(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972005
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】フレグランス材料のシアージュを評価するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 33/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
G01N33/00 C
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-551162(P2018-551162)
(86)(22)【出願日】2016年5月1日
(65)【公表番号】特表2019-511720(P2019-511720A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】EP2016059715
(87)【国際公開番号】WO2017167407
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2019年3月22日
(31)【優先権主張番号】62/316,028
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511008850
【氏名又は名称】シムライズ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・リュートケンハウス
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン・サン−ポール
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ジンガー
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・バンサムー
(72)【発明者】
【氏名】セリーヌ・カラスコ
【審査官】
西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/118347(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0320559(US,A1)
【文献】
特開2001−174372(JP,A)
【文献】
米国特許第3618359(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00−33/46
G01N 1/00−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレグランス材料のシアージュを評価するためのデバイスであって、
(i)両端が開口している評価管(1)、
(ii)通気系(2)、
(iii)少なくとも2つのロック可能なスニッフィング・ポート(3a、3b・・・)、
(iv)サンプル・ポート(4)、
(v)サンプル・プレート(5)、および
任意で(vi)サンプル・ホルダー(6)
を有して成り、またはから成り、
(a)前記評価管(1)は、水平に配置され、前記少なくとも2つのスニッフィング・ポート(3)および前記サンプル・ポート(4)を備え、
(b)前記評価管(1)の前方開口部は前記通気系(2)を備え、
(c)少なくとも1つのスニッフィング・ポート(3a)は前記評価管(1)の前方部に設置され、少なくとも1つのスニッフィング・ポート(2b)は前記評価管(1)の後方部に設置され、
(d)前記サンプル・ポート(4)は、前記評価管(1)の前方部内に設置され、
(e)前記サンプル・ポート(4)は、前記サンプル・プレート(5)または前記サンプル・ホルダー(6)のいずれかが前記評価管(1)内へ導入されることを可能とする直径を有し、
ここで、前記サンプル・プレート(5)は、前記サンプル・ホルダー(6)なしに、前記評価管(1)において水平に香りを有するように、前記評価管(1)内に配置されるか、又は、
前記サンプル・ホルダー(6)が前記サンプル・プレート(5)を有し、該サンプル・ホルダー(6)は、サンプル・プレート(5)が前記通気系(2)に面するように、前記評価管(1)内に挿入される、
デバイス。
【請求項2】
ガラス、金属またはプラスチックから形成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記評価管(1)は、150〜250cmの長さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記評価管(1)は、5〜20cmの直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記評価管(1)は、4つのスニッフィング・ポート(3a〜3d)を備え、それらのうちの2つは該評価管(1)の前方部に設置され、他の2つは該評価管(1)の後方部に設置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記スニッフィング・ポート(3)は、分析機に適合させるためのネジ・キャップおよびフィッティングを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記サンプル・ホルダー(6)は前記サンプル・プレート(5)を運ぶ、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記サンプル・プレート(5)は、ガラスまたは人工皮膚から形成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記サンプル・プレート(5)が加熱される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスを使用してフレグランス材料のシアージュの評価方法であって、
(a)フレグランス材料を供し、該フレグランス材料をサンプル・プレート(5)に配置する工程、
(b)前記サンプル・ポート(4)を介して前記評価管(1)内へ前記香りのついたサンプル・プレートを導入する工程、
(c)前記通気系(2)を開始し、前記評価管を通るように一定の規定された空気流れを供する工程、
(d1)少なくとも1つのスニッフィング・ポート(3)をフレグランスの強度の客観的決定が可能な分析機と接続する工程、ならびに/または
(d2)訓練された個人によるフレグランスの強度の主観的決定のために少なくとも1つのスニッフィング・ポート(3)を開く工程、
(e)工程(d1)および/もしくは(d2)から得られるデータを分析する工程
を含んで成る、またはから成る、方法。
【請求項11】
前記サンプル・プレート(5)はサンプル・ホルダー(6)に取り付け、前記サンプル・プレート(5)と前記サンプル・ホルダー(6)の双方を前記サンプル・ポート(4)を介して前記評価管(1)内へ導入する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
10〜50μLのフレグランス材料を、前記サンプル・プレート(5)に配置する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記香りのついたサンプル・プレート(5)を、25〜35℃に加熱する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記評価管(1)内に前記香りのついたサンプル・プレート(5)を導入する前に、前記香りのついたサンプル・プレート(5)を周囲温度まで引き続いて冷却する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フレグランス材料の前記シアージュを評価するための請求項1に記載のデバイスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレグランスの分野に属し、上質の(または最高級のまたは品質の優れた;fine)フレグランス又はフレグランス原材料のシアージュ(またはシヤージュまたは残り香または残香度;sillage)値を測定するために開発されたデバイスおよびその評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シアージュは、移動する使用者(または着用者;wearer)から発せられ、そのフレグランスをもって部屋に浸透する能力を示す。シアージュの性能は、以下で評価される;
(i)嗅覚強度(olfactory intensity)および
(ii)分析的に決定された
空気中のVOC濃度。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、シアージュは、上質のフレグランス性能の個人的または逸話的(anecdotal)経験としてしか言われていないが、感覚的および分析的手段によってフレグランスまたはフレグランス原材料のシアージュの定量化を可能にする方法またはデバイスを提供することができない。
【0004】
本発明の目的は、新しいフレグランス材料およびフレグランス組成物の性能の追加情報を得るために、このギャップを縮める(close)ことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、フレグランス材料のシアージュを評価するためのデバイスであって、
(i)両端が開口している評価管(1)、
(ii)通気系(2)、
(iii)少なくとも2つのロック可能なスニッフィング・ポート(または匂い嗅ぎポートまたはスニッフ用ポートまたは匂いを嗅ぐためのポート;sniffing ports)(3a、3b・・・)、
(iv)サンプル・ポート(4)、
(v)サンプル・プレート(5)
、および
任意の(vi)サンプル・ホルダー(6)
を有して成り、またはから成り、
(a)評価管(1)は水平に配置され、少なくとも2つのスニッフィング・ポート(3)およびサンプル・ポート(4)を備え、
(b)評価管(1)の前方開口部は通気系(2)を備え、
(c)少なくとも1つのスニッフィング・ポート(3a)は評価管(3)の前方部に設置され、少なくとも1つのスニッフィング・ポート(2b)は評価管(3)の後方部に設置され、
(d)サンプル・ポート(4)は、評価管(1)の前方部内に設置され、
(e)サンプル・ポート(4)は、サンプル・プレート(5)またはサンプル・ホルダー(6)のいずれかが評価管(1)
内へ導入されることを可能とする直径を有する、
デバイスである。
【0006】
デバイスは、分析手段および訓練された個人の知覚を使用して短時間でフレグランスの痕跡を模倣し(imitating)、任意の上質のフレグランスまたはフレグランス原材料のシアージュについての信頼性のある情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
(原文に記載なし)
【
図1B】
図1Bは、管の長さおよび直径、並びにサンプルおよびスニッフィング・ポートの配置について典型的な例を示す図である。
【
図3A】
図3Aはスニッフィング・ポートの図を示す図である。
【
図5】
図5は、サンプルが20μLの香り溶液(EdTまたはEdP)または溶媒中に希釈されたフレグランス原材料(EdT base)を運ぶサンプル・プレート(75×25mm)で支持されていることを示す図である。
【
図6A】
図6Aは、時間(h)におけるフレグランスAの強度トレースを示す図である。
【
図6B】
図6Bは、時間(h)におけるフレグランスBの強度トレースを示す図である。
【
図7】
図7は、ISV(親密なシアージュ値)と長期持続性との関係を示す図である。
【
図8】
図8は、原材料のサブセットの個々のISVおよびPSV(それぞれ親密なおよび公のシアージュ値)を示す図である。
【0008】
以下で、本発明を説明するために好ましい実施形態を説明するが、本発明を限定するものではない。
【0009】
<管>
フレグランス評価管(1)は、典型的には、両端が開口している長いガラス・シリンダーで形成されている(あるいは、その管は、金属、プラスチックまたはVOCとの低い相互作用を示す他の材料から形成され得る)。その管は、水平に配置され、少なくとも2つ、好ましくは合計4つのスニッフィング・ポート、すなわち前方部における2つの
スニッフィング・ポートおよび後方部における2つのスニッフィング・ポートを示す。あるいは、これらのスニッフィング・ポートは使用されて分析機に適合することができる(例えば、SPMEファイバー、TENAX管およびポンプ、FAIMS等)。前方開口部は、管へ
規定された空気流れ(または気流またはエアフロー;air flow)を加える(または適用する;apply)通気系に接続されている。好ましくは、前方部はまた、管の内側のガラス・プレートに香りのついたサンプルを導入することを可能とするサンプル・ホルダーを包含する。用語「前方部(またはフロント部;front section)」とは、通風機(または換気装置;ventilator)およびサンプルが管の中央部までに配置される開口部からはじまる管の部分をいう。後方部(またはリア部;rear section)は、管の中央部から管の向こう側までの部分(the part of the tube beyond)を意味する。
【0010】
図1Aは適切な管の写真を示し、
図1Bは管の長さおよび直径、並びにサンプルおよびスニッフィング・ポートの配置について典型的な例を示す。典型的には、管は、約150〜約250cmの長さおよび約5〜約20cmの直径を有する。
【0011】
<排気>
通風機は、ファンを備えたプラスチック製の支持体(またはサポート;support)から成る。さらに、通風機は、ファン速度を調整するための電子デバイスを包含する。空気流れは約2×10
−4(2.10
-4)m/hである。
【0012】
図2Aは、通風機の図を示し、
図2Bはいくつかの写真を示す。
<スニッフィング・ポート>
【0013】
スニッフィング・ポートはホールおよびゴムフィッティングを用いてネジ・キャップ(Schott GL 45)を介して接続される。必要に応じて通常のネジ・キャップ(Gl 45)を用いてそのポートを完全に閉じることができ、または、適切なアダプター(SPMEファイバー、TENAX管、FAIMS等)を介して他のデバイス(分析機類(analytic instrumentation))を接続することができる。
【0014】
図3Aはスニッフィング・ポートの図を示し、
図3Bはいくつかの写真を示す。
<サンプル・ホルダー>
【0015】
サンプル・ホルダーは、分析されるべきサンプルと共にガラス・プレートを運ぶ(または持つまたは収容する;carry)(ここでは表示されない)。サンプル・ホルダーは、管の前方部におけるサンプル・ポートを介して導入され、以下の写真において示されるネジ・キャップ(Schott GL45)で固定される。サンプル・ホルダーは、ガラス・プレートがファンに面するような空気流れに挿入される。
図4Aは、サンプル・ホルダーの図を示し、
図4Bはいくつかの写真を示す。
【0016】
試験は、時間の経過と共に上質のフレグランスのシアージュ強度のプロファイルを評価するように設計されている。試験は、フレグランス・プロファイルおよび強度の損失の観点から、人の皮膚での挙動を密接に反映する。
【0017】
サンプルはまた、管において水平に香りを運ぶガラス・プレートを単に配置することだけで、サンプル・ホルダーなしで導入され得る。
<サンプル・プレート>
【0018】
サンプルは、20μLの香り溶液(EdTまたはEdP)または溶媒
(EdT base)中に希釈されたフレグランス原材
料を運ぶサンプル・プレート(75×25mm、
図5参照)で支持されている。典型的には、そのプレートは、ガラスから形成されている。あるいはそのサンプルは、そのサンプルと強く相互作用しない、または実際の人の皮膚よりもフレグランスの似た放出を示す例えば、人工皮膚、プラスチックまたは金属支持体のような他の支持体に設けられてもよい。いくつかの支持体を、6〜8hの時間を超えて上質のフレグランスの性能を測定するために評価した。サンプルを、高温(elevated temperature)または周囲温度で通気された空間で維持し、i)絶対強度およびii)実際の皮膚と比較した臭覚プロファイル(嗅覚プロファイル)の類似性に関して評価した。結果を以下の表1にまとめた。
【0019】
【表1】
【0020】
結果は、
図6Aおよび6Bにまとめられている。その強度プロファイルは非常に似ているが、人工皮膚およびガラス・プレートが実際の皮膚の強度プロファイルを最も反映するようである。これらの支持体はまた、実際の皮膚のFFの嗅覚プロファイルと最も似ている。最も似ているのは、人工皮膚でガラス・スライドが密接に続いていた。
【0021】
あるいはサンプル用の支持体は、実際の皮膚の強度およびヘドニック(または快楽;hedonic)・プロファイルに似ている、プラスチック、金属または被覆されたそれらの変形体(または異形体;variants)のような他の材料から形成され得る。
【0022】
<方法>
本発明の別の目的は、請求項1に記載のデバイスを使用してフレグランス材料のシアージュの評価方法に関し、その方法は、以下の工程を含んで成る、またはから成る;
(a)フレグランス材料を供し、フレグランス材料をサンプル・プレート(5)に配置する工程、
(b)サンプル・ポート(4)を介して評価管(1)
内へ香りのついたサンプル・プレートを導入する工程、
(c)通気系(2)を開始し、管を通って一定の
規定された空気流れを供する工程、
(d1)少なくとも1つのスニッフィング・ポート(3)をフレグランスの強度の客観的決定が可能な分析機と接続する工程ならびに/または
(d2)訓練された個人によるフレグランス
の強度の主観的決定のために少なくとも1つのスニッフィング・ポート(3)を開く工程、
(e)工程(d1)および/もしくは(d2)から得られるデータを分析する工程。
【0023】
好ましくはサンプル・プレート(5)は、サンプル・ホルダー(6)に取り付けられ、サンプル・プレート(5)とサンプル・ホルダー(6)との双方がサンプル・ポート(4)を介して評価管(1)
内へ導入される。
【0024】
典型的には、約10〜約50μL、特に約20μLのフレグランス材料がサンプル・プレート(5)に配置される。通常、香りのついたサンプル・プレート(5)は、約25〜約35℃に加熱され、香りのついたサンプル・プレート(5)が管
内に導入される前に周囲温度に引き続いて冷却される。この方法は、本明細書の実験部分でより詳細に説明される。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の別の目的は、フレグランス材料のシアージュを評価するために上述したデバイスの使用に向けられている。
【実施例】
【0026】
<実施例1>
(シアージュ方法:一般的な手順)
以下の手順は、実施例によって本発明に係る方法を説明するが、それに応じて保護を制限するものではない。
【0027】
手短に言えば、上質のフレグランス・サンプルを32℃にて
3時間(3h
)まで加熱したガラス・プレートに塗布する。サンプルをガラス管に配置して、
規定された空気流れを加え、その強度をラベル付きのマグニチュード・スケール(labeled magnitude scale)(LMS)で訓練されたパネルにより評価する。その結果を時間の経過と共に強度格付け(intensity ratings)としてグラフにプロットする。
図6Aおよび6Bは、時間(h)におけるフレグランスAおよびBの強度トレース(intensity traces)を示す。
【0028】
(材料)
・代表的な上質のフレグランス・サンプル
(EdTまたはEdPであるかを知ることが重要であ
り、理想的には正確な用量でラボ分析によって確認される)
・ガラス・プレート(約75×25mm)
・ホット・プレート(32℃に調整することができる)
・マイクロピペット(20μL)
・スケールの強度標準
・パネリストの評価を記録するITツール
・サンプルの表面温度を確認するための非接触温度計が理想的
・この種の評価用に設計された特定の管(プランp3参照)+4つの漏斗(高さ(mm):6±(0.5mm)幅(mm):±6(0.5mm)
・管における空気流れを確認するための風速計(風速計 PCE−423)
・回転速度計 PCE−DT 63
【0029】
ホットプレートを32℃に設定し、温度むら(または変動またはばらつき;variance)を表面温度計で確認する。+/−1℃内のずれ(または偏差;Deviation)は許容され得る。この要求を満たさないプレート上の領域は、サンプルを加熱するために使用すべきではない。
【0030】
ファンをS1から60cmのところで管の一端に配置し(スキーム参照)、空気流れむらを回転速度計で確認する。各評価の前にファンのRPMを確認すべきである。我々は約766RPMを有するべきである。+/−30RPM内のずれは許容される。
【0031】
マイクロ−スライド(Micro-slides)を互いに接触しないようにホットプレート上に配置する。
【0032】
ホットプレートが評価サンプルを汚染する臭気を有する場合、2つのマイクロ−スライドを互いの上面(top)で使用することが推奨される。
【0033】
マイクロピペットの助けを借りて20μLの上質のフレグランスを有する各スライドを充填する(入れるまたは装着する;loaded)。サンプルがホット・プレートを汚染しないことに注意を
払わなければならない。
【0034】
サンプルを評価のために異なる方法で調整することができ、i)全てが同時に評価されるか、またはii)保管期間を通して評価される。
【0035】
この手順は、1日の特定の時間(例えば、午後4時〜午後4時30分)のみ利用可能なパネルで試験するのに適している。セッションごとに1つのFF(2回のT0およびT3h)の試験のみが可能である。管は、各評価の間にきれい(claen)であるべきである。最大保管期間(3h)の終わりに全サンプルを全体の評価の間(3h、フレッシュ)に評価され得るように、スライドを調製する。例えば、サンプルが午前11時に加えられてから3時間後の午後2時にセッションが生じるべきである。フレッシュなサンプルを加熱されたスライドに加え、ホット・プレートから直ちに除去する。適合を最小限にするために、最も弱い(3h)から最も強い(フレッシュ)までサンプルを評価する。それにもかかわらず、個々のマイクロ−スライド間での広範な停止(または休止;pausing)が推奨される。
【0036】
この手順は、T0(フレッシュ)でおよびT3hでサンプルを評価する日を通してパネリストが利用できる場合、より適切である。その手順は、1セッションにつき1〜2FFの試験を可能にするが、与えられた時間間隔を厳密に配慮する(respect)ことをパネリストに要求する。スライドを与えられた時間で調製し、評価する。
【0037】
評価前にサンプルを周囲温度(5分)まで冷却したままにする。2つの手順については、全てのパネリストが存在する場合に、サンプルを管に導入すべきである。パネリストは、同じ期間(試験開始後最大5分以内)にフレグランスを評価すべきである。
【0038】
フレグランスのシアージュ強度を専門家の訓練されたパネルにより評価する。サンプルをS1から50cm、ファンをS1から60cmのところに配置する(同時に1つのサンプルのみを管において評価する)。ファンがオンになり、パネリストは3分前に異なるスニッフ・ポート(sniff ports)で臭いを嗅がなければならない。ファンのパラメーター(XTパワーユニット−9ボルト、配線:USBプラグ(5V)、ファン最低設定−rpm)
【0039】
この時間は、我々が管においてバランスのとれた状態(balanced state)を有することを可能にする。これらの3分後、パネリストは、あなたが管の側面に配置されている場合に、管の右側の異なるスニフ・ポート(S1、S2、およびS3)でフレグランスの強度を評価するように依頼される。各評価の間に、管をアルコールまたはエタノールおよび空気を使用することによりきれいしなければならない。この工程の後、管は無臭でなければならない。
【0040】
管の準備ができた場合、パネリストは、評価を行うのに3分を要し、この時間の後、フレグランスの強度が異なることになるため、評価を中止することが推奨される。
【0041】
パネリストは、それらの評価(rating)をLMSスケールで帰属させた場合に、その基準(standards)を使用することが要求される。
【0042】
評価は前方部および後方部におけるスニッフィング・ポート上で行われ、それぞれ公の(または公開の;public)シアージュ値および親密な(intimate)シアージュ値を得る。
【0043】
重要なベンチマークの全ての結果をデータベースに集めた。
【0044】
<実施例2>
(香り性能(シアージュおよび長期持続性))
【0045】
x−軸はISV(親密なシアージュ値、より高い値はより良い性能を示す)を示し、y−軸は長期持続性(より高い値はより良い長期持続性を示す)を反映する。高性能のフレグランスは、図の右上の象限において見られる(香りE、HおよびP)。この結果は、
図7に示される。原材料のサブセットの個々のISVおよびPSV(それぞれ親密なおよび公のシアージュ値)が
図8に示されている。