特許第6972103号(P6972103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972103液晶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972103
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】液晶媒体
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/60 20060101AFI20211111BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20211111BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20211111BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20211111BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20211111BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20211111BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20211111BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20211111BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20211111BHJP
   C07D 513/04 20060101ALN20211111BHJP
【FI】
   C09K19/60 Z
   C09K19/12
   C09K19/14
   C09K19/16
   C09K19/20
   C09K19/30
   C09K19/34
   G02F1/13 500
   G02F1/13 505
   G02F1/137 500
   !C07D513/04 301
【請求項の数】15
【全頁数】167
(21)【出願番号】特願2019-502736(P2019-502736)
(86)(22)【出願日】2017年7月17日
(65)【公表番号】特表2019-527748(P2019-527748A)
(43)【公表日】2019年10月3日
(86)【国際出願番号】EP2017067954
(87)【国際公開番号】WO2018015320
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2020年7月14日
(31)【優先権主張番号】16180060.2
(32)【優先日】2016年7月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593033142
【氏名又は名称】メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーア キアシュ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ルール
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ユンゲ
(72)【発明者】
【氏名】ウアズラ パトヴァール
(72)【発明者】
【氏名】ミラ フィッシャー
【審査官】 厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/141182(WO,A1)
【文献】 特開2016−050179(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/090506(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/154848(WO,A1)
【文献】 Minjie Li et al.,Theoretical Study of WS-9-Based Organic Sentitizers for Unusual Vis/NIR Absorption and Highly Efficient Dye-Sensitized Solar Cells,THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY,2015年04月21日,Vol.119, No.18,pp.9782-9790
【文献】 Xianzhen Li et al.,Synthesis and Characterization of Near-Infrared Absorbing and Fluorescent Liquid-Crystal Chromophores,ORGANIC LETTERS,2008年08月05日,Vol.10, No.17,pp.3785-3787
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00 − 19/60
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物を1種以上含む色素成分A)、
および
メソゲン性化合物を1種以上含む液晶成分B)
を含む液晶媒体であって、
ここで成分A)の式Iにおいて
Wは、−S−示し、
11、R12は、同一または異なって、H、F、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキルを示し、ここで、さらに、1個以上の非隣接CH基は、互いに独立して、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−によってそれぞれ置き換えられていてよく、
は、各場合において、同一または異なって、H、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキルを示し、ここで、さらに、1個以上の非隣接CH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−によって置き換えられていてよく、
11、A12は、それぞれ、互いに独立して、1個以上の基Lによって置換され得るアリール基またはヘテロアリール基を示し、
21、A22は、それぞれ、互いに独立して、1個以上の基Lによって置換されたアリール基またはヘテロアリール基か、あるいは3〜10個のC原子を有する環状アルキル基を示し、ここで、1個以上のCH基は、2個のO原子が隣接しないように、Oによって置き換えられていてよく、
Lは、各場合において、同一または異なって、OH、CHOH、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R−N(R、任意で置換されるシリル、6〜20個のC原子を有する任意で置換されるアリール、または1〜25個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを示し、ここで、1個以上の基Lによって置換され得るアリールまたはヘテロアリール基、および代替的に2個の隣接基Lはまた一緒に2〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基を示し、かつ1個以上の−CHCH−基は、−CH=CH−により置き換えることができ、
11、Z12は、各場合において、同一または異なって、単結合、−CRx1=CRx2−、−C≡C−または−C(O)−を示し、
21、Z22は、各場合において、同一または異なって、Z11のように定義されるか、または−O−、−S−、−CRy1y2−、−CFO−、−OCF−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−SCH、−CHS−、−CFS−、−SCF−、−(CHn1−、−CFCH−、−CHCF−、−(CFn1−、−CH=CH−COOまたは−OCO−CH=CH−を示し、
x1、Rx2は、互いに独立して、H、F、Cl、CNまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
y1、Ry2は、それぞれ、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
r、sは、1を示し
n1は、1、2、3または4を示す、液晶媒体。
【請求項2】
1種以上の式Iの化合物は、式IA
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、存在する基およびパラメータは、請求項1の式Iについて示した意味を有する]
の化合物であることを特徴とする、請求項1記載の液晶媒体。
【請求項3】
下位式IA−3
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、A11、A12、A21、A22、R11、R12は、請求項1で示した意味を有しかつ
21、Z22は、各場合において、同一または異なって、単結合、−CRx1=CRx2−、−C≡C−または−C(O)−を示す]
の化合物である式IAの化合物を1種以上含むことを特徴とする、請求項1または2記載の液晶媒体。
【請求項4】
11およびA12は、互いに独立して、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、チアゾール−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイルまたはチエノチオフェン−2,5−ジイルを示し、ここで1個以上のH原子は、請求項1で定義した基Lによって置き換えられていてよいことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の液晶媒体。
【請求項5】
21およびZ22は、単結合を示す、式Iの化合物を1種以上含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の液晶媒体。
【請求項6】
11およびR12は、3〜25個のC原子を有する分枝鎖状のアルキル基を示し、ここで、1個以上のCH基は、Oおよび/またはNHによって置き換えることができ、かつ1個以上のCH基は、Nによって置き換えることができる式Iの化合物を1種以上含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の液晶媒体。
【請求項7】
負の誘電率異方性を有し、かつ式CY、PYおよびAC
【化4】
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[式中、
【化5】
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【化6】
[この文献は図面を表示できません]
、R、RAC1、RAC2は、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、
、Z、ZACは、それぞれ、互いに独立して、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合を示し、
1〜4は、それぞれ、互いに独立して、F、Cl、CN、OCF、CF、CH、CHF、CHFを示し
aは、1または2であり、
bは、0または1であり、
cは、0、1または2であり、
dは、0または1である]
の化合物の群から選択される化合物を1種以上含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の液晶媒体。
【請求項8】
正の誘電率異方性を有し、かつ式II〜VIII
【化7】
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【化8】
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[式中、
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
は、それぞれ、互いに独立して、
【化10】
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を示し、
20は、それぞれ、同一または異なって、1〜15個のC原子を有するハロゲン化または非置換アルキルもしくはアルコキシ基を示し、ここで、さらに、これらの基における1個以上のCH基は、それぞれ、互いに独立して、O原子が互いに直接結合しないように−C≡C−、−CFO−、−CH=CH−、
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
−O−、−CO−O−または−O−CO−によって置き換えられていてよく、
20は、それぞれ、同一または異なって、F、Cl、CN、SF、SCN、NCS、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を示し、それぞれ6個までのC原子を有し、かつ
20〜24は、それぞれ、同一または異なって、HまたはFを示し;
20は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−または−OCF−を示し、式VおよびVIでは単結合も示し、式VおよびVIIIでは−CFO−も示し、
rは、0または1を示し、かつ
sは、0または1を示す]
の化合物の群から選択される化合物を1種以上含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の液晶媒体。
【請求項9】
式DKおよびO
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
、R、RO1およびRO2は、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、
【化13】
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【化14】
[この文献は図面を表示できません]
O1は、−CHCH−、−CFCF−、−C=C−または単結合を示し、
O2は、CHO、−C(O)O−、−CHCH−、−CFCF−、または単結合を示し、
oは、1または2であり、
eは、1または2である]
の化合物の群から選択される化合物を1種以上さらに含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の液晶媒体。
【請求項10】
下位式O3〜O5
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、RO1およびRO2は、同一または異なって、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルを示す]
の化合物の群から選択される、式Oの化合物を1種以上含むことを特徴とする、請求項9記載の液晶媒体。
【請求項11】
下位式DK1〜DK12:
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、かつアルケニルは、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示す]
の化合物の群から選択される式DKの化合物を1種以上含むことを特徴とする、請求項9または10記載の液晶媒体。
【請求項12】
前記色素成分A)は、前記式Iの化合物を2種以上含むことを特徴とする、請求項1記載の液晶媒体。
【請求項13】
電気光学的ディスプレイ、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイス、電気半導体、有機電界効果トランジスタ(OFET)、印刷回路、無線周波数識別素子(RFID)、有機発光ダイオード(OLED)、照明素子、光起電力素子、光センサー、効果顔料、装飾要素におけるまたはポリマーを着色するための色素としての、請求項1から12までのいずれか1項記載の液晶媒体の使用。
【請求項14】
外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイスであって、請求項1から12までのいずれか1項記載の液晶媒体を含むスイッチング層を有する、デバイス。
【請求項15】
請求項14記載のデバイスを有する、ウィンドウ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縮環ベンゾチアジアゾール誘導体を含む液晶媒体、前記媒体の、光学的、電気光学的および電子的目的のための使用、特に、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイス、例えば、ウィンドウにおける使用に関する。本発明はさらに、本発明による液晶媒体を含むデバイスに関する。
【0002】
液晶は、かかる物質の光学特性が印加電圧による影響を受け得るため、特に、表示デバイスにおいて誘電体として使用されている。液晶に基づく電気光学デバイスは、当業者には非常によく知られており、かつ様々な効果に基づき得る。この種のデバイスは、例えば、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形)セル、ねじれネマチック構造を有するTNセル、STN(「スーパーツイストネマチック」)セル、SBE(「超複屈折効果」)セル、OMI(「光モード干渉」)セルおよびゲスト−ホストセルである。
【0003】
最後に言及したゲスト−ホスト効果に基づくデバイスは、HeilmeierおよびZanoni(G. H. Heilmeierら, Appl. Phys. Lett., 1968, 13, 91 f)によって最初に記載されており、それ以来、主にLC表示要素での広範な使用が見出されている。ゲスト−ホストシステムでは、LC媒体は、液晶に加えて1種以上の二色性色素を含む。色素分子による吸収の方向依存性のために、色素が液晶と一緒にそれらの配向を変える場合、液晶の光に対する透明性が変わり得る。
【0004】
LCディスプレイでの使用に加えて、この種のデバイスは、例えば国際公開第2009/141295号(WO 2009/141295)および国際公開第2010/118422号(WO 2010/118422)より、光またはエネルギーの通過を調節するためのスイッチング素子として知られており、エネルギーの通過を調節するためのデバイスは、本出願では、比較的低いエネルギー透過率の構造内に配置された領域を通るエネルギーの通過を調節するデバイスを意味するものと解釈されている。例えば、比較的高いエネルギー透過率の領域は、ガラス領域または開放領域になり得、高いエネルギー透過率の領域を含む低いエネルギー透過率の構造は、壁になり得る。
【0005】
デバイスは、好ましくは、日射からのエネルギーの通過を、直接的にまたは間接的に調節する。
【0006】
エネルギーの通過の調節は、外部空間、好ましくは日射に直接さらされる環境から、内部空間、例えば建物もしくは車両内へ、または環境から実質的に密閉された別のユニットへ通過する際に行われる。
【0007】
本発明の目的のために、エネルギーという用語は、特に、UV−A、VISおよびNIR領域における電磁放射によるエネルギーを意味すると解釈される。特に、通常、ウィンドウに使用されている材料(例えばガラス)によって吸収されないか、または無視できる程度しか吸収されない放射線によるエネルギーを意味すると解釈される。通常、使用されている定義によれば、UV−A領域は、320nm〜380nmの波長を意味すると解釈され、VIS領域は、380nm〜780nmの波長を意味すると解釈され、NIR領域は、780nm〜2000nmの波長を意味すると解釈される。それに応じて、光という用語は、概して、320nm〜2000nmの波長を有する電磁放射線を意味すると解釈される。
【0008】
本発明の目的のために、二色性色素は、吸収特性が光の偏光方向による化合物の配向に依存する光吸収化合物を意味すると解釈される。本発明による二色性色素化合物は、典型的には、細長い形状を有し、すなわち、化合物は、他の2つの空間方向よりも1つの空間方向(縦軸)に著しく長い。
【0009】
外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するデバイスの分野では、多くの様々な技術的解決策が過去数年間に提案されてきた。
【0010】
有利な解決策は、液晶媒体を含むスイッチング層を、1種以上の二色性色素と組み合わせて使用することである。電圧を印加することにより、二色性化合物の分子の空間的な配向が、これらのスイッチング層で変化し、スイッチング層の透過率が、それらの方向依存性の吸収により変化し得る。対応するデバイスは、例えば、国際公開第2009/141295号(WO 2009/141295)に記載されている。
【0011】
また、例えば、米国特許出願公開第2010/0259698号明細書(US 2010/0259698)に記載されているように、このような透過率の変化は、電圧を用いずに、液晶媒体の等方性状態から液晶状態への温度誘起遷移によっても起こり得る。
【0012】
従来技術では、シアノビフェニル誘導体および1種以上の二色性色素を含むゲスト−ホスト型の表示素子用の液晶媒体が開示されている(国際公開第2009/141295号(WO 2009/141295)および国際公開第2010/118422号(WO 2010/118422))。同じ出願の場合、米国特許第6033598号明細書(US 6033598)および米国特許第5762824号明細書(US 5762824)には、1種以上の二色性色素の他に、それぞれ1個以上のフッ素原子で置換される3つの環元素からなる化合物を1種以上含むLC媒体が記載されている。
【0013】
リレン(rylene)色素は、上記のデバイス、例えば国際公開第2009/141295号(WO2009/141295)、国際公開第2013/004677号(WO2013/004677)および国際公開第2014/090373号(WO2014/090373)に使用するために記載されている。しかしながら、リレン色素には、概して、いくつかの欠点があり、特に、しばしばLC媒体への溶解性が低く、液晶混合物の低温安定性が低くなり、かつしばしば低い色純度を示す。このため、特に、建築上の理由から、審美的印象が重要でありかつ可能な限り純粋な色が望ましいウィンドウでの使用が難しくなる。
【0014】
さらに、様々な用途のための、例えば、以下の構造:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、とりわけ、Rは、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を示し、かつRおよびRはHを示す]
によって例示される、国際公開第2015/041026号(WO 2015/041026)に開示されているような、有機半導体として使用するためのナフトチアジアゾール誘導体が知られている。
【0015】
以下の構造のオキサジアゾロチアジアゾロベンゼン中心環を有する同様の化合物:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
がM. Liら、J. Phys. Chem. C 2015, 119, 9782-9790に記載されている。
【0016】
上記の文献では、これらの化合物を、液晶混合物において二色性色素として使用することについては開示も示唆もされていない。
【0017】
本発明は、上記の欠点を示さないか、またはわずか程度しか示さず、さらに、少なくとも1つ、好ましくは複数の以下の望ましい特性:色素の液晶媒体への良好な溶解性、良好な光および温度安定性、および吸収の高い異方性、すなわち、色素を液晶とともに整列させる高い能力を有する新規な二色性色素を提供するという課題に基づく。また、色素は、光のVIS領域および/またはNIR領域に強い光の吸収を有するべきである。さらに、本発明は、適用技術パラメータの好ましい組み合わせを有するだけでなく、さらに、特に高い色純度によって区別される化合物を提供するという課題に基づいている。
【0018】
通常、色素の混合物が、本発明による用途のために液晶媒体において使用されている。なぜなら、特に黒色を得ることが望ましい場合、すなわち、電磁スペクトルのVIS部分およびNIR部分の全範囲がカバーされるべき場合、様々な色の色素が混合されるからである。したがって、個々に適した液晶媒体の開発のために選択可能な新規な二色性色素が、概して、強く求められている。
【0019】
驚くべきことに、上記の要件のうち1つ以上が、下記の式Iの化合物によって満たされることが判明した。
【0020】
本発明は、
1種以上の式Iの化合物および任意にさらなる二色性色素を含む色素成分A)、
1種以上の、好ましくは2種以上のメソゲン性化合物を含む液晶成分B)(以下、「LCホスト混合物」とも呼ばれる)
を含むLC媒体であって、
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
ここで、
Wは、−S−、−Se−または−O−を示し、
11、R12は、同一または異なって、H、F、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキルを示し、さらに、1個以上の非隣接CH基は、互いに独立して、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−によってそれぞれ置き換えられていてよく、さらに、1個以上のH原子は、F、Cl、Br、IまたはCNによって置き換えられていてよく、
は、各場合において、同一または異なって、H、ハロゲン、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキルを示し、ここで、さらに、1個以上の非隣接CH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−によって置き換えられていてよく、さらに、1個以上のH原子は、FまたはClによって置き換えられていてよく、
11、A12は、それぞれ、互いに独立して、1個以上の基Lによって置換され得るアリール基またはヘテロアリール基を示し、
21、A22は、それぞれ、互いに独立して、A11のように定義されるか、または3〜10個のC原子を有する環状アルキル基を示し、ここで、1個以上の非隣接CH基は、Oによって置き換えられていてよく、
Lは、各場合において、同一または異なって、OH、CHOH、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、SF、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R、−C(=O)R、−N(R、任意で置換されるシリル、6〜20個のC原子を有する任意で置換されるアリール、または1〜25個のC原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを示し、ここで、さらに、1個以上のH原子は、FまたはClによって置き換えられていてよく、1個以上の基Lによって置換され得るアリールまたはヘテロアリール基、および代替的に2個の隣接基Lはまた一緒に2〜10個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基を示し、ここで、1個、複数またはすべてのH原子は、Fによって置き換えられていてよく、かつ1個以上の−CHCH−基は、−CH=CH−により置き換えることができ、
11、Z12は、各場合において、同一または異なって、単結合、−CRx1=CRx2−、−C≡C−または−C(O)−を示し、
21、Z22は、各場合において、同一または異なって、Z11のように定義されるか、または−O−、−S−、−CRy1y2−、−CFO−、−OCF−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFS−、−SCF−、−(CHn1−、−CFCH−、−CHCF−、−(CFn1−、−CH=CH−C(O)Oまたは−OC(O)−CH=CH−を示し、
x1、Rx2は、互いに独立して、H、F、Cl、CNまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
y1、Ry2は、それぞれ、互いに独立して、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、
r、sは、互いに独立して、0、1、2または3を示し、
n1は、1、2、3または4を示す、LC媒体に関する。
【0021】
成分B)が、LC化合物またはネマチック液晶相を有するLC混合物である、LC媒体が好ましい。
【0022】
本発明はさらに、光学的、電気光学的および電子的目的のための、特に外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイスにおける、上記および下記の式Iの二色性色素を1種以上含むLC媒体の使用に関する。
【0023】
本発明はさらに、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイスに関する。
【0024】
本発明は、さらに以下に示す式Iの新規化合物に関する。
【0025】
本発明は、以下の基:
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
が互いに異なっている、上記で定義した式Iの化合物に関する。
【0026】
本発明はさらに、R11およびR12が、互いに独立して、3〜25個のC原子を有する分枝鎖状のアルキル基を示し、ここで1個以上のH原子は、Fによって置き換えることができ、1個以上のCH基は、Oおよび/またはNHによって置き換えることができ、かつ1個以上のCH基は、Nによって置き換えることができる式Iの化合物に関する。
【0027】
本発明は、以下に示す式IBの化合物に関する。
【0028】
上記および下記において、次の意味が適用される:
【0029】
「有機基」という用語は、炭素基または炭化水素基を指す。
【0030】
「炭素基」という用語は、少なくとも1個の炭素原子を含む一価または多価の有機基を指し、これはさらなる原子(例えば、−C≡C−など)を含まないか、または任意で1個以上のさらなる原子、例えばN、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGe(例えば、カルボニル等)を含む。「炭化水素基」という用語は、1個以上のH原子および任意で1個以上のヘテロ原子、例えば、N、O、S、P、Si、Se、As、TeまたはGeをさらに含む炭素基を指す。
【0031】
「ハロゲン」とは、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0032】
炭素基または炭化水素基は、飽和または不飽和基であり得る。不飽和基は、例えば、アリール基、アルケニル基またはアルキニル基である。3個以上の原子を有する炭素基または炭化水素基は、直鎖状、分枝鎖状および/または環状であり得、さらにスピロ結合または縮合環も含んでいてよい。
【0033】
「アルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」等の用語は、多価基、例えばアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン等も包含する。
【0034】
「アリール」という用語は、芳香族炭素基またはそれから誘導される基を指す。「ヘテロアリール」という用語は、1個以上のヘテロ原子を含む、上記で定義した「アリール」を指す。
【0035】
好ましい炭素基および炭化水素基は、1〜40個、好ましくは1〜25個、特に好ましくは1〜18個のC原子を有する、任意で置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシおよびアルコキシカルボニルオキシ、6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有する、任意で置換されるアリールまたはアリールオキシ、または6〜40個、好ましくは6〜25個のC原子を有する、任意で置換されるアルキルアリール、アリールアルキル、アルキルアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシである。
【0036】
さらに好ましい炭素および炭化水素基は、C〜C40アルキル、C〜C40アルケニル、C〜C40アルキニル、C〜C40アリル、C〜C40アルキルジエニル、C〜C40ポリエニル、C〜C40アリール、C〜C40アルキルアリール、C〜C40アリールアルキル、C〜C40アルキルアリールオキシ、C〜C40アリールアルキルオキシ、C〜C40ヘテロアリール、C〜C40シクロアルキル、C〜C40シクロアルケニル等である。特に、C〜C22アルキル、C〜C22アルケニル、C〜C22アルキニル、C〜C22アリル、C〜C22アルキルジエニル、C〜C12アリール、C〜C20アリールアルキルおよびC〜C20ヘテロアリールが好ましい。
【0037】
さらに好ましい炭素および炭化水素基は、非置換であるか、またはF、Cl、Br、IもしくはCNによって一置換または多置換されている、1〜40個、好ましくは1〜25個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル基であり、ここで、1個以上の非隣接CH基は、それぞれ、互いに独立して、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないように、−C(R)=C(R)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−によって置き換えられていてよい。
【0038】
は、好ましくは、H、ハロゲン、1〜25個のC原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキル鎖を示し、ここで、さらに、1個以上の非隣接C原子は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−によって置き換えられていてよく、かつ1個以上のH原子は、フッ素、6〜40個のC原子を有する任意で置換されるアリールまたはアリールオキシ基、または2〜40個のC原子を有する任意で置換されるヘテロアリールまたはヘテロアリールオキシ基によって置き換えられていてよい。
【0039】
好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、s−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ヘプチル、シクロヘプチル、n−オクチル、シクロオクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、トリフルオロメチル、パーフルオロ−n−ブチル、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロオクチルおよびパーフルオロヘキシルである。
【0040】
好ましいアルケニル基は、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニルおよびシクロオクテニルである。
【0041】
好ましいアルキニル基は、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルおよびオクチニルである。
【0042】
好ましいアルコキシ基は、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシ−エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、2−メチルブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、n−ノノキシ、n−デコキシ、n−ウンデコキシおよびn−ドデコキシである。
【0043】
好ましいアミノ基は、例えば、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノおよびフェニルアミノである。
【0044】
アリール基およびヘテロアリール基は、単環式または多環式であり得る。すなわち、それらの基は、1つの環(例えばフェニルなど)または2つ以上の環を含むことができ、該環は、縮合(例えば、ナフチルなど)または共有結合(例えば、ビフェニルなど)してもよく、または縮合環と結合環との組み合わせを含んでもよい。ヘテロアリール基は、好ましくはO、N、SおよびSeから選択される1個以上のヘテロ原子を含む。この種の環系は、例えば、フルオレン基本構造の場合のように、個々の非共役単位を含んでもよい。
【0045】
特に、6〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式アリール基、および2〜25個のC原子を有する単環式、二環式または三環式ヘテロアリール基が好ましく、これらは任意で縮合環を含みかつ任意で置換される。さらに、5員、6員または7員のアリールおよびヘテロアリール基が好ましく、ここで、さらに、1個以上のCH基は、O原子および/またはS原子が互いに直接結合しないようにN、SまたはOによって置き換えられていてよい。
【0046】
好ましいアリール基は、例えば、親構造のベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、[1,1’:3’,1’’]テルフェニル、ナフタレン、アントラセン、ビナフチル、フェナントレン、ピレン、ジヒドロピレン、クリセン、ペリレン、テトラセン、ペンタセン、ベンゾピレン、フルオレン、インデン、インデノフルオレン、スピロビフルオレン等から誘導される。
【0047】
好ましいヘテロアリール基は、例えば、5員環、例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、フラン、チオフェン、セレノフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2−チアゾール、1,3−チアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、6−員環、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、または縮合基、例えば、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、ナフトイミダゾール、フェナントリミダゾール、ピリドイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリン−イミダゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロキサゾール、フェナントロキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、キノリン、イソキノリン、プテリジン、ベンゾ−5,6−キノリン、ベンゾ−6,7−キノリン、ベンゾ−7,8−キノリン、ベンゾイソキノリン、アクリジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾピリダジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、フェナジン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントリジン、フェナントロリン、チエノ[2,3b]チオフェン、チエノ[3,2b]チオフェン、ジチエノチオフェン、ジヒドロチエノ[3,4−b]−1,4−ジオキシン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾチオフェン、またはこれらの基の組み合わせである。ヘテロアリール基は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、フッ素、フルオロアルキル、またはさらにアリールもしくはヘテロアリール基により置換されていてもよい。
【0048】
(非芳香族)脂環式基および複素環式基は、飽和環、すなわち、専ら単結合を含むものと、部分的不飽和環、すなわち、多重結合も含み得るものとの双方を包含する。複素環は、1個以上のヘテロ原子を含み、好ましくはSi、O、N、SおよびSeから選択される。
【0049】
(非芳香族)脂環式基および複素環式基は、単環式であり得る、すなわち、たった1つの環(例えば、シクロヘキサンなど)を有するか、または多環式であり得る、すなわち、複数の環(例えば、デカヒドロナフタレンまたはビシクロオクタンなど)を有する。特に飽和基が好ましい。さらに、3〜25個のC原子を有する単環式基、二環式基または三環式基が好ましく、これらの基は、任意で縮合環を含みかつ任意で置換される。さらに、5員、6員、7員または8員の炭素環式基が好ましく、ここで、さらに、1個以上のC原子は、Siによって置き換えられていてよく、かつ/または1個以上のCH基は、Nにより置き換えられていてよくかつ/または1個以上の非隣接CH基は、−O−および/または−S−により置き換えられていてよい。
【0050】
好ましい脂環式基および複素環式基は、例えば、5員環基、例えば、シクロペンタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフラン、ピロリジン、6員環基、例えば、シクロヘキサン、シリナン、シクロヘキセン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、ピペリジン、7員環基、例えば、シクロヘプタン、および縮合基、例えば、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、インダン、ビシクロ[1.1.1]−ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、オクタヒドロ−4,7−メタノインダン−2,5−ジイルである。
【0051】
アリール基、ヘテロアリール基、炭素基および炭化水素基は、任意で1個以上の置換基を有し、これらの置換基は、好ましくは、シリル、スルホ、スルホニル、ホルミル、アミン、イミン、ニトリル、メルカプト、ニトロ、ハロゲン、C1〜12アルキル、C6〜12アリール、C1〜12アルコキシ、ヒドロキシル、またはこれらの基の組み合わせを含む群から選択される。
【0052】
好ましい置換基は、例えば、アルキルまたはアルコキシなどの溶解性促進基、フッ素、ニトロもしくはニトリルなどの電子求引基、またはポリマー中のガラス転移温度(Tg)を上昇させるための置換基、特に嵩高い基、例えばt−ブチルまたは任意で置換されるアリール基である。
【0053】
上記および下記で「L」とも呼ばれる好ましい置換基は、F、Cl、Br、I、−CN、−NO、−NCO、−NCS、−OCN、−SCN、−C(=O)N(R、−C(=O)Y、−C(=O)R、−N(Rであり、ここで、Rは、上記で示した意味を有し、かつYは、ハロゲン、6〜40個、好ましくは6〜20個のC原子を有する任意で置換されるシリルまたはアリール、および1〜25個のC原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを示し、ここで、1個以上のH原子は、FまたはClにより任意で置き換えられていてよい。
【0054】
より好ましい置換基Lは、例えば、F、Cl、CN、NO、CH、C、OCH、OC、COCH、COC、COOCH、COOC、CF、OCF、OCHF、OC、さらにフェニルである。
【0055】
「置換されるシリルまたはアリール」は、好ましくは、ハロゲン、−CN、Ry1、−ORy1、−CO−Ry1、−CO−O−Ry1、−O−CO−Ry1または−O−CO−O−Ry1によって置換されるものを意味し、ここでRy1は、上記で示した意味を有する。
【0056】
好ましい実施形態では、式IにおけるWは、−S−または−O−、好ましくは−S−を示す。
【0057】
11およびZ12は、好ましくは、互いに独立して、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−を示し、特に好ましくは単結合を示す。
【0058】
21およびZ22は、好ましくは、互いに独立して、単結合、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−OCF−または−CFO−を示し、特に好ましくは−OCF−、−CFO−または単結合を示し、非常に特に好ましくは単結合を示す。
【0059】
11、A12、A21、A22は、好ましくは、各場合において、同一または異なって、6〜15個のC原子を有するアリール基または1個以上の基Lにより置換され得る2〜15個のC原子を有するヘテロアリール基を表す。
【0060】
11、A12、A21、A22は、特に好ましくは、各場合において、同一または異なって、親物質のベンゼン、フルオレン、ナフタレン、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、チアジアゾール、ジヒドロチエノジオキシン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾジチオフェン、シクロペンタジチオフェン、チエノチオフェン、インデノチオフェン、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフランおよびキノリン、非常に特に好ましくはベンゼン、ナフタレン、チアジアゾール、チエノチオフェンおよびチオフェンから誘導される基Lによって任意で置換される基から選択される。
【0061】
基R11およびR12は、好ましくは、互いに独立して、3〜25個のC原子を有する分枝鎖状のアルキル基を示し、ここで、1個以上のH原子は、Fによって置き換えることができ、1個以上のCH基は、Oおよび/またはNHによって置き換えることができ、かつ1個以上のCH基は、Nによって置き換えることができる。
【0062】
基R11およびR12は、特に好ましくは、互いに独立して、分枝鎖状のアルキル基を示し、好ましくはエチル、n−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルまたはn−デシル基に結合されたメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、またはn−ペンチル基を有する分枝鎖状のアルキル基、例えば、2−エチルヘキシル、2−エチルヘプチル、2−エチルオクチル、2−エチルノニル、2−エチルデシル、3−エチルヘキシル、3−エチルヘプチル、3−エチルオクチル、3−エチルノニル、3−エチルデシル等を示す。
【0063】
別の好ましい実施形態では、基R11およびR12は、互いに独立して、1個のアルキル基あたり1〜25個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル基またはジアルキルアミノ基を示す。
【0064】
基Rx1およびRx2は、好ましくは、各場合において、同一または異なって、H、Fまたは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基である。Rx1およびRx2は、特に好ましくは、各場合において、同一または異なって、HまたはFであり、非常に特に好ましくはHである。
【0065】
添字rおよびsは、好ましくは、互いに独立して、1、2または3に等しく、特に好ましくは1または2に等しく、非常に特に好ましくは1に等しい。
【0066】
式Iの化合物は、好ましくは、下位式IAおよびIB:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、存在する基は、上記の式Iについて示した意味を有する]
の化合物の群から選択される。
【0067】
式Iの化合物は、好ましくは、下位式IAの化合物から選択される。
【0068】
式IAの好ましい実施形態は、以下の式IA−1、IA−2およびIA−3:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、存在している基は、上記で示した意味を有し、かつ
21、Z22は、各場合において、同一または異なって、好ましくは単結合、−CRx1=CRx2−、−C≡C−または−C(O)−を示し、特に好ましくは単結合を示す]
であり、特にIA−2およびIA−3が好ましい。
【0069】
式IA−1、IA−2およびIA−3の場合、ベンゾ−ビス(チアジアゾール)部分に直接結合したA11またはA12の少なくとも1つは、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、チアゾール−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、またはチエノチオフェン−2,5−ジイルを表すことが好ましい。基は、上記で定義した1個以上の基Lによって置換され得る。特に好ましい置換基Lは、F、Cl、CN、CH、C、OCH、CF、OCF、OCHF、OC、さらにフェニルである。
【0070】
式IA−3の特に好ましい下位式は、以下の
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、存在している基R11、R12、A11、A12、A21、A22、Z21およびZ22ならびに存在しているLは、上記のように規定され、好ましくは、
11、A12、A21、A22は、互いに独立して、1,4−フェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレン、チアゾール−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、またはチエノチオフェン−2,5−ジイルを示し、
Lは、F、Cl、CN、CH、C、OCH、CF、OCF、OCHFを示し、
aは、互いに独立して、0、1、2、3または4を示し、
bは、互いに独立して、0、1または2を示し、
cは、互いに独立して、0または1を示し、かつ
dは、互いに独立して、1、2、3、4、5または6を示す]
である。
【0071】
非常に特に好ましい式Iの化合物は、以下の下位式:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、R11およびR12は、互いに独立して、1〜15個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルコキシ基または3〜25個のC原子を有する分枝鎖状のアルキルまたはアルコキシ基、特に好ましくはn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、または2−エチルヘキシル、2−エチルヘプチル、2−エチルオクチル、2−エチルノニル、2−エチルデシル、3−エチルヘキシル、3−エチルヘプチル、3−エチルオクチル、3−エチルノニル、3−エチルデシル、2−オクチルドデシルを示す]
の群から選択される。
【0072】
式Iの化合物は、当業者に公知であり、かつ有機化学の標準的な研究、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Thieme Verlag, Stuttgartに記載されている方法と同様に調製され得る。式Iの化合物を製造するための特定の方法については、公知の文献および実施例をさらに参照されたい。
【0073】
式IBの化合物が新規であるため、本発明は、さらに式IBの化合物に関する。式IBの化合物は、好ましくは、0.2〜0.8当量、より好ましくは0.3〜0.7当量、特に好ましくは0.4〜0.6当量の準化学量論量(substoichiometric amount)の水素を用いて、ジニトロ化合物1の水素化により、スキーム1に示される手順によって調製される。
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0074】
出発物質(1)は、例えば、T. L. Tamら、Organic Lett. 2010年, 12(15)、3340〜3343頁および国際公開第2015/041026号(WO2015/041026A1)に公開されているような公知の文献の手順に従って調製される。
【0075】
式Iの化合物は、好ましくは、正の二色性色素、すなわち正の異方性度Rを有する色素である。異方性度Rは、光の偏光方向に平行な分子の配向の場合、色素を含むLC混合物の吸光係数の値から求められ、光の偏光方向に垂直な分子の配向の場合、吸光係数の値から求められる。
【0076】
異方性度Rは、特に好ましくは0.4より大きく、非常に特に好ましくは0.6より大きく、最も好ましくは0.7より大きい。
【0077】
吸収は好ましくは、光の偏光方向が式Iの分子の最長伸長方向と平行である時に最大になり、光の偏光方向が式Iの分子の最長伸長方向と垂直である時に最小になる。
【0078】
原則として、適切なホスト混合物は、従来のVA、TN、IPSまたはFFSディスプレイでの使用に適した、誘電的に負のまたは正のLC混合物である。
【0079】
適切なLC混合物は、当業者に知られており、かつ文献に記載されている。負の誘電率異方性を有するVAディスプレイのLC媒体は、例えば、欧州特許出願公開第1378557号明細書(EP1378557A1)に記載されている。
【0080】
LCD、特にIPSディスプレイに適した正の誘電率異方性を有する適切なLC混合物は、例えば、特開07−181439号公報(JP 07-181 439 (A))、欧州特許第0667555号明細書(EP 0 667 555)、欧州特許第0673986号明細書(EP 0 673 986)、独国特許第19509410号明細書(DE 195 09 410)、独国特許第19528106号明細書(DE 195 28 106)、独国特許第19528107号明細書(DE 195 28 107)、国際公開第96/23851号(WO 96/23 851)、国際公開第96/28521号(WO 96/28 521)および国際公開第2012/079676号(WO2012/079676)から知られている。
【0081】
本発明による負または正の誘電率異方性を有する液晶媒体の好ましい実施形態を以下に示す。
【0082】
LCホスト混合物は、好ましくはネマチックLC混合物であり、好ましくはキラルLC相を有していない。
【0083】
本発明の好ましい実施形態では、LC媒体は、負の誘電率異方性を有するLCホスト混合物を含む。このようなLC媒体および対応するLCホスト混合物の好ましい実施形態は、以下の節a)〜w)のものである:
【0084】
a)式CY、PYおよびACの化合物の群から選択される化合物を1種以上含むLC媒体:
【化16】
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[式中、
aは、1または2を示し、
bは、0または1を示し、
cは、0、1または2であり、
dは、0または1であり、
【化17】
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【化18】
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およびR、RAC1およびRAC2は、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを示し、
およびZは、それぞれ、互いに独立して、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合、好ましくは単結合を示し、かつ
1〜4は、それぞれ、互いに独立して、F、Cl、CN、OCF、CF、CH、CHF、CHFを示す。
【0085】
ここで、個々の基は、以下の意味を有する:
それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−O−CO−または−CO−O−によって置き換えられていてよく、
ACは、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合、好ましくは単結合を示し、かつ
好ましくは、LおよびLの双方がFを示すか、またはLおよびLの一方がFを示し、かつ他方がClを示すか、またはLおよびLの双方がFを示すか、またはLおよびLの一方がFを示し、かつ他方がClを示す。
【0086】
式CYの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化19】
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【化20】
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【化21】
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【化22】
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【化23】
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【化24】
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[式中、aは1または2を示し、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、かつアルケニルは、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示し、かつ(O)は、酸素原子または単結合を示す]からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0087】
式PYの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化25】
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【化26】
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【化27】
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【化28】
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[式中、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、アルケニルは、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示し、かつ(O)は、酸素原子または単結合を示す]からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0088】
式ACの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化29】
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の化合物の群から選択される。
【0089】
b)以下の式の化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化30】
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[式中、個々の基は以下の意味を有する:
【化31】
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およびRは、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−O−CO−または−CO−O−によって置き換えられていてよく、
は、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合、好ましくは単結合を示す]。
【0090】
式ZKの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化32】
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【化33】
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[式中、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、かつアルケニルは、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示す]からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0091】
特に、式ZK1およびZK3の化合物が好ましい。
【0092】
特に好ましい式ZKの化合物は、以下の下位式:
【化34】
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[式中、プロピル基、ブチル基およびペンチル基は、直鎖状基である]
から選択される。
【0093】
式ZK1aおよびZK3aの化合物が、最も好ましい。
【0094】
c)以下の式の化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化35】
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[式中、個々の基は、各場合において、同一または異なって、以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを示し、
【化36】
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eは、1または2を示す]。
【0095】
式DKの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化37】
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【化38】
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【化39】
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[式中、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、かつアルケニルは、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示す]
からなる群から選択される。アルケニルは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0096】
式DK1、DK4、DK7、DK9、DK10およびDK11の化合物が好ましい。
【0097】
d)以下の式の化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化40】
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[式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【化41】
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ここで、少なくとも1個の環Fは、シクロヘキシレンとは異なり、
fは、1または2を示し、
およびR、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、
は、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合、好ましくは単結合を示し、
およびLは、それぞれ、互いに独立して、F、Cl、OCF、CF、CH、CHF、CHFを示す]。
【0098】
好ましくは、基LおよびLの双方がFを示すか、または基LおよびLのうち一方がFを示し、他方はClを示す。
【0099】
式LYの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化42】
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【化43】
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【化44】
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【化45】
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[式中、Rは、上記で示した意味を有し、アルキルは、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、(O)は、酸素原子または単結合を示し、かつvは、1〜6の整数を示す]からなる群から選択される。Rは、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基または2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基、特に、CH、C、n−C、n−C、n−C11、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0100】
e)以下の式からなる群から選択される化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化46】
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【化47】
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[式中、アルキルは、C1〜6アルキルを示し、Lは、HまたはFを示し、Xは、F、Cl、OCF、OCHFまたはOCH=CFを示す]。特に、XがFを示す式G1の化合物が好ましい。
【0101】
f)以下の式からなる群から選択される化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化48】
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【化49】
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【化50】
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[式中、Rは、Rについて上記で示した意味の1つを有し、アルキルは、C1〜6アルキルを示し、dは、0または1を示し、かつzおよびmは、それぞれ、互いに独立して、1〜6の整数を示す]。これらの化合物中のRは、特に好ましくはC1〜6アルキルもしくはアルコキシまたはC2〜6アルケニルであり、dは、好ましくは1である。本発明によるLC媒体は、好ましくは、上記式の化合物を1種以上、5重量%以上の量で含む。
【0102】
g)以下の式からなる群から選択されるビフェニル化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化51】
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[式中、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、かつアルケニルおよびアルケニルは、それぞれ、互いに独立して、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示す]。アルケニルおよびアルケニルは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0103】
LC混合物中の式B1〜B3のビフェニルの割合は、好ましくは、少なくとも3重量%、特に5重量%以上である。
【0104】
式B2の化合物が、特に好ましい。
【0105】
式B1〜B3の化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化52】
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[式中、アルキルは、1〜6個のC原子を有するアルキル基を示す]
からなる群から選択される。本発明による媒体は、特に好ましくは、式B1aおよび/またはB2cの化合物を1種以上含む。
【0106】
h)以下の式のテルフェニル化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化53】
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[式中、RおよびRは、それぞれ、互いに独立して、上記で示した意味の1つを有し、かつ
【化54】
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は、それぞれ、互いに独立して、
【化55】
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ここで、Lは、FまたはCl、好ましくはFを示し、かつLは、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHF、好ましくはFを示す]。
【0107】
式Tの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化56】
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【化57】
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【化58】
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【化59】
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【化60】
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[式中、Rは、1〜7個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルコキシ基を示し、Rは、2〜7個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示し、(O)は、酸素原子または単結合を示し、かつmは1〜6の整数を示す]からなる群から選択される。Rは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0108】
Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを示す。
【0109】
i)以下の式Oの化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化61】
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[式中、
【化62】
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【化63】
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O1、RO2は、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、
O1は、−CHCH−、−CFCF−、−C=C−または単結合を示し、
O2は、CHO、−C(O)O−、−CHCH−、−CFCFまたは単結合を示し、
oは、1または2である]。
【0110】
式Oの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化64】
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【化65】
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【化66】
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[式中、RO1およびRO2は、上記で示した意味を有し、かつ好ましくは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルを示す]
からなる群から選択される。
【0111】
好ましい媒体は、式O3、O4およびO5から選択される化合物を1種以上含む。
【0112】
k)以下の式の化合物を1種以上、好ましくは3重量%を上回る量で、特に5重量%以上の量で、非常に特に好ましくは5〜30重量%の量でさらに含むLC媒体:
【化67】
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[式中、
【化68】
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は、H、CH、Cまたはn−Cを示し、(F)は、任意のフッ素置換基を示し、かつqは、1、2または3を示し、かつRは、Rについて示した意味の1つを有する]。
【0113】
特に好ましい式FIの化合物は、以下の下位式:
【化69】
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【化70】
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[式中、Rは、好ましくは、直鎖状アルキルを示し、かつRは、CH、Cまたはn−Cを示す]からなる群から選択される。特に、式FI1、FI2およびFI3の化合物が好ましい。
【0114】
l)以下の式からなる群から選択される化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化71】
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[式中、Rは、Rについて示した意味を有し、かつアルキルは、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示す]。
【0115】
m)テトラヒドロナフチルまたはナフチル単位、例えば、以下の式からなる群から選択される化合物を含有する化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化72】
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【化73】
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[式中、
10およびR11は、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを示し、
かつR10およびR11は、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルもしくはアルコキシまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニルを示し、かつ
およびZは、それぞれ、互いに独立して、−C−、−CH=CH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCHCH=CH−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH−または単結合を示す]。
【0116】
n)以下の式のジフルオロ−ジベンゾクロマンおよび/またはクロマンを1種以上、好ましくは3〜20重量%の量で、特に3〜15重量%の量でさらに含むLC媒体:
【化74】
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[式中、
11およびR12は、それぞれ、互いに独立して、R11について上記で示した意味の1つを有し、
環Mは、トランス−1,4−シクロヘキシレンまたは1,4−フェニレンであり、
は、−C−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−または−O−CO−であり、
cは、0、1または2である]。
【0117】
式BC、CRおよびRCの特に好ましい化合物は、以下の下位式:
【化75】
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【化76】
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【化77】
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[式中、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、(O)は、酸素原子または単結合を示し、cは、1または2であり、かつアルケニルおよびアルケニルは、それぞれ、互いに独立して、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示す]からなる群から選択される。アルケニルおよびアルケニルは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0118】
式BC−2の化合物を1種、2種または3種含む混合物が非常に特に好ましい。
【0119】
o)以下の式の1種以上のフッ素化フェナントレンおよび/またはジベンゾフランをさらに含むLC媒体:
【化78】
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[式中、R11およびR12は、それぞれ、互いに独立して、R11について上記で示した意味の1つを有し、bは0または1を示し、LはFを示し、かつrは1、2または3を示す]。
【0120】
特に好ましい式PHおよびBFの化合物は、以下の下位式:
【化79】
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[式中、RおよびR’は、それぞれ、互いに独立して、1〜7個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルコキシ基を示す]
からなる群から選択される。
【0121】
p)以下の式の1種以上の単環式化合物をさらに含むLC媒体:
【化80】
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[式中、
およびRは、それぞれ、互いに独立して、1〜12個のC原子を有するアルキルを示し、ここで、さらに、1個または2個の非隣接CH基は、O原子が互いに直接結合しないように−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−によって置き換えられていてよく、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを示し、
およびLは、それぞれ、互いに独立して、F、Cl、OCF、CF、CH、CHF、CHFを示す]。
【0122】
好ましくは、基LおよびLの双方がFを示すか、または基LおよびLのうち一方がFを示し、他方はClを示す。
【0123】
式Yの化合物は、好ましくは、以下の下位式:
【化81】
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【化82】
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[式中、アルキルおよびアルキルは、それぞれ、互いに独立して、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルキル基を示し、アルコキシは、1〜6個のC原子を有する直鎖状アルコキシ基を示し、アルケニルおよびアルケニルは、それぞれ、互いに独立して、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルケニル基を示し、かつOは、酸素原子または単結合を示す]
からなる群から選択される。 アルケニルおよびアルケニルは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を示す。
【0124】
特に好ましい式Yの化合物は、以下の下位式:
【化83】
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[式中、アルコキシは、好ましくは、3個、4個または5個のC原子を有する直鎖状アルコキシを示す]
からなる群から選択される。
【0125】
q)式CY1、CY2、PY1、PY2、AC1、AC2および/またはAC3の化合物を1〜15種、好ましくは3〜12種含むLC媒体。混合物中のこれらの化合物の割合は、全体として、好ましくは20〜99%、より好ましくは30〜95%、特に好ましくは40〜90%である。これらの個々の化合物の含量は、好ましくは、いずれの場合も2〜20%である。
【0126】
r)式ZKの化合物、特に式ZK1、ZK2および/またはZK6の化合物を1〜10種、好ましくは1〜8種含むLC媒体。混合物中のこれらの化合物の割合は、全体として、好ましくは3〜25%、特に好ましくは5〜45%である。これらの個々の化合物の含量は、好ましくは、いずれの場合も2〜20%である。
【0127】
s)混合物中の式CY、PYおよびZKの化合物の割合が、全体として70%を上回る、好ましくは80%を上回るLC媒体。
【0128】
t)式PY1〜PY8、非常に好ましくは式PY2の選択された化合物を1種以上、好ましくは1〜5種含有するLC媒体。混合物中のこれらの化合物の割合は、全体として好ましくは1〜30%、特に好ましくは2〜20%である。これらの個々の化合物の含量は、好ましくはいずれの場合も1〜20%である。
【0129】
u)式T2の化合物を1種以上、好ましくは1種、2種または3種含有するLC媒体。混合物中のこれらの化合物の含量は、全体として好ましくは1〜20%である。
【0130】
本発明によるLC媒体は、好ましくは、式Tおよびその好ましい下位式のターフェニルを、0.5〜30重量%、特に1〜20重量%の量で含む。
【0131】
特に、式T1、T2、T3およびT21の化合物が好ましい。これらの化合物において、Rは、好ましくは、それぞれが1〜5個のC原子を有する、アルキル、さらにアルコキシを示す。
【0132】
混合物のΔη値が0.1以上の場合、ターフェニルは、好ましくは本発明による混合物中で使用される。好ましい混合物は、好ましくは化合物T1〜T22の群から選択される、1種以上の式Tのターフェニル化合物を2〜20重量%含む。
【0133】
v)式BF1および/またはBSF1の化合物を1種以上、好ましくは1種、2種または3種含有するLC媒体。混合物中のこれらの化合物の全含量は、全体として、好ましくは1〜15%、好ましくは2〜10%、特に好ましくは4〜8%である。
【0134】
v)好ましい媒体は、好ましくは式O3、O4およびO5から選択される、式Oの化合物を1種以上、2〜25%、好ましくは3〜20%、特に好ましくは5〜15%の全濃度で含む。
【0135】
w)好ましい媒体は、好ましくは式DK1、DK4、DK7、DK9、DK10およびDK11から選択される、式DKの化合物を1種以上含む。式DK9、DK10およびDK11の化合物の全濃度は、好ましくは2〜25%、より好ましくは3〜20%、特に好ましくは5〜15%である。
【0136】
本発明の別の好ましい実施形態では、LC媒体は、正の誘電率異方性を有するLCホスト混合物を含有する。このようなLC媒体および対応するLCホスト混合物の好ましい実施形態は、以下の節aa)〜zz)のものである:
【0137】
aa)式IIおよびIIIの化合物の群から選択される化合物を1種以上含むことを特徴とするLC媒体:
【化84】
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[式中、
20は、それぞれ、同一または異なって、1〜15個のC原子を有するハロゲン化または非置換アルキルもしくはアルコキシ基を示し、ここで、さらに、これらの基における1個以上のCH基は、それぞれ、互いに独立して、O原子が互いに直接結合しないように−C≡C−、−CFO−、−CH=CH−、
【化85】
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−O−、−CO−O−または−O−CO−によって置き換えられていてよく、
20は、それぞれ、同一または異なって、F、Cl、CN、SF、SCN、NCS、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルケニル基、ハロゲン化アルコキシ基またはハロゲン化アルケニルオキシ基を示し、それぞれ6個までのC原子を有し、かつ
20〜24は、それぞれ、同一または異なって、HまたはFを示し;
【化86】
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それぞれ、互いに独立して、
【化87】
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を示す。
【0138】
式IIの化合物は、好ましくは以下の式:
【化88】
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[式中、R20およびX20は、上記で示した意味を有する]
から選択される。
【0139】
20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはFを示す。特に、式IIaおよびIIbの化合物、特にXがFを示す式IIaおよびIIbの化合物が好ましい。
【0140】
式IIIの化合物は、好ましくは以下の式:
【化89】
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[式中、R20およびX20は、上記で示した意味を有する]
から選択される。
【0141】
20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはFを示す。特に、式IIIaおよびIIIeの化合物、特に式IIIaの化合物が好ましい。
【0142】
bb)以下の式から選択される化合物を1種以上さらに含むLC媒体:
【化90】
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[式中、
20、X20およびY20〜23は、上記の意味を有し、かつ
20は、−C−、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−または−OCF−を示し、式VおよびVIでは単結合も示し、式VおよびVIIIでは−CFO−も示し、
rは、0または1を示し、かつ
sは、0または1を示す。
【0143】
式IVの化合物は、好ましくは、以下の式:
【化91】
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[式中、R20およびX20は上記で示した意味を有する]
から選択される。
【0144】
20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはF、CNまたはOCFを示し、さらにOCF=CFまたはClを示す。
【0145】
− 式Vの化合物は、好ましくは、以下の式:
【化92】
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【化93】
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[式中、R20およびX20は上記で示した意味を有する]
から選択される。
【0146】
20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはFおよびOCFを示し、さらにOCHF、CF、OCF=CFおよびOCH=CFを示す。
【0147】
− 式VIの化合物は、好ましくは以下の式:
【化94】
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[式中、R20およびX20は上記で示した意味を有する]
から選択される。
【0148】
20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくは、Fを示し、さらにOCF、CF、CF=CF、OCHFおよびOCH=CFを示す。
【0149】
− 式VIIの化合物は、好ましくは以下の式:
【化95】
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から選択され、ここで、R20およびX20は上記で示した意味を有する。
【0150】
20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくは、Fを示し、さらにOCF、OCHFおよびOCH=CFを示す。
【0151】
cc)媒体は、上記で示した式ZK1〜ZK10から選択される化合物を1種以上さらに含む。特に、式ZK1およびZK3の化合物が好ましい。式ZKの特に好ましい化合物は、下位式ZK1a、ZK1b、ZK1c、ZK3a、ZK3b、ZK3cおよびZK3dから選択される。
【0152】
dd)媒体は、上記に示した式DK1〜DK12から選択される化合物を1種以上さらに含む。特に好ましい化合物は、DK1、DK4、DK7、DK9、DK10およびDK11である。
【0153】
ee)媒体は、以下の式:
【化96】
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[式中、X20は、上記で示した意味を有し、かつ
Lは、HまたはFを示し、
「アルケニル」は、C2〜6アルケニルを示す]
から選択される化合物を1種以上さらに含む。
【0154】
ff)式DK−3aおよびIXの化合物は、好ましくは、以下の式:
【化97】
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[式中、「アルキル」は、C1〜6アルキル、好ましくはn−C、n−Cまたはn−C11、特にn−Cを示す]
から選択される。
【0155】
gg)媒体は、上記で示した式B1、B2およびB3、好ましくは式B2から選択される化合物を1種以上さらに含む。式B1〜B3の化合物は、特に好ましくは、式B1a、B2a、B2bおよびB2cから選択される。
【0156】
hh)媒体は、以下の式:
【化98】
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[式中、L20、L21は、HまたはFを示し、かつR21およびR22は、それぞれ、同一または異なって、n−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示し、それぞれ6個までのC原子を有し、かつ好ましくは、それぞれ、同一または異なって、1〜6個のC原子を有するアルキルを示す]
から選択される化合物を1種以上さらに含む。
【0157】
ii)媒体は、以下の式:
【化99】
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[式中、R20、X20およびY20〜23は、式IIIで示した意味を有し、かつ
【化100】
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は、それぞれ、互いに独立して、
【化101】
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を示し、かつ
【化102】
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を示す]
の化合物を1種以上含む。
【0158】
式XIおよびXIIの化合物は、好ましくは、以下の式:
【化103】
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【化104】
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[式中、R20およびX20は、上記で示した意味を有し、好ましくは、R20は、1〜6個のC原子を有するアルキルを示し、かつX20はFを示す]から選択される。本発明による混合物は、特に好ましくは、式XIIaおよび/またはXIIeの化合物を少なくとも1種含む。
【0159】
jj)媒体は、好ましくは式T21〜T23およびT25〜T27の化合物の群から選択される、上記で示した式Tの化合物を1種以上含む。
【0160】
特に、式T21〜T23の化合物が好ましい。とりわけ、式
【化105】
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の化合物が好ましい。
【0161】
kk)媒体は、上記で示した式DK9、DK10およびDK11の群から選択される化合物を1種以上含む。
【0162】
ll)媒体は、以下の式:
【化106】
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[式中、R20およびX20は、それぞれ、互いに独立して、上記で示した意味の1つを有し、かつY20〜23は、それぞれ、互いに独立して、HまたはFを示す]から選択される化合物を1種以上さらに含む。X20は、好ましくはF、Cl、CF、OCFまたはOCHFである。R20は、好ましくはアルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを示し、それぞれ6個までのC原子を有する。
【0163】
本発明による混合物は、特に好ましくは、式XVIII−a
【化107】
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[式中、R20は、上記で示した意味を有する]の化合物を1種以上含む。R20は、好ましくは直鎖状アルキル、特にエチル、n−プロピル、n−ブチルおよびn−ペンチルを示し、非常に特に好ましくはn−プロピルを示す。式XVIIIの化合物、特に式XVIII−aの化合物は、好ましくは、本発明による混合物中で0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の量で使用される。
【0164】
mm)媒体は、さらに、式XIX
【化108】
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[式中、R20、X20およびY20〜25は、式Iで示した意味を有し、sは、0または1を示し、かつ
【化109】
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を示す]
の化合物を1種以上含む。
【0165】
式XIXでは、X20は、1〜6個のC原子を有するアルキル基または1〜6個のC原子を有するアルコキシ基も示し得る。アルキル基またはアルコキシ基は、好ましくは直鎖状である。
【0166】
20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはFを示す。
【0167】
− 式XIXの化合物は、好ましくは、以下の式:
【化110】
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【化111】
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[式中、R20、X20およびY20は、上記で示した意味を有する]から選択される。R20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはFを示し、かつY20は、好ましくはFであり;
【化112】
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であり;
− R20は、2〜6個のC原子を有する直鎖状アルキルまたはアルケニルである。
【0168】
nn)媒体は、上記で示した式G1〜G4の化合物を1種以上含み、好ましくはG1およびG2から選択され、ここでアルキルは、C1〜6アルキルを示し、Lは、Hを示し、かつXは、FまたはClを示す。G2では、Xは、特に好ましくはClを示す。
【0169】
oo)媒体は、以下の式:
【化113】
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[式中、R20およびX20は、上記で示した意味を有する]
の化合物を1種以上含む。R20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはFを示す。本発明による媒体は、特に好ましくは、X20が好ましくはFを示す式XXIIの化合物を1種以上含む。式XX〜XXIIの化合物は、好ましくは、本発明による混合物中で1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の量で使用される。特に好ましい混合物は、式XXIIの化合物を少なくとも1種含む。
【0170】
pp)媒体は、以下の式のピリミジンまたはピリジン化合物
【化114】
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[式中、R20およびX20は、上記で示した意味を有する]の化合物を1種以上含む。R20は、好ましくは1〜6個のC原子を有するアルキルを示す。X20は、好ましくはFを示す。本発明による媒体は、特に好ましくは、X20が好ましくはFを示す式M−1の化合物を1種以上含む。式M−1〜M−3の化合物は、好ましくは、本発明による混合物中で1〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%の量で使用される。
【0171】
さらに好ましい実施形態を以下に示す。
【0172】
qq)媒体は、2種以上の式XIIの化合物、特に式XIIaおよび/またはXIIeの化合物を含む。
【0173】
rr)媒体は、2〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは3〜15重量%の式XIIの化合物を含む。
【0174】
ss)式XIIの化合物に加えて、媒体は、式II〜XVIIIの化合物の群から選択されるさらなる化合物を含む。
【0175】
tt)混合物中の式II〜XVIIIの化合物の割合は、全体として、40〜95重量%、好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは55〜88重量%である。
【0176】
uu)媒体は、好ましくは、10〜40重量%、より好ましくは12〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%の式IIおよび/またはIIIの化合物を含む。
【0177】
vv)媒体は、1〜10重量%、特に好ましくは2〜7重量%の式XVおよび/またはXVIの化合物を含む。
【0178】
ww)媒体は、少なくとも1種の式XIIaの化合物および/または少なくとも1種の式XIIeの化合物および少なくとも1種の式IIIaおよび/またはIIaの化合物を含む。
【0179】
xx)好ましい媒体は、1種以上の式Oの化合物、好ましくは式O3、O4およびO5から選択される化合物を、2〜25%、好ましくは3〜20%、特に好ましくは5〜15%の全濃度で含む。
【0180】
yy)好ましい媒体は、1種以上の式DKの化合物、好ましくは式DK1、DK4、DK7、DK9、DK10およびDK11から選択される化合物を含む。式DK9、DK10およびDK11の化合物の全濃度は、好ましくは2〜25%、より好ましくは3〜20%、特に好ましくは5〜15%である。
【0181】
zz)好ましい媒体は、1種以上の式IV〜VIの化合物、好ましくは式IVa、IVb、IVc、IVd、Va、VcおよびVIbの化合物の群から選択される化合物を、10〜80重量%、好ましくは12〜75重量%、特に好ましくは15〜70重量%の濃度で含む。
【0182】
媒体が負の誘電率異方性(Δε)を有する場合、Δεの値は、好ましくは−2.0〜−8.0の範囲、より好ましくは−3.0〜−6.0の範囲、特に好ましくは−3.5〜−5.0である。
【0183】
媒体が正の誘電率異方性を有する場合、Δεの値は、好ましくは3.0〜60.0の範囲、より好ましくは5.0〜30.0の範囲、特に好ましくは8.0〜15.0である。
【0184】
本発明による液晶媒体は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらにより好ましくは105℃以上、特に好ましくは110℃以上の透明点を有する。
【0185】
本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは、少なくとも−10℃以下〜80℃以上、好ましくは90℃以下またはそれ以上、より好ましくは少なくとも−20℃以下〜100℃以上、特に好ましくは−30℃以下〜110℃以上に及ぶ。
【0186】
本発明の好ましい実施形態では、液晶媒体の複屈折(Δn)は、0.040以上〜0.080以下の範囲、より好ましくは0.045以上〜0.070以下の範囲、最も好ましくは0.050以上〜0.060以下の範囲にある。この実施形態では、誘電率異方性は、正または負、好ましくは負である。
【0187】
本発明の別の好ましい実施形態では、液晶媒体のΔnは、0.075以上〜0.130以下の範囲、より好ましくは0.090以上〜0.125以下の範囲、最も好ましくは0.095以上〜0.120以下の範囲にある。
【0188】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、液晶媒体のΔnは、0.100以上〜0.200以下の範囲、より好ましくは0.110以上〜0.180以下の範囲、最も好ましくは0.120以上〜0.160以下の範囲にある。
【0189】
式Iの二色性化合物は、好ましくは、スイッチング層中に0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜7重量%、非常に特に好ましくは0.1〜7重量%の割合で存在する。媒体は、好ましくは、1種、2種、3種、4種または5種の本発明による式Iの化合物を含む。
【0190】
本発明によるLC媒体は、好ましくはネマチック液晶である。
【0191】
本発明による媒体は、それ自体慣用の方法で調製される。概して、これらの成分は、互いに、好ましくは高温で溶解される。混合は、好ましくは不活性ガス、例えば窒素またはアルゴン下で行われる。1種以上の式Iの色素および任意でさらなる二色性色素が、好ましくは高温で、特に好ましくは40℃を超える温度で、非常に特に好ましくは50℃を超える温度で続いて添加される。概して、少量で使用される所望量の成分は、主成分を構成する成分中に溶解される。これらの成分の溶液を、有機溶媒、例えば、アセトン、トルエン、クロロホルムまたはメタノール中で混合し、混合後に、溶媒を再び、例えば、蒸留によって除去することも可能である。本発明はさらに、本発明によるLC媒体の製造方法に関する。
【0192】
本発明はさらに、ゲスト−ホスト型の液晶ディスプレイにおける、少なくとも1種の式Iの化合物を含むLC媒体の使用に関する。
【0193】
本発明はさらに、少なくとも1種の式Iの化合物を含むLC媒体を含有するゲスト−ホスト型の液晶ディスプレイに関する。
【0194】
本発明はさらに、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するデバイスにおける、液晶媒体と少なくとも1種の式Iの化合物とを含む混合物の使用に関する。
【0195】
本発明によるデバイスは、1種以上の式Iの化合物に加えて、好ましくは液晶媒体に加えて、好ましくは、スイッチング層中に式Iとは異なる構造を有するさらなる二色性色素も含む。これは特に好ましくは、式Iとは異なる構造を有する1種、2種、3種または4種のさらなる色素、非常に特に好ましくは2種または3種のさらなる色素、最も好ましくは3種のさらなる色素を含む。
【0196】
二色性の特性に関して、式Iの化合物について記載された好ましい特性は、任意のさらなる二色性色素にとっても好ましい。
【0197】
スイッチング層の二色性色素の吸収スペクトルは、好ましくは、黒色の印象が目に付くように互いに相補的である。本発明による液晶媒体の2種以上の二色性色素は、好ましくは、可視スペクトルの大部分をカバーする。目に黒または灰色に見える色素の混合物が調製され得る正確な方法は、当業者に知られており、例えば、Manfred Richter, Einfuehrung in die Farbmetrik [Introduction to Colorimetry], 第2版, 1981年, ISBN 3-11-008209-8, Verlag Walter de Gruyter & Coに記載されている。
【0198】
色素の混合物の色の位置の設定は、色度測定の領域に記載されている。この目的のために、個々の色素のスペクトルは、スペクトル全体を与えるランベルト・ベールの法則を考慮して計算され、関連照明、例えば昼光用の光源D65の下で、色度測定の法則に従って対応する色位置および輝度値に変換される。白色点の位置は、それぞれの光源、例えば、D65によって固定され、かつ表で引用されている(例えば、上記参照)。様々な色素の割合を変えることによって、異なる色の位置を設定することができる。
【0199】
好ましい実施形態によれば、スイッチング層は、赤色および近赤外領域、すなわち、600〜2000nm、好ましくは650〜1800nmの範囲、特に好ましくは650〜1300nmの範囲の波長で、光を吸収する1種以上の二色性色素を含む。好ましい実施形態では、これらの二色性色素は、アゾ化合物、アントラキノン、メチン化合物、アゾメチン化合物、メロシアニン化合物、ナフトキノン、テトラジン、ペリレン、テリレン、クアテリレン、高級リレン、ピロメテン、アゾ色素、ニッケルジチオレン、(金属)フタロシアニン、(金属)ナフタロシアニン、および(金属)ポルフィリンから選択される。これらの中でも、ペリレンおよびテリレンが特に好ましい。
【0200】
式Iとは異なる構造を有するスイッチング層のさらなる二色性色素は、好ましくは、B. Bahadur, Liquid Crystals - Applications and Uses, 第3巻, 1992年, World Scientific Publishing, 11.2.1に示した色素のクラスから選択され、特に好ましくはその中の表に記載された明示的な化合物から選択される。
【0201】
前記色素は、当業者に知られる二色性色素のクラスに属し、かつ文献に何度も記載されている。したがって、例えば、アントラキノン色素は、欧州特許第34832号明細書(EP 34832)、欧州特許第44893号明細書(EP 44893)、欧州特許第48583号明細書(EP 48583)、欧州特許第54217号明細書(EP 54217)、欧州特許第56492号明細書(EP 56492)、欧州特許第59036号明細書(EP 59036)、英国特許第2065158号明細書(GB 2065158)、英国特許第2065695号明細書(GB 2065695)、英国特許第2081736号明細書(GB 2081736)、英国特許第2082196号明細書(GB 2082196)、英国特許第2094822号明細書(GB 2094822)、英国特許第2094825号明細書(GB 2094825)、特開昭55−123673号公報(JP-A 55-123673)、独国特許第3017877号明細書(DE 3017877)、独国特許第3040102号明細書(DE 3040102)、独国特許第3115147号明細書(DE 3115147)、独国特許第3115762号明細書(DE 3115762)、独国特許第3150803号明細書(DE 3150803)および独国特許第3201120号明細書(DE 3201120)に記載されており、ナフトキノン色素は、独国特許第3126108号明細書(DE 3126108)および独国特許第3202761号明細書(DE 3202761)に記載されており、アゾ色素は、欧州特許第43904号明細書(EP 43904)、独国特許第3123519号明細書(DE 3123519)、国際公開第82/2054号(WO 82/2054)、英国特許第2079770号明細書(GB 2079770)、特開昭56−57850号公報(JP-A 56-57850)、特開昭56−104984号公報(JP-A 56-104984)、米国特許第4308161号明細書(US 4308161)、米国特許第4308162号明細書(US 4308162)、米国特許第4340973号明細書(US 4340973)、T. Uchida, C. Shishido, H. SekiおよびM. Wada: Mol. Cryst. Lig. Cryst. 39, 39-52 (1977年)、ならびにH. Seki, C. Shishido, S. YasuiおよびT. Uchida: Jpn. J. Appl. Phys. 21, 191 -192 (1982年)に記載されており、かつペリレンは、欧州特許第60895号明細書(EP 60895)、欧州特許第68427号明細書(EP 68427)および国際公開第82/1191号(WO 82/1191)に記載されている。リレン色素は、例えば、欧州特許第2166040号明細書(EP 2166040)、米国特許出願公開第2011/0042651号明細書(US 2011/0042651)、欧州特許第68427号明細書(EP 68427)、欧州特許第47027号明細書(EP 47027)、欧州特許第60895号明細書(EP 60895)、独国特許第3110960号明細書(DE 3110960)および欧州特許第698649号明細書(EP 698649)に記載されている。
【0202】
好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスのスイッチング層は、式Iの化合物の他に、リレン色素から選択される二色性色素のみを含む。
【0203】
デバイスのスイッチング層中に存在し得る好ましいさらなる二色性色素の例を、以下の第1表に示す:
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
【0204】
好ましい実施形態では、本発明によるデバイスのスイッチング層は、1種以上のクエンチャー化合物を含む。これは、本発明によるデバイスがそのスイッチング層に1種以上の蛍光色素を含む場合、特に好ましい。
【0205】
クエンチャー化合物は、蛍光を消す化合物である。クエンチャー化合物は、スイッチング層内の例えば蛍光色素などの隣接分子の電子励起エネルギーを取り込み、プロセス中に電子励起状態に移行し得る。消光した蛍光色素は、次に電子基底状態に変換され、したがって、蛍光の発光またはその後の反応は妨げられる。クエンチャー化合物自体は、無放射失活または光の放出によって基底状態に戻り、さらにクエンチするために再度利用することができる。
【0206】
クエンチャー化合物は、本発明によるデバイスのスイッチング層に様々な機能を有し得る。第一に、クエンチャー化合物は、電子励起エネルギーの失活により、色素系の長寿命化に寄与し得る。第二に、クエンチャー化合物は、審美的に望ましくないこともある追加の色効果、例えば、スイッチング層内の蛍光色素から発する内部空間での有色発光を排除する。
【0207】
効果的な消光を実現するためには、クエンチャー化合物は、それぞれの色素系、特に色素の組み合わせで最も長い波長で吸収する色素に適合されるべきである。これを行うための方法は、当業者に知られている。
【0208】
好ましいクエンチャー化合物は、例えば、Joseph R. Lakowicz, Principles of Fluorescence Spectroscopy, 第3版, 2010年, ISBN 10: 0-387-31278-1, Verlag Springer Science+ Business Media LLCの第279頁の第8.1表に記載されている。さらなる分子のクラスは、例えば、ダーククエンチャーまたはブラックホールクエンチャーというキーワードで、当業者によく知られている。例は、アゾ色素およびアミノアントラキノンである。本発明によるデバイスのスイッチング層に使用されるクエンチャー化合物は、非蛍光色素またはNIRにおいてのみ蛍光を発する色素であってもよい。
【0209】
本発明によるスイッチング層の好ましい実施形態では、クエンチャー化合物は、スペクトルの可視部分の蛍光が抑制されるように選択される。
【0210】
本発明によるデバイスは、好ましくは、太陽光の形での環境から内部空間へのエネルギーの通過を調節するのに適している。ここで調節されるべきエネルギーの通過は、環境(外部空間)から内部空間へと起こる。
【0211】
ここでの内部空間は、環境から実質的に密閉された望ましい空間、例えば、建物、車両またはコンテナであり得る。
【0212】
したがって、本発明はさらに、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイスの使用に関する。
【0213】
しかしながら、このデバイスは、例えば、光や色の効果のために審美的な部屋のデザインにも使用できる。例えば、本発明によるデバイスをグレーまたはカラーで含むドアおよび壁要素を、透明にスイッチングすることができる。さらに、このデバイスは、明るさが変調された白色または有色のフラットバックライトまたは青色のゲスト−ホスト型のディスプレイによって色が変調された黄色のフラットバックライトも含み得る。本発明によるデバイスのガラスの片側または両側には、光の結合および/または光効果の発生のための粗面化または構造化ガラスが設けられ得る。
【0214】
さらに別の使用では、デバイスは、目への光の入射を調節するために、例えば保護ゴーグル、バイザーまたはサングラスで使用され、デバイスは、あるスイッチング状態では目への光の入射を低く保ち、別のスイッチング状態では光の入射を少なくする。
【0215】
本発明によるデバイスは、好ましくは、比較的大きな2次元構造の開口部に配置されており、2次元構造自体は、わずかなエネルギーしか通過させないか、または全く通過させず、開口部は、比較的高いエネルギー透過率を有する。2次元構造は、好ましくは、壁であるかまたは外部に対する内部空間の別の境界である。さらに、2次元構造は、好ましくは、本発明によるデバイスが配置される2次元構造の開口部と少なくとも同じ大きさの領域、特に好ましくは、少なくとも2倍の大きさの領域をカバーする。
【0216】
デバイスは、好ましくは、少なくとも0.05m、好ましくは少なくとも0.1m、特に好ましくは少なくとも0.5m、非常に特に好ましくは少なくとも0.8mの面積を有することを特徴とする。
【0217】
デバイスは、好ましくは、建物、コンテナ、車両、または別の実質的に閉鎖された空間において、上記のように、比較的高いエネルギー透過率を有する開口部に収容される。デバイスは、概して、特に、内部空間と環境との空気の交換が限られ、かつ内部空間が外部からのエネルギーを光エネルギーの形で入力することができる光透過境界面を有する場合に、所望の内部空間のために使用され得る。光透過領域、例えばウィンドウ領域を通して強い日射を受ける内部空間のためにデバイスを使用することは、特に重要である。
【0218】
本発明によるデバイスはスイッチング可能である。ここでのスイッチングは、デバイスを通るエネルギーの通過の変化を意味すると解釈される。本発明によるデバイスは、好ましくは、例えば、国際公開第2009/141295号(WO 2009/141295)および国際公開第2014/090373号(WO 2014/090373)に記載されているように、電気的にスイッチング可能である。
【0219】
しかしながら、これは、例えば国際公開第2010/118422号(WO 2010/118422)に記載されているように、熱的にスイッチング可能であってもよい。この場合、スイッチングは、好ましくは、式Iの化合物および液晶媒体を含むスイッチング層の温度変化によって、ネマチック状態から等方性状態への遷移によって起こる。ネマチック状態では、液晶媒体の分子は、秩序系であり、したがって式Iの化合物も同様であり、例えば、配向層の作用によりデバイスの表面に平行に整列される。等方性状態では、分子は、無秩序系であり、したがって式Iの化合物も同様である。式Iの二色性化合物に秩序と無秩序との違いがあることで、本発明によるデバイスのスイッチング層の光透過率に差異が生じ、これは、二色性化合物が、光の振動面に対する配向に応じて高いまたは低い吸収係数を有するという原理に従う。
【0220】
デバイスは、電気的にスイッチング可能な場合、好ましくは2つ以上の電極を有し、これらはスイッチング層の両側に設けられている。電極は、好ましくは、ITOまたは薄い、好ましくは透明な金属および/または金属酸化物層、例えば、銀もしくはFTO(フッ素ドープ酸化スズ)またはこの使用のための当業者に公知の代替材料からなる。電極には、好ましくは電気的な接続が設けられている。電圧は、好ましくはバッテリー、充電式バッテリーまたは外部電源によって供給される。
【0221】
電気的スイッチングの場合のスイッチング動作は、電圧の印加による液晶媒体の分子の配向によって起こる。
【0222】
好ましい実施形態では、デバイスは、高い吸収率、すなわち電圧なしで存在する低い光透過率を有する状態から、より低い吸収率、すなわちより高い光透過率を有する状態に変換される。スイッチング層の液晶媒体は、好ましくは、双方の状態でネマチックである。無電圧状態は、好ましくは、液晶媒体の分子、ひいては式Iの化合物の分子が、スイッチング層の面に平行に整列していることを特徴とする。これは、好ましくは、対応する選択された配向層によって達成される。電圧下の状態は、好ましくは、液晶媒体の分子、ひいては式Iの化合物の分子が、スイッチング層の面に対して垂直であることを特徴とする。
【0223】
上記実施形態の代替の実施形態では、デバイスは、低い吸収率を有する状態、すなわち、電圧なしで、高い光透過率を有する状態から、より高い吸収率を有する状態、すなわち、より低い光透過率を有する状態に変換される。スイッチング層の液晶媒体は、好ましくは双方の状態でネマチックである。無電圧状態は、好ましくは、スイッチング層の液晶媒体の分子、ひいては式Iの化合物の分子が、スイッチング層の面に対して垂直に整列していることを特徴とする。これは、好ましくは対応する選択された配向層によって達成される。電圧下の状態は、好ましくは、スイッチング層の液晶媒体の分子、ひいては式Iの化合物の分子が、スイッチング層の面に対して平行であることを特徴とする。
【0224】
本発明の好ましい実施形態によれば、デバイスは、必要なエネルギーを太陽電池または他のデバイスで供給することによって外部電源なしで動作し、光および/または熱エネルギーを、デバイスに接続される電気エネルギーに変換することができる。太陽電池によるエネルギーの供給は、直接的または間接的に、すなわち、電池または充電式電池またはその間に接続されたエネルギーの貯蔵用の他のユニットを介して行うことができる。太陽電池は、好ましくは、例えば国際公開第2009/141295号(WO 2009/141295)に開示されているように、デバイスの外側に取り付けられるか、またはデバイスの内部構成要素である。本明細書では、拡散光や透明太陽電池の場合に特に有効な太陽電池が特に好ましい。
【0225】
本発明によるデバイスは、好ましくは次の層の順序を有し、さらなる層がさらに存在してもよい。以下に示す層は、好ましくは、デバイス内で互いに直接隣接している:
− 好ましくはガラスまたはポリマーを含む基板層
− 好ましくはITOを含む導電性透明層
− 配向層
− 1種以上の式Iの化合物を含むスイッチング層
− 配向層
− 好ましくはITOを含む導電性透明層
− 好ましくはガラスまたはポリマーを含む基板層。
【0226】
個々の層の好ましい実施形態を以下に記載する。
【0227】
本発明によるデバイスは、好ましくは、1つ以上の、特に好ましくは2つの配向層を含む。配向層は、好ましくは、式Iの化合物を含むスイッチング層の2つの側に直接隣接している。
【0228】
本発明によるデバイスに使用される配向層は、この目的のために当業者に知られている所望の層であり得る。ポリイミド層、特にラビングされたポリイミドを含む層が好ましい。当業者に公知の特定の方法でラビングされたポリイミドは、分子が配向層に対して平行である場合(平面配向)、ラビング方向において液晶媒体の分子の配向をもたらす。本明細書では、液晶媒体の分子が、配向層上で完全に平坦ではなく、代わりにわずかなプレチルト角を有することが好ましい。液晶媒体の化合物を、配向層の表面に対して垂直に配向(ホメオトロピック配向)させるために、特定の方法で処理したポリイミド(プレチルト角が非常に高いポリイミド)が、好ましくは、配向層の材料として使用される。また、液晶媒体の化合物を、配向軸(光配向)に従って配向させるために、偏光への露光プロセスによって得られたポリマーが、配向層として使用され得る。
【0229】
本発明によるデバイス中のスイッチング層は、さらに好ましくは、2つの基板層の間に配置されているか、またはそれによって囲まれている。基板層は、例えばガラスまたはポリマー、好ましくは光透過性ポリマーから構成され得る。
【0230】
デバイスは、好ましくは、ポリマーベースの偏光子を含まず、特に好ましくは固体材料相に偏光子を含まず、非常に特に好ましくは偏光子を全く含まないことを特徴とする。
【0231】
しかしながら、別の実施形態によれば、デバイスは、1つ以上の偏光子を含んでもよい。この場合の偏光子は、好ましくは、直線状の偏光子である。
【0232】
厳密に1つの偏光子が存在する場合、その吸収方向は、好ましくは、偏光子が配置されているスイッチング層の側で、本発明によるデバイスの液晶媒体の化合物の配向軸に対して垂直である。
【0233】
本発明によるデバイスでは、吸収性および反射性の双方の偏光子が使用され得る。薄い光学フィルムの形をした偏光子の使用が好ましい。本発明によるデバイスで使用され得る反射偏光子の例は、DRPF(拡散反射偏光子フィルム、3M)、DBEF(二重輝度強化フィルム、3M)、DBR(米国特許第7,038,745号明細書(US 7,038,745)および米国特許第6,099,758号明細書(US 6,099,758)に記載されている積層ポリマー分布ブラッグ反射器)およびAPFフィルム(進化型偏光子フィルム、3M、Technical Digest SID 2006, 45.1、米国特許出願公開第2011/0043732号明細書(US 2011/0043732)および米国特許第7,023,602号明細書(US 7,023,602)を参照のこと)である。さらに、赤外光を反射するワイヤーグリッド(WGP、ワイヤーグリッド偏光子)に基づく偏光子を使用することも可能である。本発明によるデバイスで使用され得る吸収偏光子の例は、Itos XP38偏光子フィルムおよびNitto Denko GU−1220DUN偏光子フィルムである。本発明に従って使用され得る円偏光子の例は、APNCP37−035−STD偏光子(アメリカ偏光子)である。別の例は、CP42偏光子(ITOS)である。
【0234】
本発明によるデバイスは、好ましくは国際公開第2009/141295号(WO 2009/141295)に記載されているように、好ましくは光導波路システムをさらに含み、該システムは、光を太陽電池または他のデバイスに輸送し、光および/または熱エネルギーを、電気エネルギーに変換する。光導波路システムは、デバイスに当たる光を集光する。これは好ましくは、蛍光二色性色素が発する光をスイッチング層に集光する。光導波路システムは、光エネルギーを電気エネルギーに変換するためのデバイス、好ましくは太陽電池と接触し、集められた光は、集光した形でデバイスに当たる。本発明の好ましい実施形態では、光エネルギーを電気エネルギーに変換するためのデバイスは、本発明によるデバイスの縁部で取り付けられ、該デバイスに組み込まれ、該デバイスの電気的スイッチング手段に電気的に接続される。
【0235】
好ましい実施形態では、本発明によるデバイスは、ウィンドウの構成要素であり、特に好ましくは、少なくとも1つのガラス表面を含むウィンドウであり、非常に特に好ましくは、多重断熱ガラスを含むウィンドウである。
【0236】
本明細書におけるウィンドウとは、特に、フレームとこのフレームで囲まれた少なくとも1枚のガラス板とを含む建物内の構造を意味すると解釈される。これは好ましくは、断熱フレームと2枚以上のガラス板(多重断熱ガラス)とを含む。
【0237】
好ましい実施形態によれば、本発明によるデバイスは、ウィンドウのガラス表面に、特に好ましくは多重断熱ガラスの2枚のガラス板の間の隙間に直接適用される。
【0238】
本発明はさらに、本発明によるデバイスを含むウィンドウ、好ましくは上記の好ましい特徴を有する、本発明によるデバイスを含むウィンドウに関する。
【0239】
本発明による化合物の電子特性のために、それらは、色素としての使用に加えて、有機半導体としても適している。
【0240】
したがって、本発明は、さらに、例えば、有機発光ダイオード(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、印刷回路、無線周波数識別素子(RFID)、照明素子、光起電力素子および光センサーなどの有機電子コンポーネントにおける式Iの化合物の使用に関する。
【0241】
それらの着色性および有機材料への良好な溶解性のために、本発明による化合物は、色素として最適である。したがって、本発明は同様に、ポリマーを着色するための式Iの色素の使用に関する。
【0242】
本発明および特に以下の実施例において、メソゲン性化合物の構造は、略語(頭辞語とも呼ばれる)によって示される。これらの頭辞語では、化学式を以下の表A〜Cを用いて次のように略記する。すべての基C2n+1、C2m+1およびC2l+1またはC2n−1、C2m−1およびC2l−1は、直鎖状アルキルまたはアルケニル、好ましくは1E−アルケニルを意味し、それぞれn個、m個およびl個のC原子を有する。表Aは、化合物のコア構造の環要素に使用されているコードを列記し、表Bは、連結基を示す。表Cは、左側または右側の末端基のコードの意味を示す。頭辞語は、任意選択の連結基を有する環要素のコード、それに続く第1のハイフンおよび左側末端基のコード、および第2のハイフンならびに右側末端基のコードで構成されている。表Dは、化合物の例示的な構造を、それらのそれぞれの略語と共に示す。
【0243】
【表1】
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【表2】
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【表3】
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【表4】
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[式中、nおよびmは、それぞれ、整数を示し、かつ3つのドット”...”は、この表の他の略語のプレースホルダである]。
【0244】
以下の表は、例示的な構造を、それらのそれぞれの略語と共に示す。これらは、略語の規則の意味を例示するために示されている。それらはさらに好ましく使用される化合物を表す。
【0245】
【表5】
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【表6】
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【表7】
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【表8】
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【表9】
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【表10】
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【表11】
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【表12】
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【表13】
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【表14】
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【表15】
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【表16】
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【表17】
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【表18】
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【表19】
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【表20】
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【表21】
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【表22】
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【表23】
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【表24】
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[式中、n、mおよびlは、好ましくは、互いに独立して1〜7を示す]。
【0246】
以下の表、表Eは、本発明によるメソゲン性媒体中の追加の安定剤として使用することができる例示的な化合物を示す。
【0247】
表E
表Eは、本発明によるLC媒体に添加され得る可能な安定剤を示す。(ここで、nは1〜12の整数を示し、好ましくは1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個または8個の末端メチル基は示されていない)。
【表25】
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【表26】
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【表27】
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【表28】
[この文献は図面を表示できません]
【表29】
[この文献は図面を表示できません]
【表30】
[この文献は図面を表示できません]
【0248】
LC媒体は、好ましくは0〜10重量%、特に1ppm〜5重量%、特に好ましくは1ppm〜1重量%の安定剤を含む。
【0249】
下記の表Fは、本発明によるメソゲン性媒体においてキラルドーパントとして好ましく使用され得る例示的な化合物を示す。
【表31】
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【表32】
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【表33】
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【0250】
本発明の好ましい実施形態では、メソゲン性媒体は、表Fからの化合物の群から選択される化合物を1種以上含む。
【0251】
本出願によるメソゲン性媒体は、好ましくは、上記表の化合物からなる群から選択される化合物を2種以上、好ましくは4種以上含む。
【0252】
本発明による液晶媒体は、好ましくは、表Dの化合物の群から選択される、好ましくは3つ以上、特に好ましくは4つ以上の異なる式の、7種以上、好ましくは8種以上の個々の化合物を含む。液晶化合物および二色性色素の割合を示す際に、微量で存在するこれらの化合物および他の成分の割合は無視される。
【0253】
本発明によるLC媒体が、例えば、H、N、O、ClまたはFが対応する同位体で置き換えられた化合物も含み得ることは、当業者には言うまでもない。
【0254】
すべてのパーセンテージのデータおよび量の割合は、重量パーセントである。
【0255】
実施例
本発明は、以下の非限定的な実施例によって詳細に説明される。
【0256】
すべての物理的特性は、”Merck Liquid Crystals, Physical Properties of Liquid Crystals”, Status Nov. 1997, Merck KGaA, 独国に従って測定され、20℃の温度に適用される。Δnの値は、589nmで測定され、Δεの値は、いずれの場合も明示的に示されていない限り、1kHzで測定される。nおよびnは、いずれの場合も、上記で示した条件下で、異常光線および通常光線の屈折率である。
【0257】
異方化度Rは、いずれの場合も当該色素の吸収帯の最大の波長における、消衰係数の値E(p)(光の偏光方向に対する分子の平行配向の場合の混合物の消衰係数)および混合物の消衰係数の値E(s)(光の偏光方向に対する分子の垂直配向の場合の混合物の消衰係数)から求められる。色素が、複数の吸収帯を有する場合、最も強い吸収帯が選択される。混合物の分子の配向は、LCディスプレイ技術分野の当業者に知られているように、配向層によってもたらされる。液晶媒体、他の吸収または反射による影響を排除するために、色素を含まない同一の混合物に対して各測定を行い、得られた値を差し引く。
【0258】
振動方向が配向方向に対して平行(E(p)の測定)または配向方向に対して垂直(E(s)の測定)である直線偏光を用いて測定を行う。これは偏光子がデバイスに対して回転する直線偏光子によって実現することができ、2つの異なる振動方向がもたらされる。E(p)およびE(s)の測定は、このように振動方向の入射偏光の回転により行われる。
【0259】
異方化度Rを、とりわけ、”Polarized Light in Optics and Spectroscopy”, D. S. Kligerら, Academic Press, 1990年に記載されているように、以下の式
R=[E(p)−E(s)]/[E(p)+2E(s)]
に従って、E(s)およびE(p)の結果値から算出する。二色性色素を含む液晶媒体の異方化度の測定方法の詳細な説明は、B. Bahadur, Liquid Crystals - Applications and Uses, 第3巻, 1992年, World Scientific Publishing, 第11.4.2節にも記載されている。
【0260】
合成例
例1:4,8−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−ベンゾ−[1,2−c;4,5c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール[BTD−1]
工程1:4,7−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−5,6−ジニトロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール[4]
【化121】
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【0261】
2(2.1g、7.7ミリモル)、3(2.0g、3.65ミリモル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(37mg、0.04ミリモル)、トリス(o−トリル)ホスフィン(50mg、0.16ミリモル)、トルエン(65mL)および2MのNaCO水溶液(40mL)の脱気した混合物を、アルゴン下で18時間還流する。反応液をエーテルで抽出し、合わせた抽出物を蒸発させ、残渣をクロマトグラフィー(SiO;トルエン/n−ヘプタン2:3)で精製し、トルエン/n−ヘプタン(2:3)から再結晶させると、4,7−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−5,6−ジニトロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール(4)が、黄色固形物として得られる。
【0262】
工程2:4,7−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−5,6−ジアミノ−2,1,3−ベンゾチアジアゾール[5]
【化122】
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【0263】
4(6.3g、7.5ミリモル)のTHF溶液(65mL)を、常圧下にて室温で、1当量の水素が消費されるまで、スポンジニッケル触媒(Johnson−Matheson A−7000)で水素化する。反応液をろ過し、蒸発させ、残渣を精製することなく次の工程で使用する。
【0264】
工程3:4,8−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−ベンゾ[1,2−c;4,5c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
【0265】
5(6.3g、8.0ミリモル)のCHCl溶液(100mL)に、トリエチルアミン(4.5mL、32.5ミリモル)、続いて塩化チオニル(1.2mL、16.5ミリモル)を氷冷下で滴下する。反応液を18時間還流し、水でクエンチし、エーテルで抽出し、合わせた抽出物を蒸発させる。粗生成物をクロマトグラフィー(SiO;トルエン/n−ヘプタン1:1)で精製し、トルエン/n−ヘプタン1:1から再結晶させると、4,8−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−ベンゾ[1,2−c;4,5c’]ビス[1,2,5]チアジアゾール(BTD−1)が、暗緑色の結晶として得られた。融点246℃。
【0266】
例2:4,7−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−6λδ−[1,2,5]チアジアゾロ[3,4−f]−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール
【化124】
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【0267】
化合物6を、文献、例えば米国特許出願公開第2013/0037784号明細書(US 2013/0037784)に記載されている手順と同様にして、4,7−ジブロモ−5,6−ジニトロ−2,1,3−ベンゾチアジアゾールと2−[4−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランとのスズキカップリングによって調製する。
【0268】
6(2.1g、2.53ミリモル)のTHF溶液(20mL)を、常圧下にて室温で、0.75当量の水素が消費されるまで、スポンジニッケル触媒(Johnson−Matheson A−7000、1g)で水素化する。中間生成物を空気に曝すことによって酸化し、溶液を濾過し、蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製すると、4,7−ビス[5−[4−(3−エチルヘプチル)−2−フルオロ−フェニル]−2−チエニル]−6λδ−[1,2,5]チアジアゾロ[3,4−f]−2,1,3−ベンゾオキサジアゾール(BOD−1)、融点178℃が得られる。
【0269】
以下の化合物を、実施例1(BTD−1)と同様にして得る:
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
【化127】
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【0270】
以下の化合物を、実施例2と同様にして得る:
【化128】
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【化129】
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【0271】
使用例
調製した色素を、それらの物理的特性に関して調査し、エネルギー伝達を調節するデバイスに使用するためのそれらの適合性を確保する。
【0272】
液晶色素混合物の調製
ネマチックLCホスト混合物N−1〜N−19を、以下のように調製する:
【表34】
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【表35】
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【表36】
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【表37】
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【表38】
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【表39】
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【表40】
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【表41】
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【表42】
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【表43】
[この文献は図面を表示できません]
【表44】
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【表45】
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【表46】
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【表47】
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【表48】
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【表49】
[この文献は図面を表示できません]
【表50】
[この文献は図面を表示できません]
【表51】
[この文献は図面を表示できません]
【表52】
[この文献は図面を表示できません]
【0273】
デバイス例
以下のデバイス例について、ネマチックホスト混合物N−17を使用し、以下の色素を含む混合物を調製する:
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
【0274】
比較例1
以下の比較混合物C−1(先行技術より公知)を調製し、調査する。
【表53】
[この文献は図面を表示できません]
【表54】
[この文献は図面を表示できません]
【0275】
オフ状態の二重セルの色度座標:
X=0.3129、y=0.3290
【0276】
第1表に示す値ならびに以下の対応する値を、EN410規格に従って測定する。
【0277】
実施例1
99.9%のネマチックホスト混合物N−17および0.1%のBTD−1を含有する混合物M−1を調製し、調査する。
【0278】
混合物M−1は、393nmおよび822nmに2つの吸収極大を示す。波長822nmで、混合物M−1は、0.69の異方化度を示す。393nmでは、異方化度は0.65である。これは、双方の吸収帯が、同じ偏光方向を有することを意味する。吸光係数を第2表に示す。
【表55】
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【0279】
実施例2
混合物M−2を次のように調製する:
【表56】
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【0280】
【表57】
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【0281】
第3表から、オン状態とオフ状態との透過率値の差によって示されるように、混合物はスイッチング可能であることが分かる。驚くべきことに、電磁スペクトルのNIR領域におけるスイッチングは、可視領域におけるスイッチングよりも遙かに大きく、このことはオン状態とオフ状態との間の差が、日射の直接透過率の方が対応する光透過率の値よりも大きいことから分かる。
【0282】
混合物M−2は、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイス、例えばウィンドウでの使用に非常によく適している。
【0283】
実施例3
混合物M−3を次のように調製する:
【表58】
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【0284】
【表59】
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【0285】
第4表の透過率のデータから分かるように、混合物M−3は、非常に良好にスイッチング可能である。混合物M−3は、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイス、例えばウィンドウでの使用に非常によく適している。
【0286】
混合物M−3と比較例C−1(先行技術)との比較により、驚くべきことに、M−3が、日射の直接透過率に関してオン状態とオフ状態との間に有利により大きな差を有することが示された。
【0287】
実施例4
混合物M−4を次のように調製する:
【表60】
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【0288】
【表61】
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【0289】
第5表の透過率のデータから分かるように、混合物M−4は、非常に良好にスイッチング可能である。混合物M−4は、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイス、例えばウィンドウでの使用に非常によく適している。
【0290】
混合物M−4と比較例C−1(先行技術)との比較により、驚くべきことに、M−4が、日射の直接透過率に関してオン状態とオフ状態との間に有利により大きな差を有することが示された。
【0291】
混合物の例
上記のホスト混合物に、本発明による色素を、以下の表に示す濃度で添加する。
【表62】
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【0292】
混合物M−1〜M−19は、外部空間から内部空間へのエネルギーの通過を調節するためのデバイス、例えばウィンドウでの使用に非常によく適している。