特許第6972042号(P6972042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972042ホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972042
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/06 20060101AFI20211111BHJP
   G21F 9/10 20060101ALI20211111BHJP
   G21F 9/08 20060101ALI20211111BHJP
   C25B 1/16 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G21F9/06 511A
   G21F9/06 G
   G21F9/10 B
   G21F9/10 E
   G21F9/08 511F
   C25B1/16
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-568865(P2018-568865)
(86)(22)【出願日】2018年3月22日
(65)【公表番号】特表2020-516850(P2020-516850A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】RU2018000179
(87)【国際公開番号】WO2018190751
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2020年4月6日
(31)【優先権主張番号】2017112521
(32)【優先日】2017年4月12日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】518312460
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“ロスエネルゴアトム”
(73)【特許権者】
【識別番号】517423567
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“サイエンス アンド イノヴェーションズ”
(73)【特許権者】
【識別番号】320004009
【氏名又は名称】フェデラル リサーチ センター“コラ サイエンス センター オヴ ザ ロシアン アカデミー オヴ サイエンシズ”
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】イワネンコ ウラジーミル イワノビッチ
(72)【発明者】
【氏名】セドネヴァ タチアナ アンドレーヴナ
(72)【発明者】
【氏名】ロクシーン エフロイム ピンキショビチ
(72)【発明者】
【氏名】コルネイコフ ロマン イワノビッチ
【審査官】 大門 清
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−509163(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0254417(US,A1)
【文献】 特開昭59−195200(JP,A)
【文献】 特開2000−284092(JP,A)
【文献】 特開2012−058033(JP,A)
【文献】 特開平01−063900(JP,A)
【文献】 特開2014−145619(JP,A)
【文献】 特開平08−271692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/04−9/10
C25B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法であって、
前記廃棄物はナトリウム塩およびカリウム塩を含み、
硝酸カルシウムをホウ酸塩溶液に導入することによってホウ酸カルシウムを沈殿させ、沈殿物を母液から分離する第1ステップと
ホウ酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム溶液を取得する第2ステップと
陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を備えた電気透析装置を用いて電気透析する第3ステップと、を含み
前記第1ステップにおいては、初期のホウ酸塩溶液は、ナトリウム塩およびカリウム塩として、ナトリウムおよびカリウムの硝化塩および硫化塩を含み、
硝酸カルシウムを初期のホウ酸塩溶液に導入することによって、ホウ酸カルシウムおよび硫酸カルシウムの共沈殿物を得
前記第2ステップにおいては、ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムの共沈殿物を硝酸溶液で処理し、ホウ酸カルシウム溶液から硫酸カルシウムの沈殿物を分離した後、ホウ酸カルシウム溶液を硝酸で処理して、ホウ酸の沈殿物と硝酸カルシウム溶液を形成し、ホウ酸沈殿物を分離して、乾燥させることによって、ホウ酸を取得し
前記第3ステップにおいては、直接、母液から電気透析によって硝酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム溶液を取得する
ことを特徴とするホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項2】
pH9.3からpH11.0までの範囲内で、硝酸カルシウムをホウ酸溶液に導入する
ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項3】
pH5からpH7までの範囲内になるまで、ホウ酸と硫酸カルシウムの共沈殿物を硝酸溶液で処理する
ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項4】
pH1からpH3までの範囲内になるまで、10℃から20℃までの範囲内の温度で、ホウ酸カルシウム溶液を硝酸で処理する
ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項5】
ホウ酸沈殿物を分離した後に、硝酸カルシウム溶液を初期の硝酸溶液に添加する
ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項6】
三室方式の電気透析装置を用いて、当該電気透析装置の中間室における母液の体積VMPと、アノード室における陰極液の体積Vaと、カソード室における陽極液の体積Vkと、の比が
VMP:Va = 1:0.5−1.0
かつ
VMP:Vk = 1:0.5−1.0
の範囲内になっており、
アノード室においては硝酸溶液を取得し、カソード室においては水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム溶液を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項7】
前記電気透析は、電流強度が1Aから3Aまでの範囲内で、かつ電圧が4Vから10Vまでの範囲内で、行われる
ことを特徴とする請求項1または6に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項8】
30g/Lから35g/Lまでの範囲内でホウ酸を含有し、pH2からpH3までの範囲内の硝酸溶液を用いて、前記ホウ酸沈殿物を洗浄する
ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【請求項9】
60℃以下の温度で、前記ホウ酸沈殿物を乾燥させる
ことを特徴とする請求項1に記載のホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WWER(Water-Water Energetic Reactor)を含む、原子力発電所の運用によって発生する核廃棄物であって、核燃料サイクルにおいて再利用されるべきホウ酸、硝酸およびアルカリ金属化合物の抽出に用いられる複雑液体ホウ素を含有する核廃棄物の統合リサイクルに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所(NPP: Nuclear Power Plant)で発生するあらゆる液体核廃棄物のうち、蒸発器の汚泥は最もリサイクルが難しい。この種の廃棄物には、さまざまな排水によってもたらされる汚染除去剤とともに、ナトリウムやカリウムの硝酸塩の高濃度排液や、遷移金属塩の形態の装置の腐食生成物がある。汚染除去後、排液は蒸発によって融合物に転換された後、貯蔵される。この種の廃棄物を100%リサイクルすることはできない。
【0003】
液体核廃棄物をリサイクルするためのホウ素濃度制御法に関しては先行技術文献情報がある(特許文献1を参照)。この方法では、廃棄物を蒸発させて、得られたホウ素含有濃縮物を結晶化し、この濃縮物を母液から分離して溶解し、得られた溶液を限外ろ過した後、ホウ酸換算で80g/Lから250g/Lまで蒸発させ、この酸を結晶化させる。ホウ酸の収率は84%未満であり、不純物量は10−2重量%から10−3重量%である。
【0004】
この方法の主な欠点は、蒸発操作を行うためのエネルギー消費が高いこと、ホウ酸が十分抽出できないこと、および得られた溶液を更に生成しなければならないこと、である。また、この方法では、ホウ素を再生することにしか使用できないので、大量の廃棄物をリサイクルできずに廃棄しなければならなくなる。
【0005】
また、核廃棄物をリサイクルするためのホウ素濃度制御方法の従来技術として、他の方法に関する先行技術文献情報もある(特許文献2を参照)。この方法は、硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウムを含有する液体廃棄物に適用され、まず、ホウ酸を含有しない酸廃棄物(pH<5.5)と、ホウ酸塩を含有しないアルカリ廃棄物(pH>5.5)を分離回収し、次に、濃縮混合し、pH8.0からpH10.1でホウ酸ナトリウムを結晶化し、これを母液から分離し、この溶液をカルシウムおよびマグネシウム、好ましくは硝酸カルシウムおよび塩化マグネシウムを用いて処理し、得られたカルシウム又はマグネシウムのホウ酸塩沈殿物を分離する。そして、ナトリウムホウ酸塩の沈殿物を濃度が20g/Lから25g/Lになるまで溶解し、イオン交換膜を用いた電気透析装置で電気透析にかけて、最終的にホウ酸塩溶液(0.1g/Lから60g/L)と水酸化ナトリウム溶液(NaOHが150g/L以下)を得る。電気透析のパラメーターは、電流強度が0.2Aから45A、電圧が5Vから55Vの範囲内である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ロシア連邦特許第2012076号、IPC5 G21F 9/08、1994
【特許文献2】米国特許第7323613号、IPC G21F 9/06、9/20、G21C 1/00、B01D 61/42(2006.01)、2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来方法は、次のような欠点を有している。すなわち、ホウ酸および水酸化ナトリウムしか再生することができない一方、塩類を豊富に含んだ母液(ホウ酸塩は含まれていない)はリサイクルされないため、大量の廃棄物がリサイクルできず貯蔵される。また、この従来方法には別の欠点もある。すなわち、得られたホウ酸塩溶液は売り物にならないし、水酸化ナトリウム溶液は濃度が低すぎて、再利用が難しい。エネルギー消費量が大きいのもこの従来方法の欠点である。その原因は、電気透析にかけるホウ酸ナトリウム溶液はナトリウムの含有量が少なく、電気抵抗が大きいために、電気透析に要する電流強度が高く、電圧が高くなることにある。
【0008】
本発明は、幅広いリサイクル製品を有する塩類、特に、市場価値の高いホウ酸、硝酸の濃縮塩類、核燃料サイクルにおいて再利用することができる水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを豊富に含有する複雑液体核廃棄物のリサイクルを達成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
技術上の成果は、ナトリウム塩およびカリウム塩を含有する液体核廃棄物のホウ素濃度制御方法によって達成され、当該ホウ素濃度制御方法においては、ホウ酸塩溶液に硝酸カルシウムを加えた後、ホウ酸ナトリウムを沈殿させ、母液からホウ酸ナトリウムを分離する。更に、陽イオン交換膜並びに陰イオン交換膜を有する電気透析装置を用いて電気透析にかけた後、ホウ酸、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム溶液を生成する。本発明によれば、初期のホウ酸塩溶液は、ナトリウム塩およびカリウム塩に代えて、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムを含有しており、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウムを加えると、ホウ酸カルシウムおよび硫酸カルシウムが共沈殿する。ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムを硫酸溶液で処理することによってホウ酸塩溶液を製造し、更にホウ酸カルシウム溶液から沈殿した硫酸カルシウムを分離する。その後、ホウ酸カルシウム溶液を硝酸で処理して、ホウ酸を沈殿させ、硝酸カルシウム溶液を生成する。沈殿したホウ酸は分離し、乾燥させる。母液は、電気透析にかけて、硝酸溶液、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを生成する。
【0010】
また、技術上の成果は、硝酸カルシウムをpH9.3からpH11.0までの範囲内のホウ酸塩溶液に加えることによって達成される。
【0011】
また、技術上の成果は、共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムをpH5からpH7までの範囲内になるまで硝酸溶液で処理することによって達成される。
【0012】
また、技術上の成果は、ホウ酸カルシウム溶液を10℃から20℃までの範囲内の温度下でpH1からpH3までの範囲内になるまで硝酸で処理することによって達成される。
【0013】
また、技術上の成果は、沈殿物を分離した後、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウム溶液を加えることによって達成される。
【0014】
技術上の成果は、中間室における母液の容積比VMP、アノード室における陽極液の容積比Va、およびカソード室における陰極液の容積比Vkが予め設定されている三室方式の電気透析装置を用いて(VMP:Va=1:0.5-1.0およびVMP:Vk=1:0.4-0.6)、母液の電気透析を行い、アノード室においては硝酸溶液が製造され、カソード室においては水酸化カリウム溶液と水酸化カリウム溶液が製造されることによって達成される。
【0015】
また、技術上の成果は、電気透析のパラメーターとして、電流強度を1Aから3Aまでの範囲内とし、電圧を4Vから10Vまでの範囲内とすることによって、達成される。
【0016】
また、技術的な成果は、ホウ酸を30g/Lから35g/Lまでの範囲内で含有し、pH2からpH3までの範囲内の硝酸溶液で、ホウ酸沈殿物を洗浄することによって達成される。
【0017】
また、技術的な成果は、ホウ酸沈殿物を60℃以下の温度で乾燥させることによって達成される。
【発明の効果】
【0018】
期待される技術上の成果は、エネルギー消費の抑制し、埋め立てたり、貯蔵したりしなければならない危険な廃棄物の量を低減することである。
【0019】
法的な保護の範囲を定義し、上記の技術的な成果を達成するために十分な本発明の本質的な特徴は、以下の機能を有し、その達成には以下のように関連している。
【0020】
初期のホウ酸塩溶液は硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、硫酸カルシウムおよび硫酸ナトリウムを含有しているので、難溶性の生成物(例えば、建設産業で使用することができる石膏)の形態の硫酸イオンを初期の溶液から除去すれば、電気透析した硝酸およびアルカリ性溶液は再利用に適している。
【0021】
初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウムを加えると、ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿が形成されるので、溶液から適切なホウ素化合物を確実に抽出することができ、かつ電気透析を行う前に溶液から硫酸イオンを除去することができる。
【0022】
ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿を硝酸溶液で処理してから、ホウ酸カルシウムを溶液へ移し、ホウ酸カルシウム溶液から硫酸カルシウム沈殿物を抽出すれば、ホウ素化合物中の不純物を適切に除去し、最終生成物におけるホウ素の歩留まりを確実に高くすることができる。
【0023】
ホウ酸カルシウム溶液を硝酸で処理すると、ホウ酸沈殿物が得られ、このホウ酸沈殿物は硝酸カルシウム溶液から容易に分離することができる。
【0024】
洗浄したホウ酸沈殿物を乾燥させることにより、最終生成物中のホウ酸の質量含有量を増加させることができる。
【0025】
ホウ酸カルシウムおよび硫酸カルシウムの共沈殿物を分離して得られた母液は低い電流強度および電圧で電気透析することができ、原子力発電所の核燃料サイクルで再利用するのに適した高濃度の硝酸溶液および水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム溶液の形態で有用成分を抽出することができる。
【0026】
上記特徴の組み合わせは、原子力発電所の核サイクルにおける再利用に適している商業的なホウ酸および硝酸および水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの濃縮溶液を含むより広い範囲の製品を得る技術であり、また、エネルギー消費を低減し、有害廃棄物の貯蔵および廃棄の回数を減らす技術であるということができる本発明の技術的成果を達成するために必要かつ十分である。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、以下の動作およびモードパラメータが好ましい。
【0028】
pH9.3からpH11.0までの範囲内のホウ酸塩溶液へ硝酸カルシウムを導入すれば、当該溶液からホウ素化合物の最も完全な抽出を保証することができ、電気透析に先立って硫酸イオンを溶液から除去することができる。pH9.3未満またはpH11.0超で硝酸カルシウムを導入すると、ホウ酸カルシウムが部分的にしか溶解しないので、ホウ素化合物の抽出量および共沈殿物が低減する。
【0029】
ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿物は、pH5からpH7までの範囲内になるまで、硝酸溶液で処理するのが望ましい。このpH範囲内では、ホウ酸化合物の溶解度が最も高くなるからである。pH5未満のホウ酸塩溶液は、難溶性のホウ酸が形成されるため、ホウ素の収率もまた低下する。このため、高濃度のホウ素含有溶液を得ることができなくなる。ホウ酸塩溶液がpH7を超えると、難溶性のホウ酸ナトリウムが形成されるので、共沈殿物を分離することができなくなる。
【0030】
ホウ酸カルシウム溶液はpH1からpH3までの範囲内になるまで硝酸溶液で処理するのが好ましい。pH1未満のホウ酸カルシウム溶液を硝酸で処理すると、ホウ酸沈殿を抽出するための硝酸の消費量が多くなり過ぎる。pH3を超えると、固相中のホウ酸の収率が低下する。
【0031】
ホウ酸カルシウム溶液を硝酸で10℃から20℃まで温度範囲内で処理すると、最適な条件下で溶液からのホウ酸を沈殿させることができる。温度が20℃を超えると、ホウ酸の溶解度が高くなり、ホウ素の収率は低下する。10℃未満の温度で処理すると、溶液の冷却を必要とし、ホウ素の実収率は有意に増加しない。
【0032】
ホウ酸沈殿物を分離した後で、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウム溶液を加えると、廃棄物の量を低減し、薬剤をより効果的に使用することができる。
【0033】
三室方式の電気透析装置の中間室の母液、カソード室の陽極液、およびアノード室の陰極液を下記の体積比で母液を電気透析すると、硝酸溶液、水酸化ナトリウム溶液および水酸化カリウム溶液といった産生物の濃度を制御することができる。本発明の体積比(母液VMPの体積に対する陰極液の体積Vaの比がVMP:Va=1:0.5-1.0、陽極液の体積Vkの比がVMP:Vk=1:0.4-0.6)を採用しなければ、再利用に必要な濃度範囲(300g/L-600g/L)内の硝酸溶液およびアルカリ性溶液を得ることができない。
【0034】
1Aから3Aまでの範囲内の電流強度で、かつ4Vから10Vまでの範囲内の電圧で電気透析を実施すれば、エネルギー消費を低減しながら、かつ約50%から70%までの範囲内の電流効率で、食塩水から99%以上のイオンを抽出することが保証される。1A未満の電流強度で、かつ4V未満の電圧で電気透析を行うと、処理時間が不当に増加し、生産性が低下する。また、電流強度が3Aを超え、かつ電圧が10Vを超えると、電流効率が低下し、エネルギー消費が増加する。
【0035】
ホウ酸含有量が30g/Lから35g/Lまでの範囲内で、pH2からpH3までの範囲内の硝酸溶液でホウ酸沈殿物を洗浄すると、不純物を除去して、十分な純度の最終生成物、すなわちホウ酸(H3BO3)を生産することができる。ホウ酸は、プロセスパラメーターが当該範囲内であるときに溶解度が最も低くなる。洗浄に用いる硝酸溶液中のホウ酸量は、硝酸溶液に対して所定のpH範囲内で安定した値を保証する。ホウ酸量が30g/L未満の硝酸溶液を用いれば、洗浄した沈殿物を部分的に溶解させる。また、ホウ酸量が30g/L以上の硝酸溶液では、洗浄液は析出、沈殿する。
【0036】
洗浄したホウ酸沈殿物を60℃以下の温度で乾燥させることにより、最終生成物中のホウ酸の質量含有量を99.9重量%以上にすることができる。60℃を超える温度では、ホウ酸が深い脱水によって酸化物に転化するおそれがある。温度範囲の下限は、乾燥プロセス時間に応じて決定され、作業雰囲気の希薄化に依存し得る。
【0037】
上述した本発明に特有の特徴によれば、原子力発電所のプロセスサイクルにおける再利用に適したより広い範囲の製品を得る観点から最適なモードで本方法を実施することができ、また、エネルギー消費と貯蔵および廃棄される有害廃棄物量とを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
提案された方法の本質は、以下の例により説明することができる。
<実施例1>
初期のホウ酸塩溶液は、1,000mLあたり以下を含む:
104 g/L Na+
50.8 g/L K+
263 g/L NO3-
24 g/L SO42-
5.3 g/L Cl-
42 g/L H3BO3
また、ホウ酸塩溶液のpHは8.7である。初期溶液のpHは、8.5モル/Lの水酸化ナトリウムNaOH溶液を69mL加えることによって、pH11まで上昇される。その後、ホウ酸塩溶液に5.5モル/Lの硝酸カルシウムCa(NO32溶液を149mL追加する。その結果、ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿物が生成される。生成した共沈殿物をろ過により溶液から分離した後、1,168mLの母液を電気透析し、共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムを用いてホウ酸を精製する。
【0039】
共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムは、硝酸(濃度12.2モル/Lで48.4mL)と水120mLを含む溶液を用いてpH5になるまで処理された後、ホウ酸カルシウムを溶液に変換し、無水塩量に換算して、母液の全塩量の6.95%に当たる34gの硫酸カルシウム沈殿物を分離する。その後、ホウ酸ナトリウム溶液を、温度20℃でpH1になるまで硝酸溶液(濃度12.2モル/Lで48.4mL)で処理する。生成したホウ酸共沈殿物を硝酸カルシウム溶液から分離してから、濃度35g/Lのホウ酸を含むpH2の硝酸溶液で洗浄し、温度55℃で乾燥させる。この結果、32.4gのホウ酸が精製される。ホウ酸沈殿物を分離した後、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウム溶液を加える。
【0040】
母液の電気透析は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を備えた三室方式の電気透析装置で実施される。
【0041】
1,168mLの母液を電気透析にかける。溶液は下記を含む:
319 g/L NO3-
0.8 g/L SO42-
4.6 g/L Cl-
102 g/L Na+
44 g/L K+
4.8 g/L H3BO3
また、電流強度は2Aで電圧は6Vであり、体積比は、
MP:Va=1:0.5
MP:Vk=1:0.5
である。これによって、陰極室には584mLの硝酸溶液が生成され、この陰極溶液は以下を含む:
648.3 g/L HNO3
1.63 g/L H2SO4
9.5 g/L HCl
また、陽極室には584mLの水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶液があり、この陽極液は以下を含む:
354.8 g/L NaOH
181.4 g/L KOH
また、中間室には1,168mLの脱灰母液があり、この溶液は1.6g/LのイオンNO3-、SO42-、Cl-、Na+およびK+を含むとともに、ホウ酸H3BO3を4.8g/L含んでいる。母液からのイオン抽出は99.5%である。電気透析による生成物の電流効率60%である。
<実施例2>
初期のホウ酸塩溶液は、1,000mLあたり以下を含む:
111.3 g/L Na+
31.5 g/L K+
244 g/L NO3-
35 g/L SO42-
10.2 g/L Cl-
34.6 g/L H3BO3
また、溶液のpHは8.5である。初期溶液のpHは、8.5モル/Lの水酸化ナトリウムNaOH溶液を54mL加えることによって、pH9.3まで上昇される。その後、ホウ酸塩溶液に5.5モル/Lの硝酸カルシウムCa(NO32溶液を132mL追加する。その結果、ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿物が生成される。生成した共沈殿物をろ過により溶液から分離した後、1,150mLの母液を電気透析し、共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムを用いてホウ酸を精製する。
【0042】
共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムは、硝酸(濃度12.2モル/Lで41mL)と水150mLを含む溶液を用いてpH7になるまで処理された後、ホウ酸カルシウムを溶液に変換し、無水塩量に換算して、母液の全塩量の10.8%に当たる50.3gの硫酸カルシウムを分離する。その後、ホウ酸ナトリウム溶液を、温度10℃でpH3になるまで硝酸溶液(濃度12.2モル/Lで41mL)で処理する。生成したホウ酸共沈殿物を硝酸カルシウム溶液から分離してから、濃度30g/Lのホウ酸を含むpH3の硝酸溶液で洗浄し、温度60℃で乾燥させる。この結果、27.5gのホウ酸が精製される。ホウ酸沈殿物を分離した後、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウム溶液を加える。
【0043】
母液の電気透析は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を備えた三室方式の電気透析装置で実施される。
【0044】
1,150mLの母液を電気透析にかける。溶液は下記を含む:
291.4 g/L NO3-
1.2 g/L SO42-
8.9 g/L Cl-
106.7 g/L Na+
27.4 g/L K+
3.1 g/L H3BO3
また、電流強度は2Aで電圧は6.2Vであり、体積比は、
MP:Va=1:0.5
MP:Vk=1:0.4
である。これによって、陰極室には575mLの硝酸溶液が生成され、この陰極溶液は以下を含む:
592.2 g/L HNO3
2.45 g/L H2SO4
18.3 g/L HCl
また、陽極室には460mLの水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶液があり、この陽極液は以下を含む:
463.9 g/L NaOH
56.2 g/L KOH
また、中間室には1,150mLの脱灰母液があり、この溶液は1.17g/LのイオンNO3-、SO42-、Cl-、Na+およびK+を含むとともに、ホウ酸H3BO3を3.1g/L含んでいる。母液からのイオン抽出は99.6%である。電気透析による生成物の電流効率60%である。
<実施例3>
初期のホウ酸塩溶液は、1,000mLあたり以下を含む:
101.9 g/L Na+
19 g/L K+
141.1 g/L NO3-
4.8 g/L SO42-
15.1 g/L Cl-
80.3 g/L H3BO3
また、溶液のpHは8.2である。初期溶液のpHは、8.5モル/Lの水酸化ナトリウムNaOH溶液を82mL加えることによって、pH10.1まで上昇される。その後、ホウ酸塩溶液に5.5モル/Lの硝酸カルシウムCa(NO32溶液を236mL追加する。その結果、ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿物が生成される。生成した共沈殿物をろ過により溶液から分離した後、1,250mLの母液を電気透析し、共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムを用いてホウ酸を精製する。
【0045】
共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムは、硝酸(濃度12.2モル/Lで103mL)と水200mLを含む溶液を用いてpH6.6になるまで処理された後、ホウ酸カルシウムを溶液に変換し、無水塩量に換算して、母液の全塩量の1.9%に当たる6.8gの硫酸カルシウム沈殿物を分離する。その後、ホウ酸ナトリウム溶液を、温度18℃でpH2になるまで硝酸溶液(濃度12.2モル/Lで103mL)で処理する。生成したホウ酸共沈殿物を硝酸カルシウム溶液から分離してから、濃度33g/Lのホウ酸を含むpH2の硝酸溶液で洗浄し、温度40℃で乾燥させる。この結果、69.3gのホウ酸が精製される。ホウ酸沈殿物を分離した後、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウム溶液を加える。
【0046】
母液の電気透析は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を備えた三室方式の電気透析装置で実施される。
【0047】
1,250mLの母液を電気透析にかける。溶液は下記を含む:
241.8 g/L NO3-
1.4 g/L SO42-
12.1 g/L Cl-
94.3 g/L Na+
15.2 g/L K+
1.9 g/L H3BO3
また、電流強度は1Aで電圧は4Vであり、体積比は、
MP:Va=1:0.6
MP:Vk=1:0.6
である。これによって、陰極室には750mLの硝酸溶液が生成され、この陰極溶液は以下を含む:
409.5 g/L HNO3
2.38 g/L H2SO4
27.7 g/L HCl
また、陽極室には750mLの水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶液があり、この陽極液は以下を含む:
273.3 g/L NaOH
36.4 g/L KOH
また、中間室には1,250mLの脱灰母液があり、この溶液は2.42g/LのイオンNO3-、SO42-、Cl-、Na+およびK+を含むとともに、ホウ酸H3BO3を1.9g/L含んでいる。母液からのイオン抽出は99%である。電気透析による生成物の電流効率70%である。
<実施例4>
初期のホウ酸塩溶液は、1,000mLあたり以下を含む:
155.8 g/L Na+
11.2 g/L K+
227 g/L NO3-
6 g/L SO42-
3.8 g/L Cl-
18 g/L H3BO3
また、溶液のpHは12である。初期溶液のpHは、4モル/Lの硝酸HNO3溶液を130mL加えることによって、pH10.6まで上昇される。その後、ホウ酸塩溶液に5.5モル/Lの硝酸カルシウムCa(NO32溶液を62mL追加する。その結果、ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿物が生成される。生成した共沈殿物をろ過により溶液から分離した後、1,190mLの母液を電気透析し、共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムを用いてホウ酸を精製する。
【0048】
共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムは、硝酸(濃度12.2モル/Lで23mL)と水150mLを含む溶液を用いてpH6.2になるまで処理された後、ホウ酸カルシウムを溶液に変換し、無水塩量に換算して、母液の全塩量の2%に当たる8.5gの硫酸カルシウム沈殿物を分離する。その後、ホウ酸ナトリウム溶液を、温度16℃でpH2.3になるまで硝酸溶液(濃度12.2モル/Lで23mL)で処理する。生成したホウ酸共沈殿物を硝酸カルシウム溶液から分離してから、濃度33g/Lのホウ酸を含むpH2の硝酸溶液で洗浄し、温度57℃で乾燥させる。この結果、15.6gのホウ酸が精製される。ホウ酸沈殿物を分離した後、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウム溶液を加える。
【0049】
母液の電気透析は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を備えた三室方式の電気透析装置で実施される。
【0050】
1,190mLの母液を電気透析にかける。溶液は下記を含む:
346 g/L NO3-
0.8 g/L SO42-
3.2 g/L Cl-
130.9 g/L Na+
9.44 g/L K+
0.6 g/L H3BO3
また、電流強度は3Aで電圧は10Vであり、体積比は、
MP:Va=1:1
MP:Vk=1:0.5
である。これによって、陰極室には1,190mLの硝酸溶液が生成され、この陰極溶液は以下を含む:
352 g/L HNO3
0.81 g/L H2SO4
3.3 g/L HCl
また、陽極室には595mLの水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶液があり、この陽極液は以下を含む:
455.3 g/L NaOH
27.0 g/L KOH
また、中間室には1,190mLの脱灰母液があり、この溶液は1.04g/LのイオンNO3-、SO42-、Cl-、Na+およびK+を含むとともに、ホウ酸H3BO3を0.6g/L含んでいる。母液からのイオン抽出は99.7%である。電気透析による生成物の電流効率50%である。
<実施例5>
初期のホウ酸塩溶液は、1,000mLあたり以下を含む:
89.2 g/L Na+
22.4 g/L K+
132.7 g/L NO3-
17.3 g/L SO42-
11.7 g/L Cl-
37 g/L H3BO3
また、溶液のpHは10.7である。その後、ホウ酸塩溶液に4モル/Lの硝酸カルシウムCa(NO32溶液を336mL追加する。その結果、ホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムとの共沈殿物が生成される。生成した共沈殿物をろ過により溶液から分離した後、1,220mLの母液を電気透析し、共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムを用いてホウ酸を精製する。
【0051】
共沈殿したホウ酸カルシウムと硫酸カルシウムは、硝酸(濃度12.2モル/Lで53mL)と水150mLを含む溶液を用いてpH6になるまで処理された後、ホウ酸カルシウムを溶液に変換し、無水塩量に換算して、母液の全塩量の7.9%に当たる24.5gの硫酸カルシウム沈殿物を分離する。その後、ホウ酸ナトリウム溶液を、温度20℃でpH2になるまで硝酸溶液(濃度12.2モル/Lで53mL)で処理する。生成したホウ酸共沈殿物を硝酸カルシウム溶液から分離してから、濃度35g/Lのホウ酸を含むpH2の硝酸溶液で洗浄し、温度60℃で乾燥させる。この結果、36.1gのホウ酸が精製される。ホウ酸沈殿物を分離した後、初期のホウ酸塩溶液に硝酸カルシウム溶液を加える。
【0052】
母液の電気透析は、陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を備えた三室方式の電気透析装置で実施される。
【0053】
1,220mLの母液を電気透析にかける。溶液は下記を含む:
198.4 g/L NO3-
0.9 g/L SO42-
9.6 g/L Cl-
79.1 g/L Na+
18.4 g/L K+
2.5 g/L H3BO3
また、電流強度は1Aで電圧は5Vであり、体積比は、
MP:Va=1:0.6
MP:Vk=1:0.5
である。これによって、陰極室には732mLの硝酸溶液が生成され、この陰極溶液は以下を含む:
336 g/L HNO3
1.53 g/L H2SO4
16.4 g/L HCl
また、陽極室には610mLの水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの溶液があり、この陽極液は以下を含む:
275.1 g/L NaOH
53.1 g/L KOH
また、中間室には1,220mLの脱灰母液があり、この溶液は1.98g/LのイオンNO3-、SO42-、Cl-、Na+およびK+を含むとともに、ホウ酸H3BO3を2.5g/L含んでいる。母液からのイオン抽出は99%である。電気透析による生成物の電流効率70%である。
【0054】
以上の説明および実施例1−5から、本発明に係る液体核廃棄物のリサイクル方法によれば、従来技術と比較して、商業的なホウ酸を結晶の形態で生産するとともに、648.3g/Lまでのホウ酸塩溶液、463.9g/Lまでの水酸化ナトリウム溶液、181.4g/Lまでの水酸化カリウム溶液といった原子力発電所におけるプロセスサイクルでの再利用、並びに一般的な工業的利用に適した高濃度溶液を生産することができる。また、低電流強度かつ低電圧で電気透析を行うのでエネルギー消費を抑制することができる。更に、母廃液のすべての成分がリサイクル工程に関与するので、埋め立てたり貯蔵したりすべき有害な廃棄物を低減することができる。これらの実施例には、主として既存の化学装置を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明に係るホウ素濃度制御による液体核廃棄物のリサイクル方法は、WWER(Water-Water Energetic Reactor)を含む、原子力発電所の運用によって発生する核廃棄物であって、核燃料サイクルにおいて再利用されるべきホウ酸、硝酸およびアルカリ金属化合物の抽出に用いられる複雑液体ホウ素を含有する核廃棄物の統合リサイクルを行うための方法として有用である。