(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2人のユーザの1つ以上の遺伝的形質を比較するコンピュータ実装方法であって、各ユーザは、前記1つ以上の遺伝的形質を示すデータを格納したウェアラブルデバイスを有し、前記データは、前記ユーザによって提供された生体試料の解析によって得られたものであり、前記方法が、
近距離無線データ接続を使用して、前記ウェアラブルデバイスのうち第1のウェアラブルデバイスから第1のコンピュータデバイスに前記1つ以上の遺伝的形質を示す前記データを送信し、
前記第1のコンピュータデバイスからの前記データを、データネットワークを介して第2のコンピュータデバイスに送信し、
前記第2のコンピュータデバイスからの前記データを、前記ウェアラブルデバイスのうち第2のウェアラブルデバイスに、近距離無線データ接続を介して送信し、
前記第1のウェアラブルデバイスからの前記データと前記第2のウェアラブルデバイスに格納されている前記データとを比較して、前記ユーザの1つ以上の遺伝的形質の間にマッチングがあるかどうかを判定することを含むコンピュータ実装方法。
さらに、前記第2のウェアラブルデバイスおよび/または前記第2のコンピュータデバイスでインジケータを操作して、前記ユーザの1つ以上の遺伝的形質の間にマッチングがあるかどうかに関する視覚的、音声的または他の感覚的な表示を提供することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
各近距離無線データ接続が、ブルートゥースプロトコル、好ましくはブルートゥース低エネルギープロファイル、または近距離通信プロトコルに準拠している、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
各近距離無線データ接続が、各ウェアラブルデバイスが各コンピュータデバイスから所定の距離内にあること、または各コンピュータデバイスと接触していることを検出することによって確立され、好ましくは、前記所定の距離が10cm未満、より好ましくは、5cm未満である、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
各ウェアラブルデバイスが手首装着型デバイスである、および/または各コンピュータデバイスが携帯型コンピュータデバイス、好ましくはスマートフォンである、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
前記第1のコンピュータデバイスで、前記1つ以上の遺伝的形質をもう1人の他のユーザと比較するインビテーションを受信することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
前記インビテーションが、前記ユーザのうち1人がオンライン検索ツールを使用して前記他のユーザを特定したことに応答して送信される、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
前記第1のウェアラブルデバイスから送信されたデータが、前記インビテーションに関連付けられているか、または前記インビテーションに含まれている公開暗号化鍵を使用して暗号化される、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
前記インビテーションが受諾されたことを示すユーザ入力を受信したことに応答して、ソーシャルネットワーク内の各ユーザ間の接続を形成することをさらに含む、請求項12に記載のコンピュータ実装方法。
前記ユーザが、前記ウェアラブルデバイスを使用して、好ましくは、前記ウェアラブルデバイス上のボタンを押すか、または前記ウェアラブルデバイスを使用してジェスチャーを実行することによって前記インビテーションを受諾する、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
前記データが、前記データネットワークの1つ以上のサーバが、前記第2のウェアラブルデバイスに格納された1つ以上の遺伝的形質を示すデータを受信した場合にのみ、前記第2のウェアラブルデバイスに利用可能にされる、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
前記コンピュータデバイスまたは前記ウェアラブルデバイスのいずれかにおいて、前記1つ以上の遺伝的形質を比較する対象のユーザ選択を受信することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
各ウェアラブルデバイスが、前記ユーザの1つ以上の生理学的および/または生化学的機能を示すユーザ活動データ、またはユーザ環境を示すユーザ活動データを格納しており、前記方法は、前記ユーザの1つ以上の遺伝的形質の間にマッチングがあると判定したことに応答して、前記第1のウェアラブルデバイスのユーザ活動データと前記第2のウェアラブルデバイスのユーザ活動データとを比較して、それぞれの前記データによって示される前記ユーザの行動の間にマッチングがあるかどうかを判定することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
前記各ウェアラブルデバイスが、1つ以上の消耗品であり局所的に適用される製品および/または身体装着型製品に関する製品推奨を提供するように構成され、前記製品推奨は、前記ユーザ活動データに応じて各ユーザに対して調整され、前記比較されたユーザ活動データは、1つ以上の前記製品推奨が調整されたことを示すデータを含む、請求項18に記載のコンピュータ実装方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様により、2人のユーザの1つ以上の遺伝的形質を比較するコンピュータ実装方法が提供される。各ユーザは、1つ以上の遺伝的形質を示すデータを格納したウェアラブルデバイスを有し、前記データは、ユーザによって提供された生体試料の解析によって得られたものである。前記方法は、近距離無線データ接続を使用して、前記ウェアラブルデバイスのうち第1のウェアラブルデバイスから第1のコンピュータデバイスに前記1つ以上の遺伝的形質を示すデータを送信し、前記第1のコンピュータデバイスからの前記データを、データネットワークを介して第2のコンピュータデバイスに送信し、前記第2のコンピュータデバイスからの前記データを、前記ウェアラブルデバイスのうち第2のウェアラブルデバイスに、近距離無線データ接続を介して送信し、前記第1のウェアラブルデバイスからの前記データと前記第2のウェアラブルデバイスに格納されている前記データとを比較して、前記ユーザの1つ以上の遺伝的形質の間にマッチングがあるかどうかを判定することを含む。
【0008】
前記方法はさらに、前記第2のウェアラブルデバイスおよび/または前記第2のコンピュータデバイスでインジケータを操作して、結果の視覚的、音声的または他の感覚的な表示を提供することを含んでもよい。
【0009】
前記1つ以上の遺伝的形質を示す前記データは、栄養および/または皮膚に関連する遺伝的形質を示すデータを含んでもよい。
【0010】
各近距離無線データ接続は、ブルートゥース(Bluetooth)プロトコル、好ましくはブルートゥース低エネルギープロファイル、または近距離通信プロトコルに準拠していてもよい。
【0011】
各近距離無線データ接続は、各ウェアラブルデバイスが各コンピュータデバイスから所定の距離内にあること、または各コンピュータデバイスと接触していることを検出することによって確立されてもよく、好ましくは、前記所定の距離は10cm未満、より好ましくは、5cm未満である。
【0012】
各ウェアラブルデバイスは手首装着型デバイスである、および/または各コンピュータデバイスは携帯型コンピュータデバイス、好ましくはスマートフォンである。
【0013】
前記方法は、前記第1のコンピュータデバイスで、前記1つ以上の遺伝的形質をもう1人の他のユーザと比較するインビテーションを受信することを含んでもよい。前記インビテーションは、前記他のユーザの前記1つ以上の遺伝的形質を示すデータを含んでいてもよい。前記インビテーションは、前記ユーザのうち1人がオンライン検索ツールを使用して前記他のユーザを特定したことに応答して送信されてもよい。前記第1のウェアラブルデバイスから送信されたデータは、前記インビテーションに関連付けられているか、または前記インビテーションに含まれている公開暗号化鍵を使用して暗号化されてもよい。前記第2のウェアラブルデバイスは、前記公開鍵を使用して暗号化されたデータを復号するための対応する秘密鍵を格納してもよい。
【0014】
前記方法はさらに、前記第1のユーザデバイスを、前記インビテーションが受諾されたことを示すユーザ入力を受信したことに応答して、前記第1のウェアラブルデバイスとの近距離無線データ接続を確立するためのモードに切り替えることを含んでもよい。前記方法はさらに、前記インビテーションが受諾されたことを示す前記ユーザ入力を受信したことに応答して、ソーシャルネットワーク内の各ユーザ間の接続を形成することを含んでもよい。前記ユーザは、前記ウェアラブルデバイスを使用して、好ましくは、前記ウェアラブルデバイス上のボタンを押すか、または前記ウェアラブルデバイスを使用してジェスチャーを実行することによって前記インビテーションを受諾してもよい。
【0015】
前記データは、前記データネットワークの1つ以上のサーバが、前記第2のウェアラブルデバイスに格納された1つ以上の遺伝的形質を示すデータを受信した場合にのみ、前記第2のウェアラブルデバイスに利用可能にされてもよい。
【0016】
前記方法は、前記コンピュータデバイスまたは前記ウェアラブルデバイスのいずれかにおいて、前記1つ以上の遺伝的形質を比較する対象のユーザ選択を受信することを含んでもよい。
【0017】
前記第1のウェアラブルデバイスからの前記データは、所定時間後に前記第2のウェアラブルデバイスから削除されてもよい。
【0018】
各ウェアラブルデバイスは、前記ユーザの1つ以上の生理学的および/または生化学的機能を示すユーザ活動データ、またはユーザ環境を示すユーザ活動データを格納していてもよい。前記方法は、前記ユーザの1つ以上の遺伝的形質の間にマッチングがあると判定したことに応答して、前記第1のウェアラブルデバイスのユーザ活動データと前記第2のウェアラブルデバイスのユーザ活動データとを比較して、それぞれの前記データによって示される前記ユーザの行動の間にマッチングがあるかどうかを判定してもよい。
【0019】
前記各ウェアラブルデバイスは、1つ以上の消耗品であり局所的に適用される製品および/または身体装着型製品に関する製品推奨を提供するように構成されてもよく、前記製品推奨は、前記ユーザ活動データに応じて各ユーザに対して調整され、前記比較されたユーザ活動データは、1つ以上の製品推奨が調整されたことを示すデータを含む。
【0020】
本発明の第2の態様により、コンピュータシステムのユーザを認証するためのコンピュータ実装方法が提供される。前記方法は、前記コンピュータシステムで、前記ユーザによって提供された生体試料を解析して得られたユーザデータを格納したウェアラブルデバイスへの近距離無線データ接続を確立し、前記ウェアラブルデバイスから前記近距離無線データ接続を介して認証データを受信し、前記認証データは前記ユーザデータを用いて導出され、前記受信した認証データが前記ユーザデータから導出されたものであることを確認することによってユーザを認証する、ことを含む。
【0021】
前記受信した認証データが前記ユーザデータから導出されたものであることを確認することは、前記受信した認証データが、前記コンピュータシステムによって格納されている対応する認証データとマッチするかどうかを判定することを含んでもよい。
【0022】
前記ユーザデータは、1つ以上の遺伝的形質を示すデータを含んでもよく、好ましくは、栄養および/または皮膚に関連する遺伝的形質を示すデータを含んでもよい。
【0023】
前記ウェアラブルデバイスは手首装着型デバイスであってもよい、および/または前記コンピュータデバイスはスマートフォン等の携帯型コンピュータデバイスであってもよい。
【0024】
本発明の別の態様により、ユーザの個人の生態に関連付けられたデータを格納するメモリと、ピアウェアラブルデバイスから、ピアユーザの個人の生態に関連付けられたデータを受信するための近距離無線トランシーバと、マッチングがあるかどうかを判定するために、受信したデータをメモリに格納されたデータと比較するためのプロセッサとを含むウェアラブルデバイスが提供される。このデバイスはさらに、データがマッチすると判定されたときに、マッチしたことを示す視覚的、音声的、または他の感覚的な表示を生成するためのインジケータを備えている。
【0025】
前記デバイスは、ピアウェアラブルデバイスが前記ウェアラブルデバイスの所定距離内にあること、または接触していることを検出したことに応答して、前記ピアウェアラブルデバイスからデータを受信するように動作可能であってもよい。他方のウェアラブルデバイスがウェアラブルデバイスの所定の距離内にあることを検出するステップは、ピアウェアラブルデバイスから送信された信号の強度または品質が所定の値を超えていることを検出するステップを含んでもよい。トランシーバは、ブルートゥースプロトコル、好ましくはブルートゥース低エネルギープロファイル、または近距離通信プロトコルを使用して動作してもよい。所定の距離は、10cm未満、好ましくは5cm未満、場合によっては0.5cm未満であってもよい。
【0026】
インジケータは、データがマッチしない場合に、ノンマッチの視覚的、音声的、または他の感覚的な表示を生成するように構成されていてもよい。
【0027】
ユーザの個人の生態に関連付けられたデータは、1つ以上のスコアを含んでもよく、各スコアは、ユーザが個人的な行動や状態に素因があるかどうか、または関連する個人的な行動や状態を有しているかどうかを示す。例として、データは、カフェインを代謝するユーザの能力、カロリーおよび炭水化物に対するユーザの感受性などを示してもよく、これらの特性はすべて、ユーザの遺伝的特徴の特定の部分の解析から導出可能である。
【0028】
ウェアラブルデバイスは、手首装着型デバイスであり、例えば、リストバンドまたはリストストラップを含む。
【0029】
前記トランシーバは、前記メモリに格納されたユーザの個人の生態に関連付けられたデータを、前記ピアデバイスが所定の距離内にあること、または接触していることを検出したことに応答して、前記ピアデバイスに送信するように構成されていてもよい。
【0030】
ウェアラブルデバイスは、ユーザの入力またはジェスチャーを検出するための加速度計などのセンサを含んでもよい。デバイスは、このような入力またはジェスチャーを検出すると、データがピアデバイスと交換されない第1のモードから、データが交換される第2のモードに切り替わるように構成されている。
【0031】
デバイスは、製品コードおよび製品コード推奨事項を格納するメモリと、製品から製品コードを読み取るための製品コードリーダとを含んでもよい。プロセッサは、読み取られた製品コードに対する製品推奨を取得するように構成されてもよく、前記インジケータは、取得された製品推奨の視覚的、音声的、または他の感覚的な表示を生成するように構成されている。前記製品コードリーダは、バーコードスキャナであってもよい。
【0032】
ウェアラブルデバイスは、スマートフォンであってもよい。
【0033】
本発明のさらなる態様により、ユーザが自身の個人の生態に関連したデータをピアユーザと比較することを可能にするシステムが提供される。このシステムは、本発明の上記第1の態様に記載のウェアラブルデバイスと、前記ウェアラブルデバイスと無線通信するコンピュータデバイスとを備え、前記コンピュータデバイスは、前記ユーザに、前記照合が実行されるべきデータを、前記ウェアラブルデバイスのメモリに格納されたデータのセットから選択することを可能にする。前記ウェアラブルデバイスは手首装着型デバイスであってもよく、前記コンピュータデバイスはスマートフォンであってもよい。
【0034】
本発明の別の態様により、各ウェアラブルデバイスに格納されている各ユーザの個人の生態に関連するデータを比較するためのコンピュータ実装方法が提供される。この方法は、ウェアラブルデバイスが互いに所定の距離内にあること、または互いに接触していることをウェアラブルデバイスによって検出し、前記検出に応答して、無線インターフェースを介して前記デバイス間で前記データを交換することを含む。方法はさらに、データがマッチするか否かを判定するために、デバイスの一方または両方でユーザのデータを比較し、データがマッチすると判定されたときに、デバイスの一方または両方でインジケータを動作させて、マッチしたことの視覚的、音声的または他の感覚的な表示を提供することを含む。
【0035】
前記方法は、前記ウェアラブルデバイスと通信するスマートフォンなどの外部コンピュータデバイスを介して、他の人と共有するべき生体情報のカテゴリの個別選択または非選択制御を提供するように構成されてもよい。
【0036】
本発明のさらなる態様により、ユーザが自身の遺伝的形質をリモートで比較することを可能にする方法が提供される。この方法は以下のことを含む:第1のユーザの遺伝的形質に関連する第1の情報を手首装着型コンピュータデバイスのコンピュータメモリに格納し、手首装着型コンピュータデバイスからの前記第1の情報を、近距離無線データ接続を介してさらなるコンピュータデバイスに送信し、さらに前記第1の情報をネットワークサーバおよび/または第2のユーザのコンピュータデバイスに送信し、前記ネットワークサーバまたは前記第2のユーザのコンピュータデバイスにおいて、前記第1の情報を、前記第2のユーザの遺伝的形質に関連する第2の情報に比較して、それらがどの程度マッチするかを判定し、前記ネットワークサーバまたは前記第2のユーザのコンピュータデバイスから前記範囲を示すデータを送信する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここに記載された実施形態は、ユーザが自身の個人の生体情報を便利で安全な方法で比較できるようにすることにより、上述した問題に対処することを目的としている。この個人生体データは、典型的には、人の生態、例えば遺伝的形質に由来するデータである。個人の生体情報は、ウェアラブルデバイスが互いに近接されるか、または接触されたときに生体データをウェアラブルデバイス間で転送するための送信機と受信機を含むウェアラブルデバイスに格納されている。生体データが交換された後で、ウェアラブルデバイスは、2組のデータを比較して、両ユーザに共通するデータの側面、および/または2組のデータの間の相違点を判定する。ウェアラブルデバイスで比較を実行することは、例えば、リモートサーバとの通信が必要ないため、プロセスが迅速かつ信頼性の高いものであることを保証するのに役立つ。これは、リモートサーバ(例えば「クラウドの」)の関与を排除するものではない。次に、比較の結果がユーザに提示される。例えば、一対の友達/ユーザは、各自は自分自身がグルテン不耐症であることを知っているかもしれないが、別段に、自分の友達が同じ不耐症であることに気付いていない可能性がある。逆に、あるユーザは赤身の肉を食べ過ぎないようにしなければならない素因があり、その一方で、別のユーザは貧血の素因があり、鉄分や肉類が豊富な食事をしなければならない場合もある。したがって、2人のユーザの生体情報に基づいて比較することで、特定の状態を管理するための最善の方法を話し合ったり、一緒に食事をすることができる食事や、両方に適したレストランを決定したりすることができる。
【0039】
単純な協力的ジェスチャーで自分の生体情報を「共有して比較する」ことを可能にすることは、ユーザにとってはかなり抽象的な運動と思われるかも知れないが、遊び心のある社会的な側面を提供する。例えば、2人のユーザの生体情報に「マッチング」があった場合、それらのユーザ間の社会的なつながりが強化される可能性もあり、比較を行うプロセスは、2人のユーザ間の更なる相互作用や議論のための「アイスブレーカー」として機能するかもしれない。さらに、このような社会的な「側面」は、ユーザに自分の生物学的アイデンティティについてより大きな意識を持つように促し、より良い健康やライフスタイルの決定をするように導く、あるいは「後押し」する可能性がある。
【0040】
比較対象となる個人の生体データは、栄養に関するデータに限定されるものではなく、個人の生体データに由来するあらゆる特性に拡張できる。例えば、比較されるデータは、スキンケアや化粧品/薬用化粧品、フィットネス/活動、喫煙、アルコールなどに関連してもよい。
【0041】
ユーザの個人的な生体情報は、ユーザによって提供された生体サンプル(例えば、口内スワブ)の解析によって得られた、個人的な遺伝的データまたはエピジェネティックデータまたはプロテオミクスデータを含んでもよい。例えば、生体試料は、プライマー、DNA合成の出発点となる短い核酸配列のストランドを用いて解析され得る。先行技術で知られているように、そのようなプライマーは、遺伝的一塩基多型(SNP)の検出に使用され得る、より詳細には、所与のSNPに対する被検個体の変異型(または対立遺伝子)を決定するために使用され得る。代替的に、または付加的に、個人の生体情報は、特定の腸内細菌(例えば、ヘリコバクター・ピロリ)の有無など、使用者のマイクロバイオームに関連する情報を含んでもよい。このようなマイクロバイオームデータは、呼気検査によって得られてもよい。個人の生体情報はまた、ユーザの生理学的特性(例えば、ユーザの現在または過去の心拍数)に関する情報を含んでもよく、これは、場合によっては、ウェアラブルデバイスに組み込まれたセンシングデバイスによって取得されてもよい。
【0042】
また、個人の生体情報は、上記の種類のデータのうちの1つまたは複数のデータから導出されてもよい。例えば、個人生体データは、上記の種類のデータの解析によって明らかになった、ユーザにとって特に適しているか、またはユーザが避けるべきであることが明らかになった、特定の製品またはサービス、あるいは製品またはサービスのクラスに対する推奨事項を含んでいてもよい。これらの推奨事項は、それぞれの製品やサービス、または製品やサービスのカテゴリにマッピングされているが、ユーザの遺伝情報または生体情報を明示的に特定しない生物学的フィルタコードから導出されてもよい。例えば、あるユーザが、高コレステロールを有する食品によって(自身の遺伝的形質のために)より悪影響を受ける可能性が高いことを示す生物学的フィルタコードがあり得る。この場合、生物学的フィルタコード(またはフィルタコードを導出するために使用される生体情報)を比較することにより、ユーザは、類似の製品やサービスを推奨される可能性が高いかどうかを知ることができる。これにより、ユーザ間のより大きな相互作用および議論が促進され、ユーザが製品推奨に注目する可能性が高くなり、および/または彼等の生体データを比較する可能性が高くなるという肯定的な「相乗効果」が生じる可能性がある。
【0043】
図1は、手首装着型ウェアラブルデバイス100,102を用いて、2人のユーザが個人の生体情報を交換する様子を示している。図示の例では、拡大する曲線は、一方のデバイス100から情報が送信され、他方のデバイス102で受信されていることを示している。この場合、生体情報を交換するためにブルートゥース低エネルギー(BLE)プロトコルが使用されるが、近距離通信(NFC)プロトコルのような比較的近距離でのデータ伝送のために設計された他のプロトコルが使用されてもよい。NFCプロトコルが使用される場合、デバイスは通常、それらの間の通信チャネルを確立するために、互いに約5cm以内に近づける必要がある。ノルディックセミコンダクターのnRF52チップをベースにしたISP1507(NFC&ANT BLE)モジュールが使用され、CortexM4CPU、フラッシュ、RAMメモリ、および最適化されたアンテナと統合されている。「接続」が確立される範囲は、(ユーザが)設定可能である。
【0044】
個人の生体情報を近距離で送信することは、ユーザが自分のデバイスを比較的近接させることを要求されることを意味する。これにより、ユーザは、自身のデータが第三者によって傍受されないことを再確認し(高度なプライバシーを導入する)、生体情報を交換するプロセスに、例えば握手に類似した社会的要素を追加する。いくつかの例では、データの交換が行われるために、または交換を開始するために、ウェアラブルデバイスが接触することを要求されてもよい(または、一方が他方に対して「タップされる」ことを要求されてもよい)。また、生体情報は、暗号化された形式で交換されてもよい。例えば、生体情報は、意図された受信者に関連付けられた公開鍵を使用して暗号化され、その後、受信者のウェアラブルデバイスに格納された対応する秘密鍵を使用して復号されてもよい。受信者のウェアラブルデバイスはまた、受信した生体情報を、短時間(例えば、30秒未満)のみ、または比較を実行するために必要な時間未満で格納してもよい。
【0045】
図2は、
図1のウェアラブルデバイス100,102の概略システム図である。各ウェアラブルデバイス100,102は、上述した無線通信プロトコルに従って、データ交換のためのモードをトリガするためのジェスチャーセンサと、データ204を受信するための受信機202と、データ208を送信するための送信機206とを含む。ジェスチャーセンサ、受信機202および送信機206は、ウェアラブルデバイス100,102に関連付けられたユーザの個人の生体情報214を格納するメモリ212に接続されたプロセッサ210と通信する。使用時には、プロセッサ210は、メモリ212から個人の生体情報214を取り出し、送信機206を用いてそれを送信する。受信機202によって受信された個人の生体情報214はまた、メモリ212に格納され得て、プロセッサ210が、受信した個人の生体情報214とユーザの情報214とを比較することを可能にする。
【0046】
図3は、ウェアラブルデバイス100,102(図中では「バンド1」および「バンド2」として指定されている)が、個人の生体情報を交換するためにどのように使用され得るかを説明するシーケンス図である。ステップ300および300′で、バンドのそれぞれの装着者は、デバイスを「マッチングモード」にするための動作を実行する。この例では、「ダブルタップ」ジェスチャーが使用され、ジェスチャーは、例えば、ウェアラブルデバイス内の加速度計/ジャイロスコープ(3軸ジャイロスコープと3軸加速度計を組み合わせたMPU−6050)によって検出されるが、もちろん、ボタンやタッチスクリーンなどの他のジェスチャーやユーザ入力モードも使用され得る。各デバイスは、予め設定された期間、例えば10〜15秒の間、マッチングモードに留まっていてもよく、その後、マッチングモードはオフに切り替わる。
【0047】
ステップ301および301′では、デバイスは、他のデバイスをスキャンしながら、同時にマッチングに利用可能であることを広告する。ステップ302および302′において、各デバイスは、マッチングモードで他のデバイスを見つけるまで待機する。相対受信信号強度表示(RSSI)が各デバイスによって測定される(ステップ303および303′)。測定されたRSSI値は、各デバイスが他のデバイスから受信している信号の電力レベルの指標である。典型的には、RSSI値は、−100で始まり0で終わる負の尺度に従って提供されてもよく、0に近いRSSI値は、より強い受信信号を示す。受信信号の強さを測定するための他の尺度、例えば、1ミリワット(dBm)を参照したデシベルや、IEEE802.11規格の一部である受信チャネル電力インジケータ(RCPI)尺度も使用され得る。RSSI値が特定の値(例えば、RSSI>−80または受信信号強度−80dBm)を超える場合、デバイスは、生体情報を交換するために相互接続してもよい(ステップ304および304′)。図示の例では、生体情報の転送(交換)は、デバイス間で一方向的に行われる。
【0048】
一方のデバイス(ここでは、バンド1)は、バンド2から個人の生体データを受信する。バンド1は、次に、受信した生体情報を、そのメモリに格納された生体情報と比較し、次に、両方のバンドで結果がわかるように、比較の結果を他方のデバイスに送信する(ステップ305および305′)。ユーザの個人の生体情報の比較は、交換される情報の種類に応じて異なる方法で行われてもよい。例えば、情報が特定の遺伝子、SNPまたはDNA配列に関連するものである場合、比較は、それらの遺伝子、SNPまたはDNA配列が両方のユーザに共通であるかどうかを判定することを含んでもよい。同様に、個人の生体情報が各ユーザの生物学的フィルタコードのセットを含む場合、これらのセットを比較して、重複があるかどうかを確認できる。比較はまた、ユーザが特定の特徴を共有している可能性がどれだけ高いか、または稀有であるかの指標をユーザに提供するために、ユーザがその特定の特徴を共通に有している確率を判定することを含んでいてもよい。
【0049】
比較の結果は、例えば、発光ダイオード(LED)を照明することによって各ユーザに提示されてもよく(ステップ306および306′)、例えば、LEDの緑色で、2人のユーザの生体情報がマッチしていることを示し、赤色で、マッチしていないことを示してもよい。比較の結果をユーザに提示するための他の手段、例えば、ディスプレイ、バンドの装着者に力や振動を加えるための触覚装置、または可聴アラームや音声合成装置などが使用されてもよい。一実施形態では、各バンドは、結果を表示している間、結果をRAMメモリに一時的に格納する。ある程度の短い時間、例えば10秒が経過すると、表示はオフになり、結果は両方のバンドのメモリから削除される。
【0050】
ウェアラブルデバイスが有するユーザ入力受諾手段は限られたものである可能性がある。したがって、デバイスは、例えばブルートゥースインターフェースを使用して、スマートフォンなどの外部コンピュータデバイスと通信可能であってもよい。スマートフォンは、ユーザがウェアラブルデバイスの設定を制御することを可能にするアプリで構成されていてもよい。
図4は、インストールされたアプリを介して、ユーザの個人の生体情報に関連付けられた情報を表示するために、スマートフォンのディスプレイ上に提供されるグラフィカルユーザインターフェース400を例示している。この例では、個人の生体情報は、「カロリー感受性」または「脂肪感受性」のようなカテゴリの数値スコアを含む。数値スコアは、「非常に高い」、「高い」、「中間」、「低い」、「遅い」などのユーザフレンドリーなテキスト説明にマッピングされ、ユーザインターフェースで表示される。異なるカテゴリは、グラフィカルユーザ要素401として提示される。いくつかの実施形態では、ユーザは、そのカテゴリに関連付けられた生体情報が他のユーザと共有されるべきかどうか、および/またはユーザの生体情報を比較する際に使用されるべきかどうかを制御するために、グラフィカルユーザ要素を個別に選択または選択解除してもよい。例えば
図4では、ユーザは、共有対象として4つのパネル、すなわち「カフェイン代謝」、「カロリー感受性」、「炭水化物感受性」、および「脂肪感受性(図中に選択で示されている)」を選択している。このようなコントロールは、ユーザが非公開にしておきたい情報を、直接的にも間接的にも明らかにしないようにするために有用であり得る。2人のユーザの生体情報の比較は、各カテゴリの数値スコアを比較して、スコアのいずれかがマッチするか、またはほぼ同じであるか、すなわち、わずかな相対的または絶対的な量だけ異なるかどうかを判定することを含んでもよい。あるいは、スコアの重み付けされた差を使用して、ユーザがどの程度「似ている」かを示す類似性メトリックを定義してもよい。
【0051】
2人のピアユーザが、マッチングのために異なるカテゴリを選択した場合、これは、ユーザに、マッチングが不可能であり、異なるカテゴリの選択を検討すべきであることを示すために、第3の色のLED、例えば白色を点灯させることによって示されてもよい。
【0052】
また、ウェアラブルデバイスは、比較の結果をユーザのスマートフォンに報告してもよい。ピアユーザの身元が分かっている場合、これにより、結果をスマートフォン/アプリで記録することが可能になり得る。すると、ユーザは比較結果に基づいて、購入した製品やフィットネスなどの情報をスマートフォンで共有できるようになり得る。言い換えると、生体関連の情報を比較できることは、様々な異なるソーシャルネットワーキングの機会の基礎を形成し得る。
【0053】
ここでは詳述しないが、バンドには、購入または消費を検討されている製品からバンドが製品コードを読み取ることを可能にするために、製品コードリーダが配設されていてもよい。そのようなリーダは、バーコードスキャナであってもよく、ユーザがバンドに格納された製品データに基づいて製品の推奨を得ることを可能にし得る。
【0054】
もちろん、2人のピアユーザのうち1人のみがバンドを有し、もう1人はスマートフォンしか持っていないということもあり得る。この場合、スマートフォンアプリに、ユーザの個人の生体データを識別するバーコードのようなコードをスマートフォンのGUI上に表示するオプションが存在する場合がある。その場合、バンドを有しているピアユーザは、バンドの製品コードリーダでそのコードをスキャンして、上述した比較を行い得る。もちろん、この場合、結果はバンド上にのみ表示されてもよいが、両方のユーザが結果を見られるので、これで十分であり得る。
【0055】
上述した実施形態および例では、互いに近接しているピアウェアラブルデバイス100,102を用いて、例えばBLEのような近距離通信プロトコルを用いて、個人の生体情報を交換することに焦点を当ててきた。しかしながら、個人の生体情報は、代替的に、ウェアラブルデバイス100,102が同じ地理的位置にあることを要さずに交換されてもよい。例えば、ユーザは、自分の推奨する製品および/または生体情報を、別の都市または国に位置するユーザと比較したいと思うことがある。これを行うことができる1つの方法は、ソーシャルネットワーキングプラットフォームを介して行うことであり、この場合、ユーザのうち一方は、ソーシャルネットワーク(ソーシャルグラフ)内での接続(すなわち、関連性または「エッジ」)を確立するために、他方のユーザにリクエスト(「友達」リクエストと呼ばれることが多い)を送信する。すると、他方のユーザは、ソーシャルネットワーク内で他方のユーザとの接続を希望するか否かに応じて、その要求を受諾するか否かを判定できる。要求が受諾された場合、ユーザは、他のユーザに関連付けられたデータ(例えば、個人の生体情報および/または製品の推奨事項)を閲覧すること、および/または互いにメッセージを送信したり、チャットルームインターフェースを介して通信したりすることなどにより、相互に交流することを許可される。
【0056】
場合によっては、2人のユーザは、手首装着型ウェアラブルデバイス100,102を使用して互いに個人の生体情報を交換したことに応答して、ソーシャルネットワーク内で相互接続されるようになってもよい。この場合、各ウェアラブルデバイスは、ユーザ識別子を他方のウェアラブルデバイスに転送してもよく、それは次にウェアラブルデバイスに格納される。ユーザ識別子は、ウェアラブルデバイスおよび/またはユーザに固有の一意の識別子であってもよい。 ユーザ識別子は、ユーザの個人的な生体情報に部分的に基づいていてもよい。ユーザがウェアラブルデバイス100,102をユーザのスマートフォンなどのネットワークドコンピュータデバイスに接続または「同期」すると、ウェアラブルデバイスはユーザ識別子をネットワークドコンピュータデバイスに送信し、ネットワークドコンピュータデバイスは次にユーザ識別子を、インターネットなどのデータネットワークの一部を形成するサーバ505(または複数のサーバ)に送信し、サーバ(複数可)はソーシャルネットワークに関連付けられている。ユーザは次に、例えば、ユーザが相互接続されていることを示すためにサーバ(複数可)がデータベースを更新することによって、ソーシャルネットワーク内で自動的に相互接続されてもよい。あるいは、ユーザ識別子の受信に応答して、ソーシャルネットワークのサーバ(複数可)は、ユーザ(複数可)が接続を形成するかどうかを判定することを可能にするために、ユーザの一方または両方に友達リクエストを送信してもよい。
【0057】
従来のソーシャルネットワーキングアプリケーションでは、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェースの制御要素、例えばマウスまたはタッチスクリーンを使用してウェブインターフェース上のボタンをクリックすることにより相互作用することによって、友達リクエストを受諾または承諾し得る。このようなメカニズムは、一般に、ユーザが特に機密性が高いとは思わない個人情報を共有することを計画している場合、または既に公開されている個人情報を共有することを計画している場合に適切である。しかしながら、特定のソーシャルネットワークで非常にアクティブなユーザ、または複数のソーシャルネットワークのメンバーであるユーザは、多数の友達リクエストを受け取り、したがって、どのような個人データが他のユーザに利用可能となるかを考慮することなく、友達リクエストを受諾することに慣れてしまう可能性がある。この問題は、例えば、ユーザが、異なるソーシャルネットワークに関連して同一ユーザから複数の友達リクエストを受けた場合に発生する可能性がある。ユーザが個人の生態データを交換することができるソーシャルネットワークの場合、プライバシーへの懸念が最重要であり、個人データが不適切に共有されることに対する有効な保護手段がない場合、ユーザはソーシャルネットワークを放棄してしまう可能性がある。
【0058】
このような問題の解決策は、友達リクエストに応答するユーザが、ウェアラブルデバイス100,102を使用して友達リクエストの受諾を確認することを求められる友達リクエスト受諾機構によって提供される。例えば、ユーザは、ユーザのウェアラブルデバイス100,102が、例えば近距離無線通信プロトコルを使用してスマートフォンに接続(または同期)された後にのみ、リクエストを受諾することを可能にするアプリケーションが配設された自身のスマートフォン(または他のコンピュータデバイス)でリクエストを受信してもよい。いくつかのケースでは、アプリケーションは、友達リクエストを受信したときに、および/または、ユーザがリクエストを受諾することを選択した後に、ユーザにウェアラブルデバイス100,102をスマートフォンに接続するように促してもよい。
【0059】
図5は、ユーザが互いに離れている場合に、2人のユーザが個人の生体情報を比較できるようにするための方法のステップを示す。第1のステップ500Aで、第1のユーザは、自身のパーソナルコンピュータデバイス(例えば、スマートフォン)501を使用してリクエストを送信することで、第2のユーザと接続する。例えば、ユーザは、デバイス501上のユーザインターフェースコントロール503を選択または「クリック」して、ソーシャルネットワーク内の友達として相手のユーザを「追加」することが可能である。パーソナルコンピュータデバイス501は、有線または無線のデータ接続、例えばインターネットまたは携帯電話のデータネットワークへのデータ接続を使用して、ソーシャルネットワークに関連付けられた1つ以上のサーバ505にリクエストを送信する。
【0060】
ステップ500Bで、サーバ(複数可)505は、第2のユーザのパーソナルコンピュータデバイス507にインビテーションを送信して、第2のユーザに、第1のユーザとのソーシャルネットワーク接続を形成するように招待する。インビテーションは、典型的には、第2のユーザがそのインビテーションを受諾するか拒否するかのいずれかを望むことを示すことを第2のユーザに可能にするユーザインターフェース要素509,511を含むユーザインターフェースを介して第2のユーザに提示される。
【0061】
ステップ500Cにおいて、第2のユーザのパーソナルコンピュータデバイス507は、第2のユーザが自身のウェアラブルデバイス102を使用してインビテーションの受諾を確認することを可能にするモードに入る。例えば、第2のユーザは、自身のウェアラブルデバイス102をパーソナルコンピュータデバイス507に近接するように移動させることで、第2のユーザの受諾を示すデータが、近距離データ接続を使用してウェアラブルデバイス102からパーソナルコンピュータデバイス102に送信され得るようにしてもよい。あるいは、第2のユーザの受諾を示すデータは、両デバイスが接続されているWi−Fiネットワークなどのローカルエリアネットワークを使用してウェアラブルデバイス102に送信され得る。ウェアラブルデバイス102に送信されるデータは、上述のように、第2のユーザのユーザ識別子および/またはユーザの生体データを、好ましくは暗号化された形式で含んでもよい。
【0062】
場合によっては、第2のユーザは、ウェアラブルデバイス102を、データがユーザデバイス102に送信される、および/またはユーザデバイス102から受信され得る「マッチングモード」にするために、ウェアラブルデバイス102上のボタンを押すか、またはウェアラブルデバイス102を装着もしくは保持している間にジェスチャーを実行することを要求されてもよい。ウェアラブルデバイス102はまた、例えばウェアラブルデバイス102上のボタンを押すか、またはウェアラブルデバイス102で特定のジェスチャーを実行することによって、ユーザがウェアラブルデバイス102を使用してインビテーションの受諾を確認する必要があることを、視覚的、可聴的または触覚的なインジケータを使用してユーザに示してもよい。代替的に、または付加的に、ウェアラブルデバイス1002は、インビテーションを受諾するために、ユーザに固有の何らかの形態の生体識別データを提供することを要求してもよく、例えば、ウェアラブルデバイスのカメラを用いて、ユーザの顔の画像を記録してもよく、この画像は、次に、顔認識ソフトウェアを使用して処理され、ユーザの身元を確認するために使用される。
【0063】
ステップ500Dで、第2のユーザデバイス597は、第2のユーザが友達リクエストを受諾したことを示すデータを、ソーシャルネットワークに関連付けられた1つ以上のサーバ505に送信する。サーバ(複数可)505は、第1のユーザデバイス100に、ユーザが(ステップ500Cに関して上述したように)自身のウェアラブルデバイス100を使用してソーシャルネットワーク接続の受諾を確認するように要請するリクエストを送信する。いくつかの例では、この確認ステップは、第1のステップ500Aの一部として(またはいくつかの後の時点で)第1のユーザによって実行されてもよい。次に、第1のユーザデバイス501は、ソーシャルネットワーク接続が2人のユーザの間で形成され得るように、受諾をサーバ(複数可)505に送信する。ソーシャルネットワークに関連付けられたユーザインターフェース、例えば友達リストは、ユーザが相互接続されていることを示すために、パーソナルコンピュータデバイス501,507の各々で更新されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、個人生体データ(「デジタルDNA」と呼ばれることもある)は、暗号化され、ウェアラブルデバイス100,102各々にローカルに格納される。第2のユーザがパーソナルコンピュータデバイス507を使用して第1のユーザの友達リクエストを受諾すると、第2のユーザは、第2のユーザの暗号化された生体データをパーソナルコンピュータデバイス507に転送するために、例えばブルートゥース接続を使用して、パーソナルコンピュータデバイス507と自身のウェアラブルデバイス102を「同期」(すなわち接続)する必要がある。このプロセスは、友達リクエストが受諾される前にユーザを認証するものと見なされ得る。パーソナルコンピュータデバイス501上で実行されるアプリケーションにおいて、第1のユーザが第2のユーザからの友達受諾を受け取ると、第1のユーザは、自身のウェアラブルデバイス100とパーソナルコンピュータデバイス501とを「同期」させ、第1のユーザの暗号化された個人生体データをパーソナルコンピュータデバイス501に転送する必要がある。各ユーザの個人生体データは、パーソナルコンピュータデバイス501,507間で(例えば、無線モバイルネットワークまたはインターネットを介して)、パーソナルコンピュータデバイス間で直接、またはサーバ(複数可)505を介して転送される。次に、個人の生体データは、サーバ(複数可)および/またはウェアラブルデバイス100,102のいずれかまたは両方で比較され得る(すなわち、マッチングされ得る)。次いで、比較の結果は、パーソナルコンピュータデバイス501,507の表示画面などのインジケータを使用して、および/またはウェアラブルデバイス100,102のインジケータを使用して、例えば色が変わるLEDを使用して、ユーザに表示され得る。
【0065】
上述したように、ユーザの個人の生体情報の比較は、ユーザがどのようなタイプの情報を提供または交換するかに応じて、異なる方法で行われてもよい。例えば、各ユーザの個人の生体情報は、ユーザが特定の遺伝子、SNPまたはDNA配列を有するかどうかなど、1つ以上の遺伝的形質または特性を有することを示す情報を含んでいてもよい。個人の生体情報は、1つ以上のブール変数(例えば、各遺伝的形質ごとに1つ)としてエンコードされてもよく、その場合、変数間のペアワイズ比較が実行され、マッチする変数の数がスコアに変換される。ユーザの個人の生体情報は、例えば、比較された変数の70%以上がマッチするかどうかなど、スコアが予め定義された閾値を超えた場合に「全体的に」マッチングしていると定義される。あるいは、個人の生体情報は、ユーザが特定の遺伝的形質または特性を発現する可能性がどれだけ高いかに由来する確率または評価の形でエンコードされてもよい。この場合、比較は、各遺伝的形質についての対応する評価の間の差が、または各遺伝的形質についての対応する評価の相対比率が所定の閾値未満であるかどうかを判定することによって実行される。例えば、ユーザは、「塩分感受性」について50/100および60/100のそれぞれのスコアを有している場合があるが、それにもかかわらず、スコアは、わずか10ポイントの差しかないので、マッチしていると判定されてもよい。いくつかの場合には、各遺伝的形質は、異なる所定の閾値に関連付けられている。好ましくは、各閾値は、各形質についてのマッチングが稀有すぎない、または頻繁すぎないことを確実にするために、ユーザの母集団内の各形質についてのスコアの偏差から導出される。
【0066】
ユーザの個人の生体データを比較した結果は、パーソナルコンピュータデバイス505,507上のグラフィカルユーザインターフェースを用いて、例えば、専用のアプリケーションまたは「アプリ」の一部として表示され得る。例えば、ユーザインターフェースは、様々な遺伝的形質(「カフェイン代謝」、「炭水化物感受性」など)のそれぞれに関連付けられたパネルの集合を備えた、
図4に示されたものと類似したものであり得る。パネル各々は、2人のユーザが関連する遺伝的形質とマッチするかどうかに応じて変更される、例えば、関連する遺伝的形質が一方のユーザには存在するが他方には存在しない場合には、パネルを視覚的に非アクティブにするか、または「グレーアウト」する。グラフィカルユーザインターフェース(または別の類似のインターフェース)はまた、ユーザに、どの遺伝的形質を比較するかを選択するオプションを提供する。場合によっては、他のユーザと遺伝的形質を比較するためのインビテーションを作成したり、受諾したりするプロセスの一部として、ユーザはどの形質を希望するかを選択するように要請されることがある。代替的に、または付加的に、ユーザは、自身の遺伝的形質の一部または全部が他のユーザと共有されないようにする「グローバル」なプライバシー設定を設定してもよく、逆に、特定の形質を他のユーザの遺伝的形質との比較のために常に利用可能にできてもよい。
【0067】
1つ以上のサーバ505は、ユーザの個人の生態データが、他のユーザがそのユーザと共有するためにそのユーザの個人の生態データを利用可能にした場合にのみ、他のユーザに利用可能にされる「エスクロー」サービスとして機能してもよい。このサービスは、データがウェアラブルデバイス100,102に送信される前に、1つ以上のサーバがユーザの生体データを暗号化することによって実施されてもよい。その後、復号鍵は、サーバ(複数可)505がウェアラブルデバイス100,102から他のユーザの生体データを受信した後にのみ、ウェアラブルデバイス100,102に提供される。
【0068】
上記の方法500A〜Dは、近距離接続が、他のユーザのウェアラブルデバイス100,102に直接接続するのではなく、ユーザのパーソナルコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)に接続するということ以外は、各ユーザが、上述のピアウェアラブルデバイス100、102を使用して生体データを比較するために「対人」方法と同様の動作を実行することを要求する。ユーザの観点からは、ユーザがウェアラブルデバイス100,102を使用して応答しなければならないという要件は、生体データが他のユーザと共有されるときにユーザが掌握しているということをユーザに再保証するのに役立つ。
【0069】
上述したソーシャルネットワークを考慮すると、ソーシャルネットワークのメンバーではないユーザは、自身のウェアラブルデバイス100,102が、既にソーシャルネットワークのメンバーである別のユーザのウェアラブルデバイス100,102と近接されることに応答して、ソーシャルネットワークのメンバーとして追加されるか、またはソーシャルネットワークに参加するように招待され得る。いくつかのケースでは、ユーザは、既にソーシャルネットワークのメンバーであるユーザとマッチングした(または恐らくは、単にマッチングを試みた)場合にのみ、ソーシャルネットワークに参加してもよいし、参加するように招待されてもよい。他のケースでは、いずれのユーザも既にメンバーではない場合でも、両方のユーザがソーシャルネットワークに追加されてもよい。ソーシャルネットワークは、マッチングが得られたこと、すなわち、ユーザを参加させるためのリンクまたは「エッジ」がネットワーク内に作成されたことに応答して、ユーザを「友達」として追加するように構成されてもよい。ソーシャルネットワークはまた、ウェアラブルデバイス100,102を用いた「対面での」マッチングを必要とせずに、ユーザが友達の友達であるユーザと自分のデータを比較できるように構成されてもよく、すなわち、ユーザは、ソーシャルネットワーク内で自分から2つ離れた他のユーザとマッチングしてもよい。このマッチングは、ユーザが他のユーザにマッチングするように招待し、当該他のユーザが上述のプロセスを使用してインビテーションを受諾することを含んでもよい。
【0070】
ウェアラブルデバイス100,102は、第三者が生体情報にアクセスできないようにエンドツーエンド暗号化を使用してもよい。例えば、公開鍵および秘密鍵に基づくエンドツーエンド暗号化スキームを使用することができ、その場合、ウェアラブルデバイス100,102各々は、例えば生体データ比較のインビテーションに含めることによって、または友達リクエストに含めることによって、他のユーザに送信できる固有の公開暗号化鍵に関連付けられている。公開鍵は、サーバ505に送信する前に生体情報を暗号化するために、ウェアラブルデバイス102(または場合によってはパーソナルコンピュータデバイス507)によって使用される。暗号化された生体情報が他のウェアラブルデバイス100で受信されると、公開鍵に対応する秘密鍵を用いて復号される。好ましくは、秘密鍵は、他のデバイスが対応する公開鍵を用いて暗号化された情報を復号することができないように、ウェアラブルデバイス100に安全に格納される。ウェアラブルデバイスは、受信した暗号化されたデータ(および/または復号されたデータ)を、短い時間(例えば、30秒未満)だけ、または比較を実行するために必要な時間未満で格納してもよい。いくつかのシステムでは、システムは、ユーザの生体情報のコピーが所定の期間を超えてユーザのウェアラブルデバイス100,102の外部に格納されないことを保証するように構成されてもよい。
【0071】
上述したように、ウェアラブルデバイス100,102上に格納された個人生体データは、パーソナルコンピュータデバイス501,507のようなコンピュータシステムによって実行される操作に先立って、ユーザを認証する方法として使用され得る。より一般的には、コンピュータシステムのユーザは、個人の生体情報から導出された暗号化された「共有秘密」を使用して認証され得る。秘密は、個人生体データが秘密から復元できないように、個人生体データに暗号化ハッシュ関数、例えばセキュアハッシュアルゴリズム(例えばSHA−256)を適用することによって導出され得る。
【0072】
秘密の生成は、個人生体データの格納されたコピーを使用して、1つ以上のサーバ505によって行われ得る。次に、秘密は、セキュア通信チャネル、例えばセキュアシェル(SSH)接続を使用して、または信頼できる第三者(例えば認証機関)から取得した公開暗号化鍵を使用して秘密を暗号化することによって、モバイルデバイス501,507およびウェアラブルデバイス100,102に送信される。個人生体データのコピーは、秘密が生成された後に、例えば、個人生体データの唯一のコピーがウェアラブルデバイス100,102および/またはパーソナルコンピュータデバイス501,507に格納されるように、サーバ(複数可)505から削除されてもよい。
【0073】
あるいは、秘密は、パーソナルコンピュータデバイス501,507によって生成された後で、パーソナルコンピュータデバイス501,507からウェアラブルデバイス100,102に、セキュア通信チャネル、例えば、SSH接続または2つのデバイス間の有線接続を介して送信されてもよい。秘密を生成するために使用された個人の生体データのコピーは、秘密が生成された後で、パーソナルコンピュータデバイス501,507から削除されてもよい。さらなる代替案として、ウェアラブルデバイス100,102は、秘密を生成し、その後、セキュア通信チャネルを介してその秘密をパーソナルコンピュータデバイス501,507と共有してもよい。このアプローチの利点は、個人の生体データ自体を個人のコンピュータデバイス501,507に送信する必要がなく、生体データを認証に使用できることである。
【0074】
ユーザを認証するには、パーソナルコンピュータデバイス501,507がウェアラブルデバイス100,102に、共有された秘密を用いてのみ正しい応答を生成できるチャレンジリクエストを送信するチャレンジ応答プロトコルを用いることが可能である。例えば、ウェアラブルデバイス100,102は、パーソナルコンピュータデバイス501,507から暗号ノンス(例えば、(擬似)乱数)を受信し、そのノンスと共有秘密の組み合わせに暗号ハッシュ関数を適用して得られたハッシュで応答してもよい。パーソナルコンピュータデバイス501,507は、ウェアラブルデバイス100,102と同様に「ローカル」ハッシュを生成する。次に、パーソナルコンピュータデバイス100,102は、受信したハッシュがローカルハッシュとマッチングすることを検証することによってユーザを認証する。ウェアラブルデバイスに格納された個人生体データに基づいてユーザを認証するこの方法は、ウェアラブルデバイス100,102または上述したパーソナルコンピュータデバイス501,505以外のデバイスを使用して実施され得ることが理解されるであろう。他の例では、ウェアラブルデバイスは、スマートフォン、スマートウォッチ、またはスマート衣料品、またはインプラントされたデバイスであってもよい。同様に、いくつかの例では、ユーザ認証を必要とするコンピュータシステムは、自動出納機、電子(例えば「キーレス」)ロック、オンラインバンキングのためのコンピュータシステム、エレベータ制御システム、または車両のイグニッションシステムであってもよい。
【0075】
共有秘密を生成するために使用される個人の生体情報は、ユーザが特定のDNA配列または一塩基多型(SNP)を有することを示すデータを含んでもよいが、ユーザの遺伝的形質を示すスコアのような、そのような遺伝的データに由来する他のデータも使用され得る。オプションとして、個人の生体情報は、ウェアラブルデバイスが紛失または損傷した場合に、ユーザがコンピュータシステム(すなわち、上述の例ではパーソナルコンピュータデバイス501,507)によって認証されなくなるように、ウェアラブルデバイス100,102のみに格納されてもよい。このような場合、共有秘密は、ユーザによって提供された生体サンプルに対して別の検査(例えば、遺伝子検査)を行うことによって得られた個人の生体データから再生成され得る。共有秘密が遺伝情報に由来することが好ましいのは、他の形態の生体データ(例えば網膜データや指紋データ)とは異なり、一般的に言えば、ユーザの遺伝子型は時間の経過とともに(例えば、ユーザが加齢するにつれて)変化しないからである。
【0076】
上述した実施形態および実施例は、ユーザの遺伝的形質を比較することに焦点を当てているが、ウェアラブルデバイス100,102は、ユーザの生理学的および/または生化学的データおよび/またはユーザの環境を示すデータを比較するためにも使用され得る。このデータは、ウェアラブルデバイス100,102の1つ以上のセンサ、例えば、脈拍センサ(例えば光電式(PPG)センサ;呼吸数センサ;心拍数センサ(心拍変動を測定するためのものでもある);血圧センサ;インサイチュ血液検査(例えば血糖値の測定)を行うためのマイクロニードル;大気質または汚染センサ(例えば質量解析計);および紫外線モニタ(例えばフォトダイオード)のうちの1つ以上のセンサによって記録される。ユーザ環境データは、代替的に(または付加的に)、ユーザの位置を追跡し(例えば、全地球測位システム、GPS、センサを使用して)、ユーザの曝露量を推定するために汚染またはUV指数マップデータを使用することによって取得されてもよい。
【0077】
ウェアラブルデバイス100,102は、ユーザが時系列データを比較できるように、センサによって提供された測定値をタイムスタンプとともに格納する。 例えば、ユーザは、マラソンやサイクリング・レースなどの身体活動の過程で、自身の心拍数がどのように変化したかを比較してもよい。いくつかの実施形態では、ウェアラブルデバイス100,102は、センサデータを経時的に統合して、ユーザによって比較され得る1つ以上の値を生成する。例えば、糖尿病患者であるユーザ達は、自身がそれぞれ血糖値をどれだけ効果的に管理しているかを比較できるように、過去1日、1週間、または1ヶ月間に低血糖状態にあった時間を比較してもよい。また、統合されたセンサデータを用いて、紫外線および/または大気汚染(例えば、NOxまたは微粒子)などの環境条件へのユーザの曝露を比較してもよい。
【0078】
生理学的、生化学的および/または環境データは、ウェアラブルデバイス100,102を互いに接触または近接させることによって、または上述したように「リモートマッチング」手順を使用して比較され得る。遺伝的形質に関しては、ユーザは、パーソナルコンピュータデバイス501,507のウェアラブルデバイス100,102上に提供されたユーザインターフェースを使用して、例えば
図4に示されたインターフェースに類似したスマートフォンのユーザインターフェースを使用して、データの1つ以上のカテゴリ(例えば、安静時脈拍数、呼吸数、歩数、汚染物質への曝露など)を選択してもよい。
【0079】
ソーシャルネットワーク内で相互接続されているユーザ(例えば、遺伝的形質を互いにマッチングさせたユーザが居るソーシャルネットワーク)はまた、ソーシャルネットワークを使用して、継続的にデータを比較してもよい。例えば、ユーザのデータは、ユーザが過去のデータを互いに比較することができるように、および/または動的に更新されるデータと比較することができるように、ソーシャルネットワークに関連付けられたサーバによって格納されてもよい。ユーザは、検索ツールを使用して、例えば、名前またはニックネームによってユーザを検索するために、ソーシャルネットワークの別のユーザを識別してもよい。
【0080】
オプションとして、生理学的および/または生化学的データを監視するためのセンサは、センサがウェアラブルデバイスとは異なる身体の部分に装着され得るように、ウェアラブルデバイス100,102とは別個のものであってもよい。センサデータの処理は、有線または無線接続を使用してパーソナルコンピュータデバイスに送信された後で、ウェアラブルデバイス100,102上またはパーソナルコンピュータデバイス501,507上のいずれかで行われてもよい。
【0081】
ユーザの生理学的データ、生化学的データおよび/または環境データは、1つ以上の遺伝的形質を示すユーザのデータとは別個に、または組み合わせて比較されてもよい。例えば、ユーザは、ユーザが高血圧に関連する遺伝的形質を有する場合には、身体的トレーニングの結果としてより低い安静時心拍数(ウェアラブルデバイス100,102によって測定される)を達成するといった、ユーザの遺伝的形質によって決定されるターゲットまたは目標を設定してもよい(または他のユーザによって設定されてもよい)。2人のユーザは、それぞれが互いに目標を設定してもよく、各ユーザの目標への進捗状況は、間隔をおいて、例えば毎日または毎週のように比較され得る。
【0082】
好ましい実施形態では、生理学的、生化学的および/または環境データは、製品推奨を調整するために使用される。製品推奨は、典型的には、米国特許第10043590号(例えば)に記載されているように、ユーザの遺伝的形質に由来する。ある例示的な使用例では、ビタミンDを含む製品は、高レベルのビタミンDを必要とする予備的な素因があるユーザに、ユーザが十分な紫外線に曝露されていない場合に推奨されてもよい。ユーザは、生理学的データ、生化学的データおよび/または環境データに基づいて調整された製品推奨の数を比較してもよい。比較は、異なるカテゴリの製品について行われ得るものであり、例えば、調整された飽和脂肪または不飽和脂肪を含む製品の推奨数を比較することができ、これは、遺伝的形質が高コレステロールレベルになりやすいことを示しているユーザにとって特に関心事であろう。
【0083】
製品推奨の調整は「行動フィードバックループ」を提供し、特定の製品の消費や特定のタイプの活動の実行など、特定のユーザの行動を後押しまたは奨励/抑制するのに役立つ。他のユーザとデータを比較するという社会的経験は、一般的にユーザが行動を変えるのを助けるのにかなりの効果がある。例えば、調整された製品の推奨数が閾値数を下回るように確実にするためにより多くの運動をするような、特定の目標を達成するために行動の調整に努めるときに、ユーザは互いにサポートし合ってもよい。この場合、ウェアラブルデバイス100,102は、典型的には、製品推奨数が閾値以下である「緑」(健康)状態と、ユーザの行動の結果として閾値以上の製品推奨数が調整された「琥珀」状態との間で遷移する状態マシンとして構成される。ウェアラブルデバイス100,102は、ユーザがそれぞれの行動/ライフスタイルをどれだけ効果的に管理しているかを比較できるように、いずれかの状態で過ごした時間量を記録する(例えば、1日の間に)。
【0084】
ユーザはまた、一週間(または他の期間)の間に調整された製品の推奨数がより少ないユーザを判定するなど、事前に合意された目標を達成するために互いに競い合ってもよい(または挑戦してもよい)。ターゲットまたは目標は、各ユーザの健康上の利点を最大化するため、および/または異なる遺伝的形質を有するユーザ間の公正な比較を確実にするために、ユーザの遺伝的形質から導出されてもよい。報酬またはインセンティブは、オンラインプロファイルに関連付けられたデジタルトロフィーもしくはバッジの形で、または、ユーザに製品割引(例えば、オンライン割引コード)を提供することによって、ユーザに提供される。ウェアラブルデバイス100,102上のインジケータは、他のユーザが特定の目標を達成する際に首位に立ったときにユーザに通知するために使用され得る。ユーザはまた、特定の目標を達成するために、例えば、特定の遺伝的形質に関連した健康問題を支援する大義名分または慈善事業のために資金を調達するためにスポンサーになってもよい。ユーザはまた、例えば、ユーザが特定の運動目標を達成するために、またはユーザが消費する特定の種類の飲食物の量を減らすために(製品の種類はユーザの遺伝的形質によって決定される)、ユーザ間でサポートし合うことができるように、ユーザの行動および/または遺伝的形質に応じて、1つ以上のオンラインコミュニティまたはチャットルームに参加するように招待されてもよい。
【0085】
別の好ましい実施形態では、ユーザは、生理学的、生化学的および/または環境データによって示されるように、自身の遺伝的形質および/または行動を、自身の遺伝的形質および/または行動データが他のユーザと比較されることに同意を与えたユーザに関連付けられた1つ以上の「仮想プロファイル」とマッチングさせることができる。この場合、比較は「一方的」であり、比較を行うユーザは、自分のデータが仮想プロファイルのデータとマッチするかどうかを調べるために、自分のウェアラブルデバイス100,102からデータを送信する必要がない、すなわち、仮想プロファイルに関連付けられたユーザのウェアラブルデバイス100,102は、比較に関与しない。仮想プロファイルは、典型的には、アスリート、スポーツ選手、またはよく知られた公人であり得る実際のユーザによって着用されたウェアラブルデバイス100,102からアップロードされた遺伝的形質および行動データから構成される。しかしながら、場合によっては、仮想プロファイルに含まれる生理学的、生化学的、および/または環境データは、ユーザがエミュレートしようとすることができる行動を有する「仮想ペースメーカー」を提供するために、計算によって生成されてもよい。
【0086】
本発明の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態に様々な修正を施してもよいことは、当業者には理解されるであろう。例えば、上述したように、場合によっては、2人のピアユーザのうちの一方のみがウェアラブルデバイス100,102(すなわちバンド)を有し、他方はスマートフォンのみを有していてもよい。