特許第6972035号(P6972035)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972035タービンダイアフラム用の静翼および関連するタービンダイアフラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972035
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】タービンダイアフラム用の静翼および関連するタービンダイアフラム
(51)【国際特許分類】
   F01D 9/04 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   F01D9/04
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-566573(P2018-566573)
(86)(22)【出願日】2017年6月21日
(65)【公表番号】特表2019-518903(P2019-518903A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】EP2017065220
(87)【国際公開番号】WO2017220646
(87)【国際公開日】20171228
【審査請求日】2019年2月8日
(31)【優先権主張番号】16290110.2
(32)【優先日】2016年6月21日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ルメール,ジュリエン
(72)【発明者】
【氏名】ブギン,アルノー
【審査官】 吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】 特許第122834(JP,C2)
【文献】 特開2007−321644(JP,A)
【文献】 特開昭51−052339(JP,A)
【文献】 特開平05−231102(JP,A)
【文献】 特開昭56−116861(JP,A)
【文献】 特開昭59−058103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/04
F01D 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁(44a)、後縁(44b)、正圧側、および負圧側を有するエーロフォイル部分(44)と、
前記エーロフォイル部分(44)と一体の半径方向内側および外側の補強部分(46、48)と
を備えた軸流タービン用の静翼(32)であって、
前記内側および外側の補強部分(46、48)の各々が、前記エーロフォイル部分(44)の断面の形状に密接に従い、
前記前縁(44a)における前記内側部分(46)と前記外側の補強部分(46、48)との間の距離が、前記後縁(44b)における前記内側部分(46)と前記外側の補強部分(46、48)との間の距離よりも長く、
前記内側および外側の補強部分(46、48)の各々が、前記エーロフォイル部分(44)の断面より実質的に大きな断面を有し、前記エーロフォイル部分(44)の前記前縁(44a)を前記正圧側から前記負圧側に渡って取り囲む前縁(46a、48a)に対応する丸みのある拡大された形状、および前記エーロフォイル部分(44)の前記後縁(44b)を前記正圧側から前記負圧側に渡って取り囲む後縁(46b、48b)に対応する薄い部分を有する、静翼。
【請求項2】
前記内側および外側の補強部分(46、48)の各々が、前記エーロフォイル部分(44)の全周を取り囲む断面を有する、請求項1記載の静翼。
【請求項3】
前記静翼(32)が合金鋼材料から作られる、請求項1または2記載の静翼。
【請求項4】
前記合金鋼材料が12%のクロミウムを含む、請求項3記載の静翼。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の複数の同一の静翼の環状物と、
各静翼(32)の前記内側および外側の補強部分(46、48)を受け入れるような形状の貫通穴(38a、40a)を有する内側および外側のスペーサバンド(38、40)と、
前記内側および外側のスペーサバンド(38、40)を取り囲む半径方向内側および外側のダイアフラムリング(34、36)と
を備える軸流タービンダイアフラム構造物。
【請求項6】
前記内側および外側の補強部分の各々が、対応する前記内側および外側のスペーサバンド(38、40)に溶接部(50a、50b、52a、52b)によって溶接される、請求項5記載の軸流タービンダイアフラム構造物。
【請求項7】
前記溶接部(50a、50b、52a、52b)が、前記内側および外側の補強部分(46、48)の前縁および後縁(48a、48b、46a、46b)に配置される、請求項6に記載の軸流タービンダイアフラム構造物。
【請求項8】
前記内側のスペーサバンド(38)が前記内側のダイアフラムリング(34)に溶接され、前記外側のスペーサバンド(40)が前記外側のダイアフラムリング(36)に溶接された、請求項5乃至7のいずれか1項記載の軸流タービンダイアフラム構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流タービン用、特に蒸気タービン用の静翼のリング構造物に関する。
【0002】
詳細には、本発明はタービンダイアフラムに関する。
【背景技術】
【0003】
蒸気タービンは、蒸気の熱エネルギーを、交流発電機、ポンプ、または任意の他の回転する機械的な受け側を駆動するための機械エネルギーに変換することを目的とした回転機械である。一般に、蒸気タービンは、高圧モジュール、中圧モジュール、および低圧モジュールを備える。
【0004】
蒸気タービンは一般に、対称または非対称の単流または複流の内側本体を備え、内側本体は、動翼を備えたロータを取り囲み、前記内側本体内に吊るされたダイアフラムを形成する固定のまたは静止したブレードを支持する。ダイアフラムは、蒸気の流れをロータの動翼に向けるように特定の方向に案内し、それによって蒸気流を加速するように構成されている。
【0005】
本発明は、「スペーサバンドダイアフラム」および「プラットフォームダイアフラム」と呼ばれる公知のタイプの構造ダイアフラムに関する。
【0006】
図1aに示す、いわゆる「スペーサバンドダイアフラム」タイプの構造物10では、ブレードエーロフォイル11は、平らな帯から折り曲げられた内側および外側の環状バンド14、15によって、内側リング12および外側リング13に半径方向に固定される。貫通穴16が、エーロフォイル形状の断面に合うように、例えば、レーザによって、前記バンド14、15内に切り抜かれている。次いで、エーロフォイル11の端部は前記貫通穴16に挿入されて定位置に隅肉溶接される。内側バンド14は内側リング12に溶接され、外側バンド15は外側リング13に溶接される。このようなタイプの構造物は、蒸気タービンで使用される他のタイプの構造物に比べて、ブレードの機械加工量が比較的少ない。
【0007】
例えば、図1bに示す、いわゆる「プラットフォームダイアフラム」タイプの構造物20では、ブレードエーロフォイル21は、実質的に、半径方向内側および外側のプラットフォーム22、23と一体の2つの両側の端部を有するベーンの形状の断面を有する。ブレードエーロフォイルおよびプラットフォームは、中実の棒から機械加工される、または鍛造品によるものである。内側リングと外側リング(図示せず)との間に、エーロフォイル−プラットフォーム構成部品を連続して組み合わせて組み付けて、プラットフォームを前記リングに溶接することによって、完全な環状の静翼が組み立てられる。プラットフォームにより、このようなダイアフラムは、スペーサバンドタイプに比べると、機械的強度はより良いが、製造コストはずっと高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1847689(A2)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は上記の欠点を改善することである。
【0010】
良好な性能特性を有し、製造するのが経済的であるダイアフラムタイプの構造物を提供することが本発明の具体的な目的である。
【0011】
一実施形態では、軸流タービン用の静翼は、前縁、後縁、正圧側、および負圧側を有するエーロフォイル部分と、前記エーロフォイル部分と一体の半径方向内側および外側の補強部分とを備える。
【0012】
各補強部分は、エーロフォイル部分の断面の形状に密接に従う。
【0013】
補強部分により、製造コストを増大させることなく、スペーサバンドダイアフラムの機械的強度が向上する。
【0014】
各補強部分は、エーロフォイル部分の断面より実質的に大きな断面を有することが有利である。補強部分の断面は、エーロフォイル部分の前縁を取り囲む前縁に対応する丸みのある拡大された形状、およびエーロフォイル部分の後縁を取り囲む後縁に対応する薄い部分を有する。
【0015】
静翼は、例えば、12%のクロムを含む合金鋼材料から作ることができる。
【0016】
第2の態様によれば、本発明は、前述したような複数の同一の静翼の環状物と、各静翼の内側および外側の補強部分を受け入れるような形状の貫通穴を有する内側および外側のスペーサバンドと、環状のスペーサバンドを取り囲む半径方向内側および外側のダイアフラムリングとを備える軸流タービンダイアフラム構造物に関する。
【0017】
一実施形態によれば、各補強部分は、対応するスペーサバンドに溶接部によって溶接される。
【0018】
溶接部は、例えば、各補強部分の各前縁および後縁に配置される。
【0019】
一実施形態によれば、内側のスペーサバンドは内側リングに溶接され、外側のバンドは外側リングに溶接される。
【0020】
本発明は、完全に非限定的な例として考えられ、添付の図面によって示されたいくつかの実施形態の詳細な説明を検討することによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1a】公知のスペーサバンドタービンダイアフラムタイプの構造物の図である。
図1b】公知のプラットフォームタービンダイアフラムタイプの構造物で使用するためのプラットフォームを一体化した固定翼の図である。
図2】本発明の実施形態による、蒸気タービンダイアフラムの一部分の3次元斜視図である。
図3図2のダイアフラム構造物で使用するための静翼の3次元斜視図である。
図4図3の静翼を上から見た図である。
図5図2の蒸気タービンダイアフラムのスペーサバンドに溶接された図3の静翼の半径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例示的な実施形態の以下の詳細な説明は添付図面を参照する。異なる図面における同じ参照符号は、同じまたは同様の要素とみなす。さらに、図面は必ずしも原寸に比例して描かれたものではない。
【0023】
図2に示すように、タービンの蒸気タービンダイアフラム30の一部分は、複数の同一の静ブレードエーロフォイル32を有するノズルユニットを備えており、ノズルユニットは、平らな帯から折り曲げられた内側および外側の環状スペーサバンド38、40によって、内側リング34および外側リング36に半径方向に固定されている。
【0024】
内側および外側リング34、36は、内側および外側のスペーサバンド38、40と同様、同心円状である。
【0025】
内側および外側のスペーサバンド38、40にはそれぞれ貫通穴38a、40aが設けられている。図示のように、貫通穴は、静翼を受け入れるように両端が開いている。貫通穴38a、40aは、例えば、エーロフォイル形状の断面に合うように、例えば、レーザによって、前記スペーサバンド38、40内に切り抜かれてもよい。次いで、エーロフォイル32の端部は前記貫通穴に挿入されて定位置に隅肉溶接される。内側のスペーサバンド38は内側リング34に溶接され、外側のバンド40は外側リング36に溶接される。
【0026】
図3および4に示すように、各静翼32は、内側のスペーサバンド38と接触する内側端部32a、および外側のスペーサバンド40と接触する、前記内側端部32aの反対側の外側端部32bを有する細長い本体を有するエーロフォイル部分44を有する。
【0027】
内側および外側端部32a、32bはそれぞれ、前記端部と前記スペーサバンドとの間に構成された溶接ビードによる溶接によって内側および外側のスペーサバンド38、40に接続される。このように、各静翼は、内側のスペーサバンドおよび外側のスペーサバンドの両方に溶接される。
【0028】
各静翼32は、例えば、前縁44aに対応する丸みのある拡大された形状、および後縁44bに対応する薄い部分を有する、図4に示すような、実質的にベーンの形状の断面を有する。
【0029】
図3および4に示すように、各静翼32の内側および外側端部32a、32bはそれぞれ、内側および外側の補強部分46、48を備える。各補強部分46、48は、前縁46a、48aに対応する丸みのある拡大された形状、および後縁46b、48bに対応する薄い部分を有する、図4に示すような、エーロフォイル部分44の断面よりわずかに大きな断面を有する。
【0030】
各補強部分46、48は、エーロフォイル部分44の断面より実質的に大きな断面を有するように、対応する端部の全断面の周囲を取り囲む。したがって、補強部分46、48の形状は、全体として、すなわち、エーロフォイル部分44の前縁および後縁44a、44b、ならびに負圧側および正圧側で、およびその近くで、エーロフォイル部分44の断面の形状に近い。
【0031】
第1および第2の補強部分46、48は、図5に示すように、それらが合うスペーサバンド38、40の貫通穴38a、40a内に滑り込ます。すべての静翼32がスペーサバンド38、40内に組み付けられると、定位置にしっかりと溶接しなければならない。各補強部分の各前縁および後縁は、対応するスペーサバンドに溶接部50a、50b、および52a、52bによって溶接される。溶接部50a、50b、および52a、52bは、図4の斜線で示されている。
【0032】
静翼32は、例えば、12%のクロムを含む合金鋼材料から作られる。
【0033】
エーロフォイル部分の各端部に補強部分を設けることによって、静翼は強化される。
【0034】
本発明により、ダイアフラム構造物は良好な機械的強度を有しながら、経済的かつ容易に製造される。
【符号の説明】
【0035】
10 スペーサバンドダイアフラムタイプの構造物
11 エーロフォイル
12 内側リング
13 外側リング
14 内側の環状バンド
15 外側の環状バンド
16 貫通穴
20 プラットフォームダイアフラムタイプの構造物
21 ブレードエーロフォイル
22 内側のプラットフォーム
23 外側のプラットフォーム
30 ダイアフラム
32 静翼
32a 内側端部
32b 外側端部
34 内側リング
36 外側リング
38 内側の環状スペーサバンド
38a 貫通穴
40 外側の環状スペーサバンド
40a 貫通穴
44 エーロフォイル部分
44a 前縁
44b 後縁
46 内側の補強部分
46a 前縁
46b 後縁
48 外側の補強部分
48a 前縁
48b 後縁
50a 溶接部
50b 溶接部
52a 溶接部
52b 溶接部
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5