(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の図面において同一又は相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、図中の矢印は、空気の流通方向を示している。また、
図1を含め以下の図面では、各構成部材の大きさの関係が実際のものと異なる場合がある。さらに、明細書全文に表されている構成要素の形態は、あくまで例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1〜
図3を参照して、本発明の実施の形態1の室外機の概略構成について説明する。
図1は室外機の斜視図を示している。
図2は、
図1のA−A断面図であり、室外機1の前面パネル3を除外した状態を示している。
図3は、
図2に示す室外機1のB−B断面図であり、説明の便宜上、前面パネル3が取付けられた状態を示している。
【0011】
室外機1は、例えば空気調和機に適用され、外郭を構成する筐体2と、筐体2内に設けられた熱交換器22と、圧縮機14と、送風機13と、電装品箱15とを備えている。
【0012】
筐体2は、筐体2の前面を構成する前面パネル3と、前面パネル3と対向し筐体2の背面を構成する背面パネル8と、筐体2を前面から眺めた場合の左側面を構成する左側面パネル4と、左側面パネル4と対向し筐体2を前面から眺めた場合の右側面を構成する右側面パネル5と、筐体2の底面を構成する底面パネル6と、底面パネル6と対向し筐体2の天面を構成する天面パネル7とで構成されている。なお、前面パネル3と左側面パネル4とが、一つの部品で構成されていてもよい。
【0013】
前面パネル3には、円形状の開口部3aが形成されている。左側面パネル4には、開口部4aが形成されている。背面パネル8には、開口部8aが形成されている。開口部4a及び開口部8aは、筐体2の外部から内部へ空気を取り込むためのものである。開口部3aは、筐体2の内部から外部へ空気を排出するためのものであり、空気の吹出口である。
【0014】
前面パネル3の開口部3aには、開口部3aの周縁から筐体2の内部に張り出す円環形状のベルマウス9が設けられ、筐体2の内部に張り出したベルマウス9の端部9aは、上面視において前面パネル3と平行に張り出している。ベルマウス9の内側には送風機13が設けられ、ベルマウス9は、送風機13の外周を囲むように送風機13の回転方向に沿った円環形状を呈し、送風機13によって発生する空気の流れを整流している。なお、前面パネル3が、本発明におけるパネルに相当する。
【0015】
熱交換器22は、積層された複数のフィンとフィンを貫通する伝熱管とを有しており、伝熱管を通過する冷媒と空気との間で熱交換を行う。熱交換器2
2は、上面視においてL字型に屈曲した形状を有しており、背面パネル8及び左側面パネル4に沿って配置されている。圧縮機14は、冷媒を圧縮して吐出する装置であり、後述する機械室12内に配置されている。
【0016】
送風機13は、前面パネル3と背面パネル8との間に配置されている。送風機13は、開口部3aと対向している。送風機13は、例えばプロペラファンとファンモータとで構成される送風手段であり、背面パネル8の開口部8a及び左側面パネル4の開口部4aから前面パネル3の開口部3aへ流れる空気の流れを発生させ、熱交換器22における熱交換を効率的に行なうための空気循環を生成する。また、機械室12には、圧縮機14と圧縮機14に接続された冷媒配管(図示せず)が設けられている。
【0017】
室外機1の筐体2の内部は、仕切り板10によって送風機室11と機械室12とに区画されている。送風機室11は、前面パネル3と、左側面パネル4と、底面パネル6と、天面パネル7と、背面パネル8と、仕切り板10とによって形成される空間である。機械室12は、前面パネル3と、右側面パネル5と、底面パネル6と、天面パネル7と、背面パネル8と、仕切り板10とによって形成される空間である。開口部3a、開口部4a及び開口部8aは、送風機室11に面した位置に形成されている。
【0018】
電装品箱15は、空気調和機の構成部品を制御するためのものであり、仕切り板10の上部に、送風機室11と機械室12とに跨がって配置されている。電装品箱15は、電気部品17が取り付けられた制御基板16が収容され、電気部品17には、電気部品
17から発生した熱を放出する放熱部18が取り付けられている。また、放熱部18は一部が風向板20で覆われている。
【0019】
電気部品17は、空気調和機の構成部品を制御するためのものであり、例えば半導体素子等で構成されている。交流電力を入力とする場合、制御基板16は、交流電力を直流電力に変換するコンバータ部と、該直流電力を交流電力に変換して圧縮機14の圧縮機モータあるいは送風機13のファンモータを駆動するインバータ部とを有している。
【0020】
コンバータ部は、例えば整流用のダイオードブリッジモジュール、直流電力に変換する際に直流電圧を可変するためのスイッチング素子、又は直流電圧の昇圧による電源側への電流逆流を防止する逆流防止素子等で構成される。インバータ部は、例えば6つのスイッチング素子を含むインバータモジュールで構成される。なお、半導体素子の種類はこれらに限定されず、回路構成によって決定してもよい。
【0021】
図2に示すように、放熱部18は制御基板16の下方に配置されており、送風機室11において、制御基板16の送風機室11側に配置されている。放熱部18は正面視において、ベルマウス9の端部9aよりも外側である、ベルマウス9と重ならない位置に配置されている。放熱部18は、電気部品17と接触して設けられており、制御基板16が有する電気部品17を冷却するためのものである。
【0022】
放熱部18は、下方が風向板20で覆われ、放熱部18と風向板20とで囲われた空間が、通風路23として形成されている。
図3に示すように、送風機13によって形成された風は、背面パネル8から前面パネル3に向かって流れ、放熱部18の通風路23にも背面パネル8側から前面パネル3側に向かって風が流れる。
【0023】
放熱部18は、上面視において、背面パネル8よりも前面パネル3寄りに配置され、前面パネル3側に面した風下側端部18dが前面パネル3及びベルマウス9に隣接した状態で配置されている。具体的には、ベルマウス9を塞ぐように、ベルマウス9の端部9aの周縁全周を覆い前面パネル3の内面3bと平行な仮想面を仮想面Sとし、仮想面Sと前面パネル3との間の領域を領域Rとしたとき、放熱部18の風下側端部18dは、領域Rに配置されている。
【0024】
次に、
図4〜6を参照して、放熱部18の構成について説明する。以下、右側面パネル5から左側面パネル4に向かう方向をX方向とし、背面パネル8から前面パネル3に向かう方向をY方向とし、天面パネル7から底面パネル6へ向かう方向をZ方向とする。また、背面パネル8側を風上側とし、前面パネル3側を風下側とする。
【0025】
図4は、室外機1の背面パネル8側から見た放熱部18と風向板20の斜視図を示している。
図5は、室外機1の左側面パネル4側から見た放熱部18の側面図を示しており、説明の便宜上、前面パネル3、ベルマウス9、背面パネル8も合わせて示している。
図6は、室外機1の底面パネル6側から見た放熱部18の底面図を示している。
【0026】
図4に示すように、放熱部18は、ベース19とベース19から直角に延びる複数のフィン21とで形成され、複数のフィン21の先端が一部風向板20で覆われている。放熱部18のベース19と、隣り合う2つのフィン21の間に形成された間隙と、風向板20とで囲われた空間が、通風路23として形成されている。
【0027】
ベース19は、電気部品17に取り付けられ、Y方向に延びる長方形状の板状部材である。フィン21は長手方向の長さがベース19の長手方向の長さと等しい長方形状であり、ベース19の短手方向(
X方向)に複数形成されている。
【0028】
複数のフィン21はそれぞれ、長手方向において風上側の端部である風上側端部21cと、風下側の端部である風下側端部21dとを有している。複数のフィン21の風上側端部21cが、放熱部18の風上側端部18cに相当し、複数のフィン21の風下側端部21dが、放熱部18の風下側端部18dに相当する。
【0029】
風向板20は、平面部20aと、傾斜部20bとで構成されている。平面部20aは、ベース19に対向したY方向に延びる長方形状の板状部材であり、放熱部18の風下側を除く、複数のフィン21の先端の一部を覆っている。傾斜部20bは、平面部20aの風上側に接続されている板状部材であり、平面部20aに対して重力方向(Z方向)に傾斜している。
【0030】
傾斜部20bの風上側端部が、風向板20の風上側端部20cに相当し、平面部20aの風下側端部が、風向板20の風下側端部20dに相当する。通風路23は背面パネル8から前面パネル
3に向かって形成され、送風機13によってY方向に風が送られる。風向板20の傾斜部20bによって、通風路23に対する空気の流速を増加させることができる。
【0031】
風向板20の風上側端部20cは、複数のフィン21の風上側端部21cよりも風上側に配置されており、放熱部18の複数のフィン21の風下側の一部は風向板
20に覆われておらず、開放されている。
【0032】
放熱部18の風上側端部18c(フィン21の風上側端部21c)は、通風路23に空気が流入するための流入口24である。放熱部18の風下側端部18d(フィン21の風下側端部21d)は、通風路23から空気が流出するための流出口25aであり、風向板20で覆われていない複数のフィン21の風下側の一部も、通風路23から空気が流出するための流出口25bである。流出口25は、放熱部18の風下側端部である流出口25aおよび、風向板20で覆われていない複数のフィン21の先端部分である流出口25bによって構成されている。
【0033】
図5及び
図6に示すように、流入口24は仮想面Sよりも風上側に配置されている。また、流出口25aは仮想面Sよりも風下側に配置され、流出口25bは仮想面Sよりも風上側から風下側にかけて形成されている。流入口24の開口面積は、流出口25aの開口面積と同等である。また、流出口25は、流入口24と同等の開口面積である流出口25aに加えて流出口25bを有している。つまり、流出口25の開口面積は流入口24の開口面積よりも大きくなっている。なお、以下では、「開口面積」を単に「面積」として説明することもある。
【0034】
また、風向板20の風上側端部20cは、放熱部18の風上側端部18cよりも風上側に配置されており、風向板20の風下側端部20dは、Y方向において仮想面Sよりも風上側に配置されており、領域Rに配置されていない。
【0035】
次に、放熱部18における空気の流れについて説明する。なお、放熱部18の効果の理解を容易とするため、以下ではまず、比較例の放熱部の構成について説明する。その後、本実施の形態1に係る放熱部18における空気の流れについて説明する。なお、比較例を示す際、比較例の構成には、当該構成と対応する本実施の形態1の構成の符号に「1000」を加えた符号を付するものとする。
【0036】
[比較例]
図7を参照して、比較例の放熱部1018の構成について説明する。比較例の放熱部1018が本実施の形態1に係る放熱部18と異なる点は、風向板1020が複数のフィン1021の全体を覆っている点である。
【0037】
図7に示すように、比較例の放熱部1018は、風向板1020の風下側端部1020dが、Y方向において複数のフィン1021の風下側端部1021dと同等の位置に配置されている。また、放熱部1018は、複数のフィン1021の先端側の全体が風向板1020に覆われている。つまり、比較例の放熱部1018は、本実施の形態1に係る放熱部18に形成されている流出口25bに相当する開口部を有していない。すなわち、通風路1023の流出口1025は、流入口1024と対向する流出口1025aのみとなる。したがって、流出口1025の面積は、流入口1024の面積と同等である。
【0038】
次に、比較例の放熱部1018における空気の流れについて説明する。送風機13によって放熱部1018に供給された空気は、流入口1024から通風路1023へ流入する。このとき、放熱部1018に供給された空気の一部は、風向板1020の傾斜部1020bによって流入口1024に案内される。通風路1023を通過した空気は、流出口1025(流出口1025a)から通風路1023の外部へ流出する。
【0039】
放熱部1018の流入口1024から流入した空気は、筐体2の前面パネル3に向かって流出口1025から流出するが、空気が流出した空間は、前面パネル
3と、天面パネル7と、筐体2の内部に張り出したベルマウス9と、送風機室11と機械室12とを区画する仕切り板10と、さらには放熱部1018の流出口1025とに囲われた閉塞空間となっている。そのため、閉塞空間の圧力は高く、放熱部1018の流出口1025側は背面パネル8から前面パネル3に開口した開口部3aに向かって空気が流れている、仮想面Sより風下側にある空間よりは圧力が低いため、通風路1023に空気が流通しにくくなる。
【0040】
一方、本実施の形態1に係る放熱部18は、風向板20の風下側端部20dが、仮想面Sよりも風上側に配置されている。これにより、通風路23の仮想面Sよりも風上側かつZ方向下方には、風向板20に覆われずに露出した流出口25bが形成され流出口25の一部として機能する。流出口25bは、ベルマウス9で塞がれておらず圧力が小さい空間と連通している。
【0041】
そのため、通風路23を通過した空気は、流出口25(流出口25b)から、ベルマウス9で塞がれておらず圧力が小さい空間へ流出する。よって、流出口25で空気が淀むことなく、通風路23に十分な空気が流通し、放熱部18の冷却能力を向上させることができる。
【0042】
放熱部18の冷却能力向上により、制御基板16に実装された電気部品17が効率的に冷却され、制御基板16及び電気部品17の寿命を確保することができる。電気部品17は、例えば電解コンデンサである。電解コンデンサは、電解液を含むことから周囲温度の影響を受けやすい。電解コンデンサの寿命は周囲温度で決まり、周囲温度が10度下がると寿命が約2倍となる。
【0043】
なお、通風路の空気の流れを改善する方法として、前面パネルに穴を開け前面パネルから外に空気を流す排気経路を設けることで、閉塞空間を解消する方法も考えられる。しかしながら、制御基板にGaNやSiC等のワイドギャップ半導体が実装されている場合、ワイドギャップ半導体は従来の半導体と比べて放射ノイズが高いため、前面パネルに空けた穴から放射ノイズが漏れ、室外機に隣接する電気機器が誤動作を起こすおそれがある。よって、制御基板にワイドギャップ半導体が実装されている場合においては特に、前面パネルに穴を開け閉塞空間を解消する方法をとることはできず、前面パネルに穴を開けずに通風路の空気の流れを改善させる本発明方法が好適である。
【0044】
次に、実施の形態1の変形例1について、
図8、9を用いて説明する。上記した実施の形態1では、風向板20の風下側端部20dが、仮想面Sよりも風上側になるよう配置されている放熱部18について説明した。しかし、
図8に示すように、風向板20が、複数のフィン21全体を覆い、かつ、風向板20の平面部20aかつ、仮想面Sよりも風上側に、通風路23と放熱部18の外部とを連通する開口部である流出口25cが形成された放熱部18としてもよい。
【0045】
図8は室外機1の左側面パネル4側から見た変形例1における放熱部18の側面図を示しており、
図9は室外機1の底面パネル6側から見た変形例1における放熱部18の底面図を示している。
【0046】
図9に示すように、変形例1の風向板20には、例えば円形形状の流出口25cが形成されている。流出口25cは仮想面Sよりも風上側から風下側にかけて形成されている。このように構成された放熱部18にあっても、仮想面Sよりも風上側である、流出口25が流入
口24側よりも圧損が小さい空間に向かって形成されているため、通風路23に空気が流通しやすくなり放熱部18の冷却能力が向上する。
【0047】
なお、流出口25cの形状は円形に限定されず、四角形や三角形等の他の形状であってもよい。また、流出口25cの数は一つでも複数でもよく、仮想面Sの風上側のみに開口していてもよい。さらに、風向板20は放熱部18の風下側を開放し一部のみ覆っていてもよい。
【0048】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2に係る室外機1について、
図10、11を用いて説明する。実施の形態1に係る放熱部18は、前面パネル3及び複数のフィン21の風下側端部と平行な風下側端部を有する風向板20を備えているのに対し、実施の形態2に係る放熱部18は、前面パネル3及び複数のフィン21の風下側端部と平行でない風下側端部を有する風向板30を備えている点が異なる。
【0049】
図10は室外機1の左側面パネル4側から見た実施の形態2に係る放熱部18の側面図を示しており、
図11は室外機1の底面パネル6側から見た実施の形態2に係る放熱部18の底面図を示している。以下、特に説明しない限り、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0050】
図10に示すように、実施の形態2に係る室外機1の放熱部18は、長方形状の平面部30aと、平面部30aの長手方向側の端部に傾斜部30bとを有する風向板30を備えている。傾斜部30bは、平面部30aの風上側に接続されている。平面部30aと傾斜部30bとは、一体に形成されている。傾斜部30
bは、平面部30aに対して重力方向(Z方向)に傾斜している。平面部30aは、Z方向において、ベース19に対向している。平面部30aは、複数のフィン21の風向板側端
部に接している。
【0051】
また、風向板30は、風上側端部30cと風下側端部30dとを有する。風上側端部30cは、傾斜部30bの端部である。風上側端部30cは、複数のフィン21の風上側端部21cよりも風上側に配置されている。風下側端部30dは、平面部30aの端部である。
【0052】
さらに、
図11に示すように、風向板30の風
上側端部30
cは
、X方向において、第一の風上側側面端部30eと第二の風上側側面端部30fとを有している。風向板30の風下側端部30dは、
複数のフィン21の風下側端部21dに対して斜めに直線状に形成されており、X方向において、第一の風下側側面端部30gと第二の風下側側面端部30hとを有している。第一の風上側側面端部30e及び第一の風下側側面端部30gは仕切り板10に対向した端部であり、第二の風上側側面端部30f及び第二の風下側側面端部30hはベルマウス9に対向した端部である。
【0053】
風向板30の風上側端部30cから風下側端部30dまでの距離は、第二の風上側側面端部30fから第二の風下側側面端部30hまでが最も短く、第一の風上側側面端部30eから第一の風下側側面端部30gまでが最も長く、第二の風下側側面端部30hから第一の風下側側面端部30gに近づくほど長くなっている。
【0054】
図11に示す破線は、制御基板16に実装された電気部品17の位置を示している。電気部品17は、ベース19に接続されている。電気部品17は、X方向において、ベルマウス9に対向した端部に配置されている。また、Y方向において、電気部品17と第二の風下側側面端部30hとの距離は、電気部品17と第一の風下側側面端部30gとの距離よりも短い。また、Y方向において、第二の風下側側面端部30hと前面パネル3の内面3bとの距離は、第一の風下側側面端部30gと前面パネル3の内面3bとの距離よりも長い。
【0055】
また、第一の風下側側面端部30gは、仮想面Sよりも風下側に配置され、第二の風下側側面端部30hは、仮想面Sよりも風上側に配置されている。さらに、第一の風下側側面端部30gと第二の風下側側面端部30hとは直線状に接続されている。風向板30の平面部30aは、上面視において、風下側端部30dが仮想面Sに交差する形状を呈している。つまり、放熱部18の流出口25(流出口25b)の一部が仮想面Sよりも風上側に形成されている。
【0056】
第二の風下側側面端部30hは、仮想面Sよりも風上側に配置されているため、通風路
23の出口がベルマウス
9よりも風上側にあり、空気の淀みが少なく圧損の低い空間に開口しているので、通風路
23に空気が流通しやすくなる。これにより、通風路
23に流通する空気の流速が上がり、放熱部
18の冷却能力を向上させることができる。
【0057】
また、複数のフィン21の風下側端部21dに対して斜めに形成された風向板30の風下側端部30dは、長さの異なる複数の通風路23を有している。複数の通風路23のうち、第一の風下側側面端部30g側にある距離が長い通風路を第一の通風路23aとし、第二の風下側側面端部30h側にある距離が短い通風路を第二の通風路23bとすると、電気部品17は第二の通風路23bと対向する位置に配置されている。
【0058】
通風路23を流通する空気の流速は、流出口25の位置が前面パネル3に近づくほど遅くなる。そのため、第二の通風路23bにおける空気の流速は、第一の通風路23aにおける流速よりも速くなる。電気部品17は第二の通風路23bと対向する位置に配置されているので、電気部品17に対応する位置の通風路23を流通する空気の流速が速くなる。これにより、電気部品17を効率的に冷却することができる。
【0059】
したがって、ベース19に接続されるすべての電気部品17を第二の風下側側面端部30h側に配置することで、電気部品17を効率的に冷却することができる。なお、電気部品17のうち、熱損失の大きいものを第二の風下側側面端部30h側に配置し、熱損失の小さいものを第一の風下側側面端部30g側に配置してもよい。このように配置することで、熱損失の大きい電気部品17を効率的に冷却することができる。
【0060】
また、第二の風下側側面端部30hにおいて、風上側から風下側に向かって、電気部品17のうち熱損失の大きいものから順に配置してもよい。このように配置することで、熱損失の大きい電気部品17を効率的に冷却することができる。
【0061】
次に、実施の形態2の変形例1について説明する。上記した実施の形態2では、風向板30の風下側端部30dが直線状を呈し、上面視において風向板30が台形形状を呈する例について説明した。しかし、
図12に示すように、風向板30の風下側端部30dが円弧状を呈するものとしてもよい。
図12は、室外機1の底面パネル6側から見た実施の形態2の変形例1に係る放熱部18の底面図を示している。
【0062】
図12に示すように、風向板30の第一の風下側側面端部30gは、風下側端部30dのX方向における両端に位置する。また、風向板30の第二の風下側側面端部30hは、風下側端部30dのX方向における中央に位置する。また、さらに、第一の風下側側面端部30gと第二の風下側側面端部30hとは円弧状に接続されている。電気部品17は、X方向において、第二の風下側側面端部30h側に配置されている。また、上面視において、電気部品17は、第二の風下側側面端部30hを通りY方向に平行な直線上に配置されている。
【0063】
次に、実施の形態2の変形例2について説明する。上記した実施の形態2では、風向板30の風下側端部30dが直線状を呈し、上面視において風向板30が台形形状を呈する例について説明した。しかし、
図13に示すように、風向板30の風下側端部30dがL字状を呈するものとしてもよい。
【0064】
図13に示すように、風向板30の第一の風下側側面端部30gは、風下側端部30dのX方向における両端に位置する。また、風向板30の第二の風下側側面端部30hは、風下側端部30dのX方向における中央に位置する。さらに、第一の風下側側面端部30gと第二の風下側側面端部30hとは直線状に接続されている。電気部品17は、X方向において、第二の風下側側面端部30h側に配置されている。また、上面視において、電気部品17は、第二の風下側側面端部30hを通りY方向に平行な直線
上に配置されている。
【0065】
実施の形態2の変形例1、2の放熱部18においても、第二の風下側側面端部30hに対応する通風路23を流通する空気の流速が速くなり、第二の風下側側面端部30h側に配置された電気部品17を効率的に冷却することができる。また、X方向における放熱部18の中央に電気部品17を配置することで、電気部品17で発生した熱が放熱部18全体に伝わりやすくなるため、電気部品17を効率的に冷却することができる。
【0066】
なお、上記した実施の形態2では、風向板30の第一の風下側側面端部30gが仮想面Sよりも風下側に配置される例について説明したが、第一の風下側側面端部30gが仮想面Sよりも風上側に配置されるものとしてもよい。このような構成により、流出口25bの面積がより大きくなり、圧損がより小さい空間に流れやすくなり通風路23に空気が流通しやすくなる。
【0067】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3に係る室外機1について、
図14を用いて説明する。実施の形態1に係る放熱部18は、風下側端部18dが仮想面Sよりも風下側に配置されているのに対し、実施の形態3に係る放熱部180は、風下側端部180dが仮想面Sよりも風上側に配置されている点が異なる。
【0068】
図14は室外機1の左側面パネル4側から見た実施の形態3に係る放熱部180の側面図を示している。以下、特に説明しない限り、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0069】
図14に示すように、実施の形態3に係る室外機1の放熱部180は、ベース190とベース190から直角に延びる複数のフィン210とで形成され、複数のフィン210の先端が一部風向板200で覆われている。放熱部180のベース190と、隣り合う2つのフィン210の間に形成された間隙と、風向板200とで囲われた空間が、通風路230として形成されている。
【0070】
ベース190は、電気部品17に取り付けられ、Y方向に延びる長方形状の板状部材である。フィン210は長手方向の長さがベース190の長手方向の長さと等しい長方形状であり、ベース190の短手方向(
X方向)に複数形成されている。
【0071】
複数のフィン210はそれぞれ、長手方向において風上側の端部である風上側端部210cと、風下側の端部である風下側端部210dとを有している。複数のフィン210の風上側端部210cが、放熱部180の風上側端部180cに相当し、複数のフィン210の風下側端部210dが、放熱部180の風下側端部180dに相当する。
【0072】
風向板200は、平面部200aと、平面部200aの長手方向側の端部に傾斜部200bとを有している。傾斜部200bは、平面部200aの風上側に接続されている。平面部200aと傾斜部
200bとは、一体に形成されている。傾斜部200
bは、平面部
200aに対して重力方向(Z方向)に傾斜している。平面部200aは、Z方向において、ベース190に対向している。
【0073】
風向板200は、風上側端部200cと風下側端部200dとを有する。風上側端部200cは、傾斜部200bの端部である。風上側端部200cは、複数のフィン21の風上側端部21
0cよりも風上側に配置されている。風下側端部200dは、平面部200aの端部である。
【0074】
図14に示すように、放熱部180の風下側端部180d及び風向板200は仮想面Sよりも風上側に配置され、放熱部18
0および風向板200は、仮想面Sと前面パネル3との間の領域である領域Rに配置されていない。
【0075】
したがって、通風路230を通過した空気は、仮想面Sよりも風上側に流出するため、流出口で空気が淀むことなく、通風路23
0に十分な空気が流通し、放熱部180の冷却能力を向上させることができる。
【0076】
さらに、実施の形態1から2に示すように、放熱部の風上側端部の一部を風向板で覆わず、第2の流出口を設けることによりさらに通風路230に空気が流通しやすくなり、放熱部180の冷却能力をさらに向上させることができる。
【0077】
なお、
図14において放熱部180のY軸方向の長さと風向板200のY軸方向の長さが同じ形態を示したが、実施の形態1に示すように、風向板200のY軸方向の長さを放熱部180のY軸方向の長さに比べ短くしたり、風向板200に例えば円形形状の流出口を形成させたりすることでさらに流速を高め冷却能力を向上させることができる。
【0078】
また同様に、実施の形態2に示すように、風向板200の風下側端部200dを風下側端部210dに対して斜めに形成したり、円弧状や、L字状に形成させたりすることで、風向板200の風上側端部200cから風下側端部200dまでの距離が短い箇所ほど流速を高め冷却能力を向上させることができる。すなわち、上述した各実施例を適宜組み合わせた構成も実施可能である。
【0079】
上記した実施の形態1から3では、複数のフィン21、210が板状の部材で構成される例について説明したが、複数のフィン21、210の形状はこれに限定されない。例えば、棒状等の他の形状であってもよい。
【0080】
また、上記した実施の形態1から3では、制御基板16が水平に配置された横置きの例について説明したが、制御基板16が重力方向(Z方向)に配置される縦置きとしてもよい。その場合、複数のフィン21
、210は水平方向に延び、風向板20、30、200の平面部20a、30a、200aはZ方向に沿って延びるように配置される。
【0081】
さらに、上記した実施の形態1から3では、風向板20、30、200の平面部20a、30a、200aが、複数のフィン21、210の風向板側端
部に接続される例について説明したが、平面部20a、30a、200aと風向板側端
部との間に間隙が形成されていてもよい。
【0082】
また、上記した実施の形態1から3では、風向板20、30、200が傾斜部20b、30b、200bを備える例について説明したが、風向板20、30、200が傾斜部20b、30b、200bを備えず、風向板20、30、200の全体が平面状に形成されるものであってもよい。この場合、平面部20a、30a、200aの風上側端部が風向板20、30、200の風上側端部20c、30c、200cとなる。このとき、風向板20、30、200の風上側端部20c、30c、200cは、複数のフィン21、210の風上側端部21c、210cとY方向において同等の位置に配置されていてもよい。
【0083】
また、上記した実施の形態1から3では、ベース19、190の長手方向の長さとフィン21、210の長手方向の長さが等しい例を示したが、複数のフィン21、210の長手方向の長さがベース19、190の長手方向の長さよりも短く、ベース19、190の上流側もしくは下流側に寄せて設けられ、風下側もしくは風上側のみが開放されていてもよい。
【0084】
なお、上記した実施の形態1から3の室外機
1を、ヒートポンプ式給湯器の室外機に適用してもよい。