特許第6972016号(P6972016)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972016印刷回路基板およびこれを含む電子部品パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972016
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】印刷回路基板およびこれを含む電子部品パッケージ
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20211111BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20211111BHJP
   H02H 9/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H05K1/02 N
   H02J7/00 P
   H02H9/02 H
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-557409(P2018-557409)
(86)(22)【出願日】2017年5月2日
(65)【公表番号】特表2019-515504(P2019-515504A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】KR2017004639
(87)【国際公開番号】WO2017191968
(87)【国際公開日】20171109
【審査請求日】2020年4月28日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0053962
(32)【優先日】2016年5月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヤンヒョン
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−303812(JP,A)
【文献】 特表平8−506219(JP,A)
【文献】 特開2013−84729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H9/02
H02J7/00
H05K1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データラインが配置されるデータライン層;
前記データライン層上に配置され、共通グラウンドおよび前記共通グラウンドと電気的に絶縁されるシャーシグラウンドを含むグラウンド層;
前記グラウンド層上に配置され、かつ、電源ラインが配置される電源ライン層;
前記データライン層と前記グラウンド層との間、および前記グラウンド層と前記電源ライン層との間に配置される絶縁層;
前記絶縁層を貫通して前記データライン層と前記シャーシグラウンドを電気的に連結する第1貫通電極;
前記絶縁層を貫通して前記電源ライン層と前記シャーシグラウンドを電気的に連結する第2貫通電極;および
前記シャーシグラウンドとシャーシケースを電気的に連結するシャーシ電極を含
前記シャーシ電極と前記第1貫通電極および前記第2貫通電極との間の最小離隔距離は、前記シャーシ電極の直径の0.1〜0.25倍である、印刷回路基板。
【請求項2】
前記第1貫通電極および前記第2貫通電極は電流密集領域に配置され、
前記電流密集領域は電流密度が前記印刷回路基板の平均電流密度より1.2倍以上高い領域である、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記第1貫通電極および前記第2貫通電極は電流密度が0.1A/mm〜20A/mmである領域に配置される、請求項に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
直列連結されたインダクタおよび抵抗素子を含む保護回路を含む、請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
前記インダクタは、データ伝送方向に前記抵抗素子よりも前端に配置される、請求項に記載の印刷回路基板。
【請求項6】
シャーシケース;
前記シャーシケース内に配置される印刷回路基板;および
前記印刷回路基板上に配置されて複数個のグラウンドを有する少なくとも一つの能動素子を含み、
前記印刷回路基板は、
データラインが配置されるデータライン層;
前記データライン層上に配置され、共通グラウンドおよび前記共通グラウンドと電気的に絶縁されるシャーシグラウンドを含むグラウンド層;
前記グラウンド層上に配置され、かつ、電源ラインが配置される電源ライン層;
前記データライン層と前記グラウンド層との間、および前記グラウンド層と前記電源ライン層との間に配置される絶縁層;
前記絶縁層を貫通して前記データライン層と前記シャーシグラウンドを電気的に連結する第1貫通電極;
前記絶縁層を貫通して前記電源ライン層と前記シャーシグラウンドを電気的に連結する第2貫通電極;
前記絶縁層を貫通して前記少なくとも一つの能動素子のグラウンドと前記シャーシグラウンドを電気的に連結する第3貫通電極;
前記シャーシグラウンドと前記シャーシケースを電気的に連結するシャーシ電極;および
前記少なくとも一つの能動素子と連結される保護回路を含み、
前記保護回路は直列連結されたインダクタおよび抵抗素子を含み、
前記インダクタは前記能動素子にデータが伝送される方向に前記抵抗素子よりも前端に配置され、
前記第1貫通電極および前記第2貫通電極は電流密集領域に配置されたグラウンドと前記シャーシ電極を連結し、
前記電流密集領域の電流密度は前記印刷回路基板の平均電流密度より1.2倍以上高い電子部品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施例は印刷回路基板およびこれを含む電子部品パッケージを開示する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(Electric Vehicle、EV)またはプラグ−インハイブリッド自動車(Plug−In Hybrid Electric Vehicle、PHEV)のようなドライビングデバイス(Driving Device)は、バッテリ充電のために充電所に設置された電気自動車充電設備(Electric Vehicle Supply Equipment、EVSE)を利用する。
【0003】
電気車の充電時に、チャージプラグ(charge plug)のみを電気車inletに結合し、ポータブル充電器を電源に連結していない状態で放置する場合、車両のECUは常にプラグが連結されていることを認識して、turn on状態で運転せずに停止状態で電力を消耗する場合が発生する可能性がある。
【0004】
これを改善するために、ポータブル充電器の電源プラグをwall mountに連結することによって、充電器が準備された時に出力されるControl PilotのPWM信号を利用して電源を印加する充電制御モジュール(EVCC)が必要である。
【0005】
電気自動車は常に高電圧または高電流が流れる環境に置かれることになる。したがって、充電制御モジュール(EVCC)に内蔵された複数個のICチップは過電流または過電圧が印加されてチップが破損し得る危険がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施例によると、過電流が流入した場合にもICを保護できる保護回路が備えられた印刷回路基板およびこれを含む電子部品パッケージを提供する。
【0007】
また、ICに印加された過電流を外部に放電できる印刷回路基板およびこれを含む電子部品パッケージを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例に係る印刷回路基板は、データライン層;前記データライン層上に配置されるグラウンド層;前記グラウンド層上に配置される電源ライン層;前記データライン層とグラウンド層との間、および前記グラウンド層と前記電源ライン層との間に配置される絶縁層を含み、前記グラウンド層は、共通グラウンドおよび前記共通グラウンドと電気的に絶縁されるシャーシグラウンドを含む。
【0009】
前記絶縁層を貫通して前記データライン層とシャーシグラウンドを電気的に連結する複数個の貫通電極;および前記シャーシグラウンドとシャーシケースを電気的に連結するシャーシ電極を含むことができる。
【0010】
前記複数個の貫通電極は電流密集領域に配置され、前記電流密集領域は電流密度が前記印刷回路基板の平均電流密度より1.2倍以上高い領域であり得る。
【0011】
前記複数個の貫通電極は電流密度が0.1A/mm〜20A/mmである領域に配置され得る。
【0012】
前記シャーシ電極と前記複数個の貫通電極との間の最小離隔距離は、前記シャーシ電極の直径の0.1〜0.25倍であり得る。
【0013】
直列連結されたインダクタおよび抵抗素子を含む保護回路を含むことができる。
【0014】
前記インダクタはデータ伝送方向に前記抵抗素子よりも前端に配置され得る。
【0015】
本発明の一実施例に係る電子部品パッケージは、シャーシケース;前記シャーシケース内に配置される印刷回路基板;および前記印刷回路基板上に配置されて複数個のグラウンドを有する少なくとも一つの能動素子を含み、前記印刷回路基板は、データライン層;前記データライン層上に配置され、共通グラウンドおよび前記共通グラウンドと電気的に絶縁されるシャーシグラウンドを含むグラウンド層;前記グラウンド層上に配置される電源ライン層;前記データライン層とグラウンド層との間、および前記グラウンド層と前記電源ライン層との間に配置される絶縁層;前記絶縁層を貫通して前記能動素子のグラウンドと前記シャーシグラウンドを電気的に連結する複数個の貫通電極;前記シャーシグラウンドとシャーシケースを電気的に連結するシャーシ電極;および前記能動素子と連結される保護回路を含み、前記保護回路は直列連結されたインダクタおよび抵抗素子を含み、前記インダクタは前記能動素子にデータが伝送される方向に前記抵抗素子よりも前端に配置され、前記複数個の貫通電極は前記能動素子のグラウンドのうち電流密集領域に配置されたグラウンドと前記シャーシ電極を連結し、前記電流密集領域の電流密度は前記印刷回路基板の平均電流密度より1.2倍以上高い。
【発明の効果】
【0016】
実施例によると、保護回路を利用して過電流による製品の誤作動および停止現象を改善することができる。
【0017】
また、グラウンドを通じて過電流を外部に迅速に排出することによって素子を保護することができる。したがって、1100Vの高電圧と200A以上の高電流が流れる電気自動車内で高電圧および/または過電流に対する影響を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例に係る電気自動車の充電システムを示すブロック図。
図2】電気自動車とEVSE間の連結方法を例示する図面。
図3】本発明の一実施例に係る電気自動車の充電装置のブロック図。
図4】本発明の一実施例に係る充電制御モジュールの概念図。
図5】ICのデータラインに保護回路が配置された状態を示す図面。
図6】ICの電源ラインに保護回路が配置された状態を示す図面。
図7】本発明の一実施例に係る印刷回路基板の概念図。
図8】表面層の電流の流れを示す図面。
図9】グラウンド層の電流の流れを示す図面。
図10】IC内の電流の流れを示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0020】
第2、第1等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使用され得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはしない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の技術的範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名され得、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名され得る。および/またはこれという用語は、複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0021】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」あるとか「接続されて」あると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されているかまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」あるとか「直接接続されて」あると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0022】
本出願で使用された用語は単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0023】
異なって定義されない限り、技術的であるか科学的な用語を含めてここで使われるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味に解釈されない。
【0024】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず同じであるか対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。
【0025】
図1は本発明の一実施例に係る電気自動車の充電システムを示すブロック図であり、図2は電気自動車とEVSE間の連結方法を例示する図面、図3は本発明の一実施例に係る電気自動車の充電装置のブロック図である。
【0026】
図1を参照すると、電気自動車(Electric Vehicle、EV、10)は電気自動車充電設備(Electric Vehicle Supply Equipment、EVSE、20)から充電され得る。このために、EVSE20に連結された充電ケーブルがEV10の注入口に連結され得る。ここで、EVSE20はACまたはDC電流を供給する設備であり、充電所に配置されるか、家庭内に配置され得、携帯できるように具現されてもよい。
【0027】
図2を参照すると、電気自動車10とEVSE20は充電ケーブル50を利用して連結され、充電ケーブル50のプラグはEV10に永久的に装着され得る。この時、充電ケーブル50は家庭用または産業用ソケット−アウトレットに連結されるか、充電所に連結され得る。
【0028】
図3を参照すると、充電装置11は電気自動車内に含まれ、電気自動車内のECU(Electronic Control Unit、12)と連結される。電気自動車の充電装置11は、CP(control Pilot)ポート101、PD(Proximity Detection)ポート102、PE(Protective Earth)ポート103、充電制御モジュール100、そして電源入力ポート104、105を含む。
【0029】
ここで、CPポート101はEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)に連結される充電ケーブルを通じて伝達されるCP(Control Pilot)信号の入力を受けるポートである。
【0030】
PDポート102は充電ケーブルのコネクターの近接の有無を感知するポートである。
【0031】
PEポート103はEVSE20の接地と連結されるポートである。
【0032】
充電装置11はバッテリ13の充電を制御する。このために、充電装置11はCPポート101を通じて受信されるパイロット機能(pilot function)を処理するPF(Pilot Function)ロジックおよびPDポート102を通じて受信される信号を利用してEVSE20のコネクターの注入の有無を検出するPD(Proximity Detection)ロジックを含むことができる。
【0033】
充電制御モジュール100はCP101ポートを通じて受信される信号およびPDポート102を通じて受信される信号の入力を受けると、電源入力ポート104、105と連結されるスイッチSWを制御してバッテリ13がEVSE20から充電電力を受信できるようにする。充電制御モジュール100はEVCC(Electric Vehicle Communication Controller)であり得る。
【0034】
しかし、このような充電制御モジュールの構成は必ずしもこれに限定されず、EVCCを利用して電気自動車の充電を制御できる多様な構成がすべて含まれ得る。
【0035】
図4は本発明の一実施例に係る充電制御モジュールの概念図であり、図5はICのデータラインに保護回路が配置された状態を示す図面、図6はICの電源ラインに保護回路が配置された状態を示す図面である。
【0036】
図4を参照すると、充電制御モジュールはシャーシケース160、印刷回路基板150および印刷回路基板150上に実装された複数個の能動素子120を含むことができる。シャーシケース160は外観をなす金属材質であり得る。
【0037】
能動素子120は集積回路(Integrated Circuit;IC)、FPGAなどを含むことができる。例示的に能動素子120はMCU ICであり得るが、必ずしもこれに限定されず、多様な機能を遂行する能動素子120を含むことができる。
【0038】
本実施例では電気自動車の充電を制御するEVCCを一実施例として説明するか、必ずしもこれに限定されず、印刷回路基板に能動素子が配置される多様な形態の電子部品パッケージに適用され得る。すなわち、カメラモジュール、ナビゲーションのような多様な電子部品に適用され得る。
【0039】
能動素子120は印刷回路基板150に実装される複数個のポートを含むことができ、複数個のポートは電源ポート、データポート、およびグラウンドポートを含むことができる。データポートは印刷回路基板150に形成されたデータラインL1と電気的に連結され得る。
【0040】
実施例によると、データラインL1には直列連結されたインダクタ131と抵抗素子132を含む保護回路130が配置され得る。保護回路130はデータラインに過電流が印加された場合、能動素子120を保護することができる。
【0041】
保護回路130は直列連結されたインダクタ131および抵抗素子132を含むことができる。例示的に抵抗素子132は伝送線路のインピーダンスをマッチングする役割を遂行し、インダクタ131は過電流によるオーバーシュートまたはアンダーシュートを補正する役割を遂行することができる。
【0042】
この時、相対的にインダクタ131は入力端に近く配置され、抵抗素子132は能動素子120に近く配置され得る。インダクタ131は抵抗素子132に比べて容量が大きいため入力端に配置された方がデータの損傷を防止するのに有利であり得る。また、インダクタ131が入力端に近く配置されるとピーク性の過電流を補正してきれいな波形の信号を送受信することができる。
【0043】
保護回路130のインダクタ131と抵抗素子132は、伝送線路のインピーダンスを約25ohm〜75ohmに整合させることができる。したがって、データ信号のノイズおよび信号歪み現象を改善することができる。
【0044】
保護回路130は、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスの大きさを反映して適正な保護回路の値を設計することができる。この時、流入する電流の周波数、データのクロック数等を考慮して設計することができる。
【0045】
実施例に係る保護回路130によると、入力電流によって発生するオーバーシュートおよびアンダーシュートが改善され得る。したがって、電流の影響を最小化して誤作動および停止現象を改善することができる。したがって、実施例の保護回路130の構成は特定の帯域以外の周波数はカットオフさせるパスフィルターと区分され得る。
【0046】
しかし、必ずしもこれに限定されず、保護回路130は伝送線路のインピーダンスをマッチングさせ、歪んだ信号を補正できる構成であれば特に制限されない。前述したRL回路以外にもRLCまたはRC回路を利用して歪んだ信号を補正してもよい。
【0047】
図5を参照すると、データラインに過電流が流入する時にデータ信号がこわれると通信および映像が伝達されない現象が発生する。この時、抵抗素子132はCAN ICとICチップの間のインピーダンス整合回路の役割を遂行することができる。インダクタ131はCAN ICとICチップ間に流れるピーク性の過電流を補正する役割を遂行することができる。図6のように、電源ラインに過電流が印加された場合にも同様の原理で電流値を補正することができる。
【0048】
再び図4を参照すると、印刷回路基板150のグラウンド構造140は、シャーシケース160と連結されてICチップに印加される過電流をシャーシグラウンドに放出する。実施例によると、印刷回路基板150は保護回路130を利用してピーク性の電流を補正し、保護回路130の設計範囲から外れた過電流はシャーシグラウンドを通じて迅速に放出することができる。したがって、伝送線路を通じて多様な形態の過電圧または過電流が印加されても能動素子120を保護することができる。
【0049】
図7は本発明の一実施例に係る印刷回路基板の概念図、図8は表面層の電流の流れを示す図面、図9はグラウンド層の電流の流れを示す図面、図10はIC内の電流の流れを示す図面である。
【0050】
図7を参照すると、印刷回路基板150は能動素子120にデータ信号を伝送するデータラインが形成された第1層158、能動素子120に電源を印加する電源ラインが形成された第2層153、互いに電気的に絶縁された共通グラウンド154aとシャーシグラウンド154bを含むグラウンド層154、第1層158、第2層153、グラウンド層154の間に配置される複数個の絶縁層152、第1層158とシャーシグラウンド154bを電気的に連結する複数個の貫通電極156、およびシャーシグラウンド154bとシャーシケース160を電気的に連結するシャーシ電極157を含む。
【0051】
回路基板は樹脂系列の印刷回路基板150(PCB:Printed Circuit Board)、メタルコア(Metal Core)PCB、軟性(Flexible)PCB、セラミックPCB、FR−4基板を含むことができる。
【0052】
第1層158は高周波ノイズを発生させるため、放射を最小化するためにグラウンド層154の下部に配置され得る。したがって、グラウンド層154は第1層158から放射されたノイズを遮蔽するシールドの役割を遂行することができる。第2層153は低周波ノイズを発生するためグラウンド層154の上部に配置することができる。グラウンド層154は第1層158と第2層153の間に配置され得る。
【0053】
しかし、各層の配置は必ずしもこれに限定されず、多様に変形されてもよい。第1層158は回路パターンのデザインに従って複数個の層で構成されてもよい。第2層153上にはICチップが実装される表面層がさらに配置されてもよい。
【0054】
グラウンド層154は、シャーシケース160に電気的に連結されるシャーシグラウンド154b、およびシャーシグラウンド154bと絶縁された共通グラウンド154aを含む。シャーシグラウンド154bは電気自動車のボディーと電気的に連結されて安定した接地面積を確保することができる。共通グラウンド154aはシャーシグラウンド154bを除いた残りのグラウンド領域であり得る。共通グラウンド154aは一般的なPCBグラウンドであって、能動素子のグラウンドが電気的に連結され得る。
【0055】
貫通電極156は絶縁層152を貫通して第1層158および/または第2層153をシャーシグラウンド154bと電気的に連結することができる。貫通電極156は第1層158とシャーシグラウンド154bを連結する複数個の第1貫通電極156a、および第2層153とシャーシグラウンド154bを連結する複数個の第2貫通電極156bを含むことができる。図示してはいないが共通グラウンド154aも貫通電極によってICのグラウンドと連結され得る。
【0056】
第1貫通電極156aおよび第2貫通電極156bは電流密度が高い電流密集領域に形成することができる。このような構成によると、回路基板上で電流密度が高くなる領域がシャーシケース160と接地されて迅速に放電され得る。また、シャーシケース160は電気自動車の本体と連結されるため、広いグラウンド面積を確保することができる。
【0057】
一般的にICのグラウンドポートは複数個であるので、すべてのグラウンドをシャーシグラウンドで束ねることは回路設計上困難であり得る。したがって、実施例では過電流印加時に電流が密集するグラウンド領域を選別してシャーシグラウンド154bに連結し、残りのグラウンドは共通グラウンド154aに連結することによって、過電流印加時にICチップが損傷することを防止することができる。
【0058】
シャーシグラウンド154bと共通グラウンド154aを電気的に絶縁させる構造は様々な利点がある。例示的に他のICから印加される外部ノイズ信号を遮断することができる。カップリング(Coupling)による外部ノイズはハーネス(Harness)を通じて電源線または信号線に流入し得る。この場合、一つのグラウンドにすべてを束ねて設計すると、電源線に入ったノイズがグラウンドに乗って信号線に流入する問題が発生する可能性がある。例示的に、パワーICは数KHzの低周波で動作するため、1M〜400MHzの外部ノイズに影響を受けない。その反面、通信ICは数十MHZで動作するため、大きく影響を受ける。したがって、パワーICと通信ICを互いに異なるグラウンドで束ねて通信ICにパワーICのノイズが流入することを遮断できる長所がある。例示的に、通信ICがシャーシグラウンドに連結されてもよく、電源ICがシャーシグラウンドに連結されてもよい。
【0059】
実施例によると、共通グラウンドとシャーシグラウンドを電気的に分離して外部ノイズをバイパスさせ、電源線に乗って入ってくる外部ノイズによる干渉を最小化することができる。したがって、ノイズに弱いICを保護することができる。
【0060】
シャーシグラウンド154bは複数個の貫通電極156と連結され、シャーシ電極157と連結され得る。シャーシ電極157の直径は2cm〜5cmであり得る。シャーシ電極157と貫通電極156は少なくとも3〜5mm離隔して配置され得る。シャーシ電極157と貫通電極156が少なくとも3mm未満に近く配置された場合、過電流がシャーシ電極157を通じて外部に放出されずに貫通電極156を通じて基板に再び回帰し得る。シャーシ電極157と複数個の貫通電極156の間の最小離隔距離は、シャーシ電極157の直径の0.1〜0.25倍であり得る。
【0061】
図8および9を参照すると、外部でデータラインおよび/または電源ラインを通じて過電流が印加された場合、すべての層において電流が流れるようになる。図8のように最外郭層においても電流の流れが発生し、図9のようにグラウンド層154においても電流の流れが発生する。この時、各層においては電流が密集する領域が発生する。電流密集領域Dは能動素子配置領域Sに多く分布され得る。
【0062】
電流密集領域Dとは、印刷回路基板150の平均電流密度より1.2倍〜1.5倍以上の電流密度を有する領域と定義することができる。電流密集領域はグラウンド領域であってもよく、グラウンド領域ではないが回路設計上電流が密集する領域であってもよい。このような電流密集領域Dは回路基板のデータラインに過電流を印加し、電流方向および電流密度を測定して計算することができる。例示的に、電流密集領域Dの電流密度は約1E+05A/m〜2E+07A/m(約100,000A/m〜20,000,000A/m、または0.1A/mm〜20A/mm)であり得る。電流密度は面積当たりの電流値と定義することができる。
【0063】
実施例によると、図9のように電流密集領域Dに配置されたグラウンドに貫通電極156を形成してシャーシグラウンドと電気的に連結することができる。過電流印加時に電流密集領域Dにはさらに大きな電流が密集し得る。したがって、電流密集領域Dをシャーシグラウンドと連結すれば過電流を迅速に外部に放出させることができる。シミュレーションまたはサンプル実験を通じて電流密集領域を定めた後、電流密集領域に貫通電極156を連結することができる。
【0064】
図10を参照すると、電流密集領域Dは能動素子120が実装された状態で測定することもできる。したがって、各能動素子の種類、配置位置、配置個数、または回路基板の種類によって電流密集領域Dは変わり得る。実施例によると、能動素子を回路基板に実装した後に過電流テストを通じて電流密集領域Dを算出し、該当電流密集領域Dに貫通電極156を形成してシャーシグラウンドと機械的に連結することができる。機械的な連結は回路基板とシャーシケース160のボルト結合で構成され得るが必ずしもこれに限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10