特許第6972326号(P6972326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6972326-空気調和システム 図000002
  • 特許6972326-空気調和システム 図000003
  • 特許6972326-空気調和システム 図000004
  • 特許6972326-空気調和システム 図000005
  • 特許6972326-空気調和システム 図000006
  • 特許6972326-空気調和システム 図000007
  • 特許6972326-空気調和システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972326
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/48 20180101AFI20211111BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20211111BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
   F24F11/48
   F24F11/58
   F24F7/007 B
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2020-518881(P2020-518881)
(86)(22)【出願日】2018年5月16日
(86)【国際出願番号】JP2018018930
(87)【国際公開番号】WO2019220567
(87)【国際公開日】20191121
【審査請求日】2020年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】城戸 翔兵
【審査官】 浅野 弘一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−023819(JP,A)
【文献】 特開2014−016045(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/179362(WO,A1)
【文献】 特開2015−187510(JP,A)
【文献】 特開2012−097960(JP,A)
【文献】 特開2012−017861(JP,A)
【文献】 実開昭60−111419(JP,U)
【文献】 特開2006−250407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/48
F24F 11/58
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から受け付けた空調運転指示に従って冷房運転または暖房運転を行うことで室内の空調制御を行う空気調和システムであって、
前記室内の空気の換気を行う換気装置と、
前記室内の空気の撹拌を行う空気撹拌装置と、
前記室内の空調を制御するとともに、前記換気装置および前記空気撹拌装置の動作を制御する空気調和機と、
前記室内において前記利用者の存在を検知する検知装置と、
を備え、
前記空気調和機は、前記室内の温度である室内温度、前記室内の外部の温度である室外温度、前記空調運転指示に含まれる前記空気調和機が実施する空調制御の運転モード、前記換気装置の運転状態、および前記検知装置の検知結果に基づいて、前記利用者が前記室内に入室する前において前記換気装置および前記空気撹拌装置の動作を制御する空気調和システム。
【請求項2】
前記換気装置は、
前記室内の空気の換気を行う換気部と、
前記換気部が換気運転を停止してからの停止期間を計測する停止期間タイマ部と、
前記換気部が換気運転を開始してからの継続時間を計測する運転継続タイマ部と、
を備え、
前記空気撹拌装置は、
前記室内の空気の撹拌を行う撹拌部と、
前記室内の床面温度を計測する床面温度センサ部と、
を備え、
前記空気調和機は、
空調運転を行う空気調和部と、
前記室内の天井付近の気温である室内天井温度を計測する室内温度センサ部と、
前記室外温度を計測する室外温度センサ部と、
前記室内天井温度および前記床面温度の平均値を算出して前記室内温度とし、前記換気装置の運転状態として前記停止期間および前記継続時間を取得し、前記室内温度、前記室外温度、前記空調運転指示、前記換気装置の運転状態、および前記検知結果に基づいて、前記空気調和部、前記換気部、および前記撹拌部の動作を制御する制御部と、
を備える請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記停止期間が停止上限期間以上であり、前記検知結果が前記室内に前記利用者が存在しないことを示すものである場合、前記換気部に換気運転させ、
前記室内温度と前記室外温度との第1の差分が第1の温度差分閾値以上であり、前記運転モードが暖房運転の場合、前記第1の差分と第2の温度差分閾値との比較結果に基づいて前記換気部に換気運転をさせた後、前記換気部の換気運転を停止させる、
請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記停止期間が停止上限期間以上であり、前記検知結果が前記室内に前記利用者が存在しないことを示すものである場合、前記換気部に換気運転させ、
前記室内温度と前記室外温度との第1の差分が第1の温度差分閾値以上であり、前記運転モードが冷房運転、かつ前記室内温度が前記室外温度以下の場合、前記第1の差分と第2の温度差分閾値との比較結果に基づいて前記換気部に換気運転をさせた後、前記換気部の換気運転を停止させる、
請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記換気部の換気運転中に、前記室内に前記利用者が存在することを示す検知結果を受信した場合、前記換気部の前記換気運転を停止させる、
請求項3または4に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記床面温度と前記室内天井温度との第2の差分が第3の温度差分閾値以上の場合、前記撹拌部に撹拌運転させる、
請求項3または4に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記撹拌部の撹拌運転中に、前記室内に前記利用者が存在することを示す検知結果を受信した場合、前記撹拌部の前記撹拌運転を停止させる、
請求項6に記載の空気調和システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記停止期間が停止上限期間以上であり、前記検知結果が前記室内に前記利用者が存在しないことを示すものである場合、前記換気部に換気運転させ、
前記換気部の換気運転中において、前記室内温度と前記室外温度との第1の差分が第1の温度差分閾値未満であり、前記床面温度と前記室内天井温度との第2の差分が第3の温度差分閾値以上の場合、前記撹拌部に撹拌運転させる、
請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記停止期間が停止上限期間以上であり、前記検知結果が前記室内に前記利用者が存在しないことを示すものである場合、前記換気部に換気運転させ、
前記換気部の換気運転中において、前記室内温度と前記室外温度との第1の差分が第1の温度差分閾値以上、かつ前記運転モードが冷房運転、かつ前記室内温度が前記室外温度より大きく、前記床面温度と前記室内天井温度との第2の差分が第3の温度差分閾値以上の場合、前記撹拌部に撹拌運転させる、
請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記換気部の換気運転中および前記撹拌部の撹拌運転中に、前記室内に前記利用者が存在することを示す検知結果を受信した場合、前記換気部の前記換気運転を停止させ、前記撹拌部の前記撹拌運転を停止させる、
請求項8または9に記載の空気調和システム。
【請求項11】
前記検知装置は、
前記室内において前記利用者の存在を検知する人検知センサ、
を備える請求項2から10のいずれか1つに記載の空気調和システム。
【請求項12】
前記制御部は、現在の時刻が前記空調運転指示に含まれる運転開始時刻になった場合、前記空気調和部、前記換気部、および前記撹拌部に対する制御を開始する、
請求項2から11のいずれか1つに記載の空気調和システム。
【請求項13】
前記制御部は、前記空調運転指示に運転開始時刻が含まれない場合、前記空調運転指示を受信後、前記空気調和部、前記換気部、および前記撹拌部に対する制御を開始する、
請求項2から11のいずれか1つに記載の空気調和システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記換気部が換気運転を行っていない状態および前記撹拌部が撹拌運転を行っていない状態において、前記空気調和部の空調運転を制御する、
請求項12または13に記載の空気調和システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記室内天井温度が前記空調運転指示に含まれる目標温度になった場合、前記空調運転指示の送信元の端末装置に対して、前記室内温度が前記目標温度になったことを示す第1の通知を送信する、
請求項12から14のいずれか1つに記載の空気調和システム。
【請求項16】
前記空気調和機は、
前記室内天井温度が前記空調運転指示に含まれる目標温度になってからの経過時間を計測する環境構築後タイマ部、
を備え、
前記制御部は、前記経過時間が待機時間以上になった場合、前記端末装置に対して利用者の帰宅を喚起する第2の通知を送信する、または前記空気調和部の空調運転を停止させる、
請求項15に記載の空気調和システム。
【請求項17】
前記空気調和機は、前記室内および前記室内の外部で使用可能な端末装置、前記室内で使用可能なリモートコントローラのうち少なくとも1つから前記空調運転指示を受信する、
請求項1から16のいずれか1つに記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内の空調を制御する空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内の空調を制御するシステムにおいて、外出していた利用者が空調制御対象の室内に入室することを事前に検知した場合、室外温度、室内温度、目標温度などの条件に応じて室内の換気装置を動作させ、外気を室内に流入させた後、空調装置を動作させる制御を行うものがある。例えば、特許文献1に記載の換気空調システムは、利用者の入室前に空調装置を起動させることによって、利用者の入室後に空調装置を動作させる場合よりも利用者の入室時の室内空間を比較的快適な環境にすることができる。また、特許文献1に記載の換気空調システムは、室内にこもった熱気を換気によって外に排出してから空調装置を動作させることによって、空調動作時の負荷を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−187510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の換気空調システムは、冷房運転前に室内にこもった熱気を室外に排出しているが、室内の温度分布が均一になっていない場合には、空調動作時の負荷が十分に低減されない可能性がある、という問題があった。また、特許文献1に記載の換気空調システムは、暖房運転前には換気を行わないため、暖房運転時に室内の温度分布が不均一な場合、空調動作時に負荷がかかる、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者の入室前に空調制御を行う場合において、空気調和機の動作前に、空気調和機の運転モードおよび室内の温度の状態に応じて換気および撹拌を行うことが可能な空気調和システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気調和システムは、利用者から受け付けた空調運転指示に従って冷房運転または暖房運転を行うことで室内の空調制御を行う。空気調和システムは、室内の空気の換気を行う換気装置と、室内の空気の撹拌を行う空気撹拌装置と、室内の空調を制御するとともに、換気装置および空気撹拌装置の動作を制御する空気調和機と、室内において利用者の存在を検知する検知装置と、を備える。空気調和機は、室内の温度である室内温度、室内の外部の温度である室外温度、空調運転指示に含まれる空気調和機が実施する空調制御の運転モード、換気装置の運転状態、および検知装置の検知結果に基づいて、利用者が室内に入室する前において換気装置および空気撹拌装置の動作を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る空気調和システムは、利用者の入室前に空調制御を行う場合において、空気調和機の動作前に、空気調和機の運転モードおよび室内の温度の状態に応じて換気および撹拌を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】空気調和システムの構成例を示す図
図2】空気調和システムの動作を示す第1のフローチャート
図3】空気調和システムの動作を示す第2のフローチャート
図4】空気調和システムの動作を示す第3のフローチャート
図5】空気調和システムの動作を示す第4のフローチャート
図6】空気調和システムの動作を示す第5のフローチャート
図7】空気調和機が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態に係る空気調和システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る空気調和システム100の構成例を示す図である。空気調和システム100は、空気調和機1と、換気装置2と、空気撹拌装置3と、検知装置4と、空気調和機用リモートコントローラ16と、端末装置17と、を備える。空気調和機1は、換気装置2、空気撹拌装置3、および検知装置4と通信回線を用いてデータの送受信を行う。通信回線は有線通信回線であってもよいし、無線通信回線であってもよい。空気調和機1は、有線通信回線または無線通信回線によって、空気調和機用リモートコントローラ16から空調運転指示を受信する。空気調和機用リモートコントローラ16は、空気調和機1と無線通信を行う場合、ブルートゥース(登録商標)、Wi−fi(登録商標)通信などの通信方式で通信を行う。空気調和機用リモートコントローラ16は、利用者によって室内で使用されることを想定している。また、空気調和機1は、無線通信回線によって、端末装置17から空調運転指示を受信する。端末装置17は、例えば、インターネット回線、携帯電話回線などを介して空気調和機1と無線通信を行う。端末装置17は、利用者によって室内の外部すなわち外出先、および室内で使用されることを想定している。端末装置17は、例えば、携帯型のクラウド端末であるが、これに限定されない。空気調和機1では、図示しない通信装置が、空気調和機用リモートコントローラ16および端末装置17からの空調運転指示を受信し、空調運転指示を制御部5に出力する。空気調和システム100において空気調和機1は、利用者から空気調和機用リモートコントローラ16または端末装置17を介して受け付けた空調運転指示に従って室内の空調制御を行う。
【0011】
空気調和機1の構成について説明する。空気調和機1は、制御部5と、室外温度センサ部7と、室内温度センサ部8と、空気調和部14と、環境構築後タイマ部15と、を備える。
【0012】
空気調和部14は、室内機と室外機とを有しており、室内機が設置された室内を対象に空調を制御する。空気調和部14は、例えば、建物の屋外などに設置された室外機によって室内機から送られた空気と外気との間で熱交換を行う。空気調和部14は、空気調和機1の制御部5からの運転指令によって空調運転を行い、空気調和機1の制御部5からの停止指令によって空調運転を停止する。
【0013】
制御部5は、空気調和機1、換気装置2、および空気撹拌装置3の動作を制御する。制御部5は、本実施の形態に係る空気調和システム100の各構成要素と通信を行い、空気調和システム100全体の処理を制御する。
【0014】
室外温度センサ部7は、建物外すなわち室外の温度である室外温度を計測する。室外温度センサ部7は、通信回線を介して、計測した室外温度を室外温度情報として制御部5に送信する。室外温度センサ部7は、定期的に室外温度を計測してもよいし、制御部5から室外温度情報の送信を指示する室外温度検知指示を受信してから室外温度を計測してもよい。室外温度センサ部7は、専用の温度センサであってもよいし、空気調和機1の室外機が備える外気温度検出用の温度センサであってもよい。空気調和機1は、室外に配置された複数の室外温度センサ部7で計測された室外温度の平均値を室外温度として扱ってもよい。
【0015】
室内温度センサ部8は、室内の温度を計測する。具体的には、室内温度センサ部8は、室内の天井付近の気温である室内天井温度を計測する。室内天井温度は、例えば、空気調和システム100の空調制御対象となる室内の天井から規定された範囲内の気温である。室内温度センサ部8は、通信回線を介して、計測した室内天井温度を室内天井温度情報として制御部5に送信する。室内温度センサ部8は、定期的に室内天井温度を計測してもよいし、制御部5から室内天井温度情報の送信を指示する室内天井温度検知指示を受信してから室内天井温度を計測してもよい。室内温度センサ部8は、専用の温度センサであってもよいし、空気調和機1の室内機が備える室内気温検出用の温度センサであってもよい。空気調和機1は、室内の天井付近に配置された複数の室内温度センサ部8で計測された室内天井温度の平均値を室内天井温度として扱ってもよい。
【0016】
環境構築後タイマ部15は、運転中の空気調和機1、具体的には室内温度センサ部8によって計測される室内天井温度が利用者からの空調運転指示に含まれる目標温度と同値になってから、すなわち快適な環境が構築されてからの経過時間を計測する。環境構築後タイマ部15は、通信回線を介して、快適な環境が構築されてからの経過時間を環境構築後タイマ情報として制御部5に送信する。
【0017】
換気装置2の構成について説明する。換気装置2は、停止期間タイマ部9と、運転継続タイマ部10と、換気部12と、を備える。
【0018】
換気部12は、室内の空気を換気、すなわち室内の空気を建物外に排出して建物外の外気を室内に供給する。換気部12は、例えば、換気扇であり、部屋全体または建物全体の換気を行う。換気部12は、空気調和機1の制御部5からの運転指令によって換気運転を行い、空気調和機1の制御部5からの停止指令によって換気運転を停止する。
【0019】
停止期間タイマ部9は、換気部12が換気運転を停止してからの停止期間を計測する。停止期間タイマ部9は、通信回線を介して、換気部12が換気運転を停止してからの停止期間を停止期間タイマ情報として制御部5に送信する。
【0020】
運転継続タイマ部10は、換気部12が換気運転を開始してからの継続時間を計測する。運転継続タイマ部10は、通信回線を介して、換気部12が換気運転を開始してからの継続時間を運転継続タイマ情報として制御部5に送信する。なお、停止期間タイマ情報および運転継続タイマ情報、すなわち換気装置2における停止期間および継続時間をあわせて換気装置の運転状態と称する場合がある。
【0021】
空気撹拌装置3の構成について説明する。空気撹拌装置3は、撹拌部13と、床面温度センサ部6と、を備える。
【0022】
撹拌部13は、室内の空気の撹拌し、室内の空気を循環させることで室内の気温の偏りを均一に整えて維持する。撹拌部13は、例えば、室内設置型のサーキュレータであり、床面または床面付近に設置される。撹拌部13は、空気調和機1の制御部5からの運転指令によって撹拌運転を行い、空気調和機1の制御部5からの停止指令によって撹拌運転を停止する。
【0023】
床面温度センサ部6は、空気調和システム100の空調制御対象となる室内の床面温度を計測する。床面温度センサ部6は、通信回線を介して、計測した床面温度を床面温度情報として制御部5に送信する。床面温度センサ部6は、定期的に床面温度を計測してもよいし、制御部5から床面温度情報の送信を指示する床面温度検知指示を受信してから床面温度を計測してもよい。空気調和機1は、空気撹拌装置3の外部の室内に配置された複数の床面温度センサ部6で計測された床面温度の平均値を床面温度として扱ってもよい。
【0024】
検知装置4は、外出先から戻った利用者が室内に入室することを事前に検知する。検知装置4は、利用者が室内に入室する前に得られる情報を受信することで、利用者の入室を検知する。このような情報としては、例えば、端末装置17が外出先の利用者から受け付けて送信する空気調和機1に対する空調運転指示、利用者が運転する自動車に搭載されたカーナビゲーションまたは利用者が携帯する端末装置17のGPS(Global Positioning System)機能による位置情報、カーナビゲーションに設定された行き先の情報などが挙げられる。
【0025】
検知装置4は、人検知センサ部11を備える。人検知センサ部11は、空気調和システム100の空調制御対象となる室内において人の存在を検知する。ここでは、室内に存在する人は利用者であるとする。人検知センサ部11は、通信回線を介して、検知結果すなわち室内に利用者がいるか否かの情報を利用者有無情報として制御部5に送信する。なお、利用者有無情報を検知結果と称する場合がある。人検知センサ部11は、定期的に利用者の存在を検知してもよいし、制御部5から利用者有無情報の送信を指示する利用者有無検知指示を受信してから利用者の存在を検知してもよい。図1の例では、検知装置4が備える人検知センサ部11で室内の利用者の存在を検出しているが、これに限定されない。空気調和システム100は、検知装置4が備える人検知センサ部11に替えて、例えば、空気調和機1に備えられた図示しない人感センサ、室内照明に配置された人感センサなどを用いてもよい。
【0026】
つづいて、空気調和システム100の動作について説明する。図2は、本実施の形態に係る空気調和システム100の動作を示す第1のフローチャートである。図3は、本実施の形態に係る空気調和システム100の動作を示す第2のフローチャートである。図4は、本実施の形態に係る空気調和システム100の動作を示す第3のフローチャートである。図5は、本実施の形態に係る空気調和システム100の動作を示す第4のフローチャートである。図6は、本実施の形態に係る空気調和システム100の動作を示す第5のフローチャートである。図2から図6に示すフローチャートによって空気調和システム100の一連の動作を示している。図2から図6に示すフローチャートは、実際には、空気調和システム100が備える各装置の動作を制御する制御部5の制御内容を示すものである。
【0027】
ここで、図2から図6のフローチャートに示すように、後述するステップS10、ステップS13、ステップS15、およびステップS16の判定結果によって、空気調和システム100の動作は、大きくA,B,C,Dの4つのパターンに分類される。Aのパターンは、換気装置2が換気運転を停止してからの期間が短く、室内の換気が不要な場合のフローである。Cのパターンは、室内に利用者がいるため、換気装置2の換気運転および空気撹拌装置3の撹拌運転を行わず、すぐに空気調和機1による空調制御を行う場合のフローである。BのパターンおよびDのパターンは、いずれも換気装置2が換気運転を停止してからの期間が長く、室内に利用者が存在しない場合のフローである。
【0028】
Bのパターンは、床面温度情報および室内天井温度情報の平均値である室内温度Terと室外温度Teoとの第1の差分Tdef1が利用者が予め設定した第1の温度差分閾値Tth1より大きく、空気調和機1の運転モードが暖房運転の場合、または、室内温度Terと室外温度Teoとの第1の差分Tdef1が第1の温度差分閾値Tth1より大きく、空気調和機1の運転モードが冷房運転かつ室内温度Ter≦室外温度Teoの場合のフローである。空気調和システム100は、Bのパターンでは、室内温度Terと室外温度Teoとの間にある第1の温度差分閾値Tth1以上の第1の差分Tdef1を保ち、空気調和機1の運転負荷が増加する事態をできるだけ回避するための制御を行う。具体的には、空気調和システム100は、換気装置2の換気運転が停止した後に空気撹拌装置3が撹拌運転するよう制御する。空気調和システム100は、換気装置2および空気撹拌装置3の同時運転を回避し、換気装置2および空気撹拌装置3の同時運転による換気能力の高い換気を行わないようにする。
【0029】
Dのパターンは、室内温度Terと室外温度Teoとの第1の差分Tdef1が第1の温度差分閾値Tth1以下の場合、または、室内温度Terと室外温度Teoとの第1の差分Tdef1が第1の温度差分閾値Tth1より大きく、空気調和機1の運転モードが冷房運転かつ室内温度Ter>室外温度Teoの場合のフローである。空気調和システム100は、Dのパターンでは、換気によって室内にこもった熱を室外に排出するための制御、または、室内温度Terと室外温度Teoとの間にある第1の温度差分閾値Tth1未満の第1の差分Tdef1が失われても空気調和機1の運転負荷の増加は小さいことから、室内全体の空気の換気を優先して行うための制御を行う。空気調和システム100は、Dのパターンでは、換気による室内温度の変化を許容している。具体的には、空気調和システム100は、換気装置2の換気運転中に空気撹拌装置3の撹拌運転を行い、換気装置2および空気撹拌装置3の同時運転による換気能力の高い換気を行う。空気調和システム100は、換気装置2および空気撹拌装置3の同時運転によって、急速な換気を行うことができ、また、室内全体に新鮮な空気を取り入れることができる。
【0030】
図2から図6のフローチャートを用いて、空気調和システム100の動作を説明する。空気調和機1において、制御部5は、空調運転指示を受信したか否かを判定する(ステップS0)。利用者は、空気調和機1を動作させる場合、外出先では端末装置17から、または、室内では空気調和機用リモートコントローラ16から、目標温度、運転モード、運転開始時刻などで構成される空調運転指示を空気調和機1に送信する。制御部5は、空調運転指示を受信していない場合(ステップS0:No)、空調運転指示を受信するまで待機する。
【0031】
制御部5は、空調運転指示を受信した場合(ステップS0:Yes)、現在の時刻が、空調運転指示に含まれる運転開始時刻になったか否かを判定する(ステップS1)。制御部5は、現在の時刻が運転開始時刻になっていない場合(ステップS1:No)、受信した空調運転指示は予約設定であるとして、ステップS0の処理に戻る。制御部5は、ステップS1:Noの場合にステップS0の処理に戻ることによって、利用者が端末装置17または空気調和機用リモートコントローラ16から新たに空調運転指示を送信した場合に、新たに送信された空調運転指示に対応することが可能となる。なお、制御部5は、ステップS0の処理に戻ってから新たに空調運転指示を受信しなかった場合、受信している空調運転指示の運転開始時刻になった場合は、現在の時刻が運転開始時刻になったと判定してもよい。また、空調運転指示に運転開始時刻が含まれていない場合、制御部5は、空調運転指示を受信した時点で現在の時刻が運転開始時刻になったと判定してもよい。
【0032】
制御部5は、現在の時刻が運転開始時刻になった場合(ステップS1:Yes)、空気調和システム100、詳細には空気調和部14、換気部12、および撹拌部13に対する制御を開始する。まず、制御部5は、床面温度センサ部6に、床面温度情報の送信を指示する床面温度検知指示を送信する(ステップS2)。床面温度センサ部6は、床面温度検知指示を受信すると、床面温度を計測し、床面温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、床面温度検知指示の応答として、床面温度情報を受信する(ステップS3)。制御部5は、室内温度センサ部8に、室内天井温度情報の送信を指示する室内天井温度検知指示を送信する(ステップS4)。室内温度センサ部8は、室内天井温度検知指示を受信すると、室内天井温度を計測し、室内天井温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、室内天井温度検知指示の応答として、室内天井温度情報を受信する(ステップS5)。
【0033】
制御部5は、室外温度センサ部7に、室外温度情報の送信を指示する室外温度検知指示を送信する(ステップS6)。室外温度センサ部7は、室外温度検知指示を受信すると、室外温度を計測し、室外温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、室外温度検知指示の応答として、室外温度情報を受信する(ステップS7)。制御部5は、停止期間タイマ部9に、停止期間タイマ情報の送信を指示する停止期間タイマ計測指示を送信する(ステップS8)。停止期間タイマ部9は、停止期間タイマ計測指示を受信すると、受信した時点において換気部12が換気運転を停止している停止期間を停止期間タイマ情報として制御部5に送信する。制御部5は、停止期間タイマ計測指示の応答として、停止期間タイマ情報を受信する(ステップS9)。
【0034】
制御部5は、停止期間タイマ情報Tsと、利用者が予め設定した換気装置2の換気部12における最大停止時間を示す停止上限期間Tslとを比較する(ステップS10)。停止上限期間Tslは、室内で許容される換気されない状態の上限時間である。制御部5は、停止期間タイマ情報Tsが停止上限期間Tsl未満の場合(ステップS10:Yes)、換気部12が以前に行った換気運転から十分な期間が空いていない、すなわち室内の換気は不要として、換気部12に運転指令を送信せず、ステップS29の動作に進む。ステップS10:Yesの場合が前述のAのパターンである。ステップS29以降の動作については後述する。
【0035】
制御部5は、停止期間タイマ情報Tsが停止上限期間Tsl以上の場合(ステップS10:No)、換気部12が以前に行った換気運転から十分な期間が空いている、すなわち室内の換気が必要と判定する。制御部5は、人検知センサ部11に、利用者有無情報の送信を指示する利用者有無検知指示を送信する(ステップS11)。人検知センサ部11は、利用者有無検知指示を受信すると、受信した時点の室内において人すなわち利用者の存在を検知し、利用者有無情報を制御部5に送信する。制御部5は、利用者有無検知指示の応答として、利用者有無情報を受信する(ステップS12)。制御部5は、室内に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS13)。制御部5は、室内に利用者が存在する場合(ステップS13:Yes)、換気部12および撹拌部13に運転指令を送信せず、ステップS42の動作に進む。ステップS13:Yesの場合が前述のCのパターンである。ステップS42以降の動作については後述する。
【0036】
制御部5は、室内に利用者が存在しない場合(ステップS13:No)、換気部12に、換気運転の開始を指示する運転指令を送信する(ステップS14)。制御部5は、受信した床面温度情報および室内天井温度情報の平均値を算出し、算出した平均値を室内の温度を示す室内温度Terとする。また、制御部5は、室内温度Terと室外温度情報で示される室外温度Teoとの第1の差分Tdef1を算出する。制御部5は、算出した第1の差分Tdef1と、利用者が予め設定した第1の温度差分閾値Tth1とを比較する(ステップS15)。
【0037】
制御部5は、第1の差分Tdef1≧第1の温度差分閾値Tth1の場合(ステップS15:Yes)、ステップS0で受信した空調運転指示に含まれる空気調和機1の運転モードを判定し、さらに、室内温度Terと室外温度Teoとを比較する(ステップS16)。制御部5は、空気調和機1の運転モードが暖房運転の場合、または、空気調和機1の運転モードが冷房運転かつ室内温度Ter≦室外温度Teoの場合(ステップS16:No)、ステップS17の動作に進む。ステップS16:Noの場合が前述のBのパターンである。ステップS17以降の動作については後述する。
【0038】
制御部5は、第1の差分Tdef1<第1の温度差分閾値Tth1の場合(ステップS15:No)、ステップS57の動作に進む。また、制御部5は、空気調和機1の運転モードが冷房運転かつ室内温度Ter>室外温度Teoの場合(ステップS16:Yes)、ステップS57の動作に進む。ステップS15:NoおよびステップS16:Yesの場合が前述のDのパターンである。ステップS57以降の動作については後述する。
【0039】
Bのパターンの動作について説明する。制御部5は、ステップS16:Noの場合、人検知センサ部11に利用者有無検知指示を送信する(ステップS17)。人検知センサ部11は、利用者有無検知指示を受信すると、受信した時点の室内において利用者の存在を検知し、利用者有無情報を制御部5に送信する。制御部5は、利用者有無検知指示の応答として、利用者有無情報を受信する(ステップS18)。制御部5は、室内に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS19)。制御部5は、室内に利用者が存在する場合(ステップS19:Yes)、空気調和機1の空調運転を開始する必要があるため、換気部12に換気運転の停止を指示する停止指令を送信し(ステップS20)、ステップS42の動作に進む。換気部12は、換気運転を停止する。ステップS42以降の動作については後述する。
【0040】
制御部5は、室内に利用者が存在しない場合(ステップS19:No)、第1の差分Tdef1と、利用者が予め設定した第2の温度差分閾値Tth2とを比較する(ステップS21)。なお、第1の温度差分閾値Tth1<第2の温度差分閾値Tth2とする。
【0041】
制御部5は、第1の差分Tdef1≧第2の温度差分閾値Tth2の場合(ステップS21:No)、運転継続タイマ部10に、換気運転開始からの継続時間を計測した運転継続タイマ情報の送信を指示する運転継続タイマ計測指示を送信する(ステップS22)。運転継続タイマ部10は、運転継続タイマ計測指示を受信すると、運転継続タイマ情報を制御部5に送信する。制御部5は、運転継続タイマ計測指示の応答として、運転継続タイマ情報を受信する(ステップS23)。制御部5は、運転継続タイマ情報Tcと、第1の差分Tdef1≧第2の温度差分閾値Tth2の場合の換気部12における換気運転の上限時間として利用者が予め設定した第1の運転上限時間Tculとを比較する(ステップS24)。制御部5は、運転継続タイマ情報Tc≧第1の運転上限時間Tculの場合(ステップS24:Yes)、換気部12に換気運転の停止を指示する停止指令を送信し(ステップS25)、ステップS29の動作に進む。換気部12は、換気運転を停止する。制御部5は、運転継続タイマ情報Tc<第1の運転上限時間Tculの場合(ステップS24:No)、ステップS17の動作に戻る。
【0042】
制御部5は、第1の差分Tdef1<第2の温度差分閾値Tth2の場合(ステップS21:Yes)、運転継続タイマ部10に運転継続タイマ計測指示を送信する(ステップS26)。運転継続タイマ部10は、運転継続タイマ計測指示を受信すると、運転継続タイマ情報を制御部5に送信する。制御部5は、運転継続タイマ計測指示の応答として、運転継続タイマ情報を受信する(ステップS27)。制御部5は、運転継続タイマ情報Tcと、第1の差分Tdef1<第2の温度差分閾値Tth2の場合の換気部12における換気運転の上限時間として利用者が予め設定した第2の運転上限時間Tcllとを比較する(ステップS28)。なお、第1の運転上限時間Tcul>第2の運転上限時間Tcllとする。制御部5は、運転継続タイマ情報Tc≧第2の運転上限時間Tcllの場合(ステップS28:Yes)、換気部12に換気運転の停止を指示する停止指令を送信し(ステップS25)、ステップS29の動作に進む。換気部12は、換気運転を停止する。制御部5は、運転継続タイマ情報Tc<第2の運転上限時間Tcllの場合(ステップS28:No)、ステップS17の動作に戻る。このように、制御部5は、第1の差分Tdef1と第2の温度差分閾値Tth2との比較結果に基づいて換気部12に換気運転をさせた後、換気部12の換気運転を停止させる。
【0043】
制御部5は、ステップS10:Yesの場合、またはステップS25の動作後、床面温度センサ部6に床面温度検知指示を送信する(ステップS29)。床面温度センサ部6は、床面温度検知指示を受信すると、床面温度を計測し、床面温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、床面温度検知指示の応答として、床面温度情報を受信する(ステップS30)。制御部5は、室内温度センサ部8に室内天井温度検知指示を送信する(ステップS31)。室内温度センサ部8は、室内天井温度検知指示を受信すると、室内天井温度を計測し、室内天井温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、室内天井温度検知指示の応答として、室内天井温度情報を受信する(ステップS32)。
【0044】
制御部5は、床面温度Tfrと室内天井温度Tcelとの第2の差分Tdef2を算出する。制御部5は、算出した第2の差分Tdef2と、利用者が予め設定した第3の温度差分閾値Tth3および第4の温度差分閾値Tth4とを比較する(ステップS33)。なお、第2の温度差分閾値Tth2<第3の温度差分閾値Tth3<第4の温度差分閾値Tth4とする。制御部5は、第3の温度差分閾値Tth3≦第2の差分Tdef2<第4の温度差分閾値Tth4の場合(ステップS33:Tth3以上Tth4未満)、撹拌部13に「弱」設定の撹拌運転の開始を指示する運転指令を送信する(ステップS34)。制御部5は、第2の差分Tdef2≧第4の温度差分閾値Tth4の場合(ステップS33:Tth4以上)、撹拌部13に「強」設定の撹拌運転の開始を指示する運転指令を送信する(ステップS35)。このように、制御部5は、床面温度Tfrと室内天井温度Tcelとの第2の差分Tdef2が第3の温度差分閾値Tth3以上の場合、撹拌部13に撹拌運転させる。
【0045】
制御部5は、人検知センサ部11に利用者有無検知指示を送信する(ステップS36)。人検知センサ部11は、利用者有無検知指示を受信すると、受信した時点の室内において利用者の存在を検知し、利用者有無情報を制御部5に送信する。制御部5は、利用者有無検知指示の応答として、利用者有無情報を受信する(ステップS37)。制御部5は、室内に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS38)。制御部5は、室内に利用者が存在する場合(ステップS38:Yes)、空気調和機1の空調運転を開始する必要があるため、撹拌部13に撹拌運転の停止を指示する停止指令を送信し(ステップS39)、ステップS42の動作に進む。撹拌部13は、撹拌運転を停止する。ステップS42以降の動作については後述する。制御部5は、室内に利用者が存在しない場合(ステップS38:No)、ステップS29の動作に戻る。
【0046】
制御部5は、第2の差分Tdef2<第3の温度差分閾値Tth3の場合(ステップS33:Tth3未満)、撹拌部13が運転中か否かを判定する(ステップS40)。制御部5は、撹拌部13が運転中の場合(ステップS40:Yes)、撹拌部13に撹拌運転の停止を指示する停止指令を送信する(ステップS41)。撹拌部13は、撹拌運転を停止する。制御部5は、撹拌部13が停止している場合(ステップS40:No)、ステップS41の動作を省略し、ステップS42の動作に進む。
【0047】
制御部5は、換気部12が換気運転を行っていない状態および撹拌部13が撹拌運転を行っていない状態において、空気調和部14の空調運転を制御する。制御部5は、ステップS0で受信した空調運転指示に基づいて、空気調和部14に運転指令を送信する(ステップS42)。空気調和部14は、受信した運転指令に従って空調運転を行う。制御部5は、室内温度センサ部8に室内天井温度検知指示を送信する(ステップS43)。室内温度センサ部8は、室内天井温度検知指示を受信すると、室内天井温度を計測し、室内天井温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、室内天井温度検知指示の応答として、室内天井温度情報を受信する(ステップS44)。制御部5は、空調運転指示に含まれる目標温度と、室内天井温度情報とを比較し、目標温度と室内天井温度情報との間に差分があるか否かを判定する(ステップS45)。差分がない場合とは、室内天井温度が目標温度になった場合である。制御部5は、差分がある場合(ステップS45:Yes)、ステップS43の動作に戻る。
【0048】
制御部5は、差分がない場合(ステップS45:No)、空調運転指示の送信元が端末装置17の場合に端末装置17に対して、室内天井温度が空調運転指示に含まれる目標温度になった旨、すなわち快適な空気環境の構築が完了した旨を示す快適環境構築完了メールを送信する(ステップS46)。快適環境構築完了メールを第1の通知と称する場合がある。制御部5は、メール送信後、環境構築後タイマ部15に、快適な空気環境の構築が完了してからの経過時間を示す環境構築後タイマ時間の計測を指示する。環境構築後タイマ部15は、環境構築後タイマ時間の計測を開始する(ステップS47)。
【0049】
制御部5は、人検知センサ部11に利用者有無検知指示を送信する(ステップS48)。人検知センサ部11は、利用者有無検知指示を受信すると、受信した時点の室内において利用者の存在を検知し、利用者有無情報を制御部5に送信する。制御部5は、利用者有無検知指示の応答として、利用者有無情報を受信する(ステップS49)。制御部5は、室内に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS50)。制御部5は、室内に利用者が存在する場合(ステップS50:Yes)、動作を終了する。制御部5は、室内に利用者が存在しない場合(ステップS50:No)、環境構築後タイマ部15に、環境構築後タイマ情報の送信を指示する環境構築後タイマ計測指示を送信する(ステップS51)。環境構築後タイマ部15は、環境構築後タイマ計測指示を受信すると、環境構築後タイマ情報を制御部5に送信する。制御部5は、環境構築後タイマ計測指示の応答として、環境構築後タイマ情報を受信する(ステップS52)。
【0050】
制御部5は、環境構築後タイマ情報と、利用者が予め設定した待機時間である第1の待機時間To1とを比較する(ステップS53)。制御部5は、環境構築後タイマ情報が第1の待機時間To1未満の場合(ステップS53:No)、ステップS48の動作に戻る。制御部5は、環境構築後タイマ情報が第1の待機時間To1以上の場合(ステップS53:Yes)、利用者の端末装置17に喚起メールを送信する(ステップS54)。喚起メールを第2の通知と称する場合がある。制御部5は、ステップS46で送信した快適な空気環境の構築が完了した旨のメールに利用者が気付いていないことが想定されるため、再度利用者の端末装置17に利用者の帰宅を喚起するメールを送信する。制御部5は、環境構築後タイマ情報と、利用者が予め設定した待機時間である第2の待機時間To2とを比較する(ステップS55)。なお、第1の待機時間To1<第2の待機時間To2とする。制御部5は、環境構築後タイマ情報が第2の待機時間To2未満の場合(ステップS55:No)、ステップS48の動作に戻る。制御部5は、環境構築後タイマ情報が第2の待機時間To2以上の場合(ステップS55:Yes)、空気調和部14に空調運転の停止を指示する運転停止指令を送信し(ステップS56)、動作を終了する。空気調和部14は、空調運転を静止する。第1の待機時間To1および第2の待機時間To2をまとめて、待機時間と称する場合がある。なお、制御部5は、環境構築後タイマ情報が第1の待機時間To1以上の場合(ステップS53:Yes)、喚起メールを送信せず、空気調和部14に空調運転の停止を指示する運転停止指令を送信してもよい。
【0051】
Dのパターンの動作について説明する。制御部5は、ステップS15:NoまたはステップS16:Yesの場合、床面温度センサ部6に床面温度検知指示を送信する(ステップS57)。床面温度センサ部6は、床面温度検知指示を受信すると、床面温度を計測し、床面温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、床面温度検知指示の応答として、床面温度情報を受信する(ステップS58)。制御部5は、室内温度センサ部8に室内天井温度検知指示を送信する(ステップS59)。室内温度センサ部8は、室内天井温度検知指示を受信すると、室内天井温度を計測し、室内天井温度情報を制御部5に送信する。制御部5は、室内天井温度検知指示の応答として、室内天井温度情報を受信する(ステップS60)。
【0052】
制御部5は、床面温度Tfrと室内天井温度Tcelとの第2の差分Tdef2を算出する。制御部5は、第2の差分Tdef2と、第3の温度差分閾値Tth3および第4の温度差分閾値Tth4とを比較する(ステップS61)。制御部5は、第3の温度差分閾値Tth3≦第2の差分Tdef2<第4の温度差分閾値Tth4の場合(ステップS61:Tth3以上Tth4未満)、撹拌部13に「弱」設定の撹拌運転の開始を指示する運転指令を送信する(ステップS62)。制御部5は、第2の差分Tdef2≧第4の温度差分閾値Tth4の場合(ステップS61:Tth4以上)、撹拌部13に「強」設定の撹拌運転の開始を指示する運転指令を送信する(ステップS63)。このように、制御部5は、床面温度Tfrと室内天井温度Tcelとの第2の差分Tdef2が第3の温度差分閾値Tth3以上の場合、撹拌部13に撹拌運転させる。ステップS62またはステップS63の後、空気調和システム100では、換気部12および撹拌部13が同時運転することになる。
【0053】
制御部5は、人検知センサ部11に利用者有無検知指示を送信する(ステップS64)。人検知センサ部11は、利用者有無検知指示を受信すると、受信した時点の室内において利用者の存在を検知し、利用者有無情報を制御部5に送信する。制御部5は、利用者有無検知指示の応答として、利用者有無情報を受信する(ステップS65)。制御部5は、室内に利用者が存在するか否かを判定する(ステップS66)。制御部5は、室内に利用者が存在する場合(ステップS66:Yes)、空気調和機1の空調運転を開始する必要があるため、撹拌部13に撹拌運転の停止を指示する停止指令を送信し(ステップS67)、換気部12に換気運転の停止を指示する停止指令を送信し(ステップS68)、ステップS42の動作に進む。撹拌部13は、撹拌運転を停止する。換気部12は、換気運転を停止する。ステップS42以降の動作は前述の通りである。制御部5は、室内に利用者が存在しない場合(ステップS66:No)、ステップS57の動作に戻る。
【0054】
制御部5は、第2の差分Tdef2<第3の温度差分閾値Tth3の場合(ステップS61:Tth3未満)、換気部12に換気運転の停止を指示する停止指令を送信する(ステップS69)。換気部12は、換気運転を停止する。制御部5は、撹拌部13が運転中か否かを判定する(ステップS70)。制御部5は、撹拌部13が運転中の場合(ステップS70:Yes)、撹拌部13に撹拌運転の停止を指示する停止指令を送信する(ステップS71)。撹拌部13は、撹拌運転を停止する。制御部5は、撹拌部13が停止している場合(ステップS70:No)、ステップS71の動作を省略し、ステップS42の動作に進む。ステップS42以降の動作は前述の通りである。
【0055】
このように、制御部5は、利用者が室内に入室する前において換気部12および撹拌部13の動作を制御する。なお、制御部5は、ステップS33からステップS35、およびステップS61からステップS63において、床面温度Tfrと室内天井温度Tcelとの第2の差分Tdef2と、第3の温度差分閾値Tth3および第4の温度差分閾値Tth4とを比較することによって撹拌部13の運転を制御しているが、これに限定されない。利用者が温度差分閾値を予めより細かく設定することによって、制御部5は、撹拌部13の運転をより細かく制御することができる。すなわち、撹拌部13に対する制御内容を、停止、弱運転、および強運転の3つ以外に増やすことが可能である。
【0056】
また、制御部5は、ステップS15の動作において、床面温度情報および室内天井温度情報の平均値を算出し、算出した平均値を室内温度としていたが、これに限定されない。制御部5は、室内天井温度情報すなわち室内天井温度を室内温度として用いてもよい。また、制御部5は、ステップS43からステップS45の動作において、目標温度と比較するために室内天井温度情報を取得していたが、これに限定されない。制御部5は、さらに床面温度センサ部6から床面温度情報を取得し、床面温度情報および室内天井温度情報の平均値として室内温度を算出し、目標温度と算出した室内温度とを比較してもよい。
【0057】
つづいて、空気調和機1の制御部5のハードウェア構成について説明する。制御部5は処理回路により実現される。処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサおよびメモリであってもよいし、専用のハードウェアであってもよい。
【0058】
図7は、本実施の形態に係る空気調和機1が備える処理回路をプロセッサおよびメモリで構成する場合の例を示す図である。処理回路がプロセッサ91およびメモリ92で構成される場合、空気調和機1の処理回路の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。処理回路では、メモリ92に記憶されたプログラムをプロセッサ91が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、処理回路は、制御部5の処理が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ92を備える。また、これらのプログラムは、制御部5の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0059】
ここで、プロセッサ91は、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、またはDSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。また、メモリ92には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
【0060】
処理回路が専用のハードウェアで構成される場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部5の各機能を機能別に処理回路で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路で実現してもよい。なお、制御部5の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態によれば、空気調和システム100において、空気調和機1の制御部5は、室内温度と室外温度との差分、室内温度および室外温度の大小関係、利用者が空調運転指示で指定する空気調和機1の運転モード、換気装置2の換気運転の停止期間および継続時間などに基づいて、換気装置2の換気運転の有無、空気撹拌装置3の撹拌運転の有無、換気装置2および空気撹拌装置3の同時運転の有無を判定し、換気装置2の換気運転および空気撹拌装置3の撹拌運転を適切な時間行わせることとした。これにより、空気調和システム100は、利用者の入室前に空調制御を行う場合において、空気調和機1の動作前に、換気装置2の換気運転および空気撹拌装置3の撹拌運転を行うことができる。
【0062】
また、空気調和システム100は、24時間換気システムが非対応の換気装置を導入している室内であっても、暖房運転または冷房運転に関わらず、利用者の入室前に室内に新鮮な空気を流入させ、空気撹拌装置3の撹拌運転によって室内温度を均一に整えて、空気調和機1を動作させた際の負荷を軽減しつつ、快適に空調された空間を提供することができる。
【0063】
また、空気調和システム100は、外出先の利用者が端末装置17を介して空気調和システム100を動作させた後、快適な環境が構築されたにも関わらず入室しない場合、喚起メールを送信することで空気調和機1の運転電力浪費を抑制することができる。
【0064】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 空気調和機、2 換気装置、3 空気撹拌装置、4 検知装置、5 制御部、6 床面温度センサ部、7 室外温度センサ部、8 室内温度センサ部、9 停止期間タイマ部、10 運転継続タイマ部、11 人検知センサ部、12 換気部、13 撹拌部、14 空気調和部、15 環境構築後タイマ部、16 空気調和機用リモートコントローラ、17 端末装置、100 空気調和システム、Tc 運転継続タイマ情報、Tcul 第1の運転上限時間、Tcll 第2の運転上限時間、Tcel 室内天井温度、Tdef1 第1の差分、Tdef2 第2の差分、Teo 室外温度、Ter 室内温度、Tfr 床面温度、To1 第1の待機時間、To2 第2の待機時間、Ts 停止期間タイマ情報、Tsl 停止上限期間、Tth1 第1の温度差分閾値、Tth2 第2の温度差分閾値、Tth3 第3の温度差分閾値、Tth4 第4の温度差分閾値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7