(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972168
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】無機効果顔料
(51)【国際特許分類】
C09C 3/06 20060101AFI20211111BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20211111BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20211111BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20211111BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20211111BHJP
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A61Q 1/02 20060101ALI20211111BHJP
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A61Q 1/08 20060101ALI20211111BHJP
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A61Q 3/04 20060101ALI20211111BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20211111BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20211111BHJP
C08K 9/02 20060101ALI20211111BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20211111BHJP
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C09D 7/62 20180101ALI20211111BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20211111BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20211111BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
C09C3/06
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/26
A61K8/29
A61Q1/00
A61Q1/02
A61Q1/04
A61Q1/08
A61Q1/10
A61Q3/02
A61Q3/04
A61Q5/02
A61Q5/06
C08K9/02
C08L101/00
C09C1/42
C09D7/62
C09D11/037
C09D11/322
C09D201/00
【請求項の数】35
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-555190(P2019-555190)
(86)(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公表番号】特表2020-515702(P2020-515702A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】US2017025946
(87)【国際公開番号】WO2018186838
(87)【国際公開日】20181011
【審査請求日】2020年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】519358542
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ カラーズ アンド エフェクツ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】BASF Colors & Effects GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン モーア
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シッチメラー
【審査官】
仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−507009(JP,A)
【文献】
特開2003−183538(JP,A)
【文献】
特表2013−502466(JP,A)
【文献】
特表2006−503146(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0344677(US,A1)
【文献】
特表2010−513614(JP,A)
【文献】
特開2005−248158(JP,A)
【文献】
特開2000−001628(JP,A)
【文献】
特開2012−237003(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0027993(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101768379(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 3/06
A61K 8/19
A61K 8/25
A61K 8/26
A61K 8/29
A61Q 1/00
A61Q 1/02
A61Q 1/04
A61Q 1/08
A61Q 1/10
A61Q 3/02
A61Q 3/04
A61Q 5/02
A61Q 5/06
C08K 9/02
C08L 101/00
C09C 1/42
C09D 7/62
C09D 11/037
C09D 11/322
C09D 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機、非四分の一波、不均一多層効果顔料であって、
20nm〜400nmの光学的厚さを有する吸収性光学活性金属酸化物層をその上に含む板状基材と、
前記吸収性光学活性金属酸化物層上の、10nm〜500nmの光学的厚さを有する低屈折率材料の層と、
前記低屈折率材料上の、50nm〜1000nmの光学的厚さを有する非吸収性高屈折率材料の最外光学活性層と、を含み、
前記多層効果顔料が、等式
BRR=(青色最大)/(緑色最小)に従う、少なくとも3の青色反射率(BRR)を示し、
青色最大が、380nm〜450nmの波長にわたって示される最大反射率であり、
緑色最小が、450nm〜600nmの波長にわたって示される最小反射率であり、
前記青色最大と緑色最小が、D65光源を備えたByk Mac分光光度計を使用して、15°の非鏡面観測角で測定され、
前記板状基材が、天然雲母及び/または合成雲母を含み、
前記吸収性光学活性金属酸化物層が、酸化鉄を含み、
前記低屈折率層が、シリカを含み、
前記高屈折率層が、チタニアを含む、多層効果顔料。
【請求項2】
前記合成雲母がフッ素金雲母を含む、請求項1に記載の効果顔料。
【請求項3】
前記吸収性光学活性金属酸化物層が40nm〜150nmの光学的厚さを有する、請求項1または2に記載の効果顔料。
【請求項4】
前記低屈折率材料層が20nm〜200nmの光学的厚さを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項5】
前記非吸収性高屈折率材料層が60nm〜150nmの光学的厚さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項6】
前記非吸収性高屈折率材料がn>1.8の屈折率を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項7】
前記非吸収性高屈折率材料層が2.00〜3.30の屈折率を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項8】
前記低屈折率材料がn≦1.8の屈折率を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項9】
前記酸化鉄層が、赤鉄鉱、磁鉄鉱、またはマグヘマイトを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項10】
前記シリカが非晶質シリカを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項11】
前記チタニアが、アナターゼ、ルチル、またはこれらの混合物を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項12】
前記BRRが3.5〜6である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項13】
前記BRRが3.8〜5.5である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項14】
前記青色最大と緑色最小がラッカー媒体中で測定される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項15】
前記ラッカー媒体がニトロセルロースである、請求項14に記載の効果顔料。
【請求項16】
前記効果顔料には有機材料が含まれない、請求項1〜15のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項17】
前記効果顔料が、無機基材および無機層からなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項18】
効果顔料を製造する方法であって、
光学コーティングで板状基材をコーティングすることを含み、前記コーティングすることは、以下のステップ、
前記板状基材上に吸収性光学活性金属酸化物層を堆積させるステップであって、前記吸収性光学活性金属酸化物層が20nm〜400nmの光学的厚さを有する、堆積させるステップと、
前記吸収性光学活性金属酸化物層上に低屈折率材料層を堆積させるステップであって、前記低屈折率材料層が10nm〜500nmの光学的厚さを有する、堆積させるステップと、
前記低屈折率材料層上に非吸収性高屈折率材料層を堆積させるステップであって、前記非吸収性高屈折率材料層が50nm〜100nmの厚さを有する、堆積させるステップと、を含み、
前記効果顔料が、等式
BRR=(青色最大)/(緑色最小)に従う、少なくとも3の青色反射率(BRR)を示し、
青色最大が、380nm〜450nmの波長にわたって示される最大反射率であり、
緑色最小が、450nm〜600nmの波長にわたって示される最小反射率であり、
前記青色最大と緑色最小が、D65光源を備えたByk Mac分光光度計を使用して、15°の非鏡面観測角で測定され、
前記板状基材が、天然雲母及び/または合成雲母を含み、
前記吸収性光学活性金属酸化物層が、酸化鉄を含み、
前記低屈折率層が、シリカを含み、
前記高屈折率層が、チタニアを含む、方法。
【請求項19】
前記堆積させることが、化学蒸気、物理蒸気、または湿式化学プロセスを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記堆積させることが湿式化学プロセスを含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記効果顔料が、580nm〜750nmの範囲の吸収を示す、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記酸化鉄層が、赤鉄鉱、磁鉄鉱、またはマグヘマイトを含む、請求項18〜21のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項23】
前記シリカが非晶質シリカを含む、請求項18〜22のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項24】
前記チタニアが、アナターゼ、ルチル、またはこれらの混合物を含む、請求項18〜23のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項25】
前記効果顔料が50〜80の色度を示す、請求項18〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記効果顔料が、20〜320の色相を示す、請求項18〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記効果顔料が、3.5〜6のBRRを示す、請求項18〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記効果顔料には有機材料が含まれない、請求項18〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の効果顔料のいずれかを含む製品。
【請求項30】
前記製品が、化粧品、自動車用塗料、工業用塗料、インク、およびプラスチックを含む、請求項29に記載の製品。
【請求項31】
前記製品が化粧品である、請求項30に記載の製品。
【請求項32】
化粧品的に適切な担体材料をさらに含む、請求項31に記載の製品。
【請求項33】
前記化粧品が、クリーム、エマルジョン、ミルク、フォーム、ジェル、ローション、ムース、軟膏、ペースト、パウダー、スプレー、懸濁液、またはこれらの組み合わせである、請求項31〜32のいずれか一項に記載の製品。
【請求項34】
前記化粧品が、コンシーリングスティック、ファンデーション、ステージメイク、マスカラ、アイシャドウ、ヘアカラー、口紅、リップグロス、コールペンシル、アイライナー、ほお紅、アイブロウペンシル、クリームパウダー、ネイルエナメル、スキングロッサースティック、ヘアスプレー、フェイスパウダー、レッグメイク、虫除けローション、ネイルエナメルリムーバー、パヒュームローション、またはシャンプーである、請求項31〜33のいずれか一項に記載の製品。
【請求項35】
皮膚の外観を変える方法であって、光学的有効量の請求項31〜34のいずれか一項に記載の製品を個体の皮膚に適用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は一般に、効果顔料の分野に関連している。より詳細には、この技術は、赤、フクシア、およびマゼンタ色空間の効果顔料に関する。
【0002】
発明の概要
一態様では、無機、非四分の一波、不均一多層効果顔料は、約20nm〜約400nmの光学的厚さを有する吸収性光学活性金属酸化物層をその上に含む板状基材と、吸収性光学活性金属酸化物層上の、約10nm〜約500nmの光学的厚さを有する低屈折率材料の層と、低屈折率材料上の、約50nm〜約1000nmの光学的厚さを有する非吸収性高屈折率材料の最外光学活性層と、を含み、多層効果顔料は、等式BRR=(青色最大)/(緑色最小)に従う、少なくとも3の青色反射率(BRR)を示し、青色最大は、380nm〜450nmの波長にわたって示される最大反射率であり、緑色最小は、450nm〜600nmの波長にわたって示される最小反射率である。いくつかの実施形態では、板状基材は、天然雲母、合成雲母、ガラスフレーク、SiO
2、Al
2O
3、タルク、オキシ塩化ビスマス、天然真珠、パーライト、窒化ホウ素、酸化亜鉛、天然ケイ酸塩、合成ケイ酸塩、またはこれらの任意の2つ以上の組み合わせを含む。
【0003】
別の態様では、効果顔料を製造する方法は、光学コーティングで板状基材をコーティングすることを含み、コーティングすることは、以下のステップ、板状基材上に吸収性光学活性金属酸化物層を堆積させるステップであって、吸収性光学活性金属酸化物層が約20nm〜400nmの光学的厚さを有する、堆積させるステップと、吸収性光学活性金属酸化物層上に低屈折率材料層を堆積させるステップであって、低屈折率材料層が約10nm〜約500nmの光学的厚さを有する、堆積させるステップと、低屈折率材料層上に非吸収性高屈折率材料層を堆積させるステップであって、非吸収性高屈折率材料層が約50nm〜100nmの厚さを有する、堆積させるステップと、を含み、効果顔料は、等式BRR=(青色最大)/(緑色最小)に従う、少なくとも3の青色反射率(BRR)を示し、青色最大は、380nm〜450nmの波長にわたって示される最大反射率であり、緑色最小は、450nm〜600nmの波長にわたって示される最小反射率である。いくつかの実施形態において、板状基材は、天然雲母、合成雲母、アルミニウム、ガラスフレーク、SiO
2、Al
2O
3、タルク、オキシ塩化ビスマス、天然真珠、パーライト、窒化ホウ素、酸化亜鉛、天然ケイ酸塩、合成ケイ酸塩、またはこれらの任意の2つ以上の混合物を含む。
【0004】
別の態様において、製品は、本明細書に記載の効果顔料のいずれかを含む。例えば、製品は、化粧品、自動車用塗料、工業用塗料、インク、またはプラスチックである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】比較例による雲母基材上に酸化鉄の単層を含む顔料の反射率スペクトルである。
【
図3】実施例による雲母基材上の酸化鉄の層、二酸化ケイ素の層、チタニアの層を含む顔料の反射率スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、様々な実施形態について記載する。具体的な実施形態は、包括的な説明として、または本明細書で考察される、より広い態様への限定として意図されないことに留意されたい。特定の実施形態に関連して記載された1つの態様は、その実施形態に必ずしも限定されず、任意の他の実施形態で実施することができる。
【0007】
本明細書で使用される場合、「約(about)」は当業者に理解され、使用される文脈に応じてある程度変化する。当業者には明らかでない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約(about)」はその特定の用語のプラスまたはマイナス10%を意味する。
【0008】
要素を記載する文脈において、(とりわけ、後続の特許請求の範囲の文脈において)「a」および「an」および「the」という用語、ならびに類似の指示物は、本明細書において別段の記載がない限り、または文脈によって明確に矛盾することがない限り、単数形および複数形の両方を網羅するよう解釈されることになっている。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書において別段の記載がない限り、この範囲内に収まる各別個の値に対して、単にそれぞれ参照する簡略表記法として機能するよう意図されており、各個別の値は、本明細書にそれぞれ列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される方法は全て、本明細書において別段の記載がない限り、または文脈によって明確に矛盾することがない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意のおよび全ての例、または例示的な用語(例えば、「など」)の使用は単に、実施形態をより良好に明らかにするよう意図されており、別段の記載がない限り、特許請求の範囲に制限を与えるものではない。本明細書におけるいかなる用語も、請求されていないあらゆる要素を不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0009】
本明細書で使用される場合、「効果顔料」という用語は、反射および/または透過および/または屈折により光と相互作用する顔料を指す。
【0010】
本明細書で使用される場合、「板状」という記述語は、当該技術分野でよく理解されており、フレーク、フレーク状、板状、小板、およびうろこ状と交換可能に使用することができる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「透明」という用語は、可視光の少なくとも約75%〜約100%を透過できる材料または物体を指す。
【0012】
本明細書で使用される場合、「光学的厚さ」という用語は、基材に適用される個々の層のそれぞれの厚さを指す。光学的厚さは、層の実際の物理的または幾何学的な厚さ(t)と層の材料の屈折率(n)との積である。基材上の堆積層の物理的厚さを測定することは可能であり得るが、適用された材料の屈折率は、堆積層の密度および均一性に応じて公表値から変化する。光学的厚さは、サンプルで干渉が発生する波長を測定し、よく知られている強め合う干渉および/または弱め合う干渉の方程式の「nt」を解くことにより間接的に決定できる。以下に記述される式は、本議論を単純化するために、余弦θ項が1に減少し、現れる必要のない、光の垂直入射のみに関するものである。
強め合う干渉の方程式:
nt=mλ/4、式中
m=奇数の整数
n=層材料の屈折率
t=ナノメートル単位の層材料の幾何学的(物理的)厚さ
λ=ナノメートル単位の最大反射波長
nt=ナノメートル単位の層材料の光学的厚さ
弱め合う干渉の方程式:
nt=mλ/2、式中
m=任意の正の整数
λ=ナノメートル単位の最小反射波長
各層の堆積後に所望の色を有するサンプルから干渉波長λを測定することにより、各層の光学的厚さを容易に決定できる。現在の技術では、全ての層の光学的厚さが同じではないことに注意することが重要である。
【0013】
本明細書で使用される場合、「光学活性」という用語は、同じ材料の隣接する層間に光学不連続性を生じさせて、スタックの光学特性に対する全体的に著しく観察可能な変化が達成されるのに十分な物理的厚さを指し、これは、光学活性中間層が存在しないと理論的または実用的に不可能である。効果顔料の光学特性の測定可能な変化には、反射率および色度が含まれる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「色度」は、色または色素の強度または鮮明さを指す。色度(C)は、さらにパラメーターL
*、a
*、およびb*によって導出されると定義でき、[(a
*)
2+(b
*)
2]
1/2で表される。L
*、a
*、およびb
*データは、Richard S.HunterによってThe Measurement of Appearance,John Wiley&Sons,1987で説明されている。これらのCIELab測定値は、L
*で表される明暗成分、a
*で表される赤緑成分、およびb
*で表される黄青成分に関して外観を特徴付ける。
【0015】
本明細書で使用される場合、「光学的有効量」という用語は、人間の目によって検出されることができる効果顔料の量を指す。
【0016】
本明細書で使用される場合、「低屈折率」という用語は、約1.8より低い、より小さい、またはそれに等しい屈折率を有する材料を指す。
【0017】
本明細書で使用される場合、「高屈折率」という用語は、約1.8以上の屈折率を有する材料を指す。
【0018】
本方法は、以前はアクセスできなかった色空間において、改善された鮮やかさおよび有彩色を有する半透明効果顔料の生成を可能にする。例えば、驚くべきことに、3つの無機層の光学的厚さを変更することにより、新しいクラスの効果顔料材料が得られたことが見いだされた。さらに、本顔料は完全に無機であり、カルミンなどの有機成分を含む効果顔料の代替品として使用できる。カルミンは有機ベースの顔料で、通常は甲虫からの抽出物として入手できる。
【0019】
本出願の顔料は、新しい色移動および高彩度色空間にアクセスする半透明の非四分の一波、効果顔料である。効果顔料は、有機顔料を使用せずに、赤、フクシア、マゼンタの色空間で半透明の効果を発揮する。そのような効果は、本明細書に記載の複数の無機層を有する基材から生じ、層は定義された屈折率と光学的厚さを有する。様々な態様において、効果顔料組成物、効果顔料の製造方法、および製品組成物が本明細書に記載されている。
【0020】
一態様では、約20nm〜約400nmの厚さを有する吸収性光学活性金属酸化物層を有する板状基材と、吸収性光学活性金属酸化物層上の低屈折率材料層であって、約10nm〜約500nmの厚さを有する低屈折率材料層と、低屈折率材料層上に非吸収性高屈折率材料の最外層であって、約50nm〜約1000nmの厚さを有する最外層と、を含む、無機、非四分の一波、不均一多層効果顔料が提供される。効果顔料は、次の等式で定義されるように、少なくとも3の青色反射率(「BRR」)を示す。
BRR=(青色最大)/(緑色最小)。
この式では、青色最大は約380nm〜約450nmの範囲の最大反射率であり、緑色最小は約450nm〜約600nmの範囲の最小反射率である。
【0021】
天然または合成の適切な板状基材は、透明または半透明であり、金属酸化物層の安定した支持体として機能するのに十分に頑丈であり得る。いくつかの実施形態では、板状基材は、天然雲母、合成雲母、アルミニウム、ガラスフレーク、SiO
2、Al
2O
3、タルク、オキシ塩化ビスマス、天然真珠、パーライト、窒化ホウ素、酸化亜鉛、天然ケイ酸塩、合成ケイ酸塩など、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。特定の実施形態では、板状基材は、限定されないがフッ素金雲母などの合成雲母を含む。
【0022】
効果顔料は、板状基材上の吸収性光学活性金属酸化物層のコーティングを含む。いくつかの実施形態では、吸収性光学活性金属酸化物層は、約20nm〜約400nmの光学的厚さを有し得る。これには、約25nm〜約350nm、約30nm〜約300nm、約35nm〜約250nm、または約40nm〜約150nmの光学的厚さが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、吸収性光学活性金属酸化物層は、約40nm〜約150nmの光学的厚さを有する。いくつかの実施形態では、吸収性光学活性金属酸化物層は、酸化鉄、水酸化鉄、およびこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、吸収性光学活性金属酸化物層は酸化鉄である。適切な酸化鉄には、赤鉄鉱、磁鉄鉱、またはマグヘマイトが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、酸化鉄層は赤鉄鉱またはマグヘマイトを含む。別の実施形態において、酸化鉄層は赤鉄鉱またはマグヘマイトを含み、約40nm〜約150nmの光学的厚さを有する。さらに別の実施形態では、酸化鉄層は赤鉄鉱またはマグヘマイトを含み、約90nmの光学的厚さを有する。
【0023】
効果顔料は、吸収性光学活性金属酸化物層上にコーティングされた低屈折率材料層を含む。いくつかの実施形態では、低屈折率材料層は、約10nm〜約500nmの光学的厚さを有し得る。これには、約20nm〜約450nm、約20nm〜約300nm、約20nm〜約200nm、約100nm〜約400nm、または約200nm〜約400nmの光学的厚さが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、低屈折率材料層は、約20nm〜約200nmの光学的厚さを有する。いくつかの実施形態では、低屈折率材料は、1.8以下の屈折率を有する。これには、約1.30〜約1.80の屈折率が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、屈折率は約1.30〜約1.50である。別の実施形態では、屈折率は約1.40〜約1.50である。
【0024】
いくつかの実施形態では、低屈折率材料は、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、低屈折率材料はシリカである。これには非晶質シリカが含まれる。一実施形態では、低屈折率材料は非晶質シリカを含み、約10nm〜約500nmの光学的厚さを有する。
【0025】
効果顔料の最外層は、低屈折率材料層上にコーティングされた非吸収性高屈折率材料層を含む。いくつかの実施形態では、非吸収性高屈折率材料層は、約50nm〜約1000nmの光学的厚さを有し得る。これには、約50nm〜約400nm、約50nm〜約200nm、約60nm〜約150nm、約200nm〜約800nm、または約500nm〜約約1000nmの光学的厚さが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非吸収性高屈折率材料層は、約60nm〜約150nmの光学的厚さを有する。いくつかの実施形態では、非吸収性高屈折率材料は、1.80より大きい屈折率を有する。これには、約2.00〜約4.00、約2.00〜約3.30、約2.20〜約3.00、または約2.20〜約2.60の屈折率が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、屈折率は約2.00〜約3.30である。別の実施形態では、屈折率は約2.20〜約2.60である。
【0026】
いくつかの実施形態では、非吸収性高屈折率材料には、チタニア、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非吸収性高屈折率材料はチタニアである。適切なタイプのチタニアには、アナターゼ、ルチル、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、非吸収性高屈折率材料層は、ルチルおよび/またはアナターゼチタニアを含み、約50nm〜約1000nmの光学的厚さを有する。非吸収性高屈折率材料としてチタニアを使用する利点には、約2.55の屈折率を有するチタニアが含まれるが、これに限定されない。
【0027】
所望の色移動および色相色空間にアクセスするために、本技術の効果顔料は、少なくとも3.00の青色反射率(BRR)を示す。少なくとも3.00のBRRは、赤、フクシア、および/またはマゼンタを含む色相の色空間を示す効果顔料の例である。BRRパラメーターは、青色最大および緑色最小の用語で説明され、比率は次のように表される。
BRR=(青色最大)/(緑色最小)
青色最大は、約380nm〜約450nmの範囲の波長にわたって効果顔料が示す最大反射率を示す。緑色最小は、約450nm〜約600nmの範囲の最小反射率を示す。
【0028】
いくつかの実施形態では、効果顔料は約3.0〜約6.0のBRRを有する。適切なBRR値には、約3.0〜約6.0、約3.3〜約6.0、約3.5〜約6.0、約3.8〜約5.5、または約4.0〜約5.5が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、効果顔料は約3.8〜約5.5のBRRを有する。いくつかの実施形態では、青色最大および緑色最小はラッカー媒体中で測定される。適切なラッカーには、ニトロセルロースが含まれるが、これに限定されない。一実施形態では、ラッカー媒体はニトロセルロースラッカーである。
【0029】
いくつかの実施形態では、青色最大および緑色最小は、45°光源から非鏡面である15°の観測角で測定される。一実施形態では、青色最大および緑色最小反射スペクトルは、D65光源を備えたByk Mac分光光度計を使用して、15°の非鏡面観測角で測定される。一貫性と比較のために、反射率の測定値は上記のように定義されていることに注意するべきである。他の角度および他の光源での測定は、顔料の一意性は維持されるが、使用される光源と測定される角度によって特定のBRR値が変化することを示している。
【0030】
驚くべきことに、本明細書に記載の効果顔料は、有機材料の非存在下で本明細書に記載の色空間を示すことが見出された。いくつかの実施形態では、効果顔料は有機材料を含まない。有機材料には、カルミンなどの天然材料または合成材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
一実施形態では、効果顔料は、厚さ約20nm〜約400nmの酸化鉄層を有する板状基材と、酸化鉄層上の約10nm〜約500nmの厚さのシリカ層と、シリカ層上の約50nm〜約1000nmの厚さのチタニア層と、を含み、ここで、効果顔料は、ニトロセルロースラッカー媒体中で45°の光源から非鏡面である15°の角度で測定したBRRが約3.8〜約6を有する。
【0032】
これまで本出願に記載されているように、本技術の効果顔料は有機材料を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、効果材料はカルミンを含まない。いくつかの実施形態では、効果顔料は、無機基材および無機層のみを含んでもよい。
【0033】
本技術の効果顔料は、色の移動および赤、フクシア、およびマゼンタの色相色空間にアクセスする。いくつかの実施形態では、効果顔料は、約50を超える色度(15°C
*)を示す。いくつかの実施形態では、効果顔料は、約50〜約80の色度を示す。適切な色度には、約50〜約80、約60〜約80、約65〜約80、約70〜約80、およびこれらの値の任意の2つまたはこれらの値の1つ未満の範囲が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、効果顔料は約70の色度を示す。いくつかの実施形態では、効果顔料は約20〜約320の色相を示す。適切な色相には、約20〜約320、約15〜約330、約5〜約330、約360〜約340、およびこれらの値のいずれか2つまたはこれらの値のいずれか1つ未満の範囲が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、効果顔料は約20〜約330の色相を示す。別の実施形態では、効果顔料は約345の色相を示す。
【0034】
一実施形態では、効果顔料は、板状基材上に酸化鉄層を有する板状基材と、酸化鉄層上のシリカ層と、シリカ層上のチタニア層を含み、ここで、酸化鉄層は約20nm〜約400nmの光学的厚さを有し、シリカ層は約10nm〜約500nmの光学的厚さを有し、チタニア層は約50nm〜約1000nmの光学的厚さを有し、そして、効果顔料は有機材料を含まず、580nm〜750nmの範囲で吸収、約50〜約80の色度、および約20〜約320の色相を示す。
【0035】
別の態様では、上述の効果顔料を生成する方法が提供される。この方法は、光学コーティングで板状基材をコーティングすることを含むことができ、このコーティングすることは、板状基材上に吸収性光学活性金属酸化物層を堆積させることであって、吸収光学性活性金属酸化物層が約20nm〜400nmの光学的厚さを有する、堆積させることと、吸収性光学活性金属酸化物層上に低屈折率材料層を堆積させることであって、低屈折率材料層が約10nm〜約500nmの光学的厚さを有する、堆積させることと、低屈折率材料層上に非吸収性高屈折率材料層を堆積させるであって、非吸収性高屈折率材料層が約50nm〜1000nmの厚さを有する、堆積させることと、を含み、効果顔料が少なくとも3のBRRを示す。
【0036】
上述のように、方法は、板状基材を光学コーティングでコーティングすることを含み、光学コーティングすることは、板状基材上に吸収性光学活性金属酸化物層を堆積させることを含む。これには、これらに限定されないが、任意の実施形態で上述した吸収性光学活性金属酸化物が含まれる。いくつかの実施形態では、方法は、吸収性光学活性金属酸化物層を約20nm〜約400nmの光学的厚さで堆積させることを含む。一実施形態では、堆積させることは、25nm〜約350nm、約30nm〜約300nm、約35nm〜約250nm、または約40nm〜約150nmの光学的厚さに達することを含む。いくつかの実施形態では、堆積させることは、約40nm〜約150nmの光学的厚さに達することを含む。
【0037】
コーティングすることは、吸収性光学活性金属酸化物層上に低屈折率材料層を堆積させることをさらに含む。低屈折率材料層は、シリカを含むがこれに限定されない任意の実施形態で上述したものを含む。この方法は、低屈折率材料層を約10nm〜約500nmの光学的厚さで堆積させることを含む。適切な光学的厚さには、約20nm〜約450nm、約20nm〜約300nm、約20nm〜約200nm、約100nm〜約400nm、または約200nm〜約400nmが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、堆積させることは、約20nm〜約200nmの低屈折率材料層の光学的厚さに達することを含む。
【0038】
本方法において、コーティングすることは、低屈折率材料層上に非吸収性高屈折率材料層を堆積させることをさらに含む。非吸収性高屈折率材料層は、任意の実施形態で上述したものを含む。いくつかの実施形態では、非吸収性高屈折率材料は、任意の実施形態で上述したようにチタニアを含む。この方法は、非吸収性高屈折率材料層を約50nm〜約1000nmの光学的厚さで堆積させることをさらに含む。適切な非吸収性高屈折率光学的厚さには、約50nm〜約400nm、約50nm〜約200nm、約60nm〜約150nm、約200nm〜約800nm、または約500nm〜約1000nmが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、堆積させることは、約60nm〜約150nmの光学的厚さに達することを含む。
【0039】
堆積させることには、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、および湿式化学法が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、堆積させることは湿式化学法を含む。
【0040】
この方法では、非吸収性高屈折率材料がチタニアである場合、チタニア層を堆積させる前に、方法は、低屈折率材料層をルチル指向剤で前処理することをさらに含んでもよい。これには、チタニアを堆積させる前に低屈折率材料層をSnCl
4で処理することが含まれる。低屈折率材料層をSnCl
4で処理することの利点は、これに限定されないが、アナターゼチタニアよりも高い屈折率を有するルチルチタニアの形成が含まれる。
【0041】
任意の実施形態で上述したように、方法は、約50を超える色度を示す効果顔料を生成することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約20〜約320の色相を示す効果顔料を生成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、約3.0〜約6.0のBRRを有する効果顔料を生成することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、任意の実施形態で上述したように、有機材料を含まない効果顔料を生成することを含む。
【0042】
一実施形態では、方法は、任意の実施形態で上述した効果顔料を生成することを含み、それは、光学コーティングで板状基材をコーティングすることであって、酸化鉄層を約20nm〜400nmの光学的厚さに堆積させるステップと、シリカ層を約10nm〜約500nmの光学的厚さに堆積させるステップと、チタニア層を約500nm〜1000nmの厚さに堆積させるステップと、を有するコーティングすることを含み、効果顔料は有機材料を含まず、約350〜約330の色相と、約50〜約80の色度と、3を超えるBRRと、580nm〜750nmの範囲での吸収と、を示す。
【0043】
さらに別の態様では、本明細書に記載の効果顔料を含む製品が提供される。このような製品には、化粧品、自動車用塗料、工業用塗料、インク、プラスチックなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0044】
いくつかの実施形態では、製品は、効果顔料を含む化粧品を含む。いくつかの実施形態では、化粧品は適切な担体をさらに含む。適切な担体には、ジェル、エマルジョン、クリーム、ワックス、コンパクトなど、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
化粧品は、クリーム、エマルジョン、ミルク、フォーム、ジェル、ローション、ムース、軟膏、ペースト、パウダー、スプレー、懸濁液など、またはこれらの組み合わせの形態であってもよい。いくつかの実施形態では、本技術の化粧品は、特定のタイプに限定されないが、コンシーリングスティック、ファンデーション、ステージメイク、マスカラ、アイシャドウ、ヘアカラー、口紅、リップグロス、コールペンシル、アイライナー、ほお紅、アイブロウペンシル、クリームパウダー、ネイルエナメル、スキングロッサースティック、ヘアスプレー、フェイスパウダー、レッグメイク、虫除けローション、ネイルエナメルリムーバー、パヒュームローション、またはシャンプー、を含み得る。
【0046】
本技術の別の態様では、皮膚の外観を変える方法が本明細書で提供され、この方法は、光学的有効量の効果顔料または効果顔料を含む組成物または製品を個体の皮膚に適用することを含む。
【0047】
このように一般的に記載される本技術は、以下の実施例を参照することにより、より容易に理解され、これらは説明のために提供され、本技術を限定することを意図しない。
【実施例】
【0048】
実施例1.130gの合成雲母フレーク(d50約20μm)を含む6.5%水性スラリーを82℃に加熱して撹拌した。スラリーのpHをHClで3.0に調整した。次に、NaOH溶液でpHを維持しながら、620グラムの39%FeCl
3・5H
2Oを2g/分で加えた。顔料サンプルのか焼により、20°の色相が得られた。所望の色合いで、NaOHでスラリーのpHを7.8に上げ、HCl溶液の添加によってpHを7.80に維持しながら、700gの20%Na
2SiO
3・5H
2Oを2g/分で添加した。20%Na
2SiO
3・5H
2Oの添加が完了した後、HClでスラリーのpHを1.5に調整した。次に、NaOH溶液の添加によりpHを維持しながら、20gの20%SnCl
4・5H
2Oを1.5g/分で加えた。スラリーを撹拌し、続いてNaOH溶液の添加によってpHを1.50に維持しながら、700gの40%TiCl
4を2g/分で添加した。次に、50mLのスラリーをろ過し、プレスケーキを水で洗浄し、850℃で20分間か焼した。サンプルを色測定のためにドローダウン(draw down)した。得られた色相は4°、彩度は67、BRRは5.24であった。
【0049】
実施例2.実施例2は、40gの20%SnCl
4・5H
2Oおよび750gの40%TiCl
4を最終層上に堆積させたことを除いて、実施例1に記載したものと同じ手順で行われた。50mLのスラリーをろ過し、プレスケーキを水で洗浄し、850℃で20分間か焼した。サンプルを色測定のためにドローダウンした。得られた色相は346°、彩度は70、BRRは4.99であった。
【0050】
実施例3.実施例3は、400gの20%Na
2SiO
3・5H
2O、10gの20%SnCl
4・5H
2O、および800gの40%TiCl
4を最終層上に堆積させたことを除いて、実施例1に記載したものと同じ手順で行われた。50mLのスラリーをろ過し、プレスケーキを水で洗浄し、850℃で20分間か焼した。サンプルを色測定のためにドローダウンした。得られた色相は331°、彩度は68、BRRは4.41であった。
【0051】
実施例4.実施例4は、雲母フレークが12μmのd50を有し、100gの基材が使用され、鉄、シリカ、スズおよびチタニアの量が変化したことを除いて、実施例1に記載したものと同様の手順で行われた。600gのFeCl
3・5H
2Oを添加すると、25の色相になった。800gのNa
2SiO
3・5H
2O、60gの20%SnCl
4・5H
2O、および800gの40%TiCl
4を最終層上に堆積させた。得られたサンプルは、346の色相、62の彩度、および3.99のBRRを有した。
【0052】
実施例5.実施例5は、天然雲母フレークが70μmのd50を有し、320gの基材が使用されたことを除いて、実施例1に記載したものと同様の手順で行われた。800gのFeCl
3・5H
2Oを添加すると、15の色相になった。625gのNa
2SiO
3・5H
2O、30gの20%SnCl
4・5H
2O、および700gの40%TiCl
4を最終層に堆積させた。得られたサンプルは、332の色相、59の彩度、および3.67のBRRを有した。
【0053】
実施例6.実施例6は、基材が80μmのd50を有するガラスフレークであり、215gの基材が使用されたことを除いて、実施例1に記載したものと同様の手順で行われた。500gのFeCl
3・5H
2Oを添加すると、17の色相になった。400gのNa
2SiO
3・5H
2O、15gの20%SnCl
4・5H
2O、および400gの40%TiCl
4を最終層に堆積させた。得られたサンプルは、334の色相、56の彩度、および4.13のBRRを有した。
【0054】
実施例7.実施例7は、基材が20μmのd50を有する天然雲母フレークであったことを除いて、実施例1に記載したものと同様の手順で行われた。550gのFeCl3・5H2Oを添加すると、17の色相になった。500gのNa
2SiO
3・5H
2O、55gの20%SnCl4・5H2O、800gの40%TiCl
4を最終層に堆積させた。得られたサンプルは、332の色相、70の彩度、および4.63のBRRを有した。
【0055】
実施例8.実施例8は、実施例1に記載したものと同様の手順で行われた。600gのFeCl
3・5H
2Oを添加すると、355の色相になった。600gのNa
2SiO
3・5H
2O、20gの20%SnCl
4・5H
2O、および800gの40%TiCl
4を最終層に堆積させた。得られたサンプルは、332の色相、80の彩度、および5.63のBRRを有した。
【0056】
実施例9.実施例9は、実施例1に記載したものと同様の手順で行われた。500gのFeCl
3・5H
2Oを添加すると、25の色相になった。625gのNa
2SiO
3・5H
2O、35gの20%SnCl
4・5H
2O、および650gの40%TiCl
4を最終層に堆積させた。得られたサンプルは、21の色相、67の彩度、および4.76のBRRを有した。
【0057】
実施例10.現在の技術と同様の色空間にアクセスする市販の比較顔料について、BRR値を評価した。表1に、実施例1〜9および市販の顔料のBRR、色相、および彩度の値を示す。約3を超えるBRR値を示す市販の顔料は、酸化鉄の第1層を有さず、カルミンなどの有機染料も使用する。酸化鉄の第1層を有する市販の顔料は、約3を超えるBRR値を示すことができなかった。対照的に、本技術に従って調製された実施例1〜9は、約3を超えるBRR値を示した。
【表1】
【0058】
特定の実施形態を図示および説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義されているそのより広範な態様における技術から逸脱することなく、当該技術分野における通常の技術に従って変更および修正を加えることができることを理解されたい。
【0059】
本明細書で実例として説明される実施形態は、本明細書に具体的には開示されていないいかなる要素または複数の要素、制限または複数の制限の不在下でも適切に実施され得る。したがって、例えば、「を含んでいる(comprising)」、「を含んでいる(including)」、「を含有している(containing)」などの用語は、広範にかつ制限なしで読まれることになっている。さらに、本明細書で採用される用語および表現は、説明の用語として使用されており、制限の用語として使用されてはおらず、このような用語および表現の使用において、示されおよび説明される特徴またはその部分のいかなる等価物も除外することを意図するものではなく、特許請求された技術の範囲内で種々の変更が可能であることが認識される。さらに、「から本質的になる」という句は、具体的に引用される複数の要素、および特許請求される技術の基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しない追加の要素を含むよう理解されることになっている。「からなる」という句は、指定されていないいかなる要素も除外する。
【0060】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に関して限定されるものではない。多くの修正および変形は、当業者に明らかになるように、その主旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。本開示の範囲内の機能的に等価の方法は、本明細書に列挙されたものに加えて、上述の説明から当業者に明らかとなる。このような修正および変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲、およびそのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲によってのみ限定されるべきである。本開示が、もちろん変わり得る特定の方法、試薬、化合物組成、または生物系に限定されないことを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0061】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループに関して記載されている場合、当業者は、本開示がまた、マーカッシュグループのメンバーの任意の個々のメンバーまたはサブグループの観点から記載されることを認識するであろう。
【0062】
当業者には理解されるように、任意のおよび全ての目的のために、特に書面による説明を提供する観点から、本明細書に開示される全ての範囲は、その可能な部分範囲および部分範囲の組み合わせをも包含する。いかなる列挙された範囲も、少なくとも等しい半分、1/3、1/4、1/5、1/10などへと分解される同じ範囲を十分に説明および可能にするものとして容易に認識することができる。非限定例として、本明細書で考察される各範囲は、下位の1/3、中間の1/3、および上位の1/3などへと容易に分解されることができる。また、当業者によって理解されることになっているように、「最高」、「少なくとも」、「より大きな」、「より小さな」、およびこれらに類するものなどの言葉は全て、列挙された数を含み、先に考察した下位範囲へと後に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者には理解されるように、範囲は各々の個々の部材を含む。
【0063】
本明細書で参照される、全ての刊行物、特許出願、発行された特許、および他の文書は、各々の個々の刊行物、特許出願、発行された特許、または他の文書が、その全体が参照により本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別的に示されるように参照によって本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる本文に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する範囲で除外される。
【0064】
他の実施形態は、後続の特許請求の範囲に記載されている。