(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の検出線は、前記第1の検出線と前記第2の検出線との間隙から侵入した侵入者が検出できる程度の長さまで前記交差部から延設されることを特徴とする請求項1記載の侵入検出センサ。
【背景技術】
【0002】
監視区域となる大規模プラントのような広大な敷地を監視する場合、その外周に沿って設けられたフェンスなどの構造物を伝って侵入する侵入者を検出するため、例えば監視カメラ、振動センサ、超音波センサ、赤外線センサなど種々の検出センサが使用される。
【0003】
ところが、監視カメラは、霧や雨などの天候によりカメラの検出精度が低下してしまうことがある。
振動センサは、センサを設置するフェンスが風の影響により振動して誤動作するという問題がある。
超音波センサは、風による樹木の枝葉の動きや小動物により誤検出が生じやすいという問題がある。
赤外線センサは、発光部から受光部までの検出領域を直線状に形成する必要があるため、センサを設置するフェンスが曲面構造のときは、フェンスの曲面に沿って検出領域を形成することができない。仮に設置する場合は、複数のセンサを曲面に沿って配置しなければならず設置費用が嵩むとともにシステム構成が複雑化するという問題がある。
【0004】
また、何れのセンサも、監視領域の内側から構造物に近接する人体は検出せず、監視領域の外側から近接する侵入者のみを検出するように検出エリアを挟域化することが困難である。そのため、広大な監視区域を精度良く検出可能とするには、多数のセンサが必要となり、設置費用などが嵩むという問題がある。
【0005】
以上のことから、監視区域の形状や天候に左右されず、また監視区域外からの侵入者の近接のみを正確に検出でき、さらには広大な監視区域を満遍なく監視可能なセンサとしては、例えば下記特許文献1に開示されるような敷設式の電界センサが好ましく用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の敷設式電界センサは、所定周波数の交流信号が印加されることで電界を発生させるセンサケーブルと、センサケーブルを監視区域外側で支持する支持部材と、センサケーブルで発生した電界の変化から侵入者の有無を検出する制御器(図示せず)とで構成され、例えば
図6に示すように監視区域の外周に沿って敷設される。
【0008】
また、広大な監視区域を監視する場合、一組の電界センサではどの場所から侵入されたか判断できないため、複数の電界センサを監視区域の外周に沿って所定間隔(例えば40m〜80m間隔)で敷設する。そして、センサ間に隙間ができないよう、センサケーブルの一部をオーバーラップさせて隣接する電界領域同士が一部重なるようにしている。
【0009】
ところで、この種の電界センサは、フェンスポールから監視区域外に向けて延設される支持部材の先端にセンサケーブルを係止し、センサケーブルの両端部に金属製のワイヤを連結させ所定の張力をかけた状態で張設されている。
【0010】
しかしながら、隣接する検出線の発振周波数は異なっているため、隣接する電界センサの一部をオーバーラップさせることで互いに干渉し合って電界強度が低下し、その影響によりセンサ重複部分の検出感度が低下してしまうという問題がある。
【0011】
また、監視区域の角部では、角部に向かって2方向から別の電界センサを敷設しており、両センサの角部側のセンサケーブルを角部近傍で交差させた状態で張設している。
【0012】
しかしながら、このように敷設すると、センサケーブルの交差部分で互いに干渉し合って電界強度が低下し、その影響によりセンサ重複部分の検出感度が低下してしまうという問題がある。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、複数組みの電界センサを監視区域の周囲に隣接して敷設する際に、隣接する電界の検出感度の低下を抑制しつつ確実に侵入者を検出することのできる侵入検出センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る第1の態様は、
監視区域の外周を囲う第1のフェンスと第2のフェンスで前記監視区域の角部が形成され、前記監視区域に近接する侵入者を検出する侵入検出センサにおいて、
印加される交流信号により電界を発生させ、前記電界の変化に応じた検出信号を出力する検出線と、
フェンス面から前記監視区域外に所定距離離れた位置で前記フェンスに沿って略水平方向に前記検出線を支持する支持部材と、
実質的に導電性及び伸縮性を有さない非導電性ケーブルの一端に絶縁部材が連結され、該ケーブルの他端に張力調整部材が連結され、前記絶縁部材を介して連結される前記検出線に所定の張力を付与した状態で張設する張設部材と、
を備え、
前記第1のフェンスに沿って張設される第1の検出線は、前記角部側の端部を、前記第2のフェンスのフェンス面に合わせた位置で張設され、
前記第2のフェンスに沿って張設される第2の検出線は、前記角部側の端部を、前記監視区域を平面視したときに、前記第1の検出線における前記角部側の端部位置から延長される延長線を交差し、両線の交差部から所定長さ超えた位置で張設されることを特徴とする、侵入検出センサである。
【0015】
本発明に係る第2の態様は、第1の態様に係る侵入検出センサにおいて、
前記第2の検出線は、前記第1の検出線と前記第2の検出線との間隙から侵入した侵入者が検出できる程度の長さまで前記交差部から延設されることを特徴とする、侵入検出センサである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、監視区域の角部において、第1の検出線における角部側の終端位置を、第2のフェンスのフェンス面に合わせた位置とし、第2の検出線における角部側の終端位置は、監視区域を平面視したときに、第1のフェンスに沿って敷設された第1の検出線における角部側の端部から延長される延長線と交差し、この交差部からさらに所定長さ超えた位置まで延設させることで、第1の検出線と第2の検出線との間で電界が干渉し合うことがなく、電界強度が低下せず、侵入者を確実に検出することができる。
【0018】
また、第1の検出線から延長された延長線と第2の検出線との交差部から第2の検出線を延長する長さを、角部における第1の検出線と第2の検出線との間隔に侵入した侵入者が検出可能な程度まで延長させることで、第2の検出線の延長部分により第1の検出線で検出できない侵入者が検出可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
なお、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。従って、添付した図面を用いて説明する実施の形態により、本発明が限定されず、この形態に基づいて当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれるものとする。
【0024】
また、本明細書において、添付する各図を参照した以下の説明において、方向乃至位置を示すために上、下、左、右の語を使用した場合、これはユーザが各図を図示の通りに見た場合の上、下、左、右に一致する。
【0025】
[1.侵入検出センサの動作原理]
まず、本発明の侵入検出センサ1による侵入検出の動作原理について説明する。
図1に示すように、検出線10は、発振線11と感知線12を一組とし、フェンス50の高さに応じて単数又は複数設置される。図例では、フェンス50が忍び返しを有する防護フェンスであり、フェンス面における地面から忍び返しの基端部分までの間に、上下二組みの検出線10が敷設されている。また、各組みの発振線11及び感知線12は、それぞれ検出線10に対応する制御器40と接続されている。
【0026】
制御器40は、所定の発振周波数の交流信号(例えば正弦波交流)を発振線11に印加して感知線12との間で電界を発生させる。発生した電界に侵入者が近接すると電界が変化し、この変化に応じた検出信号が感知線12を介して制御器40に出力される。そして、制御器40は、感知線12が受けた電界変化後の交流信号を入力すると、この信号に所定の信号処理(フィルタ処理や増幅処理など)を行った後に信号を解析して侵入者の有無を判定する。
【0027】
なお、
図1では、フェンス50の外面に沿って2組の検出線10を敷設し、上方の検出線10は上から順に感知線12、発振線11とし、下方の検出線10は上から順に発振線11、感知線12として敷設した例を示している。しかし、検出線10を構成する発振線11と感知線12の上下方向の敷設位置は特に限定されず、例えば図中の各線の上下位置を逆にした構成としてもよいし、
図1に示す下方の検出線10の並びをそのまま上方の検出線10に採用してもよい。
【0028】
[2.侵入検出センサの構成]
次に、本発明に係る侵入検出センサ1の構成について、
図2又は
図3を参照しながら説明する。
図2に示すように、本実施形態の侵入検出センサ1は、監視対象となる監視区域Eの外周を囲うように設けられた構造物であるフェンス50に沿って、複数区分けされた区間単位で敷設される。
【0029】
侵入検出センサ1は、侵入者を検出するための電界を発生させる検出線10と、検出線10をフェンス50における監視区域E外側のフェンス面51(以下、この面を「外面51」ともいう)から所定距離離間した位置で略水平方向に支持する支持部材20と、支持部材20に支持された検出線10を張設する張設部材30と、検出線10周辺に発生した電界の変化に基づいて監視区域Eに近接した侵入者の有無を判断する制御器40を備えている。
【0030】
<2−1.検出線>
検出線10は、導電線である発振線11と感知線12とを一組とした構成である。発振線11と感知線12の両端(終端)にはそれぞれ後述する絶縁部材31が連結され、支持部材20により、フェンス50の外面51に沿って2線がそれぞれ略水平方向に敷設される。なお、検出線10を構成する発振線11と感知線12の上下方向(鉛直方向)の並びは特に限定されない。
【0031】
また、発振線11及び感知線12の一部は、制御器40と接続されている。発振線11は、制御器40から所定の発信周波数の交流信号が印加されると感知線12との間で電界を発生させる。また、感知線12は、侵入者の近接に基づく電界の変化を示す信号(検出信号)を制御器40に出力する。
【0032】
侵入検出センサ1が敷設される監視区域Eの面積は広大であり、侵入者がいた場合にどのエリアで侵入があったかを把握する必要がある。そのため、検出線10は、例えば一区間あたり40m〜80mとし、隣接する区間境界における各検出線10の端部間を、侵入者が侵入できない程度の間隔(幅)で複数敷設される。また、検出線10は、地面との距離が近いと電界強度が弱まるため、少なくとも地面から所定距離(例えば20cm〜30程度)の上方に敷設するのが好ましい。
【0033】
さらに、検出線10は、例えば
図1に示すように、フェンス50の高さに応じて適宜上下(鉛直)方向に複数組配置することで、侵入検出センサ1の敷設区間内に人体検出用の電界が複数形成され、より高精度に侵入者を検出することができる。
【0034】
<2−2.支持部材>
支持部材20は、腕木21と、取付部材22とで構成され、発振線11と感知線12とを、それぞれフェンス50の外面51に沿って略水平方向に敷設されるように支持する。
【0035】
腕木21は、検出線10が係止される係止溝を有する樹脂(ABS)製の先端部であり、本体がFRP製となる部材である。腕木21は、検出線10を敷設する際に、各線11、12が所定の張力で引張された状態を維持するため、一区間内で所定間隔を空けて複数本使用される。
【0036】
なお、検出線10で発生する電界の空間サイズ(すなわち、交流信号の電圧値)にもよるが、フェンス50の影響を極力抑えて一定の検出感度を担保するという観点から、例えばフェンス50から所定距離(例えば50cm程度)離間した位置に敷設するのが好ましい。そのため、腕木21も離間距離に合わせた長さのものを使用する。
【0037】
取付部材22は、耐候性と機械的強度に優れたステンレス(例えばSUS304)製の取付金具(U字金具や取付プレートなど)である。取付部材22は、腕木21の基端部分を支持した状態で支柱60(本例では、フェンス50のフェンスポール)に螺子止めして設置される。
【0038】
<2−3.張設部材>
張設部材30は、絶縁部材31と、非導電性ケーブル32と、張力調整部材33とで構成され、支持部材20を介して敷設された検出線10に対して所定の張力を付与した状態で張設するための部材である。これにより、検出線10は、腕木21間で垂れ下がることなく略水平方向に張設された状態となる。
【0039】
絶縁部材31は、絶縁性、耐候性、機械的強度に優れた材質(例えばセラミックス、ガラス、合成樹脂)で形成される碍子である。絶縁部材31は、一端が検出線10(発振線11又は感知線12)の端部と連結され、他端は非導電性ケーブル32と連結される。
【0040】
非導電性ケーブル32は、例えばデベグラスロープのような実質的に導電性及び伸縮性を有さない非金属製の線材である。非導電性ケーブル32は、例えば二重テグス結びなどで両端を結締して輪状にして使用し、他部材との連結箇所にはシンブル32aが取り付けられている。このシンブル32aは、耐候性と機械的強度に優れたステンレス(例えばSUS304)製の環状部材であり、非導電性ケーブル32の一部が巻き掛けられた状態で装着される。
【0041】
本実施形態では、
図3に示すように、非導電性ケーブル32のうち、検出線10と張力調整部材33との間に介在されるケーブルを第1の非導電性ケーブル32bとし、その一部が絶縁部材31と連結され、他部がシンブル32aを介して張力調整部材33と連結される。また、支柱60と張力調整部材33との間に介在される第2の非導電性ケーブル32cは、その一部が支柱60に捲着され、他部がシンブル32aを介して張力調整部材33と連結される。なお、非導電性ケーブル32は、上記のように2つ使用する必要はなく、例えば張力調整部材33を支柱60に直接連結させ、第1の非導電性ケーブル32bのみを使用する構成としてもよい。
【0042】
張力調整部材33は、ターンバックル33aと、弾性部材33bとで構成され、検出線10の張力を調節するための部材である。なお、張力調整部材33は、ターンバックル33a及び弾性部材33bとからなる構成に限定されず、検出線10の張力が調整可能な部材であれば特に限定されない。
【0043】
ターンバックル33aは、耐候性と機械的強度に優れたステンレス(例えばSUS304)製であり、一端はシンブル32aを介して第1の非導電性ケーブル32bと連結され、他端は弾性部材33bと連結され、検出線10を張設する際の張力調整を行う際に使用される。
【0044】
弾性部材33bは、コイルバネのような弾性変形して所定の張力を付与する部材である。弾性部材33bは、その一端がターンバックル33aと連結され、他端が支柱60(例えばフェンス50のフェンスポール)に捲着される第2の非導電性ケーブル32cと連結される。
【0045】
<2−4.制御器>
制御器40は、例えばCPU(Central Processing Unit )などのプロセッサ、メモリ(ROM、RAMなど)、その他の電子回路などのハードウェア、或いはその機能を持ったプログラムなどのソフトウェアを適宜組み合わせて構成される。制御器40は、監視区域Eの外周に沿って区分けされた区間単位で複数敷設される侵入検出センサ1毎に設けられる。
【0046】
制御器40は、侵入検出センサ1に近接した侵入者を検知するため、発振線11に対して所定の発振周波数で発振する交流信号(例えば正弦波交流)を印加し、印加された交流信号により発生した電界の変化分に応じた検出信号が、感知線12を介して入力される。また、制御器40は、感知線12から検出信号が入力されると、この信号に所定の信号処理(具体的には、入力した検出信号に対するフィルタ処理及び増幅処理など)を行った後、信号解析処理(具体的には、検出信号の位相反転処理、交流信号及び位相反転後の検出信号の重ね合わせ処理、重ね合わせた信号波形の振幅量の変化量を予め設定した人体検出用の閾値との比較処理など)を行って侵入者の有無を判断する。
【0047】
なお、判断した結果、侵入者有りと判断した場合は、図示しない監視装置(監視センターなどに設置)に対し、無線又は有線通信により侵入者有りを示す信号を出力する。これにより、監視員は、侵入検出センサ1からの出力により、監視区域Eのどの区間で侵入者が検知されたかを即座に把握することができる。
【0048】
<2−5.フェンス>
フェンス50は、監視区域Eの外周に沿って設置される構造物である。本実施形態では、フェンス50として忍び返しを有する防護フェンスを採用しているが、これに限定されることはなく、侵入者の侵入が防止可能な塀など、監視区域E内外を隔てるものであればよい。
【0049】
<2−6.支柱>
支柱60は、監視区域Eの外周に沿って所定間隔を空けて地面に複数設置され、支持部材20や張設部材30を取り付けるためのものである。本実施形態では、支柱60として、フェンス50のフェンスポールを用いている。また、監視区域Eの角部Eaに敷設する場合は、角部Eaから所定距離(2m〜4m程度)離隔した位置に支柱60を設ける。
【0050】
[3.侵入検出センサの敷設方法]
次に、上述した侵入検出センサ1の敷設方法について説明する。
本発明の侵入検出センサ1は、監視区域Eの周囲を取り囲むように複数敷設され、監視区域Eの角部Eaと、角部Ea以外の部分(例えば直線部分)でその敷設方法が異なっている。
【0051】
ここで、監視区域Eの角部Eaとは、監視区域Eの外周を囲むように設置されるフェンス50の側端部同士を突き合わせて構成される部分である。本実施形態では、
図5に示すように、監視区域Eを平面視したときに、その内角(監視区域E側の角度)が略直角となる部分を指す。
【0052】
以下、監視区域Eの角部Ea以外の部分(ここでは直線部分とする)と、角部Eaにおける設置方法について、それぞれ
図3〜
図5を適宜参照しながら説明する。当然のことながら、検出線10は発振線11と感知線12とで構成されているため、下記に示す敷設方法に沿って、敷設対象となる検出線10を構成する発振線11及び検知線12が共に敷設されることになる。
【0053】
<3−1.直線部分の敷設方法>
図3又は
図4に示すように、監視区域Eの直線部分におけるセンサ設置方法は、まずフェンス50の高さに合わせて検出線10が地面から所定高さの位置で略水平に敷設されるように、支柱60に対し、取付部材22を用いて腕木21を所定間隔に複数並設する。
【0054】
次に、腕木21の先端部に検出線10を係止して検出線10を仮設し、検出線10の各端部(各終端)に、張設部材30を連結させる。つまり、検出線10の端部に絶縁部材31を介して第1の非導電性ケーブル32bにおける一方の端部を連結し、第1の非導電性ケーブル32bにおける他方の端部に、ターンバックル33a、弾性部材33bの順で張力調整部材33を連結させる。また、弾性部材33bにおけるターンバックル33aと連結されていない側の端部と、支柱60に捲着した第2の非導電性ケーブル32cの端部とを連結させる。
【0055】
そして、検出線10が所定の張力で張設されるように、張力調整部材33で張力を調整し、検出線10の敷設作業が終了する。
【0056】
また、監視区域Eの角部Ea以外で隣接する侵入検出センサ1の検出線10は、電界同士で互いに干渉させずに電界強度が侵入者検出可能な程度の強度を得るため、各検出線10における区間境界側の端部の間隔を、少なくとも人が通れない間隔(幅)を空けて張設する。
【0057】
ここで、人が通れない間隔とは、侵入者がフェンス50に向かって正面又は横向きの姿勢で侵入した際に通過できない幅であり、且つ隣り合う検出線10が発生する電界が互いに干渉し合わない距離であり、例えば15cm〜30cm、好ましくは20〜25cm程度とするのが好ましい。
【0058】
以上のように、本発明の侵入検出センサ1では、検出線10を張設するにあたり、張設部材30として実質的に導電性及び伸縮性を有さない非導電性ケーブル32を用いているため、隣接する侵入検出センサ1の検出線10の区間境界において電界強度が低下することなく、センサ間の区間境界部分において侵入者を確実に検出することができる。
【0059】
また、隣接する侵入検出センサ1の区間境界において、互いの検出線10が交差することがないため、従来のセンサのように、隣接するセンサ同士の電界が干渉し合うことがない。そのため、電界強度が低下せず、センサ間の区間境界部分においても侵入者を確実に検出することができるようになる。さらに、区間境界における検出線10の端部間の間隔は人が通れない幅であるため、侵入者が隣接する検出線10間の間隙から侵入される心配がない。
【0060】
<3−2.角部の敷設方法>
図3又は
図5に示すように、監視区域Eの角部Eaにおけるセンサ敷設方法は、第1のフェンス50aのフェンス面51aに沿って第1の検出線10aを敷設するとともに、角部Eaを構成する他方のフェンス(第2のフェンス50b)のフェンス面51bに沿って第2の検出線10bを敷設する。なお、以下の説明では、第1の検出線10a、第2の
検出線10bの順で記載しているが、敷設順序が逆でもよい。
【0061】
(第1の検出線の敷設方法)
まず、第1の検出線10aが地面から所定高さの位置で略水平に敷設されるように、第1のフェンス50aに沿って並設される支柱60に対し、取付部材22を用いて腕木21を所定間隔に複数並設する。
【0062】
次に、腕木21の先端部に第1の検出線10aを係止して仮設する。このとき、第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部(終端)の位置を、第2のフェンス50bのフェンス面51bに合わせた位置で仮設する。つまり、
図5に示すように、監視区域Eを平面視したとき、第2のフェンス面51bから延長される延長線上に、角部Ea側の端部が位置することになる。
【0063】
一方、第1の検出線10aにおける角部Ea側でない端部は、直線部分と同様の位置(隣接する区間境界に入らない手前側の位置)で仮設する。
【0064】
次に、腕木21の先端部に係止された第1の検出線10aの角部Ea側でない端部は、張設部材30を連結させる。つまり、この端部に絶縁部材31を介して第1の非導電性ケーブル32bにおける一方の端部を連結し、第1の非導電性ケーブル32bにおける他方の端部に、ターンバックル33a、弾性部材33bの順で張力調整部材33を連結させる。また、弾性部材33bにおけるターンバックル33aと連結されていない側の端部と、支柱60に捲着した第2の非導電性ケーブル32cの端部とを連結させる。
【0065】
さらに、
図5に示すように、検出線10の角部Ea側の端部は、角部Eaから所定距離離れた位置(例えば検出線10の角部Ea側の端部から2m程度)に設けられた支柱60と連結される張設部材30と連結させる。なお、張設部材30による張設方法は、上述した第1の検出線10aの角部Ea側でない端部の連結方法と同様である。
【0066】
そして、第1の検出線10aが所定の張力で張設されるように、張力調整部材33で張力を調整する。
【0067】
(第2の検出線の敷設方法)
まず、第2の検出線10bが地面から所定高さの位置で略水平に敷設されるように、第2のフェンス50bに沿って並設される支柱60に対し、取付部材22を用いて腕木21を所定間隔に複数並設する。
【0068】
次に、腕木21の先端部に第2の検出線10bを係止して仮設する。このとき、第2の検出線10bにおける角部Ea側の端部(終端)の位置は、
図5に示すように、監視区域Eを平面視したときに、第1のフェンス50aに沿って敷設された第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部から延長される延長線と交差し、さらに両線の交差部Pから所定長さを超えた位置まで延設させる。
【0069】
ここで、交差部Pから延長する長さは、第1の検出線10aと第2の検出線10bとの間隙に侵入者が侵入したことを検出可能な程度まで延長させる。つまり、第2の検出線10bの延長部分で発生する電界によって、一端部を第2のフェンス50bのフェンス面51bに位置を合わせた第1の検出線10aでは検出できない侵入者が検出可能な長さとする。
【0070】
一方、第2の検出線10bにおける角部Ea側でない端部は、直線部分と同様の位置(隣接する区間境界に入らない手前側の位置)で仮設する。
【0071】
次に、腕木21の先端部に係止された第2の検出線10bの角部Ea側でない端部は、張設部材30を連結させる。つまり、この端部に絶縁部材31を介して第1の非導電性ケーブル32bにおける一方の端部を連結し、第1の非導電性ケーブル32bにおける他方の端部に、ターンバックル33a、弾性部材33bの順で張力調整部材33を連結させる。また、弾性部材33bにおけるターンバックル33aと連結されていない側の端部と、支柱60に捲着した第2の非導電性ケーブル32cの端部とを連結させる。
【0072】
さらに、
図5に示すように、第2の検出線10bにおける角部Ea側の端部は、角部Eaから所定距離離れた位置に設けられた支柱60と連結される張設部材30と連結させる。なお、張設部材30による張設方法は、上述した第2の検出線10bの角部Ea側でない端部の連結方法と同様である。
【0073】
そして、第2の検出線10bが所定の張力で張設されるように張力調整部材33で張力を調整し、第2の検出線10bの敷設作業が終了する。
【0074】
以上のように、監視区域Eの角部Eaにおける検出線10の敷設方法では、第1の検出線10aと第2の検出線10bとを交差させず、2つの特徴要件を備えた敷設方法としている。
【0075】
第1の特徴要件としては、第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部の位置を、第2のフェンス50bのフェンス面51bに合わせた位置(すなわち、
図5に示すように、監視区域Eを平面視したとき、第2のフェンス面51bから延長される延長線上に角部Ea側の端部が位置)とする。
【0076】
第2の特徴要件としては、第2の検出線10bにおける角部Ea側の端部の位置は、
図5に示すように、監視区域Eを平面視したときに、第1のフェンス50aに沿って敷設された第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部から延長される延長線と交差し、この両線の交差部Pからさらに所定長さ超えた位置まで延設させる。また、交差部Pから延長する長さは、角部Eaにおける第1の検出線10aと第2の検出線10bとの間隔に侵入した侵入者が検出可能な程度まで延長させる。
【0077】
これにより、第1の検出線10aと第2の検出線10bとの間で電界が干渉し合うことがないため、電界強度が低下せず、侵入者を確実に検出することができる。また、第2の検出線10bの延長部分によって、第1の検出線10aで検出できない侵入者が検出可能となる。
【0078】
なお、上述した角部Eaの敷設方法において、
図5では、第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部の位置を第2のフェンス50bのフェンス面51bに合わせ、第2の検出線10bにおける角部Ea側の端部の位置を両線の交差部Pよりも所定長さ超えた位置まで延長させた例であるが、これに限定されない。
つまり、角部Eaで近接する一方の検出線10(第1の検出線10a又は第2の検出線10b)における角部Ea側の端部をフェンス面に合わせ、他方の検出線10(第1の検出線10a又は第2の検出線10b)における角部Ea側の端部を交差部Pよりも所定長さ延長させた構成とすればよいため、例えば第2の検出線10bにおける角部Ea側の端部の位置を第1のフェンス50aのフェンス面51aに合わせ、第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部の位置を交差部Pよりも所定長さ延長させた構成とすることもできる。
【0079】
[4.作用・効果]
以上説明したように、本実施形態における侵入検出センサ1は、検出線10を張設するにあたり、張設部材30として実質的に導電性及び伸縮性を有さない非導電性ケーブル32を用いているため、隣接する侵入検出センサ1の検出線10の区間境界において電界強度が低下することなく、センサ間の区間境界部分において侵入者を確実に検出することができる。
【0080】
また、監視区域Eの角部Ea以外で隣接する侵入検出センサ1の検出線10は、各検出線10における区間境界側の端部の間隔を、少なくとも人が通れない間隔を空けて張設することで、隣接する侵入検出センサ1の区間境界において、隣接する互いの検出線10が発生する電界の干渉が殆どないため、検出感度が低下することがない。よって、侵入者を確実に検出することができる。さらに、区間境界における検出線10の端部間の間隔は人が通れない幅であるため、侵入者が隣接する検出線10間の間隙から侵入することもない。
【0081】
監視区域Eの角部Eaにおいて、第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部の位置を、第2のフェンス50bのフェンス面51bに合わせた位置(すなわち、
図5に示すように、監視区域Eを平面視したとき、第2のフェンス面51bから延長される延長線上に角部Ea側の端部が位置)とする。また、第2の検出線10bにおける角部Ea側の端部の位置は、
図5に示すように、監視区域Eを平面視したときに、第1のフェンス50aに沿って敷設された第1の検出線10aにおける角部Ea側の端部から延長される延長線と交差し、この交差部Pからさらに所定長さ超えた位置まで延設させる。また、交差部Pから延長する長さは、角部Eaにおける第1の検出線10aと第2の検出線10bとの間隔に侵入した侵入者が検出可能な程度まで延長させる。
【0082】
これにより、第1の検出線10aと第2の検出線10bとの間で電界が干渉し合うことがないため、電界強度が低下せず、侵入者を確実に検出することができる。また、第2の検出線10bの延長部分によって、第1の検出線10aで検出できない侵入者が検出可能となる。