特許第6972203号(P6972203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6972203三次元形状を有する装飾部材にステッチを施すヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972203
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】三次元形状を有する装飾部材にステッチを施すヘッド
(51)【国際特許分類】
   D05B 73/08 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   D05B73/08
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-24321(P2020-24321)
(22)【出願日】2020年2月17日
(62)【分割の表示】特願2017-518244(P2017-518244)の分割
【原出願日】2015年10月6日
(65)【公開番号】特開2020-110600(P2020-110600A)
(43)【公開日】2020年7月27日
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】62/060,487
(32)【優先日】2014年10月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513089958
【氏名又は名称】インテヴァ プロダクツ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】INTEVA PRODUCTS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】特許業務法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェンゼル,エドワード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハブハブ,ラメズ エム.
【審査官】 住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−142474(JP,A)
【文献】 特表2014−520602(JP,A)
【文献】 米国特許第01613605(US,A)
【文献】 特開2010−035681(JP,A)
【文献】 米国特許第02560100(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B1/00−97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元形状を有する装飾部材にステッチを施すヘッドであって、
前記ヘッドに動作可能に接続された針棒アセンブリと、
複数のステッチを前記装飾部材に提供するために前記針棒アセンブリと協働するように構成され、前記装飾部材に平行な平面で回転するルーパと、
前記平面で前記ルーパを往復運動で駆動するように構成され、前記針棒アセンブリを往復運動で駆動するように構成されたモータに動作可能に接続されるポストアセンブリと、を具備し、
前記ポストアセンブリは、シリンダアームアセンブリおよびダウンシャフトアセンブリを介して前記ヘッドに動作可能に接続され、
前記ポストアセンブリが前記ヘッドの前記針棒アセンブリに対して再配置されるように、別のシリンダアームアセンブリおよび/または別のダウンシャフトアセンブリが前記ヘッドに固定することができるように、前記シリンダアームアセンブリおよび/または前記ダウンシャフトアセンブリの少なくとも1つは、前記ヘッドに取り外し可能に固定される、ヘッド。
【請求項2】
前記針棒アセンブリは、前記モータに動作可能に接続された上側ドライブシャフトによって往復駆動され、前記ポストアセンブリは、中間ドライブシャフトを介して前記上側ドライブシャフトによって往復駆動される、請求項1に記載のヘッド。
【請求項3】
前記ポストアセンブリが前記針棒アセンブリに対して再配置することができるように、前記シリンダアームアセンブリおよび前記ダウンシャフトアセンブリは、別のシリンダアームアセンブリおよび別のダウンシャフトアセンブリと交換可能である、請求項に記載のヘッド。
【請求項4】
別の針と、
複数のステッチの2つの別個のパターンを前記装飾部材に同時に提供するために、前記別の針と協働するように構成された別のルーパと、をさらに具備し、
前記別のルーパは、前記装飾部材に平行な前記平面で回転する、請求項1に記載のヘッド。
【請求項5】
前記ポストアセンブリは、前記平面で前記ルーパおよび前記別のルーパを往復運動で駆動するように構成され、前記ポストアセンブリは、2つの針を含む前記針棒アセンブリを往復運動で駆動するように構成されたモータに動作可能に接続される、請求項4に記載のヘッド。
【請求項6】
前記ルーパは、前記ルーパのステッチが施される方向と一致する方向の寸法より大きい前記ポストアセンブリのポストハウジングに配置され、それにより前記ポストハウジングのステッチプレートは、前記装飾部材の裏側に近接して位置することができる、請求項1〜のいずれか一項に記載のヘッド。
【請求項7】
前記ルーパは、前記ルーパのステッチが施される方向と一致する方向の寸法より大きい前記ポストアセンブリのポストハウジングに配置され、それにより前記ポストハウジングのステッチプレートは、前記装飾部材の裏側に近接して位置することができ、前記寸法は、前記複数のステッチのステッチ方向に調整されまたは沿っている、請求項1〜のいずれか一項に記載のヘッド。
【請求項8】
前記寸法は、10〜12mmの範囲である、請求項に記載のヘッド。
【請求項9】
前記寸法は、10〜12mmの範囲である、請求項に記載のヘッド。
【請求項10】
三次元形状および角部を有する装飾部材にステッチを施すヘッドであって、
前記ヘッドに動作可能に接続された針棒アセンブリと、
複数のステッチを前記装飾部材に提供するために前記針棒アセンブリと協働するように構成され、前記装飾部材に平行な平面で回転するルーパと、
前記平面で前記ルーパを往復運動で駆動するように構成されたポストアセンブリと、を具備し、
前記ポストアセンブリは、前記針棒アセンブリを往復運動で駆動するように構成されたモータに動作可能に接続され、前記ルーパは、前記ルーパのステッチが施される方向と一致する方向の寸法より大きい前記ポストアセンブリのポストハウジングに配置され、それにより前記ポストハウジングのステッチプレートは、前記装飾部材の前記角部の裏側に近接して位置することができ、
前記ポストアセンブリは、シリンダアームアセンブリおよびダウンシャフトアセンブリを介して前記ヘッドに動作可能に接続され、
前記ポストアセンブリが前記ヘッドの前記針棒アセンブリに対して再配置されるように、別のシリンダアームアセンブリおよび/または別のダウンシャフトアセンブリが前記ヘッドに固定することができるように、前記シリンダアームアセンブリおよび/または前記ダウンシャフトアセンブリの少なくとも1つは、前記ヘッドに取り外し可能に固定される、ヘッド。
【請求項11】
前記寸法は、前記複数のステッチのステッチ方向に調整されまたは沿っている、請求項10に記載のヘッド。
【請求項12】
前記寸法は、10〜12mmの範囲である、請求項10または11に記載のヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2014年10月6日出願の米国特許仮出願第62/060,487号明細書の利益を主張するものであり、その全内容は参照により本書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、車両内装の内装構造に関する。より詳細には、本発明は車両内装部材にステッチを施すための装置および方法に関する。さらに、本発明の種々の実施形態は、車両で使用するかにかかわらず、三次元形状を有するトリムピースに飾りステッチを入れることに関する。
【0003】
自動車の内装において見受けられる大部分のステッチは、機能的で多様であり、二種類以上の素材(革、ビニール、TPO、布等)が、シートクッション、ヘッドレスト、アームレスト、コンソールリッド、インストルメントパネルの下地等の部材を覆う前に、パターンから切り取られて縫い合わされる(カットアンドソー:cut−n−sew)。このような機能的なステッチは、非常に大きな労働力を要し、通常は低級および中級の車両では必要とされる場所にのみ用いられている。インストルメントパネルリテーナおよびドアパネルのような装飾部材に機能的なステッチを施したものは、通常はコストによる制限から、高級車両において見受けられるのみであった。
【0004】
近年、自動車産業における相手先ブランド製品製造会社(OEM)は、より広範囲の価格帯にわたる車両に、「ステッチされた」外観を施すことに関心を抱いている。いくつかの用途においては、非機能的な疑似ステッチが用いられることがあったが、現在のところ、疑似ステッチを対照的な色で提供することは、製造上不可能である。さらに、より多くのOEMは、本物または「生きた」ステッチを装飾部材に用いて、本物のカットアンドソー部材のような外観および雰囲気を与えることを求めている。
【0005】
予め3次元的に形成された自動車トリム部材に飾りステッチを入れる現在の方法は、部材(外皮、外皮/発泡体、または外皮/発泡体/下地)を針でその表面から貫通させる工程と、部材の裏面に位置するフックまたはルーパに係合する工程からなる。こうした方法は、部材の前面と裏面の両方へのアクセスを必要とし、部材上のステッチを入れる位置を制限することが多い。本物のカットソーで覆われた自動車内装トリムに多く見られるような、隆起部、角張った角部、および高起伏表面にステッチを入れることは、非常に困難であることが多い。
【0006】
例えば、既存の機械に必要なステッチプレート深さではプレートが小径に適応できないので、半剛性部材の縁部に対して上方かつ垂直な方向にステッチを施すことは困難なままである。さらに、ステッチプレートの移動のために所定の間隙が必要とされるので、小さい面内半径周りにステッチを施すこともまた困難である。
【0007】
したがって、装飾的な自動車トリム部材に生きた非機能的なステッチを施す方法および装置を提供することが望まれている。また、このようなステッチを有する部材を提供することも望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、三次元形状を有する装飾部材にステッチを施す装置および方法が提供される。
【0009】
一実施形態において、前記装置は、針棒アセンブリを有するヘッドであって、前記針棒アセンブリは前記ヘッドに動作可能に接続される、ヘッドと、複数のステッチを前記装飾部材に提供するために前記針棒アセンブリと協働するように構成され、前記装飾部材に平行な平面で回転するルーパと、前記平面で前記ルーパを往復運動で駆動するように構成され、前記針棒アセンブリを往復運動で駆動するように構成されたモータに動作可能に接続されるポストアセンブリと、を具備する。
【0010】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記針棒アセンブリは、前記モータに動作可能に接続された上側ドライブシャフトによって往復駆動され、前記ポストアセンブリは、中間ドライブシャフトを介して前記上側ドライブシャフトによって往復駆動される。
【0011】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記ポストアセンブリは、シリンダアームアセンブリおよびダウンシャフトアセンブリを介して前記ヘッドに動作可能に接続される。
【0012】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記ポストアセンブリが前記ヘッドの前記針棒アセンブリに対して再配置されるように、別のシリンダアームアセンブリおよび/または別のダウンシャフトアセンブリが前記ヘッドに固定することができるように、前記シリンダアームアセンブリおよび/または前記ダウンシャフトアセンブリの少なくとも1つは、前記ヘッドに取り外し可能に固定される。
【0013】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記ポストアセンブリが前記針棒アセンブリに対して再配置することができるように、前記シリンダアームアセンブリおよび前記ダウンシャフトアセンブリは、別のシリンダアームアセンブリおよび別のダウンシャフトアセンブリと交換可能である。
【0014】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、別の針と、複数のステッチの2つの別個のパターンを前記装飾部材に同時に提供するために、前記別の針と協働するように構成された別のルーパと、が設けられ、前記別のルーパは、前記装飾部材に平行な前記平面で回転する。
【0015】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記ポストアセンブリは、前記平面で前記ルーパおよび前記別のルーパを往復運動で駆動するように構成され、前記ポストアセンブリは、2つの針を含む前記針棒アセンブリを往復運動で駆動するように構成されたモータに動作可能に接続される。
【0016】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記ルーパは、前記ルーパの寸法よりわずかに大きい前記ポストアセンブリのポストハウジングに配置され、それにより前記ポストハウジングのステッチプレートは、前記装飾部材の裏側に近接して位置することができる。
【0017】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記ルーパは、前記ルーパの寸法よりわずかに大きい前記ポストアセンブリのポストハウジングに配置され、それにより前記ポストハウジングのステッチプレートは、前記装飾部材の裏側に近接して位置することができ、前記寸法は、前記複数のステッチのステッチ方向に調整されまたは沿っている。
【0018】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記寸法は、10〜12mmの範囲である。
【0019】
別の実施形態において、三次元形状および角部を有する装飾部材にステッチを施すヘッドが提供される。当該ヘッドは、それに動作可能に接続された針棒アセンブリと、複数のステッチを前記装飾部材に提供するために前記針棒アセンブリと協働するように構成され、前記装飾部材に平行な平面で回転するルーパと、前記平面で前記ルーパを往復運動で駆動するように構成されたポストアセンブリと、を具備し、前記ポストアセンブリは、前記針棒アセンブリを往復運動で駆動するように構成されたモータに動作可能に接続され、前記ルーパは、前記ルーパの寸法よりわずかに大きい前記ポストアセンブリのポストハウジングに配置され、それにより前記ポストハウジングのステッチプレートは、前記装飾部材の前記角部の裏側に近接して位置することができる。
【0020】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記寸法は、前記複数のステッチのステッチ方向に調整されまたは沿っている。
【0021】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記寸法は、10〜12mmの範囲である。
【0022】
上記の実施形態のいずれかのヘッドによって複数のステッチが施された装飾部材が提供される。当該装飾部材は、車両の内装トリムピースである。
【0023】
上記の実施形態のいずれかのヘッドによって複数のステッチが施された装飾部材であって、前記内装トリムピースは、インストルメントパネルである。
【0024】
上記の実施形態のいずれかのヘッドによって複数のステッチが施された装飾部材であって、前記複数のステッチの少なくともいくつかは、前記装飾部材の前記角部に施される。
【0025】
別の実施形態において、少なくとも1つの層を含む、車両の内装部材にステッチを施す方法が提供される。当該方法は、a)前記少なくとも1つの層の第1の表面の入口点において、前記少なくとも1つの層を針で貫通させるステップであって、当該貫通させるステップは、前記針をその移動範囲の下死点に到達させると共に、出口点において上糸を前記少なくとも1つの層に通過させ、前記出口点は、前記第1の表面の反対側の第2の表面に位置する、ステップと、b)出口点に近接して配置される回転ルーパで糸を把持するステップであって、前記回転ルーパは、少なくとも1つの層に平行な平面で第1の方向に回転する、ステップと、c)前記出口点および前記入口点を通して、前記針をその移動範囲の上死点位置に後退させるステップと、d)前記部材を第1の方向に前進させるステップと、e)前記回転ルーパを前記少なくとも1つの層に平行な前記平面で第2の方向に回転させるステップであって、前記第2の方向は、前記第1の方向の反対である、ステップと、f)前記少なくとも1つの層の前記第1の表面の別の入口点において、前記少なくとも1つの層を前記針で貫通させるステップであって、当該貫通させるステップは、別の出口点において前記上糸を前記少なくとも1つの層に通過させ、前記別の出口点は、前記第1の表面の反対側の前記第2の表面に位置し、前記針は、前記回転ルーパに位置する下糸に係合する、ステップと、g)前記回転ルーパが前記第2の方向に回転するときに前記上糸を解放するステップと、h)前記回転ルーパが前記第2の方向の最終位置へ回転し、前記針がその下向きストロークの最下点に到達するときに、前記上糸と前記下糸との間でステッチを完成させるステップと、i)所望の量のステッチが前記内装部材に形成されるまでステップb〜hを繰り返すステップと、を含む。
【0026】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記外皮層は、ビニール、革および熱可塑性ポリオレフィンからなる群から形成される。
【0027】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、内装部材は、上記の方法によって形成され、前記内装部材は、車両の内装トリムピースである。
【0028】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記内装トリムピースは、前記車両のインストルメントパネルの一部である。
【0029】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、内装部材は、上記の方法によって形成され、前記内装部材は、車両の内装トリムピースである。
【0030】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記内装トリムピースは、前記車両のインストルメントパネルの一部である。
【0031】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記外皮層は、ビニール、革および熱可塑性ポリオレフィンからなる群から形成され、前記外皮層の第2の表面に中間層が施され、前記第2の表面は、前記第1の表面の反対側に位置する。
【0032】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記中間層は、発泡体層である。
【0033】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記内装部材は、車両の内装トリムピースである。
【0034】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、内装部材は、上記の方法によって形成される。
【0035】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記内装部材は、車両の内装トリムピースである。
【0036】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記内装トリムピースは、前記車両のインストルメントパネルの一部である。
【0037】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、前記外皮層は、ビニール、革および熱可塑性ポリオレフィンからなる群から形成され、前記外皮層の第2の表面に中間層が施され、前記第2の表面は、前記第1の表面の反対側に位置する。
【0038】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または上述の実施形態のいずれかの代替案として、車両の内装部材は、上記の方法によって形成される。
【0039】
また、本書にて、上記の方法によって形成された、車両の内装部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
他の特徴、利点および細部は、以下の実施形態についての説明に単に例として記載され、当該説明は、以下の図面を参照するものである。
【0041】
図1図1は、本発明の例示的な実施形態に係る振動式チェーンステッチ機の断面 図である。
【0042】
図1A図1Aは、本発明の1つの非限定的な実施形態に係る振動式バタフライル ーパの斜視図である。
【0043】
図2図2は、本発明の例示的な実施形態に係る調整可能な下側アセンブリを有す る振動式チェーンステッチ機の断面図である。
【0044】
図3図3は、本発明の例示的な実施形態に係る振動式ルーパ駆動ユニットの断面図であり、図3Aは、ポストとルーパとの組み合わせアセンブリの断面図である。
【0045】
図4図4は、本発明の例示的な実施形態に係る振動式ルーパポスト構造の断面図 である。
【0046】
図5図5は、本発明の代替の例示的な実施形態に係る振動式ルーパポスト構造の 断面図である。
【0047】
図6図6は、本発明の一実施形態に係るステッチの形成を示す図である。
【0048】
図6A図6Aは、図6の6A−6A線に沿った図である。
【0049】
図7図7は、本発明の一実施形態に係るステッチの形成を示す図である。
【0050】
図7A図7Aは、図7の7A−7A線に沿った図である。
【0051】
図8図8は、本発明の一実施形態に係るステッチの形成を示す図である。
【0052】
図8A図8Aは、図8の8A−8A線に沿った図である。
【0053】
図9図9は、本発明の一実施形態に係るステッチの形成を示す図である。
【0054】
図9A図9Aは、図9の9A−9A線に沿った図である。
【0055】
図10図10は、本発明の一実施形態に係るステッチの形成を示す図である。
【0056】
図10A図10Aは、図10の10A−10A線に沿った図である。
【0057】
図11図11は、本発明の一実施形態に係るステッチの形成を示す図である。
【0058】
図11A図11Aは、図11の11A−11A線に沿った図である。
【0059】
図12図12Aは、本発明の様々な実施形態のステッチプレートフットプリントを示す図であり、図12Bは、本発明の様々な実施形態のステッチプレートフットプリントを示す図である。
【0060】
図13図13は、部材の角部のフックルーパ装置を示す図である。
【0061】
図14図14は、本発明の例示的な実施形態に係る振動式ルーパを示す図である 。
【0062】
図面は、本発明の種々の実施形態および特徴を表すが、必ずしも一定の縮尺である必要はなく、本発明の例示的な実施形態を例示および説明するために、一定の特徴が誇張され得る。本書に記載される例示は、本発明のいくつかの態様を一形態で示し、こうした例示は、どのような形であれ、本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明の種々の実施形態は、特に、形成された小径の縁部上にステッチを配置する場合、または小さい面内半径周りを縫い付ける場合に、輸送産業における予め形成された部材の限定されたステッチ領域に飾りステッチを施すことを可能にする方法および装置に関する。装置はまた、複数の縫製ヘッドを作製することなく、多種多様な部材サイズを収容するように機械パラメータを調整する能力を提供する。
【0064】
別の実施形態では、本書に記載の発明は、輸送産業における用途のための手動または自動化された方法で三次元形成部材の限定された領域にステッチを施す能力を高めるステッチ方法およびヘッド構造からなる。
【0065】
図1図4を参照すると、本発明の1つの非限定的な実施形態に係る振動式チェーンステッチ機10が示されている。その機械10は、シリンダアームアセンブリ16に動作可能に接続された、ルーパとポストとの組み合わせアセンブリ14の端部で振動式バタフライルーパ12を使用してチェーンタイプのステッチを提供する。
【0066】
この特定の概念は、ステッチ方向と一致する「x」方向(少なくとも図1A図12Aおよび図12Bに示される)に非常に狭いポストハウジングを提供する。一実施形態では、ポストハウジングの寸法は、10〜12mm(ミリメートル)の範囲であってもよく、寸法がこれより大きくても小さくても、本発明の範囲内であると考えられることは言うまでもない。二重針構造では、両方のポストハウジングにわたる寸法は25〜28mmの範囲であってもよく、示された「x」方向の寸法は10〜12mmの範囲であってもよく、寸法がこれより大きくても小さくても、本発明の範囲内であると考えられることは言うまでもない。この狭いポストハウジングは、シリンダアームからルーパ/ステッチプレートの頂部まで延出し、この用途環境における従来のすべての構造より小さい。一実施形態では、振動式チェーンステッチ機またはヘッド10は、固定機械として利用することができ、それにより材料または製品は、ヘッドまたは機械10に組み込まれた1つまたは複数の供給装置を介して機械を通して供給されるか、また、ヘッドまたは機械10は、縫製ヘッド10を固定された部材の上および周りを移動させるために、ボックス18によって概略的に示された外部駆動装置(例えば、6軸ロボット)を介して駆動することができる。
【0067】
ヘッドまたは機械10は、上側ドライブシャフト22を駆動するためにモータ24に動作可能に接続された上側ドライブシャフト22によって駆動される針棒アセンブリ20を備える。中間シャフト26は、上側ドライブシャフトの回転によって中間シャフトが回転するように、ベルト28または任意の同等の装置を介して上側ドライブシャフト22に動作可能に接続される。中間シャフト26はまた、ダウンシャフトアセンブリ30に動作可能に接続され、ダウンシャフトアセンブリ30は、シリンダアームアセンブリ16に動作可能に接続され、ポストアセンブリ14を介して振動式バタフライルーパ12に動作可能に接続される。
【0068】
さらに、ヘッド10は、再構成可能な下側アームアセンブリ32(少なくとも図2に概略的に示される)を使用することによって様々な異なる部材の形状およびサイズを収容するようにヘッド10が再構成できるような調整可能な構造を有することができ、それは、異なる長さを有する交換可能なダウンシャフトアセンブリ30と組み合わされて各々が異なる長さを有する交換可能なシリンダアームシャフトおよびハウジングアセンブリ16と組み合わされて調整可能なダウンシャフト位置からなる。このように、また少なくとも図2に示すように、ヘッドの上側部分と下側部分との間の上下間隙は、交換可能なダウンシャフトアセンブリ30およびルーパシャフト/ハウジング部材(例えば、交換可能なシリンダアームシャフトおよびハウジングアセンブリ16)を使用することによって(シリンダアーム延長部の有無に関わらず)調整することができる。
【0069】
例えば、第1のダウンシャフトアセンブリ30は、機械またはヘッド10の上側部分36のハウジング34内の中間シャフト26に直接接続されてもよい。その後、第2のダウンシャフトアセンブリ30'(図2に二点鎖線で示す)は、組み合わされたダウンシャフトアセンブリの長さを延長するために第1のダウンシャフトアセンブリ30の下側部分に動作可能に接続することができ、それによって振動式ルーパ12をヘッド10の針棒アセンブリ20からさらに離して配置することができる。
【0070】
さらに、ハウジング34および中間シャフト26はまた、より長いダウンシャフトアセンブリ30''(同じく図2に二点鎖線で示す)に接続されるように構成してもよい。これにより、ダウンシャフトアセンブリの位置を矢印38の方向に移動させることができ、ダウンシャフトアセンブリ30''をシリンダアームシャフトおよびハウジングアセンブリ16'(同じく図2に二点鎖線で示す)と共に使用することができる。このアセンブリ16'は、アセンブリ30''と共に使用するために、アセンブリ16より長い寸法を有することができる。したがって、各部材が互いに交換可能に取り付けられるように、交換可能なダウンシャフトアセンブリ30,30',30''ならびに交換可能なポスト部材(例えば、ルーパシャフト延長部およびハウジング)と組み合わせて、交換可能なシリンダアームシャフトおよびハウジングアセンブリ16,16'を、複数の構成および寸法のために設けることができる。またさらに、本書で論じるように、二重ポスト振動式ルーパの構造は、開示されたアセンブリの組み合わせのいずれかと組み合わせて使用することができる。
【0071】
したがって、これらの実施形態は、針棒アセンブリ20の端部とシリンダアーム16との間の距離40、ならびに針棒アセンブリ20の端部とダウンシャフトアセンブリ30との間の距離41を可変にすることができ、これにより、ヘッドまたは機械10は様々なサイズの部材を収容することができる。
【0072】
上記および下記で参照される説明および図は、自動化された方法で固定された部材の上および周りに操作することができる縫製ヘッド10を指すが、固定機械にも適用可能である。
【0073】
上述したように、ヘッド10の構造は、サーボモータ24によって駆動される上側シャフト22を含む。上側シャフト22は、ヘッド10の上側部分または上側ヘッドに両方が位置する針棒アセンブリ20およびウォーキングフットの動きを制御する。上側シャフト22はまた、一定の回転運動を振動運動に変換する一連のベルト、プーリおよびギヤを介して中間シャフト26および下側シャフト42を駆動する。振動運動は、針棒アセンブリ20に対するルーパ12の動きを適切に調整するために必要とされる。
【0074】
一実施形態では、振動運動は、時計回りおよび反時計回りの動作におけるルーパの回転、ならびにこの動作中の様々な時間におけるルーパの加速および減速からなる。この動作ならびに加速および減速を行うための1つの可能な非限定的な構成が、少なくとも図3に示されている。中間シャフトまたは中間ドライブシャフト26は、カムフォーク44と共に回転運動を可変速度の振動運動に変換するカム27を有し、それによって参照符号45で全体的に参照される一連のリンクおよびギヤを介して出力シャフトまたは下側シャフト42を駆動する。
【0075】
例えば、リンク47を介してカムフォーク44に接続されたギヤおよびセクタアセンブリ46は、出力シャフト42の振動移動、最終的にはルーパ12に動作可能に接続されるルーパシャフト48の振動移動を引き起こす。このように、ギヤの構成は、ルーパ12の回転移動距離を決定し、一実施形態では、ルーパ12は一方向に220度回転し、再び元に戻る。もちろん、220度より大きいまたは小さい回転角度もまた、本発明の種々の実施形態の範囲内であると理解される。振動式ルーパ12を駆動する手段は、上記の説明に限定されず、同様の効果を達成するように再構成することができることが理解される。
【0076】
ルーパポストアセンブリ14は、単一のルーパ12(少なくとも図4参照)を有していてもよいし、または、所望の特定のステッチ構成に応じて、以下において二重ルーパポストアセンブリ50(少なくとも図5参照)と呼ばれる二重ルーパを有するように構成してもよい。上述したように、単一ルーパまたは二重ルーパは、本書で開示される任意の組み合わせで使用される。二重ルーパポストアセンブリ50が用いられる用途では、ヘッド10はまた、二重ステッチパターンを提供するために、針棒アセンブリ20に追加された第2の針を有するように構成することができる。
【0077】
ここで再び図4を参照すると、ルーパ12は、下側シャフト42のベベルギヤ54と噛み合い係合したベベルギヤ52を介してルーパシャフト48によって駆動される。また、図4には、下側シャフト42のルーパ12への振動回転移動の伝達を補助するための、ブッシュ56、カラーロック58、ポストハウジング70、ギヤハウジング72およびシリンダアームアセンブリハウジング74が示されている。上述したように、図に示す構成は、1つの非限定的な例示的な実施形態として提供されるに過ぎないが、ルーパ12に振動移動をもたらすための様々な他の手段が、本発明の種々の実施形態の範囲内であると考えられる。
【0078】
図5では、一対のルーパ12を駆動するために、第2のルーパ12、ルーパシャフト48、カラーロック58およびベベルギヤ52が、ブッシュ56と共に、拡張したギヤハウジング72に設けられる。
【0079】
ステッチを完成するために必要とされるシーケンスの1つの非限定的な例が、以下に記載され、少なくとも図6図11に示される。ステップ1(図6)では、ルーパ12は、その完全に反時計回りの回転位置にあるか、またはその回転の開始点にあり、針棒アセンブリ20の針72は、そのストロークの最下点(下死点BDC)にある。
【0080】
また、少なくとも図6図11には、ヘッド10、ステッチプレート76、および針72を出入りさせるステッチプレート76の開口部または孔78によってステッチが施される部材またはその一部74が示されている。ステッチプレート76の少なくとも一部は、ルーパポストアセンブリ14のハウジング70の周りに位置させることができる。針棒アセンブリ20のウォーキングフット80もまた、示されている。ウォーキングフット80は、針72がその上死点位置とその下死点位置との間で上下に移動するときに、所望の往復移動をウォーキングフット80にさせるために、上側ドライブシャフト22に動作可能に接続される。図6では、針72は、そのストロークの最下点または(下死点)にあり、ルーパ12は、その回転の開始点にある。さらに、ウォーキングフット80は、材料74と接触しているが、それにほとんど圧力をかけていない。図6Aは、図6の6A−6A線に沿った図である。
【0081】
ステップ2(図7)では、針72は、矢印82の方向に上方に動き始め、針72の先端と前の部材74の裏側との間に位置する上糸86にループ84を形成する。同時に、ルーパ12の先端88は、糸ループ84と針72との間で、示された図に対して時計回りに移動する。さらに、ウォーキングフット80は、針72が材料74から引っ込められるときに、材料74がステッチプレート76と確実に接触したままとなるようにわずかな圧力を加える。図7Aは、図7の7A−7A線に沿った図である。
【0082】
ステップ3(図8)では、針72は、部材74を出て、その完全に引っ込められた位置(上死点TDC)に位置する。ルーパ12は、上糸ループ84がルーパ12のアーム90に完全に着座した状態で、示された図に対して完全に時計回りの回転位置または最大回転位置に移動している。ウォーキングフット80はまた、部材74から持ち上げられ、部材74の次の針貫通点への前進を開始する。図8Aは、図8の8A−8A線に沿った図である。
【0083】
ステップ4(図9)では、針72は、矢印73の方向に下方に移動しており、再び部材74を貫通してルーパ12に係合する。針72は、このとき下降ストローク中であり、示された図に対して反時計回りにルーパ12が回転すると、下側糸または下糸92とルーパ12との間を移動する。ウォーキングフット80は、針72が材料に入ると、矢印73の方向に下方に移動して材料または部材74とわずかに接触する。図9Aは、図9の9A−9A線に沿った図である。
【0084】
ステップ5(図10)では、針72は、示された図に対して反時計回りの回転をルーパ12が続けているときに、矢印73の方向に下降ストロークで下方に移動し続けて、上糸ループ84を解放する。上糸86は、図10のステップ5においてルーパ12によって解放される。図10Aは、図10の10A−10A線に沿った図である。
【0085】
ステップ6(図11および図11A、ここで、図11Aは、図11の11A−11A線に沿った図)では、針72は、そのストロークの最下点(下死点)に到達し、ルーパ12は、示された図に対して反時計回りの回転の終了位置に到達し、ステッチが完了したときに下糸92を引っ張りながら、上糸84は材料74の裏側75に対してしっかりと引っ張られる。したがって、上糸ループ84は、上方に引っ張られ、これにより縫製ヘッド10が部材74に対して前方に移動するときに下側糸92を引っ張り、ステッチを仕上げる。
【0086】
本書に記載の振動式ルーパの構造は、部材に垂直な平面でルーパの前後運動に対してステッチを形成するためにルーパ12が部材74に平行な平面で回転する(少なくとも図6図11A参照)ので、ルーパ12を収容するための最小ステッチプレート深さを必要とし(少なくとも図12参照)、これはチェーンステッチミシンでより一般的に見受けられる。ステッチプレート深さは、所望の糸サイズを加工するために必要な最小ルーパ径によって決定される。このコンパクトな構造は、従来型の設備では以前は不可能だった、形成部材の厚み方向半径の縫製を可能にする(例えば、図13および図14参照)。
【0087】
図13では、ルーパ12が部材74の角部96の裏側に非常に近く位置することができるので、部材74の角部96は、ヘッド10によってステッチを施すことができる。これは、ステッチプレート76と部材74または角部96との間の間隙が最小限であるか、または隙間がないためであり、特に角部96での一定した均一なステッチの外観を保証する。対照的に、図14を参照すると、ステッチが施されている部材74の裏側に平行ではなく垂直なルーパアーム98は、軸線100を中心に回転する。図14では、ステッチプレート76と部材74または角部96との間に余分な隙間があり、このような不規則なステッチ長さまたはステッチ飛びが、この余分な間隙のために角部96に近接して生じる場合がある。上述のように、本発明の種々の実施形態は、部材74の狭い角部にステッチを施すことを可能にする。したがって、内部分の半径は、機械/縫製プロセスの制限の代わりに視覚的外観によって決定することができる。さらに、振動式ルーパ12を使用することにより、上糸と下糸の両方がステッチを形成するために使用される。
【0088】
シリンダアーム16の端部から開始して、そこから上方に延びるミシンポストは、ステッチプレート76の頂部で終端となる。ステッチプレート76、および/または付属の図に示されている「x」方向のポストまたはポストハウジング70の寸法は、ルーパ12自体の直径によってのみ制限される。ポストまたはポストハウジング70には、ポストまたはポストハウジング70の高さに沿って任意の点でそのサイズを増大させるための他の機構が存在せず、これによりポストまたはポストハウジング70およびそのステッチプレート76を、角部96等の小さい領域、または到達が困難な小さい他の領域であって、ステッチプレート76とステッチが施されている部材の裏側との間に最小量の間隙を有する領域に挿入することができ、その結果、より効果的または効率的なステッチパターンが得られる。
【0089】
部材の裏側への最適な到達が達成されるように、ルーパシャフトに対して下側シャフト(出力シャフト)を調整することができることも理解される。
【0090】
一実施形態では、部材74は、車両の内装部分の一部であってもよい。一実装形態では、この部分は、車両の内装の任意の部分であってもよい。例えば、この部分は、車両のインストルメントパネルの一部を含むことができる。もちろん、この部分は、車両内の任意の表面に位置してもよい。非限定的な例は、車両ドアパネル、車両コンソールリッド、車両コンソールパネル、インストルメントパネル、車両アームレスト、ヘッドライナ、シートバック、パッケージトレイ、任意の装飾的な車両内装表面を含む。またさらに、本書で開示される方法は、他の非車両製造プロセスで使用される品目または部材に適用してもよく、部分または部材74は、任意の製造品を指し得る。
【0091】
内装部分、品目または部材74は、単一層または多層構造であってもよい。一実施形態では、部材74は、実質的に平滑な外側表面と、当該外側表面とは反対側の裏面とを有する少なくとも1つの外皮層を含む。外皮層は、好ましくは、十分な可撓性および審美的に心地よい特性を有するプラスチック材料で形成される。もちろん、天然の他の材料(例えば、革等)および疑似被覆材が、本発明の種々の実施形態において使用されることが考えられる。一実施形態では、内装部分は、車両内装の装飾的な要素である。
【0092】
内装部分の柔軟性を高めるために、一実施形態では、クッション支持材料の層を外皮層の下の領域に設けることができる。クッション支持材料は、潜在的には、架橋ポリプロピレン(XLPP)またはポリウレタン(PU)発泡体のような発泡材料が好ましいが、あらゆる数の異なる構造のものとすることができると考えられる。
【0093】
クッション支持材料の下には、寸法的に安定したプラスチックまたは他の適切な材料の下地パネルを配置することもできる。
【0094】
一実施形態によれば、クッション支持材料および下地パネルは、協同で外皮層の支持構造を提供するように機能する。
【0095】
クッション支持材料を形成するPU発泡体は、多層複合材料構造を形成するように、外皮層と下地パネルとの間で膨張することができると考えられる。また、クッション材料は、事前のクラッディング作業で外皮層に取り付けて予備的な層状複合材料を形成することができ、これをその後、利用状況に応じてあらゆる下地パネルに適用することができると考えられる。また、クッション材料は、事前のクラッディング作業で外側下地層に取り付けて予備的な層状複合材料を形成することができ、これはその後、外皮層によって覆うことができると考えられる。
【0096】
またさらに、部材は、単一層(外皮のみ)、二重層(外皮/発泡体)または三重層(外皮/発泡体/下地)のいずれかであってもよい。さらに別の代替の実施形態では、外皮と下地との間の中間発泡体層は、発泡体層の代わりにスペーサ生地であってもよい。さらに別の代替の実施形態では、スペーサ生地は、外皮と発泡体層との間、下地と発泡体層との間、または外皮と発泡体層との間および発泡体層と下地との間の両方、のいずれかで発泡体層と共に使用することができる。したがって、本書で開示される方法および関連する装置は、前述の部材74の構成のいずれかと共に使用されるものと考えられる。
【0097】
別の実施形態では、部材74は、真空成形プロセス、または単一層もしくは一部が異なる材料から形成される複数の層を有する真空成形部材によって形成されてもよく、部材は様々な構成の三次元形状を有する。さらに、前述の部材は、ステッチプロセスまたはステッチを施す間に部材が適度に撓むことができないという点で、それに関連する剛性を有することができる。
【0098】
上述したように、高価なカットアンドソー技術を用いることなく、装飾的な自動車トリム部材に生きた非機能的なステッチを提供することが望まれている。本発明の一実施形態によれば、方法は二重ステッチを施すために使用され、ステッチは隣接して位置する(例えば、互いに対向かつ平行に)。
【0099】
本発明の種々の実施形態は、輸送産業または車両および車両部品の製造において使用される未形成および予め形成された材料構造に飾りステッチを施す代替の方法に関する。本書で開示される方法は、双方のフラットストック材料(カットアンドソー)に使用することができるが、材料に損傷を与えることなく容易に平らにすることができないようにある程度の剛性を有する部材に使用すると、より大きな利益をもたらす。
【0100】
本書で使用されるように、「第1の」、「第2の」等の用語は、本書でいかなる順序、量または重要性を表すものでもなく、1つの要素を他の要素と区別するために使用される。「1つの」という用語は、本書で量の限定を表すものではなく、参照品の少なくとも1つの存在を表すものである。さらに、「下部」および「上部」という用語は、特に注記がない限り、単に説明の便宜上本書にて使用され、いずれか1つの位置または空間的方向に限定されない点に留意されたい。
【0101】
量に関連して使用する「約」という修飾語は、記載した値を含み、文脈によって決まる意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。
【0102】
例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、その要素の代わりに均等物を使用可能であることが、当業者により理解されよう。さらに、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その本質的範囲から逸脱することなく、多くの修正を行ってもよい。したがって、本発明は、当該本発明を実施するための最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本願の範囲内にある全ての実施形態を包含することが意図されている。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図7A
図8
図8A
図9
図9A
図10
図10A
図11
図11A
図12
図13
図14