特許第6971981号(P6971981)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニング インコーポレイテッドの特許一覧

特許6971981光ファイバおよびファイバセンサシステム
<>
  • 特許6971981-光ファイバおよびファイバセンサシステム 図000002
  • 特許6971981-光ファイバおよびファイバセンサシステム 図000003
  • 特許6971981-光ファイバおよびファイバセンサシステム 図000004
  • 特許6971981-光ファイバおよびファイバセンサシステム 図000005
  • 特許6971981-光ファイバおよびファイバセンサシステム 図000006
  • 特許6971981-光ファイバおよびファイバセンサシステム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6971981
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】光ファイバおよびファイバセンサシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/353 20060101AFI20211111BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G01D5/353 B
   G02B6/02 461
   G02B6/02 411
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-525667(P2018-525667)
(86)(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公表番号】特表2018-536162(P2018-536162A)
(43)【公表日】2018年12月6日
(86)【国際出願番号】US2016061773
(87)【国際公開番号】WO2017087301
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2019年11月11日
(31)【優先権主張番号】62/257,375
(32)【優先日】2015年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】コズロヴ,ヴァレリー エイ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン−ジョン
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−129127(JP,A)
【文献】 特開平2−157620(JP,A)
【文献】 特開昭61−295512(JP,A)
【文献】 特開平9−21608(JP,A)
【文献】 特開2013−238721(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/031299(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26−5/38
G01K 11/32
G01B 11/16
G02B 6/00ー6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約300nmから約2000nmの波長において、単一または少数のモードのうち1つの動作のために構成され、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバ外径、およびファイバ長さによって画定される光ファイバであって、
同等のコア直径および構成を有する複数のコアと、
該ファイバ外径によって画定され、また該複数のコアを囲んでいるクラッドと
を備え、
該ファイバは、該伝送端でテーパーされて、該ファイバ外径および該コア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定し、
前記ファイバが、該ファイバの伝送端への光の伝送上0dB未満のクロストークによって特徴づけられている、光ファイバ。
【請求項2】
前記テーパーされたファイバ外径および前記テーパーされたコア直径のそれぞれが、前記ファイバ外径および前記コア直径のそれぞれに対して1%から95%減少されている、請求項1に記載の光ファイバ。
【請求項3】
前記光ファイバは、約300nmから約2000nmの波長で単一モード動作のために構成される、請求項1または2のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項4】
前記コアは、少なくとも10マイクロメートルのコアからコアの間隔にしたがって配置され、該コアからコアの間隔は、該各コアの中央から隣接するコアの中央までの距離として定義されている、請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項5】
前記複数のコアが、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルまでのコアからクラッドの間隔にしたがって配置されている1つまたは複数の最も外側のコアを備え、該コアからクラッドの間隔は、該最も外側のコアのそれぞれの中央から前記ファイバ外径までの距離として定義される、請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項6】
前記ファイバの伝送端の前記複数のコアが、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルまでのスポットサイズを有する単一の光源からの入射光を受け取るために、該ファイバ内に配置され、また構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の光ファイバ。
【請求項7】
約300nmから約2000nmの波長において、単一モード動作のために構成され、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバ外径、および約10mから約100kmのファイバ長さによって画定される光ファイバであって、
同等のコア直径および構成を有する複数のコアと、
該ファイバ外径によって画定され、該複数のコアを囲んでいるクラッドと
を備え、
該ファイバは、該伝送端でテーパーされて、該ファイバ外径および該コア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定し、また、
さらに、該ファイバの伝送端は、単一源からの光が該ファイバの伝送端の該コアに入射された後、該コアから発する後方散乱信号の合計を示し、
前記ファイバが、該ファイバの伝送端への光の伝送上0dB未満のクロストークによって特徴づけられている、光ファイバ。
【請求項8】
ファイバセンサシステムにおいて、
約300nmから約2000nmの波長において単一または少数のモードのうち1つの動作のために構成され、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバ外径およびファイバ長さによって画定された光ファイバであって、
同等のコア直径および構成を有する複数のコアと、
該ファイバ外径によって画定され、また該複数のコアを囲んでいるクラッドと
を有する光ファイバ、
入射光の単一のスポットを、該ファイバの伝送端の該複数のコアへ向けるように構成された光源、
該スポットが該ファイバの伝送端の該コアへ入射された後、該コアから発する後方散乱信号の合計を受け取るように構成された受信機、および
該ファイバに近接または接触する特徴に応答するセンサ測定を得るために該後方散乱信号を処理するように構成された信号質問素子、
を備え、
該ファイバは、該伝送端でテーパーされて、該ファイバ外径および該コア直径のそれぞれより小さい、テーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定し、
前記ファイバが、該ファイバの伝送端への光の伝送上0dB未満のクロストークによって特徴づけられている、ファイバセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下、2015年11月19日に出願された米国特許仮出願第62/257,375号に対する優先権の恩典を主張するものであり、なお、本出願は当該仮出願の内容に依拠し、ならびに当該仮出願の全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
本開示は一般に、分布型ファイバセンサおよびファイバセンサシステムに関する。より詳細には、本開示は、センシングのためのレイリー散乱メカニズムに依拠するマルチコアファイバを使用するこのようなセンサおよびセンサシステムに関する。
【0003】
レイリー散乱に依拠する分布型ファイバセンサおよびシステムは、これらに限定されないが、構造ヘルスモニタリング(SHM)、地盤工学、送電線、石油およびガスのパイプライン、石油およびガスの溶接を含む、多くの用途に採用されている。特に、これらのセンサおよびシステムは、レイリー散乱メカニズムを使用して、温度、圧力、歪み、音波および他のパラメータを1m未満の空中分解能で測定することができる。
【0004】
レイリー散乱に依拠する従来のアプローチは、これらの測定(たとえば温度、圧力、歪みなど)を得るために分布型ファイバセンサおよびシステムにおいて電気通信グレード光ファイバをしばしば使用する。このような光ファイバに依拠する分布型ファイバセンサおよびシステムは、様々な欠点に悩まされている。たとえば、発信された信号の光強度は、ファイバにおける低い閾値、非線形効果によって制限され得る。結果として、伝送端から離れたファイバの遠端では特に、散乱信号はしばしば低くなる。他の例として、これらの光ファイバにおける減衰はまた、特にファイバ全長が数10kmの場合、ファイバの遠端で散乱信号強度を制限することになり得る。さらに、単一モード動作のために構成された電気通信グレードファイバにおける光強度は、しばしば、このようなファイバの小さい開口数のために低くなる。これらの影響すべてが、電気通信グレード光ファイバを使用する従来の分布型ファイバセンサおよびシステムに関連するSN比を低下させる傾向にある。
【0005】
光ファイバおよびレイリー散乱メカニズムに依拠する分布型ファイバセンサおよびシステムは、様々な用途(たとえば地盤工学、送電線など)で使用され続けているので、これらのセンサおよびシステムの使用は、より長くまたより遠い距離において、それらの有効性の点で究極的に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、より少ない損失およびより高いSN比で光学信号を伝送できる光ファイバを使用する分布型ファイバセンサおよびファイバセンサシステムが必要である。より詳細には、ある距離わたって、特におよそ数十キロメートルの非常に長い距離にわたって、より高いSN比を有するレイリー散乱メカニズムに依拠するマルチコアファイバを使用する分布型ファイバセンサおよびセンサシテムが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によると、ファイバセンサが提供されており、これは約300nmから約2000nmの波長において単一または少数のモードのうち1つの動作のために構成された、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバの外径およびファイバ長さによって画定された光ファイバを含む。光ファイバは、同等のコア直径および構成を有する複数のコア、ならびにファイバ外径によって画定され、また複数のコアを囲んでいるクラッドを含む。さらに、ファイバは、伝送端部でテーパーされて、ファイバ外径およびコア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定する。
【0008】
本開示のさらなる一態様によると、ファイバセンサが提供されており、これは約300nmから約2000nmの波長において単一または少数のモードのうち1つの動作のために構成された、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバの外径および約10mから約100kmのファイバ長さによって画定された光ファイバを含む。光ファイバは、同等のコア直径および構成を有する複数のコア、ならびにファイバ外径によって画定され、また複数のコアを囲んでいるクラッドを含む。さらに、ファイバは、伝送端でテーパーされて、ファイバ外径およびコア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定する。さらに、ファイバの伝送端は、単一源からの光がファイバの伝送端でコアに入射された後、コアから発する後方散乱信号の合計を示す。
【0009】
これらのファイバセンサ態様のいずれにおいても、マルチコアファイバは、同等のコア直径および構成を有する2から100のコアと共に構成され得る。他のマルチコアファイバ構成は、2から50のコア、2から40のコア、2から30のコア、2から20のコア、2から10のコア、2から5のコアおよびこれらの特定の範囲の間の任意の数のコアを使用する。
【0010】
これらのファイバセンサ態様のいくつかの実施において、マルチコアファイバは、テーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径のそれぞれが、ファイバの非テーパー部分におけるファイバ外径およびコア直径のそれぞれと比較して1%から95%減少するように構成されている。さらに、テーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径は、1%、15%、30%、45%、60%、75%、90%、95%、および特定の実施においてこれらの特定のパーセンテージ間のすべてのパーセンテージで縮小され得る。
【0011】
これらのファイバセンサ態様の他の実施において、マルチコアファイバは、その長さの範囲が約10mから約100kmになるように構成されている。さらに、ファイバ長さは約10m、20m、30m、40m、50m、60m、70m、80m、90m、100m、150m、200m、250m、300m、350m、400m、450m、500m、550m、600m、650m、700m、750m、800m、850m、900m、950m、1km、5km、10km、15km、20km、25km、30km、35km、40km、45km、50km、55km、60km、65km、70km、75km、80km、85km、90km、95km、100km、および、特定の実施においてこれらの特定の長さの間の全ての長さの値に設定され得る。
【0012】
これらのファイバセンサ態様のさらなる実施形態において、マルチコアファイバは、そのコアからコアの間隔が少なくとも10マイクロメートルであり、コアからコアの間隔がそれぞれのコアの中心から隣接するコアの中心までの距離として定義されるように構成されている。他の実施において、コアからコアの間隔は、少なくとも20マイクロメートルに設定されている。さらに、これらのファイバセンサ態様において使用されるマルチコアファイバは、コアからコアの間隔が、約0マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、15マイクロメートル、20マイクロメートル、25マイクロメートル、30マイクロメートル、35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、50マイクロメートル、55マイクロメートル、60マイクロメートル、65マイクロメートル、70マイクロメートル、75マイクロメートル、80マイクロメートル、85マイクロメートル、90マイクロメートル、95マイクロメートル、100マイクロメートル、およびこれらの特定のコアからコアの間隔量の間の全ての間隔値で構成されている。
【0013】
さらに、これらのセンサ態様において使用されるマルチコアファイバのいくつかの実施は、ファイバの長さにわたり±1%未満で変動するコアからコアの間隔を有する。さらに、マルチコアファイバは、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%、±35%、±40%、±45%、±50%未満、および、これらの特定のレベル間のすべての変動値で変動するコアからコアの間隔を有することができる。
【0014】
これらのファイバセンサ態様の実施形態において、マルチコアファイバは、ファイバの伝送端への光の伝達上約−55dB未満のクロストークによって特徴づけられ得る。さらに、マルチコアファイバは、これらのファイバセンサ態様の他の実施にしたがって、約−80dB、−50dB、−45dB、−40dB、−35dB、−30dB、−25dB、−20dB、−15dB、−10dB、−5dB、0dB未満のクロストーク、および、これらの特定の制限間のクロストークの上限すべてと共に構成され得る。
【0015】
これらのファイバセンサ態様の他の実施形態において、マルチコアファイバは、その複数のコアが、約1マイクロメートルから約200マイクロメートルのコアからクラッドの間隔にしたがって配列された1つまたは複数の最も外側のコアを含むように構成され得、コアからクラッドの間隔は、最も外側のコアのそれぞれの中心からファイバの外径までの距離として定義される。さらに、これらのファイバセンサ態様において使用されるマルチコアファイバは、約1マイクロメートル、10マイクロメートル、20マイクロメートル、30マイクロメートル、40マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、125マイクロメートル、150マイクロメートル、175マイクロメートル、200マイクロメートルのコアからクラッドの間隔、および、これらの特定のコアからクラッドの間隔量の間の全ての間隔値で構成され得る。
【0016】
これらのファイバセンサ態様の他の実施において、マルチコアファイバは、ファイバの伝送端の複数のコアが、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのスポットサイズを有する単一の光源から入射光を受け取るように、ファイバ内で配置され、かつ構成されるように構成され得る。さらに、これらのファイバセンサ態様において使用されるマルチコアファイバは、その複数のコアが約1マイクロメートル、10マイクロメートル、20マイクロメートル、30マイクロメートル、40マイクロメートル、50マイクロメートル、60マイクロメートル、70マイクロメートル、80マイクロメートル、90マイクロメートル、100マイクロメートルのスポットサイズ、および、これらの特定のスポットサイズの間のすべてのスポットサイズを有する単一の光源から入射光を受け取るように構成され得る。
【0017】
これらのファイバセンサ態様の他の例示的実施によると、マルチコアファイバは、マルチコアファイバの伝送端でコアから発する後方散乱信号の合計が、参照、単一のコアファイバから得られる後方散乱信号からのSN比より大きいSN比を有するように構成され得る。この実施において、参照、単一のコアファイバは、テーパーされておらず、また、マルチコアファイバのように、同じファイバ外径、コア直径、コア構成、クラッド構成および長さを有する。さらに、マルチコアファイバのコアから発する後方散乱信号の合計は、参照、単一のコアファイバから得られる後方散乱信号に関連したSN比を、約1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10倍、これらの特定の倍数の間のすべての値、およびマルチコアファイバにおけるコアの数に実質的に比例するさらに高い倍数で超え得る。
【0018】
本開示の他の態様によると、ファイバセンサシステムが提供されており、これは約300ナノメートルから約2000ナノメートルの波長において単一または少数のモードのうち1つの動作のために構成された、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバ外径およびファイバ長さによって画定された光ファイバを含む。光ファイバは、同等のコア直径および構成を有する複数のコア、およびファイバ外径によって画定され、また複数のコアを囲んでいるクラッドを含む。さらに、ファイバは、伝送端でテーパーされて、ファイバ外径およびコア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定する。ファイバセンサシステムはまた、入射光の単一のスポットをファイバの伝送端の複数のコアに向けるように構成された光源と、単一のスポットがファイバの伝送端のコアに入射された後、コアから発する後方散乱信号の総計を受信するように構成された受信機と、ファイバに近接または接触する特徴に応答するセンサ測定を得るために後方散乱信号を処理するように構成された信号質問素子を含む。
【0019】
ファイバセンサシステムの他の実施形態によると、本開示において概説された前述のマルチコアファイバおよびファイバセンサ構成のいずれかが、システムにおいて使用され得る。ファイバセンサシステムの特定の態様において、センサ測定は、温度、圧力、歪み、変位、およびノイズからなるグループから1つまたは複数の特徴を含み得る。
【0020】
ファイバセンサシステムの特定の実施において、システムは、健康、保全性、構造の性能および/または特徴、送電線、オイルラインまたはパイプ、ガスラインまたはパイプ、水運搬ラインまたはパイプ、地盤、道路、チャネル、水路、貯水池、井戸、または他の地盤工学機能のモニタリングにおいて使用するために構成されている。
【0021】
さらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明において記載され、またある程度は説明から当業者には容易に明らかであり、また、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含めて、本明細書に記載の実施形態を実践することにより認識されるであろう。
【0022】
前述の概要および以下の詳細な説明の両方が、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質および特質を理解するための概説または枠組みを提供するように意図されていることが理解される。添付の図はさらなる理解を提供するために含まれ、また組み込まれ本明細書の一部分を成す。図面は、1つまたは複数の実施形態を示し、記述と共に様々な実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の態様による、4つのコアの光ファイバを使用するファイバセンサの軸方向の概略断面図である。
図1A図1に示されるファイバの非テーパー部分におけるファイバセンサの横方向断面図である。
図1B図1に示されるファイバセンサのテーパー部分における概略縦正面図である。
図2】本開示の態様による、4つのコア光ファイバを使用するファイバセンサシステムの透視概略図である。
図2A図2に示されるファイバセンサシステムの光ファイバにおける光源からコアへ向けられた入射光の拡大縦正面図である。
図2B図2に示されているファイバセンサシステムの光ファイバにおけるコアから発する後方散乱光信号の拡大縦正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで本好適な実施形態が詳細に参照され、その例示は添付図面に例証されている。可能な限り、同様の参照番号が、同様または類似の部分を参照するために、図面を通して使用される。
【0025】
低い信号損失および、より高いSN比によって特徴づけられるセンシングのためのレイリー散乱メカニズムに依拠する分散型ファイバセンサおよびファイバセンサシステムが、本開示において例示的方法において概説されている。より詳細には、本開示は、テーパーされた送電端を有するマルチファイバを使用する分布型センサおよびセンサシステムを詳述している。
【0026】
図1図1Aおよび図1Bを参照すると、本開示の態様によるファイバセンサ100が示されている。ファイバセンサ100は、長さ52、ファイバ外径54、伝送端10aおよび散乱端10bによって画定されている光ファイバ50を含む。ファイバ50はさらに、複数のコア30を含む。図1図1Aおよび図1Bにおける例示的方式に示されているように、ファイバ50は、4つのコア30を包含する。ファイバ50はまた、コア30を囲み、かつファイバ直径54によって画定されているクラッド40を包含する。
【0027】
ファイバセンサ100のいくつかの実施形態において、光ファイバ50は、約10mから約100kmの範囲の長さ52によって画定されている。特定の実施形態において、ファイバ長さ52は、約10m、20m、30m、40m、50m、60m、70m、80m、90m、100m、150m、200m、250m、300m、350m、400m、450m、500m、550m、600m、650m、700m、750m、800m、850m、900m、950m、1km、5km、10km、15km、20km、25km、30km、35km、40km、45km、50km、55km、60km、65km、70km、75km、80km、85km、90km、95km、100km、および、これらの特定の長さの間の長さの値すべてに設定され得る。さらに、本開示の他の態様は、あまり厳しくないSN比および/または空間分解能要件(たとえば>1m)を有するファイバセンサ100のいくつかの用途に実行可能な、100kmを超えるファイバ長さ52を有する光ファイバ50を含む。
【0028】
本開示のファイバセンサ100において使用される光ファイバ50は、いくつかの態様において、約40マイクロメートルから約1000マイクロメートルのファイバ直径を有し得る。さらに、これらの態様において使用されるファイバ50は、約40マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、150マイクロメートル、200マイクロメートル、300マイクロメートル、400マイクロメートル、500マイクロメートル、600マイクロメートル、700マイクロメートル、800マイクロメートル、900マイクロメートル、1000マイクロメートル、およびこれらの特定の直径の間のすべての直径と共に構成され得る。
【0029】
再び図1図1Aおよび図1Bを参照すると、光ファイバ50、また、より詳細には、コア30およびクラッド40は、典型的にはシリカ組成物によって製造される。さらに、光ファイバ50、また、より詳細には、コア30およびクラッド40は、好ましくは約300nmから約2000nmの波長において単一モードまたは少数のモード動作のために十分な全体の屈折率分布をファイバにおいて実現するために様々なドーパントレベルによって構成される。さらに、ファイバ50内に含まれているコア30は、実質的に同様または同等のコア直径34および構成物によって構成されている。特定の態様において、コア30は、コア30の屈折率を上げるために、1つまたは複数のドーパント、たとえばGeOと共にドープされる。特定の実施において、クラッド40は、クラッドの屈折率を下げるために、1つまたは複数のドーパント、たとえばフッ素と共にドープされる。
【0030】
図1図1Aおよび図1Bにさらに示されているように、光ファイバ50は、本開示におけるファイバセンサ100の実施によると、そのコア30がファイバの中央軸80に対して対照的に配置されるように構成されている。さらに、コア30は好ましくは中央軸80から実質的に同等の距離に配置される。図1Aおよび図1Bに関して、光ファイバ50は、約0マイクロメートルから約100マイクロメートルのコアからコアの間隔60によって構成され得る。コアからコアの間隔60は、各コア30の中央から隣接するコア30の中央までの距離として定義される。好適な態様において、10マイクロメートル以上のコアからコアの間隔60が、光ファイバ50において使用されている。他の好適な態様において、20マイクロメートル以上のコアからコアの間隔60が、ファイバセンサ100内の光ファイバ50において使用されている。さらに、本開示の特定の様態において、ファイバセンサ100において使用されている光ファイバ50は、約0マイクロメートル、5マイクロメートル、10マイクロメートル、15マイクロメートル、20マイクロメートル、25マイクロメートル、30マイクロメートル、40マイクロメートル、50マイクロメートル、60マイクロメートル、70マイクロメートル、80マイクロメートル、90マイクロメートル、100マイクロメートル、および、コアからコアの間隔60のためのこれらの特定の量の間のすべての間隔値と共に構成され得る。コアからコアの間隔60が、軸80によって離されて隣接するコア30と対向するコア30の間で変化し得ることは理解されるべきである。これらの距離は、コアからコアの間隔60が2つの値の小さい方によって与えられるという点で等しくはない。
【0031】
光ファイバ50を使用するファイバセンサ100に関して、コアからコアの間隔60が増大すると、コア30を介して伝送される光信号に関連したクロストークの程度は減少し得る。逆に、コアからコアの間隔60が減少すると、クラッド40および/またはファイバ50の外側において明らかな損失なしに、単一の光源からの入射光が各コア30に完全に入り得ることが確実になる点で有益であり得る。これらのコアからコアの間隔を考慮して、ファイバセンサ100の実施形態は、ファイバのテーパー部分20aにおける伝送端10aへの光の伝送上、約−55dB未満のクロストークによって特徴づけられた光ファイバ50を含む。さらに、ファイバセンサ100の他の実施によると、光ファイバ50は、約−60dB、−50dB、−40dB、−30dB、−20dB、−10dB、0dB未満のクロストーク、および、これらの特定の制限の間のすべてのクロストークの上限と共に構成され得る。
【0032】
図1図1Aおよび図1Bにもまた示されているように、光ファイバ50は、そのコア30が実質的に同様または同等のコア直径34を有するように構成されている。本開示のいくつかの実施形態において、ファイバ50のコア30は、約1マイクロメートルから約20マイクロメートルのコア直径と共に構成されている。他の態様において、ファイバ50のコア30は、好ましくは約5マイクロメートルから約15マイクロメートルのコア直径34と共に構成される。
【0033】
ファイバセンサ100のいくつかの実施によると、光ファイバ50は、ファイバの長さ52にわたり±1%未満で変動するコアからコアの間隔60および/またはコア直径34を有し得る。さらに、ファイバ50は、±10%、±15%、±20%、±25%、±30%、±35%、±40%、±45%、±50%未満、およびこれらの特定のレベルの間のすべての変動値で変動するコアからコアの間隔60および/またはコア直径34を有し得る。理論に縛られることなく、ファイバセンサ100の光ファイバ50において、伝送された後方散乱信号が、ファイバの長さ52にわたりコアからコアの間隔60およびコア直径34において変動のレベルが制御された状態で、損失が少なく、SN比がより高く、および/またはより良い空間分解能を証明できる。
【0034】
ファイバセンサ100のいくつかの実施形態において、光ファイバ50は、2から100の範囲の複数のコアと共に構成され得る。ファイバ50の他の構成は、2から50コア、2から40コア、2から30コア、2から20コア、2から10コア、2から5コア、およびこれらの特定の範囲間の任意のコア数を使用し得る。
【0035】
図1Aに示されるように、ファイバセンサ100の他の実施形態において、光ファイバ50は、その複数のコア30が約1マイクロメートルから約200マイクロメートルのコアからクラッドの間隔70にしたがって配置された、1つまたは複数の最も外側のコア30を含むように構成され得る。さらに、コアからクラッドの間隔70は、最も外側のコア30のそれぞれの中央からファイバ外径54までの距離として定義されている。さらに、これらのファイバセンサ100態様において使用される光ファイバ50は、約20マイクロメートル、30マイクロメートル、40マイクロメートル、50マイクロメートル、75マイクロメートル、100マイクロメートル、125マイクロメートル、150マイクロメートル、175マイクロメートル、200マイクロメートルのコアからクラッドの間隔70、および、コアからクラッドの間隔70のためのこれらの特定の値の間のすべての間隔値と共に構成され得る。
【0036】
図1および図1Bを改めて参照すると、ファイバ50はまた、伝送端10aにおいてテーパーされてテーパー部分20aを画定し、結果的にファイバ50もまたテーパー部分20に隣接する非テーパー部分20を含んでいる。さらに、テーパー部分20は、非テーパー部分20におけるファイバ外径54と比較すると減少されているテーパーされたファイバ外径14aを有する。同様に、テーパー部分20aにおけるコア30は、非テーパー部分20におけるコア外径34と比較すると減少されたテーパーされたコア直径34aを有する。したがって、ファイバ50のテーパー部分20aは、ファイバ50の非テーパー部分20におけるファイバ外径54およびコア直径34それぞれと比較して1%から95%減少されているテーパーされたファイバ外径14aおよびテーパーされたコア直径34aによって特徴づけられている。さらに、いくつかの態様において、テーパーされたファイバ外径14aおよびテーパーされたコア直径34aは、ファイバ50の非テーパー部分20におけるファイバ外径54およびコア直径34のそれぞれと比較すると、約1%、15%、30%、45%、60%、75%、90%、95%、および特定の実施におけるこれらの特定のパーセンテージ間のすべてのパーセンテージで減少し得る。
【0037】
本開示のファイバセンサ100に関して、光ファイバ50のテーパーされた特質は、単一光源から複数のコア30への入射光の入射を容易にする上で有利である。つまり、単一光源からのスポットパターンは、ファイバのテーパー部分20aの伝送端10aでファイバ50内の各ファイバコア30に重ね合わすことができる。したがって、ファイバセンサ100の実施において、光ファイバ50は、ファイバの伝送端10aのその複数のコア30が、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのスポットサイズを有する単一光源から入射光を受け取るようにファイバ内に配置され、かつ構成されるように構成され得る。さらに、ファイバセンサ100の他の態様において使用される光ファイバ50は、その複数のコアが約1マイクロメートル、10マイクロメートル、20マイクロメートル、30マイクロメートル、40マイクロメートル、50マイクロメートル、60マイクロメートル、70マイクロメートル、80マイクロメートル、90マイクロメートル、100マイクロメートルのスポットサイズ、およびこれらの特定のスポットサイズ間のすべてのスポットサイズを有する単一光源から入射光を受け取るように構成され得る。
【0038】
ファイバ50のテーパリングにより提供される他の恩恵は、ファイバのテーパー部分20aの伝送端10aにおける増加されたコア密度であり、これは別の方法では、同じコア数を有する非テーパーのファイバ端において達成可能であろう。ファイバ50をテーパリングすることによって、入射光源からの一定のスポットサイズ内により多くのコア30が位置され得る。したがって、光源から各コア30へ伝送された光信号は、同様のフェーズで実質的に同等のタイミングを有する。各コア30から後方散乱信号を受信する検知器は、任意のフェーズやコア間30の他の信号のタイミング差を考慮する必要なしに、これらの信号を合計して、後方散乱信号の振幅を増加させ得る。その結果、光ファイバ50のテーパーされた性質は、コア30から発する後方散乱信号の合計に対してより低いSN比という結果になり、分布型センシング用途のためのファイバセンサ100においてより高い空間分解能を導くことになる。さらに、本開示の当業者は、ファイバセンサ100と共に使用するために選択された単一光源からのスポットサイズを収容するために、特定のテーパリングレベルを有する特定の数のコア30で、光ファイバ50を構成し得る。
【0039】
ファイバセンサ100において使用されているファイバ50をテーパーするために使用されるプロセスが、比較的短いファイバ長さ(たとえば1mより短い)にわたって、コア30の相関空間配列に影響を与えることなく、テーパーされたファイバ直径14aおよびテーパーされたコア直径34aに比例して(図1および図1Bを参照)ファイバ直径54およびコア直径34を縮小し得るので、テーパー部分20aに関連した信号損失は、最小であるとみられる。さらに、テーパリングは、ファイバ50の非テーパー部分20のコアからコアの間隔60を、テーパー部分20aのテーパーされたコアからコアの間隔60aまで比例的に縮小させる。同様に、テーパリングは、ファイバ50の非テーパー部分20のコアからクラッドの間隔70を、テーパー部分20aのテーパーされたコアからクラッドの間隔70aまで比例的に縮小させる。したがって、コアからコアおよびコアからクラッド空間的関係は、ファイバのテーパー部分20aで保持され、結果的にテーパリングに関連した光信号損失が最小になる。
【0040】
図1図1Aおよび図1Bに示されたファイバセンサ100の実施によると、光ファイバ50は、ファイバの伝送端10aにおいてコア30から発する後方散乱信号の合計が、参照、単一のコアファイバから得られた後方散乱信号からのSN比より大きいSN比を有するように構成され得る。この実施において、参照、単一のコアファイバは、テーパーされておらず、ファイバ50と同様のファイバ外径、コア直径、コア構成、クラッド構成および長さを有する。さらに、光ファイバ50のコア30から発する後方散乱信号の合計は、少なくとも約1.5倍、参照、単一のコアファイバから得られた後方散乱信号に関連したSN比を超え得る。特定の態様において、ファイバ50のコア30から発する後方散乱信号の合計は、約1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10倍、これらの特定の因子間のすべての値で、参照、単一のコアファイバから得られた後方散乱信号に関連したSN比を超え得る。本開示の他の態様によると、光ファイバ50においてコア30の数に実質的に比例する、より高いSN比でさえ、達成可能である(すなわち、参照、単一のコアファイバからの後方散乱SN比を超えるファイバ50から発する後方散乱信号が与えられた場合)。
【0041】
図2図2Aおよび図2Bを再び参照すると、本開示の他の態様による、光ファイバ50を使用するファイバセンサシステム200が、示されている。センサシステム200は、約300nmから約2000nmの波長において単一モードまたは少数のモードのうち1つの動作のために構成された光ファイバ50を含む。さらに、光ファイバ50は、伝送端10a、散乱端10bおよびテーパー部分20aによって画定されている。さらに、センサシステム200において使用される光ファイバ50は、コア30を囲んでいるクラッド40と共に、同等のコア直径および構成を有する複数のコア30を含む。注意書きがない場合は、図2図2Aおよび図2Bに示されたその関連要素(たとえばクラッド40)と共に、光ファイバ50は、図1図1Aおよび図1Bに示されたファイバ50と同じまたは同様の特徴および機能によって構成されている。
【0042】
図2図2Aおよび図2Bに示されているファイバセンサシステム200はまた、入射光150aの単一のスポット160をファイバ50の伝送端10aの複数のコア30へ向けるように構成された光源110を含んでいる。図2Aに示されるように、光源110は、ファイバ50のテーパー部分20aにおいて伝送端10aのコア30の端と重なるスポットサイズ160を有する光信号150aを生成する。ファイバ50におけるテーパリングのおかげで、スポット160は、ファイバ50内で各コア30と重なることができ、コアに入射された光信号がファイバの長さの下方に伝送された時に、同じタイミングおよびフェーズを有するのを確実にする。ファイバセンサシステム200における使用のために好ましい光源110は、これらに限定されないが、波長可変レーザ、LED光源、半導体レーザダイオードおよびレーザダイオードを含む。
【0043】
再び図2図2Aおよび図2Bを参照すると、ファイバセンサシステム200はさらに、単一のスポット160からの入射光150aが、ファイバ50の伝送端10aのコア30へ入射された後、コア30から発する後方散乱信号150dの合計を受信するように構成された受信機110aを含む。図2図2Aおよび図2Bに特に示されているように、光源110および受信機110aが、単一のユニットの中に包含されており、信号150aおよび150dは、本開示の当業者によって理解される手段を通して分離される。当業者はまた、光源110および受信機110aが、センサシステム200内で離れたユニットとして構成され得え、それぞれが、光信号150aおよび後方散乱信号150dの合計それぞれを操作することを理解し得る。ファイバセンサシステム200において使用するための受信機110aは、本開示の当業者によって理解されるように、たとえばダイオードアセンブリ、単一のフォトダイオード、またはシステム200において受信機110aの意図した機能を実行するために適切な他の受信機などの光検出器を含み得る。
【0044】
やはり図2図2Aおよび図2Bを参照すると、ファイバセンサシステム200もまた、光源110および受信機110aに結合された信号質問素子を含んでいる。信号質問素子120は、後方散乱信号150dを処理してファイバ50に近接または接触する特徴に応答するセンサ測定を得るように構成されている。ファイバセンサシステム200において使用するための適切な信号質問素子120は、これらに限定されないが、後方散乱信号150dに関連する信号振幅、信号フェーズおよび/または、信号周波数を検知、さもなければ処理し得る本開示の分野で理解されるデバイス、素子およびアセンブリを含む。
【0045】
また図2図2Aおよび図2Bに示されているように、本開示の態様によると、ファイバセンサシステム200は、光ファイバ50に近接する、たとえば足音300などの特徴に応答するセンサ測定(たとえば圧力の読み)を得るように構成され得る。より詳細には、システム200内の光源110および光ファイバ50は、入射光150aがファイバ50の伝送端10aの複数のコア30へ入射されるスポット160を生成するように構成されている(図1Aを参照)。入射光150aは、ファイバ50のコア30を通して散乱端10bの方へ伝播する。入射光150aは、レイリー散乱メカニズム(たとえばファイバにおいてマイクロスケールおよび/またはナノスケールの欠陥から)により、ファイバの長さの至る所で散乱し、また、入射光の一部は、後方散乱信号150dとしてコア30を介してファイバの伝送端10aの方へ後方に散乱する。
【0046】
再び図2図2Aおよび図2Bを参照すると、ファイバ50のコア30を介して入射光150aが伝播するので、後方散乱信号150dの波長は、図2に示される位置300aなどの特定の位置でファイバに近接または接触する特徴(たとえば足跡300)に関連した局所変位、温度変化、および/またはファイバの変形に基づいて変位され得る。結果的に、後方散乱信号150dの合計は、入射光150aに対して変位される波長を有し得る。したがって、コアから発する後方散乱信号150dは、受信機110aおよび/または信号質問素子120により後方散乱信号の総計に合計され得、入射光150aと後方散乱信号150dの間の波長変位に相関し得る、たとえば圧力などの特徴300に関連した特定のパラメータを計算する。
【0047】
ファイバセンサシステム200は、後方散乱信号150dの合計を利用して、ファイバ50に近接または接触する特徴300に関連する時間および位置関連情報を推定するように構成され得る。特に、光源110、受信機110aおよび信号質問素子120は、光学時間分域反射率測定(OTDR)を使用するレイリー散乱メカニズムを介してファイバ50を通して跳ね返る光の断片を測定するようにファイバセンサシステム200内において構成され得る。特に、システム200は、異なる時間における入射光150aと比較した後方散乱信号150dの合計における光の量を比較して、ファイバ50に近接または接触した特徴300に関連した位置300aを確認することができる。
【0048】
ファイバセンサ100およびファイバセンサシステム200を含む本開示において概説される分布型ファイバセンサおよびセンサシステムのそれぞれは、単一のコア、光ファイバ、たとえば商用グレードのテレコミュニケーショングレード光ファイバなどを使用する従来の分布型ファイバセンサおよびセンサシステムに対して、1つまたは複数の以下の利点を証明する。本開示のファイバセンサおよびセンサシステムの1つの利点は、それらのマルチコアファイバからの後方散乱信号が、従来の単一コアファイバからの後方散乱信号より、実質的にマルチコアファイバのコアの数に等しい倍数で大きくなることである。結果的に、本開示のファイバセンサおよびセンサシステムに関連した後方散乱信号のSN比は、従来のファイバセンサおよびシステムのSN比に対して著しく向上され得る。他の利点は、本開示では、非線状散乱効果に影響を受けにくいより低い電力信号をマルチコアファイバの各コアに発して、従来の単一コアファイバへ伝送される、より高い電力信号とほぼ同様の後方散乱信号の強さを達成できることである。本開示のセンサおよびシステムにおいて使用されるマルチコアファイバのさらなる利点は、現在の光源および光検出器スポットサイズに関連したスポットサイズに合うように、そのテーパーされた端が容易に構成され得ることである。さらに、これらのマルチコアファイバの伝送端をテーパーするために使用される処理は、比較的コストが低く、テーパリングそのものがファイバにおいてごく少ない信号損失を誘発する。本開示の分布型ファイバセンサおよびシステムの他の恩恵は、それらにおいて使用されるマルチコアファイバが、著しい処理および/または設計調節なしに、既存のファイバコーティング構成、ファイバケーブル設計および分布型ファイバセンサシステム構造で使用され得ることである。
【0049】
さらに、趣旨または特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を加えることができることは、当業者には明白であろう。
【0050】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0051】
実施形態1
ファイバセンサにおいて、
約300nmから約2000nmの波長において、単一または少数のモードのうち1つの動作のために構成され、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバ外径、およびファイバ長さによって画定される光ファイバであって、
同等のコア直径および構成を有する複数のコアと、
ファイバ外径によって画定され、また複数のコアを囲んでいるクラッドと
を有する光ファイバ
を備え、
ファイバが、伝送端でテーパーされて、ファイバ外径およびコア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定する、ファイバセンサ。
【0052】
実施形態2
テーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径のそれぞれが、ファイバ外径およびコア直径のそれぞれに対して1%から95%減少されている、実施形態1に記載のセンサ。
【0053】
実施形態3
ファイバ長さが約10mから100kmである、実施形態1または実施形態2のいずれかに記載のセンサ。
【0054】
実施形態4
光ファイバは、約300nmから約2000nmの波長において単一モード動作のために構成される、実施形態1から実施形態3のいずれかに記載のセンサ。
【0055】
実施形態5
コアは、少なくとも10マイクロメートルのコアからコアの間隔にしたがって配置され、コアからコアの間隔は、各コアの中央から隣接するコアの中央までの距離として定義される、実施形態1から実施形態4のいずれかに記載のセンサ。
【0056】
実施形態6
ファイバが、ファイバの伝送端への光の伝送上0dB未満のクロストークによって特徴づけられている、実施形態5に記載のセンサ。
【0057】
実施形態7
複数のコアが、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのコアからクラッドの間隔にしたがって配置されている1つまたは複数の最も外側のコアを備え、コアからクラッドの間隔は、最も外側のコアのそれぞれの中央からファイバ外径の距離として定義される、実施形態1から実施形態6のいずれかに記載のセンサ。
【0058】
実施形態8
ファイバの伝送端の複数のコアが、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのスポットサイズを有する単一の光源からの入射光を受け取るために、ファイバ内に配置され、また構成されている、実施形態1から実施形態7のいずれかに記載のセンサ。
【0059】
実施形態9
ファイバセンサにおいて、
約300nmから約2000nmの波長において、単一モード動作のために構成され、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバ外径、および約10mから約100kmのファイバ長さによって画定される光ファイバであって、
同等のコア直径および構成を有する複数のコアと、
ファイバ外径によって画定され、また複数のコアを囲んでいるクラッドと
を有する光ファイバ
を備え、
ファイバは、伝送端でテーパーされて、ファイバ外径およびコア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定し、
さらに、ファイバの伝送端は、単一源からの光がファイバの伝送端のコアに入射された後、コアから発する後方散乱信号の合計を示す、ファイバセンサ。
【0060】
実施形態10
後方散乱信号の合計が、参照、単一コア光ファイバからの後方散乱信号からのSN比より大きいSN比を有する、実施形態9に記載のセンサ。
【0061】
実施形態11
後方散乱信号の合計が、参照、単一コア光ファイバからの後方散乱信号からのSN比より少なくとも2倍大きいSN比を有する、実施形態9または実施形態10のいずれかに記載のセンサ。
【0062】
実施形態12
コアが、少なくとも10マイクロメートルのコアからコアの間隔にしたがって配列されており、コアからコアの間隔は、各コアの中央から隣接するコアの中央までの距離として定義される、実施形態9から実施形態11に記載のセンサ。
【0063】
実施形態13
ファイバが、ファイバの伝送端への光の伝送上で0dB未満のクロストークによって特徴づけられている、実施形態12に記載のセンサ。
【0064】
実施形態14
複数のコアが、約1マイクロメートルから約200マイクロメートルのコアからクラッドの間隔にしたがって配置されている1つまたは複数の最も外側のコアを備え、コアからクラッドの間隔が最も外側のコアのそれぞれの中央からファイバの外径までの距離として定義される、実施形態9から実施形態13のいずれかに記載のセンサ。
【0065】
実施形態15
ファイバの伝送端の複数のコアが、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのスポットサイズを有する単一の光源からの入射光を受け取るためにファイバ内で配置され、構成されている、実施形態9から実施形態14のいずれかに記載のセンサ。
【0066】
実施形態16
ファイバセンサシステムにおいて、
約300nmから約2000nmの波長において単一または少数のモードのうち1つの動作のために構成され、またさらに、伝送端、散乱端、ファイバ外径およびファイバ長さによって画定される光ファイバであって、
同等のコア直径および構成を有する複数のコアと、
ファイバ外径によって画定され、また複数のコアを囲んでいるクラッドと
を有する光ファイバ、
入射光の単一のスポットをファイバの伝送端の複数のコアへ向けるように構成された光源、
スポットがファイバの伝送端のコアへ入射された後、コアから発する後方散乱信号の合計を受け取るように構成された受信機、および
ファイバに近接または接触する特徴に応答するセンサ測定を得るために後方散乱信号を処理するように構成された信号質問素子、
を備え、
ファイバは、伝送端でテーパーされて、ファイバ外径ならびにコア直径のそれぞれより小さいテーパーされたファイバ外径およびテーパーされたコア直径によって特徴づけられたテーパー部分を画定する、ファイバセンサシステム。
【0067】
実施形態17
ファイバ長さが、約10mから約100kmである、実施形態16に記載のシステム。
【0068】
実施形態18
光ファイバが、約300nmから約2000nmの波長において単一モード動作のために構成されている、実施形態16または実施形態17のいずれかに記載のシステム。
【0069】
実施形態19
コアが、少なくとも10マイクロメートルのコアからコアの間隔にしたがって配置され、コアからコアの間隔が、各コアの中央から隣接するコアの中央までの距離として定義される実施形態16から実施形態18のいずれかに記載のシステム。
【0070】
実施形態20
ファイバは、単一のスポットがファイバの伝送端のコアへ入射された後、0dB未満のクロストークによって特徴づけられる、実施形態19に記載のシステム。
【0071】
実施形態21
複数のコアは、約1マイクロメートルから約100マイクロメートルのコアからクラッドの間隔にしたがって配置された1つまたは複数の最も外側のコアを備え、コアからクラッドの間隔が最も外側のコアのそれぞれの中央からファイバ外径までの距離として定義される、実施形態18に記載のシステム。
【0072】
実施形態22
センサ測定は、温度、圧力、歪み、変位、およびノイズからなるグループの1つまたは複数の特徴を備える、実施形態18に記載のシステム。
【符号の説明】
【0073】
10a 伝送端
10b 散乱端
14a ファイバ外径
20 非テーパー部分20
20a テーパー部分
30 コア
34 コア直径
34a テーパーされたコア直径
40 クラッド
50 光ファイバ
52 長さ
54 ファイバ外径
60 コアからコアの間隔
70 コアからクラッドの間隔
70a テーパーされたコアからクラッドの間隔
80 中央軸
100 ファイバセンサ
110 光源
110a 受信機
120 信号質問素子
150a 入射光
150d 後方散乱信号
160 スポット
200 センサシステム
300 特徴
300a 位置
図1
図1A
図1B
図2
図2A
図2B