(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下において、本開示で提案する鞍乗型電動車両について説明する。本明細書では、鞍乗型電動車両の例として、
図1等で示す電動二輪車1について説明する。鞍乗型電動車両は、ライダーが跨がって座るシートを有する四輪又は三輪の電動車両であってもよい。
【0017】
図1等において、X1及びX2が示す方向をそれぞれ右方及び左方と称し、Z1及びZ2が示す方向をそれぞれ上方及び下方と称する。
図2に示すY1及びY2が示す方向をそれぞれ前方及び後方と称する。また、X1−X2で示す方向を車幅方向又は左右方向と称する。
【0018】
[車体概要]
図2に示すように、電動二輪車1は、前輪2と、後輪3と、前輪2を操舵するためのステアリングハンドル5と、ステアリングハンドル5の後方に配置されているシート6(
図1参照)とを有している。電動二輪車1は、ピボット29を介して車体フレーム20に連結されているリアアーム9を有している。リアアーム9の後部は後輪3の車軸に連結されている。電動二輪車1は、リアアーム9と車体フレーム20とに連結されるリアクッション11を有している。リアクッション11の下端はリアアーム9に連結され、リアアーム9の上端は車体フレーム20(より詳細には、後述するフレーム後部21C)に連結されている。
【0019】
図2に示すように、車体フレーム20は、その最前部に、ステアリングハンドル5が接続されているステアリングシャフトを支持するヘッドパイプ22を有している。ステアリングシャフトの下部には左右のフロントクッション8が接続されており、前輪2はフロントクッション8の下端で支持されている。
【0020】
車体フレーム20は右部21R(
図4A参照)と左部21L(
図4A参照)と有している。
図2で示すように、右部21Rと左部21Lのそれぞれは、ヘッドパイプ22から下方に伸びているフレーム前部21Aと、フレーム前部21Aから後方に伸びており車体下部に配置されているフレーム下部21Bと、フレーム下部21Bから後方且つ上方に斜めに伸びているフレーム後部21Cとを有している。3つの部分21A・21B・21Cは、1本のパイプで構成されてもよいし、互いに連結されている複数のパイプで構成されてもよい。また、車体フレーム20の右部21Rと左部21Lは、フレーム上部21Dを有している。フレーム上部21Dはフレーム前部21Aの途中から後方に伸びおり、車体の側面視においてフレーム下部21Bから上方に離れている。フレーム後部21Cの上部は、フレーム上部21Dの後部に接続している。シート6はフレーム上部21Dの後部の上側で支持されている。
【0021】
[バッテリ、モータドライブユニット、及びモータユニットの概要]
図5で示すように、電動二輪車1は、バッテリ50と、モータユニット40と、モータドライブユニット30とを有している。
【0022】
バッテリ50は複数のバッテリセルと、バッテリ50の充放電を制御する制御装置とを有している。バッテリ50は、バッテリセルと制御装置とを収容しているバッテリハウジング51を有している。バッテリ50は例えばリチウムイオンバッテリである。
【0023】
モータユニット40は、電動モータ41(
図8参照)と、電動モータ41を収容しているケース46とを有している。電動モータ41は電動二輪車1の駆動源であり、その回転は後輪3に伝えられる。電動二輪車1の例では、モータユニット40は減速機構42(
図8参照)を有している。減速機構42もケース46に収容されている。
【0024】
図8で示すように、ケース46は、例えば、電動モータ41を収容している右収容部46hと、減速機構42を収容している左収容部46iとを有する。右収容部46hの内部と左収容部46iの内部は区画されていてよい。
【0025】
図6で示すように、モータユニット40は、電動モータ41の回転中心Cmにある第1回転軸43(
図8参照)と、第1回転軸43から電動モータ41の半径方向に離れている第2回転軸44(
図8参照)とを有している。減速機構42は、回転軸43・44によって支持されている。電動モータ41の回転は第1回転軸43に入力される。減速機構42は第1回転軸43の回転を減速して第2回転軸44に伝える。
【0026】
減速機構42は例えばギア式であり、第1回転軸43で支持されるギアと第2回転軸44で支持されるギアとで構成される。減速機構42は例えばベルト式であってもよい。減速機構42は減速比の変更が可能な変速機であってもよい。
【0027】
第2回転軸44は、例えばモータユニット40の出力軸であり、ベルトや、チェーン、シャフトなどの回転伝達部品を介して後輪3に連結されている。電動二輪車1の例では、回転伝達部品はベルト12(
図2参照)であり、ベルト12の最前部が引っかかるプーリ44a(
図5参照)が第2回転軸44の端部に取り付けられている。リアアーム9を支持するピボット29(
図2参照)と、第2回転軸44は同じ軸線上で並んでいる。
【0028】
第1回転軸43は電動モータ41の回転中心Cmと同軸上にある。第2回転軸44は第1回転軸43より下方に位置している。また、第2回転軸44は第1回転軸43よりも前方に位置している。第2回転軸44のこのレイアウトによると、ホイールベースを増すことなく、第2回転軸44から後輪3の車軸までの距離(言い換えると、リアアーム9の長さ)を大きくできる。
【0029】
電動二輪車1の例とは異なり、第2回転軸44は第1回転軸43の真下に位置してもよいし、第1回転軸43より後方に位置してもよい。さらに他の例では、モータユニット40は第2回転軸44を有していなくてもよい。
【0030】
モータドライブユニット30は、ドライブ回路31(
図6参照)と、ドライブ回路31を収容しているケース36とを有している。ドライブ回路31は、バッテリ50の電力を利用して、ライダーのアクセル操作(ステアリングハンドル5に設けられているアクセルグリップの操作)に応じた電力を電動モータ41に供給する。電動モータ41は、交流モータ(例えば、3相交流モータ)である。ドライブ回路31はインバーターを含んでおり、バッテリ50が出力する直流電力を、車速に応じた周波数の交流電力に変換する。インバーターは、例えばFET(Field Effect Transistor)等の半導体スイッチング素子で構成される。
【0031】
電動二輪車1は、マイクロプロセッサやメモリーを有する車両制御ユニット(不図示)を有してよい。車両制御ユニットはアクセル操作に基づいて指令値(電流指令値)を算出し、指令値に応じた信号を出力する。ドライブ回路31はこの指令値に応じた電力を電動モータ41に供給する。車両制御ユニットの配置は特に限定されない。
【0032】
図2で示すように、バッテリ50は車体中央部に配置されている。バッテリ50の少なくとも前部はシート6(
図1参照)よりも前方に位置している。一例では、バッテリ50の全体がシート6より前方に位置する。これとは異なり、バッテリ50の前部だけがシート6より前方に位置し、バッテリ50の後部はシート6の下方に位置してもよい。バッテリ50の高さはシート6の前端よりも低い。
【0033】
モータユニット40は、バッテリ50の後方に位置し且つシート6の下方に位置している。モータドライブユニット30はバッテリ50とモータユニット40の間に位置している。すなわち、モータドライブユニット30はバッテリ50の後方に配置され、モータユニット40はモータドライブユニット30のさらに後方に配置されている。電動二輪車1の例では、モータドライブユニット30は、その前面及び後面が車体の前後方向に対して実質的に直交するように配置されている。同様に、バッテリ50の後面も車体の前後方向に対して実質的に直交するようにバッテリ50は配置されている。バッテリ50、モータドライブユニット30、及びモータユニット40は、車体の平面視において、車体フレーム20の右部21Rと左部21Lの間に位置している。バッテリ50、モータドライブユニット30、及びモータユニット40のそれぞれの一部は、車体フレーム20の右部21Rと左部21Lの外側に位置してもよい。
【0034】
[モータユニットの支持]
モータユニット40は車体フレーム20によって支持されている。
図5で示すように、モータユニット40(より詳細には、ケース46)は、車体フレーム20に取り付けられる上取付部46aと下取付部46bとを有している。モータユニット40が有している取付部の数は2つである。したがって、モータユニット40は、2つの取付部46a・46bよりも後方に、車体フレーム20に取り付けられる部位を有していない。このため、モータユニット40の後方に大きなスペースを確保できる。
【0035】
電動二輪車1の例では、シート6の下方且つモータユニット40の上方に、ヘルメットなどの備品を収納するための収納ケース13(
図2参照)が配置されている。モータユニット40は取付部46a・46bの後方に車体フレーム20に取り付けられる部位を有していないので、上取付部46aの後側で収納ケース13の深さを増すことができる。
【0036】
モータユニット40とシート6との間のスペースを利用する部品は、収納ケース13でなくてもよい。モータユニット40とシート6との間に、例えば、予備のバッテリが配置されてもよい。この場合、予備のバッテリの容量を増すことができる。
【0037】
[上取付部の位置]
ケース46の上面は、車体の側面視において、電動モータ41の外形に合わせて湾曲している。ケース46はその上面から上方に突出している凸部を有している。その凸部の端部に上取付部46aが形成されている。電動二輪車1の例において、上取付部46aは、後述する連結軸S1(
図6参照)が差し込まれる貫通孔が形成された部分である。
【0038】
図6で示すように、上取付部46aの位置は、電動モータ41の回転中心Cmよりも前方である。すなわち、取付部46aは回転中心Cmを通る鉛直面より前方である。この構造によると、回転中心Cmの真上に上取付部46aが位置する構造に比して、上取付部46aの位置を下げることができる。その結果、シート6とモータユニット40との間のスペース(電動二輪車1の例では、収納ケース13のためのスペース)を増すことできる。
【0039】
図6で示すように、上取付部46aの位置はモータドライブユニット30の上端36cよりも低い。このため、モータユニット40の上方に形成されるスペースに配置されている収納ケース13の容量を増すことができる。
【0040】
モータユニット40の上述した取付構造によると、モータユニット40の後方にスペースが確保されるので、リアクッション11の位置を前方に寄せることもできる。電動二輪車1の例では、リアクッション11の上端は、後輪3より前方で且つモータユニット40の上取付部46aより後方の位置において車体フレーム20に連結されている。その結果、電動二輪車1の走行時に、シート6を支持しているフレーム上部21Dの後部にリアクッション11を介して作用する振動を、軽減できる。電動二輪車1の例では、リアクッション11の上端は、車体の側面視において、モータユニット40の上方に位置している。一方、リアクッション11の下端は、後輪3よりも前方で且つモータユニット40より後方の位置において、リアアーム9に連結されている。リアクッション11の位置は、
図2で示した例に限られない。
【0041】
[上下の取付部の支持構造]
図4Bで示すように、車体フレーム20は、車体フレーム20の右部21Rと左部21Lとの間に掛け渡されるクロス部27・28を有している。クロス部27・28は上下方向で離れている。上クロス部27は、例えば、左右のフレーム後部21Cの中途部の間に掛け渡される。下クロス部28は、例えば、左右のフレーム後部21Cの下部(左右のフレーム下部21Bの後部)の間に掛け渡される。モータユニット40は、クロス部27・28によって支持されている。
【0042】
上クロス部27には左右のブラケット27a(
図4B参照)が取り付けられている。左右のブラケット27aは連結軸S1を支持している。上取付部46aは筒状であり、連結軸S1は上取付部46aに通されている。これによって、上取付部46aは、連結軸S1とブラケット27aとを介してクロス部27によって支持されている。
【0043】
図6で示すように、車体フレーム20は、左右のフレーム後部21Cの下部(言い換えれば、左右のフレーム下部21Bの後部)から斜め後方且つ下方に伸びているブラケット28aを有している。下クロス部28(
図3B参照)は左右のブラケット28aによって支持されている。下クロス部28には、後方に伸びている左右のブラケット28b(
図4B参照)が取り付けられている。左右のブラケット28bは連結軸S2を支持している。モータユニット40のケース46は、その前面46cの下部から斜め前方且つ下方に突出している凸部を有している。その凸部の端部に下取付部46bが形成されている。下取付部46bは貫通孔が形成されており、連結軸S2は下取付部46bに通されている。このようにして、下取付部46bは、ブラケット28b及び連結軸S2を介してクロス部28によって支持されている。
【0044】
フレーム後部21Cの下部には、リアアーム9のピボット29(
図2参照)を支持するブラケット25が固定されている。ブラケット25はフレーム後部21Cの下部から後方に伸びている。車体の側面視において、上クロス部27はブラケット25の上方に位置している。下クロス部28はブラケット25の下方且つ前方に位置している。車体フレーム20においてブラケット25が設けられている部分の剛性を、クロス部27・28によって増すことができる。
【0045】
[下取付部の位置]
モータユニット40のケース46の下部は、第2回転軸44上に配置されているギアの外形に合わせて湾曲している。下取付部46bは第2回転軸44の回転中心よりも前方に位置している。この構造によると、下取付部46bが第2回転軸44の下方に位置する構造に比して、下取付部46bの位置を高くできる。その結果、車体の最低地上高を確保しながら、モータユニット40の位置を下げることが可能となり、収納ケース13の容量を増すことができる。
【0046】
上述したように、下取付部46bは、ケース46の前面46cから斜め前方且つ下方に突出している凸部の端部に形成されている。したがって、下取付部46bの位置はモータユニット40のケース46の前面46cよりも前方である。また、下取付部46bが形成されている凸部の全体が第2回転軸44の回転中心よりも前方に位置している。これとは異なり、凸部の基部は第2回転軸44の回転中心の下方に位置し、凸部の前端(すなわち、下取付部46b)が、第2回転軸44の回転中心を通る鉛直面よりも前方に位置してもよい。
【0047】
下取付部46bは、第2回転軸44の回転中心よりも下方に位置している。すなわち、下取付部46bは、第2回転軸44の回転中心を通る水平面よりも下方に位置している。この構造によると、上取付部46aと下取付部46bとの上下方向での距離を増すことができるので、モータユニットの支持強度を増すことができる。
【0048】
下取付部46bの位置は、モータユニット40の下端46d(ケース46の下端)よりも高い。このことによって、下取付部46bが電動二輪車1の最低地上高に影響することを防ぐことができる。
【0049】
モータユニット40は必ずしも第2回転軸44を有していなくてもよい。この場合においても、上取付部46aと下取付部46bは電動モータ41の回転中心Cmよりも前方に位置しているのが望ましい。こうすることによって、上取付部46aと下取付部46bが電動モータ41の回転中心Cmの真上及び真下にそれぞれ配置される場合に比して、モータユニット40の上下方向でのサイズを低減できる。
【0050】
[モータドライブユニットとモータユニットとの相対位置]
モータユニット40の前方にモータドライブユニット30が配置されている。
図6で示すように、下取付部46aはモータドライブユニット30の下端36dよりも下方に位置している。この構造によると、下取付部46bとモータドライブユニット30との干渉を避けながら、モータユニット40の位置をモータドライブユニット30に近づけることが容易となる。その結果、車体の前後方向のサイズを小さくできる。電動二輪車1の例では、第2回転軸44の位置もモータドライブユニット30の下端36dよりも低い。
【0051】
下取付部46bの前端はモータドライブユニット30の後端よりも前方に位置している。これによって、モータユニット40とモータドライブユニット30とを小さなスペースに効率的に配置できる。電動二輪車1の例では、
図6で示すように、下取付部46bの前端はモータドライブユニット30の後面に形成されているフィン36eの後端よりも前方に位置している。電動二輪車1の例とは異なり、下取付部46bの位置はモータドライブユニット30の後端(フィン36e)より後方であってもよい。
【0052】
上述したように、下取付部46bは車体フレーム20によって支持されている。下取付部46bの支持構造は、モータドライブユニット30の下方に位置している。電動二輪車1の例では、
図6で示すように、下クロス部28と、下クロス部28から後方に伸びているブラケット28bとが、モータドライブユニット30の下方に位置している。これによって、モータドライブユニット30の下方のスペースが有効に利用されている。
【0053】
図6で示すように、モータドライブユニット30はバッテリ50に対して上方にオフセットしている。すなわち、上下方向でのモータドライブユニット30の中心は、上下方向でのバッテリ50の中心よりも上方に位置している。これによって、モータドライブユニット30の下面36fの高さが、バッテリ50の下面よりも上方である。そして、バッテリ50の下部の後方且つモータドライブユニット30の下方にスペースが形成され、このスペースに下クロス部28とブラケット28bとが配置されている。
【0054】
モータドライブユニット30の位置とバッテリ50の位置との関係は、電動二輪車1の例に限られない。例えば、モータドライブユニット30の位置は、バッテリ50の位置に対して上方にオフセットしていなくてもよい。この場合でも、モータドライブユニット30の上下方向でのサイズがバッテリ50の上下方向でのサイズよりも小さければ、モータドライブユニット30の下面36fの位置はバッテリ50の下面よりも高くなる。その結果、バッテリ50の下部の後方に形成されるスペースの有効利用が可能となる。
【0055】
[モータドライブユニットの支持構造]
図2で示すように、フレーム上部21Dとフレーム後部21Cとの間には上下方向で伸びている補強部21Eが掛け渡されている。
図4Bで示すように、補強部21Eには車幅方向の中心に向かって伸びているブラケット21g・21hが形成されている。モータドライブユニット30の上部(ケース36の上部)は、このブラケット21g・21hに前後方向において取り付けられている。また、
図4Bで示すように、下クロス部28にもブラケット28dが形成されている。モータドライブユニット30の下部はこのブラケット28dに前後方向で取り付けられている。
【0056】
[第1ケーブルハーネス]
図7で示すように、電動二輪車1は、電動モータ41とドライブ回路31とを電気的に接続する第1ケーブルハーネス61を有している。電動モータ41を駆動するための電力は、第1ケーブルハーネス61を通してドライブ回路31から電動モータ41に供給される。第1ケーブルハーネス61は複数の電力ケーブル61aを有している。電動モータ41は、例えば三相交流モータであり、第1ケーブルハーネス61は、例えば3本の電力ケーブル61aを含む。
【0057】
[第1ケーブルハーネスの余裕部]
モータユニット40はモータドライブユニット30の後方に位置している。電動モータ41とドライブ回路31とを接続する第1ケーブルハーネス61の長さは、それらを最短で繋ぐ長さよりも余裕を有している。そのため、
図7で示すように、第1ケーブルハーネス61は、その途中に、モータドライブユニット30の前面36gよりも前方に位置している部分61eを有している。以下では、この部分61eを「余裕部」と称する。
【0058】
電動二輪車1の組立工程において、モータドライブユニット30とモータユニット40とを第1ケーブルハーネス61によって接続している状態で、モータドライブユニット30の車体フレーム20への取付作業と、モータユニット40の車体フレーム20への取付作業とを順番に行うことがある。例えば、ユニット40・30を車体フレーム20に搭載する前に、それらを第1ケーブルハーネス61によって接続して検査することがある。その場合、その後のユニット40・30の取付作業は、ユニット40・30が第1ケーブルハーネス61によって接続されている状態で行われることとなる。この取付作業は、第1ケーブルハーネス61の長さの制約を受ける。電動二輪車1の例においては、モータドライブユニット30の前面36gよりも前方に位置している余裕部61eを第1ケーブルハーネス61が有しているので、第1ケーブルハーネス61の長さについて十分な余裕があり、その結果、ユニット40・30の取付作業の作業性を向上できる。
【0059】
図9で示すように、第1ケーブルハーネス61の一方の端部はモータドライブユニット30の側面に接続されている。第1ケーブルハーネス61の端部にはコネクタ61mが設けられている。コネクタ61mは、モータドライブユニット30の側面に設けられているコネクタ37aに接続されている。第1ケーブルハーネス61の他方の端部はモータユニット40に接続されている。上述したように、第1ケーブルハーネス61は3本の電力ケーブル61aを有している。各電力ケーブル61aの端部にコネクタ61nが設けられている。コネクタ61nは、モータユニット40に設けられている3つのコネクタにそれぞれ接続されている。
【0060】
[余裕部の詳細]
図7で示すように、第1ケーブルハーネス61は、余裕部61eに最前部61fを有している。最前部61fは、第1ケーブルハーネス61において最も前方に位置している部分である。最前部61fを通る鉛直面V3と、コネクタ61m(モータドライブユニット30側の端部)を通る鉛直面V4との距離は、コネクタ61mを通る鉛直面V4とコネクタ61n(モータユニット40側の端部)を通る鉛直面V5との距離よりも大きい。ここにおいて、鉛直面V4は、車体の側面視におけるコネクタ61mの中心を通る鉛直面である。鉛直面V5は3つのコネクタ61nのうち真ん中のコネクタ61nを通る鉛直面である。
【0061】
第1ケーブルハーネス61の余裕部61eは、車体の側面視において、180度以上に亘って湾曲している。電動二輪車1の例では、
図7で示すように、余裕部61eは、その内側の中心Cfの周りに規定される円弧Aに沿って湾曲している。円弧Aの角度θが180度以上である。電動二輪車1の例では、円弧Aに沿った湾曲部の全体が、モータドライブユニット30の前面36gよりも前方に位置している。電動二輪車1の例とは異なり、円弧Aに沿った湾曲部の一部だけがモータドライブユニット30の前面36gより前方に位置してもよい。このような湾曲部の存在によって、第1ケーブルハーネス61の延伸方向が、その途中で反転している。
【0062】
余裕部61eが沿っている円弧Aの曲率半径Rは、各電力ケーブル61aの直径の3倍より大きいのが望ましい。こうすることで、電力ケーブル61aに大きな負荷が作用することを防ぐことができる。曲率半径Rは、電力ケーブル61aの直径の4倍より大きいのがより望ましい。
【0063】
図9で示すように、第1ケーブルハーネス61は、モータドライブユニット30側のコネクタ61mの近傍に、車体の平面視において湾曲している湾曲部61gを有している。この湾曲部61gの曲率半径も、電力ケーブル61aの直径の3倍より大きいのが望ましい。この湾曲部61gの曲率半径も、電力ケーブル61aの直径の4倍より大きいのがより望ましい。
【0064】
図7で示すように、モータユニット40側のコネクタ61nは、モータドライブユニット30側のコネクタ61mの後方に位置している。言い換えると、コネクタ61m・61nは概ね同じ高さに位置している。そのため、車体の側面視において、コネクタ61mとコネクタ61nの双方と交差する前後方向に沿った直線L1が存在する。電動二輪車1の例では、直線L1はモータユニット40側のコネクタ61nのうち真ん中のコネクタ61nに交差している。この構造によると、コネクタ61m・61nの直線距離が小さくなる。そのため、第1ケーブルハーネス61の長さの余裕が相対的に大きくなる。
【0065】
第1ケーブルハーネス61の余裕部61eは、車体の側面視において、モータドライブユニット30の前方に配置されているバッテリ50と重なっている。このため、前後方向で並んでいるモータユニット40、モータドライブユニット30、及びバッテリ50をコンパクトにレイアウトできる。また、バッテリ50を利用して第1ケーブルハーネス61の位置を規定できる。例えば、
図9で示すように、バッテリ50の側面に形成されたケーブル取付部51eに、クランプ部材71を利用して余裕部61eを留めることができる。
【0066】
[モータドライブユニットとバッテリとの相対位置]
モータドライブユニット30の右側面36hは、
図8で示すように、バッテリ50の右側面51aに対して、車幅方向の中心寄りに位置している。つまり、車体の平面視において、モータドライブユニット30の右側面36hはバッテリ50の右側面51aに対して凹んでいる。このため、バッテリ50の右部の後方にスペースが確保されている。第1ケーブルハーネス61は、モータドライブユニット30の右側面36hに設けられたコネクタ37aから右方に突出している(
図9参照)。モータドライブユニット30のこの配置によると、第1ケーブルハーネス61がモータドライブユニット30の右側面36hから突出することに起因して車幅が大きくなることを、防ぐことができる。
【0067】
電動二輪車1の例では、モータドライブユニット30はバッテリ50に対して左方にオフセットしている。すなわち、左右方向におけるモータドライブユニット30の中心は、左右方向におけるバッテリ50の中心に対して左方にずれている。このことによって、バッテリ50の右部の後方に、第1ケーブルハーネス61とモータドライブユニット30の左側面0の接続のためのスペースが確保されている。このスペースには、後述する第2ケーブルハーネス62のモータドライブユニット30側の端部も配置されている。
【0068】
[モータドライブユニットとモータユニットとの相対位置]
図8で示すように、モータユニット40は、モータドライブユニット30の右側面36hよりも右方に位置している部分40aを有している。以下では、この部分40aを最右部と称する。モータユニット40の最右部40aには電動モータ41の一部が配置されている。第1ケーブルハーネス61のコネクタ61nは、モータユニット40の最右部40aに接続されている。第1ケーブルハーネス61は、車体の平面視において、モータユニット40の最右部40aから前方に伸びている。このように第1ケーブルハーネス61がモータユニット40から前方に伸びているので、車幅の増大を抑えることができる。
【0069】
[第1ケーブルハーネスの全体]
図7で示すように、第1ケーブルハーネス61は、車体の側面視において、モータユニット40の最右部40aから斜め上方且つ前方に伸び、余裕部61eにおいて180度以上に亘って湾曲している。第1ケーブルハーネス61の端部(コネクタ61m)は、モータドライブユニット30の右側面36hに設けられたコネクタ37aに接続している。
【0070】
図3で示すように、第1ケーブルハーネス61においてモータドライブユニット30の前面36gより前方に位置する部分の位置(余裕部61eにおいて最も高い位置)は、フレーム上部21Dよりも低い。また、余裕部61eの位置(余裕部61eにおいて最も高い位置)は、バッテリ50の上端よりも低い。電動二輪車1の例において、バッテリ50の上端は、後述する第2ケーブルハーネス62が留められるケーブル取付部51hの上端である。
【0071】
第1ケーブルハーネス61の位置や接続は、電動二輪車1の例に限られない。例えば、第1ケーブルハーネス61は、モータユニット40の左部から斜め上方且つ前方に伸びていてもよい。そして、第1ケーブルハーネス61は、モータドライブユニット30の左側面36iに接続していてもよい。
【0072】
[検査の例]
第1ケーブルハーネス61は十分な余裕部61eを有しているので、ユニット30・40の検査のために第1ケーブルハーネス61によってユニット30・40を接続し、その後にユニット30・40を順番に車体フレーム20に取り付ける場合において、ユニット40・30の取付作業の作業性を向上できる。ユニット30・40の取付作業の前に行う検査は、例えば、モータユニット40のケース46と、モータドライブユニット30のケース36の気密性についての検査である。
【0073】
この検査は、例えば次のように実行される。モータユニット40とモータドライブユニット30とを第1ケーブルハーネス61で接続する。モータユニット40のケース46には、ケース46の内部と外部との間での空気の流通を許容するブリーザホース47A・47B(
図8参照)が接続されている。ブリーザホース47Aは、ケース46において電動モータ41を収容している右収容部46hに接続し、その内部の気圧を調整する。ブリーザホース47Bは、ケース46において減速機構42を収容している左収容部46iに接続し、その内部の気圧を調整する。検査時においては、このブリーザホース47A・47Bを通してケース46に空気を圧送し、ケース46の気密性を検査できる。また、モータユニット40とモータドライブユニット30とが第1ケーブルハーネス61を通して接続されているので、モータドライブユニット30の気密性も検査できる。
【0074】
[第2ケーブルハーネス]
電動二輪車1は、
図3で示すように、ドライブ回路31とバッテリ50とを電気的に接続する第2ケーブルハーネス62を有している。バッテリ50の電力は第2ケーブルハーネス62を通してバッテリ50からドライブ回路31に供給される。第2ケーブルハーネス62は、2本の電力ケーブル62aを含んでいる。
【0075】
図8で示すように、第1ケーブルハーネス61と第2ケーブルハーネス62の双方は、左右方向での車体の中心に対して同じ方向に配置されている。上述したように、第1ケーブルハーネス61のコネクタ61mは、モータドライブユニット30の右側面36hに設けられたコネクタ37aに接続されている。
図9で示すように、第2ケーブルハーネス62の後端には、モータドライブユニット30の右側面36hに設けられたコネクタ37bに接続されているコネクタ62mが設けられている。モータドライブユニット30の右側面36hは、バッテリ50は右側面51aに対して車幅方向の中心寄りに位置しているため、バッテリ50の右部の後方にスペースが確保されている。このスペースを利用して、第1ケーブルハーネス61のコネクタ61mと第2ケーブルハーネス62のコネクタ62mが配置されている。このことによって、電動二輪車1の車幅の増大を抑えることができる。
【0076】
図3で示すように、第2ケーブルハーネス62の前端は、バッテリ50の右側面51aに接続されている。より詳細には、第2ケーブルハーネス62の2本の電力ケーブル62aは、その前端に、コネクタ62nを有している。バッテリ50は、その最前部50aの下部の右側面に、2つのコネクタを有している。第2ケーブルハーネス62のコネクタ62nは2つのコネクタにそれぞれ接続している。
【0077】
[2本のケーブルハーネスの交差]
図7で示すように、第2ケーブルハーネス62は、第1ケーブルハーネス61に対して右方に位置している。すなわち、第2ケーブルハーネス62は、第1ケーブルハーネス61に対して車幅方向の外方に位置している。第2ケーブルハーネス62は、車体の側面視において第1ケーブルハーネス61と交差し、クランプ部材72(
図9参照)によってバッテリ50に留められている。このことによって、第1ケーブルハーネス61の位置が車幅方向の外方に動くことを規制できる。第2ケーブルハーネス62が留められる部品は、バッテリ50でなくてもよい。例えば、第2ケーブルハーネス62は車体フレーム20に留められてもよい。
【0078】
電動二輪車1の例では、
図7で示すように、第1ケーブルハーネス61は、モータユニット40に接続しているコネクタ61nから斜め上方且つ前方に伸びている。その後、第1ケーブルハーネス61は下方に湾曲している。第2ケーブルハーネス62のコネクタ62m(モータドライブユニット30の側のコネクタ)は、第1ケーブルハーネス61のコネクタ61mの上方に位置している。第2ケーブルハーネス62は、コネクタ62mから上方に伸び、第1ケーブルハーネス61と交差している。一例において、第2ケーブルハーネス62の外面と第1ケーブルハーネス61の外面は接していているが、それらは必ずしも接していなくてもよい。
【0079】
第1ケーブルハーネス61の余裕部61eもクランプ部材71によってバッテリ50に留められている(
図9参照)。第1ケーブルハーネス61と第2ケーブルハーネス62とが交差する位置はバッテリ50よりも後方であり、クランプ部材71の位置から離れている。つまり、第2ケーブルハーネス62は、クランプ部材71から離れた位置において、第1ケーブルハーネス61の動き(右方への動き)を規制している。
【0080】
[第2ケーブルハーネスの配置]
第2ケーブルハーネス62は、例えばバッテリ50の上側に配置され、車体の平面視においてバッテリ50と重なる。第2ケーブルハーネス62のこの配置によると、第2ケーブルハーネス62に起因して車幅が増すことを、防ぐことができる。
【0081】
バッテリ50は、その上面に、上方の突出している複数のケーブル取付部51h(
図3参照)を有している。第2ケーブルハーネス62はバッテリ50の上側で前方に伸びている。そして、第2ケーブルハーネス62は、クランプ部材72によってケーブル取付部51hに留められている。
【0082】
ケーブル取付部51hの位置は、バッテリ50の右側面51aよりも車幅方向での中心寄りに位置している。このため、第2ケーブルハーネス62の位置も右側面51aよりも車幅方向での中心寄りとなり、その結果、と第2ケーブルハーネス62と交差する第1ケーブルハーネス61の位置を車幅方向での中心に向けて寄せることができる。
【0083】
バッテリ50の最前部50aの左右方向での幅は、最前部50aよりも後方の部分での幅よりも小さい。バッテリ50は、その最前部50aの右側面にコネクタを有している。第2ケーブルハーネス62はバッテリ50の上面に沿って前方に延伸し、その後に屈曲し、バッテリ50の最前部50aの右側面に沿って下方に伸びている。そして、第2ケーブルハーネス62のコネクタ62nは、最前部50aの右側面に設けられているコネクタに接続している。このようなバッテリ50の形状及び第2ケーブルハーネス62の配置によると、第2ケーブルハーネス62に起因して車幅が増すことを、防ぐことができる。
【0084】
[ケーブルハーネスの配置の他の例]
なお、ケーブルハーネス61・62のレイアウトは、電動二輪車1の例に限られない。例えば、第1ケーブルハーネス61が第2ケーブルハーネス62に対して車幅方向の外方に位置してもよい。この場合、第2ケーブルハーネス62の位置が車幅方向の外方に動くことを、第1ケーブルハーネス61によって防ぐことができる。
【0085】
さらに他の例では、ケーブルハーネス61・62は、車幅方向の中心に対して左方に配置されてもよい。この場合でも、2つのケーブルハーネス61・62は交差し、一方のケーブルハーネスが他方のケーブルハーネスの動き(車幅方向の外方への動き)を規制してもよい。
【0086】
さらに他の例では、第1ケーブルハーネス61は、モータユニット40から斜め前方且つ下方に伸びてもよい。その後に、第1ケーブルハーネス61は上方に湾曲して、モータドライブユニット30の右側面36hに接続してもよい。この場合、第2ケーブルハーネス62は、バッテリ50の右側面51aに沿って配置され、第1ケーブルハーネス61の位置が動くことを規制してもよい。バッテリ50の右側面51aに沿って配置される第2ケーブルハーネス62は、車体フレーム20のフレーム下部21Bに留められてもよい。
【0087】
[モータドライブユニットのための空気ガイド]
モータドライブユニット30のケース36は、その後面に放熱部を有している。
図10で示すように、ケース36は、放熱部として複数のフィン36eを有している。ケース36は、その後面を構成する後プレート36Aを有している。後プレート36Aの後面にフィン36eが形成されている。ケース36は箱状であり、その内側にドライブ回路31(
図6参照)が配置されている。ドライブ回路31は後プレート36Aに取り付けられている。ドライブ回路31の熱は後プレート36Aに伝わり、フィン36eから放出される。ケース36は、ドライブ回路31の前側を覆い、後プレート36Aと前後方向で組み合わされる前ケース部36Bを有している。後プレート36Aと、前ケース部36Bは金属で形成されている。
【0088】
上下方向及び左右方向でのバッテリ50のサイズは、モータドライブユニット30よりも大きい。車体の正面視において、モータドライブユニット30はバッテリ50と重なるように配置されている。そのため、電動二輪車1の走行時、モータドライブユニット30への空気流の少なくとも一部はバッテリ50によって遮られる。
【0089】
図10で示すように、電動二輪車1は空気ガイド77を有している。空気ガイド77は、ケース36の後面を覆っているカバー部77Aを有している。電動二輪車1の例では、カバー部77Aはケース36の後面に形成されている複数のフィン36eの全体を覆っている。ケース36の後面とカバー部77Aとの間には空気流路が形成されている。各フィン36eは左右方向で伸びており、複数のフィン36eは上下方向で並んでいる。カバー部77Aとケース36の後面との間には、左右方向で伸びている空気流路が確保されている。
【0090】
空気ガイド77はモータドライブユニット30に取り付けられてよい。この構造によると、モータドライブユニット30と空気ガイド77との距離を適切に設定できる。電動二輪車1の例では、後プレート36Aの後面に形成されている複数の取付部36jに空気ガイド77は取り付けられている。
【0091】
図9で示すように、空気ガイド77の上部の縁には、複数の取付部77e・77fが形成されている。モータユニット40に接続されている上述したブリーザホース47A・47Bの前端は、例えば、この取付部77e・77fによって保持される。これとは異なり、ブリーザホース47A・47Bの先端は、車体フレーム20(例えば、ブラケット21g・21h)によって保持されてもよい。
【0092】
[張り出し部]
空気ガイド77は、カバー部77Aから左方に伸びている張り出し部77Bを有している。張り出し部77Bは、モータドライブユニット30の左側面36iを超えて左方に伸びている。この構造によると、張り出し部77Bを利用して、ドライブ回路31を冷却するための空気をケース36の後面に送ることができる。
【0093】
なお、張り出し部77Bが伸びている方向は、バッテリ50とモータドライブユニット30とが並んでいる方向(電動二輪車1の例では、前後方向)に対して交差する方向であれば、必ずしも左方でなくてもよい。例えば、張り出し部77Bはカバー部77Aから右方に伸びて、モータドライブユニット30の右側面36hの位置を超えてもよい。さらに他の例として、張り出し部77Bはカバー部77Aから下方に伸びて、モータドライブユニット30の下面の位置を超えてもよい。張り出し部77Bは斜め左方や、斜め右方、斜め下方に伸びていてもよい。
【0094】
[空気ダクト]
電動二輪車1の例では、張り出し部77Bに空気ダクト78が接続されている。空気ダクト78は、張り出し部77Bから前方に伸びている。空気ダクト78の前端は、例えば、前方に開口している。この構造によると、車両の走行時に、空気ダクト78の前端で取り込まれた空気は、空気ダクト78を通して空気ガイド77に送られる。空気は、カバー部77Aとケース36の後面との間(すなわち、複数のフィン36eとカバー部77Aとの間)を通過する。
【0095】
図5で示すように、空気ダクト78は、バッテリ50の上側に配置されている。これによると、空気ダクト78が車幅を増大することを防ぐことができる。電動二輪車1は、バッテリ50の上側と右側面及び左側面を覆う車体カバー14(
図1参照)を有している。空気ダクト78はこの車体カバー14とバッテリ50との間に配置されている。
【0096】
空気ダクト78の前端は、例えば、前輪2の後方に位置している。
図1で示すように、電動二輪車1は、前輪2の後方且つバッテリ50の前方に位置しているバッテリガード15を有している。バッテリガード15には開口15aが形成されている。空気ダクト78の前端はこの開口15aに接続している。車体の正面視において、開口15aは、前輪2を支持している左右のクッション8の間に位置している。
【0097】
空気ダクト78の前端(開口)の位置は、電動二輪車1の例に限られない。例えば、バッテリ50の右側面と左側面とを覆う車体カバー14に開口が形成され、この開口に空気ダクト78の前端が接続してもよい。
【0098】
図8で示すように、モータドライブユニット30の位置はバッテリ50に対して左方にずれている。すなわち、左右方向におけるモータドライブユニット30の中心は、左右方向におけるバッテリ50の中心に対して左方にずれている。そのため、張り出し部77Bを利用してケース36の後面に送ることが容易となる。電動二輪車1の例では、モータドライブユニット30の左側面36iはバッテリ50の左側面51bよりも左方に位置している。張り出し部77Bは、バッテリ50の左側面51bの位置を超えて左方に伸びていてもよい。
【0099】
[排気口]
図9で示すように、フィン36eを覆っているカバー部77Aを挟んで張り出し部77Bとは反対側に排気口Eが形成されている。電動二輪車1の例では、排気口Eは右方に開口している。カバー部77Aとケース36の後面との間(すなわち、カバー部77Aと複数のフィン36eの間)を通過した空気は、排気口Eから排出される。
【0100】
なお、排気口Eと張り出し部77Bの位置は、電動二輪車1の例に限られない。張り出し部77Bはカバー部から下方に伸びてもよい。この場合、排気口Eは上方に開口し、各フィン36eは上下方向において伸びていてもよい。また、排気口Eは直交する2方向に開口してもよい。例えば、排気口Eは下方と右方とに開口してもよい。この場合、ケース36の放熱部はフィン36eに替えて、複数の柱状突起であってもよい。
【0101】
[張り出し部の形状]
図11で示すように、張り出し部77Bの幅(左右方向での幅)は、ダクト78の接続位置から上方及び下方に離れるに従って小さくなっている。
図11では、張り出し部77Bの幅の最大に符号W1が付されている。張り出し部77Bの上部77aの幅は上方及び下方に離れるに従って小さくなっている。一方、張り出し部77Bの下部77bの幅は上部77aよりも小さく、且つ上下方向において一定である。
【0102】
電動二輪車1の例では、モータドライブユニット30はバッテリ50の後方には位置されている一方で、空気ダクト78は、バッテリ50の上側に配置されている。そのため、空気ダクト78の前端で導入された空気は、後方且つ下方に向かって斜めに流れる。張り出し部77Bの幅がカバー部77Aの上端から下端に向かって均等であると、空気は下部のフィン36eに集中的に流れる。これに対して、電動二輪車1の例では、張り出し部77Bの幅はカバー部77Aの下部77bにおいて小さいので、下部のフィン36eに集中的に空気が流れることを防ぐことができる。つまり、複数のフィン36eの全体に空気を送ることができる。
【0103】
[空気ガイドの変形例]
なお、電動二輪車1は空気ダクト78を有していなくてもよい。
図12及び
図13は、空気ダクト78が設けられていない構造の例を示す図である。
【0104】
図12及び
図13で示す例では、モータドライブユニット30に空気ガイド177が取り付けられている。空気ガイド177は、カバー部177Aから左方に伸びている張り出し部177Bを有している。張り出し部177Bは前方に向かって露出している前面177cを有している。また、張り出し部177Bの縁は前方に向かって湾曲している。張り出し部177Bは、モータドライブユニット30の左側面36iを超えて左方に伸びている。電動二輪車1の走行時、張り出し部177Bで空気を受ける。その空気は張り出し部177Bで案内されて、カバー部177Aとケース36の後面との間を通過し、排気口Eから排出され得る。張り出し部177Bの幅は、カバー部177Aの上端から下端まで均等である。
【0105】
さらに他の例として、空気ガイド77は、右側のカバー部77Aと左側のカバー部77Aとを有し、それらの間に排気口Eを有してもよい。この場合、空気ガイド77は、右側のカバー部77Aから右方に伸びている張り出し部77Bと、左側のカバー部77Aから左方に伸びている張り出し部77Bとを有してもよい。
【0106】
[まとめ]
(1)電動二輪車1は、ドライブ回路31を収容し且つ放熱部を有している後面を有しているケース36を有しているモータドライブユニット30と、モータドライブユニット30の前方に位置し、モータドライブユニット30への空気流の少なくとも一部を遮る遮蔽物(バッテリ50)と、空気ガイド77とを有している。空気ガイド77は、ケース36の後面を覆っているカバー部77Aを有し、カバー部77Aとケース36の後面との間に空気の流路を形成している。また、空気ガイド77は、カバー部77aから左方に向かって伸びておりモータドライブユニット30の左側面36iを超えている張り出し部77Bを有している。この構造によると、モータドライブユニット30の前方に遮蔽物(バッテリ50)がある場合でも、モータドライブユニット30の冷却のために送る空気量を増すことができる。
【0107】
(2)上下方向と左右方向のうち少なくとも一方の方向での遮蔽物(バッテリ50)のサイズは、前記少なくとも一方の方向でのモータドライブユニット30のサイズよりも大きい。
【0109】
(4)空気ガイド77はモータドライブユニット30に取り付けられている。この構造によると、モータドライブユニット30と空気ガイド77との距離を適切に設定できる。
【0110】
(5)モータドライブユニット30の位置は車幅方向における遮蔽物(バッテリ50)の中心に対して左方にずれていている。この構造によると、遮蔽物の左側面51bを通過する空気を張り出し部77Bで受けやすくなる。
【0111】
(6)モータドライブユニット30のケース36の後面は、放熱部として、左右方向で伸びている複数のフィン36eを有している。
【0112】
(7)カバー部77Aを挟んで張り出し部77Bとは反対側に、排気口Eが形成されている。
【0113】
(8)張り出し部77Bには空気の流路である空気ダクト78が接続されている。この構造によると、モータドライブユニット30のレイアウトについての自由度を増すことができる。
【0114】
(9)空気ダクト78は、前方に向かって開口している端部を有している。
【0115】
(10)張り出し部177は前方に向かって露出している前面177cを有してよい。
【0116】
なお、本開示で提案する電動二輪車の構造は、電動二輪車1の例に限られず、種々の変形がなされてよい。
【0117】
例えば、電動二輪車1においては、第1ケーブルハーネス61が余裕部61eを有していたり、バッテリ50とモータユニット40との間にモータドライブユニット30が配置されていたり、モータユニット40に2つの取付部46a・46bが設けられていたりする。しかしながら、モータドライブユニット30に空気ガイド77が設けられていることを特徴とする電動二輪車の構造((1)で言及する構造)は、これとは異なるレイアウトを有する電動二輪車に適用されてもよい。