(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の適応冷却開口部(120)がそれぞれ、前記コーティングシステム(200)内へと部分的に延在し、前記複数の適応冷却開口部(120)の前記第2の端部(124)が前記コーティングシステム(200)内に画定され、かつ前記厚さ(204)よりも浅い前記コーティングシステム(200)の深さの下側で覆われている、請求項1に記載の構成部品(80)。
前記複数の適応冷却開口部(120)の少なくとも1つが、前記外壁(94)に垂直となる方向(97)に対して、鋭角(142)をなす向きに方向付けられている、請求項1に記載の構成部品(80)。
配置(150)において前記複数の適応冷却開口部(120)の群をさらに備え、前記群のそれぞれにおける前記複数の適応冷却開口部(120)がそれぞれ、前記群の他の前記複数の適応冷却開口部(120)とは異なる方向に、前記鋭角(142)だけ回転する、請求項4に記載の構成部品(80)。
前記外壁(94)の内部に画定された内壁(96)であって、前記内壁(96)が、その内部に画定され、かつ自身を貫通する開口部(102)を含み、また前記少なくとも1つのプレナム(110)が、前記内壁(96)の内部に画定されている、内壁(96)と、 前記内壁(96)と前記外壁(94)との間に画定された、少なくとも1つのチャンバ(112)とをさらに備え、前記開口部(102)が、前記少なくとも1つのプレナム(110)から前記少なくとも1つのチャンバ(112)を通して、前記外壁(94)に向かって前記冷却液(101)のインピンジメント噴流(105)を送るように構成され、また前記第1の端部(122)が、前記少なくとも1つのチャンバ(112)と流体連通状態で連結されている、
請求項1に記載の構成部品(80)。
前記第1の端部(122)が、前記外壁(94)内で前記外面(92)に対してほぼ平行に延在している流路(170)と流体連通状態で連結されており、前記流路(170)が、前記少なくとも1つのプレナム(110)と流体連通している、請求項1に記載の構成部品(80)。
前記複数の適応冷却開口部(120)のそれぞれの断面積(126)が、前記第1の端部(122)と前記第2の端部(124)との間で概ね縮小している、請求項1に記載の構成部品(80)。
前記タービン部(18)が、複数のロータブレード(70)と、複数のステータベーン(72)とを含み、前記構成部品(80)が、前記ロータブレード(70)のうちの1つ又は前記ステータベーン(72)のうちの1つを備え、また前記複数の適応冷却開口部(120)が、前記構成部品(80)の前縁(84)に配置されている、請求項10に記載の回転機械(10)。
前記構成部品(80)の上流側に補助圧縮機(60)をさらに備え、前記補助圧縮機(60)が、前記構成部品(80)の剥離領域(250)の前記複数の適応冷却開口部(120)に供給するのに必要となる、前記冷却液(101)の追加流に応じて、前記少なくとも1つのプレナム(110)に供給される前記冷却液(101)の圧力を増大させるように構成されている、請求項10に記載の回転機械(10)。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の明細書及び特許請求の範囲において、いくつかの用語に言及しているが、それらは以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0009】
単数形「1つの(a、an)」、及び「この(the)」は、文脈で別途明確に指示しない限り、複数の言及を含む。
【0010】
「任意の(optional)」又は「任意に(optionally)」は、後に記載される事象又は状況が生じてもよいし、また生じなくてもよいことを意味し、またその記載が、事象が生じる場合と、生じない場合とを含むことを意味する。
【0011】
本明細書及び特許請求の範囲を通してここで使用している近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動できる任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ(about)」、「約(approximately)」、及び「実質的に(substantially)」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例において、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応している場合がある。ここで、並びに明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、範囲の限界を特定してもよい。このような範囲は、組み合わせ及び/又は置き換えが可能であり、文脈又は文言が別途指示しない限り、本明細書に含まれる全ての部分範囲を含む。
【0012】
さらに、別途指定のない限り、「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、本明細書において単に標識として使用されているにすぎず、これらの用語が言及する要素について順序、位置、又は階層上の要件を加えることを意図するものではない。さらに、たとえば「第2の」要素への言及は、たとえば「第1の」要素若しくはより小さい数字で言及される要素、及び/又は「第3の」要素若しくはより大きい数字で言及される要素の存在を必要とするものでも、排除するものでもない。
【0013】
本明細書に記載している例示的な構成部品は、構成部品の内部冷却を行う公知のシステムに関連した欠点の少なくとも一部を克服するものである。より具体的には、本明細書に記載している実施形態は、構成部品の外壁内に画定された複数の適応冷却開口部を含む。この外壁の外面にはコーティングが施されている。これらの開口部はそれぞれ、構成部品の少なくとも1つの内部プレナムと流体連通している第1の端部から、外面を通って外方に、コーティングの厚さの少なくとも一部によって、その下側で覆われている第2の端部まで延在している。たとえば剥離事象によって、コーティングが適応冷却開口部の第2の端部の深さまで損傷又は剥離した後、内部冷却流路からの冷却液が、適応冷却開口部を通って構成部品の外部へと送られ、追加の局所冷却をもたらすことで、たとえば剥離事象を緩和することになる。
【0014】
図1は、本開示の実施形態を用いることができる、いくつかの構成部品を有する例示的な回転機械10の概略図である。この例示的な実施形態では、回転機械10は、吸気部12と、吸気部12の下流側に連結された圧縮機部14と、圧縮機部14の下流側に連結された燃焼器部16と、燃焼器部16の下流側に連結されたタービン部18と、タービン部18の下流側に連結された排気部20とを備えるガスタービンである。ほぼ管状のケーシング36は、吸気部12、圧縮機部14、燃焼器部16、タービン部18、若しくは排気部20のうちの1つ又は複数を少なくとも部分的に包囲している。代替実施形態では、回転機械10は、本明細書に記載しているように、内部流路を備えて形成された構成部品を使用するのに適した、任意の回転機械である。また、例示する目的で、回転機械に関連して本開示の実施形態を記載しているが、本明細書に記載している実施形態が、高温環境に暴露される構成部品を使用する任意の状況でも適用可能であることを理解すべきである。
【0015】
例示的な実施形態では、ロータシャフト22を介して、タービン部18が圧縮機部14へと連結されている。なお、本明細書で使用する場合、「連結する」という用語は、構成部品間の直接の機械的、電気的、及び/又は連絡的接続に限定されず、複数の構成部品間の間接の機械的、電気的、及び/又は連絡的接続をさらに含み得る。
【0016】
回転機械10の動作中、吸気部12は圧縮機部14に向かって空気を送る。圧縮機部14は、この空気を圧縮してより高い圧力及び温度にする。より具体的には、圧縮機部14内のロータシャフト22に連結された圧縮機ブレード40の少なくとも1つの円周方向列に対し、ロータシャフト22が回転エネルギーを伝達する。例示的な実施形態では、圧縮機ブレード40の各列に先行して、ケーシング36から半径方向内側に延在している圧縮機ステータベーン42の円周方向列が設けられており、これらの圧縮機ステータベーン42が空気流を圧縮機ブレード40内へと送っている。圧縮機ブレード40の回転エネルギーにより、空気の圧力及び温度が上昇する。圧縮機部14は、燃焼器部16に向かって圧縮空気を放出する。
【0017】
燃焼器部16では、圧縮空気が燃料と混合され、これに点火されて燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスがタービン部18に向かって送られる。より具体的には、燃焼器部16は少なくとも1つの燃焼器24を含み、そこでは、たとえば天然ガス及び/又は燃料油などの燃料が空気流に注入され、次いでこの燃料−空気混合気に点火されて、その後タービン部18に向かって送られることになる高温燃焼ガスを発生させている。
【0018】
タービン部18は、燃焼ガス流中の熱エネルギーを機械的回転エネルギーへと変換する。より具体的には、タービン部18内のロータシャフト22に連結されたロータブレード70の少なくとも1つの円周方向列に対し、この燃焼ガスが回転エネルギーを伝達する。例示的な実施形態では、ロータブレード70の各列に先行して、ケーシング36から半径方向内側に延在しているタービンステータベーン72の円周方向列が設けられており、これらのタービンステータベーン72が燃焼ガスをロータブレード70内へと送っている。ロータシャフト22は、発電機及び/又は機械駆動アプリケーションなどであるが、これらに限定されない負荷(図示せず)に連結されてもよい。放出された燃焼ガスは、タービン部18から下流側に流れて排気部20へと進入する。回転機械10を通過する燃焼ガスの流路は、回転機械10の高温ガス流路を画定している。回転機械10の構成部品を、構成部品80として示す。高温ガス流路に近接した構成部品80は、回転機械10の動作中に高温に暴露されている。代替実施形態では、構成部品80は、高温環境に暴露される任意の用途における任意の構成部品である。
【0019】
図2は、回転機械10(
図1に示す)で使用されるように図示した、例示的な構成部品80の概略斜視図である。
図3は、構成部品80を、3−3線(
図2に示す)に沿って見た概略断面図である。
図4は、
図3では部分4として示す、構成部品80の一部の概略斜視断面図である。
図2〜
図4を参照すると、構成部品80は、事前に選択された厚さ104を有する外壁94を備える。さらに、例示的な実施形態では、構成部品80は、内部に画定された少なくとも1つの内部空隙100を備える。たとえば回転機械10の動作中、内部空隙100に冷却液101が供給されて、構成部品80の温度が高温燃焼ガスの温度未満に維持されやすいようになっている。
【0020】
構成部品80は、構成部品材料78から形成されている。例示的な実施形態では、構成部品材料78は好適なニッケル基超合金である。代替実施形態では、構成部品材料78は、コバルト基超合金、鉄基合金、又はチタン基合金のうちの少なくとも1つである。他の代替実施形態では、構成部品材料78はセラミック基複合材(ceramic matrix composite:CMC)である。他の代替実施形態では、構成部品材料78は、本明細書に記載しているように構成部品80を機能させることができる、任意の好適な材料である。
【0021】
例示的な実施形態では、構成部品80は、ロータブレード70又はステータベーン72のうちの一方である。代替実施形態では、構成部品80は、回転機械10の別の好適な構成部品である。さらに他の実施形態では、構成部品80は、高温環境に暴露される任意の用途における任意の構成部品である。
【0022】
例示的な実施形態では、ロータブレード70、又はステータベーン72は、正圧側面74、及び対向する負圧側面76を含む。正圧側面74及び負圧側面76はそれぞれ、前縁84から対向する後縁86まで延在している。さらに、ロータブレード70、又はステータベーン72は、根元端部88から対向する先端部90まで延在している。構成部品80の長手方向軸89は、根元端部88と先端部90との間に画定されている。代替実施形態では、ロータブレード70、又はステータベーン72は、本明細書に記載している事前に選択された外壁厚さとなるように形成できる、任意の好適な構成を有する。
【0023】
外壁94は、構成部品80の外面92と、外面92に対向する内面93とを少なくとも部分的に画定している。例示的な実施形態では、外壁94は、前縁84と後縁86との間で円周方向に延在し、また根元端部88と先端部90との間で、さらに長手方向に延在している。代替実施形態では、外壁94は、構成部品80をその意図する目的に沿って機能させることができる、任意の好適な程度まで延在している。外壁94は、構成部品材料78から形成されている。
【0024】
また、少なくとも1つの内部空隙100は、外壁94の内部に画定された、少なくとも1つのプレナム110を含む。例示的な実施形態では、プレナム110はそれぞれ、根元端部88から先端部90の近くまで延在している。代替実施形態では、各プレナム110は、本明細書に記載しているように構成部品80を機能させることができる任意の好適な方法で、かつ任意の好適な程度まで、構成部品80内に延在している。
【0025】
たとえば、
図4に示す実施形態では、構成部品80は、外壁94の内部に配置された内壁96を備え、また少なくとも1つのプレナム110は、内壁96及びその内部によって少なくとも部分的に画定されている。例示的な実施形態では、少なくとも1つのプレナム110は、内壁96によってそれぞれ画定された複数のプレナム110と、正圧側面74と負圧側面76との間に少なくとも部分的に延在している、少なくとも1つの隔壁95とを備える。たとえば、図示している実施形態では、隔壁95はそれぞれ、正圧側面74の外壁94から負圧側面76の外壁94まで延在している。代替実施形態では、少なくとも1つの隔壁95は、正圧側面74の内壁96から負圧側面76の内壁96まで延在している。付加的又は代替的に、少なくとも1つの隔壁95は、正圧側面74の内壁96から外壁94まで、かつ/又は負圧側面76の内壁96から外壁94まで延在している。他の代替実施形態では、少なくとも1つの内部空隙100は、任意の好適な方法で画定された、任意の好適な数のプレナム110を含む。内壁96は、構成部品材料78から形成されている。
【0026】
さらに、いくつかの実施形態では、内壁96の少なくとも一部は、外壁94の少なくとも一部に隣接して円周方向及び長手方向に延在し、そこから内壁96の少なくとも一部が離隔距離98だけ離隔され、その結果、少なくとも1つの内部空隙100が、内壁96と外壁94との間に画定された、少なくとも1つのチャンバ112をさらに含むことになる。例示的な実施形態では、この少なくとも1つのチャンバ112は、それぞれが外壁94、内壁96、及び少なくとも1つの隔壁95によって画定された、複数のチャンバ112を含む。代替実施形態では、少なくとも1つのチャンバ112は、任意の好適な方法で画定された、任意の好適な数のチャンバ112を含む。例示的な実施形態では、内壁96は厚さ107を有し、かつ自身を貫通する複数の開口部102を画定しており、その結果、チャンバ112がそれぞれ、少なくとも1つのプレナム110と流体連通することになる。
【0027】
例示的な実施形態では、プレナム110を通って供給され、内壁96内に画定された開口部102を通って放出されて、外壁94の内面93へと向かう冷却液101によって、外壁94の効果的なインピンジメント冷却を促進するように、離隔距離98が選択されている。一例として、限定はしないが、離隔距離98は構成部品80に沿って円周方向及び/又は長手方向に変動し、これによって外壁94のそれぞれの部分に沿った局所冷却の要件を容易に満たすようにしている。代替実施形態では、任意の好適な方法で離隔距離98が選択されている。例示的な実施形態においても、外壁94の効果的なインピンジメント冷却を促進するように選択されたパターン103において、開口部102が配置されている。一例として、限定はしないが、パターン103は構成部品80に沿って円周方向及び/又は長手方向に変動し、これによって外壁94のそれぞれの部分に沿った局所冷却の要件を容易に満たすようにしている。代替実施形態では、任意の好適な方法でパターン103が選択されている。
【0028】
いくつかの実施形態では、開口部102がそれぞれ、冷却液101が開口部102を通り、インピンジメント噴流105で内面93に向かって放出されるような大きさ及び形状とされている。たとえば、開口部102はそれぞれ、実質的に円形又は卵形の断面を有する。代替実施形態では、開口部102はそれぞれ、本明細書に記載しているように開口部102を機能させることができる、任意の好適な形状及び大きさとされている。
【0029】
例示的な実施形態では、外壁94は構成部品80の動作負荷を実質的に支持している一方、内壁96及び/又は隔壁95は、支持する負荷がほんの少量である少なくとも1つの挿入バッフルによって形成されている。代替実施形態では、内壁96及び/又は隔壁95は外壁94と一体的に形成され、かつ/又は構成部品80の動作負荷の大部分をこれらが支持している。
【0030】
また例示的な実施形態では、外壁94は、構成部品80と高温ガス環境との境界を画定しており、またその厚さ104は、より厚い外壁を有する構成部品と比較して、その流れを減少させた冷却液101を使用することにより、外壁94の効果的な冷却を促進するように選択されている。代替実施形態では、外壁厚さ104は、構成部品80をその意図する目的に沿って機能させることができる、任意の好適な厚さである。特定の実施形態では、外壁厚さ104は外壁94に沿って変動している。代替実施形態では、外壁厚さ104は外壁94に沿って一定である。
【0031】
例示的な実施形態では、外壁94は、自身を貫通して延在している放出開口部99を含み、この放出開口部99は、構成部品80が稼働状態に入っても、コーティングシステム200(以下に記載)によって妨害されず、またチャンバ112から自身を通して冷却液101を放出し、これにより、以下に記載している適応冷却に加えて、外壁94の外部にベースラインフィルム冷却をもたらしている。代替実施形態では、外壁94は放出開口部99を含まず、少なくとも1つの内部空隙100が、少なくとも1つのチャンバ112と流体連通している少なくとも1つの戻り流路114をさらに含むことにより、この戻り流路114がそれぞれ、外壁94のインピンジメント冷却に使用される冷却液101を流す戻り液用流路を供給することになる。他の代替実施形態では、構成部品80は、放出開口部99及び戻り流路114の両方を含む。少なくとも1つの内部空隙100が、ロータブレード70又はステータベーン72のうちの一方である構成部品80を冷却するにあたり使用するプレナム110、チャンバ112、及び必要に応じて戻り流路114を含むものとして示しているが、代替実施形態では、構成部品80が、任意の好適な用途に使用される任意の好適な構成部品であり、また構成部品80をその意図する目的に沿って機能させることができる、任意の好適な数、タイプ、及び構成の内部空隙100を備えることを理解すべきである。たとえば、いくつかの実施形態では、構成部品80は、外壁94のインピンジメント冷却用に構成されていない。
【0032】
例示的な実施形態では、構成部品80は、外壁94の外面92に施されたコーティングシステム200をさらに備える。このコーティングシステム200は、外壁94を高温環境から保護するために選択された、少なくとも1つの材料から形成されている。たとえば、
図7に関してより詳述しているように、コーティングシステム200は、外面92に隣接し、かつこれに接着するように構成された好適なボンドコート層と、このボンドコート層に隣接する1つ又は複数の好適な遮熱表層とを含む。代替実施形態では、コーティングシステム200は、層及び厚さを好適に組み合わせた任意のものが適用される、任意の好適な材料又は材料の組み合わせから形成されている。コーティングシステム200は、全厚さ204を有する。図示を明確にするために、
図2ではコーティングシステム200を表示していない。
【0033】
たとえば動作中に、冷却液101は構成部品80の根元端部88を通って、プレナム110へと供給される。この冷却液が概ね先端部90に向かって流れるとき、冷却液101の噴流105は開口部102を通ってチャンバ112内へと押し流され、次いで外壁94の内面93に突き当たる。例示的な実施形態では、その後、使用済みの冷却液101は、外壁94及びコーティングシステム200を貫通して延在している放出開口部99を通って流れる。たとえば冷却液101は、妨害されない所定の放出開口部99を通って作動液内へと放出され、これにより、以下に記載している適応冷却に加えて、外面92及びコーティングシステム200のベースラインフィルム冷却が促進されるようになる。
【0034】
代替実施形態では、使用済みの冷却液101は戻り流路114へと送られ、次いで概して根元端部88に向かって流れ、その後構成部品80から退出する。いくつかのこのような実施形態では、少なくとも1つのプレナム110、少なくとも1つのチャンバ112、及び少なくとも1つの戻り流路114をこのように配置することで、回転機械10の冷却回路の一部を形成しており、その結果、使用済みの冷却液101が、燃焼器部16(
図1に示す)の上流側で、回転機械10を通る作動液流に戻されることになる。他の代替実施形態では、構成部品80は戻り流路114及び放出開口部99の両方を備え、冷却液101の第1の部分は、燃焼器部16(
図1に示す)の上流側で、回転機械10を通る作動液流に戻され、また冷却液101の第2の部分は、放出開口部99を通って作動液内へと放出され、これにより、外面92及びコーティングシステム200のベースラインフィルム冷却が促進されるようになる。プレナム110及びチャンバ112を通過するインピンジメント流と、必要に応じて放出開口部99を通過する放出流又は流路114を通過する戻り流とを、構成部品80がロータブレード70及び/又はステータベーン72である実施形態に関して記載しているが、プレナム110、チャンバ112、放出開口部99及び/又は戻り流路114から形成される回路は、回転機械10のあらゆる構成部品80に適しており、さらに他のあらゆる用途に使用されるあらゆる好適な構成部品80に適している。
【0035】
外壁94は、その内部に画定され、かつ自身を通って延在している複数の適応冷却開口部120を含む。より具体的には、適応冷却開口部120はそれぞれ、少なくとも1つのプレナム110と流体連通している第1の端部122から、外面92を通って外方に、第2の端部124まで延在している。例示的な実施形態では、第1の端部122は外壁94の内面93内に画定され、かつこの内面93を貫通して延在し、また少なくとも1つのチャンバ112を介して、少なくとも1つのプレナム110と流体連通している。代替実施形態では、この第1の端部122は、少なくとも1つのプレナム110と流体連通している外壁94内の任意の適切な位置に画定されている。たとえば、第1の端部122は、
図11に関して本明細書に記載しているように、外壁94内で外面92に対してほぼ平行に延在している流路170と流体連通状態で連結されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、
図4に示すように、第2の端部124は外壁94の外面92に画定され、かつこの外面92を貫通して延在しており、その結果、第2の端部124は、コーティングシステム200の厚さ204全体の下に隠れている。他の実施形態では、
図7に関して本明細書に記載するように、第2の端部124はコーティングシステム200内に画定されており、これによって適応冷却開口部120がコーティングシステム200内へと部分的に延在するようにしている。いずれの場合でも、例示的な実施形態では、構成部品80が稼働状態に入ると、各適応冷却開口部120の第2の端部124は、コーティングシステム200の厚さ204の少なくとも一部によって、その下側で覆われ、その結果、適応冷却開口部120を介し、外壁94を通って冷却液101が放出される際、コーティングシステム200によってその少なくとも一部が妨害されるようになる。換言すれば、構成部品80が稼働状態に入ると、適応冷却開口部120は、コーティングシステム200によって少なくとも部分的に妨害されるようになる。いくつかのそのような実施形態では、コーティングシステム200は多孔質であり、これにより動作中、コーティングシステム200が適応冷却開口部120の上方で損傷していない場合でも、冷却液101の一部が適応冷却開口部120を通って漏れ、その結果、外壁94の外面92及びコーティングシステム200のベースラインフィルム冷却がさらに促進されるようになる。他のそのような実施形態では、コーティングシステム200は無孔質であり、これにより、コーティングシステム200が適応冷却開口部120の上方で損傷していない場合、コーティングシステム200により、適応冷却開口部120が効果的に行き止まり状になる。
【0037】
また
図4には、構成部品80の稼働中に、コーティングシステム200の少なくとも一部が剥離した状態の、例示的な剥離領域250を示している。
図5は、例示的な剥離領域250を含む、構成部品80の外壁94の斜視図である。たとえば、領域250は、コーティングシステム200が回転機械10(
図1に示す)の動作中に高温環境によって剥離するか、あるいは劣化すると形成される。いくつかの実施形態では、構成部品80は、回転機械10(
図1に示す)のロータブレード70又はステータベーン72のうちの一方であり、剥離領域250は、構成部品80の前縁84に沿って形成される。代替実施形態では、構成部品80は、高温環境に暴露されるあらゆる用途におけるあらゆる構成部品であり、かつ/又は剥離領域250は、構成部品80上の任意の位置に形成される。
【0038】
図4及び
図5に示す実施形態では、コーティングシステム200の全厚さ204が剥離領域250から剥離しており、外面92が高温動作環境に直接暴露されている。代替実施形態では、厚さ204の一部のみが剥離領域250で剥離又は損傷している。たとえば、コーティングシステム200の表層は、
図7及び
図8に関して本明細書により詳述するように、剥離領域250で離層する。
【0039】
コーティングシステム200が損傷又は剥離することにより、外壁94、及び剥離領域250におけるコーティングシステム200の露出部分252の熱暴露が増大することになる。適応冷却開口部120により、剥離領域250で冷却の必要性が増大している状況に、構成部品80が適応できるようになる。より具体的には、コーティングシステム200が剥離すると、剥離領域250内の各適応冷却開口部120の第2の端部124は完全に妨害されない状態となり、冷却液101が、少なくとも1つのプレナム110から適応冷却開口部120を通って外壁94の外部へと流れるための流路を形成し、これにより、外壁94及び剥離領域250におけるコーティングシステム200の露出部分252に対し、まず構成部品80内の内部冷却回路によってもたらされる冷却に加えて、追加の局所冷却(たとえば、ボア冷却及び/又は外側フィルム冷却)がもたらされることになる。
【0040】
適応冷却開口部120を通過する妨害されない流れは剥離領域250内でのみ発生するため、結果として生じる適応冷却応答は、剥離領域250の大きさ及び位置に応じて自己調整されている。特定の実施形態では、構成部品80の冷却液101の全流量は、剥離領域250が発生し得る可能性を考慮しなければならないが、その場合でも、構成部品80に使用される冷却液101の全流量要件は、外壁94のより広い領域上に常設の貫通開口部を含むように設計された類似の構成部品と比較して低下するものであり、これはなぜなら、冷却流の放出が、構成部品80の稼働中に形成される剥離領域250に適応的に制限されるためである。さらに、いくつかの実施形態では、適応冷却開口部120によってもたらされる冷却は、たとえば外壁94及び/又は領域250におけるコーティングシステム200の露出部分252の一体性を維持し、また剥離領域250の大きさの拡大を防止することにより、剥離事象の緩和を促進している。
【0041】
いくつかの実施形態では、例示的な実施形態における回転機械10(
図1に示す)などの構成部品80が設置される本システムは、剥離領域250の発生に応答して、構成部品80に供給される冷却液101の少なくとも1つの特性を変更するように構成された、追加のサブシステムを備える。たとえば、いくつかのそのような実施形態では、本システムは、構成部品80の上流側に補助圧縮機60を備える。補助圧縮機60は、剥離領域250の適応冷却開口部120に供給するのに必要となる追加流に対応するために、少なくとも1つのプレナム110に供給される冷却液101の圧力、ひいては流量を増大させる。さらに、いくつかのそのような実施形態では、本システムは、補助圧縮機60の上流側にあり、冷却液101の温度を低下させるように構成された熱交換器62を備える。たとえば、冷却液101の温度を低下させる熱交換器62により、補助圧縮機60によってその後行われる冷却液101の圧縮が容易になり、かつ/又は構成部品80に供給される冷却液101の冷却効率が改善される。あるいは補助圧縮機60は、熱交換器62なしで使用される。
【0042】
特定の実施形態では、補助圧縮機60、及び設置する場合は熱交換器62の動作は、本システムにおける複数の構成部品80の稼働時間に基づいて選択的に調整される。たとえば、その稼働時間に基づいて、構成部品80における一定のレベルの剥離又は他の損傷が想定され、補助圧縮機60及び熱交換器62は、想定されるレベルの損傷に応じて、冷却液101の流量及び/又は冷却効率を増大させるように調整される。あるいは、いくつかの実施形態では、補助圧縮機60及び熱交換器62は、本システムにおける少なくとも1つの好適な測定動作パラメータに基づいて能動的に制御される。たとえば、この少なくとも1つの測定動作パラメータの値に変動が検出された場合、閾値量の冷却液101が複数の構成部品の剥離領域250を通って流れ、またそれに応じて、補助圧縮機60及び熱交換器62が、冷却液101の流量及び/又は冷却効率を増大させるように、自動的に制御されることを示している。代替実施形態では、補助圧縮機60及び熱交換器62は、本明細書に記載しているように補助圧縮機60及び熱交換器62を機能させることができる、任意の好適な方法で操作されている。他の代替実施形態では、本システムは補助圧縮機60及び熱交換器62を備えない。
【0043】
図4及び
図5において、適応冷却開口部120をそれぞれ、第1の端部122から第2の端部124まで、外壁94にほぼ垂直となる方向に延在するように示しているが、特定の実施形態では、少なくとも1つの適応冷却開口部120の向きは、外壁94に垂直となる向き以外である。より具体的には、
図6を参照すると、特定の実施形態では、少なくとも1つの適応冷却開口部120は、外壁94に垂直となる方向97に対して測定した場合、鋭角をなす向きに方向付けられている。そのような一実施形態を
図6に示しており、これは、外壁94で使用できる適応冷却開口部120の例示的な配置150を表す概略斜視図である。
図6では、図示を容易にするために、適応冷却開口部120の配置150を包囲する外壁94の一部が、破線と共に透過表示されている。
【0044】
例示的な実施形態では、適応冷却開口部120はそれぞれ、以下でさらに述べているように、その回転方向は異なり得るが、法線方向97に対して測定した場合、同じ鋭角142をなす向きに方向付けられている。代替実施形態では、少なくとも1つの適応冷却開口部120の鋭角142は、適応冷却開口部120の別の鋭角142と大きさが異なっている。特定の実施形態では、鋭角142はそれぞれ、約30度〜約60度の範囲となるように選択されている。より具体的には、例示的な実施形態では、鋭角142はそれぞれ、約37度となるように選択されている。代替実施形態では、鋭角142はそれぞれ、本明細書に記載しているように適応冷却開口部120を機能させることができる、任意の好適な大きさとなるように選択されている。いくつかの実施形態では、鋭角142をなす向きに方向付けられた適応冷却開口部120により、剥離領域250(
図5に示す)の露出部分252に沿った、コーティングシステム200の冷却の増大が促進される。より具体的には、いくつかのそのような実施形態では、鋭角142をなす向きに方向付けられた適応冷却開口部120は、露出部分252の縁部にほぼ平行となる法線方向97ではなく、少なくとも部分的に露出部分252に向かって冷却液101を送っている。たとえば、少なくとも部分的に露出部分252に冷却液101が送られることにより、露出部分252の冷却が増大し、これにより、コーティングシステム200が過熱してさらに剥離することが抑制される。
【0045】
例示的な実施形態では、配置150は、外壁94にわたって分散配置される適応冷却開口部120の繰返し群によって形成され(1つの群を示している)、当該群の適応冷却開口部120はそれぞれ、当該群の他の適応冷却開口部120とは異なる方向に、鋭角142だけ回転する。したがって、外面92のいずれに剥離領域250が形成されるかに関係なく、適応冷却開口部120の少なくとも1つは、少なくとも部分的にコーティングシステム200の露出部分252に向けられ、これにより、露出部分252の冷却の増大が促進され、その結果、剥離領域250の拡大が抑制されることになる。
【0046】
たとえば、図示の実施形態では、配置150の繰返し群はそれぞれ、外壁94の立方体部分における4つの各側面に配置された、4つの適応冷却開口部120を含む。当該群の適応冷却開口部120はそれぞれ、異なる方向に鋭角142だけ回転され、この回転方向は、当該群において隣接する適応冷却開口部120に対して、90度だけ進められる。その結果、各適応冷却開口部120の第1の端部122は、隣接する適応冷却開口部120の第2の端部124の真下に位置することになる。図示している配置150は、外面92のいずれに剥離領域250が形成されるかに関係なく、適応冷却開口部120の少なくとも1つがコーティングシステム200の露出部分252に少なくとも部分的に向けられるようにさらに促進する。代替実施形態では、配置150の各群は、本明細書に記載しているように配置150を機能させることができる、任意の好適な数及び向きの適応冷却開口部120を含む。
【0047】
代替実施形態では、各群の少なくともいくつかの適応冷却開口部120は、同じ方向に鋭角142だけ回転される。たとえばいくつかの実施形態では、外壁94は、回転機械10(
図1に示す)を通過する作動液流の局所方向など、既知の概ね一致する外部流160(
図5に示す)の方向に暴露されている。適応冷却開口部120はそれぞれ、第2の端部124が、接近する外部流160の方向に向かって少なくとも部分的に傾斜し、すなわち、少なくとも部分的に対向するように方向付けられている。したがって、剥離領域250が形成されると、適応冷却開口部120はそれぞれ、外部流方向160に対向する速度成分で、第2の端部124から冷却液101を流す。剥離領域250の露出部分252における前縁部分253及び後縁部分254で、接近する外部流の局所動的圧力が変動することにより、剥離領域250の中央部に方向付けられた適応冷却開口部120が流す冷却液101の流量が少なくなる一方、剥離領域250の露出部分252に最も近接した適応冷却開口部120が流す冷却液101の流量はより多くなり、再度コーティングシステム200の過熱及び剥離の促進を抑制することになる。
【0048】
代替実施形態では、適応冷却開口部120は、本明細書に記載しているように適応冷却開口部120を機能させることができる、任意の好適な方法で方向付けられる。
【0049】
図7は、構成部品80の外壁94に関する別の例示的な実施形態の概略断面図である。
図8は、別の例示的な剥離領域250を含む、外壁94の概略断面図である。図示の実施形態では、コーティングシステム200は、外面92に隣接し、かつこれに接着するように構成されたボンドコート層210と、ボンドコート層210に隣接した少なくとも1つの追加層とを含む。より具体的には、例示的な実施形態では、コーティングシステム200は、ボンドコート層210に隣接し、かつ接着するように構成された中間層212と、この中間層212に隣接し、かつ接着するように構成された表層、すなわち断熱層214とをさらに含む。たとえば、例示的な実施形態では、ボンドコート層210は、Mが鉄、コバルト、若しくはニッケルであり、Yがイットリア若しくは別の希土類元素である、拡散アルミナイド又はMcrAlYを含むアルミニウムリッチ材料である。代替実施形態では、ボンドコート層210は、本明細書に記載しているようにボンドコート層210を機能させることができる、任意の好適な材料である。例示的な実施形態では、中間層212はイットリア安定化ジルコニアを含む。代替実施形態では、中間層212は、本明細書に記載しているように中間層212を機能させることができる、任意の好適な材料である。例示的な実施形態では、断熱層214は、たとえばジルコニウム基又はハフニウム基酸化物格子構造(ZrO2又はHfO2)、並びに酸化イッテルビウム(Yb2O3)、酸化イットリア(Y2O3)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化タンタル(Ta2O5)、若しくは酸化ジルコニウム(ZrO2)のうちの1つ又は複数を含む酸化安定剤化合物(酸化「ドーパント」とも呼ばれる)を含む、超低熱伝導率のセラミック材料である。代替実施形態では、断熱層214は、本明細書に記載しているように断熱層214を機能させることができる、任意の好適な材料である。代替実施形態では、コーティングシステム200は、任意の好適な数及びタイプの層を含む。
【0050】
上述のように、適応冷却開口部120はそれぞれ、少なくとも1つのプレナム110と流体連通している第1の端部122から、外面92を通って外方に、第2の端部124まで延在している。
図7及び
図8に示す実施形態では、第2の端部124はコーティングシステム200内に画定されており、これによって適応冷却開口部120がコーティングシステム200内へと部分的に延在するようにしている。構成部品80が稼働状態に入ると、適応冷却開口部120の第2の端部124は、非ゼロの深さ220を有するコーティングシステム200の一部によって、その下側で覆われる。
【0051】
例示的な実施形態では、第2の端部124がコーティングシステム200の表層又は断熱層214内に配置されることにより、適応冷却開口部120がボンドコート層210及び中間層212の全厚さ、並びに断熱層214の第1の内側部分216のみの厚さを通って延在することになり、またその結果、第2の端部124が、断熱層214の残りの、第2の外側部分218の深さ220によって、その下側で覆われることになる。したがって、
図8に示すように、断熱層214の第2の部分218の深さ220と少なくとも等しい深さまで剥離領域250が形成されると、剥離領域250における各適応冷却開口部120の第2の端部124は完全に妨害されない状態となり、冷却液101が少なくとも1つのプレナム110から適応冷却開口部120を通って外壁94の外部へと流れるための流路を形成し、これにより、外壁94及び剥離領域250におけるコーティングシステム200の露出部分252に対し、構成部品80内の内部冷却回路によってもたらされる冷却に加えて、追加の局所冷却(たとえば、ボア冷却及び/又は外側フィルム冷却)がもたらされることになる。代替実施形態では、第2の端部124は、コーティングシステム200内で任意の好適な深さ220で画定され、かつ/又は本明細書に記載しているように適応冷却開口部120を機能させることができる、コーティングシステム200における任意の好適な層又はその内部で終端している。
【0052】
たとえば、いくつかの実施形態では、剥離領域250は、断熱層214の第1の部分216から断熱層214の第2の部分218が層間剥離を起こしたものとして発生する傾向があり、また第2の部分218の標準深さ220は、外壁94のそれぞれの領域に対して経験的に決定されてもよい。次に、外壁94の各領域における適応冷却開口部120の第2の端部124の設計位置が、その領域の標準深さ220に対応するように選択され、その結果、適応冷却開口部120が、外壁94のそれぞれの領域において最も多い初期の層間剥離深さで作動することになる。したがって、適応冷却開口部120の第2の端部124の深さは、たとえば外壁94及び/又は領域250におけるコーティングシステム200の残りの層の一体性を維持し、かつ/又は剥離領域250の大きさが拡大するのを防止することにより、初期の層間剥離事象の緩和を促進するように選択されている。代替実施形態では、第2の端部124の設計位置は、本明細書に記載しているように適応冷却開口部120を機能させることができる、任意の好適な方法で選択される。
【0053】
代替実施形態では、第2の端部124は、ボンドコート層210と中間層212との界面に画定され、また中間層212及び断熱層214の第1の部分216は多孔質材料とされ、その結果、断熱層214において深さ220までの層間剥離又は剥離が発生することにより、上述のように、第2の端部124、多孔質中間層212、及び多孔質の第1の部分216を通ってコーティングシステム200の外部へと、冷却液101が流れることが可能になっている。他の代替実施形態では、第2の端部124の配置及びコーティングシステム200の少なくとも1つの層の多孔度は、該当する深さの剥離又は層間剥離事象が発生したことに応答して、適応冷却開口部120を通過する流れを増大させることができる、任意の好適な方法で選択される。たとえば、第2の端部124は、ボンドコート層210と中間層212との界面に画定され、また中間層212は多孔質材料とされ、その結果、断熱層214において全厚さの層間剥離又は剥離が発生することにより、上述のように、第2の端部124及び多孔質中間層212を通ってコーティングシステム200の外部へと、冷却液101が流れることが可能になっている。
【0054】
図9は、
図7に示す外壁94の例示的な製造段階を表す概略断面図である。例示的な実施形態では、第1の端部122から外面92まで延在している適応冷却開口部120の第1の部分は、コーティングシステム200を外壁94に添加する前に、まず外壁94に形成される。たとえば、構成部品80は、適応冷却開口部120を含まない外壁94でまず形成され、その後、適応冷却開口部120の第1の部分が、好適な機械加工法によって外壁94に形成される。別の実施例では、構成部品80は、その内部に画定される、適応冷却開口部120の第1の部分を含む外壁94でまず形成される。より具体的には、外壁94は、適応冷却開口部120の第1の部分をその内部に画定するように成形されたコアの周りに、溶融金属の構成部品材料78を鋳造することによって形成されるか、又は外壁94は積層造形法によって形成され、この積層造形法において、適応冷却開口部120は、連続的に蒸着されて外壁94を形成する、構成部品材料78の薄層内に画定されている。
【0055】
いくつかの実施形態では、外面92上にコーティングシステム200を施す前又はその間に、各適応冷却開口部120の第2の端部124にキャップ230が配置され、これによってコーティングシステム200の少なくとも一部の下に適応冷却開口部120を画定している。例示的な実施形態では、キャップ230は、適応冷却開口部120の第1の部分に挿入される長方形の部材である。より具体的には、キャップ230はそれぞれ、対応する適応冷却開口部120の第1の部分に収容される大きさ及び形状の第1の端部232から、外面92より外方に延在する大きさ及び形状の第2の端部234まで延在することで、対応する適応冷却開口部120の第2の端部124を画定している。第2の端部234が外面92から延在する状態でキャップ230が配置された後、コーティングシステム200は、キャップ230付近及びこれにわたって外面92上に、好適な噴霧蒸着法を用いる連続層などにおいて施される。コーティングシステム200が選択された厚さ204に形成された後、各キャップ230の第2の端部234は、
図9に示すように、コーティングシステム200内で深さ220となる、対応する適応冷却開口部120の第2の端部124を画定する。
【0056】
別の実施形態では、キャップ230は、コーティングシステム200の蒸着の各段階で、適応冷却開口部120が第2の端部124でキャップ230まで全て画定されるまで、各適応冷却開口部120の露出した外側端部上に配置される平坦なカバー又はブランケット(図示せず)である。他の代替実施形態では、キャップ230は、本明細書に記載しているように適応冷却開口部120を形成できるようにする、任意の好適な構造を有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、コーティングシステム200が形成された後、構成部品80が稼働状態に入る前に、キャップ230が外壁94から除去される。たとえば、キャップ230は、構成部品80が稼働状態に入る前に、好適な浸出法において構成部品80から除去できる材料から形成されている。別の実施例では、キャップ230は、構成部品80が稼働状態に入る前に、好適な加熱法において、構成部品80から溶融排出されるように構成された材料から形成されている。他の実施形態では、構成部品80が稼働状態に入る前にキャップ230は除去されず、むしろ剥離領域250(
図8に示す)がキャップ230上に形成されるまで適所にとどまる。たとえばキャップ230は、キャップ230が剥離領域250に関連する高温環境に暴露されると急速に焼け落ち、かつ/又は飛散するように構成された材料から形成され、その結果として、上述したように、対応する適応冷却開口部120の第2の端部124は妨害されない状態となり、冷却液101が、少なくとも1つのプレナム110から適応冷却開口部120を通って外壁94の外部へと流れるための流路が形成されるようになる。
【0058】
図10は、適応冷却開口部120を含む外壁94に関する、別の例示的な実施形態の概略断面図である。適応冷却開口部120の断面積126は、法線方向97に対して垂直に画定されている。特定の実施形態では、断面積126は、第1の端部122と第2の端部124との間で概ね縮小している。たとえば、例示的な実施形態では、適応冷却開口部120は外壁94内にほぼ円錐台の形状を画定しており、その結果、断面積126がほぼ円形となり、また第1の端部122と第2の端部124との間で縮小することになる。代替実施形態では、適応冷却開口部120はそれぞれ、本明細書に記載しているように適応冷却開口部120を機能させることができる、任意の好適な形状を画定している。
【0059】
いくつかのそのような実施形態では、剥離領域250(
図8に示す)が適応冷却開口部120上に形成されると、コーティングシステム200の漸次深部、及び場合によっては、外壁94が酸化する、すなわち「溶け落ちる」か、あるいは第2の端部124の深さ220よりも深くまで剥離する。断面積126は、第2の端部124を越えて第1の端部122に向かって概ね拡大するので、剥離領域250の深さが深さ220を超えて拡大することにより、それに応じて剥離領域250における適応冷却開口部120の露出断面積126が拡大し、そのために、適応冷却開口部120を通過する冷却液101の流出量が増加し、また適応フィルム冷却効果が高まることになる。いくつかのそのような実施形態では、適応冷却開口部120の形状は、コーティングシステム200及び/又は外壁94の劣化の深刻度(たとえば、幅又は深さ)に応じてもたらされるフィルム冷却の量を自動的に「調整」するような、断面積126の変動をもたらすように、事前に選択されている。たとえば、コーティングシステム200の露出部分252から材料が焼け落ちるか、又は飛散すると、コーティングシステム200のさらなる劣化を抑制するのに十分な冷却流が適応冷却開口部120から放出されるまで、断面積126が徐々に拡大していくことになる。
【0060】
図11は、適応冷却開口部120の別の実施形態を含む、構成部品80の外壁94に関する別の実施形態の概略断面図である。
図11の実施形態では、構成部品80は、内壁96及びチャンバ112を備えず、また外壁94は、インピンジメント冷却を受けるように構成された比較的薄い壁ではない。外壁94は、その内部に画定され、かつ外面92から深さ172まで外面92に対してほぼ平行に延在している少なくとも1つの流路170を含む。たとえば、少なくとも1つの流路170は、外面92に近接して自身を通して冷却液101を流して、外面92に冷却をもたらすように構成された、複数の好適なマイクロ流路170である。例示的な実施形態では、流路170はそれぞれ、外壁94内で、少なくとも1つのプレナム110と流路170の第1の端部171との間に画定された、対応するアクセス開口部174を介して、少なくとも1つのプレナム110と流体連通している。代替実施形態では、流路170はそれぞれ、本明細書に記載しているように流路170を機能させることができる、任意の好適な方法で、少なくとも1つのプレナム110と流体連通している。
【0061】
特定の実施形態では、流路170は、流路170を画定している面に沿って、タービュレータ180を含む。タービュレータ180は、流路170内の冷却液101の流動場で乱流を導入及び/又は増大させて、熱伝達を促進するように構成されている。例示的な実施形態では、タービュレータ180は、流路170を画定している面に沿った一連の隆起部として実装されている。代替実施形態では、タービュレータ180は、流路170の断面積における窪み、リブ、他の変形、表面粗さ部、及び本明細書に記載しているようにタービュレータ180を機能させることができる、任意の好適な構造として実装されている。他の代替実施形態では、流路170はタービュレータ180を含まない。
【0062】
例示的な実施形態では、流路170はそれぞれ、外面92及びコーティングシステム200を貫通して延在している第2の端部(図示せず)まで延在し、また冷却液101は、流路170の第2の端部を通って作動液内へと放出される。代替実施形態では、流路170はそれぞれ、冷却液101を別の場所、たとえば回転機械10内の閉冷却回路内などの場所へと戻す第2の端部(図示せず)まで延在している。
【0063】
ここでも、適応冷却開口部120はそれぞれ、少なくとも1つのプレナム110と流体連通している第1の端部122から、外面92を通って外方に、第2の端部124まで延在している。例示的な実施形態では、第1の端部122は流路170と交差し、かつこれと流体連通している。代替実施形態では、第1の端部122は、流路170及び/又はアクセス開口部174を介して少なくとも1つのプレナム110と流体連通している、外壁94における任意の好適な位置に画定されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、第2の端部124は、上述したように、外壁94の外面92に画定され、かつこの外面92を貫通して延在している。他の実施形態では、第2の端部124はコーティングシステム200内に画定されており、これによって適応冷却開口部120がコーティングシステム200内へと部分的に延在し、かつコーティングシステム200内で深さ220において配置されるようにしている。両方の実施形態による実施例を
図11に示している。どちらの場合でも、構成部品80が稼働状態に入ると、適応冷却開口部120の第2の端部124は、コーティングシステム200の少なくとも一部によって、その下側で覆われ、その結果、適応冷却開口部120を介して、冷却液101が外壁94から放出される可能性がなくなることになる。換言すれば、構成部品80が稼働状態に入ると、適応冷却開口部120は、ここでもコーティングシステム200によって行き止まり状になる。したがって、
図8に示すように、剥離領域250が断熱層214における第2の部分218の深さ220と少なくとも等しい深さまで形成されると、上述したように、剥離領域250における各適応冷却開口部120の第2の端部124は妨害されない状態となり、冷却液101が、少なくとも1つのプレナム110から適応冷却開口部120を通って外壁94の外部へと流れるための流路が形成されるようになる。
【0065】
図11では、適応冷却開口部120をそれぞれ、第1の端部122から第2の端部124まで、外壁94にほぼ垂直となる方向97に延在するように示しているが、特定の実施形態では、少なくとも1つの適応冷却開口部120の向きは、ここでも外壁94に垂直となる向き以外となる。より具体的には、特定の実施形態では、少なくとも1つの適応冷却開口部120は、たとえば
図6に関して上述したように、ここでも方向97に対して鋭角142をなす向きに方向付けられている。さらに、いくつかのそのような実施形態では、適応冷却開口部120の群は、
図6に関して上述したように、配置150又は別の好適な配置において方向付けられ、これにより、たとえば剥離領域250の露出部分252に向けた冷却液101の送出が促進され、かつ/又は外部流方向160(
図5に示す)に対向する速度成分での、第2の端部124からの冷却液101の送出が促進される。
【0066】
上述の実施形態により、少なくともいくつかの既知の冷却システムと比較して、内部冷却構成部品の外面の剥離又は他の劣化の緩和が改善されるようになる。具体的には、本明細書に記載している実施形態は、外面に配置されたコーティングシステムと、外壁に画定された複数の適応冷却開口部とを備える構成部品を含む。適応冷却開口部はそれぞれ、少なくとも1つのプレナムと流体連通している第1の端部から、外面を通って外方に、コーティングシステムの厚さの少なくとも一部によって、その下側で覆われている第2の端部まで延在しており、その結果、本構成部品が稼働状態に入ると、適応冷却開口部を通過する流れがコーティングシステムによって妨害されることになる。ひとたび稼働に入ると、たとえば剥離事象によってコーティングシステムに局所的な損傷が生じることにより、適応冷却開口部の第2の端部が露出し、内部冷却流路からの冷却液が、適応冷却開口部を通って本構成部品の外部へと流され、フィルム又はボアの局所冷却をもたらし、これによってたとえば剥離事象などが緩和される。また具体的には、いくつかの実施形態では、たとえば剥離事象が発生する場所がいずれであっても、少なくともいくつかの適応冷却開口部が剥離領域の縁部に向かって確実に角度付けされるようにすることで、これらの適応冷却開口部が、外壁内で剥離領域の拡大を抑制しやすいように方向付けされている。
【0067】
本明細書に記載している方法、システム、及び装置の例示的な技術的効果には、(a)内部冷却構成部品の外面及び/又は残りのコーティングに対する、遮熱コーティングの剥離若しくは他の劣化の影響を緩和するステップ、(b)剥離事象及び/又は他のコーティングシステムの層間剥離事象において最も多い局所深さの経験的測定に基づいて、コーティングシステムの初期厚さの下側にある適応冷却開口部の端部の深さを選択するステップ、又は(c)剥離領域の大きさ及び深さに基づいて、追加の局所冷却の流量を自動的に「調整」するステップのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0068】
適応冷却構成部品の例示的な実施形態を上記で詳述している。構成部品、並びにこのような構成部品を用いた方法及びシステムは、本明細書に記載している特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、システムの構成部品及び/又は本方法のステップは、本明細書に記載している他の構成部品及び/又はステップから独立して、かつ別個に利用されてもよい。たとえば、これらの例示的な実施形態を、高温環境で構成部品を用いるように現在構成されている他の多くの用途において、実現及び利用することができる。
【0069】
本開示の様々な実施形態における具体的な特徴を一部の図面には示してあって、他の図面には示していないが、これは単に便宜上のためである。本開示の原理によれば、図面の任意の特徴は、他の任意の図面における任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は特許請求することができる。
【0070】
本明細書では、実施形態を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者もこれらの実施形態を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイス又はシステムを製作かつ使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に相違しない同等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。