(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6972329
(24)【登録日】2021年11月5日
(45)【発行日】2021年11月24日
(54)【発明の名称】倉庫管理装置および倉庫管理システム
(51)【国際特許分類】
F25D 13/00 20060101AFI20211111BHJP
F24F 11/79 20180101ALI20211111BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20211111BHJP
F25D 13/02 20060101ALI20211111BHJP
【FI】
F25D13/00 101D
F24F11/79
F24F11/74
F25D13/02
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-520905(P2020-520905)
(86)(22)【出願日】2018年5月22日
(86)【国際出願番号】JP2018019676
(87)【国際公開番号】WO2019224915
(87)【国際公開日】20191128
【審査請求日】2020年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲雑▼賀 達也
(72)【発明者】
【氏名】岡島 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】大野 英希
(72)【発明者】
【氏名】田中 学
(72)【発明者】
【氏名】米澤 崇
【審査官】
笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−112605(JP,A)
【文献】
特開2016−190686(JP,A)
【文献】
特開2004−076991(JP,A)
【文献】
特開2008−302988(JP,A)
【文献】
特開平09−152258(JP,A)
【文献】
特開平10−339546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 〜 31/00
F24F 11/74
F24F 11/79
F24F 110/10
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内の空間における空気調和を行う複数の空調冷熱機器が設置された、荷物を保管する倉庫の管理を行う倉庫管理装置であって、
前記空間が幅方向、高さ方向および奥行き方向に分けられた複数の区画の、前記区画毎の温度を検出する複数の庫内温度センサと、
前記空調冷熱機器を制御する機器制御部、および前記庫内温度センサが検出する温度に基づいて前記区画の値打ち、等級または値段を表す価値を判断する価値判断部を有する制御装置と
を備える倉庫管理装置。
【請求項2】
庫内の空間における空気調和を行う複数の空調冷熱機器が設置された、荷物を保管する倉庫の管理を行う倉庫管理装置であって、
前記空間が幅方向、高さ方向および奥行き方向に分けられた複数の区画の、前記区画毎の温度を検出する複数の庫内温度センサと、
前記空調冷熱機器を制御する機器制御部、および前記庫内温度センサが検出する温度に基づいて前記区画価値を判断する価値判断部を有する制御装置とを備え、
前記価値判断部は、設定期間における前記庫内温度センサが検出する温度の最高温度と最低温度とに基づき、温度変化の少なさを基準として、前記区画の前記価値を判断する倉庫管理装置。
【請求項3】
前記価値判断部は、前記区画の温度が変化したときの、前記区画に設定された目標温度への戻りの速さを基準として、前記区画の前記価値を判断する請求項1または請求項2に記載の倉庫管理装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記区画の前記価値に基づいて課金の額を決定する課金決定部をさらに有する請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の倉庫管理装置。
【請求項5】
前記制御装置の前記機器制御部は、前記倉庫内に設置され、前記空調冷熱機器からの空気の送風方向または風量を変更する送風ユニットを制御する請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の倉庫管理装置。
【請求項6】
前記価値判断部は、前記機器制御部が行う前記空調冷熱機器または前記送風ユニットの制御により得られる前記区画の前記価値を判断する請求項5に記載の倉庫管理装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記倉庫に搬入される荷物を判定する荷物判定部と、
前記区画の前記価値に基づいて、前記荷物判定部が判定した荷物を保管する前記区画を決定する保管決定部と
を有する請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の倉庫管理装置。
【請求項8】
前記庫内温度センサと共に設けられ、発光表示を行う発光表示装置を備え、
前記保管決定部は、決定した前記区画に対応する前記発光表示装置に発光表示させる請求項7に記載の倉庫管理装置。
【請求項9】
前記庫内温度センサと共に設けられ、前記庫内温度センサに電力供給するユニット側電源装置を有する請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の倉庫管理装置。
【請求項10】
前記庫内温度センサと共に設けられ、発光表示を行う発光表示装置を備え、
前記発光表示装置は、前記ユニット側電源装置の劣化を報知する発光を行う請求項9に記載の倉庫管理装置。
【請求項11】
前記制御装置は、発光表示装置から発する光の強度から、前記ユニット側電源装置の劣化を予測する劣化予測部を有する請求項9または請求項10に記載の倉庫管理装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載された倉庫管理装置と、
複数台の前記倉庫管理装置と通信接続され、前記倉庫管理装置から送られる信号に含まれる倉庫管理に係るデータを記憶するデータ記憶装置および前記倉庫管理に係るデータを解析する解析制御装置を有する集中倉庫管理装置と
を備える倉庫管理システム。
【請求項13】
前記解析制御装置は、複数の前記倉庫における前記倉庫管理装置が有する前記倉庫管理に係るデータに基づいて、前記倉庫間の比較を行い、それぞれの前記倉庫全体に係る解析を行う請求項12に記載の倉庫管理システム。
【請求項14】
前記解析制御装置は、複数の前記倉庫における前記倉庫管理装置が有する前記倉庫管理に係るデータに基づいて、前記倉庫に設置された空調冷熱機器の入れ替えに係る判定を行う入替判定部を備える請求項12または請求項13に記載の倉庫管理システム。
【請求項15】
前記解析制御装置は、複数の前記倉庫における前記倉庫管理装置が有する前記倉庫管理に係るデータに基づいて、前記倉庫に設置され、温度を検出する複数の庫内温度センサに電力供給するユニット側電源装置の劣化を予測する集中側劣化予測部を有する請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載の倉庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、倉庫を管理する倉庫管理装置および倉庫管理システムに関するものである。特に、倉庫内の空気調和に係る制御の管理に係るものである。
【背景技術】
【0002】
食料品、貴重品などの荷物を保管する倉庫では、倉庫内の温度、湿度などの管理を行う必要がある。このため、庫内の空間を空気調和する空調冷熱機器が倉庫内に設置され、荷物の冷却などを行っている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−153017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、実際の倉庫内の空間では、温度ムラが発生することが多い。これには、(a)倉庫における荷物の運び入れ、運び出しなどの作業により、扉が開閉されることが多い、(b)ユニットクーラ、柱、棚などの位置が異なる、(c)倉庫の形状が直方体ではない場合があるなどの理由がある。
【0005】
このため、倉庫内において、温度変化が大きくなる場所など、荷物の保管環境にとって、よいとはいえない保管場所がある。逆に、倉庫内において、保管環境がよい保管場所がある。このように、荷物の保管環境に基づいて、倉庫内の保管場所について価値付けを行うことができる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を背景としてなされたもので、倉庫内の場所に対して価値を付け、価値に基づく温度管理などを行うことができる倉庫管理装置および倉庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る倉庫管理装置は、庫内の空間における空気調和を行う複数の空調冷熱機器が設置された、荷物を保管する倉庫の管理を行う倉庫管理装置であって、空間が幅方向、高さ方向および奥行き方向に分けられた複数の区画の、区画毎の温度を検出する複数の庫内温度センサと、空調冷熱機器を制御する機器制御部、および庫内温度センサが検出する温度に基づいて区画
の値打ち、等級または値段を表す価値を判断する価値判断部を有する制御装置とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、倉庫内の空間を複数の区画に分け、庫内温度センサが検出する温度に基づいて、区画の価値を判断する価値判断部を有するようにしたので、倉庫内の区画に価値を付け、価値に基づいた温度管理を行う倉庫管理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る倉庫管理システム1000を示すブロック図である。
【
図2】この発明の実施の形態1における冷凍倉庫100内の庫内温度センサ210の配置などについて説明する図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係る温度センサユニット200の構成を示す図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係る倉庫管理装置1の構成を示す図である。
【
図5】この発明の実施の形態1に係る管理側制御装置10が行う処理を説明する図である。
【
図6】この発明の実施の形態2に係る倉庫管理システム1000における集中倉庫管理装置500の構成を示す図である。
【
図7】この発明の実施の形態2に係るデータ記憶装置510に記憶された倉庫管理に係るデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態に係る倉庫管理装置および倉庫管理システムについて、図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。また、圧力および温度の高低については、特に絶対的な値との関係で高低が定まっているものではなく、装置などにおける状態、動作などにおいて相対的に定まるものとする。また、添字で区別などしている複数の同種の機器などについて、特に区別したり、特定したりする必要がない場合には、添字などを省略して記載する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る倉庫管理システム1000を示すブロック図である。
図1に基づいて、倉庫管理システム1000について説明する。
図1に示すように、倉庫管理システム1000は、対応する冷凍倉庫100を管理する複数の倉庫管理装置1を有している。倉庫管理装置1は、特に、冷凍倉庫100内の空気の温度、湿度など、空気調和に関する管理を行う。このため、倉庫管理装置1は、冷凍倉庫100内の空気調和を行う空調冷熱機器4を制御する。
【0012】
ここで、実施の形態1の倉庫管理システム1000においては、複数の冷凍倉庫100をそれぞれ管理する複数の倉庫管理装置1が、公衆通信回線400に通信接続されている。また、公衆通信回線400には、複数の冷凍倉庫100を集中管理し、各倉庫管理装置1から信号として送られた倉庫管理に係るデータを解析処理する集中倉庫管理装置500が接続されている。倉庫管理に係るデータは、集中倉庫管理装置500が有するデータ記憶装置510に記憶される。各倉庫管理装置1は、集中倉庫管理装置500から信号を受信し、処理を行うことができる。
【0013】
実施の形態1の倉庫管理システム1000では、冷凍倉庫100の空気調和を行うため、複数台の空調冷熱機器4および送風ユニット9を有している。
図1では、4台の空調冷熱機器4A〜空調冷熱機器4Dおよび4台の送風ユニット9A〜送風ユニット9Dを有している。各空調冷熱機器4は、熱源ユニット5(熱源ユニット5A〜熱源ユニット5D)とユニットクーラ6(ユニットクーラ6A〜ユニットクーラ6D)とを有している。各熱源ユニット5と各ユニットクーラ6とを、冷媒配管7(冷媒配管7A〜冷媒配管7D)で接続し、冷媒回路を構成している。また、熱源ユニット5とユニットクーラ6との間を機器通信線8(機器通信線8A〜機器通信線8D)で接続し、信号通信を行うことができる。送風ユニット9は、送風方向および風量を制御して空気を送り出す。このため、ユニットクーラ6から送られる冷たい空気を、冷凍倉庫100内の特定の場所に送り込むなどすることができる。ここで、実施の形態1の送風ユニット9は、光を検出し、検出した光に応じた信号を倉庫管理装置1に送る受光装置91(受光装置91A〜受光装置91D)を有している。ここでは、送風ユニット9が受光装置91を有しているが、それぞれ独立して設置してもよい。
【0014】
図2は、この発明の実施の形態1における冷凍倉庫100内の庫内温度センサ210の配置などについて説明する図である。実施の形態1の冷凍倉庫100では、内部の空間について、幅方向、高さ方向および奥行き方向に複数に分けた区画101を形成している。
図2では、冷凍倉庫100を直方体とし、格子状に区画101を形成しているが、空間内における区画101の形成方法については、特に限定するものではない。冷凍倉庫100内の棚、段などによって分け、区画101を形成するなどしてもよい。
【0015】
実施の形態1では、冷凍倉庫100内の複数の区画101に対し、各区画101に対応して庫内温度センサ210が配置される。したがって、冷凍倉庫100には、幅方向、高さ方向および奥行き方向のそれぞれに、複数個の庫内温度センサ210が配置される。庫内温度センサ210は、冷凍倉庫100の天井、側壁、棚などに配置される。
【0016】
実施の形態1の冷凍倉庫100では、三次元的に複数の庫内温度センサ210を配置し、庫内温度センサ210が、それぞれの位置における温度を検出する。このとき、柱、棚などの障害物による温度検出の死角がないように配置する。そして、冷凍倉庫100内の空間における空気の温度分布を詳細に把握し、解析などを行えるようにする。
【0017】
図3は、この発明の実施の形態1に係る温度センサユニット200の構成を示す図である。実施の形態1の温度センサユニット200は、前述した庫内温度センサ210に加え、複数のユニット側表示装置220、ユニット側電源装置230およびユニット側計時装置240およびユニット側制御装置250を有している。
【0018】
複数のユニット側表示装置220は、各庫内温度センサ210と共に設けられ、一体化している。ユニット側表示装置220は、ユニット側制御装置250から送られる信号に基づいて発光する発光表示装置である。たとえば、倉庫管理装置1から送られた指示に基づき、冷凍倉庫100に搬入出する荷物を保管する区画101に対応するユニット側表示装置220を発光させ、荷物が保管された区画101を、作業員に知らせることができる。また、異常な温度を検出した庫内温度センサ210に対応するユニット側表示装置220を発光させ、温度の異常を知らせることができる。また、庫内温度センサ210およびユニット側表示装置220は、共通の電池を用いて動作している。冷凍倉庫100内は、電池の消耗が激しい。ユニット側表示装置220は、電池が少なくなるなどして劣化すると、発光表示する光が弱くなり、光の強度が下がる。このため、ユニット側表示装置220が発光表示する光により、ユニット側電源装置230の劣化を報知することができる。このとき、ユニット側表示装置220は、発光色を変更するようにしてもよく、点滅表示を行ってもよい。
【0019】
ここで、実施の形態1の送風ユニット9は、受光装置91を有している。そこで、送風ユニット9は、受光により発光された方向を検出し、風を送るようにしてもよい。また、受光装置91が検出する光に基づいて、後述する劣化予測部17が、ユニット側電源装置230の劣化予測を行うようにしてもよい。また、ユニット側表示装置220は、紫外線を発光できるようにしてもよい。ユニット側表示装置220が、紫外線を発光することで、カビの発生を防止することができる。
【0020】
実施の形態1のユニット側電源装置230は蓄電池である。冷凍倉庫100内は、フォークリフト、作業員などの出入りがあるため、線の引き回しが制約される。蓄電池であれば、温度センサユニット200を動作させる電源線を必要としないので、冷凍倉庫100内の線を減らすことができる。また、ユニット側計時装置240は、時刻のデータを有している。時刻のデータは、庫内温度センサ210が検出した温度のデータと関連づけられる。また、温度センサユニット200を定期的に起動するために用いられる。
【0021】
ユニット側制御装置250は、複数の庫内温度センサ210が検出した温度に係る信号を処理する。また、ユニット側制御装置250は、温度センサユニット200全体を制御する。ユニット側制御装置250は、ユニット側信号送受信部251、ユニット側信号処理制御部252、ユニット側電源部253およびユニット側データ通信部254を有している。
【0022】
ユニット側信号送受信部251は、各庫内温度センサ210から送られる検出した温度に係る信号を受信する。また、ユニット側表示装置220に指示を含む信号を送信する。ユニット側信号処理制御部252は、受信した信号を温度のデータに変換する。このとき、ユニット側計時装置240から時刻のデータと関連づける。ユニット側電源部253は、ユニット側電源装置230からの電力供給を制御し、温度センサユニット200および庫内温度センサ210の電源管理を行う。ユニット側電源部253は、ユニット側計時装置240の計時に基づいて、温度センサユニット200を定期的に起動させ、冷凍倉庫100内の温度を検出する。ユニット側データ通信部254は、ユニット側信号処理制御部252が処理して得られたデータを含む信号を、倉庫管理装置1に送る。ここで、ユニット側データ通信部254は、無線で倉庫管理装置1に信号を送る。このため、冷凍倉庫100に通信線を敷設する必要がなく、冷凍倉庫100内の線を減らすことができる。また、ここでは、ユニット側データ通信部254が、倉庫管理装置1にデータを送るものとして説明するが、これに限定するものではない。たとえば、冷凍倉庫100のリモートコントローラ(図示せず)に送るようにしてもよい。
【0023】
図4は、この発明の実施の形態1に係る倉庫管理装置1の構成を示す図である。次に、倉庫管理装置1について説明する。倉庫管理装置1は、冷凍倉庫100の管理を行う装置である。倉庫管理装置1は、ここでは、主として、冷凍倉庫100内の温度に関する管理を行う。
【0024】
図4に示すように、倉庫管理装置1は、管理側制御装置10、管理側通信装置20、管理側入力装置30、管理側表示装置40、管理側記憶装置50および管理側計時装置60を有している。
【0025】
管理側通信装置20は、公衆通信回線400と管理側制御装置10との間における信号通信のインターフェースとなる。管理側通信装置20は、外部の機器から送られた信号を受信し、管理側制御装置10が処理を行うデータなどを抽出する。また、管理側制御装置10が処理したデータを信号に含めて、公衆通信回線400を介して、集中倉庫管理装置500に送る。
【0026】
また、管理側入力装置30は、使用者が入力する指示、設定などのデータを入力信号として管理側制御装置10に送信する。また、管理側表示装置40は、管理側制御装置10から送信される表示信号に基づいて、使用者に対する表示を行う。
【0027】
管理側記憶装置50は、管理側通信装置20が受信した信号に含まれるデータ、管理側入力装置30に入力された設定に関するデータなど、外部からのデータを含め、管理側制御装置10が処理を行うために必要となる各種データを、一時的または長期的に記憶する。また、管理側制御装置10が演算などの処理を行って得られたデータについても、一時的または長期的に記憶する。管理側計時装置60は、管理側制御装置10が演算、判定などの処理を行う際に必要となる計時を行う。
【0028】
管理側制御装置10は、倉庫内温度判定部11、価値判断部12、機器制御部13、荷物判定部14、保管決定部15、課金決定部16および劣化予測部17を有している。
【0029】
倉庫内温度判定部11は、冷凍倉庫100内に設置された庫内温度センサ210の検出に係る温度の判定を行う。価値判断部12は、冷凍倉庫100内の区画101について、庫内温度センサ210の検出に係る温度に基づいて区画価値を判断する。ここで、区画価値とは、区画101に対して、所定の基準に基づいて定められた値打ち、等級、値段などの価値である。ここでは、区画101の温度に基づいて価値が定められているものとする。区画価値における基準については、特に限定するものではない。たとえば、前述したように、冷凍倉庫100内は、温度ムラが大きい。そこで、区画101に対して設定された目標温度に対する温度変化が小さいほど、区画価値が高いものとすることができる。また、空調冷熱機器4の停止などによる温度変化があったときに、目標温度へ戻る時間が短く、復旧がはやいなど、荷物に対する保護が厚い区画101について、区画価値が高いものとすることができる。
【0030】
機器制御部13は、空調冷熱機器4および送風ユニット9の動作を制御する。また、荷物判定部14は、冷凍倉庫100内に搬入される荷物について、たとえば、荷物に付されたタグなどから、荷物と関連づけられたデータを読み取り、荷物の大きさ、保冷温度などのデータを取得する。保管決定部15は、荷物判定部14が判定した荷物について、冷凍倉庫100における保管場所となる区画101を決定する。そして、前述したように、決定した区画101に対応するユニット側表示装置220に、発光表示を行わせる指示を送る。ただし、これに限定するものではなく、保管場所の区画101を作業員が有する端末などに知らせるようにしてもよい。
【0031】
課金決定部16は、区画101に保管した荷物に対して課金を行う。ここで、課金決定部16が、どのように課金を行うかについては、特に限定するものではないが、たとえば、区画101の区画価値に基づく課金を行うようにしてもよい。また、温度ムラなどにより、区画価値を維持することが難しいような場合、区画価値の達成率に基づいて、課金を行うようにしてもよい。そして、劣化予測部17は、受光装置91からユニット側表示装置220の発光に対応した信号が送られると、信号に基づいてユニット側電源装置230の劣化を予測する。ここでは、劣化予測部17は、ユニット側表示装置220の発光の強度に基づくユニット側電源装置230の劣化予測を行うが、これに限定するものではない。ユニット側電源装置230が供給する電力に係る電圧を監視し、電圧が設定されたしきい値以下となった場合に、ユニット側電源装置230の劣化または劣化しそうであるということを判定するようにしてもよい。
【0032】
ここで、管理側制御装置10は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの制御演算処理装置を有するマイクロコンピュータなどで構成されているものとする。また、管理側記憶装置50は、データを一時的に記憶できるランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性記憶装置(図示せず)およびハードディスク、データを長期的に記憶できるフラッシュメモリなどの不揮発性の補助記憶装置(図示せず)を有している。管理側記憶装置50には、管理側制御装置10の各部が行う処理手順などを、プログラムとしたデータを有している。そして、制御演算処理装置がプログラムのデータに基づいて処理を実行して各部の処理を実現する。ただ、これに限定するものではなく、各装置を専用機器(ハードウェア)で構成してもよい。
【0033】
図5は、この発明の実施の形態1に係る管理側制御装置10が行う処理を説明する図である。ここでは、価値判断部12が、区画価値を判断する処理の例を説明する。価値判断部12は、設定期間における倉庫内温度判定部11が判定した区画101の温度のデータを取得する(ステップS1)。ここで、取得するデータについては、冷凍倉庫100内の空気が安定しているときのデータが多い方が望ましい。
【0034】
価値判断部12は、取得した温度のデータから、最高温度と最低温度とを抽出する(ステップS2)。そして、価値判断部12は、最高温度および最低温度が、区画101に設定された目標温度±1[℃]に含まれているかどうかを判定する(ステップS3)。価値判断部12は、最高温度および最低温度が、目標温度±1[℃]に含まれていると判定すると、区画101が最も区画価値が高い一等地であると判断し(ステップS4)、処理を終了する。
【0035】
一方、価値判断部12は、最高温度および最低温度が、目標温度±1[℃]に含まれていないと判定すると、目標温度±5[℃]に含まれているかどうかを判定する(ステップS5)。価値判断部12は、最高温度および最低温度が、目標温度±5[℃]に含まれていると判定すると、区画101が二等地であると判断し(ステップS6)、処理を終了する。そして、価値判断部12は、最高温度および最低温度が、目標温度±5[℃]に含まれていないと判定すると、区画101が三等地であると判断し(ステップS7)、処理を終了する。
【0036】
以上のように、実施の形態1の倉庫管理装置1によれば、冷凍倉庫100内の空間を複数の区画101に分けるようにした。そして、管理側制御装置10の価値判断部12が、庫内温度センサ210の検出に係る温度に基づいて、区画101の区画価値を判断する価値判断部12を有するようにした。このため、冷凍倉庫100内を区画101毎に価値付けを行うことができ、区画価値に基づいた温度管理を行うことができる。
【0037】
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係る倉庫管理システム1000における集中倉庫管理装置500の構成を示す図である。実施の形態2では、集中倉庫管理装置500が行う、冷凍倉庫100の倉庫管理に係るデータの解析について説明する。集中倉庫管理装置500が解析を行うことにより、各冷凍倉庫100の状況を把握し、改善などの提案を行うことができる。
図6に示すように、集中倉庫管理装置500は、データ記憶装置510、解析制御装置520および解析側通信装置530を有している。
【0038】
データ記憶装置510は、前述したように、倉庫管理に係るデータなどを記憶する。また、解析側通信装置530は、公衆通信回線400と解析制御装置520との間における信号通信のインターフェースとなる。また、解析制御装置520が処理したデータを信号に含めて、公衆通信回線400を介して、各倉庫管理装置1に送ることができる。
【0039】
実施の形態2の集中倉庫管理装置500の解析制御装置520は、冷却能力判定部521、運営状況判定部522、入替判定部523および集中側劣化予測部524を有している。冷却能力判定部521は、ある冷凍倉庫100について、他の冷凍倉庫100における倉庫管理に係るデータと比較などして、空調冷熱機器4の冷却能力に関する判定を行う。また、運営状況判定部522は、ある冷凍倉庫100について、他の冷凍倉庫100における倉庫管理に係るデータと比較などして、運営状況を判定する。さらに、入替判定部523は、冷凍倉庫100内の空調冷熱機器4の入れ替えについて判定処理を行う。また、集中側劣化予測部524は、倉庫管理装置1の管理側制御装置10が有する劣化予測部17と同様に、ユニット側電源装置230の劣化を予測する。
【0040】
図7は、この発明の実施の形態2に係るデータ記憶装置510に記憶された倉庫管理に係るデータの一例を示す図である。
図7では、4カ所の冷凍倉庫100(冷凍倉庫100A〜冷凍倉庫100D)におけるデータが示されている。ここで、実施の形態2では、冷凍倉庫100内の冷却空間容積、消費電力量、温度安定度、冷却能力、空調冷熱機器4の台数、空調冷熱機器4の型名および製造年、扉開閉回数、設定温度並びに外気平均温度が、パラメータとして示されている。
【0041】
次に、倉庫管理に係るデータに基づいて、解析制御装置520が行う解析および提案処理について説明する。ここで、解析制御装置520が行う処理は、一例である。解析制御装置520の冷却能力判定部521は、データ記憶装置510に記憶されたデータに基づいて、各冷凍倉庫100のデータを比較する。たとえば、冷却能力判定部521が、
図7に示す冷凍倉庫100A〜冷凍倉庫100Dのデータを比較することで、冷凍倉庫100Aは、他の冷凍倉庫100と比較して、単位容積当たりの消費電力が大きく、かつ、庫内の温度安定度が悪いと判定する。そこで、温度が安定する区画101を多くし、冷凍倉庫100全体の区画価値を上げるような提案を行うことができる。
【0042】
また、たとえば、冷却能力判定部521が、
図7に示す冷凍倉庫100A〜冷凍倉庫100Dのデータを比較することで、冷凍倉庫100Aは、設置されている空調冷熱機器4の台数が少なく、単位容積あたりの冷却能力が低いと判定する。そこで、単位容積当たりの冷却能力を大きくするまたは空調冷熱機器4の台数を増加させるように提案を行うことができる。単位容積当たりの冷却能力および空調冷熱機器4を適切な台数とすることで、効率が向上する。
【0043】
ここで、たとえば、外気平均温度、設定温度などの前提条件が異なるときは、データの補正を行ってから、冷凍倉庫100間の比較を行うようにするとよい。
【0044】
解析制御装置520の運営状況判定部522についても、データ記憶装置510に記憶されたデータに基づいて、各冷凍倉庫100のデータを比較する。運営状況判定部522が、
図7に示す冷凍倉庫100A〜冷凍倉庫100Dのデータを比較することで、冷凍倉庫100Aは、扉開閉回数が多いと判定する。そこで、他の冷凍倉庫100の運営(搬入搬出スケジュールなど)を参考にするような提案を行うことができる。
【0045】
解析制御装置520の入替判定部523は、データ記憶装置510に記憶されたデータに基づいて、各冷凍倉庫100のデータを比較する。たとえば、入替判定部523は、
図7に示すデータを比較し、冷凍倉庫100Aは、冷凍倉庫100B〜冷凍倉庫100Dに比べて、製造年度が古い空調冷熱機器4が設置されていると判定する。そこで、製造年度が新しい空調冷熱機器4への入れ替えを提案することができる。
【0046】
解析制御装置520の集中側劣化予測部524は、データ記憶装置510に記憶されたユニット側電源装置230の劣化に係るデータを比較し、冷凍倉庫100に設置されたユニット側電源装置230の劣化予測を行う。集中側劣化予測部524は、ユニット側電源装置230が劣化するまでに経過した時間と、庫内温度センサ210が検出した温度と、を関連付けて劣化予測を行うとよい。ユニット側電源装置230の蓄電池の劣化は、温度と相関があるためである。これにより、他の冷凍倉庫100の庫内温度センサ210のデータとも比較して、劣化予測を高精度に行うことができる。
【0047】
ここでは、集中倉庫管理装置500は、各冷凍倉庫100でのデータを比較して、倉庫全体の解析を行ったが、これに限定するものではない。集中倉庫管理装置500は、区画101毎のデータに基づいて解析を行うようにしてもよい。そして、区画101単位で解析を行うことで、区画101単位で改善の提案を行うことができる。たとえば、ある区画101について、冷凍倉庫100内の区画101の位置、区画101に対応する空調冷熱機器4に関するデータなどを比較して、解析を行う。そして、解析に基づく提案を行うことができる。
【0048】
以上のように、実施の形態2の倉庫管理システム1000によれば、集中倉庫管理装置500の解析制御装置520は、管理対象となる複数の冷凍倉庫100間の倉庫管理に係るデータを解析するようにした。このため、冷凍倉庫100間を比較することができ、比較によって得られた判定結果に基づいて、区画価値の向上、運営、装置入替などの提案を行うことができる。
【0049】
実施の形態3.
前述した実施の形態1においては、各冷凍倉庫100が有する倉庫管理装置1の管理側制御装置10が、区画価値の判断、課金、ユニット側電源装置230の劣化予測などの処理を行ったが、これに限定するものではない。公衆通信回線400を介して接続されている集中倉庫管理装置500の解析制御装置520が、各管理側制御装置10が行う処理を、一括して行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,1A〜1D 倉庫管理装置、4,4A〜4D 空調冷熱機器、5,5A〜5D 熱源ユニット、6,6A〜6D ユニットクーラ、7,7A〜7D 冷媒配管、8,8A〜8D 機器通信線、9,9A〜9D 送風ユニット、10 管理側制御装置、11 倉庫内温度判定部、12 価値判断部、13 機器制御部、14 荷物判定部、15 保管決定部、16 課金決定部、17 劣化予測部、20 管理側通信装置、30 管理側入力装置、40 管理側表示装置、50 管理側記憶装置、60 管理側計時装置、91,91A〜91D 受光装置、100,100A〜100D 冷凍倉庫、101 区画、200 温度センサユニット、210 庫内温度センサ、220 ユニット側表示装置、230 ユニット側電源装置、240 ユニット側計時装置、250 ユニット側制御装置、251 ユニット側信号送受信部、252 ユニット側信号処理制御部、253 ユニット側電源部、254 ユニット側データ通信部、400 公衆通信回線、500 集中倉庫管理装置、510 データ記憶装置、520 解析制御装置、521 冷却能力判定部、522 運営状況判定部、523 入替判定部、524 集中側劣化予測部、530 解析側通信装置、1000 倉庫管理システム。