(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0011】
[一実施形態]
この発明の一実施形態では、製造物として例えば電気自動車(EV)に用いられるリチウムイオン二次電池を使用した電池モジュールを例に挙げ、この電池モジュールのリユースを想定した場合を例にとって説明する。
【0012】
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係る製造物情報管理装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
この例では、システムは製造物情報管理装置として動作するサーバコンピュータ(以後製造物情報管理サーバと称する)SVを備える。そして、製造物情報管理サーバSVは、電気自動車EV1〜EVnに搭載された車両管理装置MM1〜MMn(第2の管理装置)、蓄電池メーカ管理装置AM(第1の管理装置)、メンテナンス管理装置BM(第3の管理装置)および充電ステーション管理装置CM(第4の管理装置)との間で、それぞれネットワークNWを介してデータ伝送を行えるようになっている。
【0013】
ネットワークNWは、例えば、インターネットを中核とする広域網と、この広域網にアクセスするためのアクセス網とを備える。アクセス網としては、例えば有線および無線の公衆ネットワーク、有線および無線のLAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)ネットワークが使用される。
【0014】
なお、
図1では図示の簡単のため、ネットワークNWには蓄電池メーカ管理装置AM、メンテナンス管理装置BMおよび充電ステーション管理装置CMが1つずつ接続されている状態を示しているが、実際には異なる複数のメーカや事業者がそれぞれ使用する複数の管理装置が接続される。
【0015】
(2)装置
(2−1)電気自動車EV1〜EVn
電気自動車EV1〜EVnには、リチウムイオン二次電池を使用した電池モジュールBT1〜BTnが搭載されている。車両管理装置MM1〜MMnは、例えばCAN(Control Area Network)と呼ばれる車載ネットワークにより相互に接続される、複数の車載電子制御装置(Electric Control Unit:ECU)と、通信制御ユニット(TCU)とを有している。
【0016】
ECUは、それぞれがプロセッサにプログラムを実行させることにより所定の制御機能を果たすように構成される。例えば、ECUはモータやトランスミッション、操舵角、アクセル、ブレーキ等を制御する装置、ウィンカーやライト、ワイパーを制御する装置、ドアロックおよび窓の開閉を制御する装置、空調を制御する装置等として用いられる。
【0017】
また、電気自動車EV1〜EVnには、速度センサや温度センサ、振動センサ等の車両の動作状態に係る各種車両センサの計測データをはじめ、ドライバの状態を監視する車内センサ、車外の状況を監視する車外センサ等の多くのセンサが設けられている。ECUは、これらのセンサから出力されるセンシングデータを取り込む装置としても用いられる。
【0018】
さらに車両管理装置MM1〜MMnは、上記電池モジュールBT1〜BTnの使用状態を管理するエネルギ管理用のECUを備えている。エネルギ管理用のECUは、例えば、上記電池モジュールBT1〜BTnの使用状態を監視し、その結果をもとに使用履歴情報を生成し保存する。使用履歴情報には、電池モジュールBT1〜BTnの「個体識別番号」と、「使用開始年月日」と、「使用終了年月日」が含まれる。なお、使用履歴情報には、搭載された電気自動車EV1〜EVnの「車両識別番号」を含めてもよい。「個体識別番号」は、蓄電池メーカが電池モジュールBT1〜BTnを製造した際に当該電池モジュールBT1〜BTnに対し発行した不変の識別情報である。車両識別番号は、車両メーカが電気自動車EV1〜EVnを製造した際に当該電気自動車に対し付与する固有の車両製造番号である。
【0019】
また使用履歴情報には、上記電池モジュールBT1〜BTnの「充電情報」が含まれる。充電情報としては、例えば「充電回数」、「総充電累計時間」および「総充電電力量」の少なくとも1つが用いられる。これらの値は、使用中にエネルギ管理用のECUにより計測され、常に最新の値となるように更新されて半永久的に不揮発性メモリに保存される。
【0020】
なお、電池モジュールBT1〜BTnにバッテリ管理ユニットが設けられている場合には、上記各情報をエネルギ管理用のECUの代わりに上記バッテリ管理ユニットにより管理するようにしてもよい。
【0021】
車両管理装置MM1〜MMnは、上記エネルギ管理用のECUまたはバッテリ管理ユニットに保存されている、上記電池モジュールBT1〜BTnの使用状態を表す管理情報を、定期的にあるいは製造物情報管理サーバSVからの要求に応じて、通信制御ユニット(TCU)からネットワークNWを介して製造物情報管理サーバSVへ送信する。
【0022】
(2−2)蓄電池メーカ管理装置AM
蓄電池メーカ管理装置AMは、蓄電池メーカが使用するサーバコンピュータであり、製造した電池モジュールの属性情報を管理する。属性情報には、電池モジュールの「個体識別番号」、「製造メーカ名」、「製造年月日」および用途種別に応じて設定された「使用量上限値」が含まれる。用途種別としては、例えば「電気自動車用電源」、「ビル非常用電源」、「住宅非常用電源」が挙げられる。使用量上限値は、「充電回数」、「総充電累計時間」および「総充電電力量」のそれぞれの上限値を示す。
【0023】
蓄電池メーカ管理装置AMは、通信インタフェースユニットを有し、上記電池モジュールの属性情報を、定期的にあるいは製造物情報管理サーバSVからの要求に応じ、上記通信インタフェースユニットからネットワークNWを介して製造物情報管理サーバSVへ送信する。
【0024】
(2−3)メンテナンス管理装置BM
メンテナンス管理装置BMは、上記電池モジュールBT1〜BTnに搭載された電池モジュールBT1〜BTn等について、その点検、修理および部品交換等のメンテナンス作業を行う事業者が使用するもので、例えばパーソナルコンピュータにより構成される。メンテナンス管理装置BMは、上記メンテナンス作業の実行に伴い作業者が入力した作業内容を表す情報に基づいてメンテナンス履歴情報を生成する。
【0025】
例えば、部品交換が行われた場合には、交換部品の種類と修理方法との組合せをパターン化し、その「メンテナンスパターン番号」と、交換/修理の「実施年月日」、および「メンテナンス事業者名」とを、メンテナンス履歴情報に含める。また、メンテナンスパターン別に、使用履歴情報に含まれる充電情報の補正ルールを指定する情報を生成し、上記メンテナンス履歴情報に含める。補正ルールを指定する情報は、例えば、使用履歴情報の充電情報に含まれる累計充電回数をリセットするか否かを指定する。
【0026】
メンテナンス管理装置BMは、生成された上記メンテナンス履歴情報を、例えば、メンテナンス対象となった電池モジュールの個体識別番号および車両識別番号と関連付けて保存する。そして、保存された上記メンテナンス履歴情報を、定期的にあるいは製造物情報管理サーバSVからの要求に応じ、ネットワークNWを介して製造物情報管理サーバSVへ送信する。
【0027】
(2−4)充電ステーション管理装置CM
充電ステーション管理装置CMは、例えばパーソナルコンピュータまたはサーバコンピュータからなり、充電ステーションごとに、あるいは複数台の充電ステーションに対し1つ設けられる。
【0028】
充電ステーション管理装置CMは、充電ステーションにおいて上記電池モジュールBT1〜BTnに対する充電処理が行われた場合に、この充電処理で使用された電源の種別に応じたCO
2排出量を推定する。またそれと共に、CO
2排出量の推定精度を求める。そして、上記CO
2排出量の推定値と推定精度を、充電先の電池モジュールBT1〜BTnの個体識別番号と関連付けて保存する。
【0029】
また充電ステーション管理装置CMは、上記CO
2排出量の推定値と推定精度を、定期的にあるいは製造物情報管理サーバSVからの要求に応じて読み出し、ネットワークNWを介して製造物情報管理サーバSVへ送信する。
【0030】
CO
2排出量の推定値は、例えば以下の手法により求められる。すなわち、各充電ステーションは、充電用の電源として複数種類の電源を選択的に使用できるように構成されている。電源の種類には、例えば「火力」、「水力」、「風力」、「ソーラー」がある。なお、電源の種類はこれらに限るものではない。
【0031】
充電ステーション管理装置CMは、上記電源の種類ごとに、発電から送配電までの過程で生成されるCO
2排出量 [g/kwh] を推定する。例えば、電源の種類別に、単位時間当たりのCO
2排出量(電源種類別の単位排出量)を事前にメモリに記憶しておき、選択された電力種別ごとにその使用時間と使用量を計測し、その各計測値と上記電源種類別の単位排出量とに基づいて、充電に要したCO
2排出量を推定する。
【0032】
上記電源種類別の単位排出量を示す情報は、電力事業者(発電/送配電/小売り事業者)や政府のレポート等から入手され、その値は小売り電力事業者別・電源種類別の係数として、充電ステーション管理装置CM内のメモリに記憶される。この係数は、電力事業者から提供される情報や政府のレポート等の情報が更新されるごとに更新される。
【0033】
なお、電源種類別のCO
2排出量の推定方法は、上記方法に限定されるものではなく、例えば、発電に使用した燃料の種類や天候等の発電条件、電力の送電距離や充電ステーションの充電能力、電池モジュールの充電性能等のパラメータをさらに加味するものであってもよい。
【0034】
一方、上記CO
2排出量の推定精度は、充電ステーション管理装置CMが実際に計測した排出量の値と、上記推定方法により算出された推定値との比率として求めることができる。この推定精度は、例えば、電池のリサイクル事業者が、電池モジュールを再利用しようとする際に、CO
2排出量の推定値の信憑性を判断するために使用される。
【0035】
(2−5)製造物情報管理サーバSV
図2および
図3は、それぞれ製造物情報管理サーバ(プラットフォームとも云う)SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
製造物情報管理サーバSVは、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1を備え、この制御部1に対しバス5を介して、プログラム記憶部2およびデータ記憶部3を有する記憶ユニットと、通信インタフェース(通信I/F)4を接続したものとなっている。
【0036】
通信I/F4は、制御部1の制御の下、ネットワークNWにより定義される通信プロトコルを使用して、上記電気自動車EV1〜EVnに搭載された車両管理装置MM1〜MMn、蓄電池メーカ管理装置AM、メンテナンス管理装置BMおよび充電ステーション管理装置CMとの間でデータ伝送を行うもので、例えば有線ネットワーク用のインタフェースにより構成される。
【0037】
プログラム記憶部2は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0038】
データ記憶部3は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の一実施形態を実施するために必要な主たる記憶部として、製造物属性情報データベース(以後データベースをDBと称する)31と、使用履歴情報DB32と、メンテナンス履歴情報DB33とを備えている。
【0039】
製造物属性情報DB31は、蓄電池メーカ管理装置AMから取得された、電池モジュールの属性情報を記憶するために用いられる。
図4は、記憶された属性情報の一例を示したものである。この例では、電池モジュールの「個体識別番号」に対応付けて、「製造メーカ名」、「製造年月日」、および用途種別に応じて設定された「使用量上限値」が記憶された場合を示している。
【0040】
使用履歴情報DB32は、電気自動車EV1〜EVnの車両管理装置MM1〜MMnから取得された、電池モジュールBT1〜BTnの使用履歴情報を記憶するために使用される。この使用履歴情報には、充電ステーション管理装置CMから取得された、CO
2排出量の推定値とその推定精度を示す情報も含まれる。
【0041】
図5は、記憶された使用履歴情報の一例を示したものである。この例では、電池モジュールBT1〜BTnの個体識別番号に対応付けて、電池モジュールの「用途」、「使用開始日」、「使用終了日」、「充電情報」、「CO
2排出量の推定値」および「推定精度」が記憶された場合を示している。「充電情報」には、既に述べたように充電回数、総充電累計時間および総充電電力量の少なくとも1つが含まれる。
【0042】
メンテナンス履歴情報DB33は、メンテナンス管理装置BMから取得された、電池モジュールBT1〜BTnのメンテナンス履歴を表す情報を記憶するために使用される。
図6は、記憶されたメンテナンス履歴情報の一例を示したものである。この例では、電池モジュールBT1〜BTnの個体識別番号に対応付けて、「メンテナンスパターン番号」、「交換/修理実施日」、「メンテナンス事業者名」および「補正ルール」が記憶された場合を示している。
【0043】
制御部1は、この発明の一実施形態に係る処理機能として、製造物属性情報管理部11と、使用履歴情報管理部12と、メンテナンス履歴情報管理部13と、CO
2排出情報管理部14と、リユース支援情報生成部15と、配信制御部16とを備えている。これらの処理部11〜16は、何れもプログラム記憶部2に格納されたプログラムを制御部1のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0044】
製造物属性情報管理部11は、蓄電池メーカ管理装置AMからネットワークNWを介して新規登録要求が送られた場合に、続いて蓄電池メーカ管理装置AMから送信される電池モジュールBT1〜BTnの属性情報を通信I/F4を介して受信し、受信された属性情報を製造物属性情報DB31に記憶させる処理を行う。
【0045】
使用履歴情報管理部12は、電気自動車EV1〜EVnの車両管理装置MM1〜MMnからネットワークNWを介して送られる、電池モジュールBT1〜BTnの使用履歴情報を通信I/F4を介して受信し、受信された使用履歴情報を電池モジュールBT1〜BTnの個体識別番号に対応付けて使用履歴情報DB32に記憶させる処理を行う。
【0046】
メンテナンス履歴情報管理部13は、メンテナンス管理装置BMからネットワークNWを介して送られる、電池モジュールBT1〜BTnのメンテナンス履歴情報を通信I/F4を介して受信し、受信されたメンテナンス履歴情報をメンテナンス履歴情報DB33に記憶させる処理を行う。
【0047】
CO
2排出情報管理部14は、充電ステーション管理装置CMからネットワークNWを介して送られる、電源種類別のCO
2排出量の推定値とその推定精度を示す情報を通信I/F4を介して受信し、受信されたCO
2排出量の推定値とその推定精度を示す情報を上記使用履歴情報DB32に記憶させる処理を行う。
【0048】
リユース支援情報生成部15は、上記製造物属性情報DB31に属性情報が記憶された電池モジュールの各々について、使用履歴情報DB32に記憶された使用履歴情報(CO
2排出量の推定値とその推定精度を示す情報を含む)と、メンテナンス履歴情報DB33に記憶されたメンテナンス履歴情報とに基づいて、電池モジュールのリユースを支援する情報を生成する処理を行う。このリユース支援情報の一例は後述する。
【0049】
配信制御部16は、例えば、電池モジュールのリサイクル事業者、または電池モジュールの使用者(電気自動車EV1〜EVnの使用者)の端末から、対象となる電池モジュールについての情報閲覧要求を受信した場合に、当該情報閲覧要求に含まれる電池モジュールの識別番号を製造物属性情報DB31に記憶された属性情報と照合して該当する電池モジュールの有無を判定する。そして、該当する電池モジュールに関する情報が存在すると判定した場合に、上記リユース支援情報生成部15により生成されたリユース支援情報を、通信I/F4から要求元の端末へ送信する処理を行う。
【0050】
(動作例)
次に、以上のように構成された製造物情報管理サーバSVの動作例を説明する。
図7は、製造物情報管理サーバSVによる処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0051】
(1)製造物属性情報の登録
蓄電池メーカ管理装置AMでは、新たな電池モジュールが製造されるごとに、製造された電池モジュールに関する属性情報が生成され、生成された属性情報は新規登録要求と共に製造物情報管理サーバSVへ送信される。なお、上記属性情報は、製造物情報管理サーバSVからの送信要求が受信されたときに、まとめて送信されるようにしてもよい。
【0052】
これに対し製造物情報管理サーバSVの制御部1は、製造物属性情報管理部11の制御の下、ステップS10において、蓄電池メーカ管理装置AMからの新規登録要求の受信を監視している。この状態で、新規登録要求が受信されると、製造物属性情報管理部11は、ステップS11において、蓄電池メーカ管理装置AMから送信された属性情報を通信I/F4を介して受信し、受信された属性情報を例えば
図4に示すように製造物属性情報DB31に記憶させる。なお、同一の個体識別番号を有する属性情報が再度受信された場合には、当該属性情報の記憶を拒否してもよいが、蓄電池メーカ管理装置AMに対し確認要求を送信し、応諾が返信された場合に該当する属性情報を更新記憶させる。
【0053】
(2)使用履歴情報の管理
上記電池モジュールBT1〜BTnは、車両メーカにおいて電気自動車EV1〜EVnに搭載される。なお、電池モジュールはビル等の非常電源用、または住宅の非常電源用としても使用可能であり、その用途は上記各例に限定されるものではない。
【0054】
上記電気自動車EV1〜EVnに搭載された電池モジュールBT1〜BTnの使用が開始されると、車両管理装置MM1〜MMnは、上記電池モジュールBT1〜BTnの使用状態に基づいて使用履歴情報を生成し保存する。使用履歴情報には、既に述べたように、電池モジュールBT1〜BTnの「個体識別番号」と、「使用開始年月日」と、「使用終了年月日」と、「充電情報」と、搭載された電気自動車EV1〜EVnの「車両識別番号」が含まれる。「充電情報」としては、例えば「充電回数」、「総充電累計時間」および「総充電電力量」の少なくとも1つが用いられる。
【0055】
車両管理装置MM1〜MMnは、それぞれ上記使用履歴情報が更新されるごとに、あるいは所定の日時が経過するごとに、最新の使用履歴情報をその更新要求と共に製造物情報管理サーバSVへ送信する。なお、上記使用履歴情報は、製造物情報管理サーバSVからの送信要求に応じて送信されるようにしてもよい。
【0056】
これに対し製造物情報管理サーバSVの制御部1は、使用履歴情報管理部12の制御の下、ステップS12において、上記各車両管理装置MM1〜MMnから送信される使用履歴更新要求の受信を監視している。この状態で、更新要求が受信されると使用履歴情報管理部12は、ステップS13において、上記車両管理装置MM1〜MMnから送信された使用履歴情報を通信I/F4を介して受信する。そして、受信された使用履歴情報に含まれる電池モジュールの個体識別番号を、製造物属性情報DB31に登録されている各属性情報に含まれる個体識別番号と照合し、一致する個体識別番号があれば、上記受信された使用履歴情報を例えば
図5に示すように使用履歴情報DB32に更新記憶させる。なお、個体識別番号が登録されていない使用履歴情報は、使用履歴情報DB32に記憶させない。
【0057】
以後同様に、車両管理装置MM1〜MMnから新たな使用履歴情報が送信されるごとに、使用履歴情報管理部12は、上記使用履歴情報を受信して使用履歴情報DB32に記憶させる。
【0058】
(3)CO
2排出情報の管理
充電ステーション管理装置CMでは、充電ステーションにおいて電池モジュールBT1〜BTnに対する充電が行われると、この充電において使用された電源の種別ごとにCO
2排出量が推定される。またそれと共に、CO
2排出量の推定精度が求められる。
【0059】
上記CO
2排出量の推定処理は、既に述べたように、例えば、電源の種類別に単位時間当たりのCO
2排出量(電源種類別の単位排出量)を事前にメモリに記憶しておき、充電に際し選択された電力種別ごとにその使用時間と使用量を計測し、その各計測値と上記電源種類別の単位排出量とに基づいて、充電に要したCO
2排出量を計算することにより行われる。また、上記CO
2排出量の推定精度は、充電ステーション管理装置CMが実際に計測した排出量と、上記推定方法により算出された推定値との比率として算出される。
【0060】
算出された上記CO
2排出量の推定値と推定精度を示す情報は、例えば、値が更新されるごとに、あるいは所定の日時が経過するごとに、充電対象となった電池モジュールBT1〜BTnの個体識別番号と共に、製造物情報管理サーバSVへ送信される。なお、上記CO
2排出量の推定値と推定精度を示す情報は、製造物情報管理サーバSVからの送信要求に応じて送信されるようにしてもよい。
【0061】
これに対し製造物情報管理サーバSVの制御部1は、充電ステーション管理装置CMから上記CO
2排出量の推定値と推定精度を示す情報が送信されると、CO
2排出情報管理部14の制御の下、ステップS14において、上記送信情報を通信I/F4を介して受信する。そして、受信された上記CO
2排出量の推定値と推定精度を示す情報を、同時に受信された電池モジュールの個体識別番号をもとに、例えば
図5に示すように使用履歴情報DB32の対応する使用履歴情報に更新記憶させる。
【0062】
以後同様に、充電ステーション管理装置CMから新たなCO
2排出量の推定値と推定精度を示す情報が送信されるごとに、CO
2排出情報管理部14は、当該CO
2排出情報を受信して使用履歴情報DB32に記憶させる。
【0063】
(4)メンテナンス履歴情報の管理
例えばディーラー等が運営する整備事業者において、電池モジュールのメンテナンス作業が行われると、作業者はメンテナンス管理装置BMにメンテナンス履歴情報を入力する。例えば、電池パック等の部品交換を行った場合、作業者は、交換部品の種類と修理方法との組合せを示す「メンテナンスパターン番号」と、交換/修理の「実施年月日」、および「メンテナンス事業者名」を入力する。また作業者は、メンテナンスパターン別に当該電池モジュールの充電回数を補正するための「補正ルール」を指定する情報を入力する。
【0064】
メンテナンス管理装置BMは、入力された上記各情報をメンテナンス履歴情報とし、メンテナンス対象の電池モジュールの個体識別番号に対応付けて装置内のメモリに保存する。そして、新たなメンテナンス履歴情報が生成されるか、またはメンテナンス履歴の内容が更新されるごとに、あるいは所定の日時が経過するごとに、上記メンテナンス履歴情報をその更新要求と共に製造物情報管理サーバSVへ送信する。なお、上記メンテナンス履歴情報は、製造物情報管理サーバSVからの送信要求に応じて送信されるようにしてもよい。
【0065】
これに対し製造物情報管理サーバSVの制御部1は、メンテナンス履歴情報管理部13の制御の下、ステップS15において、上記メンテナンス管理装置BMから送信されるメンテナンス履歴の更新要求の受信を監視している。この状態で、更新要求が受信されるとメンテナンス履歴情報管理部13は、ステップS16において、上記メンテナンス管理装置BMから送信されたメンテナンス履歴情報を通信I/F4を介して受信する。そして、受信されたメンテナンス履歴情報に含まれる電池モジュールの個体識別番号を、製造物属性情報DB31に登録されている属性情報に含まれる個体識別番号と照合し、一致する個体識別番号があれば、上記受信されたメンテナンス履歴情報を例えば
図6に示すようにメンテナンス履歴情報DB33に更新記憶させる。なお、個体識別番号が登録されていないメンテナンス履歴情報は、メンテナンス履歴情報DB33に記憶させない。
【0066】
またメンテナンス履歴情報管理部13は、上記メンテナンス履歴情報を受信すると、このメンテナンス履歴情報に含まれる補正ルールに従い、使用履歴情報DB32に記憶されている対応する使用履歴情報の累計充電回数を補正する。例えば、電池パックが全交換された場合には、累計充電回数を一旦ゼロにリセットし、それ以降の充電回数を実際の使用量とする。また、一部の電池パックのみが交換された場合には、電池パック別に管理されている累計充電回数のうち、交換された電池パックに対応する累計充電回数のみをゼロにリセットする。
【0067】
(5)リユース支援情報の生成と配信処理
製造物情報管理サーバSVの制御部1は、配信制御部16の制御の下、ステップS17において、例えば電池モジュールのリサイクル事業者、または電池モジュールの使用者、つまり電気自動車EV1〜EVnの使用者が使用する端末から送られる、電池モジュールについての情報閲覧要求を監視する。この状態で、情報閲覧要求が受信されると、配信制御部16は、当該情報閲覧要求に含まれる電池モジュールの個体識別番号を製造物属性情報DB31に記憶された属性情報と照合して該当する電池モジュールの有無を判定する。
【0068】
上記配信制御部16により、該当する電池モジュールに関する情報が存在すると判定されると、製造物情報管理サーバSVの制御部1は、リユース支援情報生成部15の制御の下、ステップS18において、製造物属性情報DB31、使用履歴情報DB32およびメンテナンス履歴情報DB33から、それぞれ該当する電池モジュールに対応する製造物属性情報、使用履歴情報およびメンテナンス履歴情報を読み出す。そしてリユース支援情報生成部15は、ステップS19において、読み出された上記各情報に基づいて、以下のようにリユース支援情報を生成する。
【0069】
例えば、先ず上記
使用履歴情報に含まれる、問合せ対象となる電池モジュールの用途を表す情報をもとに、製造物属性情報から該当する用途の使用量上限値を選択する。次に、使用履歴情報に充電情報として含まれる、充電回数、総充電累計時間および総充電電力量のいずれかを、選択された上記使用量上限値と比較する。そして、その比較結果をもとに、問合せ対象となっている上記電池モジュールの再利用の可否を表す情報を生成すると共に、上記電池モジュールの残り充電回数、残り充電累計時間または残り充電電力の推定値を算出する。そして、生成された上記再利用の可否を表す情報と、算出された上記電池モジュールの残り充電回数、残り充電累計時間または残り充電電力の推定値を含むリユース支援情報を生成する。
【0070】
またリユース支援情報生成部15は、使用履歴情報に含まれるCO
2排出量の推定値と、その信憑性を表す情報を上記リユース支援情報に含める。その際、上記CO
2排出量の推定値を予め設定された閾値と比較し、その比較結果をもとに上記電池モジュールを充電するために使用した電源の種類に対する評価情報を生成し、生成された評価情報をリユース支援情報に含めてもよい。この電源の種類の評価情報は、例えば電池モジュールの使用者、つまり電気自動車の使用者が、以後充電ステーションで電池モジュールに充電を行うときに電源の種類を選択する参考情報として利用可能である。
【0071】
さらに、上記CO
2排出量の推定値をもとに電池モジュールをリユースする際の製品の再販可能価格を設定し、設定された製品の再販可能価格をリユース支援情報に含めるようにしてもよい。この場合、電池モジュールを充電するために排出されたCO
2量が少ないほど、当該電池モジュールの再販可能価格つまり下取り価格が高くなるように設定する。このようにすると、電池モジュールの使用者は、例えば電気自動車を下取りに出すときの電池モジュールの査定価格をできる限り高くするために、充電時に使用する電源として再生可能エネルギを使用した電源を積極的に使用するようになり、結果的に電池モジュールの使用に要するCO
2排出量を抑制することが可能となる。
【0072】
配信制御部16は、以上のように生成されたリユース支援情報を、ステップS20において、通信I/F4から要求元の端末に向け送信する。
【0073】
(作用・効果)
以上述べたように一実施形態では、製造物情報管理サーバSVにおいて、複数の蓄電池メーカが製造した電池モジュールについて、その属性情報、使用履歴情報、メンテナンス履歴情報およびCO
2排出情報をそれぞれ収集し、相互に関連付けてDB31〜33に記憶する。そして、情報閲覧要求を受信した場合に、該当する電池モジュールの属性情報、使用履歴情報、メンテナンス履歴情報およびCO
2排出情報に基づいてリユース支援情報を生成し、生成されたリユース支援情報を要求元に送信するようにしている。
【0074】
従って、異なる蓄電池メーカが製造した電池モジュールに関する各種情報を製造物情報管理サーバSVにおいて一括して管理することが可能となる。その結果、事業者ごとに情報処理装置を設けて電池モジュールの使用履歴情報等を収集し管理する必要がなくなり、これにより事業者の設備負荷および管理負荷を軽減することが可能となる。
【0075】
また、電池モジュールを再利用とする事業者は、どの蓄電池メーカが製造した電池モジュールであっても、またどのような用途で使用された電池モジュールであっても、さらにどのメンテナンス事業者によりメンテナンスされた電池モジュールであっても、製造物情報管理サーバSVに対し情報閲覧要求を送信するだけで、電池モジュールの再利用に必要な支援情報を確実に取得できるようになり、これにより電池モジュールのリユースを適切に推進することが可能となる。
【0076】
また、リユース支援情報に、CO
2排出量の推定値とその信憑性を表す情報を含めることで、リユース業者は電池モジュールのリユースをより適切に行うことが可能となる。さらに、CO
2排出量の推定値を予め設定された閾値と比較し、その比較結果をもとに上記電池モジュールを充電するために使用した電源の種類に対する評価情報を生成し、生成された評価情報をリユース支援情報に含めることで、例えば電池モジュールの使用者、つまり電気自動車の使用者が、以後充電ステーションで電池モジュールに充電を行うときに、上記評価情報を電源の種類を選択する際の参考情報として利用することができる。
【0077】
さらに、上記CO
2排出量の推定値をもとに、CO
2排出量が少ないほど電池モジュールの再販可能価格が高くなるような再販可能価格を設定し、設定された製品の再販可能価格をリユース支援情報に含めるようにすることで、電池モジュールの使用者は、例えば電気自動車を下取りに出すときの電池モジュールの査定価格をできる限り高くするために、充電時に使用する電源として再生可能エネルギを使用した電源を積極的に使用するようになる。この結果、電池モジュールを使用に必要なCO
2排出量を抑制することが可能となる。
【0078】
[その他の実施形態]
(1)前記一実施形態では、CO
2排出量の推定値を、充電ステーション管理装置CMから製造物情報管理サーバSVへ送信する場合を例にとって説明した。しかし、この発明はそれに限らず、充電時に当該充電に使用した電源の種別に応じたCO
2排出量の推定値を、充電ステーション管理装置CMから電気自動車EV1〜EVnの車両管理装置MM1〜MMnへ転送し、車両管理装置MM1〜MMnが上記CO
2排出量の推定値を製造物情報管理サーバSVへ送信するようにしてもよい。
【0079】
(2)前記一実施形態では、閲覧要求元の端末へリユース支援情報のみを送信する場合を例にとって説明した。しかし、この発明はそれに限らず、リユース支援情報の代わりに、製造物属性情報、使用履歴情報およびメンテナンス履歴情報を送信するようにしてもよく、またリユース支援情報に加えて、製造物属性情報、使用履歴情報およびメンテナンス履歴情報を送信するようにしてもよい。さらには、閲覧要求元に対し、上記各情報のメニューを提示し、提示したメニューから選択された情報を選択的に送信するようにしてもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。例えば、製造物としては、自動車用の電池モジュール以外に、オフィスや工場、住宅等に使用する設備機器や家電製品、コンピュータやサーバ、ネットワーク機器等の情報通信機器、照明機器、空調機器、工作機械やロボット、搬送機器等の産業用機器、乗用車やトラック、バス等の輸送用車両、建設機械等であってもよく、またこれらの製品に使用されるモータやコンプレッサ、電子部品等の部品類も含まれる。
【0081】
その他、製造物情報管理装置の種類や構成、処理手順と処理内容、製造物属性情報、使用履歴情報およびメンテナンス履歴情報のデータ構成と生成場所、CO
2排出量の推定に用いるパラメータの種類や計算手法と計算場所等についても、この発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0082】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【課題】事業者の設備負荷および管理負荷を軽減すると共に、製造物を再利用しようとする者が再利用に必要な支援情報を確実に取得できるようになり、これにより製造物の再利用のさらなる推進を図る。
排出情報をそれぞれ収集し、相互に関連付けてDB31〜33に記憶する。そして、情報閲覧要求を受信した場合に、該当する電池モジュールの属性情報、使用履歴情報、メンテナンス履歴情報およびCO