(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972154
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】ラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
G01N33/543 521
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-547561(P2019-547561)
(86)(22)【出願日】2017年11月16日
(65)【公表番号】特表2019-536066(P2019-536066A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】KR2017013032
(87)【国際公開番号】WO2018093175
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年5月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0154353
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0014823
(32)【優先日】2017年2月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519178766
【氏名又は名称】カルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】リー ジョン フン
(72)【発明者】
【氏名】ヨー ヨン キョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン スン イル
(72)【発明者】
【氏名】キム チョン ジュン
【審査官】
北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−090364(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0134811(US,A1)
【文献】
特表2016−509236(JP,A)
【文献】
特表2010−540940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップを用いるラテラルフロー型アッセイにおいて、
サンプルパッドに上記のサンプルを注入するステップ;
上記のサンプルパッドに、少なくとも一つの選択的なイオン透過膜を含む濃縮キットを付着して上記の分析物を濃縮するステップ;および
上記のサンプルパッドに複合パッドまたはテストパッドを連結して上記の分析物を上記の複合パッドまたはテストパッドに移動させるステップ;
を含むラテラルフロー型アッセイ方法。
【請求項2】
上記のサンプルパッドに上記のサンプルを注入するステップの以前に、上記のサンプルパッドから上記の複合パッドを分離するステップを追加に含む、請求項1に記載のラテラルフロー型アッセイ方法。
【請求項3】
上記の分析物を濃縮するステップは、
上記の濃縮キットに電界を印加して上記の分析物を濃縮することを特徴とする、請求項1に記載のラテラルフロー型アッセイ方法。
【請求項4】
上記の分析物を濃縮するステップ以降に、(i)上記の濃縮キットに印加された上記の電界を除去するステップ、(ii)上記のサンプルパッドに上記の複合パッドを連結するステップ、または(iii)これらを組み合わせたステップを追加することを特徴とする、請求項3に記載のラテラルフロー型アッセイ方法。
【請求項5】
上記のサンプルパッドに上記の複合パッドまたは上記のテストパッドを連結する以前に、上記のサンプルパッドから上記の濃縮キットを分離するステップを追加に含む、請求項1に記載のラテラルフロー型アッセイ方法。
【請求項6】
サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップにおいて、
支持台、
上記の支持台に連結され、上記のサンプルを受容するサンプルパッド;
上記のサンプルパッドに含まれ、少なくとも一つの選択的なイオン透過膜を含む、濃縮キット;および
上記の支持台に連結され、上記の分析物を捕獲する捕獲部を含むテストパッドを含み、上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間の上記の分析物の流動経路が遮断された構造を形成され、(i)上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間に上記の分析物の流動経路を形成しない第1状態から(ii)上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間に上記の分析物の流動経路を形成する第2状態に転換されることを特徴とするラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項7】
上記の濃縮キットは上記の少なくとも一つの選択的なイオン透過膜に連結される電極を含むことを特徴とする、請求項6に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項8】
上記の濃縮キットは線形に形成されるチャンネルおよび上記のチャンネルと離隔され形成されるバッファーを追加に含み、
上記の選択的なイオン透過膜は上記のバッファーと連結され、上記のチャンネルを横切ることを特徴とする、請求項7に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項9】
上記の選択的なイオン透過膜の数は複数であり、上記の複数の選択的なイオン透過膜が上記のラテラルフロー型アッセイストリップの流動方向によって分離され位置することを特徴とする、請求項8に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項10】
上記の複数の選択的なイオン透過膜の間の間隔を調節する間隔調節部を追加に含む、請求項9に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項11】
上記の濃縮キットは上記の電極に連結される電源を追加に含む、請求項8に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項12】
上記の電源の電圧を調節する電源調節部を追加に含む、請求項11に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項13】
上記の第1状態から第2状態に転換する状態転換部をさらに含み、
上記の状態転換部は押し(Push)、スライド(Slide)、回転(Turn)、シーソー(Seesaw)、遮断膜の除去またはこれらの組み合わせで動作することを特徴とする、請求項7に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項14】
上記の状態転換部は上記のサンプルパッドから上記の濃縮キットを分離させることを特徴とする、請求項13に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項15】
上記のテストパッドに連結され、上記の分析物と結合して複合体を形成する探知部および表示部を結合させた結合体を含む複合パッドを追加に含む、請求項7に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項16】
上記の第1状態から第2状態に転換する状態転換部をさらに含み、
上記の複合パッドおよび上記の状態転換部が一体に形成されることを特徴とする、請求項15に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項17】
上記のテストパッドは、(i)上記の複合体を捕獲する第1捕獲部を含む検出領域および/または(ii)上記の複合体を形成していない上記の複合体または上記の探知部を捕獲する第2捕獲部を含む対照領域を含むことを特徴とする、請求項15に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項18】
上記のテストパッドに連結され、毛細管現象により上記のサンプルを吸収する吸収パッドを追加に含む、請求項7に記載のラテラルフロー型アッセイストリップ。
【請求項19】
サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップにおいて、
支持台、
上記の支持台に連結され、上記のサンプルを受容するサンプルパッド;
上記のサンプルパッドに含まれ、少なくとも一つの選択的なイオン透過膜を含む、濃縮キット;
上記の支持台に連結され、上記の分析物を捕獲する捕獲部を含むテストパッド;
上記のラテラルフロー型アッセイストリップを受容するケース;および
上記の支持台、上記のサンプルパッド、上記のテストパッド、または上記のケースに連結され上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間の上記の分析物の流動経路を遮断または連結する状態転換部を含む、ラテラルフロー型アッセイストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施例が属する技術分野はラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この部分に技術された内容は単に本実施例に関する背景情報を提供するだけで、従来技術を構成するものではない。
【0003】
現代医学は単に寿命を延長するものではなく、健康に長く生きる健康寿命の延長を実現することを目的にする。したがって、未来医学は治療医学を重心にするものではなく、予防医学(Preventive Medicine)、予測医学(Predictive Medicine)、個別化医学(Personalized Medicine)の3Pを具現することにパラダイムが変化している。これを具体的に実現するためには、疾病の早期発見および早期治療などが非常に重要な手段になっており、このための手段として、バイオマーカー(Biomarker)に関する研究が非常に活発に行われている。
【0004】
バイオマーカー(Biomarker)は正常や病的な状態を区分することができたり、治療反応を予測することができ、客観的に測定することができる表示
部をいう。バイオマーカーには核酸(DNA、RNA)、タンパク質、脂肪質、代謝物質などとそのパターンの変化などが用いられている。すなわち、糖尿病の診断のための血中ブドウ糖のような簡単な物質からグリベックの治療ターゲットである慢性骨水性白血病のBCR−ABL遺伝子融合のような遺伝子などがすべてバイオマーカーに該当し、臨床で実際に用いるバイオマーカーである。
【0005】
核酸またはタンパク質を分析して疾病の発現および進行の程度を把握することができる。タンパク質の分析の技術および素子はナノ技術を用いるので、素子の製作が難しく、比較的に高価であるので、普及されることが難しい問題点がある。また、タンパク質の分析装置に高感度のセンサーが必要であったり、少ない量のサンプルでは正確な分析が難しい短所がある。核酸またはタンパク質を検出する代表的な方法はクロマトグラフィー方式を用いるラテラルフロー型アッセイ方法である。このようなラテラルフロー型アッセイ方法は妊娠診断などの様々な分野で用いられている。
【0006】
妊娠診断キットを絨毛線性腺刺激ホルモン(HCG)に結合するモノクローナル抗体を用いる。HCGのみに反応するモノクローナル抗体であるHCG抗体に発色物質を付着する。尿の中のHCGが妊娠診断キットのHCG抗体と結合した後、移動しながら妊娠表示の窓ではHCG複合体およびHCGに結合する抗体が結合され赤色の帯が表れて、検査終了の窓では発色物質を付着されたHCG抗体およびHCG抗体に結合する抗体が結合して赤色の帯が表れる。
【0007】
HCGは普通は濃度が高くて感知が容易であるが、他のバイオマーカーは濃度が低くて検出が困難な問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1652294号(2016.08.24登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施例はサンプルパッドにサンプルを注入して、サンプルパッドに濃縮キットを付着して分析物を濃縮して、サンプルパッドに複合パッドを連結して分析物を複合パッドに移動させることにより、濃度が低いバイオマーカーを検出するのに発明の主な目的がある。
【0010】
本発明の明示されていないまたの他の目的は下記の詳細な説明およびその効果から容易に推論することができる範囲内で追加的に考慮することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本実施例の一側面によれば、サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップを持っているラテラルフロー型アッセイ方法において、サンプルパッドに上記のサンプルを注入するステップ、上記のサンプルパッドに濃縮キットを付着して上記の分析物を濃縮するステップ、および上記のサンプルパッドに複合パッドまたはテストパッドを連結して上記の分析物を上記の複合パッドまたはテストパッドに移動させるステップを含むラテラルフロー型アッセイ方法を提供する。
【0012】
上記のサンプルパッドに上記のサンプルを注入するステップの前に、上記のサンプルパッドから上記の複合パッドを分離するステップを追加に含むことができる。
【0013】
上記の分析物を濃縮するステップは上記の濃縮キットに電界を印加して上記の分析物を濃縮することができる。
【0014】
上記の分析物を濃縮するステップの以降に、(i)上記の濃縮キットに印加された上記の電界を除去するステップ、(ii)上記のサンプルパッドに上記の複合パッドを連結するステップ、または(iii)これらを組み合わせたステップを追加することができる。
【0015】
上記のサンプルパッドに上記の複合パッドを連結する前に、上記のサンプルパッドから上記の濃縮キットを分離するステップを追加に含むことができる。
【0016】
本実施例の他の側面によれば、サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップにおいて、支持台、上記の支持台に連結され、上記のサンプルを収用するサンプルパッド、および上記の支持台に連結されて、上記の分析物を捕獲する捕獲
部を含むテストパッドを含めて、上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間の上記の分析物の流動経路が遮断された構造を形成されることを特徴にするラテラルフロー型アッセイストリップを提供する。
【0017】
上記のサンプルパッドは濃縮キットを含めて、上記の濃縮キットは少なくとも一つの選択的なイオン透過膜および上記の少なくとも一つの選択的なイオン透過膜に連結される電極を含むことができる。
【0018】
上記の濃縮キットは線形に形成されるチャンネルおよび上記のチャンネルと離隔され形成されるバッファーを追加に含めて、上記の選択的なイオン透過膜は上記のバッファーと連結され上記のチャンネルを横切るように形成されることができる。
【0019】
上記の選択的なイオン透過膜の数は複数であり、上記の複数の選択的なイオン透過膜が上記のラテラルフロー型アッセイストリップの流動方向によって分離され位置することができる。
【0020】
ラテラルフロー型アッセイストリップは上記の複数の選択的なイオン透過膜の間の間隔を調節し、上記の間隔を表示する間隔調節部を追加に含むことができる。
【0021】
上記の濃縮キットは上記の電極に連結される電源を追加に含むことができる。
【0022】
上記の電源のサイズを調節し、上記の調節された電源のサイズを表示する電源調節部を追加に含むことができる。
【0023】
ラテラルフロー型アッセイストリップは(i)上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間に上記の分析物の流動経路を形成しない第1状態で(ii)上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間に上記の分析物の流動経路を形成する第2状態に転換されることができる。
【0024】
ラテラルフロー型アッセイストリップは上記の第1状態から第2状態に転換する状態転換部を追加に含め、上記の状態転換部は押し(Push)、スライド(Slide)、回転(Turn)、シーソー(Seesaw)、遮断膜の除去またはこれらの組合せで動作することができる。
【0025】
上記の状態転換部は上記のサンプルパッドから上記の濃縮キットを分離することができる。
【0026】
上記のテストパッドに連結され、上記の分析物と結合して複合体を形成する探知
部および表示
部を結合させた結合体を含む複合パッドを追加に含むことができる。
【0027】
上記の複合パッドおよび上記の状態
転換部が一体に形成されることができる。
上記のテストパッドは、(i)上記の複合体を捕獲する第1捕獲
部を含む検出領域および/または(ii)上記の複合体を形成していない上記の結合体または上記の探知
部を捕獲する第2捕獲
部を含む対照領域を含むことができる。
【0028】
本実施例の他の側面によれば、サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップにおいて、支持台、上記の支持台に連結され、上記のサンプルを収容するサンプルパッド、上記の支持台に連結され、上記の分析物を捕獲する捕獲
部を含むテストパッド、上記のラテラルフロー型アッセイストリップを収容するケース、および上記の支持台、上記のサンプルパッド、上記のテストパッド、または上記のケースに連結され上記のサンプルパッドおよび上記のテストパッドの間の上記の分析物の流動経路を遮断または連結する状態
転換部を含むラテラルフロー型アッセイストリップを提供する。
【発明の効果】
【0029】
以上で説明するように、本発明の実施例によれば、サンプルパッドにサンプルを注入して、サンプルパッドに濃縮キットを付着して分析物を濃縮し、サンプルパッドに複合パッドを連結して分析物を複合パッドに移動させることによって、濃度が低いバイオマーカーを検出することができる効果がある。
ここで明示的に言及していない効果であっても、本発明の技術的な特徴により期待される以下の明細書に記載された効果およびその暫定的な効果は本発明の明細書に記載されたものと同じように扱われる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1a】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップを例示した図面である。
【
図1b-1e】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップの濃縮キットを例示した図面である。
【
図2a-2g】本発明の実施例による様々なラテラルフロー型アッセイストリップを例示した図面である。
【
図3a-3c】本発明の実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップの状態
転換部を例示した図面である。
【
図4a-4c】本発明の実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップの状態
転換部を例示した図面である。
【
図5a-5d】本発明の実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップの状態
転換部を例示した図面である。
【
図6a-6b】本発明の実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットの一つの透過膜および二つの透過膜を例示した図面である。
【
図7】本発明の実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットの一つの透過膜および二つの透過膜による蛍光発現度を例示した図面である。
【
図8a-8b】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットに相違な電圧を印加して濃縮した結果を例示した図面である。
【
図9】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットに相違な電圧を印加して濃縮した結果を例示した図面である。
【
図10】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットで印加電圧を固定して、電界による蛍光発現度を例示した図面である。
【
図11】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットで電界を固定して、間隔による蛍光発現度を例示した図面である。
【
図12-13】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットにソースメーターおよびバッテリーを用いて分析物を濃縮した結果を例示した図面である。
【
図14】本発明の他の実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップを用いたラテラルフロー型アッセイ方法を例示した図面である。
【
図15-16】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップの複合パッドで濃縮された分析物が移動することを例示した図面である。
【
図17a-17b】本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップのテストパッドで濃縮された分析物および濃縮されていない分析物の検出結果を例示した図面である。
【0031】
以下、本発明を説明するにおいて、関連する公知機能についてこの分野の技術者に自明な事項として、本発明の要旨を必要なく曖昧にすることができると判断される場合には、その詳細な説明を省略して、本発明の一部の実施例を例示的な図面を通じて詳細に説明する。
【0032】
図1aは本発明の一実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップを例示した図面である。
図1aを参考にすれば、ラテラルフロー型アッセイストリップ(100)はサンプルパッド(120)、濃縮キット(13)、複合パッド(150)、テストパッド(160)、および吸収パッド(170)を含む。
【0033】
支持台(110)にサンプルパッド(120)、テストパッド(160)、および吸収パッド(170)に固定されることができ、テストパッド(160)が支持台(110)の役割をすることもできる。サンプルパッド(120)は検出しようとするサンプルを注入するパッドである。複合パッド(150)は発色物質に結合された探知
部を含むパッドである。探知
部はサンプル内の分析物と結合する。テストパッド(160)は検出領域(162)および対照領域(164)を含めて、サンプル内に分析物の存在可否を表示し、サンプルの移動可否を表示する。吸収パッド(170)は毛細管現象を用いてサンプルを吸収するパッドである。
【0034】
パッドは毛細管現象に反応する多孔性媒質で具現することができる。媒質はラテラルフローに用いることができるセルロース、ニトロセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデン、フッ化物、ナイロン、およびポリテトラフルオロエチレンなどを含むが、これに限定されるものではない。媒質は、単独または他の物質と組み合わせて用いることができる。
【0035】
ラテラルフロー型アッセイストリップ(100)は濃度が低いバイオマーカーを濃縮するための濃縮キット(13)を含む。濃縮キット(13)は選択的なイオン透過膜(130)および電源部(140)を含む。サンプルを濃縮するための選択的なイオン透過膜はナフィオン(Nafion)、 ポリスチレンスルホネート(Polystyrene Sulfonate、PSS)またはポリアリルアミン塩酸塩(Polyallylamine Hydrochloride、PAH)などで具現することができる。
選択的なイオン透過膜(130)は電源に連結される。選択的なイオン透過膜(130)には外部の電源と連結されるように薄膜電極が備えることもできる。二つの選択的なイオン透過膜(130)にはワイヤを介して陰電極、陽電極またはグラウンドが連結されて、両先端に電位差が発生する。
【0036】
選択的なイオン透過膜(130)はサンプルパッド(110)にパターン形成されたり、接着デープなどを用いてサンプルパッド(110)に付着することができる。サンプルパッド(110)はチャンネルのような役割をすることになる。選択的なイオン透過膜がパターン形成されたチャンネルはプロトン(Proton)を選択して透過させる一種のナノフィルターの役割を行う。例えば、選択的なイオン透過膜がナフィオン(Nafion)である場合、ナフィオンの化学構造の中、S03−によりH+イオンがホッピング(Hopping)および移動メカニズム(Vehicle Mechanism)によって選択的に早く透過されるようにする。したがって、ナフィオンと同じような選択的なイオン透過物質を通じてチャンネルの特定領域には分析しようとするタンパク質の物質を非常に速い時間に効率的に濃縮することができるようにする。
濃縮キットは微細気孔性物質(例えば、hydrogelなど)を用いてICP現象を発生するように具現することができる。天然物質または人工物質からなる微細気孔性透過膜に具現することができる。ここで、微細気孔はpore diameter>10nm、pore volume>0.6mL/gであることができるが、これは例示に過ぎず、これに限定されるものではなく、具現される設計により適合なサイズの微細気孔が用いることができる。
【0037】
微細気孔性物質(例えば、ナフィオン(nafion)など)をサンプルパッドに浸透(infiltraton)させる。液体状態の微細気孔性物質を透過膜(例えば、紙など)に浸透させて乾燥する方式で濃縮キットを生成することができる。
図1bないし
図1eを参考にすれば、一つの選択的なイオン透過膜を含む濃縮キットが図示されている。一つの選択的なイオン透過膜で発生する枯渇力(depletion force)とサンプルパッドから吸収パッドに流体の流れを用いて一つの選択的なイオン透過膜でICPを用いることができる。
図1bないし
図1dを参考にすると、本明細書の一実施例による濃縮キットは紙(1110)および選択的なイオン透過膜(130)を含む。紙(1110)は水がよく吸収することができる材質(親水性の材質)で構成される。しかし、紙(1110)の一部分に疎水性の物質が浸透すれば、その部分には水が吸収されない。
【0038】
紙(1110)には疎水性の物質が浸透してチャンネル(1120)およびバッファー(1140a、1140b)を形成する。ここで、疎水性の物質はチャンネル(1120)およびバッファー(1140a、1140b)を囲んでチャンネル(130)およびバッファー(1140a、1140b)を形成することができる。すなわち、チャンネル(1120)およびバッファー(1140a、1140b)の領域には疎水性の物質が浸透しなく、親水性で維持される。チャンネル(1120)およびバッファー(1140a、1140b)を囲む領域に疎水性の物質が浸透して疎水性になる。それによって、チャンネル(1120)やバッファー(1140a、1140b)に水(またはの他の溶液)を落としたら、その水はチャンネル(1120)やバッファー(1140a、1140b)を逸脱することなく、その中だけで拡散することができる。疎水性の物質は疎水性を有するのであれば、どのような物質であっても構わないが、例えば、疎水性の物質は、ワックスになることができる。以下では、説明の便宜のために、紙(1110)にワックスが浸透してチャンネル(1120)およびバッファー(1140a、1140b)が形成される場合を説明する。
【0039】
チャンネル(1120)は親水性の長い線の形で形成され濃縮キット(13)で毛細管の役割をする。チャンネル(1120)の両先端(1130a、1130b)の中で少なくとも一つはチャンネル(1120)の中央部分に比べてより広い幅を有することができる。チャンネル(1120)の一先端(1130a、1130b)の部分に濃縮のために液体を落とさなければならないので、十分に広い幅を確保すれば、濃縮作業がより容易になることができる。そして、反対側の先端(1130a、1130b)の部分が十分に広ければ、後述するイオン分極現象を多少緩和させることができ、抽出パッドの効果を高めることができる。
【0040】
バッファー(1140a、1140b)はチャンネルと離れて形成される。バッファーはどのような形態になっても構わない。ただし、バッファーに水を落として濃縮作業を行う場合に備えて、適切なサイズに形成されればよい。本実施例ではバッファーの形が円形で例示されているが、他の形になってもよい。本実施例では、バッファーが二つに分かれているが、一つだけ形成されてもよい。
【0041】
選択的なイオン透過膜(130)はバッファー(1140a、1140b)に連結されて、チャンネル(1120)を横切るように形成される。選択的なイオン透過膜(130)は選択的にイオンを通過させる選択的なイオン透過物質で構成されたナノチャンネル(ナノ多孔性の膜)を含む。選択的なイオン透過物質は糖的なイオンとはよく結合してお互いに引き寄せるが、他のイオンとはよく結合しなく引き寄せない特性を有する物質をいう。選択的なイオン透過物質は、例えば、ナフィオン(nafion)ができる。以下では、説明の便宜のために、ナフィオンが選択的なイオン通過物質として用いた場合、すなわち、選択的なイオン透過膜(130)がナフィオン線である場合を説明する。
選択的なイオン透過膜(130)は、例えば、二つのバッファー(1140a、1140b)を連結して、チャンネル(1120)を横切るように形成されることもできる。
【0042】
選択的なイオン透過膜(130)は紙(1110)の一面に形成される。濃縮のための作業の際には、選択的なイオン透過膜(130)が紙の下側に位置することができる。
【0043】
濃縮キット(13)は一面接着テープ(1160)をさらに含むことができる。一面接着テープ(1160)は紙(1110)と選択的なイオン透過膜(130)を結合して固定するための構成部である。一面接着テープ(1160)の代わりに他の接着部材が用いても構わない。
【0044】
濃縮キット(13)はチャンネル(1120)の一先端(1130b)に付着された抽出パッドをさらに含むことができる。抽出パッドはチャンネル(1120)の一先端(1130b)に連結されて分析対象物質の中、選択的なイオン透過膜(130)を通過した物質を抽出してチャンネル(1120)の外へ抽出する。それによって、継続的に分析対象物質を選択的なイオン透過膜(130)に通過させて濃縮しようとする物質をより高い濃縮度で濃縮することができる。
【0045】
図1eは電源(
1210)を連結した濃縮キット(13)を示す。
【0046】
図1eを参考にすれば、チャンネル(1120)の一先端(1130a)には電源(
1210)の陽極が連結されて、バッファーの中の一つ(1140b)には陰極が連結される。電源(
1210)が電圧を加えると、後述するように、濃縮が行われることができる。電源が省略される場合、電圧の代わり、イオンの拡散のために重力や磁場、その他の触媒などを用いることができる。
製造過程は製造装置により行われると仮定する。
【0047】
製造装置は紙に疎水性の物質を吸着させる。例えば、製造装置は紙にワックスを印刷する方式で、紙に疎水性の物質を吸着させることができる。本実施例で製造装置は
図1aに見えるように、チャンネル(1120)とバッファー(1140a、1140b)を除いた残りの部分(チャンネル(1120)の境界およびバッファー(1140a、1140b)の境界を構成する部分)にワックスを印刷する方式でチャンネルおよびバッファーのパターンに従って紙に疎水性の物質を吸着させることができる。ワックスプリンターおよび汎用コンピューターを用いてチャンネル(1120)とバッファー(1140a、1140b)の形に従って、ワックスが紙に印刷されることができる。
チャンネル(1120)は長い線の形で形成されて濃縮キット(13)で毛細管の役割をする。チャンネル(1120)の両先端(1130a、1130b)の中の少なくとも一つのチャンネル(1120)の中央部分に比べてより広い幅を有することができる。チャンネル(1120)の両先端(1130a、1130b)の部分に濃縮のために液体を落とさなければならないので、十分に広い幅を確保すれば、濃縮作業がより容易になることができる。
【0048】
バッファー(1140a、1140b)はチャンネルを離れて形成される。バッファーはどのような形になっても構わない。ただし、バッファーに水を落として濃縮作業を行う場合に備えて、適切なサイズに形成されればよい。本実施例ではバッファーの形が円形で例示されているが、他の形になってもよい。本実施例では、バッファーが二つに分かれているが、一つだけ形成されてもよい。
【0049】
製造装置は紙に疎水性の物質を浸透させる。例えば、製造装置はワックスが印刷された紙を加熱して、ワックスを紙に浸透させることができる。ホットプレートで摂氏130度で2分間ワックスが印刷された紙を加熱すると、紙に印刷されたワックスが溶解されたり、紙に染み込むことができる状態になって、紙に染み込む。それに応じて、チャンネル(1120)とバッファー(1140a、1140b)を除いた残りの部分の紙には疎水性のワックスが浸透して水が拡散することができず、チャンネル(1120)とバッファー (1140a、1140b)の部分のみに水が拡散できるように(親水性)なる。
チャンネル(1120)とバッファー(1140a、1140b)の領域は紙で構成されて、疎水性の物質が浸透していないので、親水性を維持する。しかし、疎水性の物質、例えば、ワックスがチャンネル(1120)とバッファー(1140a、1140b)を囲む部分の紙に浸透してチャンネル(1120)とバッファー(1140a、1140b)を形成する。チャンネル(1120)とバッファー(1140
a、1140b)を囲む部分は疎水性の物質、例えば、ワックスが浸透して疎水性を有する。
【0050】
製造装置は
図1cのように、選択的なイオン透過膜(130)を紙の一面に形成する。
【0051】
選択的なイオン透過膜(130)はバッファー(1140a、1140b)に連結され、チャンネル(1120)を横切るように形成される。選択的なイオン透過膜(130)は選択的にイオンを通過させる選択的なイオン透過物質からなるナノチャンネル(ナノ多孔性の膜)を含む。選択的なイオン透過物質は、特定なイオンとはよく結合して、お互いに引き寄せるが、他のイオンとはよく結合しなく、引き寄せない特性を有する物質をいう。選択的なイオン透過物質は、例えば、ナフィオン(Nafion)であることができる。以下では、説明の便宜のために、ナフィオンが選択的なイオン通過物質として用いた場合、すなわち、選択的なイオン透過膜(130)がナフィオン線である場合を説明する。
【0052】
選択的なイオン透過膜(130)は例えば、二つのバッファー(1140a、1140b)を連結してチャンネル(1120)を横切るように形成することができる。選択的なイオン透過膜(130)は紙(1110)の一面に形成される。濃縮のための作業の際には選択的なイオン透過膜(130)が紙(1110)の下側に位置することができる。
製造装置は紙(1110)に電源を連結する。
図1eに見えるように、チャンネル(1120)の一先端(1130a)には電源(
1210)のプラス(陽極)が連結されて、バッファーの中の一つ(1140b)には陰極が連結される。電源(
1210)が電圧を加えると、後述するように、濃縮が行われることができる。
【0053】
変形例によれば、製造装置はチャンネル(1120)の一先端(1130b)に抽出パッドを付着することができる。抽出パッドはチャンネル(1120)の一先端(1130b)に連結され、分析対象物質の中、選択的なイオン透過膜(130)を通過した物質を抽出し、チャンネル(1120)の外に抽出する。それによって、継続的に分析対象物質を選択的なイオン透過膜(130)に通過させて濃縮しようとする物質をさらに高い濃縮度に濃縮することができる。
【0054】
サンプルパッド、すなわち、チャンネルを手動毛細管力(Passive Capillary Force)を形成することができる他の種類の物質でも多孔性メンブレンを具現することができる。また、以下で選択的なイオン透過膜(130)が二つのパターンされた場合を例にして説明するが、場合によって、一直線上にさらに多い数がパターンされて付着されることもあることを予め明らかにしておく。
【0055】
この際に、両先端に配置された選択的なイオン透過膜(130)に電源が印加されて、電圧差が発生すれば、電圧差に応じた電界によって、流体の内に存在するイオンが各イオンの電気的な性質と反対である電極側に引き寄せられる。このように、イオンは電気的な性質により、チャンネルの内で動きながら、粘性力により流体の粒子を一緒に引き寄せるようになる。全体的な流体の流動が発生するようになり、このような流体の移動現象を電気浸透流動(Electro−Osmosis Flow、EOF)とし、イオンの動きを電気泳動(electrophoresis、EP)とする。
【0056】
このような、電気泳動(Capillary Electrophoresis)および電気浸透(Electro−Osmosis)の特性は選択的なイオン透過膜で具現されたチャンネルの近くでその特性が異なって、イオン濃度分極(Ion Concentration Polarization、ICP)が発生する。したがって、チャンネルの反応領域で陰極側ではイオン欠乏(Depletion)が発生して、陽極側ではイオン濃縮(Enrichment)が発生するようになる。この際に、欠乏された低いイオン濃度とそれに応じた高い電界により欠乏領域(Depletion Zone)が電荷(Charge)を帯びた分析物に対して一種の電気的な障壁(Electric Barrier)として作用するようになる。その結果、分析物は欠乏領域を通過できなく、その前に濃縮される。分析物がチャンネルの内の欠乏領域の前に、非常に速い時間で濃縮される。イオン濃度分極による欠乏領域のサイズは試料のイオン濃度分極が行われることにより拡張されるので、分析物はチャンネルの中央領域に濃縮領域を形成する。
【0057】
ラテラルフロー型アッセイ方法は、抗体―抗原反応に局限されないもので、本明細書で言及される結合部位(リガンド)は様々な分析物においてタンパク質リガンド(Ligand)、核酸(DNAまたはRNA)分子の配列の結合部位などを含めて、特異的な結合物質は結合部位に選択的、特異的に結合することができるタンパク質、ウイルスパアジ、核酸分子アプタマー(Aptamer)、ハプテン(Hapten、DNP)などを含む生体分子をすべて含むものであり、さらに記載事項に制限されるものではない。
以下では、サンプルパッドから離隔されたブリッジパッドを説明することにする。
図2aないし
図2cでは、サンプルパッドから離隔されたブリッジパッドが示されている。
【0058】
図2aを参考にすると、サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップは支持(210a)、サンプルパッド(220a)、ブリッジパッド(250a)、およびテストパッド(260a)を含む。ラテラルフロー型アッセイストリップは、
図1に例示的に示した様々な構成要素の中、いくつかの構成要素を省略したり、他の構成要素をさらに含むことができる。
【0059】
サンプルパッド(220a)は、支持台(210a)に連結され、サンプルを収容する。
サンプルパッド(220a)は、濃縮キットを含み、濃縮キットは、選択的なイオン透過膜(230a)、および選択的なイオン透過膜(230a)に連結された電極を含む。選択的なイオン透過膜(230a)に電源を印加すると、サンプルパッド(220a)の中央に濃縮領域(222a)が形成される。
【0060】
テストパッド(260a)は、支持台(210a)に連結され、分析物を捕獲する捕獲
部を含む。
【0061】
吸収パッド(270a)は、テストパッド(260a)に連結され、毛細管現象によりサンプルを吸収する。吸収パッド(270a)の形状、材質等に応じて、サンプルの移動速度が異なることになる。吸収パッド(270a)は、長さや吸収容量を調整して製作される。
【0062】
ブリッジパッド(250a)は、サンプルパッド(220a)に接触しないように、サンプルパッド(220a)から所定の距離に離隔され形成される。
図2aを参考にすると、ブリッジパッド(250a)は、テストパッド(260a)に連結することができる。
図2bを参考にすると、ブリッジパッド(250b)は、支持台(210b)に連結することができる。
【0063】
図2cを参考にすると、サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップは支持台(210c)、サンプルパッド(220c)、ブリッジパッド(250c)、テストパッド(260c)、およびケース(215)を含む。
ケース(215)は、ラテラルフロー型アッセイストリップを収容するように形成される。ブリッジパッド(250c)は、サンプルパッド(220c)から所定の距離に離隔されて形成される。ブリッジパッド(250c)は、ケース(215)に接続することができる。
【0064】
ブリッジパッド(250c)は、ケース(215)等に付着することができ、特定の取付方法によって制限されるものではない。例えば、ブリッジパッド(250c)をケース(215)に付着させケース(215)に圧力をかける場合に、ブリッジパッド(250c)は、ラテラルフロー型アッセイストリップに連結することができるように製造することができる。
【0065】
以下では、サンプルパッドに接触したブリッジパッドを説明することにする。
図2dないし
図2gでは、サンプルパッドに接触したブリッジパッドが示されている。
【0066】
図2dを参考にすると、ブリッジパッド(250d)は、第1状態から第2状態に転換される。第1状態は、サンプルパッドに接触していない状態であり、第2状態は、サンプルパッドに接触して、サンプルパッド(220
c)およびテストパッド(260d)の間の分析物の流路を形成した状態である。ブリッジパッド(250d)は、サンプルパッド(220
c)の濃縮領域(222d)に接触することができる。濃縮された分析物は、ブリッジパッド(250d)を経て、テストパッド(260d)に移動する。
テストパッド(260a)は、支持台(210a)に連結され、濃縮された分析物を捕獲する捕獲
部(262d)を含む。
【0067】
ブリッジパッド(250d)が第1状態から第2状態に移行する以前に、サンプルパッド(220
c)から電極(230d)が除去されることができる。これは、
図2eに示されている。
【0068】
図2fを参考にすると、ラテラルフロー型アッセイストリップは、複合パッド(255f)を含む。複合パッド(255f)は、テストパッド(260f)に連結され、分析物と結合して複合体を形成する探知
部および表示
部を結合させた結合体を含む。
表示
部は肉眼またはセンサーを用いて感知することができるように信号を発生させる物質である。表示
部は発色物質であることができ、例えば、金ナノパーティクルであることができるが、これに限定されるものではなく具現される設計に応じて適切な物質を用いることができることは言うまでもない。
【0069】
複合パッド(255f)とブリッジパッド(250f)は、一体に形成されることができ、これは、
図2gに示されている。
【0070】
テストパッド(260f)は、検出領域(262f)および対照領域(264f)の中少なくとも一つを含む。検出領域(262f)は、複合体を捕獲する第1捕獲
部を含む。すなわち、検出領域(262f)は、サンプルに分析物が存在するかどうかを検出する。対照領域(264f)は、複合体を形成していない結合体または検出者を捕獲する第2捕獲
部を含む。すなわち、対照領域(264f)は、分析物の存在の有無にかかわらず、サンプルが移動したかどうかを確認する。
【0071】
複合パッド(255f)で複合体を形成したり、テストパッド(260f)で捕獲する反応は、物理的な反応、化学的な反応、生物学的な反応、またはそれらの組み合わせによって形成されることができる。例えば、抗原−抗体反応であることができる。
複合パッド(255f)は表示
部−探知
部の結合体が位置され、分析物が複合パッド(255f)を通過しながら表示
部−探知
部−分析物の複合体を形成する。移動した 表示
部−探知
部−分析物の複合体は、検出領域(262f)で第1の捕獲
部によって捕獲される。
【0072】
ラテラルフロー型アッセイストリップはブリッジパッドを第1状態から第2状態に転換する状態転換部を追加で含む。
図3aないし
図3c、
図4aないし
図4c、
図5aないし
図5dは、本発明の実施例に係るラテラルフロー型アッセイストリップの状態転換部を例示した図面である。
【0073】
状態転換部の分析物を濃縮する際に、複合パッドを分離したり、分析物を検出する際に、複合パッドを連結する構造で形成される。状態転換部のサンプルパッドから濃縮キットを分離させることができる。または状態転換部のサンプルパッドに濃縮キットを連結させることができる。状態転換部を押し(Push)、スライド(Slide)、回転(Turn)、シーソー(Seesaw)、またはそれらの組み合わせで動作される。
図3aないし
図3cは、押し方式で動作する状態転換部が例示的に示されており、
図4aないし
図4cは、スライド方式で動作する状態転換部が例示的に示されており、
図5aないし
図5bは、シーソー方式で動作する状態遷移部例示的に示されており、
図5cないし
図5dは、遮断膜(例えば、OHPフィルムなど)の削除方式で動作する状態転換部が例示的に示されている。
【0074】
以下では、
図6ないし
図13を参考にして、ラテラルフロー型アッセイストリップの濃縮キットの選択的なイオン透過膜および電極による実験結果を説明することにする。
濃縮キットは、選択的イオン透過膜および電極を含む。選択的なイオン透過膜の数は複数であることができる。複数の選択的なイオン透過膜がラテラルフロー型アッセイストリップの流動方向に沿って分離されて位置する。
【0075】
図6a及び
図6bは、ラテラルフロー型アッセイストリップ用濃縮キットのシングル透過膜およびデュアル透過膜によって濃縮された分析物を例示した図面であり、
図7は、一つの透過膜および2つの透過膜による蛍光発現度を例示した図面である。
図6及び
図7を参考にすると、一つの透過膜、すなわち、シングルナフィオンを用いた濃縮キットと異なり、二つの透過膜、つまり、デュアルナフィオンを用いた 濃縮キットは、特定の時間の後も濃縮が進むことを容易に把握ことができる。例えば、8分後にも、デュアルナフィオンを用いる濃縮キットは、目標値ほど分析物を濃縮する。
濃縮キットは、電極に連結された電源をさらに含むことができる。ラテラルフロー型アッセイストリップは、電源のサイズを調節し、調節された電源のサイズを表示する電源制御部をさらに含むことができる。
【0076】
図8a、
図8b、および
図9は、ラテラルフロー型アッセイストリップの濃縮キットに異なる電圧を印加して、濃縮した結果を例示した図面である。
図8及び
図9を参考にすると、高い電圧を用いる濃縮キットは、低い電圧を用いる濃縮キットより濃縮率が高いことを容易に把握することができ、一定の電圧以上では、分析物の濃縮量が増加していないことを把握することができる。例えば、30Vを用いた濃縮キットと50Vを使用した濃縮キットの間の濃縮量が類似である。さらに、市販の
バッテリー9Vを用いた濃縮キットを用いても目標値だけの分析物を濃縮することができる。
【0077】
図10は、本発明の一実施例に係るラテラルフロー型アッセイストリップの濃縮キットで印加電圧を固定し、電界による蛍光発現度を例示した図面である。
図10を参考にすると、設定された電界の範囲内で、特定の電界を印加した濃縮キットで最大濃縮率を有することを把握することができる。例えば、18V/cmを用いた濃縮キットが最も高い濃縮率を有する。
【0078】
ラテラルフロー型アッセイストリップは、複数の選択的なイオン透過膜との間の間隔を調節して、間隔を表示する間隔調節部を追加で含むことができる。
【0079】
図11は、本発明の一実施例に係るラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットで電界を固定して、間隔に応じた蛍光発現度を例示した図面である。
図11を参考にすると、設定された間隔の範囲内で特定の間隔で設定された濃縮キットで最大濃縮率を有することを把握することができる。例えば、5mmに設定され、濃縮キットが最も高い濃縮率を有する。
【0080】
本実施例によれば、電圧、電界、感覚等に関するマッチング表を構成して、分析物に応じて適切な濃縮量を調節することができる。例えば、Voltage−9V、Sample buffer−0.1X PBS、Time−10 min、Sample volume−20uL、Detection time−conjugate padの連結した後、3分以内、Electrode−Ag/AgCl electrodeに設定することができる。PBSを用いた実験でさらにurineを用いた追加的な実験を通じて用いることができることを確認した。
【0081】
図12及び
図13は、本発明の一実施形態に係るラテラルフロー型アッセイストリップ用の濃縮キットにソースメータとバッテリーを用いて、分析物を濃縮した結果を例示した図面である。
図12及び
図13を参考にすると、市販のバッテリーを用いても濃縮キットが分析物を濃縮するために、問題がないことを把握することができる。
【0082】
図14は、本発明の他の実施例によるラテラルフロー型アッセイストリップを用いたラテラルフロー型アッセイ方法を例示した図面である。
【0083】
図14を参考にすると、ラテラルフロー型アッセイストリップを準備する。複合パッド(Conjugated Pad)を除去する。サンプルパッドに検出と濃縮するサンプルを注入する。濃縮キットをサンプルパッドに付着する。濃縮キットに電界を印加して、サンプルを濃縮する。電界をオフにして、複合パッドを連結する。毛細管現象によって濃縮されたサンプルが複合パッドに伝達され、ナノパーティクルにある受容体とサンプルが反応する。ナノパーティクルと反応されたサンプルがテストパッドに伝達され、テストラインとコントロールラインの受容体と反応する。最後に、テストラインとコントロールラインを分析するステップに進む。
【0084】
サンプル内の分析物を測定するラテラルフロー型アッセイストリップを用いた側方流動分析方法は、サンプルパッドに上記のサンプルを注入するステップ、サンプルパッドに濃縮キットを付着して上記の分析物を濃縮するステップ、サンプルパッドに複合パッドを連結して、分析物を複合パッドで移動させるステップを含む。
【0085】
ラテラルフロー型アッセイ方法は、サンプルパッドにサンプルを注入するステップの前に、サンプルパッドから複合パッドを分離するステップをさらに含むことができる。複合パッドをあらかじめ分離していなければ、濃縮を進めながら分析物(サンプル)が検出領域(テストライン)に移動したり、複合パッドにあるナノパーティクルが対照領域(コントロールライン)に移動することができる。すなわち、濃縮ステップで事前に検出されるので、テスト自体の信頼性に問題が生じるからである。
【0086】
分析物を濃縮するステップは、濃縮キットに電界を印加して、分析物を濃縮する。電界が高くなるほど濃縮率は高くなることがあるが、高い電界によって分析物が壊れることができ、収容体と分析物の結合がスムーズに行われないこともできる。また、高い電界によって受容体とナノパーティクルとの間の結合が切断されることもある。
【0087】
分析物を濃縮するステップの以後に、濃縮キットに印加された電界を除去し、サンプルパッドに複合パッドを連結する。
【0088】
ラテラルフロー型アッセイ方法は、サンプルパッドに上記複合パッドを連結する前に、サンプルパッドから濃縮キットを分離するステップをさらに含むことができる。
【0089】
ラテラルフロー型アッセイ方法は、サンプルパッドにレジャーバー(Reservoi)を形成して、完全湿潤状態(Fully Wet Condition)を維持することができる。一定量以上のサンプルが提供されたり、サンプルの蒸発による濃度変化を遮断して、濃縮率を増大させることができる。
【0090】
ラテラルフロー型アッセイ方法は、濃縮を行う際に、電圧を印加して二つのナフィオンの電界を印加する。
【0091】
ラテラルフロー型アッセイ方法は、電圧を固定して、二つのナフィオンの間隔を調整して、電界を調節することができる。この際に、間隔が狭くなればなるほど電界が高くなり、濃縮比が高くなることがあるが、二つのナフィオンの間に存在するサンプルの絶対的な濃縮量の限界で濃縮率に限界を有することができる。したがって電界に応じた最適濃縮量の調節が必要である。
【0092】
ラテラルフロー型アッセイ方法は、受容体(探知
部)の周辺には電界を印加しない。受容体(探知
部)は、受容体が存在するところに電界を印加する場合、受容体が壊れたり、固定されている受容体が離れることがある。検出領域および対照領域があるテストパッドの部分でのICP現象はElectric potentialによるAb−Ag結合を破壊させて直接的に用いることができない。
【0093】
図15及び
図16は、本発明の一実施例に係るラテラルフロー型アッセイストリップの複合パッドで濃縮された分析物が移動することを例示した図面である。
図15及び
図16を参考にすると、濃縮された物質が複合パッドで移動することを把握することができる。
【0094】
図17は、本発明の一実施例に係るラテラルフロー型アッセイストリップのテストパッドで濃縮された分析物および濃縮されていない分析物の検出結果を例示した図面である。
【0095】
濃縮キットがない一般的なストリップでは、テストラインが表示さないが、本実施形態に係る濃縮キットが含まるストリップでは、テストラインが表示されることを把握することができる。点線のグラフは、一般的なストリップに関するデータであり、棒グラフは、本実施形態に係る濃縮キットが含まれるストリップに関するデータである。
【0096】
本実施例では、分析物のバイオマーカーをイオン濃度分極(Ion Concentration Polarization、ICP)を介して分離し、分析物を数倍以上濃縮することにより、一般的なストリップで検出されないバイオマーカーを検出することができる効果がある。バイオマーカーは、HCG(human chorionic gonadotropin)などのhormoneだけでなく、Proteinも適用することができる。例えば、心筋梗塞バイオマーカー− troponin、アルツハイマーバイオマーカー −amyloid beta、乳がんバイオマーカー −HER2など多くのバイオマーカーを濃縮して敏感度(sensitivity)を向上させることができる。比色分析(colorimetric)を用いて分析物を目で確認することができる。
【0097】
反応の後、携帯電話で撮影して画像を用いた色の分析および定量化することができる。画像内の色相の鮮明度(intensity)を測定したり、数値(hue value)で表現することができる。蛍光分析、すなわち、キット内に蛍光を発する物質を適用して定量分析が可能である。
【0098】
本実施例は、本実施例の技術思想を説明するためのものであり、このような実施例により、本実施例の技術思想の範囲が限定されるものではない。本実施例の保護範囲は以下の請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0099】
100:ラテラルフロー型アッセイストリップ
110:支持台
120:サンプルパッド
13:濃縮キット
130:選択的なイオン透過膜
140:電源部
150:複合パッド
160:テストパッド
162:検出領域
164:対照領域
170:吸収パッド