(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972010
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】流動性が低減された可塑化ポリビニルアセタールの層を有する多層フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20211111BHJP
B32B 1/04 20060101ALI20211111BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
B32B27/30 Z
B32B1/04
B32B3/30
【請求項の数】13
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-552839(P2018-552839)
(86)(22)【出願日】2017年4月5日
(65)【公表番号】特表2019-513588(P2019-513588A)
(43)【公表日】2019年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2017058160
(87)【国際公開番号】WO2017174682
(87)【国際公開日】20171012
【審査請求日】2020年3月31日
(31)【優先権主張番号】16164394.5
(32)【優先日】2016年4月8日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512192277
【氏名又は名称】クラレイ ユーロップ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kuraray Europe GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン シュトイアー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヴェンツリク
(72)【発明者】
【氏名】楠藤 健
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ レリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ケラー
【審査官】
吉川 潤
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3036894(JP,B2)
【文献】
特開平05−025213(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/091116(WO,A1)
【文献】
特表2010−523379(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/132777(WO,A1)
【文献】
特開2011−127117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/30
B32B 1/04
B32B 3/30
C08F 8/28
C08F 16/38
C08L 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑化ポリビニルアセタールの第一の層および第二の層を少なくとも1つ有する多層フィルムにおいて、前記第一の層が、第一の可塑剤およびアセタール化度75.1〜84.0mol%の第一のポリビニルアセタールを含み、かつ前記ポリビニルアセタールにおけるビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック連続配列の合計量を基準とする、rrrrの立体化学配列を有するビニルアルコール基の5員の連続配列の量のモル比が、0.23超であり、前記第二の層が、第二の可塑剤およびアセタール化度60〜84mol%の第二のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする、多層フィルム。
【請求項2】
少なくとも1つの第一の層および少なくとも2つの第二の層を有し、ここで前記第一の層が、前記2つの第二の層の間に埋め込まれていることを特徴とする、請求項1記載の多層フィルム。
【請求項3】
少なくとも2つの第一の層および少なくとも1つの第二の層を有し、ここで前記第二の層が、前記2つの第一の層の間に埋め込まれていることを特徴とする、請求項1記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記第一のポリビニルアセタールにおけるビニルアルコール基の合計量を基準とする、ビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック連続配列の量のモル比が、少なくとも0.13であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記第一のポリビニルアセタールは、エタノール中で5重量%の溶液における溶液粘度が80mPa・s超であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記第一のポリビニルアセタールおよび/または前記第二のポリビニルアセタールは、残留アセテート含量が0.1〜8mol%であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記第一のポリビニルアセタールは、重合度が2500未満であることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項8】
組み合わせた層の合計可塑剤含量が、10〜42重量%であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項9】
ポリビニルアセタールの第一の可塑化層が、10〜60重量%の可塑剤および90〜40重量%の前記第一のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項10】
ポリビニルアセタールの第二の可塑化層が、10〜40重量%の可塑剤および90〜60重量%の前記第二のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項11】
前記フィルムは、メルトフラクチャーまたはエンボシングにより作製された表面構造を有し、表面粗さRzが、10〜100μmの範囲にあることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項12】
前記第一の可塑剤と前記第一のポリビニルアセタールとの混合物は、100℃でのメルトフローレート(MFR100)が220mg/10分未満であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【請求項13】
前記フィルムがくさび形プロファイルを有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性が低減された可塑化ポリビニルアセタールの層を少なくとも1つ有するフィルムに関する。
【0002】
従来技術
可塑化ポリビニルブチラールは、建築用途や自動車用途の合わせ安全ガラス用の中間膜や、太陽電池モジュールのための接着性フィルム用の中間膜として長く知られている。
【0003】
音の減衰特性を有する合わせ安全ガラスを提供するために、機械的特性が異なる可塑化ポリビニルブチラールの膜を少なくとも2つ有する中間フィルムを提供することが知られている。層の機械的特性が異なることで、音波の機械的エネルギーが放散され、これにより音が減衰される。量もしくは種類が異なる可塑剤および/または異なるポリビニルブチラールを使用することによって、機械的特性が同一ではない、異なる層が得られる。
【0004】
ポリビニルアセタールの機械的特性または物理的特性を調整するために、そのポリマー鎖の分子構造について、組成(アセタール化度、残留アセテート含量および残留アルコール含量)、鎖長、使用されるアルデヒドおよび様々な可塑剤との適合性の研究が行われた。
【0005】
さらに、ポリマー鎖の繰り返し単位、すなわちアセタール単位、アセテート単位、特にビニルアルコール単位の配列に関するポリビニルアセタールの物理的特性を調整するために研究が行われた。
【0006】
例えば英国特許第2007677号明細書(GB2007677)には、熱力学的に平衡でないことに基づいてポリビニルアセタール鎖における繰り返し単位の配列が「固まって」いるポリビニルアセタールの製造方法が開示されている。この目的のために、アセタール化反応においてポリマー鎖における基の配列に影響を与える乳化剤が使用される。
【0007】
ポリマー鎖に影響を与えるための乳化剤を使用することはさらに米国特許第8053504号明細書(US8053504)および米国特許第4970245号明細書(US4970245)に開示されている。米国特許第4970245号明細書(US4970245)による方法では、低いアセタール化温度を用いて、ポリビニルアセタールにおける繰り返し単位の配列が熱力学的に平衡になることを防止している。
【0008】
それとは反対に、米国特許第8053504号明細書(US8053504)には、ポリマーの配列を制御するために、単にアセタール化温度を少なくとも80℃とすることが記載されている。このような条件(すなわち高い反応温度)下で生成されるポリビニルアセタールの繰り返し単位の配列は熱力学的に平衡である。
【0009】
特許第3036894号(JP3036894)にはアセタール化度が65〜75mol%であるポリビニルブチラールの製造方法が開示されており、この製造方法には、酸触媒を二段階で添加すること、および反応温度を少なくとも69℃とすることが含まれる。生成されたポリビニルブチラールは、ヒドロキシル基のヘテロタクチックトライアド、シンジオタクチックトライアドおよびイソタクチックトライアドの各量を特徴とする。特許第3036894号(JP3036894)に開示されているポリビニルアセタールは流動性が上昇しており、これは3、4および5員鎖に分類されるヒドロキシル基の量および3員鎖の立体化学によるものである。
【0010】
ポリビニルアセタールおよびその可塑化フィルムの流動性を上昇させるための別の例において、米国特許出願公開第20110155205号明細書(US20110155205A1)には、流動性が高いポリビニルアセタールおよびこのポリビニルアセタールから製造された可塑剤含有フィルムが開示されている。流動性が高いことでポリビニルアセタールの粘度が75mPa・s未満になるとともに、可塑化ポリビニルアセタール(すなわち、フィルム)のメルトフローレートMFRが高くなり、ここでMFR(100)は500mg/10分超である。このような可塑化ポリビニルアセタールまたはフィルムは機械的安定性が低減されており、機械的安定性(すなわち、メルトフローレートMFR)が異なる可塑化ポリビニルアセタール混合物と共押出しするのが困難である。この理論に縛られるわけではないが、米国特許第20110155205号明細書(US20110155205A)に記載のポリマーの流動性が高い理由は、アセタール化法において用いられる酸性触媒の濃度が低いからである。
【0011】
上記で論じた従来技術は、ポリビニルアセタールの流動性を上昇させること、すなわち、より高い流動性を達成することに関する。これは特定の用途にとっては有益であるが、一方で他の状況下では流動性を低減することが望まれている。例えば流動性を低減させることで、このような材料から、より剛性の高い挙動を示し、かつ/または機械的安定性が向上した可塑化フィルムが得られるだろう。
【0012】
機械的安定性の改善は、例えば、流動性が同じではない層が組み合わされる多層中間膜の材料に有益である。流動性が同じではない/高過ぎる異なる層を有する多層フィルムの界面において、ラミネート中に捕捉されている過剰な空気は、界面で塊になって気泡、いわゆるアイスフラワー(iceflowers)を形成しやすい。
【0013】
また、流動性が高過ぎる層を1つ有する多層ラミネートにおいて、両方のガラス板が固定されていない場合、温度、時間および/または荷重が増えると、一方のガラス板がスリップすることがある。これは、いわゆるクリープ効果であり、固定された後部ガラス板と緩んだ前部ガラス板との間にずれが生じる。
【0014】
この点に関して、欧州特許出願公開第2660216号明細書(EP2660216A1)には、層が化学的に異なるポリビニルアセタールを含み、これにより層に異なる機械的安定性がもたらされて音の減衰特性に影響が与えられる多層フィルムが開示されている。しかしながら欧州特許出願公開第2660216号明細書(EP2660216A1)では、ポリビニルアセタールの二次構造、および得られる機械的特性、例えばメルトフローレートMFRの粘度で表される機械的特性については言及されていない。
【0015】
よって本発明の対象は、可塑剤含有多層フィルム用の層を製造するために、流動性が低減されたポリビニルアセタールを提供することであった。
【0016】
ポリビニルアセタールまたはポリビニルアセタールから製造される可塑化フィルムのレオロジー特性を、ポリマー鎖の二次構造の操作により調整できることが判明した。これは
13C−NMR測定による単純な手法で調べることができる。
【0017】
流動性が低減されたポリビニルアセタールを有する層は、異なるポリビニルアセタールを有する層とは機械的特性が異なる。よって、流動性が異なるポリビニルアセタールを有する層を組み合わせて、音の減衰特性を有する多層フィルムを提供することができる。本発明の目的はこのような層を提供することであった。
【0018】
本発明の目的
よって本発明は、可塑化ポリビニルアセタールの第一の層および第二の層を少なくとも1つ有する多層フィルムであって、第一の層が、第一の可塑剤およびアセタール化度75.1〜84.0mol%の第一のポリビニルアセタールを含み、かつポリビニルアセタールにおけるビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック連続配列の合計量を基準とする、rrrrの立体化学配列を有するビニルアルコール基の5員の連続配列の量のモル比が0.23超であり、第二の層が、第二の可塑剤およびアセタール化度60〜84mol%の第二のポリビニルアセタールを含む多層フィルムに関する。
【0019】
第一のポリビニルアセタールは、第二のポリビニルアセタールより流動性が低減されており、好ましくは本願に開示されているとおりに製造される。第二のポリビニルアセタールは、従来技術に記載または本願に開示されているいずれかの方法により製造可することができる。
【0020】
本発明による多層フィルムは第一の変形形態において、少なくとも1つの第一の層および少なくとも2つの第二の層を有することができ、ここで1つの第一の層は2つの第二の層の間に埋め込まれている。
【0021】
本発明による多層フィルムは第二の変形形態において、少なくとも2つの第一の層および少なくとも1つの第二の層を有することができ、ここで第二の層は2つの第一の層の間に埋め込まれている。
【0022】
ポリビニルアセタールの流れ挙動は、ビニルアルコール領域の形成、およびこれらの領域内でのヒドロキシル基の立体化学に強く依存する。
【0023】
第一のポリビニルアセタールは、ビニルアルコール基の5員のシンジオタクチック連続配列の立体化学を特徴とする。このような基の立体化学は、以下の式1〜3に示される。
【化1】
【0024】
式(1)による、ビニルアルコール基の5員のシンジオタクチック連続配列を、「rrrr」基と表す。
【化2】
【0025】
式(2)による、ビニルアルコール基の5員のシンジオタクチック連続配列を、「mrrr」基と表す。
【化3】
【0026】
式(3)による、ビニルアルコール基の5員のシンジオタクチック連続配列を、「mrrm」基と表す。
【0027】
さらに、本発明の第一の実施形態において、第一のポリビニルアセタールについては、該ポリビニルアセタールにおけるビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック連続配列の合計量を基準とする、mrrm(メソ/ラセモ/ラセモ/メソ)の立体化学配列を有するビニルアルコール基の5員の連続配列の量のモル比が、0.4未満であることを特徴とする。
【0028】
本発明の第二の実施形態において、第一のポリビニルアセタールについては、該ポリビニルアセタールにおけるビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック連続配列の合計量を基準とする、rrrr(ラセモ/ラセモ/ラセモ/ラセモ)の立体化学配列を有するビニルアルコール基の5員の連続配列の量のモル比が0.23超、好ましくは0.25超であってよく、ただし上限は0.33である。
【0029】
本発明の第三の実施形態において、第一のポリビニルアセタールについては、該ポリビニルアセタールにおける全てのビニルアルコール基を基準とする、ビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック配列のモル比が少なくとも0.130、好ましくは少なくとも0.150、より好ましくは少なくとも0.180であってよく、ただし、いずれの場合にも上限は0.250である。
【0030】
本発明の第四の実施形態において、第一のポリビニルアセタールについては、該ポリビニルアセタールにおけるビニルアルコール基、ビニルアセタール基および酢酸ビニル基から成る全ての基を基準とする、ビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック連続配列の含量が少なくとも2.5mol%、好ましくは少なくとも3.0mol%であってよく、ただし、いずれの場合にも上限は6mol%である。
【0031】
本発明の第五の実施形態において、第一のポリビニルアセタールについては、該ポリビニルアセタールにおけるビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック連続配列の合計量を基準とする、mrrm(メソ/ラセモ/ラセモ/メソ)の立体化学配列を有するビニルアルコール基の5員の連続配列の量のモル比が0.4未満、好ましくは0.29未満、少なくとも0.20であってよい。
【0032】
本発明において使用される第一および/または第二のポリビニルアセタールは、残留アセテート含量が同じであっても異なっていてもよく、好ましくは0.1〜8mol%、特に好ましくは0.2〜5.0mol%、特に0.2〜2.0mol%である。本発明の好ましい変形形態において残留アセテート含量は0.15〜1.2mol%である。
【0033】
ポリビニルアセタールの残留アセテート含量は、使用されるポリビニルアルコールの残留アセテート含量と同じであってよい。本発明の別の実施形態において、ポリビニルアセタールの残留アセテート含量は事後的な鹸化により低減される。
【0034】
第一および/または第二のポリビニルアセタールを製造するために使用されるポリビニルアルコールは、粘度平均重合度(DP)が500〜2500、好ましくは1500〜2300、最も好ましくは1600〜2000で、同じであるか、または異なる。単独のポリビニルアルコールを使用してもよく、また少なくとも2種の異なるポリビニルアルコールの混合物を使用してもよい。よって、第一および/または第二のポリビニルアセタールは、粘度平均重合度(DP)が2500未満、好ましくは500〜2500、好ましくは1500〜2300、最も好ましくは1600〜2000である。
【0035】
さらに、第一および/または第二のポリビニルアセタールの流動性を、95部のエタノールと5部の水との混合物(20℃)中で5重量%の溶液における溶液粘度で表すことができる。この溶液粘度は、80mPa・s超、好ましくは90mPa・s超、特に好ましくは110mPa・s超であることが好ましい。
【0036】
さらに、層の機械的特性は100℃でのメルトフローレート(MFR100)で表すことができる。本発明による多層フィルムは、少なくとも1つの層を有することが好ましく、ここで、第一の可塑剤(30〜40重量%)と第一のポリビニルアセタールとを含む混合物は、100℃でのメルトフローレート(MFR100)が、220mg/10分未満である。100℃でのメルトフローレート(MFR100)は、2mg/10分より高いものとする。
【0037】
ポリビニルアセタールを製造する場合、通常、少なくとも1種のポリビニルアルコールを、高温(70〜99℃)のもと水中でまず溶解させ、その後、2〜10個の炭素原子を有する1種以上のアルデヒドを用いて、酸触媒、例えば、HCl、HNO
3またはH
2SO
4の存在下にて0〜30℃の温度でアセタール化させる。本方法では例えば、アセトアルデヒド、イソブチルアルデヒドおよびn−ブチルアルデヒドが適している。
【0038】
好ましくは、従来技術において頻繁に使用される乳化剤または界面活性剤、例えばドデシルスルホン酸のナトリウム塩のようなスルホン酸塩を用いずに本発明において使用されるポリビニルアセタールを製造する。
【0039】
好ましくは、少なくとも1種のポリビニルアルコールと少なくとも1種のアルデヒドとの酸触媒反応により第一のポリビニルアセタールを製造するが、これは以下の方法工程:
a)0〜30℃の温度で酸触媒を添加することにより、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを反応させる工程、その際、ポリビニルアルコールに対する酸触媒の比率は、ポリビニルアルコール1kgあたり、少なくとも7.5molのH
+である、
b)酸触媒の供給完了後に、a)の反応混合物を69〜80℃に加熱し、反応混合物をこの温度範囲で少なくとも180分にわたり保つことにより反応を完了する工程、
c)b)の反応混合物を15〜45℃に冷却し、ポリビニルアセタールを分離する工程、および
d)反応混合物から分離されたポリビニルアセタールを中和する工程
を特徴とする。
【0040】
したがって、第一のポリビニルアセタールにより、酸触媒の添加の間または後のどちらかにおいて、すなわち本発明の方法の工程a)において沈殿物が生成された。方法工程a)において、酸またはアルデヒドを、様々な供給回数および/または供給間隔で添加することができる。本発明の方法において好ましくは、ポリビニルアセタールが工程a)の間に沈殿し、かつ第一のポリビニルアセタールの沈殿開始前に少なくとも5%の酸触媒を添加する。
【0041】
方法工程b)において少なくとも68℃、特に72℃超(ただし、いずれの場合にも上限は80℃)の温度で本方法を実施することが好ましい。この温度を、少なくとも20分にわたり維持することが好ましい。
【0042】
独立的に、方法工程b)における温度を、少なくとも180分、好ましくは210分超(ただし、いずれの場合にも、保持時間の上限は600分)にわたり保つことができる。
【0043】
ポリビニルアルコールのアセタール化は酸触媒反応であり、アセタール基は温度に応じて形成され、後に再び分解される。上記の方法を、ポリビニルアルコールに対する酸の比率が、ポリビニルアルコール1kgあたり、少なくとも8molのH
+、好ましくはポリビニルアルコール1kgあたり、9mol超のH
+、特に10mol超のH
+、特に好ましくは11mol超のH
+で実施することが好ましい。
【0044】
工程c)において反応混合物を冷却すると、工程b)で製造されたポリビニルアセタール中の繰り返し単位の配列が固まり、これらの配列は、酸触媒をさらに除去してもそれ以上変化しない。したがって、工程b)において得られるポリビニルアセタールにおける繰り返し単位の配列の熱力学的平衡は移動しない。
【0045】
本方法の工程d)において、反応混合物から分離された第一のポリビニルアセタールを中和する。これは、塩基、例えば、KOH、NaOH、Mg(OH)
2またはNaHCO
3の添加および/または水による洗浄によって達成可能である。
【0046】
第一および/または第二のポリビニルアセタールの残留アセテート含量は、化学量論量の強塩基をポリビニルアルコールの溶液に60〜99℃の温度で添加し、それから酸およびアルデヒドを添加することにより調整される。強塩基によりポリビニルアルコールの元々のアセテート基の一部が鹸化され、ポリビニルアセタールにおいてアセテート基の量がより少なくなる。
【0047】
本発明による第一および第二の層は、可塑剤含量が同じであっても異なっていてもよく、これは、調製物全体を基準として0〜60重量%の範囲にある。
【0048】
第一の層は、可塑剤含量を10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは27〜45重量%、および第一のポリビニルアセタールを90〜40重量%有することができる。
【0049】
第二の層は、可塑剤含量を好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%、最も好ましくは25〜30重量%、および第二のポリビニルアセタールを90〜60重量%有することができる。
【0050】
組み合わせた層の合計可塑剤含量は、好ましくは10〜42重量%、より好ましくは22〜32重量%である。
【0051】
これらの層は、当技術分野で一般的かつ当業者に公知の1種以上の可塑剤を含有することができる。特に好ましくは、1種以上の可塑剤は、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルアジペート、ジヘキシルアジペート、ジブチルセバケート、ジ−2−ブトキシエチルセバケート、トリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、トリエチレングリコール−ビス−n−ヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ビス−n−ヘプタノエート、ジ−2−ブトキシエチルアジペート、ジ−2−ブトキシエトキシエチルアジペートの群から選択される。
【0052】
また、これらの層は、同じか、または異なる接着調整剤、例えば、国際公開第03/033583号(WO03/033583A1)に開示されている有機酸のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を含有することができる。酢酸カリウムおよび/または酢酸マグネシウムが特に適していることが判明した。アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩は、単独で、または組み合わせて、0〜1000ppm、特に100〜500ppmの量で使用可能である。
【0053】
可塑剤含有ポリビニルアセタールをベースとするフィルムの製造は、工業的に知られており、例えば欧州特許第185863号明細書(EP185863B1)または欧州特許第1118258号明細書(EP1118258B1)に記載されている。また、これらのフィルムの加工は、当業者に公知であり、「オートクレーブ法」において10〜15barの高圧力および130〜145℃の温度で実施可能である。あるいは「真空バッグ式ラミネーター(vacuum bag laminators)」、「真空リング式ラミネーター(vacuum ring laminators)」または「真空ラミネーター」内で、例えば欧州特許第123568号明細書(EP123568B1)に従って、200mbarおよび130〜145℃で加工を行うことができる。これらのフィルムは、メルトフラクチャーまたはエンボシングにより作製された表面構造を有し、表面粗さRzが10〜100μm、好ましくは20〜80μmの範囲にある。
【0054】
本発明によるフィルムは、自動車および建設産業用の合わせガラスを製造するため、ならびに太陽電池モジュールを製造するために使用可能である。
【0055】
本発明の別の実施形態において、本発明による多層フィルムは、ヘッドアップディスプレイ機能を提供する積層グレージングを製造するのに有用なくさび形プロファイルを有することができる。
【0056】
測定手順:
相応する装置、例えばGoettfertからのモデルMI2を使用し、ISO1133に準拠して、フィルムの流れ挙動を、メルトインデックス(メルトフローレートMFR)として求める。MFR値は、相応する温度で、2mmのノズルを用いて21.6kgの荷重をかけた状態で、10分毎のグラム数またはミリグラム数(g/10分またはmg/10分)で示される。
【0057】
クリープ測定により、合わせ安全ガラス(LSG)における、一方のガラス板ともう一方のガラス板とのずれを求める。したがって、寸法10×30cm、ガラス厚さ3mmおよび前部ガラス板と後部ガラス板との間のオフセット20mmのLSGを作製する。1kgの鋼製のおもりを、接着により前側に取り付ける。このラミネートを、直立させた状態で100℃の炉内で貯蔵する。1週間後、前部ガラス板の最初の位置からのずれをmmで測定する。
【0058】
PVBフィルムに穴をあけて、合わせ安全ガラスへと過剰量の空気を導入することによりアイスフラワーの形成を試験し、その後、このラミネートを、米国特許出願公開第20130273378号明細書(US20130273378)に記載の気泡形成試験において試験することができる。例および比較例において使用した気泡形成試験は、米国特許出願公開第20130273378号明細書(US20130273378)に記載の試験方法によるものであり、欠陥率を、なし/少し/多くの気泡/アイスフラワーの間で等級付けした。
【0059】
ポリビニルアセタールのポリビニルアルコール含量およびポリ酢酸ビニル含量は、ASTM D1396−92に準拠して求めた。アセタール化度(=ブチラール含量)は、ASTM D1396−92に準拠した既定のポリビニルアルコール含量とポリ酢酸ビニル含量との合計から残分として計算可能であり、これらは合計で100になる。重量%からmol%への変換は、当業者に公知の式に基づいて行われる。
【0060】
金属イオン含量を原子吸光分析法(AAS)により求めた。
【0061】
DIN53015に準拠して95部のエタノールと5部の水との混合物中で20℃にてポリビニルアセタールの溶液粘度を測定した。粘性溶液の固体含量は5重量%であった。
【0062】
DIN53015に準拠して水中で20℃にてポリビニルアルコールの溶液粘度を測定した。粘性溶液の固体含量は4重量%であった。
【0063】
ポリビニルアルコールのアセチル含量(AC)を、以下の式:
【数1】
を用いて、JIS−K6726に記載の方法に従って求められるポリビニルアルコールの加水分解度(DH)の結果から計算した。
【0064】
ポリビニルアルコールのDP(粘度平均重合度)をJIS−K6726に従って求めた。具体的には、ポリビニルアルコールを少なくとも99.5mol%の加水分解度になるまで再加水分解して精製し、その固有粘度[η]を30℃の水中で測定し、そこからポリビニルアルコールの粘度平均重合度(DP)を、以下の式:
【数2】
に従って求める。
【0065】
Brukerの分光計AV600型を使用して、
13C−NMR測定を実施した。直径10mmのNMR管内で、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO)中に12重量%のPVB溶液を製造した。クロム(III)アセチルアセトネートを、緩和剤として0.9重量%の量で添加した。ゲートデカップリングモードにおいて80℃でNMR測定を実施した。シグナルを
図1〜4に従って割り当てた。図中の水平軸は化学シフトをppmで表す(共鳴周波数DMSO−d6:39.5ppm)。垂直軸は共鳴強度を表す。
【0066】
共鳴ピークの積分限界は、
図1〜4に示され、かつ表1に示されている。化学シフト間の積分は[ppm]で示される。
【0067】
表2に示される表現を、異なる構造単位の割合に対する相対的な尺度として使用する。
【表1】
*m型:メソ型、r型:ラセモ型、mm型:メソ/メソ型、mr型:メソ/ラセモ型、rr型:ラセモ/ラセモ型、rrrr型:ラセモ/ラセモ/ラセモ/ラセモ型、mrrr型:メソ/ラセモ/ラセモ/ラセモ型、mrrm型:メソ/ラセモ/ラセモ/メソ型。
【表2】
【0068】
全てのビニルアルコール基を基準とする、ビニルアルコール基の3員のシンジオタクチック配列のモル比の計算において、60ppm〜82ppmを基準とする基準線を、シグナルe〜シグナルkに対する各積分値の計算に使用する。また、HOブロック度の計算において、41ppm〜46ppmを基準とする基準線を、シグナルlおよびシグナルmに対する各積分値の計算に使用する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【0070】
実施例
3G8=トリエチレングリコール−ビス−2−エチルヘキサノエート
3G6=トリエチレングリコール−ビス−n−ヘキサノエート
DBEA=ビス(2−ブトキシエチル)アジペート
DBEEA=ビス(2−ブトキシエトキシエチル)アジペート
DINCH=1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル
BHT=3,5−ビス(1,1ジメチルエチル)−4−ヒドロキシトルエン
PVB=所定のPVA含量を有するポリビニルブチラール。
【0071】
実施例
比較例1:
0.71重量%のアセチル含量を有する100重量部のポリビニルアルコールMowiol28〜99(Kuraray Europe GmbHの市販品)を90℃に加熱しながら1075重量部の水中に溶解させた。0.156重量部の酸化安定剤BHTを67.5重量部のn−ブチルアルデヒドに入れた溶液を40℃の温度で添加し、撹拌しながら110重量部の20%塩酸を12℃の温度で6分以内に添加し、その後、ポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。その後、撹拌しながら混合物をさらに15分にわたり12℃に保持し、その後、80分以内に69℃に加熱し、120分にわたりこの温度に保持した。周囲温度に冷却した後に、PVBを分離し、水で中性になるよう洗浄し、99%超の固体含量になるまで乾燥させた。14.5重量%のポリビニルアルコール含量および1.24重量%のポリ酢酸ビニル含量を有するPVBが得られた。
【0072】
370gのPVB、125gの可塑剤DINCH、0.75gのUV安定剤Tinuvin328、0.25gの酸化安定剤Songnox2450、0.25gの25%酢酸マグネシウム四水和物水溶液を、実験室用ミキサー(メーカー:Brabender、826801モデル)内にて、20℃で5分にわたり混合した。得られた混合物を押出成形して、厚さ0.8mmのフラットフィルムを形成した。反対方向に回転するスクリューを有し、溶解ポンプおよびシートダイを備える二軸押出機(メーカー:Haake、Rhecord90システム)を使用して、押出成形を実施した。押出機のシリンダー温度は220℃であり、ノズル温度は150℃であった。
【0073】
例1:
比較例1に記載の100重量部のポリビニルアルコールを90℃に加熱しながら1075重量部の水中に溶解させた。0.63重量部の水酸化ナトリウムを添加することにより、90℃でポリビニルアルコールの水溶液を鹸化してアセチル含量を0.32重量%にした。0.156重量部の酸化安定剤BHTを61.5重量部のn−ブチルアルデヒド中に入れた溶液を40℃の温度で添加し、撹拌しながら189重量部の30%硝酸を12℃の温度で10分以内に添加し、その後、ポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。その後、撹拌しながら混合物を12℃でさらに15分保持し、その後、80分以内に73℃に加熱し、この温度で240分にわたり保持した。さらなる後処理を比較例1に従って行った。15.8重量%のポリビニルアルコール含量および0.82重量%のポリ酢酸ビニル含量を有するPVBを得た。フィルムを比較例1に従って作製した。
【0074】
例2:
比較例1に記載の100重量部のポリビニルアルコールを90℃に加熱しながら1075重量部の水中に溶解させた。0.156重量部の酸化安定剤BHTを62.75重量部のn−ブチルアルデヒド中に入れた溶液を40℃の温度で添加し、撹拌しながら189重量部の30%硝酸を12℃の温度で10分以内に添加し、その後、ポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。その後、撹拌しながら混合物を12℃でさらに15分保持し、その後、80分以内に73℃に加熱し、この温度で240分にわたり保持した。さらなる後処理を比較例1に従って行った。14.75重量%のポリビニルアルコール含量および1.49重量%のポリ酢酸ビニル含量を有するPVBを得た。フィルムを比較例1に従って作製した。
【0075】
例3:
比較例1に記載の100重量部のポリビニルアルコールを90℃に加熱しながら1075重量部の水中に溶解させた。0.156重量部の酸化安定剤BHTを61.5重量部のn−ブチルアルデヒド中に入れた溶液を40℃の温度で添加し、撹拌しながら189重量部の30%硝酸を12℃の温度で10分以内に添加し、その後、ポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。その後、撹拌しながら混合物を12℃でさらに15分保持し、その後、80分以内に73℃に加熱し、この温度で240分にわたり保持した。さらなる後処理を比較例1に従って行った。15.9重量%のポリビニルアルコール含量および1.49重量%のポリ酢酸ビニル含量を有するPVBを得た。フィルムを比較例1に従って作製した。
【0076】
比較例2:
0.71重量%のアセチル含量を有する100重量部のポリビニルアルコールMowiol28〜99(Kuraray Europe GmbHの市販品)を90℃に加熱しながら1075重量部の水中に溶解させた。0.156重量部の酸化安定剤BHTを57.5重量部のn−ブチルアルデヒドに入れた溶液を40℃の温度で添加し、撹拌しながら82.5重量部の20%塩酸を12℃の温度で6分以内に添加し、その後、ポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。その後、撹拌しながら混合物をさらに15分にわたり12℃に保持し、その後、80分以内に73℃に加熱し、60分にわたりこの温度に保持した。周囲温度に冷却した後に、PVBを分離し、水で中性になるよう洗浄し、99%超の固体含量になるまで乾燥させた。20.0重量%のポリビニルアルコール含量および1.030重量%のポリ酢酸ビニル含量を有するPVBが得られた。
【0077】
362.5gのPVB、125gの可塑剤3G8、12.5gの可塑剤DBEA、0.75gのUV安定剤Tinuvin328、0.24gの25%酢酸カリウム水溶液および0.1gの25%酢酸マグネシウム四水和物水溶液を、実験室用ミキサー(メーカー:Brabender、826801モデル)内にて20℃で5分にわたり混合した。得られた混合物を押出成形して、厚さ0.8mmのフラットフィルムを形成した。反対方向に回転するスクリューを有し、溶解ポンプおよびシートダイを備える二軸押出機(メーカー:Haake、Rhecord90システム)を使用して、押出成形を実施した。押出機のシリンダー温度は220℃であり、ノズル温度は150℃であった。
【0078】
例4:
比較例2に記載の100重量部のポリビニルアルコールを90℃に加熱しながら1075重量部の水中に溶解させた。0.156重量部の酸化安定剤BHTを57.2重量部のn−ブチルアルデヒド中に入れた溶液を40℃の温度で添加し、撹拌しながら165重量部の20%塩酸を12℃の温度で6分以内に添加し、その後、ポリビニルブチラール(PVB)が沈殿した。その後、撹拌しながら混合物を12℃でさらに15分保持し、その後、80分以内に73℃に加熱し、この温度で240分にわたり保持した。さらなる後処理を比較例1に従って行った。20.2重量%のポリビニルアルコール含量を有するPVBを得た。フィルムを比較例2に従って作製した。
【表3】
【0079】
比較例3:
可塑化三層フィルムを共押出により作製し、その際、PVBタイプのCE2を、それぞれ厚さ350μmで外層において使用し、PVBタイプのCE1を、厚さ130μmで内層として使用した。内層および外層の双方に使用される可塑剤は3G8/DBEA(10:1)であり、三層フィルムの可塑剤含量は29重量%であった。外層の可塑剤含量は28重量%であり、内層の可塑剤含量は36重量%であった。
【0080】
比較例4:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、PVBタイプのE4を外層において使用し、PVBタイプのCE1を内層として使用した。
【0081】
例5:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、PVBタイプのCE2を外層において使用し、PVBタイプのE1を内層として使用した。
【0082】
例6:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、PVBタイプのE4を外層において使用し、PVBタイプのE1を内層として使用した。
【0083】
例7:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、PVBタイプのCE2を外層において使用し、PVBタイプのE2を内層として使用した。
【0084】
例8:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、PVBタイプのE4を外層において使用し、PVBタイプのE2を内層として使用した。
【0085】
例9:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、PVBタイプのCE2を外層において使用し、PVBタイプのE3を内層として使用した。
【0086】
例10:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、PVBタイプのE4を外層において使用し、PVBタイプのE3を内層として使用した。
【0087】
比較例5:
可塑化三層フィルムを比較例3に従って作製し、その際、フィルムの可塑剤含量は31重量%であった。外層の可塑剤含量は29重量%であり、内層の可塑剤含量は42%であった。
【0088】
例11:
可塑化三層フィルムを例5に従って作製し、その際、フィルムの可塑剤含量は30重量%であった。
【0089】
積層体の特性を表4に示す。内層の流動性が低減されているために、本発明による例は、クリープ性が低く、すなわち高温でも機械的に安定であり、気泡形成の傾向が低減されていることを示す。
【表4】