【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、独立形式請求項に係る特徴によって解決される。引用形式請求項に係る特徴は実施の態様を特定する。
【0013】
方法においては、ノイズ信号を確定することを含む。ノイズ信号は、センサの信号線にある。当該方法は、ノイズ信号の分析を行うことも含む。当該方法は、分析の結果を示すチェックデータを送ることも含む。
【0014】
コンピュータプログラム(コンピュータプログラムプロダクト)においては、プログラムコードを含む。プログラムコードは、制御回路によって実行される。プログラムコードを実行すると、制御回路は、ノイズ信号を確定することを含む方法を実行する。ノイズ信号は、センサの信号線にある。当該方法は、ノイズ信号の分析を実行することも含む。当該方法は、分析の結果を示すチェックデータを送ることも含む。
【0015】
例えば、チェックデータは、制御ユニットに送られる。制御ユニットは、信号線にあるセンサによって提供されるセンサ信号を処理するように構成される。これにより、制御ユニットで適切な対策をとることが容易になる。
【0016】
代替又は追加として、チェックデータは、例えばインターネットを介して、バックエンドシステムのサーバに送信される。これにより、グローバルな対策を取ること(例えば、改変されたセンサ又はシステムをブラックリストに追加するなど)が容易になる。
【0017】
例えば、上記方法は、分析ユニットによって(例えば、分析ユニットの制御回路によって)実行される。分析ユニットは、制御ユニットと物理的に別のものでもよいし、制御ユニットから離れていてもよい。他の例では、分析ユニットは、制御ユニットと同じ場所に配置される。
【0018】
チェックデータの送信は、例えば制御ユニットと分析ユニットとの間に確立される制御信号線で行われる。制御信号線は、無線通信か有線通信、又はその両方を使用して実施される。
【0019】
分析の結果を示すチェックデータを送信することにより、例えば制御ユニットと分析ユニットを使用して、ノイズ信号の分析とセンサ信号の処理を別々に実行できるようになる。このことは、当検証機能を後付けするのに役立つ。制御ユニットの修正は不要である。
【0020】
ノイズ信号は、センサ信号とは異なる。例えば、ノイズ信号とセンサ信号の両方を含んだ重畳信号である。重畳信号は、信号線に存在する。例えば、ノイズ信号は、センサ信号の信号対雑音比を低くする。例えば、ノイズ信号は、センサ信号と異なるスペクトル、センサ信号と重複するスペクトル、又はセンサ信号と一致するスペクトルを占有する。
【0021】
ノイズ信号は、少なくとも部分的にランダム又は擬似ランダムでよい。ノイズ信号は、センサとセンサの環境との間の環境相互作用から生成できる。ノイズ信号は、信号発生器を使用して生成可能である。例えば、拡散スペクトル成分を含むノイズ信号又はスペクトル拡散ノイズ信号が使用される。ノイズ信号は、センサ信号の確実性(信頼性)フィンガプリントとも呼ぶ。すなわち、センサ信号の検証、−(例えばセンサや信号線の改変による)センサ信号の操作があったかどうかの確認−が、ノイズ信号に基づいて可能になる。
【0022】
チェックデータは、暗号鍵を含みうる。暗号鍵は、センサ信号を処理するために必要とされる。
【0023】
様々な態様において、ノイズ信号を確定する各種技術が想定される。第1の態様では、ノイズ信号の確定は、信号線の誘導読み取り(非接触読み取り)などの読み取り手段を使ってノイズ信号を検出することを含む。例えば、誘導読み取りは、信号線の漂遊電磁界の検出を含む。このために信号線のすぐ近くに誘導巻線を配置し、漂遊電磁界を検出するようにする。これも後付けを容易にし、すなわち、信号線の確実性を修正せずに済み、言い換えれば、外部読み取りが可能になる。
【0024】
代替又は追加として、別の態様では、ノイズ信号の確定は、ノイズ信号をデジタル符号化する制御データを受け取ることを含む。例えば、制御データは、制御ユニットから受け取る。例えば、制御ユニットは、重畳信号に基づいてセンサ信号からノイズ信号を分離するように構成される。これは、ノイズ消去との連動で実施される。次に、制御ユニットは、例えば、ノイズ信号を示すマルチビットインジケータを使用してノイズ信号をデジタル符号化できる。当該シナリオでは、ノイズ信号を読み取るために別個のハードウェアを提供しなくてもよいことから、ハードウェアの実施態様を単純化できる。言い換えると、デジタル領域へのセンサ信号の変換とノイズ信号の変換との両方に、制御ユニットのアナログ−デジタル変換器を再使用できる。
【0025】
本方法は、さらに、複数のカテゴリに関してノイズ信号の分析結果の分類を行うことを含む。チェックデータは分類を示しうる。所定のマッピングを使用する各コードブックが、チェックデータに使用されうる。
【0026】
この技術は、分析結果が様々な詳細度で提供されうるという知見に基づく。例えば、単純なシナリオで、チェックデータは、分析結果がセンサと信号線のどちらか又は両方の改変を示すかどうか、すなわち、分析結果が確実性違反を示すかどうか、を示す。これは、1ビットの「はい」/「いいえ」フラグで実施できる。詳細度は低い。より複雑なシナリオでは、詳細度が高く情報量が多くなる。この場合、分析結果は、改変が行われたかどうかの単なる指示を越えた、センサ信号の検証機能と関連した付加情報を示すことができる。このシナリオでは、分析結果の分類を複数のカテゴリに関して行うことが有用であり、それにより、制御ユニットにおいて適切な対策をとることが容易になる。改変のタイプに応じて、様々な対策が適切となる。例えば、それらは、制御ユニットで行われる様々なアクションを必要とする、あまり重大でないカテゴリとより重大なカテゴリでありうる。カテゴリには、例えば、センサの操作、信号線の操作、低い重大度の操作、高い重大度の操作、センサの障害、及び信号線の障害が含まれる。
【0027】
他の態様では、分類は、様々な種類及び方式の操作を示す。例えば、ファームウェアの操作、関数呼び出しの操作、メモリ読み取りアドレス又はメモリ書き込みアドレスの操作、通信プロトコル又は通信インタフェースの操作などは全て、分析結果の分類に基づいて適切なカテゴリに含まれる。
【0028】
この場合、一方の外部操作と他方の固有障害とを区別できる。障害の重大度を、例えば自己完結型障害か伝搬障害かの点で判断できる。これは、適合した対策をとるのに役立つ。
【0029】
幾つかの態様によれば、信号発生器の構成を示す構成データを受け取ることができる。信号生成は、ノイズ信号を生成するように構成される。ノイズ信号の確定と分析のどちらか又は両方の実行は、構成データに基づく。
【0030】
この技術によって、一方の側のノイズ信号を生成する信号発生器と、ノイズ信号の分析を行う分析ユニットとの間の同期が達成される。これは、ノイズ信号をセンサ信号から識別するのに役立つ。例えば、ノイズ信号は、例えばノイズ信号とセンサ信号の両方を含む重畳信号からノイズ信号を分離することによって、確実に確立される。
【0031】
ここで、信号発生器の構成にノイズ信号の信号レベルを含めることができる。代替又は追加として、該構成は、ノイズ信号の周波数スペクトルを含む。これは、分析を、ノイズ信号に予想される特定の信号特性に合わせるのに役立つ。
【0032】
幾つかの態様で、分析は、ノイズ信号を所定の基準信号と比較することを含む。例えば、ノイズ信号と基準信号との間の時間領域相関が実施される。
【0033】
代替又は追加として、分析は、異常検出を含む。これは、機械学習技術を含みうる。例えば、機械学習技術を使って分類アルゴリズムがトレーニングされる。次に、この分類アルゴリズムに基づいて、センサと信号線のどちらか又は両方の改変を示す異常が検出される。
【0034】
代替又は追加として、分析は、分光分析(スペクトル分析)を含む。この場合、例えば、ノイズ信号とセンサ信号の両方を含む重畳信号の様々なスペクトル成分のスペクトルパワー密度が決定されうる。次に、パワースペクトル密度に基づいて、センサと信号線のどちらか又は両方の改変があったかどうかが判断される。
【0035】
一般に、分析のこれら技術は、当技術分野で既知であり、本明細書で述べるシナリオで容易に適用される。したがって、この点で分析に関する更なる詳細を提供する必要はない。
【0036】
方法において、センサの信号線のセンサ信号を受け取ることを含む。当該方法は、チェックデータを受け取ることも含む。チェックデータは、信号線のノイズ信号の分析結果を示す。当該方法は、チェックデータによってセンサ信号を選択的に処理することも含む。
【0037】
コンピュータプログラム(コンピュータプログラムプロダクト)においては、プログラムコードを含む。プログラムコードは、制御回路によって実行される。プログラムコードを実行すると、制御回路は、センサの信号線のセンサ信号を受け取ることを含む方法を実行する。当該方法は、チェックデータを受け取ることも含む。チェックデータは、信号線のノイズ信号の分析の結果を示す。当該方法は、チェックデータに応じてセンサ信号を選択的に処理することも含む。
【0038】
例えば、上記方法は、制御ユニットによって(例えば、制御ユニットの制御回路によって)実行される。制御ユニットは、入力インタフェースを含む。例えば、入力インタフェースは、センサ信号が信号線のアナログ領域において通信されるシナリオで、アナログ−デジタル変換器を含む。他のシナリオでは、センサ信号が信号線のデジタル領域において通信される。この場合、センサ信号は、センサの測定値をデジタル符号化する。当該シナリオでは、センサは、アナログ−デジタル変換器を含む。
【0039】
センサ信号は、重畳信号に含めることが可能であり、重畳信号は、センサ信号とノイズ信号の両方を含む。次に、特定の技術により、センサ信号を抽出するためにノイズ消去が実施される。ノイズ消去とは、一般に、センサ信号をノイズ信号から分離する技術を指す。この場合、実施の態様によっては、ノイズ信号の残留寄与分がセンサ信号内に保持され、それにより、センサ信号の信号対雑音比が規定される。
【0040】
チェックデータは、分析ユニットから受け取れる。分析ユニットは、制御ユニットから離れているか、制御ユニットとは別に実装されるか、あるいはその両方である。これにより、検証機能の後付けが容易になる。
【0041】
例えば、チェックデータが、センサ信号の確実性違反を示す場合、センサ信号の処理は実行されないか、中止される。これと異なり、チェックデータがセンサ信号の改変を示さない場合は、センサ信号の処理が実行され、継続され、又は開始される。
【0042】
ここでも、チェックデータは、複数のカテゴリに関する分析結果の分類を示すものとすることができる。具体的な分類に応じて、センサ信号の処理に関する様々な処置が取られる。例えば、センサ信号は、分類に応じて様々な方式で処理される。
【0043】
あるシナリオによれば、ノイズ信号が検出され、これは、重畳信号に基づいてセンサ信号をノイズ信号から分離するときにノイズ消去の一部として実施される。次に、該方法は、さらに、ノイズ信号をデジタル符号化する制御データを(例えば、分析ユニットに)送ることを含む。このことは、ノイズ信号の分析に関わる信号線からの別個の読み取りを実施する必要がないので、ハードウェアアーキテクチャを単純化するのに役立つ。
【0044】
例えば、チェックデータは、暗号鍵を含みうる。センサ信号は、暗号鍵に基づいて処理される。この態様は、ノイズ信号の分析に基づいて確実性違反が検出された場合に、センサ信号の処理を効果的に抑制するのに役立つ。これは、各攻撃ベクトルを低減する。
【0045】
代替又は追加として、分析の結果に基づいて、センサ信号の上記処理と関連した暗号鍵を消去できる。これは、確実性違反が検出された場合にセンサ信号が処理されてしまうのを有効に防ぐのに役立つ。該技術は、ゼロ化と呼ばれる。攻撃ベクトルが低減される。
【0046】
一態様によれば、方法において、信号発生器を動作させてノイズ信号を生成することを含む。当該方法は、さらに、ノイズ信号をセンサの信号線に送ることを含む。
【0047】
コンピュータプログラム(コンピュータプログラムプロダクト)においては、プログラムコードを含む。プログラムコードは、制御回路によって実行される。プログラムコードを実行すると、制御回路は、信号発生器を動作させてノイズ信号を生成することを含む方法を実行する。当該方法は、さらに、ノイズ信号をセンサの信号線に送ることを含む。
【0048】
この方法は、必要に応じて、センサのセンサ信号を信号線に送ることを含む。これにより、ノイズ信号とセンサ信号の両方を含む重畳信号が得られる。
【0049】
例えば、上記方法は、センサのセンサ信号に基づいて信号発生器の構成を設定することを含む。信号発生器の構成によって、センサ信号とノイズ信号との間の干渉が緩和される。例えば、ノイズ信号の信号レベルとノイズ信号の周波数スペクトルのどちらか又は両方が、信号発生器の構成によって適切に設定される。これによって、対応する制御ユニットでのノイズ消去を容易にするために、周波数分割二重化技術を実行できる。
【0050】
信号発生器の構成を示す構成データが送られる。例えば、構成データは、制御ユニットに送られ、これにより制御ユニットでのノイズ消去が容易になる。代替又は追加として、構成データは、ノイズ信号を分析するように構成された分析ユニットに送ることもでき、これによりセンサ信号が検証される。構成を示す構成データの提供は、ノイズ信号の分析を実施するのに役立つ。
【0051】
信号発生器は、暗号鍵に基づいてノイズ信号を生成するべく制御される。例えば、暗号鍵は、分析ユニットから受け取られる。それにより、ノイズ信号の生成の改変を含む攻撃ベクトルが低減される。
【0052】
分析ユニットは、センサの信号線のノイズ信号を確定するように構成された制御回路を含む。制御回路は、ノイズ信号の分析を行い、分析結果を示すチェックデータを送るようにも構成される。
【0053】
制御ユニットは、センサの信号線のセンサ信号の受け取りを行うように構成された制御回路を含む。制御回路は、さらに、チェックデータを受け取るように構成される。チェックデータは、信号線のノイズ信号の分析結果を示す。制御回路は、チェックデータに応じてセンサ信号を選択的に処理するようにも構成される。
【0054】
センサは、信号発生器を動作させてノイズ信号の生成を実行するように構成された制御回路を含む。上記方法は、さらに、センサの信号線にノイズ信号を送ることを含む。
【0055】
以上の特徴及び後述する特徴は、当然ながら、提示した各組み合わせで使われるだけではなく、本発明の範囲から逸脱しない他の組み合わせ又は単独でも使われる。