(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の配列パターンに対応した通孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に前記半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
前記通孔(12)を有するマスク本体(10)と、前記マスク本体(10)の前記ワーク(3)との対向面側に設けられた突起部(15)とを備え、
前記突起部(15)は、エポキシ樹脂と、エポキシアクリレート化合物とが含有されたもので形成されていることを特徴とする配列用マスク。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図3に、本発明の第1実施形態に係る半田ボールの配列用マスクを示す。この配列用マスク(以下、単にマスクと記す)1は、半田バンプ形成における半田ボール2の配列工程において使用に供されるものである。
図2において、符号3は、マスク1による半田ボール2の搭載対象となるワークを示す。係るワーク3としては、ウエハ・フレキシブル基板・リジッド基板があり、本実施形態では、ガラスエポキシ基板のベース4に複数個の半導体チップ5を搭載し、ワイヤボンドで配線した後トランスファモールド封止してなるものであり、半導体チップ5を囲むように、ワーク3の上面には、入出力端子である電極6が所定のパターンで形成されている。なお、ワーク3は、バンプの形成後に個片に切断され、個々のLSIチップとされる。
【0012】
図1に示すように、マスク1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、銅、鉄、ステンレス、その他の金属を素材として形成されたマスク本体10を備え、このマスク本体10にはこれを囲むように枠体11を装着することができる。マスク本体10の盤面中央部には、各半導体チップ5や電極6に対応して、半田ボール2を投入するための多数独立の通孔12からなるパターン領域が多数形成されている。
図2に示すように、通孔12は、ワーク3上における各半導体チップ5の電極6の配列位置に対応した配列パターンに対応している。半田ボール2は、50μm以下の半径寸法を有するものであり、これに合わせて各通孔12は、当該ボール2の半径寸法よりも僅かに大きな内径寸法を有する平面視で円形状に形成されている。
【0013】
枠体11は、アルミ、42アロイ、インバー材、SUS430等の材質からなる平板体であり、その盤面中央に、マスク本体10に対応する一つの四角形状の開口を備えており、本実施形態では、一枚のマスク本体10を一枚の枠体11で保持している。枠体11は、マスク本体10よりも肉厚の成形品であり、マスク本体10の外周縁と不離一体的に接合される。ここでは枠体11の厚み寸法は、例えば0.05〜1.0mm程度とし、本実施形態においては0.5mmに設定した。また、マスク本体10の厚みは、好ましくは10μm以上とし、本実施形態では200μmに設定した。
【0014】
マスク本体10(マスク1)の下面側、すなわちワーク3との対向面側には、下方向に突出状の突起部15を設けられている。この突起部15は、アルカリ現像型の感光性樹脂で形成され、硬度が3以上である。詳しくは、アクリル樹脂(55〜65%)を主成分とし、その他の主な含有成分は、硫酸バリウム(15〜25%)、二酸化珪素(15〜25%)である。この感光性樹脂は、硬度が5〜6H(JIS規格の引っかき硬度試験より)あるので、突起部15の外形寸法を小さくしても、十分な強度を保ち、衝撃に強い突起部15とすることができる。また、この感光性樹脂は、密着性にも優れているので、突起部15の外形寸法(例えば、幅寸法)を5mm以下とすることができる。さらに、この感光性樹脂は、溶剤(洗浄)にも強く、耐溶剤性を有するものであり、具体的には、ニッケル−コバルト合金からなるマスク本体10に、係る感光性樹脂で突起部15が形成されたものであって、該突起部15の外形寸法(例えば、幅寸法)を0.2〜3.0mm(0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmの計7点)としたマスクを用意し、各々のマスクを洗浄剤(化研テック株式会社製)に6〜24時間(6時間、12時間、24時間の計3回)浸漬させても、突起部15の剥離がなかったことが確認できた。
【0015】
ここで、突起部15の配置位置としては、
図2及び
図3に示すように、パターン領域間(パターン領域の外周)にこのパターン領域を囲むように突起部15(桟15a)を設けることができる。また、
図4に示すように、パターン領域内の通孔12が形成されていない位置に突起部15(支柱15b)を設けることができる。なお、隣り合うパターン領域間(パターン領域の外周)にパターン領域を囲むようにして設ける突起部15の形状としては、
図3のような連続的に設けたものに限らず、例えば、
図5に示すように、断片的に設けたもの(支柱15c)であっても良く、隣り合うパターン領域間(パターン領域の外周)全体を凸部形状としたものでも良い。係る突起部15を設けていれば、配列作業時において、ワーク3の上面に当接してマスク本体10とワーク3との対向間隙を確保できる。各々の突起部15(桟15a、支柱15b、支柱15c)においては、
図2および
図4示すように、マスク本体10の下面から突起部15の先端に向かって先窄まるように形成(例えば、断面視で台形状や山型状など)されていることが好ましい。
【0016】
この他にも、
図6に示すように、突起部15の根元寸法がマスク本体10の下面に向かうにつれて大きくなる末拡がり形状(突起部15の根元から先端に向かうにつれて窄まっていく先窄まり形状)であって、更には、側面が円弧状に形成されたものであっても良い。これにより、突起部15の特に根元部15”に応力が集中することにより生じる破損を防止できるとともに、マスク1をワーク3に載置した際に、仮に突起部15にフラックス17が付着したとしても、突起部15の側面が円弧となっていることにより、フラックス17の通孔12への回り込みを防止できるので、通孔12にフラックス17が付着することによる半田ボール2の搭載不良を招くおそれをなくすことができる。なお、突起部15の根元部15”終端位置については、マスク本体10の下面の通孔12付近に位置していることが好ましく、マスク本体下面10aと通孔内面12aとの交点に位置する形態、マスク本体下面10a上の通孔12から間隙をとったところに位置する形態が考えられる。また、突起部15の側面は、凸状円弧でも凹状円弧でもどちらでも良く、凸状円弧とすれば強度の良好となり、凹状円弧とすれば突起部15側面のどの位置においてもフラックス17が付着された電極6に近づく部分がない、つまり、フラックス17が付着された電極6から一定距離を保った状態となり、突起部15へのフラックス17の付着を低減できる。さらに、突起部15の先端部15’及び/又は根元部15”を円弧状(アール状)に形成しても良く、これにより、突起部15にフラックス17が付着するおそれが可及的に減少する。
【0017】
本マスク1においては、突起部15の高さとマスク本体10の厚みとの比が2対1以上とするのが好ましく、上記マスク本体10の厚さが10〜300μmの範囲内においてこれを満足することがより好ましい。また、突起部15は、アスペクト比(突起部15における高さと先端寸法との比)が大きいものが好ましく、本実施形態ではアスペクト比3としている。また、突起部15の根元寸法L2は、突起部15の先端寸法L1の1.0〜1.5倍とするのが好ましく、本実施形態では1.2倍に設定している。さらに、突起部15の先端寸法L1と根元寸法L2と通孔12間の幅寸法L3との比が1対1.2対1.4以上であることが好ましい。さらには、パターン領域から突起部15(桟15a、支柱15c)の根元までの寸法L4は、0.01mm以上に設定することが好ましく、本実施形態では0.02mmとしている。係る条件により、フラックスの付着を可及的に防ぐことができる。この時、上述した突起部15の先端寸法L1と根元寸法L2との比の関係及びパターン領域から突起部15の根元までの寸法L4の関係を満足することにより、突起部15の破損防止及びフラックスの付着防止を両立させることができる。さらには、パターン領域から突起部15(桟15a、支柱15c)の先端中心までの寸法をL5とした時、L1とL2とL5との比が1対3対2.5以上とすることにより、上記両立効果を最大限に活かすことができる。
【0018】
本マスク1は、マスク本体10と突起部15とが別部材で一体的に形成されているが、マスク本体10を磁性体で形成し、突起部15を非磁性体で形成すれば、磁石の磁力吸引によってワーク3にマスク1を固定する場合に、マスク1に対して磁力を均一に働かせることができるので、マスク1が不用意に撓むおそれがなく、ワークに良好に密着搭載させることができ、電極6に対する通孔12の位置合わせ精度を向上することができる。また、マスク1を取り外す際には、ワーク3と突起部15が直接磁力結合しないので、版離れを良好にすることができる。係るマスク1は、例えば、マスク本体10を磁性体金属(ニッケル、鉄等)によって形成することで実現できる。
【0019】
また、突起部15を上記感光性樹脂で形成することにより、突起部15としての強度があり、マスク本体10との密着力が強く、溶剤に対する耐性が高いという効果に加え、突起部15がワーク3に当接した際に、ワーク3が損傷するおそれが少なくなる。なお、係る効果を顕著に奏するためには、マスク1において、突起部15だけでなく、ワーク3と当接する部分の全てを樹脂で形成することが好ましい。
【0020】
また、本マスク1においては、
図2、
図4、
図6に示すように、マスク本体10下面、通孔12内面にコーティング層50を設けることができる。コーティング層50としては、撥水性を有するものが好ましく、その材質としては、フッ素樹脂、シリコン樹脂、乳剤などがある。係るコーティング層50を設けることにより、マスク本体10下面や通孔12内面にフラックスが付着してもフラックスを弾くことができ、マスク本体10下面や通孔12内面にフラックスが付着したままの状態を防止できる。さらに、突起部15表面にもコーティング層50を形成することで、突起部15に対してもフラックスの付着を防止できる。しかも、マスク本体10下面、通孔12内面、及び突起部15表面にコーティング層50を形成することで、仮に、通孔12内面にフラックスが付着したとしても、フラックスを弾き、マスク本体10下面及び突起部15表面を介してワーク上に流すことができる。また、フラックス17の通孔12への回り込みをより確実に防止できる。さらには、マスク本体10と突起部15とを別部材で形成した場合、両者間の接合強度が弱いと、マスク1使用時に突起部15が不用意に脱落、変形、破損するおそれがあるが、マスク本体10下面及び突起部15表面の全面を覆うようにコーティング層50を形成することで、コーティング層50が突起部15の保護層として機能することになるので、突起部15の脱落、変形、破損の防止にも寄与できる。なお、突起部15の脱落、変形、破損を防ぐことに特化したい場合は、マスク本体10下面及び突起部15表面に、NiやCuなどといった金属をスパッタや無電解めっきによって、コーティング層50を設けると良い。また、該コーティング層50は、マスク本体10上面に形成しても良く、要は、フラックスが付着すると半田ボールの搭載不良が生じやすい部分に形成すれば良く、マスク1をワーク上に載置した際に、電極6上に塗布されたフラックス17と対面するマスク本体10及び突起部15の表面に形成することが望ましい。
【0021】
なお、各図面においては、実際のマスク1の様子を示したものではなく、それを模式的に示している。また、各図面における通孔12の開口寸法やマスク本体10等の厚み寸法等は、図面作成の便宜上、そのような寸法に示したものである。また、
図3、
図5において、符号15で図示しているのは、突起部15の下端面(先端面)であり、突起部15の根元やコーティング層50は図示していない。
【0022】
係るマスク1を用いた半田ボール2の配列作業は、以下のような手順で行われる。なお、この配列作業は、専用の配列装置(特許文献1の
図1等を参照)によって行われる。まず、ワーク3の電極6上にフラックス17(
図2参照)を印刷塗布する。次に、通孔12と電極6が一致するように、ワーク3上にマスク1を位置合わせしたうえで、マスク1を固定する。かかる位置合わせ作業は、実際には枠体11とワーク3との外周縁を位置合わせすることで行われる。位置合わせ作業が終了すると、該かかる固定状態において、突起部15の下端面がワーク3の表面に当接することで、マスク本体10は、
図2、
図4、
図6、
図9に示すようなワーク3との対向間隙が確保された離間姿勢に姿勢保持される。この時、ワーク3の下方に磁石を配置して、この磁石の磁力作用によって、マスク1をワーク3側に吸着させることもできる。
【0023】
次に、マスク1上に多数個の半田ボール2を供給し、スキージブラシを用いてマスク1上で半田ボール2を分散させて、通孔12内に一つずつ半田ボール2を投入する。これにて、半田ボール2はフラックス17により電極6上に仮止め状に粘着保持される。かかるスキージブラシを用いた半田ボール2の投入作業において、スキージブラシ圧がマスク1に大きくかかったとしても、突起部15によってマスク1が撓むことを防止でき、投入作業を作業効率良くスムーズに進めることができる。また、上記アクリル樹脂を主成分とする感光性樹脂で突起部15を形成することにより、強度の強い突起部15とすることができ、スキージブラシ圧が突起部15に大きくかかったとしても、突起部15の損傷を防ぐことができる。最後に、ワーク3上に搭載された半田ボール2を加熱・溶解することで、半田バンプを形成する。
【0024】
以上のように、本実施形態に係るマスク1によれば、マスク本体10とワーク3との対向間隙を形成する突起部15を備えているので、突起部15によってワーク3との対向間隙を確実に確保でき、通孔12内への半田ボール2の投入作業を効率的に漏れなく進めることが可能となる。そして、上記アクリル樹脂を主成分とする感光性樹脂により突起部15を形成することにより、突起部15の外形寸法が小さいものであっても、突起部15としての強度が強く、マスク本体10との密着力を向上することができるとともに、耐溶剤性にも強いマスクとすることができる。そして、係る構成のマスクを用いて半田ボールの搭載をするので、マスクの繰り返し使用に強く、生産性の良い半田バンプの形成に寄与できる。
【0025】
マスク本体10の外周縁に補強用の枠体11を設けることができ、マスク本体10をそれ自体に内方に収縮する方向の応力が作用するようなテンションを加えた状態で形成すれば、周囲温度の変化に伴うマスク本体10の膨張分を、当該収縮方向へのテンションで吸収できる。これにて、ワーク3に対するマスク本体10の位置ズレの発生を防ぐことができる。また、マスク本体10の全体に均一なテンションを与えることができるので、ワーク3に対して半田ボール2を位置精度良く搭載させることができる。
【0026】
次に、係る構成の配列用マスク1の製造方法を
図7及び
図8に示す。まず、
図7(a)に示すごとく、母型40を用意する。母型40は導電性を有するものであれば何でも良く、本実施形態ではステンレスを用いた。次いで、母型40の表面にフォトレジスト層を形成し、露光、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、
図7(b)に示すごとく、レジスト体41aを有するパターンレジスト41を母型40上に形成した。次いで、上記母型40を所定の条件に建浴しためっき槽(電鋳槽)に入れ、
図7(c)に示すごとく、先のレジスト体41aの高さと同じ程度に、母型40のレジスト体41aで覆われていない表面に電着金属をめっき(電鋳)して、電着層42を形成した。本実施形態では、Ni−Coにより電着層42を形成した。なお、電着層42を形成した後に電着層42表面に対して、ベルト研摩などといった機械研摩および/または電解研磨するのが好ましい。次いで、
図7(d)に示すごとく、レジスト体41aを溶解除去した。
【0027】
次いで、
図8(a)に示すごとく、電着層42の表面上に、感光性樹脂層43を形成した。この感光性樹脂層43の主な含有成分は、アクリル樹脂(55〜65%)、硫酸バリウム(15〜25%)、二酸化珪素(15〜25%)である。次いで、露光、現像、乾燥の各処理を行って、未露光部分を溶解除去することにより、
図8(b)に示すごとく、樹脂体44を電着層42上に一体的に形成した。なお、樹脂体44を形成した後もしくは感光性樹脂層43を形成した後に、ベーキングなどといった脱落防止処理を行うのが好ましい。これにより、樹脂体44と電着層42との密着がより強固なものにできる。最後に、母型40から電着層42およびその表面に形成された樹脂体44を剥離することによって、
図8(c)に示すマスク1を得ることができる。こうして得られたマスク1に枠体11を装着すれば、
図1に示すような配列用マスク1が得られる。
【0028】
ここで、
図8(d)に示すように、電着層42の樹脂体44を有する側の表面および樹脂体44の表面にコーティング層50を形成しても良い。その場合、コーティング層50は、母型40から電着層42および樹脂体44を剥離する前に形成しても良い。また、コーティング層50は、電着層42の樹脂体44を有する側の表面に限らず、電着層42の表面全面に形成しても良い。もちろん、通孔12内面にもコーティング層50を形成しても良い。
【0029】
以上のようなマスク1の製造方法によれば、めっき法(電鋳法)及びリソグラフィを用いて高精度に配列用マスクを作製することができるので、半田ボール2を位置精度良くワーク3上に搭載させることができる。また、突起部15をマスク本体10の下面に近づくにつれて大きくなるよう先窄まり状に形成すれば、突起部15の強度をしっかりと補強できつつ、突起部15をフラックス17が塗布された電極6から離間した状態で電極6間に当接できるので、電極6に塗布されたフラックス17がマスク本体10に付着することによる半田ボール2の搭載不良を防止することができる。
【0030】
本マスク1において、通孔12及び突起部15の形状はストレート状としてもテーパ状としても良い。ここで、通孔12や突起部15をテーパ状とする場合について具体的に説明すると、まず、通孔12においては、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先窄まり状のテーパを設けることで、半田ボール2を通孔12内に誘い込みやすくなり、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先拡がり状のテーパを設けることで、マスク本体10のワーク3との対向面側における通孔12周縁にフラックスが付着されることを防止でき、しかも、通孔12内に投入された半田ボール2が不用意に抜け出すことを防止できる。また、突起部15においては、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先窄まり状のテーパを設けることで、ワーク3上へのマスクの載置をしっかりとすることができ、マスク本体10のワーク3との対向面側に向かって先拡がり状のテーパを設けることで、ワーク3の電極6が狭ピッチに配列された場合であっても、突起部15の強度を確保しつつ、ワーク3上への突起部15の当接をしっかりと対応することができる。かかる形状は、フォトレジスト層31・36の感光度や露光条件を変更することによって容易に得られる。
【0031】
本マスク1において、突起部15(支柱15b)と通孔12の配置は、突起部15(支柱15b)が一つの通孔12を囲むように配置しても良いし、一つの突起部15が通孔12に囲まれるように配置しても良い。また、突起部15の形状は、桟15aや円柱に限らず、ひし形・六角形などといった多角形や円・楕円の柱状や錘状でも良い。さらに、これら形状においては、
図10に示すように、細長形状及び/又は角が丸みを帯びたものが好ましい。このように、これら形状の長手方向・長径方向を一定方向(洗浄手段移動方向)に合わせることで、例えば、マスク1の裏面を洗浄する際に、洗浄手段(布やスポンジなど)が突起部15に引っかかることによる洗浄手段や突起部15が破損するおそれを可及的になくすことができるとともに、スムーズに洗浄することが可能となる。よって、突起部15全ての長手方向・長径方向を一方向に合わせることが望ましい。なお、細長形状とするのはあくまでも突起部15の下端面(先端面)においてであり、突起部15の根元部15bの面においては強度等の点で必ずしも細長形状とする必要はない。また、上記アクリル樹脂を主成分とする感光性樹脂によって突起部15を形成する場合は、隣り合うパターン領域間(パターン領域の外周)において、マスク1の前後方向もしくは左右方向(洗浄手段移動方向もしくはこれに直行する方向)のいずれかに沿うように、長方形状の突起部15を配設することで、マスク1の反りを可及的に抑えることができる。
【0032】
また、本マスク1において、通孔12の内面とマスク本体10及び突起部15の表面とでコーティング層50の厚みを異ならせても良い。具体的には、通孔12の内面におけるコーティング層50の厚みをT1、マスク本体10及び突起部15の表面におけるコーティング層50の厚みをT2とした時(
図9参照)、T1>T2とすれば、半田ボールの搭載不良を引き起こす通孔12内面へのフラックスの付着をより確実に防ぐことができる。また、コーティング層50を滑りやすい(摩擦が小さい)材質で形成すれば、T1の厚み分だけマスク本体10上面と通孔12内面との境目に滑りやすい領域として現れることになり、T1の厚さが厚ければ厚いほど、該領域が大きくなるので、半田ボール2をスキージブラシでかく時に、スキージブラシや半田ボール2を滑らかに移動させることができ、生産性や作業効率の向上が見込める。そして、T1<T2とすれば、マスク本体10下面に突起部15が別体形成された時に、突起部15の脱落、変形、破損をより確実に防ぐことができる。なお、このコーティング層50の形成方法としては、浸漬方式やスプレー方式など種々の方法があるが、コーティング層50を形成する際は、所望する形成個所以外の部分を保護シートで覆うと良い。また、コーティング層50を厚く形成したい時は、厚くしたい個所を局所的にスプレーしたり、マスク1の浸漬させる方向を異ならせたり(例えば、マスク本体10下面において厚くしたい場合は、マスク本体10下面と浸漬面とを平行にした状態で浸漬させると良く、通孔12内面において厚くしたい場合は、マスク本体10下面と浸漬面とを垂直にした状態で浸漬させると良い)することで実現できる。
【0033】
また、感光性樹脂層43(突起部15)の主成分としては、アクリル樹脂を挙げているが、これに限らず、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、PET樹脂、EVA樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミドなど(所謂、熱可塑性樹脂)が挙げられる。また、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタンなど(所謂、熱硬化性樹脂)でも良い。
【0034】
また、その他の感光性樹脂層43(突起部15)としては、分子内に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基とカルボキシル基を有する光ラジカル反応性の樹脂(以下、成分aとする)と、分子中に少なくとも1個以上のエチレン性不飽和基とトリシクロデカン構造とを有する光重合性モノマー(以下、成分bとする)と、シリカフィラー(以下、成分cとする)を含有させたものがある。まず、成分aとしては、例えば、エポキシ化合物(以下、成分a1とする)と不飽和モノカルボン酸(以下、成分a2とする)に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(以下、成分a3とする)を付加した付加反応物などを用いることができ、成分a1としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、多官能エポキシ化合物等が挙げられ、成分a2としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸や、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類又は飽和若しくは不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との半エステル化合物類との反応物が挙げられ、成分a3としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸、無水トリメリット酸などが挙げられる。次に、成分bとしては、例えば、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、トリシクロデカンジオールジアクリレート及びトリシクロデカンジオールジメタクリレートからなる群から選択される1種以上、ウレタン結合を有する化合物が挙げられる。次に、成分cは、平均粒径が3〜300nm、更には、最大粒径が1μm以下で感光性樹脂層43内に分散されたものが良い。この成分cとしては、シランカップリング剤を用いることができ、例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシランなどが挙げられる。このシランカップリング剤としては、成分aのカルボキシル基と反応する種類のものが好ましく、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、イソシアネートシランを選ぶことで、シリカと樹脂の結合が強まり、層としての強度が高まるとともに、熱膨張係数を低減することが可能となる。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。各成分の含有量については、成分aは、成分a及び成分bの総量100質量部に対して、好ましくは30〜80質量部、より好ましくは40〜75質量部、更に好ましくは50〜70質量部である。成分aの含有量がこの範囲であると、突起部15としての強度がより良好となる。また、成分bは、成分a及び成分bの総量100質量部に対して、好ましくは20〜70質量部、より好ましくは25〜60質量部、最も好ましくは30〜50質量部である。成分bの含有量がこの範囲であると、感光性樹脂層43としての感光性がより良好となる。また、成分cは、全質量部100質量部に対して、好ましくは20〜70質量部であり、30質量部以上では熱膨張係数低減、60質量部以下では塗膜性向上が期待できる。これら成分aないし成分c以外に、光重合開始剤、エポキシ樹脂を含有させることができ、これらの含有量は、成分a及び成分bの合計100質量部に対して、光重合開始剤は、0.1〜10質量部の範囲が好ましく、エポキシ樹脂は、3〜50質量部の範囲が好ましい。このように、係る各成分を含有した感光性樹脂層43用いることで、現像性・耐熱性・HAST耐性・クラック耐性に優れ、反りを小さく抑制できる突起部15を得ることができる。なお、マスク本体10との密着性を良好にするために、成分bと多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物とを組み合わせたものや添加剤(例えば、メラミン、ジシアンジアミド、トリアジン化合物及びその誘導体、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤など)を用いると良く、その成分量は、成分aないし成分cの総量100質量部に対して0.1〜10質量%が好ましい。
【0035】
また、その他の感光性樹脂層43(突起部15)としては、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(以下、成分Aとする)と、光重合開始剤(以下、成分Bとする)と、ニトロキシル化合物(以下、成分Cとする)とを含有させたものがある。まず、成分Aとしては、例えば、エポキシ樹脂をビニル基含有モノカルボン酸で変性した樹脂が挙げられ、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びサリチルアルデヒド型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ビニル基含有モノカルボン酸とを反応させて得られる樹脂を用いることが好ましい。次に、成分Bとしては、例えば、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物及びオキシム化合物、アントラセン化合物などが挙げられる。次に、成分Cとしては、例えば、ニトロキシル基を有する化合物などが挙げられ、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルベンゾエートフリーラジカル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、4−(2−クロロアセトアミド)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルフリーラジカルが含まれる。各成分の含有量については、成分Aは、感光性樹脂層43の固形分全量を基準として、好ましくは25〜70質量%、より好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは35〜65質量%である。成分Aの含有量がこの範囲内であると、耐熱性、耐薬品性により優れた突起部15が得られる傾向にある。また、成分Bは、成分Aの総量100質量部を基準として、好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは0.5〜20質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部である。成分Bの含有量が0.5質量部以上では感光性樹脂層43の感光性が向上する傾向があり、30質量部以下であると突起部15の耐熱性が向上する傾向がある。また、成分Cは、成分Aの総量100質量部を基準として、好ましくは0.005〜10質量部、より好ましくは0.01〜8質量部、更に好ましくは0.01〜5質量部である。成分Cの含有量が10質量部以下であると感光性樹脂層43の感光性が向上する傾向がある。このように、係る各成分を含有した感光性樹脂層43用いることで、露光量の裕度を広げることができ、現像性・耐熱性・密着性・耐溶剤性に優れた突起部15を得ることができる。なお、これら成分A乃至成分C以外にエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、これらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレ−トなど)を含有させることもでき、その含有量は、成分Aの総量100質量部を基準として、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは5〜50質量部、更に好ましくは10〜50質量部、最も好ましくは20〜40質量部である。
【0036】
また、その他の感光性樹脂層43(突起部15)としては、エチレン性不飽和基及びカルボキシル基を有するポリウレタン化合物(以下、成分(1)とする)と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(以下、成分(2)とする)と、光重合開始剤(以下、成分(3)とする)と、リン含有化合物(以下、成分(4)とする)とを含有させたものがある。まず、成分(1)としては、例えば、ジグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシアクリレート化合物(以下、成分(1)−1とする)と、ジイソシアネート化合物(以下、成分(1)−2とする)と、カルボキシル基を有するジオール化合物(以下、成分(1)−3とする)との反応物などを用いることができ、成分(1)−1としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、フルオレン骨格を有するエポキシ化合物(グリシジル化合物)などに(メタ)アクリル酸を反応させて得られる化合物などが挙げられ、成分(1)−2としては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N−アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルナン−ジイソシアネートメチルなどが挙げられ、成分(1)−3としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。次に、成分(2)としては、例えば、成分(2)−1を有する化合物、又は成分(2)−2を有する化合物及び成分(2)−3を有する化合物の反応生成物などを用いることができ、成分(2)−1及び成分(2)−3としては、2価の有機基を含み、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ネオペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2−エチル−ヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基)及び炭素数6〜10のアリーレン基(フェニレン基)が含まれており、成分(2)−1及び成分(2)−2としては、例えば、炭素数2〜7のアルキレン基(エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基)が含まれており、成分(2)−1及び成分(2)−3としては、水素原子またはメチル基が含まれている。次に、成分(3)としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N´−テトラアルキル−4,4´−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1などの芳香族ケトン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル;ベンジルジメチルケタールなどのベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体などの2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9´−アクリジニル)ヘプタンなどのアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられるが、成分(3)は、芳香族ケトンを含有することが好ましく、中でもα-アミノアルキルフェノン化合物(例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパノン−1)を含むことが好ましい。次に、成分(4)としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第三−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などを含むホスフィン酸塩が挙げられる。各成分の含有量については、成分(1)は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは30〜70質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。また、成分(2)は、5質量%より少ない場合は可撓性、反り、反発性が劣る傾向があるので、総量100質量%中において、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。また、成分(3)は、成分(1)及び成分(2)の総量100質量%に対して、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.2〜5質量%である。また、成分(4)は、リン含有量が好ましくは1.5〜5.0質量%である。このように、係る各成分を含有した感光性樹脂層43用いることで、アルカリ現像性、可撓性、タック性に優れ、反りの発生を抑制できる突起部15を得ることができる。なお、これら成分(1)乃至成分(4)以外に、熱硬化剤(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性の化合物)を含有させることもでき、その含有量は、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%である。
【0037】
また、その他の感光性樹脂層43(突起部15)としては、カルボキシル基を有するポリマー(以下、成分〈1〉とする)と、エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物(以下、成分〈2〉とする)と、リン含有難燃剤(以下、成分〈3〉とする)とを含有させたものがある。まず、成分〈1〉としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、ビニル基含有エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリカーボネート、メラミン樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリオキシベンゾイルなどであって、分子内にカルボキシル基を有するものを用いることができるが、特に、ジグリシジル化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られるポリウレタン化合物が好適である(各化合物の具体例は上記成分(1)参照)。成分〈1〉としては、この他に、エポキシ化合物(以下、成分〈1〉−1とする)と不飽和モノカルボン酸(以下、成分〈1〉−2とする)のエステル化物に飽和又は不飽和多塩基酸無水物(以下、成分〈1〉−3とする)を付加した付加反応物を用いることもでき、成分〈1〉−1としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、サリチルアルデヒド−フェノールあるいはクレゾール型エポキシ化合物が挙げられ、成分〈1〉−2としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、飽和又は不飽和多塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類あるいは飽和又は不飽和二塩基酸と不飽和モノグリシジル化合物との半エステル化合物類との反応物(例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとを等モル比で反応させて得られる反応物)が挙げられ、成分〈1〉−3としては、例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、トリメリット酸などの無水物が挙げられる。成分〈1〉としては、この他に、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを共重合成分として得られるビニル系共重合化合物を用いることもできる。次に、成分〈2〉としては、例えば、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物などのウレタンモノマー又はウレタンオリゴマー、ノニルフェノキシポリオキシエチレンアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β´−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β´−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレンオキサイド(EO)変性ノニルフェニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。次に、成分〈3〉としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第三−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基を含むホスフィン酸塩が挙げられる。各成分の含有量については、成分〈1〉は、感光性樹脂層43内の有機化合物固形物全量を基準として、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。また、成分〈2〉は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜80質量%である。また、成分〈3〉は、リン含有量が好ましくは1.5〜5.0質量%である。このように、係る各成分を含有した感光性樹脂層43用いることで、アルカリ現像性、可撓性に優れた突起部15を得ることができる。なお、これら成分〈1〉乃至成分〈3〉以外に、光重合開始剤(芳香族ケトン、ベンゾインエーテル、ベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物など)や熱硬化剤(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性の化合物)を含有させることもでき、その含有量については、光重合開始剤は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%であり、熱硬化剤は、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
【0038】
また、その他の感光性樹脂層43(突起部15)としては、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを構造単位に有するバインダーポリマー(以下、成分〔1〕とする)と、ウレタン変性エポキシアクリレート樹脂(以下、成分〔2〕とする)と、着色剤(以下、成分〔3〕とする)とを含有させたものがある。まず、成分〔1〕としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルをラジカル重合させることで得られ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステルが挙げられる。次に、成分〔2〕としては、例えば、グリシジル化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエチレン性不飽和基及び2つ以上の水酸基を有するエポキシアクリレート化合物と、ジイソシアネート化合物と、カルボキシル基を有するジオール化合物とを反応させて得られる化合物を用いることができる(各化合物の具体例は上記成分(1)参照)。次に、成分〔3〕としては、例えば、チタンブラックに赤色顔料を添加したものが用いられる。各成分の含有量については、成分〔1〕は、着色剤を除く合計量において、好ましくは5〜30質量%である。また、成分〔2〕は、着色剤を除く合計量において、好ましくは5〜30質量%である。また、成分〔3〕は、好ましくは0.5〜5質量%であり、着色剤のうち20〜40質量%が赤色顔料であることが好ましい。このように、係る各成分を含有した感光性樹脂層43用いることで、解像性、密着性を有し、硬化後のアンダーカットの発生を防止できる突起部15を得ることができる。なお、これら成分〔1〕乃至成分〔3〕以外に、光重合性化合物(エチレン性不飽和結合を有する化合物)、光重合開始剤(芳香族ケトン、ベンゾイン、ベンジル誘導体、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、アクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オキシムエステル化合物など)、熱硬化剤(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性の化合物やブロックイソシアネート化合物)を含有させることもでき、その含有量については、光重合性化合物は、好ましくは5〜30質量%であり、光重合開始剤は、好ましくは0.1〜5質量%であり、熱硬化剤は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%である。
【0039】
また、その他の感光性樹脂層43(突起部15)としては、カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する重合性プレポリマー(以下、成分アとする)と、ジシアンジアミドまたはその誘導体(以下、成分イとする)と、両性界面活性剤(以下、成分ウとする)とを含有させたものがある。まず、成分アとしては、例えば、エポキシ樹脂(以下、成分ア1とする)とエチレン性不飽和基を有するモノカルボン酸(以下、成分ア2とする)との反応で生成する樹脂に多塩基酸無水物(以下、成分ア3とする)を反応させて得られるエポキシアクリレート化合物を用いることができ、成分ア1としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、成分ア2としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、ソルビン酸、半エステル化合物(水酸基を有するアクリレートあるいはビニル基を有するモノグリシジルエーテル若しくはビニル基を有するモノグリシジルエステルと、飽和若しくは不飽和炭化水素基を有する二塩基酸無水物との反応物)が挙げられ、成分ア3としては、例えば、飽和又は不飽和炭化水素基を有し、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸が挙げられる。成分アとしては、この他に、2つ以上の水酸基及び2つ以上のエチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート化合物(以下、成分ア4とする)と、ジイソシアネート化合物(以下、成分ア5とする)と、カルボキシル基を有するジオール化合物(以下、成分ア6とする)とを反応させて得られるポリウレタン化合物(ウレタン変性エポキシアクリレート化合物)を用いることができ、成分ア4としては、例えば、エポキシ化合物(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂)と、(メタ)アクリル酸との反応生成物が挙げられ、成分ア5としては、例えば、イソシアネート基を有し、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、アリレンスルホンエーテルジイソシアネート、アリルシアンジイソシアネート、N−アシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、及びノルボルナン−ジイソシアネートメチルが挙げられ、成分ア6としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が挙げられる。次に、成分イとしては、例えば、ジシアンジアミド、アクリロイルジシアンジアミド、メタクリロイルジシアンジアミドが挙げられる。次に、成分ウとしては、例えば、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウム、N−ステアリル−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチルアンモニウム、N−ラウリル−N,N−ジヒドロキシエチル−N−カルボキシメチルアンモニウム、N−ラウリル−N,N,N−トリス(カルボキシメチル)アンモニウムなどのベタイン型界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムなどのイミダゾリウム塩型界面活性剤、イミダゾリン−N−ナトリウムエチルスルホネート及びイミダゾリン−N−ナトリウムエチルスルフェートなどのイミダゾリン型界面活性剤、アミノカルボン酸、アミノ硫酸エステルからなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物が挙げられる。各成分の含有量については、成分アは、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%である。また、成分イは、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。また、成分ウは、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。このように、係る各成分を含有した感光性樹脂層43用いることで、耐熱性に優れ、現像残渣の発生を抑制して突起部15を形成することができる。なお、これら成分ア乃至成分ウ以外に、光重合性化合物(多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸との反応生成物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパンなどのビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物;グリシジル基を有する化合物とα、β−不飽和カルボン酸との反応生成物;ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物などのウレタンモノマー;ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート;γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート及びβ−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレートなどのフタル酸系化合物;(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、光重合開始剤(置換又は非置換の多核キノン類、α−ケタルドニルアルコール類、エーテル類、α−炭化水素置換芳香族アシロイン類、芳香族ケトン類、チオキサントン類、アシルフォスフィンオキサイド類、α−アミノアルキルフェノン類など)を含有させることもでき、その含有量については、光重合性化合物は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%であり、光重合開始剤は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜7質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。