特許第6972323号(P6972323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972323
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/027 20130101AFI20211111BHJP
   B62J 43/16 20200101ALI20211111BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20211111BHJP
   B62K 11/10 20060101ALI20211111BHJP
   B62K 5/10 20130101ALI20211111BHJP
【FI】
   B62K5/027
   B62J43/16
   B62J45/00
   B62K11/10
   B62K5/10
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2020-516034(P2020-516034)
(86)(22)【出願日】2019年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2019003124
(87)【国際公開番号】WO2019207879
(87)【国際公開日】20191031
【審査請求日】2020年8月19日
(31)【優先権主張番号】特願2018-84561(P2018-84561)
(32)【優先日】2018年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】入江 隆文
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 芳美
【審査官】 渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−144178(JP,A)
【文献】 特開平5−213253(JP,A)
【文献】 特開2012−101702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/027
B62J 43/16
B62J 45/00
B62J 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項9】
前輪(2)と、
後輪(3)と、
前記前輪(2)を支持する前車体(10,310)と、
前記後輪(3)を駆動するモータ(61,261A,261B,461)を有し、前記後輪(3)を支持するとともに、前記前車体(10,310)に対して車幅方向に沿って延びるピボット軸線(P)回りに回動可能に設けられたスイングユニット(50,250,358,450)と、
前記モータ(61,261A,261B,461)の電源であって、上下方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置において前記スイングユニット(50,250,358,450)に支持され、車幅方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置に配置されたバッテリ(105)と、
を備える電動車両。
【請求項10】
前輪(2)と、
後輪(3)と、
前記前輪(2)を支持する前車体(10,310)と、
前記後輪(3)を駆動するモータ(61,261A,261B,461)を有し、前記後輪(3)を支持するとともに、前記前車体(10,310)に対して車幅方向に沿って延びるピボット軸線(P)回りに回動可能に設けられたスイングユニット(50,250,358,450)と、
前記モータ(61,261A,261B,461)の電源であって、上下方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置において前記スイングユニット(50,250,358,450)に支持されたバッテリ(105)と、
を備え、
前記モータ(61,261A,261B,461)を制御するパワーコントロールユニット(101)、前記バッテリ(105)から延びる配線が集約されるジャンクションボックス(103)、および前記バッテリ(105)から供給される電流の電圧を降圧するレギュレータ(104)のうち少なくとも1つが上下方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置に配置されている、
電動車両。
【請求項11】
前輪(2)と、
一対の後輪(3)と、
前記前輪(2)を支持する前車体(10,310)と、
前記一対の後輪(3)を駆動するモータ(61,261A,261B,461)を有し、前記一対の後輪(3)を支持するとともに、前記前車体(10,310)に対して車幅方向に沿って延びるピボット軸線(P)回りに回動可能に設けられたスイングユニット(50,250,358,450)と、
前記モータ(61,261A,261B,461)の電源であって、上下方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置において前記スイングユニット(50,250,358,450)に支持されたバッテリ(105)と、
を備え、
前記スイングユニット(50,250)は、
前記モータ(61,261A,261B)を含み前記一対の後輪(3)を支持するパワーユニット(51,251)と、
車幅方向に直交する方向に延びるローリング軸線(R)回りで前記前車体(10)と前記パワーユニット(51,251)とを揺動可能に連結する揺動機構部(53,253)と、
を備え、
前記揺動機構部(53,253)の少なくとも一部は、前記車幅方向から見て前記一対の後輪(3)と重なり、
前記バッテリ(105)は、前記揺動機構部(53,253)の前方で前記スイングユニット(50,250)に支持されている、
電動車両。
【請求項12】
前記バッテリ(105)は、車幅方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置に配置されている、
請求項10または請求項11に記載の電動車両。
【請求項13】
前記モータ(61,261A,261B,461)を制御するパワーコントロールユニット(101)、前記バッテリ(105)から延びる配線が集約されるジャンクションボックス(103)、および前記バッテリ(105)から供給される電流の電圧を降圧するレギュレータ(104)のうち少なくとも1つが上下方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置に配置されている、
請求項9または請求項11に記載の電動車両。
【請求項14】
前記後輪(3)は、一対設けられ、
前記スイングユニット(50,250)は、
前記モータ(61,261A,261B)を含み前記一対の後輪(3)を支持するパワーユニット(51,251)と、
車幅方向に直交する方向に延びるローリング軸線(R)回りで前記前車体(10)と前記パワーユニット(51,251)とを揺動可能に連結する揺動機構部(53,253)と、
を備え、
前記揺動機構部(53,253)の少なくとも一部は、前記車幅方向から見て前記後輪(3)と重なり、
前記バッテリ(105)は、前記揺動機構部(53,253)の前方で前記スイングユニット(50,250)に支持されている、
請求項9または請求項10に記載の電動車両。
【請求項15】
前記前車体(10)と前記揺動機構部(53,253)とを連結するクッション(4)をさらに備え、
前記揺動機構部(53,253)と前記クッション(4)との接続部(98,298)は、前記車幅方向から見て前記後輪(3)と重なっている、
請求項11または請求項14に記載の電動車両。
【請求項16】
前記バッテリ(105)は、上下方向から見て前記バッテリ(105)の重心(G)が前記ピボット軸線(P)上、または前記ピボット軸線(P)よりも後方に位置するように配置されている、
請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の電動車両。
【請求項17】
前記バッテリ(105)をシート(12)の下方から取り出し可能に形成されている、
請求項9から請求項16のいずれか1項に記載の電動車両。
【請求項18】
前記バッテリ(105)は、シート(12)の下方において、長手方向が水平方向に沿うように配置されている、
請求項9から請求項17のいずれか1項に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関するものである。
本願は、2018年4月25日に、日本に出願された特願2018−084561号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
電動車両には、前輪を支持する前車体に対し、後輪を駆動するモータを有するとともに後輪を支持するスイングユニットを上下揺動可能に構成するものがある。例えば、特許文献1には、席を支持する揺動車体と、左右一対の後輪を後輪支持部材を介して支持する後部車体とを、車体の略中央を通って前後方向に延びるスイング軸を介してその軸線回りに相対回転自在に連結してなる揺動型車両が開示されている。この揺動型車両においては、揺動車体に設けられた枢軸に固定ブラケットが上下摺動自在に支持され、固定ブラケットにスイング軸を介して可動ブラケットが左右回転自在に支持されている。可動ブラケットには、後輪を支持するパワーユニットが支持されるとともに、バッテリが搭載されるバッテリ支持枠が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特許第3189977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術の電動車両では、スイングユニットによって重量物であるバッテリを支持するので、スイングユニットの上下揺動時にスイングユニットを支持する箇所に大きな慣性力が作用する。このため、従来技術の電動車両では、スイングユニットを回動可能に支持する箇所にかかる負荷を低減するという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、前車体に対して上下揺動可能に設けられたスイングユニットを有する電動車両において、スイングユニットを回動可能に支持する箇所にかかる負荷を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係る電動車両は、前輪(2)と、後輪(3)と、前記前輪(2)を支持する前車体(10,310)と、前記後輪(3)を駆動するモータ(61,261A,261B,461)を有し、前記後輪(3)を支持するとともに、前記前車体(10,310)に対して車幅方向に沿って延びるピボット軸線(P)回りに回動可能に設けられたスイングユニット(50,250,358,450)と、前記モータ(61,261A,261B,461)の電源であって、上下方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置において前記スイングユニット(50,250,358,450)に支持されたバッテリ(105)と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の発明に係る電動車両は、請求項1に記載の発明に係る電動車両において、前記バッテリ(105)は、上下方向から見て前記バッテリ(105)の重心(G)が前記ピボット軸線(P)上、または前記ピボット軸線(P)よりも後方に位置するように配置されているものである。
【0008】
請求項3に記載の発明に係る電動車両は、請求項1または請求項2に記載の発明に係る電動車両において、前記バッテリ(105)は、車幅方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置に配置されているものである。
【0009】
請求項4に記載の発明に係る電動車両は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明に係る電動車両において、前記モータ(61,261A,261B,461)を制御するパワーコントロールユニット(101)、前記バッテリ(105)から延びる配線が集約されるジャンクションボックス(103)、および前記バッテリ(105)から供給される電流の電圧を降圧するレギュレータ(104)のうち少なくとも1つが上下方向から見て前記ピボット軸線(P)と重なる位置に配置されているものである。
【0010】
請求項5に記載の発明に係る電動車両は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明に係る電動車両において、前記バッテリ(105)をシート(12)の下方から取り出し可能に形成されているものである。
【0011】
請求項6に記載の発明に係る電動車両は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明に係る電動車両において、前記バッテリ(105)は、シート(12)の下方において、長手方向が水平方向に沿うように配置されているものである。
【0012】
請求項7に記載の発明に係る電動車両は、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明に係る電動車両において、前記後輪(3)は、一対設けられ、前記スイングユニット(50,250)は、前記モータ(61,261A,261B)を含み前記一対の後輪(3)を支持するパワーユニット(51,251)と、車幅方向に直交する方向に延びるローリング軸線(R)回りで前記前車体(10)と前記パワーユニット(51,251)とを揺動可能に連結する揺動機構部(53,253)と、を備え、前記揺動機構部(53,253)の少なくとも一部は、前記車幅方向から見て前記後輪(3)と重なり、前記バッテリ(105)は、前記揺動機構部(53,253)の前方で前記スイングユニット(50,250)に支持されているものである。
【0013】
請求項8に記載の発明に係る電動車両は、請求項7に記載の発明に係る電動車両において、前記前車体(10)と前記揺動機構部(53,253)とを連結するクッション(4)をさらに備え、前記揺動機構部(53,253)と前記クッション(4)との接続部(98,298)は、前記車幅方向から見て前記後輪(3)と重なっているものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した発明によれば、バッテリが上下方向から見てピボット軸線と重ならない位置に配置された構成と比較して、バッテリの重心をピボット軸線に水平方向で近付けることができる。これにより、ピボット軸線を中心としてバッテリに作用する重力のモーメントが小さくなるので、スイングユニットを回動可能に支持する箇所にかかる負荷を低減することができる。
【0015】
請求項2に記載した発明によれば、バッテリに作用する重力によって、スイングユニットに後輪が上方に向かう方向の力が作用することを抑制できる。このため、スイングユニットに支持された後輪の路面追従性を向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載した発明によれば、バッテリが車幅方向から見てピボット軸線と重ならない位置に配置された構成と比較して、バッテリの重心をピボット軸線により一層近付けることができる。これにより、ピボット軸線回りでスイングユニットと一体となって上下揺動する部材全体の慣性モーメントが小さくなる。したがって、スイングユニットに支持された後輪の路面追従性を向上させることができる。
【0017】
請求項4に記載した発明によれば、パワーコントロールユニット、ジャンクションボックスおよびレギュレータのうち少なくとも1つの重心をバッテリの重心と共にピボット軸線に水平方向で近付けることができる。これにより、スイングユニットを上下揺動可能に支持する箇所にかかる負荷をより一層低減することができる。
【0018】
請求項5に記載した発明によれば、乗員等が車両の側方に立った状態で、低い位置にバッテリを容易に取り出すことができる。また、シートの後方に荷台が設けられる場合には、荷台に搭載した物品を荷台から降ろすことなくバッテリを取り出すことができる。したがって、電動車両の使い勝手を向上させることができる。
【0019】
請求項6に記載した発明によれば、バッテリが配置される領域の上下方向の寸法が大きくなることを抑制して、バッテリとシートとの間にスペースを設けることができる。これにより、物品を収容する収容スペース等をシート下に設けることが可能となり、電動車両の使い勝手を向上させることができる。
【0020】
請求項7に記載した発明によれば、揺動機構部が車幅方向から見て後輪と重なるように配置されたことによって揺動機構部の前方に生じたスペースを、有効に利用することができる。
【0021】
請求項8に記載した発明によれば、接続部が車幅方向から見て後輪と重ならない構成と比較して、揺動機構部における後輪の接地点に近い位置において前車体の荷重を受けることができる。したがって、前後輪の分担荷重を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態の電動車両の左側面図である。
図2】第1実施形態の電動車両の後部を示す左側面図である。
図3】第1実施形態の電動車両の後部を示す底面図である。
図4】第1実施形態のパワーユニットの概略構成を示す図である。
図5図3のV−V線における断面図である。
図6】第2実施形態の電動車両の後部を示す左側面図である。
図7】第2実施形態の電動車両の後部を示す底面図である。
図8図6のVIII−VIII線における断面図である。
図9】第3実施形態の電動車両の左側面図である。
図10】第4実施形態の電動車両の左側面図である。
図11】第4実施形態のスイングユニットの周辺を示す平面図である。
図12】第4実施形態の変形例の電動車両の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後上下左右の向きは、車両における前後上下左右の向きと同一とする。すなわち、上下方向は鉛直方向と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。また、以下の説明に用いる図中において、矢印UPは上方、矢印FRは前方、矢印LHは左方をそれぞれ示している。また、以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0024】
[第1実施形態]
最初に、図1から図5を参照して、第1実施形態の電動車両について説明する。本実施形態では、電動車両の一例として、一対の後輪を有する鞍乗り型の電動三輪車を例に挙げて説明する。
【0025】
図1は、第1実施形態の電動車両の左側面図である。
図1に示すように、第1実施形態の電動車両1は、単一の前輪2と、左右一対の後輪3と、前輪2を操向可能に支持する前車体10と、前車体10を覆う前車体カバー30と、一対の後輪3を支持するとともに前車体10に対して上下揺動可能に設けられたスイングユニット50と、駆動源であるモータ61(図4参照)等に電力を供給する電力供給部100と、前車体10とスイングユニット50との間に介装されたリアクッション4(クッション)と、を主に備える。電動車両1は、一対の後輪3を接地させた状態で、乗員が乗車した前車体10を左右方向に揺動(ローリング動)可能としている。
【0026】
前車体10は、前輪転舵用のバーハンドル11と、乗員着座用のシート12と、低床フロア13と、前車体10の骨格をなす車体フレーム14と、前輪2を懸架する前輪懸架装置15と、を備える。バーハンドル11とシート12との間は、乗員の脚部が配置される跨ぎ空間16である。低床フロア13は、跨ぎ空間16の下方に配置されている。
【0027】
車体フレーム14は、ヘッドパイプ20と、単一の前部フレーム21と、左右一対の下部フレーム22と、左右一対の後部フレーム23と、左右一対の荷台フレーム24と、を有する。ヘッドパイプ20は、車体フレーム14の前端部に設けられている。ヘッドパイプ20は、上下方向に対して後傾している。ヘッドパイプ20には、前輪懸架装置15が操向可能に支持されている。前輪懸架装置15は、ヘッドパイプ20を貫通するステムパイプ25を備える。ステムパイプ25の上端部には、バーハンドル11が固定されている。前部フレーム21は、ヘッドパイプ20の後側から斜め後下方へ延びた後、後方へ湾曲している。一対の下部フレーム22は、前部フレーム21の湾曲部両側から左右に分岐して後方へ延びている。一対の下部フレーム22は、ロアクロスパイプ27に連結されている。ロアクロスパイプ27の中間部には、前部フレーム21の後端部が結合されている。一対の後部フレーム23は、左右それぞれの下部フレーム22の後端部から斜め後上方へ湾曲して延びている。一対の後部フレーム23は、シート12の下方に設けられ、左右方向に所定の間隔をあけて配置されている。左右一対の荷台フレーム24は、左右それぞれの後部フレーム23の後端部から後方へ湾曲して延びている。
【0028】
左右それぞれの下部フレーム22の後部には、ピボットプレート28が設けられている。左右一対のピボットプレート28は、それぞれ下部フレーム22の後部から後方に向かって延出している。一対のピボットプレート28には、スイングユニット50が上下揺動可能に接続されている(詳細は後述)。
【0029】
バーハンドル11には、左右一対のグリップそれぞれに隣接して、ブレーキレバー45が設けられている。左側のブレーキレバー45には、終端部において左右一対のリアブレーキ5(図3参照)に接続されたリアブレーキケーブル(不図示)が接続されている。左側のブレーキレバー45を操作することによって、リアブレーキケーブルを牽引し、左右一対のリアブレーキ5を作動させる。右側のブレーキレバー45には、終端部においてフロントブレーキに接続されたフロントブレーキケーブル(いずれも不図示)が接続されている。右側のブレーキレバー45を操作することによって、フロントブレーキケーブルを牽引し、フロントブレーキを作動させる。また、バーハンドル11近傍には、パーキングロックレバー46が配置されている。パーキングロックレバー46には、パーキングロックケーブル(不図示)が接続されている。パーキングロックケーブルの終端部は、リアブレーキ5に接続されている。パーキングロックレバー46を操作することによって、パーキングロックケーブルを牽引し、リアブレーキ5を作動させる。
【0030】
前車体カバー30は、フロントカバー31と、インナカバー32と、フロアボード33と、左右のフロアサイドカバー34と、左右の後部フロア35と、シート下カバー36と、左右のリアサイドカバー37と、バッテリボックスカバー38と、を有する。フロントカバー31は、ヘッドパイプ20および前部フレーム21周辺を前方から覆っている。インナカバー32は、ヘッドパイプ20および前部フレーム21周辺を後方から覆っている。フロアボード33は、インナカバー32の下端部の後方に連なっている。左右のフロアサイドカバー34は、フロアボード33の左右側縁部の下方に連なっている。左右の後部フロア35は、フロアボード33の左右後方に連なっている。シート下カバー36は、左右の後部フロア35の間で立ち上がっている。左右のリアサイドカバー37は、左右のフロアサイドカバー34の後端部の斜め上後方に連なっている。左右のリアサイドカバー37は、後部フレーム23および荷台フレーム24を左右方向の外側から覆っている。バッテリボックスカバー38は、左右のリアサイドカバー37における後部フレーム23を覆う部分から後方に延出している。バッテリボックスカバー38は、後述するバッテリボックス102(図2参照)を左右方向の外側から覆っている。
【0031】
フロントカバー31およびインナカバー32は、乗員の脚部を前方から覆うレッグシールドを構成する。フロアボード33は、左右の下部フレーム22と共に低床フロア13を構成する。フロアボード33には、シート12に着座する乗員の足が載置される。左右のリアサイドカバー37間には、物品収納ボックス6を搭載する荷台39が設けられている。荷台39の前端部からは、荷台前壁部40が起立している。荷台前壁部40の上方には、左右一対の支柱41が起立している。フロントカバー31の上端部からは、ウインドスクリーン42が起立している。ウインドスクリーン42の上端部と左右の支柱41の上端部との間には、ルーフ43が架設されている。
【0032】
シート下カバー36は、シート12の下方に配置されたバッテリボックス102からバッテリ105(いずれも図2参照)を取り出し可能に形成されている。例えば、シート下カバー36は、図中に2点鎖線で示すように跳ね上げ可能に形成されている。これにより、前車体カバー30は、シート下カバー36を跳ね上げることによって、シート12の下方の空間を前方に向けて開放することができる。
【0033】
図2は、第1実施形態の電動車両の後部を示す左側面図である。図3は、第1実施形態の電動車両の後部を示す底面図である。なお、図2では、前車体カバー30の一部や左側の後輪3等を取り外した状態を示している。
図2および図3に示すように、スイングユニット50は、前車体10に対して左右方向に沿って延びるピボット軸線P回りに回動可能に設けられ、前車体10に対して上下揺動可能とされている。スイングユニット50は、一対の後輪3の間に設けられたパワーユニット51と、前車体10の左右一対のピボットプレート28に支持されたスイングアーム52と、パワーユニット51とスイングアーム52との間に介在する揺動機構部53と、を備える。
【0034】
図4は、第1実施形態のパワーユニットの概略構成を示す図である。
図4に示すように、パワーユニット51は、一対の後輪3を支持する。パワーユニット51は、ユニットケース60と、モータ61と、減速機構66と、差動機構71と、左右一対の車軸78と、を備える。パワーユニット51は、減速機構66および差動機構71を介してモータ61の出力を一対の車軸78に伝達させる。一対の車軸78は、後輪3の車軸である。左側の車軸78は、左側の後輪3に結合されている。右側の車軸78は、右側の後輪3に結合されている。一対の車軸78は、互いに同軸に設けられている。一対の車軸78は、左右方向に延び、軸端を互いに対向させて配置されている。
【0035】
ユニットケース60は、モータ61、減速機構66および差動機構71を収容する。ユニットケース60は、車軸78を左右両側に突出させるように設けられている。ユニットケース60は、一対の車軸78を回転可能に支持している。なお、以下の説明では、ユニットケース60内の左側の空間にモータ61が配置され、モータ61よりも右側の空間に差動機構71が配置される場合を例に挙げて説明する。
【0036】
モータ61は、一対の後輪3を駆動する。モータ61は、例えばVVVF(Variable Voltage Variavle Frequency)制御による可変速駆動がなされる。モータ61は、車軸78と同軸に設けられている。モータ61は、ユニットケース60に固定された円筒状のステータ62と、ステータ62と同軸かつステータ62の内側に配置された円筒状のロータ63と、ロータ63に結合された円筒軸64と、を備える。円筒軸64は、車軸78と同軸に配置され、左側の車軸78に相対回転可能に外挿されている。
【0037】
減速機構66は、モータ61の駆動回転を減速する。減速機構66は、円筒軸64の右端に形成されたギヤ67と、ユニットケース60に支持された大径ギヤ68および小径ギヤ69と、を備える。ギヤ67および大径ギヤ68は、互いに噛み合っている。小径ギヤ69は、大径ギヤ68よりも小径に形成され、大径ギヤ68と一体的に回転する。減速機構66においては、モータ61の円筒軸64の回転がギヤ67および大径ギヤ68を介して小径ギヤ69に伝達されることで減速される。
【0038】
差動機構71は、減速機構66を介して出力されたモータ61の駆動力を左右の車軸78に分配する。差動機構71は、車軸78と同軸に設けられている。差動機構71は、差動キャリア72と、一対のサイドギヤ73と、シャフト74と、一対のピニオンギヤ75と、を備える。差動キャリア72は、一対の車軸78の互いに対向し合う軸端を囲うように配置されている。差動キャリア72は、ユニットケース60に対して車軸78の軸線回りに回転可能となるように、車軸78に外挿されている。差動キャリア72には、減速機構66の小径ギヤ69に噛み合うギヤ76が形成されている。これにより、差動キャリア72は、減速機構66の出力を受けて回転する。
【0039】
一対のサイドギヤ73は、ベベルギヤである。一対のサイドギヤ73は、差動キャリア72に収容されている。一対のサイドギヤ73は、一対の車軸78の互いに対向し合う軸端に固定されている。シャフト74は、車軸78の軸線と直交する軸線を有する。シャフト74は、一対のサイドギヤ73の間に配置され、両端を差動キャリア72に支持されている。一対のピニオンギヤ75は、それぞれ一対のサイドギヤ73に噛み合うベベルギヤである。一対のピニオンギヤ75は、それぞれ一対のサイドギヤ73に挟まれ、シャフト74に回転可能に支持されている。
【0040】
差動機構71においては、減速機構66の出力を受けて差動キャリア72が回転すると、車軸78の軸線回りをシャフト74が回転する。この際、一対のピニオンギヤ75は、車軸78の軸線回りを公転する。ここで、左右の車軸78にかかる抵抗が等しい場合には、シャフト74と共に公転する一対のピニオンギヤ75が自転することなく、一対のサイドギヤ73、および一対の車軸78が同一速度で回転する。左右の車軸78にかかる抵抗に差が生じる場合には、一対のピニオンギヤ75が適宜自転して、一対のサイドギヤ73、および一対の車軸78の間に回転速度差を生じさせる。このように、差動機構71は、モータ61の駆動力を車軸78を介して一対の後輪3に分配する。
【0041】
図3に示すように、パワーユニット51と各後輪3との間には、リアブレーキ5が配置されている。例えば、リアブレーキ5は、後輪3のホイールに一体形成されたブレーキドラムと、パワーユニット51のユニットケース60に支持されたブレーキシューと、を有する。ブレーキシューは、リアブレーキケーブルおよびパーキングロックケーブル(いずれも不図示)のうち少なくともいずれか一方が牽引されることによってブレーキドラムに摺接する。
【0042】
スイングアーム52は、パワーユニット51の前方に配置されている。スイングアーム52は、左右一対のピボットプレート28によって、ピボット軸線P回りに回動可能に支持されている。スイングアーム52は、左右一対のサイドアーム80と、一対のサイドアーム80の間に架設されたバッテリ支持部81と、を備える。一対のサイドアーム80は、それぞれピボットプレート28に支持されている。サイドアーム80は、ピボット軸線Pよりも前方の位置から、ピボット軸線Pよりも後方の位置に亘って延びている。例えば、サイドアーム80は、ピボット軸線Pから前方に向かって水平に延びるとともに、ピボット軸線Pから後方に向かうに従い僅かに下方に傾斜して延びている(図2参照)。サイドアーム80のうち少なくともピボット軸線Pの近傍は、略水平に延びている。例えば、一対のサイドアーム80は、後端部において互いの間隔が狭まるように屈曲または湾曲している。バッテリ支持部81は、水平に延びる上面を有し、電力供給部100を下方から支持する。バッテリ支持部81は、電力供給部100の少なくとも一部を下方から覆っている。
【0043】
揺動機構部53は、前部においてスイングアーム52に固定され、後部においてパワーユニット51に固定されている。これにより、揺動機構部53は、パワーユニット51およびスイングアーム52と共に、前車体10(図1参照)に対して上下揺動可能に設けられている。揺動機構部53は、スイングアーム52を介して前車体10とパワーユニット51とをローリング軸線R回りで揺動可能に連結している。ローリング軸線Rは、左右方向における車体中央において、左右方向に直交する方向に延びている。例えば、ローリング軸線Rは、ピボット軸線Pに直交している。揺動機構部53は、スイングアーム52に固定されたジョイントケース90と、ジョイントケース90に回転可能に支持されるとともにパワーユニット51に固定されたジョイント軸91と、ジョイントケース90およびジョイント軸91の相対回転にダンパ効果を付与するナイトハルト92と、ジョイントケース90およびジョイント軸91の相対回転を制止可能なロック機構93と、を備える。
【0044】
図2に示すように、揺動機構部53の少なくとも一部は、左右方向から見て後輪3と重なっている。具体的に、揺動機構部53のうち、ローリング軸線Rに直交する方向から見てジョイントケース90とジョイント軸91とが重なる部分の少なくとも一部は、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0045】
ジョイントケース90は、揺動機構部53の前部を構成している。ジョイントケース90の前端部は、スイングアーム52の一対のサイドアーム80の後端部の間に配置され、各サイドアーム80に締結されている(図3参照)。ジョイントケース90の上部には、リアクッション4が接続されるクッション接続部98(接続部)が設けられている。クッション接続部98は、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0046】
ジョイント軸91は、ローリング軸線Rを中心軸線とする円柱状に形成されている。ジョイント軸91の前部は、ジョイントケース90に挿入されている。ジョイント軸91は、適宜配置された軸受を介して、ジョイントケース90にローリング軸線R回りで回転可能に支持されている。ジョイント軸91の後端部は、パワーユニット51のユニットケース60に結合されている。これにより、ジョイント軸91は、パワーユニット51に対してローリング軸線R回りで回転不能に設けられている。例えば、ジョイント軸91の後端部は、ユニットケース60の下面に結合されている。
【0047】
ナイトハルト92は、ジョイントケース90とジョイント軸91の前端部との間に介在している。ナイトハルト92は、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0048】
図5は、図3のV−V線における断面図である。
図5に示すように、ナイトハルト92は、ジョイント軸91に固定されたナイトハルトカム95と、ナイトハルトカム95とジョイントケース90の内面との間に介在するナイトハルトラバー96と、を備える。ナイトハルトラバー96は、複数設けられ、それぞれジョイントケース90の内面に係合している。ナイトハルトカム95は、ローリング軸線R回りの周方向の両側からナイトハルトラバー96に対向するカム面95aを有する。ナイトハルトカム95は、ジョイントケース90に対してローリング軸線R回りに回転しようとすると、ジョイントケース90の内面に係合したナイトハルトラバー96を押圧して、ナイトハルトラバー96を弾性変形させる。ナイトハルトラバー96は、弾性変形した際の復元力によって、ナイトハルトカム95を初期位置に向けて付勢する。これにより、ナイトハルト92は、ジョイント軸91に結合されたパワーユニット51に対し、ジョイントケース90に固定されたスイングアーム52を介して前車体10を起立方向に付勢する(図2参照)。
【0049】
図2に示すように、ロック機構93は、パーキングロックレバー46(図1参照)の操作に応じて、ジョイントケース90に対するジョイント軸91の回転を制止する。ロック機構93は、ジョイントケース90内に設けられている。ロック機構93には、パーキングロックケーブル(不図示)の中間部分が連係されている。これにより、ロック機構93は、パーキングロックレバー46が操作されることで、リアブレーキ5と共に作動する。ロック機構93は、ジョイントケース90およびジョイント軸91の相対回転を制止することで、ジョイントケース90に固定されたスイングアーム52を介して、前車体10のパーキング姿勢を安定させる。
【0050】
電力供給部100は、前車体10とスイングユニット50との間に設けられている。電力供給部100は、スイングアーム52に支持されている。電力供給部100は、PCU(Power Control Unit)101と、バッテリボックス102と、ジャンクションボックス103と、ダウンレギュレータ104(レギュレータ)と、を備える。
【0051】
PCU101は、モータドライバであるPDU(Power Drive Unit)や、PDUを制御するECU(Electric Control Unit)等を含む制御ユニットである。PCU101は、揺動機構部53の前方に配置されている。PCU101は、上下方向から見てピボット軸線Pと重なる位置に配置されている。PCU101は、スイングアーム52によって下方から支持されている。PCU101は、スイングアーム52のバッテリ支持部81(図3参照)に載置され、バッテリ支持部81に固定されている。これにより、PCU101は、バッテリ支持部81によって下方から覆われている。
【0052】
バッテリボックス102は、モータ61(図4参照)の電源であるバッテリ105を収容して保持する。また、バッテリボックス102は、バッテリ105の充放電等を管理する図示しないBMU(Battery Managing Unit)を内部に備えている。バッテリボックス102は、一対設けられ、シート12の下方において左右に並んで配置されている。一対のバッテリボックス102は、左右一対の後部フレーム23の間に配置されている。一対のバッテリボックス102は、PCU101上に載置され、揺動機構部53の前方に配置されている。一対のバッテリボックス102は、PCU101を介してスイングアーム52によって下方から支持されている。バッテリボックス102は、シート下カバー36、リアサイドカバー37およびバッテリボックスカバー38によって前方および左右両側から覆われている(図1参照)。
【0053】
バッテリ105は、直方体状に形成されている。バッテリ105のうち、バッテリ105の長手方向の一方に向く面には、ハンドル105aが設けられている。バッテリボックス102は、バッテリ105の外形に対応する直方体状を呈している。バッテリボックス102は、バッテリ105を挿脱可能とするバッテリ挿脱口102aを有する。バッテリ挿脱口102aは、前方に向かって開口している。バッテリボックス102は、バッテリ105の長手方向が前後方向に沿うように、かつバッテリ105のハンドル105aが前方に向くように、バッテリ105を収容する。これにより、バッテリボックス102は、バッテリ105を前方に向けて引き出し可能とされている。バッテリ105は、例えばシート下カバー36を跳ね上げることにより、シート12の下方から前方に取り出し可能とされている。
【0054】
ジャンクションボックス103は、バッテリボックス102から延びる配線を集約する。ジャンクションボックス103からは、PCU101やダウンレギュレータ104等に接続される配線が延びている。ジャンクションボックス103は、バッテリボックス102の後部に取り付けられている。
【0055】
ダウンレギュレータ104は、バッテリ105から供給される直流電流の電圧を降圧する。ダウンレギュレータ104は、ジャンクションボックス103の後部に取り付けられている。ダウンレギュレータ104の後部には、複数の放熱フィンが立った状態で設けられている。
【0056】
ここで、バッテリボックス102に収容された状態のバッテリ105について説明する。バッテリ105は、ピボット軸線Pよりも上方に配置されている。バッテリ105は、上下方向から見てピボット軸線Pと重なる位置に配置されている。バッテリ105は、上下方向から見て重心Gがピボット軸線P上に位置するように配置されている。すなわち、本実施形態では、バッテリ105は、重心Gがピボット軸線Pの鉛直上方に位置するように配置されている。
【0057】
リアクッション4は、前車体10と揺動機構部53とを連結している。リアクッション4は、圧縮コイルばねを有する緩衝器、およびダンパを一体に備えたものである。リアクッション4の下端部は、揺動機構部53におけるジョイントケース90のクッション接続部98に連結されている。リアクッション4の上端部は、前車体10の荷台フレーム24に連結されている。
【0058】
以上に詳述したように、本実施形態の電動車両1は、前輪2を支持する前車体10と、後輪3を駆動するモータ61を有し、後輪3を支持するとともに前車体10に対して左右方向に沿って延びるピボット軸線P回りに回動可能に設けられたスイングユニット50と、上下方向から見てピボット軸線Pと重なる位置においてスイングユニット50に支持されたバッテリ105と、を備える。
【0059】
この構成によれば、バッテリが上下方向から見てピボット軸線と重ならない位置に配置された構成と比較して、バッテリ105の重心Gをピボット軸線Pに水平方向で近付けることができる。これにより、ピボット軸線Pを中心としてバッテリ105に作用する重力のモーメントが小さくなるので、スイングユニット50を回動可能に支持する箇所(本実施形態では、ピボットプレート28とスイングアーム52との接続部)にかかる負荷を低減することができる。
【0060】
また、バッテリ105からモータ61に延びる配線が、互いに相対回動する前車体10およびスイングユニット50を跨ぐことを回避できる。これにより、配線に負荷がかかることを抑制でき、電気的な安全性を確保できる。また、スイングユニット50にバッテリ105を収容するバッテリボックス102を組み付けた上で、スイングユニット50を前車体10に取り付けることが可能となるので、車両の組み立て性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、バッテリ105は、上下方向から見てバッテリ105の重心Gがピボット軸線P上に位置するように配置されている。この構成によれば、バッテリ105に作用する重力によって、スイングユニット50に後輪3が上方に向かう方向の力が作用することを抑制できる。このため、スイングユニット50に支持された後輪3の路面追従性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施形態では、PCU101が上下方向から見てピボット軸線Pと重なる位置においてスイングユニット50に支持されている。この構成によれば、PCU101の重心をバッテリ105の重心Gと共にピボット軸線Pに水平方向で近付けることができる。これにより、スイングユニット50を上下揺動可能に支持する箇所にかかる負荷をより一層低減することができる。
【0063】
また、本実施形態では、バッテリ105をシート12の下方から取り出し可能に形成されている。この構成によれば、乗員等が車両の側方に立った状態で、低い位置にバッテリ105を容易に取り出すことができる。また、荷台39に搭載した物品収納ボックス6を荷台39から降ろすことなくバッテリ105を取り出すことができる。したがって、電動車両1の使い勝手を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、バッテリ105がシート12の下方において、方向が水平方向に沿うように配置されている。この構成によれば、バッテリ105が配置される領域の上下方向の寸法が大きくなることを抑制して、バッテリ105とシート12との間にスペースを設けることができる。これにより、物品を収容する収容スペース等をシート12の下に設けることが可能となり、電動車両1の使い勝手を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、スイングユニット50は、モータ61を含み一対の後輪3を支持するパワーユニット51と、左右方向に直交する方向に延びるローリング軸線R回りで前車体10とパワーユニット51とを揺動可能に連結する揺動機構部53と、を備え、揺動機構部53は、少なくとも一部が左右方向から見て後輪3と重なり、バッテリ105は、揺動機構部53の前方でスイングユニット50に支持されている。この構成によれば、揺動機構部53が左右方向から見て後輪3と重なるように配置されたことによって揺動機構部53の前方に生じたスペースを、有効に利用することができる。
【0066】
また、本実施形態では、揺動機構部53におけるクッション接続部98が左右方向から見て後輪3と重なっている。この構成によれば、クッション接続部が左右方向から見て後輪と重ならない構成と比較して、揺動機構部53における後輪3の接地点に近い位置において前車体10の荷重を受けることができる。したがって、前後輪の分担荷重を適正化することができる。
【0067】
なお、第1実施形態では、バッテリ105の重心Gがピボット軸線Pの鉛直上方に位置しているが、これに限定されない。バッテリ105の重心Gは、ピボット軸線Pよりも後方に位置していてもよい。この場合であっても、バッテリ105に作用する重力によって、スイングユニット50に後輪3が上方に向かう方向の力が作用することを抑制できる。このため、スイングユニット50に支持された後輪3の路面追従性を向上させることができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、図6から図8を参照して、第2実施形態の電動車両201について説明する。本実施形態では、第1実施形態と同様に、電動車両の一例として鞍乗り型の電動三輪車を例に挙げて説明する。第2実施形態は、バッテリボックス102に収容されたバッテリ105が左右方向から見てピボット軸線Pと重なる位置に配置されている点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態は、一対の後輪3を各別に駆動する一対のモータ261A,261Bを備える点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0069】
図6は、第2実施形態の電動車両の後部を示す左側面図である。図7は、第2実施形態の電動車両の後部を示す底面図である。なお、図6では、前車体カバー30の一部や左側の後輪3等を取り外した状態を示している。
図6および図7に示すように、第2実施形態の電動車両201において、スイングユニット250は、一対の後輪3の間に設けられたパワーユニット251と、前車体10の左右一対のピボットプレート28に支持されたスイングアーム252と、パワーユニット251とスイングアーム252との間に介在する揺動機構部253と、を備える。
【0070】
図7に示すように、パワーユニット251は、一対の後輪3を支持する。パワーユニット251は、左の後輪3を支持するとともに左の後輪3を駆動する第1モータ261Aと、右の後輪3を支持するとともに右の後輪3を駆動する第2モータ261Bと、を備える。
【0071】
第1モータ261Aおよび第2モータ261Bは、それぞれ後輪3のホイール内に設けられたインホイール式のモータである。第1モータ261Aおよび第2モータ261Bは、例えばVVVF制御による可変速駆動がなされる。第1モータ261Aおよび第2モータ261Bは、それぞれモータハウジング263と、モータハウジング263内に配置されたステータおよびロータ(いずれも不図示)と、ロータに結合された出力軸(不図示)と、後輪3に結合されるとともに出力軸の回転を受けて回転する後輪3の車軸267と、を備える。例えば、出力軸と車軸267との間には減速歯車が介在し、ロータから出力軸に出力された駆動回転が減速して車軸267に伝達される。第1モータ261Aと左側の後輪3との間、および第2モータ261Bと右側の後輪3との間、のそれぞれには、リアブレーキ5が配置されている。
【0072】
図8は、図6のVIII−VIII線における断面図である。
図8に示すように、スイングアーム252は、左右方向に間隔をあけて配置された左右一対のサイドアーム280と、一対のサイドアーム280の間に架設されたバッテリ支持部281と、を備える。一対のサイドアーム280は、一対のサイドアーム280間に一対のバッテリボックス102やジャンクションボックス103、ダウンレギュレータ104等を配置できるように設けられている(図7参照)。バッテリ支持部281は、電力供給部100を下方から支持する底部282と、底部282とサイドアーム280とを接続する側部283と、を備える。底部282は、平板状に形成されている。底部282は、底部282に載置されるPCU101よりも大きく形成されている。底部282は、サイドアーム280よりも下方に設けられている。側部283は、底部282の側縁(例えば左右両側縁)から上方に向かって延び、一対のサイドアーム280に結合している。側部283は、PCU101を覆う平板状に形成されていてもよいし、上下方向に沿って延びるステーであってもよい。
【0073】
図6および図7に示すように、揺動機構部253は、前部においてスイングアーム252に固定され、後部においてパワーユニット251に固定されている。これにより、揺動機構部253は、パワーユニット251およびスイングアーム252と共に、前車体10に対して上下揺動可能に設けられている。揺動機構部253は、スイングアーム252を介して前車体10とパワーユニット251とをローリング軸線R回りで揺動可能に連結している。
【0074】
揺動機構部253は、スイングアーム252に固定されたジョイントケース290と、ジョイントケース290に回転可能に支持されるとともにパワーユニット251に固定されたジョイント軸291と、ジョイントケース290およびジョイント軸291の相対回転にダンパ効果を付与するナイトハルト92と、ジョイントケース290およびジョイント軸291の相対回転を制止可能なロック機構93と、を備える。揺動機構部253の少なくとも一部は、第1モータ261Aと第2モータ261Bとの間に配置され、左右方向から見て後輪3と重なっている。具体的に、揺動機構部253のうち、ローリング軸線Rに直交する方向から見てジョイントケース290とジョイント軸291とが重なる部分の少なくとも一部は、第1モータ261Aと第2モータ261Bとの間に配置され、左右方向から見て後輪3と重なっている。
【0075】
ジョイントケース290は、揺動機構部253の前部を構成している。ジョイントケース290の前端部は、スイングアーム252の一対のサイドアーム280の後端部の間に配置され、スイングアーム252に締結されている。ジョイントケース290の上部には、リアクッション4が接続されるクッション接続部298(接続部)が設けられている。クッション接続部298は、左右方向から見て車軸267の鉛直上方において後輪3と重なっている。
【0076】
ジョイントケース290の後部には、ジョイント軸291の後述する第2軸291bが挿通される挿通部290aが形成されている。挿通部290aは、ローリング軸線R回りに揺動する第2軸291bを避けるように形成されている。
【0077】
図7に示すように、ジョイント軸291は、ローリング軸線Rを中心軸線とする円柱状に形成された第1軸291aと、第1軸291aの中間部から左右両側に延びる第2軸291bと、を有する。第1軸291aは、適宜配置された軸受を介して、ジョイントケース290にローリング軸線R回りで回転可能に支持されている。図示の例では、第1軸291aは、第1軸291aと第2軸291bとの接続部を挟んだ前後両側で、ジョイントケース290に支持されている。第1軸291aの前端部とジョイントケース290との間には、ナイトハルト92が介在している。
【0078】
第2軸291bは、ジョイントケース290の挿通部290aを通って、ジョイントケース290から左右両側に突出している。第2軸291bの左側の端部は、第1モータ261Aのモータハウジング263に固定されている。第2軸291bの右側の端部は、第2モータ261Bのモータハウジング263に固定されている。
【0079】
図6に示すように、PCU101は、バッテリ支持部281の底部282(図8参照)に載置され、バッテリ支持部281に固定されている。PCU101は、バッテリ支持部281の底部282によって下方から覆われている。
【0080】
一対のバッテリボックス102は、PCU101上に載置されている。一対のバッテリボックス102は、PCU101を介してスイングアーム252によって下方から支持されている。バッテリボックス102は、シート下カバー36、リアサイドカバー37およびバッテリボックスカバー38(いずれも図1参照)によって前方および左右方向の外側から覆われている。ジャンクションボックス103は、バッテリボックス102の後部に取り付けられている。ダウンレギュレータ104は、ジャンクションボックス103の後部に取り付けられている。
【0081】
ここで、バッテリボックス102に収容された状態のバッテリ105について説明する。バッテリ105は、左右方向から見てピボット軸線Pと重なるように配置されている。バッテリ105は、上下方向から見てピボット軸線Pと重なるように配置されている。バッテリ105は、上下方向から見て重心Gがピボット軸線P上に位置するように配置されている。本実施形態では、バッテリ105は、重心Gがピボット軸線Pの鉛直上方に位置するように配置されている。
【0082】
以上に詳述したように、本実施形態では、バッテリ105は、左右方向から見てピボット軸線Pと重なる位置に配置されている。この構成によれば、バッテリが左右方向から見てピボット軸線と重ならない位置に配置された構成と比較して、バッテリ105の重心Gをピボット軸線Pにより一層近付けることができる。これにより、ピボット軸線P回りでスイングユニット250と一体となって上下揺動する部材全体の慣性モーメントが小さくなる。したがって、スイングユニット250に支持された後輪3の路面追従性を向上させることができる。
【0083】
なお、第2実施形態では、バッテリ105は、重心Gがピボット軸線Pよりも上方に位置するように配置されているが、これに限定されない。バッテリ105は、重心Gがピボット軸線Pと同じ高さに位置するように配置されていてもよいし、重心Gがピボット軸線Pよりも下方に位置するように配置されていてもよい。
【0084】
[第3実施形態]
次に、図9を参照して、第3実施形態の電動車両301について説明する。第3実施形態は、リアクッション304が前車体310に対してローリング軸線R回りで揺動する部材同士の間に介在している点で、第1実施形態とは異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0085】
図9は、第3実施形態の電動車両の左側面図である。
図9に示すように、第3実施形態の電動車両301は、前輪2を操向可能に支持する前車体310と、前車体310を覆う前車体カバー330と、一対の後輪3を支持する後車体350と、前車体310と後車体350とを連結する揺動機構部353と、電力供給部100と、を主に備える。前車体310は、第1実施形態の前車体10(図1参照)から荷台フレーム24を省略した構成を有する。前車体カバー330は、第1実施形態の前車体カバー30(図1参照)から荷台フレーム24を覆う部分、およびバッテリボックスカバー38を省略した構成を有する。
【0086】
後車体350は、後車体350の骨格をなす後車体フレーム354と、後車体フレーム354に対して上下揺動可能に連結されたスイングユニット358と、後車体フレーム354とスイングユニット358との間に介装されたリアクッション304と、を備える。
【0087】
後車体フレーム354は、後車体350の前部において左右方向に延びる前部クロスメンバ355と、前部クロスメンバ355の左右両端部から後方へ延びる左右一対のサイドフレーム356と、左右方向に延びて一対のサイドフレーム356の後端部に結合する後部クロスメンバ357と、を備える。サイドフレーム356は、前部クロスメンバ355との結合部から後方へ延びる第1部分356aと、左右方向から見て後輪3の前方に設けられ、第1部分356aの後端部から上方へ屈曲して延びる第2部分356bと、左右方向から見て後輪3の上方に設けられ、第2部分356bの上端部から後方へ屈曲して延びる第3部分356cと、を備えている。左右のサイドフレーム356の第3部分356cの上部には、物品を搭載する荷台39が設けられている。
【0088】
スイングユニット358は、後車体フレーム354に上下揺動可能に支持されている。スイングユニット358は、パワーユニット51と、スイングアーム352と、を備える。
【0089】
スイングアーム352は、左右一対のサイドフレーム356の第1部分356aの間に配置されている。スイングアーム352は、前部において後車体フレーム354に接続され、後部においてパワーユニット51に固定されている。スイングアーム352は、左右一対のサイドフレーム356によって、左右方向に沿って延びるピボット軸線P回りに回動可能に支持されている。スイングアーム352は、左右一対のサイドアーム380と、一対のサイドアーム380の間に架設されたバッテリ支持部(不図示)と、を備える。
【0090】
一対のサイドアーム380は、後車体フレーム354の一対のサイドフレーム356にそれぞれ支持されている。サイドアーム380は、ピボット軸線Pよりも前方の位置から、ピボット軸線Pよりも後方の位置に亘って延びている。サイドアーム380のうち少なくともピボット軸線Pの近傍の部分は、略水平に延びている。一対のサイドアーム380の後端部は、それぞれパワーユニット51に固定されている。例えば、一対のサイドアーム380の後端部は、それぞれパワーユニット51のユニットケース60(図2参照)に結合されている。バッテリ支持部は、第1実施形態のバッテリ支持部81(図3参照)と同様に構成されている。すなわち、バッテリ支持部は、電力供給部100を下方から支持する。バッテリ支持部は、電力供給部100の少なくとも一部を下方から覆っている。
【0091】
リアクッション304は、後車体フレーム354とスイングユニット358とを連結している。リアクッション304の下端部は、パワーユニット51のユニットケース60に連結されている。なお、リアクッション304の下端部は、スイングアーム352に連結されていてもよい。リアクッション4の上端部は、後車体フレーム354の後部クロスメンバ357に連結されている。
【0092】
揺動機構部353は、前部において前車体310の下部に固定され、後部において後車体350の前部に接続されている。揺動機構部353は、ジョイントケース90と、ジョイント軸91と、ナイトハルト92と、ロック機構93と、を備える。ジョイントケース90は、ジョイント軸91の後方に配置され、後車体フレーム354の前部クロスメンバ355に固定されている。ジョイント軸91の前端部は、前車体310の前部フレーム21の後端部に固定されている。これにより、揺動機構部353は、前車体310と後車体350とをローリング軸線R回りで揺動可能に連結している。
【0093】
電力供給部100は、前車体310と後車体350との間に設けられている。
PCU101は、スイングアーム352によって下方から支持されている。PCU101は、スイングアーム352のバッテリ支持部に載置され、バッテリ支持部に固定されている。これにより、PCU101は、バッテリ支持部によって下方から覆われている。
【0094】
バッテリボックス102は、シート12の下方に配置されている。バッテリボックス102は、PCU101上に載置されている。一対のバッテリボックス102は、PCU101を介してスイングアーム352によって下方から支持されている。バッテリ挿脱口102aは、左右のいずれか一方(図示の例では左方)に向かって開口している。バッテリボックス102は、バッテリ105の長手方向が左右方向に沿うように、かつバッテリ105のハンドル105aがバッテリ挿脱口102aの開口方向(図示の例では左方)に向くように、バッテリ105を収容する。これにより、バッテリボックス102は、バッテリ105を左方に向けて引き出し可能とされている。
【0095】
ここで、バッテリボックス102に収容された状態のバッテリ105について説明する。バッテリ105は、ピボット軸線Pよりも上方に配置されている。バッテリ105は、上下方向から見てピボット軸線Pと重なるように配置されている。バッテリ105は、上下方向から見て重心Gがピボット軸線Pよりも後方に位置するように配置されている。
【0096】
以上に詳述したように、本実施形態では、電動車両301がスイングユニット358に支持されたバッテリ105を備えるので、第1実施形態と同様に、スイングユニット358を回動可能に支持する箇所(本実施形態では、後車体フレーム354のサイドフレーム356とスイングアーム352との接続部)にかかる負荷を低減することができる。
【0097】
なお、第3実施形態では、バッテリ105は、重心Gがピボット軸線Pよりも後方に位置するように配置されているが、これに限定されない。バッテリ105は、重心Gが上下方向から見てピボット軸線P上に位置するように配置されていてもよい。
【0098】
[第4実施形態]
次に、図10および図11を参照して、第4実施形態の電動車両401について説明する。本実施形態では、電動車両の一例として、鞍乗り型の自動二輪車を例に挙げて説明する。
【0099】
図10は、第4実施形態の電動車両の左側面図である。
図10に示すように、第4実施形態の電動車両401は、スクータ型の車両である。電動車両401は、単一の前輪2と、モータ461によって駆動される単一の後輪3と、前輪2を操向可能に支持する車体410と、車体410を覆う車体カバー430と、後輪3を支持するとともに車体410に対して上下揺動可能に連結されたスイングユニット450と、モータ461等に電力を供給する電力供給部100と、車体410とスイングユニット450との間に介装されたリアクッション404と、を主に備える。
【0100】
車体410は、前輪転舵用のバーハンドル11と、乗員着座用のシート12と、低床フロア413と、車体410の骨格をなす車体フレーム414と、前輪2を懸架する前輪懸架装置415と、を備える。
【0101】
車体フレーム414は、ヘッドパイプ420と、ダウンフレーム421と、左右一対のロアフレーム422と、左右一対のシートフレーム423と、を備えている。ヘッドパイプ420は、車体フレーム414の前端部に設けられている。ダウンフレーム421は、ヘッドパイプ420から斜め後下方へ延びている。一対のロアフレーム422は、ダウンフレーム421の下端から後方へ向けて延びている。左右それぞれのロアフレーム422の後部には、ピボットプレート428が設けられている。左右一対のピボットプレート428は、それぞれロアフレーム422の後部から後方に向かって延出している。一対のピボットプレート428には、スイングユニット450が上下揺動可能に接続されている(詳細は後述)。一対のシートフレーム423は、左右のロアフレーム422の後端から斜め後上方へ延びている。
【0102】
車体カバー430は、フロントカバー431と、インナカバー432と、フロアボード433と、左右のフロアサイドカバー434と、シート下カバー436と、左右のリアサイドカバー437と、を有する。フロントカバー431は、ヘッドパイプ420およびダウンフレーム421周辺を前方から覆っている。インナカバー432は、ヘッドパイプ20およびダウンフレーム421周辺を後方から覆っている。フロアボード433は、インナカバー432の下端部の後方に連なっている。左右のフロアサイドカバー434は、フロアボード433の左右側縁部の下方に連なっている。シート下カバー436は、フロアボード433の後方に連なっている。左右のリアサイドカバー437は、左右のフロアサイドカバー434の後端部の斜め上後方に連なっている。左右のリアサイドカバー437は、シートフレーム423を左右方向の外側から覆っている。
【0103】
フロントカバー431およびインナカバー432は、乗員の脚部を前方から覆うレッグシールドを構成する。フロアボード433は、左右のロアフレーム422と共に低床フロア413を構成する。フロアボード433には、シート12に着座する乗員の足が載置される。シート下カバー436は、シート12の下方に配置されたバッテリボックス102からバッテリ105を取り出し可能に形成されている。例えば、シート下カバー436は、跳ね上げ可能に形成されている。これにより、車体カバー430は、シート下カバー436を跳ね上げることによって、シート12の下方の空間を前方に向けて開放することができる。
【0104】
スイングユニット450は、車体410に対して左右方向に沿って延びるピボット軸線P回りに回動可能に設けられ、車体410に対して上下揺動可能とされている。スイングユニット450は、後輪3の左側に設けられたパワーユニット451と、車体フレーム414に上下揺動可能に支持されたスイングアーム452と、を備えている。
【0105】
図11は、第4実施形態のスイングユニットの周辺を示す平面図である。
図10および図11に示すように、スイングアーム452は、前部において車体フレーム414に接続され、後部においてパワーユニット451に固定されている。スイングアーム452は、左右一対のピボットプレート428によって、ピボット軸線P回りに回動可能に支持されている。スイングアーム452の前部は、後輪3の前方において車体の左右中心線を跨ぐように、幅広に形成されている。スイングアーム452の後部は、スイングアーム452の前部よりも幅狭に形成され、後輪3の左方に配置されている。スイングアーム452の後部は、パワーユニット451に固定されている。スイングアーム452は、電力供給部100の少なくとも一部を下方から覆っている。
【0106】
図10に示すように、パワーユニット451は、後輪3を支持する。パワーユニット451は、ユニットケース460と、ユニットケース460に収容されたモータ461と、ユニットケース460に収容されてモータ461の駆動回転を減速する減速機構(不図示)と、後輪3の車軸であって減速機構から出力されたモータ461の駆動力を受けて回転する車軸(不図示)と、を備える。ユニットケース460には、スイングアーム452の後端部が結合している。
【0107】
電力供給部100は、車体410とスイングユニット450との間に設けられている。
PCU101は、スイングアーム452によって下方から支持されている。PCU101は、スイングアーム452の後部に載置され、スイングアーム452に固定されている。PCU101は、スイングアーム452によって下方から覆われている。
【0108】
バッテリボックス102は、一対設けられ、シート12の下方において左右に並んで配置されている。一対のバッテリボックス102は、スイングアーム452によって下方から支持されている。一対のバッテリボックス102は、スイングアーム452の前部に載置されている。一対のバッテリボックス102は、スイングアーム452によって下方から覆われている。一対のバッテリボックス102は、シート下カバー436によって前方から覆われている。一対のバッテリボックス102の少なくとも一部は、リアサイドカバー437によって左右両側から覆われている。
【0109】
バッテリ挿脱口102aは、前方に向かって開口している。バッテリボックス102は、バッテリ105の長手方向が前後方向に沿うように、かつバッテリ105のハンドル105aが前方に向くように、バッテリ105を収容する。これにより、バッテリボックス102は、バッテリ105を前方に向けて引き出し可能とされている。バッテリ105は、例えばシート12の下のシート下カバー436を跳ね上げることにより、シート12の下方から前方に取り出し可能とされている。
【0110】
ジャンクションボックス103は、バッテリボックス102の後部に取り付けられている。
ダウンレギュレータ104は、スイングアーム452によって下方から支持されている。ダウンレギュレータ104は、スイングアーム452の後部に載置され、PCU101と左右方向に並んで配置されている。ダウンレギュレータ104は、スイングアーム452に固定されている。ダウンレギュレータ104は、スイングアーム452によって下方から覆われている。
【0111】
ここで、バッテリボックス102に収容された状態のバッテリ105について説明する。バッテリ105は、ピボット軸線Pよりも上方に配置されている。バッテリ105は、上下方向から見てピボット軸線Pと重なるように配置されている。バッテリ105は、上下方向から見て重心Gがピボット軸線P上に位置するように配置されている。すなわち、本実施形態では、バッテリ105は、重心Gがピボット軸線Pの鉛直上方に位置するように配置されている。
【0112】
以上に詳述したように、本実施形態では、電動車両401がスイングユニット450に支持されたバッテリ105を備えるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0113】
なお、第4実施形態では、バッテリ105は、バッテリボックス102に収容された状態で、ピボット軸線Pよりも上方に配置されているが、これに限定されない。図12に示すように、バッテリ105は、バッテリボックス102に収容された状態で、左右方向から見てピボット軸線Pと重なるように配置されていてもよい。また、バッテリボックス102は、バッテリ挿脱口102aがシート下カバー436の後面に向くように、水平方向に対して適宜傾斜するように配置されてもよい。図示の例では、バッテリボックス102は、バッテリ挿脱口102aが斜め前上方に向くように配置されている。これにより、バッテリボックス102は、バッテリ105を斜め前上方に向けて引き出し可能とされている。
【0114】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記各実施形態では、電動車両の例として、単一の前輪2および一対の後輪3を有する屋根付きの鞍乗り型の電動三輪車、および自動二輪車を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本発明は、屋根なしの電動三輪車や、一対の前輪および単一の後輪を有する電動三輪車にも適用可能である。
【0115】
また、上記第1実施形態から第3実施形態では、電力供給部100のうちバッテリ105およびPCU101が上下方向から見てピボット軸線Pと重なる位置に配置されているが、ジャンクションボックス103およびダウンレギュレータ104が上下方向から見てピボット軸線Pと重なる位置に配置されていてもよい。この場合であっても、PCU101が上下方向から見てピボット軸線Pと重なる位置に配置された場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0116】
また、上記実施形態では、パーキングロックケーブルの終端がリアブレーキ5に接続されているが、これに限定されない。パーキングロックケーブルの終端は、例えばパワーユニット内でギヤをロックして後輪3の回転を制止する機構に接続されていてもよい。
【0117】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態および各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
上記の電動車両によれば、バッテリが上下方向から見てピボット軸線と重ならない位置に配置された構成と比較して、バッテリの重心をピボット軸線に水平方向で近付けることができる。これにより、ピボット軸線を中心としてバッテリに作用する重力のモーメントが小さくなるので、スイングユニットを回動可能に支持する箇所にかかる負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0119】
1,201、301,401 電動車両
2 前輪
3 後輪
4 リアクッション(クッション)
10,310 前車体
50,250,358,450 スイングユニット
51,251 パワーユニット
53,253,353 揺動機構部
61,261A,261B,461 モータ
98,298 クッション接続部(接続部)
101 PCU(パワーコントロールユニット)
103 ジャンクションボックス
104 ダウンレギュレータ(レギュレータ)
105 バッテリ
P ピボット軸線
R ローリング軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12