特許第6972114号(P6972114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972114発信電力を制御する方法、移動局及び基地局
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972114
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】発信電力を制御する方法、移動局及び基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/06 20090101AFI20211111BHJP
   H04W 52/24 20090101ALI20211111BHJP
【FI】
   H04W52/06
   H04W52/24
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-510360(P2019-510360)
(86)(22)【出願日】2017年8月16日
(65)【公表番号】特表2019-528630(P2019-528630A)
(43)【公表日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】CN2017097630
(87)【国際公開番号】WO2018033090
(87)【国際公開日】20180222
【審査請求日】2020年8月13日
(31)【優先権主張番号】201610697169.6
(32)【優先日】2016年8月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100158528
【弁理士】
【氏名又は名称】守屋 芳隆
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】チン シャオハン
(72)【発明者】
【氏名】リー アンシン
(72)【発明者】
【氏名】ムー チン
(72)【発明者】
【氏名】リュー リュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ホイリン
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
【審査官】 石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−104133(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/029729(WO,A1)
【文献】 LG Electronics,NoMA scheme based on NCMA [online],3GPP TSG-RAN WG1#86 R1-166871,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_86/Docs/R1-166871.zip>,2016年08月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信電力を制御する方式に関する情報である電力制御パターンを取得するパターン取得部と、
前記電力制御パターンに基づいて、移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定する基準特定部と、
前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定する発信電力特定部と、
を含
前記パターン取得部は、移動局の発信電力のオフセットに関するパターン情報である発信電力オフセットパターンを前記電力制御パターンとして取得し、
前記パターン取得部は、
パスロスによる共通基準閾値を取得する受信モジュールと、
前記共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから、発信電力オフセットのセットを電力制御パターンとして選択する選択モジュールと、を含み、
各発信電力オフセットのセットには、少なくとも二つの発信電力オフセット値が含まれている、
移動局。
【請求項2】
前記移動局は、電力制御グループに属し、
前記電力制御グループ内における移動局は、同一の電力制御パターンに対応し、
前記パターン取得部は、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得する、
請求項1に記載の移動局。
【請求項3】
前記パターン取得部は、予め規定された各電力制御グループと各電力制御パターンとの対応関係を特定する予め規定モジュールと、
前記移動局の参照信号受信電力に基づいて、前記移動局の属する電力制御グループを特定するグループ特定モジュールと、
前記対応関係に基づいて、前記移動局の属する電力制御グループに対応する電力制御パターンを特定するパターン特定モジュールと、
を含む、請求項2に記載の移動局。
【請求項4】
前記パターン取得部によって取得された電力制御パターンには、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターが含まれており、
前記基準特定部は、移動局のパスロスがゼロである時の目標受信信号レベルと、パスロスファクターとに基づいて、基準発信電力を計算する、
請求項2に記載の移動局。
【請求項5】
前記パターン取得部は、複数の発信電力セットを予め規定する予め規定モジュールと、
前記複数の発信電力セットから、前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを前記電力制御パターンとして選択するセット選択モジュールと、を含み、
選択された発信電力セットには、少なくとも一つの発信電力値が含まれており、
前記基準特定部は、選択された発信電力セットにおける各発信電力値を、前記移動局の基準電力制御パラメータとして特定する、
請求項2に記載の移動局。
【請求項6】
前記予め規定モジュールは、異なる数の発信電力値をそれぞれ有する複数の発信電力セットを予め規定し、
前記セット選択モジュールは、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局から遠く離れているとき、少ない発信電力値を有する発信電力セットを選択し、
前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局の近くにあるとき、多くの発信電力値を有する発信電力セットを選択する、
請求項5に記載の移動局。
【請求項7】
前記基準特定部は、選択された発信電力オフセットのセットにおける発信電力オフセット値の数に基づいて、その中の各発信電力オフセット値にアクセスするアクセス確率を計算し、
前記アクセス確率に基づいて、選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択することにより、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定する、
請求項1に記載の移動局。
【請求項8】
前記基準特定部は、基地局から受信された下りリンク制御情報に基づいて、選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択する、
請求項1に記載の移動局。
【請求項9】
前記発信電力特定部は、前記移動局の初期発信電力と、選択された発信電力オフセット値とに基づいて、前記移動局の発信電力を計算する、
請求項7又は請求項8に記載の移動局。
【請求項10】
前記移動局は、電力制御グループに属し、
前記電力制御グループ内における各移動局は、同一の電力制御パターンに対応し、
前記パターン取得部は、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得する、
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の移動局。
【請求項11】
カバレッジ内における複数の移動局を異なる電力制御グループに分ける基地局であって、
前記移動局の属する電力制御グループを判断するグループ判断部と、
前記電力制御グループ用の電力制御パターンを特定するパターン特定部と、
前記電力制御グループ用の基準電力制御パラメータを特定する基準特定部と、
前記移動局が基準電力制御パラメータに基づいて、電力信号を発信することを指示する制御命令を、前記移動局に送信する送信部と、
を含
前記パターン特定部は、移動局がパスロスによる共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから発信電力オフセットのセットを電力制御パターンとして選択するように、パスロスによる前記共通基準閾値を特定し、
各発信電力オフセットのセットには、少なくとも二つの発信電力オフセット値が含まれている、
基地局。
【請求項12】
前記パターン特定部は、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを取得するパターンパラメータ取得モジュールと、
移動局のパスロスを特定するパスロス特定モジュールと、を含み、
前記基準特定部は、前記目標受信信号レベル、パスロスファクター、及びパスロスに基づいて、基準発信電力を計算する、
請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
パスロス特定モジュールは、移動局の過去上り伝送データが存在しない場合に、前記移動局の属する電力制御グループにおける他の移動局の過去上り伝送データに基づいて移動局のパスロスを計算し、
移動局の過去上り伝送データが存在する場合に、前記移動局の過去上り伝送データに基づいて、そのパスロスを計算する、
請求項12に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術分野に関する。具体的には、発信電力を制御する方法、移動局及び基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の急速な発展に伴い、様々な技術を同時に又は部分的にサポートできる通信システムは、グローバル移動体通信システム(GSM)(登録商標)、ロングタームエボリューション(LTE)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)(登録商標)、時分割同期符号分割多元接続(TD−SCDMA)及び符号分割多元接続(CDMA)を含むが、これらに限定されない。これらの通信システムを用いて、様々なユーザ端末が音声又はデータの通信を行うことができる。前記ユーザ端末は、携帯電話、タブレットなどであっても良い。又、モノのインターネットの発展によって、機器タイプ通信に対する需要も段々増加している。それに対応して、家電製品、医療装置、モニタリング装置、スマートメーターなどのユーザ装置は、様々な通信システムを介してデータ送信を行うこともある。従って、大量のユーザ装置が、通信システムの基地局にアクセスする。そのため、多くの通信装置製造業者は、第5世代移動通信に関する技術を相次いで提案している。
【0003】
移動通信システムに関するアクセス技術は、非直交多元接続に係る。ユーザが非直交多元接続(Non−orthogonal multiple access:NOMA)技術を使用する通信システムには、上りリンクデータを伝送するときに異なる移動局のデータを同じサブバンドに多重して送信するように、発信電力によって複数の移動局を区別することを提案し、無線基地局が同時にスケジューリングできる移動局の数を増やす。しかしながら、基地局側が受信電力によって、同時に同じ周波数でアクセスしている複数のユーザ装置を区別するために、移動局の発信電力をどのように特定するかについては、まだ具体的な解決方式がない。もし電力制御が使用されなければ(例えば、全てのユーザが最大発信電力で信号を送信する場合)、NOMAアクセス技術を使用する隣接のセルの間でひどい干渉が発生することになる。既存のLTEシステムによって提供されるオープンループ電力制御を直接に使用すれば、基地局側で受信された複数のユーザ装置の発信電力の間には十分な差分がないため、基地局側が電力を利用してユーザを区別することが難しくなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施例は、ユーザ装置が適切な発信電力で基地局と通信することで、基地局側で簡単なデバイスを使用して異なるアクセスユーザを区別できるという技術目的を実現するために、非直交多元接続の分野に用いる発信電力を制御する方法、移動局及び基地局を提供する。
【0005】
本発明の第1の側面の実施例は、移動局において発信電力を制御する方法であって、発信電力制御の方式に関する情報である電力制御パターンを取得するステップと、前記電力制御パターンに基づいて、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定するステップと、前記基準電力制御パラメータを基づいて、前記移動局の発信電力を特定するステップとを含む方法を開示する。
【0006】
第1の側面を結合して、第1の側面のある実施態様において、前記移動局は、電力制御グループに属し、前記電力制御グループ内における移動局は、同一の電力制御パターンに対応し、前記電力制御パターンを取得するステップは、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップを含む。
【0007】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップは、予め規定された各電力制御グループと各電力制御パターンとの対応関係を特定するステップと、前記移動局の属する電力制御グループを特定するステップと、前記対応関係に基づいて、前記移動局の属する電力制御グループに対応する電力制御パターンを特定するステップとを含む。
【0008】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップは、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを電力制御パターンとして取得するステップを含み、前記電力制御パターンに基づいて、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定するステップは、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターに基づいて、基準発信電力を計算するステップを含む。
【0009】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップは、複数の発信電力セットを予め規定するステップと、前記複数の発信電力セットから、前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを前記電力制御パターンとして選択するステップとを含み、選択された発信電力セットには、少なくとも一つの発信電力値が含まれており、前記電力制御パターンに基づいて、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定するステップは、選択された発信電力セットにおける発信電力値を前記移動局の基準電力制御パラメータとして特定するステップを含む。
【0010】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記複数の発信電力セットを予め規定するステップは、異なる数の発信電力値をそれぞれ有する複数の発信電力セットを予め規定するステップを含み、前記複数の発信電力セットから、前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを選択するステップは、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局から遠く離れているとき、少ない発信電力値を有する発信電力セットを選択し、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局の近くにあるとき、多くの発信電力値を有する発信電力セットを選択するステップを含む。
【0011】
第1の側面を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記電力制御パターンを取得するステップは、移動局の発信電力のオフセットに関するパターン情報である発信電力オフセットパターンを前記電力制御パターンとして取得するステップを含む。
【0012】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記発信電力オフセットパターンを前記電力制御パターンとして取得するステップは、共通基準閾値を取得するステップと、前記共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから発信電力オフセットのセットを電力制御パターンとして選択するステップとを含み、各発信電力オフセットのセットには、少なくとも二つの発信電力オフセット値が含まれる。
【0013】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記電力制御パターンに基づいて、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定するステップは、選択された発信電力オフセットのセットにおける発信電力オフセット値の数に基づいて、その内の各発信電力オフセット値にアクセスするアクセス確率を計算するステップと、前記アクセス確率に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択するステップとを含む。
【0014】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定するステップは、前記移動局の初期発信電力と、選択された発信電力オフセット値とに基づいて、前記移動局の発信電力を計算するステップを含む。
【0015】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記移動局は電力制御グループに属し、前記電力制御グループ内における各移動局は同一の電力制御パターンに対応し、前記電力制御パターンを取得するステップは、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップを含む。
【0016】
第1の側面とその上記実施態様を結合して、第1の側面の他の実施態様において、前記移動局は電力制御グループに属し、前記電力制御グループ内における各移動局は同一の電力制御パターンに対応し、前記電力制御パターンを取得するステップは、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップを含む。
【0017】
本発明の第2の側面の実施例は、カバレッジ内における複数の移動局を異なる電力制御グループに分ける基地局において、移動局の発信電力を制御する方法であって、前記移動局の属する電力制御グループを判断するステップと、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを特定するステップと、前記電力制御グループ用の基準電力制御パラメータを特定するステップと、前記移動局が基準電力制御パラメータに基づいて、電力信号を発信することを指示する制御命令を前記移動局に送信するステップとを含む方法を提供する。
【0018】
第2の側面を結合して、第2の側面のある実施態様において、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを特定するステップは、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを特定するステップを含み、前記電力制御グループ用の基準電力制御パラメータを特定するステップは、移動局のパスロスを特定するステップと、前記目標受信信号レベル、パスロスファクター、及びパスロスに基づいて、基準発信電力を計算するステップとを含む。
【0019】
第2の側面とその上記実施態様を結合して、第2の側面の他の実施態様において、前記移動局のパスロスを特定するステップは、移動局の過去上り伝送データが存在しない場合に、前記移動局の属する電力制御グループにおける他の移動局の過去上り伝送データに基づいて、移動局のパスロスを計算し、移動局の過去上り伝送データが存在する場合に、前記移動局の過去上り伝送データに基づいて、そのパスロスを計算するステップを含む。
【0020】
本発明の第3の側面の実施例は、発信電力を制御する方式に関する情報である電力制御パターンを取得するパターン取得部と、前記電力制御パターンに基づいて、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定する基準特定部と、前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定する発信電力特定部とを含む移動局を提供する。
【0021】
第3の側面を結合して、第3の側面のある実施態様において、前記移動局は、電力制御グループに属し、前記電力制御グループ内における移動局は、同一の電力制御パターンに対応し、前記パターン取得部は、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得する。
【0022】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記パターン取得部は、予め規定された各電力制御グループと各電力制御パターンとの対応関係を特定する予め規定モジュールと、前記移動局の参照信号受信電力に基づいて、前記移動局の属する電力制御グループを特定するグループ特定モジュールと、前記対応関係に基づいて、前記移動局の属する電力制御グループに対応する電力制御パターンを特定するパターン特定モジュールとを含む。
【0023】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記パターン取得部によって取得された電力制御パターンは、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを含み、前記基準特定部は、移動局のパスロスがゼロである時の目標受信信号レベルとパスロスファクターとに基づいて、基準発信電力を計算する。
【0024】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記パターン取得部は、複数の発信電力セットを予め規定する予め規定モジュールと、前記複数の発信電力セットから前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを前記電力制御パターンとして選択するセット選択モジュールとを含み、選択された発信電力セットには、少なくとも一つの発信電力値が含まれており、前記基準特定部は、選択された発信電力セットにおける各発信電力値を、前記移動局の基準電力制御パラメータとして特定する。
【0025】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記予め規定モジュールは、異なる数の発信電力値をそれぞれ有する複数の発信電力セットを予め規定し、前記セット選択モジュールは、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局から遠く離れているとき、多くの発信電力値を有する発信電力セットを選択し、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局の近くにあるとき、少ない発信電力値を有する発信電力セットを選択する。
【0026】
第3の側面を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記パターン取得部は、移動局の発信電力のオフセットに関するパターン情報である発信電力オフセットパターンを前記電力制御パターンとして取得する。
【0027】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記パターン取得部は、パスロスによる共通基準閾値を取得する受信モジュールと、前記共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから、発信電力オフセットのセットを電力制御パターンとして選択する選択モジュールとを含み、各発信電力オフセットのセットには、少なくとも二つの発信電力オフセット値が含まれる。
【0028】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記基準特定部は、次の動作によって、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定する。即ち、選択された発信電力オフセットのセットにおける発信電力オフセット値の数に基づいて、その中の各発信電力オフセット値にアクセスするアクセス確率を計算し、前記アクセス確率に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択する。
【0029】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記基準特定部は、基地局から受信された下りリンク制御情報に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択する。
【0030】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記発信電力特定部は、前記移動局の初期発信電力と、選択された発信電力オフセット値とに基づいて、前記移動局の発信電力を計算する。
【0031】
第3の側面とその上記実施態様を結合して、第3の側面の他の実施態様において、前記移動局は、電力制御グループに属し、前記電力制御グループ内における各移動局は、同一の電力制御パターンに対応し、前記パターン取得部は、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを取得する。
【0032】
本発明の第4の側面の実施例は、カバレッジ内における複数の移動局を異なる電力制御グループに分ける基地局であって、前記移動局の属する電力制御グループを判断するグループ判断部と、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを特定するパターン特定部と、前記電力制御グループ用の基準電力制御パラメータを特定する基準特定部と、前記移動局が基準電力制御パラメータに基づいて、電力信号を発信することを指示する制御命令を、前記移動局に送信する送信部とを含む基地局を提供する。
【0033】
第4の側面を結合して、第4の側面のある実施態様において、前記パターン特定部は、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを取得するパターンパラメータ取得モジュールと、移動局のパスロスを特定するパスロス特定モジュールとを含み、前記基準特定部は、前記目標受信信号レベル、パスロスファクター、及びパスロスに基づいて、基準発信電力を計算する。
【0034】
第4の側面とその上記実施態様を結合して、第4の側面の他の実施態様において、パスロス特定モジュールは、移動局の過去上り伝送データが存在しない場合に、前記移動局の属する電力制御グループにおける他の移動局の過去上り伝送データに基づいて、移動局のパスロスを計算し、移動局の過去上り伝送データが存在する場合に、前記移動局の過去上り伝送データに基づいて、そのパスロスを計算する。
【発明の効果】
【0035】
本発明の実施例の上り発信電力を制御する方法、移動局及び基地局による技術案では、ユーザが自身の発信電力を特定すること、又は基地局が移動局に各移動局の発信電力を送信することによって、非直交多元接続にある複数のユーザの送信情報の基地局側での受信信号の電力は、顕著な差分を持つことになる。それにより、既存の基地局が異なるアクセスユーザ装置をより易く区別し、基地局が異なるユーザを区別するための構成の複雑さを簡単化する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の実施例の技術案をより明瞭的に説明するために、以下に、実施例又は背景技術を説明するための図面について簡単に紹介する。もちろん、以下に説明される図面は、本発明の幾つかの実施例に過ぎない。当業者は、創造的な仕事をしなくても、これらの図面から他の図面を得られる。
図1A】本発明の実施例を応用するシナリオを概略的に示す図である。
図1B】本発明の実施例を応用するシナリオを概略的に示す図である。
図2】本発明の実施例に係る発信電力を制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図3】実施例1によって提供される発信電力を制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図4】実施例2によって提供される発信電力を制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図5】実施例3によって提供される発信電力を制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図6】実施例4によって提供される発信電力を制御するための方法を概略的に示すフローチャートである。
図7】本発明の実施例に係る移動局を概略的に示す構成ブロック図である。
図8】実施例の移動局を概略的に示す構成ブロック図である。
図9】移動局に含まれるパターン取得部を概略的に示す構成ブロック図1である。
図10】移動局に含まれるパターン取得部を概略的に示す構成ブロック図2である。
図11】本発明の実施例による基地局を概略的に示す構成ブロック図である。
図12】移動局のハードウェア構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、本発明の実施例の図面を参照して、本発明の実施例の技術案について、明確かつ完全に説明する。説明される実施例は、明らかに本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。
【0038】
スマート端末、タブレット、ソーシャルネットワークの発展に連れて、移動サービスの需要が急増しており、無線データトラフィックとシグナリングは、移動通信ネットワークに、かつてない衝撃を与えている。国際電気通信連合の予測によると、移動体通信ネットワークのデータサービスの容量需要は、2020年までに4G商用ネットワークの千倍に達する。4G技術は、上記発展の需要を満たすことが困難である。又、モノのインターネットの急速な発展に伴い、将来のモバイル通信は、人と人との通信を解決することに加えて、スマートグリッド、スマート交通などに適用する場合に、人とモノとの通信、モノとモノとの通信を解決する必要がある。つまり、将来の移動通信は、ユーザエクスペリエンスを向上させるために、多様な移動サービスとシナリオに適応する必要がある。
【0039】
通信容量を増加させるために、物理レイヤの無線伝送、スペクトルリソースの拡張、及びネットワーク構造の三つの側面に着目して当該課題を解決することが合意されている。本発明の実施例によって提供される技術案は、スペクトルリソースの利用率をより良く向上することにより、益々尽きていく周波数リソースをより効率的に使用して、より高速なデータ情報を伝送できる。
【0040】
本発明の実施例に係る技術案は、非直交多元接続に関する技術に基づくものである。マルチユーザ多重伝送に非直交多元接続を適用することによって、システムスループットを増加し、スペクトルの効率を向上できる。現在は、多くの方式で非直交多元接続NOMAを実現可能であるが、電力領域で非直交多元接続を実現することは、業界が検討している焦点である。電力領域で非直交多元接続(NOMA)を実現することは、複数のユーザが電力領域の多重によって、同じ空間層において時間と周波数リソースを共有することを許容するため、通信システムに同時にアクセスされるユーザの数を向上し、ユーザ毎のために提供される利用可能な帯域幅も増加する。本発明の以下の実施例の技術案も、電力領域で非直交多元接続を実現する技術背景に基づくものである。非直交多元接続技術において電力領域を増加する目的は、各ユーザの異なるパスロスを利用してマルチユーザ多重を実現することである。
【0041】
図1Aは、本発明の実施例を応用するシナリオを概略的に示す図である。図1に示すように、通信システム(例えば、当該通信システムは、第5世代移動通信システムであっても良く、非直交多元接続を利用する他の通信システムであっても良い)における基地局101は、一つの楕円形のセルをカバーしており、七つのユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)が当該セル内の異なる場所に位置する。図1Aでは、ユーザ装置は携帯電話であるが、本発明の以下の実施例に係るユーザ装置は、携帯端末だけを含むことではない。以下の実施例に係るユーザ装置は、例えば、無人機などのデータ収集及び処理機能を具備する任意の物理デバイスであっても良い。又、本発明によって提供される実施例は、一つのセルにアクセスしているユーザ装置の具体的な数を制限しない。又、各ユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)が前記セルに入る時、基地局101の報知情報を受信できる。ユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)は、受信した報知情報に基づいて、前記基地局101の基本状況を把握したり、当該基地局から送信される一つ又は複数のユーザに対する上りや下り電力制御に関する情報(例えば、前記電力制御に関する情報は、本発明の実施例によって提供される電力制御パターン又は電力制御グループに関する情報を含んでも良い)を受信する。そして、これらのユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)は、基地局101にアクセスすることを要求するために、基地局101に初期アクセス信号(本発明の実施例では、初期アクセス電力Pk_initを記録する必要がある)を送信しても良い。基地局101は、前記初期アクセス信号に応答して、ユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)と通信情報をやり取りし、ユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)にリソースを割り当てる。このリソースは、ユーザのアクセス周波数帯、アクセス時間、又はユーザの発信電力(例えば、本発明の以下の実施例4によって提供される、基地局からユーザ装置へ送信される各ユーザ装置の発信電力)などを含んでも良い。それにより、後継の通信を行うために、ユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)が基地局101にアクセスする。図1Aに示すように、七つのユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)と基地局101の距離は、異なることがある。
【0042】
又、図1Aにおいて、七つのユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)は、非直交多元接続技術に基づいて、通信システムの基地局101にアクセスする。当該非直交多元接続技術は、各ユーザの異なるパスロスを利用してマルチユーザ多重を実現する。つまり、基地局101は、複数のユーザから受信した上り信号の電力の差分を利用して、それぞれのユーザ装置を区別できる。本発明の以下の実施例は、基地局とユーザのインタラクション情報に基づいて、各ユーザ装置の発信電力を特定する(つまり、各ユーザ装置の上り送信電力を制御する)ことができる。それにより、基地局側では、受信した電力の差分を利用して、アクセスしている複数のユーザ装置を区別できる。具体的には、本発明の以下に開示される実施例は、先ず、ユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)のそれぞれの発信電力を特定し、後に基地局101は、受信した各ユーザ装置(102、103、104、105、106、107、108)の受信電力に従って、異なるユーザ装置からの各信号を区別する。
【0043】
図1Bは、本発明のいくつかの実施例による非直交多元接続技術を使用する上りリンクの発信電力を特定するための背景図を概略的に示す。図1Bを参照して、この図は、本発明の実施例において、各ユーザの発信電力を特定する時に基づくグルーピング方法(即ち、以下の実施例によって提供される移動局の属する電力制御グループ、具体的には、以下の実施例1や実施例2などを参照しても良い)を概略的に示す。つまり、以下の幾つかの実施例において、特定ユーザの発信電力を特定する時に、先ず、ユーザ装置を幾つかの電力制御グループに分け、基地局101は、各電力制御グループを電力制御パターンの受信対象とし、ユーザ装置は、基地局101から受信した電力制御パターンに基づいて、上りリンクの発信電力を最終的に特定し、あるいは、基地局は、自身で取得した電力制御パターンに基づいて、上りリンクの発信電力を最終的に特定する(図の中の矢印が上りリンクの伝送方向、即ちユーザ装置から基地局へ情報を伝送する方向を示す)。しかしながら、本発明によって提供される全ての実施例は、図1Bに示されたグルーピング方法に基づくわけではなく、以下の幾つかの実施例では、ユーザ装置を予めグルーピングすること、及び電力制御グループを導入することが必要とされず、直接各ユーザ装置が自身の発信電力を特定する(例えば、以下の実施例3など)。
【0044】
又、図1Bに示された三つのグループ(図1Bにおいて点線の円で示されるように、各々点線の円内における複数のユーザ装置が一つの電力制御グループを構成する)は、ユーザ装置と基地局との距離によって分けて得られる複数の電力制御グループであっても良い。つまり、図1Bにおいて、ユーザ装置と基地局との距離によって、当該基地局101にアクセスしている全てのユーザ装置を三つのグループに分ける。しかしながら、本発明の実施例は、グループの具体的な数及びグルーピングの原則と根拠を限定しないことを留意すべきだろう。つまり、シナリオによってユーザ装置を四つ以上のあらゆる数のグループに分けても良く、二つのグループに分けても良く、グルーピングしなくても良い。又、異なる場所に位置するが距離が同じであるユーザ装置を異なるグループに分けても良い。従って、距離は、電力制御グループ分けに対する唯一又は必要な根拠ではない。例えば、図1Bにおいて、七つのユーザ装置は、基地局までの距離によって、三つの電力制御グループに分けられる。本発明の実施例の説明の便宜上、三つの電力制御グループをそれぞれ中央ユーザグループ1(携帯電話103、携帯電話106、携帯電話107及び携帯電話108を含む)、中間ユーザグループ2(携帯電話105と携帯電話104を含む)及びエッジユーザグループ3(デバイス102を含む)と称しても良い。以下には、グループ処理に関する場合の幾つかの実施例において、ここで規定される三つのグループの名称を利用し続ける。
【0045】
図2は、本発明の実施例による発信電力を制御する方法200を概略的に示すフローチャートである。当該発信電力を制御する方法200は、図1に示す各々のユーザ装置(例えば、移動局)に適用しても良い。
【0046】
図2に示すように、発信電力を制御する方法200は、発信電力を制御する方式に関する情報である電力制御パターンを取得するステップ(S210)と、前記電力制御パターンに基づいて、当該移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定するステップ(S220)と、前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定するステップ(S230)とを含む。
【0047】
S210において、前記移動局が電力制御グループに属し、当該電力制御グループ内における移動局が同一の電力制御パターンに対応し、前記電力制御パターンを取得するステップは、当該電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップを含む。この場合に、当該電力制御グループ用の電力制御パターンを取得するステップは、予め規定された各電力制御グループと各電力制御パターンとの対応関係を特定するステップと、移動局の属する電力制御グループを特定するステップと、前記対応関係に基づいて、移動局の属する電力制御グループに対応する電力制御パターンを特定するステップとを含んでも良い。例えば、移動局が基地局にアクセスする時に、基地局によって、移動局の位置情報に基づいて、グループと各グループに対応する電力制御パターンとを特定しても良い。又、移動局は、基地局から上位レイヤシグナリングを受信し、上位レイヤシグナリングから移動局の電力制御パターンを特定しても良い。例えば、基地局は、上位レイヤシグナリング中に、電力制御パターンの番号を提供し、移動局は、上位レイヤ情報を受信且つ解析して、電力制御パターンに対応する番号を取得しても良い。又、基地局101は、電力制御グループ内における移動局に対して、同一の電力制御パターンを送信し、各移動局は、基地局によって送信される電力制御パターンに応答してそれぞれの電力制御パターンを取得しても良い。本発明の実施例は、グループの数及びグルーピングの根拠に対して限定しない。例えば、移動局と基地局との距離によって全ての移動局を、中央ユーザ装置、第1の中間ユーザ装置、第2の中間ユーザ装置及びエッジユーザ装置の四つの電力制御グループに分けても良く、この四つの電力制御グループと基地局との距離は、異なっている(即ち、中央ユーザ装置と基地局との距離は、第1の中間ユーザ装置と基地局との距離より小さく、第1の中間ユーザ装置と基地局との距離は、第2の中間ユーザ装置と基地局との距離より小さく、第2の中間ユーザ装置と基地局との距離は、エッジユーザ装置と基地局との距離より小さい)。
【0048】
又、ステップS210において、前記移動局は、いずれの電力制御グループにも属さなくても良い。この場合に、基地局101は、全てのユーザ装置に対してそれぞれの電力制御パターンを送信し、全てのユーザに対して同一の電力制御パターンを送信してから、各ユーザ装置、つまり、移動局によって、電力制御パターンに基づいて、当該移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定し、移動局の発信電力を最終的に取得する。
【0049】
ステップS220において、前記基準電力制御パラメータは、各移動局が受信した電力制御パターンに基づいて取得する基準発信電力を含んでも良く、移動局が発信電力セットから選択する発信電力であっても良い。又は、選択された発信電力オフセットのセットにおける発信電力オフセット値の数に基づいて、その内の各発信電力オフセット値にアクセスするアクセス確率を計算し、前記アクセス確率に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択する。
【0050】
ステップS230において、前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定するステップは、前記移動局の初期発信電力と、選択された発信電力オフセット値とに基づいて、前記移動局の発信電力を計算するステップを含んでも良い。例えば、初期発信電力は、ユーザ装置が基地局に初期にアクセスする発信電力であっても良い。
【0051】
以下には、図3図4を参照して、グループ(即ち全ての移動局を複数の電力制御グループに分ける)を処理対象とする時に、図2に対応する方法の具体的な実施例を詳細に説明する。
【0052】
(実施例1)
図3は、グループを処理対象とする時に、図2の発信電力を制御する方法の一つの実施例を概略的に示すフローチャートである。ここで、図3に示すS311は、図2に示す電力制御パターンを取得することの例示であり、図3に示すS321は、図2に示す移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定することの例示であり、図3に示すS331は、図2に示す前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定することの例示である。又、S311における目標受信信号レベルとパスロスファクターは、図2に記載される電力制御パターンに対応する。図3を参照して、発信電力を制御する方法は、移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを各電力制御グループ用の電力制御パターンとして取得するステップ(S311)と、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターに基づいて、基準発信電力を計算するステップ(S321)と、この基準発信電力を移動局の実際発信電力とするステップ(S331)とを含んでも良い。又、図3に示す発信電力を制御する方法を実現するために、S311の前に、移動局は、予め規定された各電力制御グループと各電力制御パターンの対応関係を特定するステップと、移動局の属する電力制御グループを特定するステップと、前記対応関係に基づいて、移動局の属する電力制御グループに対応する電力制御パターンを特定するステップとを、更に含んでも良い。その後、基地局は、対応する電力制御グループに対して、電力制御パターンを送信する。その後、電力制御グループにおける移動局は、電力制御パターンを取得する。具体的には、本実施例において、即ち、移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを取得する。
【0053】
S321において、移動局は、以下の数式によって基準発信電力を計算しても良い。
【数1】
ここで、パラメータPは移動局パスロスがゼロになる時の目標受信信号レベルである。αはパスロスファクターであり、このパラメータは、フラクショナル伝送電力制御(FTPC:Fractional transmission power control)方法に基づいて取得するパスロスファクターであっても良い。PMAXは最大発信電力である。PLはi番目のユーザのパスロスであり、このパスロスは、電波が空間中における伝送によるロスであり、電波のマクロな範囲内の空間距離での受信信号レベルの平均値の変化傾向を反映する。Mは、単位帯域幅であり、一つ又は複数のリソースブロックであっても良い。
【0054】
(実施例2)
図4は、グループを処理対象とする時に、図2の発信電力を制御する方法の他の実施例を概略的に示すフローチャートである。ここで、図4に示すS411は、図2に示す電力制御パターンを取得することの例示であり、図4に示すS421は、図2に示す移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定することの例示であり、図4に示すS431は、図2に示す前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定することの例示である。又、図2に示す電力制御パターンは、図4のS421における移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットに対応する。図4に示すように、発信電力を制御する方法は、複数の発信電力セットを予め規定するステップ(S411)と、前記複数の発信電力セットから前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを前記電力制御パターンとして選択し、選択された発信電力セットには、少なくとも一つの発信電力値が含まれるステップ(S421)と、選択された発信電力セットにおける発信電力値(この発信電力値は、直接に移動局の実際発信電力としても良い)を、前記移動局の基準電力制御パラメータとして特定するステップ(S431)とを含む。又、図4に示す発信電力を制御する方法を実現するために、S411の前に、移動局において、予め規定された各電力制御グループと各電力制御パターンの対応関係を特定するステップと、移動局の属する電力制御グループを特定するステップと、前記対応関係に基づいて、移動局の属する電力制御グループに対応する電力制御パターンを特定するステップとを含む。
【0055】
S411において、基地局が複数の発信電力セットPtotalを予め規定しても良い。ここで、前記複数の発信電力セットPtotalは、複数の電力セットを含み、いずれかの電力セットは、Pset_iと示されても良い。即ち、Ptotal={Pset_1,Pset_2,…,Pset_M}。又、発信電力セットPtotalに含まれる電力セットの数Mは、少なくともグループの数に等しい(即ち、発信電力セットの総数量Mは、分けて得られる電力制御グループの総数以上である)。本実施例において、基地局から移動局に送信されるシグナリングを利用することで、電力制御グループに選択される電力セットを選んでも良い。具体的には、基地局は、移動局からなる各電力制御グループに対して、電力セットの番号を送信し、その後、移動局は、シグナリングメッセージを受信した後、それを解析して電力セット番号を取得し、更に、電力セット番号によって移動局の所在する電力制御グループに対応する具体的な電力セットPset_iを取得しても良い。ここで、パラメータiは、1より大きく、M以下である。
【0056】
又、S411において複数の発信電力セットを予め規定するステップは、それぞれ異なる数の発信電力値を有する複数の発信電力セットを予め規定するステップを含んでも良い(図に示されない)。この場合、S421において、前記複数の発信電力セットから前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを選択するステップは、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局から遠く離れているとき、少ない発信電力値を有する発信電力セットを選択し、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局の近くにあるとき、多くの発信電力値を有する発信電力セットを選択するステップを含む。図1Bを参照して、本発明によって提供される一つの具体例を説明する。この例示において、複数の発信電力セットは、第1の電力セット、第2の電力セット及び第3の電力セット、この三つの発信電力セットを含む。ここで、第1の電力セットは、4つの異なる発信電力値を含み、第2の電力セットは、2つの異なる発信電力値を含み、第3の電力セットは、1つの発信電力値を含む。図1Bに示すように、この例示に対応する電力制御グループも三つある。この場合、上記原則によって、図1Bに示す中央ユーザグループ1は、第1の電力セットを選択し(即ち、移動局の所在する電力制御グループが基地局に最も近い時、送信電力値の数が最も大きい第1の電力セットを選択する)、中間ユーザグループ2は、第2の電力セットを選択し、エッジユーザグループ3は、第3の電力セットを選択する(即ち、移動局の所在する電力制御グループが基地局から最も遠い時、送信電力値の数が最も少ない第3の電力セットを選択する)ことが分かる。この例示を使用する主な目的は、多くのアクセスユーザを有する電力制御グループに対して、多くの送信電力値を有する電力セットを割り当て、各移動局の選択に供することである。それにより、受信側で、似ているパスロスを有する一つの電力制御グループのユーザを区別する時の効率と精度を効果的に改善できる。
【0057】
尚、移動局が複数の発信電力セットから自身に対応する電力セットを取得した後に、当該移動局は、選択された電力セットに含まれる複数の発信電力値から一つの値をランダムに選択して、その実際発信電力値とすることができる(図に示されない)。このステップは、図2のS230に示す前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定するステップに対応できる。又、移動局は、選択された電力セットにおける発信電力値の数に基づいて、その内の各発信電力値にアクセスするアクセス確率を計算し、前記アクセス確率に基づいて選択された電力セットから発信電力値を選択しても良い。尚、当該移動局は、基地局から下りリンク制御情報を受信し、前記下りリンク制御情報に基づいて選択された電力セットから発信電力値を選択しても良い。この場合の下りリンク制御情報は、自動再送要求に関する情報を含んでも良い。
【0058】
以下には、図5を参照して、移動局に対してグルーピングしない時に図2に対応する方法の一つの具体的な実施例について詳細に説明する。
【0059】
(実施例3)
この実施例において、図2に係る電力制御パターンを取得することの具体的な実施態様は、発信電力オフセットパターンを前記電力制御パターンとして取得するステップを含んでも良い。前記発信電力オフセットパターンは、移動局の発信電力のオフセットに関するパターン情報である。
【0060】
図5は、グループを処理対象としない時に、図2の発信電力を制御する方法の一つの実施例を概略的に示すフローチャートである。ここで、図5に示すS510は、図2に示す電力制御パターンを取得することの例示であり、図5に示すS520は、図2に示す移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定することの例示であり、図5に示すS530は、図2に示す前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定することの例示である。又、図2に示す電力制御パターンは、図5のS520において、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから選択される発信電力オフセットのセットに対応する。図5に示すように、発信電力を制御する方法は、パスロスによる共通基準閾値を取得するステップ(S510)と、前記共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから電力制御パターンとして発信電力オフセットのセットを選択し、各発信電力オフセットのセットには、二つ以上の発信電力オフセット値が含まれるステップ(S520)と、選択された発信電力オフセットのセットから、一つの発信電力オフセットを基準電力制御パラメータとして選択し、基準電力パラメータに基づいて、移動局の実際発信電力を特定するステップ(S530)と、を含んでも良い。
【0061】
図5に示すS510の共通基準閾値は、パスロスに関する閾値であっても良い。例えば、この共通基準閾値は、複数の移動局の参照信号受信電力RSRPに基づいて得られる平均参照信号受信電力であっても良い。
【0062】
図5に示すS520において、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから発信電力オフセットのセットを選択することは、具体的に、以下のようになる。S510における共通基準閾値が平均参照信号受信電力である時、第1の発信電力オフセットのセットと第2の発信電力オフセットのセットの二つの候補発信電力オフセットのセットから発信電力オフセットのセットを選択するステップは、移動局の参照信号受信電力を計算し、計算して得られるこの移動局の参照信号受信電力を共通基準閾値(即ち、平均参照信号受信電力)と比較して、前者が後者より大きい場合に、当該移動局が第1の発信電力オフセットのセットを選択し、そうでなければ、当該移動局が第2の発信電力オフセットのセットを選択するステップを含んでも良い。又、各候補の発信電力オフセットのセットは、それぞれ複数の発信電力オフセットを含む。
【0063】
図5に示すS530は、S520で選択して得られた発信電力オフセットのセットから一つの発信電力オフセットを基準電力制御パラメータとして選択するステップを含む。ここで、S530で発信電力オフセットを選択する方式は、以下の第1の例示と第2の例示を使用しても良い。しかしながら、以下の二つの例示は、S530を実現する手段を制限するものではなく、ランダムに選択する方法などを使用してS530を実現しても良い。具体的には、移動局は、選択された発信電力オフセットのセットから一つの発信電力オフセットを基準電力制御パラメータとしてランダムに選択する。
【0064】
S530の第1の例示として、S530において前記電力制御パターンに基づいて、当該移動局の基準電力制御パラメータを特定することは、選択された発信電力オフセットのセットにおける発信電力オフセット値の数に基づいて、その内の各発信電力オフセット値にアクセスするアクセス確率を計算し、前記アクセス確率に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択するステップを含んでも良い。
【0065】
上記例示において、アクセス確率を計算する数式は、以下のようになっても良い。
【数2】
ここで、Nは発信電力オフセット値の数であり、Npは所定値である。
【0066】
S530の第2の例示として、S530において前記電力制御パターンに基づいて、当該移動局の基準電力制御パラメータを特定することは、基地局から下りリンク制御情報を受信し、前記下りリンク制御情報に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択するステップを含んでも良い。
【0067】
上記第2の例示の下りリンク制御情報は、自動再送要求に関する情報を含んでも良い。この場合に、自動再送要求HARQが多くフィードバックされる場合は、移動局が発信に失敗したことを意味するため、移動局の発信電力を増加する必要がある。このとき、移動局は、発信電力オフセットのセットから、その発信電力を増加可能な発信電力オフセット値を選択すべきである。一方、自動再送要求HARQのフィードバックが少ない場合は、移動局が発信に成功する確率が高いため、移動局の発信電力を増加する必要がない。この時、移動局は、発信電力オフセットのセットから、その発信電力を保持可能な発信電力オフセット値を選択しても良く、その発信電力を低下させる発信電力オフセット値を選択することを試みても良い。
【0068】
図5に示すS530で、基準電力パラメータに基づいて、移動局の実際発信電力を特定することは、前記移動局の初期発信電力と、選択された発信電力オフセット値とに基づいて、前記移動局の発信電力を計算するステップを含んでも良い。
【0069】
例えば、以下の数式を利用して移動局の発信電力を計算できる。
【数3】
ここで、Pk_initは、ユーザが基地局にアクセスするときの最初の発信電力である。ΔPは、移動局が選択した発信電力オフセット値ΔPである。kは、発信電力オフセットのセットの内の、k番目の発信電力オフセット値である。
【0070】
尚、S530で、基準電力パラメータに基づいて、移動局の実際発信電力を特定するステップは、以下の数式を利用して移動局の発信電力を取得しても良い(図2のS230に対応)。
【数4】
ここで、Pk_refは、基準発信電力である。ΔPは、移動局が選択した発信電力オフセット値ΔPである。
【0071】
上記数式(2)において、発信電力Pk_actualを計算する方法は、上記実施例1や実施例2の技術案、及び実施例3の一部の技術案に従って得られるものである。具体的には、先ず、実施例1や実施例2の全部の技術案を利用して上記数式における基準発信電力Pk_refを特定する。そして、少なくとも一つの電力制御グループでは、実施例3によって提供される発信電力オフセット値を選択する技術案を利用してΔPを選択する。最後に、取得した基準発信電力Pk_ref、発信電力オフセット値、及び上記数式に基づいて、移動局の実際発信電力Pk_actualを特定する。ここで、実施例2を例として、具体的には、以下のステップを含む。先ず、実施例2の全部の技術案を利用し、複数の発信電力セットを予め規定する(図4のS411に対応)。前記複数の発信電力セットから前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを前記電力制御パターンとして選択し、選択された発信電力セットには、少なくとも一つの発信電力値が含まれる(図4のS421に対応)。移動局は、選択された発信電力セットから発信電力値を実際発信電力値として選択し、この実際発信電力値を上記数式のパラメータPk_refの値とする。そして、複数の電力制御グループから、少なくとも一つの電力制御グループを選択し、更に、選択された電力制御グループについては、実施例3の一部の技術案を利用して発信電力オフセット値を選択して得られる。具体的には、ある1つの電力制御グループに対する共通基準閾値を取得し(図5のS510に対応)、前記共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから発信電力オフセットのセットを電力制御パターンとして選択し、各発信電力オフセットのセットには、少なくとも二つの発信電力オフセット値が含まれており(図5のS520に対応)、前記電力制御パターンに基づいて、当該移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定し(図5のS530に対応)、選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択する。更に、選択された発信電力オフセット値を上記数式の中の送信オフセットΔPの値とする。最後に、上記数式(2)に基づいて選択された電力制御グループにおける全ての移動局の実際発信電力Pk_actualを取得する。選択されていない電力制御グループについては、そのグループにおける移動局の実際発信電力は、数式(1)を利用し続けて特定しても良く、又は、実施例1や実施例2で特定された基準参照電力を直接に移動局の実際発信電力としても良い。尚、先ず、実施例3の一部の技術案を利用して電力オフセット値ΔPを選択し、その後、実施例1や実施例2の技術案に基づいて、実際発信電力を上記数式(2)における基準発信電力Pk_refとして取得し、最後に、数式(2)に従って移動局の実際発信電力を取得しても良い。実施例1と実施例3を組み合わせる技術案は、上記実施例2と実施例3を組み合わせる技術を参照すれば良いため、ここでは説明を省略する。
【0072】
本実施例は、上記実施例1や実施例2を実施例3と組み合わせた技術案によって、基地局側は、受信電力に基づいて、多くのアクセスユーザを有する電力制御グループにおける異なるユーザ装置を区別する時の精度と効率を顕著に向上できる。
【0073】
又、実施例3に係る発信電力オフセットパターンは、各電力制御グループの電力制御パターンとしても良く、同じ電力制御パターンを有する電力制御グループに対して、図5に示す発信電力を制御する方法を独立に実施しても良い。以上は、移動局がいかなる電力制御グループにも属さない場合のみを例として具体的な技術案を説明したが、ある1つの電力制御グループに属する移動局に対しても、上記各実施例を参考にして移動局の発信電力(この時、各電力制御グループに対して、それぞれに図5に示す方法を利用すれば良い)を取得できる。実現の詳細は上記各実施例を参考にすれば良いため、ここでは説明を省略する。
【0074】
(実施例4)
以下に、図6を参照して、基地局側で、移動局の発信電力を特定する実施例を説明する。
図6は、発信電力を制御する方法の一つの実施例を概略的に示すフローチャートである。この移動局の発信電力を制御する方法600は、基地局に適用し、当該基地局は、そのカバレッジ内における複数の移動局を異なる電力制御グループに分ける。この方法600は、前記移動局の属する電力制御グループを判断するステップ(S610)と、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを特定するステップ(S620)と、前記電力制御グループ用の基準電力制御パラメータを特定するステップ(S630)と、前記移動局が基準電力制御パラメータに基づいて、電力信号を発信することを指示する制御命令を、前記移動局に送信するステップ(S640)とを含んでも良い。
【0075】
S610の実施態様は、上記実施例の関連説明を参照すれば良いため、ここでは説明を省略する。
【0076】
S620において、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを特定するステップは、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを特定するステップを含んでも良い。この場合に、S630において、前記電力制御グループ用の基準電力制御パラメータを特定するステップは、移動局のパスロスを特定し、前記目標受信信号レベル、パスロスファクター、及びパスロスに基づいて、基準発信電力を計算するステップを含んでも良い。尚、前記移動局のパスロスを特定するステップは、移動局の過去上り伝送データが存在しない場合に、当該移動局の属する電力制御グループにおける他の移動局の過去上り伝送データに基づいて移動局のパスロスを計算し、移動局の過去上り伝送データが存在する場合に、当該移動局の過去上り伝送データに基づいて、そのパスロスを計算するステップを含んでも良い。尚、移動局は、計算して得られた基準発信電力を実際発信電力としても良い。
【0077】
S640において、S630で計算して得られた基準発信電力を直接に制御命令の内容の一部としても良い。その後、移動局は、当該制御命令を受信且つ解析し、基準発信電力を取得し、当該基準発信電力を移動局の実際発信電力とする。
【0078】
以下には、実施例4に係る他の実施例を紹介する。
図6に示す実施例の技術案は、実施例3の技術案と組み合わせて、移動局の実際発信電力を特定する他の実施例を取得しても良い。この場合に、移動局は、以下の数式に基づいて、その実際発信電力を計算しても良い。
【数5】
ここで、Pk_refは、基準発信電力である。ΔPは、移動局が選択した発信電力オフセット値ΔPである。
【0079】
具体的には、以下となる。先ず、移動局は、図6によって提供される技術案を使用して上記数式(3)における基準発信電力Pk_refの値を取得する。そして、少なくとも一つの電力制御グループを選択し、更に、選択された電力制御グループにおける移動局に対して、実施例3の一部の技術案を使用する。具体的な処理プロセスは、ある1つの電力制御グループに対する共通基準閾値を取得するステップ(S510に対応)と、前記共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから発信電力オフセットのセットを電力制御パターンとして選択するステップ(S520に対応)と、選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択するステップ(S530に対応)とを含んでも良い。選択された発信電力オフセット値を上記数式(3)におけるΔPの値とする。最後に、上記数式(3)に基づいて選択された電力制御グループにおける全ての移動局の発信電力Pk_actualを取得する。選択されていない電力制御グループについては、数式(1)を利用し続けて移動局の発信電力を特定しても良く、又は、実施例1や実施例2で特定された基準参照電力を直接に移動局の実際発信電力としても良い。
【0080】
又、一部の実施例において、基地局に適用される、移動局の発信電力を制御する方法600は、前記移動局の属する電力制御グループを判断するステップ(S610)と、前記電力制御グループ用の電力制御パターンを特定するステップ(S620)と、前記電力制御パターンを移動局に送信するステップとだけを含んでも良い。その後、ユーザ側のデバイス(即ち、移動局)は、受信した電力制御パターンに基づいて、発信電力信号を特定しても良い。例えば、実施例1、実施例2及び実施例3の技術案を利用することによって、移動局は、それぞれの電力制御パターンに基づいて、自身の発信電力を特定できる。
【0081】
最適な技術効果を実現するために、本発明の実施例の最適な技術案は、先ず、基地局側でパスロス差分を利用して異なる電力制御グループのユーザを効果的に区別し(具体的には、上記実施例1と実施例2を参照)、次に、同じ電力制御グループにおいて、各ユーザがランダムに選択した電力オフセット値を利用して同じ電力制御グループ内の複数のユーザに対する区別程度を更に向上するステップ(具体的には、実施例3において電力オフセット値を選択することに関する内容を参照)を含んでも良い。しかしながら、本発明の実施例は、電力制御グループ内におけるユーザが少ない時にも、パスロスのみを利用して異なる電力制御グループにおけるユーザを区別でき(例えば実施例1、実施例2、又は実施例4などの技術案だけを利用する)、同一の電力制御グループ内におけるユーザに対する区別は、更に、パスロスにより区別できる。又、アクセスユーザが少ない基地局に対しても、ランダムに選択される電力オフセット値を利用して実際発信電力を取得する技術案を独立に利用して、基地局側でユーザ装置を効果的に区別しても良い(例えば、実施例3を独立に使用する)。この段落の説明は、本発明の実施例のいくつかの応用シナリオを列挙するものに過ぎず、全ての応用シナリオと実施例との間の対応関係を徹底的に列挙するわけではない。当業者は、特定の状況に従って、上記の一つの実施例又は複数の実施例の組み合わせを柔軟に選択しても良い。
【0082】
以下には、図7図11を参照して、本発明の実施例における移動局及び基地局の構成を説明する。
図7は、本発明の実施例による移動局700を概略的に示す構成ブロック図である。この移動局は、図1に示す各ユーザ装置に対応し、この移動局700は、上記実施例1、実施例2又は実施例3などの関連実施例の技術案を実施できる。
【0083】
図7に示すように、移動局700は、発信電力を制御する方式に関する情報である電力制御パターンを取得するパターン取得部710と、前記電力制御パターンに基づいて、前記移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定する基準特定部720と、前記基準電力制御パラメータに基づいて、前記移動局の発信電力を特定する発信電力特定部730とを含んでも良い。
【0084】
移動局700は、電力制御グループに属し、当該電力制御グループ内における移動局は、同一の電力制御パターンに対応する。この時、パターン取得部710は、当該電力制御グループ用の電力制御パターンを取得できる。例えば、移動局が基地局にアクセスする時に、基地局は、移動局の位置情報に基づいて、グループと、対応する各グループの電力制御パターンとを特定しても良い。又、移動局は、基地局から上位レイヤシグナリングを受信し、上位レイヤシグナリングから移動局の電力制御パターンを特定しても良い。例えば、基地局は、上位レイヤシグナリング中に、電力制御パターンの番号を指定でき、移動局は、上位レイヤ情報を受信且つ解析して、電力制御パターンに対応する番号を取得する。
【0085】
パターン取得部710は、複数の実現方式を含んでも良い。以下には、図8図11を参照して、パターン取得部710の三つの実現ブロック図を紹介する。又、以下の第1の例示と第2の例示の技術案に係る移動局は、いずれも、ある1つの電力制御グループに属し、第3の例示の技術案に係る移動局は、いかなる電力制御グループにも属さなくても良い。係る電力制御グループについてのグルーピング方法と原則は、上記の関連記載を参照すれば良いため、ここでは説明を省略する。
【0086】
図8は、パターン取得部710の第1の例示を示す。図8を参照して、パターン取得部810は、予め規定された各電力制御グループと各電力制御パターンとの対応関係を特定する予め規定モジュール812と、前記移動局の属する電力制御グループを特定するグループ特定モジュール814と、前記対応関係に基づいて、前記移動局の属する電力制御グループに対応する電力制御パターンを特定するパターン特定モジュール816とを含んでも良い。
【0087】
又、パターン取得部810によって取得された電力制御パターンには、移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターが含まれる。この場合には、図7に示す基準特定部720は、更に、移動局目標受信信号レベルとパスロスファクターに基づいて、基準発信電力を計算する。
【0088】
図9は、パターン取得部710の第2の例示を示す。図9を参照して、パターン取得部910は、複数の発信電力セットを予め規定する予め規定モジュール912と、前記複数の発信電力セットから、前記移動局の属する電力制御グループに対応する発信電力セットを前記電力制御パターンとして選択する、セット選択モジュール914を含んでも良い。選択された発信電力セットには、少なくとも一つの発信電力値が含まれる。この場合には、図7に示す基準特定部720は、選択された発信電力セットにおける各発信電力値を前記移動局の基準電力制御パラメータとして特定する。
【0089】
図9における予め規定モジュール912は、それぞれ異なる数の発信電力値を有する複数の発信電力セットを予め規定できる。この場合に、図9に示すセット選択モジュール914は、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局から遠く離れているとき、少ない発信電力値を有する発信電力セットを選択し、前記移動局の属する電力制御グループが通信基地局の近くにあるとき、多くの発信電力値を有する発信電力セットを選択する。図1Bを参照して本発明によって提供される一つの具体的な例示を説明する。この例示において、複数の発信電力セットは、第1の電力セット、第2の電力セット及び第3の電力セットの三つの発信電力セットを含む。ここで、第1の電力セットは、4つの異なる発信電力値を含み、第2の電力セットは、2つの異なる発信電力値を含み、第3の電力セットは、1つの発信電力値を含む。図1Bに示すように、この例示に対応する電力制御グループも三つある。この場合、上記原則によって、図1Bに示す中央ユーザグループ1は、第1の電力セットを選択し(即ち、移動局の所在する電力制御グループが基地局に最も近い時、送信電力値の数が最も大きい第1の電力セットを選択する)、中間ユーザグループ2は、第2の電力セットを選択し、エッジユーザグループ3は、第3の電力セットを選択する(即ち、移動局の所在する電力制御グループが基地局から最も遠い時、送信電力値の数が最も少ない第3の電力セットを選択する)ことが分かる。この例示を使用する主な目的は、多くのアクセスユーザを有する電力制御グループに対して、多くの送信電力値を有する電力セットを割り当て、各移動局の選択に供することである。それにより、受信側で、似ているパスロスを有する一つの電力制御グループにおけるユーザを区別する時の効率と精度を効果的に改善できる。
【0090】
図10は、パターン取得部710の第3の例示を示す、この例示に係るパターン取得部は、発信電力オフセットパターンを前記電力制御パターンとして取得する。前記発信電力オフセットパターンは、移動局の発信電力のオフセットに関するパターン情報である。
【0091】
図10に示す例示におけるパターン取得部1010は、パスロスによる共通基準閾値を受信する受信モジュール1012と、前記共通基準閾値と前記移動局のパスロスに基づいて、少なくとも二つの候補の発信電力オフセットのセットから発信電力オフセットのセットを電力制御パターンとして選択する選択モジュール1014とを含んでも良い。各発信電力オフセットのセットには、少なくとも二つの発信電力オフセット値が含まれる。
【0092】
例示のパターン取得部1010を利用する場合に、図7に示す基準特定部720は、以下の動作により、当該移動局に用いる基準電力制御パラメータを特定しても良い。即ち、選択された発信電力オフセットのセットにおける発信電力オフセット値の数に基づいて、その内の各発信電力オフセット値にアクセスするアクセス確率を計算し、前記アクセス確率に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択する。又、図7に示す基準特定部720は、基地局から受信された下りリンク制御情報に基づいて選択された発信電力オフセットのセットから発信電力オフセット値を選択しても良い。
【0093】
例示のパターン取得部1010を利用する場合に、図7に示す発信電力特定部730は、前記移動局の初期発信電力と、選択された発信電力オフセット値とに基づいて、前記移動局の発信電力を計算しても良い。この時の具体的な計算の数式は、上記数式(1)を参照しても良い。数式(1)に係るパラメータの取得は、関連の実施例を参照すれば良いため、ここでは説明を省略する。
【0094】
又、例示のパターン取得部1010を利用する場合に、図7に示す発信電力特定部730は、前記移動局の基準発信電力と、選択された発信電力オフセット値とに基づいて、前記移動局の発信電力を計算しても良い。この時の具体的な計算の数式は、上記数式(2)を参照しても良い。数式(2)に係るパラメータの取得は、関連の実施例を参照すれば良いため、ここでは説明を省略する。
【0095】
尚、図10に示す例示の技術案に係る移動局は、電力制御グループに属しても良く、当該電力制御グループ内における各移動局は、同一の電力制御パターンに対応し、前記パターン取得部は、当該電力制御グループ用の電力制御パターンを取得する。
【0096】
図11は、本発明の実施例に係る基地局1110を概略的に示す構成ブロック図である。この基地局1110は、図1に示す基地局101に対応し、上記図6に対応する実施例に関する技術案を実施できる。
【0097】
図11に示すように、基地局1110は、前記移動局の属する電力制御グループを判断するグループ判断部1111と、前記電力制御グループの電力制御パターンを特定するパターン特定部1120と、前記電力制御グループの基準電力制御パラメータを特定する基準特定部1130と、前記移動局が基準電力制御パラメータに基づいて、電力信号を発信することを指示する制御命令を、前記移動局に送信する送信部1140とを含んでも良い。
【0098】
図11に示すパターン特定部1120は、前記移動局の目標受信信号レベルとパスロスファクターを取得するパターンパラメータ取得モジュール1121と、移動局のパスロスを特定するパスロス特定モジュール1122とを含む。この場合に、図11に示す基準特定部1120は、前記目標受信信号レベル、パスロスファクター、及びパスロスに基づいて、基準発信電力を計算する。ここで、パスロス特定モジュール1121は、移動局の過去上り伝送データが存在しない場合に、当該移動局の属する電力制御グループにおける他の移動局の過去上り伝送データに基づいて、移動局のパスロスを計算できる。又、パスロス特定モジュール1121は、移動局の過去上り伝送データが存在する場合に、当該移動局の過去上り伝送データに基づいて、そのパスロスを計算する。
【0099】
送信部1140は、基準特定部1130によって計算された基準発信電力を制御命令の内容の一部としても良い。その後、移動局は、当該制御命令を受信且つ解析し、基準発信電力を取得し、当該基準発信電力を移動局の実際発信電力とする。あるいは、移動局は、解析して基準発信電力を取得した後、上記実施例4で開示される数式(3)と電力オフセット値を特定する関連の技術案とを結合して、移動局の実際発信電力を特定する。
【0100】
図12は、本発明の実施例に係る移動局1210を概略的に示すブロック図である。
図12に示すように、この移動局1210は、プログラムコードを記憶するメモリ1202と、図2図5を参照して説明した方法を実現するために前記プログラムコードを実行するプロセッサ1203とを含んでも良い。
【0101】
メモリ1202は、読み取り専用メモリ及びランダムアクセスメモリの内の少なくとも一方を含んでも良く、プロセッサ1203に命令及びデータを提供する。メモリ1202の一部は、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)を更に含んでも良い。
【0102】
プロセッサ1203は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであっても良い。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ又は任意の通常のプロセッサなどであっても良い。
【0103】
本発明の実施例により開示された方法のステップは、プロセッサによって直接実施されても良く、又はプロセッサ内のハードウェア及びソフトウェアモジュールの組み合わせによって実行されても良い。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能な読み取り専用メモリ、又は電気的に消去や再書込可能なプログラム可能メモリ、レジスタなどの当分野の従来の記憶媒体に配置できる。この記憶媒体はメモリ1202内に配置され、プロセッサ1203はメモリ1202内の情報を読み取り、そのハードウェアと組み合わせて上記の方法のステップを実行する。
【0104】
上記の移動局700と移動局1210が開示された後、前記移動局を含む任意のユーザ装置も本発明の実施例の開示の範囲内に入る。
【0105】
又、図11に示す基地局は、図12に示すプロセッサやメモリを含んでも良く、基地局におけるプロセッサとメモリによって実現される機能及び構成は、図12の移動局の機能と構成と同様であるため、ここでは説明を省略する。又、基地局におけるプロセッサは、図6の実施例に対応する方法を実行しても良い。
【0106】
本明細書に開示された実施例を結合して説明された各例示の部品及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア又はコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせによって実施されても良いことを当業者が理解すべきであろう。これらの機能がハードウェアで実行されるかソフトウェアで実行されるかは、技術案の特定の用途及び設計上の制約によって決まる。当業者であれば、説明した機能を実現するために、特定の用途ごとに異なる方法を使用できるが、そのような実現は本発明の範囲を超えたと認識すべきではない。
【0107】
説明の便宜上、上記のデバイス及び部の具体的な動作のプロセスは、上述の方法の実施例において対応するプロセスを参照すれば良いことを当業者が理解すべきであるため、ここでは説明を省略する。
【0108】
本願によって提供される幾つかの実施例において、開示されたデバイスと方法は、他の方式で実施されても良いことが理解されるべきである。例えば、上述したデバイスの実施例は、例示的なものに過ぎず、前記部品の区分けは、論理的な機能区分けのみであり、実際の実施においては、他の区分け方式を使用しても良い。複数の部品又は構成要素を組み合わせても良く、別のデバイスに集積しても良い。又、一部の特徴は、無視されても良く、又は、実行されなくても良い。
【0109】
ディスクリート部品として説明される部品は、物理的に分離されなくても良く、部品として示されるものは、物理的な部品ではなくても良い。本実施例の技術案の目的を達成するように、必要に応じて一部又は全ての部品を選択できる。
【0110】
これらの機能は、ソフトウェア機能部の形で実現されて独立型製品として販売又は使用される場合に、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されても良い。そのような理解に基づいて、本発明の技術案の本質、あるいは先行技術に貢献した部分又はその技術案の一部は、ソフトウェア製品の形で実現され得る。当該ソフトウェアは、記憶媒体に記憶されており、コンピュータデバイス(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワークデバイスなど)に、本発明の各実施例で説明される方法のステップの全部又は一部を実行させるための命令を含む。前述の記憶媒体は、プログラムコードを記憶可能なUディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、又は光ディスクなどを含む。
【0111】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されることはなく、当業者であれば、本発明に開示される技術範囲において、変更又は置換を容易に想到し得る。その変更又は置換は、本発明の保護範囲に入る。そのため、本発明の保護範囲は、請求の範囲によって決定されるべきである。
【0112】
本出願は、2016年8月19日に出願された中国特許出願第201610697169.6号の優先権を主張するものであり、その開示内容の全文を引用して本明細書の一部とする。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12