特許第6972230号(P6972230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6972230-開閉体装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972230
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】開閉体装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20211111BHJP
   E06B 9/02 20060101ALI20211111BHJP
   F25D 23/02 20060101ALI20211111BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   E06B9/17 P
   E06B9/02 H
   E06B9/17 W
   F25D23/02 301Z
   F25D23/06 303U
   F25D23/06 303Z
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-81857(P2020-81857)
(22)【出願日】2020年5月7日
(62)【分割の表示】特願2015-220507(P2015-220507)の分割
【原出願日】2015年11月10日
(65)【公開番号】特開2020-125682(P2020-125682A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2020年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】井上 晋一
(72)【発明者】
【氏名】清水 大雅
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−038841(JP,A)
【文献】 特開2005−320757(JP,A)
【文献】 実開平04−053998(JP,U)
【文献】 特開平09−145232(JP,A)
【文献】 実開昭61−036092(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/16
E06B 9/00
E06B 9/02
E06B 9/06−9/18
E06B 9/40−9/50
E06B 9/56−9/92
F25D 23/02
F25D 23/06−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の上縁部を挟む左右縁部に固定される一対の平行なガイドレールに幅方向両側の縁部が案内されて、前記開口部を開閉する開閉体と、
前記上縁部に沿って回転自在に配置され前記開閉体を巻き取り繰り出す巻取軸と、
前記上縁部の上方である上壁に前記巻取軸に沿って設けられる接触部と、
前記開口部を閉鎖した前記開閉体の繰り出し方向基端側で前記巻取軸に沿って前記開閉体に設けられ、前記開閉体から延出して前記接触部に接触する可撓性を有した隙間閉塞部材と、
前記接触部に前記隙間閉塞部材に沿って設けられ、少なくとも前記隙間閉塞部材を0℃以上に加熱する電熱線材と、
前記各ガイドレールに、その延在方向に沿い、前記開口部を閉鎖する前記開閉体に対し、前記接触部が設けられる前記上壁と同方向となる面に設けられる電熱線材と、
を具備し、
前記接触部は、前記隙間閉塞部材の接触する面側の外側面側と、該外側面と反対側に閉鎖された電熱線材収容空間を有し、
前記接触部に設けられる電熱線材は、前記隙間閉塞部材の接触する面側と反対側の面に固定され、前記電熱線材収容空間に配置されることを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
開口部の上縁部を挟む左右縁部に固定される一対の平行なガイドレールに幅方向両側の縁部が案内されて、前記開口部を開閉する開閉体と、
前記上縁部に沿って回転自在に配置され前記開閉体を巻き取り繰り出す巻取軸と、
前記上縁部の上方である上壁に前記巻取軸に沿って設けられる接触部と、
前記開口部を閉鎖した前記開閉体の繰り出し方向基端側で前記巻取軸に沿って前記開閉体に設けられ、前記開閉体から延出して前記接触部に接触する可撓性を有した隙間閉塞部材と、
前記接触部に前記隙間閉塞部材に沿って設けられ、少なくとも前記隙間閉塞部材を0℃以上に加熱する電熱線材と、
前記開口部の上縁部に沿うカーテン出入口部の縁部分であるまぐさに設けられる電熱線材と、
を具備し、
前記接触部は、前記隙間閉塞部材の接触する面側の外側面側と、該外側面と反対側に閉鎖された電熱線材収容空間を有し、
前記接触部に設けられる電熱線材は、前記隙間閉塞部材の接触する面側と反対側の面に固定され、前記電熱線材収容空間に配置され、
前記まぐさに設けられる電熱線材は、前記まぐさの延在方向に沿い、前記開口部を閉鎖する前記開閉体に対し、前記接触部が設けられる前記上壁と同方向となる面に設けられることを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項1記載の開閉体装置であって、
前記開口部の上縁部に沿うカーテン出入口部の縁部分であるまぐさに電熱線材が設けられることを特徴とする開閉体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の開閉体装置であって、
前記ガイドレールは、縦枠を介して固定されているとともに、該ガイドレールは、アウターレールと、該アウターレールの内側に取り付けられるインナーレールとからなり、該インナーレールに前記開閉体が案内され、
前記アウターレールには、その延在方向に沿い、電熱線材が設けられ、
該電熱線材は、前記アウターレールと前記縦枠、および前記アウターレールが固定される開口部の縁部とにより前後左右が囲まれた空間内に設けられていることを特徴とする開閉体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の開閉体装置であって、
前記縦枠には、その延在方向に沿い、電熱線材が設けられ、
該電熱線材は、前記縦枠と前記アウターレールとにより前後左右が囲まれた空間内に設けられていることを特徴とする開閉体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉体装置であって、
前記縦枠は、断熱壁を貫通する固定ボルトにより固定され、
前記縦枠に設けられる前記電熱線材は、前記固定ボルトの頭部に近接して配置されることを特徴とする開閉体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の開閉体装置であって、
前記接触部に設けられる電熱線材が配置される前記電熱線材収容空間は、閉鎖されており、該電熱線材は、前記接触部の面に接触する部分以外は、前記電熱線材収容空間の空気に接することを特徴とする開閉体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍倉庫や冷蔵倉庫に用いられる開閉体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば冷蔵庫や冷凍庫など(以下、「冷凍冷蔵倉庫」と称す)には、防熱扉の開放時、開口部からの冷気漏れを簡易的に抑制するようにした開閉体装置が設けられることがある。この冷凍冷蔵倉庫用の開閉体装置の開閉体は、シートやスクリーンなどで構成される。この開閉体装置は、一般的に防熱扉の庫内側に設けられる。開閉体は、冷凍冷蔵倉庫の庫内温度を保持するため、気密性の高いことが望ましい。一方で、開閉体装置は、その構造上、巻取軸から繰り出された開閉体が開口部を閉鎖した状態においても、開閉体と庫内上壁等の間、開閉体収納部の内部で隙間が生じる。その隙間を塞ぐ構成が幾つか提案されている(例えば特許文献1、2等参照)。
【0003】
特許文献1に開示の開閉装置は、空間を仕切る開閉体と、この開閉体の周辺に配置された固定部とを備えた開閉装置において、閉鎖状態とされた開閉体と固定部との間に、開閉体により仕切られた両側の空間同士を連通する隙間が形成される。この隙間の少なくとも一部を塞ぐために、開閉体または固定部の少なくとも一方に隙間閉塞手段を設けている。これにより、遮断性能や遮蔽性能の向上を図る。
【0004】
特許文献2に開示の開閉装置は、開閉体の閉鎖方向端部をスライドさせて閉鎖動作する開閉装置において、開閉体における開放方向側の部位に、一端側を開閉体に幅方向へわたって止着するとともに他端側を自由端部とした可撓性シート状の閉鎖体を備える。可撓性シート状の閉鎖体は、開閉体が略全閉される際に、自由端部を不動部位と一体的な受部に当接させる。閉鎖体は、中間部を撓ませるとともに、その撓んだ状態の中間部を、不動部位と一体的な接触部に開閉体幅方向へわたって接触させる。これにより、開閉体は、接触部との間で開閉体前後へ連通する隙間を塞ぐようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−38841号公報
【特許文献2】特開2006−46026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、冷凍冷蔵倉庫、特に冷凍倉庫では、庫内温度が−30℃程度になる。そのため、庫内外の温度差で開閉装置の各部においては、構成する素材の違い、すなわち断熱性素材ではない部分などもあって結露が生じることがあり、さらには凍結となる場合が有る。また、隙間閉塞手段や可撓性シート状の閉鎖体(以下、「隙間閉塞部材」と称す)は、それ自体は断熱性が低いので、庫内と外部とを仕切った際、外部側の面で結露が生じやすく、この隙間閉塞部材に接触する接触部との間で凍結が発生する。その結果、隙間閉塞部材が、固定部や接触部にくっついてしまう虞がある。また、隙間閉塞部材は、低温によって固くなると、撓むことができずに固定部や接触部に接近できず全く触れることができない状態や、固定部や接触部に均一に面で接触しなくなる場合があり、すなわち、隙間塞ぎ機能を発揮しなくなる虞がある。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、冷凍冷蔵倉庫などに設置される開閉体装置の隙間閉塞部材の隙間閉塞機能の低下を防ぎ、開閉体の気密性能を向上させることができる開閉体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉体装置11は、開口部23の上縁部を挟む左右縁部に固定される一対の平行なガイドレール17に幅方向両側の縁部43が案内されて、前記開口部23を開閉する開閉体19と、
前記上縁部に沿って回転自在に配置され前記開閉体19を巻き取り繰り出す巻取軸15と、
前記上縁部の上方である上壁31に前記巻取軸15に沿って設けられる接触部25と、
前記開口部23を閉鎖した前記開閉体19の繰り出し方向基端側で前記巻取軸15に沿って前記開閉体19に設けられ、該開閉体19から延出して前記接触部25に接触する可撓性を有した隙間閉塞部材27と、
前記接触部25に前記隙間閉塞部材27に沿って設けられ、少なくとも前記隙間閉塞部材27を0℃以上に加熱する電熱線材29と、
前記各ガイドレール17に、その延在方向に沿い、前記開口部23を閉鎖する前記開閉体19に対し、前記接触部25が設けられる前記上壁31と同方向となる面に設けられる電熱線材29と、
を具備し、
前記接触部25は、前記隙間閉塞部材27の接触する面側の外側面側と、該外側面と反対側に閉鎖された電熱線材収容空間49を有し、
前記接触部25に設けられる電熱線材29は、前記隙間閉塞部材27の接触する面側と反対側の面に固定され、前記電熱線材収容空間49に配置されることを特徴とする。
【0009】
この開閉体装置11では、開閉体19が開口部23を閉鎖した状態において、開閉体19の繰り出し方向基端側に設けられた隙間閉塞部材27が、巻取軸15に沿って接触部25に接触する。電熱線材29は、−30℃程度の低温下においても、隙間閉塞部材27が少なくとも0℃以上となるように接触部25及び隙間閉塞部材27を加熱する。これにより、隙間閉塞部材27は、低温によって硬化するのを避けることができる。つまり、隙間閉塞部材27は、例えば冷凍冷蔵倉庫の庫内が−30℃程度の低温下においても可撓性を有していることが期待でき、開閉体19の全幅方向に渡って接触部25に密着する。その結果、開閉体19と開口部23の上縁部との隙間が塞がれる。また、接触部25も、電熱線材29の加熱によって0℃以上となる。このため、隙間閉塞部材27は、接触部25に凍結によって固着してしまうのを防止でき、また、巻き取り時に破損することも防止される。また、開口部23の左右縁部に設けられるガイドレール17の電熱線材29によって、結露、凍結を防止し、開閉体19の移動に支障の生じることを防止している。
【0010】
また、本発明の請求項2記載の開閉体装置11は、開口部23の上縁部を挟む左右縁部に固定される一対の平行なガイドレール17に幅方向両側の縁部43が案内されて、前記開口部23を開閉する開閉体19と、
前記上縁部に沿って回転自在に配置され前記開閉体19を巻き取り繰り出す巻取軸15と、
前記上縁部の上方である上壁31に前記巻取軸15に沿って設けられる接触部25と、
前記開口部23を閉鎖した前記開閉体19の繰り出し方向基端側で前記巻取軸15に沿って前記開閉体19に設けられ、該開閉体19から延出して前記接触部25に接触する可撓性を有した隙間閉塞部材27と、
前記接触部25に前記隙間閉塞部材27に沿って設けられ、少なくとも前記隙間閉塞部材27を0℃以上に加熱する電熱線材29と、
前記開口部23の上縁部に沿うカーテン出入口部33の縁部分であるまぐさに設けられる電熱線材29と、
を具備し、
前記接触部25は、前記隙間閉塞部材27の接触する面側の外側面側と、該外側面と反対側に閉鎖された電熱線材収容空間49を有し、
前記接触部25に設けられる電熱線材29は、前記隙間閉塞部材27の接触する面側と反対側の面に固定され、前記電熱線材収容空間49に配置され、
前記まぐさに設けられる電熱線材29は、前記まぐさの延在方向に沿い、前記開口部23を閉鎖する前記開閉体19に対し、前記接触部25が設けられる前記上壁31と同方向となる面に設けられることを特徴とする。
【0011】
この開閉体装置11では、開閉体19が開口部23を閉鎖した状態において、開閉体19の繰り出し方向基端側に設けられた隙間閉塞部材27が、巻取軸15に沿って接触部25に接触する。電熱線材29は、−30℃程度の低温下においても、隙間閉塞部材27が少なくとも0℃以上となるように接触部25及び隙間閉塞部材27を加熱する。これにより、隙間閉塞部材27は、低温によって硬化するのを避けることができる。つまり、隙間閉塞部材27は、例えば冷凍冷蔵倉庫の庫内が−30℃程度の低温下においても可撓性を有していることが期待でき、開閉体19の全幅方向に渡って接触部25に密着する。その結果、開閉体19と開口部23の上縁部との隙間が塞がれる。また、接触部25も、電熱線材29の加熱によって0℃以上となる。このため、隙間閉塞部材27は、接触部25に凍結によって固着してしまうのを防止でき、また、巻き取り時に破損することも防止される。また、この開閉体装置11では、まぐさに設けられる電熱線材29は、カーテン出入口部33を暖める。これにより、まぐさの電熱線材29は、カーテン出入口部分における結露、結露後の凍結を防ぎ、開閉体19の開閉に支障の生じることを防止している。
【0012】
また、本発明の請求項3記載の開閉体装置11は、請求項1記載の開閉体装置であって、
前記開口部23の上縁部に沿うカーテン出入口部33の縁部分であるまぐさに電熱線材29が設けられることを特徴としている。
この開閉体装置11によれば、開閉体19が開口部23を閉鎖した状態において、開閉体19の繰り出し方向基端側に設けられた隙間閉塞部材27が、巻取軸15に沿って接触部25に接触する。電熱線材29は、−30℃程度の低温下においても、隙間閉塞部材27が少なくとも0℃以上となるように接触部25及び隙間閉塞部材27を加熱する。これにより、隙間閉塞部材27は、低温によって硬化するのを避けることができる。つまり、隙間閉塞部材27は、例えば冷凍冷蔵倉庫の庫内が−30℃程度の低温下においても可撓性を有していることが期待でき、開閉体19の全幅方向に渡って接触部25に密着する。その結果、開閉体19と開口部23の上縁部との隙間が塞がれる。また、接触部25も、電熱線材29の加熱によって0℃以上となる。このため、隙間閉塞部材27は、接触部25に凍結によって固着してしまうのを防止でき、また、巻き取り時に破損することも防止される。また、開口部23の左右縁部に設けられるガイドレール17の電熱線材29によって、結露、凍結を防止し、開閉体19の移動に支障の生じることを防止している。さらに、左右のガイドレール17に加え、まぐさにおいても電熱線材29によって暖めることができ、このまぐさに設けられる電熱線材29は、カーテン出入口部33を暖める。これにより、まぐさの電熱線材29は、カーテン出入口部分における結露、結露後の凍結を防ぎ、開閉体19の開閉に支障の生じることを防止している。
【0013】
さらに、本発明の請求項4記載の開閉体装置11は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の開閉体装置であって、
前記ガイドレール17は、縦枠53を介して固定されているとともに、該ガイドレール17は、アウターレール37と、該アウターレール37の内側に取り付けられるインナーレール39とからなり、該インナーレール39に前記開閉体19が案内され、
前記アウターレール37には、その延在方向に沿い、電熱線材29が設けられ、
該電熱線材29は、前記アウターレール37と前記縦枠53、および前記アウターレール37が固定される開口部23の縁部とにより前後左右が囲まれた空間内に設けられていることを特徴とする。
また、本発明の請求項5記載の開閉体装置11は、請求項4記載の開閉体装置であって、前記縦枠53には、その延在方向に沿い、電熱線材29が設けられ、
該電熱線材29は、前記縦枠53と前記アウターレール37とにより前後左右が囲まれた空間内に設けられていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項6記載の開閉体装置11は、請求項5に記載の開閉体装置であって、
前記縦枠53は、断熱壁35を貫通する固定ボルト59により固定され、
前記縦枠53に設けられる前記電熱線材29は、前記固定ボルト59の頭部に近接して配置されることを特徴とする。
本発明の請求項7記載の開閉体装置11は、請求項1〜6のいずれか1つに記載の開閉体装置であって、
前記接触部25に設けられる電熱線材29が配置される前記電熱線材収容空間49は、閉鎖されており、該電熱線材29は、前記接触部25の面に接触する部分以外は、前記電熱線材収容空間49の空気に接することを特徴とする。
【0015】
本発明の開閉体装置11は、前記接触部25は、前記隙間閉塞部材27の接触する面側と反対側に閉鎖された電熱線材収容空間49を有し、該電熱線材収容空間49内に前記電熱線材29が固定されて前記上縁部に固定されていることで、この開閉体装置11では、接触部25が、隙間閉塞部材27の接触する面側と反対側に、電熱線材収容空間49を有しており、電熱線材29は、この電熱線材収容空間49内に設けられることで、例えば冷凍冷蔵倉庫21の庫内雰囲気に直接曝されて配置される場合よりも、発熱効率が高まり、接触部25の加熱効率を高めることができる。
【0016】
なお、本発明の開閉体装置11は、前記接触部25は、金属材からなり、前記上縁部に沿って少なくとも前記開閉体19の幅方向の全長を有し、前記隙間閉塞部材27の接触する板部を介して前記電熱線材29が固定されることとしてもよく、この開閉体装置11では、接触部25が金属材からなることで、良好な熱伝導性によって、電熱線材29からの熱が接触部25の長手方向全体に均一に伝わることとなり、接触部25は、開閉体19の幅方向の全長を有するので、隙間閉塞部材27の幅方向の全てを暖めることができ、安定的に隙間閉塞部材の凍結を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る開閉体装置によれば、開閉体が開口部を閉鎖した状態において、隙間閉塞部材が少なくとも0℃以上となるように電熱線材で接触部及び隙間閉塞部材を加熱するので、隙間閉塞部材は、低温によって硬化するのを避けることができ、つまり、隙間閉塞部材は、例えば冷凍冷蔵倉庫の庫内が−30℃程度の低温下においても可撓性を有していることが期待でき、開閉体の全幅方向に渡って接触部に密着することとなって、その結果、開閉体と開口部の上縁部との隙間を閉塞させることが可能となる。また、接触部も、電熱線材の加熱によって0℃以上となり、このため、隙間閉塞部材は、接触部に凍結によって固着してしまうのを防止でき、また、巻き取り時に破損することも防止され、隙間閉塞部材の隙間閉塞機能の低下を防ぎ、開閉体の気密性能を向上させることができる。また、開口部の左右縁部に設けられるガイドレールの電熱線材によって、結露、凍結を防止し、開閉体の移動に支障の生じることを防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る開閉体装置によれば、開閉体が開口部を閉鎖した状態において、隙間閉塞部材が少なくとも0℃以上となるように電熱線材で接触部及び隙間閉塞部材を加熱するので、隙間閉塞部材は、低温によって硬化するのを避けることができ、つまり、隙間閉塞部材は、例えば冷凍冷蔵倉庫の庫内が−30℃程度の低温下においても可撓性を有していることが期待でき、開閉体の全幅方向に渡って接触部に密着することとなって、その結果、開閉体と開口部の上縁部との隙間を閉塞させることが可能となる。また、接触部も、電熱線材の加熱によって0℃以上となり、このため、隙間閉塞部材は、接触部に凍結によって固着してしまうのを防止でき、また、巻き取り時に破損することも防止され、隙間閉塞部材の隙間閉塞機能の低下を防ぎ、開閉体の気密性能を向上させることができる。また、この開閉体装置では、まぐさに設けられる電熱線材がカーテン出入口部を暖めることとなり、これにより、まぐさの電熱線材は、カーテン出入口部分における結露、結露後の凍結を防ぎ、開閉体の開閉に支障の生じることを防止することができる。
【0019】
さらに、本発明に係る開閉体装置によれば、開口部の左右縁部に設けられるガイドレールの電熱線材によって、結露、凍結を防止し、開閉体の移動に支障の生じることを防止することができ、また、これら左右のガイドレールに加え、まぐさにおいても電熱線材によって暖めることができ、このまぐさに設けられる電熱線材は、カーテン出入口部を暖めることとなり、これにより、まぐさの電熱線材は、カーテン出入口部分における結露、結露後の凍結を防ぎ、開閉体の開閉に支障の生じることを防止することができる。
【0020】
また、本発明に係る開閉体装置によれば、接触部が、隙間閉塞部材の接触する面側と反対側に、電熱線材収容空間を有しており、電熱線材は、この電熱線材収容空間内に設けられることで、例えば冷凍冷蔵倉庫の庫内雰囲気に直接曝されて配置される場合よりも、発熱効率が高まり、接触部の加熱効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る開閉体装置の概略を示す構成図である。
図2図1に示したシャッターカーテン収納部の巻取軸に直交する面による断面図である。
図3図1に示した一方のガイドレールとその近傍に設けられた諸部材の要部拡大平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る開閉体装置11の概略を示す構成図、図2図1に示したシャッターカーテン収納部13の巻取軸15に直交する面による断面図、図3図1に示した一方のガイドレール17とその近傍に設けられた諸部材の要部拡大平断面図である。
本実施形態に係る開閉体装置11は、例えば冷凍冷蔵倉庫21や寒冷地に設置される倉庫や建物に設けられ、開閉体として例えばシート状のシャッターカーテン19を用いて建物開口や冷凍冷蔵倉庫21の出入口である開口部23などを開閉する。なお、開閉体は、この他、スラットカーテンやスクリーンなどであってもよい。開閉体装置11は、ガイドレール17と、シャッターカーテン19と、巻取軸15と、接触部25と、隙間閉塞部材としてのフラップ27と、電熱線材29と、を主要な構成として有している。
【0023】
開口部23の上縁部である上壁31には、シャッターカーテン収納部13が取り付けられる。シャッターカーテン収納部13には、電動開閉機(図示略)により回転される巻取軸15が収容される。巻取軸15は、上壁31に沿い、例えば、まぐさ(図示略)の上方に沿って回転自在に配置されシャッターカーテン19を巻き取り、或いは繰り出す。シャッターカーテン収納部13は、下面にカーテン出入口部33(図2参照)を有する。開口部23には、カーテン出入口部33を挟んで、一対のガイドレール17が左右縁部にそれぞれ固定される。
【0024】
ガイドレール17は、冷凍冷蔵倉庫21に形成された開口部23の上縁部を挟む左右の断熱壁35に、一対のものが平行に固定される。ガイドレール17は、開口部23を挟んで離間して、上下方向(図1の上下方向)に垂直となって延在する。
【0025】
本実施形態において、ガイドレール17は、図3に示すアウターレール37と、インナーレール39と、からなる。インナーレール39は、アウターレール37に取り付けられる。アウターレール37は、後述の三方枠によって断熱壁35に固定される。
【0026】
それぞれのインナーレール39は、延在方向に直交する断面形状が相互に向き合うガイドレール溝41(図3参照)を有して断面略コ字状に形成される。ガイドレール溝41は、奥拡がりの蟻溝状に形成される。ガイドレール溝41の幅は、シャッターカーテン19の厚みよりも若干広く形成される。シャッターカーテン19は、ガイドレール溝41に縁部43を挿入し、ガイドレール溝41の奥側空間45に後述の抜け止め部材47を配置する。これにより、シャッターカーテン19は、左右両側の縁部43が、各ガイドレール17によって上下方向に移動可能に保持される。
【0027】
シャッターカーテン19は、巻取軸15に巻装され、両端の縁部43がガイドレール溝41に配置されることで一対のガイドレール17に開閉移動が案内されて開口部23を開閉する。
【0028】
シャッターカーテン19は、布製のスクリーン、或いは塩化ビニールやウレタン等の軟性樹脂シート、さらには布スクリーンを樹脂やゴムまたはゴム状物質で被覆して形成されたシート材等を用いることができる。また、防火や防煙等の防災目的に使用する場合には、例えば、シリカクロスまたはガラスクロス、或いはこれらに難燃,耐火被覆材としての耐火塗料や防水被覆材を吹き付け若しくは塗布しまたは含浸させたもの等を好適に用いることができる。さらに、シャッターカーテン19は、ワイヤーメッシュ等の補強用の金属或いは樹脂線材等と組み合わされたものであってもよい。また、シャッターカーテン19は、一般的には不透明なものが多く用いられるが、採光性や透視性を備えさせるために、透光性を有する窓を適宜設けたり、透光性を有する材質で形成したりするものでもよい。
【0029】
抜け止め部材47は、シャッターカーテン19の幅方向両側の縁部43に設けられる。本実施形態において、抜け止め部材47は、シャッターカーテン19の縁部43に、溶着や縫着、接着等によって固定される。なお、抜け止め部材47は、縁部43に沿って固定された樹脂材料からなる帯状の翼状部(図示略)の端に形成されてもよい。抜け止め部材47は、縁部43の延在方向に沿って連続する例えば係合膨出条として形成される。この係合膨出条は、平断面視で円形状の膨出部を有する所謂ビード形状とされる。係合膨出条47は、ガイドレール17の上端からガイドレール溝41に挿入されることで、ガイドレール17に抜け止めされて係合する。これにより、係合膨出条47は、シャッターカーテン19の両側の縁部43を、ガイドレール17に移動自在に支持する。なお、抜け止め部材47はシャッターカーテン19の両側の縁部43を、ガイドレール溝41からの抜け出しを防止するためであるが、ある程度強い圧力がシャッターカーテン19に掛かった場合、シャッターカーテン19の破損等を避けるために、抜け止め部材47がガイドレール溝41から抜け出せるように構成してもよい。
【0030】
抜け止め部材47は、上記係合膨出条の他、ファスナーの務歯列を用いることができる。この務歯列は、複数の係合子、或いは螺旋形状の線状係合体によって構成することができる。務歯列は、ガイドレール溝41の幅よりも大きく形成される。シャッターカーテン19は、ガイドレール溝41の奥側空間45に、左右両側の縁部43の務歯列が配置されることで、ガイドレール17からの抜けが規制される。シャッターカーテン19は、務歯列を採用することにより、厚みの薄いシャッターカーテン19の縁部43に、高強度の抜け止め部材を容易且つ安価に連続形成できる。
【0031】
この他、抜け止め部材47は、シャッターカーテン19の縁部43に袋状の挿入部を形成し、この挿入部に、縁部43に沿って抜止めワイヤを挿入して構成することができる。また、抜け止め部材47は、縁部43の表裏に固定されるボルトナットであってもよい。
【0032】
フラップ27は、可撓性を有する合成樹脂製シート材や、シャッターカーテン19の上記した素材と同様の素材からなる。フラップ27は、開口部23を閉鎖したシャッターカーテン19の繰り出し方向基端側、すなわち巻取軸15と連結している端部側で、巻取軸15に沿ってシャッターカーテン19に設けられる。フラップ27は、シャッターカーテン19から袋状に膨出する。フラップ27は、帯状に形成されるシート材の短幅方向を撓ませて、これをシャッターカーテン19の開閉方向とし、シャッターカーテン19の幅方向を長手方向として、その幅方向に沿って長い袋状に形成され、シャッターカーテン19の幅方向に垂直な断面形状が開放するC字形状、或いは、Ω形状となるように、長尺な両端縁が、シャッターカーテン19に幅方向に渡って固定され、袋状となる。フラップ27は、シャッターカーテン19が開口部23を閉鎖した状態で、シャッターカーテン19の表面に対してC字状或いはΩ字状に膨出して接触部25に当接し、シャッターカーテン19と上壁31との隙間をシャッターカーテン収納部13内にて塞ぐ。なお、フラップ27は少なくとも0℃以上では可撓性を有している素材で構成されているが、たとえ可撓性を有するまでには至らずともシャッターカーテン19と上壁31との隙間を塞ぐ性能を有していればよい。フラップ27は、この隙間を塞ぐことにより、冷気漏れ、空気の流れ、昆虫進入などを防ぐ。
【0033】
なお、フラップ27は、シャッターカーテン19に長尺な両端縁の一方が固定され、他方が自由端となるもの、すなわち特許文献2に開示されるような構成であってもよい。或いは、フラップ27は、ヒレ状に形成されシャッターカーテン19に対して片持ち状に延設されて、延出する先端縁側が接触部25に当接する構成としても良い。
【0034】
接触部25は、上壁31の上方に巻取軸15に沿って設けられる。本実施形態において、接触部25は、略C形チャンネル材よりなり、このチャンネル材の開口側を上壁31に向け、シャッターカーテン収納部13の内部における上壁31側内隅部近傍に固定されている。本実施形態において、接触部25は、略C形チャンネル材を使用するが、板状のもの、例えばL字形チャンネル材や、或いは角パイプなどの中空な部材であってもよく、フラップ27が接触する面を有する板部を備えた形状であればよい。さらに、接触部25は、シャッターカーテン収納部13内の一側面であってもよい。この場合、フラップ27は、シャッターカーテン収納部13内の一側面(接触部25)に直接当接して隙間を塞ぐことになる。
【0035】
接触部25は、金属材からなる。接触部25は、巻取軸15に沿って少なくともシャッターカーテン19の幅方向の全長を有する。接触部25は、例えばアルミの押出成形材によって作ることができる。この場合、接触部25には、電熱線材29の保持溝(図示略)を、押出成形材の断面形状の一部分として容易且つ高精度に設けることができる。
【0036】
接触部25は、フラップ27の接触する面側と反対側に閉鎖された電熱線材収容空間49を有して上壁31に固定されている。本実施形態では、接触部25が上記の略C形チャンネル材であるので、板状部分の外側面がフラップ27と接触し、内方が電熱線材収容空間49となる。
【0037】
電熱線材29は、接触部25に、フラップ27に沿って設けられる。本実施形態において、フラップ27は、シャッターカーテン19の幅方向の全長に渡って設けられる。従って、接触部25及び電熱線材29は、フラップ27と同様にシャッターカーテン19の幅方向の全長に渡るようにシャッターカーテン収納部13内に設けられる。この電熱線材29は、少なくともフラップ27を0℃以上に加熱する。ここで、フラップ27を0℃以上に加熱する意義としては、フラップ27が接触部25に、特に結露等の水分が氷となって凍結状態になるのを妨げるために、または凍結しているのを溶解するためであり、結露、凍結を防止する温度にするためである。
【0038】
電熱線材29は、接触部25において、フラップ27の接触する面側と反対側の面に固定される。つまり、電熱線材収容空間49に露出して配置される。この電熱線材収容空間49は、略C形チャンネル材の両端が塞がれることで、密閉空間とすることができる。すなわち、冷凍冷蔵倉庫21内の冷気が侵入するのを防止するように構成できる。
【0039】
電熱線材29としては、例えば自己温度制御型のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを用いることができる。PTCヒータは、温度が上がるにつれ、電気抵抗値が正の係数をもって変化する。これにより、センサーなどの外部的な制御器を必要とせず、自ら適温を制御可能とする。電熱線材29は、フィルムヒータ、リボンヒータの形態として用いることができる。
【0040】
また、開閉体装置11は、開口部23に、三方枠51を有する。三方枠51は、左右一対の縦枠53と、この一対の縦枠53に挟まれる上部の横枠55と、からなる。縦枠53は、開口部23の左右の断熱壁35に固定されて、上記のガイドレール17がそれぞれ取り付けられる。横枠55は、上記したまぐさと兼ねてもよく、上壁31の下縁、或いはカーテン出入口部33の縁部分に取り付けられる。これら一対の縦枠53と、横枠55とは、門型となって連結される(図1参照)。
【0041】
断熱壁35には、開口部23の縁に沿って木材等からなる化粧枠57が門型となって取り付けられる。三方枠51は、この化粧枠57及び断熱壁35を貫通する固定ボルト59によって断熱壁35に固定される。
【0042】
三方枠51を構成する縦枠53、横枠55のそれぞれには、上記と同様の電熱線材29がそれぞれの部材の延在方向に沿って設けられる。縦枠53には、ガイドレール17が固定される。ガイドレール17は、上記のように、インナーレール39とアウターレール37とからなる。電熱線材29は、図3に示すように、アウターレール37と、縦枠53とに、2本を設けることができる。つまり、左右のガイドレール17及び縦枠53で、合計4本の電熱線材29を設置することができる。
【0043】
縦枠53に設けられる電熱線材29は、固定ボルト59の頭部に近接して配置される。これにより、電熱線材29は、固定ボルト59が低温となって、断熱壁35の外側で生じる結露や凍結を防止している。アウターレール37に設けられる電熱線材29は、防熱扉61が開放された際、外気温度に近づくシャッターカーテン外側でのアウターレール37の結露、凍結を防止する。また、このアウターレール37に設けられた電熱線材29は、防熱扉61の閉鎖時におけるインナーレール39の凍結を防止し、シャッターカーテン19の移動に支障の生じることを防止している。さらに、図2に示すように、横枠55に設けられる電熱線材29は、カーテン出入口部33を暖める。これにより、横枠55の電熱線材29は、カーテン出入口部分における結露、結露後の凍結を防ぎ、シャッターカーテン19の開閉に支障の生じることを防止している。すなわち、電熱線材29は、固定ボルト59、インナーレール39、カーテン出入口部33等の接触や近接する部材、部位を0℃以上に加熱できる。
【0044】
これら電熱線材29は、冷凍冷蔵倉庫21の内部でジャンクションボックス63まで配線された後、さらに外部の制御盤65まで配線され、商用電源等の電源と接続される。
【0045】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る開閉体装置11では、シャッターカーテン19が開口部23を閉鎖した状態において、シャッターカーテン19の繰り出し方向基端側に設けられたフラップ27が、巻取軸15に沿って接触部25に接触する。フラップ27は、シャッターカーテン19から袋状に膨出していることから、接触部25に面で接触する。その結果、シャッターカーテン19と上壁31との隙間は、巻取軸15の全長に渡って、フラップ27と接触部25とによって塞がれる。
【0046】
フラップ27は、合成樹脂材などからなることにより、可撓性を有する。フラップ27の接触している接触部25には、電熱線材29が設けられる。電熱線材29は、−30℃程度の低温下において、フラップ27が少なくとも0℃以上となるように接触部25及びフラップ27を加熱する。
【0047】
開閉体装置11は、内部が例えば−30℃程度の低温で使用される冷凍倉庫などに配置される場合、防熱扉61の内側に配置されて、閉鎖状態、すなわち、巻取軸15から繰り出された状態の時間が多い。すなわち、閉鎖しているままであることから、フラップ27が低温になり硬化する。また、凍結する場合もある。この凍結が長時間続き、或いは結露状態から凍結の固まりが成長して大きくなると、除去が難しくなる。しかし、電熱線材29によって、結露、凍結が起きない温度となることにより、フラップ27は、柔軟性を保ち、隙間閉塞の効果が失われない。つまり、フラップ27は、−30℃程度の低温下においても可撓性が損なわれず、シャッターカーテン19の全幅方向に渡って可撓性で接触部25に密着する。その結果、シャッターカーテン19と上壁31との隙間が塞がれる。
【0048】
また、接触部25も、電熱線材29の加熱によって0℃以上となる。このため、フラップ27は、接触部25に凍結によって固着してしまうのを防止でき、シャッターカーテン19の巻き取り時に破損することが防止される。また、フラップ27が、可撓性を保つことで、シャッターカーテン19の巻き取り時に、容易に撓むこととなり、シャッターカーテン19の巻き取りの妨げを防止できる。
【0049】
また、開閉体装置11では、接触部25が金属材からなることで、良好な熱伝導性によって、電熱線材29からの熱が接触部25の全体に均一に伝わる。接触部25は、シャッターカーテン19の幅方向の全長を有するので、フラップ27の幅方向の全てを暖めることができる。
【0050】
電熱線材29は、板状の接触部25におけるフラップ27の接触する面側と反対側に固定される。電熱線材29からの熱は、一旦、接触部25に伝わった後、熱伝導によって、反対側の面である外側面よりフラップ27に伝わる。このため、接触部25は、金属の板厚分の体積が熱容量体、所謂ヒートシンクとして働き、均一な表面温度となって熱がフラップ27へ伝わる。その結果、安定的にフラップ27の凍結を防止し、すなわち保温状態とすることができる。
【0051】
また、開閉体装置11では、接触部25が、フラップ27の接触する面側と反対側に、電熱線材収容空間49を有する。この電熱線材収容空間49は、閉鎖されている。つまり、電熱線材29は、閉鎖された電熱線材収容空間49に配置される。電熱線材29は、接触部25の面に接触する部分以外は、電熱線材収容空間49の空気に接する。
【0052】
電熱線材29は、接触部25との接触部分以外が、閉鎖空間の空気によって断熱され、大きな対流熱抵抗を有する。従って、電熱線材29は、冷凍冷蔵倉庫21の庫内雰囲気に直接曝されて配置される場合よりも、発熱効率が高まる。電熱線材29からの熱は、接触部25へ熱伝導によって伝わり、熱通過する。これにより、電熱線材29は、庫内雰囲気に直接曝される場合よりも、少ない消費電力で大きな温度勾配を有し、フラップ27へ熱を効率的に伝えることが可能となる。その結果、接触部25の加熱効率を高めることができる。
【0053】
従って、本実施形態に係る開閉体装置11によれば、電熱線材29を備えた接触部25を設けることによって、これに接触するフラップ27の凍結を防ぎ、これにより、フラップ27の隙間閉塞機能の低下を防ぎ、シャッターカーテン19の気密性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0054】
11…開閉体装置
15…巻取軸
17…ガイドレール
19…開閉体(シャッターカーテン)
21…冷凍冷蔵倉庫
23…開口部
25…接触部
27…隙間閉塞部材(フラップ)
29…電熱線材
43…縁部
49…電熱線材収容空間
図1
図2
図3