特許第6971937号(P6971937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6971937連動表データ生成装置および連動表データ生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971937
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】連動表データ生成装置および連動表データ生成方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 19/06 20060101AFI20211111BHJP
   B61L 27/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   B61L19/06
   B61L27/00 K
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-159356(P2018-159356)
(22)【出願日】2018年8月28日
(65)【公開番号】特開2020-32801(P2020-32801A)
(43)【公開日】2020年3月5日
【審査請求日】2020年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】木下 昌洋
(72)【発明者】
【氏名】高見 敦
【審査官】 橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−168559(JP,A)
【文献】 特開2008−179266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00−3/12
7/00−13/00
15/00−58/40
B61L 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道用の連動装置で使用される連動表データを生成する連動表データ生成装置であって、
第1のエリアを対象とする第1の連動表データを取得する取得部と、
前記第1のエリアをエリアが重複しない第2のエリアおよび第3のエリアに分割する位置を示すものであって、前記第1のエリアを前記第2のエリアおよび前記第3のエリアに分割したときの境界において、前記第2のエリアに所属する軌道回路、および前記第3のエリアに所属する軌道回路の情報を示す境界情報を受け付ける受付部と、
前記境界情報を用いて、前記第1の連動表データから、前記第2のエリアを対象とする第2の連動表データ、および前記第3のエリアを対象とする第3の連動表データを生成する生成部と、
を備えることを特徴とする連動表データ生成装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記境界情報を用いて、前記第1の連動表データに記載されている軌道回路が、前記第2のエリアに所属するか、または前記第3のエリアに所属するかを決定し、
前記軌道回路の所属エリアの情報を用いて、前記第1の連動表データに記載されている設備であって前記軌道回路に関連する設備が、前記第2のエリアに所属するか、または前記第3のエリアに所属するか、または前記第2のエリアおよび前記第3のエリアの両方に所属するかを決定し、
前記第1の連動表データに記載されている前記軌道回路を、前記第2の連動表データ、または前記第3の連動表データに振り分け、前記第1の連動表データに記載されている前記設備を、前記第2の連動表データ、または前記第3の連動表データ、または前記第2の連動表データおよび前記第3の連動表データの両方に振り分け、前記第2の連動表データおよび前記第3の連動表データを生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の連動表データ生成装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記第1の連動表データに記載されている前記軌道回路の接続情報に基づいて、前記境界情報で示される前記第2のエリアに所属する軌道回路および前記第3のエリアに所属する軌道回路を他のエリアと隣接する境界軌道回路とし、前記境界軌道回路を始点として、前記境界軌道回路に隣接する軌道回路の所属エリアを決定し、所属エリアを決定した軌道回路に隣接する軌道回路の所属エリアを決定する動作を繰り返し実施する、
ことを特徴とする請求項2に記載の連動表データ生成装置。
【請求項4】
前記境界情報を第1の境界情報とし、
前記受付部は、前記第2のエリアを第4のエリアおよび第5のエリアに分割する第2の境界情報を受け付け、
前記生成部は、前記第2の境界情報を用いて、前記第2の連動表データから、前記第4のエリアを対象とする第4の連動表データ、および前記第5のエリアを対象とする第5の連動表データを生成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の連動表データ生成装置。
【請求項5】
鉄道用の連動装置で使用される連動表データを生成する連動表データ生成装置の連動表データ生成方法であって、
取得部が、第1のエリアを対象とする第1の連動表データを取得する取得ステップと、
受付部が、前記第1のエリアをエリアが重複しない第2のエリアおよび第3のエリアに分割する位置を示すものであって、前記第1のエリアを前記第2のエリアおよび前記第3のエリアに分割したときの境界において、前記第2のエリアに所属する軌道回路、および前記第3のエリアに所属する軌道回路の情報を示す境界情報を受け付ける受付ステップと、
生成部が、前記境界情報を用いて、前記第1の連動表データから、前記第2のエリアを対象とする第2の連動表データ、および前記第3のエリアを対象とする第3の連動表データを生成する生成ステップと、
を含むことを特徴とする連動表データ生成方法。
【請求項6】
前記生成ステップにおいて、前記生成部は、前記境界情報を用いて、前記第1の連動表データに記載されている軌道回路が、前記第2のエリアに所属するか、または前記第3のエリアに所属するかを決定し、
前記軌道回路の所属エリアの情報を用いて、前記第1の連動表データに記載されている設備であって前記軌道回路に関連する設備が、前記第2のエリアに所属するか、または前記第3のエリアに所属するか、または前記第2のエリアおよび前記第3のエリアの両方に所属するかを決定し、
前記第1の連動表データに記載されている前記軌道回路を、前記第2の連動表データ、または前記第3の連動表データに振り分け、前記第1の連動表データに記載されている前記設備を、前記第2の連動表データ、または前記第3の連動表データ、または前記第2の連動表データおよび前記第3の連動表データの両方に振り分け、前記第2の連動表データおよび前記第3の連動表データを生成する、
ことを特徴とする請求項5に記載の連動表データ生成方法。
【請求項7】
前記生成ステップにおいて、前記生成部は、前記第1の連動表データに記載されている前記軌道回路の接続情報に基づいて、前記境界情報で示される前記第2のエリアに所属する軌道回路および前記第3のエリアに所属する軌道回路を他のエリアと隣接する境界軌道回路とし、前記境界軌道回路を始点として、前記境界軌道回路に隣接する軌道回路の所属エリアを決定し、所属エリアを決定した軌道回路に隣接する軌道回路の所属エリアを決定する動作を繰り返し実施する、
ことを特徴とする請求項6に記載の連動表データ生成方法。
【請求項8】
前記境界情報を第1の境界情報とし、
前記受付ステップにおいて、前記受付部は、前記第2のエリアを第4のエリアおよび第5のエリアに分割する第2の境界情報を受け付け、
前記生成ステップにおいて、前記生成部は、前記第2の境界情報を用いて、前記第2の連動表データから、前記第4のエリアを対象とする第4の連動表データ、および前記第5のエリアを対象とする第5の連動表データを生成する、
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1つに記載の連動表データ生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用の連動装置で使用される連動表データを生成する連動表データ生成装置および連動表データ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅構内などにおいて、列車の衝突を防止しつつ列車を効率良く走行させるため、列車に対する進路の割り当て、転てつ器の切り換え、信号機の現示などを制御する連動処理を行う連動装置がある。連動装置には、電気的なリレー回路で連動論理を実行する継電連動装置、および計算機がデータに基づいて連動処理を行なう電子連動装置があるが、ここでは後者の電子連動装置を想定している。連動装置に連動処理を実行させるには、連動処理の内容が記載された連動論理データが必要となる。連動論理データは、一般的に、対象のエリアにある設備を図で表した配線図、および対象のエリアにある設備間の相互関係などを示す連動表データからなる。対象となる駅構内などのエリアで列車の進行方向が複数想定される場合、連動表データは複雑になる。そのため、人間が連動表データを作成する場合、連動表データの作成作業および検証作業に膨大な労力と時間がかかっていた。
【0003】
このような問題に対して、特許文献1には、連動図表の情報を用いて、人間の判断が不要な部分については連動表データを自動生成し、人間の判断が必要な部分については人間の判断を受け付けて連動表データを生成することで、連動表データを生成する際の作成作業および検証作業を大幅に省力化するとともに、人間による単純なミスを低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−81090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、1つの連動装置が行っていた連動処理の対象エリアを複数のエリアに分割し、エリア毎に連動装置を配置して連動処理を行わせることが求められている。従来は、連動処理の対象エリアで工事を行う場合、対象エリア全域で連動装置による連動処理を停止していた。対象エリアを分割することによって、工事が行われるエリアのみ連動装置による連動処理を停止し、工事をしていない他のエリアでは、連動装置による連動処理を継続することができる。
【0006】
しかしながら、一般的に、連動表データの元の情報となる連動図表の情報は1つの駅に対して1つ作成されている。特許文献1の手法で連動表データを生成するためには、分割されるエリアに対応した連動図表を用意する必要があり、エリア毎の連動図表の作成作業および検証作業に時間がかかってしまう、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、鉄道用の連動装置で使用される連動表データの対象のエリアを分割した各エリア用の連動表データを生成可能な連動表データ生成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、鉄道用の連動装置で使用される連動表データを生成する連動表データ生成装置である。連動表データ生成装置は、第1のエリアを対象とする第1の連動表データを取得する取得部と、第1のエリアをエリアが重複しない第2のエリアおよび第3のエリアに分割する位置を示すものであって、第1のエリアを第2のエリアおよび第3のエリアに分割したときの境界において、第2のエリアに所属する軌道回路、および第3のエリアに所属する軌道回路の情報を示す境界情報を受け付ける受付部と、境界情報を用いて、第1の連動表データから、第2のエリアを対象とする第2の連動表データ、および第3のエリアを対象とする第3の連動表データを生成する生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、連動表データ生成装置は、鉄道用の連動装置で使用される連動表データの対象のエリアを分割した各エリア用の連動表データを生成できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】連動表データ生成装置の構成例を示すブロック図
図2】連動表データ生成装置の取得部で取得される第1の連動表データに対応する第1のエリアの配線図の例を示す図
図3】連動表データ生成装置の取得部で取得される第1の連動表データの例を示す図
図4】連動表データ生成装置の受付部で受け付けられる境界情報の例を示す図
図5】連動表データ生成装置が1つの連動表データから2つの連動表データを生成する動作を示すフローチャート
図6】連動表データ生成装置の生成部が第1の連動表データに記載されている全設備の所属エリアを決定する動作を示すフローチャート
図7】連動表データ生成装置の生成部が軌道回路の所属エリアを決定する動作を示すフローチャート
図8】連動表データ生成装置の生成部が決定した軌道回路の所属エリアの例を示す図
図9】連動表データ生成装置の生成部が軌道回路以外の他の設備の所属エリアを決定する動作を示すフローチャート
図10】連動表データ生成装置の生成部が決定した発点の所属エリアの例を示す図
図11】連動表データ生成装置の生成部が決定した着点の所属エリアの例を示す図
図12】連動表データ生成装置の生成部が決定した転てつ器の所属エリアの例を示す図
図13】連動表データ生成装置の生成部が決定した進路の所属エリアの例を示す図
図14】連動表データ生成装置の生成部が決定した信号機の所属エリアの例を示す図
図15】連動表データ生成装置の生成部が決定した区分鎖錠の所属エリアの例を示す図
図16】連動表データ生成装置の生成部が第2の連動表データおよび第3の連動表データを生成する動作を示すフローチャート
図17】連動表データ生成装置で生成される第2の連動表データの対象エリアである第2のエリアの配線図、および第3の連動表データの対象エリアである第3のエリアの配線図を示す図
図18】連動表データ生成装置の生成部で生成される第2のエリアを対象とする第2の連動表データの例を示す図
図19】連動表データ生成装置の生成部で生成される第3のエリアを対象とする第3の連動表データの例を示す図
図20】連動表データ生成装置が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の例を示す図
図21】連動表データ生成装置が備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態に係る連動表データ生成装置および連動表データ生成方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る連動表データ生成装置10の構成例を示すブロック図である。連動表データ生成装置10は、図示しない鉄道用の連動装置で使用される連動表データを生成する。具体的には、連動表データ生成装置10は、第1のエリアを対象とする第1の連動表データから、第1のエリアを2つに分割した一方の第2のエリアを対象とする第2の連動表データ、および第1のエリアを2つに分割した他方の第3のエリアを対象とする第3の連動表データを生成する。例えば、第1のエリアが、ある駅を含む上り線および下り線の線路を含むエリアの場合、第2のエリアは上り線の線路を含むエリア、第3のエリアは下り線の線路を含むエリアとなる。なお、エリアの分割方法は一例であり、これに限定されない。連動表データ生成装置10は、取得部11と、受付部12と、生成部13と、出力部14と、を備える。
【0013】
取得部11は、鉄道用の連動装置で使用される連動表データであって、第1のエリアを対象とする第1の連動表データを取得する。第1の連動表データは、鉄道会社などから取得された連動図表の情報に基づいて、連動装置のメーカーの作業者などによって生成された連動表データである。連動表データは、配線図とともに連動論理データを構成するデータである。
【0014】
図2は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の取得部11で取得される第1の連動表データに対応する第1のエリアの配線図の例を示す図である。図2で示される配線図は、第1のエリアを対象とした配線図である。図2の配線図において、(D1T)、(1RAT)など()で示されるものは軌道回路である。また、32、33など3本線の記号と一緒に示されるものは転てつ器である。なお、31イおよび31ロは、連動して動く1つの転てつ器である。また、2L、32Lなど右向きまたは左向きの三角形と一緒に示されるものは図示しない列車の進路の発点である。また、A、Bなど丸で囲まれたものは列車の進路の着点である。また、発点の付近で丸または扇形が含まれる記号で示されるものは当該記号で示される列車の進路に対応する信号機である。なお、列車の進路は、発点および着点の組み合わせによって示される。例えば、進路1RAは、発点が1R、着点がAであることを示している。また、図2において、上りおよび下りの方向は限定されず、右方向が上り方向で左方向が下り方向、または右方向が下り方向で左方向が上り方向となる。
【0015】
図3は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の取得部11で取得される第1の連動表データの例を示す図である。図3の第1の連動表データにおいて、場内、出発などの種別は、次の進路の種別を示す。進路は、次の発点および着点で示されるものである。発点は、図2において右向きまたは左向きの三角形で示されるものである。着点は、図2において丸で囲まれたA、Bなどで示されるものである。信号機は、図2において発点の付近で丸または扇形が含まれる記号で示されるものである。転てつ器は、図2において3本線の記号と一緒に示されるものである。なお、図3の表記において、<>が付いていないものは図2において3本線がある定位方向を示し、<>が付いているものは図2において3本線がない反位方向を示している。軌道回路は、図2において()で示されるものであり、該当する進路の信号機で防護される区間を示している。接近区間は、図2において発点のある軌道回路を含む、該当する進路の信号機で防護されない外方の区間を示している。区分鎖錠は、進路内にある転てつ器を鎖錠または解錠するための機構であり、ここでは、各進路で通過する転てつ器が存在する軌道回路、転てつ器が存在する軌道回路の1つ手前の軌道回路、転てつ器が存在する軌道回路の1つ前方の軌道回路によって区分鎖錠を定義している。区分鎖錠の例については後述するが、図3では記載を省略している。
【0016】
図2の配線図および図3の第1の連動表データで示される論理連動データの内容は一般的なものであり、従来と同様のものである。図3で示される第1の連動表データについては、人間が生成したものでもよいし、連動表データを生成する装置によって生成されたものでもよい。
【0017】
受付部12は、第1のエリアを第2のエリアおよび第3のエリアに分割する位置を示す境界情報を受け付ける。図4は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の受付部12で受け付けられる境界情報の例を示す図である。境界情報は、第1のエリアを第2のエリアおよび第3のエリアに分割したときの境界において、第2のエリアに所属する軌道回路、および第3のエリアに所属する軌道回路の情報を示すものである。本実施の形態では、第2のエリアおよび第3のエリアの境界は、軌道回路を跨がないこととする。図4に示す例では、境界情報として、第2のエリアに所属する軌道回路が軌道回路31T、第3のエリアに所属する軌道回路が軌道回路32Tであることを示している。すなわち、図4に示す境界情報は、第2のエリアおよび第3のエリアの境界は、軌道回路31Tと軌道回路32Tとの接続部分であることを示している。境界情報で示される軌道回路、図4の例では、軌道回路31T,32Tを境界軌道回路とする。なお、連動表データ生成装置10では、取得部11および受付部12をまとめて1つの構成にし、第1の連動表データおよび境界情報を取得してもよい。
【0018】
生成部13は、受付部12で受け付けられた境界情報を用いて、第1の連動表データから、第2のエリアを対象とする第2の連動表データ、および第3のエリアを対象とする第3の連動表データを生成する。生成部13の動作の詳細については後述する。
【0019】
出力部14は、生成部13で生成された第2の連動表データおよび第3の連動表データを出力する。第2の連動表データおよび第3の連動表データは、内容は異なるが、第1の連動表データと同様のデータ構成をしている。そのため、第1の連動表データを用いて連動処理を実行可能な連動装置であれば、第2の連動表データを用いて連動処理を実行し、第3の連動表データを用いて連動処理を実行することが可能である。
【0020】
つぎに、連動表データ生成装置10の動作について説明する。図5は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10が1つの連動表データから2つの連動表データを生成する動作を示すフローチャートである。まず、連動表データ生成装置10において、取得部11は、第1のエリアを対象とする第1の連動表データを取得する(ステップS1)。具体的には、取得部11は、通信または記憶媒体を介して、第1の連動表データを取得する。受付部12は、第1のエリアを第2のエリアおよび第3のエリアに分割する位置を示す境界情報を受け付ける(ステップS2)。具体的には、受付部12は、通信または記憶媒体を介して、境界情報を受け付ける。受付部12は、ユーザの手入力によって、境界情報を受け付けてもよい。
【0021】
生成部13は、境界情報を用いて、第1の連動表データに記載されている全設備の所属エリアを決定する(ステップS3)。生成部13によるステップS3の動作について詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が第1の連動表データに記載されている全設備の所属エリアを決定する動作を示すフローチャートである。生成部13は、第1の連動表データに記載されている設備のうち、軌道回路の所属エリアを決定する(ステップS11)。生成部13による軌道回路の所属エリアを決定するステップS11の動作について詳細に説明する。図7は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が軌道回路の所属エリアを決定する動作を示すフローチャートである。生成部13は、境界情報を用いて、第1の連動表データに記載されている軌道回路が、第2のエリアに所属するか、または第3のエリアに所属するかを決定する。
【0022】
生成部13は、第2のエリアの境界軌道回路を選択する(ステップS21)。生成部13は、前述の図2および図4の例では、軌道回路31Tを選択する。生成部13は、軌道回路31Tの所属エリアは第2のエリアと決定する(ステップS22)。生成部13は、軌道回路31Tに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。前述のように軌道回路の接続情報は第1の連動表データに含まれているため、生成部13は、第1の連動表データから上り方向で隣接する軌道回路、および下り方向で隣接する軌道回路の情報を取得する。生成部13は、図2および図4の例では、第3のエリアの境界軌道回路以外の、軌道回路1RBT,1RAT,D1Tの情報を取得する。なお、第2のエリアに含まれる軌道回路の数は有限である。そのため、生成部13は、以降のステップS23の動作において、対象とする軌道回路に隣接する軌道回路の情報を取得できない場合がある。生成部13は、隣接する軌道回路の情報を取得できたことから(ステップS24:Yes)、まず、軌道回路1RBTを選択する。生成部13は、軌道回路1RBTは第3のエリアの境界軌道回路ではないことから(ステップS25:No)、軌道回路1RBTの所属エリアは第2のエリアと決定する(ステップS22)。なお、生成部13は、既に所属エリアを決定済みの軌道回路について重複して決定する必要はないので、所属エリアを決定済みか否かの重複チェックを併せて行う。以降においても同様とする。
【0023】
生成部13は、軌道回路1RBTに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。生成部13は、図2および図4の例では、軌道回路1RBTに隣接する軌道回路41Tの情報を取得する。生成部13は、隣接する軌道回路の情報を取得でき(ステップS24:Yes)、軌道回路41Tは第3のエリアの境界軌道回路ではないことから(ステップS25:No)、軌道回路41Tの所属エリアは第2のエリアと決定する(ステップS22)。
【0024】
生成部13は、軌道回路41Tに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。生成部13は、図2および図4の例では、軌道回路41Tに隣接する軌道回路5RTの情報を取得する。生成部13は、隣接する軌道回路の情報を取得でき(ステップS24:Yes)、軌道回路5RTは第3のエリアの境界軌道回路ではないことから(ステップS25:No)、軌道回路41Tの所属エリアは第2のエリアと決定する(ステップS22)。
【0025】
生成部13は、軌道回路5RTに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。生成部13は、図2および図4の例では、軌道回路5RTに隣接する軌道回路はなく、隣接する軌道回路の情報を取得できないことから(ステップS24:No)、既に隣接する軌道回路の情報として取得済みで所属エリアを決定していない軌道回路があるか否かを判定する(ステップS26)。生成部13は、軌道回路1RAT,D1Tがあるので(ステップS26:Yes)、軌道回路1RATを選択する(ステップS27)。生成部13は、軌道回路1RATは第3のエリアの境界軌道回路ではないことから(ステップS25:No)、軌道回路1RATの所属エリアは第2のエリアと決定する(ステップS22)。
【0026】
生成部13は、軌道回路1RATに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。生成部13は、図2および図4の例では、軌道回路1RATに隣接する軌道回路41Tの情報を取得する。生成部13は、隣接する軌道回路の情報を取得でき(ステップS24:Yes)、軌道回路41Tは第3のエリアの境界軌道回路ではないが(ステップS25:No)、軌道回路41Tの所属エリアは第2のエリアと決定済みのため、ステップS22の動作は省略する。
【0027】
生成部13は、軌道回路41Tに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。生成部13は、図2および図4の例では、軌道回路41Tに隣接する軌道回路5RTの情報を取得する。生成部13は、隣接する軌道回路の情報を取得でき(ステップS24:Yes)、軌道回路5RTは第3のエリアの境界軌道回路ではないが(ステップS25:No)、軌道回路5RTの所属エリアは第2のエリアと決定済みのため、ステップS22の動作は省略する。
【0028】
生成部13は、軌道回路5RTに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。生成部13は、図2および図4の例では、軌道回路5RTに隣接する軌道回路はなく、隣接する軌道回路の情報を取得できないことから(ステップS24:No)、既に隣接する軌道回路の情報として取得済みで所属エリアを決定していない軌道回路があるか否かを判定する(ステップS26)。生成部13は、軌道回路D1Tがあるので(ステップS26:Yes)、軌道回路D1Tを選択する(ステップS27)。生成部13は、軌道回路D1Tは第3のエリアの境界軌道回路ではないことから(ステップS25:No)、軌道回路D1Tの所属エリアは第2のエリアと決定する(ステップS22)。
【0029】
生成部13は、軌道回路D1Tに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS23)。生成部13は、図2および図4の例では、軌道回路D1Tに隣接する軌道回路はなく、隣接する軌道回路の情報を取得できないことから(ステップS24:No)、既に隣接する軌道回路の情報として取得済みで所属エリアを決定していない軌道回路があるか否かを判定する(ステップS26)。生成部13は、既に隣接する軌道回路の情報として取得済みで所属エリアを決定していない軌道回路はないので(ステップS26:No)、第2のエリアの境界軌道回路を選択する(ステップS21)。生成部13は、図2および図4の例では、第2のエリアにおいて境界軌道回路は軌道回路31Tのみであることから、全て選択したとして、ステップS21からステップS27までの動作を終了してステップS28の動作に進む。
【0030】
生成部13は、第3のエリアの境界軌道回路を選択する(ステップS28)。生成部13は、前述の図2および図4の例では、軌道回路32Tを選択する。生成部13は、軌道回路32Tの所属エリアは第3のエリアと決定する(ステップS29)。生成部13は、軌道回路32Tに隣接する軌道回路の情報を取得する(ステップS30)。前述のように軌道回路の接続情報は第1の連動表データに含まれているため、生成部13は、第1の連動表データから上り方向で隣接する軌道回路、および下り方向で隣接する軌道回路の情報を取得する。生成部13は、図2および図4の例では、第2のエリアの境界軌道回路以外の、軌道回路3LT,7LCT,7LDTの情報を取得する。なお、第3のエリアに含まれる軌道回路の数は有限である。そのため、生成部13は、以降のステップS30の動作において、対象とする軌道回路に隣接する軌道回路の情報を取得できない場合がある。生成部13は、隣接する軌道回路の情報を取得できたことから(ステップS31:Yes)、まず、軌道回路3LTを選択する。生成部13は、軌道回路3LTは第2のエリアの境界軌道回路ではないことから(ステップS32:No)、軌道回路3LTの所属エリアは第3のエリアと決定する(ステップS29)。
【0031】
生成部13は、ステップS28からステップS34において、ステップS21からステップS27までと同様の動作を行う。図8は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が決定した軌道回路の所属エリアの例を示す図である。生成部13は、図6に示すフローチャートのステップS11、すなわち図7に示すフローチャートの動作によって、軌道回路31T,1RBT,41T,5RT,1RAT,D1Tは第2のエリアに所属すると決定し、軌道回路32T,3LT,7LCT,42T,U1T,7LDTは第3のエリアに所属すると決定する。このように、生成部13は、第1の連動表データに記載されている軌道回路の接続情報に基づいて、境界情報で示される他のエリアと隣接する軌道回路である境界軌道回路を始点として、隣接する軌道回路の所属エリアを決定し、所属エリアを決定した軌道回路に隣接する軌道回路の所属エリアを決定する動作を繰り返し実施する。
【0032】
図6のフローチャートの説明に戻る。生成部13は、ステップS11の動作の後、軌道回路の所属エリアの情報を用いて、第1の連動表データに記載されている軌道回路以外の他の設備の所属エリアを決定する。具体的には、生成部13は、発点の所属エリアを決定する(ステップS12)。生成部13による発点の所属エリアを決定するステップS12の動作について詳細に説明する。図9は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が軌道回路以外の他の設備の所属エリアを決定する動作を示すフローチャートである。生成部13は、軌道回路の所属エリアの情報を用いて、第1の連動表データに記載されている設備であって軌道回路に関連する設備が、第2のエリアに所属するか、または第3のエリアに所属するか、または第2のエリアおよび第3のエリアの両方に所属するかを決定する。
【0033】
生成部13は、設備として発点を順次選択する。まず、生成部13は、発点1Rを選択する(ステップS41)。生成部13は、発点1Rに関係する軌道回路の情報を取得する(ステップS42)。具体的には、生成部13は、図2に示す第1の連動表データの接近区間の項目を参照し、発点1Rに関係する軌道回路として、軌道回路D1Tの情報を取得する。生成部13は、取得した軌道回路の情報に基づいて、発点1Rの所属エリアを決定する(ステップS43)。具体的には、生成部13は、発点1Rは軌道回路D1Tと同じ第2のエリアに所属すると決定する。以降、生成部13は、発点を順次選択し、同様の動作を繰り返し実施する。図10は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が決定した発点の所属エリアの例を示す図である。生成部13は、図6に示すフローチャートのステップS12、すなわち図9に示すフローチャートの動作によって、発点1R,32L,5R,6R,2Lは第2のエリアに所属すると決定し、発点3L,4L,7L,33L,34L,31Rは第3のエリアに所属すると決定する。
【0034】
図6のフローチャートの説明に戻る。生成部13は、軌道回路の所属エリアの情報を用いて、着点の所属エリアを決定する(ステップS13)。生成部13は、前述の図9のフローチャートを用いて着点の所属エリアを決定する。
【0035】
生成部13は、設備として着点を順次選択する。まず、生成部13は、着点Aを選択する(ステップS41)。生成部13は、着点Aに関係する軌道回路の情報を取得する(ステップS42)。具体的には、生成部13は、図2に示す第1の連動表データの軌道回路の項目を参照し、着点Aに関係する軌道回路として、一番右側に記載されている軌道回路1RATの情報を取得する。生成部13は、取得した軌道回路の情報に基づいて、着点Aの所属エリアを決定する(ステップS43)。具体的には、生成部13は、着点Aは軌道回路1RATと同じ第2のエリアに所属すると決定する。以降、生成部13は、着点を順次選択し、同様の動作を繰り返し実施する。図11は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が決定した着点の所属エリアの例を示す図である。生成部13は、図6に示すフローチャートのステップS13、すなわち図9に示すフローチャートの動作によって、着点A,B,Fは第2のエリアに所属すると決定し、着点C,D,Eは第3のエリアに所属すると決定する。
【0036】
図6のフローチャートの説明に戻る。生成部13は、軌道回路の所属エリアの情報を用いて、転てつ器の所属エリアを決定する(ステップS14)。生成部13は、前述の図9のフローチャートを用いて転てつ器の所属エリアを決定する。
【0037】
生成部13は、設備として転てつ器を順次選択する。まず、生成部13は、転てつ器41を選択する(ステップS41)。生成部13は、転てつ器41に関係する軌道回路の情報を取得する(ステップS42)。具体的には、生成部13は、図2に示す第1の連動表データの着点、転てつ器、および軌道回路の項目を参照し、着点は転てつ器のある軌道回路に設定されていないことをふまえて、転てつ器41に関係する軌道回路として軌道回路41Tの情報を取得する。生成部13は、取得した軌道回路の情報に基づいて、転てつ器41の所属エリアを決定する(ステップS43)。具体的には、生成部13は、転てつ器41は軌道回路41Tと同じ第2のエリアに所属すると決定する。以降、生成部13は、転てつ器を順次選択し、同様の動作を繰り返し実施する。図12は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が決定した転てつ器の所属エリアの例を示す図である。生成部13は、図6に示すフローチャートのステップS14、すなわち図9に示すフローチャートの動作によって、転てつ器41,32は第2のエリアに所属すると決定し、転てつ器33,42は第3のエリアに所属すると決定し、転てつ器31はエリア跨り、すなわち第2にエリアおよび第3のエリアに跨って両方のエリアに所属していると決定する。
【0038】
図6のフローチャートの説明に戻る。生成部13は、軌道回路の所属エリアの情報を用いて、進路の所属エリアを決定する(ステップS15)。生成部13は、前述の図9のフローチャートを用いて進路の所属エリアを決定する。
【0039】
生成部13は、設備として進路を順次選択する。まず、生成部13は、進路1RAを選択する(ステップS41)。生成部13は、進路1RAに関係する軌道回路の情報を取得する(ステップS42)。具体的には、生成部13は、図2に示す第1の連動表データの発点および着点の項目を参照し、進路1RAの発点1Rおよび着点Aに関係する軌道回路として、軌道回路D1T,31T,1RATの情報を取得する。生成部13は、取得した軌道回路の情報に基づいて、進路1RAの所属エリアを決定する(ステップS43)。具体的には、生成部13は、進路1RAに関係する軌道回路D1T,31T,1RATは全て第2のエリアに所属することから、進路1RAは第2のエリアに所属すると決定する。以降、生成部13は、進路を順次選択し、同様の動作を繰り返し実施する。図13は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が決定した進路の所属エリアの例を示す図である。生成部13は、図6に示すフローチャートのステップS15、すなわち図9に示すフローチャートの動作によって、進路1RA,1RB,5RF,6RFは第2のエリアに所属すると決定し、進路3LE,4LE,7LC,7LD,31RC,31RD,33LE,34LEは第3のエリアに所属すると決定し、進路2LE,31RA,31RB,32LEはエリア跨り、すなわち第2にエリアおよび第3のエリアに跨って両方のエリアに所属していると決定する。
【0040】
図6のフローチャートの説明に戻る。生成部13は、軌道回路の所属エリアの情報を用いて、信号機の所属エリアを決定する(ステップS16)。生成部13は、前述の図9のフローチャートを用いて信号機の所属エリアを決定する。
【0041】
生成部13は、設備として信号機を順次選択する。まず、生成部13は、信号機1RAを選択する(ステップS41)。生成部13は、信号機1RAに関係する軌道回路の情報を取得する(ステップS42)。具体的には、生成部13は、図2に示す第1の連動表データの発点および着点の項目を参照し、信号機1RAに対応する発点1Rおよび着点Aに関係する軌道回路として、軌道回路D1T,31T,1RATの情報を取得する。生成部13は、取得した軌道回路の情報に基づいて、信号機1RAの所属エリアを決定する(ステップS43)。具体的には、生成部13は、信号機1RAに関係する軌道回路D1T,31T,1RATは全て第2のエリアに所属することから、信号機1RAは第2のエリアに所属すると決定する。以降、生成部13は、信号機を順次選択し、同様の動作を繰り返し実施する。図14は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が決定した信号機の所属エリアの例を示す図である。生成部13は、図6に示すフローチャートのステップS16、すなわち図9に示すフローチャートの動作によって、信号機1RA,1RB,5R,6Rは第2のエリアに所属すると決定し、信号機3L,4L,7LC,7LD,33L,34Lは第3のエリアに所属すると決定し、信号機32L,31R,2Lはエリア跨り、すなわち第2にエリアおよび第3のエリアに跨って両方のエリアに所属していると決定する。なお、生成部13は、信号機の所属エリアを決定する前に、進路の所属エリアを決定している。そのため、生成部13は、進路の所属エリアに基づいて、信号機の所属エリアを決定してもよい。この場合、生成部13は、信号機に関連する進路にエリア跨りのものがあれば当該信号機はエリア跨りとし、信号機に関連する進路にエリア跨りのものが無ければ、進路の所属エリアに応じて当該信号機は第2のエリアまたは第3のエリアに所属しているとする。
【0042】
図6のフローチャートの説明に戻る。生成部13は、軌道回路の所属エリアの情報を用いて、区分鎖錠の所属エリアを決定する(ステップS17)。生成部13は、前述の図9のフローチャートを用いて信号機の所属エリアを決定する。
【0043】
生成部13は、設備として区分鎖錠を順次選択する。まず、生成部13は、区分鎖錠(31T)D1T>1RATを選択する(ステップS41)。なお、区分鎖錠の表記については、「(転てつ器が存在する軌道回路)転てつ器が存在する軌道回路の1つ手前の軌道回路>転てつ器が存在する軌道回路の1つ前方の軌道回路」とする。生成部13は、区分鎖錠(31T)D1T>1RATに関係する軌道回路の情報を取得する(ステップS42)。具体的には、生成部13は、区分鎖錠で示される3つの軌道回路31T,D1T,1RATの情報を取得する。生成部13は、取得した軌道回路の情報に基づいて、区分鎖錠(31T)D1T>1RATの所属エリアを決定する(ステップS43)。具体的には、生成部13は、区分鎖錠(31T)D1T>1RATに関係する軌道回路31T,D1T,1RATは全て第2のエリアに所属することから、区分鎖錠(31T)D1T>1RATは第2のエリアに所属すると決定する。以降、生成部13は、区分鎖錠を順次選択し、同様の動作を繰り返し実施する。図15は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が決定した区分鎖錠の所属エリアの例を示す図である。生成部13は、図6に示すフローチャートのステップS17、すなわち図9に示すフローチャートの動作によって、区分鎖錠(31T)D1T>1RAT,(31T)D1T>1RBT,(41T)1RAT>5RT,(41T)1RBT>5RTは第2のエリアに所属すると決定し、区分鎖錠(42T)U1T>7LCT,(42T)U1T>7LDT,(32T)3LT>7LCT,(32T)3LT>7LDT,(32T)7LCT>3LT,(32T)7LDT>3LTは第3のエリアに所属すると決定し、区分鎖錠(31T)32T>1RAT,(32T)3LT>31T,(31T)32T>1RBT,(31T)1RAT>32T,(32T)31T>3LTはエリア跨り、すなわち第2のエリアおよび第3のエリアに跨って両方のエリアに所属していると決定する。以上の動作によって、図5のフローチャートのステップS3の動作が終了する。
【0044】
図5のフローチャートの説明に戻る。生成部13は、決定した各設備の所属エリアに基づいて、第2のエリア用の第2の連動表データ、および第3のエリア用の第3の連動表データを生成する(ステップS4)。生成部13によるステップS4の動作について詳細に説明する。図16は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13が第2の連動表データおよび第3の連動表データを生成する動作を示すフローチャートである。生成部13は、第1の連動表データに記載されている軌道回路を、第2の連動表データ、または第3の連動表データに振り分ける。また、生成部13は、第1の連動表データに記載されている設備を、第2の連動表データ、または第3の連動表データ、または第2の連動表データおよび第3の連動表データの両方に振り分ける。生成部13は、第1の連動表データに記載されている軌道回路および設備を上記のように振り分けることによって、第2の連動表データおよび第3の連動表データを生成する。
【0045】
生成部13は、ステップS3、すなわち図6図7、および図9に示すフローチャートの動作によって所属エリアが決定された設備から1つを選択する(ステップS51)。生成部13は、例えば、軌道回路の12個、発点の11個、着点の6個などの順に設備を順次選択する。生成部13は、選択した設備が両方のエリア、すなわち第2のエリアおよび第3のエリアに所属している場合(ステップS52:Yes)、当該設備に制約条件を付加し(ステップS53)、当該設備の情報を両方のエリアの連動表データ、すなわち第2のエリアの第2の連動表データおよび第3のエリアの第3の連動表データに出力する(ステップS54)。制約条件とは、例えば、一方のエリアで連動処理が停止している場合、他方のエリアの設備も使用できないようにすることであるが、これに限定されない。
【0046】
生成部13は、選択した設備が両方のエリアに所属しておらず(ステップS52:No)、第2のエリアに所属している場合(ステップS55:Yes)、当該設備の情報を第2のエリアの第2の連動表データに出力する(ステップS56)。生成部13は、選択した設備が第2のエリアに所属しておらず(ステップS55:No)、第3のエリアに所属している場合(ステップS57:Yes)、当該設備の情報を第3のエリアの第3の連動表データに出力する(ステップS58)。生成部13は、選択した設備が第3のエリアに所属していない場合(ステップS57:No)、所属エリアが決定されていない設備があるとしてユーザに通知する(ステップS59)。所属エリアが決定されていない設備がある場合とは、例えば、元の第1の連動表データに誤りがあった場合である。
【0047】
図17は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10で生成される第2の連動表データの対象エリアである第2のエリアの配線図、および第3の連動表データの対象エリアである第3のエリアの配線図を示す図である。図2に示す第1のエリアの配線図が、境界情報に基づいて分割された状態を示している。図17に示すように、第2のエリアおよび第3のエリアの境界は、境界情報で示される境界軌道回路である軌道回路31T,32Tの接続部分である。図18は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13で生成される第2のエリアを対象とする第2の連動表データの例を示す図である。また、図19は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10の生成部13で生成される第3のエリアを対象とする第3の連動表データの例を示す図である。図18に示す第2の連動表データには、第2のエリアに所属すると決定された設備と、第2のエリアおよび第3のエリアの両方に所属すると決定された設備と、が記載されている。また、図19に示す第3の連動表データには、第3のエリアに所属すると決定された設備と、第2のエリアおよび第3のエリアの両方に所属すると決定された設備と、が記載されている。なお、図18および図19において、[]で示される設備は、他のエリアに所属するもの、または両方のエリアに跨って両方のエリアに所属しているものを示している。このように、連動表データ生成装置10は、第1のエリアの第1の連動表データから、第2のエリアの第2の連動表データ、および第3のエリアの第3の連動表データを容易に生成することができる。
【0048】
なお、連動表データ生成装置10は、取得部11が第2の連動表データを取得し、受付部12が第2のエリアを第4のエリアおよび第5のエリアに分割する位置を示す境界情報を受け付け、生成部13が第4のエリアを対象とする第4の連動表データおよび第5のエリアを対象とする第5の連動表データを生成することも可能である。例えば、前述の第1にエリアを第2のエリアおよび第3のエリアに分割する位置を示す境界情報を第1の境界情報とした場合、受付部12は、第2のエリアを第4のエリアおよび第5のエリアに分割する新たな境界情報である第2の境界情報を受け付ける。生成部13は、第2の境界情報を用いて、第2の連動表データから、第4のエリアを対象とする第4の連動表データ、および第5のエリアを対象とする第5の連動表データを生成する。連動表データ生成装置10は、このように連動表データを生成する動作を繰り返すことによって、第1のエリアを3分割以上に分割した各エリアを対象とする連動表データを生成することができる。
【0049】
つづいて、連動表データ生成装置10のハードウェア構成について説明する。連動表データ生成装置10において、取得部11および受付部12はユーザの操作を受け付け可能な入力インタフェースである。出力部14は、第2の連動表データおよび第3の連動表データを出力する出力インタフェースである。生成部13は、処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。
【0050】
図20は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の例を示す図である。処理回路がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、連動表データ生成装置10の処理回路の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路は、連動表データ生成装置10の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。また、これらのプログラムは、連動表データ生成装置10の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0051】
ここで、プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。また、メモリ92には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0052】
図21は、本実施の形態に係る連動表データ生成装置10が備える処理回路を専用のハードウェアで構成する場合の例を示す図である。処理回路が専用のハードウェアで構成される場合、図21に示す処理回路93は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。連動表データ生成装置10の各機能を機能別に処理回路93で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路93で実現してもよい。
【0053】
なお、連動表データ生成装置10の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態によれば、連動表データ生成装置10は、第1のエリアを第2のエリアおよび第3のエリアに分割する位置を示す境界情報を用いて、第1のエリアを対象とする第1の連動表データから、第2のエリアを対象とする第2の連動表データ、および第3のエリアを対象とする第3の連動表データを生成することとした。連動表データ生成装置10は、各エリアに対応する連動図表を用いることなく、第1の連動表データから、容易に第2の連動表データおよび第3の連動表データを生成できる。
【0055】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 連動表データ生成装置、11 取得部、12 受付部、13 生成部、14 出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21