特許第6972105号(P6972105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972105固定距離の仮想現実システムおよび拡張現実システムならびに方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972105
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】固定距離の仮想現実システムおよび拡張現実システムならびに方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/344 20180101AFI20211111BHJP
   H04N 13/366 20180101ALI20211111BHJP
   H04N 13/279 20180101ALI20211111BHJP
   H04N 13/128 20180101ALI20211111BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20211111BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20211111BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20211111BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H04N13/344
   H04N13/366
   H04N13/279
   H04N13/128
   G06F3/0346 425
   G06F3/0346 426
   G02B27/02 Z
   G09G5/00 550C
   G09G5/36 510V
【請求項の数】9
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-505238(P2019-505238)
(86)(22)【出願日】2017年7月31日
(65)【公表番号】特表2019-531619(P2019-531619A)
(43)【公表日】2019年10月31日
(86)【国際出願番号】US2017044762
(87)【国際公開番号】WO2018026737
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2020年7月29日
(31)【優先権主張番号】62/370,117
(32)【優先日】2016年8月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, サミュエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ, ウィリアム ハドソン
【審査官】 益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0026253(US,A1)
【文献】 特開2012−096027(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/048434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00
G06T 19/00
G06F 3/0346
G02B 27/02
G02B 30/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定距離ディスプレイシステムであって、
光ビームを生成するように構成される光源と、
全内部反射によって前記光ビームの少なくとも一部を伝搬するように構成される光誘導光学要素と、
ユーザの頭部姿勢を計算するための第1の値を測定するように構成される第1の慣性測定ユニットと、
前記ユーザの身体姿勢を計算するための第3の値を測定するように構成される第3の慣性測定ユニットと、
カメラと
を備え、
前記カメラは、前記固定距離ディスプレイシステムおよび前記カメラの移動から生じるドリフトを補正するためのマシンビジョンオプティカルフロー分析のための画像を捕捉するように構成され、
前記固定距離ディスプレイシステムは、前記マシンビジョンオプティカルフロー分析の結果および前記ユーザの前記身体姿勢に対する前記ユーザの前記頭部姿勢に基づいて前記ユーザの視野内に身体中心仮想ユーザインターフェースを表示するように構成され、
前記身体中心仮想ユーザインターフェースは、前記ユーザの身体に対して固定距離でかつ固定位置に表示され、
前記身体中心仮想ユーザインターフェースは、前記ユーザの頭部に対して、前記ユーザの前記頭部の移動に伴って変化する距離でかつ位置に表示され、それにより、前記ユーザの前記頭部が前記ユーザの前記身体に対して移動するとき、前記身体中心仮想ユーザインターフェースは、前記ユーザの前記視野内に移動し、
前記固定距離ディスプレイシステムは、0.2ジオプタ〜0.6ジオプタを超えない寸法を有する3次元仮想画像を表示するように構成され、前記寸法は、前記ユーザによって選ばれた公差である、システム。
【請求項2】
前記第1の慣性測定ユニットは、前記ユーザの頭部に隣接して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ユーザの前記頭部姿勢を計算するための第2の値を測定するように構成される第2の慣性測定ユニットをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の慣性測定ユニットは、前記ユーザの頭部に隣接して配置される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第3の慣性測定ユニットは、前記ユーザの腰部に隣接して配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の慣性測定ユニット、前記第2の慣性測定ユニット、前記第3の慣性測定ユニット、および前記カメラは、前記ユーザの前記視野を前記ユーザの身体位置に合致させるように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記身体中心仮想ユーザインターフェースは、前記固定距離で前記ユーザの前記身体の周りの弧に表示される複数のユーザインターフェースオブジェクトを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
非一過性コンピュータ可読媒体内に具現化されるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ可読媒体は、命令のシーケンスを記憶しており、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、固定距離ディスプレイシステム上で表示するための方法を実行させ、前記方法は、
光ビームを生成することと、
全内部反射によって、前記光ビームの少なくとも一部を伝搬することと、
頭部姿勢に関連する第1の値を測定することと、
前記第1の値に基づいて、ユーザの前記頭部姿勢を計算することと、
身体姿勢に関連する第3の値を測定することと、
前記第3の値に基づいて、前記ユーザの前記身体姿勢を計算することと、
カメラによって画像を捕捉することと、
前記固定距離ディスプレイシステムおよび前記カメラの移動から生じるドリフトを補正するために前記画像に基づいてマシンビジョンオプティカルフロー分析を実施することと、
前記ユーザの身体に対して固定距離でかつ固定位置に、前記マシンビジョンオプティカルフロー分析の結果および前記ユーザの前記身体姿勢に対する前記ユーザの前記頭部姿勢に基づいて前記ユーザの視野内に身体中心仮想ユーザインターフェースを表示することと、
0.2ジオプタ〜0.6ジオプタを超えない寸法を有する3次元仮想画像を表示することと
を含み、
前記寸法は、前記ユーザによって選ばれた公差であり、
前記身体中心仮想ユーザインターフェースは、前記ユーザの頭部に対して、前記ユーザの前記頭部の移動に伴って変化する距離でかつ位置に表示され、それにより、前記ユーザの前記頭部が前記ユーザの前記身体に対して移動するとき、前記身体中心仮想ユーザインターフェースは、前記ユーザの前記視野内に移動する、コンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記身体中心仮想ユーザインターフェースは、前記固定距離で前記ユーザの前記身体の周りの弧に表示される複数のユーザインターフェースオブジェクトを備える、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2016年8月2日に出願され“FIXED−DISTANCE VIRTUAL AND AUGMENTED REALITY SYSTEMS AND METHODS”と題された米国仮出願第62/370,117号(代理人管理番号第ML.30040.00)に対する優先権を主張するものである。本願は、2016年2月29日に出願され“VIRTUAL AND AUGMENTED REALISTY SYSTEMS AND METHODS”と題された同時係属中の米国仮出願第62/301,502号(代理人管理番号ML.30059.00)、2016年5月4日に出願され“SEPARATED PUPIL OPTICAL SYSTEMS FOR VIRTUAL AND AUGMENTED REALITY AND METHODS FOR DISPLAYING IMAGES USING SAME”と題された同時係属中の米国特許出願第15/146,296号(代理人管理番号ML.20058.00)に関連している。上記特許出願の内容は、全体が開示されているかのように、その全体が参照により明示的かつ完全に本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える、もしくはそのように知覚され得る様式においてユーザに提示される、仮想現実(「VR」)、拡張現実(「AR」)、および複合現実(「MR」)システムの開発を促進している。仮想現実、すなわち、「VR」シナリオは、典型的には、他の実際の実世界の視覚的入力に対して透明性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、拡張現実、すなわち、「AR」シナリオは、典型的には、ユーザの周囲の実際の世界の視覚化の拡張として、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。複合現実、すなわち、「MR」システムもまた、シミュレートされたオブジェクトを実世界環境の中に導入するが、これらのオブジェクトは、典型的には、ARシステムにおけるよりも優れた相互作用性の程度を特徴とする。シミュレートされた要素は、多くの場合、リアルタイムで双方向性であることができる。故に、ARおよびMRシナリオは、他の実際の実世界の視覚的入力に対して少なくとも部分的透明性を伴うデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。ヒトの視知覚系は、非常に複雑であって、他の仮想または実世界画像要素間における仮想画像要素の快適で、自然のような感覚で、かつ豊かな提示を促進する、VR/AR/MR技術を生成することは、困難である。
【0003】
脳の視覚中枢はまた、両眼およびその構成要素の相互に対する運動から有益な知覚情報を得る。相互に対する両眼の輻輳・開散運動(vergence)(すなわち、眼の視線を収束させ、種々の距離においてオブジェクトに固定するための相互に向かって、またはそこから離れる、瞳孔の転動)は、眼のレンズの合焦(または「遠近調節(accmmodation)」)と密接に関連付けられる。正常条件下では、眼のレンズの焦点を変化させる、すなわち、眼を遠近調節させ、異なる距離におけるオブジェクトに合焦させることは、「遠近調節−輻輳・開散運動反射」として知られる関係下、自動的に、同一距離までの輻輳・開散運動における整合変化を生じさせるであろう。同様に、輻輳・開散運動の変化は、正常条件下では、遠近調節の整合変化も誘起するであろう。本反射に逆らう作用は、(従来の立体視VR/AR/MR構成の大部分におけるように)眼精疲労、頭痛、または他の形態の不快感をユーザにもたらすことが知られている。
【0004】
立体視ウェアラブル眼鏡は、概して、3次元視点がヒト視覚系によって知覚されるように、若干異なる要素提示を伴う画像を表示するように構成される、左眼および右眼のための2つのディスプレイを特徴とする。そのような構成は、画像を3次元において知覚するために克服されなければならない、輻輳・開散運動と遠近調節との間の不整合(「輻輳・開散運動−遠近調節衝突」)に起因して、多くのユーザにとって不快であることが見出されている。実際、一部のユーザは、立体視構成に耐えることが不可能である。これらの限界は、VR/AR/MRシステムに適用される。故に、大部分の従来のVR/AR/MRシステムは、部分的には、従来のシステムが、輻輳・開散運動−遠近調節衝突を含む、ヒト知覚系の基本的側面のいくつかに対処できないため、ユーザにとって快適かつ最大限に有用となるであろう様式において、豊かな両眼のための3次元体験を提示するために最適に好適ではない。
【0005】
完全VR/AR/MRシステムはまた、仮想デジタルコンテンツを種々の知覚される位置およびユーザに対する距離において表示することが可能でなければならない。VR/AR/MRシステムの設計はまた、仮想デジタルコンテンツを送達する際のシステムの速度、仮想デジタルコンテンツの品質、ユーザの射出瞳距離(輻輳・開散運動−遠近調節衝突に対処する)、システムのサイズおよび可搬性、ならびに他のシステムおよび光学課題を含む、多数の他の課題を提示する。
【0006】
これらの問題(輻輳・開散運動−遠近調節衝突を含む)に対処するための1つの可能性として考えられるアプローチは、画像を複数の深度平面に投影することである。本タイプのシステムを実装するために、1つのアプローチは、多数の光学要素(例えば、光源、プリズム、格子、フィルタ、スキャン光学、ビームスプリッタ、ミラー、ハーフミラー、シャッタ、接眼レンズ等)を使用して、画像を十分に多数の(例えば、6つの)深度平面において投影することである。本アプローチに関する問題は、このように多数の構成要素を使用することが、必然的に、望ましいものより大きい形状因子を要求し、システムサイズが縮小され得る程度を限定することである。これらのシステム内の多数の光学要素もまた、より長い光学経路をもたらし、それにわたって、光およびその中に含有される情報が、劣化され得る。これらの設計問題は、煩雑なシステムをもたらし、これはまた、電力集約的でもある。本明細書に説明されるシステムおよび方法は、固定距離複合現実光学システムを提示することによって、これらの課題に対処するように構成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、固定距離ディスプレイシステムは、光ビームを生成するように構成される、光源を含む。本システムはまた、全内部反射によって光ビームの少なくとも一部を伝搬するように構成される、光誘導光学要素を含む。本システムはさらに、ユーザの頭部姿勢を計算するための第1の値を測定するように構成される、第1の慣性測定ユニットを含む。さらに、本システムは、マシンビジョンオプティカルフロー分析のための画像を捕捉するように構成される、カメラを含む。ディスプレイシステムは、仮想画像を単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示するように構成される。
【0008】
1つ以上の実施形態では、第1の慣性測定ユニットは、ユーザの頭部に隣接して配置される。本システムはまた、ユーザの頭部姿勢を計算するための第2の値を測定するように構成される、第2の慣性測定ユニットを含んでもよい。第2の慣性測定ユニットは、ユーザの頭部に隣接して配置されてもよい。本システムはまた、ユーザの身体姿勢を計算するための第3の値を測定するように構成される、第3の慣性測定ユニットを含んでもよい。第3の慣性測定ユニットは、ユーザの腰部に隣接して配置されてもよい。第1の慣性測定ユニット、第2の慣性測定ユニット、第3の慣性測定ユニット、およびカメラは、固定距離ディスプレイシステムの視野をユーザの身体位置に合致させるように構成されてもよい。
【0009】
1つ以上の実施形態では、公差範囲は、単一の所定の光学平面の0.2ジオプタ〜0.6ジオプタ以内である。ディスプレイシステムは、3次元仮想画像を表示するように構成されてもよい。ディスプレイシステムは、0.2ジオプタ〜0.6ジオプタを超えない寸法を有する3次元仮想画像を表示するように構成されてもよい。
【0010】
別の実施形態では、ディスプレイ方法は、頭部姿勢に関連する第1の値を測定するステップを含む。本方法はまた、第1の値に基づいて、ユーザの頭部姿勢を計算するステップを含む。本方法はさらに、画像を捕捉するステップを含む。さらに、本方法は、画像に基づいて、マシンビジョンオプティカルフロー分析を実施するステップを含む。加えて、本方法は、光ビームを生成するステップを含む。本方法はまた、全内部反射によって、光ビームの少なくとも一部を伝搬するステップを含む。本方法はさらに、仮想画像を単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示するステップを含む。
【0011】
1つ以上の実施形態では、本方法はまた、頭部姿勢に関連する第2の値を測定するステップを含む。本方法はさらに、ユーザの頭部姿勢を第1の値および第2の値から計算するステップを含んでもよい。さらに、本方法は、身体姿勢に関連する第3の値を測定するステップを含んでもよい。加えて、本方法は、ユーザの身体姿勢を第3の値から計算するステップを含んでもよい。本方法はまた、第1の値、第2の値、第3の値、および画像を分析し、ユーザの視野をユーザの身体位置に合致させるステップを含んでもよい。
【0012】
1つ以上の実施形態では、公差範囲は、単一の所定の光学平面の0.2ジオプタ〜0.6ジオプタ以内である。本方法はまた、3次元仮想画像を表示するステップを含んでもよい。表示される3次元仮想画像は、0.2ジオプタ〜0.6ジオプタを超えない寸法を有してもよい。
【0013】
さらに別の実施形態では、コンピュータプログラム製品が、非一過性コンピュータ可読媒体内に具現化され、コンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、表示するための方法を実行させ、方法は、光ビームを生成するステップを含む、その上に記憶される命令のシーケンスを有する。本方法はまた、全内部反射によって、光ビームの少なくとも一部を伝搬するステップを含む。本方法はさらに、頭部姿勢に関連する第1の値を測定するステップを含む。さらに、本方法は、第1の値に基づいて、ユーザの頭部姿勢を計算するステップを含む。加えて、本方法は、画像を捕捉するステップを含む。本方法はまた、画像に基づいて、マシンビジョンオプティカルフロー分析を実施するステップを含む。本方法はさらに、仮想画像を単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示するステップを含む。
【0014】
さらに別の実施形態では、身体中心ディスプレイ方法は、頭部姿勢に関連する第1の値を測定するステップを含む。本方法はまた、第1の値に基づいて、ユーザの頭部姿勢を計算するステップを含む。本方法はさらに、身体姿勢に関連する第2の値を測定するステップを含む。さらに、本方法は、ユーザの身体姿勢を第2の値から計算するステップを含む。加えて、本方法は、頭部姿勢および身体姿勢に基づいて、単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示されるように構成される仮想画像を生成するステップを含む。本方法はまた、仮想画像を単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示するステップを含む。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
固定距離ディスプレイシステムであって、
光ビームを生成するように構成される光源と、
全内部反射によって前記光ビームの少なくとも一部を伝搬するように構成される光誘導光学要素と、
ユーザの頭部姿勢を計算するための第1の値を測定するように構成される第1の慣性測定ユニットと、
マシンビジョンオプティカルフロー分析のための画像を捕捉するように構成されるカメラと
を備え、
前記ディスプレイシステムは、仮想画像を単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示するように構成される、システム。
(項目2)
前記第1の慣性測定ユニットは、前記ユーザの頭部に隣接して配置される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ユーザの頭部姿勢を計算するための第2の値を測定するように構成される第2の慣性測定ユニットをさらに備える、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記第2の慣性測定ユニットは、前記ユーザの頭部に隣接して配置される、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記ユーザの身体姿勢を計算するための第3の値を測定するように構成される第3の慣性測定ユニットをさらに備える、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記第3の慣性測定ユニットは、前記ユーザの腰部に隣接して配置される、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記第1の慣性測定ユニット、前記第2の慣性測定ユニット、前記第3の慣性測定ユニット、および前記カメラは、前記固定距離ディスプレイシステムの視野を前記ユーザの身体位置に合致させるように構成される、項目6に記載のシステム。
(項目8)
前記公差範囲は、前記単一の所定の光学平面の0.2ジオプタ〜0.6ジオプタ以内である、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記ディスプレイシステムは、3次元仮想画像を表示するように構成される、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記ディスプレイシステムは、0.2ジオプタ〜0.6ジオプタを超えない寸法を有する3次元仮想画像を表示するように構成される、項目9に記載のシステム。
(項目11)
ディスプレイ方法であって、
頭部姿勢に関連する第1の値を測定することと、
前記第1の値に基づいて、ユーザの頭部姿勢を計算することと、
画像を捕捉することと、
前記画像に基づいて、マシンビジョンオプティカルフロー分析を実施することと、
光ビームを生成することと、
全内部反射によって、前記光ビームの少なくとも一部を伝搬することと、
仮想画像を単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示することと
を含む、方法。
(項目12)
前記頭部姿勢に関連する第2の値を測定することをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記ユーザの頭部姿勢を前記第1の値および前記第2の値から計算することをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
身体姿勢に関連する第3の値を測定することをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記ユーザの身体姿勢を前記第3の値から計算することをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記第1の値、前記第2の値、前記第3の値、および前記画像を分析し、前記ユーザの視野を前記ユーザの身体位置に合致させることをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記公差範囲は、前記単一の所定の光学平面の0.2ジオプタ〜0.6ジオプタ以内である、項目11に記載の方法。
(項目18)
3次元仮想画像を表示することをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目19)
前記表示される3次元仮想画像は、0.2ジオプタ〜0.6ジオプタを超えない寸法を有する、項目18に記載の方法。
(項目20)
非一過性コンピュータ可読媒体内に具現化されるコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ可読媒体は、その上に記憶される命令のシーケンスを有し、前記命令は、プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、表示するための方法を実行させ、前記方法は、
光ビームを生成することと、
全内部反射によって、前記光ビームの少なくとも一部を伝搬することと、
頭部姿勢に関連する第1の値を測定することと、
前記第1の値に基づいて、前記ユーザの頭部姿勢を計算することと、
画像を捕捉することと、
前記画像に基づいて、マシンビジョンオプティカルフロー分析を実施することと、
仮想画像を単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示することと
を含む、コンピュータプログラム製品。
(項目21)
身体中心ディスプレイ方法であって、
頭部姿勢に関連する第1の値を測定することと、
前記第1の値に基づいて、ユーザの頭部姿勢を計算することと、
身体姿勢に関連する第2の値を測定することと、
前記ユーザの身体姿勢を前記第2の値から計算することと、
前記頭部姿勢および前記身体姿勢に基づいて、単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示されるように構成される仮想画像を生成することと、
前記仮想画像を前記単一の所定の光学平面の公差範囲内にのみ表示することと
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面は、本発明の種々の実施形態の設計および可用性を図示する。図は、正確な縮尺で描かれておらず、類似構造または機能の要素は、図全体を通して同一参照番号によって表されることに留意されたい。本発明の種々の実施形態の前述および他の利点ならびに目的を得る方法をより深く理解するために、簡単に前述された発明を実施するための形態が、付随の図面に図示されるその具体的実施形態を参照することによって与えられるであろう。これらの図面は、本発明の典型的実施形態のみを描写し、その範囲の限定として見なされないことを理解した上で、本発明は、付随の図面の使用を通して付加的具体性および詳細とともに記載ならびに説明されるであろう。
【0016】
図1図1は、多平面焦点完全光学システムの焦点面を描写する、略図である。
図2図2は、一実施形態による、単平面焦点固定距離光学システムの焦点面を描写する、略図である。
図3図3および4は、2つの実施形態による、単平面焦点固定距離光学システムのユーザの個別の視野の概略図である。
図4図3および4は、2つの実施形態による、単平面焦点固定距離光学システムのユーザの個別の視野の概略図である。
図5図5は、一実施形態による、光学システムの詳細な概略図である。
図6図6は、一実施形態による、光学システムの光誘導光学要素の詳細な概略図である。
図7図7は、一実施形態による、光学システムの光誘導光学要素の詳細な斜視図である。
図8A図8A−8Dおよび9A−9Dは、種々の実施形態による、拡張現実/ユーザ識別システムの概略図である。
図8B図8A−8Dおよび9A−9Dは、種々の実施形態による、拡張現実/ユーザ識別システムの概略図である。
図8C図8A−8Dおよび9A−9Dは、種々の実施形態による、拡張現実/ユーザ識別システムの概略図である。
図8D図8A−8Dおよび9A−9Dは、種々の実施形態による、拡張現実/ユーザ識別システムの概略図である。
図9図8A−8Dおよび9A−9Dは、種々の実施形態による、拡張現実/ユーザ識別システムの概略図である。
図10図10は、多平面焦点完全拡張現実システムの詳細な概略図である。
図11図11および12は、2つの実施形態による、単平面焦点固定距離拡張現実システムの詳細な概略図である。
図12図11および12は、2つの実施形態による、単平面焦点固定距離拡張現実システムの詳細な概略図である。
図13図13は、一実施形態による、単平面焦点固定距離拡張現実システムのユーザの視野を図示する。
図14図14は、ユーザの頭部がユーザの身体に対して回転後の、図13に描写される実施形態による、単平面焦点固定距離拡張現実システムのユーザの視野を図示する。
図15図15および16は、2つの実施形態による、仮想オブジェクトを身体中心様式において単平面焦点固定距離拡張現実システムのユーザに表示するための方法を描写する、フローチャートである。
図16図15および16は、2つの実施形態による、仮想オブジェクトを身体中心様式において単平面焦点固定距離拡張現実システムのユーザに表示するための方法を描写する、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の種々の実施形態は、単一実施形態または複数の実施形態において固定距離複合現実光学システムを実装するためのシステム、方法、および製造品を対象とする。本発明の他の目的、特徴、および利点は、発明を実施するための形態、図、および請求項に説明される。
【0018】
ここで、種々の実施形態が、当業者が本発明を実践することを可能にするように、本発明の例証的実施例として提供される、図面を参照して詳細に説明されるであろう。留意すべきこととして、以下の図および実施例は、本発明の範囲を限定することを意味するものではない。本発明のある要素が、公知の構成要素(または方法もしくはプロセス)を使用して部分的または完全に実装され得る場合、本発明の理解のために必要なそのような公知の構成要素(または方法もしくはプロセス)のそれらの一部のみが、説明され、そのような公知の構成要素(または方法もしくはプロセス)の他の部分の発明を実施するための形態は、本発明を曖昧にしないように、省略されるであろう。さらに、種々の実施形態は、例証として本明細書に参照される構成要素の現在および将来的公知の均等物を包含する。
【0019】
光学システムは、AR/MRシステムから独立して実装されてもよいが、以下の多くの実施形態は、例証目的のためだけにAR/MRシステムに関係して説明される。
(問題およびソリューションの概要)
【0020】
仮想画像を種々の深度において生成するための1つのタイプの光学システムは、3−D体験/シナリオの品質(例えば、結像面の数)および画像の品質(例えば、画像色の数)が向上するにつれて、その数が増加し、それによって、VR/AR/MRシステムの複雑性、サイズ、ならびにコストを増加させる、多数の光学構成要素(例えば、光源、プリズム、格子、フィルタ、スキャン光学、ビームスプリッタ、ミラー、ハーフミラー、シャッタ、接眼レンズ等)を含む。3−Dシナリオ/画質の向上に伴う光学システムのサイズの増加は、VR/AR/MRシステムの最小サイズに限界を課し、光学効率が低下した煩雑なシステムをもたらす。
【0021】
以下の開示は、光学システムにより少ないコンポーネントおよび増加される効率を提供することによって、問題に対処する、眼毎の単平面焦点光学要素を使用して、3−D知覚を単一の所定の距離の周囲に作成するためのシステムおよび方法の種々の実施形態を説明する。特に、本明細書に説明されるシステムは、複合現実シナリオのために、最小限の光学システムコンポーネントのセットを利用して、仮想オブジェクトをユーザから所定の距離に表示するための光学システムを提供する。本光学システム設計は、そのようなシステムの機能を限定し、仮想オブジェクトを所定の距離に表示することによって、VR/AR/MRシステムのサイズを簡略化および低減させる。
(完全拡張現実システム)
【0022】
固定距離複合現実光学システムの実施形態の詳細を説明する前に、本開示は、ここで、仮想オブジェクトがユーザの光学軸(例えば、無限遠からユーザに隣接する点まで)に沿った複数の位置に現れる、完全ARシナリオを提示するように構成される、関連完全AR/MRシステムの簡単な説明を提供するであろう。複合現実光学システム(完全および/または固定距離)は、AR/MRシステムから独立して実装されてもよいが、以下の多くのシステムは、例証目的のためだけに、AR/MRシステムに関連して説明される。種々の拡張現実ディスプレイシステムが、弁理士整理番号第ML−30011−US号下で2014年11月27日に出願され、「VIRTUAL AND AUGUMENTED REALITY SYSTMS AND METHODS」と題された共同所有の米国特許出願第14/555,585号(その内容は、完全に記載される場合と同様に、参照することによって明示的かつ完全に本明細書に組み込まれる)に議論されている。
【0023】
ユーザの眼毎に完全AR/MRシステムを実装するための1つの可能性として考えられるアプローチは、深度平面情報が埋設され、個別の深度平面から生じるよう現れる画像を生成する、複数の体積位相ホログラム、表面起伏ホログラム、または光誘導光学要素(「LOE」)を使用する。言い換えると、回折パターン、すなわち、回折光学要素(「DOE」)は、コリメートされた光(略平面波面を伴う光ビーム)がLOEに沿って実質的に全内部反射されるにつれて、複数の場所において回折パターンを交差し、少なくとも部分的にユーザの眼に向かって出射するように、LOE内に埋設される、またはその上に刻設されてもよい。DOEは、LOEからのそれを通して出射する光が接するように構成され、特定の深度平面から生じるよう現れる。コリメートされた光は、光学凝集レンズ(「コンデンサ」)を使用して、生成されてもよい。
【0024】
例えば、第1のLOEは、光学無限深度平面から生じるよう現れる、コリメートされた光を眼に送達するように構成されてもよい(0ジオプトリ)。別のLOEは、2メートルの距離から生じるよう現れる、コリメートされた光を送達するように構成されてもよい(1/2ジオプトリ)。さらに別のLOEは、1メートルの距離から生じるよう現れる、コリメートされた光を送達するように構成されてもよい(1ジオプトリ)。スタックされたLOEアセンブリを使用することによって、複数の深度平面が生成され、各LOEが特定の深度平面から生じるよう現れる画像を表示するように構成され得ることが理解され得る。スタックは、任意の数のLOEを含んでもよいことを理解されたい。しかしながら、少なくともN個のスタックされたLOEが、N個の深度平面を生成するために要求される。さらに、N、2N、または3N個のスタックされたLOEが、RGB着色画像をN個の深度平面において生成するために使用されてもよい。
【0025】
完全3−D ARシナリオ内の仮想コンテンツをユーザに提示するために、完全AR/MRシステムは、Z方向における種々の深度平面から(すなわち、ユーザの眼から直交して離れるように)生じるよう現れるように、仮想コンテンツの画像をユーザの眼の中に投影する。言い換えると、仮想コンテンツは、ユーザが、非常に近くにある、または無限距離にある、もしくはその間の任意の距離にあるようにオブジェクトを知覚し得るように、XおよびY方向(すなわち、ユーザの眼の中心視覚軸に直交する8D平面)において変化し得るだけではなく、また、Z方向にも変化するように現れ得る。完全AR/MRシステムでは、ユーザは、複数のオブジェクトを異なる深度平面において同時に感知し得る。例えば、ユーザには、無限遠から現れ、ユーザに向かって走ってくる、仮想ドラゴンが見え得る。代替として、ユーザには、ユーザから3メートル離れた距離における仮想鳥と、ユーザから腕の長さ(約1メートル)にある仮想コーヒーカップとが同時に見え得る。
【0026】
多平面焦点完全AR/MRシステムは、ユーザの眼からZ方向に個別の固定距離に位置する複数の深度平面の一部または全部上に画像を投影させることによって、可変深度の知覚を生成する。ここで図1を参照すると、多平面焦点完全AR/MRシステムは、典型的には、固定深度平面202(例えば、図1に示される6つの深度平面202)においてフレームを表示することを理解されたい。1つの例示的多平面焦点完全AR/MRシステムは、Z方向に6つの固定深度平面202を有する。6つの深度平面202のうちの1つ以上のものにおいて仮想コンテンツを生成する際、3−D知覚が、ユーザが1つ以上の仮想オブジェクトをユーザの眼から可変距離において知覚するように生成される。ヒトの眼が、離れて現れるオブジェクトより近い距離のオブジェクトにより敏感であることを前提として、図1に示されるように、眼により近いほど、より多くの深度平面202が生成される。他のシステムでは、深度平面202は、相互から等距離だけ離れて設置されてもよい。
【0027】
深度平面位置202は、典型的には、メートル単位で測定された焦点距離の逆数と等しい屈折力の単位である、ジオプトリで測定される。例えば、一システムでは、深度平面1は、1/3ジオプトリだけ離れてもよく、深度平面2は、0.3ジオプトリだけ離れてもよく、深度平面3は、0.2ジオプトリだけ離れてもよく、深度平面4は、0.15ジオプトリだけ離れてもよく、深度平面5は、0.1ジオプトリだけ離れてもよく、深度平面6は、無限遠を表してもよい(すなわち、0ジオプトリ離れている)。他のシステムは、他の距離/ジオプトリで深度平面202を生成してもよいことを理解されたい。したがって、仮想コンテンツを方略的に設置された深度平面202に生成する際、ユーザは、仮想オブジェクトを3次元で知覚可能となる。例えば、ユーザは、深度平面1に表示されるとき、その近くにあるように第1の仮想オブジェクトを知覚し得る一方、別の仮想オブジェクトは、深度平面6における無限遠において現れる。代替として、仮想オブジェクトは、仮想オブジェクトがユーザに非常に近接して現れるまで、最初に、深度平面6で、次いで、深度平面5で表示される等となってもよい。前述の実施例は、例証目的のために大幅に簡略化されていることを理解されたい。別のシステムでは、全6つの深度平面は、ユーザから離れた特定の焦点距離に集中されてもよい。例えば、表示されるべき仮想コンテンツが、ユーザから1/2メートル離れたコーヒーカップである場合、全6つの深度平面は、コーヒーカップの種々の断面で生成され、ユーザにコーヒーカップの非常に粒度の細かい3Dビューを与え得る。
【0028】
一システムでは、完全AR/MRシステムは、多平面焦点システムとして機能してもよい。言い換えると、6つの固定された深度平面から生じるよう現れる画像が、光源と迅速に連動して生成され、画像情報をLOE1、次いで、LOE2、次いで、LOE3等と迅速に伝達するように、全6つのLOEが、同時に照明されてもよい。例えば、光学無限遠における空の画像を含む、所望の画像の一部が、時間1において出射されてもよく、光のコリメーションを保持するLOE1090(例えば、図1からの深度平面6)が、利用されてもよい。次いで、より近い木の枝の画像が、時間2において出射されてもよく、10メートル離れた深度平面から生じるよう現れる画像を生成するように構成されるLOE1090(例えば、図1からの深度平面5)が、利用されてもよい。次いで、ペンの画像が、時間3において出射されてもよく、1メートル離れた深度平面から生じるよう現れる画像を生成するように構成されるLOE1090が、利用されてもよい。本タイプのパラダイムは、ユーザの眼および脳(例えば、視覚野)が同一画像の全部分であるよう入力を知覚するような迅速時間順次方式(例えば、360Hz)で繰り返されることができる。
【0029】
完全AR/MRシステムは、Z軸(すなわち、深度平面)に沿った種々の場所から生じるよう現れ、完全3−D体験のための画像を生成する、画像を投影することが要求される(すなわち、光ビームを発散または収束させることによって)。本願で使用されるように、「光ビーム」は、限定ではないが、光源から放出する光エネルギー(可視および非可視光エネルギーを含む)の指向性投影を含む。種々の深度平面から生じるよう現れる画像を生成することは、その画像のために、ユーザの眼の輻輳・開散運動および遠近調節に順応または同期させ、輻輳・開散運動−遠近調節衝突を最小限にする、または排除する。
【0030】
種々の深度平面から生じるよう現れる画像を投影するための完全ARシナリオ機能要件は、最小複雑性、サイズ、およびコスト限界を完全AR/MRシステムに課す。本明細書に説明される固定距離AR/MRシステムは、システムの機能を低減させることによって、これらの限界を回避する。
(固定距離拡張現実システム)
【0031】
固定距離AR/MRシステムは、部分的AR体験/シナリオのために、仮想オブジェクトをユーザから離れるZ方向(すなわち、「深度平面」)における単一の所定の距離の近傍/それに隣接して(すなわち、約0.2ジオプタ〜約0.6ジオプタ以内に)表示するように構成される。ここで図2を参照すると、単平面焦点固定距離AR/MRシステムは、典型的には、フレームを1つの固定される深度平面202に表示することを理解されたい。固定距離AR/MRシステムのユーザのための視覚的効果は、ユーザが、表示される画像の仮想ドームを、ユーザの正面に、かつそれを中心として、提示されることである。ドーム206は、図3では、2−D弧として表され、表示される画像の仮想ドーム206は、ユーザの正面にある。ユーザは、約50°の定常左右視野(「FOV」)208を有し得るが、効果的L/R FOVは、「身体中心」システム(以下に説明される)では、図3に示されるように、頭部回転に起因して、約180°となるであろう。加えて、ユーザのFOVは、上下頭部移動に伴って、ドーム206全体を網羅することができる。故に、固定距離AR/MRシステムは、ユーザ204を囲繞するドーム206全体にわたって、画像情報をユーザに提示することができる。定常ユーザが身体および頭部回転の自由度を有する、別の実施形態では、効果的FOVは、図4に示されるように、球体209全体であることができる。図3および4は、2−Dにおいて固定距離AR/MRシステムによって提示される画像のドーム206および球体209を表すが、ドーム206および球体209は、3次元表面であることを理解されたい。
【0032】
固定距離AR/MRシステムは、眼毎に、所定の深度平面の公差範囲(例えば、約0.2ジオプタ〜約0.6ジオプタ以内)から生じるよう現れる画像を生成するための深度平面情報を内蔵する、単一体積位相ホログラム、表面起伏ホログラム、または光誘導光学要素(「LOE」)とともに実装されることができる。固定距離AR/MRシステムは、立体視技法(すなわち、眼毎に、個別の画像を所定の距離の公差範囲内のZ方向に若干異なる距離に表示する)を使用することによって、3−D効果を生成することができる。
【0033】
ヒト視覚系は、輻輳・開散運動に対して非常に正確であるが、輻輳・開散運動−遠近調節反射関連問題が生じる前に、遠近調節(すなわち、焦点)における差異にある程度の公差を有する。特定のユーザに特有であるが、遠近調節における公差/不確実性は、典型的には、輻輳・開散運動に対して約0.2ジオプタ〜約0.6ジオプタで生じる。故に、本明細書に開示される固定距離AR/MRシステムは、遠近調節における差異のヒト視覚系の公差を利用し、3−Dオブジェクトを、Z方向における単一の所定の距離の近傍に、特に、ユーザの手の届く範囲に表示する。
【0034】
ジオプタは、ユーザの眼からの距離の逆数であるため(図1参照)、ジオプタ単位で一定である、遠近調節における公差/不確実性は、線形距離の観点から変動する。例証目的のために、ユーザから100m(=10ジオプタ)の第1の距離では、0.2ジオプタ(典型的公差の下限範囲)の追加は、0.83mの第2の距離、すなわち、−17cmの変化をもたらすであろう。同様に、反対方向における0.2ジオプタは、1.25mの距離に対応し、1.00mに表示される場合、0.2ジオプタの遠近調節公差内で視認されるべきコンテンツに関して、0.83m〜1.25mの総範囲(言い換えると、固定距離AR/MRシステムがコンテンツを0.2ジオプタの公差内の1.00mに表示するためには、42cmの範囲)となる。
【0035】
他方では、ユーザから0.50m(=20ジオプタ)の第1の距離に関して、0.6ジオプタの追加は、0.38mの第2の距離、すなわち、−12cmの変化をもたらすであろう。0.50mの第1の距離から離れる対応する0.6ジオプタの移動は、固定AR/MRシステムがコンテンツを0.6ジオプタの公差内の0.5mに表示するために、0.71mの距離、すなわち、21cmの変化または33cmの総範囲をもたらす。0.2ジオプタ公差を伴う1.00m固定距離AR/MRシステムの42cm範囲と比較して、公差を0.6(ジオプタ公差の他方の極限)まで3倍にすることは、実際には、より近い0.5mの第1の距離システムに対して、コンテンツ投影の範囲を減少させた。故に、より精密な(すなわち、下限)遠近調節公差を伴う固定距離システムは、コンテンツをユーザからより離れた固定距離に表示するために、より優れた機能範囲を有するであろう。
【0036】
単一光学平面の周囲に本発明の公差範囲を採用する、固定距離AR/MRシステムは、コンテンツ表示/レンダリングが、そのようなコンテンツがユーザからある範囲の所定の光学場所内に、好ましくは、より大きい距離に現れ、異なるユーザを横断して公差範囲を最大限にするであろうときのみ可能にされる場合、機能性を著しく簡略化することができる。同様に、いくつかの実施形態では、あるコンテンツは、固定距離AR/MRシステムの所定の光学平面の位置を確立する屈折力が、既知である、またはユーザの特定の好ましい公差が決定される場合のみ、ある範囲内に現れるように構成されてもよい。
【0037】
表1は、いくつかの実施形態による、ジオプタ公差内でのコンテンツ表示を可能にする、ユーザから固定距離における所定の光学平面に対する範囲を描写する。表1は、コンテンツ表示のより大きな範囲を可能にするより離れた光学平面とは対照的に、ジオプタ公差にかかわらず、コンテンツがユーザ近傍光学平面(0.5mの所定の光学平面距離参照)に対して表示され得る、厳密な範囲を図示する。
【表1】
【0038】
いくつかの実施形態では、固定距離AR/MRシステムのための公差範囲は、ある範囲内に現れないコンテンツがレンダリングされず、したがって、バッテリ寿命を節約するであろうように、レンダリングドメインを設定することができる、またはコンテンツは、所定の光学平面の公差内に留まるように、ユーザからある距離内に現れるように具体的にプログラムされることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、ユーザは、機能性(すなわち、事実上、コンテンツをある距離、例えば、仮想コンピュータ画面内にレンダリングする必要のみがあるであろう、固定距離AR実施形態を選定する)、または処方箋(すなわち、あるジオプタ公差を超えるとき、ユーザが不快感を体験することを認識する)のいずれかによって、公差を選んでもよい。そのような選択は、全てのユースケースに役に立つことが意図される、より複雑なAR/MRシステムとは対照的に、特定の設定のためにカスタマイズおよび簡略化されたARデバイスを選択することに類似する。
【0040】
図5は、画像を単一深度平面において投影させるための固定距離光学システム100の一部を描写する。システム100は、光源120と、それと関連付けられた回折光学要素(図示せず)および内部結合格子192(「ICG」)を有する、LOE190とを含む。回折光学要素は、体積または表面起伏を含む、任意のタイプであってもよい。一実施形態では、ICG192は、LOE190の反射モードアルミ被覆部分であることができる。別の実施形態では、ICG192は、LOE190の透過回折部分であることができる。システム100が使用されているとき、光源120から「仮想」光ビーム210は、ユーザの眼への表示のために、実質的全内部反射(「TIR」)によって、ICG192を介して、LOE190に入射し、LOE190に沿って伝搬する。光ビーム210は、非存在「仮想」オブジェクトまたはその一部の画像をシステム100によって指向されるようにエンコードするため、「仮想」である。1つのみのビーム210が図5に図示されるが、画像をエンコードする多数のビームが、同一ICG192を通して広範囲の角度からLOE190に入射し得ることを理解されたい。入射の角度の範囲は、システム100に関して達成可能なFOVに関連する。LOEの中に「入射する」または「受容される」光ビームは、限定ではないが、実質的TIRによってLOEに沿って伝搬するようにLOEと相互作用する、光ビームを含む。図5に描写されるシステム100は、種々の光源120(例えば、LED、OLED、レーザ、およびマスクされた広面積/広帯域エミッタ)を含むことができる。他の実施形態では、光源120からの光はまた、光ファイバケーブル(図示せず)を介して、LOE190に送達されてもよい。
【0041】
図6に示されるように、固定距離光学システム100内のLOE190の一部は、射出瞳エクスパンダ196(「EPE」)として機能し、Y方向における光源120の開口数を増加させ、それによって、システム100の分解能を増加させることができる。光源120は、小径/スポットサイズの光を生成するため、EPE196は、LOE190から出射する光の瞳の見掛けサイズを拡張させ、システム分解能を増加させる。システム100はさらに、EPE196に加え、直交瞳エクスパンダ194(「OPE」)を備え、X(OPE)およびY(EPE)方向の両方において光を拡張させてもよい。EPE196およびOPE194についてのさらなる詳細は、前述の米国特許出願第14/555,585号に説明されており、その内容は、参照することによって前述に組み込まれている。
【0042】
図6は、ICG192、OPE194、およびEPE196を有する、LOE190を描写する。図6は、ユーザの眼からのビューに類似する、上面図からのLOE190を描写する。ICG192、OPE194、およびEPE196は、立体または表面リリーフを含む、任意のタイプのDOEであってもよい。ICG192は、TIRによる伝搬のために、仮想光ビーム210を光源120から受容するように構成される、DOE(例えば、線形格子)である。図6に描写されるシステム100では、光源120は、LOE190の側面に配置される。
【0043】
OPE194は、システム100を通して伝搬する仮想光ビーム210が90度側方に偏向されるであろうように、側方平面(すなわち、光経路と垂直)に傾斜される、DOE(例えば、線形格子)である。OPE194はまた、光ビーム210が、部分的に、OPE194を通して通過し、複数(例えば、11)のビームレット210’を形成するように、光経路に沿って、部分的に透過性および部分的に反射性である。描写されるシステム100では、光経路は、X軸に沿ってあり、OPE194は、ビームレット210’をY軸に対して屈曲するように構成される。
【0044】
EPE196は、システム100を通して伝搬するビームレット210’がZ平面においてユーザの眼に向かって90度偏向されるであろうように、Z平面(すなわち、XおよびY方向に対して法線方向)に傾斜される、DOE(例えば、線形格子)である。EPE196はまた、ビームレット210’が、部分的に、EPE196を通して通過し、複数(例えば、7つ)のビームレット210’を形成するように、光経路(Y軸)に沿って部分的に透過性および部分的に反射性である。選択ビーム210およびビームレット210’のみが、明確にするために標識される。
【0045】
OPE194およびEPE196の両方もまた、Z軸に沿って少なくとも部分的に透過性であって、実世界光(例えば、実世界オブジェクトから反射する)が、Z方向においてOPE194およびEPE196を通して通過し、ユーザの眼に到達することを可能にする。AR/MRシステム100に関して、ICG192もまた、Z軸に沿って少なくとも部分的に透過性であって、実世界光を受容する。
【0046】
図7は、ICG192、OPE194、およびEPE196を有する、LOE190を含む、別の固定距離光学システム100を描写する。システム100はまた、仮想光ビーム210をICG192を介してLOE190の中に指向するように構成される、光源120を含む。光ビーム210は、上記図6に関して説明されるように、OPE194およびEPE196によって、ビームレット210’に分割される。さらに、ビームレット210’が、EPE196を通して伝搬するにつれて、それらはまた、LOE190からEPE196を介してユーザの眼に向かって出射する。図7に描写されるシステム100では、光源120は、LOE190に対して直交に配置される。選択ビーム210およびビームレット210’のみが、明確にするために標識される。固定距離複合現実光学システムは、AR/MRシステムから独立して実装されてもよいが、本明細書の多くのシステムが、例証目的のためだけにAR/MRシステムに関連して説明される。
【0047】
ここで図8A−8Dを参照すると、いくつかの一般的AR/MRシステムコンポーネントオプションが、図示される。図8Aに示されるように、頭部搭載型デバイスユーザ60は、ユーザ60の眼の正面に位置付けられるディスプレイシステム62に結合される、フレーム64構造を装着するように描写される。以下は、一般的AR/MRシステムの可能性として考えられるコンポーネントを説明する。説明されるコンポーネントは全て、固定距離AR/MRシステムを実装するために必要なわけではない。
【0048】
固定距離AR/MRシステムを実装するために必要とされないが、描写される構成では、スピーカ66が、フレーム64に結合され、ユーザ60の外耳道に隣接して位置付けられてもよい。代替実施形態では、別のスピーカ(図示せず)が、ユーザ60の他の外耳道に隣接して位置付けられ、ステレオ/成形可能音制御を提供する。1つ以上の実施形態では、固定距離AR/MRシステムは、有線導線または無線コネクティビティ等によって、ローカル処理およびデータモジュール70に動作可能に結合される、ディスプレイ62を有してもよく、これは、フレーム64に固定して取り付けられる、図8Bに描写される実施形態に示されるように、ヘルメットまたは帽子80に固定して取り付けられる、ヘッドホンに内蔵される、図8Cの実施形態に示されるように、リュック式構成においてユーザ60の胴体82に除去可能に取り付けられる、または図8Dの実施形態に示されるように、ベルト結合式構成においてユーザ60の腰部84に除去可能に取り付けられる等、種々の構成において搭載されてもよい。
【0049】
ローカル処理およびデータモジュール70は、電力効率的プロセッサまたはコントローラと、フラッシュメモリ等のデジタルメモリとを備えてもよく、両方とも、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用されてもよい。データは、画像捕捉デバイス(カメラ等)および慣性測定ユニット(加速度計およびジャイロスコープを含む)等のフレーム64に動作可能に結合され得る、センサから捕捉されてもよい。固定距離AR/MRシステムを実装するために必要ではない、随意のセンサは、コンパス、マイクロホン、GPSユニット、および無線デバイスを含む。代替として、または加えて、データは、遠隔処理モジュール72および/または遠隔データリポジトリ74を使用して、可能性として、処理または読出後、ディスプレイ62への通過のために、入手および/または処理されてもよい。ローカル処理およびデータモジュール70は、これらの遠隔モジュール72、74は、相互に動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール70へのリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンク等を介して、遠隔処理モジュール72および遠隔データリポジトリ74に動作可能に結合されてもよい76、78。
【0050】
一実施形態では、遠隔処理モジュール72は、データおよび/または画像情報を分析および処理するように構成される、1つ以上の比較的に強力なプロセッサまたはコントローラを備えてもよい。一実施形態では、遠隔データリポジトリ74は、比較的に大規模デジタルデータ記憶設備を備えてもよく、これは、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であってもよい。一実施形態では、全てのデータは、記憶され、全ての算出は、ローカル処理およびデータモジュールにおいて実施され、任意の遠隔モジュールからの完全に自律的使用を可能にする。
【0051】
1つ以上の実施形態では、図8A−8Dに示されるものに類似する頭部装着型固定距離AR/MRシステムは、仮想画像をユーザにユーザから所定の距離の公差範囲内に表示するために使用されてもよい。以下に説明されるいくつかの実施形態は、頭部装着型システム内に実装されてもよいが、他の実施形態は、定常デバイス内に実装されてもよいことを理解されたい。例証目的のために、本開示は、主に、頭部装着型固定距離AR/MRシステムに焦点を当てるであろうが、同一原理は、非頭部装着型および非AR実施形態にも同様に適用されてもよいことを理解されたい。
【0052】
1つ以上の実施形態では、固定距離AR/MRシステムは、典型的には、特定のユーザの頭部にフィットされ、光学コンポーネントは、ユーザの眼に整合される。これらの構成ステップは、頭痛、吐き気、不快感等の任意の生理学的副作用を生じさせずに、ユーザが最適拡張現実体験を提供されることを確実にするために使用されてもよい。したがって、1つ以上の実施形態では、ユーザ装着型固定距離AR/MRシステムは、(物理的およびデジタル的にの両方において)個々のユーザ毎に構成され、プログラムのセットは、ユーザのために具体的に較正されてもよい。他のシナリオでは、緩くフィットするARデバイスが、種々のユーザによって快適に使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ユーザ装着固定距離AR/MRシステムは、ユーザの眼間の距離、頭部装着型ディスプレイとユーザの眼との間の距離、およびユーザの前額の曲率を把握する。これらの測定は全て、所与のユーザにフィットするようにカスタマイズされた頭部装着型固定距離AR/MRシステムを提供するために使用されてもよい。他の実施形態では、そのような測定は、ARディスプレイ機能を実施するために必要ではない場合がある。
【0053】
例えば、図9A−9Dを参照すると、固定距離AR/MRシステムは、ユーザ毎にカスタマイズされてもよい。ユーザの頭部形状402が、図9Aに示されるように、1つ以上の実施形態では、頭部搭載ユーザ装着型ユーザ識別システムをフィットするときに考慮されてもよい。同様に、眼コンポーネント404(例えば、光学装置、光学装置のための構造等)が、水平および垂直の両方におけるユーザの快適性のために回転または調節される、もしくは図9Bに示されるようにユーザの快適性のために回転されてもよい。1つ以上の実施形態では、図9Cに示されるように、ユーザの頭部に対して設定された頭部の回転点が、ユーザの頭部の構造に基づいて調節されてもよい。同様に、瞳孔間距離(IPD)(すなわち、ユーザの眼の間の距離)が、図9Dに示されるように、補償されてもよい。
【0054】
ここで図10を参照すると、例示的完全AR/MRシステムの種々のコンポーネントが、説明されるであろう。固定距離AR/MRシステムは、完全AR/MRシステムより少ないコンポーネントを有するであろうことを理解されたい。しかしながら、例示的完全AR/MRシステムの説明は、固定距離AR/MRシステムのコンポーネントの相互接続および機能を例証するであろう。図10は、AR/MRシステムまたはARデバイスの種々のコンポーネントの基本概念を提供する。図10は、例証目的のために、右にブロック図において頭部搭載型AR/MRシステム62の簡略化されたバージョンを示す。
【0055】
図10を参照すると、好適なユーザディスプレイデバイス62の一実施形態が、示され、ディスプレイレンズ106を備え、これは、筐体またはフレーム108によって、ユーザの頭部または眼に搭載されてもよい。ユーザディスプレイデバイス62は、ユーザから離れた種々の距離に現れる3−D仮想オブジェクトをユーザに表示することを含む、種々の機能を実施するように構成される、完全AR/MRシステムである。ディスプレイレンズ106は、筐体84によって、ユーザの眼20の正面に位置付けられ、投影された光38を眼20の中にバウンスさせ、ビーム成形を促進するように構成される一方、また、ローカル環境からの少なくとも一部の光の伝送を可能にする、1つ以上の透明ミラーを備えてもよい。描写される実施形態では、2つの広視野マシンビジョンカメラ16が、筐体108に結合され、ユーザの周囲の環境を結像する。一実施形態では、これらのカメラ16は、二重捕捉可視光/赤外線光カメラである。描写されるシステムはまた、一対の走査式レーザ成形波面(すなわち、深度のため)光プロジェクタモジュール18(例えば、DLP、ファイバ走査デバイス(FSD)、LCD等の空間光変調器)を備え、ディスプレイミラーおよび光学装置は、示されるように、光38を眼20の中に投影するように構成される。
【0056】
固定距離AR/MRシステムを実装するために必要ではないが、描写される完全AR/MRシステムはまた、ユーザの眼20を追跡し、レンダリングおよびユーザ入力をサポートするように構成される、赤外線光源26(発光ダイオードまたは「LED」等)とペアリングされる、2つの小型赤外線カメラ24を備える。これらの赤外線カメラ24は、また、ユーザの眼、特に、その虹彩の画像を持続的かつ動的に捕捉するように構成され、これは、ユーザ識別において利用されることができる。
【0057】
本システムはさらに、センサアセンブリ39を特徴とし、これは、X、Y、およびZ軸加速度計能力ならびに磁気コンパスおよびX、Y、およびZ軸ジャイロスコープ能力を備え、好ましくは、データを200Hz等の比較的に高周波数で提供してもよい。例示的センサアセンブリ39は、慣性測定ユニット(「IMU」)である。描写されるシステム62はまた、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、および/またはARMプロセッサ(高度縮小命令セットマシン)等の頭部姿勢プロセッサ36(「画像姿勢プロセッサ」)を備え、これは、リアルタイムまたは近リアルタイムに、ユーザ頭部姿勢を捕捉デバイス16から出力される広視野画像情報から計算するように構成されてもよい。頭部姿勢プロセッサ36は、カメラ16およびレンダリングするエンジン34に動作可能に結合される(90、92、94;例えば、有線または無線コネクティビティを介して)。
【0058】
また、示されるのは、デジタルおよび/またはアナログ処理を実行し、姿勢をジャイロスコープ、コンパス、および/または加速度計データをセンサアセンブリ39から導出するように構成される、別のプロセッサ32(「センサ姿勢プロセッサ」)である。描写されるシステムはまた、GPS(全地球測位システム)サブシステム37を特徴とし、姿勢および位置付けを補助する。加えて、GPSはさらに、ユーザの場所についてのクラウドベースの情報を提供してもよい。本情報は、ユーザ識別目的のために使用されてもよい。例えば、ユーザ識別アルゴリズムが、検出されたユーザ特性を2つの潜在的ユーザ識別に絞り込むことができる場合、ユーザの現在および履歴場所データが、潜在的ユーザ識別のうちの1つを排除するために使用されてもよい。
【0059】
最後に、描写されるシステムは、レンダリングエンジン34を備え、これは、ユーザにローカルのレンダリング情報を提供し、世界のユーザのビューのために、スキャナの動作およびユーザの眼の中への結像を促進するように構成される、ソフトウェアプログラムを起動させるハードウェアを特徴とし得る。レンダリングエンジン34は、レンダリングされた光38が網膜走査ディスプレイに類似する様式において走査レーザ配列18を使用して投影されるように、画像姿勢プロセッサ36、随意の眼追跡カメラ24、投影サブシステム18、およびセンサ姿勢プロセッサ32に動作可能に結合される94、100、102、104、105(すなわち、有線または無線コネクティビティを介して)。投影された光ビーム38の波面は、投影された光38の所望の焦点距離と一致するように屈曲または収束されてもよい。
【0060】
随意の小型赤外線眼追跡カメラ24が、眼を追跡し、レンダリングおよびユーザ入力(例えば、ユーザが見ている場所、合焦させている深度等)をサポートするために利用されてもよい。以下に議論されるように、眼の縁が、ユーザの焦点の深度を推定するために使用されてもよい。センサアセンブリ39内のGPS37、ジャイロスコープ、コンパス、および加速度計が、大まかなおよび/または高速姿勢推定を提供するために利用されてもよい。カメラ16画像およびセンサ姿勢情報は、関連付けられたクラウドコンピューティングリソースからのデータと併せて、ローカル世界をマッピングし、ユーザビューを仮想または拡張現実コミュニティおよび/またはユーザ識別システムと共有するために利用されてもよい。
【0061】
図10において特徴とされるディスプレイシステム62内のハードウェアの多くは、ディスプレイ106およびユーザの眼20に隣接する、筐体108に直接結合されるように描写されるが、描写されるハードウェアコンポーネントは、例えば、図8Dに示されるように、ベルト搭載型コンポーネント等の他のコンポーネントに搭載される、またはその中に格納されてもよい。
【0062】
1つの完全AR/MRシステムでは、図10において特徴とされるシステム62のコンポーネントは全て、画像姿勢プロセッサ36、センサ姿勢プロセッサ32、およびレンダリングエンジン34を除き、ディスプレイ筐体108に直接結合され、後者の3つおよびシステム62の残りのコンポーネント間の通信は、超広帯域等の無線通信または有線通信によって行われてもよい。描写される筐体108は、好ましくは、頭部搭載型かつユーザによって装着可能である。また、これは、ユーザの耳の中に挿入され、音をユーザに提供するために利用され得るもの等、スピーカを特徴としてもよい。
【0063】
図10に描写される完全AR/MRシステム62の一般的コンポーネントを説明したが、固定距離AR/MRシステム300が、ここで、図11を参照して説明されるであろう。固定距離AR/MRシステム300は、光を個別の光源(図示せず)から受信し、受信された光を、それぞれ、ユーザの左眼および右眼の中に指向するように構成される、一対の光誘導光学要素302−l、302−rを含む。光源からの光は、個別の空間光変調器(図示せず)によって、3−D仮想オブジェクトに対応する画像データを含むように変調されることができる。例えば、左および右LOE302−l、302−rに指向される光は、2つの若干異なる視点からの同一3−D仮想オブジェクトに対応する画像データでエンコードされることができる。視点は、左および右LOE302−l、302−rの位置に対応し、これは、ユーザの左眼および右眼のために較正される。故に、左および右LOE302−l、302−rを通して送達される光は、立体視技法を使用して、3−D仮想オブジェクトの画像をユーザのために生成する。
【0064】
固定距離AR/MRシステム300は、ユーザから離れた固定距離の近傍、すなわち、LOE302−l、302−rの輻輳・開散運動の点に現れる、3−D仮想オブジェクトの画像を生成するように構成される。前述のように、ヒト視覚系は、約0.2ジオプタ〜約0.6ジオプタの遠近調節における公差/不確実性を有する。固定距離AR/MRシステム300は、3−D仮想オブジェクトの画像を固定距離のその公差範囲内に合焦させるように構成されるため、システムは、顕著な遠近調節および輻輳・開散運動問題を伴わずに、3−D仮想オブジェクトの画像を表示することができる。
【0065】
光源および空間光変調器は、別個のコンポーネントとして説明されるが、空間光変調器は、個別の光源の一部であることができる。別の実施形態では、単一光源および単一空間光変調器(別個または組み合わせられるかどうかにかかわらず)は、時間逐次様式において、左および右LOE302−l、302−rの両方のために、変調された光ビームを提供することができる。光ビームが、LOEあたり少なくとも約60フレーム/秒のレート(例えば、単一光源実施形態に関して120フレーム/秒)で提供される限り、固定距離AR/MRシステム300は、最小限の運動アーチファクトを伴って平滑に移動する、3−D仮想オブジェクトをレンダリングすることができる。
【0066】
本目的のために、固定距離AR/MRシステム300はまた、システム300の他のコンポーネントに動作可能に結合される、コントローラ304を含み、それらのコンポーネントを協調させる。例えば、コントローラ304は、3−Dレンダリングエンジンを含み、3−D仮想オブジェクトをレンダリングし、データを個別の光源および空間光変調器に送信するように構成される、左および右LOE302−l、302−rのための画像データを生成する。単一光源/空間光変調器実施形態では、コントローラ304は、単一光源/空間光変調器が左LOE302−lのために構成される画像データでエンコードされた光を生成するとき、左LOE302−lをアクティブ化し、右LOE302−rを非アクティブ化してもよい。これは、左および右LOE302−l、302−r間のクロストークおよびそれと関連付けられたアーチファクトを最小限にするであろう。コントローラ304は、頭部搭載型固定距離AR/MRシステム300内のプロセッサであってもよい。他の実施形態では、コントローラ304は、固定距離AR/MRシステム300の他のコンポーネントに無線接続される、モバイルコンピュータ(例えば、携帯電話)内またはその一部上のプロセッサであることができる。
【0067】
固定距離AR/MRシステム300はさらに、頭部搭載型固定距離AR/MRシステム300のユーザ/装着者の頭部姿勢を決定するためのデータを提供するように構成される、左および右IMU306−l、306−rを含む。単一IMUが、ユーザ頭部姿勢を決定するためのデータを提供可能であるが、2つのIMU306−l、306−rは、付加的データを提供し、これは、頭部姿勢の決定を改良する。一実施形態では、いったん左および右IMU306−l、306−r内のジャイロスコープが較正されると、システム300は、ユーザの頭部および眼窩が向けられている方向を追跡可能となるであろう。固定距離AR/MRシステム300の描写される実施形態は、眼追跡カメラおよびIR光を含まないが、左および右IMU306−l、306−rは、頭部姿勢を使用して、ユーザが見ている方向の実践的推定を提供する。
【0068】
さらに、固定距離AR/MRシステム300は、外向きに面した画像捕捉デバイス308(例えば、カメラ)を含み、ユーザの視野に近似する画像を捕捉する。画像捕捉デバイスは、捕捉された画像データをコントローラ304に送信し、これは、マシンビジョンオプティカルフローを実施し、システム300の頭部搭載型部分に結合される、システム300および画像捕捉デバイス308の移動から生じるドリフトを補正する。画像捕捉デバイス308は、CCDカメラ等の可視および/または赤外線光カメラであることができる。
【0069】
固定距離AR/MRシステム300は、左および右LOE302−l、302−r、コントローラ304、左および右IMU306−l、306−r、および画像捕捉デバイス308を使用して、ユーザが、顕著な遠近調節および輻輳・開散運動問題を伴わずに、3−D画像を視認し得るように、仮想オブジェクトの3−D画像をユーザの視野内に生成およびレンダリングすることができる。左および右LOE302−l、302−rは、画像を、それぞれ、左眼および右眼の中に投影する。コントローラ304は、画像をレンダリングする(ユーザのための3−D画像を生成するために)。左および右IMU306−l、306−rは、データをコントローラ304に提供し、これは、それを使用して、ユーザの頭部姿勢を決定する。画像捕捉デバイス308は、システム300内のドリフトを補正するために使用される画像データを提供する。コントローラ304は、左および右IMU306−l、306−rおよび画像捕捉デバイス308によって提供されるデータを使用して、ユーザの頭部姿勢およびシステムドリフトに基づいて、ユーザの左眼および右眼のために適切な画像をレンダリングする。
【0070】
図12に描写される別の実施形態では、固定距離AR/MRシステム300はまた、左および右LOE302−l、302−rと、コントローラ304と、左および右IMU306−l、306−rと、画像捕捉デバイス308とを含む。これらのコンポーネントは、図11に描写される固定距離AR/MRシステム300内の同一コンポーネントに関して上記に説明されるように、動作可能に結合され、機能する。加えて、図12に描写される固定距離AR/MRシステム300は、第3の、すなわち、「身体」IMU306−bを含み、これは、ユーザの身体に固定される(例えば、ユーザのベルトに取り付けられる)。他の実施形態では、身体IMU306−bは、ユーザの携帯電話またはその一部に固定されるが、身体IMU306−bは、電話がユーザのベルト(例えば、ホルダ内)に固定される時のみアクティブである。身体IMU306−bは、固定距離AR/MRシステム300のユーザの身体姿勢を決定するためのデータを提供するように構成される。いったん身体IMU306−b内のジャイロスコープが較正されると、システム300は、ユーザの身体が向けられている方向を追跡可能となるであろう。
【0071】
コントローラ304は、身体IMU306−bからのデータを使用して、「身体中心」固定距離ARシナリオを生成する。例えば、コントローラ304は、図13に示されるように、ユーザインターフェース506を、ユーザのFOV500内であって、かつそこからの固定距離に生成することができる。単に、ユーザの頭部の運動に伴って移動する実世界場面の上にオーバーレイする、「頭部中心」ARシナリオと異なり、身体中心固定距離ARシナリオは、ユーザインターフェース506を、ユーザの身体から固定距離にあって、かつそれに対して固定点に「貼り付け」させ、ユーザの頭部がユーザの異なる部分に向かって旋回されると、その部分に、インターフェース506を移動させる。これは、コントローラ304が、身体IMU306−bからのデータと左および右IMU306−l、306−rからのデータを比較し、身体姿勢に対する頭部姿勢を決定することによって遂行される。
(例示的仮想オブジェクト(ユーザインターフェース))
【0072】
図13は、図12に描写されるもの等の頭部搭載型固定距離AR/MRシステム300を装着するユーザのFOV500を描写する。ユーザには、FOV500内において、実際の物理的建物502と、実際の木々の集合504とが見える。ユーザにはまた、FOV500内において、固定距離AR/MRシステム300によって生成およびレンダリングされる、ユーザインターフェース506が見える。ユーザインターフェース506は、十分な不透明度を有し、ユーザに、ユーザインターフェース506の背後に木504が見えることを可能にする。本不透明度は、ユーザインターフェース506を破線で描写することによって図示される。ユーザインターフェース506は、6つのユーザインターフェースオブジェクト508−1から508−6を含む。FOV500は、左510−lおよび右510−r側において、ユーザの眼の限界によって限定される。限定されるFOV500は、約50°である。
【0073】
図14は、ユーザの頭部がユーザの身体に対して約25°左に旋回された後の、同一頭部搭載型固定距離AR/MRシステム300を装着する同一ユーザの別のFOV500’を描写する。建物502および木504は、FOVの右側510−rに移動している。実際、建物502の右半分は、FOV500’外に移動している。頭部搭載型固定距離AR/MRシステム300は、その頭部を旋回後、身体中心ユーザインターフェース506を生成およびレンダリングするように構成されるため、ユーザには、ユーザインターフェース506の異なる部分が見える。例えば、ユーザインターフェースオブジェクト508−a、508−bおよび508−cは、図14に描写されるFOV500’内では、ユーザに可視であるが、図13に描写されるFOV500では、可視ではない。同時に、ユーザインターフェースオブジェクト508−4、508−5および508−6は、図14に描写されるFOV500’では、ユーザに不可視であるが、それらは、図13に描写されるFOV500では、可視である。左および右を走査する本能力は、ヒトの眼の約50°FOVより大きい総有効FOVを可能にする。総有効FOVの増加は、左および右方向に限定されず、また、上下も含み、それによって、頭部搭載型固定距離AR/MRシステム300が仮想画像をレンダリングし得る、ドーム206を形成する(図3参照)。図13および14は、2−Dユーザインターフェース506を描写するが、仮想画像は、上記に説明されるように、立体視的にレンダリングされる3−D画像であることができることに留意されたい。
【0074】
上記に説明される固定距離AR/MRシステム300は、システム300の複雑性、サイズ、およびコストを最小限にしながら、仮想オブジェクトを身体中心様式において表示する機能を実施することができる。光学システムコンポーネントの本経済的使用は、製造がより容易であって、使用がより快適であって、かつ典型的消費者/ユーザにより入手可能なAR/MRシステム(および他の光学システム)をもたらすことができる。
(仮想オブジェクトの身体中心ディスプレイ)
【0075】
固定距離AR/MRシステム300のいくつかの実施形態を説明したが、仮想オブジェクト(例えば、図14におけるようにユーザインターフェース506)を身体中心様式において固定距離AR/MRシステム300のユーザに表示する方法600が、ここで議論されるであろう。図15に示されるように、方法は、ステップ602から開始し、頭部姿勢に関連する第1の値を測定する。例えば、固定距離AR/MRシステム300内の左IMU306−l(図14参照)が、頭部姿勢を示すジャイロスコープデータを測定してもよい。
【0076】
ステップ604では、頭部姿勢は、第1の値から計算される。例えば、固定距離AR/MRシステム300内のコントローラ304は、頭部姿勢を測定されたジャイロスコープデータから計算してもよい。
【0077】
ステップ606では、身体姿勢に関連する第2の値が、測定される。例えば、固定距離AR/MRシステム300内の身体IMU306−b(図14参照)は、身体姿勢を示すジャイロスコープデータを測定してもよい。
【0078】
ステップ608では、身体姿勢は、第2の値から計算される。例えば、固定距離AR/MRシステム300内のコントローラ304は、身体姿勢を測定されたジャイロスコープデータから計算してもよい。
【0079】
ステップ610では、単一の所定の光学平面の公差範囲内に表示されるように構成される、仮想画像が、頭部姿勢および身体姿勢に基づいて生成される。例えば、固定距離AR/MRシステム300内のコントローラ304の3−Dレンダリングエンジンはユーザの身体姿勢に対するユーザの頭部姿勢に基づいて、ユーザのFOV内に表示されるように構成される、仮想画像をレンダリングしてもよい。3−Dレンダリングエンジンは、ユーザの身体姿勢に対するユーザの頭部姿勢に基づいて生成された仮想画像を改変してもよい(図13および14を比較のこと)。仮想画像は、図13および14に描写されるユーザインターフェース506の一部であってもよい。仮想画像は、3−D画像の一部(例えば、ユーザの左眼および右眼に同時に表示されるとき、3−D画像をレンダリングするように構成される一対の画像の左画像)であってもよい。
【0080】
ステップ612では、生成された仮想画像は、単一の所定の光学平面の公差範囲内に表示される。前述のように、仮想画像を単一の所定の光学平面に「隣接する」ように表示することは、限定ではないが、仮想画像を単一の所定の光学平面の約0.2ジオプタ〜約0.6ジオプタ以内に表示することを含む。例えば、固定距離AR/MRシステム300内の光源、空間光変調器、および左LOE302−l(図14参照)が、生成された仮想画像をユーザに表示してもよい。単一の所定の光学平面は、ユーザの左眼の輻輳・開散運動(左LOE302−lによって放出される光の角度に基づいて)が、単一の所定の光学平面の公差範囲内の仮想画像の焦点に対応するように選択されてもよい。そのような対応は、輻輳・開散運動−遠近調節衝突に関連する問題を最小限にまたは排除する。
【0081】
図19は、仮想オブジェクト(例えば、図14におけるようにユーザインターフェース506)を身体中心様式において固定距離AR/MRシステム300のユーザに表示する別の方法600’を描写する。ステップ602、604、606、608、および612は、図18に描写される方法600における対応するステップと同じである。
【0082】
図19に描写される方法600’は、随意のステップ614において、画像が捕捉されるため、図18に描写される方法600と異なる。例えば、固定距離AR/MRシステム300内の画像入手デバイス308(図14参照)は、ユーザのFOVに近似する画像を捕捉してもよい。
【0083】
随意のステップ616では、マシンビジョンオプティカルフロー分析が、捕捉された画像に基づいて実施される。オプティカルフロー分析は、システムの移動から生じるドリフトを補正する。例えば、固定距離AR/MRシステム300内のコントローラ304は、捕捉された画像に基づいて、マシンビジョンオプティカルフロー分析を実施してもよい。
【0084】
ステップ610では、単一の所定の光学平面の公差範囲内に表示されるように構成される、仮想画像は、頭部姿勢、身体姿勢、およびマシンビジョンオプティカルフロー分析の結果に基づいて生成される。例えば、固定距離AR/MRシステム300内のコントローラ304の3−Dレンダリングエンジンは、頭部姿勢、身体姿勢、およびマシンビジョンオプティカルフロー分析の結果に基づいて、ユーザのFOV内に表示されるように構成される、仮想画像をレンダリングしてもよい。3−Dレンダリングエンジンは、ユーザの身体姿勢に対するユーザの頭部姿勢に基づいて生成された仮想画像を改変してもよい(図13および14比較)。仮想画像をレンダリングする際に、マシンビジョンオプティカルフロー分析の結果を含むことは、システムドリフトを補正し、より正確にレンダリングされた仮想画像をもたらす。仮想画像は、図13および14に描写されるユーザインターフェース506の一部であってもよい。仮想画像は、3−D画像の一部(例えば、ユーザの左眼および右眼に同時に表示されるとき、3−D画像をレンダリングするように構成される一対の画像の左画像)であってもよい。
【0085】
前述の固定距離AR/MRシステムは、低減された複雑性、サイズ、およびコストから利益を享受し得る、種々の一般的システムの実施例として提供される。故に、本明細書に説明される固定距離光学システムの使用は、開示される固定距離AR/MRシステムに限定されず、むしろ、任意の光学システムに適用可能である。
【0086】
本発明の種々の例示的実施形態が、本明細書で説明される。非限定的な意味で、これらの実施例が参照される。それらは、本発明のより広く適用可能な側面を例証するように提供される。種々の変更が、説明される本発明に行われてもよく、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、均等物が置換されてもよい。加えて、特定の状況、材料、物質組成、プロセス、プロセス行為、またはステップを本発明の目的、精神、もしくは範囲に適合させるように、多くの修正が行われてもよい。さらに、当業者によって理解されるように、本明細書で説明および例証される個々の変形例のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離され、またはそれらと組み合わせられ得る、離散構成要素および特徴を有する。全てのそのような修正は、本開示と関連付けられる請求項の範囲内にあることを目的としている。
【0087】
本発明は、対象デバイスを使用して行われ得る方法を含む。方法は、そのような好適なデバイスを提供するという行為を含んでもよい。そのような提供は、エンドユーザによって行われてもよい。換言すれば、「提供する」行為は、単に、エンドユーザが、対象方法において必須デバイスを提供するように、取得し、アクセスし、接近し、位置付けし、設定し、起動し、電源を入れ、または別様に作用することを要求する。本明細書で記載される方法は、論理的に可能である記載された事象の任意の順番で、ならびに事象の記載された順番で実行されてもよい。
【0088】
本発明の例示的側面が、材料選択および製造に関する詳細とともに、上記で記載されている。本発明の他の詳細に関しては、これらは、上記で参照された特許および出版物と関連して理解されるとともに、概して、当業者によって公知であり得るかまたは理解され得る。一般的または論理的に採用されるような付加的な行為の観点から、本発明の方法ベースの側面に関して、同じことが当てはまり得る。
【0089】
加えて、本発明は、種々の特徴を随意的に組み込むいくつかの実施例を参照して説明されているが、本発明は、本発明の各変形例に関して考慮されるような説明および指示されるものに限定されるものではない。種々の変更が、説明される本発明に行われてもよく、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、均等物(本明細書に記載されようと、いくらか簡単にするために含まれていなかろうと)が置換されてもよい。加えて、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の全ての介在値、およびその規定範囲内の任意の他の規定または介在値が、本発明内に包含されることを理解されたい。
【0090】
また、説明される本発明の変形例の任意の随意的な特徴が、独立して、または本明細書で説明される特徴のうちのいずれか1つ以上のものと組み合わせて、記載および請求されてもよいことが考慮される。単数形のアイテムへの参照は、複数形の同一のアイテムが存在するという可能性を含む。より具体的には、本明細書で、および本明細書に関連付けられる請求項で使用されるように、「1つの(「a」、「an」)」、「該(said)」、および「該(the)」という単数形は、特に規定がない限り、複数形の指示対象を含む。換言すれば、冠詞の使用は、上記の説明ならびに本開示と関連付けられる請求項において、対象アイテムの「少なくとも1つ」を可能にする。さらに、そのような請求項は、任意の随意的な要素を除外するように起草され得ることに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の要素の記載と関連して、「単に(solely)」、「のみ(only)」等のそのような排他的用語の使用、または「否定的」制限の使用のために、先行詞としての機能を果たすことを目的としている。
【0091】
そのような排他的用語を使用することなく、本開示と関連付けられる請求項での「備える(comprising)」という用語は、所与の数の要素がそのような請求項で列挙されるか、または特徴の追加をそのような請求項に記載される要素の性質の変換として見なすことができるかにかかわらず、任意の付加的な要素を含むことを可能にするものとする。本明細書で具体的に定義される場合を除いて、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、請求項の有効性を維持しながら、可能な限り広い一般的に理解されている意味を与えられるものである。
【0092】
本発明の範疇は、提供される実施例および/または対象の明細書に限定されるものではなく、むしろ、本開示と関連付けられる請求項の言葉の範囲のみによって限定されるものである。
【0093】
前述の明細書では、本発明は、その具体的実施形態を参照して説明された。しかしながら、種々の修正および変更が、本発明のより広義の精神および範囲から逸脱することなくそこに成されてもよいことは、明白となるであろう。例えば、前述のプロセスフローは、プロセス作用の特定の順序を参照して説明される。しかしながら、説明されるプロセス作用の多くの順序は、本発明の範囲または動作に影響を及ぼすことなく、変更されてもよい。明細書および図面は、故に、限定的意味ではなく、例証的と見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16