(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972118
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】エネルギー分配システム
(51)【国際特許分類】
F24D 10/00 20060101AFI20211111BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20211111BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
F24D10/00
F25B1/00 381H
F25B1/00 397Z
F24F5/00 101B
F25B1/00 399Y
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-514266(P2019-514266)
(86)(22)【出願日】2017年9月14日
(65)【公表番号】特表2019-532246(P2019-532246A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】EP2017073151
(87)【国際公開番号】WO2018054757
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2020年3月26日
(31)【優先権主張番号】16189586.7
(32)【優先日】2016年9月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500377871
【氏名又は名称】エー.オン、スベリゲ、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】E.ON Sverige Aktiebolag
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】フレドリク、ローゼンクビスト
【審査官】
河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/102626(WO,A2)
【文献】
英国特許出願公開第02522025(GB,A)
【文献】
国際公開第2003/033964(WO,A1)
【文献】
特表2012−530237(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第03123875(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 10/00
F25B 1/00
F24F 5/00
F24T 10/00
F24T 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所供給導管(22)と、
局所戻り導管(23)と、
50〜120℃の範囲内の第1の温度を有する地域伝熱流体の流入流れのための地域供給導管(11)と、地域伝熱流体の戻り流れのための地域戻り導管(12)とを有する地域加熱グリッド(10)に接続される中央熱交換器(21)であって、前記中央熱交換器(21)が、地域伝熱流体の流入流れから前記局所供給導管(22)内の局所伝熱流体の流出流れへと熱を交換するように構成され、局所伝熱流体の前記流出流れが5〜30℃の温度を有する、中央熱交換器(21)と、
それぞれが前記局所供給導管(22)に接続される入口(25)と前記局所戻り導管(23)に接続される出口(26)とを有する複数の局所加熱システム(200)であって、前記各局所加熱システム(200)が、高温水及び/又は快適な加熱を建物(40)にもたらすように構成される、複数の局所加熱システム(200)と、
を備え、
前記局所供給導管(22)は、前記局所戻り導管(23)と共に、地中に平行に配置される際に2.5W/(mK)を超える熱伝達率を有する局所エネルギー分配システム。
【請求項2】
前記複数の局所加熱システム(200)のそれぞれは、前記入口(25)を介して前記局所加熱システムに入る局所伝熱流体から熱を抽出し、出口(26)を介して局所伝熱流体を前記局所戻り導管(23)に戻すように構成される請求項1に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項3】
前記複数の局所加熱システム(200)のそれぞれは、−5〜15℃の範囲内にある温度を有する局所伝熱流体を戻すように構成される請求項2に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項4】
前記複数の局所加熱システム(200)のうちの少なくとも一部は、前記局所供給導管及び前記局所戻り導管(22,23)内で局所伝熱流体を循環させるためにそれぞれの局所加熱システム(200)の入口(25)と出口(26)との間に接続される局所循環ポンプ(28)を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項5】
前記局所供給導管及び前記局所戻り導管(22,23)内で前記流体を循環させるように構成される中央循環ポンプ(27)を更に備える請求項1から4のいずれか一項に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項6】
前記中央熱交換器(21)は、前記地域戻り導管(12)に戻される地域伝熱流体が5〜20℃、好ましくは5〜10℃の温度を有するように熱を交換するべく構成される請求項1から5のいずれか一項に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項7】
前記複数の局所加熱システム(200)のうちの1つの前記出口(26)に接続される入口(62)を有する1つ以上の局所冷却システム(300)であって、建物(40)から熱を抽出するように構成される、1つ以上の局所冷却システム(300)を、さらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項8】
前記1つ以上局所冷却システム(300)が冷却器(50)と冷却熱交換器(60)とを備える請求項7に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項9】
前記局所供給導管(22)及び前記局所戻り導管(23)が、前記局所供給導管(22)及び前記局所戻り導管(23)の経路の大部分に沿って地中に配置されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の局所エネルギー分配システム。
【請求項10】
50〜120℃の範囲内の第1の温度を有する地域伝熱流体の流入流れのための地域供給導管(11)と、地域伝熱流体の戻り流れのための地域戻り導管(12)とを有する地域加熱グリッド(10)と、
請求項1から9のいずれか一項に記載の局所エネルギー分配システム(20)と、
を備えるエネルギー分配システム。
【請求項11】
前記地域加熱グリッド(10)に熱をもたらすために前記地域加熱グリッド(10)に接続される中央熱生成プラント(15)を更に備える請求項10に記載のエネルギー分配システム。
【請求項12】
複数の地域加熱サブステーション(16)を更に備え、各地域加熱サブステーション(16)が建物(40)に高温水道水及び/又は快適な加熱をもたらすように構成される請求項10又は11に記載のエネルギー分配システム。
【請求項13】
エネルギーを複数の建物(40)に分配するための方法において、
中央熱交換器(21)において、地域加熱グリッド(10)内の地域供給導管(11)の地域伝熱流体の流入流れから局所エネルギー分配システム(20)の局所供給導管(22)内の局所伝熱流体の流出流れへと熱を交換するステップであって、地域伝熱流体の前記流入流れが50〜120℃の範囲内の第1の温度を有し、局所伝熱流体の前記流出流れが5〜30℃の温度を有する、ステップと、
前記局所エネルギー分配システム(20)内で局所伝熱流体の流れを循環させるステップであって、前記局所エネルギー分配システム(20)は、前記中央熱交換器から局所伝熱流体を分配するように構成される前記局所供給導管(22)と、局所伝熱流体を前記中央熱交換器に分配するように構成される局所戻り導管(23)とを備えるものであり、前記局所供給導管(22)は、前記局所戻り導管(23)と共に、地中に平行に配置される際に2.5W/(mK)を超える熱伝達率を有する、ステップと、
前記複数の建物(40)のそれぞれの局所加熱システム(200)において、高温水道水及び/又は快適な加熱をそれぞれの前記建物(40)にもたらすために前記局所供給導管(22)内で流れる局所伝熱流体から熱を抽出するステップであって、前記各局所加熱システム(200)が前記局所供給導管(22)に接続される入口(25)を有する、ステップと、
を含む方法。
【請求項14】
冷却システム(300)において、前記複数の建物(40)のうちの1つの建物(40)から熱を抽出するステップであって、前記局所冷却システム(300)が前記複数の局所加熱システム(200)のうちの1つの出口(26)に接続される入口(62)を有するステップと、
前記建物(40)から抽出された熱を前記局所伝熱流体に分配するステップと、
をさらに含む請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエネルギー分配システムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の殆ど全ての大型開発都市は、それらのインフラに組み込まれる少なくとも2つのタイプのエネルギー分配グリッド、すなわち、加熱を行うための1つのグリッド及び冷却を行うための1つのグリッドを有する。加熱を行うためのグリッドは、例えば、快適さ及び/又はプロセス加熱、及び/又は高温水道水調製をもたらすために使用され得る。冷却を行うためのグリッドは、例えば、快適冷却及び/又はプロセス冷却をもたらすために使用される。
【0003】
加熱を行うための一般的なグリッドは、快適さ及び/又はプロセス加熱、及び/又は高温水道水調製をもたらすガスグリッド又は電気グリッドである。加熱を行うための別のグリッドは地域加熱グリッドである。地域加熱グリッドは、一般的には水の形態を成す加熱された伝熱流体を都市の建物に供給するために使用される。中央に配置される加熱・圧送プラントが、加熱された伝熱流体を加熱して分配するために使用される。加熱された伝熱流体は、1つ以上の供給導管を介して建物に供給され、1つ以上の戻り導管を介して加熱・圧送プラントに戻される。局所的に建物では、加熱された伝熱流体からの熱が、熱交換器を備える地域加熱ステーションを介して抽出される。
【0004】
冷却を行うための一般的なグリッドは電気グリッドである。電気は、例えば、冷蔵庫や冷凍庫を作動させるため又は快適な冷却を行うための空調機を作動させるために使用され得る。冷却を行うための別のグリッドは地域冷却グリッドである。地域冷却グリッドは、一般的には水の形態を成す冷却された伝熱流体を都市の建物に供給するために使用される。中央に配置される冷却・圧送プラントが、このようにして冷却された伝熱流体を冷却して分配するために使用される。冷却された伝熱流体は、1つ以上の供給導管を介して建物に供給され、1つ以上の戻り導管を介して冷却・圧送プラントに戻される。局所的に建物では、冷却された伝熱流体からの冷気がヒートポンプを介して抽出される。
【0005】
加熱及び/又は冷却のためのエネルギーの使用は着実に増加しており、そのため、環境に悪影響が及ぶ。エネルギー分配グリッドに分配されるエネルギーの利用を改善することによって、環境への悪影響を低減することができる。したがって、既存のグリッドを含むエネルギー分配グリッドに分配されるエネルギーの利用を改善する必要がある。加熱/冷却をもたらすことは、それがエンジニアリングプロジェクトに及ぶときに巨額の投資も必要とするため、コストを削減する努力が絶えず行われている。したがって、都市の加熱及び冷却に持続可能な解決策を提供する方法の改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述の問題の少なくとも幾つかを解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、局所エネルギー分配システムが提供される。局所エネルギー分配システムは、局所供給導管と、局所戻り導管と、50〜120℃の範囲内の第1の温度を有する地域伝熱流体の流入流れのための地域供給導管と、地域伝熱流体の戻り流れのための地域戻り導管とを有する地域加熱グリッドに接続される中央熱交換器であって、中央熱交換器が、地域伝熱流体の流入流れから局所供給導管内の局所伝熱流体の流出流れへと熱を交換するように構成され、局所伝熱流体の流出流れが5〜30℃の温度を有する、中央熱交換器と、それぞれが局所供給導管に接続される入口と局所戻り導管に接続される出口とを有する複数の局所加熱システムであって、各局所加熱システムが、高温水及び/又は快適な加熱を建物にもたらすように構成される複数の局所加熱システムとを備える。
【0008】
以上にしたがって地域伝熱流体の流入流れから局所伝熱流体の流出流れへと熱を交換することにより、地域加熱グリッドを利用する伝統的な地域加熱システムと比べて、より安価で、あまり高度でない、よりエネルギー効率が高いエネルギー分配システムが得られる。例えば、伝熱損失が低減されて、局所エネルギー分配システムがより経済的になるとともに、局所エネルギー分配システムのエネルギー効率が高くなる。更に、局所エネルギー分配システムでエネルギーを分配する局所伝熱流体の比較的低い温度に起因して伝熱損失が減少されるため、地域加熱グリッドを利用する伝統的な地域加熱システムと比べて、伝熱流体を輸送する導管のための配管の使用に対する制約が減少される。更に、中央熱交換器からの局所伝熱流体の流出流れを5〜30℃の温度に設定することにより、局所エネルギー分配システムにおける冷却速度は、地域加熱グリッドを利用する伝統的な地域加熱システムと比べて減少される。また、局所エネルギー分配システムは、既存の地域加熱グリッドが弱い又は既存の地域加熱グリッドの拡張が困難である拡張領域において効率的なエネルギー分配ソリューションを実施できるようにもする。既存の地域加熱グリッドを強化又は拡張することは、費用がかかるとともに複雑となる。更に、エネルギー分配システムの冷却速度を遅くすることによって、伝熱流体の流量が減少される。したがって、エネルギー分配システムにおけるポンピングに対する全体的な需要が減少される。これにより、地域加熱グリッドを利用する伝統的な地域加熱システムと比べて、エネルギー分配システムの複雑が更に減少される。
【0009】
理論的シミュレーションによれば、局所エネルギー分配システムは、暦年にわたって、太陽エネルギーから、局所供給導管及び局所戻り導管を取り囲む地面から吸収される熱エネルギーの形態で、局所エネルギー分配システムに投入される全エネルギーの約5〜10%を吸収する。更に、局所エネルギー分配システムに投入される全エネルギーの65−70%は、地域加熱グリッドにより供給されるエネルギーから生じ、また、局所エネルギー分配システムに投入される全エネルギーの約25%は、局所加熱システムを駆動させるために使用される電力となる。
【0010】
複数の局所加熱システムのそれぞれは、入口を介して局所加熱システムに入る局所伝熱流体から熱を抽出して出口を介して局所伝熱流体を局所戻り導管に戻すように構成される。
【0011】
複数の局所加熱システムのそれぞれは、−5〜15℃の範囲内の温度を有する局所伝熱流体を戻すように構成されてもよい。この温度範囲内の温度を有する局所伝熱流体を伝導することにより、周囲への熱損失が低減され得る。更に、周囲の熱エネルギーは、局所戻り導管内を流れる局所伝熱流体によってさえ吸収され得る。戻り導管の周囲は一般に地面である。これは、戻り導管及び供給導管が一般にそれらの経路の大部分に沿って地中に配置されるからである。
【0012】
局所供給導管は、局所戻り導管と共に、地中に平行に配置される際に2.5ワット/メートル・ケルビンW/(mK)を超える熱伝達率を有してもよい。熱伝達率のこの値は、年間の平均温度が8℃の地中で局所供給導管及び局所戻り導管が互いに1メートルの距離内に平行に配置されるときに推定され、また、局所供給導管及び局所戻り導管の算術平均温度は8〜10℃である。これにより、周囲からの熱を局所供給導管及び/又は局所戻り導管によって拾い上げることができる。更に、安価な非断熱プラスチック管が局所供給導管及び/又は局所戻り導管のために使用されてもよい。更に、周囲の熱エネルギーが局所戻り導管内を流れる局所伝熱流体によって容易に吸収され得る。
【0013】
複数の局所加熱システムのうちの少なくとも一部は、局所供給導管内及び局所戻り導管内で局所伝熱流体を循環させるためにそれぞれの局所加熱システムの入口と出口との間に接続される局所循環ポンプを備えてもよい。
【0014】
このようにして、局所伝熱流体の分配ポンピングを伴うシステムが提供される。そのようなシステムはそれほど脆弱ではない。これは、局所循環ポンプのうちの1つ以上が故障しても、システムの残りの部分が依然として動作可能だからである。更に、ポンピングを複数の局所循環ポンプにわたって分配することにより、より小さくより安価な循環ポンプを利用することができる。
【0015】
局所エネルギー分配システムは、局所供給導管内及び局所戻り導管内で流体を循環させるように構成される中央循環ポンプを更に備えてもよい。中央循環ポンプは、局所エネルギー分配システム内にベース圧力をもたらすために使用されてもよく、これにより、局所循環ポンプのポンピング作用が減少される。これに代えて又はこれと組み合わせて、中央循環ポンプを使用することにより、中央循環ポンプを局所循環ポンプの代わりに使用できるため、建物の一部又は全部での設置を単純化できる。建物内の局所循環ポンプの代わりに、局所加熱システム内の流量を調整するために逆止弁が使用されてもよい。
【0016】
各局所加熱システムは、熱放射体及び局所ヒートポンプを備えてもよい。
【0017】
中央熱交換器は、地域戻り導管に戻される地域伝熱流体が5〜20℃、好ましくは5−10℃の温度を有しているように熱を交換するべく構成されてもよい。この低温の地域伝熱流体を戻すことによって、中央熱交換器21で行われる冷却は、(地域供給導管を通じて供給されて入ってくる地域伝熱流体の温度に応じて)約100℃にもなり得る。中央熱交換器において行われるこの高度の冷却は、地域加熱グリッドにおける熱損失を減少させ得る。更に、それにより、地域加熱グリッドで必要とされるポンピングの度合いが減少される。
【0018】
局所エネルギー分配システムは、複数の局所加熱システムのうちの1つの出口に接続される入口を有する1つ以上の局所冷却システムを更に備えてもよく、この場合、1つ以上の局所冷却システムが建物から熱を抽出するように構成される。これにより、複合加熱冷却システムが提供される。更に、快適な加熱及び快適な冷却は、エネルギー分配グリッドのうちの1つのみを使用して簡単且つ費用対効果が高い態様で同時にもたらされる。
【0019】
1つ以上の局所冷却システムは冷却器と冷却熱交換器とを備えてもよい。
【0020】
第2の態様によれば、エネルギー分配システムが提供される。エネルギー分配システムは、50〜120℃の範囲内の第1の温度を有する地域伝熱流体の流入流れのための地域供給導管と、地域伝熱流体の戻り流れのための地域戻り導管とを有する地域加熱グリッドと、先に係る局所エネルギー分配システムとを備える。
【0021】
エネルギー分配システムは、地域加熱グリッドに熱をもたらすために地域加熱グリッドに接続される中央熱生成プラントを更に備えてもよい。
【0022】
エネルギー分配システムは複数の地域加熱サブステーションを更に備えてもよく、この場合、各地域加熱サブステーションが建物に高温水道水及び/又は快適な加熱をもたらすように構成される。
【0023】
適用可能であれば、局所エネルギー分配システムの前述の特徴は、この第2の態様にも適用される。過度の反復を避けるために、上記を参照する。
【0024】
第3の態様によれば、エネルギーを複数の建物に分配するための方法が提供される。方法は、中央熱交換器において、地域加熱グリッド内の地域供給導管の地域伝熱流体の流入流れから局所エネルギー分配システムの局所供給導管内の局所伝熱流体の流出流れへと熱を交換するステップであって、地域伝熱流体の流入流れが50〜120℃の範囲内の第1の温度を有し、局所伝熱流体の流出流れが5〜30℃の温度を有する、ステップと、複数の建物のそれぞれの局所加熱システムにおいて、高温水道水及び/又は快適な加熱をそれぞれの建物にもたらすために局所供給導管内で流れる局所伝熱流体から熱を抽出するステップであって、各局所加熱システムが局所供給導管に接続される入口を有する、ステップとを含む。
【0025】
方法は、局所エネルギー分配システム内で局所伝熱流体の流れを循環させるステップを更に含んでもよく、局所エネルギー分配システムは、中央熱交換器から局所伝熱流体を分配するように構成される局所供給導管と、局所伝熱流体を中央熱交換器に分配するように構成される局所戻り導管とを備える。
【0026】
方法は、冷却システムにおいて、複数の建物のうちの1つの建物から熱を抽出するステップであって、局所冷却システムが複数の局所加熱システムのうちの1つの出口に接続される入口を有するステップと、建物から抽出された熱を局所伝熱流体に分配するステップとを更に含んでもよい。
【0027】
適用可能な場合、局所エネルギー分配システム及び/又はエネルギー分配システムの前述の特徴は、この第3の態様にも適用される。過度の反復を避けるために、上記を参照する。
【0028】
本発明の更なる適用範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになる。しかしながら、本発明の範囲内の様々な変更及び修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるため、詳細な説明及び特定の実施例が本発明の好ましい実施形態を示しつつ単なる例示として与えられているにすぎないことが理解されるべきである。
【0029】
したがって、記載された装置及び記載された方法のステップの特定の構成要素部分にこの発明が限定されないことが理解されるべきである。これは、そのような装置及び方法が変化し得るからである。本明細書中で使用される用語が、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定しようとするものではないことも理解されるべきである。本明細書中及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、及び、「前記(said)」は、文脈が別段に明確に指示しなければ要素のうちの1つ以上が存在することを意味するようになっていることに留意すべきである。したがって、例えば、「1つのユニット」又は「そのユニット」への言及は、幾つかの装置などを含んでもよい。更に、「備える」、「含む」、「含んでいる」という用語、及び、同様の表現は、他の要素又はステップを排除しない。
【0030】
ここで、本発明の実施形態を示す添付図面を参照して、本発明のこれらの及び他の態様について更に詳しく説明する。図は、本発明の実施形態の一般的な構造を示すために与えられる。同様の参照番号は全体にわたって同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図3】本発明の複合加熱冷却システムの概略図である。
【
図4】エネルギーを複数の建物に分配するための方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の現在好ましい実施形態が示される添付図面を参照して、本発明を更に十分に説明する。しかしながら、この発明は、多くの異なる形態で具現化することができるとともに、本明細書中に記載される実施形態に限定されるように解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底且つ完全のために及び本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために与えられる。
【0033】
図1に関連して、エネルギー分配システム1について説明する。エネルギー分配システム1は、地域加熱グリッド10と局所エネルギー分配システム20とを備える。局所エネルギー分配システム20は、中央熱交換器21を介して地域加熱グリッド10に接続される。
【0034】
地域加熱グリッド10は、加熱を必要としているオフィスビル、事業所、居住用住宅、及び、工場などの建物40内に配置される地域加熱ステーション16に地域伝熱流体を供給するように構成される1つ以上の液圧ネットワークによって形成される。典型的な地域加熱ステーション16は熱交換器を備える。典型的な地域加熱グリッド10は、地域伝熱流体を加熱する中央熱生成プラント15を備える。中央熱生成プラント15は、一例として地域加熱プラントであってもよい。加熱された地域伝熱流体は、導管ネットワークの一部を形成する1つ以上の地域供給導管11を介して、建物40内に配置される分散型地域加熱ステーション16に輸送される。言うまでもなく、1つの同じ建物40が幾つかの地域加熱ステーション16を備えてもよい。地域加熱ステーション16は、快適な加熱及び/又は高温水道水をそれぞれの建物40にもたらすように構成される。
【0035】
地域伝熱流体の熱が地域加熱ステーション16で消費されると、地域伝熱流体の温度が下降され、このようにして冷却された地域伝熱流体は、導管ネットワークの一部を形成する1つ以上の地域戻り導管12を介して中央熱生成プラント15に戻される。
【0036】
地域加熱グリッド1は、快適な加熱需要及び/又は高温水道水需要を満たすために使用される。地域伝熱流体は一般に水である。1つ以上の地域供給導管11内の地域伝熱流体の温度は、一般に50〜120℃である。1つ以上の地域戻り導管12の戻り温度は一般に40〜60℃である。
【0037】
液圧ネットワークの地域供給導管11と地域戻り導管12との間の駆動圧力差は、常に、いわゆる「圧円錐」をもたらし、それにより、地域供給導管11内の圧力は戻り導管12内の圧力よりも高い。この圧力差が、中央熱生成プラント15と地域加熱サブステーション16との間の液圧ネットワーク内で地域伝熱流体を循環させる。駆動圧力差をもたらすために、1つ以上の地域グリッド循環ポンプ13が地域加熱グリッド10内に配置される。
【0038】
地域冷却グリッド10で使用される地域供給導管11及び地域戻り導管12は、一般に、最大圧力が1.6MPa及び最大温度が約100〜120℃になるように設計された断熱鋼管から形成される。これに関連して、断熱とは、管がその周りに巻き付けられた断熱材料の追加の層を有するように構成されるものとする。非限定的な例として、地域供給導管11及び地域戻り導管12の鋼管は、地中に並列に配置される導管が1.5ワット/メートル・ケルビンW/(mK)未満、好ましくは1.0W/(mK)未満の熱伝達率を有するように断熱される。熱伝達率のこれらの値は、年間の平均温度が8℃の地中で地域供給導管及び地域戻り導管の算術平均温度が80〜90℃において地域供給導管及び地域戻り導管が互いに1メートルの距離内に平行に配置されるときに推定される。
【0039】
前述のように、局所エネルギー分配システム20は、中央熱交換器21を介して地域加熱グリッド10に接続される。そのような熱交換器は、当技術分野において良く知られており、基本的に、第1の温度を有する第1の流体を循環させる第1の回路と第2の温度を有する第2の流体を循環させる第2の回路とを有する構成を備えていると見なされ得る。第1及び第2の回路は、そのそれぞれの延在部に沿って互いに密接する。互いに密接する延在部に沿う2つの回路により、熱伝達が第1の流体と第2の流体との間で行われる。中央熱交換器21においては、第1の回路が地域加熱グリッド10の一部を形成し、第2の回路が局所エネルギー分配グリッド20aの一部を形成する。局所エネルギー分配グリッド20aは、局所エネルギー分配システム20の一部である。局所エネルギー分配グリッド20aは、局所供給導管22と局所戻り導管23とを備える。局所エネルギー分配グリッド20aは、建物40内、好ましくは居住用住宅内であるが、加熱を必要とするオフィスビル、事業所、及び、工場などの他のタイプの建物40内に配置される局所加熱システム200に局所伝熱流体を供給するように構成される。
【0040】
中央熱交換器21は、地域供給回路11を介した地域伝熱流体の流入流れから局所供給導管22内の局所伝熱流体の流出流れへと熱を交換するように構成される。中央熱交換器21は、局所伝熱流体の流出流れが5〜30℃の温度を有するように熱を交換するべく構成される。更に、中央熱交換器21は、戻り導管に戻される地域伝熱流体が5〜10℃の温度を有しているように熱交換するべく構成されてもよい。この低温の地域伝熱流体を戻すことによって、中央熱交換器21で行われる冷却は、(地域供給導管を通じて供給されて入ってくる地域伝熱流体の温度に応じて)約100℃にもなり得る。中央熱交換器において行われるこの高度の冷却は、地域加熱グリッドにおける熱損失を減少させ得る。更に、それにより、地域加熱グリッドで必要とされるポンピングの度合いが減少される。
【0041】
したがって、局所エネルギー分配システム20は複数の局所加熱システム200を備える。
図2を参照して、局所加熱システム200を更に詳しく説明する。
【0042】
局所加熱システム200は、ヒートポンプ24と熱放射体30とを備える。熱放射体30は、ヒートポンプ24を介して局所エネルギー分配グリッド20aに接続される。局所加熱システム200は、熱放射体30及び局所ヒートポンプ24を介して、高温水道水及び/又は快適加熱をそれぞれの建物40にもたらすように構成される。局所ヒートポンプ24
は、局所供給導管22に接続される入口25と、局所戻り導管23に接続される出口26とを有する。これに関連して、用語「ヒートポンプの入口」は、それを介してヒートポンプに局所エネルギー分配グリッド20aから局所伝熱流体が供給される入口として解釈されるべきである。
【0043】
同様に、用語「ヒートポンプの出口」は、それを介してヒートポンプが局所伝熱流体を局所エネルギー分配グリッド20aに戻す出口として解釈されるべきである。
【0044】
そのようなヒートポンプは、当該技術分野において良く知られており、基本的には、第1の熱交換器と第2の熱交換器との間でブラインを循環させる閉回路を備える。第1の熱交換器は、入口及び出口、この場合には、局所ヒートポンプ24の入口25及び出口26を有し、これらの入口及び出口を介して、局所ヒートポンプ24は、第1の流体、この場合には、局所エネルギー分配グリッド20aの局所伝熱流体の流れを循環させる第1の回路に接続される。同様に、第2の熱交換器は入口及び出口を有し、これらの入口及び出口を介して、局所ヒートポンプ24は、第2の流体、この場合には熱放射体30の加熱流体の流れを循環させる第2の回路に接続される。熱放射体30の加熱流体は一般に水であるが、他の流体又は流体混合物が使用されてもよいことが理解されるべきである。幾つかの非限定的な例は、アンモニア、不凍液(グリコールなど)、油、及び、アルコールである。混合物の非限定的な例は、グリコールなどの凍結防止剤が添加されて成る水である。
【0045】
局所供給導管内の局所伝熱流体の流れは5〜30℃の温度を有しているため、局所ヒートポンプ24への入力温度は同じ温度範囲内にある。局所加熱システム200は、入口25を介して局所ヒートポンプ24に入る局所伝熱流体から熱を抽出し、出口26を介して局所伝熱流体を局所戻り導管23に戻すように構成される。局所加熱システム200は、−5〜15℃の範囲内の温度を有する局所伝熱流体を戻すように構成される。
【0046】
局所加熱システム200は、局所循環ポンプ28を更に備えてもよい。
図2に示される実施形態では、局所循環ポンプ28が局所ヒートポンプ24の出口26に配置される。しかしながら、局所循環ポンプ28が代わりに局所ヒートポンプ24の入口25に配置されてもよい。したがって、局所循環ポンプ28は、局所加熱システム200の入口25と出口26との間に接続される。局所循環ポンプ28は、局所供給導管22内及び局所戻り導管23内で局所伝熱流体を循環させるように構成される。局所循環ポンプ28は、局所戻り導管23と局所供給導管22との間の圧力差を克服するように構成される。局所循環ポンプ28は、局所ヒートポンプ24を通じて流れる局所伝熱流体の流量を調整するように更に構成される。局所ヒートポンプ24を通じた冷却流体の流量を調整すると同時に随意的に局所ヒートポンプ24’の動作を制御することにより、局所ヒートポンプ24から出力される局所伝熱流体の温度が制御されてもよい。
【0047】
したがって、局所エネルギー分配システム20の複数の局所加熱システム200の一部又は全部は、局所供給導管及び局所戻り導管22,23内で局所伝熱流体を循環させるための局所循環ポンプ28を備えてもよい。加えて又は複数の局所循環ポンプ28と組み合わせて、局所エネルギー分配システム20は、局所供給導管22内及び局所戻り導管23内で流体を循環させるように構成される中央循環ポンプ27を備えてもよい。
【0048】
局所ヒートポンプ24がコントローラ29によって制御されてもよい。コントローラ29は、熱放射体30の加熱需要に関連するデータ及び/又は局所ヒートポンプ24の出口26における局所伝熱流体の温度に関連するデータに基づいて局所ヒートポンプ24を制御してもよい。熱放射体30の加熱需要に関連するデータは、熱放射体30に接続される熱需要センサ31によって決定されてもよい。ヒートポンプ24の出口26における局所伝熱流体の温度に関連するデータは、出口26に接続される温度センサT1によって決定されてもよい。
【0049】
局所エネルギー分配システム20における局所供給導管22及び局所戻り導管23のために使用される配管は、通常、プラスチック製の非断熱配管である。これに関連して、非断熱とは、配管がその周りに巻き付けられた断熱材料の追加の層を有さないように構成されるものとする。配管は、一般に、最大圧力が0.6〜1MPaになるように設計される。更に、配管は、一般に、最大温度が約50℃になるように設計される。更に、局所エネルギー分配システム20における局所供給導管及び局所戻り導管22,23はともに、地中に平行に配置される際に2.5W/(mK)を超える熱伝達率を有してもよい。前述したように、熱伝達率のこの値は、年間の平均温度が8℃の地中で局所供給導管及び局所戻り導管が互いに1メートルの距離内に平行に配置されるときに推定され、また、局所供給導管及び局所戻り導管の算術平均温度は8〜10℃である。
【0050】
局所伝熱流体、したがってエネルギーキャリアは一般に水であるが、他の流体又は流体混合物が使用されてもよいことが理解されるべきである。幾つかの非限定的な例は、アンモニア、不凍液(グリコールなど)、油、及び、アルコールである。混合物の非限定的な例は、グリコールなどの凍結防止剤が添加されて成る水である。好ましい実施形態によれば、局所伝熱流体は、水とグリコールなどの凍結防止剤との混合物である。これにより、局所伝熱流体は0℃未満の温度を有することができる。0℃未満、好ましくは−5℃未満の凝固点を有する局所伝熱流体を提供することにより、周囲の温度が0℃に近い場合であっても、周囲から、例えば戻り導管を取り囲む地面から熱を吸収し得る局所伝熱流体を戻り導管内で導くことができる。
【0051】
局所エネルギー分配システムは、1つ以上の局所冷却システム300を更に備えてもよい。
図2を参照して、局所冷却システム300を更に詳しく説明する。局所冷却システム300が局所加熱システム200と関連して配置されることに留意すべきである。局所加熱システム200は、前述したように局所加熱システム200である。局所加熱システム200に関する過度の繰り返しを避けるために、上記を参照されたい。
【0052】
各冷却システム300は、冷却器50と冷却熱交換器60とを備える。冷却器50は、当該技術分野において周知のものであり、例えば、冷却を必要としているオフィスビル、事業所、居住用住宅、及び、工場などの建物内の快適な冷却のために使用されてもよい。冷却器50は、冷却熱交換器60を介して局所エネルギー分配グリッド20aに接続される。局所冷却システム300は、冷却器50及び冷却熱交換器60を介して、それぞれの建物40に快適な冷却をもたらすように構成される。したがって、局所冷却システム300は、建物40から熱を抽出するように構成される。
【0053】
冷却熱交換器60は、複数の局所加熱システム200のうちの1つの出口26に接続される入口62を有する。冷却熱交換器60は、局所エネルギー分配グリッド20aの局所戻り導管23に接続される出口64を更に有する。これに関連して、用語「熱交換器の入口」は、それを介して熱交換器に局所エネルギー分配グリッド20aから局所伝熱流体が供給される入口として解釈されるべきである。同様に、用語「熱交換器の出口」は、それを介して熱交換器が局所伝熱流体を局所エネルギー分配グリッド20aに戻す出口として解釈されるべきである。
【0054】
前述したように、冷却器50は、冷却熱交換器60を介して局所エネルギー分配グリッド20aに接続される。先に関連して、そのような熱交換器は、当技術分野において良く知られており、基本的に、第1の温度を有する第1の流体を循環させる第1の閉回路と、第2の温度を有する第2の流体を循環させる第2の閉回路とを有する構成を備えていると見なされ得る。互いに密接する延在部に沿う2つの回路により、熱伝達が2つの流体間で行われる。局所冷却システム300では、第1の回路が建物40内に局所的に配置され、第2の回路が局所エネルギー分配グリッド20aの一部を形成する。建物の局所冷却システムのために使用されるべき冷却器は、一般に、換気の空気ダクト内に位置され又は建物の個々の空間内のファン駆動エアコイルコレクタ又は天井取り付け冷却バッテリを介して分配される。
【0055】
局所冷却システム300がフローバルブ66を更に備えてもよい。
【0056】
フローバルブ66は、冷却熱交換器60を通じて流れる局所伝熱流体の流量を調整するように構成される。冷却熱交換器60を通じた局所伝熱流体の流量を調整すると同時に冷却熱交換器60の動作を随意的に制御することによって、冷却熱交換器60から出力される局所伝熱流体の温度が制御されてもよい。フローバルブ66は、第2のコントローラ68によって制御されてもよい。第2のコントローラ68は、冷却器50の冷却需要に関連するデータ及び/又は局所加熱システム200の出口26における局所伝熱流体の温度に関連するデータ及び/又は局所冷却システム300の出口64における局所伝熱流体の温度に関連するデータに基づいてフローバルブ66を制御してもよい。冷却器50の冷却需要に関連するデータは、冷却器50に接続される冷却需要センサ51によって決定されてもよい。局所加熱システム200の出口26における伝熱流体の温度に関連するデータは、前述した温度センサT1によって決定されてもよい。局所冷却システム300の出口64における局所伝熱流体の温度に関連するデータは、出口64に接続される温度センサT2によって決定されてもよい。
【0057】
図4を参照して、エネルギーを複数の建物40に分配するための方法について説明する。この方法は、以下の動作のうちの1つ以上を含む。動作は適切な任意の順序で実行されてもよい。
【0058】
中央熱交換器21において、地域加熱グリッド10における地域供給導管11の地域伝熱流体の流入流れから局所エネルギー分配システム20の局所供給導管22内の局所伝熱流体の流出流れへと熱を交換する(S400)。
【0059】
局所エネルギー分配システム20内の局所伝熱流体の流れを循環させ(S402)、局所エネルギー分配システム20は、中央熱交換器21からの局所伝熱流体を分配するように構成される局所供給導管22と、局所伝熱流体を中央熱交換器21に分配するように構成される局所戻り導管23とを備える。循環させる動作S402は、複数の局所循環ポンプ28を用いて行われることが好ましい。これに代えて又はこれと組み合わせて、循環する動作S404は、中央循環ポンプ27を使用して実行されてもよい。
【0060】
複数の建物40のそれぞれの局所加熱システム200において、高温水道水及び/又は快適な加熱をそれぞれの建物40にもたらすために局所供給導管22内で流れる局所伝熱流体から熱を抽出する(S404)。
【0061】
冷却システム300において、複数の建物40のうちの1つから熱を抽出する(S406)。
【0062】
抽出された熱を建物40から局所伝熱流体へ分配する(S408)。熱は、局所戻り導管23の局所伝熱流体に分配されてもよい。これに代えて又はこれと組み合わせて、熱は局所供給導管22の局所伝熱流体に分配されてもよい。
【0063】
当業者であれば分かるように、本発明は決して前述の好ましい実施形態に限定されない。逆に、添付の特許請求の範囲内で多くの変更及び変形が可能である。
【0064】
例えば、
図3には、フローバルブ66が冷却熱交換器60の出口64に配置される実施形態が示される。しかしながら、フローバルブ66は、代わりに、冷却熱交換器60の入口62に配置されてもよい。
【0065】
図3には、第1及び第2のコントローラ29,68が別個のコントローラとして例示される実施形態が示される。しかしながら、代わりに、第1及び第2のコントローラ29,68が単一のコントローラへと組み合わされてもよい。
【0066】
図1には、中央循環ポンプ27が中央熱交換器への入口に位置されるように例示される実施形態が示される。しかしながら、中央循環ポンプ27が局所エネルギー分配グリッド20a内の任意の位置に配置されてもよいことが理解される。
【0067】
図3には、冷却熱交換器60の出口64を介して局所冷却システム200から出る局所伝熱流体が局所戻り導管23に供給される実施形態が示される。しかしながら、これに代えて又はこれと組み合わせて、出口64を介して局所冷却システム200から出る局所伝熱流体が局所供給導管22に供給されてもよい。出口64を介して局所冷却システム200から出る局所伝熱流体の供給は、第2のコントローラ68によって制御されてもよい。出口64を介して局所冷却システム200から出て局所供給導管及び/又は局所戻り導管22,23へ向かう局所伝熱流体の供給の制御は、第2のセンサT2によって監視される温度に基づいてもよい。
【0068】
更に、加熱システム及び冷却システムは、それぞれ1つ、2つの温度センサT1,T1〜T2をそれぞれ用いて例示されてきた。温度センサの数及び温度センサの位置が変更されてもよいことが理解されるべきである。また、第1及び第2のコントローラ29,68への所望の入力及び所望の複雑さに応じて更なるセンサをシステムに導入されてもよいことも理解されるべきである。特に、第1及び第2のコントローラ29,68は、ローカル設定を考慮に入れるべく建物40内に局所的に配置される熱放射体30及び冷却器50と通信するようになっていてもよい。
【0069】
加えて、開示された実施形態に対する変形は、図面、開示内容、及び、添付の特許請求の範囲の検討により、特許請求の範囲に記載される発明を実施する際に当業者によって理解されて達成され得る。