以下、VI特性という)は、
図9に破線で示すように、入力電圧値がV
mまでは入力電流値はゼロで、入力電圧値がV
mを超えるとある傾きで入力電流値が上昇していく。また、入力電圧値の変化に対するコンダクタンスの変化特性(以下、VG特性という)は、
図10に破線で示すように、入力電圧値がV
mまではコンダクタンスGはゼロで、入力電圧値がV
mを超えるコンダクタンスGは漏液部分65のコンダクタンスはG
mとなる。
【0064】
そこで、第2判定動作では、
図9に示すように入力電圧値を待機電圧値V
0の前後でΔVだけ変動させ、電流センサ82で検出した入力電流値の変化から入力電流値の変化量ΔIを計算し、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを算出し、算出したコンダクタンスGを所定の閾値と比較して漏液の判定を行うものである。
【0065】
判定部90は、電源81に出力する電圧指令値を待機電圧値V
0の前後でΔVだけ変動させる。電源81は、電圧指令値に従って始端71に印加する入力電圧値を待機電圧値V
0の前後でΔVだけ変動させる。判定部90は、電流センサ82によって入力電流値を検出する。判定部90は、異なる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出する。そして、判定部90は、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを算出し、所定の閾値と比較する。そして、
図10に示すように、算出したコンダクタンスGが所定の閾値よりも大きい場合に、漏液が発生したと判定する。
【0066】
なお、入力電流値の変化量ΔIの算出は、異なる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値を用いることに限定されず、3つあるいはそれよりも多い電圧指令値に対応する入力電流値を用いて算出してもよい。また、第2判定動作において、コンダクタンスGに代えて抵抗値R=ΔV/ΔIを算出し、抵抗値が所定の閾値よりも小さい場合に漏液が発生すると判定してもよい。
【0067】
また、以上の説明では、異なる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出することとして説明したが、始端71の入力電圧値を検出する電圧センサ83を設けて入力電圧値を検出し、電圧指令値に代えて電圧センサ83で検出した入力電圧値を用いてもよい。この場合、入力電流値の変化量ΔIは、異なる2つの入力電圧値に対応する2つの入力電流値から計算される。
【0068】
<第3判定動作>
第3判定動作では、判定部90は、
図7の線cのように電圧指令値をゼロと待機電圧値V
0との間で掃引し、掃引により変化する2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出する。そして、第2判定動作と同様、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを算出し、算出したコンダクタンスGが所定の閾値よりも大きい場合に、漏液が発生したと判定する。この場合、最小電圧値の際の入力電流値と最大電圧値の際の入力電流値とを用いてコンダクタンスGを算出してもよい。
【0069】
また、第2判定動作と同様、入力電流値の変化量ΔIの算出は、2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値を用いることに限定されず、3つあるいはそれよりも多い電圧指令値に対応する入力電流値を用いて算出してもよい。また、コンダクタンスGに代えて抵抗値R=ΔV/ΔIを算出し、抵抗値が所定の閾値よりも小さい場合に漏液が発生すると判定してもよい。また、先に説明した第2判定動作と同様、電圧指令値に代えて電圧センサ83で検出した入力電圧値を用いて入力電流値の変化量ΔIを算出してもよい。
【0070】
また、本動作の説明では、電圧指令値をゼロと待機電圧値V
0との間で掃引することとして説明したが、電圧指令値の最大値は、V
Nend=Nend×Vfより大きければ待機電圧値V
0より小さくてもよいし、待機電圧値V
0よりも大きくてもよい。
【0071】
以上説明したように、第1判定動作では、待機電圧値V
0を所定の電圧値一定とする簡便な構成で、短時間で漏液の発生の判定を行うことができる。また、第2、第3判定動作は、入力電圧値を待機電圧値V
0の前後で変動させたり、入力電圧値を掃引したりすることによってコンダクタンスまたは抵抗値を算出し、これにより漏液の判定を行うので、入力電流値と異なる物理量によって漏液の判定を行うことができる。
【0072】
<漏液の発生した漏液検知ユニットの特定動作>
以下、
図11から
図14を参照しながら漏液の発生した漏液検知ユニットUの特定動作について説明する。
【0073】
漏液の発生した漏液検知ユニットの特定動作は、
図7の線cのように電圧指令値をゼロと待機電圧値V
0との間で掃引し、漏液検知ユニットUを始端71に接続された順に導通させ、漏液検知ユニットU
1〜U
m−1を導通状態とした状態での合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m−1]と、漏液検知ユニットU
1〜U
mを導通状態とした状態での合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m]との差から漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mを算出し、算出したコンダクタンスG
mを所定の閾値と比較して漏液の発生した漏液検知ユニットUを特定するものである。
【0074】
<入力電圧値とコンダクタンス及び導通範囲>
図7の線cのように入力電圧値をゼロから待機電圧値V
0まで上昇させていくと、先に
図5を参照して説明したように、各漏液検知ユニットUは、始端71に接続された順に順次導通していく。
図12は、VI特性に入力電圧値を掃引した際の各漏液検知ユニットにおける入力電圧値の変化に対する入力電流値の変化と、導通範囲の変化とを重ね合わせたグラフである。
図12の実線は漏液が発生していない場合のVI特性を示し、破線は漏液検知ユニットU
mで漏液が発生した場合のVI特性を示す。
【0075】
図12に示すように、入力電圧値をV
mとV
m+1の間まで上昇させると漏液検知ユニットU
1〜U
mが導通状態となる。この状態で入力電圧値をΔVだけ変動させ、電流センサ82で検出した入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出した場合、
図13に示すように、ΔI/ΔVで計算されるコンダクタンスGは、下記の式(1)に示すように、導通状態となっている漏液検知ユニットU
1〜U
mの各コンダクタンスG
1〜G
mの合計コンダクタンスとなる。
【数1】
【0076】
同様に、入力電圧値をV
m−1とV
mの間まで上昇させると漏液検知ユニットU
1〜U
m−1が導通状態となるので、ΔI/ΔVで計算されるコンダクタンスGは下記の式(2)に示すように、導通状態となっている漏液検知ユニットU
1〜U
m−1の各コンダクタンスG
1〜G
m−1の合計コンダクタンスとなる。
【数2】
【0077】
従って、式(1)から式(2)を引くことによって
図14に示すように、漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mを算出することができる。そして、このコンダクタンスG
mと所定の閾値とを比較することにより、漏液検知ユニットU
mでの漏液の発生の有無を判定することができる。
【0078】
<漏液の発生した漏液検知ユニットの特定動作の詳細>
以下、
図12から
図14を参照しながら、漏液の発生した漏液検知ユニットの特定動作の詳細について説明する。以下の説明では、漏液検知ユニットU
mで漏液が発生したものとして説明する。
【0079】
判定部90は、
図7の線cに沿って電圧値指令値をゼロから待機電圧値V
0まで掃引していく。これにより、電源81は、電圧指令値に従って始端71に印加する入力電圧値をゼロから待機電圧値V
0まで掃引する。先に説明したように、入力電圧値がVfに達すると漏液検知ユニットU
1で漏液検知が可能となる。
【0080】
判定部90は、電圧指令値をVfから2×Vfより僅かに小さい値まで掃引して入力電圧値をVfから2×Vfより僅かに小さい値まで掃引する。この間では、漏液検知ユニットU
1のみが導通範囲(導通範囲A
1)となっている。この間で判定部90は、電圧指令値の差がΔVとなる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値を電流センサ82で検出する。そして、検出した入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出し、コンダクタンスG
1=ΔI/ΔVを計算する。漏液検知ユニットU
1では漏液は発生しておらず、
図12に示すように、入力電圧値がVfから2×Vfの間、入力電流値はゼロのままであるから、コンダクタンスG
1=ΔI/ΔV=0となる。
【0081】
次に判定部90は、電圧指令値を2×Vfから3×Vfより僅かに小さい値まで掃引して入力電圧値を2×Vfから3×Vfより僅かに小さい値まで掃引する。この間では、漏液検知ユニットU
1とU
2とが導通範囲(導通範囲A
2)となっている。この間で、判定部90は、電圧指令値の差がΔVとなる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値を電流センサ82で検出する。そして検出した入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出し、導通範囲である漏液検知ユニットU
1,U
2のコンダクタンスの合計値[G
1+G
2]=ΔI/ΔVを算出する。
【0082】
漏液検知ユニットU
1、U
2では漏液は発生しておらず、
図12に示すように、入力電圧値が2×Vfから3×Vfの間入力電流値はゼロのままであるからΔI=0で、コンダクタンスの合計値[G
1+G
2]=ΔI/ΔV=0となる。判定部90は、[G
1+G
2]から先に計算したG
1を引いてG
2=0の結果を得る。
【0083】
同様に、判定部90は、電圧指令値を掃引し、導通範囲が拡大する毎に導通範囲の漏液検知ユニットUのコンダクタンスの合計値ΣGを計算し、一つ前の導通範囲で計算したコンダクタンスの合計値との差から各漏液検知ユニットUの各コンダクタンスGを算出していく。漏液検知ユニットU
1〜U
m−1では漏液は発生していないので、
図12に示すように、入力電圧値がV
mに達するまでは、入力電流値はゼロであり、
図13に示すように計算される各漏液検知ユニットUの各コンダクタンスGは全てゼロとなっている。
【0084】
判定部90が電圧指令値をm×Vfから(m+1)×Vfより僅かに小さい値まで掃引して入力電圧値をm×Vfから(m+1)×Vfより僅かに小さい値まで掃引する。この間では、漏液検知ユニットU
1〜U
mが導通範囲(導通範囲A
m)となっている。この間で、判定部90は、電圧指令値の差がΔVとなる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値を電流センサ82で検出する。そして検出した入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出し、導通範囲である漏液検知ユニットU
1〜U
mのコンダクタンスの合計値[G
1+
・・・+G
m]=ΔI/ΔVを算出する。
【0085】
漏液検知ユニットU
mで漏液が発生しているので、
図12に示すように、入力電圧値がΔV変化する間の入力電流値の変化はゼロではないので、[G
1+
・・・+G
m]=ΔI/ΔVは、0ではない値となる。判定部90は、[G
1+
・・・+G
m]から先に計算した[G
1+
・・・+G
m−1]を引いてG
mの値を得る。
【0086】
判定部90が電圧指令値を(m+1)×Vfから(m+2)×Vfより僅かに小さい値まで掃引して入力電圧値を(m+1)×Vfから(m+2)×Vfより僅かに小さい値まで掃引する。この間では、漏液検知ユニットU
1〜U
m+1が導通範囲(導通範囲A
m+1)となっている。この間で、判定部90は、電圧指令値の差がΔVとなる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値を電流センサ82で検出する。そして検出した入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出し、導通範囲である漏液検知ユニットU
1〜U
m+1のコンダクタンスの合計値[G
1+
・・・+G
m+1]=ΔI/ΔVを算出する。
【0087】
漏液検知ユニットU
m+1では漏液が発生していないので、
図12に示すように、入力電圧値がΔV変化する間の入力電流値の変化は、漏液検知ユニットU
1〜U
mが導通範囲(導通範囲A
m)となっている場合と同一であり、VI特性の傾きも同一である。従って、[G
1+
・・・+G
m+1]=ΔI/ΔVはG
mと同一の値となる。判定部90は、[G
1+
・・・+G
m+1]=G
mから先に計算した[G
1+
・・・+G
m]=G
mを引いてG
m+1=0との値を得る。
【0088】
漏液検知ユニットU
m以降には漏液が発生していないので、
図12に示すVI特性の多傾きは変化せず、[G
1+
・・・+G
m+1]〜[G
1+
・・・+G
Nend]までのΔI/ΔVは全てG
mとなり、
図13に示すように、各コンダクタンスG
m+1〜G
Nendは全てゼロとなる。
【0089】
以上のようにして算出した各漏液検知ユニットU
1〜U
m+1の各コンダクタンスG
1〜G
m+1は、
図14に示すように、漏液の発生した漏液検知ユニットU
mのみが0ではない値のG
mとなり、他の漏液検知ユニットUの各コンダクタンスGは全てゼロとなる。
【0090】
判定部90は、計算した各漏液検知ユニットU
1〜U
m+1の各コンダクタンスG
1〜G
m+1と所定の閾値とを比較し、コンダクタンスGが所定の閾値よりも大きい漏液検知ユニットU
mを漏液の発生した漏液検知ユニットUとして特定する。
【0091】
次に、
図16から18を参照して、2つの漏液検知ユニットU
2,U
mで漏液が発生した場合の漏液検知ユニットの特定動作について説明する。先に説明した漏液検知ユニッU
mで漏液が発生した場合の漏液検知ユニットUの特定動作と同様の動作については簡単に説明する。
【0092】
先に
図11〜14を参照して説明したのと同様、漏液検知ユニットU
1では漏液が発生していないので、G
1=0である。
【0093】
漏液検知ユニットU
2では漏液が発生しているので、コンダクタンスG
2は0ではない値となる。漏液検知ユニットU
3〜U
m−1では漏液は発生していないので、
図16に示すようにVI特性の傾きは一定で、
図17に示すように、合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
3]〜[G
1+・・・+G
m−1]はG
2で一定となる。そして、
図18に示すように、漏液検知ユニットU
3〜U
m−1の各コンダクタンスG
3〜G
m−1は全てゼロとなる。
【0094】
そして、先に説明したと同様、
図18に示すように、漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mは0ではない値となり、m+1番目以降の漏液検知ユニットU
m+1〜U
Nendの各コンダクタンスG
m+1〜G
Nendは全てゼロとなる。
【0095】
判定部90は、計算した各漏液検知ユニットU
1〜U
m+1の各コンダクタンスG
1〜G
m+1と所定の閾値とを比較し、コンダクタンスGが所定の閾値よりも大きい漏液検知ユニットU
2,U
mとを漏液の発生した漏液検知ユニットUとして特定する。
【0096】
以上、2つの漏液検知ユニットUで漏液が発生した場合の漏液の発生した漏液検知ユニットUの特定動作について説明したが、3つ以上の漏液検知ユニットUで漏液が発生した場合の特定動作も上記の特定動作と同様である。
【0097】
以上説明した特定動作は、入力電圧値を掃引し、漏液検知ユニットUを始端71に接続された順に導通させて、各漏液検知ユニットUのコンダクタンスGを算出し、計算したコンダクタンスGを所定の閾値と比較するので、漏液の発生した漏液検知ユニットUを特定することができる。これにより、簡便な構成によって漏液箇所の検出信頼性を向上させることができる。
【0098】
また、以上の特定動作では、異なる2つの電圧指令値に対応する2つの入力電流値から入力電流値の変化量ΔIを算出することとして説明したが、先に説明した第2判定動作と同様、始端71の入力電圧値を検出する電圧センサ83を設けて入力電圧値を検出し、電圧指令値に代えて電圧センサ83で検出した入力電圧値を用いてもよい。この場合、入力電流値の変化量ΔIは、異なる2つの入力電圧値に対応する2つの入力電流値から計算される。
【0099】
以上の特定動作の説明では、漏液検知ユニットU
1〜U
m−1を導通状態とした状態での合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m−1]と、漏液検知ユニットU
1〜U
mを導通状態とした状態での合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m]との差から漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mを算出することとして説明したが、この計算方法以外の計算方法によって漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mを算出することとしてもよい。
【0100】
例えば、漏液検知ユニットU
1〜U
Nendまでを導通状態にした場合の合計コンダクタンス[G
1+・・+G
Nend]と、漏液検知ユニットU
1〜U
m−1までを導通状態にした場合の合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m−1]との差から、漏液検知ユニットU
m〜U
Nendまでを仮想的に導通状態にした場合の合計コンダクタンス[G
m+・・+G
Nend]を計算する。また、合計コンダクタンス[G
1+・・+G
Nend]と漏液検知ユニットU
1〜U
mまでを導通状態にした場合の合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m]との差から漏液検知ユニットU
m〜U
Nendまでを仮想的に導通状態にした場合の合計コンダクタンス[G
m+1+・・+G
Nend]を計算する。そして、合計コンダクタンス[G
m+・・+G
Nend]と合計コンダクタンス[G
m+1+・・+G
Nend]との差からG
mを算出するようにしてもよい。
【0101】
<第2実施形態の漏液検出装置200の構成>
次に
図19から
図35を参照して第2実施形態の漏液検出装置200について説明する。先に
図1から
図18を参照して説明した漏液検出装置100と同様の部分には、同様の符号を付して説明は省略する。
【0102】
図19に示すように、漏液検出装置200は、先に説明した漏液検出装置100の電流センサ82に代わり、電圧検出部である電圧センサ83を設けたものである。また、電源81は、判定部90から入力される電流指令値に応じた電流を出力する。また、漏液検知部70の末端72は開放されておらず、末端72を構成する漏液検知ユニットU
5の導電線61,62の末端側の端部61e,62eは、末端抵抗79で接続されている。末端抵抗79の抵抗値は、漏液の検知を行う液体の抵抗値よりも大きな抵抗値である。
【0103】
<漏液検出装置200の漏液判定動作>
以下、
図20から
図26を参照しながら、漏液検出装置200の漏液判定動作について説明する。判定動作は、
図21の線aに示すように入力電流値を待機電流値I
0一定で行う方法(第1判定動作)、
図21の線bに示すように、入力電流値を待機電流値I
0の前後で変動させる方法(第2判定動作)と、
図21の線cに示すように、入力電流値をゼロと待機電流値I
0との間で掃引する方法とがある。以下、最初に
図22を参照しながら、入力電圧値と各漏液検知ユニットUの印加電圧と導通範囲Aについて説明する。
【0104】
<入力電圧値と導通範囲>
漏液の発生が無い場合、先に、
図5を参照して説明したように、入力電圧値をゼロから上昇させていくと、各漏液検知ユニットUは、入力電圧値がVfだけ上昇する毎に始端71に接続された順に漏液検知ユニットU
1〜U
Nendの順に順次導通していく。そして、入力電圧値がV
Nend=(N
end)×Vfに達すると、漏液検知ユニットU
1から漏液検知ユニットU
Nendまでのすべての漏液検知ユニットUが導通し、全ての漏液検知ユニットUで漏液の検知が可能となる。
【0105】
入力電圧値がV
Nendを超えると末端抵抗79に電流が流れ始める。
図21に示すように入力電流値を大きさが一定の待機電流値I
0に保持した場合、末端抵抗79に流れる電流値は待機電流値I
0となり、この際の末端抵抗79の電圧降下ΔV
Eは、末端抵抗79のコンダクタンスをG
EとしてΔV
E=I
0/G
Eとなる。そして、入力電圧値は、V
Nend+ΔV
Eとなる。
【0106】
この際の入力電流値の変化に対する入力電圧値の変化特性(以下、IV特性という)を
図23の実線に示す。
図23の実線に示すように、入力電圧値がV
Nendに達するまでは入力電流値はゼロであり漏液検知部70に流れる電流値はゼロである。入力電流値がV
Nendを超えると、入力電流値が大きくなるに従って入力電流値も大きくなり、入力電圧値がV
Nend+ΔV
Eに達すると、入力電流値は待機電流値I
0に達する。
【0107】
図20に示すように、入力電流値を待機電流値I
0に保った状態で漏液検知ユニットU
mで漏液が発生した場合、漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mがゼロから大きくなり、漏液検知ユニットU
mに電流I
0が流れる。これにより、
図22、23に示すように、漏液検知ユニットU
mの電圧は、漏液部分65の電圧降下をΔV
W0としてV
m+ΔV
W0まで低下する。ここで、漏液部分65の電圧降下ΔV
W0は、漏液部分65のコンダクタンスをG
mとしてΔV
W0=I
0/G
mとなる。
【0108】
また、漏液検知ユニットU
m+1より末端側の漏液検知ユニットU
m+1〜U
Nendの定電圧素子D
m+1〜D
Nendに印加される電圧がVfよりも小さくなる。これにより、定電圧素子D
m+1〜D
Nendが非導通となる。
【0109】
以上のことから、入力電流値を待機電流値I
0一定に保った場合、
図22、23に示すように、漏液の無い場合に電圧センサ83で検出する入力電圧値は、V
Nend+ΔV
EからV
m+ΔV
W0に低下する。
【0110】
<第1判定動作>
判定部90は、電源81に出力電流を待機電流値I
0一定とする電流指令値を出力する。この際、入力電圧値は末端抵抗79に待機電流が流れるようにV
Nend+ΔV
Eとする。これにより、電源81は待機電流値I
0一定の電流を出力し、末端抵抗79に流れる電流値は待機電流値I
0となる。
【0111】
先に説明したように、漏液が発生していない場合には、電圧センサ83の検出する入力電圧値は、V
Nend+ΔV
Eとなる。
【0112】
漏液検知ユニットU
mで漏液が発生すると、電圧センサ83の検出する入力電圧値は、V
Nend+ΔV
EからV
m+ΔV
W0に低下する。判定部90は、電圧センサ83で検出した入力電圧値と所定の閾値とを比較して漏液発生の判定を行う。例えば、判定部90は、待機状態における入力電圧値から所定の電圧値だけ入力電圧値が低下した際に漏液が発生したと判定してもよい。
【0113】
また、漏液が発生した場合、電圧センサ83の検出する入力電圧値はV
m+ΔV
W0に低下する。ここで、V
m=(m)×Vfであるから、電圧センサ83の検出する入力電圧値は(m)×Vf+ΔV
W0となる。このように、入力電圧値は漏液の発生した漏液検知ユニットUの番号によって異なった値となる。例えば、漏液の発生した漏液検知ユニットがU
1の場合、入力電圧値は、Vf+ΔV
W0となる。そして、ΔV
W0がVfを超えないようにVf、待機電流値I
0を選定することにより、漏液検知ユニットU
mで漏液が発生した場合の入力電圧値(m)×Vf+ΔV
W0を(m)×Vfと(m+1)×Vfの間になるようにすることができる。
【0114】
この場合、
図24(a)に示すような比較表をメモリ92の中に格納しておき、判定部90は、電圧センサ83で検出した入力電圧値と比較表の入力電圧値の範囲とを比較することにより、漏液の発生の判定と共に、漏液の発生した漏液検知ユニットUを特定することができる。
【0115】
例えば、
図24(a)に示すように、電圧センサ83で検出した入力電圧値がVfと2×Vfの間の場合には漏液検知ユニットU
1で漏液が発生していると判定する。また、電圧センサ83で検出した入力電圧値が2×Vfと3×Vfの間の場合には漏液検知ユニットU
2で漏液が発生していると判定する。
【0116】
また、各漏液検知ユニットUの各定電圧素子Dの立ち上がり電圧値Vfが全て同一ではない場合には、
図24(b)に示すような表を適用することにより漏液の発生した漏液検知ユニットUを特定することができる。
【0117】
図24(b)に示す表は、定電圧素子D
1〜D
5の導通電圧がそれぞれ1(V)、2(V)、1(V)、1(V)、1.5(V)で、漏液検知ユニットU
1〜U
5はそれぞれ入力電圧値が1(V)、3(V)、4(V)、5(V)、6.5(V)を超えると導通するように構成された場合に適用される表である。判定部90は、例えば、電圧センサ83で検出した入力電圧値が1(V)以上3(V)未満の場合には、漏液検知ユニットU
1を漏液の発生した漏液検知ユニットUと特定し、電圧センサ83で検出した入力電圧値が3(V)以上4(V)未満の場合には、漏液検知ユニットU
2を漏液の発生した漏液検知ユニットUと特定する。
【0118】
<第2判定動作>
次に、
図25を参照しながら第2判定動作について説明する。
図25の実線に示すように、漏液の発生していない場合には、入力電圧値がV
Nendを超えると末端抵抗79に電流が流れるので、入力電圧値を増加させていくと入力電流値も増加してくる。また、
図25の破線に示すように、漏液検知ユニットU
mで漏液が発生した場合、入力電圧値がV
mを超えると漏液部分65に電流が流れるので、入力電圧値を増加させると入力電流値も増加してくる。末端抵抗79のコンダクタンスG
Eは、漏液部分65のコンダクタンスG
mよりも小さいので、実線の傾きは、破線の傾きよりも大きくなる。第2判定動作は、
図25に示すように、入力電流値を待機電流値I
0の前後で変動させ、電圧センサ83で検出した入力電圧値の変化から入力電圧値の変化量ΔVを計算し、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを算出し、算出したコンダクタンスGを所定の閾値と比較して漏液の判定を行うものである。
図25に示すように、漏液の発生していない場合には、入力電圧値はV
Nend+ΔV
Eの前後で変動する。また、待機電流値がI
0の場合には漏液の発生した場合には入力電圧値はV
m+ΔV
W0に低下するので、入力電圧値はV
m+ΔV
W0の前後で変動する。
【0119】
図25に示すように、判定部90は、電源81に出力する電流指令値を待機電流値I
0の前後でΔIだけ変動させる。この際、入力電圧値は末端抵抗79に待機電流が流れるようにV
Nend+ΔV
Eよりも大きくなるようにする。電源81は、電流指令値に従って入力電流値を待機電流値I
0の前後でΔIだけ変動させる。漏液の発生していない場合には、入力電圧値はV
Nend+ΔV
Eの前後で変動する。また、漏液が発生した場合には、入力電圧値はV
m+ΔV
W0の前後で変動する。
【0120】
判定部90は、電圧センサ83によって入力電圧値を検出する。判定部90は、
図25に示すように、異なる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値から入力電圧値の変化量ΔVを算出する。そして、判定部90は、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを算出し、所定の閾値と比較する。そして、
図26に示すように、算出したコンダクタンスGが所定の閾値よりも大きい場合に、漏液が発生したと判定する。
【0121】
ここで、所定の閾値は自由に選択できるが、末端抵抗79のコンダクタンスG
Eより大きい値であることが必要である。例えば、コンダクタンスG
Eの1.5〜2倍としてもよい。
【0122】
なお、入力電圧値の変化量ΔVの算出は、異なる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値を用いることに限定されず、3つあるいはそれよりも多い電流指令値に対応する入力電圧値を用いて算出してもよい。また、第2判定動作において、コンダクタンスGに代えて抵抗値R=ΔV/ΔIを算出し、抵抗値が所定の閾値よりも小さい場合に漏液が発生すると判定してもよい。
【0123】
また、以上の説明では、異なる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値から入力電圧値の変化量ΔVを算出することとして説明したが、始端71の入力電流値を検出する電流センサ82を設けて入力電流値を検出し、電流指令値に代えて電流センサ82で検出した入力電流値を用いてもよい。この場合、入力電圧値の変化量ΔVは、異なる2つの入力電流値に対応する2つの入力電圧値から計算される。
【0124】
<第3判定動作>
第3判定動作では、判定部90は、
図21の線cのように電流指令値をゼロと待機電流値I
0との間で掃引し、掃引により変化する2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値から入力電圧値の変化量ΔVを算出する。この際、入力電圧値は末端抵抗79に待機電流が流れるようにV
Nendよりも大きくなるようにする。漏液の発生していない場合には、入力電圧値はV
Nendよりも大きい範囲で変動する。また、漏液が発生した場合には、入力電圧値は漏液の発生していない場合よりも低い電圧値でV
mよりも大きい範囲で変動する。
【0125】
そして、第2判定動作と同様、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを算出し、算出したコンダクタンスGが所定の閾値よりも大きい場合に、漏液が発生したと判定する。この場合、最小電流値の際の入力電圧値と最大電流値の際の入力電圧値とを用いてコンダクタンスGを算出してもよい。
【0126】
また、第2判定動作と同様、入力電圧値の変化量ΔVの算出は、2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値を用いることに限定されず、3つあるいはそれよりも多い電流指令値に対応する入力電圧値を用いて算出してもよい。また、コンダクタンスGに代えて抵抗値R=ΔV/ΔIを算出し、抵抗値が所定の閾値よりも小さい場合に漏液が発生すると判定してもよい。また、先に説明した第2判定動作と同様、電流指令値に代えて電流センサ82で検出した入力電流値を用いてもよい。
【0127】
また、本動作の説明では、電流指令値をゼロと待機電流値I
0との間で掃引することとして説明したが、待機電流値I
0より大きくてもよい。
【0128】
以上説明したように、第1判定動作では、待機電流値I
0を所定の電流値一定とする簡便な構成で、短時間で漏液の発生の判定を行うことができる。また、第2、第3判定動作は、入力電流値を待機電流値I
0の前後で変動させたり、入力電流値を掃引したりすることによってコンダクタンスまたは抵抗値を算出し、これにより漏液の判定を行うので、入力電圧値と異なる物理量によって漏液の判定を行うことができる。
【0129】
<漏液の発生した漏液検知ユニットの特定動作>
以下、
図27から
図35を参照しながら漏液の発生した漏液検知ユニットUの特定動作について説明する。以下の説明では、漏液検知ユニットU
mで漏液が発生したものとして説明する。
【0130】
漏液の発生した漏液検知ユニットの特定動作は、
図28の線cのように電流指令値をゼロと所定の最大電流値I
maxとの間で掃引し、漏液検知ユニットUを始端71に接続された順に導通させ、漏液検知ユニットU
1〜U
m−1を導通状態とした状態での合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m−1]と、漏液検知ユニットU
1〜U
mを導通状態とした状態での合計コンダクタンス[G
1+・・+G
m]との差から漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mを算出し、算出したコンダクタンスG
mを所定の閾値と比較して漏液の発生した漏液検知ユニットUを特定するものである。
【0131】
漏液が発生していない場合、末端抵抗79に電流が流れるように、入力電圧値がV
Nend以上の範囲として入力電流値をゼロと所定の最大電流値I
maxとの間で掃引する。
【0132】
判定部90は、
図28の線cに沿って電流指令値をゼロから最大電流値I
maxまで掃引していく。また、判定部90は入力電圧値がV
Nend以上の範囲となるように電源81を設定する。これにより、電源81は、電流指令値に従って出力電流値をゼロとI
maxの間で掃引する。この際、入力電圧値は、
図28の破線及び
図29に示すように、入力電流値に応じてV
Nend以上の範囲で変動する。この状態では、全ての漏液検知ユニットU
1〜U
Nendは導通状態となっている。また、
図29に実線で示すように、入力電流値がゼロでは入力電圧値はV
Nendで入力電流値が大きくなると入力電圧値も大きくなってくる。
【0133】
この状態で、判定部90は、
図29に示すように、電流指令値をΔIだけ掃引し、電流指令値の差がΔIとなる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値を電圧センサ83で検出する。そして、検出した入力電圧値から入力電圧値の変化量ΔVを算出し、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを計算する。このΔI/ΔVで計算されるコンダクタンスGは、導通状態となっている漏液検知ユニットU
1〜U
Nendの各コンダクタンスG
1〜G
Nendの合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
Nend]となる。漏液の発生していない場合には漏液検知ユニットU
1〜U
Nend−1の各コンダクタンスG
1〜G
Nend−1は全てゼロとなるから、上記の計算により、判定部90は、漏液検知ユニットU
NendのコンダクタンスG
Nendを検出できる。漏液検知ユニットU
Nendで漏液が発生していない場合には、コンダクタンスG
Nendは、末端抵抗79のコンダクタンスG
Eとなる。
【0134】
漏液が発生すると、先に説明したように、入力電流値がゼロの場合の入力電圧値はV
NendからV
mに低下する。このため、入力電流値をゼロと所定の最大電流値I
maxとの間で掃引すると
図28に一点鎖線で示すように、入力電圧値は入力電流値に応じてV
m以上の範囲で変動する。また、
図29に破線で示すように、入力電流値がゼロでは入力電圧値はV
m(=m×Vf)で入力電流値が大きくなると入力電圧値も大きくなってくる。そして、入力電流値が更に大きくなり、入力電圧値がV
Nend(=Nend×Vf)を超えると、末端抵抗79に電流が流れるのでVI特性の傾きが大きくなる。
【0135】
この場合、入力電流値がゼロの場合には、漏液検知ユニットU
1〜U
mが導通状態となっており、漏液検知ユニットU
mより末端側の漏液検知ユニットU
m+1〜U
Nendは非導通状態となっている。そして、入力電流値を大きくすることによって入力電圧値が大きくなり、入力電圧値がVfだけ大きくなる毎に各漏液検知ユニットUが始端71に接続された順に順次導通していく。そして、入力電圧値がV
Nendに達すると全ての漏液検知ユニットU
1〜U
Nendは導通状態となり、末端抵抗79に電流が流れ始める。
【0136】
判定部90は、入力電圧値がm×Vfから(m+1)×Vfより僅かに小さい値の範囲となるように、電流指令値をΔIだけ掃引する。そして、電流指令値の差がΔIとなる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値を電圧センサ83で検出する。そして、検出した入力電圧値から入力電圧値の変化量ΔVを算出し、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを計算する。このΔI/ΔVで計算されるコンダクタンスGは、導通状態となっている漏液検知ユニットU
1〜U
mの各コンダクタンスG
1〜G
mの合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m]となる。
【0137】
漏液検知ユニットU
1〜U
m−1では漏液が発生していないから、漏液検知ユニットU
1〜U
m−1の各コンダクタンスG
1〜G
m−1は全てゼロとなる。従って、上記の計算により、判定部90は、漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mを検出できる。漏液検知ユニットU
mでは漏液が発生しているので、G
mはゼロではないある値となる。ただし、末端抵抗79の抵抗値は、漏液部分65の抵抗値よりも大きく設定しているので、G
mは先に算出したG
Eよりも大きくなる。
【0138】
判定部90は、入力電圧値が(m+1)×Vfから(m+2)×Vfより僅かに小さい値の範囲となるように、電流指令値をΔIだけ更に掃引する。これにより、漏液検知ユニットU
m+1が導通状態となる。そして、先に説明したと同様、電流指令値の差がΔIとなる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値を電圧センサ83で検出してコンダクタンスG=ΔI/ΔVを計算する。このΔI/ΔVで計算されるコンダクタンスGは、導通状態となっている漏液検知ユニットU
1〜U
m+1の各コンダクタンスG
1〜G
m+1の合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m+1]となる。判定部90は、合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m+1]から先に算出した合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m]を引いて漏液検知ユニットU
m+1のコンダクタンスG
m+1を算出する。
【0139】
図29に示すように、入力電圧値がm×Vfと(m+1)×Vfとの間のVI特性の傾きと、入力電圧値が(m+1)×Vfと(m+2)×Vfとの間のVI特性の傾きとは同一であるから、各ΔI/ΔVの値は等しい。従って、
図30に示すように、合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m]の値と合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m+1]の値とは等しくなる。したがって、コンダクタンスG
m+1はゼロとなる。
【0140】
以後、同様に入力電流値を増加させながら電圧センサ83で入力電圧値を検出し、これにもとづいて漏液検知ユニットU
m+2〜U
Nend−1の各コンダクタンスG
m+1〜G
Nend−1を算出していく。
図29に示すように、入力電圧値がV
Nendに達するまでは、VI特性の傾きは一定なので、それぞれの段階で算出する合計コンダクタンスの値は同一で、コンダクタンスG
m+2〜G
Nend−1は全てゼロとなる。
【0141】
判定部90が更に電流指令値を大きくし、電圧センサ83で検出する入力電圧値がV
nEndを超えるとVI特性の傾きが大きくなる。先に説明したと同様、入力電流値を増加させながら電圧センサ83で入力電圧値を検出し、これに基づいて各コンダクタンスG
1〜G
Nendの合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
Nend]を算出する。
【0142】
判定部90は、合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
Nend]から先に算出した合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
Nend−1]を引いて漏液検知ユニットU
NendのコンダクタンスとしてG
Nendを得る。漏液検知ユニットU
Nendで漏液が発生していない場合には、コンダクタンスG
Nendは末端抵抗79のコンダクタンスG
Eとなる。
【0143】
以上のようにして判定部90が算出した各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendの各コンダクタンスG
1〜G
Nendの変化を図示すると
図31のようになる。
図31に示すように、漏液の発生している漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mはゼロではないある値となっている。また、末端抵抗79を含む漏液検知ユニットU
NendのコンダクタンスG
Nendは、末端抵抗79のコンダクタンスG
Eとなっている。それ以外の各漏液検知ユニットUのコンダクタンスGは全てゼロとなっている。
【0144】
そして、判定部90は、コンダクタンスGの値が末端抵抗79のコンダクタンスG
Eよりも大きい所定の閾値を超えた場合に、その漏液検知ユニットUを漏液が発生した漏液検知ユニットUとして特定する。
【0145】
次に、
図32から
図35を参照して
図32に示すように、漏液検知ユニットU
2と漏液検知ユニットU
mの二箇所で漏液が発生した場合に特定動作について説明する。先に説明した漏液検知ユニットU
mで漏液が発生した際の特定動作と同様の動作については簡単に説明する。
【0146】
図33に示すように、漏液検知ユニットU
2で漏液が発生した場合には、入力電流値がゼロの場合の入力電圧値は2×Vfまで低下する。そして、入力電流値を掃引した場合には、入力電圧値は、2×Vf以上の範囲で入力電流値に応じて変化する。
【0147】
判定部90は、入力電圧値が2×Vfから3×Vfより僅かに小さい値の範囲となるように、電流指令値をΔIだけ掃引する。そして、電流指令値の差がΔIとなる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値を電圧センサ83で検出する。そして、検出した入力電圧値から入力電圧値の変化量ΔVを算出し、コンダクタンスG=ΔI/ΔVを計算する。このΔI/ΔVで計算されるコンダクタンスGは、導通状態となっている漏液検知ユニットU
1〜U
2の各コンダクタンスG
1〜G
2の合計コンダクタンス[G
1+G
2]となる(
図34参照)。
【0148】
漏液検知ユニットU
1では漏液が発生していないからコンダクタンスG
1はゼロである。従って、上記の計算により、判定部90は、漏液検知ユニットU
2のコンダクタンスG
2を算出できる。漏液検知ユニットU
2では漏液が発生しているので、G
2はゼロではないある値でG
Eよりも大きい値となる。
【0149】
判定部90は、先に説明したと同様、入力電流値を増加させながら電圧センサ83で入力電圧値を検出し、これにもとづいて漏液検知ユニットU
3〜U
m−1の各コンダクタンスG
3〜G
m−1を算出していく。
図33に示すように、入力電圧値がV
mに達するまでは、VI特性の傾きは一定なので、それぞれの段階で算出する合計コンダクタンスの値は同一で、コンダクタンスG
3〜G
m−1は全てゼロとなる。
【0150】
判定部90が更に電流指令値を大きくし、電圧センサ83で検出する入力電圧値がV
mを超えると
図33に示すように、VI特性の傾きが大きくなる。先に説明したと同様、入力電流値を増加させながら電圧センサ83で入力電圧値を検出し、これに基づいて各コンダクタンスG
1〜G
mの合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m]を検出する(
図34参照)。
【0151】
判定部90は、合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m]から先に算出した合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m−1]を引いて漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスとしてG
mを得る。漏液検知ユニットU
mでは漏液が発生しているので、G
mはゼロではないある値でG
Eよりも大きい値となる。
【0152】
判定部90は更に入力電圧指令値を大きくし、先に説明したと同様、漏液検知ユニットU
NendのコンダクタンスG
Nendを得る。漏液検知ユニットU
Nendで漏液が発生していない場合には、コンダクタンスG
Nendは、末端抵抗79のコンダクタンスG
Eとなる(
図34参照)。
【0153】
以上のようにして判定部90が算出した各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendの各コンダクタンスG
1〜G
Nendの変化を図示すると
図35のようになる。
図35に示すように、漏液の発生している漏液検知ユニットU
2,U
mのコンダクタンスG
2,G
mはゼロではないある値となっている。また、末端抵抗79を含む漏液検知ユニットU
NendのコンダクタンスG
Nendは、末端抵抗79のコンダクタンスG
Eとなっている。それ以外の各漏液検知ユニットUのコンダクタンスGは全てゼロとなっている。
【0154】
そして、判定部90は、コンダクタンスGの値が末端抵抗79のコンダクタンスG
Eよりも大きい所定の閾値を超えた場合に、その漏液検知ユニットUを漏液が発生した漏液検知ユニットUとして特定する。
【0155】
なお、漏液検知ユニットU
Nendで漏液が発生していた場合には、末端抵抗79を含む漏液検知ユニットU
NendのコンダクタンスG
Nendは、末端抵抗79のコンダクタンスG
Eに漏液によるコンダクタンスの増加を加えたものとなる。その値は、
図35に示すG
mと同様の大きさとなる。
【0156】
以上、2つの漏液検知ユニットUで漏液が発生した場合の漏液の発生した漏液検知ユニットUの特定動作について説明したが、3つ以上の漏液検知ユニットUで漏液が発生した場合の特定動作も上記の特定動作と同様である。
【0157】
以上説明した特定動作は、入力電流値を掃引し、漏液検知ユニットUを始端71に接続された順に導通させて、各漏液検知ユニットUのコンダクタンスGを算出し、計算したコンダクタンスGを所定の閾値と比較するので、漏液の発生した漏液検知ユニットUを特定することができる。これにより、簡便な構成によって漏液箇所の検出信頼性を向上させることができる。
【0158】
また、以上の説明では、異なる2つの電流指令値に対応する2つの入力電圧値から入力電圧値の変化量ΔVを算出することとして説明したが、始端71の入力電流値を検出する電流センサ82を設けて入力電流値を検出し、電流指令値に代えて電流センサ82で検出した入力電流値を用いてもよい。この場合、入力電圧値の変化量ΔVは、異なる2つの入力電流値に対応する2つの入力電圧値から計算される。
【0159】
<断線検出動作>
以下、
図36から38を参照しながら、漏液検知部70の断線検知動作について説明する。
図36に実線で示す漏液検出装置110は、先に
図1を参照して説明した漏液検出装置100の漏液検知ユニットU
Nendに断線検知素子78を接続して断線検知を行うようにしたものである。
図36に破線で示す漏液検出装置210は、漏液検出装置110の電流センサ82に代えて電圧センサ83を取り付けた場合を示す。なお、断線検知素子78は抵抗器でもよいし、通電電流を一定の電流値に制限する定電流素子で構成してもよい。
【0160】
図37に
図36に示す漏液検出装置100のVI特性を示す。
図37の実線に示すように、断線が発生していない場合には、入力電圧値がV
Nendに達するまでは、入力電流値はゼロで、入力電圧値がV
Nendを超えると断線検知素子78に電流が流れ始め、電流値がゼロから増加する。断線が発生すると、断線検知素子78に電流が流れないので、入力電圧値がV
Nendを超えても入力電流値はゼロのままである。
【0161】
判定部90は、始端71に待機電圧値V
0を印加し、電流センサ82で入力電流値を検出する。
図37に示すように、断線が発生していない場合には、電流センサ82で検出する入力電流値は、ゼロよりも大きい所定の閾値以上となっている。
【0162】
断線が発生すると、電流センサ82で検出する入力電流値は、閾値よりも低いゼロとなる。このように、判定部90は、電流センサ82で検出した入力電流値と所定の閾値とを比較することにより断線の発生を検出する。
【0163】
また、
図38に示すように、待機電圧に代えて待機電流を流し、電圧センサ83で入力電圧値を検出した場合、断線が無い場合には待機電流値I
0の場合の断線検知素子78の電圧降下をΔV
Dとして、電圧センサ83が検出する入力電圧値は、V
Nend+ΔV
Dとなる。一方、漏液検知ユニットU
mで断線が発生した場合には、電圧センサ83の検出する電圧は、電源81の最大出力電圧値V
maxまで増加する。
【0164】
従って、判定部90は、待機電流値I
0を漏液検知部70に流し、電圧センサ83で検出した入力電圧値を初期電圧値のV
Nend+ΔV
Dと比較することにより断線の発生を検出することができる。なお、V
Nend+ΔV
Dに代えて所定の閾値と比較することにより、断線の発生を検出するようにしてもよい。
【0165】
なお、漏液検出装置110,210では、断線検知素子78を末端の漏液検知ユニットU
Nendに接続することとして説明したが、これに限らず、どの漏液検知ユニットUに断線検知素子78を接続することとしてもよい。
【0166】
<断線の発生した漏液検知ユニットの特定>
以下、
図39から
図42を参照して断線の発生した漏液検知ユニットUの特定について説明する。以下の説明では、漏液検知ユニットU
mで断線が発生したとして説明する。
【0167】
図39に実線で示す漏液検出装置120は、先に
図1を参照して説明した漏液検出装置100の各漏液検知ユニットUの各導電線61,62の間にそれぞれ断線検知素子78を接続して断線の発生した漏液検知ユニットUの特定を行うようにしたものである。
図39に破線で示す漏液検出装置220は、漏液検出装置120の電流センサ82に代えて電圧センサ83を取り付けた場合を示す。なお、断線検知素子78は抵抗器でもよいし、通電電流を一定の電流値に制限する定電流素子で構成してもよい。
【0168】
図38に示すように、各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendに取り付けた断線検知素子78のコンダクタンスは、コンダクタンスG
1〜G
Nendであるとして説明する。
【0169】
先に説明したと同様、入力電圧値を掃引して上昇させていくと、各漏液検知ユニットUは、入力電圧値がVfだけ上昇する毎に始端71に接続された順に順次導通していく。
図40、41に示すように、入力電圧値をVfまで上昇させると漏液検知ユニットU
1が導通し、この状態で入力電圧値をΔVだけ掃引して電流センサ82によって検出した入力電流値に基づいて入力電流値の変化量ΔIを算出し、ΔI/ΔVにより漏液検知ユニットU
1のコンダクタンスG
1を算出する。ついで、入力電流値を2×Vfまで上昇させて、漏液検知ユニットU
1、U
2を導通させ、この状態で入力電圧値をΔVだけ掃引して電流センサ82によって検出した入力電流値に基づいて入力電流値の変化量ΔIを算出し、ΔI/ΔVにより漏液検知ユニットU
1〜U
2の合計コンダクタンス[G
1+G
2]を算出する。そして、[G
1+G
2]からG
1を引いてG
2を算出する。
【0170】
同様に、入力電圧値を(m−1)×Vfから(m)×Vfよりも僅かに小さい値まで上昇させて、漏液検知ユニットU
1〜U
m−1を導通させ、漏液検知ユニットU
1〜U
m−1の合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m−1]を算出し、次に、入力電圧値を(m)×Vfから(m+1)×Vfよりも僅かに小さい値まで上昇させて、漏液検知ユニットU
1〜U
mを導通させ、漏液検知ユニットU
1〜U
mの合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m]を算出し、合計コンダクタンス[G
1+・・・+G
m]から[G
1+・・・+G
m−1]を引いて漏液検知ユニットU
mのコンダクタンスG
mを算出する動作を繰り返して、各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendの各コンダクタンスG
1〜G
Nendを算出していく。
【0171】
断線が発生していない場合には、各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendの各コンダクタンスG
1〜G
Nendは、各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendに取り付けた断線検知素子78の各コンダクタンスG
1〜G
Nendとなるのでゼロにはならない。断線検知素子78の各コンダクタンスG
1〜G
NendがG
Nで同一の場合、図
42に示すように、各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendは、全てG
Nとなる。
【0172】
一方、
図39に示すように、漏液検知ユニットU
mの断線検知素子78の始端側で断線が発生した場合、入力電圧値をV
m以上に上昇させても漏液検知ユニットU
m+1〜U
Nendは通電状態とならない。この場合、
図40に破線で示すように、入力電流値は入力電圧値が大きくなるにつれて大きくなるが、VI特性傾きは一定で傾きの変化が無くなる。
【0173】
このため、漏液検知ユニットU
mの断線検知素子78の始端側で断線が発生した場合には、
図41に破線で示すように、ΔI/ΔVから計算される合計コンダクタンスは[G
1+・・・+G
m−1]一定になる。このため、
図42に示すように、漏液検知ユニットU
mよりも末端側の漏液検知ユニットU
m〜U
Nendの各コンダクタンスG
m〜G
Nendは全てゼロと算出される。
【0174】
判定部90は、先に説明したように各漏液検知ユニットU
1〜U
Nendの各コンダクタンスG
1〜G
Nendと所定の閾値とを比較し、コンダクタンスGが所定の閾値よりも小さくなっている漏液検知ユニットUのうち、一番始端側の漏液検知ユニットUで断線が発生していると特定することができる。
【0175】
図39に破線で示すように、電流センサ82に代えて電圧センサ83を設け、入力電流値を掃引して上昇させた場合、入力電圧値は入力電流値に応じて大きくなるので、先に述べたと同様の方法で断線の発生した漏液検知ユニットUを特定することができる。
【0176】
<他の電圧、電流掃引波形>
先に
図7を参照して説明したように、入力電圧値の掃引は入力電圧値をゼロと待機電圧値V
0との間で直線的に変化するように掃引したが、これに限らず、
図43に示すように、入力電流値をVfずつ段階的に上昇させ、入力電圧値がm×Vfと(m+1)×Vfとの間で変動するようにして掃引するようにしてもよい。この掃引波形は、ノイズに強いという効果がある。
【0177】
また、入力電流値を掃引する際も
図28に示すように、入力電流値をゼロと最大電流値I
maxとの間で直線的に変化するように掃引するのではなく、
図43に示すように段階的に入力電流値を上昇させ、各段階で入力電流を変動させるようにしてもよい。
【0178】
<定電圧素子のバリエーション>
図44を参照しながら定電圧素子D
mのバリエーションについて説明する。漏液検出装置100、200では、定電圧素子D
mは、ツェナーダイオード11a,11bを逆直列に接続し、一方の接続線12に介在するように配置されていることとして説明したが、これに限らず
図44(a)から
図44(f)のように構成してもよい。
【0179】
図44(a)に示すように、ツェナーダイオード11a,11bの接続方向を
図2に示す状態と反対に逆直列に接続してもよい。また、
図44(b)に示すように、
図2に示す側と反対側の接続線12に配置するようにしてもよい。更に、
図44(c)、
図44(d)に示すように、両方の接続線12にそれぞれ1つずつツェナーダイオード11a,11bを同一方向に配置し、漏液が発生した際の電流の流れに対して2つのツェナーダイオード11a,11bが逆直列となるようにしてもよい。更に、
図44(e)に示すように、どちらか一方の接続線12にのみツェナーダイオード11aを介在して配置してもよい。この場合、電源81は、直流電源を用いて構成してもよい。更に、ツェナーダイオード11a,11bを用いず、
図3に示すような電圧電流特性を有する電気回路をIC等で構成した定電圧素子回路22を用いてもよい。
【0180】
このように、検出対象の液体に応じてノードND
mの定電圧素子D
mの配置を様々に変更することにより、検出対象の液体に応じた漏液検出を行うことができる。
【0181】
また、実施形態の漏液検出装置100では、定電圧素子D
mは、正方向の立ち上がり電圧値の絶対値と負方向の立ち上がり電圧値の絶対値とが同一のVfであることとして説明したが、これに限らず、
図45に示すように正方向の立ち上がり電圧値Vf1の絶対値と負方向の立ち上がり電圧値Vf2の絶対値とが異なる定電圧素子を用いてもよい。
【0182】
この場合、正方向の入力電流値と負方向の入力電流値とが異なるので、導電線61,62に電蝕が発生する場合がある。そこで、電源81からの正方向の電流を出力する時間と負方向の電流を出力する時間を異なる長さとし、
図46に示すプラス領域の面積(左下がりハッチングで示す)とマイナス領域の面積(右下がりハッチングで示す)とを同一とする。これにより、電源81から出力される交流電流の導電線61,62の正方向の通電電荷量と負方向の通電電荷量とが等しくなり、導電線61,62での電蝕の発生を抑制することができる。
【0183】
次に
図47を参照しながら他の実施形態の漏液検出装置300について説明する。
図47は、奇数番号の漏液検知ユニットUと偶数番号の漏液検知ユニットUとで定電圧素子D
mの配置される接続線12を交互に配置したものである。本実施形態の漏液検出装置300は、先に説明した漏液検出装置100と同様の作用、効果を奏する。
【0184】
図48は、他の実施形態の漏液検出装置400を示す。漏液検出装置400は電源81と始端71との間を導電線61,62で構成され、漏液が接触すると電流が流れる始端側漏液検知帯66で接続したものである。
【0185】
本実施形態では、入力電圧値がゼロからVfの間で電流センサ82で検出した電流値が所定の閾値を超えた場合には、始端71の始端側で漏液が発生したと特定することができる。漏液検出装置400は、漏液検出装置100より少ない定電圧素子D
mの個数で同様の作用効果を奏する。なお、漏液検知部70を構成する漏液検知ユニットUの数は5つに限定されず、いくつでもよく、1つでもよいし、6つ以上で構成されていてもよい。
【0186】
以上説明した各実施形態の漏液検出装置100、200、300、400は、簡便な構成で漏液判定の信頼性を向上させることができる。