(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラ(64)が、前記速度の比較に基づいて、前記推進システム(10)の電圧を変更するように前記少なくとも1つの電圧コンバータ(26)に電圧コマンドを送信するようにプログラムされており、
前記1以上のリアルタイムの動作パラメータが、送信された以前のDCバス電圧コマンドを含む、請求項5に記載の車両。
【背景技術】
【0002】
純粋な電気自動車は、貯蔵された電気エネルギーを使用して、電気モータにパワーを供給し、電気モータは、車両を推進させ、また、補助駆動装置を動作させることも可能である。純粋な電気自動車は、貯蔵された電気エネルギーの1つまたは複数の供給源を使用することが可能である。たとえば、貯蔵された電気エネルギーの第1の供給源は、より持続性のあるエネルギーを提供するために使用することが可能であり、一方、貯蔵された電気エネルギーの第2の供給源は、たとえば、加速の際に、より高出力のエネルギーを提供するために使用することが可能であり、第1および第2の供給源のうちの一方または両方は、回生ブレーキを通して充電することが可能である。
【0003】
ハイブリッド電気自動車は、内燃エンジンおよび電気モータを組み合わせることが可能であり、電気モータは、車両を推進させるために、トラクションバッテリなどのエネルギー貯蔵デバイスによってパワーを供給される。そのような組み合わせは、燃焼エンジンおよび電気モータがそれぞれの向上した効率の範囲でそれぞれ動作することを可能にすることによって、全体燃料効率を向上させることが可能である。たとえば、電気モータは、スタンディングスタートからの加速において効率的である可能性があり、一方、燃焼エンジンは、ハイウェイでの運転のように、一定のエンジン動作が持続される期間において効率的である可能性がある。初期の加速を高めるために電気モータを有することによって、ハイブリッド自動車の中の燃焼エンジンがより小さくなり、より燃料効率が良くなることが可能となる。
【0004】
純粋な電気自動車およびハイブリッド電気自動車のための推進システム構成は、エネルギーまたは電力密度を増加させるための電気エネルギーの複数の供給源、および、所望の推進出力を実現するための複数の電源を含むように開発されてきたが、これらのエネルギー貯蔵部および電源を推進システムの中へ組み込むことは、システムの全体のサイズ、重量、およびコストを増加させる。たとえば、最小レベルの性能が車両の所望の寿命全体にわたり維持されることを確実にするために、バッテリは、パワーおよび繰り返し応力を低減させるために、大き目にサイズ決めされていることが多い。また、過度に積極的な熱管理制御が、バッテリの熱応力を低減させるのを助けるために実装されている。これらのアプローチの両方とも、全体の車両サイズを増加させ、製造コストを増加させ、エネルギー貯蔵システムの動作コストを増加させる。
【0005】
ハイブリッド自動車および電気自動車のための従来のエネルギー貯蔵ユニットは、システムの中のエネルギー貯蔵ユニットまたはバッテリの劣化速度をほとんど制御することができない状態で、設計および実装されている。公知のバッテリの寿命診断(life prognosis)は、物理学ベースのモデルを使用してオフラインで行われ、様々な個々の劣化メカニズムの速度を予測する。これらの経験的なモデルは、固体電解質界面相(SEI)の抵抗の増加および容量の減衰、SEI成長のための化学反応経路、高速充電/放電に起因する粒子破壊の開始、または、バッテリの単一のデューティサイクルについての電気化学的な状態を考慮することが可能である。しかし、これまで、公知のモデルは、実際の容量の減衰を経験的なデータと相関させるために必要な発生後の亀裂伝播を予測せず、任意のバッテリデューティサイクルに関する予測能力が欠けている。
【0006】
さらに、バッテリ技術のオフラインの寿命試験は、典型的に、加速された様式で行われており、加速された様式は、バッテリが通常動作の間に経験するよりもかなり短い時間期間へ多くのサイクルを凝縮させている。そのように、加速老化試験を使用して開発された経験的なモデルは、リアルタイムの現実世界の用途での、カレンダーに関連した(calendar−related)バッテリの応答とサイクリングに関連した(cycling−related)バッテリの応答との間の相互作用を正確に説明することができない。
【0007】
エネルギー貯蔵ユニットの動作に加えて、また、ハイブリッドおよび電力システムのシステム効率は、駆動システムのDCリンク電圧によって影響を受ける。DCリンク電圧を決定するための1つの公知の技法は、特定の車両推進システム構成に関して、モータおよびインバータの損失を最小化させるDCバス電圧を計算するために、包括的なモデルを使用している。そのような包括的なモデルの使用は、非常に時間がかかり、ハードウェアの配備を高価なものにする。そのうえ、そのような方法は、モデルの精度に依存し、必然的に、様々なシステムコンポーネントおよび動作モードに対してロバストでない。DCリンク電圧を決定するための別の技法は、損失が最小の電圧レベルを探すために、モータシステム効率マップを使用する。この技法は直接的なルックアップテーブルに依存するので、すべての入力上のノイズが、出力電圧コマンド上に現れる。そのうえ、ルックアップテーブルは静的であり、システムダイナミックスを考慮しない。したがって、突然の負荷変化は、電圧コマンドのレイテンシーに起因して、モータトルクに対する不満足な応答性能を引き起こす可能性がある。包括的なモデルは、同様に、突然の負荷変化に対して満足に応答せず、典型的に、任意の動的不確実性に対処するために、所定のマージンを電圧コマンドに加える。しかし、そのような所定のマージンは、不満足な応答を生み出すことが多い。その理由は、大き過ぎるマージンは、システム効率を犠牲にし、一方、小さ過ぎるマージンは、要求される動的応答を満たさないからである。
【0008】
上記に概説されているように、複数のエネルギー貯蔵供給源および1つまたは複数の電源とともに動作させるように、ハイブリッドまたは電気推進システムを構成するための公知の技法は、リアルタイムの現実世界のシステムダイナミックスおよび動作条件を考慮しない経験的に決定されたモデルおよび静的データに依存している。したがって、これらの公知の技法の使用は、全体システム効率を低減させることに加えて、推進システムの個々のコンポーネントの動作効率および燃料経済性を低減させる。
【0009】
したがって、推進システムが低減されたコストで製造されることを可能にしながら、全体システム効率を改善し、エネルギー貯蔵ユニットの動作および寿命を最適化する、電気および/またはハイブリッド電気推進システムを提供することが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態による推進システム10の概略ダイアグラムである。以下に詳細に説明されているように、推進システム10は、1つもしくは複数の電気機械デバイスの間のパワー出力をスプリットする純粋な電気(EV)推進システム構成体において構成することが可能であり、または、1つもしくは複数の電気機械デバイスに加えて内燃エンジンを含むハイブリッド(HEV)推進システムとして構成することが可能である。EVまたはHEVのいずれかの実施形態において、電気機械デバイスは、共通のDCバス上に設けられるか、または、多経路DC−DCコンバータの独立した経路の出力ポート上に設けられ、依然として、複数の電気機械デバイスのサイジングおよび動作に柔軟性を持たせることを可能にし、電気機械デバイスおよび推進システム全体の動作効率を向上させながら、電気的なDCバスおよびケーブリング構造を簡易化し、コストを節約する。
【0017】
様々な実施形態によれば、推進システム10は、様々なタイプの車両に組み込まれるように構成されており、その例としては、それに限定されないが、自動車、バス、トラック、トラクター、採掘機器および建設機器などの商用車両および産業車両、海洋船舶、航空機、ならびにオフロード車両を含み、それは、採掘作業などの地表および地下の両方で動作することが可能な、材料輸送車両または個人的運搬車両を含み、または、非限定的な例として、たとえば、クレーン、エレベータ、もしくはリフトなどの他のタイプの電気的な装置を含む。
【0018】
推進システム10は、第1のエネルギー貯蔵ユニット14および第2のエネルギー貯蔵ユニット16を有するエネルギー貯蔵システム12を含む。それぞれのエネルギー貯蔵ユニット14、16は、正端子18、20および負端子22、24を有している。第1のエネルギー貯蔵ユニット14の正端子18は、第1の双方向DC−DCコンバータ26に連結されており、第2のエネルギー貯蔵ユニット16の正端子20は、第2の双方向DC−DCコンバータ28に連結されている。第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16のそれぞれは、分離型または統合型のエネルギー貯蔵管理システム(図示せず)を有しており、それは、それぞれのエネルギー貯蔵ユニットがバッテリである実施形態では、バッテリ管理システム(BMS)として構成することが可能である。別の実施形態によれば、双方向DC−DCコンバータ26、28は、双方向DC−DC電圧コンバータ、または双方向バック/ブースト電圧コンバータである。
【0019】
センサシステム30が、推進システム10の中に設けられ、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16の充電状態(SOC)を監視および計算する。一実施形態によれば、センサシステム30は、その動作の間の様々な時間において、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16の電圧および/または電流を測定するように構成されている電圧センサおよび/または電流センサを含む。
【0020】
様々な実施形態によれば、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16は、例として、バッテリ、フライホイール、燃料電池、ウルトラキャパシタ、または、ウルトラキャパシタ、燃料電池、および/もしくはバッテリの組み合わせなどの、1つまたは複数のエネルギー貯蔵デバイスをそれぞれ含む。一実施形態では、第1のエネルギー貯蔵ユニット14は、高い比出力のエネルギー貯蔵デバイスであり、第2のエネルギー貯蔵ユニット16は、高い比エネルギーの貯蔵デバイスである。たとえば、第1のエネルギー貯蔵ユニット14は、互いに連結されている複数のキャパシタセルを有するウルトラキャパシタとすることが可能であり、キャパシタセルは、おおよそ500ファラッドよりも大きい静電容量をそれぞれ有することが可能である。代替的に、第1のエネルギー貯蔵ユニット14は、おおよそ350W/kg以上の比出力を有する高出力バッテリとするか、または、1つまたは複数のウルトラキャパシタおよびバッテリの組み合わせとすることが可能である。そのような実施形態では、第2のエネルギー貯蔵ユニット16は、第1のエネルギー貯蔵ユニット14と比較して相対的に低い比出力を有する。本明細書で使用されているように、低い比出力は、おおよそ200W/kg以下のオーダーの比出力を実現するために実証されたエネルギー貯蔵デバイスを説明している。様々な実施形態によれば、第2のエネルギー貯蔵ユニット16は、たとえば、高い比エネルギーのバッテリまたは高いエネルギー密度のバッテリとすることが可能である。本明細書で使用されているエネルギーバッテリの用語は、100W−hr/kg以上のオーダーの比エネルギーを実現するために実証された高い比エネルギーのバッテリを説明している(たとえば、Liイオンバッテリ、ナトリウム金属ハロゲン化物バッテリ、ナトリウム塩化ニッケルバッテリ、ナトリウム硫黄バッテリ、Li空気バッテリ、または亜鉛空気バッテリ)。
【0021】
一実施形態では、第2のエネルギー貯蔵ユニット16は、第1のエネルギー貯蔵ユニット14と比較して相対的に高い抵抗率およびインピーダンスを有している。別の実施形態では、第2のエネルギー貯蔵ユニット16の相対的に低い比出力は、エネルギー貯蔵システムを含む個々のバッテリセルのアンバランスに起因する可能性がある。一実施形態では、第2のエネルギー貯蔵ユニット16は、低コストリチウムイオンバッテリである。代替的に、第2のエネルギー貯蔵ユニット16は、ナトリウム金属ハロゲン化物バッテリ、ナトリウム硫黄バッテリ、ニッケル水素バッテリ、亜鉛空気バッテリ、および鉛蓄電池などとすることが可能である。
【0022】
また、推進システム10は、第1の双方向DC−DCコンバータ26および第2の双方向DC−DCコンバータ28を含み、第1の双方向DC−DCコンバータ26および第2の双方向DC−DCコンバータ28は、DCバス36の正DCリンク32および負DCリンク34の間に連結されている。電圧センサ38が、DCバス36間に連結され、DCバス電圧を監視する。別の実施形態では、センサ38は、DC−DCコンバータの1つの中に埋め込まれている。
【0023】
一実施形態によれば、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16のいずれかまたは両方は、それぞれの双方向DC−DCコンバータ26、28が省略され得るようにサイズ決めすることが可能であり、それぞれのエネルギー貯蔵システム対してそれぞれのDC−DC電圧コンバータを含むシステムよりもパーツが少なくて軽い推進システム10を実現する。そのような実施形態では、接触器(図示せず)が設けられ、それぞれのエネルギー貯蔵ユニットをDCバスに選択的に連結させることが可能である。
【0024】
第1の双方向DC−DCコンバータ26および第2の双方向DC−DCコンバータ28の両方は、使用されるときに、DC電圧を降下または上昇させることによって、1つのDC電圧を別のDC電圧に変換するように構成されている。一実施形態によれば、それぞれの双方向DC−DCコンバータ26、28は、インダクタを含み、インダクタは、一対の電子的なスイッチに連結されており、また、一対のダイオードに連結されている。それぞれのスイッチは、それぞれのダイオードに連結されており、それぞれのスイッチ/ダイオードの対は、それぞれの半位相(half phase)モジュールを形成する。スイッチは、たとえば、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、炭化ケイ素(SiC)MOSFET、窒化ガリウム(GaN)デバイス、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、および、金属酸化物半導体制御サイリスタ(MCT)とすることが可能である。
【0025】
第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16は、DCバス36を介して、第1の負荷40および随意的な第2の負荷42(仮想線で示されている)に連結されている。一実施形態では、第1および第2の負荷40、42は、電気駆動装置である。第1の負荷40は、第1のDC−AC電圧インバータ44と、第1のモータまたは第1の電気機械デバイス46とを含む。第2の負荷42は、第2のDC−AC電圧インバータ48と、第2のモータまたは第2の電気機械デバイス50とを含む。一実施形態では、それぞれのインバータ44、48は、6つの半位相モジュールを含み、6つの半位相モジュールは、三相を形成するように対にされており、それぞれの相は、DCバス36の正DCリンク32と負DCリンク34との間に連結されている。
【0026】
それぞれの電気機械デバイス46、50は、そのそれぞれのDC−AC電圧インバータ44、48のそれぞれの相に連結されている複数の巻線を含む。一実施形態では、電気機械デバイス46は、トラクションモータであり、電気機械デバイス50は、交流発電機またはトラクションモータのいずれかである。別の実施形態では、電気機械デバイス46、50は、ACモータである。センサアッセンブリは、全体的に、
図1においてパーツ番号52および54として示されており、センサアッセンブリは、様々な電流センサおよび/または電圧センサを含み、それぞれの電気機械デバイス46、50のトルクおよび速度を監視する。
【0027】
推進システム10は、三相インバータ44、48および三相電気機械デバイス46、50を含むものとして本明細書で説明されているが、代替的な実施形態では、推進システム10は任意の数の相を利用することが可能であるということが考えられる。
【0028】
また、推進システム10は、第1および第2の電気機械デバイス46、50の出力に連結されているトランスミッション56を含む。様々な実施形態によれば、トランスミッション56は、ギヤアッセンブリ、ベルトアッセンブリ、または、それらの組み合わせとして構築される。一実施形態によれば、トランスミッション56は、電気的に可変のトランスミッション(EVT)として構成されており、それは、内部の遊星歯車およびクラッチの構成体(図示せず)を通して電気機械デバイス46、50の出力を連結する。動作時には、推進システム10が電荷減少(CD)または電荷維持(CS)の動作モードのいずれかで動作している間、電気機械デバイス46、50は、広範囲の双方向速度、トルク、および電力コマンドにわたって動作して、電力損失を最小化し、高い全体システム効率を維持することが可能である。
【0029】
トランスミッション56の出力は、ギヤアッセンブリ60を通して、車両の1つまたは複数の駆動輪58または車軸に連結されており、ギヤアッセンブリ60は、差動装置を含むことが可能である。トランスミッション56のクラッチがどのように構成されているかに応じて、第1または第2の電気機械デバイス46、50は、トランスミッション56を通してギヤアッセンブリ60に連結させることが可能であり、または、第1または第2の電気機械デバイス46、50の出力がトランスミッション56をバイパスするように、ギヤアッセンブリ60に直接的に連結させることが可能である。
【0030】
一実施形態によれば、推進システム10は、純粋な電気自動車(EV)推進システムとして構成されている。代替的に、推進システム10は、ハイブリッド電気自動車(HEV)推進システムの中に構成されており、また、トランスミッション56に連結されている内燃エンジン(ICE)62(仮想線で示されている)も含む。様々な実施形態によれば、内燃エンジン62は、非限定的な例として、内燃ガソリンエンジン、内燃ディーゼルエンジン、天然ガスを燃料とする内燃エンジン、外燃エンジン、またはガスタービンエンジンとすることが可能である。
【0031】
また、推進システム10は、制御ライン66によって第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28に操作可能に連結されているコントローラ64も含む。第1の双方向DC−DCコンバータ26のスイッチの適当な制御を通して、コントローラ64は、第1のエネルギー貯蔵ユニット14の電圧をより高い電圧に上昇させ、より高い電圧をDCバス36に供給するように構成されている。同様に、コントローラ64は、第2の双方向DC−DC電圧コンバータ28のスイッチングを制御し、動作のモータリングモードの間に、エネルギー貯蔵ユニット16の電圧をより高い電圧に上昇させ、より高い電圧をDCバス36に供給するように構成されている。また、コントローラ64は、第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28のスイッチングを制御し、動作の充電モードまたは回生モードの間に、DCバス36の電圧を降下させ、降下した電圧をそれぞれの第1または第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16に供給するように構成されている。一実施形態では、制御ライン66は、電圧コマンドをそれぞれの双方向DC−DCコンバータ26、28に伝達する、リアルまたはバーチャルの通信データリンクを含む。
【0032】
また、コントローラ64は、制御ライン68を通して、第1のDC−AC電圧インバータ44および第2のDC−AC電圧インバータ48に連結されている。モータリングモードでは、コントローラ64は、第1および第2のDC−AC電圧インバータ44、48の半位相モジュールを制御し、電気機械デバイス46、50への供給のために、DCバス36上のDC電圧または電流をAC電圧または電流に変換するように構成されている。モータリングモードにおいて加速するとき、推進システム10は、電気機械デバイス46、50の一方または両方の回転速度を、ゼロから、または、そのリアルタイムの速度もしくは現在の速度から、より高い速度へ増加させる。回生モードでは、コントローラ64は、第1および第2のDC−AC電圧インバータ44、48を制御し、その対応する電気機械デバイス46、50から受信されるAC電圧または電流をDC電圧または電流へ変換し、DCバス36に供給するように構成されている。
【0033】
また、動作の間に、コントローラ64は、制御ライン70を介して電圧センサ38からフィードバックを受信し、また、制御ライン72を介してエネルギー貯蔵ユニットセンサシステム30からフィードバックを受信する。当業者が認識するように、追加的な電圧および/または電流センサが、推進システム10の全体を通して設けられ、コントローラ64が他の動作条件を監視することを可能にすることができる。加えて、コントローラ64は、たとえば、内燃エンジン62などの、推進システム10の中の他のコンポーネントからフィードバックを受信し、および/または、他のコンポーネントへ制御コマンドを送信することが可能であるということを当業者は認識することとなる。
【0034】
推進システム10のエネルギー貯蔵システム12は、2つのエネルギー貯蔵ユニットを含むものとして本明細書で説明されているが、代替的な実施形態は、単一のDC−DC電圧コンバータアッセンブリに連結されている単一のエネルギー貯蔵ユニットを含むことが可能であるか、または、DCバス36に直接的に連結されているか、または、第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28もしくは追加的なDC−DCコンバータのうちの1つを介してDCバス36に連結されている3つ以上のエネルギー貯蔵ユニットを含むことが可能であるということが考えられる。加えて、代替的な実施形態は、DCバス36に連結されている単一の電気機械デバイス/DC−AC電圧インバータの対を含むか、または、それぞれのDC−AC電圧インバータを介してDCバス36に連結されている3つ以上の電気機械デバイスを含むことが可能である。
【0035】
一実施形態によれば、推進システム10は、推進システム10に関連する情報を格納するように構成されているデータベース74を含む。そのような情報は、例として、エネルギー貯蔵ユニット14、16のための劣化モデル、電気機械デバイス46、50のための所定の電圧スケジューリングマップ、ならびに、公知のルートに沿った、または、車両加速/減速トレンドもしくは所定のデューティサイクルに従う、履歴的なまたは公知の車両の加速期間および減速期間を含むことが可能である。随意的な車両位置センサ76(仮想線で示されている)が設けられ、マイルマーカ、時刻、または、全地球測位システム(GPS)場所情報などの位置識別子に基づいて、ルートに沿って車両の位置を決定することが可能であり、たとえば、車両位置情報は、データベース74の中に格納されている加速イベントおよび減速イベントに関連している。また、データベース74の中のそれぞれの加速イベントおよび減速イベントは、加速イベントまたは減速イベントの時間期間に関する情報を含有することが可能である。
【0036】
ここで
図2を参照すると、代替的な実施形態による推進システム78が図示されている。推進システム10と同様に、推進システム78は、それぞれの第1および第2のDC−AC電圧インバータ44、48に連結されている第1および第2の電気機械デバイス46、50を含む。推進システム10および推進システム78に共通の他のエレメントおよびコンポーネントは、必要に応じて同様のパーツ付番を用いて本明細書で参照されている。
【0037】
図2に示されているように、第1のDC−AC電圧インバータ44は、正DCリンク82および負DCリンク84を有する第1のDCバス80を通して、第1のエネルギー貯蔵ユニット14に連結されている。同様に、第2のDC−AC電圧インバータ48は、第2のDCバス90の正DCリンク86および負DCリンク88を通して、第2のエネルギー貯蔵ユニット16に連結されている。随意的に、第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28(仮想線で示されている)は、エネルギー貯蔵ユニット14、16とDC−AC電圧インバータ44、48との間に連結さることが可能であり、また、モータリングモードの間に、それぞれのエネルギー貯蔵ユニット14、16の電圧を、対応する第1または第2のDCバス80、90のバス電圧に選択的に上昇させるように、および、回生モードまたは再充電モードの間に、第1または第2のDCバス80、90の電圧を、それぞれのエネルギー貯蔵ユニット14、16の電圧に降下させるように、コントローラ64を介して動作させることが可能である。
【0038】
DC−DCコンバータ26、28のいずれかまたは両方が推進システム78から省略されている実施形態では、全体的なシステムアーキテクチャが簡易化されており、推進システム78の重量および体積が低減されている。しかし、システムトポロジーからこれらのコンポーネントを省略することは、第1および第2のDCバス80、90の電圧が制御不能になることで、効率がより低くなり、制御および最適化の柔軟性が低下する可能性がある。
【0039】
推進システム78は、2つの独立したDCバス80、90を用いて構成されているので、それぞれのバス80、90のDCリンク電圧は、独立して選択および制御することが可能である。加えて、独立したDCリンク電圧は、最大システム効率のために、エネルギー貯蔵ユニット14、16および電気機械デバイス46、50を選択およびサイズ決めする際に、より大きい柔軟性を提供する。
【0040】
図3は、本発明の別の実施形態による推進システム92の概略ダイアグラムである。推進システム10、78、および92に共通のエレメントおよびコンポーネントは、必要に応じて、同じ参照数字に関して参照されている。推進システム92は、第1および第2の統合型のパワーエレクトロニクスアッセンブリ94、96が推進システム10および78(
図1および
図2)のDC−DC電圧コンバータアッセンブリおよびDC−ACインバータを交換しているという点で、推進システム10、78とは異なっている。
図3のそれぞれの統合型のパワーエレクトロニクスアッセンブリ94、96は、共通のハードウェアパッケージングの中に組み合わされたDC−DC電圧コンバータおよびDC−ACインバータを含む。そのような実施形態は、より効果的なパワーエレクトロニクスの熱管理、および、よりコンパクトな設計を提供する。しかし、電圧コンバータおよびインバータ電子機器が同じハウジングの中にパッケージングされており、1つのコンポーネントが故障したときに、パッケージングアッセンブリ全体を交換する必要がある可能性があるので、推進システム92のための修理コストは、推進システム10、78のための修理コストよりも高くなる可能性がある。
【0041】
図1、
図2、および
図3のエネルギー貯蔵システム12の設計構成は、
図4に概略的に図示されているエネルギー貯蔵システムシミュレーションモジュール98を使用して決定される。以下に詳細に説明されているように、シミュレーションモジュール98は、オフラインで動作し、エネルギー貯蔵ユニットモデル、動作データ、および経済的データの収集物を使用し、エネルギー貯蔵システムのための構成を規定し、そのエネルギー貯蔵システムは、推進システム動作に関して所望の性能特性を提供することができ、かつ、エネルギー貯蔵システムの中の個々のエネルギー貯蔵ユニットのコストおよびサイジングを最小化する。
【0042】
シミュレーションモジュール98は、動作使用データ100を入力として受信し、動作使用データ100は、エネルギー貯蔵システム12の中に含まれ得る個々のエネルギー貯蔵ユニットのための広範囲にわたる可能性のある使用量パターンに関するデータを含む。そのような動作使用データ100は、たとえば、シティードライブサイクルおよびハイウェイドライブサイクルなどの、所定のまたは標準的なデューティサイクルまたはドライブサイクルの選択を含むことが可能であり、それは、例示的なドライブサイクル全体にわたる電力需要がどのように変化するかについての詳細を含む。また、シミュレーションモジュール98は、様々なタイプのエネルギー貯蔵ユニットの初期資本コスト、ならびに、たとえば、異なるタイプのエネルギー貯蔵ユニットを組み込む車両のための動作コスト、お
よび/または、異なるタイプのエネルギー貯蔵ユニットを再充電するためのコストを含む、車両運転コストの変化を説明するパラメータを含む経済的シナリオデータ102を受信する。
【0043】
エネルギー貯蔵システムシミュレーションモジュール98の中に設けられているのは、エネルギー貯蔵システム12の中に含まれ得る様々なタイプのエネルギー貯蔵ユニットの物理学ベースのモデル104、たとえば、電気化学的なモデルなどである。また、シミュレーションモジュール98は、様々なタイプのエネルギー貯蔵ユニットの劣化モデル106を含む。
【0044】
最適化アルゴリズム108は、エネルギー貯蔵ユニットのための様々なオプションの物理学ベースのモデル104および劣化モデル106、動作使用データ100、および、推進システムのための経済的シナリオデータ102を考慮に入れて、エネルギー貯蔵システム12用に最適化された構成を決定するために、シミュレーションモジュール98に適用されている。
【0045】
それによって生じるシミュレーションモジュール98の出力110は、エネルギー貯蔵システム12に関する設計であり、それは、たとえば、パワーバッテリおよび/またはエネルギーバッテリなどの、エネルギー貯蔵システム12の中のエネルギー貯蔵ユニットのタイプの選択、ならびに、それらのエネルギー貯蔵ユニットの最適化されたサイジングを含み、それは、キロワットで規定されるそれぞれのエネルギー貯蔵ユニットのパワー、および、キロワット時で規定されるそれぞれのエネルギー貯蔵ユニットのエネルギーを含むことが可能である。1つの非限定的な例として、シミュレーションモジュール98の出力110は、10kW、20kW−hrのパワーバッテリ、および、10kW、50kW−hrのエネルギーバッテリを含むものとして、エネルギー貯蔵システム12を定義することが可能である。
【0046】
シミュレーションモジュール98によるエネルギー貯蔵システム設計出力は、すべてではないがほとんどの推進システムの動作使用および経済的シナリオにとって適切であることが可能である。たとえば、特定の設計は、顧客の85%に対して10年の寿命を実現するように定められる可能性があり、一方、別の設計オプションは、顧客の95%に対して9年の寿命を実現することが可能である。
【0047】
オフラインでのシミュレーションモジュール98の使用を通して、エネルギー貯蔵システム12のために最適化された設計構成を提供することに加えて、本発明の実施形態は、また、
図5に図示されているダイナミックパワースプリット制御技法112の動作を通して、オンラインのエネルギー貯蔵システム12の最適化を提供し、その間に、コントローラ64は、推進システム10の全体動作効率を最大化しながら、エネルギー貯蔵ユニット14、16の間のパワースプリットを最適化するように設計された制御戦略に従って、エネルギー貯蔵ユニット14、16からパワーを選択的に引き出す。パワースプリット制御技法112は、リアルタイムで動作し、また、広範囲にわたるエネルギー貯蔵ユニットのための可能性のある使用量パターン、エネルギー貯蔵ユニットのための劣化モデル、可能性のある将来の需要の認知、および、パワーディスパッチアルゴリズムを考慮しながら、エネルギー貯蔵ユニット14、16の間での推進システム10のための合計電力需要をスプリットする。ダイナミック制御技法112は、
図1の推進システム10を参照して下記に説明されているが、技法112は、たとえば、推進システム78(
図2)および推進システム92(
図3)などの代替的な構成を有する推進システムに容易に拡張され得るということが認識されることとなる。
【0048】
ダイナミックパワースプリット制御技法112は、エネルギー貯蔵ユニット14、16
に関する初期パワースプリットにアクセスすることによって、ステップ114において開始し、初期パワースプリットは、推進システム10の合計電力需要が所与の動作期間にわたりエネルギー貯蔵ユニット14、16の間でどのように分割されるべきかを規定する。車両始動において、初期パワースプリットは、推進システム10に関するプリセットされたデューティサイクルまたはドライブサイクルから決定されたデフォルト値として規定することが可能である。動作時に、初期パワースプリットは、エネルギー貯蔵ユニット14、16に適用された最新のパワースプリットとして規定することが可能である。
【0049】
ステップ116において、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16に関する動作パラメータが監視される。一実施形態では、動作パラメータは、エネルギー貯蔵ユニット14、16の充電状態(SOC)のリアルタイム値、および、エネルギー貯蔵ユニット14、16の劣化状態(SOH)のリアルタイム値を含む。これらのリアルタイムのSOCおよびSOHの値116は、エネルギー貯蔵ユニットセンサシステム30から受信される情報から決定することが可能である。SOCは、エネルギー貯蔵ユニット14、16の中に貯蔵される電気エネルギーの量またはレベルを示しており、センサシステム30からコントローラ64へ提供される電圧測定値および/または電流測定値を使用して、コントローラ64によって決定することが可能である。エネルギー貯蔵ユニット14、16のSOHは、放電(たとえば、負荷を供給する)の間または充電の間に、定格性能を満たすエネルギー貯蔵ユニット14、16の能力を表している。SOHは、様々なパラメータから決定することが可能である。たとえば、エネルギー貯蔵ユニット14、16が1つまたは複数のバッテリを含む場合には、SOHは、電流、内部バッテリ抵抗の推定値、バッテリ温度、所与のSOCの値におけるバッテリ電圧、および/または、バッテリの寿命またはカレンダー年齢全体にわたるバッテリ抵抗のトレンドの関数として、バッテリ端子電圧に基づくことが可能である。
【0050】
ステップ118において、パワースプリット制御技法112は、推進システム10からのリアルタイムの電力需要を反映する時間変化の所望の車両性能データを受信する。そのような時間変化の所望の車両性能データは、たとえば、加速イベントもしくは減速イベントなどのユーザ入力から決定することが可能であり、または、所定の車両ルートまたはデューティサイクルから得られる情報から、たとえば、データベース74に格納されている情報などから決定することが可能である。
【0051】
ステップ120において、パワースプリットに従ってエネルギー貯蔵ユニット14、16を動作させる影響が決定される。具体的には、時間変化の所望の性能データ、初期パワースプリット、ならびに、リアルタイムSOCおよびリアルタイムSOHのデータが、ステップ120において、エネルギー貯蔵ユニット14、16のための劣化モデルに入力される。劣化モデル120は、リアルタイムSOCおよびSOHの値116および初期パワースプリット114に基づいて、それぞれのエネルギー貯蔵ユニット14、16に関する劣化状態の変化ΔSOH、および、それぞれのエネルギー貯蔵ユニット14、16に関する充電状態の変化ΔSOCを決定するために使用される。また、ステップ120において、劣化モデルは、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16から利用可能な最大パワーを決定するために使用され、最大パワーは、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16の寿命全体にわたって減少する。
【0052】
ステップ122において、パワースプリット制御技法112は、初期パワースプリットに従ってエネルギー貯蔵システム12を動作させることが、任意のシステム性能制約関数を侵害するかどうかを決定する。これらのシステム性能制約関数は、例として、温度限界、最大パワー、最大電流、および/または最大電圧などの、推進システムに関する特定の閾値を規定する関数を含むことが可能である。
【0053】
初期パワースプリットにおける動作がシステム性能制約関数を侵害する場合124には、パワースプリット制御技法112は、ステップ126において、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット14、16の間のパワースプリットを修正し、次いで、ステップ120に戻り、劣化モデルから修正されたパワースプリットの影響を決定する。たとえば、初期パワースプリットが、合計電力需要の30パーセントを第1のエネルギー貯蔵ユニット14に割り当て、合計電力需要の残りの70パーセントを第2のエネルギー貯蔵ユニット16に割り当てた場合には、パワースプリットは、ステップ126において、合計電力需要の40パーセントを第1のエネルギー貯蔵ユニット14に割り当て、残りの60パーセントを第2のエネルギー貯蔵ユニット16に割り当てるように修正することが可能である。
【0054】
他方、初期パワースプリットにおける動作が、システム性能制約関数を侵害しない場合128には、パワースプリット制御技法112は、下記に説明されているように、パワースプリットが有効化されたかどうかを決定するためにステップ129へ進むか、または、パワースプリットアルゴリズムを走らせるために直接的にステップ130へ進む。
【0055】
たとえば、現在のパワースプリットがデフォルト値から決定される、推進システム始動の間など、パワースプリットアルゴリズムを走らせた結果として現在のパワースプリットが決定されなかった場合には、パワースプリット制御技法112は、ステップ122からステップ130へ直接的に進み、エネルギー貯蔵ユニット14、16に関して最適化されたパワースプリットまたはパワー配分を特定するパワースプリットアルゴリズムを走らせる。本明細書で説明されている例示的な実施形態では、パワースプリットアルゴリズムは、多目的最適化アルゴリズムであり、それは、以下に詳細に説明されているように、エネルギー貯蔵ユニット14、16の劣化と推進システム10の性能の最大化との間の最適化されたトレードオフを提供するパワースプリット係数の最適なベクトルを特定する。代替的な実施形態では、パワースプリットアルゴリズムは、簡易化されたフィルタベースのアルゴリズム、ルールベースのアルゴリズムもしくはロジックベースのアルゴリズム、または、1つまたは複数のルックアップテーブルに基づくアルゴリズムとすることが可能である。
【0056】
本発明の様々な実施形態によれば、多目的最適化アルゴリズムは、たとえば、推進システムパワーエレクトロニクスの効率および推進システム10のパワートレインの全体効率に関するモデルなどの、エネルギー貯蔵システム12を規定する非線形モデルとインターフェース接続している。所望の動作効率、燃料経済性を含む、所望のモデルおよびシステム出力、ならびに、推進システム10の動作上の制約を受けるエネルギー貯蔵ユニット14、16の劣化状態(SOH)の最大化されたパワー出力および最小化された変化を実現するために、多目的最適化アルゴリズムは、時間変化の性能要件、デバイス電流および電圧、スイッチング周波数、ならびに力率などの、非線形モデルの入力を操作する。
【0057】
多目的最適化アルゴリズムは、様々な実施形態に従って異なる最適化の方法を組み込んでいる。1つの非限定的な例として、最適化技法を組み込む進化アルゴリズムは、自然の進化のプロセスをシミュレートするために使用することが可能である。そのような進化アルゴリズムは、非平滑で(non−smooth)非線形でマルチモーダルの伝達関数関係に対してロバストである。代替的に、平滑でユニモーダルの伝達関数関係にとって適切な勾配適応最適化技法を適用することが可能である。さらなる別の例示的な実施形態として、最適化アルゴリズムは、ハイ−ローパスフィルタベース、ルール/ロジックベース、またはルックアップテーブルベースとして簡易化され、計算の要求を低減させ、リアルタイム実施を簡易化させることが可能である。
【0058】
動作時に、多目的最適化アルゴリズムは、エネルギー貯蔵システム12の様々な非線形
モデルを探査し、エネルギー貯蔵システム12の動作上の制約を満足する入力−出力ベクトルタプルのパレート最適のセットを特定する。それぞれの入力−出力タプルは、パワースプリット比率の入力ベクトル、ならびに、エネルギー貯蔵システム12のエネルギー貯蔵ユニット14、16の劣化状態(SOH)の変化、エネルギー貯蔵システム12のエネルギー貯蔵ユニット14、16の充電状態(SOC)の変化、および、エネルギー貯蔵システム12のエネルギー貯蔵ユニット14、16の利用可能なリザーブ(reserve)ピーク性能などの、メトリクスの出力ベクトルに相当する。パレート最適の入力−出力タプルは、パレートまたは効率的な解決策のフロンティア(frontier)に存在し、さらなる意思決定情報がない状態で、相互におよび均等に良好なトレードオフの解決策である。
【0059】
多目的最適化アルゴリズムは、エネルギー貯蔵ユニット14、16のためのパワースプリットを規定する参照コマンドとして展開される特定のパレート最適なパワースプリット戦略の自動選択を行うために、意思決定関数を使用する。意思決定関数は、発見的モデルに基づいており、発見的モデルは、自己調整または訂正され、また、所定の数の将来の時間ステップに関して、推進システム10のパワーニーズおよびエネルギーニーズを予測する。多目的最適化アルゴリズムは、意思決定関数をパレート最適なセットのパワースプリット戦略に重ね合わせ、将来の時間ステップ全体にわたる車両システムの性能および状態を最適化する最適なパワースプリット戦略を、フィルタをかけて特定する。
【0060】
ステップ130において多目的最適化アルゴリズムを走らせた後に、パワースプリット制御技法112は、多目的最適化アルゴリズムによって出力されたパワースプリットを試験して有効化する動作ループを始める。
図5に図示されているように、パワースプリット制御技法112は、ステップ120に戻り、初期パワースプリットに関連して上記に説明されているのと同様の様式で、劣化モデルから新しいパワースプリットの影響を決定する。次いで、パワースプリット制御技法112は、ステップ122に進み、新しいパワースプリットに従う動作が任意のシステム制約関数を侵害するかどうかについて決定する。
【0061】
ステップ122において、パワースプリット制御技法112が、新しいパワースプリットがシステム制約関数を侵害するということを決定した場合124には、パワースプリットは、ステップ126において修正される。一実施形態によれば、パワースプリット制御技法112は、エネルギー貯蔵ユニットの1つの使用量を特定の割合だけ減少させること、および、所望のパワー出力の残りを発生させるために、別のエネルギー貯蔵ユニットの使用量を増加させることなどによって、増分値だけパワースプリットを修正することが可能である。代替的に、パワースプリット制御技法112は、多目的最適化アルゴリズムを再び走らせ、新しいパワースプリットを発生させ、今回は、異なる重みを非線形モデルに適用することが可能である。
【0062】
新しいパワースプリットが、任意のシステム制約を侵害しない場合128には、パワースプリット制御技法112は、ステップ129に進み、現在のパワースプリットが有効化されたかどうかを決定する。このステップの間に、現在のパワースプリットから生じる劣化状態の変化ΔSOHおよび充電状態の変化ΔSOCが、現在のパワースプリットがエネルギー貯蔵システムの劣化状態および/または充電状態に対する多大な影響を引き起こすかどうかを決定するために評価される。一実施形態では、劣化状態の変化ΔSOHおよび充電状態の変化ΔSOCは、それぞれの所定の閾値と比較することが可能である。
【0063】
劣化状態の変化ΔSOHおよび充電状態の変化ΔSOCのいずれかが閾値を超える場合には、現在のパワースプリットは有効化されていない131。この状況では、パワースプリット制御技法112は、ステップ130において多目的最適化アルゴリズムを再び適用し、パワースプリット制御技法112は、ステップ120、122、129、および130の間で規定されるループを通って走らせることによって、パワースプリットを反復して調整し続ける。
【0064】
所定の数の反復の終わりに、多目的最適化アルゴリズムから導出されるパワースプリットの最新の反復がシステム制約関数を侵害しないということ128、および、パワースプリットが有効化されているということ133を、パワースプリット制御技法112が決定する場合には、パワースプリット制御技法112は、下記に説明されているように、随意的なステップ135(仮想線で示されている)に進む。
【0065】
一実施形態では、多目的最適化アルゴリズムは、単一の反復の間に、ステップ130において、複数の可能性のあるパワースプリットを出力することが可能である。たとえば、所与の反復の間に、多目的最適化アルゴリズムは、顧客の85%に対して10年の寿命を実現するように定められる第1のパワースプリットと、顧客の95%に対して9年の寿命を実現するように定められる第2のパワースプリットとを出力することが可能である。これらの複数のパワースプリットのそれぞれが、ステップ122において、システム制約関数を侵害しないと仮定し、ステップ129において、有効化されていないと仮定すると、パワースプリット制御技法112は、ステップ135において、トレードオフ意思決定を使用して、これらのパワースプリット戦略のどちらを用いるかを決定する。このトレードオフ意思決定は、異なる要因の所定の重み付けおよび/もしくはそれらの要因に関する所定の閾値に基づく自動化されたプロセスであることが可能であり、または、ユーザ選択に基づいて決定することが可能である。代替的な実施形態では、トレードオフ意思決定は、ステップ130において、多目的最適化アルゴリズムの一部として組み込むことが可能である。
【0066】
ステップ135のトレードオフ意思決定に続いて、パワースプリット制御技法112は、ステップ134に進み、エネルギー貯蔵ユニットのパワー配分をコントローラ64に出力する。パワー配分は、パワースプリットの最新の反復に対応しており、合計電力需要はエネルギー貯蔵ユニット同士の間でどのように分割されるべきかを示している。コントローラ64は、第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28への適当な制御コマンドを介して、パワー配分を実施する。
【0067】
パワースプリット制御技法112は、推進システム10のリアルタイム動作の間に、定期的に繰り返される。様々な実施形態によれば、パワースプリット制御技法112が新しいパワースプリットを規定するために使用される頻度は、時間、車両の変化する動作条件、エネルギー貯蔵システムの変化する状態、または、それらの組み合わせの関数として決定することが可能である。
【0068】
また、ハイブリッド自動車または電気自動車のための推進システムの最適化された動作は、DCバス36の電圧を動的に調整することによって実現させることが可能である。ダイナミック調整技法は、
図1の推進システム10に関連して下記に説明されているが、その技法は、たとえば、推進システム78(
図2)または推進システム92(
図3)などの、代替的な推進システム構成のDCリンク電圧を制御するように拡張され得るということが考えられる。一実施形態では、ダイナミックDCバス電圧調整は、上述のパワースプリット制御技法112と同時に実施される。さらなる別の実施形態では、ダイナミックDCバス電圧調整は、上述のパワースプリット制御技法112なしに独立して実施することが可能である。
【0069】
ここで
図6を参照し、適当な場合には
図1のエレメントを引き続き参照すると、推進システム10のDCバス電圧を調整するためのダイナミック電圧制御技法136が述べられている。エネルギー貯蔵システム12のエネルギー貯蔵ユニット14、16の間のパワー
スプリットを制御することに加えて、また、コントローラ64は、それに従ってDCバス36のDCリンク電圧を動的に制御し、動作の間に、推進システム10がその最適な効率に接近することができるようになっている。以下に詳細に説明されているように、コントローラ64は、DCバス36のDC電圧を監視し、動作のそれぞれの時間ステップについての最適な電圧コマンドを計算し、制御ライン66を介して第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28に電圧コマンドを継続的に送信する。
【0070】
ステップ138において、ダイナミック電圧制御技法136は、電圧センサ38から受信する測定値を通して、または、コントローラ64によって第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28に送信された以前のDCバス電圧コマンドにアクセスすることによって、DCバスのリアルタイム電圧を決定する。この以前のDCバス電圧コマンドは、推進システム10の始動時に送信された初期の電圧コマンドであるか、または、推進システム10のリアルタイム動作の間の以前の時間ステップの間に送信された電圧コマンドであることが可能である。
【0071】
ダイナミック電圧制御技法136は、ステップ140において、第1および第2の電気機械デバイス46、50のリアルタイムトルク値およびリアルタイム速度値にアクセスする。リアルタイムトルクおよびリアルタイムDCバス電圧を使用して、ダイナミック電圧制御技法136は、ステップ141において、対応するスケジュール速度を特定する。
【0072】
一実施形態によれば、リアルタイムトルクおよびリアルタイムDCバス電圧に対応するスケジュール速度が、測定された電気機械デバイスのトルクおよびDCバス電圧によってインデックスを付けられた電圧スケジューリングルックアップテーブルから決定される。一実施形態では、電圧スケジューリングルックアップテーブルは、たとえば、
図7に図示されている電圧スケジューリングマップ144などの電圧スケジューリングマップから生成され、
図7は、電気機械デバイスのトルクおよび速度のメッシュグリッドに対して生成される最適な電圧の等高線プロットである。当業者が認識することとなるように、
図7は、単一の象限として、すなわち、正のトルクおよび正の速度に関する最適な電圧として、例示目的のために示されている。しかし、制御目的のために使用される等高線プロットは、4つの象限、すなわち、正および負のトルクならびに正および負の速度の両方を含むこととなる。電圧スケジューリングマップは、特定の電気機械デバイスのための動作トルクおよび動作速度の範囲全体にわたり、最適なDCバス電圧を規定している。
図7に示されているように、電圧スケジューリングマップ144は、特定の電気機械デバイスを動作させるために、たとえば250V、350V、450V、550V、650V、および700Vなどの、異なるDCバス電圧レベルに対応する多数の動作曲線146、148、150、152、154、156を含む。モータのトルクおよび速度の一対の入力が与えられると、電圧スケジューリングマップ144から生成された電圧スケジューリングルックアップテーブルが使用され、システム損失が最小となる車両推進システムにとって最適なDC電圧を特定することが可能である。1つの例として、リアルタイムDCバス電圧が250Vであり、リアルタイムトルクが20Nmである場合には、スケジュール速度は、電圧スケジューリングマップ144に基づいて、ステップ141において、2000rpmとなるように決定される。
【0073】
ステップ158において、電気機械デバイスのリアルタイム動作速度は、ステップ141において決定されるような電気機械デバイスのスケジュール速度と比較される。次に、ダイナミック電圧制御技法136は、ステップ160において、電気機械デバイスのスケジュール速度とリアルタイム動作速度との間の差が閾値よりも大きいかどうかを決定する。スケジュール速度とリアルタイム動作速度との間の差が閾値よりも大きい場合162には、ステップ163において、新しい電圧コマンドが生成される。
【0074】
ステップ163において、ダイナミック電圧制御技法136は、電圧スケジューリングマップ144から生成される電圧スケジューリングルックアップテーブルから、および、電気機械デバイスに関するリアルタイムトルク値およびリアルタイム速度値に基づいて、新しい電圧コマンド値を決定する。2000RPMのスケジュール速度、20Nmのトルク、および、250VのDCバス電圧を備える上述の例に続いて、リアルタイム速度が1500RPMから2500RPMへ増加された場合には、ダイナミック電圧制御技法136は、ステップ163において新しい電圧コマンドを生成し、350V(曲線148に対応する)などのより高い電圧レベルへDCバス電圧を移行させる。リアルタイムトルク値およびリアルタイム速度値から決定されるような電気機械デバイスのリアルタイム動作ポイントが、電圧スケジューリングマップ144の動作曲線のうちの1つの上に位置しない場合には、電圧コマンド値は、線形補間によって、または、リアルタイム動作ポイントに最も近い動作曲線を選択することによって、決定することが可能である。
【0075】
ステップ163において生成された新しい電圧コマンドは、ステップ164において、第1および第2の双方向DC−DCコンバータ26、28に送信され、それによって、DCバスの電圧を新しい電圧コマンドに従って上または下のいずれかに移行させる。上述の例では、DCバスの電圧は、たとえば、50Vまたは100Vのステップなどの、所定の電圧間隔だけ上下に移行するように制御される。しかし、代替的な実施形態は、DCバスの電圧をより大きいステップまたはより小さいステップで移行させる電圧コマンドを生成することが可能である。
【0076】
他方、電気機械デバイスのスケジュール速度とリアルタイム動作速度との間の差が、閾値よりも大きくない場合166には、ダイナミック電圧制御技法136は、随意的な待機ステップ168(仮想線で示されている)を開始した後に、ステップ140に戻る。
【0077】
複数の電気機械デバイスを含む推進システムの実施形態では、それぞれの電気機械デバイスに対して、別々の電圧スケジューリングマップが生成される。一実施形態では、電圧スケジューリングマップは、それぞれの電気機械デバイスに対して、オフラインで経験的に導出される。
図2および
図3に図示されている実施形態などの、独立したDCバスに連結された複数の電気機械デバイスを有する推進システムに関して、個々の電圧コマンドは、ダイナミック電圧制御技法136のステップ138〜168に関連して説明されている様式で生成され、それぞれのDCバスの電圧を独立して制御するように使用される。代替的に、
図1に図示されている実施形態などの、電気機械デバイスが共通のDCバスに連結されている場合には、電圧コマンドは、ダイナミック電圧制御技法136のステップ138〜168に関連して説明されている様式で生成され、次いで、DCバスの電圧を制御するために電圧コマンドへ融合される。
【0078】
一実施形態では、それぞれの電気機械デバイスに関する個々の電圧コマンドは、ボーティングロジックを使用して組み合わされ、ボーティングロジックは、個々の電圧コマンドのそれぞれからの電圧の中央値または最頻値として、融合される電圧コマンドを定義することが可能である。別の実施形態では、融合される電圧コマンドは、0から1の間の重み付け係数によって個々の電圧コマンドのそれぞれを重み付けする重み付けロジックを使用して決定される。それぞれの電気機械デバイスに関する重み付け係数は、変化する電圧が推進システムの全体動作効率にどれぐらい影響を与えるかということのインデックスとして選択される。重み付け係数は、最大パワー、最大効率、および高効率範囲などの、電気機械デバイスの1つまたは複数の公知の動作パラメータに基づいて決定することが可能である。そのような実施形態では、パワー出力が高く、効率が低く、効率範囲が狭い電気機械デバイスは、高いインデックス値または重み付け係数を与えられる。代替的に、重み付け係数は、電気機械デバイスのリアルタイム動作条件に基づいて、動的に決定することが可能である。このケースでは、電気機械デバイスに関する重み付け係数は、特定の電圧レ
ベルに特有に決定され、DCバスのスケジュールされた電圧に対する調整によって変化することが可能である。
【0079】
ダイナミックDCリンク電圧制御技法136は、動作の間のDCバス電圧の望ましくない変動を引き起こす電圧コマンドの送信を防止するロジックを含み、それによって、ダイナミック制御技法136をノイズに対してロバストにする。これを達成するために、ダイナミック制御技法136は、連続した反復の間の電気機械デバイスのリアルタイム速度の変化が所定の閾値を超えるときだけ、新しい電圧コマンドを実施する。
【0080】
上記に説明されているように、本発明の実施形態は、電気自動車およびハイブリッド電気自動車用の車両推進システムを設計および動作させるためのオフラインおよびオンラインの最適化技法を利用する。オフラインの最適化技法は、最大パワー出力および所望の耐用年数などの所望のシステム制約を実現する設計構成を提供しながら、エネルギー貯蔵システムの中のエネルギー貯蔵ユニットのサイズを最小化する、車両推進システムのエネルギー貯蔵システムのための設計構成を決定する。所与のエネルギー貯蔵システムの中に設けられているエネルギー貯蔵ユニットの寿命をさらに最大化させるために、オンラインの最適化技法が、本明細書で説明されており、それは、車両推進システムの動作の間にエネルギー貯蔵ユニット同士の間のパワースプリットを調整し、エネルギー貯蔵ユニットの充電状態および劣化状態を監視しながら、推進システムの合計電力需要を実現する。また、本発明の実施形態は、電気機械デバイスの速度、および、それぞれの電気機械デバイスに特有の所定の電圧スケジューリングマップに基づいて、DCバスの電圧を動的に制御する、オンラインの電圧調整技法を利用する。上記に説明されているように、これらのオンラインおよびオフラインの技法は、エネルギー貯蔵ユニットの寿命を最適化させながら、および、車両推進システムの全体製造コストを低減させながら、全体システム性能および効率を改善する。
【0081】
当業者は、コントローラ64が、電子コンポーネント、ハードウェアコンポーネント、および/またはコンピュータソフトウェアコンポーネントのうちの1つまたは複数などの、複数のコンポーネントを介して実装され得るということを認識することとなる。これらのコンポーネントは、1つまたは複数の実装形態または実施形態の1つまたは複数の部分を実施するためのソフトウェア、ファームウェアおよび/またはアセンブリ言語などのインストラクションを一般的に保存する1つまたは複数の有形のコンピュータ可読ストレージ媒体を含むことが可能である。有形のコンピュータ可読ストレージ媒体の例には、書き込み可能なデータストレージ媒体および/または大容量のストレージデバイスが含まれる。そのような有形のコンピュータ可読ストレージ媒体は、たとえば、磁気的な、電気的な、光学的な、生物学的な、および/または原子力のデータストレージ媒体のうちの1つまたは複数を用いることが可能である。さらに、そのような媒体は、たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスクドライブ、および/または電子メモリの形態をとることが可能である。列挙されていない有形のコンピュータ可読ストレージ媒体の他の形態を、本発明の実施形態とともに用いることも可能である。
【0082】
多数のそのようなコンポーネントが、本明細書で説明されているシステムの実装形態の中で組み合わされるか、または分割され得る。さらに、そのようなコンポーネントは、当業者によって認識されることとなるように、多数のプログラミング言語のいずれかによって書かれ、または実装された1セットのおよび/または一連のコンピュータインストラクションを含むことが可能である。
【0083】
開示されている装置に関する技術的な貢献は、車両推進システムのエネルギー貯蔵システムからDCバスへのパワーの供給を制御するための技法が実装されたコントローラを、
その装置が提供するということである。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、車両推進システムのエネルギー貯蔵システムからDCバスへのパワーの供給を制御するための制御システムが開示されている。制御システムは、コントローラを含み、コントローラは、エネルギー貯蔵システムの複数のエネルギー貯蔵ユニットのリアルタイムの動作パラメータを監視し、複数のエネルギー貯蔵ユニットのための劣化モデルにアクセスし、劣化モデルに基づいて、車両推進システムのリアルタイム動作の間に、複数のエネルギー貯蔵ユニットの使用量を最適化するようにプログラムされている。
【0085】
本発明の別の実施形態によれば、車両推進システムのDCバスにパワーを供給するための方法は、第1の時間および第2の時間において、エネルギー貯蔵システムの複数のエネルギー貯蔵ユニットの動作パラメータを監視するステップと、複数のエネルギー貯蔵ユニットのための劣化モデルにアクセスするステップと、第1のユーザ入力および所定の車両デューティサイクルのうちの少なくとも一方に基づいて、車両推進システムの第1の将来の電力需要を決定するステップとを含む。また、方法は、第1の将来の電力需要、監視される第1の時間におけるリアルタイムの動作パラメータ、および劣化モデルに基づいて、複数のエネルギー貯蔵ユニットの間の第1のパワー配分を規定するステップと、第2のユーザ入力および所定の車両デューティサイクルのうちの少なくとも一方に基づいて、車両推進システムの第2の将来の電力需要を決定するステップと、第2の将来の電力需要、監視される第2の時間におけるリアルタイムの動作パラメータ、および劣化モデルに基づいて、複数のエネルギー貯蔵ユニットの間の第2のパワー配分を規定するステップであって、第2のパワー配分は、第1のパワー配分とは異なる、ステップとを含む。
【0086】
本発明のさらなる別の実施形態によれば、車両推進システムは、DCバスに連結されている第1の双方向コンバータと、第1のエネルギー貯蔵ユニットおよび第2のエネルギー貯蔵ユニットを含むエネルギー貯蔵システムであって、第1のエネルギー貯蔵ユニットは、第1の双方向コンバータアッセンブリに連結されている、エネルギー貯蔵システムとを含む。また、車両推進システムは、コントローラを含み、コントローラは、車両推進システムの将来の電力需要を決定し、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットのリアルタイムの動作パラメータおよび第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの劣化モデルに基づいて、エネルギー貯蔵システムに関する複数のパワー配分を規定し、複数のパワー配分のそれぞれのパワー配分に基づいて、第1のエネルギー貯蔵ユニットからDCバスへパワーを移送させるように、第1の双方向コンバータを制御するようにプログラムされている。複数のパワー配分は、将来の電力需要および劣化モデルに基づいて、車両推進システムのリアルタイム動作の間に、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニットの使用量を最適化する。
【0087】
本発明は、限られた数の実施形態だけに関連して詳細に説明されてきたが、本発明は、そのような開示されている実施形態に限定されないということが容易に理解されるべきである。むしろ、本発明は、これまでに説明されていないが本発明の精神および範囲に相応する任意の数の変形例、代替例、置換例、または均等構成を組み込むように修正することが可能である。追加的に、本発明の様々な実施形態が説明されてきたが、本発明の態様は、説明されている実施形態のいくつかだけを含むことが可能であるということが理解されるべきである。したがって、本発明は、先述の説明によって限定されるものとして理解されるべきでないが、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されている。