(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
(ダイシングテープ付き加熱接合用シート)
本発明の一実施形態に係る加熱接合用シート、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シートについて、以下に説明する。本実施形態に係る加熱接合用シートは、以下に説明するダイシングテープ付き加熱接合用シートにおいて、ダイシングテープが貼り合わせられていない状態のものを挙げることができる。従って、以下では、ダイシングテープ付き加熱接合用シートについて説明し、加熱接合用シートについては、その中で説明することとする。
図1は、本発明の一実施形態に係るダイシングテープ付き加熱接合用シートを示す断面模式図である。
図2は、本発明の他の実施形態に係る他のダイシングテープ付き加熱接合用シートを示す断面模式図である。
【0028】
図1に示すように、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10は、ダイシングテープ11上に加熱接合用シート3が積層された構成を有する。ダイシングテープ11は基材1上に粘着剤層2を積層して構成されており、加熱接合用シート3は粘着剤層2上に設けられている。また本発明のダイシングテープ付き加熱接合用シートは、
図2に示すダイシングテープ付き加熱接合用シート12のように、ワーク貼り付け部分にのみ加熱接合用シート3’を形成した構成であってもよい。
【0029】
(加熱接合用シート)
加熱接合用シート3、3’は、シート状である。ペーストではなく、シートであるため、貼り付け時のはみ出しや貼り付け対象物表面への這い上がりを抑制できる。
【0030】
本実施形態に係る加熱接合用シート3、3’は、1層の焼結前層31で構成されている。焼結前層とは、所定の加熱により焼結層となる層をいう。
【0031】
本実施形態では、加熱接合用シートが、1層の焼結前層からなる場合について説明する。しかしながら、本発明の加熱接合用シートは、焼結前層を有していれば、この例に限定されない。焼結前層は、1層に限定されず、組成の異なる複数の層で形成されていてもよい。
また、本発明の加熱接合用シートは、例えば、焼結前層と他の層との2層以上からなるシートであってもよい。例えば、本発明の加熱接合用シートは、一方の面に第1の焼結前層が露出し、他方の面に第2の焼結前層が露出したシートであってもよい。具体的には、第1の焼結前層、他の層、第2の焼結前層がこの順で積層されたシートであってもよい。例えば、この場合、第1の焼結前層と第2の焼結前層とは、同一の組成であってもよく、異なっていてもよい。
【0032】
(焼結前層)
焼結前層31は、銅粒子を含有する。前記銅粒子は、純銅であってもよく、ケイ素(Si)、リン(P)、炭素(C)、ジルコニア(Zr)、チタン(Ti)、硫黄(S)、塩素(Cl)、酸素(O)等を含んだ銅でも良い。銅以外の元素の含有量は、銅と銅以外との合計を全体として、0〜2質量%が好ましい。前記銅粒子が純銅であると、より好適に加熱接合することができる。
【0033】
前記銅粒子の平均粒径は、好ましくは、10〜1000nmの範囲内であり、より好ましくは、50〜800nmの範囲内であり、さらに好ましくは、100〜500nmの範囲内である。前記銅粒子の平均粒径が、1000nm以下であると、焼結温度をより好適に低下させることができる。一方、前記銅粒子の平均粒径が、10nm以上であると、粒子の分散性が良くなる。
【0034】
前記銅粒子の平均粒径は、次の方法で測定する。
1.焼結前層を冷却環境でイオンポリッシングし、断面を露出させる。
2.断面を、電界放出形走査電子顕微鏡 SU8020(メーカー:日立ハイテクノロジーズ)を用いて撮像する。撮像条件は、加速電圧5kV、倍率50000倍とし、反射電子像を画像データとして得る。
3.画像解析ソフト Image Jを用い、得られた画像データを自動2値化処理してから粒子の平均粒径を算出する。
【0035】
前記銅粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、鱗片状、不定形状である。
【0036】
前記銅粒子は、複数の結晶子により構成されていることが好ましい。この場合、前記結晶子の結晶子径は、50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることがより好ましい。前記結晶子の結晶子径が、50nm以下であると、焼結温度をさらに好適に低下させることができる。
前記結晶子径は、(株)リガク製のUltimaIVを用いて銅粉のX線回折測定を行い、得られた(111)ピークを用いて、シェラー(Scherrer)法によって算出される値である。
【0037】
前記銅粒子の含有量は、焼結前層31全体に対して60〜98重量%の範囲内でることが好ましく、65〜97重量%の範囲内であることがより好ましく、70〜95重量%の範囲内であることがさらに好ましい。前記金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含むと、好適に被接合物を接合することができる。
【0038】
焼結前層31は、低沸点バインダーを含有していてもよい。前記低沸点バインダーは、前記銅粒子の取り扱いを容易とするために用いられる。また、前記低沸点バインダーは、任意の機械的物性を調整するためにも用いられる。具体的には、前記銅粒子を前記低沸点バインダーに分散させた銅粒子含有ペーストとして使用することができる。
【0039】
前記低沸点バインダーは、23℃で液状である。本明細書において、「液状」とは、半液状を含む。具体的に、動的粘弾性測定装置(レオメーター)による粘度測定による23℃における粘度が100,000Pa・s以下であることをいう。
粘度測定の条件は、下記の通りである。
レオメータ:Thermo SCIENTFIC社製 MARS III
治具:パラレルプレート20mmφ、ギャップ100μm、せん断速度 1/秒)
【0040】
前記低沸点バインダーの具体例としては、例えば、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、1−デカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール等の一価及び多価アルコール類、シトロネロール、ゲラニオール、ネロール、カルベオール、α−テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール等のテルペンアルコール類、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)等を挙げることができる。これらは2種以上を併用してもよい。なかでも、沸点の異なる2種類を併用することが好ましい。沸点の異なる2種類を用いると、シート形状の維持の点で優れる。なかでもテルペンアルコールを含有させることで焼結前層にさらなる可とう性を付与することができる。
【0041】
焼結前層31は、熱分解性バインダーとしてポリカーボネートを含有する。熱分解性バインダーとしてポリカーボネートを含有するため、加熱接合工程前は、シート形状を維持し易い。また、加熱接合工程時に熱分解させ易い。
【0042】
前記ポリカーボネートとしては、加熱接合工程において熱分解させることが可能なものであれば、特に限定されないが、主鎖の炭酸エステル基(−O−CO−O−)間に芳香族化合物(例えば、ベンゼン環など)を含まず、脂肪族鎖からなる脂肪族ポリカーボネートや、主鎖の炭酸エステル基(−O−CO−O−)間に芳香族化合物を含む芳香族ポリカーボネートを挙げることができる。なかでも、脂肪族ポリカーボネートか好ましい。
前記脂肪族ポリカーボネートとしては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート等が挙げられる。なかでもシート形成のためのワニス作製における有機溶剤への溶解性の観点から、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。
前記芳香族ポリカーボネートとしては、主鎖にビスフェノールA構造を含むもの等が挙げられる。
前記ポリカーボネートの重量平均分子量は、10,000〜1,000,000の範囲内であることが好適である。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値である。
【0043】
焼結前層31は、前記ポリカーボネート以外の熱分解性バインダー(以下、「他の熱分解性バインダー」ともいう)を含有していてもよい。
【0044】
本明細書において「熱分解性バインダー」とは、加熱接合工程において熱分解させることが可能なバインダーをいう。前記熱分解性バインダーは、加熱接合工程後には、焼結層(加熱後の焼結前層31)に、ほとんど残存しないことが好ましい。
【0045】
なお、焼結前層31には、前記成分以外にも、例えば、フラックス成分などを適宜含有してよい。
【0046】
加熱接合用シート3、3’は、通常の方法で製造できる。例えば、焼結前層31を形成するための前記各成分を含有するワニスを作製し、ワニスを基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を乾燥させることで、加熱接合用シート3、3’を製造できる。
【0047】
ワニスに用いる溶媒としては特に限定されないが、前記各成分を均一に溶解、混練又は分散できる有機溶剤やアルコール溶剤が好ましい。前記有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレンなどが挙げられる。また、前記アルコール溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、オクタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、テルピネオールが挙げられる。
【0048】
塗布方法は特に限定されない。溶剤塗工の方法としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、リバースコーター、コンマコーター、パイプドクターコーター、スクリーン印刷などが挙げられる。なかでも、塗布厚みの均一性が高いという点から、ダイコーターが好ましい。また、塗布膜の乾燥条件は特に限定されず、例えば、乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間で行うことができる。なお、塗布膜を乾燥させた後であっても溶剤の種類によって、溶剤の全部が気化せずに塗膜中に残る場合がある。
【0049】
焼結前層31が前記低沸点バインダーを含有する場合、前記乾燥条件に応じて、前記低沸点バインダーの一部が揮発する場合がある。そのため、前記乾燥条件に応じて、焼結前層31を構成する各成分の比率が変化する。例えば、同一のワニスから形成した焼結前層31であっても、乾燥温度が高いほど、また、乾燥時間が長いほど、焼結前層31全体に占める金属微粒子の含有量や、熱分解性バインダーの含有量は多くなる。従って、焼結前層31中の金属微粒子や熱分解性バインダーの含有量が所望の量となるように、前記乾燥条件を設定することが好ましい。
【0050】
基材セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤などの剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙などが使用可能である。
【0051】
加熱接合用シート3、3’の製造方法としては、例えば、前記各成分をミキサーにて混合し、得られた混合物をプレス成形して加熱接合用シート3、3’を製造する方法なども好適である。ミキサーとしてはプラネタリーミキサーなどが挙げられる。
【0052】
加熱接合用シート3、3’は、加熱前における23℃での厚さが、5〜100μmであることが好ましく、10〜80μmであることがより好ましい。23℃での厚さが、5μm以上であると、はみだしをより抑制できる。一方、100μm以下であると、加熱接合時の傾き発生をより抑制できる。
【0053】
(ダイシングテープ)
ダイシングテープ11は基材1上に粘着剤層2を積層して構成されている。
【0054】
基材1は、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12の強度母体となるものであり、紫外線透過性を有するものが好ましい。基材1としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。
【0055】
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2と加熱接合用シート3、3’との接着面積を低下させて、半導体チップの回収の容易化を図ることができる。
【0056】
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
【0057】
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0058】
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤としては特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性接着剤を用いることができる。前記感圧性接着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0059】
前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0060】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0061】
さらに、前記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0062】
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは10万以上、さらに好ましくは20万〜300万程度であり、特に好ましくは30万〜100万程度である。
【0063】
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0064】
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、
図2に示す粘着剤層2のワーク貼り付け部分に対応する部分2aのみを放射線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
【0065】
また、
図2に示す加熱接合用シート3’に合わせて放射線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aに加熱接合用シート3’が貼付けられるため、粘着剤層2の前記部分2aと加熱接合用シート3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。なお、粘着剤層への放射線の照射は、ダイシング後であってかつピックアップ前に行ってもよい。
【0066】
前述の通り、
図1に示すダイシングテープ付き加熱接合用シート10の粘着剤層2において、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bは加熱接合用シート3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に放射線硬化型粘着剤は、チップ状ワーク(半導体チップ等)を基板等の被着体に固着するための加熱接合用シート3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。
図2に示すダイシングテープ付き加熱接合用シート11の粘着剤層2においては、前記部分2bがウェハリングを固定することができる。
【0067】
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。
【0068】
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0069】
また、放射線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
【0070】
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
【0071】
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計の点で容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
【0072】
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
【0073】
前記内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0074】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0075】
また放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
【0076】
前記放射線硬化型の粘着剤層2中には、必要に応じて、放射線照射により着色する化合物を含有させることもできる。放射線照射により、着色する化合物を粘着剤層2に含ませることによって、放射線照射された部分のみを着色することができる。すなわち、
図1に示すワーク貼り付け部分3aに対応する部分2aを着色することができる。従って、粘着剤層2に放射線が照射されたか否かが目視により直ちに判明することができ、ワーク貼り付け部分3aを認識し易く、ワークの貼り合せが容易である。また光センサー等によって半導体チップを検出する際に、その検出精度が高まり、半導体チップのピックアップ時に誤動作が生ずることがない。放射線照射により着色する化合物は、放射線照射前には無色又は淡色であるが、放射線照射により有色となる化合物であり、例えば、ロイコ染料などが挙げられる。放射線照射により着色する化合物の使用割合は、適宜設定できる。
【0077】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や加熱接合用シート3、3’の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、さらには5〜25μmが好ましい。
【0078】
本実施の形態に係るダイシングテープ11は、例えば、次の通りにして作製される。
まず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0079】
次に、基材1上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、ダイシングテープ11が作製される。
【0080】
ダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12は、通常の方法で製造できる。例えば、ダイシングテープ11の粘着剤層2と加熱接合用シート3とを貼り合わせることで、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10を製造できる。
ダイシングテープ付き加熱接合用シート10においては、加熱接合用シート3がセパレータで覆われていることが好ましい。例えば、ダイシングテープ11と加熱接合用シート3とを貼り合わせた後、加熱接合用シート3に積層されていた前記基材セパレータを剥離し、前基材セパレータを剥離した後のダイシングテープ付き加熱接合用シート10の加熱接合用シート3の露出面に、セパレータを貼り付ける方法が挙げられる。すなわち、ダイシングテープ11、加熱接合用シート3、及び、前記セパレータがこの順で積層された形態とすることが好ましい。
【0081】
上述した実施形態では、ダイシングテープと加熱接合用シートとが積層されたダイシングテープ付き加熱接合用シートについて説明した。しかしながら、本発明の加熱接合用シートは、ダイシングテープと貼り合わせない状態で提供されてもよい。
加熱接合用シートは、ダイシングテープが貼り合わせられていない形態とする場合、2枚のセパレータに挟まれた両面セパレータ付き加熱接合用シートとすることが好ましい。すなわち、第1のセパレータ、加熱接合用シート、及び、第2のセパレータがこの順で積層された両面セパレータ付き加熱接合用シートとすることが好ましい。
図3は、両面セパレータ付き加熱接合用シートの一実施形態を示す断面模式図である。
図3に示す両面セパレータ付き加熱接合用シート30は、第1のセパレータ32、加熱接合用シート3、及び、第2のセパレータ34がこの順で積層された構成を有する。第1のセパレータ32、及び、第2のセパレータ34としては、前記基材セパレータと同一のものを使用することができる。
なお、加熱接合用シートは、ダイシングテープが貼り合わせられていない形態とする場合、加熱接合用シートの一方の面にのみセパレータが積層された形態であってもよい。
【0082】
(接合体の製造方法)
本実施形態に係る接合体の製造方法は、
前記加熱接合用シートを準備する工程と、
前記加熱接合用シートを介して、2つの被接合物を加熱接合する工程と
を少なくとも含み、
前記加熱接合する工程における接合温度は、200〜400℃の範囲内である。
【0083】
以下では、本発明の接合体が半導体装置であり、本発明の被接合物が、半導体チップ、及び、被着体である場合について説明する。ただし、本発明における被接合物は、加熱接合用シートを用いて接合し得るものであれば、この例に限定されない。また、本発明における接合体は、加熱接合用シートを用いて接合されたものであればよく、半導体装置に限定されない。
【0084】
(半導体装置の製造方法)
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前記加熱接合用シートを準備する工程と、
前記加熱接合用シートを介して、半導体チップを被着体上に加熱接合する工程とを砂なくとも含み、
前記加熱接合する工程における接合温度は、200〜400℃の範囲内である(以下、第1実施形態ともいう)。
なお、上述の通り、前記半導体チップ、及び、前記被着体は、本発明の被接合物に相当する。
【0085】
また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前記に記載のダイシングテープ付き加熱接合用シートを準備する工程と、
前記ダイシングテープ付き加熱接合用シートの加熱接合用シートと、半導体ウェハの裏面とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記半導体ウェハを前記加熱接合用シートと共にダイシングして、チップ状の半導体チップを形成するダイシング工程と、
前記半導体チップを、前記ダイシングテープ付き加熱接合用シートから前記加熱接合用シートと共にピックアップするピックアップ工程と、
前記加熱接合用シートを介して、前記半導体チップを被着体上に加熱接合する加熱接合工程とを含み、
前記加熱接合する工程における接合温度は、200〜400℃の範囲内である(以下、第2実施形態ともいう)。
第1実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法が、ダイシングテープ付き加熱接合用シートを用いているのに対して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法では、加熱接合用シートを単体で用いている点で異なりその他の点で共通する。第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、加熱接合用シートを準備した後、これをダイシングテープと貼り合わせる工程を行なえば、その後は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様とすることができる。そこで、以下では、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明することとする。
【0086】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、まず、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12を準備する(準備する工程)。ダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12は、加熱接合用シート3、3’上に任意に設けられたセパレータを適宜に剥離して、次の様に使用される。以下では、
図1、及び、
図4を参照しながらダイシングテープ付き加熱接合用シート10を用いた場合を例にして説明する。
【0087】
まず、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10における加熱接合用シート3の半導体ウェハ貼り付け部分3a上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(貼り合わせ工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。マウントの際の貼り付け温度は特に限定されず、例えば23〜90℃の範囲内であることが好ましい。
【0088】
半導体ウェハ4としては、一方の面に電極パッドが形成され、他方の面(以下、裏面ともいう)の最表面に銀薄膜が形成されているものが好ましい。前記銀薄膜の厚さとしては、例えば、10nm〜1000nmが挙げられる。また、半導体ウェハ4と前記銀薄膜との間に、さらに、チタン薄膜が形成されていてもよい。前記チタン薄膜の厚さとしては、例えば、10nm〜1000nmが挙げられる。前記銀薄膜が形成されていると、後述する加熱接合工程において、半導体チップ5と加熱接合用シート3とを強固に加熱接合することができる。また、前記チタン薄膜が形成されていると電極の信頼性が向上する。前記銀薄膜、及び、前記チタン薄膜は、例えば、蒸着により形成することができる。
【0089】
次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う(ダイシング工程)。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する。ダイシングの方法は特に限定されないが、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシングテープ付き加熱接合用シート10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハ4は、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。
【0090】
次に、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10に接着固定された半導体チップ5を剥離するために、半導体チップ5のピックアップを行う(ピックアップ工程)。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシングテープ付き加熱接合用シート10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0091】
ピックアップ条件としては、チッピング防止の点で、ニードル突き上げ速度を5〜100mm/秒とすることが好ましく、5〜10mm/秒とすることがより好ましい。
【0092】
ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2の加熱接合用シート3に対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップ5を損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、公知のものを使用することができる。なお、粘着剤層に予め紫外線照射し硬化させておき、この硬化した粘着剤層と加熱接合用シートとを貼り合わせている場合は、ここでの紫外線照射は不要である。
【0093】
次に、半導体チップ5を、加熱接合用シート3を介して被着体6に仮接着する。仮接着工程は、チップマウンター等を用いて行うことができる。仮接着条件としては、圧力0.01MPa〜5MPaにて仮接着することが好ましい。また、仮接着時の温度は特に限定されないが、例えば23〜150℃の範囲内であることが好ましい。また、加圧時間は、0.01〜5秒であることが好ましい。
【0094】
次に、半導体チップ5を、加熱接合用シート3を介して被着体6に加熱接合する(加熱接合工程)。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。
【0095】
前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームを挙げることができる。また、前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、ガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を挙げることができる。なかでも、金属リードフレームを用いれば、加熱接合により銅粒子と一体化することができる。また、前記基板としては、セラミックプレート等の絶縁基板に、銅回路基板が積層された絶縁回路基板を挙げることができる。絶縁回路基板を用いれば、例えば、電力の制御や供給を行うパワー半導体装置を製造することができる。
【0096】
前記加熱接合工程では、加熱により銅粒子を焼結するとともに、熱分解性バインダーとしてのポリカーボネートを熱分解させる。また、乾燥工程により揮発しきらなかった残留低沸点バインダーを揮発させる。接合温度は、好ましくは200〜400℃、より好ましくは190〜370℃、さらに好ましくは200〜350℃で行うことができる。また、接合時間は、好ましくは0.3〜300分、より好ましくは0.5〜240分、さらに好ましくは1〜180分で行うことができる。また、加熱接合は、加圧条件下で行なってもよい。加圧条件としては、1〜500kg/cm
2の範囲内が好ましく、5〜400kg/cm
2の範囲内がより好ましい。加圧下での加熱接合は、例えば、フリップチップボンダーのような加熱と加圧とを同時に行える装置で実施ができる。また、平行平板プレスでもよい。前記加熱接合工程は、窒素雰囲気下、減圧下、又は、還元ガス雰囲気下のいずれかで行われることが好ましい。銅粒子は、高温で酸化してしまう性質がある。また、被接合物が銅製である場合、高温で酸化してしまう。そこで、加熱接合する工程を、窒素雰囲気下、減圧下、又は、還元ガス雰囲気下のいずれかで行えば、加熱による銅粒子等の酸化を防止することができる。
【0097】
前記加熱接合工程の前に、昇温工程を行ってもよい。
例えば、前記仮接着工程後、下記の工程を行うこととしてもよい。
半導体チップ5、加熱接合用シート3、及び、被着体6を有する積層体を、第1の温度以下から第2の温度まで昇温する昇温工程、及び、
前記昇温工程の後、前記積層体の温度を所定範囲内に保持して加熱接合する工程(加熱接合工程)。
【0098】
前記第1の温度は、前記焼結前層の組成に応じて異なるが、例えば、50℃、80℃、100℃等が挙げられる。
【0099】
この昇温工程では、例えば、予め、平行平板の一方、又は、両方を前記第1の温度にまで余熱した後、前記平行平板で前記積層体を挟み込み、その後、所定の昇温速度で、第2の温度まで昇温してもよい。
【0100】
前記昇温速度としては、好ましくは、0.1℃/s以上、より好ましくは0.5℃/s以上、さらに好ましくは1℃/s以上である。また、前記昇温速度としては、好ましくは、5℃/s以下、より好ましくは3℃/s以下、さらに好ましくは2℃/s以下である。前記昇温速度が、2℃/s以下であると、急激な加熱をより抑制できる。一方、前記昇温温度が、0.1℃/s以上であると、プロセスを短期間化することができる。
【0101】
前記第2の温度は、加熱接合工程を開始する時点での温度であり、実質的に焼結が開始する温度である。
【0102】
前記第2の温度は、前記焼結前層の組成に応じて異なるが、例えば、200℃、250℃、300℃等が挙げられる。
【0103】
第1の温度以下から第2の温度まで昇温する間、前記積層体10を加圧してもよい。前記加圧としては、5〜40MPaの範囲内であることが好ましく、5〜15MPaの範囲内であることがより好ましい。前記加圧が5MPa以上であると、より強固に接合された接合体が得られる。また、前記加圧が40MPa以下であるとチップへの荷重負荷を軽減することが可能である。前記加圧は、一定の圧力による加圧であってもよく、一定の範囲内で圧力を変動させながらの加圧であってもよい。
また、加圧は、第1の温度以下から第2の温度まで昇温する間、常に、前記積層体を加圧してもよく、少なくとも一部の期間、加圧することとしてもよい。少なくとも一部の期間、加圧していれば、接合がより好適となるからである。例えば、加圧することなく第1の温度以下から昇温を開始し、一定の期間経過後、第2の温度に達する前に、加圧を開始することとしてもよい。
【0104】
次に、必要に応じて、
図4に示すように、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する(ワイヤーボンディング工程)。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、23〜300℃、好ましくは23〜250℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着工ネルギーの併用により行われる。
【0105】
次に、必要に応じて、
図4に示すように、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する(封止工程)。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護するために行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行うことができる。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂8を硬化させる。なお、本封止工程では、シート状の封止用シートに半導体チップ5を埋め込む方法(例えば、特開2013−7028号公報参照)を採用することもできる。また、金型による封止樹脂の成型以外にも、ケース型容器にシリコーンゲルを流し込むゲル封止型でも良い。
【0106】
次に、必要に応じて加熱を行い、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる(後硬化工程)。本工程における加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
【0107】
なお、本発明の加熱接合用シート、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シートは、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。このとき、半導体チップ間に加熱接合用シートとスペーサとを積層させてもよく、スペーサを積層することなく、加熱接合用シートのみを半導体チップ間に積層させてもよく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。
また、本発明の加熱接合用シート、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シートは、上記に例示した用途に限定されず、2つのものを加熱接合するのに利用することができる。
【実施例】
【0108】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0109】
実施例で使用した成分について説明する。
銅粒子A(平均粒径150nm、結晶子径サイズ30nm)
銅粒子B(平均粒径300nm、結晶子径サイズ30nm)
熱分解性バインダーA(ポリプロピレンカーボネート樹脂):Empower社製のQPAC40、23℃で固形
低沸点バインダーB(テルペンアルコール系バインダー(日本テルペン化学(株)製、テルソルブMTPH))
有機バインダーC(アクリル樹脂):藤倉化成社製のMM−2002−1、23℃で固形
有機溶剤A:メチルエチルケトン(MEK)
【0110】
[加熱接合用シートの作製]
表1に記載の配合比に従い、表1に記載の各成分及び溶媒を、ハイブリッドミキサー(キーエンス製 HM−500)の攪拌釜に入れ、攪拌モード、3分で攪拌・混合した。
得られたワニスを、離型処理フィルム(三菱樹脂(株)製のMRA50)に塗布・乾燥させた。乾燥条件は、80℃で2分とした。これにより実施例、及び、比較例に係る厚み65μmの加熱接合用シートを得た。
【0111】
[信頼性評価]
裏面にTi層(厚さ50nm)とAg層(厚さ100nm)とがこの順で形成されたシリコンチップ(シリコンチップの厚さ350μm、縦5mm、横5mm)を準備した。準備したシリコンチップのAg層面に実施例、及び、比較例の加熱接合用シートをそれぞれ貼り合わせた。
貼り合わせ条件は、温度70℃、圧力0.3MPa、速度10mm/秒とした。
【0112】
Ag層(厚さ5μm)で全体が覆われた銅板(銅板の厚さ3mm)を準備した。準備した銅板上に、シリコンチップ付きの加熱接合用シート(上記で作成したもの)を仮接着した。仮接着時の圧力は、0.1MPaである。
【0113】
次に、下記加熱条件にて、昇温、接合を行った。
【0114】
<加熱条件>
10MPaの加圧(平板プレス)下で、80℃から300℃まで昇温速度1.5℃/秒にて昇温した後、300℃で2.5分間保持(接合)した。昇温、接合時の雰囲気は、表1に示した通りとした。
【0115】
その後、170℃になるまで空冷し、その後、80℃になるまで水冷した。なお、水冷は、加圧板内に付設された水冷式冷却板によるものである。
【0116】
次に、評価用サンプルを冷熱衝撃試験機(エスペック社製のTSE−103ES)に投入し、−40℃〜200℃の冷熱衝撃を100サイクル与えた。なお、このとき、−40℃と200℃とでそれぞれ15分保持した。
【0117】
100サイクルの後、超音波映像装置[SAT](日立建機ファインテック製のFineSAT II)を用い、シリコンチップと銅板とが焼結層で接合されている部分を確認するために、撮像を行った。使用したトランスデューサー(プローブ)は、PQ−50−13:WD[周波数50MHz]である。
【0118】
得られた像において接合が残っている部分の面積(残面積)を求め、全体の面積に対する残面積の割合(残接合面積率)を算出した。また、残接合面積率が50%以上の場合を○、50%より低い場合を×として評価した。結果を表1に示す。なお、超音波映像装置による像では、シリコンチップと基板が剥離をしている部分は白、接合が残っている部分は灰色に見える。
【0119】
【表1】