(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の全密封型電動機では、気相部分の冷媒が液化することがあり、液化した冷媒が固定子巻線に付着する場合がある。液化した冷媒は、電気伝導性を有するため、液化した冷媒が固定子巻線に付着した状態で電動機を起動すると、電動機が焼損する恐れがある。
【0005】
本発明は、冷凍装置において、液化した冷媒がモータに付着した状態でモータを起動することを防止することで、モータの焼損の防止を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、冷凍サイクルのための冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機のモータケーシングで画定されたモータ室に収容され、前記圧縮機を駆動するモータと、前記モータ室の内部の圧力を測定する圧力測定部と、前記モータの温度状態と関連する温度を測定する温度検出部と、前記モータ室を加熱する加熱部と、前記モータと前記加熱部とを制御する制御装置とを備え、
前記温度検出部は、前記モータの固定子コイルの温度と前記モータ室の温度とを測定し、前記制御装置は、前記圧力測定部によって測定された圧力における前記冷媒の飽和温度を算出し、前記圧縮機を起動する際に、前記温度検出部によって検出された代表温度が前記飽和温度以下の場合には、前記加熱部によって前記モータ室を加熱し、前記代表温度が前記飽和温度を超える場合に、前記圧縮機を起動可能にする、冷凍装置を提供する。
【0007】
この構成によれば、制御装置は、圧縮機を起動する際に、モータの温度がモータ室での冷媒の飽和温度以下の場合に、加熱部によってモータ室を加熱し、モータの温度状態と関連する温度がモータ室での冷媒の飽和温度を超える場合に圧縮機を起動可能にする。これにより、圧縮機を起動する際に、モータ室内に液化した冷媒が存在しないため、モータに液化した冷媒が付着した状態で圧縮機を起動することを防止でき、モータの焼損を抑制できる。
【0008】
また
、前記制御装置は、前記温度検出部によって検出された前記モータの固定子コイルの温度と前記モータ室の温度との大小関係を判断してもよく、前記固定子コイルの温度と前記モータ室の温度とのうち低い方の温度を前記代表温度として設定してもよい。
【0009】
本発明の他の態様は、冷凍サイクルのための冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機のモータケーシングで画定されたモータ室に収容され、前記圧縮機を駆動するモータと、前記モータ室の内部の圧力を測定する圧力測定部と、前記モータの温度状態と関連する温度を測定する温度検出部と、前記モータ室を加熱する加熱部と、前記モータと前記加熱部とを制御する制御装置とを備え、前記温度検出部は、前記モータを挟んで両側に形成される空間のうち、前記モータに対して反負荷側の空間の前記モータの固定子コイルの温度と前記反負荷側の空間の下部の温度とを検出し、前記制御装置は、前記圧力測定部によって測定された圧力における前記冷媒の飽和温度を算出し、前記圧縮機を起動する際に、前記温度検出部によって検出された前記固定子コイルの温度または前記反負荷側の空間の下部の温度が前記飽和温度以下の場合には、前記加熱部によって前記モータ室を加熱し、前記固定子コイルの温度と前記反負荷側の空間の下部の温度との両方が前記飽和温度を超える場合に、前記圧縮機を起動可能にする、冷凍装置を提供する
【0010】
この構成によれば、モータケーシングの温度を測定する温度センサをモータ室の外側に取り付けることができるため、気密端子などの機器を設ける必要がない。このため、冷凍装置の温度検出部のために必要な構成を低減でき、冷凍装置の構成を単純化できるので、冷凍装置の製造コストを低減できる。
【0011】
前記加熱部は、前記モータ室の前記モータケーシングに取り付けられたヒータであってもよい。
【0012】
前記圧縮機は、前記モータケーシングの外面を取り囲むように構成されたモータケーシングジャケットを備えてもよく、前記加熱部は、前記モータケーシングジャケットと、前記モータ室の温度よりも高い温度を有する温調媒体を前記モータケーシングジャケットに供給する加熱回路とからなるものであってもよい。
【0013】
前記冷凍サイクルにおいて前記圧縮機の上流側に設けられた吸込逆止弁と、前記冷凍サイクルにいて前記吸込逆止弁よりも上流側の第1流路と前記モータ室とを流体的に接続するバイパス配管と、前記バイパス配管に設けられたバイパス弁とを備えてもよい。
【0014】
また、前記制御装置は、前記代表温度が前記飽和温度以下で、前記第1流路の圧力が前記モータ室の圧力より低い場合に前記バイパス弁を開くことが望ましい。
【0015】
この構成によれば、バイパス弁を開くことで、バイパス配管を通じてモータ室の圧力を第1流路の圧力と均衡させることができる。これにより、モータ室を減圧できるため、モータ室での冷媒の飽和温度を低下できるので、モータの焼損を効率的に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、モータの焼損を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1を参照すると、本実施形態に係る冷凍装置1は、圧縮機10と、圧縮機10を駆動するモータ20と、オイルセパレータ30と、凝縮器31と、冷媒タンク32と、膨張弁33と、蒸発器34と、制御装置40とを備える。冷凍装置1では、圧縮機10と、オイルセパレータ30と、凝縮器31と、冷媒タンク32と、膨張弁33と、蒸発器34とが配管2a〜2eによって流体的に接続されている。これにより、冷凍装置1では、圧縮機10と、オイルセパレータ30と、凝縮器31と、冷媒タンク32と、膨張弁33と、蒸発器34とを有する冷凍サイクルの循環流路が構成されている。
【0019】
圧縮機10は、冷媒を圧縮するものである。本実施形態の冷凍サイクルのための冷媒は、アンモニア等の自然冷媒やフロン類のような人工冷媒であって、液体時に電気伝導性を有する冷媒である。
【0020】
本実施形態の圧縮機10は、2段型スクリュ圧縮機である。
図2を参照すると、圧縮機10は、圧縮機ケーシング11と、モータケーシング12と、圧縮機ケーシング11に収容された1段目圧縮機本体13と、圧縮機ケーシング11に収容された2段目圧縮機本体14とを備える。圧縮機ケーシング11とモータケーシング12とは、密閉式に一体に結合されている。言い換えると、本実施形態の圧縮機10は、半密閉型の圧縮機である。
【0021】
圧縮機ケーシング11は、1段目圧縮機本体13の後述する一対のスクリュロータ13aを収容するためのロータ室11aと、2段目圧縮機本体14の後述する一対のスクリュロータ14aを収容するためのロータ室11bとを画定している。また、圧縮機ケーシング11には、圧縮機10の吸気口として1段目圧縮機本体13のためのロータ室11aに冷媒を吸い込むための吸気口11cと、圧縮機10の吐出口として2段目圧縮機本体14のためのロータ室11bから冷媒を吐出するための吐出口11dとが形成されている。
【0022】
モータケーシング12は、モータ20を収容するためのモータ室12aを画定している。また、モータケーシング12は、圧縮機ケーシング11とともに接続空間15を画定している。モータケーシング12には、モータ室12aと接続空間15とを連通させる連通路12b,12cが形成されている。これにより、冷媒は、連通路12b,12cを通じて接続空間15とモータ室12aとの間を行き来できる。また、モータケーシング12の外面には、モータ室12aを加熱するための電気ヒータ50(加熱部)が設けられている。電気ヒータ50は、少なくともモータ室12aの下部を加熱することができるように、少なくともモータケーシング12の底部に設けられている。
【0023】
1段目圧縮機本体13は、前述したように、圧縮機ケーシング11のロータ室11aに収容された雌雄一対のスクリュロータ13aを備える。なお、
図2では、雌雄一対のスクリュロータ13aのうち雄ロータのみが示されている。スクリュロータ13aは、ロータ軸13bを有しており、ロータ軸13bの両端は、圧縮機ケーシング11に設けられた軸受11e,11fによって回転可能に支持されている。また、スクリュロータ13aのロータ軸13bの接続空間15側の端部は、接続空間15に配置されたギア16aに機械的に接続されている。
【0024】
2段目圧縮機本体14は、前述したように、圧縮機ケーシング11のロータ室11bに収容された雌雄一対のスクリュロータ14aを備える。なお、
図2では、雌雄一対のスクリュロータ14aのうち雄ロータのみが示されている。スクリュロータ14aは、ロータ軸14bを有しており、ロータ軸14bの両端は、圧縮機ケーシング11に設けられた軸受11g,11hによって回転可能に支持されている。また、スクリュロータ14aのロータ軸14bの接続空間15側の端部は、接続空間15に配置されたギア16bに機械的に接続されている。
【0025】
本実施形態では、1段目圧縮機本体13と2段目圧縮機本体14は、相対的に上下に位置するように設けられ、互いに吸込と吐出の方向が反対向きになるように配置されている。特に、本実施形態では、スクリュロータ13aのサイズが相対的に大型の1段目圧縮機本体13が上側に配置され、換言すれば、スクリュロータ14aのサイズが相対的に小型の2段目圧縮機本体14が下側に配置されている。代替的には、上下配置する構造以外に代えて、1段目圧縮機本体13と2段目圧縮機本体14とを水平配置する構造が採用されてもよいし、その他の配置が採用されてもよい。
【0026】
本実施形態のモータ20は、インナーロータ型のモータであり、モータケーシング12のモータ室12aに収容されている。モータ20は、出力軸21と、出力軸21に連結された回転子22と、回転子22を取り囲むように配置された固定子23とを備える。固定子23には、固定子コイル23aが巻回されている。出力軸21は、回転子22の両側において、モータケーシング12に設けられた軸受12d,12eに回転可能に支持されている。また、出力軸21の接続空間15側の端部は、ギア16a、16bに機械的に接続されている。すなわち、出力軸21は、ギア16a、16bと噛み合うギア16cを介して、1段目圧縮機本体13のスクリュロータ13aのロータ軸13bと、2段目圧縮機本体14のスクリュロータ14aのロータ軸14bとに機械的に接続されている。
【0027】
また、
図1併せて参照すると、冷凍装置1は、モータ20の温度状態と関連する温度を検出する温度検出部60と、モータ室12aの内部の圧力Pを検出する圧力測定部70とを備える。具体的には、本実施形態の温度検出部60は、
図2に示すように、固定子コイル23aの表面に設けられ、モータ20の固定子コイル23aの温度T1を測定する温度センサ61と、モータ室12aに設けられ、モータ室12aの温度T2を測定する温度センサ62とを備える。また、圧力測定部70は、モータ室12aに設けられ、モータ室12aの圧力Pを測定する圧力センサ71を備える。
【0028】
本実施形態の圧力センサ71は、モータ室12aにおいてモータ20を挟んで両側に形成される空間の内、接続空間15に対して遠い空間の圧力を検出するように設けられている。また、本実施形態の温度センサ61は、モータ20の両端に形成される固定子コイル23aの内、接続空間15に対して遠い方の温度を検出するように設けられている。また、本実施形態の温度センサ62は、モータ室12aにおいてモータ20を挟んで両側に形成される空間の内、接続空間15に対して遠い空間の温度を検出するように設けられている。詳しくは、温度センサ62は、その空間の下部(モータケーシング12の底部近傍)の温度を検出するように設けられている。すなわち、本実施形態の圧力センサ71、温度センサ61及び温度センサ62は、構造的に冷媒が溜まり易いモータ20に関して反負荷側に設けられている。
【0029】
1段目圧縮機本体13は、モータ20により駆動されると、吸気口11cより冷媒を吸い込み、圧縮して接続空間15に吐出する。2段目圧縮機本体14は、モータ20により駆動されると、1段目圧縮機本体13により圧縮されて接続空間15に吐出された冷媒をさらに圧縮して、吐出口11dに吐出する。言い換えると、1段目圧縮機本体13が吐出した冷媒は、圧縮機ケーシング11とモータケーシング12とによって画定された接続空間15を介して、2段目圧縮機本体14に吸い込まれる。すなわち、接続空間15は、1段目圧縮機本体13の吐出口と2段目圧縮機本体14の吸気口とを接続する流体の流路(中間流路)である。
【0030】
図1に示すように、オイルセパレータ30は、配管2aを通じて圧縮機10の吐出口11dと流体的に接続されている。オイルセパレータ30は、圧縮機10の吐出口11dから吐出された冷媒と油の混合流体から油を分離して回収するものである。オイルセパレータ30は、フィルタ30aと、オイルタンク30bとを備える。フィルタ30aは、気相の冷媒の流れに随伴する油を捕集して冷媒と分離するものである。分離された油は、オイルタンク30bに溜められる。すなわち、油はオイルタンク30bに回収される。オイルタンク30bに溜められた油は、図示しない油流路を介して圧縮機10に供給される。
【0031】
凝縮器31は、オイルセパレータ30と配管2bを通じて流体的に接続されており、オイルセパレータ30にて油を分離した気相の冷媒は、配管2bを通じてオイルセパレータ30から凝縮器31に供給される。凝縮器31では、冷媒が冷却されて凝縮される。凝縮器31には冷媒タンク32が併設されており、凝縮器31にて凝縮された液相の冷媒は冷媒タンク32に溜められる。また、配管2bには、吐出逆止弁3aが介設されており、冷媒が逆流しないようにされている。
【0032】
膨張弁33は、凝縮器31及び冷媒タンク32と配管2cを通じて流体的に接続されており、凝縮器31及び冷媒タンク32を通過した冷媒は、配管2cを通じて膨張弁33に供給される。膨張弁33は、高圧の冷媒を減圧する機能を有している。
【0033】
蒸発器34は、膨張弁33と配管2dを通じて流体的に接続されており、膨張弁33にて減圧された冷媒は、配管2dを通じて蒸発器34に供給される。蒸発器34は、冷媒を加熱して蒸発させる部分である。蒸発器34は、配管2eを通じて圧縮機10の吸気口11cに流体的に接続されており、蒸発器34にて蒸発した気相の冷媒は、配管2eを通じて圧縮機10の吸気口11cに供給される。また、配管2eには吸込逆止弁3bが介設されており、冷媒が逆流しないようにされている。
【0034】
制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)のような記憶装置を含むハードウェアと、それに実装されたソフトウェアにより構築されている。本実施形態の制御装置40は、温度検出部60からのモータ20の温度状態に関連する温度に対応する信号と、圧力測定部70からのモータ室12a(
図2に示す)の圧力に対応する信号とに基づいて、モータ20の起動と、電気ヒータ50の作動とを制御する。
【0035】
以下、
図3を参照して、本実施形態に係る制御装置40の制御について説明する。制御装置40は、圧縮機10の起動信号を受信すると、
図3の制御を開始する(ステップS1)。
【0036】
まず、制御装置40は、温度センサ61,62からの信号に基づいて代表温度Tを設定する(ステップS2)。具体的には、本実施形態の制御装置40は、温度センサ61によって測定された固定子コイル23aの温度T1と、温度センサ62によって測定されたモータ室12aの温度T2との大小関係を判断し、小さい方の温度を代表温度Tとして設定する。
【0037】
次に、制御装置40は、圧力センサ71によって検出された圧力Pでの冷媒の飽和温度Tsを算出する(ステップS3)。飽和温度Tsは、冷媒のp−h線図(モリエル線図)から求められる。
【0038】
その後、制御装置40は、代表温度Tが飽和温度Tsを超える(T>Ts)か否かを判定する(ステップS4)。
【0039】
ステップS4の処理において、代表温度Tが飽和温度Ts以下の場合、制御装置40は、電気ヒータ50がモータ室12aを加熱するように、電気ヒータ50を制御する(ステップS5)。その後、ステップS4の処理において、代表温度Tが飽和温度Tsを超えると判定されるまで、ステップS2〜ステップS5の処理を繰り返す。
【0040】
ステップS4の処理において、代表温度Tが飽和温度Tsを超えると判定された場合、制御装置40は、圧縮機10を起動する(ステップS6)。そして、ステップS6の処理を完了した後、制御装置40は、本制御を終了する(ステップS7)。
【0041】
本実実施形態の冷凍装置1によれば、制御装置40は、圧縮機10を起動する際に、代表温度Tがモータ室12aでの冷媒の飽和温度Ts以下の場合に、電気ヒータ50がモータ室12aを加熱するように電気ヒータ50を制御する。また、制御装置40は、モータ20の固定子コイル23aの温度T1とモータ室12aの温度T2との両方がモータ室12aでの冷媒の飽和温度Tsを超える場合に圧縮機10を起動する。これにより、圧縮機10を起動する際に、モータ室12a内に液化した冷媒が存在しないため、モータ20の固定子コイル23aに液化した冷媒が付着した状態で圧縮機10を起動することを防止でき、モータ20の焼損を抑制できる。
【0042】
ステップS2の処理とステップS3の処理とは、同時に行われてもよい。ステップS3の処理は、ステップS2の処理よりも先に実行されてもよい。
【0043】
また、温度検出部60は、モータ室12aの温度を測定する温度センサ62を備えていなくてもよい。この場合、制御装置40は、ステップS2(
図3に示す)の処理において、温度センサ61によって測定されたモータ20の固定子コイル23aの温度T1を代表温度Tとして設定する。
【0044】
(第2実施形態)
図4を参照すると、本実施形態の温度検出部60は、温度センサ61,62(
図2に示す)の代わりに、モータケーシング12の温度T3を測定する温度センサ63を備える。すなわち、本実施形態の温度検出部60は、モータ20の固定子コイル23aの温度T1及びモータ室12aの温度T2(
図2に示す)を測定する代わりに、モータケーシング12の温度T3を測定する。
【0045】
本実施形態の温度センサ63は、モータケーシング12においてモータ20を挟んで接続空間15とは反対側(モータの反負荷側)に位置する部分の温度を検出するように設けられている。詳しくは、温度センサ63は、構造的に冷媒が溜まり易いモータに関して反負荷側に位置するモータケーシング12底部の温度を検出するように設けられている。
【0046】
本実施形態では、制御装置40の制御フローは、ステップS2の処理を除いて第1実施形態と同様であり、
図3を援用する。本実施形態の制御装置40は、ステップS2の処理において、温度センサ63によって測定されたモータケーシング12の温度T3から、モータ20の固定子コイル23aの温度を推定し、その推定値を代表温度Tとして設定する。なお、温度センサ63によって測定されたモータケーシング12の温度T3から、モータ室12aの温度を推定し、その推定値を代表温度Tとして設定してもよい。
【0047】
本実施形態によれば、モータケーシング12の温度T3を測定する温度センサ63をモータ室12aの外側に取り付けることができるため、気密端子などの機器を設ける必要がない。このため、冷凍装置1の温度検出部60のために必要な構成を低減でき、冷凍装置1の構成を単純化できるので、冷凍装置1の製造コストを低減できる。
【0048】
(第3実施形態)
図5を参照すると、本実施形態のモータケーシング12の外面には、モータケーシング12の周囲を取り囲むようにモータケーシングジャケット80が設けられている。モータケーシングジャケット80には、モータ室12aを加熱又は冷却するように、温調媒体(例えば、水)が供給される。モータケーシングジャケット80には、温調媒体が流入する入口80aと、温調媒体が流出する出口80bとが形成されている。本実施形態では、モータケーシングジャケット80と、後述する加熱回路とで加熱部を構成している。
【0049】
図6を参照すると、冷凍装置1は、モータケーシングジャケット80に供給する温調媒体(本実施形態では水)を冷却するための冷却装置(本実施形態ではクーリングタワー)81を備える。モータケーシングジャケット80と冷却装置81とは、配管4a,4bを介して流体的に接続されている。これにより、本実施形態の冷凍装置1には、モータケーシングジャケット80と、冷却装置81とを有する冷却回路が構成されている。冷却回路では、温調媒体がポンプ(図示せず)によって循環されており、冷却装置81で冷却された温調媒体が、モータケーシングジャケット80に供給される。
【0050】
配管4aは、モータケーシングジャケット80の出口80bと、冷却装置81とを流体的に接続している。配管4aには、配管4a内の温調媒体の流動を許容又は遮断する開閉弁5aが設けられている。開閉弁5aは、電磁弁であり、制御装置40によって開閉制御される。
【0051】
配管4bは、モータケーシングジャケット80の入口80aと、冷却装置81とを流体的に接続している。配管4bには、配管4b内の温調媒体の流動を許容又は遮断する開閉弁5bが設けられている。開閉弁5bは、電磁弁であり、制御装置40によって開閉制御される。
【0052】
制御装置40は、冷凍装置1の通常運転中には、開閉弁5a,5bを開放し、モータケーシングジャケット80に冷却装置81で冷却された温調媒体を供給することで、モータ20を冷却する。
【0053】
また、本実施形態の冷凍装置1は、モータケーシングジャケット80に供給する温調媒体を加熱するための熱交換器82を備える。モータケーシングジャケット80と熱交換器82とは、配管4a〜4dを介して流体的に接続されている。これにより、本実施形態の冷凍装置1には、モータケーシングジャケット80と、熱交換器82とを有する加熱回路が構成されている。加熱回路では、温調媒体がポンプ(図示せず)によって循環されており、熱交換器82で加熱された温調媒体が、モータケーシングジャケット80に供給される。前述したように、本実施形態では、モータケーシングジャケット80と、加熱回路とで加熱部を構成している。
【0054】
熱交換器82は、熱源ボイラのような図示しない外部熱源と、加熱回路を流れる温調媒体との間で熱交換を行わせる。これにより。熱交換器82は、モータケーシングジャケット80にモータ室12aの冷媒の飽和温度Tsよりも高い温度を有する温調媒体(本実施形態では高温水)を供給するように、加熱回路を流れる温調媒体を加熱する。
【0055】
配管4cは、配管4aの開閉弁5aよりも上流側の分岐部4eにおいて配管4aから分岐しており、配管4aと、熱交換器82とを流体的に接続している。配管4cには、配管4c内の温調媒体の流動を許容又は遮断する開閉弁5cが設けられている。開閉弁5cは、電磁弁であり、制御装置40によって開閉制御される。
【0056】
配管4dは、配管4bの開閉弁5bよりも下流側の合流部4fにおいて配管4bに合流しており、配管4bと、熱交換器82とを流体的に接続している。配管4dには、配管4d内の温調媒体の流動を許容又は遮断する開閉弁5dが設けられている。開閉弁5dは、電磁弁であり、制御装置40によって開閉制御される。
【0057】
実施形態の制御装置40は、温度検出部60からのモータ20の温度状態に関連する温度に対応する信号と、圧力測定部70からのモータ室12a(
図5に示す)の圧力に対応する信号とに基づいて、モータ20の起動と、開閉弁5a〜5dの作動とを制御する。
【0058】
本実施形態では、制御装置40の制御フローは、ステップS5の処理を除いて第1実施形態と同様であり、
図3を援用する。本実施形態では、ステップS5の処理において、制御装置40は、開閉弁5c,5dを開放するとともに、開閉弁5a,5bを閉鎖するように、開閉弁5a〜5dの作動を制御する。また、制御装置40は、ポンプ(図示せず)を起動して、加熱回路で温調媒体を循環させる。これにより、加熱回路を介して、モータケーシングジャケット80にモータ室12aでの冷媒の飽和温度Tsを超える温度を有する温調媒体(高温水)が供給され、モータ室12aが加熱される。
【0059】
本実施形態において、開閉弁5a,5cを設ける代わりに、分岐部4eに三方弁を設けてもよい。同様に、開閉弁5b,5dを設ける代わりに、合流部4fに三方弁を設けてもよい。
【0060】
(第4実施形態)
図7を参照すると、本実施形態の冷凍装置1は、配管2eにおける吸込逆止弁3bの上流に側の部分(第1流路C1)とモータ室12a(
図8に示す)とを流体的に接続するバイパス配管6を備える。バイパス配管6には、バイパス配管6内の冷媒の流動を許容又は遮断するバイパス弁7が設けられている。バイパス弁7は、電磁弁であり、冷凍装置1の通常運転状態では閉じられている。
【0061】
図8を参照すると、本実施形態のモータケーシング12には、バイパス配管6(
図7に示す)に接続されたバイパス孔12fが形成されている。これにより、
図7を併せて参照すると、モータ室12aと、第1流路C1とは、バイパス配管6によって流体的に接続されている。詳しくは、バイパス孔12fは、モータケーシング12においてモータ20を挟んで接続空間15とは反対側に設けられている。すなわちバイパス孔12fは、モータケーシング12のモータ20に関して反負荷側に設けられている。
【0062】
また、本実施形態の配管2eにおける、第1流路C1には、第1流路C1を流れる冷媒の圧力P1を検出する圧力センサ90が設けられている。
【0063】
本実施形態の制御装置40は、温度検出部60からのモータ20の温度状態に関連する温度に対応する信号と、圧力測定部70からのモータ室12a(
図8に示す)の圧力に対応する信号とに基づいて、モータ20の起動と、電気ヒータ50の作動と、バイパス弁7の作動とを制御する。
【0064】
本実施形態では、制御装置40の制御フローは、ステップS5の処理を除いて第1実施形態と同様であり、
図3を援用する。本実施形態の制御装置40は、ステップS5の処理において、電気ヒータ50によってモータ室12aを加熱する際に、圧力センサ90によって測定された第1流路の圧力P1がモータ室12aの圧力Pより低い場合に、バイパス弁7を開放する。すなわち、本実施形態では、代表温度Tが飽和温度Ts以下で、第1流路の圧力P1がモータ室12aの圧力Pより低い場合に、バイパス弁7が開かれる。なお、制御装置40によってモータ20を起動する前にバイパス弁7を閉じることができる。
【0065】
この構成によれば、バイパス弁7を開くことで、バイパス配管6を通じてモータ室12aの圧力Pを第1流路の圧力P1と均衡させることができる。これにより、モータ室12aを減圧できるため、モータ室12aでの冷媒の飽和温度Tsを低下できる。このため、電気ヒータ50によるモータ室12aの加熱と、バイパス配管6によるモータ室12aの減圧とを併用することで、モータ20の焼損を効率的に抑制できる。
【0066】
以上より、本発明の具体的な実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0067】
例えば、圧縮機10は、スクリュ式の圧縮機に限定されず、往復式又は遠心式のような他の種類の圧縮機であってもよい。
【0068】
また、圧縮機10は、2段型圧縮機に限定されず、1段圧縮機であってもよい。
【0069】
また、圧縮機10は、半密閉型の圧縮機に限定されず、モータケーシング内に冷媒が存在し得るものであれば全密封型の圧縮機であってもよい。すなわち、圧縮機ケーシング11とモータケーシング12とは、一体に形成されてもよい。