特許第6972113号(P6972113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972113容器内の粒子検出の改善のためのビデオトリガ同期
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972113
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】容器内の粒子検出の改善のためのビデオトリガ同期
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/00 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   G01N15/00 A
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-509504(P2019-509504)
(86)(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公表番号】特表2019-532270(P2019-532270A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】US2016050283
(87)【国際公開番号】WO2018044328
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2019年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミルン,グラハム・フランク
(72)【発明者】
【氏名】フラッドキン,ディミトリー
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン,トーマス・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】クー,ボンチャル・クリス
(72)【発明者】
【氏名】フロインド,アーウィン
【審査官】 北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−112938(JP,A)
【文献】 特表2014−525583(JP,A)
【文献】 特開2002−303583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00
G01N 21/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
攪拌プロファイルの攪拌期間中、モータを使用して、流体を含んだ透明な容器に運動を適用し、前記モータは、容器の所定の回転度に対応するパルスを生成するロータリエンコーダを含むことと、
前記運動を適用しながら、1つ以上の撮像装置によって、前記透明な容器の一部分の元の画像のシーケンスを取得し、前記元の画像のシーケンスを取得することは、(i)前記ロータリエンコーダによって生成されたパルスに基づいてトリガ信号を生成することと、(ii)前記トリガ信号を前記1つ以上の撮像装置に提供して、前記元の画像のシーケンスの取得を、前記元の画像のシーケンス内の各画像が、同じ位置にある前記透明な容器に対応するように、前記攪拌プロファイルに同期させることとを含むことと、
1つ以上のプロセッサによって、前記元の画像のシーケンスから背景画像を生成することと、
1つ以上のプロセッサによって、前記背景画像及び前記元の画像のシーケンス内の元の画像から結果として得られる画像を生成することと、
1つ以上のプロセッサによって、前記結果として得られる画像から前記流体中の粒子を識別することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記攪拌期間が、第1の攪拌期間と、第1の攪拌期間に続く第2の攪拌期間とを含み、
第1の攪拌期間が、第1の運動を適用することを含み、
第2の攪拌期間が、第2の運動を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の運動または前記第2の運動が、前記透明な容器を旋回、回転、振蕩、振動、または反転させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の運動が、第1の速度で前記透明な容器を回転させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の運動が、前記第1の速度よりも遅い第2の速度で前記透明な容器を回転させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記攪拌プロファイルが、さらに、前記攪拌期間の前に、前記透明な容器に音響エネルギーまたは超音波エネルギーを印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記元の画像のシーケンスの中から連続した画像を取得する間に、360度の整数倍だけ、前記透明な容器を回転させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
360度の前記整数倍が、前記元の画像のシーケンスの中から連続した画像を取得する間に変化する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記透明な容器が注射器である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記透明な容器が空隙を含まないように、前記流体が実質的に前記透明な容器を充填する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記透明な容器が、前記透明な容器の長軸の回りで非対称である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記透明な容器の断面が、前記透明な容器の長さに沿って変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記透明な容器が非円筒形である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
検査システムであって、
流体を含んだ透明な容器を受け取り、攪拌プロファイルの攪拌期間中に前記透明な容器に運動を適用するように構成された攪拌器であって、容器の所定の回転度に対応するパルスを生成するロータリエンコーダを有するモータを備える攪拌器と、
前記攪拌器が前記運動を適用すると、前記透明な容器の元の画像のシーケンスを取得するように構成された撮像装置と、
前記ロータリエンコーダによって生成されたパルスに基づいてトリガ信号を生成し、前記トリガ信号を前記撮像装置に提供して、前記元の画像のシーケンスの取得を、前記元の画像のシーケンス内の各画像が、同じ位置にある前記透明な容器に対応するように、前記攪拌プロファイルに同期させるように構成されている、トリガ回路と、
コントローラであって、
前記撮像装置から前記元の画像のシーケンスを受け取り、
前記元の画像のシーケンス内の少なくとも2つの元の画像の共通の特徴を識別し、
前記共通の特徴を含んだ背景画像を生成し、
前記背景画像及び前記元の画像のシーケンスから1つ以上の結果として得られる画像を生成し、
前記背景画像から前記流体中の粒子を識別する
ように構成された前記コントローラとを備える、前記検査システム。
【請求項15】
前記攪拌器が、前記透明な容器を旋回、回転、振動、または反転させるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記攪拌器が、前記透明な容器に音響エネルギーまたは超音波エネルギーのうちの少なくとも一方を印加するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記攪拌期間が、第1の攪拌期間と、第2の攪拌期間とを含み、前記第2の攪拌期間が前記第1の攪拌期間に続き、
前記攪拌器が、前記第1の攪拌期間中に第1の回転速度で前記透明な容器を回転させ、及び前記第2の攪拌期間中に第2のより遅い回転速度で前記透明な容器を回転させるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記攪拌器が、さらに、前記攪拌期間の前に前記透明な容器を反転させるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記攪拌器が、さらに、前記透明な容器の前記反転中に前記透明な容器を回転させるように構成される、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して流体で充填された容器内での粒子検出に関する。
【背景技術】
【0002】
流体は、さまざまな異なる形状及び大きさの粒子を含む場合がある。流体は、意図的に粒子を含む場合もあれば、意図せずに粒子を含む場合もある。意図的ではない粒子は、例えば環境から、流体の誤った取り扱いもしくは貯蔵から、または流体を保持する容器の形成、梱包もしくは充填からの残留物として等のいくつかの異なる供給源から生じる場合がある。また、流体は、気泡を含む場合もある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、方法は、攪拌プロファイルの撹拌期間中に、流体を含んだ透明な容器に運動を適用することと、運動を適用しながら、透明な容器の一部分の元の画像のシーケンスを取得することと、元の画像のシーケンスから背景画像を生成することと、背景画像及び元の画像のシーケンス内の元の画像から結果として得られる画像を生成することと、結果として得られる画像から流体中の粒子を識別することとを含む。
【0004】
一実施形態では、検査システムは、流体を含んだ透明な容器を受け取り、撹拌プロファイルの撹拌期間中に透明な容器に運動を適用するように構成された攪拌器を含む。撮像装置は、撹拌器が運動を適用すると、透明な容器の元の画像のシーケンスを取得する。コントローラは、撮像装置から元の画像のシーケンスを受け取り、元の画像のシーケンスの少なくとも2つの元の画像の共通の特徴を識別し、共通の特徴を含んだ背景画像を生成し、背景画像及び元の画像のシーケンスから1つ以上の結果として得られる画像を生成し、背景画像から流体中の粒子を識別する。
【0005】
一実施形態では、方法は、撹拌プロファイルの撹拌期間中に、透明な容器の一部分の元の画像のシーケンスを取得することと、元の画像のシーケンスから背景画像を決定することと、背景画像及び元の画像のシーケンスから少なくとも1つの結果として得られる画像を生成することと、結果として得られる画像から流体中の少なくとも1つの粒子を識別することとを含む。
【0006】
当業者は、本明細書に説明される図が、例示の目的のために含まれ、本開示に対して限定的ではないことを理解する。図面は、必ずしも原寸に比例するとは限らず、代わりに、本開示の原理を示すことに重点が置かれている。いくつかの例では、説明される実施態様の種々の態様が、説明される実施態様の理解を容易にするために誇張または拡大して示される場合があることを理解されたい。図面中、種々の図面全体にわたって類似する参照文字は、概して機能的に類似した及び/または構造的に類似した構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態に係る目視検査システムを示す。
図2】本開示の一実施形態に係る目視検査システムを示す。
図3】流体中の粒子を識別するための方法の一例を示す。
図4】攪拌プロファイルの適用中の異なる時点での容器を示す。
図5】本開示の技術に従って取得され、処理された画像の一例を示す。
図6】コントローラの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上記に紹介し、以下により詳細に説明する種々の概念は、多数の方法のいずれかで実装し得、説明した概念は特定の実装方法に限定されない。実装の例は、例示のために提供される。
【0009】
図1は、本開示の一実施形態に係る検査システム100を示す。システム100は、ロボットサブシステム104及びスピンドル106を含む攪拌器102を含む。システム100は、さらに、攪拌器102によって保持される容器を照明するための1つ以上の照明器、及び容器が攪拌器102によって攪拌されると、容器の画像を取得する1つ以上の撮像装置110を含んだ照明システム108を含む。
【0010】
システム100の構成要素に関する追加の詳細が、以下に示される。概要として、システム100は、攪拌プロファイルが容器に適用されると容器を撮像するように構成される。画像は、容器に適用される攪拌プロファイルの任意の区分の間に取得されてよい。システムは、容器の2つ以上の画像を分析して、粒子が容器内に存在するかどうかを判断する。2つ以上の画像は、さらに、存在する粒子の数をカウントする、粒子をサイジングする、粒子の移動を追跡する、または粒子を特徴付けるために分析されてよい。粒子は、例えば、塵もしくは他の汚染物質、またはタンパク質である場合がある。本開示では、粒子が説明されるが、本開示の概念が気泡にも当てはまることを理解されたい。
【0011】
攪拌プロファイルは、1つ以上の撹拌期間を含む。撹拌プロファイルの各撹拌周期中、運動が容器に適用される、または運動が中断される。例えば、第1の攪拌期間の第1の運動の後に第2の攪拌期間の第2の運動が続く場合もあれば、第1の攪拌期間の第1の運動の後に第2の攪拌期間の第1の運動の中断が続く場合もある。運動は、振盪、回転、超音波エネルギーの印加、音響エネルギーの印加、反転、別の運動、またはその任意の組み合わせである場合がある。
【0012】
運動の中断は、例えば制動力の印加等の運動に対抗するために容器に力を印加することを含む場合もあれば、含まない場合もある。制動力は、例えば摩擦力である場合がある。概して、運動の中断を組み込んだ攪拌期間は、本明細書では休止期間と呼ばれる。休止期間は、容器内の流体が移動し続ける初期時間を含んでよく、さらに容器内の流体が静止している後続の時間を含んでよい。
【0013】
容器の画像は、撹拌プロファイルの1つ以上の撹拌期間中に取得されてよい。画像の取得は、容器の1つ以上の位置に対応するように合わせられる。容器の単一の位置で取得された画像のシーケンスは、以下に説明するように、容器内の流体中の粒子を検出するために使用される。画像のシーケンスは、容器の複数の位置のそれぞれで取得できる。
【0014】
非限定的な例によって、1つ以上の実施形態では、撹拌プロファイルは、攪拌器102が追加の運動を提供しない(例えば、第1の運動を中断する)第2の撹拌期間の突然の停止及び休止期間、次いで第3の撹拌期間の第2の運動が後に続く第1の撹拌期間の第1の運動を含む。画像は、第1の撹拌期間、第2の撹拌期間、または第3の撹拌期間のうちの1つ以上の間に取得してよい。1つ以上の係る実施形態では、第1の運動は回転運動であり、容器の中の流体は、システムが回転する流体の画像を取得すると、休止期間中に瞬間的に回転し続ける場合がある。しかしながら、高い粘性を有する流体は、容器が回転を停止すると、すばやく休止する場合があり、粒子もすばやく休止するため、これが、流体中で懸濁した粒子の画像を取得することを困難にする場合がある。係る流体(または他の流体)の場合、本明細書に説明するシステムは、例えば、突然の停止及び休止期間を省略し、代わりに第1の攪拌期間の第1の運動が回転運動であり、(第1の回転運動とは異なる速度であってよい)第2の攪拌期間の第2の運動も回転運動である、粒子が画像の取得及び分析中に移動し続けることを可能にする攪拌プロファイルを使用できる。他の多くの攪拌プロファイルが本開示の範囲内にあり、そのいくつかは本明細書に説明されている。
【0015】
システム100は、画像の取得を攪拌プロファイルと同期させることができる。例えば、単一の軸の回りの回転運動の場合、容器の同じ部分の2つ以上の画像のシーケンスが取得され、各画像は、容器が特定の角度位置にあるときに取得され、各画像は、異なる回転中に取得される。このようにして、例えば容器の壁のグリースもしくは汚れ、または容器の壁からの反射等、運動中に変化しない画像の部分は無視することができ、したがって、以下に説明するように、粒子を画像から識別することができる。
【0016】
1つ以上の実施形態では、撮像装置110は、容器の複数の部分のそれぞれについて画像のシーケンスを取得することができ、単一のシーケンス内の各画像は、容器の異なる回転で取得される。
【0017】
1つ以上の実施形態では、複数の撮像装置110が、例えば、より高速の並列撮像のために、広角対狭角の撮像のために、小面積対大面積の撮像のために、カラー撮像対赤外線撮像のために等、検査システム100の異なる場所から容器の画像を取得する。
【0018】
ここで図1を参照し直すと、スピンドル106は、ロボットサブシステム104に結合されている。(ロボットサブシステム104及びスピンドル106を含んだ)攪拌器102は、1つ以上の攪拌プロファイルを生成するように構成される。撹拌プロファイルは、振盪、回転、超音波エネルギーの印加、音響エネルギーの印加、反転、またはその任意の組み合わせを含む場合がある。攪拌プロファイルは、流体内の粒子を運動させ、次いで任意選択で粒子を運動状態に保持するために容器に適用される。異なる撹拌プロファイルは、例えば、容器の大きさもしくは形状、容器内の流体の粘性、容器内の流体の量、容器内の粒子の予想される量、その他の要因、またはその組み合わせに基づいて生成されてよい。
【0019】
攪拌器102が攪拌プロファイルを適用すると(例えば、スピンドル106が容器を回転させると)、撮像装置110は容器の画像を取得する。撮像装置110は画像のシーケンスとして容器の画像を取得し、画像のシーケンス内の後続の各画像は、画像のシーケンスの直前の画像の後に所定の完全回転数、撮影され、画像のシーケンスの各画像は容器の同じ領域の画像である。例えば、容器がx度回転した後に第1の画像が取得される場合、第2の画像は、容器がx+360n度回転した後に取得され、ここではnは、第1の画像と第2の画像の取得の間の回転の整数である。初期画像の後の各画像は、容器がx+360n度回転した後に取得され、nは画像ごとに異なる(例えば、画像は、nの任意の増加列のn=n1、n2、n3等で取得される)。
【0020】
本開示での回転は、容器の長さに沿った長手方向軸、または長手方向軸に対して任意の角度での軸を含んだ、容器に対して画定された任意の軸の回りの角運動を示す。さらに、回転は、軸の回りの連続運動を指す場合もあれば、振動運動を指す場合もある。例えば、1つ以上の回転または部分的な回転は第1の方向であり、第2の方向の1つ以上の回転または部分的な回転が後に続く場合がある。第2の方向は、第1の方向の反対であってよいが、必ずしもそうではない。また、振動は、2方向での往復運動を含む場合があるが、さらにまたは代わりに、3つ以上の方向での連続する運動を含む場合があり、該連続は、繰り返しである場合もあれば、ない場合もある。
【0021】
図2は、本開示の一実施形態に係るシステム100の一例を示す。上述したように、システム100は、攪拌器102の一部であるスピンドル106と、照明システム108と、撮像装置110とを含む。システム100は、さらに、(本実施形態ではコンピュータとして示される)コントローラ202と、トリガ回路204と、光制御回路206とを含む。
【0022】
スピンドル106は、モータ208によって回転されるグリッパ210を含む。グリッパ210は、容器212を把持し、保持するように構成される。いくつかの実施態様では、グリッパ210は、空気圧グリッパ、電気グリッパ、または真空のグリッパである。他の実施態様では、グリッパ210は、容器212をスピンドル106に固定するためにコントローラ202によって制御される複数のフィンガーを含む場合がある。モータ208は、サーボモータ、ステッピングモータ、または他の電気モータである場合がある。モータ208は、スピンドル106の中心軸の回りで容器212を回転させることができる。いくつかの実施態様では、モータ208は、約200〜約1500rpmの間、約200rpm〜約1000rpmの間、約500rpm〜約800rpmの間、または約500rpm〜約2000rpmの間等、約200rpm〜約2000rpmの間で容器212を回転させるように構成される。例えば、1つ以上の実施形態では、モータ208は、撹拌プロファイルの第1の撹拌期間中に比較的に高速(例えば、800rpm以上)で、及び攪拌プロファイルの後続の撹拌期間中に比較的に低速(例えば、約100rpm)で容器212を回転させることができる。モータ208が容器212を回転させる速度は、コントローラ202によって制御できる。
【0023】
1つ以上の実施形態では、ロボットサブシステム104、つまり攪拌器102のロボットシステム104及びスピンドル106は、検査システム100のピックアンドプレースロボットシステムの構成要素である。例えば、コントローラ202は、容器212を貯留部から取り出し、(グリッパ210によって保持される)容器212を画像取得領域(例えば、撮像装置110が焦点を合わせられた領域)に運び、攪拌プロファイルを開始し、撹拌プロファイル及び対応する画像取得が完了した後に容器212を貯留部または別の場所に戻すために攪拌器102を制御できる。コンベア、スターホイール、または他のトランスポータを組み込んだ技術等の容器212を回収し、容器212を設置する、または容器212を場所に移動させるための他の技術が使用されてよいことを理解されたい。
【0024】
ロボットサブシステム104は、スピンドル106によって提供される回転能力に加えてである、複数の自由度(例えば、x、y、z、ヨー、ピッチ、またはロールうちの2つ以上)を有してよい。1つ以上の実施形態では、ロボットサブシステム104は、6つの自由度(x、y、z、ヨー、ピッチ、及びロール)を有する。1つ以上の実施形態では、ロボットサブシステム104は、容器212を逆転するまたは振ることができ、撹拌プロファイルは、容器の逆転及び/または振盪を含む場合がある。
【0025】
撮像装置110は、攪拌器102が容器212に攪拌プロファイルを適用すると、容器212の画像を収集するように構成される。システム100は、複数の撮像装置110を含む場合がある。いくつかの実施態様では、複数の撮像装置110のそれぞれは同様に構成され、他の実施態様では、複数の撮像装置のうちの撮像装置は異なるように構成される。例えば、複数の撮像装置110は、それぞれ1つ以上のレンズを含む場合があり、異なる撮像装置110のレンズは、同一または異なる焦点距離または開口寸法を有してよい。別の例では、各撮像装置110は、1つ以上の光フィルタを含む場合があり、異なる撮像装置110のフィルタは、同じまたは異なるスペクトルにわたって光をフィルタリングできる。追加の例では、複数の撮像装置110のそれぞれは、容器212の異なる表示を作成するために異なる焦点距離の望遠レンズを含む場合がある。
【0026】
複数の撮像装置110は、容器212の回りに放射状に配置できる。1つ以上の実施形態では、複数の撮像装置110のそれぞれは、所与の表面(例えば、検査システムが配置される床、パッド、もしくはテーブル、スピンドル106の上面、または他の面)に対して同じ垂直高さに配置される。他の実施形態では、撮像装置110は、例えば容器212の長さに沿って異なる画像領域を取得するために、表面に対して異なる高さに配置されてよい。
【0027】
撮像装置110によって取得された画像は、記憶及び分析のためにコントローラ202に送信できる。いくつかの実施態様では、撮像装置110は、攪拌器102が容器212に攪拌を適用すると、容器212の個々の静止画像を取得する。他の実施態様では、撮像装置110はビデオ撮像装置であり、攪拌された容器212のビデオを取得する。撮像装置110は、コントローラ202が、特定の角度位置で容器212に対応するビデオフレームを抽出できるように攪拌器102と同期させることができる。
【0028】
トリガ回路204は、容器212の位置を決定し、撮像装置110に画像を取得させるトリガを生成するように構成される。容器212の位置を決定することは、開始位置から容器の回転を決定するまたは追跡することを含む場合がある。
【0029】
1つ以上の実施形態では、モータ208は、所定の回転度に一致するパルスを生成する。非限定的な例として、モータ208は、0.01回転度、0.1回転度、0.2回転度、0.5回転度、1回転度、2回転度、5回転度、または10回転度ごとにパルスを発振するロータリエンコーダを含む場合がある。ロータリエンコーダは、絶対エンコーダまたはインクリメンタルロータリエンコーダである場合がある。トリガ回路204は、モータ208から受け取ったパルスをカウントし、n番目のパルス毎に撮像装置110をトリガするためにトリガ信号を生成することができ、ここでnは整数である。例えば、トリガ回路204は、9番目のパルスを受け取るたびにトリガ信号を生成できる。パルスが容器212の回転度ごとに生成される実施態様では、9番目のパルス毎に画像を取得すると、容器212の9回転度毎に画像が生じることになる。パルスは1回転度を表す場合もあれば、表さない場合もあり、上記は例として提供されることを理解されたい。
【0030】
上述したように、複数の画像は、容器212の回転ごとに取得されてよい。トリガ回路204は、ロータリエンコーダからのパルスに基づいて画像を取得させることができる。例えば、画像は、パルスの立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジで、パルスの立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方で、パルスの高い及び/または低い論理レベルで、または2つ以上のロータリエンコーダからのパルスのエッジ及び/またはレベルの論理的組み合わせに基づいて取得されてよい。また、画像取得をトリガするための他の技術も、本開示に包含される。
【0031】
1つ以上の実施形態では、トリガ回路204は、例えばソリッドステートリレーまたはトランジスタ等の、撮像装置110へトリガ信号を供給するために賦活する電子スイッチング回路網を含む。
【0032】
いくつかのの実施態様では、トリガ回路204は、ロータリエンコーダから受け取ったパルスをフィルタリングするように構成される。フィルタリングは、スプリアスパルスのカウントを回避できる(例えば、実際には、モータ208は、ときおり回転方向の短い逆転をもたらす不安定なモータ運動により追加のスプリアスパルスを発振する場合がある、またはパルスに存在する電気ノイズが1つ以上の追加のパルスのように見える場合がある)。1つ以上の実施形態では、トリガ回路は、前のパルスの後にあまりにもすばやく到着するパルスを無視する。
【0033】
1つ以上の実施形態では、トリガ回路204は、コントローラ202にトリガ信号を送信し、これが撮像装置(複数可)110をトリガする場合があり、例えば照明システム108の1つ以上の照明器のストロボを同期させるために等、光制御回路206にトリガ情報も提供する場合がある。
【0034】
1つ以上の実施形態では、トリガ回路204は、例えば汎用プロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、離散回路、またはその組み合わせを組み込んだデバイス等のコンピューティングデバイスを含む、または該コンピューティングデバイスによって実装される。いくつかの実施態様では、トリガ回路204は、攪拌器102またはコントローラ202の構成要素である場合がある。
【0035】
光制御回路206は、照明システム108を制御する。照明システム108は、スピンドル106及び容器212の回りに配置される1つ以上の照明器を含む場合がある。照明システム108は、画像取得中に容器212を照明できる。照明システム108は、LED、レーザー、蛍光電球、白熱電球、フラッシュランプ、または任意の他の適切な照明器、または適切な照明器の組み合わせを含む場合がある。照明システムの照明器は、広域光または特定の波長バンドの中の光を生成するように構成できる。例えば、照明システム108は、約630nm(例えば、赤色光)を中心とする光を生成できる。いくつかの実施態様では、照明システム108は、紫外線または赤外光を生成する。照明システム108の照明器は、容器212に対して異なる位置及び角度で配置される場合がある。
【0036】
1つ以上の実施形態では、光制御回路206は、例えば汎用プロセッサ、マイクロコントローラ、FPGA、ASIC、離散回路、またはその組み合わせを組み込んだデバイス等のコンピューティングデバイスを含む、または該コンピューティングデバイスによって実装される。いくつかの実施態様では、光制御回路206は、攪拌器102またはコントローラ202の構成要素である場合がある。
【0037】
いくつかの実施態様では、照明システム108を制御することは、照明システム108の照明器によって生成される光の強度を設定することを含む場合がある。光制御回路206は、照明システム108のどの照明器がアクティブであるのか、及びどの種類の点灯モードがアクティブであるのか(例えば、バックライト、リアアングル照明、赤外線)を制御できる。いくつかの実施態様では、光制御回路206は、撮像装置110が画像を取得するときに発生するよう合わせられた光ストロボを起動するためにトリガ回路204と同期する場合がある。
【0038】
図3は、本開示の一実施形態に係る検査システム(例えば、図1または図2の検査システム100)内の流体中の粒子を識別するための一例の方法300の図を示す。方法300は、攪拌プロファイルの第1の攪拌期間中に容器(例えば、容器212)に1つまたは複数の第1の運動を適用することを含む(ブロック305)。方法は、さらに、撹拌プロファイルの第2の撹拌期間を開始することを含み(ブロック310)、第2の撹拌期間は、容器に適用される1つまたは複数の第2の運動を含んでよい。第2の攪拌期間は第1の攪拌期間の直後に続いてよい、または間に追加の撹拌期間があってもよい。第2の撹拌期間中、n個の画像のシーケンスが取得され、n個の画像のそれぞれは、容器が(例えば、n回転が連続回転である必要はない、n回の回転のそれぞれでの同じ角度位置で)特定の位置及び向きに達するときに取得され、nは1以上の整数である。n個の画像のシーケンスの取得は、例えばインデックス値iを1に等しく設定することによって開始される(ブロック315)。n個の画像のシーケンスのうちの第1の画像が(例えば、撮像装置110によって)取得される(ブロック320)。n個の画像のシーケンスの全体が取得されたかどうか、判断が下される(ブロック325)。取得されていない場合、インデックス値iはインクリメントされ(ブロック330)、n個の画像のシーケンスのうちの次の画像が取得される(ブロック320)。n個の画像のシーケンス全体が取得された場合(ブロック325)、n個の画像は、次いで背景画像を生成するために使用されてよい(ブロック335)。例えば、背景画像は、n個の画像のシーケンスのうちの2つ以上の共通の特徴を識別することによって生成されてよい。背景画像は共通の特徴を含む。背景画像は、次いでn個の画像のシーケンスから結果として得られる画像を作成するために使用されてよい(ブロック340)。例えば、背景画像は、対応する1つ以上の結果として得られる画像を作成するためにn個の画像のシーケンスのうちの1つ以上のそれぞれから減算されてよく、背景画像の共通の特徴は、結果として得られる画像から削減または排除される。例えば、最小強度投影、最大強度投影、または他の技法等、(減算以外の)結果として得られる画像を作成するための他の技術を使用できる。1つ以上の結果として得られる画像から粒子が検出されてよい(ブロック345)(例えば、図5の例を参照すること)。2つ以上の結果として得られる画像から粒子は追跡されてよい。
【0039】
容器は、流体を含むように構成された任意の種類の容器である場合がある。いくつかの実施態様では、容器の中の流体を撮像装置(例えば、撮像装置110)によって可視化できるように、容器の壁は透明である。例えば、容器は、注射器、バイアル、ビーカー、または他の容器である場合がある。いくつかの実施態様では、容器内の流体とともに空隙が存在する。空隙は、容器が回転するにつれ、流体のメニスカスに渦を生じさせる場合があり、これが、回転停止後、流体の連続運動を容易にする。他の実施態様では、容器内に空隙は存在せず、容器が回転するにつれて渦は形成されず、画像を取得できる前に、容器が回転を停止した直後に流体は回転を停止してよい(したがって粒子は移動を停止する)。同様に、きわめて高い粘性の流体の場合、容器の内壁に対する流体抗力が、画像を取得できる前に、容器が回転を停止した直後に流体に回転を停止させる(したがって、粒子に移動を停止させる)場合がある。係る状況のために、本開示のシステム及び技術は、流体及び粒子の運動が維持され、画像が取得される攪拌期間を含む攪拌プロファイルを提供する。例えば、第1の撹拌期間は、容器の内部から粒子を取り除くために、例えば回転、振蕩、または逆転(複数可)等の(連続したまたは同時の)1つ以上の激しい運動を含んでよく、流体の運動が、粒子を動かし続け、撮像のために利用可能に保つために制御される第1の攪拌期間よりも激しくない第2の攪拌期間が後に続く。
【0040】
粒子を取り除くために激しい攪拌期間が攪拌プロファイルに含まれるとき、激しい攪拌は、容器を移動させる攪拌器(例えば、攪拌器102)の運動により引き起こされる場合もあれば、容器内の流体に音響エネルギーまたは超音波エネルギーを印加することによって引き起こされる場合もある。
【0041】
図4は(図1及び図2を参照して)、本開示の一実施形態に係る攪拌プロファイルの適用中の異なる時点での容器212を示す。容器212は、図4で便宜上注射器として示されているが、概念が同様に他の容器にも当てはまることを理解されたい。
【0042】
図4では、攪拌器102(図1)は、時点tと時点tとの間の第1の攪拌期間に容器212を1回以上逆転することができる(例えば、容器212を、時点tでのニードル端部が下の位置、時点tでのニードル端部が上の位置、及び時点tと時点tとの間の交差する矢印により示されるようにすばやく反転させる)。容器212を反転させることは、容器の壁及びニードルノズルからの粒子を取り除くことができる。容器212が反転する回数または持続時間は、特定の容器212(例えば、容器212の種類、形状、または材料に従って)、容器212内の流体の特性(例えば、粘性、分子量、予想される粒子数、密度、または他の特性)、容器212が流体で充填されてからの時間量、容器212内の空隙の大きさもしくは空隙の欠如、またはその組み合わせに従って決定されてよい。(時点tと時点tとの間の)第1の攪拌期間中、容器212は、容器212が反転すると、スピンドル106によって第1の回転速度で任意選択で回転される。例えば、スピンドル106は、ロボットシステム104がスピンドル106(及び容器212)を反転させる間に容器212を回転させてよい。
【0043】
図4に示す実施形態では、反転は時点tで停止し、時点tと時点tとの間には(第2の攪拌期間中の)休止期間がある。時点tで、流体及び粒子を運動させるために容器212が第2の回転速度で回転される攪拌プロファイルの第3の攪拌期間が開始する。図4に示す実施形態では、容器212は空隙を含み、回転が流体中に渦を現わせる。時点tで、回転は中断され、容器212内の流体は、時点tと時点tとの間の第4の攪拌期間(休止期間)中、しばらく回転し続ける。画像は、第4の撹拌期間(休止期間)中に撮像装置(複数可)110によって静止容器から取得されてよく、これにより画像のシーケンスの各画像は、流体が回転中であり、容器が静止している間に取得され、(容器の動きとの)ビデオ同期は必要とされない。時点tで、流体が容器212内で依然として回転している間、または流体が回転を停止した後、容器212が第3の回転速度で回転される攪拌プロファイルの第5の攪拌期間が開始する。第3の回転速度は、第2の回転速度または第1の回転速度よりも遅いまたは速い場合があり、第2の回転速度は、第1の回転速度よりも遅いまたは速い場合がある。
【0044】
上述したように、複数の撮像装置(例えば、撮像装置110)は、容器の回りの異なる位置から画像を取得してよい。撮像装置は、容器の回りに均等に分散される場合もあれば、容器の回りに不規則に分散される場合もある。さらに、各撮像装置は、容器の回転の均等に分布した角度で画像を取得する場合もあれば、均等に分布していない角度で画像を取得する場合もある。例えば、画像は、均等に分散された方法で(または任意の他の均等に分散された方法で)容器の10回転度ごとに取得されてよい。別の例として、画像は、10度、15度、50度、及び300度(または不均一に分布した角度の任意の他の組み合わせ)で取得されてよい。
【0045】
図5は、本開示のシステム及び技術の有効性の一例を示す。この例での流体で充填された容器505は注射器である。矩形の輪郭の部分は、粒子がないか分析される容器505の部分510(例えば、撮像装置110が焦点を合わせられた部分510)を表す。
【0046】
n=2個の元の画像515、535のシーケンスは、容器505の部分510から得られる。元の画像535は、元の画像515の取得に続く時点で取得される。元の画像515、535のシーケンスのそれぞれは、容器505の同じ位置及び回転度で取得される。元の画像515、535のそれぞれで、注射器の壁520または注射器の壁520及び他の背景特徴525(例えば、注射器の壁520の汚れ)と関連付けられたアーチファクトが視認される。また、粒子530も、元の画像515、535のシーケンスのそれぞれで視認される。
【0047】
元の画像515、535のシーケンスから、注射器の壁520または注射器の壁520及び背景特徴525と関連付けられたアーチファクトを含む背景画像540が生成される。背景画像540に含まれていないのは、元の画像515、535で異なる位置にあり、したがって共通の背景特徴525ではない粒子530である。
【0048】
背景画像540は、次いで例えば減算、最小強度投影、最大強度投影、または他の技術によって、元の画像515から結果として得られる画像550、及び元の画像535から結果として得られる画像555を生成するために使用される。結果として得られる画像550、555は粒子530を含むが、共通の特徴(注射器の壁520、背景特徴525)は、結果として得られる画像550、555では削減または排除される。したがって、粒子530は、結果として得られる画像550、555のどちらかからカウントまたはサイジングすることができ、粒子530は、結果として得られる画像550、555のシーケンス間で追跡されてよい。さらに、流体の特性と流体の動きを知ることによって、粒子530の特性は、結果として得られる画像550、555のシーケンスから識別できる、その速度及び軌跡に基づいて決定されてよい。
【0049】
n=2個の元の画像(画像515、535)のシーケンス、及び2つの結果として得られる画像(550、555)の対応するシーケンスが、理解を容易にするために図5に関して示され、説明されているが、元の画像シーケンスが2つ以上の元の画像を含む場合があり、結果として得られる画像のシーケンスが2つ以上の結果として得られる画像を含む場合があることを理解されたい。また、背景画像を生成するために元の画像のすべてが使用される必要はなく、結果として得られる画像のシーケンスを生成するために元の画像のすべてが使用される必要はないことにも留意されたい。したがって、元の画像のシーケンスは、結果として得られる画像の対応するシーケンスでの結果として得られる画像よりも多くの元の画像を含む場合がある。
【0050】
図5の結果として得られる画像550、555は、単一の粒子の識別を示す。本開示に説明する技術は、複数の粒子を識別するために使用されてもよいことを理解されたい。さらに、本開示の技術は、容器の回転中に複数回、同じ撮像装置によって画像を取得するために使用され(1回以上の後続の回転中に繰り返され)てよく、これにより単一の撮像装置が、容器の異なる位置のそれぞれについて生成された結果として得られる画像から粒子を識別するために使用できる。さらに、(1つの撮像装置または複数の撮像装置を使用する)容器の異なる位置からの複数の結果として得られる画像は、2回以上粒子をマーキングもしくはカウントするのを回避するために、またはすべての粒子がある確度まで識別もしくはカウントされることを検証するために、粒子が容器の回りを移動するにつれて粒子を追跡するために評価されてよい。
【0051】
本開示のシステム及び技術は、内径6.3ミリメートル(mm)注射器を含んだ多種多様な容器に対して効果的であることが示されている。
【0052】
本開示の実施形態では、注射器のための攪拌プロファイルは、毎分約500回転(rpm)で注射器を回転させながら、(例えば、図4に示すように)注射器が長軸に沿って3回すばやく反転される第1の攪拌期間を含む。この動きは、容器の壁及びニードルノズルから粒子を取り除き、粒子を画像で効果的に取得できるバルク液体の中で粒子が動くことを可能にする。撹拌プロファイルは、さらに、注射器が約800rpmで短時間(例えば、1秒または2秒間)回転する、反転終了後の第2の攪拌期間を含む。撹拌プロファイルは、さらに、注射器が(例えば、約40rpmまたは他の速度で等、よりゆっくりした速度で)回転する第3の攪拌期間を含む。1回転あたりx個の、固定され、均等に離間されたモータ位置に対応して、注射器の完全な回転のたびに整数x個の画像が撮影される。他の整数値も有用であることが判明していたが、x=40がいくつかの注射器にとっては有用な値であることが判明している。
【0053】
静止画像の特徴を適切に無効にするための減算の場合、画像取得は、注射器の回転に対して正確にトリガされる。本開示の実施形態では、マイクロコントローラは、モータのモータ軸の動きの小さな変化を追跡する2つのモータエンコーダ信号を受信する。2つのモータエンコーダ信号はそれぞれ、回転方向と速度、ひいてはモータ軸の相対位置を決定するために使用できるパルス列を含む。したがって、任意の開始位置からの完全な各回転は、360度の回転を表すモータエンコーダ信号内のパルスの数をカウントすることによって識別されてよい。したがって、画像シーケンス内の連続した画像は、間の整数回転で取得できる。パルスが既知の位置から適切に追跡される場合、モータ軸の絶対回転位置も、パルスから決定され得る。
【0054】
例として、2つのモータエンコーダ信号A及びBは、互いに90度位相がずれている場合がある。信号Bが低い論理レベルにある間に信号Aが高い論理レベルになると、モータは第1の方向(例えば、右回り)に回転していると判断することができ、信号Bが高い論理レベルにある間に信号Aが高い論理レベルになると、モータは第1の方向と反対の第2の方向(例えば、左回り)に回転していると判断できる。信号Aもしくは信号Bの論理レベル、信号Aもしくは信号Bのエッジ遷移、または信号A、Bの論理レベルもしくはエッジ遷移の論理的な組み合わせ(例えば、「A及びB」、「AまたはB」、「BではなくA」、「A排他的論理和B」等)は、画像取り込みをトリガするために使用できる。1回転あたり1000位置の軸角度分解能を提供するモータのために、信号Aと信号B両方のエッジ遷移が使用される場合、1回転で4000エッジ遷移となり、0.09度の回転測定分解能を提供する。例えば、注射器が30rpmで回転しており、マイクロ秒(μs)ごとに4000のエンコーダエッジ遷移がモニタされる場合には、回転測定の精度は、0.00018度(回転速度=30rpm=180度/秒=0.00018度/μs)である。直径1センチメートルの注射器の場合、1回転あたりの回転精度のこの量は、注射器の外周での0.016μmの変位に相当し、これは、粒子がないかモニタするために使用される撮像システムの光学的分解能(例えば、評価される1つの撮像システムで1ピクセルあたり約21.5μm)をはるかに下回る場合がある。したがって、画像取得は、粒子の存在、大きさ、及び分布を評価するのに十分な数の1回転あたりの画像を取得するためにモータエンコーダ信号からトリガされてよい。
【0055】
同期はモータからの信号に基づいているため、本開示の技術は、任意の周期的なモータの動きに適用することができ、定常回転に限定されない。例えば、攪拌プロファイルは、容器の壁から容器の中心に伝搬する振動剪断流を生成することができる。
【0056】
撮像中に容器をゆっくりと回転させることは、レンズ効果に関連する課題を軽減するのに役立つ場合がある。レンズ効果は、円柱状の容器内の流体本体の湾曲が、湾曲を通過する光の屈折を引き起こすときに発生する場合がある。レンズ効果は、容器の後部寄りに位置する粒子の拡大を引き起こす場合がある。さらに、直交方向で見られるとき、レンズ効果による屈折が、容器の後部に向かってブラインドスポットを生じさせる場合があり、これは、制限された流体の動きがブラインドスポットの中から粒子を動かすことができない場合に、特にきわめて粘性の製品に当てはまる場合がある。本開示のシステム及び技術は、粒子が最終的に検出領域を通過するように粒子を移動させておくことによってレンズ効果に関連する課題を軽減する。記録ウィンドウは、粒子がブラインドスポットの中から検出領域の中に通過するように十分に長く設定できる。
【0057】
本開示の実施形態のシステム及び技術は、さらに、非円筒形の容器、及び容器の長軸の回りで非対称である容器、または容器の長さに沿って変化する断面を有する容器で粒子の検出を提供する。
【0058】
本開示の実施形態の上記の例によって分かるように、本明細書に説明する技術は、粒子をカウントする、サイジングする、追跡する、または特徴付けるために使用されてよい。いくつかの実施形態では、係る能力は、例えば粒子の量または大きさがガイドラインに準拠していることを検証するために、意図されていない粒子を検出するために使用されてよい。他の実施形態では、係る能力は、例えば流体にとって本質的または固有である粒子等、意図された粒子を検出するために使用されてよい。したがって、例えば、粒子の検出は、製品の販売前の試験または製品を特徴付けるための試験のために使用されることもあれば、例えば粒子の成長、収縮、劣化、または分解等、経時的な製品の変化を識別するために異なる時間に製品を評価するために使用される場合もある。
【0059】
図6は、本開示の一実施形態に係るコントローラ202の一例を示す。コントローラ202は、プロセッサ610と、メモリ620と、入出力インタフェース630と、通信インタフェース640とを含む。バス650は、コントローラ202の構成要素のうちの2つ以上の間で通信経路を提供する。示されている構成要素は、実例として提供されており、限定的ではない。コントローラ202は、追加のもしくはより少ない構成要素、または複数の同一の構成要素を有してよい。
【0060】
プロセッサ610は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、及び/またはFPGAのうちの1つ以上を、関連するロジックとともに表す。
【0061】
メモリ620は、情報を記憶するための揮発性メモリと不揮発性メモリの一方または両方を表す。メモリの例は、例えばEPROM、EEPROM、RAM、及びフラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイス、内蔵ハードドライブ、リムーバブルハードドライブ、光磁気、CD、DVD、及びブルーレイディスク等のディスク、メモリスティック等を含む。
【0062】
本開示の撮像システムの部分は、プロセッサ610によって実行される、コントローラ202のメモリ620内のコンピュータ可読命令として実装されてよい。
【0063】
入出力インタフェース630は、ともにコントローラ202の内部構成要素から外部構成要素へのインタフェースを提供する電気構成要素及び任意選択のコードを表す。例は、関連プログラミングを有するドライバ集積回路を含む。
【0064】
通信インタフェース640は、ともにコントローラ202の内部構成要素から外部ネットワークへのインタフェースを提供する電気構成要素及び任意選択のコードを表す。
【0065】
バス650は、コントローラ202の中の構成要素間の1つ以上のインタフェースを表す。例えば、バス650は、プロセッサ610とコントローラ202の複数の他の構成要素との間の共有接続だけではなく、プロセッサ610とメモリ620との間の専用接続も含んでよい。
【0066】
本開示の一実施形態は、種々のコンピュータ実装操作を実行するためのコンピュータコードをその上に有する非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に関する。用語「コンピュータ可読記憶媒体」は、本明細書に説明する操作、方法論、及び技術を実行するための一連の命令またはコンピュータコードを記憶または符号化できる任意の媒体を含むために本明細書で使用される。媒体及びコンピュータコードは、開示の実施形態の目的のために特別に設計及び構築されたものである場合もあれば、それらは、コンピュータソフトウェア技術の当業者に周知かつ利用可能な種類である場合もある。コンピュータ可読記憶媒体の例は、例えばハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープ等の磁気媒体、例えばCD−ROM及びホログラフィックデバイス等の光媒体、例えば光ディスク等の光磁気媒体、ならびに例えばASIC、プログラマブルロジックデバイス(「PLD」)、及びROMデバイス及びRAMデバイス等のプログラムコードを記憶し、実行するように特別に構成されるハードウェアデバイスを含むが、これに限定されるものではない。
【0067】
コンピュータコードの例は、例えばコンパイラによって生成される等、マシンコード、及びインタプリタまたはコンパイラを使用し、コンピュータによって実行されるより高いレベルのコードを含んだファイルを含む。例えば、本開示の実施形態は、Java、C++、または他のオブジェクト指向プログラミング言語及び開発ツールを使用し、実装されてよい。コンピュータコードの追加の例は、暗号化コード及び圧縮コードを含む。さらに、本開示の実施形態は、リモートコンピュータ(例えば、サーバコンピュータ)から要求側コンピュータ(例えば、クライアントコンピュータまたは異なるサーバコンピュータ)に伝送路を介して転送されてよいコンピュータプログラム製品としてダウンロードされてよい。開示の別の実施形態は、機械実行可能ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、配線で接続された回路で実装されてよい。
【0068】
本明細書で使用する場合、単数形の用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含んでよい。
【0069】
本明細書で使用する場合、例えば「上方に(above)」、「下方に(below)」、「上に(up)」、「左(left)」、「右(right)」、「下に(down)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「垂直の(vertical)」、「水平の(horizontal)」、「側面の(side)」、「より高い(higher)」、「より低い(lower)」、「上部の(upper)」、「上に(over)」、「下に(under)」、「内側の(inner)」、「内部(interior)」、「外側の(outer)」、「外部(exterior)」、「前面(front)」、「背面(back)」、「上方に(upwardly)」、「下部の(lower)」、「下方に(downwardly)」、「垂直の(vertical)」、「垂直に(vertically)」、「側部の(lateral)」、「側部に(laterally)」等の相対的な用語は、互いに対する一組の構成要素の向きを指す。この向きは、図面に従っているが、製造時または使用時には必要とされない。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「接続する(connect)」、「接続された(connected)」、及び「接続(connection)」は、操作上の結合または連結を指す。接続された構成要素は、例えば構成要素の別のセットを通じて、互いに直接的にまたは間接的に相互に結合できる。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「約(approximately)」、「実質的に(substantially)」、「相当な(substantial)」、及び「約(about)」は、小さな変動を記述し、説明するために使用される。事象または状況と合わせて使用するとき、該用語は、事象または状況が近い近似値で発生する例だけではなく、事象または状況が正確に発生する例を指す場合もある。例えば、数値と合わせて使用するとき、該用語は、例えば±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下等のその数値の±10%以下の変動範囲を指す場合がある。例えば、値の差が、±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下等の値の平均の±10%以下である場合、2つの数値は「実質的に」同じであると見なすことができる。
【0072】
さらに、量、比率、及び他の数値は、範囲形式で本明細書に提示されることがある。係る範囲形式が便宜上、及び簡略に使用され、範囲の限定として明示的に指定された数値を含むが、あたかも各数値及び部分的な範囲が明示的に指定されるかのように、その範囲内に包含されたすべての個々の数値または部分的な範囲を含むと柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。
【0073】
本開示は、その特定の実施形態を参照して説明及び図示されているが、これらの説明及び図は、本開示を限定するものではない。種々の変更がなされ得、同等物が、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく置換され得ることが、当業者により理解されるべきである。図は、必ずしも原寸に比例して縮尺に描画されない場合がある。製造工程及び公差のため、本開示の巧妙な表現と実際の装置との間には違いがある場合がある。具体的に示していない本開示の他の実施形態がある場合がある。明細書及び図面は、限定的ではなく例示的と見なされるべきである。修正は、特定の状況、材料、物質の組成、技術、またはプロセスを、本開示の目的、精神及び範囲に適合させるために加えられてよい。すべての係る修正は、本明細書に添付される特許請求の範囲内となるように意図されている。本明細書に開示される技術は、特定の順序で実行される特定の操作に関して説明されているが、これらの操作が、本開示の教示から逸脱することなく同等の技術を形成するために組み合わされてよい、細分化されてよい、または再順序付けされてよいことが理解される。したがって、本明細書において明確に示されない限り、操作の順序及びグループ化は本開示の限定ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6