【文献】
J. Phys. Chem. A,2009年,113,7933-7939
【文献】
Org. Lett.,2007年,9,4511-4514
【文献】
Chem. Rev.,2007年,107,1011-1065
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
陽極と、有機物層と、陰極と、光取り出し層とを含み、前記有機物層は、陽極と陰極との間に位置し、前記有機物層は、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層とを含み、前記正孔輸送層は、陽極と発光層との間に位置し、前記電子輸送層は、発光層と陰極との間に位置し、前記光取り出し層は、陽極から離れる陰極の側に位置し、前記光取り出し層は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のアミン類誘導体を含む、ことを特徴とする有機電界発光素子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、具体的実施例を参照しながら、本発明を更に説明する。これらの実施例は本発明を説明するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を通読することにより、当業者にとって、本発明に対する様々な等価の修正は、すべて本出願の特許請求の保護範囲内に入ることを理解すべきである。
【0016】
本発明に係る「置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基」における「C6〜C30」とは、未置換のアリール基に含まれる炭素原子数を意味し、置換基の炭素原子数は含まず、「置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基」における「C3〜C30」とは、未置換のヘテロアリール基に含まれる炭素原子数を意味し、置換基の炭素原子数は含まず、「置換もしくは未置換のC6〜C18のアリーレン基」における「C6〜C18」とは、未置換のアリーレン基に含まれる炭素原子数を意味し、置換基の炭素原子数は含まず、「置換もしくは未置換のC3〜C18のヘテロアリーレン基」における「C3〜C18」とは、未置換のヘテロアリーレン基に含まれる炭素原子数を意味し、置換基の炭素原子数は含まず、「置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基」における「C1〜C15」とは、未置換のアルキル基に含まれる炭素原子数を意味し、置換基の炭素原子数は含まれない。その他は同様である。
【0017】
本発明に係るプロピル基、ブチル基、ペンチル基などの炭素原子数が2より大きい鎖状アルキル基は、それらの異性体、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などを含むが、これらに限定されない。
【0018】
本発明に係るアルキル基とは、アルカン分子から水素原子を1個除去した炭化水素基を意味し、直鎖アルキル基、分岐アルキル基又はシクロアルキル基であってもよい。前記直鎖アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などを含むが、これらに限定されず、前記分岐アルキル基は、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル、n−ペンチル基の異性体、n−ヘキシル基の異性体、n−ヘプチル基の異性体、n−オクチル基の異性体、n−ノニル基の異性体、n−デシル基の異性体などを含むが、これらに限定されず、前記シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを含むが、これらに限定されない。上記アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチルであることが好ましい。
【0019】
本発明に係るアリール基とは、芳香族化合物分子の芳香核炭素から水素原子を1個除去した後に残った一価の基の総称を意味し、単環アリール基、多環アリール基又は縮合環アリール基であってもよい。前記単環アリール基とは、分子内に芳香環を1つだけ含むアリール基、例えば、フェニル基などを意味するが、これらに限定されず、前記多環アリール基とは、分子内に独立した芳香環を2つ以上含むアリール基、例えば、ビフェニル基、ターフェニル基などを意味するが、これらに限定されず、前記縮合環アリール基とは、分子内に芳香環を2つ以上含み、且つ隣接する2つ炭素原子を共有して互いに縮合したアリール基、例えば、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ピレニル基、トリフェニレン基、フルオランテニル基、スピロビフルオレニル基などを意味するが、これらに限定されない。上記アリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、トリフェニレン基、スピロビフルオレニル基であることが好ましい。
【0020】
本発明に係るヘテロアリール基とは、アリール基の1つ以上の芳香核炭素原子をヘテロ原子で置換した基の総称を意味し、前記ヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素又はリン原子を含むがこれらに限定されず、前記ヘテロアリール基の結合部位は、環形成炭素原子上又は環形成窒素原子上に位置してもよく、前記ヘテロアリール基は、単環ヘテロアリール基、多環ヘテロアリール基又は縮合環ヘテロアリール基であってもよい。前記単環ヘテロアリール基は、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基などを含むが、これらに限定されず、前記多環ヘテロアリール基は、ビピリジル基、ビピリミジニル基、フェニルピリジル基などを含むが、これらに限定されず、前記縮合環ヘテロアリール基は、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、o−フェナントロリン基、ジベンゾフリル基、ベンゾジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ベンゾジベンゾチエニル基、カルバゾール基、ベンゾカルバゾール基、アクリジン基、9,10−ジヒドロアクリジン基、フェノキサジン基、キサンテン基、チオキサンテン基などを含むが、これらに限定されない。上記ヘテロアリール基は、フリル基、チエニル基、ジベンゾフリル基、ベンゾジベンゾフリル基、ジベンゾチエニル基、ベンゾジベンゾチエニル基、カルバゾール基、ベンゾカルバゾール基、アクリジン基、9,10−ジヒドロアクリジン基、フェノキサジン基、キサンテン基、チオキサンテン基であることが好ましい。
【0021】
本発明に係るアリーレン基とは、置換もしくは未置換の芳香族化合物分子の芳香核炭素から水素原子を2個除去した後に残った二価の基の総称を意味し、単環アリーレン基、多環アリーレン基又は縮合環アリーレン基であってもよい。前記単環アリーレン基は、フェニレン基などを含むが、これらに限定されず、前記多環アリーレン基は、ビフェニリレン基、ターフェニリレン基などを含むが、これらに限定されず、前記縮合環アリーレン基は、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナントリレン基、フルオレニレン基、ピレニレン基、トリフェニレン基、フルオランテニレン基、フェニレンフルオレニル基などを含むが、これらに限定されない。上記アリーレン基は、フェニレン基、ビフェニリレン基、ターフェニリレン基、ナフチレン基、フルオレニレン基、フェニレンフルオレニル基であることが好ましい。
【0022】
本発明に係るヘテロアリーレン基とは、アリーレン基の1つ以上の芳香核炭素原子をヘテロ原子で置換した基の総称を意味し、前記ヘテロ原子は、酸素、硫黄、窒素又はリン原子を含むがこれらに限定されず、前記ヘテロアリーレン基は、単環ヘテロアリーレン基、多環ヘテロアリーレン基又は縮合環ヘテロアリーレン基であってもよい。前記単環ヘテロアリーレン基は、ピリジリデン基、ピリミジニリデン基、フリレン基、チエニレン基などを含むが、これらに限定されず、前記多環ヘテロアリーレン基は、ビピリジル基、ビピリミジニル基、フェニレンピリジル基などを含むが、これらに限定されず、前記縮合環ヘテロアリーレン基は、キノリレン基、イソキノリレン基、o−フェナントロリン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチオフェニレン基、カルバゾリレン基などを含むが、これらに限定されない。上記ヘテロアリーレン基は、o−フェナントロリン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチオフェニレン基であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る置換のアルキル基とは、アルキル基の水素を置換基で置換した基の総称を意味し、前記置換基は、単数又は複数でもよく、置換基が複数の置換基である場合、前記複数の置換基は、同じか又は異なってもよく、前記置換基は、重水素、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボニル基、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基を含み、前記アリール基、ヘテロアリール基は上記定義の通りである。
【0024】
本発明に係る置換のアリール基とは、アリール基の水素を置換基で置換した基の総称を意味し、前記置換基は、単数又は複数でもよく、置換基が複数の置換基である場合、前記複数の置換基は、同じか又は異なってもよく、前記置換基は、重水素、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボニル基、置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基を含み、前記アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は上記定義の通りである。
【0025】
本発明に係る置換のヘテロアリール基とは、ヘテロアリール基の水素を置換基で置換した基の総称を意味し、前記置換基は、単数又は複数でもよく、置換基が複数の置換基である場合、前記複数の置換基は、同じか又は異なってもよく、前記置換基は、重水素、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボニル基、置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基を含み、前記アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は上記定義の通りである。
【0026】
本発明に係る置換のアリーレン基とは、アリーレン基の水素を置換基で置換した基の総称を意味し、前記置換基は、単数又は複数でもよく、置換基が複数の置換基である場合、前記複数の置換基は、同じか又は異なってもよく、前記置換基は、重水素、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボニル基、置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基を含み、前記アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は上記定義の通りである。
【0027】
本発明に係る置換のヘテロアリーレン基とは、ヘテロアリーレン基の水素を置換基で置換した基の総称を意味し、前記置換基は、単数又は複数でもよく、置換基が複数の置換基である場合、前記複数の置換基は、同じか又は異なってもよく、前記置換基は、重水素、ハロゲン、シアン基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボニル基、置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基を含み、前記アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は上記定義の通りである。
【0028】
本発明は、アミン類誘導体を提供しており、前記アミン類誘導体は、式Iで示され、
【化14】
ただし、前記Ar
1、Ar
2は、独立して、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基から選択される1種であり、且つAr
1、Ar
2の少なくとも一方は、式IIで示される基から選択され、
【化15】
前記L
1は、単結合、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリーレン基、置換もしくは未置換のC3〜C18のヘテロアリーレン基から選択される1種であり、前記aは、0〜4から選択される整数であり、前記R
1は、置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、aが1を超えると、それぞれのR
1は、同じか又は異なり、前記Xは、O、S又はN(R
x)から選択され、前記R
xは、置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、
前記Ar
3、Ar
4は、独立して、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基から選択される1種であり、
前記Lは、下記に示す基から選択される1種であり、
【化16】
前記Rは、水素、置換もしくは未置換のC1〜C15のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C18のヘテロアリール基から選択される1種であり、
前記L
11、L
12は、独立して、単結合、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリーレン基、置換もしくは未置換のC3〜C18のヘテロアリーレン基から選択される1種である。
【0029】
好ましくは、前記式IIは下記に示す基から選択される1種であり、
【化17】
ただし、前記bは、0〜4から選択される整数であり、前記R
2は、置換もしくは未置換のC1〜C10のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、bが1を超えると、それぞれのR
2は、同じか又は異なり、
前記cは、0〜4から選択される整数であり、前記R
3は、置換もしくは未置換のC1〜C10のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、cが1を超えると、それぞれのR
3は、同じか又は異なる。
【0030】
好ましくは、前記アミン類誘導体は式I−1で示され、
【化18】
前記Ar
2は、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基から選択される1種であり、且つAr
2は、式IIではなく、
前記Ar
3、Ar
4は、独立して、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基から選択される1種である。
【0031】
好ましくは、前記Ar
2、Ar
4は同じ置換基から選択される。
【0032】
好ましくは、前記アミン類誘導体は式I−2で示され、
【化19】
前記Ar
3、Ar
4は、独立して、置換もしくは未置換のC6〜C30のアリール基、置換もしくは未置換のC3〜C30のヘテロアリール基から選択される1種である。
【0033】
好ましくは、前記Ar
3、Ar
4は、独立して、下記に示す基から選択される1種であり、
【化20】
ただし、前記dは、0〜5から選択される整数であり、前記R
4は、置換もしくは未置換のC1〜C10のアルキル基であり、dが1を超えると、それぞれのR
4は、同じか又は異なり、
前記eは、0〜4から選択される整数であり、前記R
5は、置換もしくは未置換のC1〜C10のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、eが1を超えると、それぞれのR
5は、同じか又は異なり、
前記fは、0〜4から選択される整数であり、前記R
6は、置換もしくは未置換のC1〜C10のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、fが1を超えると、それぞれのR
6は、同じか又は異なり、
前記gは、0〜5から選択される整数であり、前記R
7は、置換もしくは未置換のC1〜C10のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、gが1を超えると、それぞれのR
7は、同じか又は異なり、
前記R
0は、置換もしくは未置換のC1〜C10のアルキル基、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリール基から選択される1種であり、
前記L
2は、単結合、置換もしくは未置換のC6〜C18のアリーレン基、置換もしくは未置換のC3〜C18のヘテロアリーレン基から選択される1種である。
【0034】
好ましくは、前記Ar
3、Ar
4は、独立して、下記に示す基から選択される1種であり、
【化21】
ただし、前記R
4は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基から選択される1種であり、且つそれぞれのR
4は、同じか又は異なり、
前記R
5は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択される1種であり、且つそれぞれのR
5は、同じか又は異なり、
前記R
7は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基から選択される1種であり、且つそれぞれのR
7は、同じか又は異なる。
【0035】
好ましくは、前記式IIは、下記に示す基から選択される1種であり、
【化22】
ただし、前記R
1は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基から選択される1種であり、且つそれぞれのR
1は、同じか又は異なり、
前記R
2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択される1種であり、且つそれぞれのR
2は、同じか又は異なり、
前記R
3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基から選択される1種である。
【0036】
さらに、前記アミン類誘導体は、下記に示す構造から選択される1種である。
【化23】
【0037】
本発明に係る式Iで示されるアミン類誘導体の具体的化学構造は上記に列挙されているが、本発明は列挙された化学構造に限定されず、式Iで示される構造に基づく、置換基が上記で限定された基であるものは、すべて本発明に含まれるべきである。
【0038】
本発明に係る有機電界発光素子は、陽極と、有機物層と、陰極と、光取り出し層とを含み、前記有機物層は、陽極と陰極との間に位置し、前記光取り出し層は、陽極から離れる陰極の側に位置する。
【0039】
本発明に係る有機電界発光素子の光取り出し層は、単層構造又は二層以上の多層構造を有してもよく、本発明に係る光取り出し層は、本発明に係るアミン類誘導体を含み、前記アミン類誘導体の含有量は特に限定されず、必要に応じて適宜に調整可能である。本発明に係る有機電界発光素子の有機物層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層又は陽極と正孔注入層との間に位置するバッファ層のいずれか一層又は多層を含んでもよい。各層の膜厚は特に限定されず、一般的に、膜厚が薄すぎると、フィルムはピンホールなどの欠陥が発生しやすく、膜厚が厚すぎると、有機電界発光素子の駆動電圧が上昇し、発光効率が低下し、したがって、膜厚は、好ましくは0.1nm〜10μmであり、より好ましくは0.5nm〜0.5μmである。
【0040】
本発明に係る有機電界発光素子の素子構造は、好ましくは、
基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/金属陰極/光取り出し層、又は、
基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/金属陰極/光取り出し層、又は、
基板/陽極/正孔輸送層/発光層/正孔ブロッキング層/電子輸送層/金属陰極/光取り出し層、又は、
基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/金属陰極/光取り出し層、又は、
基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロッキング層/電子輸送層/電子注入層/金属陰極/光取り出し層である。
【0041】
本発明に係る有機電界発光素子は、公知の材料を用いて公知の方法により製造可能であるが、有機電界発光素子の構造はこれに限定されない。
【0042】
本発明に係る基板は、ガラス板、石英板、ポリマー板などであることが好ましいが、これらに限定されない。前記ガラスは、ソーダライムガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、バリウムホウケイ酸塩ガラスなどを含む。前記ポリマーは、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニルなどを含む。
【0043】
本発明に係る陽極は、正孔を正孔輸送層に注入する機能を有し、陽極材料には高い仕事関数を有することが要求され、一般的に仕事関数が4.5eV以上の材料は有効である。本発明に係る有機電界発光素子は頂部発光素子であるため、陽極材料には、可視光領域で高い反射率と低い吸収率を有することが要求される。本発明に係る陽極材料は、金属酸化物、金属、金属合金、ポリマーなどのうちの1種又は複数種を選択してもよい。具体的には、酸化インジウムスズ(略称:ITO)、酸化インジウム亜鉛(略称:IZO)、酸化アルミニウム亜鉛(略称:AZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、Ag、Au、Al、Cu、Ni、Mo、Ti、Zn、Pd、Pt、ポリピロールなどであるが、これらに限定されない。陽極の膜厚は材料によって異なり、通常は10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲から選択される。本発明に係る陽極は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる陽極材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0044】
本発明に係るバッファ層とは、陽極上に非常に薄い絶縁物質層を蒸着することを意味し、正孔注入効率を改善し、駆動電圧を低下させることができる。前記バッファ層は、具体的にシリカ、四フッ化炭素、フッ化リチウムなどから選択してもよいが、これらに限定されない。
【0045】
本発明に係る正孔注入層は、有機電界発光素子における正孔輸送層と陽極との界面の障壁を低下させ、正孔注入効率を向上させ、素子の寿命を延長する機能を有する。本発明に係る正孔注入材料は、良好な正孔注入性能を有する材料であることが好ましく、モリブデン酸化物、銀酸化物、バナジウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、ニッケル酸化物、銅酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物などの金属酸化物、フタロシアニン類化合物、芳香族アミン類誘導体、ポリシアノ基を含む共役有機材料などの低分子有機化合物、及びポリマーなどのうちの1種又は複数種を選択してもよいが、これらに限定されない。具体的には、三酸化モリブデン、酸化銀、五酸化バナジウム、三酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化ニッケル、酸化銅、二酸化チタン、アルミナ、フタロシアニン銅(α−型)(略称:CuPc)、オキシチタニウムフタロシアニン(略称:TiOPC)、N,N'−ビス(N,N'−ジフェニル−4−アミノフェニル)−N,N'−ジフェニル−4,4'−ジアミノ−1,1'−ビフェニル、N4,N4,N4',N4'−テトラキス([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン、4,4'4"−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:NATA)、4,4',4"−トリス(N−(ナフタレン−1−イル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン(略称:1T−NATA)、4,4',4"−トリス[2−ナフチルフェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:2T−NATA)、4,4',4"−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:m−MTDATA)、N4,N4,N4',N4"−テトラキス(4−メトキシフェニル)−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン(略称:MeO−TPD)、2,7−ビス[N,N−ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]−9,9−スピロビ[9H−フルオレン](略称:MeO−Spiro−TPD)、N,N'−ビス[4−ジ(m−トリル)アミノフェニル]−N,N'−ジフェニルベンジジン(略称:DNTPD)、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7',8,8'−テトラシアノキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、ピラジノ[2,3−F][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)、1,4,5,8,9,11−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(略称:HAT−CN)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N,N'−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N'−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホナート)(略称:PEDOT/PSS)などであるが、これらに限定されない。本発明に係る正孔注入層は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる正孔注入材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0046】
本発明に係る正孔輸送層は、素子内の正孔の輸送効率を向上するとともに、電子を発光層内にブロッキングする作用を有する。本発明に係る正孔輸送材料は、良好な正孔輸送性能を有する材料であることが好ましく、芳香族アミン類誘導体、ピラゾリン類化合物、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン類化合物、スチレン類化合物、ブタジエン類化合物などの小分子材料及びポリマー材料のうちの1種又は複数種を選択してもよいが、これらに限定されない。具体的には、N4,N4,N4',N4'−テトラキス([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン、4,4',4"−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4',4"−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ジフェナントレン−9−イル−4,4'−ビフェニルジアミン(略称:PPD)、N,N'−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−2,2'−ジメチルベンジジン(略称:α−NPD)、N,N'−ジフェニル−N,N'−(1−ナフチル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(略称:NPB)、N,N'−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N'−ジ(フェニル)ビフェニル−4,4'−ジアミン(略称:β−NPB)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(α−ナフチル)−1,1'−ビナフチル−4,4'−ジアミン(略称:α−NPN)、4,4'−シクロヘキシルビス[N,N−ビス(4−メチルフェニル)アニリン](略称:TAPC)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(略称:TPD)、2,2,7,7−テトラキス(ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン(略称:Spiro−TAD)、3,3'−(1,4−フェニレン)ビス(1,5−ジフェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール)(略称:PYR−D1)、4,4',4"−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、4−(N,N−ジ−p−メチルフェニル)アミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、1,4−ビス[4−(N,N−ジ−p−メチルフェニルアミノ)スチレン]ベンゼン(略称:DPD)などであるが、これらに限定されない。本発明に係る正孔輸送層は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる正孔輸送材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0047】
本発明に係る発光層とは、光子を出射できる有機物層を意味する。本発明に係る発光層は、1種材料又は2種以上の混合材料を含んでもよく、前記発光材料は、青色発光材料、緑色発光材料及び赤色発光材料に区分する。
【0048】
上記青色発光材料は、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、スチリルアミン誘導体、金属錯体などの材料から選択される1種又は複数種であるが、これらに限定されない。具体的には、N
1,N
6−ビス([1,1'−ビフェニル]−2−イル)−N
1,N
6−ビス([1,1'−ビフェニル]−4−イル)ピレン−1,6−ジアミン、9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(略称:ADN)、2−メチル−9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(略称:MADN)、2,7−ビス(4−ジアニリノフェニル)−9,9−ビス(4−ジアニリノフェニル)フルオレン(略称:XB10)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBPe)、4,4'−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチレン]ビフェニル(略称:BDAVBi)、4,4'−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチレン]ビフェニル(略称:DPAVBi)、1,4−ビス[4−(N,N−ジフェニル)アミノ]スチレン(略称:DSA−Ph)、トリス[1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール]イリジウム(III)(略称:fac−Ir(iprpmi)
3)、ビス(2−ヒドロキシフェニルピリジン)ベリリウム(略称:Bepp
2)、ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジルフェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウム(III)(略称:FIrpic)、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジン)−テトラキス(1−ピラゾール)ボラートイリジウム(III)(略称:Fir6)などであるが、これらに限定されない。
【0049】
上記緑色発光材料は、クマリン染料、キナクリドン類誘導体、多環芳香族炭化水素、ジアミンアントラセン類誘導体、カルバゾール誘導体、金属錯体などの材料から選択される1種又は複数種であるが、これらに限定されない。具体的には、クマリン6(略称:C−6)、クマリン545T(略称:C−525T)、キナクリドン(略称:QA)、N,N'−ジメチルキナクリドン(略称:DMQA)、5,12−ジフェニルナフタセン(略称:DPT)、N10,N10,N10',N10'−テトラフェニル−9,9'−ビアントラセン−10,10'−ジアミン(略称:BA−TAD)、N10,N10'−ジフェニル−N10,N10'−ジナフタレニル−9,9'−ビアントラセン−10,10'−ジアミン(略称:BA−NPB)、9,9',9"−(5−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)ベンゼン−1,2,3−トリイル)トリス(3,6−ジメチル−9H−カルバゾール)(略称:TmCzTrz)、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(略称:Alq
3)、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)
3)、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(略称:Ir(ppy)
2(acac))、トリス[2−(p−トリル)ピリジン−C2,N]イリジウム(III)(略称:Ir(mppy)
3)、トリス[2−(3−メチル−2−ピリジル)フェニル]イリジウム(略称:Ir(3mppy)
3)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BTZ)
2)などであるが、これらに限定されない。
【0050】
上記赤色発光材料は、DCM系材料、金属錯体などから選択される1種又は複数種であるが、これらに限定されない。具体的には、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチレン)−4H−ピラン(略称:DCM)、4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−アルケニル)−4H−ピラン(略称:DCJTB)、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトン)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)
2(acac))、オクタエチルポルフィリン白金(略称:PtOEP)、ビス(2−(2'−ベンゾチエニル)ピリジン−N,C3')(アセチルアセトナト)イリジウム(略称:Ir(btp)
2(acac)、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトナト)イリジウム(III)(略称:Ir(fliq)
2(acac))、ビス[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−キノリン](アセチルアセトナト)イリジウム(III)(略称:Ir(flq)
2(acac))、トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(1,10−フェナントロリン)ユウロピウム(III)(略称:Eu(dbm)
3(Phen))などであるが、これらに限定されない。
【0051】
上記発光材料をゲスト材料として用いる場合、それに適合する適切なホスト材料を選択する必要があり、前記ホスト材料は、ゲスト材料と比較して最低空軌道の準位が高く、最高被占軌道の準位が低い材料であることが好ましい。上記ホスト材料は、アルミニウム錯体、亜鉛錯体などの金属錯体、フルオレン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体などを含むが、これらに限定されない。具体的には、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(略称:Alq
3)、8−キノリノラート亜鉛(略称:Znq
2)、2,7−ビス[9,9−ビス(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ビス(4−メチルフェニル)フルオレン(略称:TDAF)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:ADN)、9−(1−ナフチル)−10−[4−(2−ナフチル)フェニル]アントラセン、1,3,5−トリス(9−カルバゾール)ベンゼン(略称:TCP)、9,9'−(1,3−フェニル)ジ−9H−カルバゾール(略称:MCP)、4,4'−ビス(9−カルバゾール)ビフェニル(略称:CBP)、4,4',4"−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)などであるが、これらに限定されない。
【0052】
本発明に係る正孔ブロッキング層は、発光層から電子輸送層へ正孔が漏れることを防止する機能を有する。本発明に係る正孔ブロッキング材料は、良好な正孔ブロッキング性能を有する材料であることが好ましく、フェナントロリン誘導体、アルミニウム錯体、ベンゾイミダゾール誘導体、芳香族化合物、有機ホウ素化合物などのうちの1種又は複数種を選択してもよいが、これらに限定されない。具体的には、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:Bphen)、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:NBphen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:BCP)、ビス(8−ヒドロキシ−2−メチルキノリン)−(4−フェニルフェノキシ)アルミニウム(略称:BAlq)、1,3,5−トリス(N−フェニル−2−ベンゾイミダゾール)ベンゼン(略称:TPBi)、(1,3,5−ターフェニル)ベンゼン(略称:TBB)、1,3,5−トリス(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ベンゼン(略称:TFB)、トリメシチルボラン(略称:TPhB)などであるが、これらに限定されない。本発明に係る正孔ブロッキング層は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる正孔ブロッキング材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0053】
本発明に係る電子輸送層は、素子内の電子の輸送効率を向上するとともに、正孔を発光層内にブロッキングする作用を有する。本発明に係る電子輸送材料は、良好な電子輸送性能を有する材料であることが好ましく、アルミニウム錯体、ベリリウム錯体、亜鉛錯体などの金属錯体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアゾール類化合物、フェナントロリン誘導体、ピリジン誘導体、芳香族複素環化合物、ポリマーなどのうちの1種又は複数種を選択してもよいが、これらに限定されない。具体的には、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(略称:Alq
3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム(略称:Almq
3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウム(略称:Bepq
2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノール)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(II)(略称:Znq)、2,5−ジ−(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:BND)、2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、2−(4−(9,10−ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1,3,5−トリス(N−フェニル−2−ベンゾイミダゾール)ベンゼン(略称:TPBi)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:Bphen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:BCP)、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(略称:NBphen)、3,3'−[5'−[3−(3−ピリジル)フェニル](略称:TmPyPB)、1,3,5−トリス(4−ピリジン−3−イル−フェニル)ベンゼン(略称:TpPyPB)、1,3,5−トリス(6−(3−(3−ピリジル)フェニル)ピリジン−2−イル)ベンゼン(略称:Tm
3PyP
26PyB)、2,4,6−トリス(3−(3−ピリジル)−(1,1'−ビフェニル)−3−イル)−1,3,5−トリアジン(略称:TmPPPyTz)、ポリ[9,9−ビス[6'−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)ヘキシル]フルオレン−alt−co−1,4−フェニレン]臭化物(略称:FPQ−Br)などであるが、これらに限定されない。本発明に係る電子輸送層は、上記電子輸送材料と下記電子注入材料とを互いに混在して形成した混合材料、例えば、Alq
3/LiF、Alq
3/Liq、BAlq/LiF、BAlq/Liqなどであってもよいが、これらに限定されない。本発明に係る電子輸送層は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる電子輸送材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0054】
本発明に係る電子注入層は、陰極から電子輸送層と発光層への電子注入の効率を向上させるように機能する。本発明に係る電子注入材料は、良好な電子注入性能を有する材料であることが好ましく、本発明に係る電子注入材料は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアルカリ金属、アルカリ土類金属を含む化合物のうちの1種又は複数を選択してもよいが、これらに限定されない。具体的には、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、酸化リチウム、炭酸セシウム、メタホウ酸リチウム、ケイ酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸ルビジウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、リチウムテトラキス(8−キノリノラート)ホウ素、8−キノリノラートリチウムなどであるが、これらに限定されない。本発明に係る電子注入層は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる電子注入材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0055】
本発明に係る陰極は、電子を電子輸送層に注入する機能を有し、陰極材料には、低い仕事関数を有することが要求され、頂部発光素子の光は陰極から出射するため、陰極には高い透過率を有することも要求される。本発明に係る陰極材料は、主族金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタノイド金属などの金属又は合金のうちの1種又は複数種を選択してもよいが、これらに限定されない。具体的には、Al、In、Li、Mg、Ca、Ag、Ti、Sm、Mg/Ag、Li/Alなどであるが、これらに限定されない。陰極の膜厚は材料によって異なり、通常は10nm〜1μm、好ましくは10nm〜300nmの範囲から選択される。本発明に係る陰極は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる陰極材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0056】
本発明に係る光取り出し層は、金属化合物、芳香族アミン類誘導体、カルバゾール誘導体又は本発明に係るアミン類誘導体などのうちの1種又は複数種を選択してもよいが、これらに限定されない。具体的には、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(略称:Alq
3)、酸化マグネシウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化テルル、N,N'−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N'−ビス(フェニル)−2,2'−ジメチルベンジジン(略称:α−NPD)、N,N'−ジフェニル−N,N'−(1−ナフチル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン(略称:NPB)、N4,N4,N4',N4'−テトラキス(4−メトキシフェニル)−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン(略称:MeO−TPD)、4,4'−ビス(9−カルバゾール)ビフェニル(略称:CBP)などであるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明に係るアミン類誘導体である。本発明に係る光取り出し材料は、単層構造であっても二層以上の多層構造であってもよく、各層に含まれる光取り出し材料は、単一材料であっても混合材料であってもよい。
【0057】
本発明に係る有機電界発光素子の各層の形成方法は特に限定されず、乾式成膜法、湿式成膜法などの公知の方法を採用できる。乾式成膜法は、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ法などを含む。湿式成膜法は、スピンコート法、ディッピング法、インクジェット法などを含むが、これらに限定されない。
【0058】
本発明に係る有機電界発光素子は、フラットパネル表示、固体照明、有機感光体又は有機フィルムトランジスタなどの分野に広く使用されることができる。
【0059】
本発明に係る式Iで示されるアミン類誘導の合成手順は以下の通りである。
ステップ1
【化24】
上記合成手順において、
【化25】
と
【化26】
とをブッフバルト反応させて
【化27】
を得る。
【0060】
ステップ2
【化28】
上記合成手順において、
【化29】
と
【化30】
とをブッフバルト反応させて
【化31】
を得る。
【0061】
ステップ3
1.
【化32】
と
【化33】
とは異なる場合
【化34】
上記合成手順において、X
1、X
2は、独立してI、Br、Clから選択される1種であり、
【化35】
と
【化36】
とをブッフバルト反応させて
【化37】
を得て、上記中間体と
【化38】
とをブッフバルト反応させて、式Iで示されるアミン類誘導体を得る。
【0062】
2.
【化39】
と
【化40】
とは同じである場合
【化41】
上記合成手順において、
【化42】
又は
【化43】
を
【化44】
とブッフバルト反応させて、式Iで示されるアミン類誘導体を得る。
【0063】
本発明において、以下の実施例で使用される原料は特に限定されず、市販品又は当業者に周知の調製方法により調製したものであってもよい。
【0064】
化合物の調製及び分析
原料、試薬及び分析用デバイスの説明
本発明で使用される原料及び試薬はすべて純粋な試薬であった。
質量分析は、島津集団英国のKratos Analytical社製のAXIMA−CFR plusマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行質量分析計を使用し、クロロホルムを溶媒とした。
元素分析は、ドイツのElementar社製のVario EL cube型有機元素分析計を使用し、サンプル質量は5〜10mgでした。
核磁気共鳴(
1H NMR)は、600MHzのBruker−510型核磁気共鳴スペクトロメーター(ドイツのBruker社製)を使用し、CDCl3を溶媒とし、TMSを内部標準とした。
【0065】
合成例1:化合物1の合成
【化45】
中間体I−1の合成
1Lの反応フラスコに脱気したトルエン溶媒(400mL)を加えた後、原料の4−(2−ベンゾオキサゾール)アニリン(37.8g、0.18mol)、ブロモベンゼン(19.0ml、0.18mol)及びナトリウム−tert−ブトキシド(22.8g、0.234mol)を順次に加えた。窒素置換を3回行った後、酢酸パラジウム(0.4g、0.0018mol)を加えた。窒素置換を更に3回行った後、トリ−t−ブチル−ホスフィン(7.2mLの1.0Mのトルエン溶液、0.0072mol)を加えた。窒素置換ステップを更に3回繰り返した後、当該混合物を窒素雰囲気下で2時間還流した。反応停止後、混合物を室温まで冷却し、珪藻土でろ過してろ液を得た。ろ液を濃縮し、少量のメタノールを加えた後、静置して再結晶し、一定時間後に固体が生成し、その固体を吸引ろ過してメタノールでリンスし、再結晶固体である中間体I−1(46.3g、収率約90%)を得て、HPLCにて固体純度≧98.1%を検出した。
【0066】
化合物1の合成
250mLの反応フラスコに脱気したトルエン溶媒(100mL)を加えた後、原料の中間体I−1(17.6g、0.062mol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレン(9.8g、0.028mol)及びナトリウム−tert−ブトキシド(8.0g、0.084mol)を順次に加えた。窒素置換を3回行った後、酢酸パラジウム(0.12g、0.00056mol)を加えた。窒素置換を更に3回行った後、トリ−t−ブチル−ホスフィン(2.24mLの1.0Mのトルエン溶液、0.00224mol)を加えた。窒素置換ステップを更に3回繰り返した後、当該混合物を窒素雰囲気下で2時間還流した。反応停止後、混合物を室温まで冷却し、珪藻土でろ過してろ液を得た。ろ液を濃縮して60℃まで加熱した後、少量のエタノールを加え、室温まで静置して再結晶し、一定時間後,固体が生成し、その固体を吸引ろ過してエタノールでリンスし、再結晶固体である淡黄色の固体化合物1(18.1g、収率約85%)を得て、HPLCにて固体純度≧99.9%を検出した。
【0067】
質量分析m/z:762.85(計算値:762.91)。理論元素含有量(%)C
53H
38N
4O
2:C, 83.44; H, 5.02; N, 7.34; O, 4.19 実測元素含有量(%):C, 83.52; H, 5.02; N, 7.35; O, 4.11。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm): 8.10 (d, J=8.6 Hz, 4H), 7.82−7.67 (m, 2H), 7.67−7.50 (m, 4H), 7.40−7.28 (m, 8H), 7.23 (d, J=8.5 Hz, 6H), 7.20−6.99 (m, 8H), 1.40 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0068】
合成例2:化合物10の合成
【化46】
合成例1におけるブロモベンゼンを等モル量の4−ブロモビフェニルで置き換え、他のステップは同様にして、黄色の固体化合物10(22.5g、収率約88%)を得た。質量分析m/z:914.41(計算値:915.11)。理論元素含有量(%)C
65H
46N
4O
2: C, 85.31; H, 5.07; N, 6.12; O, 3.50 実測元素含有量(%):C, 85.28; H, 4.95 N, 6.08; O, 3.55。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0069】
合成例3:化合物22の合成
【化47】
合成例1におけるブロモベンゼンを等モル量の2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンで置き換え、他のステップは同様にして、黄色の固体化合物22(20.0g、収率約72%)を得た。質量分析m/z:995.32(計算値:995.24)。理論元素含有量(%)C
71H
54N
4O
2: C, 85.69; H, 5.47; N, 5.63; O, 3.22 実測元素含有量(%):C, 85.77; H, 5.48; N, 5.62; O, 3.12。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm): 7.92 (d, J=3.3 Hz, 1H), 7.89 (d, J=3.2 Hz, 1H), 7.88 (s, 2H), 7.85 (s, 2H), 7.79−7.70 (m, 8H), 7.56 (d, J=3.2 Hz, 1H), 7.53 (dd, J=2.8, 1.3 Hz, 5H), 7.42−7.33 (m, 9H), 7.31 (dd, J=5.3, 2.3 Hz, 3H), 7.28 (dd, J=6.6, 3.3 Hz, 3H), 7.24 (d, J=3.2 Hz, 1H),1.47 (d, J=30.9 Hz, 12H), 1.39 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0070】
合成例4:化合物26の合成
【化48】
合成例1におけるブロモベンゼンを等モル量の2−ブロモ−11,11−ジメチル−ベンゾ[b]フルオレンで置き換え、他のステップは同様にして、黄色の固体化合物26(20.8g、収率約68%)を得た。質量分析m/z:1095.44(計算値:1095.36)。理論元素含有量(%)C
79H
58N
4O
2: C, 86.63; H, 5.34; N, 5.12; O, 2.92 実測元素含有量(%):C, 86.71; H, 5.32; N, 5.12; O, 2.87。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm): 8.15 (d, J=8.6 Hz, 4H), 8.02 (s, 2H), 7.86 (dt, J=6.8, 2.1 Hz, 6H), 7.79−7.74 (m, 2H), 7.73 (s, 2H), 7.65 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.60−7.53 (m, 2H), 7.49−7.39 (m, 6H), 7.34 (dd, J=9.5, 4.0 Hz, 6H), 7.25 (s, 2H), 7.23−7.16 (m, 4H), 1.63 (s, 12H), 1.45 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0071】
合成例5:化合物27の合成
【化49】
合成例1におけるブロモベンゼンを等モル量の9−ブロモ−11,11−ジメチル−11H−ベンゾ[A]フルオレンで置き換え、他のステップは同様にして、黄色の固体化合物27(20.24g、収率約66%)を得た。質量分析m/z:1094.48(計算値:1095.36)。理論元素含有量(%)C
79H
58N
4O
2: C, 86.63; H, 5.34; N, 5.12; O, 2.92 実測元素含有量(%):C, 86.56; H, 5.30; N, 5.16; O, 2.88。 上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0072】
合成例6:化合物35の合成
【化50】
合成例1におけるブロモベンゼンを等モル量の3−ブロモジベンゾ[b,d]フランで置き換え、他のステップは同様にして、黄色の固体化合物35(19.5g、収率約74%)を得た。質量分析m/z:943.31(計算値:943.08)。理論元素含有量(%)C
65H
42N
4O
4: C, 82.78; H, 4.49; N, 5.94; O, 6.79 実測元素含有量(%):C, 82.83; H, 4.50; N, 5.92; O, 6.75。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm): 8.12−8.08 (m, 4H), 7.88−7.81 (m, 4H), 7.76−7.71 (m, 2H), 7.62−7.53 (m, 8H), 7.47 (d, J=1.0 Hz, 2H), 7.38−7.30 (m, 8H), 7.28 (s, 2H), 7.18−7.15 (m, 6H), 1.39 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0073】
合成例7:化合物41の合成
【化51】
合成例1における2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレンを等モル量の2,7−ジブロモ−9,9−ジフェニルフルオレンで置き換え、他のステップは同様にして、淡黄色の固体化合物41(20.6g、収率約83%)を得た。質量分析m/z:887.31(計算値:887.06)。理論元素含有量(%)C
63H
42N
4O
2: C, 85.30; H, 4.77; N, 6.32; O, 3.61 実測元素含有量(%):C, 85.38; H, 4.85; N, 6.38; O, 3.70。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm): 8.06 (d, J=7.9 Hz, 4H), 7.80−7.69 (m, 2H), 7.62 (d, J=6.6 Hz, 2H), 7.58−7.53 (m, 6H), 7.51 (t, J=9.5 Hz, 4H), 7.43 (t, J=7.7 Hz, 4H), 7.37−7.30 (m, 6H), 7.22−7.18 (m, 8H), 7.14−7.10 (m, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0074】
合成例8:化合物44の合成
【化52】
合成例1におけるブロモベンゼンを等モル量の4−ブロモビフェニルで置き換え、2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレンを等モル量の2,7−ジブロモ−9,9−ジフェニル基フルオレンで置き換え、他のステップは同様にして、淡黄色の固体化合物44(23.6g、収率約81%)を得た。質量分析m/z:1038.43(計算値:1039.25)。理論元素含有量(%)C
75H
50N
4O
2: C, 86.68; H, 4.85; N, 5.39; O, 3.08 実測元素含有量(%):C, 86.56; H, 4.82; N, 5.49; O, 3.08。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0075】
合成例9:化合物73の合成
【化53】
中間体aの合成
1Lの反応フラスコに固体原料の2−ブロモ−7−ヨードフルオレン(37.1g、0.1mol)、4−ブロモフェニルボロン酸(22.1g、0.11mol)を順次に加えた後、超音波で脱気したトルエン(250mL)、エタノール(100mL)及び150mLの炭酸カリウム(41.4g、0.3mol)の水溶液を加えた。真空にして窒素を3回充填し、窒素雰囲気下で触媒のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.15g、0.001mol)を加え、真空にして窒素を3回充填し続け、80℃で還流撹拌して4時間反応させてから加熱停止し、混合物に150mLの水を加え、30分間撹拌し、約40℃まで冷却し、減圧ろ過し、熱水(100mL)及びアセトン(150mL)を順次に用いてろ過ケーキを洗浄し、ろ液のpH値が約7になるように確保した。ろ過ケーキを1Lのクロロホルムに溶解し、溶液をシリカゲル漏斗に通し、ろ液を500mLまで濃縮してから少量のメタノール(約25mL)を加えて再結晶し、減圧ろ過して固体(36.0g、収率約90%)を得て、HPLCにて固体純度≧98.6%を検出した。
【0076】
上記固体(20g、0.05mol)を700mLのトルエンに溶解し、窒素雰囲気下でヨウ化メチル(6.2mL、0.1mol)及びカリウムtert−ブトキシド(16.8g、0.15mol)を加えた後、配位子の3−シクロヘキシルフェノール(1.41g、0.008mol)及び触媒の酢酸パラジウム(1.12g、0.005mol)を加え、窒素置換を3回行った後、一晩還流反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、シリカゲル漏斗に通した後、ろ液を400mLの水に注入し、半時間撹拌した後、トルエンで抽出し、有機相を合わせて500mLまで乾燥濃縮し、200mLのメタノールを加えて再結晶し、一定時間後、固体である中間体a(19.3g、収率約90%)が生成し、HPLCにて固体純度≧99.2%を検出した。
【0077】
化合物73の合成
合成例1における2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレンを等モル量の中間体aで置き換え、他のステップは同様にして、淡黄色の固体化合物73(18.3g、収率約78%)を得た。質量分析m/z:839.29(計算値:839.01)。理論元素含有量(%)C
59H
42N
4O
2:C, 84.46; H, 5.05; N, 6.68; O, 3.81 実測元素含有量(%):C, 84.54; H, 5.05; N, 6.66; O, 3.75。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm): 8.19−8.05 (m, 4H), 7.74 (ddd, J=14.1, 8.0, 4.9 Hz, 3H), 7.67 (d, J=8.1 Hz, 1H), 7.63 (dd, J=5.0, 3.5 Hz, 3H), 7.60−7.52 (m, 3H), 7.39−7.29 (m, 8H), 7.29−7.26 (m, 2H), 7.26−7.21 (m, 5H), 7.21−7.10 (m, 7H), 1.49 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0078】
合成例10:化合物75の合成
【化54】
合成例9におけるブロモベンゼンを等モル量の4−tert−ブチルブロモベンゼンで置き換え、他のステップは同様にして、淡黄色の固体化合物75(21.0g、収率約79%)を得た。質量分析m/z:950.51(計算値:951.23)。理論元素含有量(%)C
67H
58N
4O
2: C, 84.60; H, 6.15; N, 5.89; O, 3.36 実測元素含有量(%):C, 84.56; H, 6.18; N, 5.83; O, 3.43。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0079】
合成例11:化合物78の合成
【化55】
合成例9におけるブロモベンゼンを等モル量の4−ブロモビフェニルで置き換え、他のステップは同様にして、淡黄色の固体化合物78(20.8g、収率約75%)を得た。質量分析m/z:990.40(計算値:991.21)。理論元素含有量(%)C
71H
50N
4O
2: C, 86.03; H, 5.08; N, 5.65; O, 3.23 実測元素含有量(%):C, 86.11; H, 5.04; N, 5.69; O, 3.20。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0080】
合成例12:化合物89の合成
【化56】
合成例9におけるブロモベンゼンを等モル量の4−ブロモビフェニルで置き換え、他のステップは同様にして、淡黄色の固体化合物89(21.9g、収率約73%)を得た。質量分析m/z:1070.49(計算値:1071.34)。理論元素含有量(%)C
77H
58N
4O
2: C, 86.33; H, 5.46; N, 5.23; O, 2.99 実測元素含有量(%):C, 86.27; H, 5.41; N, 5.29; O, 2.88。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0081】
合成例13:化合物101の合成
【化57】
合成例1における4−(2−ベンゾオキサゾール)アニリンを等モル量の4−(2−ベンゾチアゾリル)アニリンで置き換え、他のステップは同様にして、明黄色の固体化合物101(18.5g、収率約83%)を得た。質量分析m/z:795.19(計算値:795.04)。理論元素含有量(%)C
53H
38N
4S
2: C, 80.07; H, 4.82; N, 7.05; S, 8.07 実測元素含有量(%):C, 80.13; H, 4.80; N, 7.04; S, 8.03。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm): 8.18 (dd, J=6.9, 2.0 Hz, 2H), 8.02 (dd, J=6.8, 2.1 Hz, 2H), 7.86 (dd, J=7.5, 5.0 Hz, 6H), 7.58−7.47 (m, 6H), 7.37 (d, J=7.5 Hz, 4H), 7.31−7.21 (m, 6H), 7.08 (dd, J=7.5, 1.4 Hz, 4H), 7.04−6.96 (m, 2H), 1.69 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0082】
合成例14:化合物121の合成
【化58】
合成例9における4−(2−ベンゾオキサゾール)アニリンを等モル量の4−(2−ベンゾチアゾリル)アニリンで置き換え、他のステップは同様にして、明黄色の固体化合物121(18.0g、収率約74%)を得た。質量分析m/z:870.25(計算値:871.13)。理論元素含有量(%)C
59H
42N
4O
2:C, 81.35; H, 4.86; N, 6.43; S, 7.36 実測元素含有量(%):C, 81.32; H, 4.85; N, 6.45; S, 7.37。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm):8.22−8.14 (m, 2H), 8.08 (t, J=10.0 Hz, 1H), 8.05−7.98 (m, 3H), 7.89−7.82 (m, 5H), 7.78 (dd, J=15.0, 2.9 Hz, 1H), 7.60−7.46 (m, 7H), 7.42−7.33 (m, 6H), 7.33−7.19 (m, 5H), 7.12−7.05 (m, 4H), 7.04−6.95 (m, 2H), 1.69 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0083】
合成例15:化合物125の合成
【化59】
合成例9におけるブロモベンゼンを等モル量の4−ブロモビフェニルで置き換え、4−(2−ベンゾオキサゾール)アニリンを等モル量の4−(2−ベンゾチアゾリル)アニリンで置き換え、他のステップは同様にして、明黄色の固体化合物125(20.9g、収率約73%)を得た。質量分析m/z:1022.38(計算値:1023.33)。理論元素含有量(%)C
71H
50N
4S
2:C, 83.33; H, 4.93; N, 5.48; S, 6.27 実測元素含有量(%):C, 83.24; H, 4.97; N, 5.51; S, 6.24。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0084】
合成例16:化合物143の合成
【化60】
合成例1における4−(2−ベンゾオキサゾール)アニリンを等モル量の4−(1−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)アニリンで置き換え、2,7−ジブロモ−9,9−ジメチルフルオレンを等モル量の2,7−ジブロモ−9,9'−スピロビフルオレンで置き換え、他のステップは同様にして、黄色の固体化合物143(20.58g、収率約71%)を得た。質量分析m/z:1034.35(計算値:1035.27)。理論元素含有量(%)C
59H
42N
4O
2:C, 87.01; H, 4.87; N, 8.12 実測元素含有量(%):C, 86.98; H, 4.91; N, 8.11。
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm):
1H NMR (600 MHz, CDCl
3) (δ, ppm) 7.85 (d, J=7.2 Hz, 2H), 7.70 (d, J=7.6 Hz, 2H), 7.61 (d, J=8.2 Hz, 2H), 7.48 (d, J=6.9 Hz, 6H), 7.40−7.27 (m, 12H), 7.25−7.20 (m, 2H), 7.20−7.10 (m, 8H), 7.06−6.86 (m, 8H), 6.83 (d, J=7.6 Hz, 2H), 6.77 (d, J=8.7 Hz, 4H), 6.50 (d, J=1.7 Hz, 2H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0085】
合成例17:化合物144の合成
【化61】
合成例9における4−(2−ベンゾオキサゾール)アニリンを等モル量の4−(1−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)アニリンで置き換え、他のステップは同様にして、黄色の固体化合物144(19.4g、収率約70%)を得た。質量分析m/z:988.49(計算値:989.24)。理論元素含有量(%)C
71H
52N
6:C, 86.21; H, 5.30; N, 8.50 実測元素含有量(%):C, 86.32; H, 5.24; N, 8.56。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0086】
合成例18:化合物146の合成
【化62】
250mLの反応フラスコに脱気したトルエン溶媒(100mL)を加えた後、原料の中間体I−2(17.6g、0.028mol)、N,N−ビス([1,1'−ビフェニル]−4−イル)−7−ブロモ−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−アミン(9.8g、0.028mol)及びナトリウム−tert−ブトキシド(4.0g、0.042mol)を順次に加えた。窒素置換を3回行った後、酢酸パラジウム(0.06g、0.00028mol)を加えた。窒素置換を更に3回行った後、トリ−t−ブチル−ホスフィン(1.12mLの1.0Mのトルエン溶液、0.00112mol)を加えた。窒素置換ステップを更に3回繰り返した後、当該混合物を窒素雰囲気下で2時間還流した。反応停止後、混合物を室温まで冷却し、珪藻土でろ過してろ液を得た。ろ液を濃縮して60℃まで加熱した後、少量のエタノールを加え、室温まで静置して再結晶し、一定時間後、固体が生成し、その固体を吸引ろ過してエタノールでリンスし、再結晶固体である淡黄色の固体化合物146(21.8g、収率約89%)を得て、HPLCにて固体純度≧99.9%を検出した。
【0087】
質量分析m/z:873.35(計算値:874.10)。理論元素含有量(%)C
64H
47N
3O:C, 87.94; H, 5.42; N, 4.81; O, 1.83 実測元素含有量(%):C, 87.85; H, 5.54; N, 4.84; O, 1.99。1H NMR (600 MHz, CDCl3) (δ, ppm): 7.88 (s, 1H), 7.85 (s, 1H), 7.77 − 7.75 (m, 3H), 7.75 − 7.73 (m, 5H), 7.72 (t, J = 3.5 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 7.55 − 7.51 (m, 7H), 7.49 (dd, J = 3.9, 3.0 Hz, 3H), 7.48 − 7.45 (m, 2H), 7.43 (dd, J = 7.7, 4.4 Hz, 2H), 7.41 − 7.39 (m, 2H), 7.39 − 7.37 (m, 5H), 7.37 − 7.34 (m, 4H), 7.32 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 1.69 (s, 6H)。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0088】
合成例19:化合物153の合成
【化63】
合成例18における中間体I−2を等モル量の中間体II−2で置き換え、他のステップは同様にして、明黄色の固体化合物153(22.7g、収率約91%)を得た。質量分析m/z:889.37(計算値:890.16)。理論元素含有量(%)C
64H
47N
3S:C, 86.36; H, 5.32; N, 4.72; S, 3.60 実測元素含有量(%):C, 86.26; H, 5.25; N, 4.87; S, 3.55。上記結果から、得られた生成物がターゲット製品であることを確認した。
【0089】
化合物の光物理的性質
化合物のガラス転移温度(Tg)の測定:測定装置は米国TA社製のDSC25型示差走査熱量計、テスト雰囲気は窒素雰囲気、窒素の流速は50ml/min、昇温速度は10℃/min、温度範囲は50〜350℃、化合物サンプルの質量は1〜6mg、坩堝タイプは、アルミニウム製坩堝であった。測定されたガラス転移温度(Tg)を、表1に示す。
【0091】
表1から分かるように、本発明に係るアミン類誘導体のガラス転移温度はCPM−1及びCPM−2のガラス転移温度よりも高いため、本発明に係るアミン類誘導体の熱安定性は、より優れており、性能がより安定した材料である。
【0092】
化合物の屈折率(n)の測定:測定装置は米国J.A.Woollam社製のM−2000分光エリプソメーター、装置の走査範囲は245〜1000nm、ガラス基板の大きさは200×200mm、材料のフィルム厚さは20〜60nmであった。測定された450nmでの屈折率(n)を、表2に示す。
【0094】
表2から分かるように、本発明に係るアミン類誘導体の屈折率は化合物CPM−1及びCPM−2の屈折率に相当し、本発明に係るアミン類誘導体を光取り出し材料として用いる場合、素子内の光を効果的に結合し、有機電界発光素子の発光效率を向上させることができる。
【0095】
素子の製造及び性能
本発明において、有機材料はいずれも昇華したものであり、純度はすべて99.99%以上であった。実験で使用されたITOガラス基板は、深セン南玻表示デバイス科技有限公司から購入した。ITOガラス基板は、5%のガラス清浄液によって毎回20分間で2回超音波清浄してから、脱イオン水によって毎回10分間で2回超音波清浄し、アセトン及びイソプロピルケトンを順次に用いて20分間超音波清浄し、120℃で乾燥させた。
【0096】
素子は、真空蒸着システムを用いて中断なく真空で連続的に蒸発して製造された。使用される材料は異なる蒸発源の石英坩堝に入れ、蒸発源の温度を個別に制御できる。有機材料又は母体が混在した有機材料の熱蒸発速度は、一般的に0.1nm/sにし、混在材料の蒸発速度は混在割合に応じて調整した。電極金属の蒸発速度は0.4〜0.6nm/sにした。処理されたガラス基板をOLED真空コータに入れて、フィルムの製造過程で、システムの真空度を5×10
−5Pa以下に維持すべきであり、マスク板を交換することで有機層と金属電極をそれぞれ蒸着し、Inficon社製のSQM160石英結晶膜厚検出器で蒸着速度を検出し、石英結晶発振器でフィルム厚さを検出した。テストソフトウェア、コンピュータ、米国Keithley社製のK2400デジタルソースメーターと、米国Photo Research社製のPR788分光走査輝度計とを組み合わせてコージェネレーションIVLテストシステムを形成し、有機電界発光素子の駆動電圧、発光効率、CIE色座標をテストした。寿命のテストは、McScience社製のM6000OLED寿命テストシステムを使用した。テストの環境は大気雰囲気であり、温度は室温であった。
【0097】
実施例1:有機電界発光素子1の製造
ガラス基板上にITO/Ag/ITOを陽極とし、陽極上にHIM−1を真空蒸着して第1の正孔注入層とし、蒸着厚さは60nmであり、第1の正孔注入層上にHAT−CNを真空蒸着して第2の正孔注入層とし、蒸着厚さは5nmであり、第2の正孔注入層上にNPBを真空蒸着して正孔輸送層とし、蒸着厚さは60nmであり、正孔輸送層上にBH−1と3%のBD−1を真空蒸着して発光層とし、蒸着厚さは25nmであり、発光層上にAlq
3:Liq(1:1)を真空蒸着して電子輸送層とし、蒸着厚さは30nmであり、電子輸送層上にLiFを真空蒸着して電子注入層とし、蒸着厚さは1nmであり、電子注入層上にMg/Ag(9:1)を真空蒸着して陰極とし、蒸着厚さは15nmであり、陰極上に本発明に係る化合物1を真空蒸着して光取り出し層とし、蒸着厚さは60nmであった。
【化64】
【0098】
実施例2〜19:実施例1の光取り出し層における化合物1をそれぞれ化合物10、化合物22、化合物26、化合物27、化合物35、化合物41、化合物44、化合物73、化合物75、化合物78、化合物89、化合物101、化合物121、化合物125、化合物143、化合物144、化合物146、化合物153で置き換え、他のステップは同様にして、有機電界発光素子2〜19を得た。
【0099】
比較例1:実施例1の光取り出し層における化合物1を化合物CPM−1で置き換え、他のステップは同様にして、比較用の有機電界発光素子1を得た。
【0100】
比較例2:実施例1の光取り出し層における化合物1を化合物CPM−2で置き換え、他のステップは同様にして、比較用の有機電界発光素子2を得た。
【0101】
比較例3:実施例1のステップを参照して有機電界発光素子を製造したが、光取り出し層を形成せず、比較用の有機電界発光素子3を得た。
【0102】
本発明の実施例1〜19及び比較例1〜3で製造した有機電界発光素子の発光特性に関するテスト結果を、表3に示す。
【0104】
表3から分かるように、比較例1及び比較例2と比較して、本発明に係るアミン類誘導体を光取り出し材料として用いた有機電界発光素子の使用寿命はより長くなる。比較例3と比較して、本発明に係るアミン類誘導体を光取り出し材料として用いた有機電界発光素子の発光效率はより高くなり、使用寿命より長くなる。したがって、本発明に係るアミン類誘導体は、性能がより優れた光取り出し材料である。