【文献】
Natural Product Communications,2017年,Vol.12, No.12,p.1825-1826
【文献】
Chem. Pharm. Bull.,2008年,Vol.56, No.6,p.854-857
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピクロトキサン構造のセスキテルペン類化合物が、2β,3β,11,12−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide 11−O−β−D−glucopyranosideまたは2β,3β,11,12−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olideを含むことを特徴とする、請求項1に記載の金釵セッコク抽出物を含む医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明への更なる理解に資するために、
以下、付属の図面と合わせた好ましい実施例の記載を
通して、本発明の内容及び効果についての詳細な
説明を行う。
【0010】
本発明によるセッコク抽出物の
生成方法を次に説明する。まず、セッコク科の
生薬材から60−80%のエタノール/水による抽出により粗抽出物Aを獲得する。実施例において、セッコク科植物とはラン科セッコク属(Dendrobium)植物における金釵セッコク(Dendrobium nobile Lindl.)
であるが、これに限らず、他の実施例においては鉄皮セッコク(Dendrobium officinale Kimura et Migo)、黄草セッコク (Dendrobium.chrysanthum Wall.ex Lindl.)、馬鞭セッコク(Dendrobium fimbriatum Hook.)、鼓槌セッコク(Dendrobium chrysotoxtum Lindl.)、黄花セッコク (Dendrobium tosaense Makino)、粉花セッコク(Dendrobium loddigesii Rolfe.)
を使用することもある。実施例において、
生薬材とはセッコク科植物の茎部を言う。実施例において、粗抽出物Aが生薬材に占める重量比は10〜16%である。
【0011】
続いて、マクロ孔質樹脂を利用して
クロマトグラフィーを行い、水で溶離した後水抽出物A−1を獲得し、更に40−60%のエタノール/水による溶離を経て抽出物A−2を獲得する。実施例において、
マクロ孔質樹脂とは三菱ケミカルが開発したダイヤイオンHPシリーズ
などである。抽出物A−2が生薬材に占める重量比は3〜6%である。
【0012】
続いて、抽出物A−2にセファデックスLH−20吸着剤を用い、メタノールによる溶離によりセスキテルペン類成分を豊富に含む分画層を獲得し、
ICP‐MS分析用吸着剤RP−18を用いて30−45%のメタノール/水によりクロマトグラフィーを行い、複数回の分離を経て一連のセスキテルペン成分を獲得する。
当該活性成分は、複数のピクロトキサン構造を有するセスキテルペン類化合物である。実施例において、このセスキテルペン類化合物は化学式1によって示される。
【化1】
化学式中、R
1はHまたはグルコース残基(Glc)、R
2はHまたはOH、R
3はCH
3またはCH
2OH、R
4はHまたはOH
の場合がある。
【0013】
本発明の実施例において、化学式1を有するこの種の化合物はdendromoniliside D(以下、化合物1と言う)であり、その化学式は、2β,3β,11,12−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide 11−O−β−D−
glucopyranoside(IUPAC命名:1S,4S,5S,5αR,6R,9S)−5−hydroxy−9
−(2−hydroxypropan−2−yl)−5α−methyl−6−((((2R,3R,4S,5S,6R)−3,4,5−trihydroxy−6−(hydroxymethyl)tetrahydro−2H−pyran−2−yl)oxy)−methyl)octahydro−2H−1,4−methanocyclopenta[d]oxepin−2−one)であり、これは化学式2によって示される。
【化2】
【0014】
本発明の
実施例において、化学式1を
有する別の化合物はdendrodensiflorol(以下、化合物2と言う)であり、その化学式は、2β,3β,11,12−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide (IUPAC命名:(1S,4S,5S,5αR,6R,9S)−5−hydroxy−6−(hydroxymethyl)−9−(2−hydroxypropan−2−yl)−5α−methyloctahydro−2H−1,4−methanocyclopenta[d]oxepin
−2−one)であり、これは化学式3によって示される。
【化3】
【0015】
本発明の
実施例において、化学式1を
有するまた別の化合物はdendronobiloliside Aであり(以下、化合物4と言う)であり、その化学式は、2β,3β,11,13−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide 11−O−β−D−glucopyranoside(IUPAC命名(1S,4S,5S,5αR,6R,9S)−5−hydroxyl−9−((S)−1−hydroxypropan−2−yl)−5−methyl−6−((((2R,3R,4S,5S,6R)−3,4,5−trihydroxy−6−(hydroxymethyl)−tetrahydro−2H−pyran−2−yl)−oxy)methyl)octahydro−2H−1,4−methanocyclopenta[d]oxepin−2−one)であり、これは化学式4によって示される。
【化4】
【0016】
本発明の
実施例において、化学式1を
有するさらに別の化合物はdendroside G(以下、化合物7と言う)であり、その化学式は、2β,3β,4,11−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide 11−O−β−D−glucopyranoside(IUPAC命名:(1S,4R,5S,5αR,6R,9R)−5,9−dihydroxy−9−isopropyl−5α−methyl−6−((((2R,3R,4S,5S,6R)−3,4,5−trihydroxy−6−(
hydroxymethyl)tetrahydro−2H−pyran−2−yl)oxy)methyl)octahydro−2H−1,4−methanocyclopenta[d]oxepin−2−one)であり、これは化学式5によって示される。
【化5】
【0017】
本発明の実施例において、化学式1を有する活性成分は上述の化合物1、化合物2、化合物4、化合物7の内の一者、二者、三者または全てを
含むことができるが、好ましい実施例における活性成分は、化合物1及び化合物2を含み、且つ化合物1の
含有量は化合物2の
含有量より
大きい。その場合、化合物1及び化合物2の抽出物内における含有量の比率は3:1〜10:1
である。実施例において、化学式1を有する活性成分が抽出物A−2に占める重量比は12〜20%である。
【0018】
本発明の実施例において、抽出物A−2は更にアルカロイドを含む。このアルカロイドは化学式6によって示される。
【化6】
【0019】
実施例において、このアルカロイドはデンドロビン(dendrobine)(R=H)(以下、化合物3と言う)、N−メチルデンドロビニウム(N−methyldendrobinium)(R=CH
3)(以下、化合物5と言う)またはN−イソペンテニルデンドロビニウム(N−isopentenyl dendrobinium)(R=isopentenyl)(以下、化合物6と言う)
等である。実施例において、アルカロイドが抽出物A−2に占める重量比は20〜35%である。
【0020】
続いて、
粗抽出物A、抽出物A−1、抽出物A−2及び活性成分(ピクロトキサン構造を有するセスキテルペン類化合物)について、人間の網膜神経細胞(ARPE−19)及びラットの視神経節細胞(RGC−5)が過酸化水素、低酸素または紫外線照射
のそれぞれにより視神経細胞の損傷を起こす状況下での生理活性評価を行う。その内、粗抽出物A、抽出物A−2及び活性成分はアイケア効果を有し、
さらに活性成分中の化合物1(dendromoniliside D)及び化合物2(dendrodensiflorol)は顕著なアイケア効果を有する。本発明の言うアイケア効果とは、視神経細胞の保護、視神経細胞の活性化、または視神経細胞の老化や死亡の
抑制といった効果を言う。更に具体的に言えば、セッコク植物の抽出物における活性成分は、フリーラジカルや低酸素(hypoxia)、紫外線(UV)によって
引き起こされる、例えば白内障、網膜や黄斑部の変性、緑内障といった眼疾患の発生を抑制する。以下に、前述のセッコク抽出物及びその活性成分の
生成方法、及び獲得される抽出物によりもたらされるアイケア効果に関する実験について記載する。
【0021】
(実験方法)
(一)成分の抽出及び分析
まず
生育一年の金釵セッコク(Dendrobium nobile Lindl.)の地上茎を刻み、
50℃、60%のアルコール/水で抽出して一晩寝かせ、抽出液を減圧濃縮することで粗抽出物Aを獲得する。次に粗抽出物Aをマクロ孔質樹脂ダイヤイオンHP20吸着剤に置き、水で溶離した後の溶離液を濃縮して抽出物A−1を獲得し、
次に吸着剤により30−70%のアルコール/水で溶離し、
当該溶離液をさらに減圧濃縮することで抽出物A−2を獲得する。そして抽出物A−2にICP‐MS分析用吸着剤セファデックスLH−20及びRP−18を用いることでその内の成分を分離し純化合物を得る。
【0022】
上述のセッコク抽出物A−2は、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)によりその断面図が分析される。
図6、即ちセッコク抽出物A−2の液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)による断面図を
参照すると、セスキテルペン類成分が含まれることが確認でき、このセスキテルペン成分には、2β,3β,11,12−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide 11−O−β−D−glucopyranoside(化合物1;dendromoniliside D )(滞留時間,16.459分)や、2β,3β,11,12−
tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide(化合物2;dendrodensiflorol)(滞留時間,20.410分)
、2β,3β,11,13−tetrahydroxypicrotoxan−3(15)−olide 11−O−β−D−glucopyranoside(化合物4;dendronobiloliside A)(滞留時間,18.375分)や、2β,3β,4,11−tetrahydroxypicrotoxanpicrotoxan−3(15)−olide 11−O−β−D−glucopyranoside(化合物7;dendroside G)(滞留時間,20.767分)等がある。また、アルカロイド類化合物も含まれており、このアルカロイド類化合物には、N−メチルデンドロビニウム(N−methyldendrobinium)(化合物5)(滯留時間,18.633分)、デンドロビン(dendrobine)(化合物3)(滯留時間,19.894分)及びN−イソペンテニルデンドロビニウム(N−isopentenyl dendrobinium)(化合物6)(滯留時間,33.024分)
等が含まれる。
【0023】
また、LC/MS分析の条件は、以下の通りである。
・機器:Shimadzu LC−2040 C,LC/MS2020
・吸着剤:Purospher(登録商標)STAR,RP−18 endcapped(2μm)
・クロマトグラフィー溶剤A:アセトニトリル
・クロマトグラフィー溶剤B:0.1%ギ酸
・分析の流れ:0−2分,1−5%A;2−8分,5−10%A;8−18分,10−15%A;18−20分,15%A;20−25分,15−20%A;25−30分,20−30%A;30−35分,30%A;35−40分,30−70%A;40−45分,70%A
・注射量:1μl
・流速:0.2ml/min
【0024】
(二)視神経細胞の活性に関する実験
1.細胞株とその培養
当実験では人間の網膜神経細胞株(ARPE−19)及びラットの視神経節細胞株(RGC−5)を採用する。ARPE−19細胞はDMEM−F12培養液内で培養され、
培養液内には10%のウシ胎児血清(FBS)、0、2%の炭酸水素ナトリウム及び抗生物質(ペニシリン100units/ml、ストレプトマイシン100μg/ml)が含まれる。ラットの視神経節細胞株(RGC−5)はDMEM培養液内で培養され、
培養液内には10%のウシ胎児血清(FBS)及び抗生物質(ペニシリン100units/ml、ストレプトマイシン100μg/ml)が含まれる。
【0025】
2.過酸化水素、低酸素または紫外線により細胞の損傷を誘発する実験
過酸化水素(H
2O
2)、低酸素(hypoxia)または紫外線(UV)照射により、ARPE−19及びRGC−5の細胞の死亡が
引き起こされる事に鑑み、本発明では細胞生存率の測定を行っている。測定方法としては、まず細胞を96ウェル細胞培養プレートに置いて一日待ち、異なる濃度のセッコク抽出物または化合物1乃至4により24時間の前処理を行った後、過酸化水素(H
2O
2;500μM)を加えるかまたは低酸素環境内に放置して24時間培養する。或いは紫外線(UV;30μJ/cm2)照射を行う場合には、連続で三回の照射を行い(一回の照射は60秒とし、各回の間隔は60秒とする)、その後細胞培養ボックス内で24時間の培養を行う。そしてスルホローダミンB(SRB)による呈色法により生存細胞の分析を行う。分析の際は、それぞれのウェルに50μlの50%トリクロロ酢酸(TCA)を加える(即ち各ウェルには10%のTCAが含まれる)ことで細胞を固定し、4℃の環境に一時間放置した後、二次水で5回洗い、完全に乾くのを待って、各ウェルに100μlの0.4%SRBを加える(w/v、1%の酢酸に溶ける)ことで60分間染色し、1%の酢酸で数回洗う。再び完全に乾いた後、10mMトリス塩基(Tris−base)溶液によりSRBを抽出し、ELISA readerで540nmの吸光度を測定し、処理を加えていない統制グループの吸光度を細胞生存率100%のものとすることで、各処理の百分率を計算する。
【0026】
3.UVCによりゼブラフィッシュの白内障を
引き起こす実験
まず、ゼブラフィッシュをランダムにグループ分けする(毎グループ12匹とする)。グループは、対照グループ、UVC(300μJ/cm
2)照射グループ、及びUVC照射+施薬の実験グループとなる。UVC照射+施薬の実験グループは、抽出物A−2をそれぞれ0.495、0.99及び4.95mg/ml与えた三組、そして化合物1をそれぞれ0.1及び1.0mM与えた二組となる。ゼブラフィッシュには予めセッコク抽出物A−2または化合物1を一週間与え、その後UVC照射を行い、ゼブラフィッシュの水晶体の変化を毎日観察する。UVC照射の前にゼブラフィッシュに麻酔を施し、ゼブラフィッシュの眼を露出させて、UVC(325μJ/cm
2)に三分間曝す。七日連続でUV実験を行った後、ゼブラフィッシュの水晶体の変化を毎日観察するが、その際ゼブラフィッシュの白内障の深刻度として、水晶体の澄清さの度合いに基づいて1乃至3の白内障レベルを設ける。レベルが高いほど水晶体は混濁している。
【0027】
(実験結果)
1.過酸化水素、低酸素及び紫外線により細胞損傷を誘発する実験の結果
酸素とは一連の酸化作用を通じて、活動に必要な
エネルギーを提供するものである。
エネルギー生成の過程においてはフリーラジカルが発生し、フリーラジカルは脂肪に
作用して過酸化脂質を生成し、更にはDNA、タンパク質及び細胞膜への酸化傷害を
引き起こす。よって酸素が多い組織であるほど
高エネルギーの組織となり、所謂「酸化圧力」を伴う。黄斑部はまさに人体において高度な酸化圧力を伴う組織である。故に、酸化圧力が各種眼疾患及び失明の主な原因となる。この他、目の変性を
引き起こすもう一つの主な理由として網膜虚血があり、この網膜虚血は網膜周辺の低酸素状態を
引き起こすことで細胞を壊死させる。
【0028】
これらに鑑み、本発明では過酸化水素、低酸素または紫外線により損傷を受ける細胞のモデルをそれぞれ定義することで、アイケアの活性を有する細胞の選別に供している。
図1及び
図2に示すのは、セッコクのアルコール/水粗抽出物A、及び抽出物A−2による、過酸化水素、低酸素及び紫外線照射の下でのRGC−5及びARPE−19細胞に対する保護作用における細胞の生存率である。
図1に見られる符号**、#及び##については、符号**は、H
2O
2またはHypoxiaまたはUVを加えず且つ
粗抽出物Aも加えていない対照グループとの比較を表し、p<0.01
である。符号#は、
H2O2またはHypoxiaまたはUVの影響下で、粗抽出物A処理を加えたグループと粗抽出物Aを加えない対照グループとの比較を表し、p<0.05であり、符号##は、
同様の条件での比較で、p<0.01である。
図2に見られる符号**、#及び##については、符号**は、H
2O
2またはHypoxiaまたはUVを加えず且つ
抽出物A−2も加えない対照グループとの比較を表し、p<0.01
である。符号#は、
H2O2またはHypoxiaまたはUVの影響下で、抽出物A−2処理を加えたグループと抽出物A−2を加えない対照グループとの比較を表し、p<0.05であり、符号##は、
同様の条件での比較で、p<0.01である。試験結果として、金釵セッコクの粗抽出物A及び抽出物A−2が、ARPE−19及びRGC−5が500μM過酸化水素を
加えた状況、または低酸素状況、或いはUV照射による損傷を受けた状況のいずれの状況においても保護作用を備えることが分かった。粗抽出物Aは10−100μg/mlの濃度において
、過酸化水素、低酸素、UVいずれの状況でも濃度効果を呈し、100μg/mlの濃度においてのみ顕著な活性を有した。抽出物A−2は濃度効果を呈したのみならず、50μg/mlの濃度において顕著な活性を有し、尚且つ粗抽出物Aに比べ高い保護活性を示した。
【0029】
2.セッコクの成分が有する細胞保護活性
図3に示すのは、金釵セッコク活性成分の化合物1(図内ではcompound 1)、化合物2(図内ではcompound 2)、化合物3(図内ではcompound 3)及びルテイン(図内ではcompound 4)による、過酸化水素、低酸素及びUVによりARPE−19及びRGC−5細胞が損傷を受ける下での、細胞に対する
保護作用を示す細胞生存率である。
図3に見られる符号**、#及び##については、符号**は、H
2O
2またはHypoxiaまたはUVを加えず且つ
compoundも加えない対照グループとの比較を表し、p<0.01
である。符号#は、
H2O2またはHypoxiaまたはUVの影響下でのcompound処理を加えたグループと、compoundを加えない対照グループとの比較を表し、p<0.05であり、符号##は、
同様の条件での比較で、p<0.01である。
図3に示すように、セッコクから分離した主にセスキテルペン
純化合物の化合物1は、過酸化水素(H
2O
2)、低酸素(Hypoxia)及び紫外線(UV)
のいずれの処理下においても、ARPE−19及びRGC−5細胞の損傷に対し保護活性を有し、その保護活性はルテイン(図内ではcompound 4)よりも優れていた。もう一方のセスキテルペン成分の化合物2も、過酸化水素(H
2O
2)及び紫外線(UV)に対し保護作用を有し、その保護活性はルテイン(図内ではcompound 4)と同等であった。対照的に、セッコクの指標成分であるデンドロビン(化合物3)(図内ではcompound 3)は保護活性を有さなかった。
【0030】
図4に示すのは、異なる濃度におけるセッコク活性成分の化合物1による、過酸化水素、低酸素またはUVによりARPE−19及びRGC−5細胞が損傷を受ける下での細胞生存率である。
図4に見られる符号**、#及び##については、符号**は、H
2O
2またはHypoxiaまたはUVを加えず且つ
化合物1(compound 1)も加えない対照グループとの比較を表し、p<0.01
である。符号#は、
H2O2またはHypoxiaまたはUVの影響下で、化合物1処理を加えたグループと、化合物1を加えない対照グループとの比較を表し、p<0.05であり、符号##は、
同様の条件での比較で、p<0.01である。
図4に示すように、活性成分化合物1は更に濃度依存性試験を行っており、1−10mM濃度における、過酸化水素(H
2O
2)、低酸素(hypoxia)及び紫外線(UV)によりARPE−19及びRGC−5細胞に
引き起こされた損傷に対しては、いずれも濃度依存性の保護反応を呈し、また10mM濃度においては80%以上の保護活性に達し、且つ毒性反応を呈さなかった。
【0031】
3.UVCによりゼブラフィッシュの白内障を引起こす実験の結果
図5は、金釵セッコク抽出物A−2及び化合物1による、ゼブラフィッシュが紫外線照射を受けて白内障を起こす際の保護作用を示すグラフである。
図5に見られる符号*及び**については、符号*は、その実験グループと、UVCを加えた且つセッコク抽出物A−2または化合物1(compound 1)を加えないグループとの比較を表し、p<0.05であり、符号**は、その実験グループと、UVCを加えた且つ抽出物A−2または化合物1の薬品処理を加えたグループとの比較を表し、p<0.01である。
図5に示すように、紫外線を浴び且つ
薬品処理されてないグループは四日目で白内障が起こり、セッコク抽出物A−2を与えられた場合は、四日目または七日目に関わらず、0.495−4.95mg/mlの濃度において、明らかな白内障発生の抑制がみられた。活性成分化合物1については、0.1及び1.0mMの濃度において白内障発生の顕著な抑制がみられ、特に1.0mMの濃度においては四日目では殆ど白内障の発生が見られなかった。