(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記当て部材は、トレイ引き出し方向における前記当て部材の下流端から上流側に向けて窪み、前記給紙トレイが前記収容部に収容された状態で前記リンク部材の前記第3角部が入り込む凹部を有する
請求項5に記載の給紙装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1実施形態の給紙装置を、図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成については同一の符号を付す。
【0010】
給紙装置について説明する。
図1は、第1実施形態の給紙装置1を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態の給紙装置1が隣接する画像形成装置90を示す斜視図である。以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。水平面内の所定方向をX方向、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向とする。X方向、Y方向およびZ方向のうち、図中矢印方向をプラス(+)方向とし、矢印とは反対の方向をマイナス(−)方向とする。+X方向を前方、−X方向を後方、+Y方向を右方、−Y方向を左方、+Z方向を上方、−Z方向を下方とする。
【0011】
図1に示すように、給紙装置1は、給紙トレイ2、装置本体3、ファン4、ダクト5、整流部材6および退避機構7を備える(
図10参照)。例えば、給紙装置1は、プリンタ等の画像形成装置90(
図2参照)に隣接して配置される。
【0012】
画像形成装置90について説明する。
例えば、画像形成装置90は、複合機(MFP:MultiFunction Printer)である。例えば、画像形成装置90は、トナー等の現像剤を用いて用紙に画像を形成する。例えば、用紙は、紙またはラベル用紙である。用紙は、その表面に画像が形成できるものであればどのようなものであってもよい。
図2の例では、画像形成装置90は、ディスプレイ91、プリント部92、コントロールパネル部93、用紙収容部94および画像読取部95を備える。用紙収容部94は、上下方向(Z方向)に並ぶ複数段のカセットを備える。例えば、実施形態の給紙装置1は、用紙収容部94の側部(+Y方向側部)に隣接して配置される。実施形態の給紙装置1は、画像形成装置90の用紙収容部94の用紙収容量を拡張するための大容量拡張ユニットとして機能する。
【0013】
給紙トレイ2について説明する。
図7に示すように、給紙トレイ2は、複数枚の用紙が積層した用紙束10を載置可能である。例えば、給紙トレイ2は、数千枚の用紙が積層した用紙束10を載置可能である。用紙は、シート状の記録媒体である。給紙トレイ2は、用紙束10を下方から支持する。給紙トレイ2は、用紙束10の周囲を囲む。給紙トレイ2は、上方に開放する箱状を有する。給紙トレイ2は、複数種類の用紙サイズに対応した外形を有する。
【0014】
給紙トレイ2は、装置本体3から矢印J1方向に引き出し可能である(
図1参照)。以下、矢印J1方向を「トレイ引き出し方向J1」ともいう。給紙トレイ2は、トレイ引き出し方向J1に長手を有する。図中において、矢印J2はトレイ引き出し方向J1とは反対方向(以下「トレイ押し込み方向J2」ともいう。)、矢印W1はトレイ引き出し方向J1と直交しかつ用紙の載置面26a(
図4参照)と平行な装置幅方向をそれぞれ示す。
【0015】
図4に示すように、給紙トレイ2は、蓋部20、第1側部21、第2側部22(
図5参照)、第3側部23、第4側部24、底部25、用紙載置部26、第1トレイ側板27および第2トレイ側板28(
図5参照)を備える。
【0016】
蓋部20は、トレイ引き出し方向J1において給紙トレイ2の下流端部を構成する。言い換えると、蓋部20は、トレイ押し込み方向J2において給紙トレイ2の上流端部を構成する。蓋部20は、給紙トレイ2が装置本体3の収容部30(
図3参照)に収容された状態で収容部30を塞ぐ。蓋部20は、矩形状の外形を有する。蓋部20は、使用者が把持可能な把持部20aを有する。
【0017】
第1側部21は、トレイ引き出し方向J1において給紙トレイ2の上流端部を構成する。第1側部21は、蓋部20よりも小さい外形を有する。
第2側部22(
図5参照)は、トレイ引き出し方向J1において第1側部21とは反対側に位置する。第2側部22は、用紙載置部26を介して第1側部21と対向する。
【0018】
第3側部23は、装置幅方向W1において給紙トレイ2の一側部(左側部)を構成する。第3側部23は、第1側部21、第2側部22および底部25に連結される。
第4側部24は、装置幅方向W1において第3側部23とは反対側(右側)に位置する。第4側部24は、第2側部22(
図5参照)と間隔をあけて配置される。第4側部24は、第1側部21および底部25に連結される。第4側部24は、用紙載置部26(第1トレイ側板27)を介して第3側部23と対向する。
【0019】
底部25は、給紙トレイ2の最下部を構成する。
用紙載置部26は、底部25の上面に配置される。用紙載置部26は、用紙束10を載置可能な載置面26a(上面)を有する。用紙載置部26は、第1挿通孔26hおよび第2挿通孔26iを有する。第1挿通孔26hは、第1側部21寄りに位置する。第2挿通孔26iは、第2側部22寄りに位置する。
【0020】
第1トレイ側板27は、トレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の上流端部に配置される。第1トレイ側板27は、装置幅方向W1における給紙トレイ2の中央部に位置する(
図6参照)。第1トレイ側板27は、上下方向に延在する。第1トレイ側板27は、用紙束10の後方(トレイ引き出し方向J1の上流側)から用紙束10に当接することにより、用紙束10をトレイ引き出し方向J1で位置決めする整合部材として機能する(
図7参照)。
【0021】
図7に示すように、第1トレイ側板27は、第1ファン4Aからの風が最上位用紙11の上面と第1整流部材6Aの下面との間に向けて流れるように開口する送風口27a(以下「第1送風口27a」ともいう。)を有する。第1送風口27aは、第1トレイ側板27の上端部に位置する。第1送風口27aは、装置幅方向W1における最上位用紙11の中央部に位置する(
図6参照)。
【0022】
第2トレイ側板28は、トレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の下流端部に配置される。第2トレイ側板28は、装置幅方向W1における給紙トレイ2の中央部に位置する(
図6参照)。第2トレイ側板28は、上下方向に延在する。第2トレイ側板28は、用紙束10の前方(トレイ引き出し方向J1の下流側)から用紙束10に当接することにより、用紙束10をトレイ引き出し方向J1で位置決めする整合部材として機能する。
【0023】
第2トレイ側板28は、第2ファン4Bからの風が最上位用紙11の上面と第2整流部材6Bの下面との間に向けて流れるように開口する送風口28a(以下「第2送風口28a」ともいう。)を有する。第2送風口28aは、第2トレイ側板28の上端部に位置する。第2送風口28aは、装置幅方向W1における最上位用紙11の中央部に位置する(
図6参照)。
【0024】
装置本体3について説明する。
図3に示すように、装置本体3は、給紙トレイ2(
図4参照)を収容可能な収容部30を有する。装置本体3は、トレイ引き出し方向J1(前方)に開放する箱状を有する。図中符号38は、装置本体3を移動可能に支持するキャスターを示す。
【0025】
装置本体3は、天壁31、第1側壁32、第2側壁33、第3側壁34およびピックアップローラ35を備える。
天壁31は、装置本体3の最上部(天井部)を構成する。天壁31は、トレイ引き出し方向J1に延在する。
【0026】
第1側壁32は、トレイ引き出し方向J1において装置本体3の上流端部(後端部)を構成する。第1側壁32は、トレイ引き出し方向J1における天壁31の上流端部に連結される。
第2側壁33は、装置幅方向W1において装置本体3の一側部(左側部)を構成する。第2側壁33は、装置幅方向W1における第1側壁32の一端部に連結される。
第3側部23は、装置幅方向W1において装置本体3の他側部(右側部)を構成する。第3側部23は、装置幅方向W1における第1側壁32の他端部に連結される。
【0027】
ピックアップローラ35は、給紙トレイ2(
図4参照)に載置されている未使用の用紙を給紙するためのローラである。図中符号39は、第2側壁33の上端部と天壁31との間に形成された隙間を示す。ピックアップローラ35は、隙間39を通じて給紙トレイ2から用紙を取り出す。ピックアップローラ35は、用紙搬送方向K1における装置本体6の下流端部に位置する。ピックアップローラ35は、給紙トレイ2に載置された用紙束10の上面21a(
図7参照)に接触している。ピックアップローラ35は、モータ等を含む駆動機構(不図示)に接続されている。駆動機構の動作によりピックアップローラ35が回転することによって、給紙トレイ2の外に用紙が繰り出される。繰り出された用紙は、画像形成装置90(
図2参照)に供給される。
【0028】
ファン4について説明する。
ファン4は、風を発生可能である。実施形態において、ファン4は複数(例えば2つ)設けられる。
図7に示すように、ファン4は、給紙トレイ2における用紙載置部26とは反対側の側部に固定されている。以下、給紙トレイ2の第1側部21に固定されたファン4を「第1ファン4A」、給紙トレイ2の第2側部22に固定されたファン4を「第2ファン4B」ともいう。
【0029】
第1ファン4Aは、第1送風口27aに向けて開口する吹き出し口4Ahを有する。第1ファン4Aの吹き出し口4Ahは、上方に向けて開口する。
第2ファン4Bは、第2送風口28aに向けて開口する吹き出し口4Bhを有する。第2ファン4Aの吹き出し口4Bhは、上方に向けて開口する。
【0030】
ダクト5について説明する。
実施形態において、ダクト5は複数(例えば2つ)設けられる。ダクト5は、ファン4に接続される。以下、第1ファン4Aに接続されたダクト5を「第1ダクト5A」、第2ファン4Bに接続されたダクト5を「第2ダクト5B」ともいう。
【0031】
第1ダクト5Aは、給紙トレイ2の第1側部21に固定される。第1ダクト5Aは、第1ファン4Aの吹き出し口4Ahからの風が第1送風口27aに向けて流れるように第1トレイ側板27の上端部と第1ファン4Aとを接続する。
第2ダクト5Bは、給紙トレイ2の第2側部22に固定される。第2ダクト5Bは、第2ファン4Bの吹き出し口4Ahからの風が第2送風口28aに向けて流れるように第2トレイ側板28の上端部と第2ファン4Bとを接続する。
【0032】
整流部材6について説明する。
図7に示すように、整流部材6は、給紙トレイ2が装置本体3の収容部30(
図3参照)に収容された状態(以下「トレイ収容状態」ともいう。)で、給紙トレイ2に載置された用紙束10の上方に位置する。整流部材6は、トレイ収容状態で、ファン4からの風によって用紙束10における最上位用紙11との間に負圧を発生させる。実施形態において、整流部材6は、給紙トレイ2に載置された用紙束10の上方に複数(例えば2つ)配置される。整流部材6は、装置本体3の天壁31(
図3参照)に連結される。以下、トレイ引き出し方向J1における天壁31(
図3参照)の上流部に配置された整流部材6を「第1整流部材6A」、トレイ引き出し方向J1における天壁31(
図3参照)の下流部に配置された整流部材6を「第2整流部材6B」ともいう。
【0033】
第1整流部材6Aは、トレイ収容状態で第1ファン4Aの側に位置する。第1整流部材6Aは、トレイ収容状態で最上位用紙11の上方に位置する。第1整流部材6Aは、トレイ収容状態で、第1ファン4Aからの風によって最上位用紙11との間に負圧を発生させる。第1整流部材6Aの最下面は、第1送風口27aの上端よりも下方に位置する。
【0034】
第2整流部材6Bは、トレイ収容状態で第2ファン4Bの側に位置する。第2整流部材6Bは、トレイ収容状態で最上位用紙11の上方に位置する。第2整流部材6Bは、トレイ引き出し方向J1における第1整流部材6Aの下流側に配置される。第2整流部材6Bは、トレイ収容状態で、第2ファン4Bからの風によって最上位用紙11との間に負圧を発生させる。第2整流部材6Bの最下面は、第2送風口28aの上端よりも下方に位置する。
【0035】
整流部材6は、翼型形状を有する。例えば、整流部材6は、飛行機の翼(主翼)と上下逆の形状を有する。整流部材6は、隙間を有しない連続した翼型形状をなしている。
図6に示すように、整流部材6は、装置幅方向W1に一定の長さを有する。整流部材6は、最上位用紙11の上面21aと平行な方向に延在している。整流部材6は、装置幅方向W1において連続して延在している。
【0036】
図8に示すように、整流部材6は、用紙束10における最上位用紙11との間に間隔をあけて配置される。整流部材6の下部は、最上位用紙11の上面21aと対向している。整流部材6は、実質的に水平な直線状をなす上面6f1を有する。整流部材6は、下方に向けて凸をなすように湾曲する下面6f2(以下「湾曲下面6f2」ともいう。)を有する。
【0037】
第1整流部材6Aの湾曲下面6f2は、第1送風口27aから離れるに従って徐々に上方に位置するように傾斜している。図中符号6j1,6j2は、第1整流部材6Aを装置本体3の天壁31(
図3参照)に連結するための一対の連結凸部(第1連結凸部および第2連結凸部)を示す。第1連結凸部6j1は、トレイ引き出し方向J1における第1整流部材6Aの上流端部から上方に突出している。第2連結凸部6j2は、トレイ引き出し方向J1における第1整流部材6Aの下流端部から上方に突出している。
【0038】
図9に示すように、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2は、第2送風口28aから離れるに従って徐々に上方に位置するように傾斜している。図中符号6j3,6j4は、第2整流部材6Bを装置本体3の天壁31(
図3参照)に連結するための一対の連結凸部(第3連結凸部および第4連結凸部)を示す。第3連結凸部6j3は、トレイ引き出し方向J1における第2整流部材6Bの上流端部から上方に突出している。第4連結凸部6j4は、トレイ引き出し方向J1における第2整流部材6Bの下流端部から上方に突出している。
【0039】
退避機構7について説明する。
退避機構7は、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に第1整流部材6Aおよび第2整流部材6Bのそれぞれが給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して第1整流部材6Aおよび第2整流部材6Bのそれぞれを変位させる。
【0040】
図7に示すように、退避機構7は、トレイ収容状態で整流部材6を給紙トレイ2の内部空間2s1に変位させる。給紙トレイ2の内部空間2s1は、給紙トレイ2の第1側部21、第2側部22、第3側部23および第4側部24によって区画され、かつ、上方に開放する空間を意味する。退避機構7は、トレイ収容状態で、整流部材6を給紙トレイ2の第1側部21と第2側部22との間の空間に変位させる。
【0041】
退避機構7は、給紙トレイ2が収容部30(
図3参照)から取り出された状態(以下「トレイ取り出し状態」ともいう。)で整流部材6を給紙トレイ2の外部空間2s2に変位させる。給紙トレイ2の外部空間2s2は、給紙トレイ2の第1側部21、第2側部22、第3側部23および第4側部24によって区画される空間の外であって、上方に開放する空間を意味する。退避機構7は、トレイ取り出し状態で、整流部材6を給紙トレイ2の第1側部21の外、または第2側部22の外に変位させる。
【0042】
退避機構7は、第1支持部70、第1リンク部材71(リンク部材)、第2支持部72、当て部材73、第3支持部74、第2リンク部材75および第4支持部76を備える。退避機構7は、各送風口27a,28aを避けた位置に配置されている。第1送風口27aをトレイ引き出し方向J1下流側(前側)から見たとき、退避機構7は、第1送風口27aと重ならない位置に配置されている。第2送風口28aをトレイ引き出し方向J1上流側(後側)から見たとき、退避機構7は、第2送風口28aと重ならない位置に配置されている。
【0043】
図11に示すように、第1支持部70は、装置本体3の天壁31(
図21(A)参照)に固定される。第1支持部70は、給紙トレイ2の移動に連動して、第1整流部材6Aを第1軸C1(装置幅方向W1と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に支持する。給紙トレイ2の引き出し動作において、第1支持部70は、トレイ引き出し方向J1における第1整流部材6Aの下流端部を第1軸C1の周りに回動可能に支持する。一方、給紙トレイ2の押し込み動作において、第1支持部70は、トレイ押し込み方向J2における第1整流部材6Aの上流端部を第1軸C1の周りに回動可能に支持する。第1支持部70は、第2連結凸部6j2を挟むように下方に開放するU字状(逆U字状)を有する。
【0044】
第1リンク部材71は、給紙トレイ2の移動に連動して、第1整流部材6Aと第2支持部72とを連結(連係)する。給紙トレイ2の引き出し動作において、第1リンク部材71は、トレイ引き出し方向J1における第1整流部材6Aの上流端部を第2軸C2(第1軸C1と実質的に平行な軸)と共に変位可能に支持する第1長孔部71a(長孔部)を有する。一方、給紙トレイ2の押し込み動作において、第1長孔部71aは、トレイ押し込み方向J2における第1整流部材6Aの下流端部を第2軸C2と共に変位可能に支持する。
【0045】
図8に示すように、第1リンク部材71は、下方に凸の三角形状を有する。第1リンク部材71は、第1角部71b1、第2角部71b2および第3角部71b3を備える。
第1角部71b1は、第1長孔部71aを有する。第1長孔部71aは、第1リンク部材71の一辺(上辺)に沿って延在する。
第2角部71b2は、第3軸C3の周りに回動可能に支持される。
第3角部71b3は、下方に凸を有する。
【0046】
第2支持部72は、装置本体3の天壁31(
図21(A)参照)に固定される。第2支持部72は、給紙トレイ2の移動に連動して、第1リンク部材71の第3角部71b3を第3軸C3(第1軸C1と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に支持する。給紙トレイ2の引き出し動作において、第2支持部72は、トレイ引き出し方向J1における第1リンク部材71の上流端部を第3軸C3の周りに回動可能に支持する。一方、給紙トレイ2の押し込み動作において、第2支持部72は、トレイ押し込み方向J2における第1リンク部材71の下流端部を第3軸C3の周りに回動可能に支持する。第2支持部72は、第1リンク部材71の一面に沿う側面を有するL字状をなしている(
図11参照)。
【0047】
図11に示すように、当て部材73は、給紙トレイ2の第1トレイ側板27の上端部に固定されている。図中において、符号80は当て部材73を第1トレイ側板27の上端部に固定するための固定プレート、符号81(
図12参照)は第1リンク部材71の回動位置を規制するための第1ストッパ、符号82(
図8参照)は当て部材73と固定プレート80との間隔(当て部材73の上下方向位置)を設定するためのスペーサをそれぞれ示す。
【0048】
当て部材73は、給紙トレイ2の移動に連動して第1リンク部材71または第1整流部材6Aに当接する。
当て部材73は、給紙トレイ2の引き出し動作の際に第1リンク部材71の第3角部71b3(下方凸部)に当接し、第2軸C2が上方に変位するように第1リンク部材71を第3軸C3の周りに回動させる。これにより、当て部材73は、第1整流部材6Aが給紙トレイ2から退避するように第1整流部材6Aを第1軸C1の周りに回動させる。
【0049】
当て部材73は、給紙トレイ2の押し込み動作の際に第1整流部材6Aの湾曲下面6f2に当接し、第2軸C2が上方に変位するように第1整流部材6Aを第1軸C1の周りに回動させる。これにより、当て部材73は、第1リンク部材71を第3軸C3の周りに回動させる。
【0050】
図12に示すように、当て部材73は、トレイ引き出し方向J1における当て部材73の下流端から上流側に向けて直線状に窪む凹部73aを有する。トレイ収容状態で、第1リンク部材71の第3角部71b3は、当て部材73の凹部73aに入り込む(
図11参照)。
【0051】
図10に示すように、第3支持部74は、装置本体3の天壁31(
図22(A)参照)に固定される。第3支持部74は、トレイ引き出し方向J1における第1支持部70の下流側に配置される。第3支持部74は、給紙トレイ2の移動に連動して、第2整流部材6Bを第4軸C4(装置幅方向W1と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に支持する。
【0052】
給紙トレイ2の引き出し動作において、第3支持部74は、トレイ引き出し方向J1における第2整流部材6Bの上流端部を第4軸C4の周りに回動可能に支持する。
一方、給紙トレイ2の押し込み動作において、第3支持部74は、トレイ押し込み方向J2における第2整流部材6Bの下流端部を第4軸C4の周りに回動可能に支持する。第3支持部74は、第3連結凸部6j3を挟むように下方に開放するU字状(逆U字状)を有する。
【0053】
第2リンク部材75は、給紙トレイ2の移動に連動して、第2整流部材6Bと第4支持部76とを連結(連係)する。
図9に示すように、給紙トレイ2の引き出し動作において、第2リンク部材75は、トレイ引き出し方向J1における第2整流部材6Bの下流端部を第5軸C5(第4軸C4と実質的に平行な軸)と共に変位可能に支持する第2長孔部75aを有する。
一方、給紙トレイ2の押し込み動作において、第2長孔部75aは、トレイ押し込み方向J2における第2整流部材6Bの上流端部を第5軸C5と共に変位可能に支持する。図中符号83(
図6参照)は、第2リンク部材75の回動位置を規制するための第2ストッパを示す。
【0054】
第2リンク部材75は、上面視でクランク形状を有する(
図6参照)。第2リンク部材75は、V字形状を有する。第2リンク部材75は、第1延在部75b1、第2延在部75b2および連結部75b3(
図6参照)を備える。
【0055】
第1延在部75b1は、第2長孔部75aを有する。第2長孔部75aは、第1延在部75b1に沿って延在する。第2長孔部75aは、トレイ引き出し方向J1における第1延在部75b1の上流部に位置する。
第2延在部75b2は、下方に指向する。第2延在部75b2は、第6軸C6の周りに回動可能に支持される。
連結部75b3は、装置幅方向W1に延在する(
図6参照)。連結部75b3は、トレイ引き出し方向J1における第1延在部75b1の下流端と第2延在部75b2の上端とを連結する。
【0056】
第4支持部76は、装置本体3の天壁31(
図22(A)参照)に固定される。第4支持部76は、給紙トレイ2の移動に連動して、第2リンク部材75を第6軸C6(第4軸C4と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に支持する。
【0057】
給紙トレイ2の引き出し動作において、第4支持部76は、トレイ引き出し方向J1における第2リンク部材75の下流端部を第6軸C6の周りに回動可能に支持する。
一方、給紙トレイ2の押し込み動作において、第4支持部76は、トレイ押し込み方向J2における第2リンク部材の上流端部を第6軸C6の周りに回動可能に支持する。第4支持部76は、第2リンク部材75(第2延在部75b2)の一面に沿う側面を有するL字状をなしている(
図10参照)。
【0058】
当て部材73は、給紙トレイ2の移動に連動して第2リンク部材75または第2整流部材6Bに当接する。
当て部材73は、給紙トレイ2の引き出し動作の際に第2整流部材6Bの湾曲下面6f2に当接し、第5軸C5が上方に変位するように第2整流部材6Bを第4軸C4の周りに回動させる。これにより、当て部材73は、第2リンク部材75を第6軸C6の周りに回動させる。
【0059】
当て部材73は、給紙トレイ2の押し込み動作の際に第2リンク部材75の第2延在部75b2に当接し、第5軸C5が上方に変位するように第2リンク部材75を第6軸C6の周りに回動させる。これにより、当て部材73は、第2整流部材6Bが給紙トレイ2から退避するように第2整流部材6Bを第4軸C4の周りに回動させる。
【0060】
給紙トレイ2の引き出し動作の一例について説明する。給紙トレイ2の引き出し動作は、装置本体3の収容部30から給紙トレイ2を引き出す動作(取り出す動作)を意味する。
図13は、第1実施形態の給紙トレイ2の引き出し動作を示す側面図である。
図14から
図16は、
図13に順次続く、給紙トレイ2の引き出し動作を示す側面図である。
【0061】
給紙トレイ2の引き出し動作は、図中矢印J1方向(押し込み方向とは反対方向)に作用する。例えば、トレイ収容状態から給紙トレイ2を矢印J1方向に徐々に移動させることにより、トレイ取り出し状態とすることができる(
図13から
図16参照)。退避機構7は、給紙トレイ2の引き出し動作の際に第1整流部材6Aおよび第2整流部材6Bのそれぞれが給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して第1整流部材6Aおよび第2整流部材6Bのそれぞれを変位させる。
【0062】
給紙トレイ2の押し込み動作の一例について説明する。給紙トレイ2の押し込み動作は、装置本体3の収容部30に対して給紙トレイ2を押し込む動作を意味する。
図17は、第1実施形態の給紙トレイ2の押し込み動作を示す側面図である。
図18から
図20は、
図17に順次続く、給紙トレイ2の押し込み動作を示す側面図である。
【0063】
給紙トレイ2の押し込み動作は、図中矢印J2方向(引き出し方向とは反対方向)に作用する。例えば、トレイ取り出し状態から給紙トレイ2を矢印J2方向に徐々に移動させることにより、トレイ収容状態とすることができる(
図17から
図20参照)。退避機構7は、給紙トレイ2の押し込み動作の際に第1整流部材6Aおよび第2整流部材6Bのそれぞれが給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して第1整流部材6Aおよび第2整流部材6Bのそれぞれを変位させる。
【0064】
給紙トレイ2の引き出し動作の際の退避機構7の動作の一例について説明する。
図21は、第1実施形態の給紙トレイ2の引き出し動作の際の退避機構7のトレイ引き出し方向J1上流部の動作説明図である。
図21(A)は、給紙トレイ2の初期位置を示す側面図である。
図21(B)から
図21(E)は、
図21(A)に順次続く、給紙トレイ2を初期位置よりもトレイ引き出し方向J1下流位置に移動させた状態を示す側面図である。
図22は、第1実施形態の給紙トレイ2の引き出し動作の際の退避機構7のトレイ引き出し方向J1下流部の動作説明図である。
図22(A)から
図22(E)は、
図21(E)に順次続く、給紙トレイ2を
図21(E)の位置よりもトレイ引き出し方向J1下流位置に移動させた状態を示す側面図である。図中符号H1は、当て部材73の上面を通る仮想水平線を示す。
【0065】
給紙トレイ2の初期位置は、トレイ収容状態における給紙トレイ2の位置を意味する。すなわち、給紙トレイ2の初期位置は、給紙トレイ2を収容部30(
図13参照)から引き出す前の位置である。
図21(A)に示すように、給紙トレイ2の初期位置において、第1リンク部材71の第3角部71b3は、当て部材73の凹部73aに入り込んでいる。給紙トレイ2の初期位置において、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。
図21(A)の状態では、第1リンク部材71は、第1整流部材6Aの自重が作用するとともに第1ストッパ81に当接することにより定位置に位置している。
【0066】
図21(B)に示すように、給紙トレイ2の初期位置から給紙トレイ2を矢印J1方向に移動すると、当て部材73の凹部73a底端(トレイ引き出し方向上流端)は、第1リンク部材71の第3角部71b3に当接する。すると、第1リンク部材71は、第2軸C2が上方に変位するように第3軸C3の周りに矢印R1方向(図中右回り)に回動する。このとき、第2軸C2は、第1長孔部71aに沿って移動する。これにより、第1整流部材6Aは、給紙トレイ2から退避するように第1軸C1の周りに矢印R2方向(図中左回り)に回動する。すなわち、第1整流部材6Aは、給紙トレイ2から退避するように上方へ変位する。このとき、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1と重なる。
【0067】
図21(C)に示すように、給紙トレイ2を
図21(B)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、当て部材73は、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2に触れつつ第1整流部材6Aを避けながら移動する。
図21(C)の状態では、トレイ引き出し方向J1における当て部材73の下流端は、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2に触れている。このとき、第1整流部材6Aは、最も上方に変位している。第1整流部材6Aの湾曲下面6f2が下方に凸の湾曲形状を有することで、当て部材73の矢印V1方向への移動に連動して第1整流部材6Aを上方へスムーズに変位させることができる。
【0068】
図21(D)に示すように、給紙トレイ2を
図21(C)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、第1整流部材6Aは、当て部材73による支持がなくなる。すると、第1整流部材6Aは、第2軸C2が下方に変位するように第1軸C1の周りに矢印R3方向(図中右回り)に回動する。すなわち、第1整流部材6Aは、自重により下方へ変位する。このとき、第1リンク部材71は、第1整流部材6Aの移動に連動して第3軸C3の周りに矢印R4方向(図中左回り)に回動する。すなわち、第1リンク部材71は、第1整流部材6Aの自重により下方へ変位する。
【0069】
図21(E)に示すように、給紙トレイ2を
図21(D)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、第1整流部材6Aは、給紙トレイ2の外部空間2s2に変位する。このとき、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。すなわち、第1整流部材6Aは、給紙トレイ2の初期位置のときと同じ状態となる。
【0070】
図22(A)に示すように、給紙トレイ2を
図21(E)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、当て部材73は、第2整流部材6Bに向かって移動する。当て部材73が第2整流部材6Bに当接する前、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。
図22(A)の状態では、第2リンク部材75は、第2整流部材6Bの自重が作用するとともに第2ストッパ83に当接することにより定位置に位置している。
【0071】
図22(B)に示すように、給紙トレイ2を
図22(A)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、当て部材73は、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2に当接する。すると、第2整流部材6Bは、第5軸C5が上方に変位するように第4軸C4の周りに矢印R5方向(図中右回り)に回動する。このとき、第5軸C5は、第2長孔部75aに沿って移動する。これにより、第2整流部材6Bは、給紙トレイ2から退避するように上方へ変位する。このとき、第2リンク部材75は、第2整流部材6Bの移動に連動して第6軸C6の周りに矢印R6方向(図中左回り)に回動する。
図22(B)の状態で、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1と重なる。
【0072】
図22(C)に示すように、給紙トレイ2を
図22(B)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、当て部材73は、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2に触れつつ第2整流部材6Bを避けながら移動する。
図22(C)の状態では、トレイ引き出し方向J1における当て部材73の上流端は、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2に触れている。このとき、第2整流部材6Bは、最も上方に変位している。第2整流部材6Bの湾曲下面6f2が下方に凸の湾曲形状を有することで、当て部材73の矢印J1方向への移動に連動して第2整流部材6Bを上方へスムーズに変位させることができる。
【0073】
図22(D)に示すように、給紙トレイ2を
図22(C)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、第2整流部材6Bは、当て部材73による支持がなくなる。すると、第2整流部材6Bは、第5軸C5が下方に変位するように第4軸C4の周りに矢印R7方向(図中左回り)に回動する。すなわち、第2整流部材6Bは、自重により下方へ変位する。このとき、第2リンク部材75は、第2整流部材6Bの移動に連動して第6軸C6の周りに矢印R8方向(図中右回り)に回動する。すなわち、第2リンク部材75は、第2整流部材6Bの自重により下方へ変位する。
【0074】
図22(E)に示すように、給紙トレイ2を
図22(D)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、第2整流部材6Bは、給紙トレイ2の外部空間2s2に変位する。このとき、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。すなわち、第2整流部材6Bは、当て部材73が第2整流部材6Bに当接する前と同じ状態となる。
図22(E)の状態で、第2リンク部材75の第2延在部75b2の下端部は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。
【0075】
給紙トレイ2の押し込み動作の際の退避機構7の動作の一例について説明する。
図23は、第1実施形態の給紙トレイ2の押し込み動作の際の退避機構7のトレイ押し込み方向J2上流部の動作説明図である。
図23(A)は、給紙トレイ2の取り出し位置を示す側面図である。
図23(B)から
図23(E)は、
図23(A)に順次続く、給紙トレイ2を
図23(A)の位置よりもトレイ押し込み方向J2下流位置に移動させた状態を示す側面図である。
図24は、第1実施形態の給紙トレイ2の押し込み動作の際の退避機構7のトレイ押し込み方向J2下流部の動作説明図である。
図24(A)から
図24(E)は、
図23(E)に順次続く、給紙トレイ2を
図23(E)の位置よりもトレイ押し込み方向J2下流位置に移動させた状態を示す側面図である。
【0076】
給紙トレイ2の取り出し位置は、トレイ取り出し状態における給紙トレイ2の位置を意味する。すなわち、給紙トレイ2の取り出し位置は、給紙トレイ2を収容部30(
図17参照)から引き出した後の位置である。
図23(A)に示すように、給紙トレイ2の取り出し位置において、第2リンク部材75の第2延在部75b2の下端部は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。給紙トレイ2の取り出し位置において、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。
図23(A)の状態では、第2リンク部材75は、第2整流部材6Bの自重が作用するとともに第2ストッパ83に当接することにより定位置に位置している。
【0077】
図23(B)に示すように、給紙トレイ2の取り出し位置から給紙トレイ2を矢印J2方向に移動すると、当て部材73は、第2リンク部材75の第2延在部75b2の下端部に当接する。すると、第2リンク部材75は、第5軸C5が上方に変位するように第6軸C6の周りに矢印R11方向(図中左回り)に回動する。このとき、第5軸C5は、第2長孔部75aに沿って移動する。これにより、第2整流部材6Bは、給紙トレイ2から退避するように第3軸C3の周りに矢印R12方向(図中右回り)に回動する。すなわち、第2整流部材6Bは、給紙トレイ2から退避するように上方へ変位する。このとき、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1と重なる。
【0078】
図23(C)に示すように、給紙トレイ2を
図23(B)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、当て部材73は、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2に触れつつ第2整流部材6Bを避けながら移動する。
図23(C)の状態では、トレイ押し込み方向J2における当て部材73の下流端は、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2に触れている。このとき、第2整流部材6Bは、最も上方に変位している。第2整流部材6Bの湾曲下面6f2が下方に凸の湾曲形状を有することで、当て部材73の矢印J2方向への移動に連動して第2整流部材6Bを上方へスムーズに変位させることができる。
【0079】
図23(D)に示すように、給紙トレイ2を
図23(C)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、第2整流部材6Bは、当て部材73による支持がなくなる。すると、第2整流部材6Bは、第5軸C5が下方に変位するように第4軸C4の周りに矢印R13方向(図中左回り)に回動する。すなわち、第2整流部材6Bは、自重により下方へ変位する。このとき、第2リンク部材75は、第2整流部材6Bの移動に連動して第6軸C6の周りに矢印R14方向(図中右回り)に回動する。すなわち、第2リンク部材75は、第2整流部材6Bの自重により下方へ変位する。
【0080】
図23(E)に示すように、給紙トレイ2を
図23(D)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、第2整流部材6Bは、給紙トレイ2の内部空間2s1に変位する。このとき、第2整流部材6Bの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。すなわち、第2整流部材6Bは、給紙トレイ2の取り出し位置のときと同じ状態となる。
【0081】
図24(A)に示すように、給紙トレイ2を
図23(E)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、当て部材73は、第1整流部材6Aに向かって移動する。当て部材73が第1整流部材6Aに当接する前、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。
図24(A)の状態では、第1リンク部材71は、第1整流部材6Aの自重が作用するとともに第1ストッパ81に当接することにより定位置に位置している。
【0082】
図24(B)に示すように、給紙トレイ2を
図24(A)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、当て部材73は、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2に当接する。すると、第1整流部材6Aは、第2軸C2が上方に変位するように第1軸C1の周りに矢印R15方向(図中左回り)に回動する。このとき、第2軸C2は、第1長孔部71aに沿って移動する。すなわち、第1整流部材6Aは、給紙トレイ2から退避するように上方へ変位する。このとき、第1リンク部材71は、第1整流部材6Aの移動に連動して第3軸C3の周りに矢印R16方向(図中右回り)に回動する。
図24(B)の状態で、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1と重なる。
【0083】
図24(C)に示すように、給紙トレイ2を
図24(B)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、当て部材73は、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2に触れつつ第1整流部材6Aを避けながら移動する。
図24(C)の状態では、トレイ押し込み方向J2における当て部材73の上流端は、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2に触れている。このとき、第1整流部材6Aは、最も上方に変位している。第1整流部材6Aの湾曲下面6f2が下方に凸の湾曲形状を有することで、当て部材73の矢印J2方向への移動に連動して第1整流部材6Aを上方へスムーズに変位させることができる。
【0084】
図24(D)に示すように、給紙トレイ2を
図24(C)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、第1整流部材6Aは、当て部材73による支持がなくなる。すると、第1整流部材6Aは、第2軸C2が下方に変位するように第1軸C1の周りに矢印R17方向(図中右回り)に回動する。すなわち、第1整流部材6Aは、自重により下方へ変位する。このとき、第1リンク部材71は、第1整流部材6Aの移動に連動して第3軸C3の周りに矢印R18方向(図中左回り)に回動する。すなわち、第1リンク部材71は、第1整流部材6Aの自重により下方へ変位する。
【0085】
図24(E)に示すように、給紙トレイ2を
図24(D)の位置よりも矢印J2方向に移動すると、第1整流部材6Aは、給紙トレイ2の内部空間2s1に変位する。このとき、第1整流部材6Aの湾曲下面6f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。すなわち、第1整流部材6Aは、給紙トレイ2の初期位置のときと同じ状態となる。
図24(E)の状態で、第1リンク部材71の第3角部71b3は、当て部材73の凹部73aに入り込んでいる。
【0086】
第1実施形態によれば、給紙装置1は、給紙トレイ2と、装置本体3と、ファン4と、整流部材6と、退避機構7と、を持つ。給紙トレイ2は、複数枚の用紙が積層した用紙束10を載置可能である。装置本体3は、給紙トレイ2を収容可能な収容部30を有する。ファン4は、風を発生可能である。整流部材6は、給紙トレイ2が収容部30に収容された状態で、給紙トレイ2に載置された用紙束10の上方に位置する。整流部材6は、給紙トレイ2が収容部30に収容された状態で、ファン4からの風によって用紙束10における最上位用紙11との間に負圧を発生させる。退避機構7は、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材6が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材6を変位させる。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
仮に整流部材6が用紙束10の上方の定位置に固定されている場合、用紙補給などのために給紙トレイ2を取り出す際、整流部材6が妨げになる可能性がある。これに対し実施形態によれば、退避機構7の作用により、給紙トレイ2の移動に連動して整流部材6を変位させ、整流部材6を給紙トレイ2から退避させることができる。したがって、給紙トレイ2を移動する際、整流部材6が妨げになることを抑制することができる。
【0087】
退避機構7は、給紙トレイ2が収容部30に収容された状態で整流部材6を給紙トレイ2の内部空間2s1に変位させる。退避機構7は、給紙トレイ2が収容部30から取り出された状態で整流部材6を給紙トレイ2の外部空間2s2に変位させる。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
トレイ収容状態では、整流部材6を用紙束10の上方の定位置に配置することができる。そのため、整流部材6の作用を効果的に発揮することができる。
一方、トレイ取り出し状態では、給紙トレイ2の上方に整流部材6は存在せず、給紙トレイ2は上方に開放される。そのため、給紙トレイ2に用紙束10を補給する際、整流部材6が妨げになることを抑制することができる。
【0088】
退避機構7は、装置本体3に固定され、トレイ引き出し方向J1における整流部材6の下流端部を第1軸C1の周りに回動可能に支持する第1支持部70と、トレイ引き出し方向J1における整流部材6の上流端部を第2軸C2と共に変位可能に支持する第1長孔部71aを有する第1リンク部材71と、装置本体3に固定され、トレイ引き出し方向J1における第1リンク部材71の上流端部を第3軸C3の周りに回動可能に支持する第2支持部72と、給紙トレイ2に固定され、給紙トレイ2の引き出し動作の際に第1リンク部材71に当接し、第2軸C2が上方に変位するように第1リンク部材71を第3軸C3の周りに回動させることにより、整流部材6が給紙トレイ2から退避するように整流部材6を第1軸C1の周りに回動させる当て部材73と、を備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
装置本体3側に第1支持部70、第1リンク部材71および第2支持部72を設け、給紙トレイ2側に当て部材73を設けた簡単な構造で、トレイ引き出し動作の際の連動動作を実現することができる。
【0089】
退避機構7は、装置本体3に固定され、トレイ押し込み方向J2における整流部材6の上流端部を第1軸C1の周りに回動可能に支持する第1支持部70と、トレイ押し込み方向J2における整流部材6の下流端部を第2軸C2と共に変位可能に支持する第1長孔部71aを有する第1リンク部材71と、装置本体3に固定され、トレイ押し込み方向J2における第1リンク部材71の下流端部を第3軸C3の周りに回動可能に支持する第2支持部72と、給紙トレイ2に固定され、給紙トレイ2の押し込み動作の際に整流部材6に当接し、第2軸C2が上方に変位するように整流部材6を第1軸C1の周りに回動させることにより、第1リンク部材71を第3軸C3の周りに回動させる当て部材73と、を備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
装置本体3側に第1支持部70、第1リンク部材71および第2支持部72を設け、給紙トレイ2側に当て部材73を設けた簡単な構造で、トレイ押し込み動作の際の連動動作を実現することができる。
【0090】
第1リンク部材71は、下方に凸の三角形状を有する。第1リンク部材71は、第1長孔部71aを有する第1角部71b1と、第3軸C3の周りに回動可能に支持される第2角部71b2と、下方に凸の第3角部71b3と、を備える。当て部材73は、給紙トレイ2の引き出し動作の際に第1リンク部材71の第3角部71b3に当接する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
第1リンク部材71を三角形状とした簡単な構成で、トレイ引き出し動作の際の連動動作を実現することができる。
【0091】
当て部材73は、トレイ引き出し方向J1における当て部材73の下流端から上流側に向けて窪む凹部73aを有する。凹部73aには、給紙トレイ2が収容部30に収容された状態で第1リンク部材71の第3角部71b3が入り込む。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
トレイ収容状態で第1リンク部材71の第3角部71b3が当て部材73の凹部73aに入り込むため、トレイ引き出し方向J1において給紙装置1を小型化することができる。
【0092】
整流部材6は、複数設けられる。複数の整流部材6は、第1整流部材6Aと、トレイ引き出し方向J1における第1整流部材6Aの下流側に配置された第2整流部材6Bと、を備える。退避機構7は、装置本体3に固定され、トレイ引き出し方向J1における第2整流部材6Bの上流端部を第4軸C4の周りに回動可能に支持する第3支持部74と、トレイ引き出し方向J1における整流部材6の下流端部を第5軸C5と共に変位可能に支持する第2長孔部75aを有する第2リンク部材75と、装置本体3に固定され、トレイ引き出し方向J1における第2リンク部材75の下流端部を第6軸C6の周りに回動可能に支持する第4支持部76と、を更に備える。当て部材73は、給紙トレイ2の引き出し動作の際に第2整流部材6Bに当接し、第5軸C5が上方に変位するように第2整流部材6Bを第4軸C4の周りに回動させることにより、第2リンク部材75を第6軸C6の周りに回動させる。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
装置本体3側に第3支持部74、第2リンク部材75および第4支持部76を設け、給紙トレイ2側に当て部材73を設けた簡単な構造で、トレイ引き出し動作の際の第2整流部材6Bの連動動作を実現することができる。加えて、整流部材6が1つのみ配置される場合と比較して、最上位用紙11を広い範囲で浮き上がらせやすい。
【0093】
整流部材6は、複数設けられる。複数の整流部材6は、第1整流部材6Aと、トレイ押し込み方向J2における第1整流部材6Aの上流側に配置された第2整流部材6Bと、を備える。退避機構7は、装置本体3に固定され、トレイ押し込み方向J2における第2整流部材6Bの下流端部を第4軸C4の周りに回動可能に支持する第3支持部74と、トレイ押し込み方向J2における整流部材6の上流端部を第5軸C5と共に変位可能に支持する第2長孔部75aを有する第2リンク部材75と、装置本体3に固定され、トレイ押し込み方向J2における第2リンク部材75の上流端部を第6軸C6の周りに回動可能に支持する第4支持部76と、を更に備える。当て部材73は、給紙トレイ2の押し込み動作の際に第2リンク部材75に当接し、第5軸C5が上方に変位するように第2リンク部材を第6軸C6の周りに回動させることにより、第2整流部材6Bが給紙トレイ2から退避するように第2整流部材6Bを第4軸C4の周りに回動させる。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
装置本体3側に第3支持部74、第2リンク部材75および第4支持部76を設け、給紙トレイ2側に当て部材73を設けた簡単な構造で、トレイ押し込み動作の際の第2整流部材6Bの連動動作を実現することができる。加えて、整流部材6が1つのみ配置される場合と比較して、最上位用紙11を広い範囲で浮き上がらせやすい。
【0094】
第2リンク部材75は、V字形状を有する。第2リンク部材75は、第2長孔部75aを有する第1延在部75b1と、第1延在部75b1に連結され、下方に指向する第2延在部75b2と、を備える。当て部材73は、給紙トレイ2の押し込み動作の際に第2リンク部材75の第2延在部75b2に当接する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
第2リンク部材75をV字形状とした簡単な構成で、トレイ押し込み動作の際の第2整流部材6Bの連動動作を実現することができる。
【0095】
給紙トレイ2は、トレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の上流端部および下流端部の両方に配置されたトレイ側板27,28を備える。各トレイ側板27,28は、ファン4からの風が最上位用紙11の上面と整流部材6の下面との間に向けて流れるように開口する送風口27a,28aを有する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
送風口が用紙束10の側面に向けて開口する場合と比較して、最上位用紙11の上面11aと整流部材6の下面6f2との間に負圧を発生しやすい。そのため、給紙トレイ2に載置された用紙束10から最上位用紙11を分離しやすい。加えて、トレイ側板27,28によって用紙束10をトレイ引き出し方向J1で位置決めすることにより(用紙束10を仕切ることにより)、トレイ側板27,28と用紙束10との間の隙間は可及的に小さくなる。そのため、トレイ側板27,28と用紙束10との間に風を流れにくくすることができる。したがって、最上位用紙11の上面11aと整流部材6の下面6f2との間に効率良く風を流すことができる。
【0096】
給紙トレイ2は、用紙束10を載置可能な用紙載置部26を有する。ファン4は、給紙トレイ2における用紙載置部26とは反対側の側部に固定される。ファン4は、送風口27aに向けて開口する吹き出し口4Ahを有する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
ファン4の吹き出し口4Ahが送風口27aとは異なる方向に向けて開口する場合と比較して、ファン4からの風の導風経路を短縮化することができる。具体的に、ファン4の吹き出し口4Ahが上方(送風口27aが位置する部分)へ向けて開口することで、ファン4の吹き出し口4Ahが下方に向けて開口する場合と比較して、ファン4からの風の導風経路を短くすることができる。
【0097】
トレイ側板27,28は、上下方向に延在する。送風口27a,28aは、トレイ側板27,28の上端部に位置する。給紙装置1は、ファン4の吹き出し口4Ah,4Bhからの風がトレイ側板27,28の送風口27a,28aに向けて流れるようにトレイ側板27,28の上端部とファン4とを接続するダクト5を更に備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
ダクト5を通じてファン4の吹き出し口4Ah,4Bhからの風をトレイ側板27,28の送風口27a,28aに向けて流すことができる。
【0098】
退避機構7は、送風口27a,28aを避けた位置に配置されていることで、以下の効果を奏する。
送風口27a,28aから風を流出する際、退避機構7が妨げになることを抑制することができる。
【0099】
整流部材6は、翼型形状を有することで、以下の効果を奏する。
整流部材6が平板形状を有する場合と比較して、整流部材6と最上位用紙11との間に高い負圧(すなわち低い圧力)を発生させやすい。したがって、給紙トレイ2に載置された用紙束10から最上位用紙11を容易に分離することができる。
【0100】
送風口27a,28aは、装置幅方向W1における最上位用紙11の中央部に位置する。整流部材6A,6Bの最下面は、送風口27a,28aの上端よりも下方に位置する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
送風口27a,28aが装置幅方向W1における最上位用紙11の端部に位置する場合と比較して、最上位用紙11を効率的に浮かすことができる。
【0101】
整流部材6A,6Bは、トレイ収容状態で最上位用紙11の上方に位置する。整流部材6A,6Bの最下面は、トレイ側板27,28の上端よりも下方に位置する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
最上位用紙11の浮き過ぎを抑制することができる。加えて、トレイ側板27,28によって最上位用紙11が位置決めされるため、浮いた最上位用紙11の向きを変化させずに給紙することができる。このようにトレイ収容状態では整流部材6A,6Bの最下面がトレイ側板27,28の上端よりも下方に位置する必要がある。そのため、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材6を給紙トレイ2から退避させるための退避機構7が必要となる。
【0102】
以下、第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、退避機構7が第1支持部70、第1リンク部材71、第2支持部72および当て部材73を備える場合について説明したが、これに限らない。第2実施形態は、退避機構の構成が上記第1実施形態と異なる。第2実施形態において上記第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0103】
図25は、第2実施形態の退避機構107の動作説明図である。
図25(A)は、給紙トレイ2の初期位置を示す側面図である。
図25(B)は、給紙トレイ2を初期位置よりもトレイ引き出し方向J1下流位置に移動させた状態を示す側面図である。
図25に示すように、退避機構107は、ピン部材170と当接部173とを備えてもよい。
【0104】
ピン部材170は、装置本体3の天壁31に固定される。ピン部材170は、整流部材106を上下方向に変位可能に支持する。ピン部材170は、複数(例えば2つ)設けられる。以下、トレイ引き出し方向J1における整流部材106の上流部を支持するピン部材170を「第1ピン部材171」、トレイ引き出し方向J1における整流部材106の下流部を支持するピン部材170を「第2ピン部材172」ともいう。
【0105】
第1ピン部材171は、トレイ引き出し方向J1における整流部材106の上流部を上下方向に変位可能に支持する。第1ピン部材171は、逆T字形状を有する。
第2ピン部材172は、トレイ引き出し方向J1における整流部材106の下流部を上下方向に変位可能に支持する。第2ピン部材172は、第1ピン部材171と実質的に平行な軸部を有する逆T字形状をなす。
【0106】
図中において、符号106m1はトレイ引き出し方向J1における整流部材106の上流部に形成された第1ガイド溝、符号106m2はトレイ引き出し方向J1における整流部材106の下流部に形成された第2ガイド溝をそれぞれ示す。第1ピン部材171の下端部は、第1ガイド溝106m1に沿って上下方向に変位可能である。第2ピン部材172の下端部は、第2ガイド溝106m2に沿って上下方向に変位可能である。
【0107】
当接部173は、給紙トレイ2の第1トレイ側板127の上端部に設けられる。すなわち、当接部173は、給紙トレイ2の第1トレイ側板127の上端部である。当接部173は、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材106の湾曲下面106f2に当接する。これにより、当接部173は、整流部材106が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材106を上方に変位させる。
【0108】
給紙トレイ2の引き出し動作の際の第2実施形態の退避機構の動作の一例について
図25を用いて説明する。
図25においては、給紙トレイ2の引き出し動作を説明し、給紙トレイ2の押し込み動作については説明を省略する。図中符号H2は、当接部173の上端を通る仮想水平線を示す。
【0109】
図25(A)に示すように、給紙トレイ2の初期位置において、当接部173は、整流部材106から離反している。給紙トレイ2の初期位置において、整流部材106の湾曲下面106f2は、仮想水平線H2よりも下方に位置する。
図25(A)の状態では、整流部材106は、自重により定位置に位置している。
【0110】
図25(B)に示すように、給紙トレイ2の初期位置から給紙トレイ2を矢印J1方向に移動すると、当接部173は、整流部材106の湾曲下面106f2に当接する。すると、整流部材106は、給紙トレイ2から退避するように矢印U1方向(上方)へ変位する。本変形例では、整流部材106は、第1ピン部材171および第2ピン部材172のそれぞれに沿って上方へ変位する。このとき、整流部材106の湾曲下面106f2は、仮想水平線H2と重なる。
そして、給紙トレイ2を
図25(B)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、当接部173は、整流部材106の湾曲下面106f2に触れつつ整流部材106を避けながら移動する。
【0111】
第2実施形態によれば、退避機構107は、装置本体3に固定され、整流部材106を上下方向に変位可能に支持するピン部材170と、給紙トレイ2に設けられ、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材106に当接し、整流部材106が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材106を上方に変位させる当接部173と、を備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
退避機構が第1支持部70、第1リンク部材71、第2支持部72および当て部材73を備える場合よりも簡単な構造で、トレイ引き出し動作およびトレイ押し込み動作の際の連動動作を実現することができる。
【0112】
ピン部材170は、複数設けられる。複数のピン部材170は、トレイ引き出し方向J1における整流部材106の上流部を上下方向に変位可能に支持する第1ピン部材171と、トレイ引き出し方向J1における整流部材106の下流部を上下方向に変位可能に支持する第2ピン部材172と、を備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
ピン部材170が1つのみ設けられる場合と比較して、整流部材106をより一層安定して支持することができる。
【0113】
整流部材106は、下方に向けて凸をなすように湾曲する湾曲下面106f2を有する。給紙トレイ2は、トレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の上流端部に配置されたトレイ側板127を備える。当接部173は、トレイ側板127の上端部に設けられる。当接部173は、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材106の湾曲下面106f2に当接する。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
トレイ引き出し動作およびトレイ押し込み動作の際の当接部173の移動に連動して整流部材106を上方へスムーズに変位させることができる。
【0114】
第2実施形態の変形例について説明する。
第2実施形態では、当接部173が上下方向に延在するトレイ側板の上端部である場合について説明したが、これに限らない。第2実施形態の変形例は、当接部の形状が上記第2実施形態と異なる。本変形例において上記第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0115】
図26は、第2実施形態の変形例のトレイ側板227の側面図である。
図26に示すように、当接部273は、鉛直線に対して斜めに傾斜するテーパー形状を有してもよい。当接部273は、トレイ引き出し方向J1において上端が最上流に位置し且つ下端が最下流に位置するように傾斜する傾斜面273aを有する。本変形例において、送風口227aは、
図25(A)の位置よりも下方に位置する。
【0116】
本変形例によれば、当接部273は、鉛直線に対して斜めに傾斜するテーパー形状を有することで、以下の効果を奏する。
当接部273が上下方向に延在するトレイ側板127の上端部である場合と比較して、トレイ引き出し動作の際の当接部273の移動に連動して整流部材106を上方へより一層スムーズに変位させることができる。加えて、当接部273が整流部材106の側面(湾曲下面106f2ではない面)に当接した場合でも、整流部材106を上方へ変位させることができる。
【0117】
第3実施形態について説明する。
第2実施形態では、退避機構107がピン部材170と当接部173とを備える場合について説明したが、これに限らない。第3実施形態は、退避機構の構成が上記第2実施形態と異なる。第3実施形態において上記第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0118】
図27は、第3実施形態の退避機構307の動作説明図である。
図27(A)は、給紙トレイ2の初期位置を示す側面図である。
図27(B)は、給紙トレイ2を初期位置よりもトレイ引き出し方向J1下流位置に移動させた状態を示す側面図である。
図27に示すように、退避機構307は、連結部材370と当接部173とを備えてもよい。
【0119】
連結部材370は、整流部材306を回動可能に支持する。連結部材370は、装置本体3の天壁31に回動可能に連結される。連結部材370は、複数(例えば2つ)設けられる。以下、トレイ引き出し方向J1における整流部材306の上流部を支持する連結部材370を「第1連結部材371」、トレイ引き出し方向J1における整流部材306の下流部を支持する連結部材370を「第2連結部材372」ともいう。
【0120】
第1連結部材371は、棒状を有する。第1連結部材371は、第1上部回動部371aと第1下部回動部371bとを備える。第1上部回動部371aは、装置本体3の天壁31に第7軸C7(装置幅方向W1と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に連結される。第1下部回動部371bは、トレイ引き出し方向J1における整流部材306の上流部を第8軸C8(第7軸C7と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に支持する。
【0121】
第2連結部材372は、第1連結部材371と実質的に平行な棒状を有する。第2連結部材372は、第2上部回動部372aと第2下部回動部372bとを備える。第2上部回動部372aは、装置本体3の天壁31に第9軸C9(第7軸C7と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に連結される。第2下部回動部372bは、トレイ引き出し方向J1における整流部材306の下流部を第10軸C10(第7軸C7と実質的に平行な軸)の周りに回動可能に支持する。
【0122】
図中において、符号306j1はトレイ引き出し方向J1における整流部材306の上流部に設けられた第1凸部、符号306j2はトレイ引き出し方向J1における整流部材306の下流部に設けられた第2凸部をそれぞれ示す。第1連結部材371の下端部(第1下部回動部371b)は、第1凸部306j1を第8軸C8の周りに回動可能に支持する。第2連結部材372の下端部(第2下部回動部372b)は、第2凸部306j2を第10軸C10の周りに回動可能に支持する。
【0123】
給紙トレイ2の引き出し動作の際の第3実施形態の退避機構の動作の一例について
図27を用いて説明する。
図27においては、給紙トレイ2の引き出し動作を説明し、給紙トレイ2の押し込み動作については説明を省略する。図中符号H2は、当接部173の上端を通る仮想水平線を示す。
【0124】
図27(A)に示すように、給紙トレイ2の初期位置において、当接部173は、整流部材306から離反している。給紙トレイ2の初期位置において、整流部材306の湾曲下面306f2は、仮想水平線H1よりも下方に位置する。
図27(A)の状態では、整流部材306は、自重により定位置に位置している。
【0125】
図27(B)に示すように、給紙トレイ2の初期位置から給紙トレイ2を矢印J1方向に移動すると、当接部173は、整流部材306の湾曲下面306f2に当接する。すると、整流部材306は、給紙トレイ2から退避するように上方へ変位する。本実施形態では、整流部材306は、第1連結部材371が第7軸C7の周りに矢印R21方向(図中右回り)に回動し、第2連結部材372が第9軸C9の周りに矢印R22方向(図中右回り)に回動することにより、斜め上方へ変位する。このとき、整流部材306の湾曲下面306f2は、仮想水平線H2と重なる。
そして、給紙トレイ2を
図27(B)の位置よりも矢印J1方向に移動すると、当接部173は、整流部材306の湾曲下面306f2に触れつつ整流部材306を避けながら移動する。
【0126】
第3実施形態のトレイ側板および整流部材306の配置について
図28を用いて説明する。図中において、符号E1はトレイ側板127の送風口127a上方側面の長さ(以下「送風口上方長さ」ともいう。)、符号D1はトレイ側板127と整流部材306との間隔(以下「第1間隔」ともいう。)、符号D2は最上位用紙11と整流部材306との間隔(以下「第2間隔」ともいう。)をそれぞれ示す。送風口上方長さE1は、トレイ側板127の上端と送風口127aの上端との間の最短距離を意味する。第1間隔D1は、トレイ側板127と整流部材306との間のトレイ引き出し方向J1における最短距離を意味する。第2間隔D2は、最上位用紙11の上面11aと整流部材306の湾曲下面306f2との間の最短距離を意味する。
【0127】
第3実施形態では、少ない流量で効率良く最上位用紙11を浮かせるために、以下のように設定する。
送風口上方長さE1は、送風口127aから流出する風が漏れなく最上位用紙11の上面と整流部材306の湾曲下面306f2との間に向けて流れるように可及的に長く設定する。
第1間隔D1は、送風口127aから流出する風が漏れなく最上位用紙11の上面と整流部材306の湾曲下面306f2との間に向けて流れるように可及的に狭く設定する。
第2間隔D2は、送風口127aから流出する風によって最上位用紙11の上面と整流部材306の湾曲下面306f2との間に負圧が発生しやすいように可及的に狭く設定する。
【0128】
第3実施形態によれば、退避機構307は、整流部材306を支持し、装置本体3に回動可能に連結される連結部材370と、給紙トレイ2に設けられ、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材306に当接し、整流部材306が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材306を上方に変位させる当接部173と、を備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
退避機構7が第1支持部70、第1リンク部材71、第2支持部72および当て部材73を備える場合よりも簡単な構造で、トレイ引き出し動作およびトレイ押し込み動作の際の連動動作を実現することができる。
【0129】
連結部材370は、複数設けられる。複数の連結部材370は、トレイ引き出し方向J1における整流部材306の上流部を支持し、装置本体3に回動可能に連結される第1連結部材371と、トレイ引き出し方向J1における整流部材306の下流部を支持し、装置本体3に回動可能に連結される第2連結部材372と、を備える。以上の構成によって、以下の効果を奏する。
連結部材370が1つのみ設けられる場合と比較して、整流部材306をより一層安定して支持することができる。
【0130】
連結部材370は、整流部材306を回動可能に支持する下部回動部371b,372bを備えることで、以下の効果を奏する。
連結部材370が整流部材306を固定的に支持する場合と比較して、トレイ引き出し動作およびトレイ押し込み動作の際の当接部173の移動に連動して整流部材306を上方へより一層スムーズに変位させることができる。
【0131】
上述の実施形態では、給紙装置1が画像形成装置90の用紙収容部94の側部に隣接して配置された場合(用紙収容部94の用紙収容量を拡張するための大容量拡張ユニットとして機能する場合)について説明したが、これに限らない。例えば、給紙装置は、用紙収容部94の最下段に配置されてもよい。言い換えると、給紙装置の給紙トレイは、用紙収容部94の少なくとも一部のカセットとして機能してもよい。すなわち、画像形成装置は、給紙装置を備えてもよい。
【0132】
上述の実施形態では、給紙装置1をプリンタ等の画像形成装置90に適用した場合について説明したが、これに限らない。例えば、給紙装置を、金融機器、郵便区分機、印刷機、複写機、ファクシミリ及び複合機などに適用してもよい。また、複合機は、業務用でもオフィス用でもよく、多種類の紙を備えたものであってもよい。また、給紙装置は、用紙さばき装置に適用してもよい。また、給紙装置は、紙だけでなく、積層されたシート状のものを取り出す装置に適用してもよい。
【0133】
上述の実施形態では、用紙を供給するための給紙装置1について説明したが、これに限らない。例えば、用紙に替えて、二次電池の薄膜電極に適用してもよい。すなわち、給紙装置に替えて、薄膜電極を供給するための電極供給装置に適用してもよい。電極供給装置は、電極供給トレイ(不図示、給紙トレイ2に相当)と、装置本体3と、ファン4と、整流部材6と、退避機構7と、を持つ。電極供給トレイは、複数枚の薄膜電極が積層した電極束を載置可能である。装置本体3は、電極供給トレイを収容可能な収容部30を有する。ファン4は、風を発生可能である。整流部材6は、電極供給トレイが収容部30に収容された状態で、電極供給トレイに載置された電極束の上方に位置する。整流部材6は、電極供給トレイが収容部30に収容された状態で、ファン4からの風によって電極束における最上位電極との間に負圧を発生させる。退避機構7は、電極供給トレイの引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材6が電極供給トレイから退避するように電極供給トレイの移動に連動して整流部材6を変位させる。
【0134】
上述の実施形態では、退避機構が給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の両動作の際に整流部材が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材6を変位させる場合について説明したが、これに限らない。例えば、退避機構は、給紙トレイ2の引き出し動作の際のみに整流部材が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材を変位させてもよい。例えば、退避機構は、給紙トレイ2の押し込み動作の際のみに整流部材が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材を変位させてもよい。すなわち、退避機構は、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の少なくとも一方の動作の際に整流部材が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材を変位させればよい。
【0135】
上述の実施形態では、トレイ側板がトレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の上流端部および下流端部の両方に配置された場合について説明したが、これに限らない。例えば、トレイ側板は、トレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の上流端部のみに配置されてもよい。例えば、トレイ側板は、トレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の下流端部のみに配置されてもよい。すなわち、トレイ側板は、トレイ引き出し方向J1における給紙トレイ2の上流端部および下流端部の少なくとも一方に配置されてもよい。
【0136】
上述の実施形態では、整流部材が用紙束10の上方に配置され、複数の整流部材がトレイ引き出し方向J1における天壁31の上流部および下流部に1つずつ配置される場合について説明したが、これに限らない。例えば、トレイ引き出し方向J1における天壁31の上流部および下流部のそれぞれには、複数の整流部材が配置されてもよい。この構成によれば、複数の整流部材と最上位用紙11との間のそれぞれに風を送り込むことができる。例えば、用紙サイズが予め設定した閾値(以下「サイズ閾値」という。)よりも大きい場合(例えばA3サイズ以上)でも、最上位用紙11を安定して分離することができる。
【0137】
上述の実施形態では、整流部材が用紙束10の上方に複数配置される場合について説明したが、これに限らない。例えば、整流部材は、用紙束10の上方に1つのみ配置されてもよい。例えば、1つの整流部材は、トレイ引き出し方向J1における天壁31の上流部および下流部のうちいずれか1つに配置されてもよい。
【0138】
上述の実施形態では、用紙載置部26の上下方向位置が一定に保持される場合について説明したが、これに限らない。例えば、用紙載置部26は、給紙時に最上位用紙11の上下方向位置が略変わらないように上昇してもよい。これにより、最上位用紙11を安定して分離することができる。すなわち、エアアシスト効果を一定に保つことができる。
【0139】
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、複数枚の用紙が積層した用紙束10を載置可能な給紙トレイ2と、給紙トレイ2を収容可能な収容部30を有する装置本体3と、風を発生可能なファン4と、給紙トレイ2が収容部30に収容された状態で、給紙トレイ2に載置された用紙束10の上方に位置し、ファン4からの風によって用紙束10における最上位用紙11との間に負圧を発生させる整流部材6と、給紙トレイ2の引き出し動作および押し込み動作の少なくとも一方の動作の際に整流部材6が給紙トレイ2から退避するように給紙トレイ2の移動に連動して整流部材6を変位させる退避機構7と、を備えることにより、給紙トレイ2を移動する際、整流部材6が妨げになることを抑制することができる給紙装置1を提供することができる。
【0140】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。