(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本実施形態では、本開示の収容庫の一態様として冷蔵庫を例示し、収容庫の照明装置として冷蔵庫の照明装置を例示する。また、本実施形態では、冷蔵庫の収容室の側壁の前部に設けられた照明装置にて、収容室の後方(奥)を照らす構成を例示する。
【0013】
なお、ここで開示する実施形態は一例に過ぎず、収容室の壁面に設けられた照明装置にて収容室の意図した部分を照らす構成であればよく、例えば、収容室の天井の壁面の前部に設けられた照明装置にて収容室の後方を照らす構成であってもよい。あるいは、収容室の側壁の下部に設けられた照明装置にて収容室の上方を照らす構成であってもよい。また、冷蔵庫以外に、例えば、電子レンジやオーブンレンジ等の収容室を有する加熱調理器や、収容室を有する各種の保管庫等にも本発明を適用することができる。
【0014】
(冷蔵庫1の概要)
図1は、本実施形態の冷蔵庫1を示す斜視図である。
図2は、
図1のA矢視図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は断熱材を充填した断熱箱体1aにより収容室2が区画されている。収容室2の左右の側壁8の前部に、照明装置10が設けられている。詳細については後述するが、照明装置10は上下方向に長く、前後方向に短い長尺状をなす。
【0015】
図2に示すように、左右の側壁8には、貯蔵物を載置する載置トレイ9を支持する支持部11が突設されている。載置トレイ9は左右の側壁8の支持部11上に橋架される。収容室2の後壁には、冷気が流通する冷気通路12が形成される。冷気通路12を流通する冷気は、吐出口(不図示)を介して収容室2に吐出される。冷気通路12の前面は金属パネル13で覆われ、冷気通路12を流通する冷気の冷熱が金属パネル13を介して収容室2に放出される。これにより、収容室2の内部を均一に冷却することができる。
【0016】
(照明装置10の概要)
図3は、
図2のB−B線矢視断面図である。
図3に示すように、照明装置10は、光源3と、光源3を覆うカバー6とを少なくとも備える。光源3は、収容室2の内部を照らす光を発するものである。本実施形態では、光源3は、側壁8と交差する方向に光を発する。また、本実施形態では、長尺状の実装基板7に並んで実装されたチップ状の複数のLED3aにて光源3が構成されており、複数のLED3aは上下方向に並んで配置されている。
【0017】
カバー6は、光源3と対向する側に、光源3が発した光が入射する光入射部60を有する。カバー6における収容室2に向いた面を表面6a、表面6aの反対側を裏面6bとすると、本実施形態では、光入射部60は、カバー6の裏面6bにおける光源3と対向する位置に設けられている。また、本実施形態では、1枚のカバー6で全てのLED3aを覆うように設けられており、カバー6は照明装置10と同形状の長尺状に形成されている(
図2参照)。なお、カバー6は光源3の少なくとも一部分を覆うものであればよい。
【0018】
照明装置10は、収容室2の側壁8の前部に設けられており、側壁8に形成された凹部8aに取り付けられている。凹部8aには、樹脂成形品からなるケース5が配設されている。複数のLED3aが実装された実装基板7は、ケース5の内側に側壁8と略平行になるように取り付けられている。なお、ケース5の色は白色等、光を反射する色が好ましい。これにより、カバー6の裏面6bから出射された光を反射して、再度カバー6の裏面6bから入射させることができる。
【0019】
カバー6は、ケース5の収容室2に向かって開口している開口部を覆う。カバー6は、アクリル樹脂、ガラス、ポリスチレン樹脂等を透明部材からなる。カバー6が嵌められることでケース5が塞がれている。カバー6には爪部(不図示)が設けられており、該爪部がケース5に設けられた孔部(不図示)に係合することで、カバー6がケース5に係止される。
【0020】
(カバー6の詳細)
図3に示すように、カバー6は、光入射部60と、第1導光部61と、第2導光部62と、光出射部63と、端部光出射形状(光出射形状)64と、光反射拡散部65と、第3導光部66とを有する。以下、
図3から
図12を用いて、カバー6の構成について説明する。以下においては、カバー6の前側の端部を前端部6f、カバー6の後側の端部を後端部6rとする。
【0021】
図4は、冷蔵庫1の収容室2に設けられた照明装置10のカバー6の表面6a側を示す正面図である。
図5は、カバー6の裏面6b側を示す背面図である。
図6は、
図3の領域A1の拡大図である。
図7は、カバー6の裏面6bに設けられた光反射拡散部65における凹形状74の配置の一例を示す図である。
図8は、カバー6の裏面6bに設けられた光反射拡散部65における凹形状74の配置の別の例を示す図である。
図9は、
図7に示す光反射拡散部65の配置例における輝度を測定した結果を示す図である。
図10は、
図3の領域A2の拡大図である。
図11は、カバー6の表面6a側の後端部6rに設けられた端部光出射形状64の一例を示す図である。
図12は、カバー6の表面6a側の後端部6rに設けられた端部光出射形状64の別の例を示す図である。
【0022】
<光入射部60>
光入射部60は、光源3から発せられた光をカバー6の内部に取り入れる部分である。光入射部60は、側壁8に沿った方向に向いて光源3から発せられた光を入射するものであってもよい。
図3に示すように、光入射部60は、裏面6bにおける光源3と対向する面に相当する。また、本実施形態では、
図5に示すように、光入射部60は、複数のLED3aが上下方向に並んで配置されている光源3に対応して、上下方向に長く延びるように設けられている。光源3(LED3a)から発せられた光は、光入射部60よりカバー6の内部に入射する。
【0023】
<第1導光部61>
第1導光部61は、光入射部60から入射した光の進行方向を、収容室2の壁面に沿った第1方向へ変える部分である。第1導光部61は、入射した光の進行方向を反射することで第1方向へ変える。前述したように、本実施形態では、収容室2の側壁8の前部に設けられた照明装置10にて、収容室2の後を照らすようになっている。そのため、第1導光部61は、光入射部60から入射した光の進行方向を、収容室2の壁面に沿って前(手前)から後(奥)に向かう方向へ変える。この前から後に向かう方向が第1方向である。
【0024】
図3、
図6に示すように、本実施形態では、第1導光部61は、光入射部60が位置する部分に対応した表面6a側が収容室2の内側に向かって突出すると共に後方に向かって湾曲した湾曲面よりなる。このような第1導光部61は、光入射部60に対して所定の角度で傾斜した曲面にて形成されている。なお、
図3の例では第1導光部61を曲面としているが、第1導光部61は、光入射部60に対して所定の角度で傾斜した平面であってもよい。
【0025】
第1導光部61は、LED3aから発せられ光入射部60から入射した光が、第1導光部61に対して臨界角より大きい角度で入射するように傾斜させることが好ましい。例えば、カバー6がアクリル樹脂からなる場合、アクリル樹脂から空気に向けて入射される光の臨界角は約42°である。このため、光入射部60からの入射した光が第1導光部61に臨界角である約42°よりも大きい角度で入射するように第1導光部61を傾斜させることが好ましい。このように第1導光部61を傾斜させることで、LED3aから発せられ光入射部60から入射した光の多くを、第1導光部61から外部に出射させることなく反射(全反射)させて、後方(後端部6r側)へ送る(導光させる)ことができる。
【0026】
<第2導光部62>
第2導光部62は、第1導光部61と光出射部63との間に位置し、第1導光部61からの光を光出射部63へ導く部分である。第2導光部62は、光出射部63よりも収容室2に出射する光の量(出射量)が少ない。
【0027】
このような第2導光部が第1導光部61と光出射部63との間に設けられることで、光出射部63の位置が自ずと前から後に向かう光の進行方向の下流に移動する。これにより、収容室2の側壁8に設けられた照明装置10にて収容室2の意図した部分である後方をより効果的に照らして光源3から発せられた光をより有効に利用することができる。
【0028】
本実施形態では、少なくとも第2導光部表面62aを平面形状としている。これにより、第2導光部表面62aにおける光の拡散を抑制し、第2導光部表面62aから外部に出射させることなくより多くの光を後方へ送ることができる。より好ましくは、第2導光部裏面62bも平面形状とすることである。これにより、第2導光部裏面62bにおける光の拡散を抑制して、第2導光部裏面62bから外部に出射させることなくより多くの光を後方へ送ることができる。
【0029】
また、第2導光部表面62aは、光出射部63と比較して表面粗さが小さい。これにより、第2導光部表面62aにおける光の拡散を抑制し、外部に出射させることなくより多くの光を後方へ送ることができる。より好ましくは、第2導光部裏面62bも光出射部63と比較して表面粗さを小さくすることである。これにより、第2導光部裏面62bにおける光の拡散を抑制して、外部に出射させることなくより多くの光を後方へ送ることができる。
【0030】
ここで、第2導光部62は、第1導光部61から第2導光部62に入射した光が、表面6aに位置する第2導光部表面62a又は裏面6bに位置する第2導光部裏面62bに対して、臨界角より大きい角度で入射することが好ましい。これにより、第1導光部61から入射した光の多くを第1導光部61から外部に出射させることなく第2導光部表面62aと第2導光部裏面62bとの間で全反射させて後方へ送ることができる。
【0031】
そのため、本実施形態では、少なくとも第2導光部表面62aを、第1導光部61にて変更された光の進行方向である前から後に向かう方向(第1方向)と平行(実質的に平行)としている。これにより、第2導光部表面62aにおいて第1導光部61から入射した光を全反射させることができる。より好ましくは、第2導光部裏面62bも第1導光部61にて変更された光の進行方向と平行(実質的に平行)とすることである。これにより、第2導光部裏面62bにおいても第1導光部61から入射した光を全反射させることができる。また、第2導光部表面62aおよび第2導光部裏面62bの両方が光入射部60と平行に設けられることで、第2導光部62が前後方向に比較的長く設けられたとしても、第2導光部62を導光する光を全反射させて後方へ送ることができる。
【0032】
また、本実施形態では、
図6に示すように、第2導光部62は、カバー6における最も収容室2の内側に突出している表面6aの部分よりも、側壁8の壁芯側に奥まって位置している。換言すると、第2導光部表面62aが、カバー6における最も収容室2の内側に突出している表面6aの部分よりも側壁8の壁芯側に奥まって位置している。ここで、より好ましくは、第2導光部62が、側壁8よりも第2導光部62が側壁8の壁芯側に奥まって位置していることである。つまり、第2導光部62が側壁8よりも窪んで設けられていることである。これにより、第2導光部62が収容室2に出っ張ることを低減でき、収容室2に設置される載置トレイ9(
図1参照)等と接触し難くできる。
【0033】
<第3導光部66>
第3導光部66は、カバー6の表面6aにおける第1導光部61よりも前端部6f側に設けられている。第3導光部66は、光入射部60から入射する光を前方(前端部6f側)に導く部分である。第3導光部66は、光入射部60の前方側の端部に対応する部分より収容室2の内側に向かう傾斜面66aと、傾斜面66aと連なる平面66bと有する。傾斜面66aが第1導光部61と接続されている。第1導光部61と傾斜面66aとが交わる交線67は光入射部60の前後方向の中心に対して前方に偏って配置されている。これにより、光源3からの光にて、カバー6の前端部6f側も光らせることができる。
【0034】
また、第2導光部62と同様に、第3導光部66における平面66bは、側壁8よりも窪んで設けられていることが好ましい。これにより、平面66bが収容室2に出っ張ることを低減でき、収容室2に設置される載置トレイ9(
図1参照)等と接触し難くできる。
【0035】
<光出射部63>
光出射部63は、カバー6内部に入射した光を収容室2に多く出射する部分である。光入射部60は、カバー6の表面6aに設けられている。
図3、
図6に示すように、本実施形態では、光出射部63は、第1導光部61よりも前から後に向かう光の進行方向の下流に位置する。また、光出射部63は、第2導光部62よりも収容室2の後側(奥側)に設けられている。
【0036】
図6に示すように、光出射部63は、カバー6の表面6aに形成された凸形状部70を有する。凸形状部70は、第1方向である前から後に向かう方向に沿って、第1面71と第2面72とを有する。第1面71と線分L1とがなす内角をθ1、第2面72と線分L1とがなす内角をθ2とすると、θ2>θ1となっている。線分L1は、側壁8と平行な面を示している。線分L1は、カバー6の表面6aとも平行であり、
図6においては、カバー6の表面6aの外形ラインを線分L2にて示している。
【0037】
このように、カバー6の表面6a側に、光出射部63として、第1面71および第2面72を有する凸形状部70を設けることで、カバー6の表面6a側から光を効果的に出射させることができる。これにより、光源3から発せられた光を収容室2の内部により多く出射させることができる。
【0038】
ここで、第1面71は、前から後に向かう光の進行方向の上流を向いた面であり、第2面72は、前から後に向かう光の進行方向の下流を向いた面である。第2面72は、前から後に向かう光の進行方向の下流を向いているので、第2面72から出射された光は収容室2の後方に向かって進む光となり、収容室2の後方に向かって光を限定的に送ることが可能となる。これにより、収容室2の後方を高い照度で照らすことができる。なお、第1面71は、前から後に向かう光の進行方向の上流を向いているので、前から後に向かって進む光は出射され難い。
【0039】
本実施形態では、このような第1面71と第2面72とが、前から後に向かう方向に沿って交互に複数個配置されている。このような構成とすることで、光出射部63より複数の光束を収容室2の後方に向かって出射することができる。また、前寄りに位置する第2面72から出射される光で、収容室2の後方の左右方向の中央を照らし、後寄りに位置する第2面72から出射される光で、収容室2の後方の左右方向の端部を照らすことができる。これにより、収容室2の後方を広範囲に照らすことができる。
【0040】
本実施形態では、凸形状部70は、前から後に向かう方向に沿った断面形状が三角形状をなす複数の凸形状73を含む。該凸形状73の2つの傾斜面のうちの、前から後に向かう光の進行方向の上流に位置する傾斜面が第1面71であり、該光の進行方向の下流に位置する傾斜面が第2面72である。このような構成とすることで、カバー6の表面6aに、第1面71および第2面72を密に形成することができる。
【0041】
また、本実施形態では、これら複数の凸形状73は、前から後に向かう方向に連続して設けられている。換言すると、複数の凸形状73は前から後に向かう方向において間隔を空けずに連なるように設けられている。これにより、光出射部63から収容室2の後方に向かって出射される光が前から後に向かう方向において途切れることがなく、収容室2の後方を照らした場合に、明暗のムラを抑制することができる。
【0042】
さらに、
図4に示すように、本実施形態では、各凸形状73は、前から後に向かう方向と交差する方向に延びる筋状に設けられている。これにより、濡れた布等を複数の凸形状73に押し当て、各凸形状73の筋が延びる方向に移動させることで、カバー6の表面6aの清掃を容易に行うことができる。
【0043】
特に、本実施形態では、カバー6は上下方向に長く、前後方向に短い長尺状(長尺形状)をなしているため、前から後に向かう方向と交差する方向に延びる筋状は、カバー6の長手方向に延びる筋状となっている。したがって、筋の延びる方向に濡れた布等を移動させることで、カバー6の表面6aを長手方向に一気に清掃することができ、より一層清掃を容易に行うことができる。この場合、第1方向は短手方向となる。
【0044】
また、清掃の容易性の観点から言うと、各凸形状73の高さは2mm以下であることが好ましい。また、凸形状部70の頂点は、丸みを帯びていること好ましい。
【0045】
複数の凸形状73は、大きさが互いに異なる凸形状73を含んでいてもよい。凸形状73の大きさを変えることで、第2面72から出射される光の束の大きさを場所によって異ならせることができる。これにより、光出射部63から出射される光の量を変化させることができる。例えば、光源3から離れた後寄りに位置する凸形状73を、光源3に近い前寄りに位置する凸形状73よりも大きくすることで、光源3の光をより効果的に収容室2の後方へと送ることができる。
【0046】
また、第2面72と線分L1とがなす内角θ2は90度以下かつ50度以上であることが好ましい。内角θ2の上限を90度とすることで、第2面72から出射した光を、側壁8に沿うようにして収容室2の後方に向かわせることができる。内角θ2の上限が90度を超えて大きくなると、第2面72から出射した光は、収容室2の内部ではなく側壁8側に向いてしまい、有効利用されない光が増える。内角θ2の下限を50度とすることで、第2面72から出射した光を、収容室2の後方に向かわせることができる。内角θ2の下限が50度を超えて小さくなると、凸形状の突出が高くなるため、清掃性に悪影響が生じる。本実施形態では内角θ2を80度としている。
【0047】
また、第1面71と線分L1とがなす内角θ1は0度よりも大きく90度よりも小さいことが好ましく、好適には45度よりも小さいことである。内角θ1を45度よりも小さい角度とすることで、光を収容室2の後方に導き易くなる(向かわせ易くなる)。
【0048】
なお、本実施形態では、凸形状部70を有する光出射部63を、第1導光部61および第2導光部62を備えるカバー6の光出射部63に設ける構成を例示した。しかしながら、光入射部60を有するカバーの収容室2に向いた面(表面)に形成されていればよい。
【0049】
また、本実施形態では、
図6に示すように、隣り合う凸形状73と凸形状73との間に形成される谷が、第2導光部表面62aよりも深くなるように形成されている。
【0050】
<光反射拡散部65>
光反射拡散部65は、カバー6の内部を導光される光を反射・拡散することで表面6a側に送る部分である。
図5、
図6に示すように、光反射拡散部65は、カバー6の裏面6bに設けられている。光反射拡散部65は、カバー6の裏面6bに設けられた複数の凹形状74を有する。複数の凹形状74は、カバー6の内部を導光される光を拡散し、表面6a側に向けて反射する。これにより、カバー6の裏面6bが平面よりなる構成よりも、導光される光を拡散および反射して表面6a側に送ることができる。
【0051】
導光される光は凹形状74の内周面で反射されるので、凹形状74の内側の空間に出射され難い。また、凹形状74の内側の空間に一旦出射されとしても、凹形状74の内周面から再入射しやすい。これにより、より多くの光を表面6a側に向かわせることができる。
【0052】
本実施形態では、光反射拡散部65と対応するカバー6の表面6a側には、光出射部63が設けられている。換言すると、複数の凹形状74は、光出射部63の裏側に位置している。したがって、光出射部63からより多くの光を収容室2に向かって出射させることができ、光源3の光を有効に利用することができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、凹形状74は、第2導光部62における光出射部63側の端部にも形成されている。つまり、複数の凹形状74は、第2導光部62の後部(光出射部63との境界に隣接する部分)にも設けられ、第2導光部裏面62bの後部を含むように分布している。これにより、第2導光部62の後部から導光される光を拡散および反射して表面6a側に送ることができ、光出射部63の前部(第2導光部62の境界に近い部分)からも効果的に光を出射することができる。
【0054】
また、各凹形状74は、内周面が曲面であることが好ましい。内周面を曲面とすることで、導光される光は内周面でより反射され易くなり、凹形状の内側の空間により出射され難くなる。また、曲面の内周面にて導光される光をより効果的に拡散することができる。
【0055】
内周面が曲面である凹形状74の例として、カバー6の裏面6bより見て円形である構成としてもよい。また、その場合、凹形状74は、半球状、ドーム状であってもよい。半球状、ドーム状とすることで、より効果的に光を拡散することができる。
【0056】
また、複数の凹形状74は、大きさが互いに異なる凹形状74を含んでいてもよい。凹形状74の大きさを変えることで、拡散および反射する光量を場所によって異ならせることができる。つまり、カバー6の表面6a、つまり本実施形態では光出射部63か出射される光の拡散具合を変化させることができる。これにより、局所的な光を緩和して、明暗のムラを減少させることができる。
【0057】
また、各凹形状74は、深さが互いに異なる凹形状を含んでいてもよい。凹形状の深さを変えることで、大きさと同様に、拡散および反射する光量を場所によって異ならせることができる。
【0058】
凹形状74の深さを変えるにあたり、カバー6の裏面6bを、前から後に向かう光の進行方向の下流に向かうにしたがってカバー6の表面6aに近づくように設けてもよい。これにより、凹形状74の深さが、前から後に向かう光の進行方向の上流から下流にかけて段々浅くなっていく構成を容易に作ることができる。
【0059】
また、複数の凹形状74は、
図7に示すように、互い違いに配置されていることが好ましい。互い違いに配置することで、単位面積あたりより多くの凹形状74を配置することができ、凹形状74を密に形成することができる。
【0060】
また、凹形状74を互い違いに配置するにあたり、
図8に示すように、隣り合う凹形状74同士の縁間距離を、凹形状74の直径以下となるように配置することがより好ましい。これにより、同じ互い違いの配置でも、
図7に示す配置よりも一層密に凹形状74を形成することができる。また、凹形状74を密に配置する観点から、互い違いの配置に係わらず、隣り合う凹形状74同士の縁間距離を、凹形状74の直径以下となるように配置することがより好ましい。
【0061】
カバー6の表面6aを平面とした状態で、凹形状74の数を変えて輝度を測定したところ、凹形状74の数を増やし、密に配置することで明暗のムラ(輝度ムラ)が減少することを確認している。光反射拡散部65の配置を
図7に示す配置とした場合の輝度を測定した結果を示す
図9からも、明暗のムラが少ないことが確認できる。
図9は、側壁8の前部にLED3aを配置し、収容室2の後面(庫内奥面)を照らした場合の収容室2の後面における輝度を示している。また、
図9の交点はLED3aの高さ位置を示している。
【0062】
なお、本実施形態では、カバー6の裏面6bに複数の凹形状74を設けて、カバー6の表面6aに向けて拡散しつつ反射させる構成を、第1導光部61および第2導光部62を備えるカバー6の光反射拡散部65に設ける構成を例示した。しかしながら、光源3の少なくとも一部分を覆うカバーの光源3側の裏面に向いた面に形成されていればよい。
【0063】
<端部光出射形状64>
図3、
図10、
図11に示すように、端部光出射形状64は、後端部6rに設けられている。後端部6rは、光出射部63よりも前から後に向かう光の進行方向の下流の端部であり、側壁8から収容室2の内側に突出している。そして、
図10に示すように、端部光出射形状64は、前から後に向かう光の進行方向の下流を向いた光出射面75を有する。
【0064】
後端部6rに端部光出射形状64を設けることで、光出射部63で出射されることなく後端部6rに到達した光を、光出射面75から収容室2の後方に向かって出射させることができる。これにより、収容室2の側壁8に設けられた照明装置10にて収容室2の意図した部分である後方をより効果的に照らして光源3から発せられた光をより有効に利用することができる。
【0065】
このような光出射面75は、
図10に示すように、複数段(
図10では3段)に分かれて形成されていてもよい。また、
図11に示すように、光出射面75は、前から後に向かう方向と交差する方向に延びる筋状に設けられていてもよい。筋状に設けられることで、筋の延びる方向において光を途切れることなく出射することができ、明暗のムラを抑制することができる。
【0066】
特に、本実施形態では、カバー6は上下方向に長く、前後方向に短い長尺状をなしているため、前から後に向かう方向と交差する方向に延びる筋状は長手方向に延びる筋状となっている。したがって、筋の延びる方向に濡れた布等を移動させることで、カバー6の表面6aを長手方向に一気に清掃することができ、より一層清掃を容易に行うことができる。
【0067】
また、
図3に示すように、本実施形態では、カバー6の後端部6rは、前から後に向かう光の進行方向の下流に行くに従い側壁8に近づくように傾斜しており、後端部6rの傾斜した傾斜面に、筋状に設けられた光出射面75が複数設けられている。
【0068】
後端部6rの傾斜面は、収容室2の斜め後方を向いているので、収容室2の斜め後方に向かって出射される光を増加させることができる。これにより、収容室2の後方の左右方向の中央部を照らすことができる。本実施形態では、
図10に示す後端部6rの傾斜面の傾斜の角度θ3が45度の所謂C面としているが、これに限定されるものではない。
【0069】
また、端部光出射形状64は、
図12に示すように、後端部6rの傾斜面に設けられた複数の矩形ブロック形状76としてもよい。矩形ブロック形状76は、後端部6rの傾斜面の法線方向に向かって凸を成し、矩形ブロック形状76に光出射面75が設けられている。
【0070】
複数の矩形ブロック形状76は、大きさが互いに異なる矩形ブロック形状76を含んでいてもよい。矩形ブロック形状76の大きさを変えることで、後端部6rから出射される光量を場所によって異ならせることができる。これにより、後端部6rから出射される光量を変化させることができるので、局所的な光を緩和して、明暗のムラを減少させることができる。
【0071】
(カバー6の内部を進む光の出射)
図13は、カバー6の内部を進む光が出射されるイメージを示す図である。
図13に示すように、光源3のLED3aから発せられた光は、光入射部60からカバー6の内部に入射し、第1導光部61にて反射されて進行方向が前から後に向かう方向に変化する。
【0072】
なお、図示してはいないが、光入射部60からカバー6の内部に入射した光のうちの一部の光は、第3導光部66の傾斜面66aに反射されて進行方向が後から前に向かう方向に変化する。但し、第1導光部61と傾斜面66aとの交線67が光入射部60の前後方向の中心に対して前方に偏って配置されているので、光入射部60からカバー6に入射した光の大部分は第1導光部61にて反射される。また、僅かではあるが、光入射部60からカバー6に入射した光のうち、第1導光部61および傾斜面66aに臨界角よりも小さい入射角で到達した光は、第1導光部61および傾斜面66aから収容室2の内部に向かって出射される。
【0073】
第1導光部61にて進行方向が変えられた光は、第2導光部62に導光される。第2導光部62に導光された光は、第2導光部表面62aまたは第2導光部裏面62bで反射されて、あるいは第2導光部表面62aおよび第2導光部裏面62bの間で反射されて光出射部63のある後方へ進む。
【0074】
光出射部63が形成されている部分に到達した光のうち、表面6aに形成された各凸形状73の第2面72に臨界角よりも小さい入射角で到達した光は、第2面72から収容室2の内部に向かって出射される。ここで、第2面72の内角θ2を90度以下50度以上としているので、凸形状73を清掃性に悪影響が生じる程に高く突出させることなく、第2面72から出射された光を、収容室2の後方に向かわせることができる。
【0075】
一方、臨界角よりも小さい入射角で第2面72に到達した光は、第2面72にて反射されて裏面6bに到達する。裏面6bに到達した光は、光反射拡散部65の各凹形状74にて拡散および反射されて、再度、表面6aに向かう。そして、上記条件を満足した場合に第2面72から収容室2の内部に向かって出射され、条件を満足しなかった光は再度裏面6bに戻され、再度拡散および反射され、表面6aに向かう。ここで、凸形状73を複数設けているので、複数の光束を収容室2の後方に向かって出射させることができる。
【0076】
光出射部63から収容室2へ出射されることなく後端部6rに到達した光は、後端部6rに設けられた端部光出射形状64の光出射面75から収容室2の後方に向かって出射する。光出射面75は、前から後に向かう光の進行方向の下流を向いているので、光出射面75から出射され光は後方に向かって進み、収容室2の後方の隅を効果的に照らすことができる。
【0077】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0078】
図14は、他の実施形態の冷蔵庫の収容室に設置された照明装置のカバー6’の表面6a側の要部を示す正面図である。
図14に示すように、カバー6’においては、裏面6bに設けられた光反射拡散部65の複数の凹形状74が、表面6aに設けられた光出射部63の複数の凸形状73に対応して配置されている。この点のみ、カバー6と異なる。
【0079】
具体的には、
図14に示すように、筋状に延びる複数の凸形状73のそれぞれに対応して、複数の凹形状74が筋に沿って並ぶように配置されている。凹形状74の内周面の後側(後端部6r側)が、対応する凸形状73の第2面72の裏側に位置し、凹形状74の窪みの底部が対応する凸形状73の第1面71の裏側に位置している。
【0080】
このような構成とすることで、各凸形状73において複数の凹形状74による光の拡散および反射の作用を揃えることができる。これにより、各凸形状73の並ぶ方向において、複数の凹形状74との位置関係の違いによる明暗のムラを抑制することができる。
【0081】
また、
図14の例では、複数の凹形状74の配置を互い違いとすることで、凹形状74の内周面の前側(前端部6f側)を、対応する凸形状73の前側に隣接する凸形状73の第2面72の裏側に位置させることができる。
【0082】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る照明装置10は、収容庫(冷蔵庫1)の内部の壁面(側壁8)に設けられる照明装置10であって、光を発する光源3と、前記光源3が発した光が入射する光入射部60、および該光入射部60から入射した光を前記収容庫の内部に出射させる光出射部63を有するカバー6と、を備え、前記光出射部63は、前記カバー6の前記収容庫の内部を向く表面6aに形成された凸形状部70を有し、該凸形状部70は、前記壁面に沿った第1方向(前から後へ向かう方向)に沿って、第1面71と、該第1面71よりも前記壁面と平行な面と成す内角θ2が大きい第2面72とを有する構成である。
【0083】
本発明の態様2に係る照明装置10は、前記態様1において、前記第1面71は、前記第1方向の光の進行方向の上流を向いた面であり、前記第2面72は、前記第1方向の進行方向の下流を向いた面である構成とすることもできる。
【0084】
本発明の態様3に係る照明装置10は、前記態様1又は態様2において、前記第1面71と前記第2面72とは、前記第1方向に沿って交互に複数個配置されている構成とすることもできる。
【0085】
本発明の態様4に係る照明装置10は、前記態様1から態様3の何れかにおいて、前記凸形状部70は、前記第1方向に沿った断面形状が三角形状をなす複数の凸形状73を含み、該凸形状73の2つの傾斜面のうちの、前記第1方向に沿った光の進行方向の上流に位置する傾斜面が前記第1面71であり、前記第1方向に沿った光の進行方向の下流に位置する傾斜面が前記第2面72である構成とすることもできる。
【0086】
本発明の態様5に係る照明装置10は、前記態様4において、前記複数の凸形状73は、前記第1方向に連続して設けられている構成とすることもできる。
【0087】
本発明の態様6に係る照明装置10は、前記態様5において、前記複数の凸形状73の各凸形状73は、前記第1方向と交差する方向に延びる筋状に設けられている構成とすることもできる。
【0088】
本発明の態様7に係る照明装置10は、前記態様6において、前記複数の凸形状73の各凸の高さは2mm以下である構成とすることもできる。
【0089】
本発明の態様8に係る照明装置10は、前記態様4から態様7の何れかにおいて、前記複数の凸形状73の各凸形状73は、大きさが互いに異なる凸形状73を含む構成とすることもできる。
【0090】
本発明の態様9に係る照明装置10は、前記態様1から態様8の何れかにおいて、前記第2面72と前記平行な面とがなす内角θ2は90度以下である構成とすることもできる。
【0091】
本発明の態様10に係る照明装置10は、前記態様9において、前記第1面71と前記平行な面とがなす内角θ1は90度未満である構成とすることもできる。
【0092】
本発明の態様11に係る照明装置10は、前記態様1から態様10の何れかにおいて、前記カバー6は、前記光入射部60と前記光出射部63との間に、前記光入射部60から入射した光の進行方向を前記第1方向へ変える第1導光部61を有する構成とすることもできる。
【0093】
本発明の態様12に係る照明装置10は、前記態様11において、前記カバー6は、前記第1導光部61と前記光出射部63との間に位置し、前記第1導光部61からの光を前記光出射部63へ導く第2導光部62をさらに有し、前記第2導光部62は、前記光出射部63と比較して表面粗さが小さい構成とすることもできる。
【0094】
本発明の態様13に係る収容庫は、態様1から態様12の何れかに記載の照明装置10が設けられた構成である。
【0095】
本発明の態様14に係るカバー6は、収容庫の内部に設けられ、光源3が発した光が入射する光入射部60を有するカバー6であって、前記光入射部60から入射した光を前記収容庫の内部に出射させる光出射部63を有し、前記光出射部63は、凸形状部70を有し、該凸形状部70は、前記収容庫の壁面に沿った第1方向に沿って、第1面71と、該第1面71よりも前記壁面と平行な面と成す内角θ2が大きい第2面72とを有する構成である。
【0096】
なお、本開示はホッキョクグマの毛の中空構造に着目した技術的思想を含んでいる。さらに、本開示はクシクラゲの櫛板の形状に着目した技術的思想を含んでいる。つまり、本開示は、バイオミメティクスに関係するものである。
【0097】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【解決手段】冷蔵庫の収容室の側壁に設けられた照明装置は、光を発する光源と、カバー(6)と、を備える。カバー(6)は、光源が発した光が入射する光入射部(60)と、光入射部(60)から入射した光を収容庫の内部に出射させる光出射部(63)と、を有する。光出射部(63)は、カバー(6)の収容庫の内部を向く表面(6a)に形成された凸形状部(70)を有し、該凸形状部(70)は、側壁に沿った前から後に向かう方向に沿って、第1面(71)と、該第1面(71)よりも側壁(8)と平行な面と成す内角(θ2)が大きい第2面(72)とを有する。