特許第6972188号(P6972188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972188異なるサイズのスライド用の調整可能なスライドステージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972188
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】異なるサイズのスライド用の調整可能なスライドステージ
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/34 20060101AFI20211111BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   G02B21/34
   G01N21/27 E
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-572590(P2019-572590)
(86)(22)【出願日】2018年8月17日
(65)【公表番号】特表2020-525848(P2020-525848A)
(43)【公表日】2020年8月27日
(86)【国際出願番号】US2018046944
(87)【国際公開番号】WO2019036647
(87)【国際公開日】20190221
【審査請求日】2019年12月27日
(31)【優先権主張番号】62/546,877
(32)【優先日】2017年8月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503293765
【氏名又は名称】ライカ バイオシステムズ イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Biosystems Imaging, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニック ニューバーグ
(72)【発明者】
【氏名】プレンタッシュ ジェロセヴィッチ
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−072731(JP,A)
【文献】 特開平01−100508(JP,A)
【文献】 実開昭60−049314(JP,U)
【文献】 特開2006−242951(JP,A)
【文献】 実開昭60−044019(JP,U)
【文献】 中国実用新案第205246965(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0346476(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/077837(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 − 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルスライド走査ステージであって、前記デジタルスライド走査ステージは、
第1方向に直線的に延在するレールを備える基部と、
第1上面と、前記第1上面の下で第1側面により凹んだ第1スライド面と、を有し、前記第1スライド面がスライドガラスの底部を支持するように構成される固定部であって、前記第1方向と直交する第2方向に前記基部から延在する固定アームを備える固定部と、
第2上面と、前記第2上面の下で第2側面により凹んだ第2スライド面と、を有し、前記第2スライド面がスライドガラスの底部を支持するように構成される可動部であって、前記第2方向に延在しかつ前記固定アームと前記可動アームとの間の距離が変化するように前記第1方向に前記レールに沿って摺動するように構成される可動アームを備える可動部と、
を備え、
前記可動部の前記第2側面は、前記固定部の前記第1側面と対向し、前記第1スライド面および前記第2スライド面の上に凹部を形成し、
前記可動部は、少なくとも前記固定部から第1距離を有する第1位置と、前記固定部から第2距離を有する第2位置と、の間を移動するように構成され、
前記第1位置にて、前記第1側面および前記第2側面ならびに前記第1スライド面および前記第2スライド面は、第1幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される第1サイズの第1凹部を形成し、
前記第2位置にて、前記第1側面および前記第2側面ならびに前記第1スライド面および前記第2スライド面は、前記第1幅寸法とは異なる第2幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される第2サイズの第2凹部を形成する、
デジタルスライド走査ステージ。
【請求項2】
前記固定アームは、前記第1側面を備え、
前記第1側面は、スライドガラスの側部に接触するように構成される1つ以上の第1接触点を備え、
前記可動アームは、前記第2側面を備え、
前記第2側面は、スライドガラスの側部に接触するように構成される1つ以上の第2接触点を備える、
請求項1に記載のデジタルスライド走査ステージ。
【請求項3】
前記第2接触点および前記第1接触点のうちの1つ以上は、角度のある表面を備え、
前記接触点は、前記スライドガラスの底面より前記スライドガラスの上面に近づいて前記スライドガラスに接触するように構成され、前記スライドガラスへ下方への圧力を加える、
請求項2に記載のデジタルスライド走査ステージ。
【請求項4】
前記第1スライド面および前記第2スライド面は、前記デジタルスライド走査ステージの下で、前記固定部と前記可動部との間に開口部を形成するように隣接しない、
請求項1に記載のデジタルスライド走査ステージ。
【請求項5】
請求項1に記載のデジタルスライド走査ステージと、
前記可動アームを制御し、前記可動アームを前記レールに沿って移動させる1つ以上のプロセッサと、
を備えるデジタルスライド走査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月17日に出願の米国特許仮出願第62/546,877号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、デジタルパソロジー走査装置に関し、特には、可変サイズのスライドガラスまたはスライドラックを支持する、走査ステージに関する。
【背景技術】
【0003】
デジタルパソロジーは、実際のスライドから作成される情報の管理を可能にするコンピュータ技術によってできる、画像に基づく情報環境である。デジタルパソロジーは、ある程度は仮想顕微鏡検査によって可能であり、仮想顕微鏡検査は、実際のスライドガラスの標本を走査して、デジタルスライド画像を作成する行為であり、デジタルスライド画像は、コンピュータモニタに格納され、観察され、管理され、分析可能である。スライドガラス全体を撮像する能力に伴い、デジタルパソロジーの領域は激増しており、癌および他の重要な疾患の更に良好、迅速かつ安価な診断、予後および予測を得るために、現在診断医学で最も有望な手段の1つと考えられている。
【0004】
大部分の実際のスライドガラスは76×26mm(1×3)である。しかし、いくつかのスライドガラスは76×52mm(2×3)である。これらの大きなスライドガラスは、「2倍幅」のものと呼ばれる場合がある。デジタルスライド走査装置は、通常、一度に1つのスライドを走査する。いくつかのデジタルスライド走査装置は1×3スライドを走査する専用のものであり、他のデジタルスライド走査装置は2×3スライドを走査する専用のものである。しかし、異なるサイズのスライドを処理するために必要な異なる走査装置のため、従来のデジタルスライド走査処理は、通常1×3スライドの処理を2×3スライドの処理から分けている。したがって求められているのは、上記のとおり従来のシステムで見つかる、これらの重大な問題を解決するシステムおよび方法である。
【0005】
発明の概要
したがって、本明細書には、種々のサイズの個々のスライドガラスを保持するように構成される、デジタルスライド走査装置と共に使用するスライドステージが記載される。1つのスライドステージは、1×3スライド用の専用の凹部および2×3スライド用の別個の専用の凹部を含む。スライドステージは、そこからスライドガラスがスライドステージに入れられるスライドラックに対して、適切にサイズ設定された凹部を提供するために、その位置を変えるように構成される。その位置を変えることは、横方向の移動によって、または回転によって達成可能である。代替的には、スライドステージは、取り外し可能なインサートを含むことができ、その結果、インサートが存在するとき、スライドステージは1×3スライドガラスを保持するように構成され、インサートが取り外されたとき、スライドステージは2×3スライドガラスを保持するように構成される。
【0006】
本明細書には、代替実施形態の固定アームおよび可動アームを含むグリッパーステージが記載される。可動アームは、可変幅のスライド保持器を提供するために、固定アームに向かっておよび固定アームから離れる方向に移動するように構成される。固定アームは、スライドガラスの側面を係合するように構成される1つ以上の接触点と、スライドガラスの底面の少なくとも一部を係合するように構成される下部支持体と、を含む。可動アームも、スライドガラスの側面を係合するように構成される1つ以上の接触点と、スライドガラスの底面の少なくとも一部を係合するように構成される下部支持体と、を含む。可動アームは、固定アームから離れる方向に、続いてスライドラックから部分的に押されているスライドに移動することによって開く。グリッパーステージは、スライドガラスの側面に隣接する接触点に固定アームを運び、可動アームの1つ以上の接触点が、スライドガラスの側面を係合して、固定アームの1つ以上の接触点内にスライドガラスの対向する側面を押圧するまで、可動アームは閉じる。一旦スライドガラスが可動アームの1つ以上の接触点と固定アームの1つ以上の接触点との間に固定されると、スライドはスライドラックから残りの部分が引き出され、走査のために更に処理される。
【0007】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面を検討した後、当業者にはより容易に明らかになるであろう。
【0008】
本発明の構造および動作は、以下の詳細な説明、および同じ参照番号が同じ部材を指す添付の図面を検討することから理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを保持するように構成される、例示の走査ステージを示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを保持するように構成される、取り外し可能なインサートを備える例示の走査ステージを示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを保持するように構成される、例示の走査ステージを示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態による、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを保持するように構成される、例示の走査ステージを示すブロック図である。
図5A】本発明の一実施形態による、1×3スライドガラスを保持するように構成される、例示のグリッパーステージを示す斜視図である。
図5B】本発明の一実施形態による、2×3スライドガラスを保持するように構成される、例示のグリッパーステージを示す斜視図である。
図6A】一実施形態による、本明細書に記載の種々の実施形態に関連して使用され得る、例示のプロセッサ対応装置を示すブロック図である。
図6B】一実施形態による、1つの線状アレイを有する、例示のライン走査カメラを示すブロック図である。
図6C】一実施形態による、3つの線状アレイを有する、例示のライン走査カメラを示すブロック図である。
図6D】一実施形態による、複数の線状アレイを有する、例ライン走査カメラを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示される特定の実施形態は、1×3および2×3スライドガラスを走査するためのスライドステージを提供する。スライドステージは、走査ステージ上へスライドガラスを降ろすために、その位置を変えて、スライドラックに1×3または2×3スライド凹部を提供するように構成される。スライドステージは、走査ステージ上へスライドガラスを降ろすために、取り外し可能なインサートを移動させて、スライドラックに1×3または2×3スライド凹部を提供するようにも構成可能である。本明細書に開示する他の実施形態は、スライドガラスの対向する側面を係合して、走査のためにスライドガラスを固定するように構成される、グリッパースライドステージを提供する。この説明を読めば、種々の代替的実施形態および代替的用途でどのように本発明を実施するべきかは、当業者には明らかになるだろう。しかし、本発明の種々の実施形態を本明細書に記載するが、これらの実施形態は単なる例示として示され、制限するためではないと理解されている。したがって、種々の代替的実施形態のこの詳細な説明は、添付の請求項に記載の本発明の範囲または広がりを制限すると解釈されるべきではない。
【0011】
図1は、一実施形態による、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを保持するように調整可能である、例示の走査ステージを示すブロック図である。図示の実施形態では、走査ステージ100は、上面110と、上面110から凹んだスライド面120と、を有する。走査ステージは、1つの固定部140および1つの可動部150を含み、凹部130は、固定部140の側面と可動部150の側面との間、および、固定部140のスライド面120と可動部150のスライド面120との上に画定される。可動部150は、2つの部分140および150の側面の間の距離を変えることによって、固定部140に向かって、または固定部140から離れる方向に移動して、それにより2つの部分140と150との間の凹部130のサイズを変えるように構成される。これによって、走査ステージを、異なるサイズのスライドガラス(例えば、第1形状の1×3スライドおよび第2形状の2×3スライド)を受けるように再構成することが可能になる。追加のスライドサイズも、収容され得る。
【0012】
図2は、一実施形態による、可動(例えば、取り外し可能な)インサートを使用して、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを保持するように調整可能である、例示の走査ステージを示すブロック図である。走査ステージ100は、それらの2つの側面の間、およびそれらのそれぞれのスライド面120の上に2×3サイズの凹部130を画定する、2つの固定部140および150を含むことができる。可動インサート160は、固定部150のうちの1つに隣接して配置されて、固定部150の側面に隣接している凹部130の一部を満たすことによって、凹部130のサイズを低減することができる。図示の実施形態では、可動インサート160は、固定部150のスライド面120上に配置されて、その結果、可動インサート160のサイズは、2×3サイズの凹部から1×3サイズの凹部に凹部130のサイズを変える。異なるサイズの複数の可動インサート160(例えば、凹部130に対して異なる長さ)は、様々な凹部サイズを提供するために使用可能である。いずれの場合も、可動インサート160が取り外し可能でもよい(例えば、走査ステージ100から分離可能)、または走査ステージ100に(例えば、レール、ヒンジなどの機械式取り付け具を介して)接続したままであると共に、移動可能でもよいことは理解されるべきである。
【0013】
図3は、一実施形態による、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを受容するように調整可能である、例示の走査ステージを示すブロック図である。図示の実施形態では、走査ステージは、2つの固定サイズの凹部130Aおよび130Bを含む。第1の固定サイズの凹部130Aは、部分140の側面と走査ステージ100の中間部170の側面との間に形成されて、第2の固定サイズの凹部130Bは、中間部170の側面と部分150の側面との間に形成される。第1の固定サイズの凹部130Aは1×3スライドガラスを収容するようにサイズ設定されて、第2の固定サイズの凹部130Bは2×3スライドガラスを収容するようにサイズ設定される。スライドステージ100全体(すなわち、部分140、150および170)は、走査の前にスライドガラスを受容するために、移動して、1×3の凹部130Aまたは2×3の凹部130Bを提供するように構成される。例えば、ステージは、スライドガラスを受容するための開口部に凹部130Aおよび130Bのうちの1つを整列させる、または走査用の位置に凹部130Aおよび130Bのうちの1つを置くために、横方向に移動できる。代替的には、凹部130Aおよび130Bは垂直に積み重なることができて、ステージ100は、スライドガラスを受容するための開口部に凹部130Aおよび130Bのうちの1つを整列させる、または走査用の位置に凹部130Aおよび130Bのうちの1つを置くために、上下に移動できる。
【0014】
図4は、一実施形態による、1×3スライドガラスまたは2×3スライドガラスを受容するように調整可能である、例示の走査ステージを示すブロック図である。図示の実施形態では、走査ステージ100は、2つの固定サイズの凹部130Aおよび130Bを含む。第1の固定サイズの凹部130Aは1×3スライドガラスを収容して、第2の固定サイズの凹部130Bは2×3スライドガラスを収容する。スライドステージ100全体は、走査の前にスライドガラスを受容するために、移動して、1×3の凹部130Aまたは2×3の凹部130Bを提供するように構成される。例えば、スライドステージ100全体は、スライドガラスを走査する前に、凹んだスライド面120の平面に対して直角の軸の周囲で回転して、スライドガラスを対応する凹部に入れるために、1×3凹部130Aまたは2×3凹部130Bを提供できる。例えば、回転は、スライドガラスを受容するための開口部に凹部130Aおよび130Bのうちの1つを整列させる、または凹部130Aおよび130Bのうちの1つを走査用の位置に置くことができる。図示するように、この実施形態の走査ステージ100は、2つのL字状部分により形成可能であり、各L字状部分の脚部は、異なる幅の脚部を有する1つのL字状凹部を形成するように、他のL字状部の対応する脚部に平行である。この場合、この1つのL字状凹部は、異なる寸法の2つの重なり合う矩形凹部として論理的にみな可能である。
【0015】
図5Aおよび図5Bは、一実施形態による、1×3スライドガラス(例えば、図5Aに示される)または2×3スライドガラス(例えば、図5Bに示される)を保持するように調整可能である、例示のグリッパーステージを示す斜視図である。図示した実施形態では、走査ステージ100は、レール190を有する基部180および基部180から延在する固定アーム140を含む。固定アーム140は、スライドガラス200の側面を係合するように構成される、1つ以上の接触点142を有する。固定アーム140は、スライドガラス200の底面を係合するように構成される、少なくとも1つの下部支持体を含む、スライド面120も有する。
【0016】
グリッパーステージは、レール190の長手方向軸に沿って直線方向に移動して、可動アーム150と固定アーム140との間の距離を増加させるように構成される、可動アーム150も含む。可動アーム150は、スライドガラス200の対向する側面を係合するように構成される、1つ以上の接触点152を有する。可動アーム150は、スライドガラス200の底面を係合するように構成される、少なくとも1つの下部支持体を含む、スライド面120も有する。有利には、可動アーム150は、固定アーム140に対して開閉するように構成されて(すなわち、可動アーム150と固定アーム140との間の距離を増減させる)、その結果、可変サイズのスライドガラス200は、可動アーム150の接触点152と固定アーム140の接触点142との間に固定可能である。一実施形態において、固定アーム140と可動アーム150との間に全部で少なくとも3つの接触点142および152がある(例えば、固定アーム140上に2つ、可動アーム150上に1つ)。
【0017】
一実施形態において、接触点142および/または152の側面は、角度をつけられる、または湾曲することができ、その結果、スライドガラス200の底面に近い(スライド面120の下部支持体にも近い)接触点の領域は、スライドガラス200の側面から離れる方向(内側)に引っ込む(後退する)。したがって、可動アーム150が、固定アームの接触点(複数可)142の角度をつけた、または湾曲した側面内にスライドガラス200の側面を押圧するとき、下方への圧力が、スライドガラス200に加えられて、固定アーム140のスライド面120の下部支持体内にスライドガラス200の底面を押圧する。可動アーム150の1つ以上の接触点152は、可動アーム150のスライド面120の下部支持体にスライドガラス200の底面を押圧するために、同様にスライドガラス200へ下方への圧力を加えるように構成可能である。
【0018】
本明細書に記載の各実施形態では、スライド面がサイズ設定可能であり、その結果、1つの固定部または可動部のスライド面は、他の固定部または可動部のいずれかのスライド面にも隣接しないことを理解すべきである。これによって、各実施形態の対応する凹部(複数可)を、下に開口させることが可能になり、その結果、走査ステージ100下の照明システムは、対応する凹部内に配置されるスライドガラスを照明することができる。
【0019】
例示的実施形態
一実施形態において、デジタルスライド走査ステージは、上面および上面の下の凹んだスライド面を有する固定部と、上面および上面の下の凹んだスライド面を有する可動部と、を含み、可動部の凹んだスライド面は、固定部の凹んだスライド面に平行である。この実施形態では、可動部は、少なくとも第1位置と第2位置との間を移動するように構成される。第1位置は、固定部と可動部との間の第1凹部を画定し、第1凹部は、第1幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される。第2位置は、固定部と可動部との間の第2凹部を画定し、第2凹部は、第2幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される。更に、この実施形態では、可動部の移動は、可動部および固定部の凹んだスライド面に平行な直線軸に沿っている。
【0020】
一実施形態において、デジタルスライド走査ステージは、第1上面および前記上面の下の第1の凹んだスライド面を有する第1固定部と、第2上面および前記上面の下の第2の凹んだスライド面を有する第2固定部と、を含む。第1の凹んだスライド面は、第2の凹んだスライド面に平行であり、第1固定部および第2固定部は、第1幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される第1凹部を画定する。そのうえ、可動インサートは、少なくとも第1位置と第2位置との間を移動するように構成されて、可動インサートが第1位置にあるとき、可動インサートは、第2固定部に少なくとも部分的に隣接して配置される。第1固定部および可動インサートは、第2幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される第2凹部も画定する。
【0021】
一実施形態において、デジタルスライド走査ステージは、第1上面および前記上面の下の第1の凹んだスライド面を有する第1固定部と、第2上面および前記上面の下の第2の凹んだスライド面を有する第2固定部と、第3上面および前記上面の下の第3の凹んだスライド面および前記上面の下の第4の凹んだスライド面を有する第3固定部と、を含む。この実施形態では、第1の凹んだスライド面は、第3の凹んだスライド面に平行であり、第1固定部および第3固定部の少なくとも一部は、第1幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される第1凹部を画定する。そのうえ、第2の凹んだスライド面は、第4の凹んだスライド面に平行であり、第2固定部および第3固定部の少なくとも一部は、第2幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される第2凹部を画定する。更に、この実施形態の一態様では、走査ステージの第1、第2および第3固定部は、第1スライドガラスを走査する前に、第1スライドガラスを対応する凹部内に入れるために、横方向に移動して、第1凹部または第2凹部のうちの1つを提供するように構成される。
【0022】
一実施形態において、デジタルスライド走査ステージは、第1上面および前記上面の下の第1の凹んだスライド面を有する第1固定部と、第2上面および前記上面の下の第2の凹んだスライド面を有する第2固定部と、を含む。そのうえ、各凹んだスライド面は、他の凹んだスライド面に平行であり、第1の凹んだスライド面の一部のみおよび第2の凹んだスライド面の一部のみは、第1幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される、第2凹部を画定するために組み合わさる。更に、第1の凹んだスライド面の一部のみおよび第2の凹んだスライド面の一部のみは、第2幅寸法を有するスライドガラスを保持するように構成される第2凹部を画定するために組み合わさる。更に、この実施形態の一態様では、スライド走査ステージ全体は、第1スライドガラスを走査する前に、第1スライドガラスを対応する凹部内に入れるために、凹んだスライド面の平面に対して直角の軸の周囲で回転して、第1凹部または第2凹部のうちの1つを提供する。
【0023】
一実施形態において、デジタルスライド走査ステージは、基部を含み、基部は、基部から延在する固定アームを有し、固定アームは、1つ以上の接触点と、スライドガラスの底面を係合するように構成される基部下部支持体と、を含む。走査ステージは、直線軸を有するレールであって、基部に沿って延在するレールと、レール上に載置される可動アームと、を含み、可動アームは、基部から延在し、1つ以上の接触点と、スライドガラスの底面を係合するように構成されるアーム下部支持体と、を含む。この実施形態では、可動アームは、固定アームに向かっておよび固定アームから離れる方向に直線軸のレールに沿って移動するように構成されて、デジタルスライド走査ステージは、スライドガラスの第1側端に隣接する固定アーム接触点を動かして、固定アームに向かって直線軸のレールに沿って移動させるために可動アームを制御して、スライドガラスの対向する側縁上に可動アーム接触点を係合して、固定アーム接触点内にスライドガラスの第1側縁を押圧して、スライドをステージに固定するように構成される。この実施形態の一態様では、可動アーム接触点および固定アーム接触点のうちの少なくとも1つは、底部でスライドガラスから更に離れて凹む、角度のある表面を含む。この実施形態の別の態様では、可動アームの1つ以上の接触点と固定アームの1つ以上の接触点との間にスライドガラスを固定することは、スライドガラスへ下方への圧力を加えて、固定アーム下部支持体および可動アーム下部支持体内にスライドガラスの底面の少なくとも一部を押圧する。
【0024】
図6Aは、本明細書に記載の種々の実施形態に関連して使用され得る、例示のプロセッサ対応装置を示すブロック図である。装置550の代替形態も、当業者により理解されるように使用され得る。図示した実施形態では、装置550は、1つ以上のプロセッサ555、1つ以上のメモリ565、1つ以上の動作コントローラ570、1つ以上のインタフェースシステム575、それぞれが1つ以上の試料590を備える1つ以上のスライドガラス585(例えば、スライドガラス200に対応する)を支持する1つ以上の可動ステージ580(例えば、走査ステージ100に対応する)、それぞれが光軸に沿って移動する光路605を画定する1つ以上の対物レンズ600、1つ以上の対物レンズポジショナ630、1つ以上の任意の落射照明システム635(例えば、蛍光走査機システムに含まれる)、1つ以上の集光光学素子610、1つ以上のライン走査カメラ615および/または1つ以上のエリア走査カメラ620を含むデジタル撮像装置(本明細書で、走査機システムまたは走査システムとも称される)として提供され、それぞれは試料590および/またはスライドガラス585上の別個の実視野625を画定する。走査システム550の種々の要素は、1つ以上の通信バス560を介して通信的に接続されている。走査システム550の種々の要素のそれぞれは、1つ以上で存在し得るが、以下の説明を簡単にするため、これらの要素は、適切な情報を伝達するために複数で記載されることが必要な場合を除き、単数で記載する。
【0025】
1つ以上のプロセッサ555は、例えば、並列に命令を処理できる中央演算処理装置(「CPU」)および別個のグラフィックス処理ユニット(「GPU」)を含むことができる、または、1つ以上のプロセッサ555は、並列に命令を処理できるマルチコアプロセッサを含むことができる。追加の別個のプロセッサは、特定の構成要素を制御する、または特定の機能(例えば、画像処理)を実行するためにも提供可能である。例えば、追加のプロセッサは、データ入力を管理する補助プロセッサ、浮動小数点の数学演算を実行する補助プロセッサ、信号処理アルゴリズムの高速実行に適した構成を有する特殊用途プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ)、メインプロセッサの下位の従属プロセッサ(例えば、バックエンドプロセッサ)、および/またはライン走査カメラ615、ステージ580、対物レンズ225および/またはディスプレイ(図示せず)を制御するための追加のプロセッサを含むことができる。このような追加のプロセッサは、分離した別個のプロセッサでもよい、またはプロセッサ555と一体化可能である。1つ以上のプロセッサは、ステージを横方向に移動する、またはステージを回転させることによって、走査ステージ100の位置を変える、モータを制御するように構成可能である。1つ以上のプロセッサは、凹部のサイズを変えるために、モータを制御して、1つ以上のインサート160を移動させることもできる。1つ以上のプロセッサは、グリッパーステージの可動アーム150を制御して、レール190に沿って可動アーム150を動かして、可動アーム150の接触点(複数可)152と固定アーム140の接触点(複数可)142との間に可変幅のスライドガラスを固定することもできる。
【0026】
メモリ565は、プロセッサ555により実行可能であるプログラムに関するデータおよび命令の記憶装置を提供する。メモリ565は、例えば、読み出し書き込み可能メモリ、読み出し専用メモリ、ハードディスク装置、取り外し可能な記憶装置などを含む、データおよび命令を格納する、1つ以上の揮発性かつ永続的コンピュータ読み出し可能記憶媒体を含むことができる。プロセッサ555は、メモリ565に保存される命令を実行して、通信バス560を介して走査システム550の種々の要素と通信して、走査システム550の全体的機能を実行するように構成される。
【0027】
1つ以上の通信バス560は、アナログ電気信号を伝達するように構成される通信バス560を含むことができ、デジタルデータを伝達するように構成される通信バス560を含むことができる。したがって、1つ以上の通信バス560を介するプロセッサ555、モーションコントローラ570および/またはインタフェースシステム575からの通信は、電気信号およびデジタルデータの両方を含むことができる。プロセッサ555、モーションコントローラ570および/またはインタフェースシステム575は、無線通信リンクを介して、走査システム550の種々の要素のうちの1つ以上と通信するようにも構成可能である。
【0028】
モーション制御システム570は、ステージ580および対物レンズ600のXYZ移動を制御かつ調整するように構成される(例えば、対物レンズポジショナ630を介して)。モーション制御システム570は、走査システム550の他の任意の可動部の動きも制御するように構成される。例えば、蛍光走査装置の実施形態では、モーション制御システム570は、落射照明システム635の光学フィルタなどの動きを調整するように構成される。
【0029】
インタフェースシステム575は、走査システム550が、他のシステムおよび人間オペレータと連動するのを可能にする。例えば、インタフェースシステム575は、オペレータに直接情報を提供しておよび/またはオペレータからの直接の入力を可能にするユーザインタフェースを含むことができる。インタフェースシステム575は、走査システム550と、直接接続される1つ以上の外部装置(例えば、プリンタ、取り外し可能な記憶媒体)、またはネットワーク(図示せず)を介して走査システム550に接続する外部装置(例えば、画像サーバシステム、操作端末、ユーザ端末および管理サーバシステム)と、の間の通信およびデータ転送を容易にするようにも構成される。
【0030】
照明システム595は、試料590の一部を照明するように構成される。照明システムは、例えば、光源および照明光学素子を含むことができる。光源は、光出力を最大化する凹反射鏡および熱を抑制するKG−1フィルタを備える、可変強度ハロゲン光源であり得る。光源は、任意の種類のアーク灯、レーザーまたは他の光源でもあり得る。一実施形態において、照明システム595は透過モードで試料590を照明し、その結果、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620は、試料590を通して伝送される光エネルギーを感知する。代替的にまたは組み合わせて、照明システム595は反射モードで試料590を照明するようにも構成可能であり、その結果、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620は、試料590から反射される光エネルギーを感知する。概して、照明システム595は、光学顕微鏡検査の任意の周知のモードで微細な試料590の照合にも適しているように構成される。
【0031】
一実施形態において、走査システム550は、蛍光走査のための走査システム550を最適化する、落射照明システム635を任意に含む。蛍光走査は蛍光分子を含む試料590を走査することであり、それは、特定の波長で光を吸収できる(励起)光子感受性分子である。これらの光子感受性分子は更に、長い波長で光を放つ(放出)。このフォトルミネセンス現象の効率が非常に低いので、放射光の量は多くの場合非常に少ない。この少量の放射光は、試料590を走査して、デジタル化するための従来技術(例えば、透過モード顕微鏡検査)を通常失敗させる。有利には、走査システム550の任意の蛍光走査システムの実施形態では、複数の線状センサアレイを含む、ライン走査カメラ615(例えば、時間遅延積分(「TDI」)ライン走査カメラ)の使用は、試料590の同じ領域を、ライン走査カメラ615の複数の線状センサアレイのそれぞれに暴露することによって、ライン走査カメラの光への感度を増大させる。これは、弱い放射光で微弱蛍光試料を走査するときに、特に有用である。
【0032】
したがって、蛍光走査システムの実施形態では、ライン走査カメラ615は、好ましくはモノクロTDIライン走査カメラである。有利には、モノクロ画像は、試料上に存在する種々のチャネルから実際の信号のより正確な表示を提供するので、蛍光顕微鏡検査で理想的である。当業者には理解されるように、蛍光試料590は、異なる波長で光を放つ、複数の蛍光色素で標識化可能であり、それは「チャネル」とも呼ばれる。
【0033】
更に、種々の蛍光試料の下限および上限信号レベルが、感知するライン走査カメラ615用に広範囲の波長を示すので、ライン走査カメラ615が感知できる下限および上限信号レベルが同様に広いことが望ましい。したがって、蛍光走査の実施形態では、蛍光走査システム550で使用するライン走査カメラ615は、モノクロ10ビット、64の線状アレイTDIライン走査カメラである。ライン走査カメラ615用の様々なビット深度が、走査システム550の蛍光走査の実施形態の用途に使用され得る点に留意する必要がある。
【0034】
可動ステージ580(例えば、走査ステージ100に対応する)は、プロセッサ555またはモーションコントローラ570の制御下での正確なXY移動のために構成される。可動ステージは、プロセッサ555またはモーションコントローラ570の制御下でのZ移動のためにも構成され得る。可動ステージ585は、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620による画像データの収集の間、試料を所望の位置に置くように構成される。可動ステージ585は、試料590を走査方向に実質的に一定速度へ加速して、次に、ライン走査カメラ615による画像データ収集の間、実質的に一定速度を維持するようにも構成される。一実施形態において、走査システム550は、可動ステージ580上の試料590の配置を助けるために、高精度かつ厳密に調整されたXYグリッドを使用できる。一実施形態において、可動ステージ580は、X軸およびY軸の両方で利用される高精度エンコーダを備える、リニアモータを搭載したXYステージである。例えば、高精度ナノメートルのエンコーダを、走査方向の軸で、および走査方向に対して垂直な方向にある軸で、および走査方向と同じ平面で、使用できる。前記ステージは、試料590が配置されるスライドガラス585を支持するようにも構成される。
【0035】
試料590は、光学顕微鏡検査によって調べることができる、どんなものでもよい。例えば、顕微鏡用スライドガラス585は、組織および細胞、染色体、DNA、タンパク質、血液、骨髄、尿、細菌、ビーズ、生検材料、または死んでいるもしくは生きている、染色したもしくは無染色、標識化したもしくは非標識化の他の任意の種類の生検材料を含む、標本用の観察基材として多用されている。試料590は、一般にマイクロアレイとして公知の任意かつすべての試料を含む、任意の種類のスライドもしくは他の基材上に付着する、DNAもしくはDNA関連物質(例えば、cDNAもしくはRNA)またはタンパク質の配列でもよい。試料590は、マイクロタイタープレート(例えば、96ウェルプレート)でもよい。試料590の他の例は、集積回路基板、電気泳動記録、ペトリ皿、フィルム、半導体材料、法医学材料または機械加工部品を含む。
【0036】
対物レンズ600は、一実施形態では、高精度のリニアモータを使用して、対物レンズ600により画定される光軸に沿って対物レンズ600を動かすことができる、対物レンズポジショナ630に載置される。例えば、対物レンズポジショナ630のリニアモータは、50ナノメートルのエンコーダを含むことができる。ステージ580の相対的位置およびXYZ軸の対物レンズ600は、走査システム550全体の動作のためのコンピュータ実行可能なプログラムされた工程を含む、情報および命令を保存するためのメモリ565を使用するプロセッサ555の制御下のモーションコントローラ570を使用して、閉ループ方法で調整かつ制御される。
【0037】
一実施形態において、対物レンズ600は、所望の最高空間的分解能に対応する開口数を備える、プランアポクロマート(「APO」)無限補正対物レンズであり、対物レンズ600は、透過モード照明顕微鏡検査、反射モード照明顕微鏡検査および/または落射照明モード蛍光顕微鏡検査(例えば、Olympus40X、0.75NAまたは20X、0.75NA)に適している。有利には、対物レンズ600は、色収差および球面収差の補正ができる。対物レンズ600が無限補正されるので、集光光学素子610は、対物レンズを通過する光線が平行な光線になる対物レンズ600上の光路605に置かれることができる。集光光学素子610は、ライン走査カメラ615および/またはエリア走査カメラ620の光応答素子上へ対物レンズ600によって捕捉される光信号を焦光し、光学要素(例えば、フィルタ、変倍レンズなど)を含むことができる。集光光学素子610と組み合わせる対物レンズ600は、走査システム550に総合倍率を提供する。一実施形態において、集光光学素子610は、チューブレンズおよび任意の2倍率変換器を含むことができる。有利には、2倍率変換器は、未変倍の20倍対物レンズ600が40倍率で試料590を走査するのを可能にする。
【0038】
ライン走査カメラ615は、画素(「ピクセル」)の少なくとも1つの線状アレイを含む。ライン走査カメラ615は、モノクロまたはカラーでもよい。カラーライン走査カメラは通常少なくとも3つの線状アレイを有するが、モノクロライン走査カメラは1つの線状アレイまたは複数の線状アレイを有することができる。カメラの一部としてパッケージ化される、または撮像電子モジュールにカスタム集積化される、任意の種類の1つまたは複数の線状アレイも使用できる。例えば、3つの線状アレイ(「赤−緑−青」または「RGB」)カラーライン走査カメラ、または96つの線状アレイモノクロTDIも使用できる。TDIライン走査カメラは、以前に撮像した標本の領域からの強度データを合計することによって、出力信号の実質的に良好な信号対雑音比(「SNR」)を通常提供して、一体化ステージの数の二乗根に比例するSNRの増加を得る。TDIライン走査カメラは、複数の線状アレイを含む。例えば、TDIライン走査カメラは、24、32、48、64、96または更に多くの線状アレイを備えて利用できる。走査システム550は、512ピクセルを備えるもの、1024ピクセルを備えるもの、4096ピクセル程度を有する他のものを含む、様々なフォーマットで製造される線状アレイも支持する。同様に、様々な画素サイズを有する線状アレイも、走査システム550で使用できる。任意の種類のライン走査カメラ615の選択に関して主に必要とされているのは、ステージ580の動きがライン走査カメラ615のライン速度と同期できるということであり、その結果、試料590のデジタル画像捕捉の間、ステージ580はライン走査カメラ615に対して移動することができる。
【0039】
ライン走査カメラ615によって生成される画像データは、メモリ565の一部に保存されて、プロセッサ555により処理されて、試料590の少なくとも一部の連続デジタル画像を生成する。連続デジタル画像は、プロセッサ555によって更に処理可能であり、修正した連続デジタル画像はメモリ565に保存することもできる。
【0040】
2つ以上のライン走査カメラ615による実施形態では、ライン走査カメラ615のうちの少なくとも1つは、撮像センサとして機能するように構成されるライン走査カメラ615のうちの少なくとも1つと組み合わせて作動する、集点センサとして機能するように構成可能である。集点センサは、撮像センサまたは集点センサが走査システム550の走査方向に対して画像センサの前または後に論理的に配置可能であるのと同じ光軸に、論理的に配置可能である。集点センサとして機能している少なくとも1つのライン走査カメラ615による、このような実施形態では、集点センサによって作成される画像データは、メモリ565の一部に保存されて、1つ以上のプロセッサ555により処理されて、集点情報を生成して、走査システム550が、走査の間、試料上への焦点を維持するために、試料590と対物レンズ600との間の相対距離を調整するのを可能にする。更に、一実施形態では、集点センサとして機能している少なくとも1つのライン走査カメラ615は、集点センサの複数の個々のピクセルのそれぞれが、光路605に沿った異なる論理縦幅に配置されるように配向可能である。
【0041】
操作中、走査システム550の種々の構成要素およびメモリ565に保存されるプログラムされたモジュールは、試料590の自動走査およびデジタル化を可能にし、試料590はスライドガラス585に配置されている。スライドガラス585は、試料590を走査するための走査システム550の可動ステージ580に、固定して配置される。プロセッサ555の制御下で、可動ステージ580は、ライン走査カメラ615によって感知するために、実質的に一定速度に試料590を加速し、ステージの速度は、ライン走査カメラ615のライン速度と同期化される。画像データのストライプを走査した後、可動ステージ580は減速して、試料590を実質的に完全に停止させる。次に可動ステージ580は走査方向に対して直角に移動して、画像データの次のストライプ(例えば、隣接するストライプ)を走査するために試料590を配置する。追加のストライプは、試料590のすべての部分または試料590全体が走査されるまで、続いて走査される。
【0042】
例えば、試料590のデジタル走査の間、試料590の連続デジタル画像は、画像ストリップを形成するために一緒に結合される、複数の連続する実視野として得られる。複数の隣接する画像ストリップは、試料590の一部または全体の連続デジタル画像を形成するために、同様に一緒に結合される。試料590を走査することは、垂直画像ストリップまたは水平画像ストリップを得ることを含むことができる。試料590を走査することは、上から下へ、下から上へまたは両方(双方向)でもよく、試料の任意の位置で開始してもよい。代替的には、試料590を走査することは、左から右へ、右から左へ、または両方(双方向)でもよく、試料の任意の位置で開始してもよい。そのうえ、画像ストリップが隣接するまたは連続する方法で得られる必要はない。更に、試料590の得られた画像は、試料590の全体または試料590の一部だけの画像でもよい。
【0043】
一実施形態において、コンピュータ実行可能命令(例えば、プログラムされたモジュールおよびソフトウェア)はメモリ565に保存されて、実行されるとき、走査システム550が本明細書に記載の種々の機能を実行するのを可能にする。この明細書で「コンピュータ読み出し可能記憶媒体」という用語は、プロセッサ555によって実行するために走査システム550にコンピュータ実行可能命令を保存して提供するために使用する、任意の媒体を指すために用いる。例えば、これらの媒体の例は、メモリ565、および直接または間接的に、例えばネットワーク(図示せず)を介して走査システム550と通信的に接続されている、任意の取り外し可能または外部の記憶媒体(図示せず)を含む。
【0044】
図6Bは、ライン走査カメラの1つの線状アレイ640を示し、電荷結合素子(「CCD」)アレイとして提供され得る。1つの線状アレイ640は、複数の個別のピクセル645を含む。例示の実施形態では、1つの線状アレイ640は、4096のピクセルを有する。代替的実施形態では、線状アレイ640は、より多いまたはより少ないピクセルを有することができる。例えば、線状アレイの共通フォーマットは、512、1024および4096のピクセルを含む。ピクセル645は直線的に配置されて、線状アレイ640の実視野625を画定する。実視野のサイズは、走査システム550の倍率に従って変化する。
【0045】
図6Cは、ライン走査カメラの3つの線状アレイを示し、それぞれは、CCDアレイとして提供され得る。3つの線状アレイは、色アレイ650を形成するために組み合わさる。一実施形態において、色アレイ650の個々の線状アレイは、異なる色強度(例えば、赤、緑および青)を検出する。色アレイ650の個々の線状アレイからのカラー画像データは、カラー画像データの1つの実視野625を形成するために組み合わされる。
【0046】
図6Dは、ライン走査カメラの複数の線状アレイを示し、それぞれは、CCDアレイとして提供され得る。複数の線状アレイは、TDIアレイ655を形成するために組み合わされる。有利には、TDIライン走査カメラは、以前に撮像した標本の領域からの強度データを合計することによって、その出力信号の実質的に良好なSNRを提供し得て、線状アレイ(一体化ステージとも称される)の数の二乗根に比例するSNRの増加を得る。TDIライン走査カメラは、線状アレイの更に種々の数を含むことができる。例えば、TDIライン走査カメラの共通フォーマットは、24、32、48、64、96、120および更に多くの線状アレイを含む。
【0047】
開示された実施形態の前記説明は、任意の当業者が本発明を製造または使用するのを可能にするために提供される。これらの実施形態の種々の変更は当業者には容易に明らかであり、本明細書に記載の一般原則は、本発明の趣旨または範囲を逸脱しない範囲で他の実施形態に適用可能である。したがって、本明細書に提示する説明および図面が、本発明の現在好ましい実施形態を表し、その結果、本発明により明白に想到される主題を代表することを理解すべきである。本発明の範囲が、当業者にとって明らかになり得る他の実施形態を完全に含有し、したがって本発明の範囲が制限されないと更に理解される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D