特許第6972160号(P6972160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972160
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0018 20190101AFI20211111BHJP
   F24F 1/0033 20190101ALI20211111BHJP
   F24F 1/0022 20190101ALI20211111BHJP
【FI】
   F24F1/0018
   F24F1/0033
   F24F1/0022
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-549814(P2019-549814)
(86)(22)【出願日】2018年2月19日
(86)【国際出願番号】JP2018005801
(87)【国際公開番号】WO2019087421
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年9月17日
(31)【優先権主張番号】特願2017-213174(P2017-213174)
(32)【優先日】2017年11月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川村 政貴
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−063548(JP,A)
【文献】 特開2004−353510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0018
F24F 1/0033
F24F 1/0022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を吸込む吸込み口を少なくとも1つ有する筐体内に、左右方向に複数配列された遠心ファンと、上記遠心ファンを回転駆動させる駆動軸を左右に有し、隣り合う遠心ファン間に配置されたモータと、上記モータの外周面の一部を覆うモータカバーと、を備え、
上記モータカバーは、上記吸込み口に向かって突出して設けられた壁体を少なくとも1つ有し、
上記壁体は、上記吸込み口との対向面から上記駆動軸の軸方向の一方の側面に繋がる風路を形成する第1開口部と、上記第1開口部と隔壁で分離され、上記吸込み口との対向面から上記駆動軸の軸方向の他方の側面に繋がる風路を形成する第2開口部と、を有していることを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
上記第1開口部は、上記壁体における上記吸込み口との対向面から上記駆動軸の軸方向の一方の側面にかけて切り欠かれた切欠部であり、上記第2開口部は、上記壁体における上記吸込み口との対向面から上記駆動軸の軸方向の他方の側面にかけて切り欠かれた切欠部であることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
上記第1開口部および上記第2開口部は、平面視で、上記駆動軸に直交する方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
上記第1開口部は、上記モータカバーを正面から見たときの奥行き方向に、上記駆動軸よりも前方に少なくとも1つ形成されており、上記第2開口部は、上記モータカバーを正面から見たときの奥行き方向に、上記駆動軸よりも後方に少なくとも1つ形成されていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の室内機。
【請求項5】
上記吸込み口は、上記筐体の上面部および下面部の少なくとも一方に形成されており、上記壁体は、上記モータカバーの上部および下部の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項6】
上記吸込み口は、上記筐体の上面部および下面部にそれぞれ形成されており、上記壁体は、上記モータカバーの上部および下部にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項7】
上記壁体に、上記モータカバーを上記筐体に固定する固定部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の空気調和機の室内機。
【請求項8】
上記モータは、上記駆動軸の周囲に防振材を備え、
上記モータカバーは、上記モータの上半分の一部を覆う上部モータカバーと、上記モータの下半分の一部を覆う下部モータカバーと、を備え、上記上部モータカバーと上記下部モータカバーとで上記防振材を挟み込むことで、上記防振材とのみ接触した状態で上記モータを支持していることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心ファンおよび遠心ファンを駆動するモータを備えた空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機は、例えば特許文献1に開示されているように、内部に送風機を備えている。上記室内機は、送風機を回転させることにより、吸込み口から吸い込んだ空気を、熱交換器を介して、吹出し口から吹き出す。
【0003】
近年の空気調和機には、空気調和機能に加えて空気清浄機能を備えたものが開発されている。例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)は通風抵抗が大きく、空気清浄にHEPAフィルタを使用した場合には、吹出し口から吹き出す空気の風量が大幅に低下する。そこで、空気清浄にHEPAフィルタを使用する場合には、十分な風量(十分な空気の吸込み量)を確保する必要がある。
【0004】
一般的な空気調和機では、送風機として、クロスフローファンと称される横断流ファンを用いている。しかしながら、十分な風量を得るためには、送風機として、シロッコファンと称される遠心ファンを用いることが好ましい。
【0005】
特許文献1には、軸方向に、それぞれケーシング内に配置された遠心ファンを2つ配置し、2つのケーシングの間に設けられたモータで、2つの遠心ファンを回転する空気調和機の室内機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開平6−42768号公報(1994年2月18日公開)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、2つのケーシングの間は仕切り材で仕切られており、各ケーシングの吸込部から吸入した空気を、遠心ファンの回転により加速して、各ケーシングの吐出部から吐出する。このため、特許文献1の構成では、モータの上方および下方に無駄なスペースが存在する。
【0008】
本発明の一態様は、遠心ファンを駆動するモータの上方または下方のスペースを、遠心ファンの空気の吸い込みに利用することができる空気調和機の室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様にかかる空気調和機の室内機は、空気を吸込む吸込み口を少なくとも1つ有する筐体内に、左右方向に複数配列された遠心ファンと、上記遠心ファンを回転駆動させる駆動軸を左右に有し、隣り合う遠心ファン間に配置されたモータと、上記モータの外周面の一部を覆うモータカバーと、を備え、上記モータカバーは、上記吸込み口に向かって突出して設けられた壁体を少なくとも1つ有し、上記壁体は、上記吸込み口との対向面から上記駆動軸の軸方向の一方の側面に繋がる風路を形成する第1開口部と、上記第1開口部と隔壁で分離され、上記吸込み口との対向面から上記駆動軸の軸方向の他方の側面に繋がる風路を形成する第2開口部と、を有している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、遠心ファンを駆動するモータの上方または下方のスペースを、遠心ファンの空気の吸い込みに利用することができる空気調和機の室内機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1にかかる空気調和機の室内機の外観を示す斜視図である。
図2図1に示した空気調和機の室内機を側面方向から見たときの室内機の縦断面図である。
図3図2に示した主要部材を組み付けた状態における、本発明の実施形態1にかかる空気調和機の室内機の斜視図である。
図4】本発明の実施形態1にかかる室内機本体部のキャビネットの外観を示す斜視図である。
図5】キャビネット内に配置された、本発明の実施形態1にかかる送風機の要部の正面図である。
図6】本発明の実施形態1にかかる空気調和機の室内機を正面方向から見たときの送風機の要部の縦断面図である。
図7】(a)は、本発明の実施形態1にかかる、モータ本体を収容した状態のモータカバーの外観を示す正面図であり、(b)は、本発明の実施形態1にかかる、モータ本体を収容した状態のモータカバーの外観を示す側面図であり、(c)は、本発明の実施形態1にかかる、モータ本体を収容したモータカバーから上部モータカバーを外した状態を示す正面図である。
図8】(a)〜(c)は、本発明の実施形態1にかかる、モータ本体を収容した状態のモータカバーの外観を示す図であり、(a)は、上記モータカバーを右側の端面側から見たときの斜視図であり、(b)は、上記モータカバーを左側の端面側から見たときの斜視図であり、(c)は、上面図である。
図9】本発明の実施形態2にかかる空気調和機の室内機を正面方向から見たときの送風機の要部の縦断面図である。
図10】(a)・(b)は、本発明の実施形態2にかかる、モータ本体を収容した状態のモータカバーの外観を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
図11】(a)〜(c)は、本発明の実施形態2にかかる、モータ本体を収容した状態のモータカバーの外観を示す図であり、(a)は、上記モータカバーを右側の端面側から見たときの斜視図であり、(b)は、上記モータカバーを左側の端面側から見たときの斜視図であり、(c)は、下面図である。
図12】本発明の実施形態3にかかる空気調和機の室内機を正面方向から見たときの送風機の要部の縦断面図である。
図13】(a)・(b)は、本発明の実施形態3にかかる、モータ本体を収容した状態のモータカバーの外観を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
図14】(a)・(b)は、本発明の実施形態3にかかる、モータ本体を収容した状態のモータカバーの外観を示す図であり、(a)は、上記モータカバーを右側の端面側から見たときの斜視図であり、(b)は、上記モータカバーを左側の端面側から見たときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1乃至図8の(a)〜(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。図1は、本実施形態にかかる空気調和機の室内機1の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示した空気調和機の室内機1を側面方向から見たときの室内機1の縦断面図である。図3は、図2に示した主要部材を組み付けた状態における、本実施形態にかかる空気調和機の室内機1の斜視図である。図4は、本実施形態にかかる室内機本体部2のキャビネット30の外観を示す斜視図である。なお、本実施形態では、室内機1の上下方向(法線方向)の断面を示す図を、縦断面図と称する。
【0013】
(室内機1の概略構成)
図1に示すように、空気調和機の室内機1は、室内機本体部2と、室内機本体部2の前面に設けられた導風板3と、を備えている。室内機本体部2は、図2に示すように、キャビネット30と、送風機13と、熱交換器14と、ドレンパン21と、を備えている。
【0014】
室内機本体部2の上部には、第1吸込み口11が設けられている。室内機本体部2の下部には、第2吸込み口12が設けられている。室内機本体部2の前部には、吹出し口17が設けられている。室内機本体部2は、第1吸込み口11の内側(下側)に、第1フィルタ15を有し、第2吸込み口12の内側(上側)に第2フィルタ16を有している。第1フィルタ15は、例えばプレフィルタに相当する機能を有するフィルタであり、第2フィルタ16よりも低性能であり、第2フィルタ16よりも通風抵抗が小さいフィルタである。第2フィルタ16は、例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)であり、第1フィルタ15よりも高性能であり、第1フィルタ15よりも通風抵抗が大きいフィルタである。
【0015】
第1吸込み口11から室内機1に吸い込まれた空気は、第1フィルタ15を経た後、送風ファン41により熱交換器14へ吹き付けられ、吹出し口17から吹き出される。第2吸込み口12から室内機1に吸い込まれた空気は、第2フィルタ16を経た後、送風ファン41により熱交換器14へ吹き付けられ、吹出し口17から吹き出される。なお、送風機13の詳細については後述する。
【0016】
第1吸込み口11には、第1吸込み口11を開閉する開閉蓋18が設けられている。開閉蓋18は、キャビネット30の上部に取り付けられている。開閉蓋18は、空調モードで運転する場合に開状態となる。また、開閉蓋18は、空気調和機が停止状態である場合、もしくは、空気調和機を、空気清浄モードで運転する場合に閉状態となる。
【0017】
空調モードは空気清浄機能よりも空気調和機能を優先する場合の空気調和機の運転モードである。空気清浄モードは、空気調和機能よりも空気清浄機能を優先する場合の空気調和機の運転モードである。空調モードでは、空気は、主として第1吸込み口11から吸い込まれる。一方、空気清浄モードでは、空気は、第2吸込み口12のみから吸い込まれる。
【0018】
導風板3は、吹出し口17から吹き出された空気(気流)が、冷房運転では斜め上に向かい、暖房運転では斜め下に向かうように、配置される。
【0019】
図2図4に示すように、キャビネット30は、上面部31と、背面部32と、下面部33と、を有している。上面部31には第1吸込み口11が設けられている。下面部33は第2吸込み口12が設けられている。
【0020】
キャビネット30は、送風機13、熱交換器14、およびドレンパン21を支持している。キャビネット30は筐体の一部であり、送風機13は、キャビネット30の内部に設けられている。導風板3、熱交換器14、およびドレンパン21は、キャビネット30に組み付けられている。
【0021】
熱交換器14は、2個の熱交換器を上下に連結し、連結部が前方へ突出したV字状であり、送風機13の前方(送風機13よりも室内機1の前面側)に配置されている。
【0022】
ドレンパン21にはドレンパイプ22が接続されている。熱交換器14で生じた水は、ドレンパン21で受け止められ、ドレンパイプ22を通じて空気調和機から排出される。
【0023】
(送風機13の構成)
図5は、キャビネット30内に配置された、本実施形態にかかる送風機13の要部の正面図である。図6は、本実施形態にかかる空気調和機の室内機1を正面方向から見たときの送風機13の要部の縦断面図である。図7の(a)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の外観を示す正面図であり、図7の(b)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の外観を示す側面図であり、図7の(c)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容したモータカバー50から上部モータカバー70を外した状態を示す正面図である。図8の(a)〜(c)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の外観を示す図であり、図8の(a)は、上記モータカバー50を右側の端面側から見たときの斜視図であり、図8の(b)は、上記モータカバー50を左側の端面側から見たときの斜視図であり、図8の(c)は、上面図である。なお、図6は、モータカバー50の第1開口部74の位置で送風機13を長手方向に切断したときの送風機13の要部の縦断面図を示している。図5および図6では、ファンケーシング47の図示を省略している。
【0024】
図5および図6に示すように、送風機13は、2つの送風ファン41と、図示しない2つのファンケーシング47(図2参照)と、ファンモータ51(モータ)と、モータカバー50と、を備えている。
【0025】
2つの送風ファン41は、キャビネット30内に、室内機1の長手方向に沿って、左右方向に並設されている。図2に示すように、各ファンケーシング47は、それぞれ、各送風ファン41の外周面の一部を覆っている。図3図4図5の(a)〜(c)、および図6の(a)〜(c)に示すように、モータカバー50は、ファンモータ51の外周面の一部を覆っている。
【0026】
以下、2つの送風ファン41を区別する必要がある場合には、ファンモータ51の左側の送風ファン41を第1送風ファン41aと称し、ファンモータ51の右側の送風ファン41を第2送風ファン41bと称する。一方、第1送風ファン41aと第2送風ファン41bとを特に区別する必要がないときは、これら第1送風ファン41aおよび第2送風ファン41bを、それぞれ、単に送風ファン41と記す。
【0027】
ファンモータ51と2つの送風ファン41とは、室内機1の長手方向に沿って直列に接続して配置されている。ファンモータ51は、円筒形状を有するモータ本体52の左右の端面にそれぞれ駆動軸53を有する両軸モータである。
【0028】
ファンモータ51は、左右に隣り合う送風ファン41の間に配置されており、駆動軸53を介して、各送風ファン41に、それぞれ回転力を伝達することで、各送風ファン41を回転駆動する。図示はしないが、熱交換器14は、送風機13の前方に、2つの送風ファン41に跨って配設される。
【0029】
図5および図6に示すように、送風ファン41は、2つの多翼ロータ42(羽根車)を互いのディスク面42aで接続した構成のシロッコファン(遠心ファン)である。送風ファン41としてシロッコファンを用いることで、クロスフローファンよりも大きい風量・風圧を得ることができる。
【0030】
送風ファン41は、軸方向の両方の側面に開口部44を有している。送風ファン41は、所定の方向に多翼ロータ42が回転することにより、多翼ロータ42における、駆動軸53に平行な方向の開口部44から空気を吸込み、多翼ロータ42の外周面(つまり、回転面)の開口部45から空気を吹き出す。したがって、ファンケーシング47には、送風ファン41の開口部44と対向する位置に、それぞれ開口部48(図2参照)が形成されている。
【0031】
各送風ファン41は、中心部に回転軸43を有し、隣り合う送風ファン41の回転軸43の位置は、垂直方向において一致している。
【0032】
また、各送風ファン41は、ファンモータ51の駆動軸53を固定するためのボス46を備えている。ボス46は、例えばアルミニウム製の中空の直管で形成されている。ボス46は、各多翼ロータ42における開口部44から一部突出するように形成されている。つまり、ボス46は、多翼ロータ42が回転する際に空気を吸込む、空気吸込み側の開口部44から外側に突出するように形成されている。
【0033】
各駆動軸53および各回転軸43は、左右の送風ファン41のボス46にそれぞれ挿入されている。各駆動軸53および各回転軸43は、各ボス46に、例えば図示しないネジで固定されている。これにより、各送風ファン41の回転軸43は、各ファンモータ51の駆動軸53と連結されている。
【0034】
ファンモータ51の各駆動軸53は、ボス46を介して左右の送風ファン41を回転可能に支持している。2個の送風ファン41は、1個のファンモータ51で駆動されて回転する。
【0035】
モータ本体52の左右の両端面から突出する駆動軸53の周囲には、ファンモータ51の振動の伝達を防止する防振材として、円盤状の防振ゴム54が設けられている。
【0036】
図7の(a)〜(c)および図8の(a)〜(c)に示すように、モータカバー50は、下部モータカバー60と上部モータカバー70とで構成されている。下部モータカバー60は、モータ本体52の下半分の一部を覆うカバー体である。上部モータカバー70は、モータ本体52の上半分の一部を覆うカバー体である。
【0037】
下部モータカバー60は、内部に、モータ本体52を収容する、半円筒形状のモータ収容部61と、下部モータカバー60と上部モータカバー70とを連結させる連結部62と、後述する固定部材67と、を備えている。
【0038】
上部モータカバー70は、内部に、モータ本体52を収容する、半円筒形状のモータ収容部71と、下部モータカバー60と上部モータカバー70とを連結させる連結部72と、モータ収容部71の上面に設けられた壁体73と、後述する固定部材77・78と、を備えている。壁体73は、モータ収容部71の上面に、駆動軸53に直交する方向に沿って、第1吸込み口11に向かって上方に突出して設けられている。
【0039】
下部モータカバー60と上部モータカバー70とは、例えば、図示しないネジで連結されている。下部モータカバー60は、連結部62として、例えば、モータ収容部61から水平に突出し、図示しないネジ穴を有するフリンジ部を有している。上部モータカバー70は、連結部72として、例えばネジ山に結合するネジ溝が設けられた筒状部62aを有し、モータ収容部71から水平に突出するフリンジ部を有している。なお、図示はしないが、下部モータカバー60および上部モータカバー70の背面側にも、下部モータカバー60と上部モータカバー70とを連結させる図示しない連結部が設けられている。
【0040】
図6に示すように、モータ収容部61は、内部に、モータ本体52を収容する半円筒形状の凹部61aを有している。上部モータカバー70におけるモータ収容部71は、内部に、モータ本体52を収容する半円筒形状の凹部71aを有している。
【0041】
下部モータカバー60および上部モータカバー70は、例えば樹脂で形成されている。図7の(b)および図8の(a)・(b)に示すように、モータ収容部61の両端面には、ファンモータ51の左右の防振ゴム54が嵌め込まれる半円弧状の切欠部61bが形成されている。切欠部61bは、防振ゴム54の外周の下半分の形状に合わせて切り欠かれている。モータ収容部71の両端面には、ファンモータ51の左右の防振ゴム54が嵌め込まれる半円弧状の切欠部71bが形成されている。切欠部71bは、防振ゴム54の外周の上半分の形状に合わせて切り欠かれている。切欠部61b・71bは、下部モータカバー60と上部モータカバー70とを組み合わせることにより、防振ゴム54とほぼ同じ大きさの円形状の穴になる。
【0042】
ファンモータ51の左右の防振ゴム54を上部モータカバー70と下部モータカバー60とで上下方向に挟み込むことで、モータカバー50は、ファンモータ51を支持している。ファンモータ51は、左右の防振ゴム54のみでモータカバー50と接触している。ファンモータ51の駆動軸53は、切欠部61b・71bを通してモータカバー50の外に引き出されている。
【0043】
また、モータ収容部71の上面の中央部には、図8の(a)〜(c)に示すように、駆動軸53に直交する方向に沿って、帯状に開口部71cが設けられている。このため、モータ本体52の上面の一部は、開口部71cから露出している。なお、図示はしないが、モータ収容部61の下面の中央部にも、駆動軸53に直交する方向に沿って、図示しない帯状の開口部が設けられている。モータ本体52の下面の一部は、モータ収容部61の下面の中央部に設けられた図示しない開口部から露出している。
【0044】
壁体73は、第1吸込口11からキャビネット30内に吸い込んだ空気の流れを、隣り合う送風ファン41の一方に向う流れと他方に向う流れとに分離してそれぞれの送風ファン41に導く分離壁兼導風壁として機能する。また、壁体73は、モータカバー50とキャビネット30とを固定する固定部材として機能する。
【0045】
壁体73には、モータカバー50を正面から見たときの奥行き方向に、該奥行き方向の中央部を境にして手前側の右側面の一部が縦方向に切り欠かれた第1開口部74と、奥側の左側面の一部が縦方向に切り欠かれた第2開口部75と、が設けられている。なお、モータカバー50を正面から見たときの奥行き方向とは、室内機1の前面側から背面側に向かう方向を示す。
【0046】
第1開口部74と第2開口部75とは、隔壁73aで分離されている。隔壁73aは、平面視で駆動軸53と一直線上に位置するように、駆動軸53に沿って開口部71cを跨いでいる。このため、第1開口部74は、隔壁73aを挟んで、第2開口部75よりも、室内機1の前面側に位置している。第2開口部75は、隔壁73aを挟んで、第1開口部74よりも、室内機1の背面側に位置している。
【0047】
第1開口部74は、平面視で、隔壁73aを奥側の壁部として、右側面の一部が開口された枠形状(言い換えれば、溝形状)を有している。第2開口部75は、平面視で、隔壁73aを手前側の壁部として、左側面の一部が開口された枠形状(言い換えれば、溝形状)を有している。このため、壁体73は、平面視で略逆S字形状を有している。
【0048】
図6に示すように、第1開口部74は、駆動軸53の軸方向において、駆動軸53の右側に配置された第2送風ファン41bの一方の開口部44側が開放されている。第2開口部75は、駆動軸53の軸方向において、駆動軸53の左側に配置された第1送風ファン41aの一方の開口部44側が開放されている。なお、第1開口部74および第2開口部75は、駆動軸53の軸方向において、隣り合う送風ファン41の開口部44に面していることが、より望ましい。
【0049】
また、第1開口部74および第2開口部75は、縦方向において、室内機本体部2の第1吸込み口11に面して設けられている。つまり、第1開口部74および第2開口部75の上面(つまり、上側の開口端面)は、それぞれ、室内機本体部2の第1吸込み口11に面して設けられている。
【0050】
第1開口部74および第2開口部75の上面である、第1吸込み口11側の開口端面は、それぞれ、空気の取込み口として機能する。また、第1開口部74および第2開口部75における、各送風ファン41の開口部44側の開口端面は、空気の取出口として機能する。
【0051】
第1開口部74は、壁体73の上面(つまり、第1吸込み口11との対向面)から右側面に繋がる第1風路を形成している。言い換えれば、第1開口部74は、第1吸込み口11との対向面に空気の取入口が形成され、一方の送風ファン41の空気の吸込み口(開口部44)側に、空気の取出口が形成された第1風路を形成している。
【0052】
また、第2開口部75は、壁体73の上面から左側面に繋がる第2風路を形成している。言い換えれば、第2開口部75は、第1吸込み口11との対向面に空気の取入口が形成され、他方の送風ファン41の空気の吸込み口(開口部44)側に、空気の取出口が形成された第2風路を形成している。
【0053】
これにより、第1送風ファン41aは、隔壁73aの奥側の第2開口部75を介して第1吸い込み口11から室内機本体部2内に取り込んだ空気を吸引することが可能となる。また、第2送風ファン41bは、隔壁73aの手前側の第1開口部74を介して第1吸い込み口11から室内機本体部2内に取り込んだ空気を吸引することが可能となる。
【0054】
送風ファン41がファンモータ51により回転すると、第1吸込み口11から第1フィルタ15を介して室内機本体部2に空気が吸い込まれる。第1吸込み口11から室内機本体部2内に空気が吸い込まれると、モータカバー50の外部およびファンケーシング47の外部が正圧となり、モータカバー50の内部およびファンケーシング47の内部が負圧となる。
【0055】
室内機本体部2内に吸い込まれた空気の一部は、モータカバー50に設けられた第1開口部74および第2開口部75からモータカバー50内に流入し、第1開口部74内および第2開口部75内を通って、駆動軸53に平行な方向の開口部44から、送風ファン41に吸い込まれる。また、このとき、第1開口部74および第2開口部75から開口部71cを通ってモータカバー50内に流入した空気により、モータ本体52が冷却される。ファンケーシング47内に吸い込まれた空気は、送風ファン41を構成する多翼ロータ42の外周面の開口部45から吹き出される。
【0056】
また、図7の(b)および図8の(a)・(b)に示すように、モータ収容部71および壁体73における、キャビネット30の背面部32との対向面には、背面部32にモータカバー50を固定する固定部材77がそれぞれ設けられている。固定部材77は、モータカバー50を、キャビネット30の背面部32にネジ止めするための螺着部材であってもよく、爪状の掛着部材であってもよい。
【0057】
なお、図7の(b)および図8の(a)・(b)では、上述したように上部モータカバー70の背面に固定部材77が設けられている場合を例に挙げて図示している。しかしながら、固定部材77は、下部モータカバー60の背面に設けられていても構わない。
【0058】
また、図6に示すように、壁体73の上面には、モータカバー50を、キャビネット30の上面部31に固定するための固定部材78が設けられている。下部モータカバー60の下面(すなわち、モータ収容部71の下面)には、モータカバー50を、キャビネット30の下面部33に固定するための固定部材67が設けられている。なお、図7の(a)〜(c)および図8の(a)〜(c)では、固定部材67・77・78の図示を省略している。
【0059】
固定部材78は、モータカバー50を、キャビネット30の上面部31から吊り下げる吊着部材であってもよく、モータカバー50を、キャビネット30の上面部31にネジ止めするための螺着部材であってもよい。また、固定部材67は、モータカバー50を、キャビネット30の下面部33にネジ止めするための螺着部材であってもよく、モータカバー50を、キャビネット30の下面部33の一部に嵌合させる嵌着部材であってもよい。これら固定部材67・77・78の種類および数、並びに、モータカバー50とキャビネット30の固定方法は、特に限定されない。
【0060】
モータカバー50は、これら固定部材67・77・78により、上部が上記上面部31と接し、下部が上記下面部33と接し、背面(後部)が上記背面部32と接している。
【0061】
(効果)
上記構成の空気調和機によれば、モータカバー50が上記壁体73を有していることで、ファンモータ51の上方のスペースを、送風ファン41の空気の吸い込みに利用することができる。このため、送風ファン41内に吸引する空気および該送風ファン41を介して吹出し口17から吹き出される空気の風量を増加させることができるともに、ファンモータ51の上部を有効活用することができる。モータカバー50に、第1開口部74および第2開口部75を有する上記壁体73が設けられていない場合、ファンモータ51の上方が無駄なスペースになってしまう。
【0062】
また、上記構成の空気調和機によれば、第1開口部74と第2開口部75とが隔壁73aで分離されていることで、モータカバー50の上部の第1吸込み口11から室内機本体部2に吸い込んだ空気を、第1送風ファン41aおよび第2送風ファン41bそれぞれに、均等かつ効率良く導くことができる。
【0063】
第1開口部74と第2開口部75とが隔壁73aで分離されていない場合、モータカバー50の上部の第1吸込み口11から室内機本体部2に吸い込んだ空気に対し、第1送風ファン41aと第2送風ファン41bとの両方から吸引が行われる。
【0064】
この結果、第1送風ファン41aに吸引される空気と第2送風ファン41bに吸引される空気とが衝突し、それぞれの空気が、第1送風ファン41aおよび第2送風ファン41bにスムーズに吸引されない。また、衝突した空気が抵抗となるため、第1開口部74と第2開口部75とが隔壁73aで分離されている場合と比較して、同じ風量を得るための電力入力値が増大する。
【0065】
また、第1送風ファン41aに吸引される空気と第2送風ファン41bに吸引される空気とが衝突することで、第1送風ファン41aに吸引される風量と第2送風ファン41bに吸引される風量とのバランスが崩れる。このように左右の送風ファン41に吸引される風量のバランスが崩れると、熱交換器14のうち、一方の送風ファン41の前面に配置された部分のみが乾き易くなる。熱交換器14には、風が均一に当たる前提で冷媒が流れている。このため、熱交換器14のうち、一方の送風ファン41の前面に配置された部分のみが早く乾くと、熱交換器14の能力が低下するとともに、乾いた部分を空気が通過することで、吹出し口17で結露が発生するおそれがある。
【0066】
しかしながら、上述したように第1開口部74と第2開口部75とが隔壁73aで分離されていることで、第1送風ファン41aに吸引される空気と第2送風ファン41bに吸引される空気とを分離することができる。このため、上記構成の空気調和機によれば、第1送風ファン41aおよび第2送風ファン41bのそれぞれに空気がスムーズに吸引される。したがって、送風ファン41内に吸引する空気および該送風ファン41を介して吹出し口17から吹き出される空気の風量を増加させることができる。
【0067】
また、上記構成の空気調和機によれば、上述したように、第1開口部74と第2開口部75とが隔壁73aで分離されていない場合と比較して、風量を基準としたときの電力入力値を低下させることができる。このため、第1開口部74と第2開口部75とが隔壁73aで分離されていない場合と比較して、低消費電力化を図ることができる。
【0068】
また、ファンモータ51の位置を基準として左右の送風ファン41の風量バランスの均一化を図ることができるので、熱交換器14の能力の低下を押さえ、熱交換器14の能力を十分に引き出すことができる。
【0069】
また、モータカバー50に上記壁体73が設けられ、上記壁体73に、モータカバー50をキャビネット30に固定する固定部材77・78が設けられていることで、モータカバー50の強度を高め、かつ、モータカバー50とキャビネット30とを、強固に固定することができる。
【0070】
(変形例1)
上述したように、本実施形態では、壁体73に、駆動軸53よりも前方の右側面の一部が縦方向に切り欠かれた第1開口部74と、駆動軸53よりも後方の左側面の一部が縦方向に切り欠かれた第2開口部75と、が設けられている場合を例に挙げて説明した。しかしながら、壁体73は、駆動軸53よりも前方と、駆動軸53よりも後方とで、左右異なる方向に開口していればよい。
【0071】
このため、壁体73には、駆動軸53よりも前方の左側面の一部が縦方向に切り欠かれた開口部と、駆動軸53よりも後方の右側面の一部が縦方向に切り欠かれた開口部と、が設けられていてもよい。言い換えれば、壁体73には、奥行き方向に、平面視で、隔壁73aを奥側の壁部として、左側面の一部が開口された枠形状(溝形状)の開口部(切欠部)と、平面視で、隔壁73aを手前側の壁部として、右側面の一部が開口された枠形状(溝形状)の開口部(切欠部)とが設けられていてもよい。つまり、壁体73は、平面視で略S字形状を有していてもよい。
【0072】
また、これら第1風路を形成する開口部(例えば第1開口部74)および第2風路を形成する開口部(例えば第2開口部75)の数は、それぞれ少なくとも1つ設けられていれば、特に限定されない。
【0073】
つまり、壁体73には、壁体73の上面から駆動軸53の軸方向の一方の側面に繋がる第1風路を形成する開口部と、壁体73の上面から駆動軸53の軸方向の他方の側面に繋がる第2風路を形成する開口部とが、それぞれ少なくとも1つずつ設けられていればよい。
【0074】
(変形例2)
また、本実施形態では、上記第1風路を形成する開口部(例えば第1開口部74)と上記第2風路を形成する開口部(例えば第2開口部75)とが、平面視で、駆動軸53に直交する方向に並んで設けられている場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これら開口部は、駆動軸53に直交する隔壁を挟んで、駆動軸53の軸方向に並んで設けられていてもよい。例えば、壁体73は、駆動軸53に直交する隔壁73aで分離された2つの開口部を左右に有する、平面視で、I形状(言い換えれば、横向きのH形状)の壁体であってもよい。
【0075】
(変形例3)
また、本実施形態では、上記第1風路を形成する開口部(例えば第1開口部74)と上記第2風路を形成する開口部(例えば第2開口部75)とが、壁体73の上面(第1吸込み口11との対向面)から該壁体73の左側面または右側面にかけて溝状に切り欠かれた切欠部(言い換えれば、溝部)である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これら開口部は、上記形状に限定されるものではなく、例えば、壁体73の上面から該壁体73の左側面または右側面にかけてトンネル状に壁体73を貫通する貫通孔であっても構わない。
【0076】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図9乃至図11の(a)〜(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0077】
図9は、本実施形態にかかる空気調和機の室内機1を正面方向から見たときの送風機13の要部の縦断面図である。図10の(a)・(b)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の外観を示す図であり、図10の(a)は正面図であり、図10の(b)は側面図である。図11の(a)〜(c)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の外観を示す図であり、図11の(a)は、上記モータカバー50を右側の端面側から見たときの斜視図であり、図11の(b)は、上記モータカバー50を左側の端面側から見たときの斜視図であり、図11の(c)は、下面図である。なお、図9は、モータカバー50の第1開口部64の位置で送風機13を長手方向に切断したときの送風機13の要部の縦断面図を示している。図9では、ファンケーシング47の図示を省略している。
【0078】
図9乃至図11の(a)〜(c)に示すように、本実施形態にかかる空気調和機の室内機1は、モータカバー50の形状を除けば、実施形態1にかかる空気調和機の室内機1と同じ構成を有している。本実施形態にかかるモータカバー50は、実施形態1にかかる下部モータカバー60と上部モータカバー70とが、固定部材77・78・67の形状を除いて、上下反転した形状を有している。本実施形態では、上部モータカバー70に壁体73が設けられておらず、その代わりに、下部モータカバー60に壁体63が設けられている。すなわち、本実施形態にかかる上部モータカバー70は、モータ収容部71と、連結部72と、固定部材77・78と、を備えている。本実施形態にかかる下部モータカバー60は、モータ収容部61と、連結部62と、壁体63と、図示しない固定部材と、を備えている。なお、図10の(a)・(b)および図11の(a)〜(c)では、固定部材77・78および下部モータカバー60側の固定部材の図示を省略している。
【0079】
本実施形態にかかるモータ収容部71は、実施形態1にかかるモータ収容部61と同じ形状を有している。本実施形態にかかるモータ収容部61は、実施形態1にかかるモータ収容部71と同じ形状を有している。
【0080】
なお、モータ収容部61・71の構成は、実施形態1にかかるモータ収容部61・71の構成と同じである。モータ収容部61の下面の中央部には、図11の(a)〜(c)に示すように、駆動軸53に直交する方向に沿って、帯状に開口部61cが設けられている。このため、モータ本体52の下面の一部は、開口部61cから露出している。また、図示はしないが、モータ収容部61の上面の中央部には、駆動軸53に直交する方向に沿って、帯状の開口部71c(図8の(a)〜(c)参照)が設けられている。モータ本体52の上面の一部は、開口部71cから露出している。
【0081】
本実施形態にかかる連結部72は、実施形態1にかかる連結部62と同じ形状を有している。本実施形態にかかる連結部62は、実施形態1にかかる連結部72と同じ形状を有している。
【0082】
したがって、例えば、上部モータカバー70は、連結部72として、例えば、モータ収容部71から水平に突出し、図示しないネジ穴を有するフリンジ部を有している。下部モータカバー60は、連結部62として、例えばネジ山に結合するネジ溝が設けられた筒状部62aを有し、モータ収容部61から水平に突出するフリンジ部を有している。但し、本実施形態はこれに限定されるものではなく、連結部62・72は、実施形態1と同じ形状を有していても構わない。
【0083】
壁体63は、実施形態1にかかる壁体73と同じ形状を有している。壁体63は、モータ収容部61の下面に、駆動軸53に直交する方向に沿って、第2吸込み口12に向かって下方に突出して設けられている。
【0084】
壁体63は、第2吸込口12からキャビネット30内に吸い込んだ空気の流れを、隣り合う送風ファン41の一方に向う流れと他方に向う流れとに分離してそれぞれの送風ファン41に導く分離壁兼導風壁として機能する。また、壁体63は、モータカバー50とキャビネット30とを固定する固定部材として機能する。
【0085】
壁体63には、モータカバー50を正面から見たときの奥行き方向に、該奥行き方向の中央部を境にして手前側の右側面の一部が縦方向に切り欠かれた第1開口部64と、奥側の左側面の一部が縦方向に切り欠かれた第2開口部65と、が設けられている。
【0086】
第1開口部64と第2開口部65とは、隔壁63aで分離されている。隔壁63aは、平面視で駆動軸53と一直線上に位置するように、駆動軸53に沿って開口部61cを跨いでいる。このため、第1開口部64は、隔壁63aを挟んで、第2開口部65よりも、室内機1の前面側に位置している。第2開口部65は、隔壁63aを挟んで、第1開口部64よりも、室内機1の背面側に位置している。
【0087】
第1開口部64は、平面視で、隔壁63aを奥側の壁部として、右側面の一部が開口された枠形状(言い換えれば、溝形状)を有している。第2開口部65は、平面視で、隔壁63aを手前側の壁部として、左側面の一部が開口された枠形状(言い換えれば、溝形状)を有している。このため、壁体63は、平面視で略逆S字形状を有している。
【0088】
図9に示すように、第1開口部64は、駆動軸53の軸方向において、駆動軸53の右側に配置された第2送風ファン41bの一方の開口部44側が開放されている。第2開口部65は、駆動軸53の軸方向において、駆動軸53の左側に配置された第1送風ファン41aの一方の開口部44側が開放されている。なお、第1開口部64および第2開口部65は、駆動軸53の軸方向において、隣り合う送風ファン41の開口部44に面していることが、より望ましい。
【0089】
また、第1開口部64および第2開口部65は、縦方向において、室内機本体部2の第2吸込み口12に面して設けられている。つまり、第1開口部64および第2開口部65の下面(つまり、下側の開口端面)は、それぞれ、室内機本体部2の第2吸込み口12に面して設けられている。
【0090】
第1開口部64および第2開口部65の下面である、第2吸込み口12側の開口端面は、それぞれ、空気の取込み口として機能する。また、第1開口部64および第2開口部65における、各送風ファン41の開口部44側の開口端面は、空気の取出口として機能する。
【0091】
第1開口部64は、壁体63の下面(つまり、第2吸込み口12との対向面)から右側面に繋がる第1風路を形成している。言い換えれば、第1開口部64は、第2吸込み口12との対向面に空気の取入口が形成され、一方の送風ファン41の空気の吸込み口(開口部44)側に、空気の取出口が形成された第1風路を形成している。
【0092】
また、第2開口部65は、壁体63の下面から左側面に繋がる第2風路を形成している。言い換えれば、第2開口部65は、第2吸込み口12との対向面に空気の取入口が形成され、他方の送風ファン41の空気の吸込み口(開口部44)側に、空気の取出口が形成された第2風路を形成している。
【0093】
これにより、第1送風ファン41aは、隔壁63aの奥側の第2開口部65を介して第2吸い込み口12から室内機本体部2内に取り込んだ空気を吸引することが可能となる。また、第2送風ファン41bは、隔壁63aの手前側の第1開口部64を介して第2吸い込み口12から室内機本体部2内に取り込んだ空気を吸引することが可能となる。
【0094】
送風ファン41がファンモータ51により回転すると、第2吸込み口12から第2フィルタ16を介して室内機本体部2に空気が吸い込まれる。第2吸込み口12から室内機本体部2内に空気が吸い込まれると、モータカバー50の外部およびファンケーシング47の外部が正圧となり、モータカバー50の内部およびファンケーシング47の内部が負圧となる。
【0095】
室内機本体部2内に吸い込まれた空気の一部は、モータカバー50に設けられた第1開口部64および第2開口部65からモータカバー50内に流入し、第1開口部64内および第2開口部65内を通って、駆動軸53に平行な方向の開口部44から、送風ファン41に吸い込まれる。また、このとき、第1開口部64および第2開口部65から開口部61cを通ってモータカバー50内に流入した空気により、モータ本体52が冷却される。ファンケーシング47内に吸い込まれた空気は、送風ファン41を構成する多翼ロータ42の外周面の開口部45から吹き出される。
【0096】
なお、下部モータカバー60の背面および下面並びに上部モータカバー70の背面および上面には、それぞれ、モータカバー50を、キャビネット30に固定するための固定部材が設けられている。これら固定部材としては、例えば、固定部材67・77・78と同様の固定部材を用いることができる。なお、本実施形態でも、これら固定部材の種類および数、並びに、モータカバー50とキャビネット30の固定方法は、特に限定されない。
【0097】
(効果)
上記構成の室内機1によれば、モータカバー50に、実施形態1にかかる壁体73に代えて上記壁体63が設けられていることで、ファンモータ51の上方のスペースに代えて、ファンモータ51の下方のスペースを、送風ファン41の空気の吸い込みに利用することができる。本実施形態によれば、この点を除けば、実施形態1と同じ効果を得ることができる。
【0098】
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図12乃至図14の(a)・(b)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0099】
図12は、本実施形態にかかる空気調和機の室内機1を正面方向から見たときの送風機13の要部の縦断面図である。図13の(a)・(b)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の外観を示す図であり、図13の(a)は正面図であり、図13の(b)は側面図である。図14の(a)・(b)は、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の外観を示す図であり、図14の(a)は、上記モータカバー50を右側の端面側から見たときの斜視図であり、図14の(b)は、上記モータカバー50を左側の端面側から見たときの斜視図である。なお、図12は、モータカバー50の第1開口部64・74の位置で送風機13を長手方向に切断したときの送風機13の要部の縦断面図を示している。図12では、ファンケーシング47の図示を省略している。
【0100】
図12乃至図14の(a)・(b)に示すように、本実施形態にかかる空気調和機の室内機1は、モータカバー50における下部モータカバー60の形状を除けば、実施形態1にかかる空気調和機の室内機1と同じ構成を有している。本実施形態にかかる上部モータカバー70は、モータ収容部71と、連結部72と、壁体73と、固定部材77・78と、を備えている。本実施形態にかかる下部モータカバー60は、モータ収容部61と、連結部62と、壁体63と、後述する、図示しない固定部材と、を備えている。
【0101】
本実施形態にかかる上部モータカバー70は、実施形態1にかかる上部モータカバー70と同じ形状を有している。本実施形態にかかる下部モータカバー60は、連結部62の形状を除けば、実施形態2にかかる下部モータカバー60と同じ形状を有している。このため、本実施形態にかかるモータ収容部71および壁体73とモータ収容部61および壁体63とは、モータ収容部71とモータ収容部61との境界面(接触面)を中心して面対称に形成されている。
【0102】
図示を省略しているが、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の上面図は、図8の(c)と同じであり、本実施形態にかかる、モータ本体52を収容した状態のモータカバー50の下面図は、図11の(c)と同じである。
【0103】
なお、図13の(a)〜(c)および図14の(a)・(b)では、本実施形態にかかる連結部72が実施形態1にかかる連結部72と同じ形状を有し、本実施形態にかかる連結部62が実施形態1にかかる連結部62と同じ形状を有している場合を例に挙げて図示している。しかしながら、本実施形態は、これに限定されるものではなく、本実施形態にかかる連結部72が実施形態1にかかる連結部62と同じ形状を有し、本実施形態にかかる連結部62が実施形態1にかかる連結部72と同じ形状を有していてもよい。つまり、本実施形態にかかるモータカバー50は、下部モータカバー60が、実施形態2にかかる下部モータカバー60と同じ形状を有し、上部モータカバー70が、連結部72の形状を除いて実施形態1にかかる上部モータカバー70と同じ形状を有していてもよい。
【0104】
なお、図示はしないが、本実施形態でも、下部モータカバー60の背面および下面には、それぞれ、モータカバー50を、キャビネット30に固定するための固定部材が設けられている。これら固定部材としては、例えば、固定部材67・77・78と同様の固定部材を用いることができる。なお、本実施形態でも、これら固定部材の種類および数、並びに、モータカバー50とキャビネット30の固定方法は、特に限定されない。
【0105】
(効果)
上記構成の室内機1によれば、モータカバー50に、上記壁体63・73が設けられていることで、ファンモータ51の上方および下方のスペースを、それぞれ送風ファン41の空気の吸い込みに利用することができる。本実施形態によれば、この点を除けば、実施形態1、2と同じ効果を得ることができる。
【0106】
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる空気調和機の室内機1は、空気を吸込む吸込み口(第1吸込み口11・12)を少なくとも1つ有する筐体(キャビネット30)内に、左右方向に複数配列された遠心ファン(送風ファン41)と、上記遠心ファンを回転駆動させる駆動軸53を左右に有し、隣り合う遠心ファン間に配置されたモータ(ファンモータ51)と、上記モータの外周面の一部を覆うモータカバー50と、を備え、上記モータカバー50は、上記吸込み口に向かって突出して設けられた壁体(壁体63・73)を少なくとも1つ有し、上記壁体は、上記吸込み口との対向面から上記駆動軸53の軸方向の一方の側面に繋がる風路を形成する第1開口部(第1開口部64・74)と、上記第1開口部と隔壁で分離され、上記吸込み口との対向面から上記駆動軸53の軸方向の他方の側面に繋がる風路を形成する第2開口部(第2開口部65・75)と、を有している。
【0107】
本発明の態様2にかかる空気調和機の室内機1は、上記態様1において、上記第1開口部は、上記壁体における上記吸込み口との対向面から上記駆動軸53の軸方向の一方の側面にかけて切り欠かれた切欠部であり、上記第2開口部は、上記壁体における上記吸込み口との対向面から上記駆動軸53の軸方向の他方の側面にかけて切り欠かれた切欠部であってもよい。
【0108】
本発明の態様3にかかる空気調和機の室内機1は、上記態様1または2において、上記第1開口部および上記第2開口部は、上記駆動軸53に直交する方向に並んで設けられていてもよい。
【0109】
本発明の態様4にかかる空気調和機の室内機1は、上記態様3において、上記第1開口部は、上記モータカバー50を正面から見たときの奥行き方向に、上記駆動軸53よりも前方に少なくとも1つ形成されており、上記第2開口部は、上記モータカバー50を正面から見たときの奥行き方向に、上記駆動軸53よりも後方に少なくとも1つ形成されていてもよい。
【0110】
本発明の態様5にかかる空気調和機の室内機1は、上記態様1〜4の何れかにおいて、上記吸込み口は、上記筐体の上面部31および下面部33の少なくとも一方に形成されており、上記壁体は、上記モータカバー50の上部および下部の少なくとも一方に形成されていてもよい。
【0111】
本発明の態様6にかかる空気調和機の室内機1は、上記態様1〜4の何れかにおいて、上記吸込み口は、上記筐体の上面部31および下面部33にそれぞれ形成されており、上記壁体は、上記モータカバー50の上部および下部にそれぞれ形成されていてもよい。
【0112】
本発明の態様7にかかる空気調和機の室内機1は、上記態様1〜6の何れかにおいて、上記壁体に、上記モータカバー50を上記筐体に固定する固定部材(固定部材77・78)が設けられていてもよい。
【0113】
本発明の態様8にかかる空気調和機の室内機1は、上記態様1〜7の何れかにおいて、上記モータは、上記駆動軸53の周囲に防振材(防振ゴム54)を備え、上記モータカバー50は、上記モータの上半分の一部を覆う上部モータカバー70と、上記モータの下半分の一部を覆う下部モータカバー60と、を備え、上記上部モータカバー70と上記下部モータカバー60とで上記防振材を挟み込むことで、上記防振材とのみ接触した状態で上記モータを支持していてもよい。
【0114】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 室内機
2 室内機本体部
11 第1吸込口
12 第2吸込口
13 送風機
30 キャビネット(筐体)
31 上面部
32 背面部
33 下面部
41 送風ファン(遠心ファン)
41a 第1送風ファン(遠心ファン)
41b 第2送風ファン(遠心ファン)
44、45、48、61c、71c 開口部
50 モータカバー
51 ファンモータ(モータ)
52 モータ本体
53 駆動軸
54 防振ゴム(防振材)
60 下部モータカバー
61・71 モータ収容部
61a・71a 凹部
61b・71b 切欠部
62・72 連結部
63・73 壁体
63a・73a 隔壁
64・74 第1開口部
65・75 第2開口部
67・77・78 固定部材
70 上部モータカバー
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