(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1圧縮装置と、前記第1圧縮装置に接続された第2圧縮装置とを有し、吸入された低圧の冷媒を、前記第1圧縮装置及び前記第2圧縮装置において高圧の前記冷媒に圧縮して吐出させる圧縮システムと、
前記圧縮システムの吐出側に接続された第1熱交換器と、
第1冷媒流路と第2冷媒流路とを有し、前記第1熱交換器の下流側に前記第1冷媒流路が接続された第2熱交換器と、
前記第2熱交換器の前記第1冷媒流路の下流側に接続された第1減圧装置と、
前記第1減圧装置の下流側と前記圧縮システムの吸入側との間に接続された第3熱交換器と
を有し、前記圧縮システムから吐出された前記冷媒を循環させる冷媒回路と、
前記第2熱交換器の前記第1冷媒流路の下流側と前記第2熱交換器の前記第2冷媒流路との間に接続された第2減圧装置を有し、前記第2熱交換器の前記第1冷媒流路の下流側と前記第1減圧装置の上流側とを接続する前記冷媒回路の冷媒配管から分岐して、前記第2減圧装置と前記第2熱交換器の前記第2冷媒流路とを介して、前記第1圧縮装置と前記第2圧縮装置との間の中圧部分に接続される中間インジェクション回路と、
第1開閉弁を有し、前記圧縮システムの吐出側と前記第1減圧装置の上流側との間に位置する前記冷媒回路の高圧側から分岐して前記圧縮システムの吸入側に接続される第1バイパス回路と、
第3開閉弁を有し、前記第2減圧装置の上流側から分岐して前記第2減圧装置の下流側に接続される第3バイパス回路と
を備え、
前記第1開閉弁は、
前記第1開閉弁の上流側の前記冷媒の圧力が第1圧力以下の場合は閉止状態にあり、前記第1開閉弁の上流側の前記冷媒の圧力が第1圧力を超える場合に開放され、
前記第3開閉弁は、
前記第3開閉弁の上流側の前記冷媒の圧力が第3圧力以下の場合は閉止状態にあり、前記第3開閉弁の上流側の前記冷媒の圧力が第3圧力を超える場合に開放される
冷凍装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係る冷凍装置100について説明する。
図1は、本実施の形態1に係る冷凍装置100の冷媒回路10の一例を示す概略的な冷媒回路図である。
【0010】
なお、
図1を含む以下の図面では各構成部材の寸法の関係及び形状が、実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面では、同一の又は類似する構成要素には、同一の符号を付している。
【0011】
また、以降の説明において用いられる「高圧」、「中間圧」、及び「低圧」との文言は、冷媒回路10の内部における冷媒の相対的な圧力を示したものであり、冷媒の絶対的な圧力を示したものではない。
【0012】
図1に示すように、冷凍装置100は、冷媒回路10と、中間インジェクション回路60と、第1バイパス回路70と、第2バイパス回路80とを備えている。
【0013】
本発明の実施の形態1に係る冷凍装置100における、冷媒回路10について説明する。
【0014】
冷媒回路10は、圧縮システム1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧装置4、及び第3熱交換器5を有する冷媒回路10を備える。冷媒回路10は、圧縮システム1から吐出された高圧の冷媒を循環させるように構成されている。
【0015】
圧縮システム1は、圧縮システム1の吸入側から吸入された低圧の冷媒を圧縮して、高圧の冷媒として吐出する流体システムである。圧縮システム1は、圧縮システム1の吸入側に配置された第1圧縮装置12と、圧縮システム1の吐出側に配置され、第1圧縮装置12に直列に接続された第2圧縮装置14とを備えている。すなわち、第1圧縮装置12の吐出側は、第2圧縮装置14の吸入側と接続されている。第1圧縮装置12は、圧縮システム1の吸入側から低圧の冷媒を吸入して圧縮し、中圧の冷媒として吐出するように構成されている。第2圧縮装置14は、第1圧縮装置12から吐出された低圧の冷媒を吸入して圧縮し、高圧の冷媒として圧縮システム1から吐出するように構成されている。なお、第1圧縮装置12は第2圧縮装置14と同一のものである必要はなく、第1圧縮装置12は第2圧縮装置14と異なるものであってもよい。また、冷凍装置100の形態によっては、第1圧縮装置12は低段圧縮装置、第2圧縮装置14は後段圧縮装置とも称される場合がある。
【0016】
圧縮システム1は、第1圧縮装置12及び第2圧縮装置14を別体の圧縮機として構成し、第1圧縮装置12の吐出側と第2圧縮装置14の吸入側とを配管接続した構成にできる。第1圧縮装置12及び第2圧縮装置14は、別体の圧縮機として構成する場合、冷凍装置100の形態に応じて、レシプロ式圧縮機、スクロール式圧縮機、ロータリ式圧縮機、スクリュー式圧縮機、又は遠心式圧縮機等として構成できる。なお、第1圧縮装置12及び第2圧縮装置14を別体の圧縮機として構成する場合、第1圧縮装置12及び第2圧縮装置14は、同一圧縮形式の圧縮機である必要はなく、異なる圧縮形式の圧縮機であってもよい。また、圧縮システム1は、別体の圧縮装置を更に備える構成であってもよい。また、第1圧縮装置12及び第2圧縮装置14の少なくとも一方を、二段圧縮機又は多段圧縮機として構成してもよい。
【0017】
また、圧縮システム1は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14とを一体形成して二段圧縮機として構成することもできる。圧縮システム1を二段圧縮機として構成する場合、圧縮システム1は、冷凍装置100の形態に応じて、レシプロ式二段圧縮機、スクロール式二段圧縮機、又はロータリ式二段圧縮機等として構成できる。また、圧縮システム1は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14とを一体形成する場合、別体の圧縮装置を更に備えた多段圧縮機として構成してもよい。
【0018】
第1熱交換器2は、圧縮システム1から吐出された高圧の気相冷媒を流入させ、高圧の液相冷媒として流出させる凝縮器である。なお、冷凍装置100の形態に応じて、第1熱交換器2は、放熱器を称される場合もある。また、第1熱交換器2は、複数の熱交換器を有する熱交換装置として構成してもよい。
【0019】
第1熱交換器2は、例えば、
図1に示すように、冷凍装置100が第1送風機2aを備える構成とすることにより、第1送風機2aが誘引する気流と、第1熱交換器2の内部を通過する高圧冷媒との間で熱交換を行う空冷式熱交換器として構成することができる。第1熱交換器2は、空冷式熱交換式として構成する場合、冷凍装置100の形態に応じて、フィンアンドチューブ式熱交換器、又はプレートフィン式熱交換器等として構成できる。なお、第1送風機2aは、冷凍装置100の形態に応じて、プロペラファン等の軸流送風機、シロッコファン若しくはターボファン等の遠心送風機、斜流送風機、又は横断流送風機等として構成できる。
【0020】
また、第1熱交換器2は、冷凍装置100の形態に応じて、水又はブラインと、第1熱交換器2の内部を通過する高圧冷媒との間で熱交換を行う水冷式熱交換器として構成することもできる。第1熱交換器2を水冷式熱交換器として構成する場合、第1熱交換器2は、冷凍装置100の形態に応じて、シェルアンドチューブ式熱交換器、プレート熱交換器、又は二重管式熱交換器として構成できる。
【0021】
第2熱交換器3は、第1熱交換器2から流出した液相冷媒を更に冷却して、冷凍装置100の冷凍サイクルにおける、過冷却度を増加させる過冷却熱交換器である。なお、冷凍装置100の形態に応じて、第2熱交換器3は、複数の熱交換器を有する熱交換装置として構成してもよい。
【0022】
第2熱交換器3は、第1冷媒流路3aと第2冷媒流路3bとを有しており、第1冷媒流路3aを通過する高圧の液相冷媒と第2冷媒流路3bを通過する中圧の液相冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器として構成される。第1冷媒流路3aは、冷媒回路10の一部を構成し、一端が第1熱交換器2の下流側に接続されており、他の一端が第1減圧装置4の上流側に接続されている。詳細は後述するが、第2冷媒流路3bは、中間インジェクション回路60の一部を構成している。第2熱交換器3は、冷凍装置100の形態に応じて、シェルアンドチューブ式熱交換器、プレート熱交換器、又は二重管式熱交換器等として構成できる。
【0023】
第1減圧装置4は、第2熱交換器3の下流側に接続され、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aから流出した高圧の液相冷媒を膨張及び減圧させて、第3熱交換器5に流入させるように構成されている。第1減圧装置4は、冷凍装置100の形態に応じて、膨張機、温度式自動膨脹弁、リニア電子膨張弁、又はキャピラリーチューブ等として構成できる。膨張機は、受圧部にダイヤフラムを採用した機械式膨張弁である。温度式自動膨脹弁は、圧縮システム1の吸入側における気相冷媒の過熱度によって冷媒量を調整する膨脹装置である。リニア電子膨張弁は、多段階若しくは連続的に開度を調節可能な膨脹装置であり、LEVとも略称される。
【0024】
第3熱交換器5は、第1減圧装置4で膨張及び減圧された低圧の二相冷媒を流入させ、低圧の気相冷媒又は乾き度の高い二相冷媒として流出させる蒸発器である。なお、冷凍装置100の形態に応じて、第3熱交換器5は、冷却器と称される場合もある。また、第3熱交換器5は、複数の熱交換器を有する熱交換装置として構成してもよい。
【0025】
第3熱交換器5は、例えば、
図1に示すように、冷凍装置100が第2送風機5aを備える構成とすることにより、第2送風機5aが誘引する気流と、第3熱交換器5の内部を通過する低圧の二相冷媒との間で熱交換を行う空冷式熱交換器として構成できる。第3熱交換器5は、空冷式熱交換式として構成する場合、冷凍装置100の形態に応じて、フィンアンドチューブ式熱交換器、又はプレートフィン式熱交換器等として構成できる。なお、第2送風機5aは、冷凍装置100の形態に応じて、プロペラファン等の軸流送風機、シロッコファン若しくはターボファン等の遠心送風機、斜流送風機、又は横断流送風機等として構成できる。
【0026】
また、第3熱交換器5は、冷凍装置100の形態に応じて、水又はブラインと、第3熱交換器5の内部を通過する低圧の二相冷媒との間で熱交換を行う水冷式熱交換器として構成することもできる。第3熱交換器5を水冷式熱交換器として構成する場合、第3熱交換器5は、冷凍装置100の形態に応じて、シェルアンドチューブ式熱交換器、プレート熱交換器、又は二重管式熱交換器として構成できる。
【0027】
次に、冷媒回路10の冷媒配管である、第1冷媒配管10a、第2冷媒配管10b、第3冷媒配管10c、第4冷媒配管10d、及び第5冷媒配管10eについて説明する。
【0028】
なお、冷媒回路10は、冷凍装置100の形態に応じて、アキュムレータ、又は油分離器等を有する構成にできる。
【0029】
第1冷媒配管10aは、圧縮システム1の吐出側と第1熱交換器2の上流側との間に接続される。第2冷媒配管10bは、第1熱交換器2の下流側と第2熱交換器3の第1冷媒流路3aの上流側との間に接続される。第3冷媒配管10cは、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aの下流側と第1減圧装置4の上流側との間に接続される。第4冷媒配管10dは、第1減圧装置4の下流側と第3熱交換器5の上流側との間に接続される。第5冷媒配管10eは、第3熱交換器5の下流側と圧縮システム1の吸入側との間に接続される。すなわち、圧縮システム1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、第1減圧装置4、及び第3熱交換器5は、冷媒回路10は、第1冷媒配管10a、第2冷媒配管10b、第3冷媒配管10c、第4冷媒配管10d、及び第5冷媒配管10eで順次接続されている。
【0030】
本発明では、第1冷媒配管10a、第1熱交換器2、第2冷媒配管10b、第2熱交換器3、第3冷媒配管10cが接続された、圧縮システム1の吐出側から第1減圧装置4の上流側までの冷媒回路10の一部を、冷媒回路10の高圧側と称する。また、第4冷媒配管10d、第3熱交換器5、及び第5冷媒配管10eが接続された、第3熱交換器5の下流側から圧縮システム1の吸入側までの冷媒回路10の一部を、冷媒回路10の低圧側と称する。また、圧縮システム1における、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分を、冷媒回路10の中圧側と称する。
【0031】
次に、冷凍装置100を制御する制御用機器について説明する。
【0032】
冷凍装置100は、冷凍装置100の制御機器として、冷凍装置100の運転状態を制御するための制御装置20と、制御装置20に有線接続又は無線接続されるセンサとを有する構成にできる。
【0033】
制御装置20は、専用のハードウェア、又は中央演算装置、メモリ等を備えたマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットとして構成される。制御装置20は、例えば埋込型の制御回路基板として構成し、電気品箱に収納して冷凍装置100の内部に配置される。なお、
図1を含む以下の図面においては、制御装置20の内部構造については図示していない。
【0034】
制御装置20が専用のハードウェアとして構成される場合、制御装置20は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせて構成できる。制御装置20は、各々の制御処理を個々のハードウェアで実現できるように構成してもよいし、各々の制御処理を一つのハードウェアで行うように構成してもよい。なお、「ASIC」は特定用途向け集積回路の略称であり、「FPGA」はフィールドプログラマブルゲートアレイの略称である。
【0035】
制御装置20がマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットとして構成される場合、制御装置20が実行する制御処理は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア又はファームウェアは、制御プログラムとして記述される。メモリは、制御プログラムを格納する制御装置20の記憶部として構成される。メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリとして構成できる。中央演算装置は、メモリに格納された制御プログラムを読み出して実行することにより、制御処理を実現する演算部として構成される。なお、中央演算装置は「CPU」と略称される。また、中央演算装置は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、又はプロセッサとも称される。
【0036】
また、制御装置20は、制御処理の一部を専用のハードウェアで実現し、残余の制御処理をマイクロコンピュータ又はマイクロプロセッシングユニットで実現するように構成してもよい。
【0037】
なお、
図1では、冷凍装置100は、1つの制御装置20を有する構成としているが、冷凍装置100の形態に応じて、複数の制御装置20を有する構成にできる。冷凍装置100が複数の制御装置20を有する場合、冷凍装置100の形態に応じて、複数の制御装置20の間で制御情報の送受信を行うように構成するようにしてもよい。
【0038】
冷凍装置100は、制御装置20に有線接続又は無線接続される1以上の圧力センサを有する構成にできる。圧力センサは、例えば、水晶圧電式圧力センサ、半導体センサ、又は圧力トランスデューサ等を含む構成にできる。冷凍装置100が複数の圧力センサを有する場合、複数の圧力センサは、同一の構造を有する圧力センサであってもよいし、異なる構造を有する圧力センサであってもよい。なお、
図1においては、制御装置20と圧力センサとの間の接続線は図示していない。
【0039】
図1に示すように、冷凍装置100は、圧力センサとして、第1圧力センサ30a、第2圧力センサ30b、及び第3圧力センサ30cを有する構成にできる。なお、冷凍装置100は、冷凍装置100の形態に応じて、一部の圧力センサを省略した構成としてもよいし、更なる圧力センサを追加した構成としてもよい。
【0040】
第1圧力センサ30aは、冷媒回路10の低圧側の第5冷媒配管10eに配置され、圧縮システム1の吸入側の低圧圧力を検知する低圧センサである。第2圧力センサ30bは、冷媒回路10の中圧側に配置され、圧縮システム1の中圧部分の圧力を検知する中圧センサである。
図1に示すように、第2圧力センサ30bは、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間、例えば、第1圧縮装置12の吐出側に配置される。第3圧力センサ30cは、冷媒回路10の高圧側の第1冷媒配管10aに配置され、圧縮システム1の吐出側の高圧圧力を検知する高圧センサである。
【0041】
また、冷凍装置100は、制御装置20に有線接続又は無線接続される1以上の温度センサを有する構成にできる。温度センサは、例えば、サーミスタ等の半導体材料、又は測温抵抗体等の金属材料等を含む構成にできる。冷凍装置100が複数の温度センサを有する場合、複数の温度センサは、同一の構造を有する温度センサであってもよいし、異なる構造を有する温度センサであってもよい。なお、
図1においては、制御装置20と圧力センサとの間、及び制御装置20と温度センサとの間の接続線は図示していない。
【0042】
図1に示すように、冷凍装置100は、温度センサとして、第1温度センサ40a、第2温度センサ40b、第3温度センサ40c、第4温度センサ40d、第5温度センサ40e、第6温度センサ40f、及び第7温度センサ40gを有する構成にできる。なお、冷凍装置100は、冷凍装置100の形態に応じて、一部の温度センサを省略した構成としてもよいし、更なる温度センサを追加した構成としてもよい。
【0043】
第1温度センサ40aは、第1冷媒配管10aに配置され、第1熱交換器2の上流側を流れる冷媒の温度情報を、第1冷媒配管10aを介して検知する温度センサである。第2温度センサ40bは、第2冷媒配管10bに配置され、第1熱交換器2の下流側を流れる冷媒の温度情報を、第2冷媒配管10bを介して検知する温度センサである。第3温度センサ40cは、第3冷媒配管10cに配置され、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aの下流側を流れる冷媒の温度情報を、第3冷媒配管10cを介して検知する温度センサである。第4温度センサ40dは、第4冷媒配管10dに配置され、第3熱交換器5の上流側を流れる冷媒の温度情報を、第4冷媒配管10dを介して検知する温度センサである。第5温度センサ40eは、第5冷媒配管10eに配置され、第3熱交換器5の下流側を流れる冷媒の温度情報を、第5冷媒配管10eを介して検知する温度センサである。第6温度センサ40fは、圧縮システム1における、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分に配置され、圧縮システム1の中圧部分を流れる冷媒の温度情報を、配管等を介して検知する温度センサである。第7温度センサ40gは、冷凍装置100の周囲の任意の場所に配置され、外気温度を検知する外気温度センサである。
【0044】
なお、冷凍装置100は、冷凍装置100の形態に応じて、圧力センサ又は温度センサ以外のセンサ、例えば、冷媒漏洩検知センサ等を含むように構成してもよい。
【0045】
次に、冷凍装置100における、中間インジェクション回路60について説明する。
【0046】
図1に示すように、中間インジェクション回路60は、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aの下流側に配置された第3冷媒配管10cから分岐され、圧縮システム1における、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分に接続されたバイパス回路である。中間インジェクション回路60は、第2熱交換器3の下流側から分流した冷媒を、低温の中圧冷媒として圧縮システム1の中圧部分に注入するように構成されている。
【0047】
中間インジェクション回路60は、第2熱交換器3と、第2減圧装置6と、第1中間インジェクション冷媒配管60aと、第2中間インジェクション冷媒配管60bと、第3中間インジェクション冷媒配管60cとにより構成される。なお、第2熱交換器3の詳細な構造については、冷媒回路10の構成要素として既に説明したので省略する。
【0048】
第2減圧装置6は、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aの下流側から分流した高圧の液相冷媒を、膨張及び減圧させて、第2熱交換器3の第2冷媒流路3bに流入させるように構成されている。第2減圧装置6は、冷凍装置100の形態に応じて、膨張機、温度式自動膨脹弁、リニア電子膨張弁、又はキャピラリーチューブ等として構成できる。膨張機は、受圧部にダイヤフラムを採用した機械式膨張弁である。温度式自動膨脹弁は、圧縮システム1の吸入側における気相冷媒の過熱度によって冷媒量を調整する膨脹装置である。リニア電子膨張弁は、多段階若しくは連続的に開度を調節可能な膨脹装置であり、LEVとも略称される。なお、第2減圧装置6の構造は、第1減圧装置4の構造と同一の構造としてもよいし、異なる構造としてもよい。
【0049】
第1中間インジェクション冷媒配管60aは、第3冷媒配管10cと第2減圧装置6の上流側との間に接続される。第1中間インジェクション冷媒配管60aの冷媒流路は、第3冷媒配管10cの冷媒流路から分岐するように接続される。第2中間インジェクション冷媒配管60bは、第2減圧装置6の下流側と、第2熱交換器3の第2冷媒流路3bの上流側との間に接続される。第3中間インジェクション冷媒配管60cは、第2熱交換器3の第2冷媒流路3bの下流側と、圧縮システム1における、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分に接続される。第3中間インジェクション冷媒配管60cの冷媒流路は、圧縮システム1における、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒流路と合流するように接続される。すなわち、中間インジェクション回路60は、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aの下流側に配置された第3冷媒配管10cから分岐するように構成されている。また、中間インジェクション回路60は、第2減圧装置6と第2熱交換器3の第2冷媒流路3bとを介して、第1圧縮装置と第2圧縮装置との間の中圧部分に接続されるように構成されている。
【0050】
次に、冷凍装置100における、第1バイパス回路70について説明する。
【0051】
第1バイパス回路70は、圧縮システム1の吐出側と第1減圧装置4の上流側との間に位置する冷媒回路10の高圧側から分岐して、圧縮システム1の吸入側に接続されたバイパス回路である。例えば本実施の形態1では、
図1に示すように、第1バイパス回路70は、第2熱交換器3の下流側と第1減圧装置4の上流側との間に位置する冷媒回路10の高圧側の冷媒配管である第3冷媒配管10cから分岐している。また、第1バイパス回路70は、圧縮システム1の吸入側に配置された第5冷媒配管10eに接続されている。すなわち、第1バイパス回路70は、冷媒回路10の高圧側から冷媒回路10の低圧側に冷媒を流入可能なバイパス経路を提供している。
【0052】
第1バイパス回路70は、第1開閉弁7と、第1バイパス冷媒配管70aと、第2バイパス冷媒配管70bとにより構成される。
【0053】
第1開閉弁7は、流体の流れを開放又は閉止するために内部の通路を開放又は閉止できる可動機構である。第1開閉弁7は、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力Phが、第1開閉弁7の設定圧である第1圧力P1以下の場合は閉止状態にあるように構成される。また、第1開閉弁7は、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力Phが第1圧力P1を超える場合に開放し、第1開閉弁7の下流側に冷媒を流すように構成される。すなわち、第1開閉弁7は、第1開閉弁7の設定圧が第1圧力P1となるように設計された自動弁である。
【0054】
第1開閉弁7の設定圧である第1圧力P1は、冷媒回路10の高圧側に配置された冷媒配管の設計圧力、すなわち、第1冷媒配管10a、第2冷媒配管10b、及び第3冷媒配管10cの設計圧力に基づいて決定される。具体的には、冷凍装置100では、冷媒回路10の故障を防止するために設定された冷媒回路10の高圧側の許容圧力が、冷媒回路10の高圧側に配置された冷媒配管の設計圧力よりも低くなるように設定できる。冷媒回路10の許容圧力が設定される場合、第1圧力P1は、例えば、冷凍装置100の通常運転時に想定される冷媒回路10の高圧側の圧力よりも高い圧力であり、冷媒回路10の許容圧力よりも低い圧力に設定される。
【0055】
第1開閉弁7は、例えば、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力Phに基づいて機械的に開閉する、圧力駆動型の弁として構成される。第1開閉弁7は、圧力駆動型の弁として構成する場合、冷凍装置100の形態に応じて、例えば、密閉型の安全弁等として構成できる。第1開閉弁7は、密閉型の安全弁として構成する場合、例えば、弁体からの流体漏れが発生する可能性が少ないダイヤフラム式の安全弁として構成できる。
【0056】
第1バイパス冷媒配管70aは、第3冷媒配管10cと第1開閉弁7の上流側との間に接続される。第1バイパス冷媒配管70aの冷媒流路は、第3冷媒配管10cの冷媒流路から分岐するように接続される。第2バイパス冷媒配管70bは、第1開閉弁7の下流側と第5冷媒配管10eとの間に接続される。第2バイパス冷媒配管70bの冷媒流路は、第5冷媒配管10eの冷媒流路と合流するように接続される。
【0057】
次に、冷凍装置100における、第2バイパス回路80について説明する。
【0058】
第2バイパス回路80は、圧縮システム1における、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分から分岐して、圧縮システム1の吸入側に配置された第5冷媒配管10eに接続されたバイパス回路である。すなわち、第2バイパス回路80は、冷媒回路10の中圧側から冷媒回路10の低圧側に冷媒を流入可能なバイパス経路を提供している。
【0059】
第2バイパス回路80は、第2開閉弁8と、第3バイパス冷媒配管80aと、第4バイパス冷媒配管80bとにより構成される。
【0060】
第2開閉弁8は、流体の流れを開放又は閉止するために内部の通路を開放又は閉止できる可動機構である。第2開閉弁8は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力Piが、第2開閉弁8の設定圧である第2圧力P2以下の場合は閉止状態にあるように構成される。また、第2開閉弁8は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力Piが第2圧力P2を超える場合に開放し、圧縮システム1の吸入側に冷媒を流すように構成される。すなわち、第2開閉弁8は、第2開閉弁8の設定圧が第2圧力P2となるように設計された自動弁である。
【0061】
第2開閉弁8の設定圧である第2圧力P2は、冷媒回路10の高圧側に配置された冷媒配管の設計圧力、すなわち、第1冷媒配管10a、第2冷媒配管10b、及び第3冷媒配管10cの設計圧力に基づいて決定される。例えば、第2圧力P2は、第1開閉弁7の設定圧である第1圧力P1よりも小さくなるように設定される。具体的には、冷凍装置100では、冷媒回路10の高圧側の故障を防止するために設定された冷媒回路10の中圧側の許容圧力は、冷媒回路10の高圧側に配置された冷媒配管の設計圧力から算出される、上限中圧値よりも低くなるように設定できる。冷媒回路10の中圧側の許容圧力が設定される場合、第2圧力P2は、冷凍装置100の通常運転時に想定される冷媒回路10の中圧側の圧力よりも高い圧力であり、冷媒回路10の中圧側の許容圧力よりも低い圧力に設定される。
【0062】
第2開閉弁8は、例えば、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力Piに基づいて機械的に開閉する、圧力駆動型の弁として構成される。第2開閉弁8は、圧力駆動型の弁として構成する場合、冷凍装置100の形態に応じて、例えば、密閉型の安全弁等として構成できる。第2開閉弁8は、密閉型の安全弁として構成する場合、例えば、弁体からの流体漏れが発生する可能性が少ないダイヤフラム式の安全弁として構成できる。
【0063】
第3バイパス冷媒配管80aは、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分と、第2開閉弁8の一端との間に接続される。第3バイパス冷媒配管80aの冷媒流路は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒流路から分岐するように接続される。第4バイパス冷媒配管80bは、第2開閉弁8の他端と第5冷媒配管10eとの間に接続される。第4バイパス冷媒配管80bの冷媒流路は、圧縮システム1の吸入側にある第5冷媒配管10eの冷媒流路と合流するように接続される。
【0064】
次に、冷凍装置100で循環される冷媒について説明する。
【0065】
冷凍装置100における冷媒は、冷凍装置100の用途に応じて、任意の種類の冷媒、又は任意の種類の冷媒のうち2種以上が混合された混合冷媒を選択することが可能である。冷凍装置100における冷媒としては、例えば、単一冷媒、擬似共沸混合冷媒、非共沸混合冷媒、又は地球温暖化係数の低い冷媒が用いられる。単一冷媒としては、例えば、R22、R134a、R32、HFO1234yf、HFO1234ze、又はHFO1123等が用いられる。擬似共沸混合冷媒としては、例えば、R410A、又はR404A等が用いられる。非共沸混合冷媒としては、例えば、R407C等が用いられる。地球温暖化係数の低い冷媒としては、例えば、化学式内に二重結合を含むCF
3CF=CH
2等が用いられる。
【0066】
また、冷凍サイクル回路に循環させる冷媒としては、CO
2又はプロパン等の地球温暖化防止に対応可能な自然冷媒を用いることができる。CO
2冷媒は、地球温暖化防止に対応可能な自然冷媒であるが、高温高圧下で作動させることが必要という課題があった。しかしながら、本発明のような冷凍装置100では、複数の圧縮装置を有することにより、高温高圧下で冷媒を循環させることが可能であるため、作動冷媒としてのCO
2冷媒の使用に適している。
【0067】
次に、冷凍装置100の動作について、
図2を用いて説明する。
【0068】
図2は、本実施の形態1に係る冷凍装置100の動作態様の一例を示す概略的なモリエル線図である。モリエル線図の縦軸は圧力を概略的に示し、モリエル線図の横軸はエンタルピを概略的に示している。また、モリエル線図における凸形状の曲線の左側は、飽和液線を示しており、モリエル線図における凸形状の曲線の右側は、飽和蒸気線を示している。また、モリエル線図上の白丸は、冷凍装置100の運転状態における、冷媒の状態を説明するために設けられたものである。また、モリエル線図上の白丸同士を結ぶ線分は、冷凍装置100の動作時における冷媒の変化を模式的に示したものである。
【0069】
図2では、高温かつ高圧の気相冷媒が圧縮システム1から吐出された段階が、白丸Aによって示されている。
【0070】
圧縮システム1から吐出された高温かつ高圧の気相冷媒は、第1冷媒配管10aを介して第1熱交換器2に流入する。第1熱交換器2に流入した高温かつ高圧の気相冷媒は、第1熱交換器2の内部を通過し、第1送風機2aが誘引する気流との間で熱交換され、高圧の液相冷媒として流出する。
【0071】
図2では、高圧の液相冷媒が第1熱交換器2から流出した段階が、白丸Bによって示されている。
【0072】
第1熱交換器2から流出した高圧の液相冷媒は、第2冷媒配管10bを介して、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aに流入する。第2熱交換器3の第1冷媒流路3aに流入した高圧の液相冷媒は、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aを通過し、第2熱交換器3の第2冷媒流路3bを通過する中圧の冷媒との熱交換により過冷却される。第2熱交換器3で過冷却された高圧の気相冷媒は、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aから流出する。
【0073】
図2では、過冷却された高圧の気相冷媒が第2熱交換器3の第1冷媒流路3aから流出した段階が、白丸Cによって示されている。
【0074】
第2熱交換器3の第1冷媒流路3aから流出した、過冷却された高圧の気相冷媒は、第3冷媒配管10cに流入する。第3冷媒配管10cにおいて、過冷却された高圧の気相冷媒の一部は分流して、中間インジェクション回路60の第1中間インジェクション冷媒配管60aに流入する。
【0075】
過冷却された高圧の気相冷媒の他の一部は、第3冷媒配管10cを介して、第1減圧装置4に流入する。第1減圧装置4に流入した、過冷却された高圧の気相冷媒は、第1減圧装置4で膨張及び減圧され、低温低圧の二相冷媒として第1減圧装置4から流出する。
【0076】
図2では、低温低圧の二相冷媒が第1減圧装置4から流出した段階が、白丸Dによって示されている。
【0077】
第1減圧装置4から流出した低温かつ低圧の二相冷媒は、第4冷媒配管10dを介して、第3熱交換器5に流入する。第3熱交換器5に流入した低温かつ低圧の二相冷媒は、第3熱交換器5の内部を通過し、第2送風機5aが誘引する気流との間で熱交換され、低圧の気相冷媒として流出する。なお、第3熱交換器5から流出する冷媒は、乾き度の高い二相冷媒となる場合もある。
【0078】
図2では、低圧の気相冷媒が第3熱交換器5から流出した段階が、白丸Eによって示されている。
【0079】
第3熱交換器5から流出した低圧の気相冷媒は、第5冷媒配管10eを介して、圧縮システム1の吸入側から吸入される。圧縮システム1に吸入された低圧の気相冷媒は、第1圧縮装置12によって圧縮され、中圧の気相冷媒として圧縮システム1の中圧部分に吐出される。
【0080】
図2では、中圧の気相冷媒が第1圧縮装置12から吐出された段階が、白丸Fによって示されている。
【0081】
なお、冷凍装置100は、第1圧縮装置12から吐出された中圧の気相冷媒は、熱交換により冷却される構成としてもよい。詳細な構成については、実施の形態2で後述する。
図2では、中圧の気相冷媒が第1圧縮装置12から吐出され、熱交換により冷却された段階が、白丸Gによって示されている。
【0082】
一方、第3冷媒配管10cから分流して、第1中間インジェクション冷媒配管60aに流入した、過冷却された高圧の気相冷媒は、第1中間インジェクション冷媒配管60aを介して、第2減圧装置6に流入する。第2減圧装置6に流入した、過冷却された高圧の気相冷媒は、第2減圧装置6で膨張及び減圧され、中圧の液相冷媒又は湿り度の高い中圧の二相冷媒として第2減圧装置6から流出する。
【0083】
図2では、中圧の液相冷媒又は湿り度の高い中圧の二相冷媒が第2減圧装置6から流出した段階が、白丸Hによって示されている。
【0084】
第2減圧装置6から流出した中圧の液相冷媒又は湿り度の高い中圧の二相冷媒は、第2中間インジェクション冷媒配管60bを介して、第2熱交換器3の第2冷媒流路3bに流入する。第2熱交換器3の第2冷媒流路3bに流入した中圧の液相冷媒又は湿り度の高い中圧の二相冷媒は、第2熱交換器3の第2冷媒流路3bを通過し。第2熱交換器3の第1冷媒流路3aを通過する高圧の液相冷媒との熱交換により加熱される。加熱された中圧の冷媒は、中圧の気相冷媒又は乾き度の高い中圧の二相冷媒として、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aから流出する。第2熱交換器3の第1冷媒流路3aから流出した中圧の気相冷媒又は乾き度の高い中圧の二相冷媒は、第3中間インジェクション冷媒配管60cを介して、圧縮システム1の中圧部分に流入する。
【0085】
図2では、中圧の気相冷媒又は乾き度の高い中圧の二相冷媒が圧縮システム1の中圧部分に流入した段階が、白丸Iによって示されている。
【0086】
第3中間インジェクション冷媒配管60cを介して圧縮システム1の中圧部分に流入した中圧の気相冷媒又は乾き度の高い中圧の二相冷媒は、第1圧縮装置12から吐出された中圧の気相冷媒と合流する。合流した気相冷媒は、第1圧縮装置12から吐出された中圧の気相冷媒よりも過熱度の小さい中圧の気相冷媒となる。
【0087】
図2では、合流した中圧の気相冷媒が、第1圧縮装置12から吐出された中圧の気相冷媒よりも過熱度の小さい中圧の気相冷媒となった段階が、白丸Jによって示されている。
【0088】
合流した中圧の気相冷媒は、第2圧縮装置14で圧縮され、高温かつ高圧の気相冷媒として圧縮システム1から吐出される。冷凍装置100においては、以上のサイクルが繰り返される。
【0089】
本実施の形態1の冷凍装置100では、上述の構成を有することにより、冷凍能力の低下、圧縮機の吐出温度の過熱が抑制できる。したがって、冷凍性能の向上及びエネルギーの低減化が可能である。
【0090】
次に、本実施の形態1の冷凍装置100の効果について説明する。
【0091】
本実施の形態1の冷凍装置100は、第1開閉弁7を有し、圧縮システム1の吐出側と第1減圧装置4の上流側との間に位置する冷媒回路10の高圧側から分岐して圧縮システム1の吸入側に接続される第1バイパス回路70を備える。第1開閉弁7は、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力が第1圧力P1以下の場合は閉止状態にあり、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力が第1圧力P1を超える場合に開放されるように構成されている。
【0092】
また、本実施の形態1の冷凍装置100は、第2開閉弁8を有し、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分から分岐して圧縮システム1の吸入側に接続される第2バイパス回路80とを備える。第2開閉弁8は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力が第2圧力P2以下の場合は閉止状態にあるように構成されている。また、第2開閉弁8は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力が第2圧力P2を超える場合に開放されるように構成されている。
【0093】
冷凍装置100の運転時においては、制御装置20は、冷媒回路10の高圧側圧力が、冷媒回路10の故障を防止するために設定された冷媒回路10の高圧側の許容圧力を超えないように制御している。したがって、冷凍装置100の運転時においては、第1開閉弁7の上流側の圧力Phは第1圧力P1を超えない。また、冷凍装置100の運転時においては、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の圧力は第2圧力P2を超えない。よって、冷凍装置100の運転時においては、第1開閉弁7及び第2開閉弁8は閉止状態のままであり、第1バイパス回路70及び第2バイパス回路80のいずれにも冷媒は流れない。
【0094】
以降では、冷凍装置100が、運転状態から停止状態に切り替わった場合を考える。なお、本実施の形態1における、冷凍装置100の停止状態は、通常の運転停止の他、停電による停止等の異常状態における運転停止も含む停止状態である。
【0095】
冷凍装置100が、運転状態から停止状態に切り替わった場合、圧縮システム1における第1圧縮装置12と第2圧縮装置14は、共に停止状態となる。
【0096】
冷凍装置100が運転状態から停止状態に切り替わった時点において、外気温度等の冷媒回路10の周囲温度が、運転時における冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力の飽和温度よりも高い場合がある。冷媒回路10の周囲温度が、運転時における冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力の飽和温度よりも高い状態において、冷凍装置100が停止状態になると、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力は周囲温度に相当する飽和圧力まで上昇することになる。
【0097】
図3は、本実施の形態1に係る冷凍装置100で冷媒としてCO
2冷媒を使用した場合における、冷媒密度と冷媒温度と冷媒圧力との関係を示す図である。
図3の横軸は、冷媒の温度を示し、単位は℃である。
図3の縦軸は、冷媒の圧力を示し、単位はMpaである。冷媒密度は、冷媒量を容積で除算した数値であり、単位はkg/m
3である。なお、CO
2冷媒が冷凍装置100の冷媒として用いられた場合、冷凍装置100は、運転時における冷媒回路10の高圧圧力側の飽和温度が、CO
2冷媒の臨界温度である31.1℃未満となるように運転するように制御されていることを前提とする。
【0098】
また、
図3における直線L1は、冷媒密度が150[kg/m
3]のときの冷媒温度と圧力との関係を示している。また、
図3における直線L2は、冷媒密度が200[kg/m
3]のときの冷媒温度と圧力との関係を示している。また、
図3における直線L3は、冷媒密度が300[kg/m
3]のときの冷媒温度と圧力との関係を示している。また、
図3における直線L4は、冷媒密度が400[kg/m
3]のときの冷媒温度と圧力との関係を示している。また、
図3における直線L5は、冷媒密度が500[kg/m
3]のときの冷媒温度と圧力との関係を示している。
【0099】
図3に示すように、いずれの直線L1〜L5においても、冷媒温度が高くなるにつれて冷媒圧力が高くなっている。また、冷媒温度を一定として視た場合、冷媒密度が高くなるにつれて、冷媒圧力が高くなっている。
【0100】
例えば、CO
2冷媒の臨界温度である31.1℃での冷媒圧力は、冷媒の密度が500[kg/m
3]の場合であっても、7.5[MPa]未満である。したがって、冷凍装置100の高圧側の冷媒配管は、例えば設計圧力を7.7[MPa]として冷凍装置100を設計することが可能である。
【0101】
冷凍装置100を高温度環境下、例えば周囲温度が45℃の環境で用いる場合を考える。周囲温度が45[℃]の場合を考えると、冷凍装置100の冷媒密度が300[kg/m
3]の場合であっても、冷媒圧力は8.68[MPa]まで増加するため、冷凍装置100の高圧側の冷媒配管の設計圧力を上回ることとなる。
【0102】
また、高圧側の冷媒配管の設計圧力を4.0[MPa]として冷凍装置100を設計した場合、冷媒密度が一定以上の場合に、6.3℃で飽和圧力が4.0[MPa]となる場合がある。したがって、冷凍装置100の周囲温度が6.3℃を超えた場合、高圧側の冷媒配管の冷媒圧力が、高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えてしまう場合がある。
【0103】
また、CO
2冷媒を用いた冷凍装置100では、冷凍性能は向上するが、圧縮システム1において二段階以上でCO
2冷媒が圧縮されるため、圧縮システム1からの吐出圧力がCO
2冷媒以外の冷媒を用いた場合と比較して大きくなる。したがって、高圧側の冷媒配管の冷媒圧力が、高圧側の冷媒配管の設計圧力以下の場合であっても、再起動時において、高圧側の冷媒配管の冷媒圧力が、高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えてしまう場合がある。
【0104】
以上のことから、冷凍装置100が停止している状態であっても、冷媒回路10の周囲温度が上昇し、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力が上昇した場合には、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力が許容圧力以下となるように制御する必要がある。
【0105】
本実施の形態1の冷凍装置100は、第1開閉弁7を有し、圧縮システム1の吐出側と第1減圧装置4の上流側との間に位置する冷媒回路10の高圧側から分岐して圧縮システム1の吸入側に接続される第1バイパス回路70を備える。第1開閉弁7は、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力が第1圧力P1以下の場合は閉止状態にあり、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力が第1圧力P1を超える場合に開放されるように構成されている。
【0106】
また、本実施の形態1の冷凍装置100は、第2開閉弁8を有し、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分から分岐して圧縮システム1の吸入側に接続される第2バイパス回路80とを備える。第2開閉弁8は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力が第2圧力P2以下の場合は閉止状態にあるように構成されている。また、第2開閉弁8は、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力が第2圧力P2を超える場合に開放されるように構成されている。
【0107】
また、本実施の形態1の冷凍装置100において、第1バイパス回路70は、第2熱交換器3の第1冷媒流路3aの下流側と第1減圧装置4の上流側との間に位置する冷媒回路10の高圧側の冷媒配管、すなわち第3冷媒配管10cから分岐するように構成できる。
【0108】
上述の構成によれば、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力、すなわち冷媒回路10の高圧側の圧力が、許容圧力である第1圧力P1を超えた場合、第1開閉弁7が開放され、冷媒回路10の高圧側の冷媒が、冷媒回路10の低圧側に流入する。冷媒回路10の高圧側の冷媒が、冷媒回路10の低圧側に流入すると、冷媒回路10の高圧側の圧力は低減し、第1圧力P1以下になると、第1開閉弁7が閉止される。したがって、本実施の形態1では、第1バイパス回路70を設けることにより、冷媒回路10の高圧側の圧力が、冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えないように冷凍装置100を構成できるため、冷凍装置100の安全性を確保できる。
【0109】
また、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間の中圧部分の冷媒の圧力、すなわち冷媒回路10の中圧側の圧力が、許容圧力である第2圧力P2を超えた場合、第2開閉弁8が開放され、冷媒回路10の中圧側の冷媒が、冷媒回路10の低圧側に流入する。冷媒回路10の中圧側の冷媒が、冷媒回路10の低圧側に流入すると、冷媒回路10の中圧側の圧力は低減し、第2圧力P2以下になると、第2開閉弁8が閉止される。本実施の形態1では、第2バイパス回路80を設けることにより、冷媒回路10の中圧側の圧力が、冷媒回路10の中圧側の許容圧力を超えないように冷凍装置100を構成できる。冷媒回路10の中圧側の圧力が、冷媒回路10の中圧側の許容圧力を超えないように冷凍装置100を構成することにより、冷凍装置100の再起動時において、冷媒回路10の高圧側の冷媒が冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えるのを回避できる。したがって、本実施の形態1では、第2バイパス回路80を設けることにより、冷媒回路10の高圧側の圧力が、冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えないように冷凍装置100を構成できるため、冷凍装置100の安全性を更に確保できる。
【0110】
また、本実施の形態1では、第1バイパス回路70及び第2バイパス回路80を設けることにより、冷却装置等の補助熱源を冷媒回路10の高圧側に設ける必要がなくなるため、消費エネルギーの低減化と冷凍装置100の小型化及び減量化とを図ることができる。
【0111】
また、本実施の形態1の冷凍装置100においては、第1圧力P1及び第2圧力P2は、冷媒回路10の高圧側に配置された冷媒配管の設計圧力に基づいて決定される。本構成によれば、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力が必要以上に低減されるのを回避できるため、冷凍装置100の信頼性を向上させることができる。
【0112】
また、本実施の形態1の冷凍装置100においては、第1開閉弁7及び第2開閉弁8は、圧力駆動型の弁として構成できる。本構成によれば、冷凍装置100の停電時においても、冷媒回路10の高圧側の圧力が、冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えないように冷凍装置100を構成できるため、冷凍装置100の信頼性を更に向上させることができる。
【0113】
また、本実施の形態1の冷凍装置100は、上述したとおり、作動冷媒をCO
2冷媒としたときに特に有効に作用する。
【0114】
図4は、本実施の形態1の冷凍装置100に係る、
図1の冷媒回路10の変形例を示す概略的な冷媒回路図である。
図4は、第2バイパス回路80を有しない点を除けば、
図1の冷凍装置100と同一の構造である。
図4に示したような、第2バイパス回路80を有しない構成であっても、
図1の冷凍装置100と同様の効果が得られることを以下に示す。
【0115】
図1の冷凍装置100と同様に、第1開閉弁7は、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力が第1圧力P1以下の場合は閉止状態にあり、第1開閉弁7の上流側の冷媒の圧力が第1圧力P1を超える場合に開放されるように構成されている。
図4の冷凍装置100では、第1開閉弁7は、制御装置20で開閉制御を行う二方向電磁弁等の電磁弁として構成される。また、
図1の冷凍装置100では、制御装置20が非通電、すなわち停電を検知するように構成できる。第1開閉弁7は、制御装置20が停電を検知した場合、開放されるように構成される。
【0116】
また、
図4の冷凍装置100では、第2減圧装置6は、制御装置20で開閉制御が可能な膨脹装置として構成される。具体的には、第2減圧装置6は、冷凍装置100の形態に応じて、膨張機、温度式自動膨脹弁、又はリニア電子膨張弁等として構成できる。また、第2減圧装置6は、制御装置20が停電を検知した場合、開放されるように構成される。
【0117】
上述の構成によれば、制御装置20が停電を検知した場合、第2減圧装置6及び第1開閉弁7が開放されるため、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の冷媒が、冷媒回路10の低圧側に流入する。したがって、冷凍装置100がバックアップ電源を有しない構成であったとしても、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力が、冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えないように冷凍装置100を構成できるため、冷凍装置100の安全性が確保される。
【0118】
なお、
図4の冷凍装置100は、制御装置20以外の装置で停電が検知されるように構成してもよい。
【0119】
停電以外の状態、すなわち、通電状態で
図4の冷凍装置100が停止した場合の、第2減圧装置6及び第1開閉弁7の動作を説明する。
【0120】
図4の冷凍装置100において、第3圧力センサ30cで検知された高圧圧力が、第1圧力P1を超えた場合、制御装置20は、第1開閉弁7を開放するように制御する。第1開閉弁7が開放されることにより、冷媒回路10の高圧側の冷媒は、第1バイパス回路70を介して、冷媒回路10の低圧側に流入する。
【0121】
また、
図4の冷凍装置100において、第2圧力センサ30bで検知された中圧圧力が、第2圧力P2を超えた場合、制御装置20は、第2減圧装置6及び第1開閉弁7を開放するように制御する。第2減圧装置6及び第1開閉弁7が開放されることにより、冷媒回路10の中圧側の冷媒は、中間インジェクション回路60と第1バイパス回路70とを介して、冷媒回路10の低圧側に流入する。
【0122】
上述の構成によれば、冷凍装置100の停止時の高圧圧力又は中圧圧力に応じて、冷媒回路10の高圧側又は中圧側の冷媒を、冷媒回路10の低圧側に流入させることができる。したがって、上述の構成によれば、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力が、冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えないように冷凍装置100を構成できるため、冷凍装置100の安全性が確保される。また、冷媒回路10の高圧側及び中圧側の圧力が必要以上に低減されるのを回避できるため、冷凍装置100の信頼性を向上させることができる。
【0123】
また、本実施の形態1では、冷媒回路10の高圧側及び中圧側から冷媒回路10の低圧側に流れる冷媒を一時的に貯留する容量を確保できるように、第3熱交換器5を構成できる。また、冷凍装置100では、冷凍装置100の再起動時に、圧縮システム1の第1圧縮装置12に液相冷媒が吸入され、第1圧縮装置12で液圧縮が生じるのを回避するよう、第3熱交換器5の許容温度範囲が設定できる。第3熱交換器5の再起動時の温度が、第3熱交換器5の許容温度範囲にない場合は、圧縮システム1の起動前に、第3熱交換器5の温度が第3熱交換器5の許容温度範囲となるように制御される。例えば、冷凍装置100が第2送風機5aを有する構成である場合、制御装置20が、第2送風機5aの送風量を調整することにより、第3熱交換器5の内部の冷媒の温度が第3熱交換器5の許容温度範囲となるように制御できる。
【0124】
以下に、第3熱交換器5の内部の冷媒の温度が第3熱交換器5の許容温度範囲となるように制御する具体例を、
図5を用いて説明する。
【0125】
図5は、本実施の形態1の冷凍装置100に係る、
図1の冷媒回路10の別の変形例を示す概略的な冷媒回路図である。
図5は、熱源ユニット200及び冷却ユニット300が設けられている点と、冷却ユニット300が冷却室400に収容されている点を除けば、
図1の冷凍装置100と同一の構造である。
【0126】
図5の冷凍装置100は、圧縮システム1、第1熱交換器2、第2熱交換器3、及び中間インジェクション回路60が、熱源ユニット200に収容された構成となっている。また、
図5の冷凍装置100は、第3熱交換器5が、冷却ユニット300に収容された構成となっている。
図5では明示していないが、熱源ユニット200は、第3冷媒配管10c及び第5冷媒配管10eの一部を構成する2本の延長配管で接続された構成にできる。
【0127】
なお、
図5では、第1バイパス回路70及び第1減圧装置4が冷却ユニット300に収容された構成となっているが、熱源ユニット200に収容された構成としてもよい。また、
図5の冷凍装置100は、第1熱交換器2及び第3熱交換器5の構成に応じて、第1送風機2a及び第2送風機5aを有しない構成にできる。また、上述したように、
図5の冷凍装置100は、第2バイパス回路80を有しない構成であってもよい。また、温度センサ、圧力センサ、及び制御装置20は、その使用目的に応じた位置に配置できる。
【0128】
図5の冷凍装置100においては、冷却ユニット300は冷却室400に収容された構成となっている。冷却室400の内部には、冷凍装置100の運転により、冷気が充満されている。したがって、上述の構成によれば、冷凍装置100が停止した時、冷却室400の内部に充満された冷気により、冷媒回路10の高圧側及び中圧側から第3熱交換器5に流入した冷媒の温度を低下させることができる。例えば、冷凍装置100が第2送風機5aを有する構成である場合、制御装置20が、第2送風機5aからの冷気の送風量を調整することにより、第3熱交換器5の内部の冷媒の温度が第3熱交換器5の許容温度範囲となるように制御できる。
【0129】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2の冷凍装置100を、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態2に係る冷凍装置100の冷媒回路10の一例を示す概略的な冷媒回路図である。
【0130】
図6に示すように、本実施の形態2の冷凍装置100においては、冷媒回路10が第4熱交換器16を有するように構成されている。他の冷凍装置100の構成については、上述の実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0131】
第4熱交換器16は、第1圧縮装置12で圧縮された中圧の気相冷媒を流入させ、冷却する中間冷却器である。
図6に示すように、第4熱交換器16は、冷媒回路10の中圧部分に接続されている。具体的には、第4熱交換器16は、第1圧縮装置12と、第2圧縮装置14との間に接続されている。また、第4熱交換器16と第2圧縮装置14との間には、中間インジェクション回路60の第3中間インジェクション冷媒配管60cが接続されている。第3中間インジェクション冷媒配管60cの冷媒流路は、第4熱交換器16と第2圧縮装置14との間の冷媒流路と合流するように接続されている。また、第6温度センサ40fは、第4熱交換器16と第2圧縮装置14との間の中圧部分に配置されている。なお、第4熱交換器16は、冷凍装置100の形態に応じて、圧縮システム1と一体化した構成としても良いし、第1圧縮装置12と第2圧縮装置14との間に配管により接続された圧縮システム1とは別体の構成としても良い。また、第4熱交換器16は、複数の熱交換器を有する熱交換装置として構成してもよい。
【0132】
第4熱交換器16は、例えば、
図6に示すように、冷凍装置100が第3送風機16aを備える構成とすることができる。第4熱交換器16は、冷凍装置100が第3送風機16aを備える構成とすることにより、第3送風機16aが誘引する気流と、第4熱交換器16の内部を通過する中圧の気相冷媒との間で熱交換を行う空冷式熱交換器として構成できる。第4熱交換器16は、空冷式熱交換式として構成する場合、冷凍装置100の形態に応じて、フィンアンドチューブ式熱交換器、又はプレートフィン式熱交換器等として構成できる。なお、第3送風機16aは、冷凍装置100の形態に応じて、プロペラファン等の軸流送風機、シロッコファン若しくはターボファン等の遠心送風機、斜流送風機、又は横断流送風機等として構成できる。
【0133】
また、第4熱交換器16は、特に圧縮システム1とは別体の構成とした場合には、冷凍装置100の形態に応じて、水又はブラインと、第4熱交換器16の内部を通過する中圧の気相冷媒との間で熱交換を行う水冷式熱交換器として構成することもできる。第4熱交換器16を水冷式熱交換器として構成する場合、第4熱交換器16は、冷凍装置100の形態に応じて、シェルアンドチューブ式熱交換器、プレート熱交換器、又は二重管式熱交換器として構成できる。
【0134】
本実施の形態2の冷凍装置100では、冷媒回路10が第4熱交換器16を有する構成とすることにより、冷媒回路10の中圧部分での過熱度を効率的に低減することができる。
図2で示した冷凍装置100の動作態様で説明すると、本実施の形態2の冷凍装置100では、白丸Fから白丸Hへの冷却動作を効率的に行うことができる。したがって、本構成によれば、冷凍装置100の性能を向上させることができる。
【0135】
また、本実施の形態2では、冷媒回路10の高圧側から冷媒回路10の中圧側に流れる冷媒を一時的に貯留する容量を確保できるように、第4熱交換器16を構成できる。また、冷凍装置100では、冷凍装置100の再起動時に、圧縮システム1の第2圧縮装置14に液相冷媒が吸入され、第2圧縮装置14で液圧縮が生じるのを回避するよう、第4熱交換器16の許容温度範囲が設定できる。第4熱交換器16の再起動時の温度が、第4熱交換器16の許容温度範囲にない場合は、圧縮システム1の起動前に、第4熱交換器16の温度が第4熱交換器16の許容温度範囲となるように制御される。例えば、冷凍装置100が第3送風機16aを有する構成である場合、制御装置20が、第3送風機16aの送風量を調整することにより、第4熱交換器16の内部の冷媒の温度が第4熱交換器16の許容温度範囲となるように制御できる。
【0136】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3の冷凍装置100を、
図7を用いて説明する。
図7は、本実施の形態3に係る冷凍装置100の冷媒回路10の一例を示す概略的な冷媒回路図である。
【0137】
本実施の形態3の冷凍装置100は、第3バイパス回路90を有するように構成されている。他の冷凍装置100の構成については、上述の実施の形態1及び実施の形態2と同一であるため説明を省略する。
【0138】
冷凍装置100における、第3バイパス回路90について説明する。
【0139】
第3バイパス回路90は、中間インジェクション回路60において、第2減圧装置6の上流側に配置された第1中間インジェクション冷媒配管60aから分岐するバイパス回路である。第1中間インジェクション冷媒配管60aから分岐した第3バイパス回路90は、第2減圧装置6の下流側にある第2中間インジェクション冷媒配管60bに接続されている。すなわち、第3バイパス回路90は、冷媒回路10の高圧側から冷媒回路10の中圧側に冷媒を流入可能なバイパス経路を提供している。
【0140】
第3バイパス回路90は、第3開閉弁9と、第5バイパス冷媒配管90aと、第6バイパス冷媒配管90bとにより構成される。
【0141】
第3開閉弁9は、流体の流れを開放又は閉止するために内部の通路を開放又は閉止できる可動機構である。第3開閉弁9は、第3開閉弁9の上流側の冷媒の圧力Phが、第3開閉弁9の設定圧である第3圧力P3以下の場合は閉止状態にあるように構成される。また、第3開閉弁9は、第3開閉弁9の上流側の冷媒の圧力Phが第3圧力P3を超える場合に開放し、第3開閉弁9の下流側に冷媒を流すように構成される。すなわち、第3開閉弁9は、第3開閉弁9の設定圧が第3圧力P3となるように設計された自動弁である。
【0142】
第3開閉弁9の設定圧である第3圧力P3は、上述の実施の形態1で説明したように、冷媒回路10の高圧側に配置された冷媒配管の設計圧力、すなわち、第1冷媒配管10a、第2冷媒配管10b、及び第3冷媒配管10cの設計圧力に基づいて決定される。また、第3圧力P3は、第1開閉弁7の設定圧である第1圧力P1よりも小さく、第2開閉弁8の設定圧である第2圧力P2よりも大きくなるように設定される。
【0143】
第3開閉弁9は、例えば、第3開閉弁9の上流側の冷媒の圧力Phに基づいて機械的に開閉する、圧力駆動型の弁として構成される。第3開閉弁9は、圧力駆動型の弁として構成する場合、冷凍装置100の形態に応じて、例えば、密閉型の安全弁等として構成できる。第3開閉弁9は、密閉型の安全弁として構成する場合、例えば、弁体からの流体漏れが発生する可能性が少ないダイヤフラム式の安全弁として構成できる。
【0144】
第5バイパス冷媒配管90aは、中間インジェクション回路60の第1中間インジェクション冷媒配管60aと、第3開閉弁9の上流側との間に接続される。第5バイパス冷媒配管90aの冷媒流路は、第1中間インジェクション冷媒配管60aの冷媒流路から分岐するように接続される。第6バイパス冷媒配管90bは、第3開閉弁9の下流側と中間インジェクション回路60の第2中間インジェクション冷媒配管60bとの間に接続される。第6バイパス冷媒配管90bの冷媒流路は、第2中間インジェクション冷媒配管60bの冷媒流路と合流するように接続される。
【0145】
以上に述べたように、本実施の形態3の冷凍装置100は、第3開閉弁9を有し、第2減圧装置6の上流側から分岐して第2減圧装置6の下流側に接続される第3バイパス回路90を更に備えている。本実施の形態3の冷凍装置100において、第3開閉弁9は、第3開閉弁9の上流側の冷媒の圧力が第3圧力P3以下の場合は閉止状態にあり、第3開閉弁9の上流側の冷媒の圧力が第3圧力P3を超える場合に開放されるように構成される。
【0146】
上述の構成によれば、冷媒回路10の高圧側から冷媒回路10の中圧側に冷媒を流入させる経路が確保できるため、冷媒回路10の高圧側の圧力が、冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えないように冷凍装置100を構成できる。また、上述の構成によれば、冷媒回路10の高圧側から冷媒回路10の低圧側に冷媒を流入させる第1バイパス回路70の他に、冷媒回路10の高圧側の圧力を低減できる有効なバイパス経路を確保できる。したがって、上述の構成によれば、冷凍装置100の安全性を更に向上させるとともに、冷凍装置100の信頼性を向上させることができる。
【0147】
また、本実施の形態3の冷凍装置100においては、第3圧力P3は、冷媒回路10の高圧側に配置された冷媒配管の設計圧力に基づいて決定され、第3圧力P3は、第1圧力P1より小さく、第2圧力P2より大きくなるように構成できる。本構成によれば、冷媒回路10の高圧側の圧力が許容圧力である第1圧力P1に達する前に、冷媒回路10の高圧側の圧力を低減できる。また、本構成によれば、第1バイパス回路70を介して、冷媒回路10の高圧側から冷媒回路10の低圧側へ冷媒が移動する前に、第3バイパス回路90を介して、冷媒回路10の中圧側へ冷媒を移動させることができる。したがって、低圧側への過剰な冷媒移動を抑制することでき、圧縮システム1の第1圧縮装置12における再起動時の液圧縮を回避できる。したがって、本構成によれば、冷凍装置100の安全性と信頼性とを更に向上させることができる。
【0148】
また、本実施の形態3の冷凍装置100においては、第3開閉弁9は、圧力駆動型の弁として構成できる。本構成によれば、冷凍装置100の停電時においても、冷媒回路10の高圧側の圧力が、冷媒回路10の高圧側の冷媒配管の設計圧力を超えないように冷凍装置100を構成できるため、冷凍装置100の信頼性を更に向上させることができる。
【0149】
なお、第4熱交換器16は、本実施の形態3における必須の構成要素ではなく、冷凍装置100の形態によっては、冷凍装置100は第4熱交換器16を有しない構成にできる。
【0150】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4の冷凍装置100を、
図8を用いて説明する。
図8は、本実施の形態4に係る冷凍装置100の冷媒回路10の一例を示す概略的な冷媒回路図である。
【0151】
本実施の形態4の冷凍装置100は、冷媒回路10の高圧側である第2冷媒配管10b上に受液器10b1を有するように構成されている。また、第1バイパス回路70の第1バイパス配管は、受液器10b1の気相部分から分岐して、受液器10b1の内部の気相部分と連通している。他の冷凍装置100の構成については、上述の実施の形態1及び実施の形態2と同一であるため説明を省略する。
【0152】
受液器10b1は、第1熱交換器2と第2熱交換器3の第1冷媒流路3aとの間に配置された、気液分離機能とを有する貯留容器である。受液器10b1は、冷凍装置100の運転時に、第1熱交換器2から流出した高圧の冷媒を流入させ、気相冷媒と液相冷媒とを分離して、高圧の液相冷媒のみを第2熱交換器3の第1冷媒流路3aに流入させるように構成されている。
【0153】
本構成によれば、冷媒回路10の高圧側の圧力が、許容圧力である第1圧力P1を超えた場合に、冷媒回路10の高圧側の気相冷媒のみを、第1バイパス回路70を介して冷媒回路10の低圧側に流入させることができる。本構成によれば、第1バイパス回路70を介して迅速に冷媒回路10の高圧側の圧力を抑制することができる。また、気相冷媒のみが冷媒回路10の低圧側に流入することにより、圧縮システム1の第1圧縮装置12における再起動時の液圧縮を回避できる。したがって、本構成によれば、冷凍装置100の安全性と信頼性とを更に向上させることができる。
【0154】
なお、第4熱交換器16は、本実施の形態4における必須の構成要素ではなく、冷凍装置100の形態によっては、冷凍装置100は第4熱交換器16を有しない構成にできる。
【0155】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5の冷凍装置100を、
図9を用いて説明する。
図9は、本実施の形態5に係る冷凍装置100の冷媒回路10の一例を示す概略的な冷媒回路図である。
【0156】
本実施の形態5は、上述の実施の形態4に、上述の実施の形態3の第3バイパス回路90の構造を追加したものである。当該構成によれば、上述の実施の形態3及び上述の実施の形態4で述べた冷凍装置100の安全性と信頼性とを更に向上させることができる。
【0157】
なお、第4熱交換器16は、本実施の形態5における必須の構成要素ではなく、冷凍装置100の形態によっては、冷凍装置100は第4熱交換器16を有しない構成にできる。
【0158】
その他の実施の形態.
本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、冷凍装置100がバックアップ電源を有する構成である場合、第1開閉弁7、第2開閉弁8、及び第3開閉弁9の一部及び全部は、制御装置20で開閉制御を行う二方向電磁弁等の電磁弁として構成してもよい。電磁弁として二方向電磁弁を採用する場合、電磁弁は、例えば、寿命が長く冷媒漏洩の発生が少ないポペット式の電磁弁を採用できる。電磁弁を採用する場合、制御装置20は、例えば、第2圧力センサ30bで検知される中圧圧力の情報、及び第3圧力センサ30cで検知される高圧圧力の情報に基づいて、電磁弁の開閉制御を行うように構成できる。
【0159】
また、本発明の冷凍装置100は、主として業務用冷凍装置に適用可能であり、例えば、業務用のショーケース、冷蔵庫、冷凍機、自動販売機、又は冷凍庫等に適用可能である。