特許第6972088号(P6972088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972088
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】補助力設定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   A61H3/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-224593(P2019-224593)
(22)【出願日】2019年12月12日
(62)【分割の表示】特願2015-206202(P2015-206202)の分割
【原出願日】2015年10月20日
(65)【公開番号】特開2020-37021(P2020-37021A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0166234
(32)【優先日】2014年11月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】▲ひょん▼ 乘 龍
(72)【発明者】
【氏名】沈 榮 輔
(72)【発明者】
【氏名】安 成 桓
【審査官】 菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0310979(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0330431(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行補助装置のユーザの身体情報に基づいてモデリングされた参照歩行モデルを外部ソースから受信する受信部と、
前記参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置が前記ユーザに提供する補助力を調整して、前記ユーザが歩行に消費するエネルギーを最小とする最適の補助力を設定する補助力設定部と、
を含み、
前記補助力設定部は、前記ユーザの能動的な歩行に伴う、前記ユーザの筋肉が発生する力、前記ユーザの筋肉の移動速度、前記ユーザの移動距離、及び、前記ユーザの筋肉の質量用いて前記ユーザが歩行に消費するエネルギーを算出する、
歩行補助装置。
【請求項2】
前記歩行補助装置が動作する第1動作モード及び第2動作モードのいずれか1つのモードで動作するかを選択する選択部をさらに含み、
前記第1動作モードは、前記歩行補助装置が前記ユーザに前記補助力を提供し、
前記第2動作モードは、前記歩行補助装置が前記最適の補助力を設定し、
前記補助力設定部は、前記選択部で前記第2動作モードが選択された場合、前記最適の補助力を設定する、
請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項3】
前記補助力設定部は、前記ユーザが歩行に消費するエネルギーを算出し前記算出されたエネルギー量に基づいて前記補助力を調整する、
請求項1に記載の歩行補助装置。
【請求項4】
前記補助力設定部は、初期補助力プロファイルを生成し、前記初期補助力プロファイルは、前記参照歩行モデルに基づいて周期に応じて変化する前記補助力の変化軌跡を示し、前記初期補助力プロファイルから前記変化軌跡を調整することによって前記ユーザが歩行に消費するエネルギーが最小となる最適の補助力プロファイルを抽出する、
請求項3に記載の歩行補助装置。
【請求項5】
前記ユーザの股関節角度及び股関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器をさらに含み、
前記補助力設定部は、前記参照歩行モデルに基づいて前記駆動器のゲインを調整することによって前記ユーザが歩行に消費するエネルギーが最小となる最適の前記ゲインを決定する、
請求項3または4に記載の歩行補助装置。
【請求項6】
ユーザの脚に着用される補助装置と、
前記補助装置が駆動するように補助力を生成する駆動器と、
前記ユーザの身体情報に基づいて前記ユーザの歩行をモデリングした参照歩行モデルに基づいて、前記ユーザが歩行に消費するエネルギーを最小とする最適の補助力を決定するコントローラと、
を含み、
前記コントローラは、前記ユーザの能動的な歩行に伴う、前記ユーザの筋肉が発生する力、前記ユーザの筋肉の移動速度、前記ユーザの移動距離、及び、前記ユーザの筋肉の質量用いて前記ユーザが歩行に消費するエネルギーを算出する、
歩行補助装置。
【請求項7】
前記身体情報は、前記ユーザの関節情報、筋肉情報、及び神経情報のうち1つ以上である、
請求項6に記載の歩行補助装置。
【請求項8】
前記コントローラは、一般身体モデルに前記ユーザに関する前記身体情報を適用することによって前記参照歩行モデルを生成する、
請求項6または7に記載の歩行補助装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記ユーザが歩行に消費する新陳代謝のエネルギー量に基づいて前記補助力を算出する、
請求項6乃至8いずれか一項に記載の歩行補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助力設定方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、高齢化社会の深刻化に伴って関節に問題が発生し、これに対する痛みと不自由を訴える人が増加している。これにより、関節の不自由な老人や患者の歩行を円滑にする歩行補助装置に対する関心が高まっている。また、軍事用などの目的で人体の筋力を強化させるための歩行補助装置が開発されている。
【0003】
例えば、歩行補助装置は、ユーザの胴体に装着される胴体フレーム、胴体フレームの下側に結合してユーザの骨盤を取り囲む骨盤フレームと、ユーザの大腿部及びふくらはぎ、足部位に装着される大腿部フレーム、ふくらはぎフレーム、足フレームから構成される。骨盤フレームと大腿部フレームは股関節部によって回転可能に連結され、大腿部フレームとふくらはぎフレームは膝関節部により回転可能に連結され、ふくらはぎフレームと足フレームは足首関節によって回転可能に連結されている。
【0004】
最近では、ユーザがより便利に歩行できるように補助するための研究が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、補助力設定方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る補助力設定装置は、ユーザの身体情報を抽出する身体情報抽出部と、人体モデルに前記身体情報を適用して参照歩行モデルを生成する参照歩行モデル生成部と、前記参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置が前記ユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定する補助力設定部とを含む。
【0007】
前記身体情報は、前記ユーザに関する関節情報、筋肉情報、及び神経情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0008】
前記身体情報抽出部は、動きキャプチャ装置又はフォースプレート装置のうち少なくとも1つを用いて前記関節情報を決定してもよい。
【0009】
前記補助力設定部は、前記ユーザに関するMCOT(Metabolic Cost Of Transport)を算出することによって前記ユーザが歩行に消費する新陳代謝のエネルギー量を決定し、前記決定された新陳代謝のエネルギー量に基づいて前記補助力を調整してもよい。
【0010】
前記補助力設定部は、歩行のために前記ユーザの筋肉が用いる力、前記筋肉の移動速度、前記ユーザの移動距離、及び前記筋肉の質量を用いて前記MCOTを算出してもよい。
【0011】
前記補助力設定部は、初期補助力プロファイルを生成し(前記初期補助力プロファイルは、前記参照歩行モデルに基づいて周期に応じて変化する前記補助力の変化軌跡を示す)、前記初期補助力プロファイルから前記変化軌跡を調整することによって前記MCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを決定してもよい。
【0012】
前記補助力設定部は、前記MCOTが最小となるまで、前記MCOTが減少するように前記変化軌跡を調整してもよい。
【0013】
前記補助力設定部は、前記変化軌跡の調整による前記MCOTの変化率を決定してもよい。
【0014】
前記補助力設定部は、動的計画法又はRRT(Rapidly−exploring Random Tree)を用いて前記最適の補助力プロファイルを決定してもよい。
【0015】
前記ユーザのヒップの関節角度及びヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器をさらに含んでもよい。
【0016】
前記補助力設定部は、前記参照歩行モデルに基づいて、前記駆動器のゲインを調整することによって前記MCOTが最小となる前記最適のゲインを決定してもよい。
【0017】
前記補助力設定部は、前記ヒップの関節角度及び前記ヒップの関節角速度のうち少なくとも1つをリアルタイムに測定してもよい。
【0018】
前記補助力設定部は、前記MCOTが最小となるまで前記ゲインを調整してもよい。
【0019】
前記補助力設定部は、前記ゲインの調整による前記MCOTの変化率を決定してもよい。
【0020】
前記補助力設定部は、ニュートンメソッドを用いて前記最適のゲインを決定してもよい。
【0021】
前記補助力設定部は、前記測定されたヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が閾値範囲を超過する場合、前記最適のゲインを決定してもよい。
【0022】
他の実施形態に係る歩行補助装置は、歩行補助装置のユーザの身体情報に基づいてモデリングされた参照歩行モデルを外部ソースから受信する受信部と、前記参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置が前記ユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定する補助力設定部とを含む。
【0023】
前記歩行補助装置は、前記歩行補助装置が動作する第1動作モード及び第2動作モードのいずれか1つのモードで動作するかを選択する選択部をさらに含んでもよい。
【0024】
前記第1動作モードは、前記歩行補助装置が前記ユーザに前記補助力を提供してもよい。
【0025】
前記第2動作モードは、前記歩行補助装置が前記最適の補助力を設定してもよい。
【0026】
前記補助力設定部は、前記選択部で前記第2動作モードが選択された場合、前記最適の補助力を設定してもよい。
【0027】
前記補助力設定部は、MCOTを算出して前記ユーザが歩行に消費する新陳代謝のエネルギー量を決定し、前記決定されたエネルギー量に基づいて前記補助力を調整してもよい。
【0028】
前記補助力設定部は、初期補助力プロファイルを生成し(前記初期補助力プロファイルは、前記参照歩行モデルに基づいて周期に応じて変化する前記補助力の変化軌跡を示す)、前記初期補助力プロファイルから前記変化軌跡を調整することによって前記MCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを抽出してもよい。
【0029】
前記歩行補助装置は、前記ユーザのヒップの関節角度及びヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器をさらに含んでもよい。
【0030】
前記補助力設定部は、前記参照歩行モデルに基づいて前記駆動器のゲインを調整することによって前記MCOTが最小となる前記最適のゲインを決定してもよい。
【0031】
更なる一実施形態に係る歩行補助装置は、ユーザの脚に着用される補助装置と、
【0032】
前記補助装置が駆動するように補助力を生成する駆動器と、前記ユーザに関する身体情報に基づいて前記ユーザの歩行をモデリングした参照歩行モデルに基づいて前記補助力を決定するコントローラとを含む。
【0033】
前記身体情報は、前記ユーザの関節情報、筋肉情報、及び神経情報のうち1つ以上であってもよい。
【0034】
前記コントローラは、一般身体モデルに前記ユーザに関する前記身体情報を適用することによって前記参照歩行モデルを生成してもよい。
【0035】
前記コントローラは、前記ユーザが歩行に消費する新陳代謝のエネルギー量に基づいて前記補助力を算出してもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、補助力設定方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】一実施形態に係る歩行補助装置を説明するための図である。
図1B】一実施形態に係る歩行補助装置を説明するための図である。
図2】一実施形態に係る補助力設定装置を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る歩行補助装置を示すブロック図である。
図4】一実施形態に係る最適の補助力プロファイルの抽出を示した動作フローチャートである。
図5】一実施形態に係る最適のゲインの抽出を示した動作フローチャートである。
図6】一実施形態に係る関節情報の抽出を説明するための図である。
図7】一実施形態に係る参照歩行モデルを説明するための図である。
図8A】一実施形態に係る最適の補助力プロファイルの抽出を説明するための図である。
図8B】一実施形態に係る最適の補助力プロファイルの抽出を説明するための図である。
図9A】一実施形態に係る歩行環境の変化に対する最適のゲインの抽出を説明するための図である。
図9B】一実施形態に係る歩行環境の変化に対する最適のゲインの抽出を説明するための図である。
図10】一実施形態に係る最適の補助力の設定を説明するための図である。
図11】一実施形態に係る最適の補助力プロファイルの提供のためのインタフェースを説明するための図である。
図12】一実施形態に係る補助力設定方法を示した方法フローチャートである。
図13】他の一実施形態に係る歩行補助方法を示した方法フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下で説明する実施形態は、添付の図面を参照して説明する。各図面で提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0039】
以下で説明する実施形態は様々な変更が加えられてもよい。以下で説明する実施形態は実施形態に対して限定しようとするものではなく、これに対する全ての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0040】
実施形態で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものとして、実施形態を限定しようとする意図は有しない。単数の表現は文脈上、明白に相異に意味しない限り複数の表現を含む。本明細書で、「含む」又は「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0041】
相異に定義されない限り、技術的であるか科学的な用語を含み、ここで用いられる全ての用語は、実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義されているような用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈するべきであって、本出願で明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0042】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく同一の構成要素は同一の参照符号を付与し、それに対する重複説明は省略することにする。実施形態の説明において関連の公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図1A及び1Bは、一実施形態に係る歩行補助装置を説明するための図である。図1A及び1Bを参照すると、歩行補助装置100は、ユーザに装着されてユーザの歩行を補助する。歩行補助装置は駆動器110、センサ部120、IMU(Inertial Measurement Unit)センサ130、及びコントローラ140を含む。図1ではヒップタイプ(hip−type)の歩行補助装置が示されているが、これに制限されることはない。例えば、異なる側面によると、下肢全体をサポートする形態又は下肢の一部をサポートする形態に適用されてもよい。下肢の一部をサポートする形態の歩行補助装置は、膝までサポートする形態、足首までサポートする形態、全身をサポートする形態として様々である。
【0044】
駆動器110は、ユーザの両側のヒップの関節を駆動させることができ、ユーザの右側及び左側のヒップ部分に位置する。
【0045】
センサ部120は、歩行時にユーザの両側のヒップの関節角度情報を測定する。センサ部120でセンシングされる両側のヒップの関節角度情報は、両側のヒップの関節角度、両側のヒップの関節角度の差、及び両側のヒップの関節運動方向のうち少なくとも1つを含んでもよい。一実施形態に係るセンサ部120は、駆動器110内に位置してもよい。
【0046】
他の一実施形態に係るセンサ部120は、ポテンショメータを含んでもよい。ポテンショメータは、ユーザの歩行動作によるR軸、L軸の関節角度の変化量又はR軸、L軸の関節角速度の変化量のうち少なくとも1つをセンシングすることができる。
【0047】
IMUセンサ130は、ユーザが歩行時の加速度情報と姿勢情報を測定する。例えば、IMUセンサ130は、ユーザの歩行動作によるX軸、Y軸、Z軸の加速度の変化量又はX軸、Y軸、Z軸角速度の変化量のうち少なくとも1つをセンシングする。IMUセンサ130で測定された加速度情報に基づいて、ユーザの足の着地時点を検出し得る。ただし、センサ部120に足の着地時点を検出できるセンサが含まれている場合、IMUセンサ130は、歩行動作の認識において歩行補助装置100に含まれなくてもよい。
【0048】
また、歩行補助装置100は、先に説明したセンサ部120及びIMUセンサ130の他に、歩行動作によるユーザの運動量又は生体信号などの変化をセンシングできる他のセンサ(例えば、筋電図センサ)を含んでもよい。
【0049】
コントローラ140は、駆動器110がユーザの歩行を助けるための補助力(又は補助トルク)を出力するように駆動器110を制御する。例えば、ヒップタイプの歩行補助装置110で駆動器110は2つであってもよく、コントローラ140は、駆動器110が駆動器110に対応する補助力を出力するよう、駆動器110に制御信号を出力し得る。コントローラ140で出力された制御信号に基づいて、駆動器110は補助力を出力し、ユーザのヒップの関節を認識された歩行動作に適するように駆動させることができる。ここで、補助力は外部によって設定されてもよく、コントローラ140が補助力を設定してもよい。
【0050】
図2は、一実施形態に係る補助力設定装置を示すブロック図である。
【0051】
一側面によると、補助力設定装置200は、歩行補助装置100と物理的に独立した別の装置であり得る。他の側面によると、補助力設定装置200は、歩行補助装置100の内部で論理的なモデルとして実現され得る。例えば、補助力設定装置200はコントローラ140に実現されてもよい。
【0052】
補助力設定装置200は、身体情報抽出部210、参照歩行モデル生成部220、及び補助力設定部230を含む。
【0053】
身体情報抽出部210は、ユーザの身体情報を抽出する。ここで、身体情報は、ユーザの関節情報、筋肉情報又は神経情報のうち少なくとも1つを含んでもよい。関節情報は、関節の長さ、関節の重さ、関節の慣性モーメント、及び関節間の連結位置などを含み、関節情報は、身体セグメントパラメータ(body segment parameter)のように表現され得る。
【0054】
身体情報抽出部210は、動きキャプチャ(motion capture)装置又はフォースプレート(force plate)装置を用いてユーザの歩行情報を測定し、測定された歩行情報を用いてユーザの関節情報を抽出することができる。例えば、ユーザの関節にマーカーが付着している場合、身体情報抽出部210は、動きキャプチャ装置を用いてユーザの関節の長さ、位置に関する情報、及び歩行による関節の移動情報を測定する。身体情報抽出部210は、測定された情報を用いて各関節の長さ、関節間の連結位置を取得し得る。また、ユーザの足の下方に6軸フォースプレートが設置されている場合、身体情報抽出部210は、6軸フォースプレートを用いて歩行による地面反力を測定し、動きキャプチャ装置及び6軸フォースプレートを用いて測定した情報に動力学モデル及び最適化した方式を適用して正確な関節情報を抽出することができる。
【0055】
また、一実施形態に係る身体情報抽出部210は、ユーザの身長及び体重などの情報のみを取得し、統計情報を用いて比例的に関節情報を算出し得る。
【0056】
また、身体情報抽出部210は、関節情報に基づいて筋肉情報を推定する。筋肉情報は筋肉活性特性を示すものとして、例えば、筋肉情報は一時的な最大筋力、筋持久力、筋力最大値を含んでもよい。また、筋肉情報は、筋肉パラメータ(muscle parameter)のように表現される。一例として、身体情報抽出部210は、関節情報を用いて人体内部で作用するモーメントを推定し、関節情報、推定されたモーメント、及び筋肉と骨格が密着した位置情報に基づいてシミュレーションを行うことで筋肉が発生する力を算出し得る。身体情報抽出部210は、筋肉が発生する力に関する情報を用いて、筋肉の使用量又は左右対称情報を推定し、筋肉の使用量又は左右対称情報のうち少なくとも1つを用いて筋肉が正常状態であるか否かを判断する。また、筋肉が非常状態であると判断される場合、身体情報抽出部210は、ユーザの歩行情報を用いてユーザの病症パターンを推定することができる。身体情報抽出部210は、ユーザの病症パターンをモデリングし、関節情報及びモデリングした病症パターンに基づいて筋肉情報を抽出し得る。
【0057】
一実施形態に係る身体情報抽出部210は、筋電図(ElectroMyoGram:EMG)センサを用いて歩行によるユーザの筋電図信号を測定し、筋電図信号を用いて筋肉活性特性を推定することができる。
【0058】
また、身体情報抽出部210は、歩行を行うユーザの神経情報を抽出する。筋肉に力を発生させるためには神経系で発生する微細励磁(Excitation)信号が必要であり、励磁信号が端緒となって筋肉量のフィードバックが適用されることがあり、これによって力が発生する。これに対して一般的な神経反応における遅延速度とは異なる信号との連鎖反応の関係に関する情報が必要となるが、身体情報抽出部210はこのような一連の神経に関する情報を抽出し、補助力設定装置200は抽出した神経情報を用いることで正確な人の運動を推定することができる。神経情報は神経伝達速度を含み、神経情報はフィードバック増幅利益などの神経パラメータ(neural parameter)のように表現されてもよい。
【0059】
参照歩行モデル生成部220は、予め決定した人体モデルにユーザの身体情報を適用して参照歩行モデルを生成する。ここで、参照歩行モデルはユーザの筋肉制御機構(メカニズム)を再現したもので、ユーザの身体特性を反映してユーザの歩行をシミュレーションしたモデルを示す。参照歩行モデル生成部220は、身体情報抽出部210で抽出した関節情報、筋肉情報又は神経情報のうち少なくとも1つを、予め決定した人体モデルに適用したシミュレーションを用いて参照歩行モデルを生成し得る。一例として、参照歩行モデル生成部220は、CMC(Computed Muscle Control)方式などの最適化した方式を用いて、シミュレーション上で歩行を行うことができるように筋肉に命令を提供する比例微分コントローラを生成し、比例微分コントローラを用いて参照歩行モデルを抽出することができる。
【0060】
一実施形態に係る参照歩行モデル生成部220は、身体情報抽出部210でモデリングされたユーザの病症パターンに基づいて、ユーザの病症が適用された参照歩行モデルを生成し得る。
【0061】
補助力設定部230は、参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置がユーザに提供する補助力を調整し得る。一側面によると、補助力設定部230は、参照歩行モデルに基づいて補助力を最適の補助力として調整し得る。
【0062】
例えば、補助力設定部230は、ユーザが歩行に消費するエネルギーが最小となるように、歩行補助装置がユーザに伝達する補助力が最適の補助力となるよう補助力を設定し得る。一般に、ユーザは、与えられた筋肉の条件下で所望する速度の歩行をするために最小限のエネルギーを用いて歩行する。もし、特定の筋肉が損傷した場合、ユーザは、変更された筋肉の条件下で最小限のエネルギーを消費するように歩行する。また、歩行補助装置は、駆動器を用いて補助力を生成し、生成された補助力をユーザに提供することができる。
【0063】
ユーザの特性を考慮することなく一貫してユーザに補助力が提供される場合、ユーザは歩行に多くのエネルギーを消費することがある。例えば、左側のハムストリング筋肉が損傷し、右側のハムストリング筋肉は正常であっても、歩行補助装置が左側及び右側の全てに同一の補助力を提供すれば、ユーザは歩行に多くのエネルギーを消費するようになり、円滑に歩行を行うことが困難である。歩行補助装置100は、ユーザの特性を考慮してユーザが歩行に消費するエネルギーを最小にする最適の補助力をユーザに提供することができる。
【0064】
参照歩行モデルにはユーザの身体情報が反映されているため、補助力設定部230は参照歩行モデルをシミュレーションに適用し、シミュレーション上でユーザの歩行を実現することができる。また、補助力設定部230は、参照歩行モデルに歩行補助装置100が駆動器110を用いて補助力を伝達する機構(メカニズム)を適用し得る。そのため、補助力設定部230は、シミュレーション上で歩行補助装置を着用したユーザの歩行を実現できる。補助力設定部230は、歩行補助装置100を着用したユーザの歩行を実現するシミュレーションに基づいて、歩行補助装置100がユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定し得る。
【0065】
補助力設定部230は、MCOT(Metabolic Cost Of Transport)を算出してユーザが歩行に消費するエネルギーを抽出する。MCOTは、ユーザが歩行をするために消費する代謝エネルギーを意味する。補助力設定部230は、ユーザのそれぞれの関節の筋肉で歩行するために消費するエネルギーの和を取得することで、MCOTを算出することができる。MCOTは、下記の数式(1)のように示してもよい。
【0066】
【数1】
【0067】
ここで、Eはユーザが歩行に消費するエネルギーを示し、Fは歩行のために各筋肉が用いる力を示し、vは各筋肉の移動速度を示し、lはユーザの移動距離を示し、mは筋肉の総質量を示し、F・vは各関節の筋肉の一律を示す。補助力設定部230は、MCOTを目的関数として設定し、目的関数が最小となる最適の補助力を設定し得る。一実施形態に係る移動距離lは一歩を示し、この場合にEは一歩の歩行のためにユーザが消費するエネルギーを示す。
【0068】
一実施形態に係る補助力設定部230は、補助力の変化軌跡を調整してMCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを抽出する。ここで、補助力プロファイルは、予め決定した周期による補助力の変化軌跡を示す。例えば、補助力プロファイルは、ユーザが一歩歩行する間にユーザに印加される補助力の変化軌跡を示す。
【0069】
補助力設定部230は補助力の初期変化軌跡を設定し、設定された初期変化軌跡を初期補助力プロファイルに設定することができる。一実施形態に係る補助力設定部230は、ユーザが正常な歩行を行うために歩行補助装置100がユーザに提供しなければならない補助力の変化パターンを初期変化軌跡として設定し得る。例えば、補助力設定部230は、ユーザの身体情報に基づいて正常な歩行を行うためにユーザの各筋肉に要求される力、及びユーザの各筋肉が実際に発生される力を抽出し、抽出された力の差を用いて補助力の初期変化軌跡を設定することができる。他の一実施形態に係る補助力設定部230は、予め決定した補助力の変化軌跡を補助力の初期変化軌跡に設定することができる。
【0070】
補助力設定部230は、初期変化軌跡を調整して最適の補助力プロファイルを生成する。補助力設定部230は、初期変化軌跡によるMCOTを抽出し、初期変化軌跡を調整し得る。ここで、補助力設定部230は、変化軌跡の調整によるMCOTの変化率を抽出し、抽出されたMCOTの変化率に基づいてMCOTが最小となるまで、MCOTが減少するように変化軌跡を調整し得る。例えば、補助力設定部230は、変化軌跡の微小変化によるMCOTの変化率を抽出し、MCOTがこれ以上減少しないまで変化軌跡を調整できる。MCOTが最小値であると判断される場合、補助力設定部230は、MCOTが最小値である時の変化軌跡を最適の変化軌跡として設定し、最適の変化軌跡による最適の補助力プロファイルを生成することができる。歩行補助装置が最適の補助力プロファイルにより補助力を提供する場合、ユーザは少ないエネルギーで容易に歩行できることから、歩行補助装置の効用性は向上される。
【0071】
一実施形態に係る補助力設定部230は、動的計画法(dynamic programming)又はRRT(Rapidly−exploring Random Tree)を用いてMCOTが最小となる最適の変化軌跡を抽出する。また、これに限定されることなく、補助力設定部230は、動的計画法、RRTの他にも、最適値を抽出できる更なる方式を用いてMCOTが最小となる最適の変化軌跡を抽出することができる。
【0072】
一実施形態に係る補助力設定部230は、参照歩行モデルに基づいてユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する歩行補助装置の駆動器のゲインを調整し、MCOTが最小となる最適のゲインを抽出し得る。
【0073】
補助力設定部230は、ユーザに付着したセンサ(例えば、歩行補助装置に装着されたセンサ)を用いてユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を測定し得る。補助力設定部230は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に応じて他の補助力を設定し得る。一実施形態に係る補助力設定部230は、ヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に対応する補助力を予め設定し得る。例えば、ユーザの左側ヒップの関節角度と右側ヒップの関節角度との差が小さい場合、補助力設定部230は相対的に大きい補助力を設定し、ユーザの左側ヒップの関節角度と右側ヒップの関節角度との差が大きい場合、補助力設定部230は相対的に小さい補助力を設定してもよい。また、ユーザのヒップの関節角速度が大きいほど、補助力設定部230は大きい補助力を設定できる。そのため、補助力設定部230は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に応じて適応的に補助力を設定できる。また、他の一実施形態に係る補助力設定部230は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度と関係がなく補助力を設定できる。
【0074】
補助力設定部230は、設定された補助力に対応する駆動器のゲイン(gain)を調整して最適のゲインを設定できる。一実施形態に係る補助力設定部230は、参照歩行モデルに基づいてシミュレーション上で歩行補助装置を着用したユーザの歩行を実現し、シミュレーション上で設定された補助力に対応する駆動器のゲインを調整して最適のゲインを抽出する。補助力設定部230は、設定された補助力に対応する駆動器のゲインを初期ゲインとして設定し、初期ゲインを調整し得る。補助力設定部230はゲインの調整によるMCOTの変化率を抽出し、MCOTが最小となるまで、MCOTが減少するようにゲインを調整し得る。
【0075】
一実施形態に係る補助力設定部230は、ニュートンメソッド(newton method)を用いて最適のゲインを設定できる。また、これに限定されることなく、補助力設定部230はニュートンメソッドの他にも最適化を行うことのできる更なる方式を用いてMCOTが最小となる最適のゲインを抽出することができる。
【0076】
補助力設定部230は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を持続的にフィードバックし、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が予め決定した閾値範囲以上に変化する度毎にMCOTが最小となる最適のゲインを抽出する。そのため、補助力設定部230は、ユーザが瞬間的に動きを変更する場合でも、歩行によるエネルギーを最小化できる補助力をユーザに提供することができる。
【0077】
一実施形態に係る補助力設定部230は、ユーザの歩行環境に応じて最適の補助力プロファイル又は最適のゲインを抽出することができる。例えば、歩行環境が一定である場合(例えば、平地環境、上向き傾斜/階段環境、下向き傾斜/階段環境が一定の時間続く場合)、補助力設定部230は初期補助力プロファイルを生成し、初期変化軌跡を調整して最適の補助力プロファイルを抽出することができる。また、歩行環境が急に変化する場合(例えば、平地環境から上向き傾斜環境に変化する場合)、歩行補助装置は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器のゲインを調整し、最適のゲインを抽出することができる。
【0078】
一実施形態に係る補助力設定部230は、ユーザが歩行に消費するエネルギーが予め決定した大きさになるよう補助力を設定する。一般的な場合、ユーザは、現在の筋肉条件下で所望する速度の歩行をするために最小限のエネルギーを用いて歩行するが、筋肉を強化させる場合は筋肉に作用する負荷を増加させ、ユーザが歩行に消費するエネルギーが予め決定した大きさ以上にならなければならない。そのため、補助力設定部230はユーザが歩行に消費するエネルギーを予め設定したり外部装置から入力され、ユーザが歩行に消費するエネルギーが設定された大きさになるよう補助力を設定する。この場合、補助力設定部230は、MCOTが予め決定した大きさに取りまとめる最適の補助力プロファイル又は最適のゲインを抽出することができる。
【0079】
一実施形態に係る補助力設定装置200は、通信インタフェースを用いて身体情報抽出部210から抽出した身体情報、参照歩行モデル生成部220で生成した参照歩行モデル又は補助力設定部230で設定した最適の補助力に関する情報を外部装置(例えば、外部の歩行補助装置、サーバ)に送信してもよい。
【0080】
図3は、一実施形態に係る歩行補助装置を示すブロック図である。
【0081】
図3を参照すると、歩行補助装置300は、受信部310及び補助力設定部320を含む。受信部310は、予め決定した人体モデルにユーザの身体情報を適用して生成された参照歩行モデルを外部装置から受信する。受信部310は、通信インタフェースを用いて図2に示す補助力設定装置200から参照歩行モデルを受信してもよく、他の装置(例えば、サーバ)から参照歩行モデルを受信してもよい。ここで、参照歩行モデルは、ユーザの筋肉制御機構(メカニズム)を再現したものとして、ユーザの身体特性を反映してユーザの歩行をシミュレーションしたモデルを示す。参照歩行モデルは、ユーザの関節情報、筋肉情報又は神経情報のような身体情報を予め決定した人体モデルに適用したシミュレーションを用いて外部装置(例えば、図2に示す補助力設定装置200、サーバ)で生成される。例えば、外部装置は、CMC(Computed Muscle Control)方式などの最適化した方式を用いて、シミュレーション上で歩行できるように筋肉に命令を提供する比例微分コントローラを生成し、比例微分コントローラを用いて参照歩行モデルを生成する。
【0082】
補助力設定部320は、参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置がユーザに提供する補助力を調整して補助力を設定する。例えば、補助力設定部320は、最適の補助力で補助力を設定し得る。ここで、最適の補助力は、ユーザが歩行に消費するエネルギーが最小となるよう歩行補助装置がユーザに伝達する力を意味する。
【0083】
補助力設定部320は、MCOTを算出してユーザが歩行に消費するエネルギーを抽出する。MCOTは、上述した数式(1)のように示すことができる。上述したように、補助力設定部320は、歩行するためにユーザの筋肉を用いる力、筋肉の移動速度、前記ユーザの移動距離及び筋肉の総質量を用いてMCOTを算出し得る。
【0084】
一実施形態に係る補助力設定部320は、補助力の変化軌跡を調整してMCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを抽出する。補助力設定部320は、補助力の初期変化軌跡を設定し、設定された初期変化軌跡を初期補助力プロファイルに設定する。一例として、補助力設定部320は、ユーザが正常に歩行するために歩行補助装置がユーザに提供しなければならない補助力の変化パターンを初期変化軌跡として設定してもよい。他の一例として、補助力設定部320は、予め決定した補助力の変化軌跡を補助力の初期変化軌跡として設定してもよい。
【0085】
補助力設定部320は、初期変化軌跡を調整して最適の補助力プロファイルを生成する。補助力設定部320は初期変化軌跡によるMCOTを抽出し、初期変化軌跡を調整できる。ここで、補助力設定部320は、変化軌跡の調整によるMCOTの変化率を抽出し、MCOTが最小となるまでMCOTが減少するように変化軌跡を調整する。例えば、補助力設定部320は、変化軌跡の微小変化によるMCOTの変化率を抽出し、MCOTがこれ以上減少しないときまで変化軌跡を調整する。MCOTが最小値であると判断される場合、補助力設定部320は、MCOTが最小値である時の変化軌跡を最適の変化軌跡として設定し、最適の変化軌跡による最適の補助力プロファイルを生成できる。歩行補助装置300は、最適の補助力プロファイルにより補助力を提供できる。そのため、ユーザは、少ないエネルギーを消費しても容易に歩行することができる。
【0086】
一実施形態に係る補助力設定部320は、動的計画法又はRRTを用いてMCOTが最小となる最適の変化軌跡を抽出する。また、これに限定されることなく、補助力設定部320は、動的計画法及びRRTの他にも、最適の変化軌跡を抽出できる他の方式を用いてMCOTが最小となる最適の変化軌跡を抽出できる。
【0087】
一実施形態に係る補助力設定部320は、参照歩行モデルに基づいてユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する歩行補助装置の駆動器のゲインを調整し、MCOTが最小となる最適のゲインを抽出することができる。
【0088】
補助力設定部320は、歩行補助装置に装着されたセンサ(例えば、IMUセンサ、ポテンショメータ)を用いて、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を測定する。補助力設定部320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に応じて他の補助力を設定する。一実施形態に係る補助力設定部320は、ヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に対応する補助力を予め設定し得る。例えば、ユーザの左側ヒップの関節角度と右側ヒップの関節角度との差が小さい場合、補助力設定部320は相対的に大きい補助力を設定してもよく、ユーザの左側ヒップの関節角度と右側ヒップの関節角度との差が大きい場合、補助力設定部320は相対的に小さい補助力を設定してもよい。また、ユーザのヒップの関節角速度が大きいほど、補助力設定部320は大きい補助力を設定できる。そのため、補助力設定部320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に応じて適応的に補助力を設定できる。また、他の一実施形態に係る補助力設定部320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度と関係がなく補助力を設定できる。
【0089】
補助力設定部320は、設定された補助力に対応する駆動器のゲインを調整して最適のゲインを抽出する。ここで、補助力設定部320は、ゲインの調整によるMCOTの変化を追跡し、MCOTが最小となるまでMCOTが減少するようにゲインを調整することができる。
【0090】
一実施形態に係る補助力設定部320は、ニュートンメソッドを用いて最適のゲインを抽出する。また、これに限定されることなく、補助力設定部320は、ニュートンメソッドの他にも、最適化を行うことのできる更なる方式を用いてMCOTが最小となる最適のゲインを抽出できる。
【0091】
補助力設定部320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を持続的にフィードバックし、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が予め一定の範囲以上に変化する度毎にMCOTが最小となる最適のゲインを抽出する。歩行補助装置300は、最適のゲインにより駆動器を駆動して補助力をユーザに提供できる。そのため、補助力設定部320は、ユーザが瞬間的に動きを変更する場合にも、ユーザに歩行によるエネルギーを最小化できる補助力を提供することができる。
【0092】
一実施形態に係る補助力設定部320は、ユーザの歩行環境に応じて最適の補助力プロファイル又は最適のゲインを抽出する。例えば、歩行環境が一定である場合、補助力設定部320は初期補助力プロファイルを生成し、初期変化軌跡を調整して最適の補助力プロファイルを抽出することができる。また、歩行環境が突然変化する場合、歩行補助装置は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力に対応するゲインを調整し、最適のゲインを抽出できる。
【0093】
一実施形態に係る補助力設定部320は、ユーザが歩行に消費するエネルギーが予め決定した大きさになるよう補助力を設定する。一般的な場合、ユーザは、筋肉条件下で所望する速度の歩行をするために最小限のエネルギーを用いて歩行するが、筋肉を強化させる場合は筋肉に作用する負荷を増加させ、ユーザが歩行に消費するエネルギーが予め決定した大きさ以上にならなければならない。そのため、補助力設定部320は、ユーザが歩行に消費するエネルギーを予め設定したり外部から入力されてもよく、ユーザが歩行に消費するエネルギーが設定された大きさになるよう補助力を設定する。この場合、補助力設定部320は、MCOTが予め決定した大きさに取りまとめるようにする最適の補助力プロファイル又は最適のゲインを抽出することができる。
【0094】
一実施形態に係る歩行補助装置300は選択部を含んでもよい。選択部は、歩行補助装置300の動作モードを選択する。ここで、動作モードは、ユーザに補助力を提供する第1動作モード(又は、一般モード)及び最適の補助力を設定する第2動作モード(又は、フィッティング(fitting)モード)を含んでもよい。一例として、選択部は、動作モードをユーザから入力されてもよい。選択部で第2動作モードが選択された場合、補助力設定部320は最適の補助力を設定できる。
【0095】
一実施形態に係る歩行補助装置300は、通信インタフェースを用いて補助力設定部320で設定した最適の補助力に関する情報を外部装置(例えば、サーバ)に送信する。
【0096】
図4は、一実施形態に係る最適の補助力プロファイルの抽出を示した動作フローチャートである。
【0097】
図4を参照すると、補助力設定装置200、320は、参照歩行モデルを取得する(S410)。例えば、図2に示す補助力設定装置200は、ユーザの身体情報を抽出し、予め決定した人体モデルに抽出したユーザの身体情報を適用して参照歩行モデルを抽出する。図3に示す他の側面に係る補助力設定装置320は、通信インタフェースを用いて外部装置から参照歩行モデルを受信する。
【0098】
補助力設定装置200、320は、補助力の変化軌跡を調整する(S420)。補助力設定装置200、320は補助力の初期変化軌跡を設定し、設定された初期変化軌跡を初期補助力プロファイルに設定する。一例として、補助力設定装置200、320は、ユーザが正常に歩行するために歩行補助装置がユーザに提供しなければならない補助力の変化パターンを初期変化軌跡として設定し得る。他の一例として、補助力設定装置200、320は、予め決定した補助力の変化軌跡を補助力の初期変化軌跡として設定し得る。補助力設定装置200、320は、初期変化軌跡を調整し、後述する説明によってMCOTが最小となるまで変化軌跡を調整することができる。
【0099】
補助力設定装置200、320は、変化軌跡の調整によるMCOTの変化率を算出する(S430)。MCOTは上述した数式(1)のように示される。上述したように、補助力設定装置200、320は、歩行するためにユーザの筋肉が用いる力、筋肉の移動速度、前記ユーザの移動距離及び筋肉の総質量を用いてMCOTを算出できる。補助力設定装置200、320は、変化軌跡が調整される場合に調整された変化軌跡に基づいてMCOTの変化率を再び算出し得る。
【0100】
補助力設定装置200、320は、変化軌跡の調整によるMCOTの変化率に基づいてMCOTが最小であるか否かを判断する(S440)。
【0101】
MCOTが最小値であると判断される場合、補助力設定装置200、320は、MCOTが最小値である時の変化軌跡を最適の変化軌跡として設定し、最適の変化軌跡による最適の補助力プロファイルを生成する(S450)。
【0102】
MCOTが最小値ではないと判断される場合、補助力設定装置200、320は補助力の変化軌跡を再び調整する(S420)。ここで、補助力設定装置200、320は初期変化軌跡を調整してもよく、予め調整された変化軌跡を再び調整してもよい。そのため、補助力設定装置200、320はMCOTが最小となるまで、MCOTが減少するように変化軌跡を調整し得る。
【0103】
図5は、一実施形態に係る最適のゲインの抽出を示した動作フローチャートである。図5を参照すると、補助力設定装置200、320は、参照歩行モデルを取得する(S510)。一側面によると、補助力設定装置200は、ユーザの身体情報を抽出し、予め決定した人体モデルに抽出したユーザの身体情報を適用して参照歩行モデルを設定する。他の側面によると、補助力設定装置320は、通信インタフェースを用いて外部装置から参照歩行モデルを受信してもよい。
【0104】
補助力設定装置200、320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つを測定する(S520)。補助力設定装置200、320は、ユーザに付着したセンサ(例えば、歩行補助装置に装着されたセンサ)を用いてユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を測定し得る。一実施形態に係る補助力設定装置200、320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に応じて他の補助力を設定し得る。例えば、補助力設定装置200、320は、ヒップの関節角度又はヒップの関節角速度に対応する補助力を予め設定してもよい。また、他の一実施形態に係る補助力設定装置200、320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度と関係がなく補助力を設定してもよい。
【0105】
補助力設定装置200、320は、設定された補助力に対応する駆動器のゲインを調整する(S530)。この場合、補助力設定装置200、320は、設定された補助力に対応する駆動器110のゲインを初期ゲインとして設定し、初期ゲインを調整し得る。ここで、補助力設定装置200、320は、後述する説明によりMCOTが最小となるまでゲインを調整できる。
【0106】
補助力設定装置200、320は、ゲインの調整によるMCOTの変化率を算出する(S540)。MCOTは上述した数式(1)のように示す。上述のように、補助力設定装置200、320は、歩行するためにユーザの筋肉を用いる力、筋肉の移動速度、前記ユーザの移動距離、及び筋肉の総質量を用いてMCOTを算出する。補助力設定装置200、320は、ゲインを調整するたびに、調整されたゲインに基づいてMCOTの変化率を再び算出し得る。
【0107】
補助力設定装置200、320は、変化軌跡の調整によるMCOTの変化率に基づいてMCOTが最小であるか否かを判断する(S550)。
【0108】
MCOTが最小値であると判断される場合、補助力設定装置200、320は、MCOTが最小値である時のゲインを最適のゲインとして設定する(S560)。
【0109】
MCOTが最小値ではないと判断される場合、補助力設定装置200、320はゲインを調整する(S530)。補助力設定装置200、320は、初期ゲインを調整してもよく、予め調整されたゲインを再び調整してもよい。そのため、補助力設定装置200、320は、MCOTが最小となるまでMCOTが減少するようにゲインを調整できる。
【0110】
補助力設定装置200、320は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を持続的にフィードバックし、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が予め一定の範囲以上変化するたびにMCOTが最小となる最適のゲインを抽出することができる。
【0111】
図6は、一実施形態に係る関節情報の抽出を説明するための図である。図6を参照すると、ユーザの歩行情報を測定するために、ユーザの各関節にはマーカーが付着することがある。また、ユーザの足元には6側フォースプレートが設けられている。補助力設定装置200、320は、動きキャプチャ装置を用いてマーカーの位置に基づいてユーザの関節の長さ、位置に関する情報を測定し、ユーザの歩行によるマーカーの移動に基づいて、歩行による関節の移動情報を測定し得る。補助力設定装置200、320は、測定された情報を用いて各関節の長さ、関節間の連結位置を取得できる。
【0112】
また、補助力設定装置200、320は、6側フォースプレートを用いてユーザの歩行による地面反力を測定し得る。補助力設定装置200、320は、動きキャプチャ装置及び6軸フォースプレートを用いて測定した情報に動力学モデル及び最適化方式を適用して正確な関節情報を抽出することができる。
【0113】
図7は、一実施形態に係る参照歩行モデルを説明するための図である。図7を参照すると、補助力設定装置200は、予め決定した人体モデルにユーザの関節情報、筋肉情報又は神経情報のうち少なくとも1つを適用して参照歩行モデル710を生成する。一例として、補助力設定装置は、CMC(Computed Muscle Control)方式などの最適化方式を用いて、シミュレーション上で歩行できるよう筋肉に命令を提供する比例微分コントローラを生成し、比例微分コントローラを用いて参照歩行モデルを生成することができる。
【0114】
一実施形態に係る補助力設定装置は、ユーザの歩行情報に基づいてユーザの病症パターンをモデリングし、モデリングした病症パターンに基づいてユーザの病症が適用された参照歩行モデル710を生成することができる。
【0115】
補助力設定装置は、参照歩行モデル710に歩行補助装置100、720が駆動器110を用いて補助力を伝達する機構(メカニズム)を適用してもよい。そのため、補助力設定装置200は、シミュレーション上で歩行補助装置100、720を着用したユーザの歩行を実現することができる。補助力設定部230は、参照歩行モデル710に歩行補助装置100、720の機構(メカニズム)が適用されたモデルに基づいて、歩行補助装置100、720がユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定し得る。
【0116】
図8A及び8Bは、一実施形態に係る最適の補助力プロファイルの抽出を説明するための図である。図8A及び8Bを参照すると、グラフ810、820の横軸は時間(例えば、ユーザが一歩歩行する時間)を示し、グラフ810、820の縦軸は補助力を示す。
【0117】
補助力設定装置200、320は、補助力Pの初期変化軌跡811を設定し、設定された初期変化軌跡811を初期補助力プロファイル810に設定する。例えば、補助力設定装置200、320は、ユーザが正常に歩行するために歩行補助装置100がユーザに提供しなければならない補助力の変化パターンdPを初期変化軌跡811として設定してもよい。また、補助力設定装置200、320は、予め決定した補助力の変化軌跡を補助力の初期変化軌跡810として設定してもよい。
【0118】
補助力設定装置200、320は初期変化軌跡811を調整できる。例えば、補助力設定装置200、320は初期変化軌跡811から、補助力821を補助力822に変える。補助力設定装置200、320は、変化軌跡の調整によるMCOTの変化率を抽出し、MCOTの変化率に基づいてMCOTが最小値であるか否かを判断する。MCOTが最小値であると判断される場合、補助力設定装置200、320は、MCOTが最小値である時の変化軌跡823を最適の変化軌跡として設定し、最適の変化軌跡による最適の補助力プロファイル820を生成する。MCOTが最小値ではないと判断される場合、補助力設定装置200、320はMCOTが最小となるまで、MCOTが減少するように変化軌跡を調整し得る。一実施形態に係る補助力設定装置200、320は、動的計画法又はRRTを用いて変化軌跡を調整することで、MCOTが最小となる最適の変化軌跡を抽出することができる。
【0119】
図9A及び図9Bは、一実施形態に係る歩行環境の変化に対する最適のゲインの抽出を説明するための図である。図9A及び図9Bを参照すると、歩行環境に応じて、歩行補助装置を着用したユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度は一定レベル以上に変化することがある。例えば、図9Aに示すように、歩行環境が平地環境911、上向き傾斜環境912、下向き傾斜環境913、上向き階段環境914、及び下向き階段環境915の5個の歩行環境として定義される場合、各歩行環境に応じて、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度は一定レベル以上に変化する。
【0120】
図9Bに示すように、歩行補助装置921を着用したユーザは平地環境911で歩行する。この場合、歩行補助装置100、921は予め決定した人体モデルにユーザの身体情報を適用して生成された参照歩行モデルを外部から受信し、参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置100、921がユーザに提供する補助力を示す初期補助力プロファイルを生成し、変化軌跡を調整してMCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを抽出する。平地環境911で、歩行補助装置100、921は、最適の補助力プロファイルによりユーザに補助力を提供することができる。
【0121】
地点931において、歩行環境が平地環境911から上向き傾斜環境912に変更されることがあり、これによって歩行するユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が予め決定した閾値範囲以上に外れることがある。この場合、歩行補助装置100、921は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を測定し、参照歩行モデルに基づいてユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器のゲインを調整し、MCOTが最小となる最適のゲインを抽出する。上向き傾斜環境912で、歩行補助装置100、921は、駆動器のゲインを抽出された最適のゲインとして設定し得る。
【0122】
地点932において、歩行環境が上向き傾斜環境912から平地環境911に変更されることがあり、これによって歩行するユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が予め決定した閾値範囲以上に外れることがある。この場合、歩行補助装置100、921は、以前に平地環境911で抽出した最適の補助力プロファイルによりユーザに補助力を提供し、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を測定し、これに基づいて駆動器のゲインを調整して最適のゲインを抽出した後、最適のゲインを駆動器のゲインとして設定し得る。
【0123】
地点933において、歩行環境が平地環境911から下向き階段環境915に変更されることがあり、これによって歩行するユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が予め決定した閾値範囲以上に外れることがある。この場合、歩行補助装置100、921は、ユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度を測定し、これに基づいて駆動器のゲインを調整して最適のゲインを抽出した後、最適のゲインを駆動器のゲインとして設定し得る。
【0124】
図10は、一実施形態に係る最適の補助力の設定を説明するための図である。図10を参照すると、補助力設定装置200、1020は、歩行補助装置100、1010と別の装置に構成してもよい。補助力設定装置200、1020は、ユーザの身体情報を予め抽出し、予め決定した人体モデルに身体情報を適用して参照歩行モデルを生成する。補助力設定装置200、1020は、参照歩行モデルに基づいて予め決定した周期による補助力の変化軌跡を示す初期補助力プロファイルを生成し、変化軌跡を調整してMCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを抽出することができる。
【0125】
補助力設定装置200、1020は、通信インタフェースを用いて歩行補助装置100、1010に抽出した最適の補助力プロファイルを送信し得る。歩行補助装置100、1010は、補助力設定装置200、1020から受信した最適の補助力プロファイルによりユーザに補助力を提供できる。
【0126】
一実施形態に係る歩行補助装置100、1010は、歩行するユーザのヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つをリアルタイムに測定できる。歩行補助装置100、1010は、測定したヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つを補助力設定装置200、1020に送信してもよい。補助力設定装置200、1020は、参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置100、1010から受信したヒップの関節角度又はヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器のゲインを調整し、MCOTが最小となる最適のゲインを抽出できる。補助力設定装置200、1020は、抽出した最適のゲインを歩行補助装置100、1010に送信し、歩行補助装置100、1010は、最適のゲインにより駆動器のゲインを設定し得る。
【0127】
図11は、一実施形態に係る最適の補助力プロファイルの提供のためのインタフェースを説明するための図である。図11を参照すると、歩行補助装置1110は、通信インタフェースを用いて参照歩行モデルを外部装置から受信する。参照歩行モデルは、予め決定した人体モデルにユーザの身体情報を適用して外部装置に格納される。また、歩行補助装置1110は、参照歩行モデルに基づいて予め決定した周期による補助力の変化軌跡を示す初期補助力プロファイルを生成して変化軌跡を調整し得る。歩行補助装置1110は、変化軌跡の調整によるMCOTの変化率を抽出し、抽出されたMCOTの変化率に基づいてMCOTが最小値であるか否かを判断する。MCOTが最小値ではないと判断される場合、歩行補助装置1110はMCOTが最小値になるまで、変化軌跡を繰り返して調整する。MCOTが最小値であると判断される場合、歩行補助装置1110は、MCOTが最小値である時の変化軌跡を最適の変化軌跡として設定し、最適の変化軌跡による最適の補助力プロファイルを生成することができる。
【0128】
また、歩行補助装置1110は、通信インタフェースを用いてウェアラブル装置1120又はモバイル端末1130に通信できる。例えば、歩行補助装置1110が最適の補助力プロファイルを抽出した場合、歩行補助装置1110は、ウェアラブル装置1120又はモバイル端末1130に最適の補助力プロファイルに関する情報を送信し得る。ウェアラブル装置1120又はモバイル端末1130は、歩行補助装置1110から受信した最適の補助力プロファイルを表示することができる。
【0129】
図12は、一実施形態に係る補助力設定方法を示した方法フローチャートである。図12を参照すると、補助力設定装置200は、ユーザの身体情報を抽出する(S1210)。
【0130】
補助力設定装置200は、予め決定した人体モデルに身体情報を適用して参照歩行モデルを生成する(S1220)。
【0131】
補助力設定装置200は、参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置100がユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定する(S1230)。
【0132】
図12に示された一実施形態に係る補助力設定方法は、図1図11を参照して説明した内容がそのまま適用され得るため、より詳細な説明は省略する。
【0133】
図13は、一実施形態に係る歩行補助方法を示した方法フローチャートである。図13を参照すると、歩行補助装置100は、予め決定した人体モデルにユーザの身体情報を適用して生成された参照歩行モデルを外部から受信する(S1310)。
【0134】
また、歩行補助装置100は、参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置100がユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定する(S1320)。
【0135】
図13に示された一実施形態に係る歩行補助方法は、図1図12を参照して説明した内容がそのまま適用され得るため、より詳細な説明は省略する。
【0136】
以上で説明された装置は、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はハードウェア構成要素及びソフトウェア構成要素の組合で実現してもよい。例えば、プロセッサ、コントローラ、ALU(arithmetic logic unit)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor)、マイクロコンピュータ、FPA(field programmable array)、PLU(programmable logic unit)、マイクロプロセッサー、または、命令(instruction)を実行して応答できる異なる装置のように、1つ以上の汎用コンピュータまたは特殊目的のコンピュータを用いて実現されてもよい。処理装置は、オペレーティングシステム(OS)及び前記オペレーティングシステム上で行われる1つ以上のソフトウェアアプリケーションを行ってもよい。また、処理装置は、ソフトウェアの実行に応答してデータをアクセス、格納、操作、処理及び生成してもよい。理解の便宜のために、処理装置は1つ使用されるものと説明される場合もあるが、当該の技術分野で通常の知識を有する者は、処理装置が複数の処理要素(processing element)及び/又は複数類型の処理要素を含んでいることが分かる。例えば、処理装置は、複数のプロセッサまたは1つのプロセッサ及び1つのコントローラを含んでもよい。また、並列プロセッサ(parallel processor)のような、他の処理構成も可能である。
【0137】
ソフトウェアはコンピュータプログラム、コード、命令、またはこのうちの1つ以上の組合せを含んでもよく、希望の通りに動作するよう処理装置を構成したり独立的または結合的に処理装置を命令してもよい。ソフトウェア及び/又はデータは、処理装置によって解釈されたり処理装置に命令またはデータを提供するためどのような類型の機械、構成要素、物理的装置、仮想装置、コンピュータ格納媒体または装置、送信される信号波に永久的または一時的に具体化できる。ソフトウェアは、ネットワークに接続されたコンピュータシステム上に分散し、分散された方法で格納されたり実行されてもよい。ソフトウェア及びデータは1つ以上のコンピュータで読み出し可能な記録媒体に格納されてもよい。
【0138】
実施形態に係る方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータで読取可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などのうち1つまたはその組合せを含んでもよい。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり、使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれてもよい。プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語コードだけでなく、インタープリタなどを用いてコンピュータによって実行できる高級言語コードが含まれる。前記したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして動作するように構成されてもよく、その逆も同様である。
【0139】
上述のように、本発明を特定の実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。
【0140】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【0141】
[付記1]
ユーザの身体情報を抽出する身体情報抽出部と、
人体モデルに前記身体情報を適用して参照歩行モデルを生成する参照歩行モデル生成部と、
前記参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置が前記ユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定する補助力設定部と、
を含む、補助力設定装置。
[付記2]
前記身体情報は、前記ユーザに関する関節情報、筋肉情報、及び神経情報のうち少なくとも1つを含む、
補助力設定装置。
[付記3]
前記身体情報抽出部は、動きキャプチャ装置又はフォースプレート装置のうち少なくとも1つを用いて前記関節情報を決定する、
補助力設定装置。
[付記4]
前記補助力設定部は、前記ユーザに関するMCOT(Metabolic Cost Of Transport)を算出することによって前記ユーザが歩行に消費する新陳代謝のエネルギー量を決定し、
前記決定された新陳代謝のエネルギー量に基づいて前記補助力を調整する、
補助力設定装置。
[付記5]
前記補助力設定部は、歩行のために前記ユーザの筋肉が用いる力、前記筋肉の移動速度、前記ユーザの移動距離、及び前記筋肉の質量を用いて前記MCOTを算出する、
補助力設定装置。
[付記6]
前記補助力設定部は、初期補助力プロファイルを生成し、前記初期補助力プロファイルは、前記参照歩行モデルに基づいて周期に応じて変化する前記補助力の変化軌跡を示し、前記初期補助力プロファイルから前記変化軌跡を調整することによって前記MCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを決定する、
設定装置。
[付記7]
前記補助力設定部は、前記MCOTが最小となるまで、前記MCOTが減少するように前記変化軌跡を調整する、
補助力設定装置。
[付記8]
前記補助力設定部は、前記変化軌跡の調整による前記MCOTの変化率を決定する、
補助力設定装置。
[付記9]
前記補助力設定部は、動的計画法又はRRT(Rapidly−exploring Random Tree)を用いて前記最適の補助力プロファイルを決定する、
補助力設定装置。
[付記10]
前記ユーザのヒップの関節角度及びヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器をさらに含み、
前記補助力設定部は、前記参照歩行モデルに基づいて、前記駆動器のゲインを調整することによって前記MCOTが最小となる前記最適のゲインを決定する、
補助力設定装置。
[付記11]
前記補助力設定部は、前記ヒップの関節角度及び前記ヒップの関節角速度のうち少なくとも1つをリアルタイムに測定する、
補助力設定装置。
[付記12]
前記補助力設定部は、前記MCOTが最小となるまで前記ゲインを調整する、
補助力設定装置。
[付記13]
前記補助力設定部は、前記ゲインの調整による前記MCOTの変化率を決定する、
補助力設定装置。
[付記14]
前記補助力設定部は、ニュートンメソッドを用いて前記最適のゲインを決定する、
補助力設定装置。
[付記15]
前記補助力設定部は、前記測定されたヒップの関節角度又はヒップの関節角速度が閾値範囲を超過する場合、前記最適のゲインを決定する、
補助力設定装置。
[付記16]
歩行補助装置のユーザの身体情報に基づいてモデリングされた参照歩行モデルを外部ソースから受信する受信部と、
前記参照歩行モデルに基づいて歩行補助装置が前記ユーザに提供する補助力を調整して最適の補助力を設定する補助力設定部と、
を含む、歩行補助装置。
[付記17]
前記歩行補助装置が動作する第1動作モード及び第2動作モードのいずれか1つのモードで動作するかを選択する選択部をさらに含み、
前記第1動作モードは、前記歩行補助装置が前記ユーザに前記補助力を提供し、
前記第2動作モードは、前記歩行補助装置が前記最適の補助力を設定し、
前記補助力設定部は、前記選択部で前記第2動作モードが選択された場合、前記最適の補助力を設定する、
歩行補助装置。
[付記18]
前記補助力設定部は、MCOTを算出して前記ユーザが歩行に消費する新陳代謝のエネルギー量を決定し、前記決定されたエネルギー量に基づいて前記補助力を調整する、
歩行補助装置。
[付記19]
前記補助力設定部は、初期補助力プロファイルを生成し、前記初期補助力プロファイルは、前記参照歩行モデルに基づいて周期に応じて変化する前記補助力の変化軌跡を示し、前記初期補助力プロファイルから前記変化軌跡を調整することによって前記MCOTが最小となる最適の補助力プロファイルを抽出する、
歩行補助装置。
[付記20]
前記ユーザのヒップの関節角度及びヒップの関節角速度のうち少なくとも1つに対応する補助力を出力する駆動器をさらに含み、
前記補助力設定部は、前記参照歩行モデルに基づいて前記駆動器のゲインを調整することによって前記MCOTが最小となる前記最適のゲインを決定する、
歩行補助装置。
[付記21]
ユーザの脚に着用される補助装置と、
前記補助装置が駆動するように補助力を生成する駆動器と、
前記ユーザに関する身体情報に基づいて前記ユーザの歩行をモデリングした参照歩行モデルに基づいて前記補助力を決定するコントローラと、
を含む、歩行補助装置。
[付記22]
前記身体情報は、前記ユーザの関節情報、筋肉情報、及び神経情報のうち1つ以上である、
歩行補助装置。
[付記23]
前記コントローラは、一般身体モデルに前記ユーザに関する前記身体情報を適用することによって前記参照歩行モデルを生成する、
歩行補助装置。
[付記24]
前記コントローラは、前記ユーザが歩行に消費する新陳代謝のエネルギー量に基づいて前記補助力を算出する、
歩行補助装置。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13