特許第6972251号(P6972251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972251
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】動的係止装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/16 20060101AFI20211111BHJP
【FI】
   A61B17/16
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-134493(P2020-134493)
(22)【出願日】2020年8月7日
(62)【分割の表示】特願2018-89734(P2018-89734)の分割
【原出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2020-189137(P2020-189137A)
(43)【公開日】2020年11月26日
【審査請求日】2020年9月4日
(31)【優先権主張番号】13/870,675
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504101304
【氏名又は名称】メドトロニック・ゾーメド・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】マッソン,マーティン
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−071128(JP,A)
【文献】 特表2009−505683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の近位工具端部から第2の遠位工具端部まで、長手方向軸に沿って延在する工具を備え、前記工具が、
第1の近位工具端部を画定するベースと、
前記ベースから延在し、第1の直径部および第2の直径部を有するステムであって、前記第1の直径部は、前記ベースから延在する前記第2の直径部よりも大きな直径を有する前記ステムと、
前記ステムから延在し、前記工具にトルクを伝えるために用いられる複数の継手面、および前記複数の継手面と前記ステムとの間で前記長手方向軸に沿って延在し、継手本体の残りの部分よりも小さな直径を有する小径部を備えた前記継手本体と、
前記継手本体から延在する首部と、
前記首部から延在し、前記第2の遠位工具端部を画定する加工先端とを含み、
前記第1の直径部および前記第2の直径部は、前記ベース、および前記工具を所定位置で回転可能に保持するために使用される前記継手本体よりも小さい、手術工具係止システム。
【請求項2】
第1の端部から第2の端部まで長手方向軸に沿って延在するとともに、前記第1の端部から前記第2の端部まで、前記長手方向軸に沿って延在する連続したスロットを画定する係止部材をさらに備え、前記スロットは、前記スロットを通して前記工具を受け入れるように構成され、前記工具の前記ステムは、前記スロット内に受け入れられて、前記係止部材に対して前記工具を保持するように構成される、請求項1に記載の手術工具係止システム。
【請求項3】
前記係止部材は、前記第1の端部におけるベースと、前記ベースから前記第2の端部まで延在する第1の可撓性タブとを含み、前記第1の可撓性タブは、前記係止部材および前記工具の回転中に生じる遠心力に応答して、前記第2の端部において前記長手方向軸から外向きに撓むように構成されている、請求項2に記載の手術工具係止システム。
【請求項4】
前記係止部材は、前記ベースから前記第2の端部まで延在する第2の可撓性タブをさらに含み、前記スロットは、前記係止部材の前記第1の端部から前記第2の端部まで延在する第1スロット、および前記第1の可撓性タブと前記第2の可撓性タブとの間で、前記ベースから前記第2の端部まで延在する第2のスロットを含む、請求項3に記載の手術工具係止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、動的係止装置に関する。例えば、本開示は、工具を回転するためにハンドピースにドリルビットなどの工具を結合するための動的係止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]この項は、本開示に関する、必ずしも従来技術ではない背景情報を提供する。
【0003】
[0003]高速手術器具は、外科医の手術中の作業を容易にする。そのような器具は、ハンドピースに結合された工具を回転させるために、内部にモータを有するハンドピースを含むことが多い。ドリルビットなど様々な異なった工具を個々にハンドピースに結合させることができる。通常、工具をハンドピースに結合するために、(1)工具をハンドピースのアタッチメントまたはコレット内に挿入して押し込める、(2)工具、またはハンドピースのアタッチメント/コレットを係止位置まで回すなど、2つ以上のステップが必要である。工具を外すためには、(1)工具、またはハンドピースのアタッチメント/コレットを係止解除位置まで回す、(2)工具をハンドピース内から引き出すなど、やはり少なくとも2つのステップが必要である。この回すステップは面倒であり、手術中には他のところに充てることができるはずの外科医または操作者の注意が必要となり得る。したがって、工具またはハンドピースの一部分を回す必要なしに互いに結合することができる高速ハンドピースおよび工具が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−71128号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0004]この項は、本開示の全般的な概要を提供するが、特徴の完全な範囲またはすべてを包括的に開示するものではない。
【0006】
[0005]本教示は、工具と、ハンドピースと、係止部材とを含む手術器具を提供する。ハンドピースは、工具と協働するように構成された継手部材、および工具を回転させるための駆動体を共に含む。係止部材は、係止部材の回転中に生じる遠心力に応答して係止解除位置から係止位置に動くことができる。係止部材は、係止位置にあるとき、工具をハンドピースに固定するように構成される。
【0007】
[0006]本教示は、工具と、工具に結合された係止部材と、ハンドピースとを含む手術器具組立体をさらに提供する。係止部材は、第1の可撓性タブを含む。ハンドピースは、内部に工具および係止部材を受け入れるように構成された継手部材を含む。継手部材は、工具を回転させるための駆動体に接続される。駆動体によって工具が回転されると、第1の可撓性タブが、引込み位置から拡張位置に、係止部材の長手方向軸から外向きに撓み、工具をハンドピースに係止する。
【0008】
[0007]本教示はまた、工具と係止部材とを含む手術器具組立体を提供する。係止部材は、工具に結合され、第1および第2の可撓性拡張タブを含む。第1および第2の可撓性拡張タブは、係止部材および工具が静止しているとき、係止部材の長手方向軸から第1の距離にある。第1および第2の可撓性拡張タブは、係止部材および工具が回転しているとき、係止部材の長手方向軸から第2の距離まで外向きに撓み、第2の距離は第1の距離より長い。第2の距離において、第1および第2の可撓性タブは、工具を回転させるように構成されたハンドピースの第1の内部フランジに当接するように構成されて、それによって、工具をハンドピースに係止する。
【0009】
[0008]さらに適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかとなろう。この概要での記述および特定の例は、例示のためのものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0010】
[0009]本明細書で記載した図面は、選ばれた実施形態を例示するためのものにすぎず、可能なすべての実施態様ではなく、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0010]高速ハンドピースおよびそれに結合された工具の斜視図である。
図2】[0011]ハンドピースから取り外された図1の工具の斜視図である。
図3A】[0012]図3Aは、工具をハンドピースに係止するための、本教示による係止装置の斜視図である。
図3B】[0013]図3Bは、工具をハンドピースに係止するための、本教示による別の係止装置の斜視図である。
図4】[0014]図1のハンドピースの分解図である。
図5A】[0015]図5Aは、図1の線5A−5Aに沿った断面図である。
図5B】[0016]図5Bは、図5Aの領域5Bの断面図である。
図5C】[0017]図5Cは、図5Bの領域5Cの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0018]いくつかの図面を通じて、対応する参照符号は対応する部品を示す。
【0013】
[0019]次に、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0014】
[0020]最初に、図1を参照すると、本教示による手術器具組立体が参照符号10で示される。手術器具組立体10は大まかにはハンドピース12および工具14を含む。工具14は、工具14をハンドピース12内に直線的に滑り込ませるだけでハンドピース12に取外し可能に結合させることができる。工具14をハンドピース12から分離するためには、工具14をハンドピース12内から引き出すだけでよい。本明細書で詳細に説明するように、本教示によって、工具14を着脱するために工具14またはハンドピース12の一部分を回すという回すステップが除かれることが有利である。特に、本教示によって、例えばコレットの必要性が除かれる。
【0015】
[0021]ハンドピース12は大まかには、第1の端部18および第2の端部20を有する本体16を含み、第2の端部は第1の端部の反対側にある。第1の端部18は通常は近位端であり、第2の端部20は通常は遠位端である。本体16はモータ22を収容し、モータ22は工具14を所望の速度および所望の方向に回転させる。モータ22は、電動モータまたは空気圧モータなどの任意の適切なモータとすることができる。コードまたはホース24は本体16から延在する。モータ22が電動モータの場合は、コード24は本体16から電源まで延在して、モータ22を駆動するためにモータ22に電力を供給する。モータ22が空気圧モータの場合は、ホース24は、(空気、窒素、または他の種類の加圧気体の)高圧気体入口および気体出口を含む。
【0016】
[0022]本体16の第1の端部18には、第1の円錐状境界部材26がある。第1の円錐状境界部材26は、コード24の方へ向かって先細になっており、コード24は第1の円錐状境界部材26を通って延在する。第1の円錐状境界部材26の直径は、本体16の第1の端部18で最大で、第1の端部18から最も遠い第1の円錐状境界部材26の位置で最小である。
【0017】
[0023]本体16の第2の端部20には、第2の円錐状境界部材28がある。第2の円錐
状境界部材28は、本体16の第2の端部20から離れて延在するにつれて先細になる。本明細書で説明するように、ハウジング組立体30は第2の円錐状境界部材28に結合し、かつそれから延在して、工具14の一部分、および工具14を駆動するための駆動軸を収容する。
【0018】
[0024]図2を参照すると、工具14がさらに詳細に示される。工具14は、外科手術中に使用するための、図示のようなドリルビットなどの任意の適切な工具とすることができる。組織または骨を穿孔または切断するために任意の適切なドリルビットを使用することができる。図示のように、工具14はドリルビット先端42を含む。ドリルビット先端42は、概ね球状で、切刃44を含む。切刃44は、ドリルビット先端42によって画定され、またはそれに結合された任意の適切な切削部材とすることができ、例えば、ドリルビット先端42内の湾曲した尖った凹みである。首部46はドリルビット先端42から延在し、ドリルビット先端42を工具14の継手本体48に結合する。本明細書で説明するように、継手本体48は継手面50を含み、継手面50は、工具14をハンドピース12の回転部材に結合して、ハンドピース12から工具14にトルクを伝える任意の適切な継手面とすることができる。例えば、図示のように、継手面50は、ハンドピース12の対応する表面と嵌合するように構成された、複数の平らで間隔を置いて配置された表面を含む。継手面50が六角配置になるように6つの表面を設けるなど、任意の適切な数の継手面50を設けることができる。
【0019】
[0025]継手本体48は小径部52をさらに含む。小径部52は、継手面50の、首部46およびドリルビット先端42の反対側にある。小径部52の直径は、継手面50を含む継手本体48の領域など、継手本体48の残りの部分より小さい。
【0020】
[0026]工具14のステム54は、継手本体48から、具体的には小径部52から延在している。ステム54は、第1の直径部56および第2の直径部58を含む。第1の直径部56は、継手本体48と第2の直径部58との間にある。第1の直径部56の直径は、第2の直径部58より大きい。
【0021】
[0027]工具14のベース60はステム54に取り付けられる。したがって、ステム54は継手本体48とベース60との間にある。円錐端62は、ベース60の、ステム54の反対側から延在する。ベース60は、その外周に1つまたは複数の平らな表面64を含む。本明細書で説明され、例えば、図5Bおよび図5Cに示されるように、ベース60が遠位空洞146に挿入されるとき、平らな部分64によって、空気が継手部材130の遠位空洞146内から逃げることができる。
【0022】
[0028]さらに図3Aを参照すると、工具14の係止番号70aが示される。係止部材70aは一般に第1の端部または近位端72aを含み、第1の端部または近位端72aは第2の端部または遠位端74aの反対側にある。係止部材70aは、第1の端部72aにおいてベース76aを含む。ベース76aの外側表面78aは、ベース76aの内側表面80aの反対側にある。ベース76aは、第1の端部72aにおいて保持部材82aをさらに含む。保持部材82aは、外向きに係止部材70aの長手方向軸Aから離れるように延在して、第1の端部72aにおいて大きな外径となるベース76aを与える。保持部材82aは、ベース76aの外側表面78aにおいてフランジ84aを画定する。
【0023】
[0029]係止部材70aは、第1の可撓性拡張タブ86aおよび第2の可撓性拡張タブ88aをさらに含む。第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aの両方とも、ベース76aから第2の端部74aまで延在する。第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aは、それらの間に第1のスロット90aおよび第2のスロット92aを画定するように間隔を置いて配置される。第1のスロット90aは、第1の端部72aと第2
の端部74aとの間全体に延在し、したがって、第1のスロット90aはベース76aによって部分的に画定される。第2のスロット92aは、ベース76aから第2の端部74aまで延在する。係止部材70aは、可撓性のある材料などの任意の適切な材料から作ることができる。適切なポリマーなどの任意の適切な可撓性のある材料を使用することができる。
【0024】
[0030]係止部材70aは、第1の可撓性拡張タブ86aおよび第2の可撓性拡張タブ88aを含むが、単一の可撓性拡張タブのみ(例えば、第1の可撓性拡張タブ86aのみ、または第2の可撓性拡張タブ88aのみ)など、任意の適切な数の可撓性拡張タブを含むことができる。例えば、図3Bを参照すると、係止部材70bは、第1および第2の可撓性拡張タブ86bおよび88bに加えて第3の可撓性拡張タブ94bを含むことができる。第3の可撓性拡張タブ94bは、係止部材70bのベース76bから第2の端部74bまで延在する。第2のスロット92bは、第1の可撓性拡張タブ86bと第3の可撓性拡張タブ94bとの間で画定される。第3のスロット96bは、第3の可撓性拡張タブ94bと第2の可撓性拡張タブ88aとの間で画定される。第3の可撓性拡張タブ94bおよび第3のスロット96bがなければ、係止部材70bは係止部材70aと実質的に同様であり、したがって、同様な機能部が同じ参照符号で示されているが、文字「a」ではなく文字「b」を含む。
【0025】
[0031]例えば、係止部材70aまたは係止部材70bは、ステム54において工具14に結合される。次に、係止部材70aのステム54への結合を説明する。係止部材70bは、実質的に同じようにステム54に結合される。
【0026】
[0032]ステム54が第1のスロット90aを通過してベース76aの内側表面80aに当たって位置するように、係止部材70aをステム54に押し込むことによって、係止部材70aはステム54に嵌めることができる。例えば、係止部材70aは工具14に沿って配置することができ、係止部材70aの、第1のスロット90aを画定する側と反対側に圧力をかけることができる。この圧力によって、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aが拡がり、ステム54が第1のスロット90aを通過することができる。次いで、係止部材70aは、工具14が回転するときに係止部材70aがステム54とともに回転するようにステム54を締める。ベース76aはステム54の第2の直径部58に位置する。係止部材70aの第1の端部72aは、ベース60の位置に、またはベース60に当てて配置される。図5A図5Cに示すように、係止部材70aはステム54に沿って継手本体48の方へ延在し、その結果、第2の端部74aは継手本体48の小径部52に近接する。
【0027】
[0033]工具14が、それと結合してともに回転する係止部材70aとともに回転するときに、第1の可撓性拡張タブ86aおよび第2の可撓性拡張タブ88aが長手方向軸Aから半径方向外向きに撓むように、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aは配置され、かつそのようになるような材料から作られる。同様に、係止部材70bは、係止部材70aに対して上記と同じように、かつ同じ位置に工具14に結合されるとき、第1、第2、および第3の可撓性拡張タブ86b、88b、および94bは、係止部材70bの長手方向軸Bから半径方向外向きに撓む。本明細書で説明するように、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aは、第1、第2、および第3の可撓性拡張タブ86b、88b、および94bと同様に、遠心力に応答して半径方向外向きに撓み、それによって、それらは外向きに拡がり、工具14をハンドピース12に結合して保持する。
【0028】
[0034]図4を参照すると、手術器具組立体10は駆動体102をさらに含む。駆動体102は、近位端104、および近位端104の反対側にある遠位端106を含む。近位端104には接続部108があり、それは、概ねU字形の接続部として示され、駆動体10
2の近位端104において駆動体102によって画定される。接続部108は、駆動体102を回転させるために、駆動体102をモータ22の出力に結合して、モータ22によって生じる回転トルクを駆動体102に伝達するように構成された任意の適切な接続または結合装置、機構、または部材とすることができる。
【0029】
[0035]近位端104の近くには、駆動体102の大径部110がある。大径部110の近位端には、近位肩部112がある。大径部110の遠位端には、遠位肩部114がある。細長い駆動軸116が遠位肩部114から延在している。細長い駆動軸116は遠位肩部114から駆動体102の遠位端106まで延在する。大径部110は、駆動軸116の外径より大きな外径を含む。近位肩部112および遠位肩部114の外径はそれぞれ、駆動軸116の外径より大きく、大径部110の外径より小さい。
【0030】
[0036]近位駆動体軸受118が近位肩部112に配置される。遠位駆動体軸受120が遠位肩部114に配置される。例えば、近位および遠位駆動体軸受118および120の位置は図5Aに示される。近位および遠位駆動体軸受118および120は、本明細書でさらに説明するように、第2の円錐状境界部材28およびハウジング組立体30内での駆動体102の回転を容易にする。
【0031】
[0037]図4を続けて参照すると、手術器具組立体10は継手部材130をさらに含む。継手部材130は、近位端132、およびその反対側に遠位端134を含む。継手部材130は、遠位端134に近接して継手内側表面136を含む。継手内側表面136は、継手部材130から工具14に(モータ22によって発生され、駆動体102によって継手部材130に伝達される)トルクを伝達するために、工具14の継手面50と嵌合するために、任意の適切な方法で構成することができる。例えば、図示のように、継手内側表面136は、工具14の継手面50のそれぞれに嵌合するような寸法、形状、配置の複数の平らな面を含むことができる。したがって、6つの継手面50を含むとき、継手内側表面136は、それぞれが継手面50のうちの異なる1つの面と嵌合するように構成された6つの平らな面を含むことができる。
【0032】
[0038]継手部材130は、近位端132において、近位端132から延在する小径部138をさらに含む。小径部138は、中間部140、近位端132における近位部142、および遠位部144を含む。中間部140は、近位部142と遠位部144との間にある。近位部142および遠位部144の外径は同様の寸法で、それぞれ、中間部140の外径より大きい。小径部138は、小径部138と遠位端134との間の継手部材130の残りの部分より全体的に外径が小さい。
【0033】
[0039]図5Bをさらに参照すると、継手部材130は、その中に遠位空洞146および近位空洞148を画定する。遠位空洞146は、継手部材130の遠位端134から近位に延在する。近位空洞148は、近位端132から遠位に延在する。遠位空洞146と近位空洞148は、継手部材130の内部で間隔を置いて配置され、したがって、図示のように、交わらない。しかしながら、遠位空洞146と近位空洞148は、近位端132と遠位端134との間を延在する単一の空洞として構成することができる。近位空洞148は継手部材130の重量を減らし、それによって、軽量の継手部材130を提供することができる。しかしながら、近位空洞148を含める必要はなく、したがって、継手部材130は、近位空洞148の領域で中実であってもよい。
【0034】
[0040]遠位空洞146は、遠位内部フランジ150および近位内部フランジ152を含む。遠位内部フランジ150は、継手部材130の遠位端134と近位内部フランジ152との間にある。遠位内部フランジ150および近位内部フランジ152は、継手部材130の内径の周りを連続的に延在する環状フランジとすることができる、または、それぞ
れ、様々な間隔で配置された複数のフランジ部を含むことができる。継手部材130は、遠位内径154、中間内径156、および近位内径158を含む。遠位内径154は、継手部材130の遠位内部フランジ150と遠位端134との間にある。中間内径156は、遠位内部フランジ150と近位内部フランジ152との間にある。近位内径158は、近位内部フランジ152の、中間内径156の反対側にある。中間内径156は、近位内径158より大きく、遠位内径154より小さい。遠位内径154は、中間内径156および近位内径158のそれぞれより大きい。
【0035】
[0041]本明細書でさらに説明するように、継手部材130の回転を容易にするために、ハウジング組立体30は、継手部材遠位軸受170および継手部材近位軸受172をさらに含む。軸受170および172は、例えば、図5A図5Cに示すように、継手部材130に被さって嵌合するような構成および寸法の任意の適切な種類の軸受とすることができる。軸受170および172は、本明細書でさらに説明するように、その内側表面が、継手部材130の外径に当接する、またはぴったりと当接し、軸受170および172の外側表面がハウジング組立体30の内側表面に当接するように配置される。
【0036】
[0042]次に、図4を続けて参照して、本体16の第2の端部にある第2の円錐状境界部材28およびハウジング組立体30を共にさらに詳細に説明する。第2の円錐状境界部材28は、近位端180および遠位端182を含む。第2の円錐状境界部材28は管状であり、遠位端182において遠位開口184を含む。本体16の第2の端部20に結合されるのは、近位端180である。例えば、近位端180は、本体16の第2の端部20において本体16内に挿入されて、異なる長さの様々な第2の円錐状境界部材28の結合を容易にするために、例えば、ねじ接続またはクイックコネクト継手などの適切な機械的な結合を用いるなど任意の適切な方法で第2の端部20に固定することができる。図5Aに示すように、ふた186は第2の円錐状境界部材28に結合される。ふた186は、波形ばねなどのばね(図示せず)によってかけられた力を近位軸受118の外輪に伝達して近位軸受118に「予荷重」を与える。予荷重によって、軸受118の玉は、軸受118の内輪および外輪の両方に常に確実に接触して遊びを小さくする、または除去する。これによって、軸受118の軸受摩耗が減り、寿命が長くなる。ばねは、ふた186とモータ22との間に配置することができる。
【0037】
[0043]第2の円錐状境界部材28の遠位端182において第2の円錐状境界部材28に結合されるのは、近位駆動軸ハウジング190である。近位駆動軸ハウジング190は、近位端192、およびその反対側の遠位端194を含む。近位駆動軸ハウジング190は、近位端192と遠位端194との間で管状になっている。近位駆動軸ハウジング190を第2の円錐状境界部材28に結合するために、近位駆動軸ハウジング190の直径は、近位端192において、近位端192を第2の円錐状境界部材28の遠位端182内に受け入れることができる寸法になっている。近位駆動軸ハウジング190と第2の円錐状境界部材28とは、圧入、適切な接着剤、または、例えば、ねじ接続などの機械的な結合などの任意の適切な方法で互いに固定することができる。
【0038】
[0044]ハウジング組立体30は、遠位駆動軸ハウジング196をさらに含む。遠位駆動軸ハウジング196は、近位端198および遠位端200を含む。遠位駆動軸ハウジング196は、近位端198と遠位端200との間で管状になっている。近位端198は、近位駆動軸ハウジング190の遠位端194と結合するような寸法および形状となっている。例えば、図示のように、近位端198は、その中に遠位端194を受け入れるような寸法および形状となっている。遠位駆動軸ハウジング196と近位駆動軸ハウジング190は、圧入、適切な接着剤、または、例えば、ねじ接続などの機械的な結合などの任意の適切な方法で互いにに結合することができる。
【0039】
[0045]ハウジング組立体30は、工具ハウジング202をさらに含む。工具ハウジング202は、近位端204および遠位端206を含む。工具ハウジング202は、近位端204と遠位端206との間で管状になっており、遠位端206において遠位開口208を画定する。近位端204は、遠位駆動軸ハウジング196の遠位端200内に受け入れられるような寸法および形状となっている。工具ハウジング202の近位端204は、圧入、接着剤、または、例えば、ねじ接続などの機械的な結合などの任意の適切な方法で、遠位駆動軸ハウジング196の遠位端200内に固定することができる。
【0040】
[0046]図5Aおよび図5Bを参照すると、駆動体102は、ハンドピース12の本体16から延在し、駆動体102の近位端104はモータ22によって回転させるためにモータ22に結合される。駆動体102は、駆動体102の近位肩部112および遠位肩部114にそれぞれ配置された玉軸受118および120を用いて第2の円錐状境界部材28内に支持される。駆動軸116は、第2の円錐状境界部材28の遠位端182を超えて、近位駆動軸ハウジング190を通って、ほぼその遠位端194まで延在する。遠位端194に近接する近位駆動軸ハウジング190内で、駆動軸116は、継手部材130にその小径部138において結合される。継手部材130は、近位駆動軸ハウジング190内から、遠位駆動軸ハウジング196を通って、工具ハウジング202まで延在する。
【0041】
[0047]継手部材130の近位内径158は、その中に工具14の部分を受け入れるような寸法および形状となっている。具体的には、例えば、図5Cを参照すると、上記のように、係止部材70a(または係止部材70b)を工具14のステム54に配置した状態で、工具14は、ベース60および円錐端62が近位内径158にあるように、継手部材130の遠位空洞146内に挿入される。
【0042】
[0048]保持部材82aが近位内径158へ動かされると、保持部材82aは、継手部材130の近位内部フランジ152を通りすぎる。継手部材130が静止しているときなどは、保持部材82aと近位内部フランジ152とが協働することによって、工具40は、継手部材130の遠位空洞146内に保持される。静止時に工具14を継手部材130から取り外すためには、保持部材82aを近位内部フランジ152を超えて引き戻すのに十分な力をかけるだけでよい。
【0043】
[0049]継手部材130の継手内側表面136を工具14の継手面50と位置合わせして、それらの間の係合を容易にするため、継手部材130の遠位内部フランジ150は、工具14の継手本体48の小径部52に位置する。その結果、継手部材130のトルクは、継手本体48において工具14に伝達され、具体的には、継手内側表面136と継手面50との間で伝達される。
【0044】
[0050]図5Cを参照すると、モータ22によって駆動体102を回転すると、継手部材130および工具14が、上記のそれらの間の結合によって回転する。工具14が回転すると、遠心力によって、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aを引込み位置(図5B)から拡張位置(図5C)へ動かすように、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aが、係止部材70aの長手方向軸Aから半径方向外向きに拡がり、遠位空洞146の中間内径156において、継手部材130の内側表面の方へ動いて、おそらくは接触する。
【0045】
[0051]図5Cの拡張位置にあるとき、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aは、工具14を継手部材130内で係止する。具体的には、図5Cの拡がった姿勢では、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aは、近位端210において、外れるのを防ぐように遠位内部フランジ150に接触するので、工具14は、継手部材130の遠位空洞146内から取り外すことができない。したがって、工具14が回転してい
るときは、工具14を継手部材130内から外して取り出すことは可能ではない。
【0046】
[0052]工具14が静止位置に戻った後で、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aは、図5Bの引込み位置に戻り、それによって、工具14は、一般に、工具14またはハンドピース12のいかなる部分も手で回すことを必要とせずに、継手部材130内から、およびハンドピース12から軸方向に取り外すことができる。例えば、コレットを用いて工具14をハンドピース12に係止および係止解除する必要はない。したがって、工具14、または任意の他の適切な工具は、継手部材130内に単に直線的に挿入し、第1および第2の可撓性拡張タブ86aおよび88aを図5Cの拡張および「係止」位置に動かすのに十分な回転を継手部材130にさせるように工具14を使用するときだけ継手部材130内に係止することができる。したがって、係止部材70aによって、例えば、工具14またはコレットなどのハンドピース12の部分のどちらかを回す追加のステップを必要とせず、工具14をハンドピース12に対して軸方向に単純に動かすことだけで、工具14をハンドピース12に容易に係止および係止解除をすることができ、また、他の工具14と交換することができる。
【0047】
[0053]実施形態の上記の記述は、例示および説明のために提供された。それは、網羅的であることを意図していないし、本開示を限定することを意図していない。特定の実施形態における個々の要素または特徴は、一般にその特定の実施形態に限定されるものではないが、特に図示または説明がなくても、適用可能であれば、交換可能であり、また、選択された実施形態において使用することができる。上記要素または特徴はまた、様々に変更することができる。そのような変更は、本開示からの逸脱と見なされるものではなく、そのような修正はすべて、本開示の範囲内に含まれることを意図する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C