(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
軸線を中心として回転可能なロータと、鉛直方向の上方の上半車室と前記鉛直方向の下方の下半車室とに分割面で分割可能とされて前記ロータを覆う車室と、前記上半車室内に配置可能とされた上半仕切板と前記下半車室内に配置可能とされた下半仕切板とに分割面で分割可能とされて前記ロータの周方向に延びる仕切板と、を備える蒸気タービンにおける前記ロータ及び前記仕切板を持ち上げること可能な持ち上げ治具であって、
前記上半仕切板に固定可能とされた仕切板固定部と、
前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸線の延びる軸方向における前記ロータの一方の端部を支持可能な第一ロータ支持部と、
前記第一ロータ支持部に対して前記軸方向に離れた位置で前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸方向における前記ロータの他方の端部を支持可能な第二ロータ支持部と、を有する持ち上げ治具。
前記第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部は、前記鉛直方向における前記ロータの移動範囲を、前記上半仕切板と前記ロータとの間の前記鉛直方向における最小隙間の距離よりも短い範囲内となるように規制している請求項1に記載の持ち上げ治具。
前記第一ロータ支持部及び前記第二ロータ支持部の少なくとも一方は、前記軸方向における前記ロータの位置を規制する軸方向位置規制部を有する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の持ち上げ治具。
軸線を中心として回転可能なロータと、鉛直方向の上方の上半車室と前記鉛直方向の下方の下半車室とに分割面で分割可能とされて前記ロータを覆う車室と、前記上半車室内に配置可能とされた上半仕切板と前記下半車室内に配置可能とされた下半仕切板とに分割面で分割可能とされて前記ロータの周方向に延びる仕切板と、を備える蒸気タービンの分解方法であって、
前記上半仕切板に固定可能とされた仕切板固定部と、前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸線の延びる軸方向における前記ロータの一方の端部を支持可能な第一ロータ支持部と、前記第一ロータ支持部に対して前記軸方向に離れた位置で前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸方向における前記ロータの他方の端部を支持可能な第二ロータ支持部と、を有する持ち上げ治具を準備する持ち上げ治具準備工程と、
前記下半車室上に載置されている前記上半車室を前記鉛直方向の上方に持ち上げて取り外し、前記上半仕切板の上方を開放する上方開放工程と、
前記上方開放工程後に、前記下半車室の内周側に配置された状態の前記下半仕切板に固定された前記上半仕切板を前記仕切板固定部に固定するとともに、前記第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部で前記ロータを支持するように、前記持ち上げ治具準備工程で準備された前記持ち上げ治具を取り付ける持ち上げ治具取り付け工程と、
前記持ち上げ治具取り付け工程後に、前記持ち上げ治具を前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方に持ち上げて、前記下半車室から前記ロータ及び前記仕切板を取り外す内部品取り外し工程と、を含む蒸気タービンの分解方法。
軸線を中心として回転可能なロータと、鉛直方向の上方の上半車室と前記鉛直方向の下方の下半車室とに分割面で分割可能とされて前記ロータを覆う車室と、前記上半車室内に配置可能とされた上半仕切板と前記下半車室内に配置可能とされた下半仕切板とに分割面で分割可能とされて前記ロータの周方向に延びる仕切板と、を備える蒸気タービンの製造方法であって、
前記ロータ、前記上半車室、前記下半車室、前記上半仕切板、及び前記下半仕切板、を準備する部品準備工程と、
前記部品準備工程で準備された前記上半仕切板に固定可能とされた仕切板固定部と、前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸線の延びる軸方向における前記ロータの一方の端部を支持可能な第一ロータ支持部と、前記第一ロータ支持部に対して前記軸方向に離れた位置で前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸方向における前記ロータの他方の端部を支持可能な第二ロータ支持部と、を有する持ち上げ治具を準備する持ち上げ治具準備工程と、
前記持ち上げ治具準備工程で準備された前記持ち上げ治具における前記仕切板固定部に前記上半仕切板を固定するとともに、前記第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部で前記ロータを支持させた後に、前記下半仕切板を前記上半仕切板に固定し、前記持ち上げ治具に対する前記ロータ及び前記仕切板の相対位置が保持された保持体を準備する保持体準備工程と、
前記保持体準備工程で準備された前記保持体を、前記部品準備工程で準備された前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方から降下させ、前記下半車室の内周側に前記下半仕切板を配置する保持体配置工程と、
前記保持体配置工程後に、前記ロータ及び前記上半仕切板から前記持ち上げ治具を取り外す持ち上げ治具取り外し工程と、
前記持ち上げ治具取り外し工程後に、前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方から前記上半車室を降下させて前記上半車室の内周側に前記上半仕切板が配置させ、前記上半車室の分割面と前記下半車室の分割面とを互いに接触させる上半車室配置工程と、含む蒸気タービンの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車室及び仕切板が上下に分割された構造を有する蒸気タービンを組み立てる場合には、下半車室に対して下半仕切板を配置した後に、ロータ、上半仕切板、及び上半車室の順に部品が配置される。また、蒸気タービンをメンテナンスしたり、解体する場合には、逆に、上半車室、上半仕切板、ロータ、及び下半仕切板の順で部品が取り外されていく。そのため、蒸気タービンの分解又は組み立てを完了させるまでに多くの時間を要する。さらに、蒸気タービンが大型になれば、一つ一つの作業が大掛かりとなり、数週間の時間を要する場合もある。そのため、分解及び組み立てを短時間で行うことが望まれている。
【0006】
本発明は、上記要望に応えるためになされたものであって、分解及び組み立てを短時間で行うことが可能な持ち上げ治具、蒸気タービンの分解方法、蒸気タービンの部品交換方法、及び蒸気タービンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明の第一態様に係る持ち上げ治具は、軸線を中心として回転可能なロータと、鉛直方向の上方の上半車室と前記鉛直方向の下方の下半車室とに分割面で分割可能とされて前記ロータを覆う車室と、前記上半車室内に配置可能とされた上半仕切板と前記下半車室内に配置可能とされた下半仕切板とに分割面で分割可能とされて前記ロータの周方向に延びる仕切板と、を備える蒸気タービンにおける前記ロータ及び前記仕切板を持ち上げること可能な持ち上げ治具であって、前記上半仕切板に固定可能とされた仕切板固定部と、前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸線の延びる軸方向における前記ロータの一方の端部を支持可能な第一ロータ支持部と、前記第一ロータ支持部に対して前記軸方向に離れた位置で前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸方向における前記ロータの他方の端部を支持可能な第二ロータ支持部と、を有する。
【0008】
このような構成によれば、仕切板とロータとを一つの治具で同時に持ち上げることができる。さらに、上半仕切板が固定されている仕切板固定部に対して、ロータを支持している第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部が一体に形成されている。そのため、ロータ及び仕切板を移動させても、上半仕切板に対するロータの相対位置を大きくずらすことなく維持することができる。したがって、ロータ及び仕切板を移動させる際の位置調整等の作業が短縮できる。
【0009】
また、本発明の第二態様に係る持ち上げ治具では、第一態様において、前記第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部は、前記鉛直方向における前記ロータの移動範囲を、前記上半仕切板と前記ロータとの間の前記鉛直方向における最小隙間の距離よりも短い範囲内となるように規制していてもよい。
【0010】
このような構成によれば、持ち上げ治具によってロータ及び仕切板を移動させても、移動中に上半仕切板に対してロータが相対的に大きく移動してしまうことを抑えることができる。したがって、仕切板とロータとが接触してしまうことを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の第三態様に係る持ち上げ治具では、第一または第二態様において、前記第一ロータ支持部は、前記ロータが挿通可能な第一挿通孔を有し、前記第二ロータ支持部は、前記ロータが挿通可能な第二挿通孔を有し、前記第一挿通孔及び第二挿通孔は、前記最小隙間の距離よりも、前記鉛直方向における前記ロータの外周面に対する前記第一挿通孔及び前記第二挿通孔の内周面までの距離が小さくてもよい。
【0012】
このような構成によれば、持ち上げ治具によってロータ及び仕切板を移動中に、仕切板に対するロータの相対位置がずれても、ロータと仕切板とが接触してしまう前に、ロータの外周面が第一挿通孔及び第二挿通孔の内周面に接触する。したがって、移動中にロータと仕切板とが接触してしまうことを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の第四態様に係る持ち上げ治具では、第一から第三態様の何れか一つにおいて、前記第一ロータ支持部及び前記第二ロータ支持部の少なくとも一方は、前記軸方向における前記ロータの位置を規制する軸方向位置規制部を有していてもよい。
【0014】
このような構成によれば、第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部によって、持ち上げ治具によってロータ及び仕切板を移動させても、移動中のロータの軸方向への移動を抑えることができる。したがって、移動中にロータと仕切板とが接触してしまうことを防ぐことができる。
【0015】
また、本発明の第五態様に係る持ち上げ治具では、第一から第四態様の何れか一つにおいて、前記蒸気タービンは、前記車室の外部で前記ロータを回転可能に支持する軸受部を備え、前記軸受部は、潤滑油を利用して前記ロータを支持する軸受本体と、前記軸受本体を収容する軸受ハウジングと、前記ロータの外周面から窪むように形成された油切溝に対して間隔を空けて設けられ、前記軸受ハウジング内から外部への潤滑油の漏れを抑制する油切部とを有し、前記軸方向位置規制部は、前記油切溝に挿入可能な規制凸部を有していてもよい。
【0016】
このような構成によれば、規制凸部によって、移動中のロータの軸方向への移動を油切溝を利用して規制することができる。
【0017】
また、本発明の第六態様に係る蒸気タービンの分解方法は、軸線を中心として回転可能なロータと、鉛直方向の上方の上半車室と前記鉛直方向の下方の下半車室とに分割面で分割可能とされて前記ロータを覆う車室と、前記上半車室内に配置可能とされた上半仕切板と前記下半車室内に配置可能とされた下半仕切板とに分割面で分割可能とされて前記ロータの周方向に延びる仕切板と、を備える蒸気タービンの分解方法であって、前記上半仕切板に固定可能とされた仕切板固定部と、前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸線の延びる軸方向における前記ロータの一方の端部を支持可能な第一ロータ支持部と、前記第一ロータ支持部に対して前記軸方向に離れた位置で前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸方向における前記ロータの他方の端部を支持可能な第二ロータ支持部と、を有する持ち上げ治具を準備する持ち上げ治具準備工程と、前記下半車室上に載置されている前記上半車室を前記鉛直方向の上方に持ち上げて取り外し、前記上半仕切板の上方を開放する上方開放工程と、前記上方開放工程後に、前記下半車室の内周側に配置された状態の前記下半仕切板に固定された前記上半仕切板を前記仕切板固定部に固定するとともに、前記第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部で前記ロータを支持するように、前記持ち上げ治具準備工程で準備された前記持ち上げ治具を取り付ける持ち上げ治具取り付け工程と、前記持ち上げ治具取り付け工程後に、前記持ち上げ治具を前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方に持ち上げて、前記下半車室から前記ロータ及び前記仕切板を取り外す内部品取り外し工程と、を含む。
【0018】
このような構成によれば、持ち上げ治具によって、下半車室からロータ及び仕切板を同時に取り外すことができる。蒸気タービンを分解時の作業時間を短縮することができる。
【0019】
また、本発明の第七態様に係る蒸気タービンの部品交換方法は、第六態様の蒸気タービンの分解方法と、前記仕切板固定部に前記上半仕切板を固定するとともに、前記第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部で前記ロータを支持させた後に、前記下半仕切板を前記上半仕切板に固定し、前記持ち上げ治具に対する前記ロータ及び前記仕切板の相対位置が保持された保持体を準備する保持体準備工程と、前記保持体準備工程で準備された前記保持体を前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方から降下させ、前記下半車室の内周側に前記下半仕切板を配置する保持体配置工程と、前記保持体配置工程後に、前記ロータ及び前記上半仕切板から前記持ち上げ治具を取り外す持ち上げ治具取り外し工程と、前記持ち上げ治具取り外し工程後に、前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方から前記上半車室を降下させて前記上半車室の内周側に前記上半仕切板が配置させ、前記上半車室の分割面と前記下半車室の分割面とを互いに接触させる上半車室配置工程と、含み、前記保持体配置工程は、前記蒸気タービンの分解方法における前記内部品取り外し工程後に実施される。
【0020】
このような構成によれば、保持体を事前に準備しておいて下半車室に取り付けることで、下半車室に対してロータ及び仕切板を配置する際の部品間の位置調整を省くことができる。したがって、メンテナンス時のように蒸気タービンの内部品を交換する際の作業時間を大きく短縮することができる。
【0021】
また、本発明の第八態様に係る蒸気タービンの部品交換方法では、第七態様において、前記上半仕切板、前記下半仕切板、及び前記ロータを新たに準備する新部品準備工程と、前記保持体準備工程では、前記保持体は、前記新部品準備工程で新たに準備された前記上半仕切板、前記下半仕切板、及び前記ロータを用いて形成されてもよい。
【0022】
このような構成によれば、新たな部品で保持体を形成することで、下半車室からロータ及び仕切板を取り外した後、直ちに下半車室にロータ及び仕切板を取り付けることができる。したがって、取り外したロータ及び仕切板に対して補修等を行った後に戻す場合に比べて、蒸気タービンを運転可能な状態にするまでの時間を大きく短縮することができる。
【0023】
また、本発明の第九態様に係る蒸気タービンの製造方法は、軸線を中心として回転可能なロータと、鉛直方向の上方の上半車室と前記鉛直方向の下方の下半車室とに分割面で分割可能とされて前記ロータを覆う車室と、前記上半車室内に配置可能とされた上半仕切板と前記下半車室内に配置可能とされた下半仕切板とに分割面で分割可能とされて前記ロータの周方向に延びる仕切板と、を備える蒸気タービンの製造方法であって、前記ロータ、前記上半車室、前記下半車室、前記上半仕切板、及び前記下半仕切板、を準備する部品準備工程と、前記部品準備工程で準備された前記上半仕切板に固定可能とされた仕切板固定部と、前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸線の延びる軸方向における前記ロータの一方の端部を支持可能な第一ロータ支持部と、前記第一ロータ支持部に対して前記軸方向に離れた位置で前記仕切板固定部と一体に形成され、前記軸方向における前記ロータの他方の端部を支持可能な第二ロータ支持部と、を有する持ち上げ治具を準備する持ち上げ治具準備工程と、前記持ち上げ治具準備工程で準備された前記持ち上げ治具における前記仕切板固定部に前記上半仕切板を固定するとともに、前記第一ロータ支持部及び第二ロータ支持部で前記ロータを支持させた後に、前記下半仕切板を前記上半仕切板に固定し、前記持ち上げ治具に対する前記ロータ及び前記仕切板の相対位置が保持された保持体を準備する保持体準備工程と、前記保持体準備工程で準備された前記保持体を、前記部品準備工程で準備された前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方から降下させ、前記下半車室の内周側に前記下半仕切板を配置する保持体配置工程と、前記保持体配置工程後に、前記ロータ及び前記上半仕切板から前記持ち上げ治具を取り外す持ち上げ治具取り外し工程と、前記持ち上げ治具取り外し工程後に、前記下半車室に対して前記鉛直方向の上方から前記上半車室を降下させて前記上半車室の内周側に前記上半仕切板が配置させ、前記上半車室の分割面と前記下半車室の分割面とを互いに接触させる上半車室配置工程と、含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、短時間で蒸気タービンを分解及び組み立てることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態の蒸気タービン1について、図面を参照して詳細に説明する。
蒸気タービン1は、
図1に示すように、ロータ2と、仕切板3と、車室4と、軸受部5と、を備えている。
【0027】
ロータ2は、軸線Arを中心として回転可能とされている。ロータ2は、軸線Arを中心として軸方向Daに延びているロータ軸21と、このロータ軸21に対する周方向Dcに並んでロータ軸21に固定されている複数の動翼22とを有している。
【0028】
なお、以下では、軸線Arが延びている方向が軸方向Daとされる。軸線Arを基準にした径方向が単に径方向Drとされる。径方向Drのうち、
図1の紙面上方方向が鉛直方向Dvとされる。また、
図1の左右方向が、鉛直方向Dvと直交する水平方向Dhとされる。また、軸線Arを中心とするロータ2周りの方向が周方向Dcとされる。
【0029】
仕切板3は、ロータ2の外周側に配置されている。仕切板3は、軸線Arを中心として環状をなしている。環状の仕切板3には、径方向Drにおける仕切板3の中間付近であって、ロータ2の動翼22よりも軸方向Daにおける上流側の位置に、周方向Dcに並ぶ複数の静翼(ノズル)30が設けられている。蒸気タービン1では、ロータ軸21の外周側及び環状の仕切板3の中間付近の筒状の空間、言い換えると、動翼22及び静翼30が配置されている空間が作動流体である蒸気が流れる蒸気流路となる。環状の仕切板3は、ロータ2の軸線Arを基準に鉛直方向Dvの上方の上半仕切板31と、下方の下半仕切板32とを有している。上半仕切板31及び下半仕切板32の説明は後述する。
【0030】
車室4は、仕切板3の外周側に配置されている。車室4は、軸線Arを中心として筒状をなしている。軸方向Daにおける車室4の両端に形成された開口からロータ軸21が突出している。筒状の車室4の両端の開口には、ロータ軸21との間をシールするラビリンスシール等を備えたシール装置45が設けられている。また、車室4には、蒸気流路に蒸気を導く吸込口47と、蒸気流路を流通した蒸気を外部に排出する排出口48とが形成されている。車室4は、ロータ2の軸線Arを基準に上方の上半車室41と、下方の下半車室42とを有している。
【0031】
上半車室41は、周方向Dcに延びている。上半車室41は、軸線Arと直交する断面が、軸線Arを中心とする半円環状をなしている。上半車室41は、ロータ2及び仕切板3が収容可能なように、鉛直方向Dvの下方を向いて開口している。上半車室41は、周方向Dcの両端に分割面(上半車室分割面)を有する。上半車室41の分割面は、鉛直方向Dvの下方を向く水平面である。
【0032】
下半車室42は、周方向Dcに延びている。下半車室42は、軸線Arと直交する断面が、軸線Arを中心とする半円環状をなしている。下半車室42の内径は、上半車室41の内径と同じ大きさで形成されている。下半車室42は、ロータ2及び仕切板3が収容可能なように、鉛直方向Dvの上方を向いて開口している。下半車室42は、周方向Dcの両端に分割面(下半車室分割面)を有する。下半車室42の分割面は、鉛直方向Dvの上方を向く水平面である。下半車室42に対して上半車室41が鉛直方向Dvの上方に載置され、分割面が互いに接触した状態で不図示のボルト等の締結部材で固定される。これにより、車室4が形成されている。
【0033】
上半仕切板31は、周方向Dcに延びている。上半仕切板31は、上半車室41の内側に収容された状態で、上半車室41に固定されている。上半仕切板31は、軸線Arと直交する断面が、軸線Arを中心とする半円環状をなしている。上半仕切板31は、ロータ2が嵌まり込むように、鉛直方向Dvの下方を向いて開口している。上半仕切板31は、周方向Dcの両端に分割面(上半仕切板分割面)を有する。上半仕切板31の分割面は、鉛直方向Dvの下方を向く水平面である。
【0034】
下半仕切板32は、周方向Dcに延びている。下半仕切板32は、下半車室42の内側に収容された状態で、下半車室42に固定されている。下半仕切板32は、軸線Arと直交する断面が、軸線Arを中心とする半円環状をなしている。下半仕切板32は、ロータ2が嵌まり込むように、鉛直方向Dvの上方を向いて開口している。下半仕切板32は、周方向Dcの両端に分割面(下半仕切板分割面)を有する。下半仕切板32の分割面は、鉛直方向Dvの上方を向く水平面である。下半仕切板32に対して上半仕切板31が鉛直方向Dvの上方に載置され、分割面が互いに接触した状態で不図示のボルト等の締結部材で固定される。これにより、仕切板3が形成されている。
【0035】
軸受部5は、軸線Arを中心としてロータ軸21を回転可能に支持している。軸受部5は、車室4の外部に配置されている。軸受部5は、第一軸受部51と、第二軸受部52とを有している。
【0036】
第一軸受部51は、車室4に対して軸方向Daの一方側(蒸気タービン1における上流側)に設けられている。第一軸受部51は、第一軸受本体61と、第一軸受ハウジング71とを、第一油切部81とを有している。
【0037】
第一軸受本体61は、潤滑油を利用してロータ2を支持している。本実施形態の第一軸受本体61は、潤価油を利用するタイプのジャーナル軸受66及びスラスト軸受67である。ジャーナル軸受66は、ロータ軸21に作用する径方向Drへの荷重を受けている。スラスト軸受67は、ロータ軸21に作用する軸方向Daへの荷重を受けている。スラスト軸受67は、ジャーナル軸受66に対して軸方向Daの一方側(車室4から離れた位置)に配置されている。
【0038】
第一軸受ハウジング71は、第一軸受本体61を収容している。第一軸受ハウジング71は、第一ハウジング711と、第一軸受台冠712とを有している。第一ハウジング711は、ジャーナル軸受66及びスラスト軸受67を覆う箱状の部材である。第一ハウジング711には、ジャーナル軸受66及びスラスト軸受67が固定されている。第一ハウジング711は、ロータ軸21が貫通するように、ロータ軸21が挿通可能な貫通孔が二つ形成されている。第一軸受台冠712は、床面上に設置されて第一ハウジング711を支持している。第一軸受台冠712は、車室4に対して軸方向Daの一方側に設けられている。第一軸受台冠712は、第一ハウジング711を覆っている。第一軸受台冠712は、軸方向Daにおける一方側のロータ軸21の端部を覆うように、ロータ軸21が挿通可能な貫通孔が一つのみ形成されている。
【0039】
第一油切部81は、第一軸受台冠712内から外部への潤滑油の漏れを抑制している。第一油切部81は、第一軸受台冠712における貫通孔の内周面とロータ軸21の外周面との間に設けられている。第一油切部81は、ロータ2の外周面から窪むように形成された油切溝55(
図10参照)に対して間隔を空けるように第一軸受台冠712に固定されている。第一油切部81は、ロータ軸21と第一軸受台冠712との隙間に油切溝55やフィン(不図示)によって凹凸を設けたもので、遠心力を利用して潤滑剤の漏れを防止している。
【0040】
第一軸受部51は、軸線Arを通る水平面を基準に上下に分割可能とされている。したがって、第一軸受部51において、第一軸受本体61、第一ハウジング711、第一軸受台冠712、及び第一油切部81は、軸線Arを通る水平面を分割面として、鉛直方向Dvの上下に分割可能とされている。具体的には、第一軸受本体61は、上半第一軸受本体61aと、下半第一軸受本体61bとに分割可能とされている。第一ハウジング711は、上半第一ハウジング711aと、下半第一ハウジング711bとに分割可能とされている。上半第一ハウジング711aには、上半第一軸受本体61aが固定されている。下半第一ハウジング711bには、下半第一軸受本体61bが固定されている。第一軸受台冠712は、第一冠712aと、第一軸受台712bとに分割可能とされている。第一油切部81は、上半第一油切部81aと、下半第一油切部81bとに分割可能とされている。
【0041】
第二軸受部52は、車室4に対して軸方向Daの他方側(蒸気タービン1における下流側)に設けられている。第二軸受部52は、第二軸受本体62と、第二軸受ハウジング72とを、第二油切部82とを有している。
【0042】
第二軸受本体62は、潤滑油を利用してロータ2を支持している。本実施形態の第二軸受本体62は、潤価油を利用するタイプのジャーナル軸受66である。第二軸受本体62であるジャーナル軸受66は、第一軸受本体61のジャーナル軸受66と同一のものである。
【0043】
第二軸受ハウジング72は、第二軸受本体62を収容している。第二軸受ハウジング72は、第二ハウジング721と、第二軸受台冠722とを有している。第二ハウジング721は、ジャーナル軸受66を覆い、第一ハウジング711よりも小さな箱状の部材である。第二ハウジング721には、ジャーナル軸受66が固定されている。第二ハウジング721は、ロータ軸21が貫通するように、ロータ軸21が挿通可能な貫通孔が二つ形成されている。第二軸受台冠722は、床面上に設置されて第二ハウジング721を支持している。第二軸受台冠722は、車室4に対して軸方向Daの他方側に設けられている。つまり、第二軸受台冠722は、第一軸受台冠712に対して車室4を挟んで軸方向Daの反対側に設けられている。第二軸受台冠722は、第二ハウジング721を覆っている。第二軸受台冠722は、軸方向Daにおける他方側のロータ軸21の端部を覆うように、ロータ軸21が挿通可能な貫通孔が一つのみ形成されている。
【0044】
第二油切部82は、第二軸受台冠722内から外部への潤滑油の漏れを抑制している。第二油切部82は、第一油切部81と同様の構造を有している。つまり、第二油切部82は、車室4に対して軸方向Daの他方側に形成された油切溝55に対応する位置に設けられている。第二油切部82は、第二軸受台冠722における貫通孔の内周面とロータ軸21の外周面との間に設けられている。
【0045】
第二軸受部52は、軸線Arを通る水平面を基準に上下に分割可能とされている。したがって、第二軸受部52において、第二軸受本体62、第二ハウジング721、第二軸受台冠722、及び第二油切部82は、軸線Arを通る水平面を分割面として、鉛直方向Dvの上下に分割可能とされている。具体的には、第二軸受本体62は、上半第二軸受本体62aと、下半第二軸受本体62bとに分割可能とされている。第二ハウジング721は、上半第二ハウジング721aと、下半第二ハウジング721bとに分割可能とされている。上半第二ハウジング721aには、上半第二軸受本体62aが固定されている。下半第二ハウジング721bには、下半第二軸受本体62bが固定されている。第二軸受台冠722は、第二冠722aと、第二軸受台722bとに分割可能とされている。第二油切部82は、上半第二油切部82aと、下半第二油切部82bとに分割可能とされている。
【0046】
次に、本実施形態におけるロータ2及び仕切板3を持ち上げること可能な持ち上げ治具10について説明する。
図2に示すように、持ち上げ治具10は、蒸気タービン1の部品の中で、ロータ2及び仕切板3を同時に持ち上げること可能とされている。本実施形態の持ち上げ治具10は、仕切板固定部100と、第一ロータ支持部110と、第二ロータ支持部120とを有している。
【0047】
仕切板固定部100は、複数の上半仕切板31が固定可能とされている。仕切板固定部100は、不図示のボルト等の締結部材で、外部から各上半仕切板31に固定可能とされている。仕切板固定部100は、ロータ軸21における第一油切部81に対応する油切溝55が形成された位置から第二油切部82に対応する油切溝55が形成された位置まで軸方向Daに延びている。つまり、仕切板固定部100は、軸方向Daにおける車室4の長さよりも長く形成されている。また、仕切板固定部100の外周面には、アイボルト等のワイヤを固定可能な部材が軸方向Daに離れて固定されている。
【0048】
第一ロータ支持部110は、仕切板固定部100と一体に形成されている。第一ロータ支持部110は、仕切板固定部100の軸方向Daの一方側の端部から仕切板固定部100の延びる方向(軸方向Da)と直交する方向(径方向Dr)に延びている。第一ロータ支持部110は、軸方向Daにおけるロータ軸21の一方の端部を支持可能とされている。第一ロータ支持部110には、ロータ軸21が挿通可能な第一挿通孔111が形成されている。第一挿通孔111は、ロータ軸21を支持した際に、第一挿通孔111の中心軸の径方向Drの位置が軸線Arと一致するように形成されている。第一挿通孔111は、円形状をなして第一ロータ支持部110を軸方向Daに貫通する孔である。
【0049】
第一ロータ支持部110は、第一挿通孔111の中心線を通る水平面を分割面として、鉛直方向Dvの上下に分割可能とされている。具体的には、第一ロータ支持部110は、仕切板固定部100と一体とされた第一ロータ支持部本体115と、第一ロータ支持部本体115に対して不図示のボルト等の締結部材で固定可能な第一ロータ支持部分割体116とを有している。第一ロータ支持部本体115は、第一挿通孔111の上半部分を形成するように、鉛直方向Dvの下方を向く端面から鉛直方向Dvの上方に向かって窪む凹部を有している。第一ロータ支持部分割体116は、第一挿通孔111の下半部分を形成するように、鉛直方向Dvの上方を向く端面から鉛直方向Dvの下方に向かって窪む凹部を有している。
【0050】
第一ロータ支持部110は、鉛直方向Dvにおけるロータ2の移動範囲を、上半仕切板31とロータ2との間の鉛直方向Dvにおける最小隙間の距離よりも短い範囲内となるように規制している。具体的には、上半仕切板31とロータ2との間の鉛直方向Dvにおける隙間は、上半仕切板31の径方向Dr内側の端部と、ロータ軸21の外周面との間で最も小さくなっている。本実施形態の第一ロータ支持部110では、上半仕切板31の径方向Dr内側の端部とロータ軸21の外周面との間の隙間の距離よりも、鉛直方向Dvにおけるロータ軸21の外周面に対する第一挿通孔111の内周面までの距離が小さくされている。
【0051】
また、第一ロータ支持部110は、軸方向Daにおけるロータ軸21の位置を規制する軸方向位置規制部150を有する。本実施形態の軸方向位置規制部150は、ロータ軸21に対して軸方向Daから接触することで、仕切板固定部100に対するロータ軸21の軸方向Daへの相対的な移動を規制している。具体的には、軸方向位置規制部150として、油切溝55に挿入可能な規制凸部151が設けられている。規制凸部151は、第一挿通孔111の内周面から突出するように、第一ロータ支持部本体115及び第一ロータ支持部分割体116に形成されている。規制凸部151は、油切溝55に嵌り込んだ状態で、油切溝55おける軸方向Daを向く内面に接触している。
【0052】
第二ロータ支持部120は、第一ロータ支持部110に対して軸方向Daに離れた位置で仕切板固定部100と一体に形成されている。第二ロータ支持部120は、仕切板固定部100の軸方向Daの他方側の端部から径方向Drに延びている。つまり、第二ロータ支持部120は、第一ロータ支持部110に対して平行に延びている。第二ロータ支持部120は、軸方向Daにおけるロータ軸21の他方の端部を支持可能とされている。第一ロータ支持部110には、ロータ軸21が挿通可能な第二挿通孔121が形成されている。第二挿通孔121は、軸方向Daから見た際に、第一挿通孔111と同じ位置に形成されている。第二挿通孔121は、第一挿通孔111と同じ大きさの円形状をなして第二ロータ支持部120を軸方向Daに貫通する孔である。
【0053】
第二ロータ支持部120は、第二挿通孔121の中心線を通る水平面を分割面として、鉛直方向Dvの上下に分割可能とされている。具体的には、第二ロータ支持部120は、仕切板固定部100と一体とされた第二ロータ支持部本体125と、第二ロータ支持部本体125に対して不図示のボルト等の締結部材で固定可能な第二ロータ支持部分割体126とを有している。第二ロータ支持部本体125は、第二挿通孔121の上半部分を形成するように、鉛直方向Dvの下方を向く端面から鉛直方向Dvの上方に向かって窪む凹部を有している。第二ロータ支持部分割体126は、第二挿通孔121の下半部分を形成するように、鉛直方向Dvの上方を向く端面から鉛直方向Dvの下方に向かって窪む凹部を有している。
【0054】
第二ロータ支持部120は、第一ロータ支持部110と同様に、第二挿通孔121によって、鉛直方向Dvにおけるロータ軸21の移動範囲を、上半仕切板31とロータ2との間の鉛直方向Dvにおける最小隙間の距離よりも短い範囲内となるように規制している。本実施形態では、ロータ軸21の外周面に対する第一挿通孔111の内周面までの距離と、ロータ軸21の外周面に対する第二挿通孔121の内周面までの距離とは、同じである。つまり、鉛直方向Dvにおけるロータ軸21の外周面に対する第二挿通孔121の内周面までの距離は、上半仕切板31の径方向Dr内側の端部とロータ軸21の外周面との間の隙間の距離よりも小さくされている。また、第二ロータ支持部120も、第一ロータ支持部110と同じ軸方向位置規制部150を有する。
【0055】
次に、本実施形態の蒸気タービンの部品交換方法S1について説明する。本実施形態の蒸気タービンの部品交換方法S1は、持ち上げ治具準備工程S21と、上方開放工程S22と、持ち上げ治具取り付け工程S24と、内部品取り外し工程S25と、新部品準備工程S3と、保持体準備工程S4と、保持体配置工程S5と、持ち上げ治具取り外し工程S6と、油切部配置工程S7と、内部ハウジング配置工程S8と、上半車室配置工程S9と、外部ハウジング配置工程S10と、を含んでいる。
【0056】
持ち上げ治具準備工程S21では、持ち上げ治具10が製造されて準備される。持ち上げ治具準備工程S21で準備される持ち上げ治具10は、仕切板固定部100に対して第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120が一体をなした状態で製造される。また、第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120は、第一挿通孔111及び第二挿通孔121の中心線を通る水平面を分割面として、鉛直方向Dvの上下に分割可能とされている。
【0057】
上方開放工程S22では、ロータ2及び仕切板3に対する上方が開放されるように部品が取り外される。本実施形態の上方開放工程S22は、外部ハウジング取り外し工程S221と、上半車室取り外し工程S222と、内部ハウジング取り外し工程S223と、油切部取り外し工程S224とを含んでいる。
【0058】
外部ハウジング取り外し工程S221は、持ち上げ治具準備工程S21後に実施される。外部ハウジング取り外し工程S221では、第一軸受台冠712及び第二軸受台冠722の上半部分が取り外される。具体的には、外部ハウジング取り外し工程S221では、分割面で分割可能とされている第一軸受台冠712における第一冠712aと第一軸受台712bとの固定が外される。その後、クレーンを使用して、第一冠712aは鉛直方向Dvの上方に一旦吊り上げられる。これにより、
図5に示すように、第一軸受台712bに対して、第一冠712aが取り外される。同様に、第二軸受台冠722においても、第二軸受台722bに対して、第二冠722aが取り外される。
【0059】
上半車室取り外し工程S222は、外部ハウジング取り外し工程S221後に実施される。上半車室取り外し工程S222では、上半車室41が取り外される。具体的には、上半車室取り外し工程S222では、上半車室41と下半車室42との固定が外される。その後、クレーンを使用して、上半車室41は鉛直方向Dvの上方に一旦吊り上げられる。これにより、
図6に示すように、下半車室42に対して、上半車室41が取り外される。
【0060】
内部ハウジング取り外し工程S223は、上半車室取り外し工程S222後に実施される。内部ハウジング取り外し工程S223では、第一ハウジング711及び第二ハウジング721の上半部分が取り外される。具体的には、内部ハウジング取り外し工程S223では、分割面で分割可能とされている第一ハウジング711における上半第一ハウジング711aと下半第一ハウジング711bとの固定が外される。その後、クレーンを使用して、上半第一ハウジング711aは鉛直方向Dvの上方に一旦吊り上げられる。これにより、
図7に示すように、第一軸受台712bに固定された下半第一ハウジング711bに対して、上半第一ハウジング711a及び上半第一軸受本体61aが取り外される。同様に、第二軸受部52においても、下半第二ハウジング721bに対して、上半第二ハウジング721a及び上半第二軸受本体62aが取り外される。
【0061】
油切部取り外し工程S224は、内部ハウジング取り外し工程S223後に実施される。油切部取り外し工程S224では、第一油切部81及び第二油切部82が取り外される。具体的には、油切部取り外し工程S224では、分割面で分割可能とされている第一油切部81において、上半第一油切部81aと下半第一油切部81bとの固定が外される。その後、
図8に示すように、第一軸受台712bから、上半第一油切部81a及び下半第一油切部81bが取り外される。同様に、第二軸受台722bから、上半第二油切部82a及び下半第二油切部82bが取り外される。
【0062】
持ち上げ治具取り付け工程S24は、油切部取り外し工程S224後に実施される。持ち上げ治具取り付け工程S24では、第一ロータ支持部本体115に対する第一ロータ支持部分割体116の固定及び第二ロータ支持部本体125に対する第二ロータ支持部分割体126の固定が外された状態で、上半仕切板31の上方に仕切板固定部100が配置される。その際、仕切板固定部100は、軸方向Daにおける規制凸部151の位置が軸方向Daにおける油切溝55の位置と重なるように調整される。
【0063】
また、持ち上げ治具取り付け工程S24では、第一ロータ支持部分割体116及び第二ロータ支持部分割体126がロータ軸21の下方に配置される。その際、第一ロータ支持部分割体116及び第二ロータ支持部分割体126は、軸方向Daにおける規制凸部151の位置が軸方向Daにおける油切溝55の位置と重なるようにそれぞれ調整される。その後、複数の上半仕切板31は、径方向Drにおける仕切板固定部100の内側に配置された状態で、径方向Drにおける仕切板固定部100の外側から締結部材によって仕切板固定部100に固定される。上半仕切板31が仕切板固定部100に固定されることで、第一ロータ支持部本体115及び第二ロータ支持部本体125における規制凸部151は、油切溝55に嵌り込んだ状態となる。その後、第一ロータ支持部分割体116における規制凸部151が油切溝55に嵌り込んだ状態で、第一ロータ支持部本体115と第一ロータ支持部分割体116とが固定される。同様に、第二ロータ支持部本体125における規制凸部151が油切溝55に嵌り込んだ状態で、第二ロータ支持部本体125と第二ロータ支持部分割体126とが固定される。これにより、持ち上げ治具10がロータ2及び仕切板3に取り付けられる。
【0064】
内部品取り外し工程S25は、持ち上げ治具取り付け工程S24後に実施される。内部品取り外し工程S25では、クレーンを利用して持ち上げ治具10が下半車室42に対して鉛直方向Dvの上方に持ち上げられる。これにより、持ち上げ治具10とともに、下半車室42からロータ2及び仕切板3が取り外される。
【0065】
上述した持ち上げ治具準備工程S21、上方開放工程S22、持ち上げ治具取り付け工程S24、及び内部品取り外し工程S25によって蒸気タービン1は分解される。つまり、蒸気タービンの分解方法S2は、持ち上げ治具準備工程S21、上方開放工程S22、持ち上げ治具取り付け工程S24、及び内部品取り外し工程S25を含んでいる。下半車室42から取り外されたロータ2及び仕切板3にはメンテナンス等が行われる。
【0066】
新部品準備工程S3は、蒸気タービンの分解方法S2のいずれかの工程が実施されている際に、同時に実施される。新部品準備工程S3では、分解される蒸気タービン1に設けられている部品とは別に、上半仕切板31、下半仕切板32、ロータ2、及び持ち上げ治具10が新たに製造されて準備される。つまり、新部品準備工程S3で準備される上半仕切板31、下半仕切板32、ロータ2、及び持ち上げ治具10は、内部品取り外し工程S25で取り外れた上半仕切板31、下半仕切板32、及びロータ2や使用されている持ち上げ治具10とは別の部品である。
【0067】
保持体準備工程S4は、新部品準備工程S3後に実施される。保持体準備工程S4では、新部品準備工程S3で新たに準備された上半仕切板31、下半仕切板32、ロータ2、及び持ち上げ治具10によって保持体が準備される。具体的には、保持体準備工程S4では、新部品準備工程S3で新たに準備された複数の上半仕切板31が仕切板固定部100に固定される。さらに、規制凸部151の軸方向Daの位置が油切溝55の軸方向Daの位置が重なるように、仕切板固定部100に対して、新たに準備されたロータ2の位置が調整される。位置の調整後のロータ2に対して、規制凸部151の軸方向Daの位置が油切溝55の軸方向Daの位置が重なるように、第一ロータ支持部分割体116及び第二ロータ支持部分割体126の位置が調整され、ロータ軸21の下方に配置される。その後、規制凸部151が油切溝55に嵌り込んだ状態で、第一ロータ支持部分割体116が第一ロータ支持部本体115に固定される。同様に、規制凸部151が油切溝55に嵌り込んだ状態で、第二ロータ支持部分割体126が第二ロータ支持部本体125に固定される。これにより、上半仕切板31及びロータ2が持ち上げ治具10に支持された状態となる。その後、上半仕切板31に対して、新たに準備された下半仕切板32が固定される。このようにして、保持体準備工程S4では、持ち上げ治具10に対してロータ2及び仕切板3の相対位置が保持された保持体が準備される。つまり、保持体は、持ち上げ治具10、ロータ2、及び仕切板3を有している。
【0068】
保持体配置工程S5は、保持体準備工程S4後及び内部品取り外し工程S25後に実施される。保持体配置工程S5では、保持体準備工程S4で準備された保持体を下半車室42に対して、鉛直方向Dvの上方から降下させる。これにより、下半車室42の内周側に下半仕切板32が配置された状態で、保持体が配置される。
【0069】
持ち上げ治具取り外し工程S6は、保持体配置工程S5後に実施される。持ち上げ治具取り外し工程S6では、下半車室42上に配置された保持体から持ち上げ治具10が取り外される。具体的には、第一ロータ支持部本体115に対する第一ロータ支持部分割体116の固定が外されて、第一ロータ支持部分割体116が取り外される。さらに、第二ロータ支持部本体125に対する第二ロータ支持部分割体126の固定が外されて第二ロータ支持部分割体126が取り外される。また、複数の上半仕切板31と仕切板固定部100との固定が外される。その後、仕切板固定部100が鉛直方向Dvの上方に持ち上げられることで、第一ロータ支持部本体115及び第二ロータ支持部本体125がロータ軸21から離れる。このように持ち上げ治具10が、ロータ2及び仕切板3から取り外される。
【0070】
油切部配置工程S7は、持ち上げ治具取り外し工程S6後に実施される。油切部配置工程S7ではロータ軸21における油切溝55が形成された位置に対応させて、第一油切部81及び第二油切部82が取り付けられる。
【0071】
内部ハウジング配置工程S8は、油切部配置工程S7後に実施される。内部ハウジング配置工程S8では、下半第一ハウジング711b内に収容されている下半第一軸受本体61bに対して、鉛直方向Dvの上方から上半第一軸受本体61aが降下される。その後、下半第一軸受本体61bと上半第一軸受本体61aとが固定され、第一軸受本体61が形成される。第一軸受本体61が形成された後に、下半第一ハウジング711bに対して、鉛直方向Dvの上方から上半第一ハウジング711aが降下される。その後、下半第一ハウジング711bと上半第一ハウジング711aとが固定され、第一ハウジング711が形成される。同様に、上半第二軸受本体62a及び上半第二ハウジング721aが、下半第二軸受本体62b及び下半第二ハウジング721bに対して取り付けられ、第二軸受本体62及び第二ハウジング721が形成される。
【0072】
上半車室配置工程S9は、内部ハウジング配置工程S8後に実施される。上半車室配置工程S9では、下半車室42にロータ2及び仕切板3が嵌め込まれた状態で、クレーンを使用して上半車室41が上半仕切板31の鉛直方向Dvの上方に一旦吊り上げられる。その後、上半車室41の内周側に上半仕切板31がはまり込むように、上半仕切板31に対して鉛直方向Dvの上方から上半車室41が降下される。その際、上半車室41の分割面と下半車室42の分割面とを互いに接触する位置まで上半車室41は降下される。分割面が互いに接触した状態で、上半車室41と下半車室42とが固定されて車室4が形成される。
【0073】
外部ハウジング配置工程S10は、上半車室配置工程S9後に実施される。外部ハウジング配置工程S10では、第一冠712aが、軸方向Daにおける第一油切部81に対応する位置が調整されながら、第一軸受台712bに対して、鉛直方向Dvの上方から降下される。その後、第一軸受台712bと第一冠712aとが固定され、第一軸受台冠712が形成される。同様に、第二冠722aが、第二軸受台722bに対して取り付けられ、第二軸受台冠722が形成される。その結果、内部品が交換された蒸気タービン1が完成する。
【0074】
上述したような持ち上げ治具10及び蒸気タービンの部品交換方法S1によれば、仕切板3とロータ2とを一つの治具のみで同時に持ち上げることができる。さらに、上半仕切板31が固定されている仕切板固定部100に対して、ロータ軸21を支持している第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120が一体に形成されている。そのため、持ち上げ治具10によってロータ2及び仕切板3を移動させても、上半仕切板31に対するロータ2の相対位置が大きくずれてしまうことを抑えることができる。したがって、ロータ2及び仕切板3を移動させる際の位置調整等の作業が短縮できる。つまり、持ち上げ治具10により、蒸気タービン1におけるロータ2及び仕切板3の分解及び組み立てを短時間で行うことができる。
【0075】
また、第一挿通孔111及び第二挿通孔121によって、ロータ2の移動範囲が上半仕切板31とロータ軸21との間の最小隙間の長さ以内となるように規制されている。そのため、持ち上げ治具10によってロータ2及び仕切板3を移動させても、移動中に上半仕切板31に対してロータ2が相対的に大きく移動してしまうことを抑えることができる。したがって、仕切板3とロータ2とが接触してしまうことを防ぐことができる。
【0076】
また、鉛直方向Dvにおける第一挿通孔111及び第二挿通孔121の内周面に対するロータ軸21の外周面までの距離が、上半仕切板31の径方向Dr内側の端部とロータ軸21の外周面との間の隙間の距離よりも小さくされている。そのため、持ち上げ治具10によってロータ2及び仕切板3を移動中に、仕切板3に対するロータ2の相対位置がずれても、ロータ2と仕切板3とが接触してしまう前に、ロータ軸21の外周面が第一挿通孔111及び第二挿通孔121の内周面に接触する。したがって、移動中にロータ2と仕切板3とが接触してしまうことを防ぐことができる。
【0077】
また、第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120では、規制凸部151によって、軸方向Daにおけるロータ軸21の位置も規制している。そのため、持ち上げ治具10によってロータ2及び仕切板3を移動させた際に、移動中のロータ2の軸方向Daへの移動を抑えることができる。そのため、持ち上げ治具10によってロータ2及び仕切板3を移動させても、軸方向Daにおける上半仕切板31に対するロータ2の相対位置が大きくずれてしまうことを抑えることができる。したがって、移動中にロータ2と仕切板3とが接触してしまうことを高い精度で防ぐことができる。
【0078】
また、規制凸部151が油切溝55にはめ込まれた状態で、持ち上げ治具10によってロータ2及び仕切板3が移動される。そのため、移動中のロータ軸21の軸方向Daへの移動を規制する構造をロータ軸21に新たに形成する必要がない。つまり、移動中のロータ2の軸方向Daへの移動を油切溝55を利用して規制することができる。
【0079】
また、持ち上げ治具10によって、下半車室42からロータ2及び仕切板3を同時に取り外すことができる。したがって、蒸気タービン1を分解時の作業時間を大きく短縮することができる。
【0080】
また、保持体を下半車室42に取り付けることで、下半車室42に対してロータ2及び仕切板3を配置する際の部品間の位置調整を省くことができる。したがって、メンテナンス時の蒸気タービン1の内部品を交換する際の作業時間を大きく短縮することができる。
【0081】
また、新たな部品で保持体を形成することで、下半車室42からロータ2及び仕切板3を取り外した後、直ちに下半車室42にロータ2及び仕切板3を取り付けることができる。したがって、取り外したロータ2及び仕切板3に対して補修等の整備を行った後に戻す場合に比べて、蒸気タービン1を運転可能な状態にするまでの時間を大きく短縮することができる。
【0082】
(実施形態の他の変形例)
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0083】
例えば、第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120は、第一挿通孔111及び第二挿通孔121を利用してロータ軸21を支持する構造であることに限定されるものではない。具体的には、第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120は、ボルト等の締結部材によって、ロータ軸21に直接固定されて支持する構造であってもよい。
【0084】
また、第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120における軸方向位置規制部150は、本実施形態のように油切溝55に挿入可能な規制凸部151であることに限定されるものではない。軸方向位置規制部150は、軸方向Daにおけるロータ軸21の移動を規制できればよい。軸方向位置規制部150は、例えば、ロータ軸21に形成された段差に軸方向Daから接触するような構造であってもよく、ロータ軸21に第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120を直接固定させる構造であってもよい。
【0085】
また、持ち上げ治具準備工程S21は、上方開放工程S22前に実施されることに限定されるものではない。持ち上げ治具準備工程S21は、持ち上げ治具取り付け工程S24よりも前に実施されていればよい。例えば、持ち上げ治具準備工程S21は、上方開放工程S22と同時に実施されてもよい。
【0086】
また、上方開放工程S22における外部ハウジング取り外し工程S221、上半車室取り外し工程S222、内部ハウジング取り外し工程S223、油切部取り外し工程S224の実施順序は実施形態のような順序に限定されるものではない。例えば、外部ハウジング取り外し工程S221、内部ハウジング取り外し工程S223、及び油切部取り外し工程S224の後に、上半車室取り外し工程S222が実施されてもよい。
【0087】
また、持ち上げ治具取り付け工程S24は、油切部取り外し工程S224後に実施されることに限定されるものではない。例えば、第一ロータ支持部110及び第二ロータ支持部120によって、軸方向Daにおける油切部が配置された位置から外れた位置を支持する場合、油切部取り外し工程S224をせずに、油切部を外さずにロータ軸21とともに油切部を支持してもよい。
【0088】
また、保持体準備工程S4で使用される部品は、本実施形態のように新部品準備工程S3で新たに製造された部品であることに限定されるものではない。内部品取り外し工程S25で取り外した部品に対して補修等の整備を行い、再利用して保持体を形成してもよい。また、保持体準備工程S4において、内部品取り外し工程S25で取り外した部品を利用して保持体を形成する場合には、保持体準備工程S4は内部品取り外し工程S25後に実施される。
【0089】
また、新部品準備工程S3は、蒸気タービンの分解方法S2と同時に実施されることに限定されるものではない。新部品準備工程S3は、蒸気タービンの分解方法S2の前や後に実施されてもよい。
【0090】
さらに、持ち上げ治具10は本実施形態のように蒸気タービン1の分解時や部品交換時のみに使用されることに限定されるものではない。持ち上げ治具10は、新たに蒸気タービン1を組み立てる際にしようされてもよい。例えば、第二実施形態として、持ち上げ治具10を用いた蒸気タービンの製造方法S100について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0091】
図10に示すように、第二実施形態である蒸気タービンの製造方法S100では、持ち上げ治具10を用いて新たに蒸気タービン1を組み立てる。蒸気タービンの製造方法S100は、部品準備工程S31と、持ち上げ治具準備工程S21と、保持体準備工程S41と、保持体配置工程S51と、持ち上げ治具取り外し工程S61と、上半車室配置工程S91とを含んでいる。
【0092】
部品準備工程S31では、蒸気タービン1を製造する上で必要な部品が準備される。具体的には、車室4、仕切板3、及びロータ2が製造されて準備される。
【0093】
持ち上げ治具準備工程S21は、部品準備工程S31後に実施される。第二実施形態の持ち上げ治具準備工程S21では、第一実施形態と同様に、持ち上げ治具10が製造されて準備される。
【0094】
保持体準備工程S41は、持ち上げ治具準備工程S21後に実施される。第二実施形態の保持体準備工程S41は、部品準備工程S31で準備された複数の上半仕切板31が仕切板固定部100に固定される。その後、第一挿通孔111にロータ軸21が挿通された状態で、第一ロータ支持部分割体116が第一ロータ支持部本体115に固定される。同様に、第二挿通孔121にロータ軸21が挿通された状態で、第二ロータ支持部分割体126が第二ロータ支持部本体125に固定される。これにより、上半仕切板31及びロータ2が持ち上げ治具10に支持された状態となる。その後、上半仕切板31に対して、部品準備工程S31で準備された下半仕切板32が固定される。このようにして、保持体準備工程S41では、持ち上げ治具10に対するロータ2及び仕切板3の相対位置が保持された保持体が準備される。
【0095】
保持体配置工程S51は、保持体準備工程S41後に実施される。保持体配置工程S51では、保持体準備工程S41で準備された保持体を、部品準備工程S31で準備された下半車室42に対して、鉛直方向Dvの上方から降下させる。これにより、下半車室42の内周側に下半仕切板32が配置された状態で、保持体が配置される。
【0096】
持ち上げ治具取り外し工程S61は、保持体配置工程S51後に実施される。持ち上げ治具取り外し工程S61では、第一実施形態と同様に、下半車室42上に配置されたロータ2及び上半車室41から持ち上げ治具10が取り外される。
【0097】
上半車室配置工程S91は、持ち上げ治具取り外し工程S61後に実施される。上半車室配置工程S91では、第一実施形態と同様に、ロータ2及び仕切板3が嵌め込まれた下半車室42に対して上半車室41が取り付けられ、車室4が形成される。その結果、蒸気タービン1が完成する。
【0098】
上述したような蒸気タービンの製造方法S100によれば、蒸気タービン1の組み立てを完了するまでの作業時間を大きく短縮することができる。
【0099】
なお、上述した蒸気タービンの製造方法S100において、軸受部5も同時に設置する場合には、保持体配置工程S51前に軸受部5の下半部分が配置されてもよい。その際、持ち上げ治具取り外し工程S61後に軸受部5の上半部分が配置される。