(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972151
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】コンデンセートバンキングを低減するための金属酸化物ナノ粒子を用いた界面張力の低下と濡れ性の変更
(51)【国際特許分類】
C09K 8/84 20060101AFI20211111BHJP
E21B 43/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
C09K8/84
E21B43/00 A
【請求項の数】17
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-546370(P2019-546370)
(86)(22)【出願日】2018年2月27日
(65)【公表番号】特表2020-514494(P2020-514494A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(86)【国際出願番号】US2018019822
(87)【国際公開番号】WO2018157099
(87)【国際公開日】20180830
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】62/463,962
(32)【優先日】2017年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【代理人】
【識別番号】100131820
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100155192
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 美代子
(74)【代理人】
【識別番号】100215049
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100100398
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】アルムシン,アイマン ムハンマド
(72)【発明者】
【氏名】バタウィ―ル,ムハンマド エー.
(72)【発明者】
【氏名】アラリー,エヤド
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0096139(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0255887(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0029085(US,A1)
【文献】
特表2005−526887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 8/00− 8/94
E21B 1/00− 49/10
C01B 33/00− 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質地層物質を含むガスコンデンセート貯留層を処理する方法であって:
地層処理流体を、前記多孔質地層物質と接触しているコンデンセートの個別部分を含む前記ガスコンデンセート貯留層に導入するステップを備え;
前記地層処理流体は、
金属酸化物ナノ粒子と、
キサンタンゴム、部分的に加水分解されたポリアクリルアミド、ヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム、及びステアリン酸からなる群から選択された少なくとも1つの添加剤と、
を含む分散体であり;
コンデンセートの前記個別部分が前記多孔質地層物質から移動して前記ガスコンデンセート貯留層内に遊離コンデンセートを生じさせるように、前記地層処理流体を前記ガスコンデンセート貯留層内に維持するステップ;をさらに備える、
方法。
【請求項2】
前記地層処理流体がコンデンセートの前記個別部分と前記多孔質地層物質との間にくさび膜を形成するのに十分な時間、前記地層処理流体を前記ガスコンデンセート貯留層内に維持する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遊離コンデンセートを前記ガスコンデンセート貯留層から除去するステップをさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物ナノ粒子の最大寸法は、1ナノメートル(nm)乃至100nmの範囲である、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の濃度は、最大1重量パーセント(wt%)である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の粒子体積分率は、最大0.25である、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記金属酸化物ナノ粒子は、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、ジルコニウム、ニッケル若しくはスズ、の酸化物、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属酸化物ナノ粒子はシリカナノ粒子を含む、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記地層処理流体は超臨界二酸化炭素を含む、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の濃度は、少なくとも0.1wt%である、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記地層処理流体は、前記多孔質地層物質と前記コンデンセートとの間の頂点において50,000パスカルよりも大きい力を適用するように構成されている、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の粒子体積分率は、少なくとも0.01である、
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の粒子体積分率は、0.01乃至0.2の範囲である、
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の粒子体積分率は、少なくとも0.1である、
請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の粒子体積分率は、0.1乃至0.2の範囲である、
請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記地層処理流体は、前記地層処理流体中の濃度が0.01wt%乃至10wt%の範囲である添加剤を含む、
請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記添加剤は、界面活性剤、ポリマー、酸、塩基、溶質、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1乃至請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年2月27日に出願された「コンデンセートバンキングを低減するための金属酸化物ナノ粒子を用いた界面張力の低下と濡れ性の変更」という名称の米国特許出願第62/463,962号に基づく優先権を主張し、当該米国特許出願のすべての記載内容を援用する。
【0002】
本文献は、ガスコンデンセート貯留層におけるコンデンセートバンキングを低減するための地層処理流体へのナノ粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスコンデンセート貯留層の圧力が露点未満に低下すると、流体は液相と気相に分離する。そのため、圧力低下は、「逆行凝縮」と呼ばれる液体から気体への相変化をもたらす。坑井近くの領域では、圧力勾配が急であることから、液体/ガス比が大きくなる。臨界液体飽和度とガス流量に依存して、液体飽和度が急速に増大し、それによってガスの流れが妨げられる可能性がある。そのような条件下では、高い表面エネルギーの鉱物は、岩石表面のコンデンセート膜の拡散を促進して細孔表面を完全に濡らし、コンデンセートが蓄積する。蓄積したコンデンセートは、ガスを流すための開放経路を限定し、それによって生産性を大幅に低下させる。
【発明の概要】
【0004】
第1の一般的な態様において、多孔質地層物質を含むガスコンデンセート貯留層を処理することは、地層処理流体を前記ガスコンデンセート貯留層に導入するステップと、前記地層処理流体を前記ガスコンデンセート貯留槽内に維持するステップとを含む。前記地層処理流体は、金属酸化物ナノ粒子を含む分散体である。前記ガスコンデンセート貯留層は、前記多孔質地層物質と接触しているコンデンセートの個別部分を含む。前記地層処理流体は、コンデンセートの前記個別部分が前記多孔質地層物質から移動して前記ガスコンデンセート貯留層内に遊離コンデンセートを生じさせるように、前記ガスコンデンセート貯留槽内に維持される。
【0005】
第1の一般的な態様の実装は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。
【0006】
実施によっては、前記地層処理流体がコンデンセートの前記個別部分と前記多孔質地層物質との間にくさび膜を形成するのに十分な時間、前記地層処理流体を前記ガスコンデンセート貯留層内に維持する。
【0007】
いくつかの実施は、前記遊離コンデンセートを前記ガスコンデンセート貯留層から除去するステップをさらに含む。
【0008】
実施によっては、前記金属酸化物ナノ粒子の最大寸法は、1ナノメートル(nm)〜100nmの範囲である。
【0009】
実施によっては、前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の濃度は、最大1重量パーセント(wt%)である。
【0010】
実施によっては、前記地層処理流体における前記金属酸化物ナノ粒子の粒子体積分率は、最大0.25である。
【0011】
実施によっては、前記金属酸化物ナノ粒子は、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、ジルコニウム、ニッケル若しくはスズ、の酸化物、又はこれらの組み合わせを含む。実施によっては、前記金属酸化物ナノ粒子はシリカを含む。
【0012】
実施によっては、前記地層処理流体は超臨界二酸化炭素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】地層処理流体をガスコンデンセート貯留層へ供給するための例示のシステムの図である。
【0014】
【
図2A】ガスコンデンセート貯留層内の地層と接触している地層処理流体の図である。
【0015】
【0016】
【
図2C】
図2Aの地層処理流体とガスコンデンセート貯留層との接触領域の拡大図である。
【0017】
【
図3】ガスコンデンセート貯留層におけるコンデンセートバンキングを減らす例示の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
露点を通過するガスが坑井に近づく際、そのガスによって坑井細孔の近くに沈殿するコンデンセートは、相対透過効果によって細孔のガスに対する透過性を低下させる。この現象は「コンデンセートバンキング」と呼ばれる。ガスコンデンセート貯留層内の多孔質地層のガスによる濡れ性を、地層中の液体による濡れ性よりも高めることにより、コンデンセートバンキングの影響を減らすことができるかもしれず、それによってガスコンデンセート貯留層における井戸からのガスの生産を増やすことができる。
【0019】
多孔質の地層のガスに対する濡れ性は、基本流体とナノ粒子とを含む地層処理流体に多孔質の地層を接触させることによって高めることができる。好適な基本流体の例として、水性流体及び超臨界二酸化炭素が挙げられる。実施によっては、基本流体は少なくとも10重量パーセント(wt%)の水を含む。実施によっては、基本流体は最大99.9wt%の水を含む。実施によっては、基本流体は10wt%〜90wt%の範囲の水組成を有する。好適な金属酸化物ナノ粒子の例として、ケイ素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、鉄、ジルコニウム、ニッケル、スズ、の酸化物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。実施によっては、金属酸化物ナノ粒子は、1ナノメートル(nm)〜100nmの範囲の最大寸法を有する。地層処理流体におけるナノ粒子の濃度は、典型的には最大1wt%である。実施によっては、地層処理流体におけるナノ粒子の濃度は、少なくとも0.1wt%である。
【0020】
実施によっては、地層処理流体は、コロイド分散体である。実施によっては、地層処理流体は1種以上の添加剤を含む。地層処理流体は、0.01wt%〜10wt%の範囲の添加剤濃度を有することができる。添加剤の例としては、界面活性剤、ポリマー、酸、塩基、及び溶質が挙げられる。好適な界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。好適なポリマーの例としては、キサンタンゴム、部分的に加水分解されたポリアクリルアミド、及びヘキサデシルジフェニルオキシドジスルホン酸ナトリウムが挙げられる。好適な酸としては、塩酸が挙げられる。好適な塩基としては、水酸化ナトリウムが挙げられる。好適な溶質としては、ステアリン酸が挙げられる。
【0021】
コロイド分散体は、典型的には安定したコロイド分散体であり、処理流体中のナノ粒子が多孔質地層の細孔を流れるようになっている。コロイド分散体の安定性は、少なくとも部分的には、ナノ粒子のサイズ、形状、電荷、及び溶媒和度、さらにコロイド分散体の水素イオン指数(pH)、並びに分散体中の添加剤の性質及び濃度などの要因に基づく。
【0022】
図1は、地層処理流体を、地下層104内の坑井102へ送達するための例示のシステム100を示す。供給源106からの地層処理流体は、ポンプ108によってライン110を通って坑口112へ圧送され、パイプ114を介して坑井102に入る。地層処理流体は、地層中の細孔を通ってガスコンデンセート貯留層116に入る。
【0023】
図2Aは、ガスコンデンセート貯留層、例えばガスコンデンセート貯留層116、内の地層202と接触している地層処理流体200の一例を示す。地層処理流体200は、金属酸化物ナノ粒子204を含むコロイド分散体である。
【0024】
図2Bは、ナノ粒子の周囲に添加剤が配置された金属酸化物ナノ粒子204の拡大図を示す。実施によっては、添加剤206は、地層処理流体200で金属酸化物ナノ粒子204を分散させるために選択された界面活性剤である。コンデンセート208は、地層処理流体200及び地層202と接触している。
【0025】
図2Cは、地層処理流体200、地層202、及びコンデンセート208が接触している領域の拡大図を示し、ここで、角度θ
cは、コンデンセートと地層との接触角である。地層202とコンデンセート208との接触角θ
cが地層処理流体200と地層202との接触角θ
fより大きい場合、地層処理流体は、くさび膜210を生成する傾向がある。コンデンセート液滴208と地層202との接触角θ
cは、少なくとも部分的には地層処理流体200で地層202を優先的に濡らすために、大きくなる可能性がある。ここで、「くさび膜」は一般に、地層202とコンデンセート208との界面で地層202及びコンデンセート208と接触しているくさび形の一定体積の地層処理流体200を指す。したがって、地層処理流体200は、地層202とコンデンセート208との間に介在し、コンデンセート208を地層202から押しのけ、それによってコンデンセートバンキングを減らす。
【0026】
コンデンセート208を地層202から分離することは、少なくとも部分的には、ブラウン運動と、金属酸化物ナノ粒子204間の静電反発とに起因する。単一の金属酸化物ナノ粒子204によって付与される力は小さいものの、その力は、最大0.25の粒子体積分率など、粒子体積分率がより大きければより強くなる。ここで、「粒子体積分率」は一般に、全流体(例えば地層処理流体200)の体積に対するナノ粒子(例えば金属酸化物ナノ粒子204)の体積の比を指す。粒子体積分率は、流体中のナノ粒子の濃度(例えば、重量パーセント単位)、ナノ粒子の密度、及びナノ粒子が分散している流体の密度に依存する。粒子体積分率が大きい場合、力は、頂点252で50,000パスカル(Pa)を超える可能性がある。実施によっては、地層処理流体200の粒子体積分率は、少なくとも0.01である。実施によっては、地層処理流体200の粒子体積分率は、少なくとも0.1である。実施によっては、地層処理流体200の粒子体積分率は、0.1〜0.2の範囲である。この力が不連続相の頂点252(即ち、地層202とコンデンセート208との間)に空間的に閉じ込められると、平衡が回復する際に、地層処理流体200はコンデンセート208と入れ替わる。
【0027】
図3は、ガスコンデンセート貯留層、例えばガスコンデンセート貯留層116、におけるコンデンセートバンキングを減らす例示の方法300のフローチャートである。方法300を行って、多孔質地層物質を含むガスコンデンセート貯留層116を処理することができる。ステップ302において、地層処理流体(例えば地層処理流体200)が、ガスコンデンセート貯留層に供給される。地層処理流体は、金属酸化物ナノ粒子を含む分散体であり、ガスコンデンセート貯留層は、多孔質地層物質と接触しているコンデンセートの個別部分を含む。ステップ304において、地層処理流体は、ガスコンデンセート貯留層内に維持される。ガスコンデンセート貯留層内に地層処理流体を維持すると、コンデンセートの個別部分が多孔質地層物質から移動し、ガスコンデンセート貯留層内に遊離コンデンセートが生じる。地層処理流体がコンデンセートの個別部分と多孔質地層物質との間にくさび膜を形成するのに十分な時間、地層処理流体を、ガスコンデンセート貯留層内に維持することができる。ここで、「遊離コンデンセート」は一般に、地層に接触していない一定体積のコンデンセートを指す。実施によっては、地層処理流体によって入れ替わった遊離コンデンセートは、ガスコンデンセート貯留層から除去される。
【0028】
[定義]
本明細書において、「1つの(a)」、「1つの(an)」又は「その(the)」という用語は、文脈がそうでないことを明確に示していない限り、1つ又は2つ以上を含むために使用されている。「又は(or)」という用語は、別段の指示がない限り非排他的「又は(or)」を指すために使用されている。「A及びBの少なくとも一方」という記述は、「A、B、又はA及びB」と同じ意味を有する。加えて、本開示で採用し、他で定義されていない言い回し又は用語は、説明のみを目的としており、限定を目的としていないと理解すべきである。項見出しの使用はいずれも、本明細書を読みやすくすることを意図しており、限定するものと解釈すべきではない。項見出しに関連する情報は、その特定の項の中又は外で発生する場合がある。
【0029】
範囲形式で表現された値は、範囲の限界として明示的に列挙された数値を含むだけでなく、その範囲に包含される個々の数値又はサブレンジ(下位区分の範囲、小数の範囲)もすべて、各数値及びサブレンジが明示的に列挙されているかのように含むものと柔軟に解釈すべきである。例えば、「0.1%〜約5%」又は「0.1%〜5%」の範囲は、約0.1%〜約5%に加えて、示された範囲内の個々の値(例えば、1%、2%、3%、及び4%)、並びに部分的範囲(例えば、0.1%〜0.5%、1.1%〜2.2%、3.3%〜4.4%)も含むものと解釈すべきである。「X〜Y」という記述は、別段の指示がない限り「約X〜約Y」と同じ意味を有する。同様に、「X、Y、又はZ」という記述は、別段の指示がない限り「約X、約Y、又は約Z」と同じ意味を有する。「約」は、値又は範囲に一定の変動率、例えば記載した値又は記載した範囲の限界の10%以内、5%以内、又は1%以内を許容することができる。
【0030】
「流体」という用語は、ガス、液体、ゲル、高固形分のスラリ、並びに、臨界及び超臨界材料を指す。
【0031】
「地下層」という用語は、海底の表面の下を含む、地球の表面の下の任意の物質を指す。例えば、地下層は、坑井の任意の区域、及び坑井と流体接触している地下の石油又は水を産出する地層又は領域の任意の区域とすることができる。例によっては、地下層は、液体又はガス状石油材料や水を産出することができる任意の地下領域、又はそれらと流体接触している地下の任意の区域とすることができる。例えば、地下層は、破砕することが望まれる領域、亀裂、又は亀裂周辺の領域、及び、流路又は流路周辺の領域、のうちの少なくとも1つである可能性があり、ここで、亀裂又は流路は、地下の石油又は水を産出する領域と直接又は1つ以上の亀裂又は流路を介して任意に流体的に接続されているものであり得る。
【0032】
[他の実施]
実施をその詳細な説明と併せて記載したが、上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲の限定ではなく例示を意図していると理解すべきである。他の側面、利点、及び変更は、下記の特許請求の範囲内にある。
【符号の説明】
【0033】
100 システム
104 地下層
116 貯留層
200 地層処理流体
202 地層
208 コンデンセート
210 くさび膜