【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、血管から閉塞血餅を除去するための血餅回収デバイスであって、
折りたたまれた送達形態と、拡張された展開形態とを有する細長い内側本体と、
少なくとも部分的に細長い内側本体の上に重なる細長い外側本体であって、
血餅受け入れ空間を画定するために、展開形態において内側本体の半径方向範囲よりも大きい半径方向範囲まで拡張可能な細長い外側本体と
を備え、
細長い外側本体は遠位端部分を備え、
細長い内側本体は、主本体部分と、展開形態において、この主本体部分よりも大きな範囲まで細長い外側本体に向かって延びる遠位部分とを備え、
細長い内側
本体の遠位部分と細長い外側本体の遠位端部分はともに、デバイスからの血餅または血餅断片の遠位放出(egress)を実質的に防止するために三次元保護構造を画定する、血餅回収デバイスが提供される。
【0016】
本発明のこの態様では、遠位ネットまたはデバイスの遠位端に向かって血管内腔を横切って骨格ゾーンを設けることによって、塞栓のリスクが減少する。この骨格は、この場合、内側部材もしくは外側部材のいずれかに、または両方の部材に付加され、深度ならびに表面積を有する三次元である。内側部材と外側部材の両方の骨格を組み合わせることによって、1つの部材のみを利用するよりも効率的なフィルタが提供される。場合によっては、ファイバまたは細いワイヤが、デバイス外形または送達可能性に対する最小の影響を有する追加の骨格を提供するために利用される。
【0017】
一実施形態では、細長い内側本体の遠位部分は、立体的パターン(volumetric pattern)で構成された複数のストラットを備える。
【0018】
ある場合には、細長い内側本体の遠位部分は、ストラットの隆起したまたはフレア状に広がった骨組みを備える。
【0019】
一実施形態では、細長い外側本体の遠位端部分は、遠位ストラットを備える。ある場合には、細長い外側部材の遠位端部分の遠位ストラットは、略円錐形状で構成される。
【0020】
一実施形態では、ストラットのうち少なくともいくつかは、ファイバの受け入れのための、小穴などの取り付け点を備える。保護構造には、遠位ネットを提供する複数のファイバがあり得る。
【0021】
一実施形態では、細長い外側本体は、第1のモノリシック構造を備える。
【0022】
一実施形態では、細長い内側本体は、第2のモノリシック構造を備える。
【0023】
ある場合には、細長い内側本体は、細長い外側本体の近位端の近位方向に延びる。
【0024】
一実施形態では、細長い外側本体は、複数の血餅受け入れ開口と、複数の血餅係合領域とを備え、この血餅係合領域は、血餅との係合時に、血餅を血餅受け入れ開口に向けて、細長い外側本体と細長い内側本体との間の受け入れ空間へと押しやるように適合される。
【0025】
細長い外側本体の血餅係合領域は骨格開口を備え、血餅受け入れ開口は骨格開口よりも実質的に大きい。
【0026】
一実施形態では、細長い外側本体は、少なくとも2つの長手方向に離間されたセグメントを備える。これらのセグメント間に、少なくとも1つのヒンジが設けられてもよい。
【0027】
開示の設計は、既存の機械的血栓摘出解決策の欠点の多くを克服する。
【0028】
本明細書において、血餅と係合するように構成され、一般に、血餅内部で展開され、血餅と係合する本発明の一部分について説明するために、さまざまな交換可能な用語が使用される。これらの用語には、「血餅係合部分」、「拡張可能部材」、「拡張可能本体」、「血餅係合要素」がある。一方、「細長いバスケット」、「係合バスケット」、および「ステントバスケット」という用語も、デバイスのこの部分について説明するために使用されることがある。
【0029】
拡張しつつある係合具によって、係合具が拡張したとき、血餅が、係合具の本体内部の受け入れ空間へと転位することが可能になるように、デバイスの血餅係合部分が血管内の閉塞血餅の内部で拡張されるように構成される設計が開示されている。この係合具は、カテーテルを通って閉塞の部位に送達され、血餅の内部に設置される。係合具は、閉塞の部位において拡張可能であり、拡張されたとき、血餅を圧縮し始める。係合具表面は入口開口を備え、この入口開口によって、血餅は、血餅のかなりの部分を係合具の壁の入口開口を通じて変位させることによって圧縮から「免れる」ことが可能になる。血餅のかなりの部分が、係合具内の入口開口を通るように押しやられるので、これによって、血餅の圧縮が最小になり、したがって、結果として生じる血餅摩擦係数の増加が最小になる。これによって、血餅の領域内の血管にかかる半径方向力も減少し、このことは、捕獲された血餅を抜去するために必要とされる力が減少することを意味し、これは、血管外傷の減少および遠位血管床にかかる張力の低下を意味する。デバイスの半径方向力が、小さい直径のところでは、血餅と係合して把持するように強く作用するが、より大きな直径のところでは、血管壁と緩やかに接触するように穏やかに作用するように構成されたデバイスも開示される。
【0030】
デバイスは第1の内側拡張可能部材と第2の外側拡張可能部材とを備え、内側部材は、実質的に外側部材の内腔の内部に配置される、二重の拡張可能部材を有する設計が開示される。内側部材および外側部材の性質は、互いに無関係に調整され得る。内側部材は、外側部材とは非常に異なる半径方向力を有してもよい。内側部材は、外側部材とは非常に異なるレベルの多孔性を有してもよい。内側部材は、外側部材の完全に拡張された直径とは非常に異なる、完全に拡張された直径を有してもよい。内側部材の長さは、外側部材の長さと異なってもよい。内側部材のストラットの形状は、外側部材のストラットの形状と異なってもよい。拡張された形態では、内側部材と外側部材との間に隙間があってもよい。折りたたまれた形態では、内側部材と外側部材との間に隙間があってもよい。内側部材と外側部材のうちの一方が、部材の壁の少なくとも一部分に沿って略長手方向に走る縫い目を持ってもよいし、内側部材と外側部材の両方が、部材の壁の少なくとも一部分に沿って略長手方向に走る縫い目を持ってもよいし、内側部材と外側部材のどちらも、部材の壁の少なくとも一部分に沿って略長手方向に走る縫い目を持たなくてもよい。内側部材および外側部材のうちの一方または両方は、レーザ切断された部材、より合わされた部材、編まれた部材、押し出し加工された部材、引き抜き成形された(pultruded)部材を備えてもよい。内側部材および外側部材のうちの一方または両方は、レーザ切断工程、より合わせ工程、編みもの工程、押し出し加工工程、引き抜き成形工程、電解研磨工程、熱処理工程を伴うプロセスを用いて製造されてもよい。内側部材および外側部材のうちの一方または両方は、テーパ付き区画、フレア状に広げられた区画、閉端区画、または閉じられた中央区画を備えてもよい。一方または両方の部材は、略管状区画または略円筒状区画を備えてもよい。
【0031】
これらの二重拡張可能部材デバイスは、いくつかの利益を有する。(1)内側部材は、血餅を通る内腔を作製して、展開すると即座に流れを回復させるために強い開放力(opening force)を提供するように構成可能である。この流れ内腔(flow lumen)は、血餅を横切る圧力勾配を減少させ、血餅を除去することをより容易にする。(2)内側部材が拡張する直径は、再灌流
障害のリスクを低下させるように調整され得る。この実施形態では、内側部材は、閉塞に直接隣接し閉塞の遠位である血管の直径よりも著しく小さい直径まで拡張する。この小径内側部材は、閉塞を横切る小さい流れ内腔を作製し、脳の罹患部分に対する初期血流を制限する。この血流の制限によって、流れ回復直後に血管に加えられる圧力は通常よりも低く、これによって、虚血性血管床での出血のリスクが低下することが保証される。完全な灌流は、その後、デバイスおよび血餅を除去することによって回復される。(3)内側部材は、外側バスケットよりも小さい直径まで、および内側部材が展開されるべきいかなる血管よりも小さい直径まで拡張するように構成され得る。これは、強い半径方向力が、流れ内腔を開けるために血餅に対して安全に及ぼされ得るが、血管に対して及ぼされる必要はないことを意味する。(4)内側部材は、血餅を通って作製される内腔に骨格を組む働きをし、血餅から、結果として生じる高速に流れる血流への塞栓の遊離を防止することができる。(5)内側部材は、ステントを少なくとも部分的に備えてよく、血管から血餅を分離する重要な初期工程のために血餅に対する強い把持を提供し、外側バスケットが低い半径方向力を有するように構成されることを可能にすることができる。(6)外側部材は、血餅を、外側部材の壁を横切って押しやるために、大きな入口開口を有するように構成され得る。一方、内側部材は、外側部材の壁を横断する血餅の遠位移動または断片化または塞栓形成を防止するように構成され得る。血餅に外側部材の壁を横断させるように外側部材を構成することによって、デバイスは、血管の壁から血餅をより効率的に分離することができ、デバイスはまた、形状と骨格を提供するサブ構造とを有する内側部材を用いて血餅材料の損失を防止するのにも効果的である。
【0032】
デバイスの遠位端に向かって血管内腔を横切る遠位ネットまたは骨格ゾーンを設けることによって、この塞栓形成リスクをさらに低下させる設計も開示される。この骨格は、内側部材もしくは外側部材のどちらかに、または両方の部材に付加されてよく、深度ならびに表面積を有する三次元とすることができる。内側部材と外側部材の両方の骨格を組み合わせることによって、1つの部材のみを利用するよりも効率的なフィルタが提供され得る。デバイス外形または送達可能性に対する最小の影響を有する追加の骨格を提供するためにファイバまたは細いワイヤを利用する設計が開示される。
【0033】
外側部材の近位方向にかなり延び得る長く高度に可撓性の内側部材を有し、デバイスが、特に長い血餅を回収するために使用されることを可能にする、デバイスの設計が開示される。小さな直径の可撓性内側部材は、血餅を通る流れ内腔を設ける(圧力勾配を減少させ、血餅を除去しやすくする)ために拡張するが、内側部材が展開される血管の直径まで拡張しない。したがって、結果として得られるデバイスは、その長さ全体にわたって血管と係合するように直径が構成された同様の長さのデバイスよりも安全に(はるかに低い力で)送達と回収が可能である。
【0034】
一部分が取り外され、インプラントとして元の位置に残すことが可能である血餅回収構造の設計も開示される。これは、デバイスが所定の位置に留められることになり、デバイスを回収するために必要とされる力が高すぎて安全に適用できないと医師が感じた場合、緊急対策の選択肢として望ましいことがある。これは、閉塞が血栓性またはアテローム硬化性である場合にも望ましいことがある−その場合、外側部材は、血餅を通る流れ内腔を維持し、病変に骨格を組むために、取り外し、ステントとして所定の位置に残すことができる。取り外し可能な設計が開示される。この設計では、外側部材は内側部材から取り外し可能であり、外側部材の一方または両方の端部は、外側部材が、病変および/または血管壁を並置できる略管状形状に拡張することを可能にするように再構成可能である。
【0035】
本発明のさまざまな実施形態が、以下でより詳細に説明される。これらの説明の中で、前に説明したように、デバイスの各部分に関するさまざまな用語が互換的に使用されることがある。説明される実施形態の各々に続いて、先行する、見出しとなる(headline)実施形態のさらに詳細なバージョンを説明する、さらなる資格のリストがある(「ここにおいて(wherein)」という単語が前に置かれる)。これらの資格のいずれも、見出しとなる実施形態のいずれかと組み合わされてよいことが意図されているが、明快さと簡潔さを維持するために、可能な置き換えのすべてが列挙されているわけではない。
【0036】
本発明の一実施形態では、治療装置は、細長い部材と、その拡張状態で血餅を横切って延びるように構成された拡張可能な血餅係合要素とを備える血餅回収デバイスを備え、拡張可能な血餅係合要素は第1のモノリシック構造と第2のモノリシック構造とを備え、第1のモノリシック構造は、その長さの少なくとも一部分にわたって第2のモノリシック構造を取り囲み、第2のモノリシック構造は、近位区画と、中間区画と、遠位区画とを備え、この遠位区画は拡張部を含む。
【0037】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
第1のモノリシック構造は、第2のモノリシック構造を実質的にカプセル化するように構成されること、
第1のモノリシック構造は、近位区画と、中間区画と、遠位区画とを備え、この遠位区画は、閉鎖された遠位端を備えること、
血餅係合要素の遠位端は、閉鎖された遠位端を備え、前記閉鎖された遠位端は、血餅断片を捕獲するおよび/または血餅断片の遠位移動を防止するように構成されること、
拡張は、血餅断片の移動を防止するように構成されること、
第1のモノリシック構造の遠位端は、閉鎖された遠位端を備え、前記閉鎖された遠位端は面を画定し、この面は血餅断片障壁面として構成されること、
この血餅断片障壁面は、ストラットの相互接続された網を備えること、
血餅係合要素の遠位区画は、血餅移動に対する三次元障壁を提供するように構成されること、
デバイスは、細長いコネクタ要素をさらに備え、前記細長いコネクタ要素は、近位端と、遠位端とを備え、近位端は第2のモノリシック構造に接続され、遠位端は第1のモノリシック構造に接続されるこ
と、
細長いコネクタ要素は、ばね要素を備え、前記ばね要素は第2のモノリシック構造と一体化されること、
第1のモノリシック構造と第2のモノリシック構造は遠位端において接続されること、
第1のモノリシック構造と第2のモノリシック構造は遠位端において接続されないこと、および/または
前記第1のモノリシック構造および前記第2のモノリシック構造の近位区画は細長い部材の遠位端に接続されること、
がある。
【0038】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、その拡張状態で血餅を横切って延びるように構成された拡張可能な血餅係合要素とを備える血餅回収デバイスを備え、この拡張可能な血餅係合要素は、近位セグメントと、血餅係合セグメントと、遠位セグメントとを備え、近位セグメントは、使用に際して血餅の近位に延びるように構成され、遠位端は、使用に際して血餅の遠位に延びるように構成され、血餅係合セグメントは、その拡張状態で血餅と係合するように構成され、遠位端は断片保護構造を備え、この断片保護構造は、立体的パターンで構成された複数のストラットを備える。
【0039】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
立体的パターンは、少なくとも部分的に、円錐状に整形された立体的パターンを備えること、
立体的パターンは、少なくとも部分的に、円筒状の立体的パターンを備えること、
立体的パターンは、少なくとも1つの複数の相互接続されたストラットを備えること、
立体的パターンは、少なくとも2つの複数の相互接続されたストラットを備えること、
立体的パターンは、第1の軸のまわりに配置された第1の複数のストラットと、第2の軸のまわりに配置された第2の複数のストラットとを備えること、
第1の軸の位置は、第2の軸の位置に対して移動可能であること、
第1の軸および第2の軸は中心線を備え、使用に際して、前記中心線は、まっすぐなおよび/もしくは湾曲した中心線を含んでよいこと、
この中心線は、互いに対して偏向可能であること、
立体的パターンは終端端部を備えること、
この終端端部は、前記複数のストラットのうちの少なくともいくつかのための終端接合部を備えること、
終端端部は、前記複数のストラットが終端されるおよび/もしくは接続される接続点を備えること、
立体的パターンは、第1の複数のストラットと、第2の複数のストラットとを備えること、
第2の複数のストラットは、少なくとも部分的に第1の複数のストラットによって包囲されること、
第2の複数のストラットは第1の複数のストラットを取り囲むこと、
第1の複数のストラットは第1の軸のまわりに配置され、第2の複数のストラットは第2の軸のまわりに配置され、前記第1の軸および前記第2の軸は略平行であること、
第1の複数のストラットは第1の軸のまわりに配置され、第2の複数のストラットは第2の軸のまわりに配置され、前記第1の軸および前記第2の軸は略平行であること、
第1の複数のストラットは円錐形形状を備えること、および/または、
第2の複数のストラットは、球形形状、平坦な球形形状、円筒状形状、もしくはスピンドルトーラス(spindle torus)形状を備えること、
がある。
【0040】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、第1の管状構造と第2の管状構造とを備える拡張可能な血餅係合要素であって、第1の管状構造は、少なくとも部分的に第2の管状構造を取り囲む、拡張可能な血餅係合要素とを備える血餅回収デバイスを備え、第1の管状構造は、近位端と、遠位端と、近位終端と、遠位終端とを備え、第2の管状構造は、近位端と、遠位端と、近位終端と、遠位終端とを備え、第1の管状構造および第2の管状構造の近位終端は細長い部材に接続され、第1の管状構造および第2の管状構造の遠位終端は互いに接続される。
【0041】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
第1の管状構造および第2の管状構造は、相互接続されたストラットのモノリシック構造を備えること、
第1の管状構造および第2の管状構造は、長手方向に延びる構造を備えること、
第1の管状構造と第2の管状構造の両方は、折りたたまれた送達形態と、拡張された展開形態とを備え、第1の管状構造は、拡張された形態と折りたたまれた形態の両方で少なくとも部分的に第2の管状構造を取り囲むこと、
第1の管状構造および第2の管状構造の一方もしくは両方は、第1の管状構造および第2の管状構造の一方または両方を細長い部材の遠位端に接続するための近位カラーを備えること、
少なくとも1つの近位カラーは部分的カラーを備えること、および/または
少なくとも1つの近位カラーはハイポチューブから切断され、細長い部材の遠位端の少なくとも一部分を取り囲むこと、
がある。
【0042】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、第1の管状構造と第2の管状構造とを備える拡張可能な血餅係合要素であって、第1の管状構造は、少なくとも部分的に第2の管状構造を取り囲む、拡張可能な血餅係合要素とを備える血餅回収デバイスを備え、第1の管状構造および第2の管状構造は、接続点において細長い部材の遠位端に接続され、第1の管状構造は、第1の近位接続ストラットと、第1のコネクタ要素とを備え、第2の管状構造は、第2の近位接続ストラットと、第2のコネクタ要素とを備え、第1のコネクタ要素は接続点において第2のコネクタ要素を取り囲む。
【0043】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
第1のコネクタはカラーを備えること、
第2のコネクタはカラーもしくは部分的カラーを備えること、および/または、
細長い部材は、第1のコネクタおよび/もしくは第2のコネクタの遠位移動を防止するように構成された遠位安全止めを備えること、
がある。
【0044】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、その拡張状態で血餅を横切って延びるように構成された拡張可能な血餅係合要素とを備える血餅回収デバイスを備え、この拡張可能な血餅係合要素は、第1の内腔構造と、第2の内腔構造とを備え、第1の内腔構造は、直径が前記第2の内腔構造よりも大きく、前記第1の内腔構造の遠位端は、この第1の内腔構造の軸に向かって収束する複数のストラットを備え、前記第2の内腔構造の遠位端は、前記第2の内腔構造の軸から離れて分かれる複数のストラットを備える。
【0045】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
前記第1の内腔構造および前記第2の内腔構造の遠位端は、三次元血餅断片移動障壁を形成するように構成されること、
前記第2の内腔構造の遠位端は、前記複数のストラットに対する接線が前記第2の内腔構造の軸と略平行である変曲領域をさらに備えること、
前記第2の内腔構造の遠位端は、前記複数のストラットが前記第2の内腔構造の軸に収束した収束領域をさらに備えるこ
と、
前記第2の内腔構造の遠位端は、前記複数のストラットが終端する第2の遠位接合部をさらに備えること、
前記第1の内腔構造の遠位端は、前記複数のストラットが終端する第1の遠位接合部をさらに備えること、
第1の遠位接合部は第2の遠位接合部の遠位にあること、および/または
第1の遠位接合部は、コネクタ要素によって第2の遠位接合部に接続されること、
がある。
【0046】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、折りたたまれた送達状態と、拡張された血餅係合状態とを備える血餅係合要素であって、その拡張状態で血餅を横切って延びるように構成された血餅係合要素とを備える血栓回収デバイスを備え、この血餅係合要素は、近位区画と、中間区画と、遠位区画とを備え、中間区画は内腔構造を備え、遠位区画は拡張領域を備える。
【0047】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
拡張領域の直径は、拡張された状態では、中間区画の直径よりも大きいこと、
血餅係合要素は、モノリシック構造において接続される複数のストラットを備えること、
拡張領域は、分岐の領域と、収束の領域とを備えること、
拡張領域は、分岐の領域と収束の領域との間に変曲点を備えること、
拡張領域は中間区画と一体化されること、
拡張領域は移行区画を備え、この移行区画は、中間区画への複数のストラット接続拡張領域を備えること、
拡張領域は先細の遠位端を備えること、
デバイスは、拡張領域の遠位端に接続された細長い部材を備えること、および/または
拡張された状態では、内腔構造は、血餅を通る流れ内腔を画定するように構成されること、
がある。
【0048】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、折りたたまれた送達状態と、拡張された血餅係合状態とを備える血餅係合要素であって、その拡張状態で血餅を横切って延びるように構成された血餅係合要素とを備える血餅回収デバイスを備え、この血餅係合要素は、近位区画と、中間区画と、遠位区画とを備え、近位区画および中間区画は内腔構造を備え、近位区画は中間区画よりも小さい直径を備える。
【0049】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には
近位区画の直径は中間区画の直径の60%未満であること、
近位区画の直径は中間区画の直径の50%未満であること、
近位区画の直径は中間区画の直径の40%未満であること、
近位区画の直径は中間区画の直径の30%未満であること、
近位区画の直径は中間区画の直径の25%未満であること、
近位区画の直径は中間区画の直径の20%未満であること、
近位区画は近位軸を備え、遠位区画は遠位軸を備え、拡張された状態では、近位軸は遠位軸に対してずらされること、
近位区画は第1のサブ構造を備え、中間区画は第2のサブ構造を備えること、
近位区画の内腔構造は、中間区画の内腔構造を通って延びること、
近位区画の内腔構造は、中間区画の内腔構造と相互接続すること、
血餅係合要素は、近位区画と中間区画との間に散在され近位区画と中間区画との間のスムーズな移行を提供するように構成された移行区画を備えること、および/または
遠位区画は、閉じられた遠位端内に構成された複数のストラットを備えるこ
と、
がある。
【0050】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、その拡張状態で血餅を横切って延びるように構成された拡張可能な血餅係合要素とを備える血餅回収デバイスを備え、拡張可能な血餅係合要素は、第1の内腔構造と、第2の内腔構造とを備え、第1の内腔構造は、直径が第2の内腔構造よりも大きく、第2の内腔構造の少なくとも一部分を取り囲み、第2の内腔構造は、実質的に第1の内腔構造の近位に延びる。
【0051】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
第1の内腔構造は、近位区画と、中間区画と、遠位区画とを備え、第2の内腔構造は、近位区画と、中間区画と、遠位区画とを備えること、
第2の内腔構造の中間区画は、実質的に第1の内腔構造の中間区画の近位に延びること、
第2の内腔構造の近位区画は、細長い部材の遠位端への接続を備えること、
第1の内腔構造の近位区画は、細長い部材の遠位端への接続を備えること、
第1の内腔構造の近位区画は、第2の内腔構造への接続を備えること、
第1の内腔構造の近位区画は、中間区画から、細長い部材を有する接続点まで延びるコネクタを備えること、および/または
この細長い部材を有する接続点は、第2の内腔構造の近位にあること、
がある。
【0052】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、その拡張状態で血餅を横切って延びるように構成された拡張可能な血餅係合要素とを備える、血栓を血管から除去するためのデバイスを備え、この拡張可能な血餅係合要素は、第1の内腔構造と、第2の内腔構造とを備え、第1の内腔構造は、直径が第2の内腔構造よりも大きく、第2の内腔構造の少なくとも一部分を取り囲み、第2の内腔構造は、その遠位端に血餅捕獲構造を備え、この血餅捕獲構造は、フレア状に広げられた区画を備える。
【0053】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
血餅捕獲構造は、複数のストラットと、フィルタに構成された少なくとも1つのファイバとを備えること、
拡張された状態では、血餅捕獲構造の少なくとも一部分の直径は血管の直径と同様であること、
拡張された状態では、血餅捕獲構造の少なくとも一部分の直径は第2の内腔構造の直径よりも大きいこと、および/または
拡張された状態では、血餅捕獲構造の少なくとも一部分の直径は第1の内腔構造の直径と同様であること、
がある。
【0054】
本発明の別の実施形態では、治療装置は、細長い部材と、第1の拡張可能部材と、第2の拡張可能部材とを備える血餅回収デバイスを備え、両方の拡張可能部材は、近位区画と、本体区画と、遠位区画とを有し、自由に拡張された状態の第1の拡張可能部材の本体区画は、直径が、自由に拡張された状態の第2の拡張可能部材の直径よりも大きく、第1の拡張可能部材の近位区画は第2の拡張可能部材の近位区画の遠位にある。
【0055】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
第1の拡張可能部材の遠位区画は血餅捕獲構造を備えること、
第2の拡張可能部材の遠位区画は血餅捕獲構造を備えること、
血餅捕獲構造は複数のストラットを備えること、
血餅捕獲構造は、複数のストラットと、フィルタに構成された少なくとも1つのファイバとを備えること、
第1の拡張可能部材の近位端は、細長いシャフトの遠位区画に接続されること、
第1の拡張可能部材の近位端は、第2の拡張可能部材に接続されること、
第2の拡張可能部材の近位端は、細長いシャフトの遠位区画に接続されること、
第1の拡張可能部材の遠位端は、第2の拡張可能部材の遠位端に接続されないこと、
第1の拡張可能部材の遠位端は、第2の拡張可能部材の遠位端に接続されること、
自由に拡張された状態の第2の拡張可能部材の本体区画は、自由に拡張された状態の第1の拡張可能部材の本体区画の直径の50%未満であること、
自由に拡張された状態の第2の拡張可能部材の本体区画は、自由に拡張された状態の第1の拡張可能部材の本体区画の直径の40%未満であること、
自由に拡張された状態の第2の拡張可能部材の本体区画は、自由に拡張された状態の第1の拡張可能部材の本体区画の直径の30%未満であること、および/または
自由に拡張された状態の第2の拡張可能部材の本体区画は、自由に拡張された状態の第1の拡張可能部材の本体区画の直径の20%未満であること、
がある。
【0056】
血管から血餅を回収するために血餅回収デバイスを使用する方法であって、前記血餅回収デバイスは、拡張可能本体と、細長いシャフトとを備え、前記方法は、マイクロカテーテルを通して標的部位にデバイスを送達する工程と、血餅の内部またはその下に少なくとも部分的にデバイスを展開するためにマイクロカテーテルを引き込む工程と、血餅の近位区画の内部の拡張可能部材の近位区画を、血管の直径よりも小さい直径まで拡張する工程と、血餅の遠位の拡張可能部材の遠位区画を、血管の直径に実質的に等しい直径まで拡張する工程と、デバイスおよび血餅を近位方向に抜去する工程と、この両方を患者から除去する工程とを含む。
【0057】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
拡張可能本体は、内側拡張可能部材と、外側拡張可能部材とを備えること、
内側拡張可能部材の拡張された直径は、外側拡張可能部材の拡張された直径よりも小さいこと、
内側拡張可能部材の少なくとも一部分は、外側拡張可能部材の少なくとも一部分の内部に延びること、
内側拡張可能部材の少なくとも一部分は、外側拡張可能部材の近位に延びること、
拡張可能本体の遠位区画は血餅捕獲構造を備えること、
血餅捕獲構造は内側拡張可能部材に接続されること、
血餅捕獲構造は外側拡張可能部材に接続されること、および/または
細長いシャフトは、使用に際して患者の外部に延びること、
がある。
【0058】
血管から閉塞血餅を除去するための血餅回収デバイスであって、細長いシャフトと、折りたたまれた送達形態と、拡張された展開形態とを有する細長い内側本体と、少なくとも部分的に細長い内側本体の上に重なる細長い外側本体であって、展開形態において内側本体の半径方向範囲よりも大きい半径方向範囲まで、細長い内側本体に対して拡張可能な細長い外側本体とを備え、細長い外側本体の近位端は、細長いシャフトの遠位端に取り外し可能に固定される、血餅回収デバイス。
【0059】
この実施形態のいくつかの任意選択の特徴には、
細長い外側本体の近位端は、2つ以上のストラットを備えること、
細長いシャフトの遠位端からの細長い外側本体の近位端の取り外しによって、近位ストラットが自由に離れて拡張すること、
細長い外側本体は、取り外し時に略円筒状形状もしくは略管状形状を採用するこ
と、
細長い外側本体は、終端接続において収束する複数のストラットを備える閉じられた遠位血餅捕獲構造をさらに備えること、
前記複数のストラットの遠位端は、終端接続から取り外し可能であること、
終端接続からの前記複数のストラットの取り外しによって、ストラットが自由に離れて拡張すること、
デバイスは取り外しシステムをさらに備えること、および/または
取り外しシステムは、プルワイヤと、生体吸収性のカラーもしくはファイバと、電解システムもしくは抵抗加熱システムとを備えること、
がある。
【0060】
本発明は、添付の図面を参照しながら、単に例として与えられる、本発明のいくつかの実施形態の以下の説明からより明確に理解されよう。