特許第6972270号(P6972270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972270
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】照明モジュール及び基板撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20211111BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20211111BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20211111BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   H01L21/66 J
   G01N21/956 A
   G01N21/84 E
   G01B11/30 A
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-169156(P2020-169156)
(22)【出願日】2020年10月6日
(62)【分割の表示】特願2019-174071(P2019-174071)の分割
【原出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2021-10018(P2021-10018A)
(43)【公開日】2021年1月28日
【審査請求日】2020年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】古閑 法久
(72)【発明者】
【氏名】西山 直
(72)【発明者】
【氏名】野田 康朗
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−288143(JP,A)
【文献】 特開平10−284580(JP,A)
【文献】 特開2008−045964(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/196163(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/136432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/956
G01N 21/84
G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部に保持された基板の上方に配置された、基板撮像装置用の照明モジュールであって、
前記基板に向けて下方に光を照射する光源と、
前記光源の下方に配置され、下方に向けて突出する凸型の円柱レンズとを備え、
前記円柱レンズは、円柱面の周方向に沿って前記光源からの光を拡大するように構成されており、
前記光源は、前記光源と前記円柱レンズとが並ぶ方向に交差する方向に沿って一列に並ぶ複数の点光源を含み、
前記円柱レンズの軸は、前記複数の点光源が並ぶ方向に延びている、照明モジュール。
【請求項2】
前記光源と前記円柱レンズとの間に配置され、前記光源からの光を散乱して散乱光を発生させるように構成された光散乱部材を更に備え、
前記円柱レンズは、円柱面の周方向に沿って前記散乱光を拡大するように構成されている、請求項1に記載の照明モジュール。
【請求項3】
前記複数の点光源は、前記保持部に保持された前記基板の径方向に沿って一列に並んでいる、請求項1又は2に記載の照明モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明モジュールと、
前記保持部と、
前記保持部に保持された前記基板の表面からの第1の光がレンズを介して入力される撮像素子を有するカメラと、を備える基板撮像装置。
【請求項5】
反射面を有するミラー部材を更に備え、
前記保持部は、前記基板を保持して回転させるように構成されており、
前記反射面は、前記保持部の回転軸に対して傾斜すると共に、前記保持部に保持された前記基板の端面と裏面の周縁領域とに対向し、
前記撮像素子には、前記第1の光と、前記保持部に保持された前記基板の端面からの第2の光が前記ミラー部材の前記反射面で反射された反射光とが、レンズを介して入力され、
前記照明モジュールは、前記保持部に保持された前記基板の表面に前記光源からの光を照射すると共に、前記光源からの光の前記ミラー部材における反射光が、前記保持部に保持された前記基板の端面に到達するように、前記ミラー部材の前記反射面に前記光源からの光を照射する、請求項に記載の基板撮像装置。
【請求項6】
前記第1の光は、前記基板の表面の周縁領域からの光であり、
前記照明モジュールは、前記基板の表面の周縁領域に前記光源からの光を照射する、請求項4又は5に記載の基板撮像装置。
【請求項7】
基板を保持して回転させるように構成された保持部と、
前記保持部に保持された前記基板の上方に配置された照明モジュールと、
前記保持部に保持された前記基板の表面からの第1の光がレンズを介して入力される撮像素子を有するカメラと、
反射面を有するミラー部材とを備え、
前記反射面は、前記保持部の回転軸に対して傾斜すると共に、前記保持部に保持された前記基板の端面と裏面の周縁領域とに対向し、
前記撮像素子には、前記第1の光と、前記保持部に保持された前記基板の端面からの第2の光が前記ミラー部材の前記反射面で反射された反射光とが、レンズを介して入力され、
前記照明モジュールは、
前記基板に向けて下方に光を照射する光源と、
前記光源の下方に配置され、下方に向けて突出する凸型の円柱レンズとを有し、
前記円柱レンズは、円柱面の周方向に沿って前記光源からの光を拡大するように構成されており、
前記照明モジュールは、前記保持部に保持された前記基板の表面に前記光源からの光を照射すると共に、前記光源からの光の前記ミラー部材における反射光が、前記保持部に保持された前記基板の端面に到達するように、前記ミラー部材の前記反射面に前記光源からの光を照射する、基板撮像装置。
【請求項8】
前記第1の光は、前記基板の表面の周縁領域からの光であり、
前記照明モジュールは、前記基板の表面の周縁領域に前記光源からの光を照射する、請求項7に記載の基板撮像装置。
【請求項9】
前記照明モジュールは、前記光源と前記円柱レンズとの間に配置され、前記光源からの光を散乱して散乱光を発生させるように構成された光散乱部材を更に有し、
前記円柱レンズは、円柱面の周方向に沿って前記散乱光を拡大するように構成されている、請求項7又は8に記載の基板撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、基板(例えば、半導体ウエハ)の微細加工を行うにあたり、フォトリソグラフィ技術を用いて凹凸パターンを基板上に形成することが広く行われている。例えば、半導体ウエハ上にレジストパターンを形成する工程は、ウエハの表面にレジスト膜を形成することと、このレジスト膜を所定のパターンに沿って露光することと、露光後のレジスト膜と現像液とを反応させて現像することとを含む。
【0003】
近年、線幅が40nm〜45nm程度の極めて微細なレジストパターンを得るための技術として、液浸露光技術が提案されている。レジスト膜を液浸露光する際には、ウエハと露光用の投影レンズとの間に、空気よりも屈折率の高い露光液(純水等)が供給された状態で、レジスト膜の露光が行われる。
【0004】
ところで、ウエハの表面処理を行う過程では、様々な原因によりウエハの表面(中央部又は周縁部)に微小なパーティクル(異物)が付着することがある。基板の表面を洗浄液で洗浄することで大部分のパーティクルを除去することができるが、なお基板の表面にパーティクルが残ることがある。パーティクルが付着したウエハが露光機内に搬入されると、露光機がパーティクルによって汚染され、後続のウエハの露光時に所望パターン以外にパーティクルの形状が転写されてしまい得る。加えて、露光機がパーティクルで汚染されると、露光機のクリーニングに長時間要することがあり、生産性が大幅に低下してしまう。さらに、そもそもウエハの周縁近傍に欠陥(例えば、割れ、欠け、傷など)が存在する場合、ウエハを適切に処理することができない。そこで、特許文献1〜3は、複数のカメラを用いてウエハの周縁部を撮像する工程と、各撮像画像を画像処理する工程と、画像処理後の処理画像に基づいてウエハの周縁部の状態を把握する工程とを含むウエハの検査方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−251143号公報
【特許文献2】特開2008−135583号公報
【特許文献3】特開平11−339042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3の検査方法では、ウエハの周縁近傍における複数の表面(例えば、上面及び端面)を検査するために、複数のカメラを用いて各面を個別に撮像していた。そのため、複数のカメラを設置するためのスペースが必要となり、ウエハを検査するための装置が大型化しうると共に、当該装置のコストが増加しうる。
【0007】
1台のカメラを移動させながらウエハの周縁近傍における複数の表面を検査することも考えられるが、カメラを移動させるための機構を設置するためのスペースが必要となるので、やはり当該装置が大型化しうる。また、カメラの移動速度はそれほど速くないので、ウエハの検査に時間を要しうる。
【0008】
さらに、複数のカメラを用いる場合には、複数のカメラに加えてそれらの組み付け機構等を要し、構成が複雑となる。1台のカメラを移動させる場合にも、1台のカメラに加えてカメラの移動機構等を要し、構成が複雑となる。そのため、特許文献1〜3の検査方法では、故障などの機器トラブルの可能性が高まり、検査を効率的に行えない懸念がある。
【0009】
そこで、本開示は、機器トラブルを抑制しつつ、小型化及び低コスト化を図ることが可能な基板撮像装置を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一つの観点に係る基板撮像装置は、基板を保持して回転させるように構成された回転保持部と、回転保持部の回転軸に対して傾斜すると共に、回転保持部に保持された基板の端面と裏面の周縁領域とに対向する反射面を有するミラー部材と、回転保持部に保持された基板の表面の周縁領域からの第1の光と、回転保持部に保持された基板の端面からの第2の光がミラー部材で反射された反射光とが共にレンズを介して入力される撮像素子を有するカメラとを備える。
【0011】
本開示の一つの観点に係る基板撮像装置では、ミラー部材が、回転保持部の回転軸に対して傾斜すると共に回転保持部に保持された基板の端面と裏面の周縁領域とに対向する反射面を有している。また、本開示の一つの観点に係る基板撮像装置では、カメラの撮像素子に、回転保持部に保持された基板の表面の周縁領域からの第1の光と、回転保持部に保持された基板の端面からの第2の光がミラー部材の反射面で反射された反射光とが共にレンズを介して入力される。そのため、基板の表面の周縁領域と基板の端面との双方が、1台のカメラで同時に撮像される。従って、複数のカメラが不要となる結果、複数のカメラを設置するためのスペースも不要となる。また、カメラを移動させるための機構も不要であるので、当該機構を設置するためのスペースも不要となる。このように、本開示の一つの観点に係る基板撮像装置では、装置構成が極めて簡略化される。その結果、機器トラブルを抑制しつつ、基板撮像装置の小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0012】
反射面は、回転保持部に保持された基板の端面から離れる側に向けて窪んだ湾曲面であってもよい。この場合、基板の端面が反射面に写った鏡像が実像よりも拡大する。そのため、基板の端面のより詳細な撮像画像を得ることができる。従って、当該撮像画像を画像処理することにより、基板の端面をより正確に検査することが可能となる。
【0013】
本開示の一つの観点に係る基板撮像装置は、第2の光がミラー部材の反射面で反射されてレンズに至るまでの間の光路の途中に配置され、基板の端面の結像位置を撮像素子に合わせるように構成された焦点調節レンズを更に備えてもよい。第2の光がミラー部材の反射面で反射されてレンズに至るまでの光路長は、第1の光がレンズに至るまでの光路長と比較して、ミラー部材で反射される分だけ長くなる。しかしながら、この場合、焦点調節レンズによって基板の端面の結像位置が撮像素子に合うので、撮像画像における基板の表面の周縁領域と基板の端面との双方が鮮明となる。従って、当該撮像画像を画像処理することにより、基板の端面をより正確に検査することが可能となる。
【0014】
本開示の一つの観点に係る基板撮像装置は、光源と、光源からの光をその光軸に直交する第1の方向に拡散して拡散光を発生させる光拡散部材とを有する照明部を更に備え、照明部は、回転保持部に保持された基板の表面の周縁領域に拡散光を照射すると共に、回転保持部に保持された基板の端面に拡散光のミラー部材からの反射光が到達するようにミラー部材の反射面に拡散光を照射してもよい。この場合、光源からの光が第1の方向に拡散されるので、拡散光が種々の方向から基板の端面に入射する。そのため、基板の端面が全体的に均一に照明される。従って、基板の端面をより鮮明に撮像することが可能となる。
【0015】
照明部は、光源からの光を散乱して散乱光を発生させる光散乱部材と、光散乱部材からの散乱光を光拡散部材に透過させる、光拡散部材に向けて凸の円柱レンズとを更に有し、円柱レンズは、光源からの光の光軸及び第1の方向の双方に直交する第2の方向に拡散させてもよい。この場合、散乱光が第1及び第2の方向に拡散されるので、拡散光が種々の方向から基板の端面に入射する。そのため、基板の端面が全体的により均一に照明される。従って、基板の端面をさらに鮮明に撮像することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る基板撮像装置によれば、機器トラブルを抑制しつつ、小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、基板処理システムを示す斜視図である。
図2図2は、図1のII−II線断面図である。
図3図3は、単位処理ブロック(BCTブロック、HMCTブロック、COTブロック及びDEVブロック)を示す上面図である。
図4図4は、検査ユニットを上方から見た断面図である。
図5図5は、検査ユニットを側方から見た断面図である。
図6図6は、検査ユニットを示す斜視図である。
図7図7は、周縁撮像サブユニットを前方から見た斜視図である。
図8図8は、周縁撮像サブユニットを後方から見た斜視図である。
図9図9は、周縁撮像サブユニットの上面図である。
図10図10は、二面撮像モジュールの側面図である。
図11図11は、照明モジュールを示す分解斜視図である。
図12図12は、図11のXII−XII線断面図である。
図13図13は、図11のXIII−XIII線断面図である。
図14図14(a)は光源からの光が光散乱部材を通過したときの様子を示す写真であり、図14(b)は光源からの光が光散乱部材及び円柱レンズを通過したときの様子を示す写真であり、図14(c)は光源からの光が光散乱部材、円柱レンズ及び光拡散部材を通過したときの様子を示す写真である。
図15図15(a)は焦点調節レンズが存在しない場合の光路を説明するための図であり、図15(b)は焦点調節レンズが存在する場合の光路を説明するための図である。
図16図16は、ミラー部材を示す斜視図である。
図17図17は、ミラー部材を示す側面図である。
図18図18(a)は照明モジュールからの光がミラー部材において反射する様子を説明するための図であり、図18(b)はウエハからの光がミラー部材において反射する様子を説明するための図である。
図19図19(a)は焦点調節レンズが存在しない場合にウエハの表面に合焦したときの撮像画像を示し、図19(b)は焦点調節レンズが存在しない場合にウエハの端面に合焦したときの撮像画像を示し、図19(c)は焦点調節レンズが存在する場合にウエハの表面及び端面の双方に合焦したときの撮像画像を示す。
図20図20は、裏面撮像サブユニットの側面図である。
図21図21は、基板処理システムの主要部を示すブロック図である。
図22図22は、コントローラのハードウェア構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
[基板処理システム]
図1に示されるように、基板処理システム1(基板処理装置)は、塗布現像装置2(基板処理装置)と、コントローラ10(制御部)とを備える。基板処理システム1には、露光装置3が併設されている。露光装置3は、基板処理システム1のコントローラ10と通信可能なコントローラ(図示せず)を備える。露光装置3は、塗布現像装置2との間でウエハW(基板)を授受して、ウエハWの表面Wa(図10等参照)に形成された感光性レジスト膜の露光処理(パターン露光)を行うように構成されている。具体的には、液浸露光等の方法により感光性レジスト膜(感光性被膜)の露光対象部分に選択的にエネルギー線を照射する。エネルギー線としては、例えばArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、g線、i線、又は極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)が挙げられる。
【0020】
塗布現像装置2は、露光装置3による露光処理の前に、感光性レジスト膜又は非感光性レジスト膜(以下、あわせて「レジスト膜」という。)をウエハWの表面Waに形成する処理を行う。塗布現像装置2は、露光装置3による感光性レジスト膜の露光処理後に、当該感光性レジスト膜の現像処理を行う。
【0021】
ウエハWは、円板状を呈してもよいし、多角形など円形以外の板状を呈していてもよい。ウエハWは、一部が切り欠かれた切り欠き部を有していてもよい。切り欠き部は、例えば、ノッチ(U字形、V字形等の溝)であってもよいし、直線状に延びる直線部(いわゆる、オリエンテーション・フラット)であってもよい。ウエハWは、例えば、半導体基板、ガラス基板、マスク基板、FPD(Flat Panel Display)基板その他の各種基板であってもよい。ウエハWの直径は、例えば200mm〜450mm程度であってもよい。なお、ウエハWの縁にベベル(面取り)が存在する場合、本明細書における「表面」には、ウエハWの表面Wa側から見たときのベベル部分も含まれる。同様に、本明細書における「裏面」には、ウエハWの裏面Wb(図10等参照)側から見たときのベベル部分も含まれる。本明細書における「端面」には、ウエハWの端面Wc(図10等参照)側から見たときのベベル部分も含まれる。
【0022】
図1図3に示されるように、塗布現像装置2は、キャリアブロック4と、処理ブロック5と、インターフェースブロック6とを備える。キャリアブロック4、処理ブロック5及びインターフェースブロック6は、水平方向に並んでいる。
【0023】
キャリアブロック4は、図1及び図3に示されるように、キャリアステーション12と、搬入搬出部13とを有する。キャリアステーション12は複数のキャリア11を支持する。キャリア11は、少なくとも一つのウエハWを密封状態で収容する。キャリア11の側面11aには、ウエハWを出し入れするための開閉扉(図示せず)が設けられている。キャリア11は、側面11aが搬入搬出部13側に面するように、キャリアステーション12上に着脱自在に設置される。
【0024】
搬入搬出部13は、キャリアステーション12及び処理ブロック5の間に位置している。搬入搬出部13は、複数の開閉扉13aを有する。キャリアステーション12上にキャリア11が載置される際には、キャリア11の開閉扉が開閉扉13aに面した状態とされる。開閉扉13a及び側面11aの開閉扉を同時に開放することで、キャリア11内と搬入搬出部13内とが連通する。搬入搬出部13は、受け渡しアームA1を内蔵している。受け渡しアームA1は、キャリア11からウエハWを取り出して処理ブロック5に渡し、処理ブロック5からウエハWを受け取ってキャリア11内に戻す。
【0025】
処理ブロック5は、図1及び図2に示されるように、単位処理ブロック14〜17を有する。単位処理ブロック14〜17は、床面側から単位処理ブロック17、単位処理ブロック14、単位処理ブロック15、単位処理ブロック16の順に並んでいる。単位処理ブロック14〜17は、図3に示されるように、液処理ユニットU1と、熱処理ユニットU2と、検査ユニットU3とを有する。
【0026】
液処理ユニットU1は、各種の処理液をウエハWの表面Waに供給するように構成されている。熱処理ユニットU2は、例えば熱板によりウエハWを加熱し、加熱後のウエハWを例えば冷却板により冷却して熱処理を行うように構成されている。検査ユニットU3は、ウエハWの各面(表面Wa、裏面Wb及び端面Wc)を検査するように構成されている(詳しくは後述する。)。
【0027】
単位処理ブロック14は、ウエハWの表面Wa上に下層膜を形成するように構成された下層膜形成ブロック(BCTブロック)である。単位処理ブロック14は、各ユニットU1〜U3にウエハWを搬送する搬送アームA2を内蔵している(図2参照)。単位処理ブロック14の液処理ユニットU1は、下層膜形成用の塗布液をウエハWの表面Waに塗布して塗布膜を形成する。単位処理ブロック14の熱処理ユニットU2は、下層膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて下層膜とするための加熱処理が挙げられる。下層膜としては、例えば、反射防止(SiARC)膜が挙げられる。
【0028】
単位処理ブロック15は、下層膜上に中間膜を形成するように構成された中間膜(ハードマスク)形成ブロック(HMCTブロック)である。単位処理ブロック15は、各ユニットU1〜U3にウエハWを搬送する搬送アームA3を内蔵している(図2参照)。単位処理ブロック15の液処理ユニットU1は、中間膜形成用の塗布液を下層膜上に塗布して塗布膜を形成する。単位処理ブロック15の熱処理ユニットU2は、中間膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させて中間膜とするための加熱処理が挙げられる。中間膜としては、例えば、SOC(Spin On Carbon)膜、アモルファスカーボン膜が挙げられる。
【0029】
単位処理ブロック16は、熱硬化性を有するレジスト膜を中間膜上に形成するように構成されたレジスト膜形成ブロック(COTブロック)である。単位処理ブロック16は、各ユニットU1〜U3にウエハWを搬送する搬送アームA4を内蔵している(図2参照)。単位処理ブロック16の液処理ユニットU1は、レジスト膜形成用の塗布液(レジスト剤)を中間膜上に塗布して塗布膜を形成する。単位処理ブロック16の熱処理ユニットU2は、レジスト膜の形成に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、塗布膜を硬化させてレジスト膜とするための加熱処理(PAB:Pre Applied Bake)が挙げられる。
【0030】
単位処理ブロック17は、露光されたレジスト膜の現像処理を行うように構成された現像処理ブロック(DEVブロック)である。単位処理ブロック17は、各ユニットU1〜U3にウエハWを搬送する搬送アームA5と、これらのユニットを経ずにウエハWを搬送する直接搬送アームA6とを内蔵している(図2参照)。単位処理ブロック17の液処理ユニットU1は、露光後のレジスト膜に現像液を供給してレジスト膜を現像する。単位処理ブロック17の液処理ユニットU1は、現像後のレジスト膜にリンス液を供給して、レジスト膜の溶解成分を現像液と共に洗い流す。これにより、レジスト膜が部分的に除去され、レジストパターンが形成される。単位処理ブロック16の熱処理ユニットU2は、現像処理に伴う各種熱処理を行う。熱処理の具体例としては、現像処理前の加熱処理(PEB:Post Exposure Bake)、現像処理後の加熱処理(PB:Post Bake)等が挙げられる。
【0031】
処理ブロック5内におけるキャリアブロック4側には、図2及び図3に示されるように、棚ユニットU10が設けられている。棚ユニットU10は、床面から単位処理ブロック15にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。棚ユニットU10の近傍には昇降アームA7が設けられている。昇降アームA7は、棚ユニットU10のセル同士の間でウエハWを昇降させる。
【0032】
処理ブロック5内におけるインターフェースブロック6側には、棚ユニットU11が設けられている。棚ユニットU11は床面から単位処理ブロック17の上部にわたって設けられており、上下方向に並ぶ複数のセルに区画されている。
【0033】
インターフェースブロック6は、受け渡しアームA8を内蔵しており、露光装置3に接続される。受け渡しアームA8は、棚ユニットU11のウエハWを取り出して露光装置3に渡し、露光装置3からウエハWを受け取って棚ユニットU11に戻すように構成されている。
【0034】
コントローラ10は、基板処理システム1を部分的又は全体的に制御する。コントローラ10の詳細については後述する。なお、コントローラ10は露光装置3のコントローラとの間で信号の送受信が可能であり、各コントローラの連携により基板処理システム1及び露光装置3が制御される。
【0035】
[検査ユニットの構成]
続いて、図4図20を参照して、検査ユニットU3についてさらに詳しく説明する。検査ユニットU3は、図4図6に示されるように、筐体100と、回転保持サブユニット200(回転保持部)と、表面撮像サブユニット300と、周縁撮像サブユニット400(基板撮像装置)と、裏面撮像サブユニット500とを有する。各サブユニット200〜500は、筐体100内に配置されている。筐体100のうち一端壁には、ウエハWを筐体100の内部に搬入及び筐体100の外部に搬出するための搬入出口101が形成されている。
【0036】
回転保持サブユニット200は、保持台201と、アクチュエータ202,203と、ガイドレール204を含む。保持台201は、例えば、吸着等によりウエハWを略水平に保持する吸着チャックである。保持台201(吸着チャック)の形状は特に限定されないが、例えば円形であってもよい。保持台201のサイズは、ウエハWよりも小さくてもよい。
【0037】
アクチュエータ202は、例えば電動モータであり、保持台201を回転駆動する。すなわち、アクチュエータ202は、保持台201に保持されているウエハWを回転させる。アクチュエータ202は、保持台201の回転位置を検出するためのエンコーダを含んでいてもよい。この場合、各撮像サブユニット300,400,500によるウエハWの各面の撮像位置と、回転位置との対応付けを行うことができる。ウエハWが切り欠き部を有する場合には、各撮像サブユニット300,400,500によって判別された当該切り欠き部とエンコーダによって検出された回転位置とに基づいて、ウエハWの姿勢を特定することができる。
【0038】
アクチュエータ203は、例えばリニアアクチュエータであり、保持台201をガイドレール204に沿って移動させる。すなわち、アクチュエータ203は、保持台201に保持されているウエハWをガイドレール204の一端側と他端側との間で搬送する。従って、保持台201に保持されているウエハWは、搬入出口101寄りの第1の位置と、周縁撮像サブユニット400及び裏面撮像サブユニット500寄りの第2の位置との間で移動可能である。ガイドレール204は、筐体100内において線状(例えば直線状)に延びている。
【0039】
表面撮像サブユニット300は、カメラ310(撮像手段)と、照明モジュール320とを含む。カメラ310及び照明モジュール320は、一組の撮像モジュールを構成している。カメラ310は、レンズと、一つの撮像素子(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ310は、照明モジュール320(照明部)に対向している。
【0040】
照明モジュール320は、ハーフミラー321と、光源322とを含む。ハーフミラー321は、水平方向に対して略45°傾いた状態で、筐体100内に配置されている。ハーフミラー321は、上方から見てガイドレール204の延在方向に交差するように、ガイドレール204の中間部分の上方に位置している。ハーフミラー321は、矩形状を呈している。ハーフミラー321の長さは、ウエハWの直径よりも大きい。
【0041】
光源322は、ハーフミラー321の上方に位置している。光源322は、ハーフミラー321よりも長い。光源322から出射された光は、ハーフミラー321を全体的に通過して下方(ガイドレール204側)に向けて照射される。ハーフミラー321を通過した光は、ハーフミラー321の下方に位置する物体で反射した後、ハーフミラー321で再び反射して、カメラ310のレンズを通過し、カメラ310の撮像素子に入射する。すなわち、カメラ310は、ハーフミラー321を介して、光源322の照射領域に存在する物体を撮像できる。例えば、ウエハWを保持する保持台201がアクチュエータ203によってガイドレール204に沿って移動する際に、カメラ310は、光源322の照射領域を通過するウエハWの表面Waを撮像できる。カメラ310によって撮像された撮像画像のデータは、コントローラ10に送信される。
【0042】
周縁撮像サブユニット400は、図4図10に示されるように、カメラ410(撮像手段)と、照明モジュール420と、ミラー部材430とを含む。カメラ410、照明モジュール420(照明部)及びミラー部材430は、一組の撮像モジュールを構成している。カメラ410は、レンズ411と、一つの撮像素子412(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ410は、照明モジュール420に対向している。
【0043】
照明モジュール420は、図7図13に示されるように、保持台201に保持されたウエハWの上方に配置されている。照明モジュール420は、光源421と、光散乱部材422と、保持部材423とを含む。光源421は、図11図13に示されるように、例えば、筐体421aと、筐体421a内に配置された複数のLED点光源421bとで構成されている。複数のLED点光源421bは、ウエハWの径方向に沿って一列に並んでいる。
【0044】
光散乱部材422は、図7図13に示されるように、光源421と重なり合うように光源421に接続されている。光散乱部材422には、図11図13に示されるように、光源421及び光散乱部材422が重なり合う方向において延びる貫通孔422aが形成されている。貫通孔422aの内壁面には、鏡面加工が施されている。鏡面加工の方法としては、例えば無電解ニッケルめっきを内壁面に施し、めっき膜422bを内壁面に形成することが挙げられる。これにより、光源421からの光が光散乱部材422の貫通孔422a内に入射すると、図12及び図13に示されるように、入射光がめっき膜422bにおいて乱反射する。これにより、光散乱部材422において散乱光が生成される(図14(a)参照)。
【0045】
保持部材423は、図7図13に示されるように、光散乱部材422と重なり合うように光散乱部材422に接続されている。保持部材423には、図10図13に示されるように、貫通孔423aと、貫通孔423aに交差する交差孔423bとが形成されている。貫通孔423aは、光散乱部材422及び保持部材423が重なり合う方向において延びている。交差孔423bは、保持部材423の一の側面から貫通孔423aに向けて貫通孔423aと直交する方向に沿って延びている。交差孔423bは、貫通孔423aに連通するように接続されている。
【0046】
保持部材423は、図7図13に示されるように、ハーフミラー424と、円柱レンズ425と、光拡散部材426と、焦点調節レンズ427とを内部に保持している。ハーフミラー424は、図10及び図12に示されるように、水平方向に対して略45°傾いた状態で、貫通孔423a及び交差孔423bの交差部分に配置されている。ハーフミラー424は、矩形状を呈している。
【0047】
円柱レンズ425は、図10図13に示されるように、保持部材423とハーフミラー424との間に配置されている。円柱レンズ425は、図10図12に示されるように、ハーフミラー424に向けて突出する凸型の円柱レンズである。円柱レンズ425の軸は、複数のLED点光源421bが並ぶ方向に延びている。円柱レンズ425に光散乱部材422からの散乱光が入射すると、円柱レンズ425の円柱面の周方向に沿って当該散乱光が拡大される(図14(b)参照)。
【0048】
光拡散部材426は、図10図13に示されるように、円柱レンズ425とハーフミラー424との間に配置されている。光拡散部材426は、矩形状を呈するシート部材であり、円柱レンズ425を透過した光を拡散させる。これにより、光拡散部材426において拡散光が生成される(図14(c)参照)。例えば、光拡散部材426は、入射した光を光拡散部材426の面の全方向に拡散させる等方性拡散機能を有していてもよいし、入射した光を円柱レンズ425の軸方向(円柱レンズ425の円柱面の周方向と直交する方向)に向けて拡散させる異方性拡散機能を有していてもよい。
【0049】
焦点調節レンズ427は、図7図8図11及び図12に示されるように、交差孔423b内に配置されている。焦点調節レンズ427は、レンズ411との合成焦点距離を変化させる機能を有するレンズであれば特に限定されない。焦点調節レンズ427は、例えば、直方体形状を呈するレンズである。
【0050】
ここで、レンズ411のみを用いる場合、図15(a)に示されるように、レンズ411に近いA点からの光はレンズ411を通って撮像素子412に収束するが、レンズ411から遠いB点からの光はレンズ411を通って撮像素子412からずれた位置(撮像素子412よりも奥側)に収束する。そのため、A点の像は撮像素子412において鮮明に写るが、B点の像は撮像素子412においてぼけて写る傾向にある。これに対し、焦点調節レンズ427が存在すると、図15(b)に示されるように、レンズ411から遠いB点からの光は焦点調節レンズ427において屈折した後にレンズ411を通って撮像素子412に収束する。焦点調節レンズ427の存在により、焦点調節レンズ427を通してB点の像を見た場合、当該像はA点と同一面のC点に存在しているように見える。そのため、レンズ411から見ると、A点の位置とB点の見かけ上の位置(C点の位置)とは共にレンズ411からの距離が等しくなるので、A点及びB点からの光は共に撮像素子412に収束する。従って、A点及びB点の像が共に撮像素子412において鮮明に写る。なお、以上の説明は、焦点調節レンズ427が、1つのレンズ内に屈折力の異なる2つの部分を有する二重焦点レンズ(バイフォーカルレンズ)である場合にも同様に当てはまる。
【0051】
ミラー部材430は、図7図10図12図13及び図16に示されるように、照明モジュール420の下方に配置されている。ミラー部材430は、図7図10図12図13図16及び図17に示されるように、本体431と、反射面432とを含む。本体431は、アルミブロックによって構成されている。
【0052】
反射面432は、図7図13及び図17に示されるように、保持台201に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、保持台201に保持されたウエハWの端面Wcと裏面Wbの周縁領域Wdとに対向する。反射面432は、保持台201の回転軸に対して傾斜している。反射面432には、鏡面加工が施されている。例えば、反射面432には、ミラーシートが貼り付けられていてもよいし、アルミめっきが施されていてもよいし、アルミ材料が蒸着されていてもよい。
【0053】
反射面432は、保持台201に保持されたウエハWの端面Wcから離れる側に向けて窪んだ湾曲面である。すなわち、ミラー部材430は、凹面鏡である。そのため、ウエハWの端面Wcが反射面432に写ると、その鏡像が実像よりも拡大する。反射面432の曲率半径は、例えば、10mm〜30mm程度であってもよい。反射面432の開き角θ(図17参照)は、100°〜150°程度であってもよい。なお、反射面432の開き角θとは、反射面432に外接する2つの平面がなす角をいう。
【0054】
照明モジュール420においては、光源421から出射された光は、光散乱部材422で散乱され、円柱レンズ425で拡大され、さらに光拡散部材426で拡散された後、ハーフミラー424を全体的に通過して下方に向けて照射される。ハーフミラー424を通過した拡散光は、ハーフミラー424の下方に位置するミラー部材430の反射面432で反射する。保持台201に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、拡散光が反射面432で反射した反射光は、図13及び図18(a)に示されるように、主としてウエハWの端面Wc(ウエハWの縁にベベルが存在する場合には、特にベベル部分の上端側)と表面Waの周縁領域Wdとに照射される。
【0055】
ウエハWの表面Waの周縁領域Wdから反射した反射光は、ミラー部材430の反射面432には向かわずにハーフミラー424で再び反射して(図18(b)参照)、焦点調節レンズ427は通過せずにカメラ410のレンズ411を通過し、カメラ410の撮像素子412に入射する。一方、ウエハWの端面Wcから反射した反射光は、ミラー部材430の反射面432とハーフミラー424とで順次反射して、焦点調節レンズ427とカメラ410のレンズ411とを順次通過し、カメラ410の撮像素子412に入射する。従って、ウエハWの端面Wcからカメラ410の撮像素子412に到達する光の光路長は、ウエハWの表面Waの周縁領域Wdからカメラ410の撮像素子412に到達する光の光路長よりも長い。これらの光路の光路差は、例えば1mm〜10mm程度であってもよい。このように、カメラ410の撮像素子412には、ウエハWの表面Waの周縁領域Wdからの光と、ウエハWの端面Wcからの光との双方が入力される。すなわち、保持台201に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、カメラ410は、ウエハWの表面Waの周縁領域WdとウエハWの端面Wcとの双方を撮像できる。カメラ410によって撮像された撮像画像のデータは、コントローラ10に送信される。
【0056】
なお、焦点調節レンズ427が存在せずにウエハWの表面Waの周縁領域Wdに合焦した場合、当該光路差の存在により、カメラ410によって撮像された撮像画像において、ウエハWの表面Waの周縁領域Wdは鮮明に写るがウエハWの端面Wcはぼけて写る傾向にある(図19(a)参照)。一方、焦点調節レンズ427が存在せずにウエハWの端面Wcに合焦した場合、当該光路差の存在により、カメラ410によって撮像された撮像画像において、ウエハWの端面Wcは鮮明に写るがウエハWの表面Waの周縁領域Wdはぼけて写る傾向にある(図19(b)参照)。しかしながら、ミラー部材430の反射面432で反射された反射光がレンズ411に至るまでの間に焦点調節レンズ427が存在しているので、当該光路差が存在しても、ウエハWの端面Wcの結像位置が撮像素子412に合う(図15(b)参照)。従って、カメラ410によって撮像された撮像画像において、ウエハWの表面Waの周縁領域WdとウエハWの端面Wcとが共に鮮明に写る(図19(c)参照)。
【0057】
裏面撮像サブユニット500は、図4図9及び図20に示されるように、カメラ510(撮像手段)と、照明モジュール520(照明部)とを含む。カメラ510及び照明モジュール520は、一組の撮像モジュールを構成している。カメラ510は、レンズ511と、一つの撮像素子512(例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等)とを含む。カメラ510は、照明モジュール520(照明部)に対向している。
【0058】
照明モジュール520は、照明モジュール420の下方であって、保持台201に保持されたウエハWの下方に配置されている。照明モジュール520は、図20に示されるように、ハーフミラー521と、光源522とを含む。ハーフミラー521は、水平方向に対して略45°傾いた状態で配置されている。ハーフミラー521は、矩形状を呈している。
【0059】
光源522は、ハーフミラー521の下方に位置している。光源522は、ハーフミラー521よりも長い。光源522から出射された光は、ハーフミラー521を全体的に通過して上方に向けて照射される。ハーフミラー521を通過した光は、ハーフミラー521の上方に位置する物体で反射した後、ハーフミラー521で再び反射して、カメラ510のレンズ511を通過し、カメラ510の撮像素子512に入射する。すなわち、カメラ510は、ハーフミラー521を介して、光源522の照射領域に存在する物体を撮像できる。例えば、保持台201に保持されたウエハWが第2の位置にある場合、カメラ510は、ウエハWの裏面Wbを撮像できる。カメラ510によって撮像された撮像画像のデータは、コントローラ10に送信される。
【0060】
[コントローラの構成]
コントローラ10は、図21に示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラ10の機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラ10を構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0061】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取る。記録媒体RMは、基板処理システム1の各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMとしては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。
【0062】
記憶部M2は、種々のデータを記憶する。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラム、カメラ310,410,510において撮像された撮像画像のデータの他、ウエハWを処理するための各種データ(いわゆる処理レシピ)、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データ等を記憶する。
【0063】
処理部M3は、各種データを処理する。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、液処理ユニットU1、熱処理ユニットU2及び検査ユニットU3(例えば、回転保持サブユニット200、カメラ310,410,510、照明モジュール320,420,520)を動作させるための信号を生成する。また、処理部M3は、カメラ310,410,510において撮像された撮像画像のデータを画像処理して、ウエハWに欠陥等が存在するかどうかを判断する。処理部M3は、ウエハWに欠陥等が存在すると判断した場合には、当該ウエハWに対する処理を中止するための信号を生成する。
【0064】
指示部M4は、処理部M3において生成された信号を各種装置に送信する。
【0065】
コントローラ10のハードウェアは、例えば一つ又は複数の制御用のコンピュータにより構成される。コントローラ10は、ハードウェア上の構成として、例えば図22に示される回路10Aを有する。回路10Aは、電気回路要素(circuitry)で構成されていてもよい。回路10Aは、具体的には、プロセッサ10Bと、メモリ10C(記憶部)と、ストレージ10D(記憶部)と、ドライバ10Eと、入出力ポート10Fとを有する。プロセッサ10Bは、メモリ10C及びストレージ10Dの少なくとも一方と協働してプログラムを実行し、入出力ポート10Fを介した信号の入出力を実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。メモリ10C及びストレージ10Dは、記憶部M2として機能する。ドライバ10Eは、基板処理システム1の各種装置をそれぞれ駆動する回路である。入出力ポート10Fは、ドライバ10Eと基板処理システム1の各種装置(例えば、回転部21、保持部22、ポンプ32,42、バルブ33,43、熱処理ユニットU2、保持台201、アクチュエータ202,203、カメラ310,410,510、光源322,421,522等)との間で、信号の入出力を行う。
【0066】
本実施形態では、基板処理システム1は、一つのコントローラ10を備えているが、複数のコントローラ10で構成されるコントローラ群(制御部)を備えていてもよい。基板処理システム1がコントローラ群を備えている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコントローラ10によって実現されていてもよいし、2個以上のコントローラ10の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10が複数のコンピュータ(回路10A)で構成されている場合には、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのコンピュータ(回路10A)によって実現されていてもよいし、2つ以上のコンピュータ(回路10A)の組み合わせによって実現されていてもよい。コントローラ10は、複数のプロセッサ10Bを有していてもよい。この場合、上記の機能モジュールがそれぞれ、一つのプロセッサ10Bによって実現されていてもよいし、2つ以上のプロセッサ10Bの組み合わせによって実現されていてもよい。
【0067】
[作用]
本実施形態では、ミラー部材430が、保持台201の回転軸に対して傾斜すると共に保持台201に保持されたウエハWの端面Wcと裏面Wbの周縁領域Wdとに対向する反射面432を有している。また、本実施形態では、カメラ410の撮像素子412に、保持台201に保持されたウエハWの表面Waの周縁領域Wdからの光と、保持台201に保持されたウエハWの端面Wcからの光がミラー部材430の反射面432で反射された反射光とが共に、レンズ411を介して入力される。そのため、ウエハWの表面Waの周縁領域WdとウエハWの端面Wcとの双方が、1台のカメラ410で同時に撮像される。従って、複数のカメラが不要となる結果、複数のカメラを設置するためのスペースも不要となる。また、カメラ410を移動させるための機構も不要であるので、当該機構を設置するためのスペースも不要となる。このように、本実施形態では、検査ユニットU3の装置構成が極めて簡略化される。その結果、機器トラブルを抑制しつつ、検査ユニットU3の小型化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0068】
本実施形態では、反射面432が、保持台201に保持されたウエハWの端面Wcから離れる側に向けて窪んだ湾曲面である。そのため、ウエハWの端面Wcが反射面432に写った鏡像が実像よりも拡大する。例えば、反射面432が湾曲面でない場合、撮像画像におけるウエハWの端面Wcの幅は20ピクセル程度であるが、反射面432が上記のような湾曲面であると、撮像画像におけるウエハWの端面Wcの幅がウエハWの厚み方向において1.5倍程度に拡大する。従って、ウエハWの端面Wcのより詳細な撮像画像を得ることができる。その結果、当該撮像画像を画像処理することにより、ウエハWの端面Wcをより正確に検査することが可能となる。
【0069】
ところで、ウエハWの端面Wcからの光がミラー部材430の反射面432で反射されてレンズ411に至るまでの光路長は、ウエハWの表面Waの周縁領域Wdからの光がレンズ411に至るまでの光路長と比較して、ミラー部材430で反射される分だけ長くなる。しかしながら、本実施形態では、ウエハWの端面Wcからの光がミラー部材430の反射面432で反射されてレンズ411に至るまでの間の光路の途中に焦点調節レンズ427が配置されている。焦点調節レンズ427は、ウエハWの端面Wcの結像位置を撮像素子412に合わせるように構成されている。そのため、焦点調節レンズ427によってウエハWの端面Wcの結像位置が撮像素子412に合うので、撮像画像におけるウエハWの表面Waの周縁領域WdとウエハWの端面Wcとの双方が鮮明となる。従って、当該撮像画像を画像処理することにより、ウエハWの端面Wcをより正確に検査することが可能となる。
【0070】
本実施形態では、照明モジュール420からの拡散光がミラー部材430の反射面432で反射した反射光が、保持台201に保持されたウエハWの端面Wcに到達するように、ミラー部材430の反射面432に対して照明モジュール420が拡散光を照射している。そのため、拡散光が種々の方向からウエハWの端面Wcに入射する。従って、ウエハWの端面Wcが全体的に均一に照明される。その結果、ウエハWの端面Wcをより鮮明に撮像することが可能となる。
【0071】
本実施形態では、光源421から出射された光が、光散乱部材422で散乱され、円柱レンズ425で拡大され、さらに光拡散部材426で拡散される。そのため、拡散光が種々の方向からウエハWの端面Wcに入射する。従って、ウエハWの端面Wcが全体的に均一に照明される。その結果、ウエハWの端面Wcをより鮮明に撮像することが可能となる。
【0072】
[他の実施形態]
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、反射面432は、保持台201の回転軸に対して傾斜すると共に保持台201に保持されたウエハWの端面Wcと裏面Wbの周縁領域Wdとに対向していればよく、湾曲面以外の他の形状(例えば、平坦面)を呈していてもよい。
【0073】
周縁撮像サブユニット400は、焦点調節レンズ427を含んでいなくてもよい。
【0074】
周縁撮像サブユニット400は、光散乱部材422、円柱レンズ425及び光拡散部材426のいずれかを含んでいなくてもよい。
【0075】
検査ユニットU3は、棚ユニットU10,U11に配置されていてもよい。例えば、検査ユニットU3は、棚ユニットU10,U11のうち単位処理ブロック14〜17に対応して位置するセル内に設けられていてもよい。この場合、ウエハWは、アームA1〜A8によって搬送される過程で検査ユニットU3に直接受け渡される。
【符号の説明】
【0076】
1…基板処理システム(基板処理装置)、2…塗布現像装置(基板処理装置)、10…コントローラ(制御部)、14〜17…単位処理ブロック、200…回転保持サブユニット(回転保持部)、201…保持台、300…表面撮像サブユニット、400…周縁撮像サブユニット(基板撮像装置)、500…裏面撮像サブユニット、310、410、510…カメラ、411、511…レンズ、412、512…撮像素子、320、420、520…照明モジュール(照明部)、322、421、522…光源、422…光散乱部材、425…円柱レンズ、426…光拡散部材、427…焦点調節レンズ、430…ミラー部材、432…反射面、M2…記憶部、M3…処理部、RM…記録媒体、U3…検査ユニット、W…ウエハ(基板)、Wa…表面、Wb…裏面、Wc…端面、Wd…周縁領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22