(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記メモリが、前記キャッチアップ注入速度における注入の送達の後、前記実際の累積注入分量が前記期待累積注入分量と等しくなると、前記所望の注入速度で注入を送達するよう前記注入ポンプに要求するためのプログラミングコードをさらに含む、請求項1に記載の注入システム。
前記医薬品ライブラリが、更に、数値を有する最大キャッチアップ速度係数設定を含み、前記最大キャッチアップ速度係数設定が、医薬品入力、ポンプタイプおよび臨床介護領域場所からなるグループから選択されるパラメータの関数である、請求項1に記載の注入システム。
前記医薬品ライブラリが、更に、数値を有する最大キャッチアップ速度係数警報設定を含み、前記最大キャッチアップ速度係数警報設定が、医薬品入力、ポンプタイプおよび臨床介護領域場所からなるグループから選択されるパラメータの関数である、請求項1に記載の注入システム。
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、更に、前記実際の累積注入分量が、前記期待累積注入分量と等しい場合に、前記キャッチアップ注入速度での前記注入の送達の後に、前記注入ポンプに、前記所望の注入速度で、前記注入を送達するように要求する、ように構成される、請求項6に記載の注入ポンプ。
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、更に、前記注入ポンプでのユーザの1人からの、及び、遠隔コンピュータからの、最大許容可能キャッチアップ速度係数の入力を受け取る、ように構成される、請求項6に記載の注入ポンプ。
医療機器の作動方法であって、前記医療機器が注入ポンプを備え、前記方法が、前記医療機器が前記注入ポンプからの注入の中断した送達をキャッチアップすることを含み、
前記キャッチアップが、構成可能であり、前記方法が、処理装置によって実行され、
前記方法が、
前記注入ポンプに対する所望の注入速度を検索し、
第1の時刻における期待累積注入分量を前記所望の注入速度に基づいて計算し、
前記所望の注入速度における注入の送達を起動し、
前記第1の時刻における実際の累積注入分量を決定し、
前記実際の累積注入分量が、前記第1の時刻における前記期待累積注入分量より少ないことを決定し、
ポンプタイプに基づいてキャッチアップ速度注入のイネーブル化を制御し、
前記第1の時刻において、前記実際の累積注入分量が前記期待累積注入分量未満である、という決定の後に、直接、前記所望の注入速度と、キャッチアップ速度係数の乗算を介して、キャッチアップ注入速度を生成し、
前記キャッチアップ注入速度での前記注入の送達を変更する、
ステップを含む、方法。
前記実際の蓄積注入分量が、前記期待累積注入分量と等しい場合に、前記注入の前記送達を、前記キャッチアップ注入速度から、前記所望の注入速度に変更するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
前記キャッチアップ注入速度の生成が、前記実際の累積注入分量及び前記期待累積注入分量のみに基づき、患者の生理学的係数に依存しない、請求項6に記載の注入ポンプ。
前記注入ポンプが、患者が良好な状態にある治療領域で使用されるときに、前記注入の送達が、前記キャッチアップ注入速度に変更される、請求項6に記載の注入ポンプ。
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記実際の累積注入分量を監視し、前記実際の累積注入分量が全分量に到達する場合に、前記注入の前記送達を自動的に停止するように構成される、請求項6に記載の注入ポンプ。
前記1つ又は複数のハードウェアプロセッサが、前記キャッチアップ注入速度での前記注入の前記送達を変更する前に、警報を生成し、ユーザ入力を要求するように構成される、請求項6に記載の注入ポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[00020]
図1は、本発明による、情報システムと統合された投薬管理ユニットおよび医
用デバイスを含む投薬管理システムの略図である。投薬管理システム(MMS)10は、典型的には病院環境16で動作する投薬管理ユニット(MMU)12および医用デバイス14を含む。本明細書において定義されている病院環境という用語は、それらに限定されないが、病院、治療センタ、診療所、医師の事務所、日帰り外科センタ、ホスピス、養護施設を含む任意の医療介護施設、および家庭介護環境と結びついた上記任意の医療介護施設を意味するべく広義に使用されている。病院環境には様々な情報システムが存在し得る。
図1に示されているように、MMU12は、病院環境16の一部であるキャッシング機構20を介して病院情報システム(HIS)18と通信している。
【0012】
[00021]キャッシング機構20は、主としてHIS18との通信を容易にするためのパ
ス・スルー・デバイスであり、その機能は、除去されるか、またはMMU12(
図1)および/または医用デバイス14および/またはHIS18および/または他の情報システム、または病院環境16内の構成要素に組み込まれ得ることは当業者には認識されよう。キャッシング機構20は、HIS18、薬物投与記録システム(MAR)22、薬局情報システム(PhIS)24、内科医指示入力(POE)26および/または研究室システム28とは別の病院情報データの一時記憶を提供する。キャッシング機構20は、病院環境16内のデータへの直接アクセスを利用することができないか、または望ましくないシナリオをサポートするために、投薬管理システム10へのアクセスが可能な情報記憶を提供する。一例では、キャッシング機構20は、HIS18がダウンするか、またはMMU12と電子ネットワーク(図示せず)との間の接続性がダウンした場合に、MMU12に入力され、また、MMU12から出力される情報の連続する流れを提供する。
【0013】
[00022]HIS18は、投薬記録を維持するために薬物投与記録システム(MAR)2
2と通信し、また、医薬品指示をHISに送達するために薬局情報システム(PhIS)24と通信している。内科医/プロバイダ指示入力(POE)デバイス26は、患者のために処方された投薬指示の健康管理プロバイダによる病院情報システムへの直接引渡し、またはPhIS24を介した間接的引渡しを許容する。投薬指示は、PhIS24またはPOEデバイス26から直接MMU12に送られ得ることは、同じく当業者には認識されよう。本明細書において使用されているように、投薬指示という用語は、人または動物に対する生理学的衝撃を有する、それらに限定されないが、液体または気体状流体、医薬品または薬剤、液体栄養製品およびそれらの組合せを含む何らかのものを投薬する指示として定義されている。
【0014】
[00023]また、研究室システム28および監視デバイス30も、更新された患者特化情
報をMMU12に送達するためにMMU12と通信している。示されているように、MMU12は、研究室システム28および監視デバイス30に直接通信している。しかしながら、MMU12は、HIS18、キャッシング機構20、医用デバイス14または何らかの他の中間デバイスあるいはシステムを介して間接的に研究室システム28および監視デバイス30と通信することができることは当業者には認識されよう。
【0015】
[00024]また、送達情報入力デバイス32も、MMU12を介した送達のための医薬品
指示の処理を補助するためにMMU12と同じく通信している。送達情報入力デバイス3
2は、バーコードラベルなどの機械可読表示を読み取るように適合された手段を含む任意の種類のデータ入力手段であってもよく、例えばバーコードスキャナーを有するパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)であってもよい。以下、送達情報入力デバイス32は、入力デバイス32と呼ばれる。別法としては、機械可読表示は、無線周波数識別(RFID)タグ、二次元バーコード、IDマトリックス、送信された無線IDコード、指紋などの人間生体認証データ、等々などの他の知られている形態であってもよく、また、入力デバイス32は、このような表示を「読み取る」、すなわち認識するように適合される。入力デバイス32は、医用デバイス14とは別のデバイスとして示されており、別法としては、入力デバイス32は、医用デバイス14と直接通信し、あるいは医用デバイスに完全に統合され、あるいは医用デバイスと部分的に統合され得る。
【0016】
[00025]
図2は、本発明による投薬管理ユニットの略図である。投薬管理ユニット12
は、MMU12を病院環境16の複数の構成要素、1つまたは複数の医用デバイス14、および任意の他の所望のデバイスまたはネットワークに接続するためのネットワークインタフェース34を含む。処理装置36はMMU12の中に含まれており、以下でより詳細に説明される様々な操作を実施する。表示/入力すなわちユーザ・インタフェース・デバイス38は、処理装置36と通信し、処理装置36からの出力のユーザによる受け取り、および/または処理装置36への情報のユーザによる入力を可能にしている。表示/入力デバイス38は、個別の表示デバイスおよび個別の入力デバイスとして提供され得ることは当業者には認識されよう。
【0017】
[00026]電子記憶媒体40は処理装置36と通信し、処理装置36がMMU12の機能
を実施するために必要なプログラミングコードおよびデータを記憶する。より詳細には、記憶媒体40は、MMU12の様々な機能のために本発明に従って形成される複数のプログラムを記憶し、これらのプログラムには、それらに限定されないが、「医薬品ライブラリのメンテナンス(Maintain Drug Library)」42、「医薬品ライブラリのダウンロード(Download Drug Library)」44、「投薬指示の処理(Process Drug Order)」46、「エキスパート臨床規則のメンテナンス(Maintain Expert Clinical Rules)」48、「エキスパート臨床規則の適用(Apply Expert Clinical
Rules)」50、「ポンプの監視(Monitor Pumps)」52、「ラインの監視(Monitor Lines)」54、「報告の作成(Generate Reports)」56、「データの閲覧(View Data)58、「MMSの構成(Configure the MMS)」60および「MMSの監視(Monitor the MMS)」62を含む。「医薬品ライブラリのメンテナンス」42プログラムは、医薬品入力を生成し、更新し、および、削除し、また、現在稼働中の医薬品ライブラリを確立する。「医薬品ライブラリのダウンロード」44プログラムは、現在の医薬品ライブラリを使用して医用デバイス14を更新する。「投薬指示の処理」46プログラムは、患者のための投薬指示を処理し、介護点(POC)投薬および送達パラメータが指示された介護点投薬および送達パラメータと合致していることを検証する。「エキスパート臨床規則のメンテナンス」48プログラムは、病院の療法およびプロトコル養生法を記述している規則を生成し、更新し、および、削除する。「エキスパート臨床規則の適用」50プログラムは、安全を保証するための論理処理を実施し、および、他の注入すなわち投薬指示、患者人口統計学および現在の患者の状態を考慮する。「ポンプの監視」52プログラムは、ほぼリアルタイムで送信され、および、バッチモードで送信される状態、事象および警報の進行中の更新を取得し、また、場所、現在の任務、および医用デバイス14上に存在している医薬品ライブラリバージョンなどのソフトウェアバージョンを追跡する。「ラインの監視」54プログラムは、複数の医薬品送達チャネルすなわちラインをサポートしている医用デバイス14のための個々のチャネルすなわちラインに対する状態、事象および警報の進行中の更新を取得する。「報告の作成」56プログラムは、MMU記憶媒体
40に保持されているデータの様々な報告書のユーザによる作成を可能にする機構を提供する。「データの閲覧」58プログラムは、MMU12のユーザのための様々な表示または閲覧機能をサポートする機構を提供する。「通知(Notification)」59プログラムは、スケジューリング、および外部システムおよびユーザへの事象の送達のための機構を提供する。「MMSの構成」60プログラムは、システム管理者がMMS10をインストールし、および、構成するための機構を提供する。「MMSの監視」62プログラムは、情報技術操作スタッフ機能による、MMS10構成要素および処理、ならびにシステム・スタート・アップ、停止、バックアップおよび復旧などの日々の操作の他の面の現在の状態の把握を可能にする。
【0018】
[00027]
図3は、本発明による、投薬管理ユニットによって実施される主要な機能のう
ちのいくつかの略図である。個別の特徴および規則を個々に含むMMU12の様々な機能プログラム42〜62は、(
図2に示されている仕切りより高いレベルで)仕切られており、MMU12の相関された管理ユニットに論理的に編成されている。示されているように、MMU12は、アセットマネジャ64、警報マネジャ66、医薬品ライブラリマネジャ(例えばHOSPIRA MEDNET(登録商標)ソフトウェアに含まれているような)68、介護者マネジャ70、療法マネジャ72および/または臨床データマネジャ73を含む。しかしながら、本発明から逸脱することなく、追加または代替病院システム管理ユニットが提供され得ることは当業者には認識されよう。さらに、MMU12は、MMU12の相関された個別の管理ユニット64〜73の間に、個別の管理ユニット間の対話を調整するためのマスタ裁定部74を含む。
【0019】
[00028]さらに、本明細書において説明されているMMU12は、単一のデバイスとし
て出現しているが、調和して動作し、および、同じデータベースを共有する複数のMMU12を存在させることも可能である。例えばMMU12は、単一故障点、アドレス可用性要求事項を回避し、また、膨大な量の要求を処理するために、全く別のサーバ上で走るMMU特化アプリケーションの集合からなっていてもよい。この例では、MMU12の個々のサーバ部分は、サービス要求をMMU12の別のサーバ部分へ向けなおすために、MMU12の他のサーバ部分と関連して動作している。さらに、マスタ裁定部74は、向けなおされるサービス要求をMMU12の別のサーバ部分に割り当て、個々の要求を優先順位付けし、および、個々の要求が処理されることを保証する。
【0020】
[00029]
図2および3を参照すると、管理ユニット64〜72は、それらの操作を統制
するため個別の特徴および規則を個々に含む。例えばアセットマネジャ64は、「ポンプの監視」52プログラムおよび「ラインの監視」54プログラムの実行を統制し、医薬品ライブラリマネジャ68は、「医薬品ライブラリのメンテナンス」42プログラムおよび「医薬品ライブラリのダウンロード」44プログラムの実行を統制し、療法マネジャ72は、「投薬指示の処理」46プログラム、「エキスパート臨床規則のメンテナンス」48プログラムおよび「エキスパート臨床規則の適用」50プログラムの実行を統制し、また、臨床データマネジャ73は、「報告の作成」56プログラムおよび「データの閲覧」58プログラムの実行を統制する。管理ユニット64〜73間の機能MMUプログラム42〜62の他の分散も本発明に従って実施され得る。
【0021】
[00030]
図4は、本発明による医用デバイスの略図である。電子ネットワーク114は
、電子通信のためにMMU12、医用デバイス14および病院環境16を接続している。電子ネットワーク114は、完全な無線ネットワークであっても、完全なハード有線ネットワークであっても、あるいはそれらの何らかの組合せであってもよい。本明細書において使用されているように、「医用デバイス」という用語は、それらに限定されないが、カセット、リザーバ、小瓶、注射器、または薬物あるいは流体を患者に、または患者から運ぶための配管(例えば腸内ポンプ、腸管外注入ポンプ、患者管理鎮痛法(PCA)または
苦痛管理投薬ポンプあるいは吸引ポンプ)、患者の生徴候または他のパラメータを監視するためのモニタ、または診断、試験あるいは標本採取デバイスの上で作用するデバイスを含む。
【0022】
[00031]ポンプ様式の医用デバイス14は、医用デバイス14を電子ネットワーク11
4に接続するためのネットワークインタフェース112を含む。電子ネットワーク114への無線接続が望ましい場合、ネットワークインタフェース112は、電子ネットワーク114に無線接続するためのアンテナを操作する。アンテナは、医用デバイス14の外部へ突出させることができ、あるいはデバイスのハウジング内に閉じ込められ得る。
【0023】
[00032]プロセッサ118は、医用デバイス14の中に含まれており、リアルタイムク
ロック(図示せず)を含み、以下でより詳細に説明される様々な操作を実施する。入力/出力デバイス120は、医用デバイス14からの出力のユーザによる受け取り、および/または医用デバイス14への情報のユーザによる入力を可能にしている。
【0024】
[00033]入力/出力デバイス120は、タッチスクリーン122などの単一のデバイス
として、または個別の表示デバイスおよび個別の入力デバイス(図示せず)として提供され得ることは当業者には認識されよう。一実施形態では、医用デバイス14の表示スクリーン122は、多重ワイヤ・タッチスクリーンを有する薄膜トランジスタ・アクティブ・マトリックス・カラー液晶ディスプレイである。通常流体を通さない膜が表示スクリーン122を覆っているため、ユーザは、スクリーンの下側のキーまたはボタンの画像を濡れた手袋または乾いた手袋で、あるいは手袋なしに押して入力をトリガすることができる。
【0025】
[00034]メモリ124はプロセッサ118と通信し、プロセッサ118が医用デバイス
14の機能を実施するために必要なコードおよびデータを記憶する。より詳細には、メモリ124は、医用デバイス14の様々な機能のために本発明に従って形成される、以下でより詳細に説明される複数のサブパートを有するグラフィカル・ユーザ・インタフェース・プログラム126を含む複数のプログラムを記憶する。
【0026】
[00035]
図5Aおよび5Bは、本発明による、機械可読入力デバイスと通信している多
重チャネル医用デバイスの斜視図である。
図5Aは、個々のチャネルと結合した1つの部分を有する分割スクリーン表示を有する注入ポンプを示したものである。
図5Bは、注入プログラマブル入力をユーザから受け取るためのスクリーン表示を有する注入ポンプを示したものである。この例における医用デバイス14は、多重チャネル注入ポンプである。医用デバイス14は、特定のアプリケーションの必要に応じて、単一チャネル注入ポンプ、多重チャネル注入ポンプ(示されているように)、それらの組合せ、等々であってもよいことは当業者には認識されよう。
【0027】
[00036]
図5Aを参照すると、医用デバイス14は、機械可読入力デバイス130を提
供する。機械可読入力デバイス130は、医用デバイス14と通信して機械可読情報を医用デバイス14に入力する。機械可読入力デバイス130は、無線接続またはハードワイヤード接続を介して医用デバイス14と直接または間接的に通信することができる。機械可読入力デバイス130は、医用デバイス14とは別のデバイスであってもよいが、医用デバイス14と結合されているか、または医用デバイス14と通信している。機械可読入力デバイス130は、機械可読表示を読み取るように適合された、バーコードスキャナーまたはハンドヘルド・パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)などの手段を含む任意の種類のデータ入力手段であってもよい。別法としては、機械可読入力デバイス130は、無線周波数識別タグ(RFID)、タッチメモリ、デジタル写真、生体認証、等々などの他の知られている形態の機械可読情報を読み取るように動作することも可能である。
【0028】
[00037]医用デバイス14は、第1のチャネル機械可読ラベル134を有する第1のチ
ャネル132、および第2のチャネル機械可読ラベル138を有する第2のチャネル136を有する多重チャネルポンプである。医用デバイス14のユーザは、機械可読入力デバイス130を操作して、関連する機械可読ラベル134または138をスキャンすることにより、1つまたは複数のチャネル132および136からチャネルを選択する。
【0029】
[00038]ユーザは、機械可読入力デバイス130を使用して、工場または病院でプログ
ラムされた、電子的に生成され、および、それぞれのチャネル132または136の近くに配置されることが好ましいスクリーン122上に提示される固有の機械可読ラベル134または138をスキャンすることによって所望のチャネル132または136を選択する。別法としては、機械可読ラベル134および138は、それぞれ、医用デバイス14の好ましくはチャネル132および136の上に物理的に貼り付けられるか、またはそれらの近くに配置される。機械可読ラベル134および138は医用デバイス14によって生成され、および/またはメモリ124に記憶され得るため、医用デバイス14は、機械可読ラベル134および138をチャネル132または136に関連付けることができる。医用デバイス14は、次に、ユーザによるプログラミングを可能にし、および、選択されたチャネル132または136のユーザによる起動を可能にする。また、ユーザは、タッチスクリーン上の適切なフォルダタブに触れることによって所望のチャネルを手動で選択することも可能である。フォルダタブは、対応するチャネル132または136の近くになるようにスクリーン上にラベルが振られ、および/または物理的に配置される。
【0030】
[00039]無線実施形態の他の態様では、すべての医用デバイスは、スクリーン122上
にも同じく提示され得る固有の無線デバイス/チャネルIPアドレスおよび/または自己生成固有機械可読ラベル(例えばバーコード)134または138を周期的に同報通信することができる。別法としては、機械可読ラベル134および138は、医用デバイス14に物理的に貼り付けられるか、または医用デバイス14上に掲示される。個々の医用デバイスは、このような同報通信された、または掲示されたデバイス/チャネルIPアドレスおよび/またはバーコードと、固有の機械可読ラベル(図示せず)または患者IPアドレスによって同じく識別される特定の患者とを相関させることができる。ユーザは、機械可読入力デバイス130を使用して、固有の機械可読ラベル134、138および患者の機械可読ラベルをスキャンすることにより、所望のポンプすなわちチャネル132、136と患者を関連付ける。これにより、適切なポンププロセッサ118が適切なポンプチャネル132、136と患者を関連付けることになる。次に、ポンプすなわちチャネルは、互いに無線で連携し、通信し、および、調和的に働くことができる。
【0031】
[00040]グラフィカル・ユーザ・インタフェース・プログラムは、医用デバイス14の
ためのスクリーン122を再配分する。詳細には、
図5Aは、第1のチャネル132と結合した第1のチャネルスクリーン部分140、および第2のチャネル136と結合した第2のチャネルスクリーン部分142を有する分割タッチスクリーン122を有する多重チャネル注入医用デバイス14を示している。個々のチャネルスクリーン部分140および142は、それぞれのチャネル132または136に関する、それらに限定されないが、一定の距離、例えば約4.6〜6.2メートル(15〜20フィート)などの離れた距離からユーザが容易に読み取ることができるフォントサイズの療法薬品名称、濃度、投与量速度、VTBIおよび警報情報を含む送達情報のサブセットを示している。これは、本明細書においていわゆる「ファー・ビュー」送達・スクリーンとして定義されているものである。ファー・ビュー・送達・スクリーンは、関連する「ニア・ビュー」送達・スクリーン上に見出される情報のサブセットを表示する。ニア・ビュー・送達・スクリーンは、医薬品名称、濃度、投与量速度、残り時間、VTBI、残りの分量、および警報状態にある場合、優先順位が最も高い警報の警報名などの情報を表示する。
【0032】
[00041]実際には、送達・スクリーンは、ユーザが
図5Bによって示されているように
デバイスをプログラミングしている場合、ニア・ビューを表示する。ニア・ビュー・送達・スクリーンは、製造者によって予め決定される、医薬品ライブラリを介して施設によって構成することができ、および/またはポンプにおける介護者によって設定される所定の時間期間、例えば20秒が経過すると、ファー・ビュー・送達・スクリーンに切り換える。ユーザは、ファー・スクリーンを見るために所定の時間の長さを待機することを望まないことがしばしばである。
【0033】
[00042]
図5Aに戻ると、選択された、または選択されたタブに対応するチャネルスク
リーン部分140または142は、その領域は広がっているが、その中のテキストの少なくともいくつかはサイズが縮小されている。チャネルスクリーン部分140および142のうちの一方の縮小、およびもう一方の拡大は、
図5Bに示されているように、1つまたは複数のデータ表示のため、またはスクリーン122上に置かれるデータ入力欄のための追加空間を提供する。以下で説明されるように、データ表示欄またはデータ入力欄は、スクリーン122上の、チャネルスクリーン部分140または142の部分によって既に占有されている空間に置かれる。スクリーン122上の空間のこの再配分により、データ入力欄が拡大され、好ましくは少なくとも送達・スクリーン・モードにおける元のチャネルスクリーン部分140および142と同じ広さに拡大され、またはより好ましくは送達・スクリーン・モードにおける元のチャネルスクリーン部分140および142よりも広い領域に拡大され得るため、ユーザは、より容易に入力することができる。さらに、スクリーン122上の空間の再配分は、調整または監視されているチャネルに関する情報を提示するためのより広い空間を提供する。
【0034】
[00043]もう一度
図5Aを参照すると、医用デバイス14は、専用すなわち固定触覚注
入器ボタン、およびLCDタッチスクリーン122上のボタンの画像を含む。固定触覚ボタン133、135、137および139は、以下の機能を提供する。「装入/取出(LOAD/EJECT)」ボタン133:これは、カセットキャリッジを開閉する。「オン/オフ(ON/OFF)」ボタン135:これは、電力をオンにおよびオフにする。「警報の消音(ALARM SILENCE)」ボタン137:これは、規定された時間期間、例えば2分間、消音可能警報を消音させる。「緊急停止(EMERGENCY STOP)」ボタン139:これは、すべてのチャネルを停止する。LCDカラータッチスクリーン122は、スクリーン上のボタン画像、例えば3Dボタン画像、およびデータ入力欄へのユーザによるアクセスおよび使用を可能にする。タッチスクリーン122は、LCDディスプレイの上に膜を使用しており、したがって単一のキー押下が重大な注入対極動作の原因になることはなく、また、誤って二重キー押下することもない。また、タッチスクリーンは、濡れた手袋または乾いた手袋を着用しているユーザ、あるいは手袋を着用していないユーザによるキー押下に適応する。
【0035】
[00044]LCDタッチスクリーンボタン画像143、145、147および149A〜
149Eは、
図5Aおよび5Bに示されているように配置され、以下の機能を実施する。「患者情報タブ(Patient Information Tab)」143:これは、臨床介護領域、事前選択患者情報(それらに限定されないが、名前、ID番号、等々を含む)を表示し、また、より詳細な患者情報スクリーンへのアクセスを提供する。「チャネルレベル療法ボタン(Channel Level Therapy Button)」145:これは、注入器タッチスクリーン上のボタン画像によってアクセスされ、注入療法を選択するために使用される。「プログラムレベル療法ボタン(Program Level Button)」147:これは、領域、ドロップ−ダウン・リスト・トライアングル、プログラミングスクリーン上のボックスまたはテキストボックスを押すことによってアクセスされ、注入の投与量パラメータを選択するために使用される。また、タッ
チスクリーンの一番下の「デバイスレベルボタン(Device Level Button)」149A〜149Eは、それらに限定されないが、「モード(Mode)」149A(例えば「動作(Operational)」または「生物医学(Biomed)」)、「ログ(Log)」149B、「ロック(Lock)」149C、「設定(Setting)」149Dおよび「計算機(Calculator)」ディスプレイ149Eを含むデバイスレベル特徴を表示し、および、制御するために使用される。スクリーン122の一番下に表示される無線インジケータ画像102は、医用デバイス14が接続され、いつでも通信することができることを示す。
【0036】
[00045]「チャネルレベル療法ボタン」145および「プログラムレベル療法ボタン」
147を使用することにより、健康管理従業者は、マイクログラム/kg/時、グラム/m
2/時などの、体重および身体表面積に基づく様々な単位で、および以下のモードのための他の送達仕様で、特定の流体療法とともにポンプの個々のチャネルをプログラムすることができる。それらモードとは以下のものである。「基本療法(Basic Therapy)」:これは、注入される分量(VTBI)、医薬品量、注入時間および医薬品濃度に基づく投与量速度プログラミングと、VTBIおよび時間に基づく体積速度(mL/hr)のプログラミングを可能にする単純な速度プログラミングとを可能にする投与量計算を含む。「ボーラス(Bolus)」送達:これは、投与量および時間に基づくユーザによる単一の非中断離散送達のプログラムを可能にする(ボーラスは、一次コンテナまたは二次コンテナから送達され得る)。「ピギーバック(Piggyback)」:これは、送達一次注入と同じカセットを介して送達される二次注入の送達のユーザによるプログラムを可能にする(一次注入は、ピギーバックVTBIが完了するまで休止される)。「進行型プログラミング(Advanced Programming)。「進行型プログラミング」モードは、以下を含む様々なタイプのプログラムを提供する。それらのプログラムとは、以下のものである。「マルチステップ(Multistep)」:これは、最大10ステップでの流体の逐次送達を可能にし、流体分量および送達速度は、速度および分量、または分量および時間に基づいてステップ毎にプログラムすることができる。「可変時間(Variable Time)」:これは、規定されたクロック時間で最大24ステップの投与量計算ステップを可能にする。「断続(Intermittent)」:計算された投与量すなわちステップが一定の時間間隔で送達される。「テーパ(Taper)」:プラトー速度まで速くなり、および/またはプラトー速度まで遅くなる送達である。
【0037】
[00046]
図4および5Aを参照すると、グラフィカル・ユーザ・インタフェース126
は、スクリーン122上に提示されるチャネルインジケータを提供する。チャネルインジケータは、チャネル指示アイコン154、155などの図形描写を使用することによってスクリーン上のプログラミング、送達および警報情報を特定の送達チャネルに結合する。チャネル指示アイコン154または155は、スクリーン上のプログラミング、送達および警報情報を規定された関連する送達チャネルに明確に結合する図形項目である。チャネル指示アイコン154および155は、医用デバイスの規定された送達チャネルと結合したタブ158の上に配置されている。チャネル指示アイコン154または155は、それらに限定されないが、ユーザ可読文字または数字、機械可読インジケータ134またはそれらの組合せを含むことができる。また、グラフィカル・ユーザ・インタフェース・プログラム126は、スクリーン122上に提示される点滴インジケータアイコン160および注入状態アイコン156を同じく提供する。
【0038】
[00047]
図5Bを参照すると、スクリーン122は、「速度キャッチアップ許可(Al
low Rate Catch−Up)」フラグをポンプにおける「イネーブル(Enabled)」設定または「ディセーブル(Disabled)」設定のいずれかに設定するための任意選択のドロップダウンボックス170を提供する。ドロップダウンボックス
170は、速度キャッチアップ機能のユーザによるイネーブルまたはディセーブルを可能にし、また、必要に応じて、医薬品ライブラリに提供されるデフォルト速度キャッチアップフラグのユーザによる無効化を可能にする。「速度キャッチアップ許可」フラグが「イネーブル」設定に設定されると、ユーザは、キャッチアップ速度係数をキャッチアップ速度係数値ボックス172に入力することができる。この例では、スクリーン122は、医薬品ライブラリを介して提供されるキャッチアップ速度係数限界値174およびキャッチアップ速度係数警報値176を同じく表示する。キャッチアップ速度係数限界値174は、ユーザがキャッチアップ速度係数値ボックス172に入力することができる最大キャッチアップ速度係数、すなわち最大キャッチアップ速度係数、すなわち特定の療法薬品に許容されるハード限界である。キャッチアップ速度係数警報値176は、キャッチアップ速度係数に対するソフト限界である。一例では、スクリーン122は、ユーザがキャッチアップ速度係数警報値176を超える値をキャッチアップ速度係数値ボックス172に入力すると警報を提供するが、注入ポンプは、キャッチアップ速度係数がハード限界すなわちキャッチアップ速度係数限界値174を超えていない限り、ユーザが警報に肯定応答した後、すなわちソフト限界を無効にする決定を示した後にキャッチアップ速度係数を受け取る。キャッチアップ速度係数限界値174およびキャッチアップ速度係数警報値176は、特定のアプリケーションの必要に応じて、省略される、すなわちハイ値に設定され得ることは当業者には認識されよう。一実施形態では、「速度キャッチアップ許可」フラグ設定、キャッチアップ速度係数値ボックス172、キャッチアップ速度係数限界値174および/またはキャッチアップ速度係数警報値176に対するデフォルト値は、HOSPIRA MEDNET(登録商標)ソフトウェアなどのプログラムを編集する医薬品ライブラリの一部として遠隔コンピュータから注入ポンプにロードされ得る。別の実施形態では、「速度キャッチアップ許可」フラグ、キャッチアップ速度係数値ボックス172、キャッチアップ速度係数限界値174および/またはキャッチアップ速度係数警報値176に対するデフォルト値は、注入ポンプにおけるユーザによって注入ポンプにロードされ得る。別のハイブリッド実施形態では、デフォルト値は、ポンプにダウンロードされる医薬品ライブラリの中で確立されることが可能であり、医薬品ライブラリにおける設定によって許容される場合、後に、ポンプにおけるユーザによって無効にされるか、または修正されることが可能である。別の実施形態では、ユーザ個別化が一切許容されることなく、キャッチアップ速度挙動全体が製造者によって予め決定され、および、ポンプにハードコード化され得る。
【0039】
[00048]
図6Aおよび6Bは、それぞれ、本発明による、医薬品ライブラリを構成する
ためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースのスクリーンショットおよびグラフィカル・ユーザ・インタフェースの詳細である。グラフィカル・ユーザ・インタフェース200は、MMU12(
図2に示されている)の表示/入力デバイス38上に表示され、医薬品ライブラリを生成または更新するための、キャッチアップ速度係数、「速度キャッチアップ許可」フラグ設定、最大キャッチアップ速度係数設定、最大キャッチアップ速度係数警報設定、等々などのデータを受け取るために使用され得る。
【0040】
[00049]
図6Aおよび6Bを参照すると、グラフィカル・ユーザ・インタフェース20
0は、医薬品ライブラリデータベース内の異なる医薬品および療法薬品を受け取るための表201を含む。医薬品リスト202は、医薬品ライブラリ内の医薬品の名称のリストを含み、この名称は、ジェネリック名称、ブランド名称または両方であってもよい。医薬品リストは、同じ医薬品であるが、異なる濃度および臨床使用(心臓、腎臓、小児)のための複数の入力を含むことができる。「速度キャッチアップ許可フラグ(Allow Rate Catch−Up Flag)」リスト204は、速度キャッチアップが特定の医薬品入力に対して許容されるかどうかを決定するための、医薬品リスト202内の個々の医薬品/濃度/使用入力(短くして「医薬品入力」)のための速度キャッチアップ許容フラグ設定を含む。さらに、「速度キャッチアップ許可」フラグ設定は、ポンプタイプおよ
び/または臨床介護領域場所の関数であってもよい。最大速度キャッチアップリスト206は、速度キャッチアップが許容される、医薬品リスト202内の医薬品入力毎の最大キャッチアップ速度係数設定を含む。この最大キャッチアップ速度係数設定も、同じくポンプタイプおよび臨床介護領域場所の関数であってもよい。一実施形態では、許容可能最大キャッチアップ速度係数は、所定の間隔、例えば5%、10%、15%、20%、等々における一定の線形百分率である。また、表201は、医薬品最大キャッチアップ速度を制約すなわち制限する、MMU12およびHOSPIRA MEDNET(登録商標)ソフトウェアを介して既に構成済みの速度に対する通常の包括的制約(「下側ハード限界(Lower Hard Limit)」、「下側ソフト限界(Lower Soft Limit)」、「上側ソフト限界(Upper Soft Limit)」および/または「上側ハード限界(Upper Hard Limit)」などの他のパラメータを含むことも可能である。医薬品入力毎の最大キャッチアップ速度係数警報設定および他の医薬品最大キャッチアップ速度限界も、同じくポンプタイプおよび臨床介護領域場所の関数であってもよい。
【0041】
[00050]キャッチアップ速度係数は、実際の累積注入分量が期待累積注入分量未満であ
る場合に、キャッチアップ注入速度を得るための所望の注入速度に適用される単純な百分率である。いくつかのケースでは、所望の注入速度は、mL/時などの速度すなわち単位時間当たりの分量として直接入力される。他のケースでは、所望の注入速度は、投与量および患者の体重または身体表面積に基づく計算値である。例えば体重が100kgの患者に対して、10mL/kg/時の投与量が処方され得る。したがって所望の注入速度は、1000mL/時として計算されることになる。他のケースでは、所望の注入速度は、投与量およびコンテナ内の医薬品の濃度に基づいて計算される。例えば濃度が100mcgの医薬品を有する1000mLの流体コンテナから10mcg/時の投与量が送達されるべく処方されると、所望の注入速度は、100mL/時で計算される。当分野で知られている、計算された所望の注入速度を提供するための他の代替投与単位が存在している。一実施形態では、所望の注入速度にキャッチアップ速度係数が加えられる。別の実施形態では、所望の注入速度がキャッチアップ速度係数(例えば1.05)に掛け合わされる。一実施形態では、許容可能キャッチアップ速度係数は、ユーザによるキャッチアップ速度係数の選択をより容易にするために、所定の間隔、例えば5%、10%、15%、20%、等々における一定の線形百分率である。キャッチアップ速度係数は、線形調整を所望の注入速度に適用し、患者の生理学的係数からの何らかの入力に頼っていない。したがって構成可能閉ループ送達速度キャッチアップは分かりやすく、複雑なアルゴリズムまたは制御スキームに頼っていない。このアルゴリズムは、帰還機構の代わりに、経過時間の間にポンプによって送達される期待累積分量に対する測定累積分量にのみ基づいている。新しい速度Yは、単純な一次方程式X+AXまたはAXによって決定され、Aは、上で説明したキャッチアップ速度係数に等しい。
【0042】
[00051]ポンプタイプの関数としての「速度キャッチアップ許可」フラグ設定は、異な
るポンプタイプ、型およびモデル、ならびに様々なポンプタイプが使用される用法を考慮することができる。一例では、カートリッジを使用し、および、ステッパモータを使用してプランジャを駆動するあるポンプタイプが、生理食塩水、等々などの通常の注入のために使用されることが可能であり、したがって速度キャッチアップを許容する危険はほとんどない。別の例では、充填済み注射器を使用している別のポンプタイプが鎮痛薬またはアヘン薬のために使用されることが可能であり、したがって場合によっては速度キャッチアップを許容することは望ましくない。他のポンプタイプは、複数の用法すなわち療法を有することができ、場合によっては、このようなポンプタイプを使用して利用することができる複数の用法の各々に対して、キャッチアップ速度特徴のイネーブル化を制御することが望ましい。
【0043】
[00052]「速度キャッチアップ許可」フラグ設定は、臨床介護領域場所の関数であって
もよい。一例では、患者が深刻な状態すなわち危険な状態にある、救急室すなわち手術室などの治療領域で使用される注入ポンプは、場合によっては速度キャッチアップの許容を望まない。別の例では、患者が良好な状態にある治療領域で使用される注入ポンプは、場合によっては速度キャッチアップの許容を望む。
【0044】
[00053]表201は、特定のアプリケーションの必要に応じて他のデータを含むことも
可能であることは当業者には認識されよう。表201は、「外側医薬品ID番号(External Drug ID Numbers)」、「医薬品表示名称(Drug Display Names)」、「医薬品濃度/容器の容量(Drug Concentration/Container Volume)」、「選択医薬品規則セット(Selected Drug Rule Set)」(「ラベルのみ(Label Only)」、「制限(Limited)」、「全部(Full)」)、「医薬品投与ユニット(Drug Dosing Unit)」、「医薬品投与限界(Drug Dosing Limits)」(「下側ハード限界」、「下側ソフト/警報限界(Lower Soft/Alarm Limit)」、「上側ソフト/警報限界(Upper Soft/Alarm Limit)」および/または「上側ハード限界」)、等々などの異なる医薬品のための追加データのための他の例示的欄208を含むことができる。
【0045】
[00054]医薬品ライブラリは、特定のアプリケーションの必要に応じて、パラメータの
様々な組合せのための柔軟性を提供する。医薬品ライブラリは、医薬品ライブラリ内の異なる医薬品または医薬品入力のための異なる「速度キャッチアップ許可」フラグ設定を有することができる。医薬品ライブラリは、医薬品ライブラリ内の異なる医薬品のための異なる最大許容可能キャッチアップ速度係数設定を有することができる。医薬品ライブラリは、所与の医薬品のための異なる「速度キャッチアップ許可」フラグ設定および異なる最大キャッチアップ速度係数設定のうちの少なくとも1つを有する、医薬品ライブラリ内の複数の異なる臨床介護領域(CCA)にリストされている所与の医薬品を有することができる。
【0046】
[00055]
図7は、本発明による、構成可能閉ループ送達速度キャッチアップを使用した
注入ポンプを使用して注入するためにモデル化された、注入分量および注入速度対時間のグラフである。グラフ300は、期待累積注入分量310、実際の累積注入分量320および注入速度330を含む。
【0047】
[00056]期待累積注入分量310は、毎時100mLの所望の注入速度で直線的に増加
する。実際の累積注入分量320は、時間0:00から時間1:00まで、最初にプログラムされた注入速度、すなわち毎時100mLの所望の注入速度330で直線的に増加する。時間1:00で注入が中断され、したがって注入速度330はほぼゼロを維持し、また、実際の累積注入分量320は、注入が再開する時間1:15まで約100mLを維持する。時間1:15における実際の累積注入分量320は、期待累積注入分量310未満であり、したがって注入速度が15%のキャッチアップ速度係数だけ加速され、時間1:15から時間2:00まで、毎時115mLのキャッチアップ注入速度で注入が再開する。時間2:00では実際の累積注入分量320は、未だ期待累積注入分量310に完全に追いついておらず、注入が再び中断される。注入速度330はほぼゼロを維持し、また、実際の累積注入分量320は、注入が再開する時間2:10まで約200mLを維持する。時間2:10から時間3:20までの間は、実際の累積注入分量320が時間3:20で期待累積注入分量310と等しくなるまで、毎時115mLのキャッチアップ注入速度で注入が送達され、時間3:20で注入速度330が最初にプログラムされた注入速度、すなわち毎時100mLの所望の注入速度330に減速される。時間3:45で注入が再び中断され、したがって注入速度330はほぼ0を維持し、また、実際の累積注入分量3
20は、時間3:55で注入が再開するまで約375mLを維持する。時間3:55から時間4:40までの間は、実際の累積注入分量320が時間4:40で期待累積注入分量310と等しくなるまで、毎時115mLのキャッチアップ注入速度で注入が送達され、時間4:40で注入速度330が最初にプログラムされた注入速度、すなわち毎時100mLの所望の注入速度330に減速される。したがって3度の注入の中断にもかかわらず、計画された5:00には、500mLの所望の累積分量が送達される。
【0048】
[00057]
図8は、本発明による、構成可能閉ループ送達速度キャッチアップを使用した
注入ポンプのための制御モデルのブロック図である。制御モデル400は、注入分量計算器410、分量比較器420、ポンプコントローラー430、ポンプドライブ440およびフローインテグレータ450を含む。注入分量計算器410は、所望の注入速度信号412を受け取り、および、最初にプログラムされた所望の注入速度信号412および経過した時間から期待累積注入分量信号414を生成する。分量比較器420は、期待注入分量信号414および実際の累積注入分量信号452を受け取り、および、期待累積注入分量信号414および実際の累積注入分量信号452から分量エラー信号422を生成する。ポンプコントローラー430も所望の注入速度信号412および累積分量エラー信号422を同じく受け取り、および、所望の注入速度信号412および累積分量エラー信号422からポンプ駆動信号432を生成する。ポンプドライブ440は、注入442を送達するためのポンプ駆動信号432を受け取る。モデル化する目的のために、ポンプドライブ440は、注入442の送達を中断させることができる攪乱444にさらされる。攪乱は、それらに限定されないが、警報による停止、閉鎖および他の故障を含むことができる。フローインテグレータ450は、ポンプドライブ440および/または注入442を監視し、および、実際の累積注入分量信号452を生成するように動作することができる。一実施形態では、ポンプドライブ440は、注射器内のプランジャを移動させ、また、フローインテグレータ450は、ポンプドライブ/プランジャ位置を知覚する。別の実施形態では、ポンプドライブ440はステッパモータであり、フローインテグレータ450は、ポンプストロークすなわちモータステップを計数する。さらに別の実施形態では、ポンプドライブ440は回転ポンプであり、フローインテグレータ450はポンプの回転を計数する。本発明は、実際の流量および/または累積分量に関する必要な帰還を提供するための点滴計数デバイスが同じく適用され得る。駆動されるポンプに対する実施形態の説明に戻ると、ポンプ駆動信号432は、分量エラー信号422が、実際の累積注入分量が期待累積注入分量未満であることを示す閾値と合致した(等しいかおよび/またはそれより大きい)場合に、中断した注入の送達に追いつくためにキャッチアップ速度係数が掛け合わされた所望の注入速度信号412の関数である。ポンプ駆動信号432は、所望の注入速度信号412のみの関数であり、すなわち累積分量エラー信号422が、実際の累積注入分量が期待累積注入分量より大きいか、または等しいことを示している場合、最初にプログラムされた、すなわち設定された速度に戻る。
【0049】
[00058]
図9は、本発明による、構成可能閉ループ送達速度キャッチアップを使用した
注入システムと共に使用するための医薬品ライブラリを構成するための方法のフローチャートである。方法500は、投薬管理ユニットの医薬品ライブラリを修正するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供するステップ502、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上でキャッチアップ速度係数を受け取るステップ504、キャッチアップ速度係数を使用して医薬品ライブラリを更新するステップ506、および更新された医薬品ライブラリを注入ポンプのメモリに送信するステップ508を含む。方法500は、処理装置および処理装置に結合された記憶媒体を有する投薬管理ユニット上で実施されることが可能であり、記憶媒体は、方法500のステップを実施するために処理装置による実行が可能なプログラミングコードを含む。
【0050】
[00059]医薬品ライブラリは、特定のアプリケーションの必要に応じて、構成可能閉ル
ープ送達速度キャッチアップを使用した注入システムと共に使用するための医薬品ライブラリを構成するための方法のための追加設定を含むことができることは当業者には認識されよう。一実施形態では、医薬品ライブラリは、「イネーブル」設定および「ディセーブル」設定のうちの1つを有する「速度キャッチアップ許可」フラグ設定をさらに含むことができ、「速度キャッチアップ許可」フラグ設定は、医薬品/濃度/使用入力、ポンプタイプおよび臨床介護領域場所からなるグループから選択されるパラメータの関数である。別の実施形態では、医薬品ライブラリは、数値を有する最大キャッチアップ速度係数設定をさらに含むことができ、最大キャッチアップ速度係数設定は、医薬品入力、ポンプタイプおよび臨床介護領域場所からなるグループから選択されるパラメータの関数である。さらに別の実施形態では、医薬品ライブラリは、数値を有する最大キャッチアップ速度係数警報設定をさらに含むことができ、最大キャッチアップ速度係数警報設定は、医薬品入力、ポンプタイプおよび臨床介護領域場所からなるグループから選択されるパラメータの関数である。
【0051】
[00060]
図10は、本発明による、構成可能閉ループ送達速度キャッチアップを使用し
た注入ポンプを動作させるための方法のフローチャートである。方法600は、注入ポンプのための所望の注入速度を入力するステップ602、時間の関数としての期待累積注入分量を注入速度から計算するステップ604、所望の注入速度で注入を送達するよう注入ポンプに要求するステップ606、特定の時間における実際の累積注入分量を決定するステップ608、および実際の累積注入分量が期待累積注入分量未満であるかどうかを決定するステップ609を含む。実際の累積注入分量が期待累積注入分量未満である場合、方法600は、所望の注入速度をキャッチアップ速度係数だけ速くしてキャッチアップ注入速度を生成するステップ610、およびそのキャッチアップ注入速度で注入を送達するよう注入ポンプに要求するステップ612を継続する。実際の累積注入分量が期待累積注入分量未満ではない場合、方法600は、ポンプの出力を監視するステップ、および最初にプログラムされた注入速度、すなわち所望の注入速度で注入を送達するステップを継続する。方法600は、キャッチアップ注入速度における注入の送達の後、実際の累積注入分量が期待累積注入分量と等しくなると、最初にプログラムされた注入速度、すなわち所望の注入速度で注入を送達するよう注入ポンプに要求する612ことも可能である。実際の累積注入分量が期待累積注入分量と等しくなるか、または期待累積注入分量よりも多くなると、方法600は、処方された、すなわちプログラムされた全累積分量が送達されたか否かを決定するステップを継続する。方法600は、全分量が送達されると停止し、または送達されるべき分量が未だ残っている場合、ループバックしてステップ606を継続する。
【0052】
[00061]方法600は、注入ポンプにおけるユーザによる入力の提供を許容することも
可能である。方法600は、注入ポンプにおけるユーザによる、加速および送達速度キャッチアップ機能をディセーブルするために「ディセーブル」設定に設定する「速度キャッチアップ許可」フラグを入力するステップを含むことができる。方法600は、注入ポンプにおけるユーザによる、所望の値へのキャッチアップ速度係数を入力するステップを含むことができる。一実施形態では、キャッチアップ速度係数は、所定の間隔、例えば5%、10%、15%、20%、等々における一定の線形百分率である。他の実施形態では、医薬品ライブラリエディタまたはポンプは、ユーザによる値およびそれらの間の間隔のカスタム化をより柔軟にすることができる。
【0053】
[00062]方法600は、特定のアプリケーションの必要に応じて、キャッチアップ注入
速度を適用する前にユーザのアクションを要求しても、あるいは要求しなくてもよい。一実施形態では、キャッチアップ注入速度での注入の送達を注入ポンプに要求するステップ612は、ユーザのアクションを必要とすることなく、所望の注入速度をキャッチアップ速度係数だけ速くしてキャッチアップ注入速度を生成するステップ610によって自動的
に実施することができる。別の実施形態では、方法600は、所望の注入速度をキャッチアップ速度係数だけ速くしてキャッチアップ注入速度を生成するステップ610の前に、警報または警告を発するステップ、およびキャッチアップ注入速度で注入を送達するよう注入ポンプに要求するステップ612の前に、警告を認知し、および、キャッチアップ速度挙動が必要であることを確認するようユーザに要求するステップを含むことができる。別の実施形態では、方法600は、所望の注入速度をキャッチアップ速度係数だけ速くしてキャッチアップ注入速度を生成するステップ610の後に、警報または警告を発するステップ、およびユーザによるキャッチアップ速度挙動の確認または拒絶を許容するステップを含むことができる。キャッチアップ速度挙動が拒絶されると、注入は、最初にプログラムされた注入速度に戻る。
【0054】
[00063]また、方法600は、ユーザ入力に応答して、限界および警報を提供すること
も可能である。一実施形態では、方法600は、所望の値が最大キャッチアップ速度係数設定より大きい場合、入力されたキャッチアップ速度係数を拒絶するステップをさらに含む。別の実施形態では、方法600は、所望の値が最大キャッチアップ速度係数警報設定より大きい場合、警報を提供するステップをさらに含む。さらに別の実施形態では、方法600における、所望の注入速度をキャッチアップ速度係数だけ速くするステップは、特定の時間における実際の累積注入分量が期待累積注入分量未満である場合、警報を受け取るステップ、および所望の注入速度をキャッチアップ速度係数だけ速くしてキャッチアップ注入速度を生成するステップの前に、警報に肯定応答するステップを含む。
【0055】
[00064]方法600は、プロセッサおよびプロセッサに結合されたメモリを有する注入
ポンプ上で実施されることが可能であり、メモリは、方法600のステップを実施するためにプロセッサによる実行が可能なプログラミングコードを含む。一実施形態では、注入ポンプ14は、投薬管理ユニット12と電子通信することができ、また、キャッチアップ速度係数は、投薬管理ユニット12から送信され、医用デバイス14で受け取られる更新済み医薬品ライブラリの一部であってもよい。
【0056】
[00065]本明細書において使用されている「等しい」および「等しくない」(「〜未満
」、「〜より大きい」)という用語は、当分野で広く使用されており、すなわち測定および制御システムに存在する不確実性を考慮している。したがってこのような用語は、ほぼ等しい、〜に少し満たない、および/または〜より少し大きい、として読まれることが可能である。一例では、2つの値は、それらが互いに5%以内であれば等しいと見なされ得る。本発明の他の態様では、偏差またはヒステリシスの受入れ可能な閾値は、ポンプ製造者、医薬品ライブラリのエディタまたはポンプにおけるユーザによって確立され得る。
【0057】
[00080]本明細書において開示された本発明の実施形態は、現時点における好ましい実
施形態と見なされるが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更および修正が加えられ得る。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に示されており、等価物の意味および範囲の範疇であるすべての変更は、特許請求の範囲に包含されるものとする。