(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記エキスパンドチタンメッシュシートの開口部は、短目方向の長さが0.05〜5mmであり、長目方向の長さが0.1〜10mmであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光触媒担持網状シートの製造方法。
【背景技術】
【0002】
アナターゼ型の酸化チタンは光触媒として知られており、紫外線照射により正孔が生成しヒドロキシラジカル(・OH)などの活性種が生じる。これによって有機物が分解されるため、脱臭効果や殺菌効果が得られ、空気清浄機などに応用されている。
【0003】
アナターゼ型の酸化チタンを光触媒として用いたものとして、例えば特許文献1が知られている。特許文献1では、片面又は両面から非周期的パターンによるエッチング処理を施して表裏を貫通する多数の微細流路が形成された非周期性海綿構造を有するチタン箔の表面に、陽極酸化皮膜による酸化チタンベースが形成され、当該酸化チタンベースにアナターゼ型酸化チタン粒子が焼き付けられた光触媒シートが開示されている。
【0004】
これによれば、光触媒となるアナターゼ型酸化チタンを強固に担持させると共に剥がれを防止し、さらに、光触媒に接する機会を増大させて、光触媒による浄化処理効率を格段に向上させることができるとしている。
しかしながら、特許文献1ではチタン箔に対してエッチング処理を施していることから、製造コストが高くなることが懸念され、コストを抑える等のさらなる向上が求められている。
【0005】
一方、他の金属を用いた例として特許文献2が知られている。特許文献2では、金属表面に複数の開口部を有し、この開口部の開口率が金属表面に対して30%以上90%以下となるように形成されており、かつ金属表面における開口部以外の残存部に粗し加工が施された金属製フィルタ基体と、金属製フィルタ基体上に形成された光触媒層とを具備する光触媒担持金属フィルタが開示されている。
【0006】
しかしながら、アナターゼ型酸化チタンとチタン以外の金属基体を用いると、アナターゼ型酸化チタンの活性度が落ちてしまい、光触媒による浄化処理効率が落ちてしまうという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る光触媒担持網状シート、空気清浄機及び光触媒担持網状シートの製造方法について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0013】
本発明の光触媒担持網状シートは、周期的パターンを有する網状チタンシートの表面に酸化チタン皮膜が形成され、該酸化チタン皮膜にアナターゼ型酸化チタン粒子が担持されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の光触媒担持網状シートの製造方法は、チタンからなる金属基板に複数の傷を形成し、前記金属基板を引っ張り周期的パターンを有する網状のエキスパンドチタンメッシュシートとし、該エキスパンドチタンメッシュシートに陽極酸化処理及び/または加熱処理を施して表面に酸化チタン皮膜を形成し、該酸化チタン皮膜にアナターゼ型酸化チタン粒子を担持させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の光触媒担持網状シートの製造方法は、チタンのワイヤーを編み込み周期的パターンを有する網状のチタンワイヤーメッシュシートとし、該チタンワイヤーメッシュシートに陽極酸化処理及び/または加熱処理を施して表面に酸化チタン皮膜を形成し、該酸化チタン皮膜にアナターゼ型酸化チタン粒子を担持させることを特徴とする。
【0016】
(第一の実施形態)
図1に本発明に係る光触媒担持網状シートの一実施形態における概略図を示す。
図1では本実施形態の光触媒担持網状シートの一部が示されており、その拡大模式図及び断面模式図が示されている。
本実施形態の光触媒担持網状シートS1は、エキスパンドチタンメッシュシート11の表面に酸化チタン皮膜3が形成され、該酸化チタン皮膜3にアナターゼ型酸化チタン粒子4が担持されて光触媒層5が形成されている。
【0017】
エキスパンドチタンメッシュシート11は周期的パターンを有する網状チタンシートであり、チタンシートをエキスパンド加工することにより得られる。本実施形態において、エキスパンド加工の方法は、適宜変更することが可能であるが、チタンシートに複数の傷を付け、チタンシートの両端を引き延ばして周期的パターンを有する網状チタンシートを作製する。
【0018】
前記複数の傷は、チタンシートを貫通させてもよく、貫通させなくてもよい。
傷を形成する方法としては、適宜変更することが可能であるが、例えばレーザー照射により形成する方法、プレス加工により形成する方法、超音波カッターを用いる方法等が挙げられる。中でもプレス加工又はレーザー照射により形成することが好ましい。
前記複数の傷は、例えば0.05〜3mm間隔で形成することが好ましい。複数の傷を形成させたチタンシートを引っ張ることで
図1に示されるような貫通孔2が複数周期的に形成される。
【0019】
前記複数の傷を形成する方法は、適宜変更することが可能であるが、チタンシートの斜めから傷を付け、貫通させて穴を形成することが好ましい。この場合、引っ張ってエキスパンドメタルにしたときに、穴が横になるように形成され、空気抵抗が大きくなる。これにより、空気浄化のための接触面積が大きくなり、浄化効率がより向上する。
【0020】
エキスパンドチタンメッシュシート11の厚みとしては、例えば0.05〜2mmが好ましい。
エキスパンドチタンメッシュシート11の開口部は、短目方向の長さが0.05〜5mmであることが好ましく、0.05〜1.5mmであることがより好ましい。また、長目方向の長さが0.1〜10mmであることが好ましく、0.1〜3mmであることがより好ましい。また、エキスパンドチタンメッシュシート11の開口率は、5〜95%であることが好ましく、10〜80%がより好ましい。
【0021】
この場合、得られた光触媒担持網状シートにおける空気の流動性が向上し、光触媒との接触の機会が増え、光触媒による浄化処理効率がより向上する。また、エキスパンドチタンメッシュシートの密度が上がり、所望の強度が保たれ、空気清浄機等の部材に用いられる場合でも所望の形状を保ちやすくなる。
なお、エキスパンドチタンメッシュシート11の開口部の大きさは、得られた光触媒担持シートの開口部の大きさとほぼ同じとなる。
【0022】
エキスパンドチタンメッシュシート11は周期的パターンを有する網状チタンシートであるが、必ずしも全ての箇所が周期的パターンとなっている必要はなく、50%以上が周期的パターンとなっていることが好ましく、80%以上が周期的パターンとなっていることがより好ましい。
【0023】
図2に本実施形態における光触媒担持シートの製造方法の一例を説明するための図を示す。
図2は製造過程の一部であり、エキスパンドチタンメッシュシート11の製造過程は省略している。
【0024】
図2(a)ではエキスパンドチタンメッシュシート11の断面図、及びその部分拡大図が示されている。まず、エキスパンドチタンメッシュシート11の表面に酸化チタン皮膜3を形成する陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、リン酸浴(例えばリン酸3%水溶液)中で、陽極となるエキスパンドチタンメッシュシート11と陰極との間に所定電圧を印加して行われ、その結果、
図2(b)に示すように、エキスパンドチタンメッシュシート11の表面が酸化されて陽極酸化皮膜(酸化チタン皮膜3)が形成される。
【0025】
このとき、酸化皮膜は、エキスパンドチタンメッシュシート11の表裏両面だけでなく、貫通孔2の内壁面などリン酸浴に曝されている全表面に形成される。
【0026】
その後、酸化皮膜が形成されたエキスパンドチタンメッシュシート11を加熱処理する。加熱は例えば大気中で450〜550℃、2〜3時間加熱する。加熱処理を施すことで、陽極酸化皮膜がより剥がれにくくなる。その表面を拡大観察すると、陽極酸化処理及び/または加熱処理によるひび割れ8が出現する。
【0027】
なお、陽極酸化処理した場合、その酸化皮膜の厚さに応じて光の干渉により異なる色が発色し、厚さ70nm程度で紫色、150nm程度で緑色、200nm程度でピンク色を呈することが知られている。本実施形態では、厚さ70〜150nmの皮膜としている。
【0028】
陽極酸化処理及び/または加熱処理を行う前にエキスパンドチタンメッシュシート11に粗し加工を行ってもよい。この場合、酸化皮膜をより剥がれにくくすることができる。粗し加工としては、適宜変更することが可能であり、例えばラッピング加工などが挙げられる。
【0029】
次に、アナターゼ型酸化チタン粒子4を担持させる焼き付け処理を行う。
表面に酸化チタン皮膜3が形成されたエキスパンドチタンメッシュシート11を、アナターゼ型酸化チタン粒子4を分散したスラリー中にディッピングした後、これを400〜550℃で焼き付けると、
図2(c)に示すように、エキスパンドチタンメッシュシート11の表裏両面及び貫通孔2の内壁面に光触媒層5が形成される。
【0030】
酸化チタン皮膜3と光触媒層5は、酸化チタン同士が結合することになるので、その結合性が極めて強くなり、その結果、光触媒層5が剥がれ難くなる。
【0031】
なお、アナターゼ型酸化チタン粒子4を担持させる方法としては、上記ディッピングの他にも、例えばスプレーコーティング等を行ってもよい。スプレーコーティングでは、アナターゼ型酸化チタン粒子4を分散したスラリーをスプレー塗布した後、焼き付けることで光触媒層5を形成することができる。
【0032】
アナターゼ型酸化チタン粒子4を担持させた後、必要に応じてジェット風を送る工程を行うことが好ましい。この工程により、表面に付着した剥がれやすい酸化チタン粒子を取り除くことができる。このようにして本実施形態の光触媒担持網状シートS1が得られる。
【0033】
上記のようにして得られた本実施形態の光触媒担持網状シートS1の開口率は、5〜95%であることが好ましく、10〜80%がより好ましい。この場合、得られた光触媒担持網状シートにおける空気の流動性が向上し、光触媒との接触の機会が増え、光触媒による浄化処理効率がより向上する。
【0034】
上述のように、本実施形態によれば、酸化チタン皮膜3と光触媒層5は酸化チタン同士が結合することになるので、光触媒となるアナターゼ型酸化チタンを強固に担持させ剥がれを防止することができる。
【0035】
また、周期的パターンを有する網状チタンシート(エキスパンドチタンメッシュシート11)を用いることで表面積が増え、処理効率が格段に向上する。そのため、光触媒に接する機会を増大させて、光触媒による浄化処理効率を格段に向上させることができる。また、網状チタンシートを用いることにより、ファンなどを設けて空気流を作らなくても自然な空気流で光触媒による浄化処理効率を得ることができる。
【0036】
さらに、陽極酸化皮膜からなる酸化チタン皮膜3はミクロンオーダーの微細なひび割れ8を生じていることにより、その上に光触媒層5が強固に結合するだけでなく、表面積が増え、処理効率が格段に向上する。また、UV光を照射したときに光触媒層5の表面及び酸化チタン皮膜3との界面で乱反射/光散乱が起き、UV光を効率よく利用できる。
【0037】
また、エキスパンドチタンメッシュシート11を用いることで、チタンをエッチングしている従来のもの(例えば特許文献1)に比べ、製造コスト、特にエッチングのコストを抑えることができる。また、耐熱性、耐薬品性にも優れるため、過酷な使用条件の下でも使用に耐え得る。
【0038】
さらに、光触媒担持網状シートS1は、シート状に形成されているので、光源の配置によっては両面照射することもでき、多層化することも可能であり、その場合、光触媒効果もより向上することが期待できる。
【0039】
(第2の実施形態)
図3に本発明に係る光触媒担持網状シートの他の実施形態における概略図を示す。上記の実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
図3では本実施形態の光触媒担持網状シートの一部が示されており、その拡大模式図及び断面模式図が示されている。
本実施形態の光触媒担持網状シートS2は、チタンワイヤーメッシュシート12の表面に酸化チタン皮膜3が形成され、該酸化チタン皮膜3にアナターゼ型酸化チタン粒子4が担持されて光触媒層5を形成している。
【0040】
チタンワイヤーメッシュシート12は、エキスパンドチタンメッシュシート11と同様に、周期的パターンを有する網状チタンシートであることから、表面積が増え、処理効率が格段に向上する。そのため、光触媒に接する機会を増大させて、光触媒による浄化処理効率を格段に向上させることができる。
【0041】
また、チタンワイヤーメッシュシート12を用いることで、チタンをエッチングしている従来のもの(例えば特許文献1)に比べ、製造コスト、特にエッチングのコストを抑えることができる。また、耐熱性、耐薬品性にも優れるため、過酷な使用条件の下でも使用に耐え得る。
【0042】
チタンワイヤーメッシュシート12はチタンのワイヤーを編み込むことにより得られる。
図3に示されるチタンワイヤーメッシュシート12は、平織である場合の例を示しているが、これに限られるものではなく、その他にも例えば綾織、畳織、平畳織、綾畳織などの織り方であってもよい。
【0043】
チタンワイヤーメッシュシート12の開口率は、5〜95%であることが好ましく、10〜80%がより好ましい。この場合、得られた光触媒担持網状シートにおける空気の流動性が向上し、光触媒との接触の機会が増え、光触媒による浄化処理効率がより向上する。また、チタンワイヤーメッシュシートの密度が上がり、所望の強度が保たれ、空気清浄機等の部材に用いられる場合でも所望の形状を保ちやすくなる。
なお、チタンワイヤーメッシュシート12の開口部の大きさは、得られた光触媒担持シートの開口部の大きさとほぼ同じとなる。
【0044】
チタンワイヤーの径は、直径50〜5000μmが好ましい。
また、チタンワイヤーメッシュシート12の厚みとしては、0.05〜3mmが好ましい。
【0045】
チタンワイヤーメッシュシート12は周期的パターンを有する網状チタンシートであるが、必ずしも全ての箇所が周期的パターンとなっている必要はなく、50%以上が周期的パターンとなっていることが好ましく、80%以上が周期的パターンとなっていることがより好ましい。
【0046】
(第3の実施形態)
またエキスパンドチタンメッシュシート11及びチタンメッシュシート12の表面への酸化チタン皮膜形成であるが、陽極酸化を行わず空気を供給し加熱処理を行うことで表面を酸化し、エキスパンドチタンメッシュシート11及びチタンメッシュシート12の表面に酸化皮膜を形成させることもできる。実施形態1及び2に共通する事項については説明を省略する。
【0047】
まず、エキスパンドチタンメッシュシート11及びチタンメッシュシート12の表面に酸化チタン皮膜を形成させるために、大気中にて加熱酸化を行う。
【0048】
加熱は例えば大気中で400〜750℃、30分〜3時間加熱する。加熱酸化処理を施すことで、その表面を拡大観察すると、加熱酸化処理による緻密な酸化皮膜とひび割れ8が出現する。
【0049】
エキスパンドチタンメッシュシート11及びチタンメッシュシート12は空気を流動させながら酸化を行うことで、酸化皮膜はこれらの表裏両面だけでなく、貫通孔2の内壁面など全表面に形成させることができる。
【0050】
なお、大気酸化処理した場合、その温度及び時間に応じて形成される酸化皮膜厚さが異なり、500℃で20〜40nm程度、600℃で100nm程度、700℃で130nm程度の膜厚になることが知られており、膜厚が厚いほど耐食性が向上することが知られている。
本実施形態では、厚さ20〜150nmの皮膜としている。
【0051】
この加熱処理により形成した酸化皮膜は実施形態1及び2で示した陽極酸化で形成した皮膜と比較して高い密着性があり、より多くの光触媒を担持させることが可能である。
【0052】
(第4の実施形態)
次に、本発明の光触媒担持網状シートを備えた空気清浄機の一例について説明する。
図4に示されるように、上記実施形態の光触媒担持網状シートS1、S2を円筒状に巻いて、その中心に紫外線光源9を配した光触媒ユニットU1とし、これを、空気清浄機の処理チャンバ10内を流れる空気流に曝すように配して使用することができる。
本発明の光触媒担持網状シートはフレキシブルであり、円筒状、球状、蛇腹状、ろうと状など、様々な形状にして使用することができ、空気清浄機の仕様に応じて任意の形状に折り曲げたり巻回したりすることができる。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0054】
(
参考例1)
チタンシートをサンクメタル社製のロールプレス機を用いてプレス加工し、0.1mm間隔で、前記チタンシートを貫通する複数の傷を形成した。このチタンシートを引っ張ることで周期的パターンを有するエキスパンドチタンメッシュシートを得た(厚み:0.2mm)。このとき、得られたエキスパンドチタンメッシュシートの開口率は48%であった。また、エキスパンドチタンメッシュシートの開口部は、短目方向の長さが0.3mmであり、長目方向の長さが0.7mmであった。
【0055】
次に、以下のようにして酸化チタン皮膜を形成する陽極酸化処理を行った。陽極酸化処理は、リン酸浴(リン酸3%水溶液)中で、陽極となるエキスパンドチタンメッシュシートと陰極との間に所定電圧を印加して行い、エキスパンドチタンメッシュシートの表面が酸化されて陽極酸化皮膜が形成された。
【0056】
次に、酸化皮膜が形成されたエキスパンドチタンメッシュシートに加熱処理を行った。加熱は大気中で450℃、2時間加熱した。加熱処理を施すことで、陽極酸化皮膜が加熱された酸化チタン皮膜が形成された。本
参考例では、厚さ70〜150nmの皮膜を形成した。
【0057】
表面に酸化チタン皮膜が形成されたエキスパンドチタンメッシュシートを、アナターゼ型酸化チタン粒子を分散したスラリー中にディッピングした後、これを400〜450℃で焼き付け、アナターゼ型酸化チタン粒子を担持させ、光触媒層を形成した。この後、ジェット風を送る工程を行い、表面に付着した剥がれやすい酸化チタン粒子を取り除いた。これにより、本
参考例の光触媒担持網状シートを得た。本
参考例で得られた光触媒担持網状シートの開口率は47%であった。
【0058】
次に、本
参考例で得られた光触媒担持網状シートについて以下の評価を行った。評価としては、容積1m
3の密閉空間内に、
図4に示されるような空気清浄機を置き、この空気清浄機に対し風速5.5m/sの風を吹き付けながら、その密閉空間内における所定濃度のアセトアルデヒドの濃度変化を経時的に測定した。また、空気清浄機としては、A5サイズの光触媒担持網状シートS1を二重に巻きつけた光触媒ユニットU1を置き、中心に波長254nmの紫外線光源9を配して、処理チャンバ10内を流れる空気流に曝すように配した。
【0059】
結果を
図5に示す。
図5では本
参考例で得られた光触媒担持網状シートの結果を図中(A)で示している。図中(B)は特許文献1の光触媒シートについて上記と同様の測定をした場合のグラフである。なお、図中(B)はチタン箔に非周期的パターンによるエッチング処理を施して非周期性海綿構造をもたせ、その表面にアナターゼ型酸化チタン粒子を担持させたものである。
図に示されるように、本
参考例で得られた光触媒担持網状シートによれば、時間経過と共にアセトアルデヒドガスの濃度(ppm)が低下し、良好な脱臭性能が得られていることがわかる。図中(B)で示される例でも良好な結果が得られているが、本
参考例で得られた光触媒担持網状シートは図中(B)の結果よりも約25%処理効率が上昇しており、より良好な結果が得られた。
【0060】
(
参考例2)
次に、
参考例1において、エキスパンドチタンメッシュシートをチタンワイヤーメッシュシートとした以外は
参考例1と同様にして光触媒担持網状シートを作製した。本
参考例のチタンワイヤーメッシュシートは直径100μmのチタンワイヤーを平織したものであり、開口率52%であった。また、本
参考例で得られた光触媒担持網状シートの開口率は52%であった。得られた光触媒担持網状シートについて
参考例1と同様の評価を行ったところ、良好な結果が得られた。
【0061】
(実施例3)
次に、
参考例1において使用したエキスパンドチタンメッシュシートと同様のものに、以下のようにして酸化チタン皮膜を形成する加熱酸化処理を行った。加熱酸化処理は大気中450〜600℃、2時間加熱をした。加熱酸化処理を施すことで酸化チタン皮膜が形成された。本実施例では、厚さ20〜100nmの皮膜を形成した。
【0062】
アナターゼ型酸化チタン粒子の担持は
参考例1と同様にして光触媒担持網状シートを得た。得られた光触媒担持網状シートの光触媒は、
参考例1のそれと比較してさらに密着性が高い皮膜を形成した。
本実施例で得られた光触媒担持網状シートの開口率は47%であった。
【0063】
得られた光触媒担持網状シートについて
参考例1と同様の評価を行ったところ、
参考例1と同等の良好な結果が得られた。