(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のカテーテル1の全体構成を示す部分断面概要図である。カテーテル1は、例えば慢性完全閉塞(CTO:Chronic Total Occlusion)等に対する逆行性アプローチのために使用される医療器具であり、逆行性ガイドワイヤと順行性ガイドワイヤを交通させるために使用される。カテーテル1は、バルーン部材10と、メッシュ部材20と、先端チップ30と、第1中空シャフト50と、第2中空シャフト40と、コネクタ60と、第3中空シャフト110と、第4中空シャフト100と、を有している。
図1では、バルーン部材10及びメッシュ部材20が収縮(縮径)した状態を図示している。
【0021】
図1では、カテーテル1の中心に通る軸を軸線O(一点鎖線)で表す。また、
図1の左側をカテーテル1及び各構成部材の「先端側」と呼び、
図1の右側をカテーテル1及び各構成部材の「基端側」と呼ぶ。また、カテーテル1及び各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端部」または単に「先端」と呼び、基端側に位置する端部を「基端部」または単に「基端」と呼ぶ。先端部及び基端部は、端部近傍に位置する部分を含む。これらの点は、
図5以降の全体構成を示す図においても共通する。本実施形態において、先端側は「遠位側」に相当し、基端側は「近位側」に相当する。なお、「順行性ガイドワイヤ」とは、血管内においてカテーテル1と同じ方向で押し進められ、病変部(閉塞部や狭窄部)へとアプローチするガイドワイヤを意味する。「逆行性ガイドワイヤ」とは、血管内においてカテーテル1と異なる方向で押し進められ、カテーテル1の先端側から向かってくるように病変部へアプローチするガイドワイヤを意味する。
【0022】
バルーン部材10は、径方向(軸線Oと垂直な方向)に拡縮可能であり、かつ、先端側と基端側の両端部が開放したチューブ状の部材である。バルーン部材10は、内部に流体を流入させることによって、
図5に示すように面外変形して径方向の外側へ拡張(拡径)する。拡張した状態のバルーン部材10は、メッシュ部材20を拡張させる際のアンカーとして機能する。詳細は後述する。バルーン部材10の拡張圧、外径及び長さは任意に決定できる。
【0023】
バルーン部材10は、軸線O方向において、先端チップ30と第1中空シャフト50との間に配置されている。本実施形態では、バルーン部材10の先端部10dは、先端チップ30の基端部30pに接合されている。また、バルーン部材10の基端部10pは、第2中空シャフト40の先端部40dに接合されている。接合は任意の方法で実現でき、例えば、エポキシ系接着剤などの接着剤による接合を採用できる。
【0024】
バルーン部材10は、内圧の変化に伴って拡張、収縮可能であり、かつ、血管内部の損傷を抑制可能な柔軟性と、病変部内で拡張可能な硬さとを備える材料により形成されている。例えば、バルーン部材10は、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等により形成できる。
【0025】
メッシュ部材20は、径方向(軸線Oと垂直な方向)に拡縮可能であり、かつ、先端側と基端側の両端部が開放したチューブ状の部材である。メッシュ部材20は、
図6に示すように、面外変形して径方向の外側へ拡張し、拡張したメッシュ部材20の目開きmから逆行性ガイドワイヤをカテーテル1内に受け入れる。詳細は後述する。メッシュ部材20の拡張圧、外径及び長さは任意に決定できる。
【0026】
メッシュ部材20は、バルーン部材10と同様に、軸線O方向において、先端チップ30と第1中空シャフト50との間に配置されている。本実施形態では、メッシュ部材20の先端部20dは、第2中空シャフト40の基端部40pに接合されている。また、メッシュ部材20の基端部20pは、第1中空シャフト50の先端部50dに接合されている。接合は任意の方法で実現でき、例えば、エポキシ系接着剤などの接着剤による接合や、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn−Ag合金、Au−Sn合金等の金属はんだによる接合を採用できる。
【0027】
メッシュ部材20は、複数の素線22と、誘導膜24とを有する。複数の素線22は、目開きmを有する格子状に編まれ、チューブ状の外形を形成している。メッシュ部材20の端部には、素線22同士を接合する接合部(図示省略)が設けられている。接合部を設ける場所、接合部の数については任意に決定できる。各素線22は、1本の素線からなる単線であってもよく、複数の素線からなる複線であってもよい。複線の場合、複線の構成は任意に決定でき、例えば中央に配置された芯線(素線)と、芯線を取り囲むように配置された素線とを撚り合せた撚線とできる。複線とする場合、複線を形成する素線の線径及び材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、メッシュ部材20を構成する一部の素線22については単線とし、残りの素線22については複線としてもよい。
【0028】
各素線22は、金属材料または樹脂材料により形成されている。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金等を採用できる。このほか、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金を採用すれば、メッシュ部材20のX線透視下での視認性を向上させることができ、好ましい。樹脂材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン等を採用できる。メッシュ部材20を構成する全ての素線22に対して同じ材料を採用してもよく、一部の素線22については異なる材料を採用してもよい。異なる材料とする場合は、異なる金属材料の組み合わせ、異なる樹脂材料の組み合わせ、金属材料と樹脂材料の組み合わせ等を採用できる。
【0029】
誘導膜24は、メッシュ部材20の表面に設けられた薄膜である。誘導膜24は、メッシュ部材20の内部に進入した逆行性ガイドワイヤがメッシュ部材20の外に逸れることを抑制し、第1中空シャフト50に向かって誘導する。本実施形態の誘導膜24は、軸線O方向におけるメッシュ部材20の略中央部分から基端部20pにかけて、各素線22間の目開きmを埋めるように形成されている。換言すれば、誘導膜24は、隣り合う素線22同士を架橋するように形成されている。このため本実施形態では、先端側における誘導膜24の形状は、素線22の編み目に沿った格子状である。誘導膜24は、メッシュ部材20の拡縮に合わせて拡縮するため、伸縮性を有する材料で形成されている。例えば、誘導膜24は、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー等により形成できる。誘導膜24は、ディップ法等の任意の方法で形成できる。
【0030】
先端チップ30は、カテーテル1の先端に配置されて、他の部材よりも先行して血管内を進行する部材である。先端チップ30は、先端側に開口32が形成され、基端側に開口34が形成された中空状である。先端チップ30の外形は、カテーテル1の血管内での進行をスムーズにするために、基端側から先端側にかけて縮径している。先端チップ30の外径及び長さは任意に決定できる。本実施形態では、先端チップ30の基端部30pの外周面には、バルーン部材10の先端部10dが接合されている。先端チップ30の基端部30pの内周面には、第4中空シャフト100の先端部が接合されている。先端チップ30は柔軟性を有することが好ましいため、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー等の樹脂材料により形成できる。
【0031】
第2中空シャフト40は、バルーン部材10とメッシュ部材20との間に配置され、両者を繋ぐ部材である。第2中空シャフト40は、先端側と基端側の両端部が開放した中空の略円筒形状である。第2中空シャフト40の外径及び長さは任意に決定できる。本実施形態では、第2中空シャフト40の先端部40dの外周面には、バルーン部材10の基端部10pが接合されている。また、第2中空シャフト40の基端部40pの外周面には、メッシュ部材20の先端部20dが接合されている。第2中空シャフト40は、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等を採用できる。金属材料としては、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金等を採用できる。このほか、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金を採用すれば、第2中空シャフト40のX線透視下での視認性を向上させることができ、好ましい。
【0032】
第1中空シャフト50は、軸線Oに沿って延びる長尺状の部材である。第1中空シャフト50は、先端側と基端側の両端部が開放した中空の略円筒形状である。第1中空シャフト50には、円筒の内外を貫通する開口56が形成されている。開口56は、カテーテル1の内部に対してガイドワイヤを出し入れするポートとして機能する。第1中空シャフト50の外径及び長さ、開口56の位置、大きさ、及び形状等は任意に決定できる。本実施形態では、第1中空シャフト50の先端部50dの外周面には、メッシュ部材20の基端部20pが接合されている。また、第1中空シャフト50の基端部50pの外周面には、コネクタ60が接合されている。第1中空シャフト50は、第2中空シャフト40と同様に、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。
【0033】
コネクタ60は、カテーテル1の基端に配置されて、術者によって把持される部材である。コネクタ60は、先端側に開口が形成され、基端側に開口62が形成された中空状である。コネクタ60は、術者がカテーテル1を把持する際に使用する2枚の羽根部材61を有している。羽根部材61は任意の形状とすることができる。羽根部材61は省略してもよい。また、コネクタ60の内部には、先端側から基端側に向かって拡径するとともに、開口62に繋がる通孔64が形成されている。コネクタ60の先端部の内周面には、第1中空シャフト50の基端部50pが接合されている。接合は任意の方法で実施でき、上述の接着剤による接合等を採用できる。コネクタ60は、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルサルフォン等の樹脂材料で形成することができる。
【0034】
第3中空シャフト110は、バルーン部材10に流体を出し入れするための内腔(拡張ルーメン110c、詳細は後述)を形成する長尺状の部材である。第3中空シャフト110は、先端側に開口112が形成され、基端側に開口(図示省略)が形成された中空状である。第3中空シャフト110の外径及び長さは任意に決定できる。
【0035】
第3中空シャフト110は、カテーテル1の内部において、先端側の開口112がバルーン部材10の内部に位置し、基端側の開口がコネクタ60の外側(換言すれば、コネクタ60の開口62よりも基端側)に位置するように配置されている。換言すれば、第3中空シャフト110は、コネクタ60の外部から第1中空シャフト50、メッシュ部材20、及び第2中空シャフト40の内部を通過して、バルーン部材10の内部まで延伸し、バルーン部材10の内部において開口112を有している。第3中空シャフト110は、第2中空シャフト40と同様に、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の樹脂材料で形成することができる。
【0036】
第4中空シャフト100は、順行性ガイドワイヤを通過させるための内腔(順行性ガイドワイヤルーメン100c、詳細は後述)を形成する長尺状の部材である。第4中空シャフト100は、先端側に開口102が形成され、基端側に開口104が形成された中空状である。第4中空シャフト100の外径及び長さは任意に決定できる。
【0037】
第4中空シャフト100は、カテーテル1の内部において、先端側の開口102が先端チップ30の内部に位置し、基端側の開口104がメッシュ部材20の誘導膜24の内部に位置するように配置されている。第4中空シャフト100の先端部は、先端チップ30の内周面に接合されている。接合は任意の方法で実施でき、上述の接着剤による接合等を採用できる。第4中空シャフト100は、第2中空シャフト40と同様に、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の樹脂材料で形成することができる。
【0038】
図2は、
図1のA−A線における断面概要図である。
図2では、第2中空シャフト40の軸線O方向の略中央部分における断面を図示する。図示の通り、第2中空シャフト40の内部は、封止部材82によって封止されている。封止部材82は、第3中空シャフト110及び第4中空シャフト100の外周面と、第2中空シャフト40の内周面との間に配置された樹脂部材である。封止部材82は、例えば、エポキシ系樹脂のような接着剤、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等により形成できる。
【0039】
第3中空シャフト110及び第4中空シャフト100は、封止部材82に支持されることによって、カテーテル1の内部で固定されている。第3中空シャフト110の内部は、バルーン部材10に流体を出し入れするための拡張ルーメン110cとして機能する。バルーン部材10は、先端側の開放部が先端チップ30に接合された第4中空シャフト100によって封止され、基端側の開放部が封止部材82によって封止されている。このため、バルーン部材10の内部には、バルーン部材10内の開口112に繋がる拡張ルーメン110cに限って流体の出入りが可能な構成とされている。
【0040】
第4中空シャフト100の内部は、順行性ガイドワイヤを通過させるための順行性ガイドワイヤルーメン100cとして機能する。順行性ガイドワイヤは、その基端が先端チップ30の開口32からカテーテル1に挿入される。順行性ガイドワイヤの基端は、先端チップ30の内部を通過し、第4中空シャフト100の先端側の開口102を経て順行性ガイドワイヤルーメン100cを通過して、基端側の開口104からカテーテル1の基端に向かって延びる。順行性ガイドワイヤの基端が、ワイヤルーメン50cを通って第1中空シャフトの開口56からカテーテル1の外部へ出る構成としてもよいし、コネクタ60の開口62からカテーテル1の外部へ出る構成としてもよい。
【0041】
図3は、
図1のB−B線における断面概要図である。
図3では、第1中空シャフト50の先端部50dにおける断面を図示する。図示の通り、第1中空シャフト50の内部は、順行性ガイドワイヤや、メッシュ部材20に挿入された(受け入れられた)逆行性ガイドワイヤを通過させるためのワイヤルーメン50cとして機能する。また、
図3には、第1中空シャフト50の先端部50dにおいて、第1中空シャフト50の外周面に接合されたメッシュ部材20(素線22及び誘導膜24)が示されている。
【0042】
図1に示すように、カテーテル1は4つのマーカーを備えている。第1マーカー72は、バルーン部材10の位置を表す目印として機能する。第1マーカー72は、第4中空シャフト100の外周面であって、軸線O方向におけるバルーン部材10の略中央に相当する位置に設けられている。第2マーカー74は、第1中空シャフト50の先端部50dの位置を表す目印として機能する。第2マーカー74は、第1中空シャフト50の先端部50dの外周面に設けられている。第3マーカー76は、第1中空シャフト50に形成された開口56(ガイドワイヤを出し入れするポート)の位置を表す目印として機能する。第3マーカー76は、第3中空シャフト110の外周面であって、軸線O方向における開口56に相当する位置に設けられている。第4マーカー78は、誘導膜24の先端部の位置を表す目印として機能する。第4マーカー78は、第4中空シャフト100及び/又は第3中空シャフト110の外周面(図の例では、第3中空シャフト110の外周面)であって、軸線O方向においてメッシュ部材20が径方向外側に拡張した場合(
図6)における誘導膜24の先端部に相当する位置に設けられている。
【0043】
第1〜第4マーカー72、74、76、78は、放射線不透過性を有する。第1〜第4マーカー72、74、76、78は、樹脂材料や金属材料により形成される。例えば、樹脂材料を用いる場合、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂等に対して、三酸化ビスマス、タングステン、硫酸バリウム等の放射線不透過材料を混ぜて形成できる。例えば、金属材料を用いる場合、放射線不透過材料である金、白金、タングステン、またはこれらの元素を含む合金(例えば、白金ニッケル合金)等で形成できる。各第1〜第4マーカー72、74、76、78は同じ材料で形成されてもよく、異なる材料で形成されてもよい。
【0044】
図4は、カテーテル1を利用して順行性ガイドワイヤと逆行性ガイドワイヤとを交通させる方法の一例を説明する図である。
図4の上段には、右冠状動脈91内が閉塞部92によって閉塞された病変部の一例を示す。
図4の下段には、閉塞部92近傍の拡大図を示す。
図5は、バルーン部材10が拡張した状態のカテーテル1を示す部分断面概要図である。
図6は、メッシュ部材20が拡張した状態のカテーテル1を示す部分断面概要図である。
【0045】
図4の下段は、真腔91tが閉塞部92により閉塞されており、右冠状動脈91から方向R0(
図4の上段)に向かって挿入された順行性ガイドワイヤが右冠状動脈91の内膜に迷入して偽腔91fを形成し、左冠状動脈95から側副血行路98を通って分岐部90b及び90cを経由して方向R3(
図4の上段)に向かって挿入された逆行性ガイドワイヤが右冠状動脈91の内膜に迷入して偽腔91gを形成した状態を示している。
図4の下段の状態において、順行性ガイドワイヤと逆行性ガイドワイヤとを交通させるためにまず、順行性ガイドワイヤに沿って、カテーテル1を右冠状動脈91から方向R0に向かって押し進め、偽腔91f内へと進入させる。
【0046】
次に、
図5に示すように、カテーテル1のバルーン部材10を拡張させる。具体的には、第3中空シャフト110の開口から、液体や気体等の流体を注入する。注入された流体は、拡張ルーメン110cを通過してバルーン部材10の内部へと流れ込む(
図5:破線矢印)。流体による内圧の増加に伴って、バルーン部材10は、径方向に拡張する(
図5:白抜き矢印)。この結果、狭い偽腔91fの内部においてバルーン部材10が拡張することで、偽腔91fが押し広げられ、偽腔91gまで達する。また、バルーン部材10がアンカーとして機能し、軸線O方向におけるカテーテル1の移動が制限される。
【0047】
バルーン部材10が拡張した状態において、さらに
図6に示すように、カテーテル1の第1中空シャフト50を先端側へと押し進める(
図6:破線矢印)。そうすると、メッシュ部材20は、第2中空シャフト40と第1中空シャフト50により軸線O方向に圧縮されて、径方向に拡張する(
図6:白抜き矢印)。
【0048】
この状態で、逆行性ガイドワイヤをメッシュ部材20を目指してさらに推し進めると、逆行性ガイドワイヤは、拡張したバルーン部材10の横を通過し、拡張したメッシュ部材20の目開きmから、メッシュ部材20の内部に挿入される(受け入れられる)。そして、逆行性ガイドワイヤは、メッシュ部材20の誘導膜24によってメッシュ部材20の外側に出ることを抑制されつつ、第1中空シャフト50の内部(ワイヤルーメン50c)へと誘導される。この結果、順行性ガイドワイヤと逆行性ガイドワイヤとを交通させることが可能となる。
【0049】
なお、バルーン部材10が拡張した状態で、即ち、バルーン部材10を収縮させないで逆行性ガイドワイヤを推し進めると、逆行性ガイドワイヤが拡張したバルーン部材10と冠動脈の組織との間に挟まれることとなる、即ち、逆行性ガイドワイヤがバルーン部材10と冠動脈の組織とによってバックアップされることになる。この結果、逆行性ガイドワイヤの方向付けを容易に行うことができ、メッシュ部材20の内部に容易に挿入することができる。
【0050】
また、メッシュ部材20を、上述した方法とは異なる方法で拡張させることもできる。具体的には、バルーン部材10が拡張した状態において、第1中空シャフト50を先端側へと押し進めることに代えて、カテーテル1の基端側から、コネクタ60を把持した状態で、第3中空シャフト110の基端部(具体的には、コネクタ60の開口62から露出した第3中空シャフト110の端部)を引っ張る。そうすると、第3中空シャフト110は第1中空シャフト50内において基端側へと移動し、封止部材82に固定された第2中空シャフト40も同様に、基端側へと移動する。この結果、メッシュ部材20は、上述した方法と同様に、第2中空シャフト40と第1中空シャフト50により軸線O方向に圧縮されて、径方向に拡張する。
【0051】
なお、第3中空シャフト110を引っ張ることでメッシュ部材20を拡張させる場合、第3中空シャフト110の基端側への移動に伴って、封止部材82に固定されている第4中空シャフト100も同様に基端側へと移動する。第4中空シャフト100の基端側への移動を抑制したい場合、例えば、封止部材82に対して貫通孔を設け、この貫通孔内に第4中空シャフトを通した構成とする。なお、バルーン部材10から貫通孔を通して流体が漏れることを抑制するために、貫通孔の内径が第4中空シャフト100の外形よりも僅かに大きくなるよう調整してもよく、貫通孔の内部に弾性体からなるパッキンを設けてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のカテーテル1は、バルーン部材10とメッシュ部材20とを共に備えるため、バルーン部材10を用いてCTOの隙間又は内膜下に生じた偽腔91fを拡張した後、別途のカテーテルに交換することなく、引き続きメッシュ部材20の内部(内側)への逆行性ガイドワイヤの挿入を行うことができる。すなわち、本実施形態のカテーテル1によれば、従来必要であったバルーンカテーテルからメッシュ部材を備えるカテーテルへの交換が必要ない。このため、CTOに対する逆行性アプローチに要する手技の時間を短縮することができる。手技の時間が短縮されれば、患者に対する負担を軽減でき、手技の成功確率を向上させることも可能となる。
【0053】
また、本実施形態のカテーテル1では、カテーテルの交換が必要ないため、従来生じていた「カテーテルの交換に伴う順行性ガイドワイヤの抜け」が生じる虞もない。
【0054】
さらに、本実施形態のカテーテル1では、カテーテル1の先端側にバルーン部材10を配置し、第2中空シャフト40を挟んで隣にメッシュ部材20を配置した構成とされている。このため、メッシュ部材20は、バルーン部材10が拡張した状態において、第2中空シャフト40と第1中空シャフト50とにより軸線O方向に圧縮されることで拡張可能となる。このように、拡張したバルーン部材10をアンカーとして利用することで、メッシュ部材20をスムーズに拡張させることができる。
【0055】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態のカテーテル1Aの全体構成を示す部分断面概要図である。第2実施形態のカテーテル1Aでは、軸線O方向におけるバルーン部材10Aとメッシュ部材20Aとの配置が第1実施形態(
図1)とは逆であり、かつ、メッシュ部材20Aを拡張させるための構成が第1実施形態とは相違する。なお、第2実施形態以降では、上述した実施形態と同様の構成について説明を省略すると共に、図面における一部の符号を省略する。
【0056】
第2実施形態では、バルーン部材10Aの先端部10dは、第2中空シャフト40Aの基端部40pに接合されている。バルーン部材10Aの基端部10pは、第1中空シャフト50Aの先端部50dに接合されている。また、メッシュ部材20Aの先端部20dは、先端チップ30Aの基端部30pに接合されている。メッシュ部材20Aの基端部20pは、第2中空シャフト40Aの先端部40dに接合されている。また、カテーテル1Aの内部には、第1実施形態で説明した第3中空シャフト110と第4中空シャフト100とに加えて、さらに、コアワイヤ130と、第5中空シャフト140と、第6中空シャフト160が備えられてる。
【0057】
コアワイヤ130は、メッシュ部材20Aを圧縮して拡張状態とするために使用される長尺状の中実部材である。コアワイヤ130の外径及び長さは任意に決定できる。コアワイヤ130は、カテーテル1Aの内部において、先端部130dが先端チップ30Aの内部に位置し、基端部130pがコネクタ60の外側(換言すれば、コネクタ60の開口62よりも基端側)に位置するように配置されている。コアワイヤ130の先端部130dは、先端チップ30Aの内周面に接合されている。換言すれば、コアワイヤ130は、第1中空シャフト50A、バルーン部材10A、第2中空シャフト40A、及びメッシュ部材20Aの内部を通過して延伸し、先端部130dが先端チップ30Aに接合されている。接合は任意の方法で実施でき、上述の接着剤による接合や、先端チップ30Aとコアワイヤ130の先端部130dとの溶着による接合を採用できる。なお、コアワイヤ130の先端部130dを、先端チップ30Aに埋設する構成としてもよい。
【0058】
コアワイヤ130は、コアワイヤ130の切断を抑制しつつ、メッシュ部材20Aを拡縮状態とするだけの力を付加するため、高い引張強度と剛性を有することが好ましい。このため、コアワイヤ130は、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、タングステン合金等の金属材料により形成できる。
【0059】
第6中空シャフト160は、コアワイヤ130の軸線O方向における移動を可能とするための内腔(コアワイヤルーメン160c、詳細は後述)を形成する長尺状の部材である。第6中空シャフト160は、先端側に開口162が形成され、基端側に開口164が形成された中空状である。第6中空シャフト160の外径及び長さは任意に決定できる。第6中空シャフト160は、カテーテル1Aの内部において、先端側の開口162が封止部材82Aよりも先端側に位置し、基端側の開口164が封止部材84よりも基端側に位置するように配置されている。第6中空シャフト160の内部(コアワイヤルーメン160c)には、コアワイヤ130が通されている。第6中空シャフト160は、第2中空シャフト40Aと同様に、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。
【0060】
第5中空シャフト140は、逆行性ガイドワイヤを通過させるための内腔(逆行性ガイドワイヤルーメン140c、詳細は後述)を形成する長尺状の部材である。第5中空シャフト140は、先端側に開口142が形成され、基端側に開口144が形成された中空状である。第5中空シャフト140の外径及び長さは任意に決定できる。第5中空シャフト140は、カテーテル1の内部において、先端側の開口142が封止部材82Aよりも先端側に位置し、基端側の開口144が封止部材84よりも基端側に位置するように配置されている。開口144は、第1中空シャフト50Aの開口56よりも先端側に位置するように配置される方が好ましい。第5中空シャフト140は、第2中空シャフト40Aと同様に、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。
【0061】
図8は、
図7のC−C線における断面概要図である。
図9は、
図7のD−D線における断面概要図である。
図8に示すように、第2中空シャフト40Aの内部は、封止部材82Aによって封止されている。封止部材82Aは、第5中空シャフト140、第4中空シャフト100、及び第6中空シャフト160の外周面と、第2中空シャフト40Aの内周面との間に配置された樹脂部材である。
【0062】
図9に示すように、第1中空シャフト50Aの内部は、封止部材84によって封止されている。封止部材84は、第5中空シャフト140、第4中空シャフト100、第6中空シャフト160、及び第3中空シャフト110の外周面と、第1中空シャフト50Aの内周面との間に配置された樹脂部材である。このように本実施形態では、カテーテル1Aの内部に配置された各中空シャフトは、封止部材82Aと封止部材84の2か所で支持されることによって、カテーテル1Aの内部で固定されている。なお、封止部材82A及び封止部材84は、例えば、封止部材82と同様の樹脂材料により形成できる。
【0063】
第1実施形態のカテーテル1と同様に、第4中空シャフト100の内部は順行性ガイドワイヤルーメン100cとして機能し、第3中空シャフト110の内部は拡張ルーメン110cとして機能する。第2実施形態では、バルーン部材10Aは、先端側の開放部が封止部材82Aによって封止され、基端側の開放部が封止部材84によって封止されている。このため、バルーン部材10Aの内部には、第1実施形態と同様に、拡張ルーメン110cに限って流体の出入りが可能な構成とされている。
【0064】
第5中空シャフト140の内部は、逆行性ガイドワイヤを通過させて第1中空シャフト50Aの内部へと導くための逆行性ガイドワイヤルーメン140cとして機能する。メッシュ部材20Aに挿入された逆行性ガイドワイヤは、この逆行性ガイドワイヤルーメン140cを通過することによって、第2中空シャフト40の端部、バルーン部材10Aの内部、第1中空シャフト50Aの端部等において引っ掛かりを生じることなく、第1中空シャフト50Aの内部(ワイヤルーメン50c)へと誘導される。第6中空シャフト160の内部は、軸線O方向におけるコアワイヤ130の移動を可能とするコアワイヤルーメン160cとして機能する。
【0065】
図10は、バルーン部材10Aが拡張した状態のカテーテル1Aを示す部分断面概要図である。
図11は、メッシュ部材20Aが拡張した状態のカテーテル1Aを示す部分断面概要図である。まず、第1実施形態のカテーテル1と同様に、CTOの隙間又は内膜下に生じた偽腔91f(
図4)内において、バルーン部材10Aを拡張させる。具体的には、第3中空シャフト110の開口から流体を注入し(
図10:破線矢印)、流体による内圧の増加に伴って、バルーン部材10Aを径方向に拡張させる(
図10:白抜き矢印)。この結果、狭い偽腔91fの内部においてバルーン部材10Aが拡張することで、偽腔91fが押し広げられて偽腔91gまで達すると共に、バルーン部材10Aがアンカーとして機能し、軸線O方向におけるカテーテル1Aの移動が制限される。
【0066】
次に、バルーン部材10Aが拡張した状態において、さらに
図11に示すように、カテーテル1Aの基端側からコアワイヤ130を引っ張る(
図11:実線矢印)。そうすると、コアワイヤ130はコアワイヤルーメン160c内において基端側へと移動し、コアワイヤ130に接合された先端チップ30Aも同様に、基端側へと移動する(
図11:破線矢印)。この結果、メッシュ部材20Aは、先端チップ30Aと第2中空シャフト40Aとにより軸線O方向に圧縮されて、径方向に拡張する(
図11:白抜き矢印)。
【0067】
その後、第1実施形態のカテーテル1と同様に、逆行性ガイドワイヤをメッシュ部材20Aを目指してさらに推し進めると、逆行性ガイドワイヤは、拡張したメッシュ部材20Aの目開きmからメッシュ部材20Aの内部に挿入される(受け入れられる)。その後、逆行性ガイドワイヤは、誘導膜24によってメッシュ部材20Aの外側に出ることを抑制されつつ、開口142から第5中空シャフト140の内部へと進入し、逆行性ガイドワイヤルーメン140cを通過して、第1中空シャフト50の内部(ワイヤルーメン50c)へと誘導される。なお、第2実施形態のカテーテル1Aでは、バルーン部材10Aが逆行性ガイドワイヤの挿入の妨げにならないため、バルーン部材10Aを収縮させる工程は省略してもよいが、省略せずにバルーン部材10Aを収縮させることとしてもよい。
【0068】
以上説明したように、第2実施形態のカテーテル1Aにおいても、バルーン部材10Aとメッシュ部材20Aとを共に備えるため、第1実施形態と同様に、従来必要であったバルーンカテーテルからメッシュ部材を備えるカテーテルへの交換を必要とせず、CTOに対する逆行性アプローチに要する手技の時間を短縮することができる。さらに、第2実施形態のカテーテル1Aでは、コアワイヤ130を備えると共に、カテーテル1Aの先端側にメッシュ部材20Aを配置し、第2中空シャフト40Aを挟んで隣にバルーン部材10Aを配置した構成とされている。このため、メッシュ部材20Aは、バルーン部材10Aが拡張した状態において基端側からコアワイヤ130が引っ張られ、先端チップ30Aと第2中空シャフト40Aとにより軸線O方向に圧縮されることで拡張可能となる。このように、拡張したバルーン部材10Aをアンカーとして利用することで、メッシュ部材20Aをスムーズに拡張させることができる。
【0069】
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態のカテーテル1Bの全体構成を示す部分断面概要図である。第3実施形態のカテーテル1Bは、逆行性ガイドワイヤの誘導に関する構成が第2実施形態(
図7)とは相違する。第3実施形態のカテーテル1Bは、第5中空シャフト140、第6中空シャフト160、及び誘導膜24(
図7)に代えて、誘導部材150を備えている。また、カテーテル1Bのメッシュ部材20Bには、誘導膜24が形成されておらず、カテーテル1Bは、第4マーカー78を備えていない。
【0070】
誘導部材150は、挿入された逆行性ガイドワイヤを誘導すると共に、コアワイヤ130の軸線O方向における移動を可能とするための部材である。誘導部材150は、先端側に向かって拡径した開口152を有する拡径部155と、拡径部155から基端側に向かって延伸する略円筒形状のシャフト部156と、を備えるホーン形状である。拡径部155、シャフト部156の外径及び長さは任意に決定できる。誘導部材150の内部(ワイヤルーメン150c)には、第4中空シャフト100とコアワイヤ130とが通されている。
【0071】
拡径部155は、誘導膜24(
図7)に代わって、メッシュ部材20Bの内部に進入した逆行性ガイドワイヤがメッシュ部材20Bの外に逸れることを抑制する。拡径部155は、メッシュ部材20Bの内部において、その全体が封止部材82Bよりも先端側に位置するように配置されている。拡径部155は、メッシュ部材20Bの内部に進入した逆行性ガイドワイヤを、開口152へと容易に誘導できる。本実施形態の拡径部155は、第2実施形態の誘導膜24と同様に、伸縮性を有する材料により形成できる。なお、拡径部155の外周面であって、拡径部155の開口152の近傍に相当する位置には、開口152の位置を表す目印として機能する放射線不透過性のマーカーが設けられていてもよい。
【0072】
シャフト部156は、拡径部155の内部に進入した逆行性ガイドワイヤを、第1中空シャフト50Aに向かって誘導する。シャフト部156は、先端が拡径部155の基端から一連に繋がり、基端が封止部材84Bよりも基端側に位置するように配置されている。シャフト部156の基端には、第1中空シャフト50A内部へと繋がる開口154が形成されている。シャフト部156は、拡径部155と同じ材料で形成されてもよく、異なる材料で形成されてもよい。異なる材料により形成される場合、シャフト部156は、例えば第2中空シャフト40Aと同様に、抗血栓性、可撓性、生体適合性を有することが好ましく、樹脂材料や金属材料で形成することができる。
【0073】
図13は、
図12のE−E線における断面概要図である。
図14は、
図12のF−F線における断面概要図である。
図13に示すように、第2中空シャフト40Aの内部は、封止部材82Bによって封止されている。封止部材82Bは、誘導部材150(シャフト部156)の外周面と、第2中空シャフト40Aの内周面との間に配置された樹脂部材である。
【0074】
図14に示すように、第1中空シャフト50Aの内部は、封止部材84Bによって封止されている。封止部材84Bは、誘導部材150(シャフト部156)及び第3中空シャフト110の外周面と、第1中空シャフト50Aの内周面との間に配置された樹脂部材である。このように本実施形態では、カテーテル1Bの内部に配置された誘導部材150と第3中空シャフト110とが、封止部材82B及び封止部材84Bの2か所で支持されることによって、カテーテル1Bの内部で固定されている。封止部材82B及び封止部材84Bは、例えば、封止部材82と同様の樹脂材料により形成できる。
【0075】
第2実施形態のカテーテル1Aと同様に、第4中空シャフト100の内部は順行性ガイドワイヤルーメン100cとして機能し、第3中空シャフト110の内部は拡張ルーメン110cとして機能する。また、誘導部材150の内部(ワイヤルーメン150c)が、逆行性ガイドワイヤを通過させて第1中空シャフト50Aの内部へと導くための逆行性ガイドワイヤルーメンと、軸線O方向におけるコアワイヤ130の移動を可能とするコアワイヤルーメンの両方として機能する。第3実施形態では、バルーン部材10Aは、先端側の開放部が封止部材82Bによって封止され、基端側の開放部が封止部材84Bによって封止されている。このため、バルーン部材10Aの内部には、第2実施形態と同様に、拡張ルーメン110cに限って流体の出入りが可能な構成とされている。
【0076】
図15は、バルーン部材10Aが拡張した状態のカテーテル1Bを示す部分断面概要図である。
図16は、メッシュ部材20Aが拡張した状態のカテーテル1Bを示す部分断面概要図である。本実施形態のカテーテル1Bは、第2実施形態のカテーテル1Aと同様の手順によって逆行性アプローチを実現できる。すなわち、カテーテル1Bにおいても、第3中空シャフト110の開口から流体を注入して(
図15:破線矢印)、バルーン部材10Aを径方向に拡張させる(
図15:白抜き矢印)。
【0077】
その後、カテーテル1Bの基端側からコアワイヤ130を引っ張る(
図16:実線矢印)。そうすると、コアワイヤ130は、ワイヤルーメン150c内において基端側へと移動し、先端チップ30Aも基端側へと移動する(
図16:破線矢印)。この結果、メッシュ部材20Bは、先端チップ30Aと第2中空シャフト40Aとにより軸線O方向に圧縮され、径方向に拡張する(
図16:白抜き矢印)。メッシュ部材20Bの内部に挿入された逆行性ガイドワイヤは、開口152から誘導部材150の内部へと進入し、拡径部155によってメッシュ部材20Bの外側に出ることを抑制されつつ進む。そして、逆行性ガイドワイヤは、シャフト部156内のワイヤルーメン150cを通過して、第1中空シャフト50Aの内部(ワイヤルーメン50c)へと誘導される。なお、バルーン部材10Aを収縮させてからコアワイヤ130を引っ張ることとしてもよい。
【0078】
以上説明したように、第3実施形態のカテーテル1Bにおいても、バルーン部材10Aとメッシュ部材20Bとを共に備えるため、第2実施形態と同様に、従来必要であったバルーンカテーテルからメッシュ部材を備えるカテーテルへの交換を必要とせず、CTOに対する逆行性アプローチに要する手技の時間を短縮することができる。また、拡径部155を有するため、メッシュ部材20Bの内部に進入した逆行性ガイドワイヤを、開口152へと容易に誘導できる。さらに、第3実施形態のカテーテル1Bにおいて、拡径部155を、例えば、開口152を有する拡径部155の先端部の少なくとも一部分が、メッシュ部材20Bの素線22に接合されることにより、メッシュ部材20Bの拡縮に合わせて径方向(軸線Oと垂直な方向)に拡縮可能に構成してもよい。メッシュ部材20Bの拡縮にあわせて拡縮する拡径部155によって、メッシュ部材20B内に挿入された逆行性ガイドワイヤがメッシュ部材20Bの外に逃げてしまうことを抑制できる。
【0079】
さらに、第3実施形態のカテーテル1Bでは、第2中空シャフト40Aとバルーン部材10Aの内部を通過して第1中空シャフト50Aの内部まで延伸するシャフト部156によって、挿入された逆行性ガイドワイヤが、第2中空シャフト40Aの端部、バルーン部材10Aの内部、第1中空シャフト50Aの端部等に引っかかることを抑制できる。この結果、挿入された逆行性ガイドワイヤを、第1中空シャフト50Aの内部へと誘導することができる。
【0080】
<第4実施形態>
図17は、第4実施形態のカテーテル1Cの全体構成を示す部分断面概要図である。第3実施形態の誘導部材150は、拡径部155とシャフト部156とを備えていた。しかし、図示のように、誘導部材150Cは、拡径部155を備えていなくてもよい。第4実施形態のカテーテル1Cにおいても、第3実施形態と同様に、CTOに対する逆行性アプローチに要する手技の時間を短縮することができると共に、シャフト部156によって、挿入された逆行性ガイドワイヤの引っ掛かりを抑制し、挿入された逆行性ガイドワイヤを、第1中空シャフト50Aの内部へと誘導できる。
【0081】
<第5実施形態>
図18は、第5実施形態のカテーテル1Dの全体構成を示す部分断面概要図である。
図19は、
図18のG−G線における断面概要図である。
図20は、
図18のH−H線における断面概要図である。第1実施形態のカテーテル1は、第1中空シャフト50を押し進める、または第3中空シャフト110を引っ張ることにより、メッシュ部材20を拡張させた。しかし、図示のように、カテーテル1Dは、メッシュ部材20を圧縮して拡張状態とするために使用される第2コアワイヤ170を備えてもよい。第2コアワイヤ170は、長尺状の中実部材であり、先端部170dが封止部材82Dによって固定され(
図18、
図19)、基端部170pがコネクタ60の開口62から外部に露出している。なお、第2コアワイヤ170の先端部170dは、封止部材82Dの内部でL字状となるように構成してもよく、先端部170dが封止部材82Dを貫通した状態でL字状となるように構成してもよい。このようにすることで、第2コアワイヤ170の先端が封止部材82Dから抜けることを抑制できる。
【0082】
第5実施形態のカテーテル1Dでは、バルーン部材10が拡張した状態において、コネクタ60を把持して、基端側から第2コアワイヤ170の基端部170pを引っ張る。そうすると、第2コアワイヤ170は第1中空シャフト50内において基端側へと移動し、封止部材82Dに固定された第2中空シャフト40も同様に、基端側へと移動する。この結果、メッシュ部材20は、第1実施形態と同様に、第2中空シャフト40と第1中空シャフト50により軸線O方向に圧縮されて、径方向に拡張する。なお、第2コアワイヤ170の基端側への移動に伴って、第3中空シャフト110及び第4中空シャフト100も同様に基端側へと移動してもよく、封止部材82Dに貫通孔を設けることで第3中空シャフト110及び第4中空シャフト100の基端側への移動を抑制してもよい。また、バルーン部材を収縮してから、コネクタ60を把持して、基端側から第2コアワイヤ170の基端部170pを引っ張ることとしてもよい。このように、第5実施形態のカテーテル1Dにおいても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
<第6実施形態>
図21は、第6実施形態のカテーテル1Eにおけるメッシュ部材20Eの概要図である。第1実施形態のメッシュ部材20には、各素線22間の目開きmを埋めるような誘導膜24が形成されていた。しかし、図示のように、メッシュ部材20Eには、各素線22の表面を覆うような誘導膜24Eが形成されてもよい。誘導膜24Eは、誘導膜24と同様に、メッシュ部材20Eの拡縮に合わせて拡縮する伸縮性を有する材料で形成されている。誘導膜24Eは、例えば、フィルム状の薄膜をメッシュ部材20Eの表面に融着させることで形成できる。誘導膜24Eを、その先端が軸線Oに略垂直となるように形成してもよい。第6実施形態のカテーテル1Eにおいても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0084】
<第7実施形態>
図22は、第7実施形態のカテーテル1Fにおけるメッシュ部材20Fの概要図である。第1実施形態のメッシュ部材20は、先端側から基端側の全域にわたって、各素線22が目開きmを有する格子状に編まれていた。しかし、図示のように、メッシュ部材20Fは、先端側において、逆行性ガイドワイヤが通過可能な大きさの目開きmで編まれ、かつ、基端側において、逆行性ガイドワイヤの通過が困難な大きさの目開きnで編まれていてもよい。すなわち目開きの大きさは、m>nとなる。このような構成とすれば、誘導膜24の形成を省略することができる。第7実施形態のカテーテル1Fにおいても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
<第8実施形態>
図23は、第8実施形態のカテーテル1GにおけるD−D線(
図7)の断面概要図である。第2実施形態のカテーテル1Aでは、カテーテル1A内部において、各中空シャフトは直線状に配置されていた。しかし、カテーテル1G内部における各中空シャフトの配置は、任意に決定できる。例えば各中空シャフトは、図示のように、中心と、中心から伸びる放射状に配置してもよい。また例えば、各中空シャフトは、第1中空シャフト50Aの内周面に沿って並べるように配置してもよい。各中空シャフトの配置は、中空シャフトの径に応じて決定されてもよい。
図23では、封止部材84Gについて例示したが、封止部材82についても同様である。第1実施形態、第3〜第7実施形態についても同様に、各中空シャフトの配置は、任意に決定できる。
【0086】
このような構成とすれば、カテーテル1Gの内部に配置される各中空シャフトの径を大きくすることができる。この結果、順行性ガイドワイヤルーメン100c、拡張ルーメン110c、逆行性ガイドワイヤルーメン140c、及びコアワイヤルーメン160cを大きくすることができ、カテーテル1Gの操作性を向上できる。なお、第8実施形態のカテーテル1Gにおいても、上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0087】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0088】
[変形例1]
上記第1〜8実施形態では、カテーテル1の構成の一例を示した。しかし、カテーテル1の構成は種々の変更が可能である。例えば、第1中空シャフト50にガイドワイヤを出し入れするポート(開口56)を備える、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテル1を例示した。しかし、カテーテル1は、ポート(開口56)を備えない、いわゆるオーバーザワイヤ型のカテーテル1として構成してもよい。例えば、カテーテル1が備える各部材は、内周面と外周面のうち少なくとも一方において、抗血栓性、生体適合性、潤滑性、耐摩耗性摺動性を向上させるためのコーティングが施されてもよい。
【0089】
[変形例2]
上記第1〜8実施形態では、メッシュ部材20の構成の一例を説明した。しかし、メッシュ部材20の構成は種々の変更が可能である。例えば、各素線22を格子状に編むことに代えて、ウェーブ形状や円形形状に編むことでメッシュ部材20を構成してもよい。例えば、メッシュ部材20の目開きmは一定でなくてもよい。例えば、誘導膜24との接合強度を向上させるために、素線22を樹脂で被覆してもよい。例えば、メッシュ部材20の視認性(特に拡張状態における視認性)を向上させるために、素線22を放射線不透過材料によって形成又は被覆してもよい。例えば、メッシュ部材20は誘導膜24を備えなくてもよい。
【0090】
[変形例3]
上記第1〜8実施形態では、第1中空シャフト50の構成の一例を説明した。しかし、第1中空シャフト50の構成は種々の変更が可能である。例えば、複数の中空シャフトを組み合わせることで、第1中空シャフト50を構成してもよい。この場合、一の中空シャフトと他の中空シャフトの繋ぎ目をずらすことによって開口56を形成してもよく、一の中空シャフトと他の中空シャフトの径を変えることによって開口56を形成してもよい。
【0091】
[変形例4]
上記第1〜8実施形態では、第1マーカー72、第2マーカー74、第3マーカー76、及び第4マーカー78の構成の一例を説明した。しかし、これらマーカーの構成は種々の変更が可能である。例えば、4つのマーカーのうちの少なくとも一部は省略してもよく、上述した説明とは異なる位置に設けられてもよい。また、更なる別途のマーカーを備えていてもよい。例えば、逆行性ガイドワイヤを目開きmに挿入する目印とするために、メッシュ部材20の内部を通過する第4中空シャフト100や第3中空シャフト110に対して、マーカーを付加してもよい。例えば、血管内におけるカテーテル1の進入位置(先端位置)の目印とするために、先端チップ30に対してマーカーを付加してもよい。
【0092】
[変形例5]
上記第1実施形態(
図4)では、カテーテル1の使用方法を説明するために、病変部の一例を挙げて説明した。しかし、カテーテル1は種々の病変部に対応して使用できる。例えば、血管内が完全に閉塞せず、狭窄状態である場合も、カテーテル1を使用した逆行性アプローチが可能である。この場合、偽腔91f内でバルーン部材10を拡張させ、逆行性ガイドワイヤを挿入してもよいし、真腔91t内において病変部近傍又は病変部内でバルーン部材10を拡張させて逆行性ガイドワイヤを挿入してもよい。上記第1実施形態(
図4)においても、真腔91t内、かつ、CTO内でバルーン部材10を拡張させて逆行性ガイドワイヤを挿入してもよい。
【0093】
[変形例6]
第1〜8実施形態のカテーテルの構成、及び上記変形例1〜5のカテーテルの構成は、適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態のカテーテル1A(
図7)において、第6実施形態のメッシュ部材20Eや、第7実施形態のメッシュ部材20Fの構成を採用してもよい。例えば、第3実施形態のカテーテル1B(
図12)や第4実施形態のカテーテル1C(
図17)において、さらに誘導膜24を備える構成としてもよい。
【0094】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。