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特許6972237変性ビスマレイミド樹脂及びその調製方法、プリプレグ、銅箔基板及びプリント基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972237
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】変性ビスマレイミド樹脂及びその調製方法、プリプレグ、銅箔基板及びプリント基板
(51)【国際特許分類】
   C08F 22/40 20060101AFI20211111BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20211111BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20211111BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   C08F22/40
   C08J5/24CFG
   H05K1/03 610N
   H05K3/46 T
   H05K3/46 G
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2020-100003(P2020-100003)
(22)【出願日】2020年6月9日
(65)【公開番号】特開2021-70807(P2021-70807A)
(43)【公開日】2021年5月6日
【審査請求日】2020年6月9日
(31)【優先権主張番号】108138990
(32)【優先日】2019年10月29日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】陳 豪昇
(72)【発明者】
【氏名】張 宏毅
(72)【発明者】
【氏名】陳 其霖
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−115156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F22/40
C07D207/448
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される化学構造を有する、ことを特徴とする変性ビスマレイミド樹脂。
【化1】
[式(1)中、Rは、下記式(5)で示される基を表す。]
【化2】
【請求項2】
10GHzにおいて、前記変性ビスマレイミド樹脂の誘電率(Dk)は2.6未満であり、前記変性ビスマレイミド樹脂の誘電正接(Df)は0.003未満であり、前記変性ビスマレイミド樹脂のガラス転移温度は250Cを上回る、請求項1に記載の変性ビスマレイミド樹脂。
【請求項3】
請求項1に記載の変性ビスマレイミド樹脂を基材に施して乾燥させることによって作製される、ことを特徴とするプリプレグ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリプレグ及び前記プリプレグに形成される銅箔層を含む、ことを特徴とする銅箔基板。
【請求項5】
請求項4に記載の銅箔基板の前記銅箔層をパターン化することによって作製される、ことを特徴とするプリント基板。
【請求項6】
請求項に記載の変性ビスマレイミド樹脂の調製方法であって、前記調製方法は、
ミキサーが設置された反応器を提供するステップと、
非極性主鎖を有するジアミン、無水マレイン酸及び溶媒を含む反応液を前記反応器に入れるステップであって、前記非極性主鎖を有するジアミンと前記無水マレイン酸とのモル比は1:2〜1:3であるステップと、
前記ミキサーを起動させることによって前記反応液を均一に混合させ、前記反応液に触媒を入れるステップと、
大気圧下、90C〜150Cの反応温度において、合成反応を12〜25時間行い、粘稠状樹脂溶液を得るステップと、を含む、ことを特徴とする変性ビスマレイミド樹脂の調製方法。
【請求項7】
前記粘稠状樹脂溶液から前記変性ビスマレイミド樹脂を析出させ、不純物を除去するステップをさらに含む、請求項に記載の変性ビスマレイミド樹脂の調製方法。
【請求項8】
前記反応液の固含量は40wt%〜60wt%である、請求項に記載の変性ビスマレイミド樹脂の調製方法。
【請求項9】
前記溶媒は、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はトルエンであり、前記触媒は酢酸、酢酸ナトリウム及びトリエチルアミンを含む、請求項に記載の変性ビスマレイミド樹脂の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスマレイミド樹脂に関し、特に、総合的に性能が優れた変性ビスマレイミド樹脂及びその利用(例えば、プリプレグ、銅箔基板及びプリント基板)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子製品が多機能化及び小型化へ発展するに連れ、色んな面で回路板に対する要求は高くなってきた。それによって、回路板は、多層化、配線の高密度化、信号伝送の高速化へ発展していく。高分子材料の誘電特性、例えば、誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)は信号の伝送速度及び信号の品質に関する重要な指標と言える。伝送速度において、高分子材料の誘電率が低いほど、信号の伝送速度は速く、信号完全性において、高分子材料の誘電正接が低いほど、信号の損失は少ない。一部の用途(例えば、高周波プリント基板)では、高分子材料は、かなり低い誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を有しなければならず、他にも、高耐熱性、高成形性、優れた機械特性及び耐老化性を有する必要がある。
【0003】
銅箔基板(copper clad laminate、CCL)はプリント基板の主要材料であり、その構成に、熱可塑性樹脂、補強材及び銅箔などが含まれる。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリイミド(PI)、ポリフェニレンエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトンなどを含み、優れた誘電性能及び良い靭性を有する。しかし、これらの樹脂は成形性及び溶媒への溶解性が悪く、また、高い熔点及び熔体粘度を有するため、繊維への接着性が悪い。そのため、加工されにくく、利用の範囲が制限される。また、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステルなどは耐熱性及び耐湿熱性が悪く、誘電正接が高いなどの関係で、一部の特殊な目的による適用を満足することが困難である。
【0004】
ビスマレイミド(BMI)は構造が緻密で、剛性及び強度が高く、優れた物理特性及び誘電性能(高い熱安定性、良い機械的性質、高いガラス転移温度(Tg)及び高い硬さ(toughness)などを含む)を有するため、よく銅箔基板に使用される。しかし、一般構造のビスマレイミド樹脂は靭性が低く、脆い物性を有し、加工性が悪い。また、溶媒への溶解性が低く、誘電率が高いため、利用が困難である。
【0005】
利用性を高くするには、BMIは変性する必要がある。BMIの変性ルートは多く、例えば、芳香族ジアミン及びエポキシ樹脂変性BMI、熱可塑性樹脂変性BMI、ゴム変性BMI、硫黄含有化合物変性BMI、アリル化合物変性BMI、異なる構造をそれぞれ有する幾つかのBMIを混合することによって変性したBMI、鎖延長BMI、新しく合成されたBMIなどが挙げられる。変性したBMIは、特定の特性は改善されるが、目的の用途に必要な全ての特性を兼有しないことが多い。例えば、変性したBMIは、靭性は向上したが、誘電率又は誘電正接は下がらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術の不足に対し、変性ビスマレイミド樹脂を提供することである。前記変性ビスマレイミド樹脂は、その構造に非極性・疎水性基がより多く含まれるため、靭性、耐熱性及び溶媒への溶解性が改善されるだけではなく、電場において分極が発生しにくく、それによって所期の低誘電特性を持たせる。また、本発明は、当該変性ビスマレイミド樹脂を用いたプリプレグ、銅箔基板及びプリント基板をさらに提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来技術の不足に対し、本発明が採る技術的手段は、変性ビスマレイミド樹脂を提供することである。前記変性ビスマレイミド樹脂は下記式(1)で示される化学構造を有する。
【0008】
【化1】
【0009】
[式(1)中、Rは下記式(2)〜式(4)で示される基の群から選ばれるいずれかを表す。]
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
[式(2)中、Xは、炭素又はRは下記(i)〜(v)に示される基の群から選ばれるいずれかを表す。]
【0014】
【化5】
【0015】
【化6】
【0016】
[式(3)中、Yは、炭素又はRは下記(vi)〜(ix)で示される基の群から選ばれるいずれかを表し、R及びRはそれぞれ独立して、ベンジル又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。]
【0017】
【化7】
【0018】
[式(4)中、Zは、酸素原子、炭素原子、又は下記(x)〜(xiv)に示される基の群から選ばれるいずれかを表し、R〜Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、nは0〜20の正数である。]
【化8】
【0019】
従来技術の不足に対し、本発明が採る別の技術的手段は、変性ビスマレイミド樹脂を提供することである。前記変性ビスマレイミド樹脂は下記式(1)で示される化学構造を有する。
【0020】
【化9】
【0021】
(式(1)中、Rは下記式(5)で示される基を表す。)
【0022】
【化10】
【0023】
本発明の一実施形態において、上述した化学構造を有する変性ビスマレイミド樹脂の調製方法は、ミキサーが設置された反応器を提供するステップと、非極性主鎖を有するジアミン、無水マレイン酸及び溶媒を含む反応液を前記反応器に入れるステップと、前記ミキサーを起動させることによって前記反応液を均一に混合させながら、前記反応液に触媒を入れるステップであって、前記非極性主鎖を有するジアミンと前記無水マレイン酸とのモル比は1:2〜1:3であるステップと、大気圧下、90C〜150Cの反応温度において、合成反応を12〜25時間行い、粘稠状樹脂溶液を得るステップとを含む。
【0024】
本発明が採る他の技術的手段は、プリプレグを提供することである。前記プリプレグは上述した化学構造を有する変性ビスマレイミド樹脂を基材に施して乾燥させることによって作製される。
【0025】
本発明が採る他の技術的手段は、銅箔基板を提供することである。前記銅箔基板は、上述した化学構造を有する変性ビスマレイミド樹脂のプリプレグ及び前記プリプレグに形成される銅箔層を含む、ことを特徴とする銅箔基板。
【0026】
本発明が採る他の技術的手段は、プリント基板を提供することである。前記プリント基板は、上述した構成を有する銅箔基板の前記銅箔層をパターン化することによって作製される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の変性ビスマレイミド樹脂は、一般のビスマレイミド樹脂と比較して、以下の有利な特性を有する。
1.変性ビスマレイミド樹脂は、特殊な化学構造を有することにより、靭性が増加し、脆性が減少し、耐熱性が増加する。また、溶媒への溶解量も増加する。アセトンに対する変性ビスマレイミド樹脂の溶解率は少なくとも25%である。
2.変性ビスマレイミド樹脂は、その構造に非極性・疎水性基がより多く含まれ、それによって、電場において分極が発生しにくく、優れた低誘電特性を有する。10GHzにおいて、変性ビスマレイミド樹脂は、誘電率(Dk)が2.6未満であり、誘電正接(Df)が0.003未満である。
3.変性ビスマレイミド樹脂は250Cを上回るガラス転移温度(Tg)を有する。
【0028】
本発明の変性ビスマレイミドは、不飽和基を有する他の化合物と混合して使用し、それによって、目的の用途(例えば、銅箔基板)に、例えば、より良い耐熱性と靭性、及びより低い誘電率と誘電正接等必要な特性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明における変性ビスマレイミド樹脂の調製方法を示す流れ図である。
図2】本発明におけるプリプレグの製造過程を示す模式図である。
図3】本発明におけるプリプレグの構造を示す模式図である。
図4】本発明における被覆金属基板の製造過程を示す模式図である。
図5】本発明におけるプリント基板の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の特徴及び技術内容をより一層理解できるように、本発明に係る詳細な説明と図面を参照してもよいが、提供される図面は、ただ参照と説明のためのものであり、本発明を制限することはない。
【0031】
以下、所定の具体的な実施形態によって本発明が開示した「変性ビスマレイミド樹脂及びその調製方法、プリプレグ、銅箔基板及びプリント基板」に係る実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施形態によって実行又は適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際な寸法に基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。
【0032】
理解されるべきように、本文には、「第1」、「第2」、「第3」という用語を使用して各種の素子又は信号を記述する可能性があるが、これらの素子又は信号は、これらの用語に制限されない。これらの用語は主に、1つの素子ともう1つの素子、又は1つの信号ともう1つの信号を区別するためのものである。また、本文に使用される「又は」という用語は、実際な状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つ又は複数の組合せを含む可能性がある。
【0033】
ビスマレイミド樹脂の機械特性、電気特性、耐熱性、溶媒への溶解性及び加工成型性を改善し、目的の用途によるニーズを達成するために、本発明は非極性主鎖を有するジアミンと無水マレイン酸とを有機反応させ、それによって、非極性・疎水性基をビスマレイミド樹脂の構造により多く含ませる。
【0034】
本発明の変性ビスマレイミド樹脂は式(1)で示される構造を有する。
【0035】
【化11】
【0036】
式(1)中、Rは下記式(2)〜式(4)で示される基の群から選ばれるいずれかを表す。
【0037】
【化12】
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
式(2)中、Xは、炭素又は下記に示される基の群から選ばれるいずれかを表す。
【0041】
【化15】
【0042】
式(3)中、Yは下記に示される基の群から選ばれるいずれかを表す。R及びRはそれぞれ独立して、ベンジル又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。
【0043】
【化16】
【0044】
式(4)中、Zは、酸素原子、炭素原子、又は下記に示される基の群から選ばれるいずれかを表す。R〜Rはそれぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。nは0〜20の正数である。
【0045】
【化17】
【0046】
一部の実施形態では、Xは下記式(5)で示される基である。
【0047】
【化18】
【0048】
特筆に値するのは、本発明の変性ビスマレイミド樹脂は、特殊な化学構造を有することにより、靭性が増加し、脆性が減少し、耐熱性が増加し、溶媒への溶解量も増加する。また、変性ビスマレイミド樹脂は、その構造に非極性・疎水性基がより多く含まれ、それによって、電場において分極が発生しにくく、優れた低誘電特性を有する。また、変性ビスマレイミド樹脂は高いガラス転移温度(Tg)を有する。さらに、10GHzにおいて、変性ビスマレイミド樹脂は、誘電率(Dk)が2.6未満であり、誘電正接(Df)が0.003未満である。アセトンに対する変性ビスマレイミド樹脂の溶解率は少なくとも25%である。
【0049】
実際の需要に応じて、本発明の変性ビスマレイミドは不飽和基を有する他の化合物と混合して使用し、それによって、目的の用途(例えば、銅箔基板)に、例えば、より良い耐熱性と靭性、及びより低い誘電率と誘電正接等必要な特性を持たせることができる。不飽和基を有する化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニルなどのビニル化合物、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの1価又は多価アルコール(メタ)アクリレート類、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート類、及びベンゾシクロブテン樹脂が挙げられる。これらの不飽和基を有する化合物は一種又は一種以上を混合させて使用してもよい。
【0050】
図1に示すように、本発明の変性ビスマレイミド樹脂は、反応器を提供するステップS1と、計量に基づいて反応原料を反応器に入れ反応を行い、ビスマレイミドを合成するステップS2と、反応産物を析出させ、純化を行うステップS3とによって調製されてもよい。
【0051】
さらに、反応器の内部にはミキサーが設置される。ステップS2では、反応原料は反応液として存在する。反応液は、主に、非極性主鎖を有するジアミン、無水マレイン酸及び溶媒を含む。反応液の固含量は、10wt%〜60wt%であり、好ましくは40wt%〜60wt%である。なかでも、ジアミンと無水マレイン酸とのモル比は1:2〜1:3である。溶媒は非プロトン性極性溶媒であり、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)及びトルエンの群から選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0052】
合成反応は、大気圧下、室温〜200Cの反応温度において、触媒及び脱水剤が存在した状態で行われる。1〜3時間反応後、まず、ビスマレイミド酸が生成される。さらに1〜5時間反応後、反応液にビスマレイミド樹脂が存在するようになる。触媒は滴加によって反応液に入れてもよい。触媒は酢酸、酢酸ナトリウム及びトリエチルアミンの群から選ばれる一種又は一種以上を使用してもよく、好ましくは、酢酸、酢酸ナトリウム及びトリエチルアミンを同時に含む。好ましくは、合成反応を行う前に、反応器に窒素を入れて、反応器内の空気と水分を除去する。しかし、これらの細節は本発明が提供した可能な実施形態に過ぎず、本発明はこれに制限されない。
【0053】
ステップS2では、下記式(6)〜式(10)で示される、非極性主鎖を有するジアミンを使用してもよい。
【0054】
【化19】
【0055】
(以下、ジアミンAと称される)
【0056】
【化20】
【0057】
(以下、ジアミンBと称される)
【0058】
【化21】
【0059】
(以下、ジアミンCと称される)
【0060】
【化22】
【0061】
(以下、ジアミンDと称される)
【0062】
【化23】
【0063】
(以下、ジアミンEと称される)
【0064】
ステップS3では、まず、反応液に適量の脱イオン水を入れ、その後、ミキサーを起動させてしばらく攪拌を行い、樹脂顆粒又は溶液を徐々に析出させる。析出が行われた後の反応液をろ過して真空乾燥を行った後、ビスマレイミド樹脂を得る。
[実施例1]
【0065】
ジアミンA47.7g(0.2molと等しい)と無水マレイン酸43.1g(0.44molと等しい)を準備し、それをアセトン300mlに溶かす。このように調製した反応液を、内部にミキサーが設置された500mlの四口丸底フラスコに入れ、四口丸底フラスコに窒素を入れて空気及び水分を除去する。大気圧において、ミキサーを起動させ、300rpmの回転速度で反応液を均一に混合させる。
【0066】
反応温度が80°Cになった時、反応液中の固成分が全て溶解し、反応液は透き通った赤褐色を呈する。この時、滴加によって酢酸ナトリウム4g、無水酢酸140ml及びトリエチルアミン28mlを反応液に入れ、反応温度を90°Cに設定し、反応時間は12時間である。反応完成後、反応液は透き通った赤褐色から粘稠な赤褐色(反応液が粘稠である)に転じた。その後、析出及び純化を行い、濃赤褐色の反応液からライトブラウンの樹脂顆粒を析出させ、未反応の単量体、殘留酸などの不純物を除去し、高純度の80gの赤褐色ビスマレイミド樹脂顆粒(以下、BMI−A樹脂と称される)を得た。BMI−Aで銅箔基板を製造し試験を行った。結果は表2に示す。
[実施例2]
【0067】
調製方法及び反応条件は実施例1と同様であるが、ジアミンB69.7g及び無水マレイン酸43.1gを重合反応の単量体とし、それらをDMF245mlに溶かし、このように調製した反応液に酢酸ナトリウム4.5g、無水酢酸152ml及びトリエチルアミン30mlを触媒として入れたこと、及び反応時間が20時間に変更されたことは実施例1とは異なる。最後に、高純度のダークブラウンのビスマレイミド樹脂顆粒(以下、BMI−B樹脂と称される)85gを得た。BMI−B樹脂で銅箔基板を製造し試験を行った。結果は表2に示す。
[実施例3]
【0068】
調製方法及び反応条件は、実施例1と同様であるが、ジアミンC69.2g及び無水マレイン酸43.1gを重合反応の単量体とし、それらを266mlのDMFに溶かし、このように調製した反応液に、酢酸ナトリウム3.4g、無水酢酸130ml及びトリエチルアミン35mlを触媒として入れたこと、及び反応温度が120Cに変更され、反応時間が15時間に変更されたことは実施例1とは異なる。最後に、高純度の赤褐色のビスマレイミド樹脂顆粒(以下、BMI−C樹脂と称される)90gを得た。BMI−C樹脂で銅箔基板を製造し試験を行った。結果は表2に示す。
[実施例4]
【0069】
調製方法及び反応条件は実施例1と同様であるが、ジアミンD75.3g及び無水マレイン酸43.1gを重合反応の単量体とし、それらをトルエン270mlに溶かし、このように調製した反応液に、酢酸ナトリウム4.7g、無水酢酸132ml及びトリエチルアミン40mlを触媒として入れたこと、及び反応温度が150Cに変更され、反応時間が18時間に変更されたことは実施例1とは異なる。最後に、高純度の赤褐色のビスマレイミド樹脂顆粒(以下、BMI−D樹脂と称される)83gを得た。BMI−D樹脂で銅箔基板を製造し試験を行った。結果は表2に示す。
[実施例5]
【0070】
調製方法及び反応条件は、実施例1と同様であるが、ジアミンE86.9g及び無水マレイン酸43.1gを重合反応の単量体とし、それらをトルエン430mlに溶かし、このように調製した反応液に酢酸ナトリウム3g、無水酢酸156ml及びトリエチルアミン44mlを触媒として入れたこと、及び反応温度が100Cに変更され、反応時間が25時間に変更されたことは実施例1とは異なる。最後に、高純度の薄黄色のビスマレイミド樹脂顆粒(以下、BMI−E樹脂と称される)95gを得た。BMI−E樹脂で銅箔基板を製造し試験を行った。結果は表2に示す。
【0071】
比較例はビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン(BMI−5100、大和化成工業製)で銅箔基板を製造し試験を行った。結果は表2に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
表2におけるキー特性の試験方法は以下に示す。
1.ガラス転移温度(C)
示差走査熱量計(DSC)TA2100でガラス転移温度を測定した。
2.誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)
誘電分析装置(Dielectric Analyzer)HP Agilent E4991Aで10GHzにおける誘電率及び誘電正接を測定した。
3.溶媒への溶解性
樹脂をアセトン溶媒に溶解させ、溶解量を測定した。溶媒への溶解性は重量%で表示される。
【0075】
図2及び図3に示すように、本発明の変性ビスマレイミド樹脂はプリプレグ1の製造に使用し得る。プリプレグ1は、変性ビスマレイミド樹脂を含有した樹脂材料12を基材11(例えば、絶縁紙、ガラス繊維布又は他の繊維材料)に施して乾燥させることによって作製されてもよい。さらに、樹脂材料12は樹脂ワニスとして存在してもよく、樹脂材料12を施す方式は塗布又は含浸であってもよい。樹脂材料12が添加された基材11を適切な温度において乾燥処理を行い、所定の時間が経過すると、半硬化状態のプリプレグ1が形成される。
【0076】
樹脂材料12は機能性添加剤をさらに含んでもよい。それによって、実際に応用される時に必要な各種の特性が満足される。機能性添加剤は難燃剤、溶媒、充填材及び硬化促進剤の群から選ばれる少なくとも一種である。
【0077】
図4に示すように、上述したプリプレグ1は銅箔基板Cの製造に使用し得る。さらに、銅箔基板Cは少なくとも一つのプリプレグ1の片面又は両面に銅箔層2を重ね、熱プレスを行うことによって形成されてもよい。熱プレスの条件は特に制限されず、樹脂材料の組成に基づいて調整してもよい。
【0078】
図5に示すように、上述した銅箔基板Cはプリント基板Pの製造に使用し得る。さらに、プリント基板Pは銅箔基板Cの銅箔層2をパターン化することによって作製されてもよい。銅箔層2は所定の回路パターンを有し、それによって回路層2’が形成される。パターン化の方式はリソグラフィーであってもよいが、これに制限されない。
【0079】
以上に開示された内容は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そのため、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された同等の技術的変形は、何れも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1:プリプレグ
11:基材
12:樹脂材料
2:銅箔層
2’:回路層
C:銅箔基板
P:プリント基板
ステップS1〜ステップS3:調製方法のステップ
図1
図2
図3
図4
図5