特許第6971928号(P6971928)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971928
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G01G19/387 D
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-136007(P2018-136007)
(22)【出願日】2018年7月19日
(65)【公開番号】特開2020-12760(P2020-12760A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2020年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】朝井 英治
(72)【発明者】
【氏名】菊池 壽晃
(72)【発明者】
【氏名】佐野 純一
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−173210(JP,A)
【文献】 特開平11−2560(JP,A)
【文献】 特開2003−156383(JP,A)
【文献】 特開2004−294192(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0144792(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G19/00−19/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦に並べた複数個のカップ(8)からなる列を横に複数列並べて構成した組合せ計量部(7)と、
前記組合せ計量部の下方に配置され、前記組合せ計量部の前記列から目標重量範囲に入る組合せとなるように選択的に供給された被計量物(W)を搬送する集合コンベア(13、23)と、
前記集合コンベアの一端部の近傍に配置され、前記集合コンベアによって搬送された目標重量範囲の被計量物が正規品として排出される正規品排出先(OK)と、
を備える組合せ計量装置(1,1’,1”)であって、
前記正規品排出先の隣部に所定距離だけ離れて設けられ、前記集合コンベアが搬送した非正規品としての被計量物が排出される非正規品排出先(NG)を有し、
前記集合コンベアの前記一端部が、前記非正規品排出先に被計量物を排出できるように前記所定距離だけ移動可能とされていることを特徴とする組合せ計量装置(1,1’,1”)。
【請求項2】
前記集合コンベア(13)が、その搬送方向に沿って前記所定距離だけ移動することにより前記一端部を前記非正規品排出先(NG)の近傍に設定することを特徴とする請求項1記載の組合せ計量装置(1,1”)。
【請求項3】
前記集合コンベア(23)が、その搬送方向の長さを変更することにより前記一端部を前記非正規品排出先の近傍に設定することを特徴とする請求項1記載の組合せ計量装置(1’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合計が目標重量となるような組合せで被計量品を集合させて排出する組合せ計量装置に係り、特に、目標重量の組合せが得られない場合には、組合せに使用できない計量済みの被計量品を非正規品として正規品とは分別して回収することができ、さらに2種類の被計量品を同時に扱う場合には、被計量品ごとに、正規品と非正規品を分別して排出できる組合せ計量装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には物品供給装置の発明が開示されている。この物品供給装置は、複数個のカップからなる組合せ計量部から目標重量の組合せとなるように被計量品を集合コンベアに供給し、所定の正規品排出先に排出する組合せ計量装置である。この装置は、駆動部31と搬送部35とからなる複数の供給コンベア30から複数の計量部にそれぞれ被計量物を供給できるようにし、供給コンベア制御部は、供給コンベアを正転駆動して被計量物を計量部へ送り出した後に、その供給コンベアを逆転駆動して計量部上方の被計量物を物品貯留容器の排出口側へ戻すようにしている。この発明によれば、付着性の強い被計量物を、簡単な構造で計量部へ安定に供給できることが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−337951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された物品供給装置によれば、目標重量の2種類の被計量物をミックスして排出するという使用方法において、目標重量範囲に入る組合せが得られない場合には、組合せ計量部にある計量済みの被計量物を非正規品として排出する必要が生じるが、この場合、被計量物の種類ごとに分別して排出できないため、被計量物の品質に問題がないにも係わらず、混合して排出した被計量物を再利用できないという問題があった。以下、この問題について説明する。
【0005】
記特許文献1の図1に示すように、この物品供給装置は、縦に並べた複数個のカップ(符号60、65、70)からなる縦のカップ列を横に複数列並べて構成した組合せ計量部を、左右の2組備えている。各組の組合せ計量部の下方には、それぞれ集合コンベア75が設けられており、これら2つの集合コンベア75の間には排出シュート77が設けられている。排出シュート77の下方には、図示はしないが、正規品排出先としての次工程や被計量物の包装設備等が設けられている。
【0006】
この物品供給装置で2種類の被計量物(例えばカット肉とカット野菜)を組合せ計量してミックス品として排出する場合には、2組の組合せ計量部の一方では、各カップ列で計量されたカット野菜を適当な組合せで排出して目標重量範囲のカット野菜を集合コンベア75上に供給し、他方の組合せ計量部では、各カップ列で計量されたカット肉を適当な組合せで排出して目標重量範囲のカット肉を集合コンベア75上に供給する。そして、2つの集合コンベア75で各被計量物を排出シュート77に搬送し、目標重量範囲内にあるミックスした被計量物を排出シュート77を経由して正規品排出先へと供給する。
【0007】
ところが、組合せ計量部において、各カップ列が計量して貯容している被計量物の重量の組合せでは、目標重量範囲に入る被計量物が得られない場合が生じうる。このような場合には、組合せ計量部の各カップ列が有している被計量物を非正規品として集合コンベアに供給し、この非正規品としての被計量物を、正規品排出先とは別に設けた非正規品排出先に排出しなければならない。
【0008】
このような場合、2つの集合コンベア75で非正規品としての各被計量物を排出シュート77に搬送し、排出シュート77を経由して非正規品排出先へと供給すれば、2種類の被計量物が混合してしまい、先に説明したように再利用しにくくなってしまうという問題が発生してしまうのである。
【0009】
そこで、このような問題に対応する一つの手段として、排出シュート77の出口側に、排出先を異なる方向に切り換えられる振分けカップを設けておき、2種類の非正規品を被計量物の種類ごとに異なる方向に排出し、被計量物を種類ごとに分別して排出することにより、被計量物を再利用できるようにすることも考えられる。
【0010】
しかし、このように排出シュート77の下方に振分けカップを設ければ、物品供給装置全体としての高さが大きくなってしまい、製品としての価格も高くなってしまうという他の問題が生じてしまう。
【0011】
また、上記特許文献1の図1に示すように、2つの集合コンベア75,75の間に設けた排出シュート77の下方には正規品排出先を設けておき、図示はしないが、集合コンベア75の排出シュート77とは反対側の端部付近に、それぞれ非正規品排出先を設けておくことも考えられる。そして、非正規品を排出する際には、各コンベア75の搬送方向を正規品を搬送する際とは反対方向とする。このようにすれば、被計量物の種類ごとに非正規品を集めることができるので、再利用が可能になる。
【0012】
しかし、このようにして非正規品を非正規品排出先に排出するには、集合コンベア75を、正規品を集合させる通常の搬送方向とは反対方向に運転しなければならず、その間は本来の組合せ計量の作業ができず、作業効率が悪化するという問題があった。
【0013】
本発明は、以上説明した従来の技術における課題に鑑みてなされたものであり、複数個のカップを縦方向に並べた列を横方向に並べてなる組合せ計量部を備えており、組合せ計量部の各列から目標重量範囲内の組合せとなるように被計量物を集合コンベアに供給して排出する組合せ計量装置において、複数種類の被計量物をミックスして供給する場合において、振分けカップを用いずとも非正規品の被計量物を種類ごとに分別して効率よく排出できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載された組合せ計量装置1,1’,1”は、
縦に並べた複数個のカップ8からなる列を横に複数列並べて構成した組合せ計量部7と、
前記組合せ計量部7の下方に配置され、前記組合せ計量部7の前記列から目標重量範囲に入る組合せとなるように選択的に供給された被計量物Wを搬送する集合コンベア13,23と、
前記集合コンベア13,23の一端部の近傍に配置され、前記集合コンベア13,23によって搬送された目標重量範囲の被計量物Wが正規品として排出される正規品排出先OKと、
を備える組合せ計量装置1,1’,1”であって、
前記正規品排出先OKの隣部に所定距離だけ離れて設けられ、前記集合コンベア13,23が搬送した非正規品としての被計量物Wが排出される非正規品排出先NGを有し、
前記集合コンベア13,23の前記一端部が、前記非正規品排出先NGに被計量物Wを排出できるように前記所定距離だけ移動可能とされていることを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載された組合せ計量装置1,1”は、請求項1記載の組合せ計量装置において、
前記集合コンベア13が、その搬送方向に沿って前記所定距離だけ移動することにより前記一端部を前記非正規品排出先NGの近傍に設定することを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載された組合せ計量装置1’は、請求項1記載の組合せ計量装置において、
前記集合コンベア23が、その搬送方向の長さを変更することにより前記一端部を前記非正規品排出先NGの近傍に設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された組合せ計量装置によれば、組合せ計量部の各列において計量され、貯容された被計量物の各重量が合計で目標重量範囲に入る組み合わせで複数の列が選択される。選択された各列から供給された被計量物は集合コンベアによって搬送され、集合コンベアの一端部から正規品排出先に排出される。
【0018】
組合せ計量部において、カップの各列で貯容している被計量物の各重量の組合せでは目標重量範囲に入る被計量物が得られない場合には、組合せ計量部の各列が有している被計量物を非正規品として集合コンベアに供給し、非正規品排出先に排出する。その際、集合コンベアの一端部を所定距離だけ移動して非正規品排出先に接近させる。非正規品とされた被計量物は、正規品の被計量物と同一方向に搬送されて正規品排出先に隣接した非正規品排出先に排出される。
【0019】
単一種類の被計量物を供給する場合には、非正規品の被計量物を効率よく排出でき、再利用に供することができる。また、複数種類の被計量物をミックスして供給する場合には、振分けカップを用いないコンパクトな構成で非正規品の被計量物を種類ごとに分別して効率よく排出でき、何れの被計量物も再利用に供することができる。
【0020】
請求項2に記載された組合せ計量装置によれば、非正規品を非正規品排出先に排出するため、集合コンベアの一端部を非正規品排出先に接近させる動作を、集合コンベア自体の移動によって行うことができる。
【0021】
請求項3に記載された組合せ計量装置によれば、非正規品を非正規品排出先に排出するため、集合コンベアの一端部を非正規品排出先に接近させる動作を、集合コンベアの搬送方向の長さを変更することにより行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態の組合せ計量装置の模式的側面図である。
図2】第1実施形態の組合せ計量装置の模式的正面図であって、分図(a)は正規品の被計量物を正規品排出先に排出している状態を示しており、分図(b)は非正規品の被計量物を非正規品排出先に排出している状態を示している。
図3】第2実施形態の組合せ計量装置の模式的正面図であって、分図(a)は正規品の被計量物を正規品排出先に排出している状態を示しており、分図(b)は非正規品の被計量物を非正規品排出先に排出している状態を示している。
図4】第3実施形態の組合せ計量装置の模式的正面図であって、正規品の被計量物を正規品排出先に排出している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1実施形態の組合せ計量装置1の構成を図1及び図2を参照して説明する。
図1及び図2に示す第1実施形態の組合せ計量装置1は、単一種類の被計量物Wを計量して目標重量範囲に入る被計量物Wとして排出するための装置である。組合せ計量装置1の上部には、被計量物Wの供給部2が設けられている。供給部2は、供給容器3と、直進供給装置4と、搬送駆動部5とを有する。供給容器3は投入された被計量物Wを貯容する。直進供給装置4は、横方向に所定間隔で並んだ複数のベルトコンベア6を有する。直進供給装置4の各ベルトコンベア6は、供給容器3に貯容された被計量物Wを、後述する組合せ計量部のプールカップにそれぞれ搬送して供給する。搬送駆動部5は、防水処理されたケースにモータ等を含む駆動源を収容しており、直進供給装置4の各ベルトコンベア6を駆動する。
【0024】
図1及び図2に示すように、組合せ計量装置1の上部において、上述した被計量物Wの供給部2の下方には、組合せ計量部7が設けられている。組合せ計量部7は多数のカップ8から構成されている。各カップ8は、上下が開口した中空状であり、かつ下部の開口にシャッタ9が設けられており、シャッタ9は駆動手段10によって開閉できる。カップ8は縦方向に3個が並んで列を構成し、この列が横方向へ8列に並んで一組の組合せ計量部7を構成している。各カップ8は、最上段がプールカップ8a、中段が計量カップ8b、下段がメモリカップ8cである。各カップ8a,8b,8cは、駆動手段10によるシャッタ9の開閉動作によって被計量物Wを下の段に落下排出することができる。
【0025】
プールカップ8aは、計量前の被計量物Wを所定量貯容した後に排出する。計量カップ8bは、収容した被計量物Wの重量をロードセルなどの秤量手段11で計量する。メモリカップ8cは、計量後の被計量物Wを一時貯容する。組合せ計量においては、複数(図示例では8個)のメモリカップ8cが貯容している被計量物Wの重量を組み合わせて所望の目標重量範囲に入るように複数個のメモリカップ8cを選択する。このような目標重量範囲に入るような複数のメモリカップ8cの組合せの選択や、上述したシャッタ9の駆動、その他の各部の駆動制御などは、図示しない制御部が統括して行う。
【0026】
図1及び図2に示すように、組合せ計量装置1の下部において、上述した組合せ計量部7の下方には、集合排出部12が設けられている。集合排出部12は、8個のメモリカップ8cの下方に設けられた集合コンベア13と、集合コンベア13が搬送した被計量物Wが投入される2個の排出シュート14,15を備えている。集合コンベア13は、油圧シリンダ又は空気圧シリンダ等の流体圧アクチュエータ16や、電動シリンダやモータ等の電動アクチュエータ16により、搬送方向に沿って所定距離を往復移動することができる。2個の排出シュート14,15のうち、一方は、組合せにより目標重量範囲に入ることとなった正規品(OK品とも称する)を正規品排出先(図中「OK」で表示)に排出するための正規品排出シュート14である。他方は、目標重量範囲に入るような組合せが不可能である場合に、組合せから排除すべき非正規品(NG品とも称する)としての被計量物Wを、非正規品排出先(図中「NG」で表示)に排出するための非正規品排出シュート15である。なお、ここで目標重量範囲とは、重量の目標値から、当該目標値よりも大きい許容しうる上限値までの重量範囲を意味する。
【0027】
すなわち、組合せ計量部7においては、8個のメモリカップ8cがそれぞれ貯容している被計量物Wの重量をどのように組み合わせても、目標重量範囲内の被計量物Wが得られない場合が生じうる。このような場合には、組合せ計量部7の8個のメモリカップ8cが有している被計量物Wを非正規品(NG品)として集合コンベア13に供給し、このNG品である被計量物Wを、正規品排出先とは別に設けた非正規品排出先に排出する。上述した非正規品排出シュート15は、かかる非正規品としての被計量物Wを非正規品排出先(例えば被計量物Wを再利用するための回収ボックス等)に排出するために使用される。
【0028】
図2(a)は、集合コンベア13が通常の組合せ計量を行うOK品排出位置に設定された状態を示している。このとき、集合コンベア13による搬送方向の下流側である集合コンベア13の一端部(図示では左端部)の下方近傍(直下)に、上述した正規品排出シュート14が設けられている。図2(b)は、集合コンベア13が、OK品排出位置から搬送方向の上流側に所定距離だけ移動したNG品排出位置に設定された状態を示している。このとき、集合コンベア13による搬送方向の下流側である集合コンベア13の一端部(図示では左端部)の下方近傍(直下)に、上述した非正規品排出シュート15が設けられている。すなわち、正規品排出シュート14と非正規品排出シュート15は、集合コンベア13の下方であって、OK品排出位置にある集合コンベア13の一端部を挟んで、それぞれ搬送方向の下流側と上流側に隣接して配置されている。
【0029】
第1実施形態の組合せ計量装置1の作用及び効果を図2を参照して説明する。
図2(a)は通常の組合せ計量が適正に行われている状態である。供給容器3に貯容された被計量物Wは、直進供給装置4の各ベルトコンベア6によって搬送され、組合せ計量部7の各プールカップ8aに投入される。プールカップ8aの被計量物Wは中段の計量カップ8bに投入されて計量され、さらに下段のメモリカップ8cに投入されて組合せによる選択に備えて待機する。
【0030】
制御部は、8個のメモリカップ8cに貯容されて待機している各被計量物Wの各重量の組合せを検討し、その各重量の合計が目標重量範囲内となるように、複数のメモリカップ8cの組合せを選択する。選択されたカップの各列から供給された被計量物W(OK品)は、OK品排出位置にある集合コンベア13によって搬送され、集合コンベア13の一端部から落下して正規品排出シュート14に入り、正規品排出先に排出される。
【0031】
なお、OK品を排出する場合、集合コンベア13は、目標重量範囲内のOK品が集合コンベア13に落下した後搬送を開始し、正規品排出シュート14へ投入されるまで運転を継続し、その後、次の目標重量範囲内のOK品が落下するまで停止する断続的な運転をしてもよい。しかしながら、集合コンベア13を連続的に運転し、目標重量範囲内のOK品の落下供給を適宜のタイミングで行い、正規品側へ供給させた方が効率的である。
【0032】
図2(b)は通常の組合せ計量が適正に行えない場合である。組合せ計量部7の8個のメモリカップ8cがそれぞれ貯容している被計量物Wをどのように組み合わせても、目標重量範囲内の被計量物Wが得られない場合には、組合せ計量部7の8個のメモリカップ8cが有している被計量物Wのうち、少なくとも一部の被計量物Wを、組合せから排除するために非正規品(NG品)として集合コンベア13に供給する。例えば、8個のメモリカップ8cが貯容している被計量物Wのうち、重量が基準を越えて特に大きい又は小さいNG品を収納しているメモリカップ8cを選択し、その各被計量物Wを集合コンベア13上に落下させる。空になったメモリカップ8cには、当該メモリカップ8cが属する縦列のプールカップ8a及び計量カップ8bから次の被計量物Wが投入される。集合コンベア13に落下したNG品は、NG品排出位置に設定された集合コンベア13によって通常の搬送方向に搬送され、集合コンベア13の一端部から落下して非正規品排出シュート15に入り、非正規品排出先(例えば回収ボックス等)に排出される。
【0033】
なお、NG品を集合コンベア13で集めて非正規品排出シュート15から排出する場合には、集合コンベア13を停止させた状態で必要なプールカップ8aからNG品を落下させ、その後で集合コンベア13をNG品排出位置に移動し、さらにその後にベルト搬送を開始してNG品を非正規品排出シュート15に投入してもよい。しかしながら、集合コンベア13のベルト搬送を継続しながら、集合コンベア13自体をOK品排出位置からNG品排出位置に移動させ、集合コンベア13の一端部がNG品排出位置に達した時にNG品が非正規品排出シュート15に投入されるようにタイミングを図れば、NG品の排出に要する時間がより短くて済み、作業が効率的になる。
【0034】
単一種類の被計量物Wを計量して供給する本実施形態の組合せ計量装置1によれば、NG品排出位置とOK品排出位置が集合コンベア13の搬送方向に沿って隣接しており、集合コンベア13が搬送方向に移動して排出側の一端部をNG品排出位置とOK品排出位置の何れかに設定することができるため、OK品の排出作業を行いながら、時々必要になるNG品の排出を効率よく行うことができ、排出されたNG品を再利用に供することができる。
【0035】
なお、図2に示す第1実施形態において、正規品排出シュート14と非正規品排出シュート15の位置を入れ換え、OK品排出位置にある集合コンベア13をNG品排出位置に移動させる場合には、集合コンベア13を搬送方向の下流側に所定距離だけ移動するものとしてもよい。
【0036】
第2実施形態の組合せ計量装置1' を図3を参照して説明する。
図3に示す第2実施形態の組合せ計量装置1' は、集合コンベアの構成が第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同一であるため、第1実施形態と対応する図3中の構成部分には第1実施形態と同一の符号を付し、第1実施形態の説明を援用するものとする。
【0037】
図3に示すように、第2実施形態の組合せ計量装置1' の集合コンベア23は、その搬送方向の長さを変更することにより、被計量物W(OH品、NG品)が落下する一端部の位置を搬送方向に沿って変更し、OK品排出位置とNG品排出位置の何れかに設定することができる。
【0038】
図3に示すように、この集合コンベア23は、5個のローラR1〜R5にベルト24を掛け回した構造となっている。5個のローラR1〜R5のうち、一端部のローラR1と、ベルト24の回転方向について一端部のローラR1の下流側隣部のローラR2の2つが移動可能となっている。両ローラR1,R2は、一定の間隔を保ちつつ、油圧シリンダ又は空気圧シリンダ等の流体圧アクチュエータ25や、電動シリンダやモータ等の電動アクチュエータ25によって移動し、一端部のローラR1の位置をOK品排出位置(図3(a))とNG品排出位置(図3(b))の何れかに設定することができる。
【0039】
図3(a)は、集合コンベア23が通常の組合せ計量を行うOK品排出位置に設定された状態を示している。このとき、集合コンベア23による搬送方向の下流側である集合コンベア23の一端部(図示では左端部)の下方近傍(直下)に、正規品排出シュート14が設けられている。図3(b)は、集合コンベア23が、OK品排出位置から搬送方向の上流側に所定距離だけ移動したNG品排出位置に設定された状態を示している。このとき、集合コンベア23による搬送方向の下流側である集合コンベア23の一端部(図示では左端部)の下方近傍(直下)に、非正規品排出シュート15が設けられている。
本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
第3実施形態の組合せ計量装置1”を図4を参照して説明する。
図4に示す第3実施形態の組合せ計量装置1”は、第1実施形態の組合せ計量部7を2基有しており、これら2基の組合せ計量部7,7を集合コンベア13の搬送方向が対向するように隣接して並べた装置である。この組合せ計量装置1”は、各組合せ計量部7ごとに単一種類の被計量物Wを計量し、装置全体としては2種類の被計量物Wをミックスして目標重量範囲内として排出することができる。なお、以下の説明では、第1実施形態と対応する図4中の構成部分には第1実施形態と同一の符号を付し、第1実施形態の説明を援用するものとする。
【0041】
図4は、2つの組合せ計量部7,7にある2つの集合コンベア13,13が、通常の組合せ計量を行うOK品排出位置に設定された状態を示している。
図4において、左側の組合せ計量部7の集合コンベア13は、被計量物Wを図中左から右へと搬送する。すなわち、集合コンベア13の右側の一端部がOK品排出位置に設定されており、当該位置の下方に正規品排出シュート14がある。この集合コンベア13は、第1実施形態と同様、図示のOK品排出位置から、搬送方向の上流側(図中左側)に所定距離だけ離れたNG品排出位置に移動できる。NG品排出位置に移動したとき、集合コンベア13の一端部(図示では右端部)の下方近傍(直下)に、非正規品排出シュート15が設けられている。非正規品排出シュート15の下方には非正規品排出先が連通している。
【0042】
図4において、右側の組合せ計量部7の集合コンベア13は、被計量物Wを図中右から左へ搬送する。すなわち、左側の一端部がOK品排出位置に設定されており、当該位置の下方に正規品排出シュート14がある。2つの組合せ計量部7,7において正規品排出シュート14は共通であり、中央に配置された1個のみである。この集合コンベア13は、第1実施形態と同様、図示のOK品排出位置から、搬送方向の上流側(図中右側)に所定距離だけ離れたNG品排出位置に移動できる。NG品排出位置に移動したとき、集合コンベア13の一端部(図示では左端部)の下方近傍(直下)に、非正規品排出シュート15が設けられている。非正規品排出シュート15の下方には非正規品排出先が連通している。
【0043】
第3実施形態の組合せ計量装置1”で2種類の被計量物W(例えばカット肉とカット野菜)を組合せ計量してミックス品として排出する場合について説明する。2組の組合せ計量部7,7の一方において、各カップ列で計量されたカット野菜を適当な組合せで排出することにより、目標重量範囲内のカット野菜を集合コンベア13上に供給する。また、他方の組合せ計量部7において、各カップ列で計量されたカット肉を適当な組合せで排出することにより、目標重量範囲内のカット肉を集合コンベア13上に供給する。そして、2つの集合コンベア13,13で各被計量物Wを中央に向けて搬送し、目標重量範囲内にあるミックスした被計量物Wとして正規品排出シュート14に投入し、正規品排出先へ供給する。
【0044】
通常の組合せ計量が適正に行えない場合について説明する。各組合せ計量部7ごとに、8個のメモリカップ8cがそれぞれ貯容している被計量物Wをどのように組み合わせても、目標重量範囲内の被計量物Wが得られない場合には、組合せ計量部7の8個のメモリカップ8cが有している被計量物Wのうち、少なくとも一部の被計量品を、組合せから排除するために非正規品(NG品)として集合コンベア13に供給する。集合コンベア13に落下したNG品は、NG品排出位置に設定された集合コンベア13によって通常の搬送方向に搬送され、集合コンベア13の一端部から落下して非正規品排出シュート15に入り、非正規品排出先(例えば回収ボックス等)に排出される。
【0045】
複数種類の被計量物Wをミックスして供給する本実施形態の組合せ計量装置1”によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる他、特に振分けカップ等の分別機構を用いないコンパクトな構成でありながら、非正規品の被計量物Wを種類ごとに分別して効率よく排出でき、何れの被計量物Wも再利用に供することができる効果が得られる。
【0046】
なお、図4に示す第3実施形態において、正規品排出シュート14と非正規品排出シュート15を一つずつ設けるものとし、2組の組合せ計量部7,7は単一種類の被計量物Wを計量するものとしてもよい。この場合、図4において右側の非正規品排出シュート15を残してもよいし、左側の非正規品排出シュート15を残してもよい。このように単一種類の被計量物Wを計量する1台の組合せ計量装置において短い2本のコンベアを用いた構成とすれば被計量物Wの組合せの数を増やすことが可能となるため被計量物Wが目標重量範囲内に入る組合せが成立する可能性が高まり、従って計量済みの被計量物WがNG品として排出される可能性が低くなり、被計量物Wの歩留りが向上する。この構成によれば、被計量物WをNG品として排出する場合には、NG排出先は一つなので、2つの集合コンベア13を同一方向に移動させてOK品排出位置からNG品排出位置に移動してNG品の排出を行う。
【符号の説明】
【0047】
1,1’,1”…組合せ計量装置
2…供給部
7…組合せ計量部
8…カップ
8a…プールカップ
8b…計量カップ
8c…メモリカップ
12…集合排出部
13,23…集合コンベア
OK…正規品排出先
NG…非正規品排出先
W…被計量物
図1
図2
図3
図4